説明

表示器

【課題】ピッキング作業支援システムで用いられる表示器の厚さを薄くすることを可能にすることによって、ピッキング対象物と表示器との衝突を回避することである。
【解決手段】制御部と、表示部13とを具備する表示器10によって解決することができる。制御部は、電子ペーパー11に、ピッキング対象物の数量を示す所定の制御信号を供給する。表示部13は、電子ペーパー11に表示される数字を、ピッキング作業者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング棚などに取り付ける表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の組立ラインや、物流センターの仕分け段階で行われているピッキング作業を支援するシステムが知られる。このシステムを用いれば、誰でも簡単に、素早く、かつ正確なピッキング作業が行えるようになる。
【0003】
多くのピッキング作業支援システムでは、ピッキング対象物を収納するボックスそれぞれに対応する位置に、表示器を設ける。ピッキング作業支援システムは、この表示器に、どのボックスからいくつのピッキング対象物をピッキングするのかを表示して、作業者に対して、ピッキング作業の内容を指示する。
【0004】
特開2006−347670号公報(特許文献1参照)には、従来の一般的な表示器が開示されている。この文献に記載されているように、従来の一般的な表示器は、ピッキング対象物の数量を表示するために、セグメントLEDを用いていた。しかし、セグメントLEDを用いた場合、表示器にプリント板を実装する必要があるなどのために、表示器の厚みは20mm以上になっていた。
【0005】
ピッキング作業の中には、軟らかいものや小さなものを対象物としたピッキング作業がある一方で、硬いものや重いものを対象物としたピッキング作業もある。とりわけ、後者の場合、ピッキング対象物が表示器の厚み部分に繰り返し衝突すると、表示器が壊れてしまう場合もあった。作業現場によっては、ピッキング作業が手荒に行われる傾向もあり、表示器がしばしば故障することもあった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−347670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、表示器の厚さを薄くすることを可能にすることによって、ピッキング対象物と表示器との衝突を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
本発明の一つのアスペクトによる表示器(10)は、制御部と、表示部(13)とを具備する。制御部は、電子ペーパー(11)に、ピッキング対象物の数量を示す所定の制御信号を供給する。表示部(13)は、電子ペーパー(11)に表示される数字を、ピッキング作業者に提示する。この表示器(10)は、制御部と、表示部(13)とを含めた厚みを、10ミリメートル以下とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子ペーパーを用いているので、表示器の厚さを薄くすることを可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態の一つについて、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施の形態における表示器の外観図である。図示するように、表示器10は、電子ペーパー11を用いて、バーコードと数字とを表示している。電子ペーパー11には、バーコードを表示するための表示部12と、数字を表示するための表示部13とが設けられている。
【0012】
図1において、表示部12には、一次元のバーコードが表示され、表示部13には、“345”の3桁の数字が表示された例が示されている。もちろん、電子ペーパー11を制御することで、二つの表示部12,13には、さまざまな文字、数字、図形を表示することが可能である。それから、二つの表示部12,13を合わせて、所定のアルファベット文字列からなる一つの英単語を表示することもでき、また、二つの表示部12,13の領域を削減して、三つ目の表示部を設けることも可能である。
【0013】
図中、表示器は、内部に電子ペーパー11を制御する制御部を有している。この制御部が、電子ペーパー11に対して、表示部12に一次元のバーコードを表示し、かつ、表示部13に“345”の3桁の数字を表示することを指示する所定の制御信号を供給したところ、電子ペーパー11の表示内容が、図1のようになっている。電子ペーパー11は、ある制御信号を受けて表示を行うと、次の制御信号を受けるまで、その表示内容を維持する。この間、電子ペーパー11は電力を消費しない。
【0014】
図1の表示器は、設定者用操作ボタン14と、作業者用操作ボタン15とを有している。設定者用操作ボタン14は、ピッキング作業を管理する管理者によって操作され、電子ペーパー11の表示内容についての設定を行うために設けたボタンである。作業者用操作ボタン15は、ピッキング作業を行う作業者によって操作され、作業者からピッキング作業支援システムへ、ピッキングの終了を知らせるために設けたボタンである。
【0015】
表示器10は、厚みを10mmで設計したところ、実際に製作することができた。電子ペーパーを用いれば、表示器の厚みを10mm以下に抑えられることが分かった。セグメントLEDを用いた場合に比べると、厚みを半減することができたことになる。なお、作業者用操作ボタン15は、操作性向上のため、比較的大きめに、かつ、厚みを持たせて設計してある。そのため、図1の表示器10においては、作業者用操作ボタン15の部分を除き、10mm以下の厚さになっている。
【0016】
図2は、図1と同じタイプの表示器を取り付けたピッキング棚の説明図である。図示するように、ピッキング対象物を収納するボックスそれぞれに対応した位置に、表示器が取り付けられている。図中、表示器10aはピッキング棚20に取り付けられている。この表示器10aは、コンピュータから、ピッキング対象物の数量を示す所定の制御信号を受信する。表示器10aの制御部は、受信した制御信号を電子ペーパーに供給する。電子ペーパーの表示部には、ピッキング対象物の数量を示す数字が表示される。
【0017】
図2では、表示器10aをピッキング棚20に取り付けているが、その他、表示器10aは、ピッキング対象物を収納するボックスに直接取り付けることもできる。また、表示器10aと、コンピュータとの通信は、有線で行っているが、無線で行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】表示器の外観図。
【図2】表示器を取り付けたピッキング棚の説明図。
【符号の説明】
【0019】
10,10a 表示器
11 電子ペーパー
12,13 表示部
14 設定者用操作ボタン
15 作業者用操作ボタン
20 ピッキング棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペーパーに、ピッキング対象物の数量を示す所定の制御信号を供給する制御部と、
前記電子ペーパーに表示される数字を、ピッキング作業者に提示する表示部とを具備する
表示器。
【請求項2】
前記制御部と、前記表示部とを含めた厚みが、10ミリメートル以下である
請求項1記載の表示器。

【図1】
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【図2】
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