説明

表示媒体用粒子の色味評価方法

【課題】表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味を、粒子状態のまま、粒子形状を保ったままで、直接的かつ簡便に評価して、ばらつきが少なく再現性が高い評価結果を得る方法を提供する。
【解決手段】基板1,2間の空間に封入した光学的反射率および帯電特性を有する1種類以上の表示媒体に電界を付与して、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味を評価する際には、平面状部材8の凹部8a内に評価対象とする表示媒体用粒子を充填して圧密し、平面状部材8の平面に沿って擦り切り治具10−1または10−2を移動させることにより凹部8a内に充填して圧密した表示媒体用粒子の表面を擦り切って平滑面を形成し、前記表示媒体用粒子の平滑面に対し平行に分光光度計を設置して、分光光度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電特性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる、表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微粒子状の工業製品・工業原料には、色味が重要な管理特性となるものが存在し、例えば電子写真トナーやファンデーションが挙げられる。これらの製品や原料が実際に色味を顕示するのは、紙面上や肌上に塗布した状態でのことであり、トナーの場合は塗布後に融着するため、そのような状態を定常的に調整することは容易であり、トナーをトナーボックスに充填してプリンターで印刷したり、あるいは、ファンデーションをパフで塗布すればよい。したがって、これら製品・原料の色味を管理する際には、最終使用形態に即した状態を実際に再現した上で、色味を測定すればよい。
【0003】
一方、液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に少なくとも光学的反射率および帯電特性を有する1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが提案されているが、この情報表示用パネルでは、表示媒体用粒子により構成される表示媒体を1種類または2種類以上用いている。このような表示媒体用粒子体の色味を管理する際には、トナーやファンデーションの場合のように塗布状態で色味を管理するだけでは不十分であり、情報表示用パネルとして組み上げられたものが任意の表示を行う際の色味を管理する必要がある。しかしながら、情報表示用パネルとして組み上げたときの表示媒体用粒子の粒子配列状態をパネル化前に再現することは事実上不可能である。したがって、表示媒体用粒子の色味の品質管理上は、パネル化前に表示媒体用粒子単独で色味を評価する方法が要求されることになる。
【0004】
色味の表記方法は多々あるが、国際照明委員会が制定した色空間を用いた表記が一般的であり、例えば「CIE 1976 L*,a*,b*色空間を用いた方法」が挙げられる。色味の測定の具体的手法としては、L*,a*,b*を実測する分光光度計が市販されているので、分光光度計を用いるのが一般的である。一例としては、「45/0分光光度計Spectro Eye Model36.64.00 (GretagMacbeth AG製)」が挙げられる。ただし、この種の分光光度計は、平滑面上での測定を想定しているため、凹凸が多い非平滑面での測定には適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、粒子状の材料で平滑面を作成するためには、粒子材料を多量に消費しても構わないのであれば、粒子材料を固化してバルク状にしたものを平板加工するなどして所望の平面度を達成する方法を用いればよい。ただし、粒子の色味にはバルクとしての色味だけでなく、粒子形状(形、大きさ)も関与するため、上記方法は色味管理上の点から考えると問題がある。例えば、白色顔料として顔料チタニアを練り込んだ樹脂を微粉砕していくと、見た目の色合い(白さ)が徐々に変化していくのが見て取れる。よって、上記情報表示用パネルが粒子自体の集合としての色味で発色を制御していることを考慮すると、バルク化した材料の色合と、粒子自体の色合とが一致しない可能性を内包する上記方法は、情報表示用パネルの表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味の評価方法としては不適当である。
また、表示媒体用粒子より成る表示媒体自体を熱可塑性の材料で設計している場合にはバルク化も可能であるが、架橋構造を取らせる場合にはバルク化が不可能であり、実際に高架橋タイプの表示媒体に対して高圧プレス成形を行っても一体化されない。
以上を考慮すると、表示媒体用粒子より成る表示媒体は、色味管理上は、表示媒体用粒子単独で、粒子形状のままに色味を評価する必要があり、そのような方法が求められている。しかしながら、パネル化前に実施可能な、適当な色味の評価方法は現在まで確立されていない。
【0006】
