説明

表示器の調光装置

【課題】 入力輝度設定値に変化がない場合でも、EMIの影響を低減することができる表示器の調光装置を実現することを目的とする。
【解決手段】 輝度設定値によりルックアップテーブルから読み出されたパルス幅と周期に基づき発光素子の輝度を制御する表示器の調光装置において、前記ルックアップテーブルから出力された前記周期の上限値と下限値とに基づき、周期データを変動させる調光周期変調部を備え、該調光周期変調部の出力に基づいて前記発光素子の点灯周期を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を選択点灯させて情報を表示する表示器の前記発光素子の輝度を、パルス信号のデューティ比を変更して調整する表示器の調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、特許文献に開示されている、表示器の調光装置の機能ブロック図である。1は内部レジスタや、トリマ入力に対応したディジタル信号を発生する入力部であり、表示器の輝度設定値を出力する。輝度の設定はオペレータによるマニュアル操作や周囲の明るさに応じた自動設定操作等による。12は入力部1からの輝度設定出力に対応する調光周期及びパルス幅(点灯期間)の組合せデータがプログラムされ保持されたルックアップテーブル(輝度テーブル)、3はルックアップテーブル12からのパルス幅データに対応したパルス幅信号を時間軸上で発生するPWM制御部、5はルックアップテーブル12からの周期データに対応した周期信号を時間軸上で発生する調光周期制御部、6はPWM制御部3と調光周期制御部5からの出力を合成してPWM信号を発生する合成部、7は合成部6の出力に対応して発光素子を駆動するための信号を出力する駆動回路、8は表示部8に映像信号を出力する、NTSCビデオカメラやウェザーレーダ等の表示制御部、9は陰極管、LED、ランプ等の複数の発光素子を備え、表示制御部8から出力される映像信号を駆動回路7からの駆動信号に対応した任意の輝度で表示する表示部である。
【0003】
上記の構成において、入力部1は設定に応じて輝度設定値Sをルックアップテーブル12に出力する。図5の動作説明図に示すように、ルックアップテーブル12は輝度設定値Sに対応したパルス幅値t1、周期値t2を出力し、PWM制御部3及び調光制御部5に出力する。
PWM制御部3はルックアップテーブル12から出力されたパルス幅値に応じて点灯期間(t1)信号を発生する。調光制御部5はルックアップテーブル12から出力された周期値に応じて調光周期(t2)信号を発生する。
図6の動作説明図に示すように合成部6は調光周期制御部5から出力される調光周期(t2)信号にPWM制御部3から出力される点灯期間(t1)信号を合成し、周期がt2でパルス幅がt1のPWM信号を発生する。図6では調光周期t2と点灯期間t1の組合せが入力1に対応する組合せ(調光周期1、パルス幅1)から入力2に対応する組合せ(調光周期2、パルス幅2)に変化する場合を示す。
駆動回路7は合成部6で合成された波形に応じて表示器9内の発光素子を駆動し、調光を行う。
表示器に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−281349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来技術では、入力部1からの輝度入力値に対し、パルス幅値と周期値が一意に決定される。したがって、入力部1の入力に変化がない場合、パルス幅値、周期値が固定され、その結果、点灯期間(t1)、調光周期(t2)も固定される。その結果、図7の周波数特性曲線図に示すように、調光周期(t2)に対応した周波数が周波数スペクトル上に大きなピークを持つこととなり、EMI(Electro Magnetic Interference:不要輻射)の影響が現れることになる。
本発明はこのような課題を解決しようとするもので、入力輝度設定値に変化がない場合でも、EMIの影響を低減することができる表示器の調光装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
輝度設定値によりルックアップテーブルから読み出されたパルス幅と周期に基づき発光素子の輝度を制御する表示器の調光装置において、
前記ルックアップテーブルから出力された前記周期の上限値と下限値とに基づいて周期データを変動させる調光周期変調部を備え、
該調光周期変調部の出力に基づいて前記発光素子の点灯周期を制御することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明である表示器の調光装置において、
前記ルックアップテーブルが前記輝度設定値に対応した調光モードデータを出力し、
該調光モードデータに応じて前記調光周期変調部は固定又は変動する周期データを発生することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、
請求項1又は2記載の発明である表示器の調光装置において、
前記調光周期変調部が周期的に変動する周期データを発生することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、
請求項1又は2記載の発明である表示器の調光装置において、
前記調光周期変調部がランダムに変動する周期データを発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように、本発明によれば、輝度設定値によりルックアップテーブルから読み出されたパルス幅と周期に基づき発光素子の輝度を制御する表示器の調光装置において、前記ルックアップテーブルから出力された前記周期の上限値と下限値とに基づき、周期データを変動させる調光周期変調部を備え、該調光周期変調部の出力に基づいて前記発光素子の点灯周期を制御することにより、入力輝度設定値に変化がない場合でも周期値が固定せず、周波数スペクトラム値が拡散されるので、EMIの影響を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明につき図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係る表示器の調光装置を示す構成ブロック図で、図4と同一の部分は同一の符合を付してある。