本発明は、情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味を、溶融固化や圧縮成型等で一体化せず、粒子状態のまま、粒子形状を保ったままで、直接的かつ簡便に評価して、ばらつきが少なく再現性が高い評価結果を得る方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電特性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる、表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味評価方法であって、平面状部材に形成した凹部内に、評価対象とする表示媒体用粒子を充填して圧密する充填工程と、前記平面状部材の平面に沿って擦り切り治具を移動させることにより前記凹部内に充填して圧密した表示媒体用粒子の表面を擦り切って平滑面を形成する平滑化工程と、前記表示媒体用粒子の平滑面に対し平行に分光光度計を設置して分光光度を測定する測定工程と、を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法の好適例としては、当該表示媒体用粒子の流動性が高い場合は、前記擦り切り治具として丸棒状の擦り切り治具を用いること、さらに加えて、表示媒体用粒子充填の際にタッピングを用いて圧密すること、当該表示媒体用粒子の流動性が低い場合は、前記擦り切り治具としてブレード状の擦り切り治具を用いること、前記測定工程が前記表示媒体用粒子の平滑面に対し一定値以下の隙間を保ちつつ平行に分光光度計を設置して分光光度を測定する測定工程であること、および、前記一定値以下の隙間が1mm以下の隙間であること、がある。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法によれば、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電特性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる、表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味を評価する際には、充填工程で、平面状部材に形成した凹部内に、評価対象とする表示媒体用粒子を充填して圧密し、平滑化工程で、前記平面状部材の平面に沿って擦り切り治具を移動させることにより前記凹部内に充填して圧密した表示媒体用粒子の表面を擦り切って平滑面を形成し、測定工程で、前記表示媒体用粒子の平滑面に対し平行に分光光度計を設置して分光光度を測定するから、後に説明する実施例で立証されているように、情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味を、粒子状態のまま、粒子形状を保ったままで、直接的かつ簡便に評価して、ばらつきが少なく再現性が高い評価結果を得る方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明の表示媒体用粒子より成る表示媒体を用いる情報表示用パネルの構成について説明する。本発明の情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0012】
本発明の対象となる情報表示装置に搭載する情報表示用パネルの例を、図1(a),(b)〜図4(a),(b)、図5(a)〜(d)に基づき説明する。
【0013】
図1(a),(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは表示媒体用白色粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと表示媒体用黒色粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(個別電極)と基板2に設けた電極6(個別電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行っている。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。電極は、基板の外側に設けても、基板の内側に設けても、基板内部に埋め込むように設けてもよい。
【0014】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは表示媒体用白色粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと表示媒体用黒色粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(ライン電極)と基板2に設けた電極6(ライン電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行っている。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。電極は、基板の外側に設けても、基板の内側に設けても、基板内部に埋め込むように設けてもよい。
【0015】
図3(a),(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する1種の表示媒体3(ここでは表示媒体用白色粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行方向に移動させる。そして、図3(a)に示すように、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、図3(b)に示すように、黒色板7を観察者に視認させて黒色の表示を行っている。なお、図3(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0016】