1はインターフェースとなる入力部で、101は表示器の輝度を設定するための可変抵抗器からなるトリマ、102はトリマ101の出力が接続するA/D変換器である。2はA/D変換器102の出力が接続する輝度設定値に対応してパルス幅値、調光モード、周期上限値、周期下限値のデータを出力するルックアップテーブル(輝度テーブル)、3はルックアップテーブル2のパルス幅データを入力するPWM制御部、4はルックアップテーブル2の調光モード、周期上限値、周期下限値の各データを入力して調光モードに対応した所定の周期データを発生する調光周期変調部、5は調光周期変調部4からの周期データに対応した周期信号を時間軸上で発生する調光周期制御部、6はPWM制御部3と調光周期制御部5からの出力を合成してPWM信号を発生する合成部、7は合成部6の出力に対応して発光素子を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、8は表示部8に映像信号を出力する、NTSCビデオカメラやウェザーレーダ等の表示制御部、9は陰極管、LED、ランプ等の複数の発光素子を備え、表示制御部8から出力される映像信号を駆動回路7からの駆動信号に対応して任意の輝度で表示する表示部である。
【0012】
上記構成による装置の動作を図2のルックアップテーブル2の設定例を用いて以下に説明する。ただし、従来技術の説明と重複する部分は省略する。
トリマ101は輝度設定値に対応した電圧を発生し、A/D変換器102がこれをディジタル値Sに変換する。ルックアップテーブル2は輝度設定データSの値に応じてパルス幅データをPWM制御部3に出力し、周期上限値データ、周期下限値データ及び調光モードデータを調光周期変調部4に出力する。
図2において、輝度設定データSが入力1のようにモード切替閾値未満のときは人間の目の視覚が敏感に反応する低輝度の領域であり、可変周期モードにすると明るさのちらつきが目立ち易いので、調光モードデータとして固定周期モードを出力する。これに従い、調光周期制御部4は従来技術同様、輝度設定値に対して一意に調光周期を決定し、調光制御部5へ出力する。ここで、調光周期としてはルックアップテーブル2から出力された周期上限値と周期下限値の中間の値(調光周期1)が用いられる。
輝度設定データSが入力2のようにモード切替閾値以上のときは人間の目の視覚が敏感に反応しない中高輝度の領域であるので、調光モードデータとして可変周期モードを出力する。これに従い、調光周期制御部4はルックアップテーブル2から出力された周期上限値と周期下限値の間を掃引する調光周期2を調光制御部5へ出力する。
なお、図2において輝度設定データSに対応するパルス幅値(破線)がリニアでないのは、人間の目の視覚効果を考慮したものである。
図3は周波数特性曲図で、輝度設定値が大きい部分領域では、輝度設定値に変化がない場合でも周期が固定せずに変動するので、上下限周期の間でスペクトラムが拡散され、EMIの影響が低減することを示している。
【0013】
すなわち、上記のような構成の装置によれば、人間の目の視覚効果を考慮し、ルックアップテーブル2に調光モード、上下限周期値を設定することにより、人間の目に自然で、かつEMIの影響が少ない表示器の調光装置を実現することができる。
なお、上記の実施例に限らず、液晶表示装置のバックライトの調光制御に適用することもできる。
また、入力部として輝度設定用のレジスタ等を使用し、周囲の明るさに応じた輝度設定データを受けることにより、周囲の明るさに応じて表示器の輝度を自動的に制御することもできる。この場合は入力部1のA/D変換器を省略することができる。
また、上記の実施例では調光周期変調部4が上下限周期の間を周期的に掃引する場合を示したが、これに限らず、例えば、上下限周期の間をランダムに変化する周期データを出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る表示器の調光装置の実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の実施例のルックアップテーブル2の設定例を示す動作説明図である。
【図3】図1の実施例の動作を示す周波数特性曲線図である。
【図4】従来の表示器の調光装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】従来の装置におけるルックアップテーブル12の動作を示す動作説明図である。
【図6】従来の装置における合成部6の動作を示すタイムチャートである。
【図7】従来の装置の動作を示す周波数特性曲線図である。
【符号の説明】
【0015】
1 入力部
2 ルックアップテーブル(輝度テーブル)
3 PWM制御部
4 調光周期変調部
5 調光周期制御部
6 合成部
7 駆動回路
8 表示制御部
9 表示部
101 トリマ
102 A/D変換器
t1 調光周期
t2 点灯期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度設定値によりルックアップテーブルから読み出されたパルス幅と周期に基づき発光素子の輝度を制御する表示器の調光装置において、
前記ルックアップテーブルから出力された前記周期の上限値と下限値とに基づいて周期データを変動させる調光周期変調部を備え、
該調光周期変調部の出力に基づいて前記発光素子の点灯周期を制御することを特徴とする表示器の調光装置。
【請求項2】
前記ルックアップテーブルが前記輝度設定値に対応した調光モードデータを出力し、
該調光モードデータに応じて前記調光周期変調部は固定又は変動する周期データを発生することを特徴とする請求項1記載の表示器の調光装置。
【請求項3】
前記調光周期変調部が周期的に変動する周期データを発生することを特徴とする請求項1又は2記載の表示器の調光装置。
【請求項4】
前記調光周期変調部がランダムに変動する周期データを発生することを特徴とする請求項1又は2記載の表示器の調光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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