図4(a),(b)に示す例では、3個のセルで単位画素を構成するカラー表示の例を示している。図4(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはセル21−1〜21−3の全てに白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを封入し、第1のセル21−1の観察者側に赤色カラーフィルター22Rを設け、第2のセル21−2の観察者側に緑色カラーフィルター22Gを設け、第3のセル21−3の観察者側に青色カラーフィルター22Bを設け、第1のセル21−1、第2のセル21−2および第3のセル21−3の3個のセルで単位画素を構成している。本例では、カラー表示を行う際に、図4(a)に示すように、観察者側に、第1セル21−1〜第3のセル21−3の全てにおいて白色表示媒体3Wを配置することで、観察者に対し白色表示を行うか、あるいは、図4(b)に示すように、観察者側に、第1セル21−1〜第3のセル21−3の全てにおいて黒色表示媒体3Bを配置することで、観察者に対し黒色表示を行っている。なお、図4(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。電極は、基板の外側に設けても、基板の内側に設けても、基板内部に埋め込むように設けてもよい。
【0017】
図5(a)〜(d)に示す例では、まず、図5(a)、(c)に示すように、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは表示媒体用白色粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと表示媒体用黒色粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1の外側に設けた外部電界形成手段11と基板2の外側に設けた外部電界形成手段12との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図5(b)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、図5(d)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行っている。なお、図5(a)〜(d)において、手前にある隔壁は省略している。また、基板1の内側には導電部材13を設けるとともに、基板2の内側には導電部材14を設けている。
【0018】
以下、本発明の特徴となる表示媒体用粒子の色味評価方法を図6(a)〜(i)に基づいて説明する。本発明の表示媒体用粒子は、図1(a),(b)〜図4(a),(b)、図5(a)〜(d)の情報表示用パネルに適用することができ、上記情報表示用パネルの少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に表示媒体を構成して封入されるものであるが、この表示媒体用粒子の色味を評価する際には、表示媒体用粒子の平滑表面を以下の方法によって作成して、分光光度計をもって評価する方法を用いることとした。
【0019】
まず、図6(a)に示すように、平面状部材8に形成した凹部8a内に、評価対象とする表示媒体用粒子(図示例の場合、表示媒体用白色粒子3Wa)を充填し、圧密する充填工程を行う。凹部8aの深さは、0.5mmもあれば十分であり、少量の試料で評価するためにも必要以上に深くする必要はない。特に、評価対象とする表示媒体用粒子が流動性の高いものである場合には、凹部8aを0.5mmよりも深くすると、充填工程および後述する平滑化工程を実施した後に、表示媒体用粒子の表面が下向きに円弧状にえぐれて平滑性が不十分になるおそれがある。
【0020】
上記充填工程を行う際には、充填不良部が発生しないようにするために、任意の方法で圧密し、後工程でヒケが生じたり、鬆(す)が入らないようにする。例えば図6(b)に示す方法を用いる場合には、多めに充填することにより凹部8aの上部に盛り上がった表示媒体用粒子3Waの山をガラス板等の平板9で押し潰す圧縮(Pressing)によって圧密する。この圧密によって、図6(c)に示すように平面状部材8の表面に表示媒体用粒子3Waがほぼ均等に分布すれば良好(OK)であるが、図6(d)に示すように平面状部材8の表面に表示媒体用粒子3Waが分布していない部分が生じるとともに凹部8a内の表示媒体用粒子3Waの表面が下向きに円弧状にえぐれた場合は、不良(NG)として処理する。一方、図6(e)に示す方法を用いる場合には、多めに充填することにより凹部8aの上部に盛り上がった表示媒体用粒子3Waをタッピング(Tapping )により圧密する。この圧密によって、図6(e)に示すように、表示媒体用粒子3Waの山の高さが低くなるとともに、表示媒体用粒子3Waの山の下端部が凹部8aの外部にはみ出した状態になる。なお、評価対象とする表示媒体用粒子が流動性が低いものである場合には、図6(b)の圧縮を用いる方が平滑面を得る上で好ましいが、評価対象とする表示媒体用粒子が流動性の高いものである場合には、平板で押し潰した場合には超流動して隙間から粒子が漏れ出てしまい、ヒケの原因になることを考慮して、タッピングを用いる方がよい。
【0021】
圧密によって図6(c)または図6(e)に示す状態になった場合、図6(f)に示すように、平面状部材8上でブレード(blade )状の擦り切り治具10−1を矢印で示すように移動することにより、凹部8a内の表示媒体用粒子3Waの表面を擦り切って平滑面を形成する平滑化工程、または、図6(g)に示すように、平面状部材8上で丸棒状の擦り切り治具10−2を矢印で示すように移動することにより、凹部8a内の表示媒体用粒子3Waの表面を擦り切って平滑面を形成する平滑化工程を行う。擦り切り治具としては、評価対象とする表示媒体用粒子が流動性が低いものである場合には、直線性の高いブレード状の擦り切り治具10−1を用いるのが平滑面を得る上で好ましいが、評価対象とする表示媒体用粒子が流動性の高いものである場合には、擦り切り治具による擦り切り時に過剰に粒子が取り除かれてしまい、平滑性が不十分になるおそれがあるため、丸棒状の擦り切り治具10−2を用いる方がよい。擦り切り治具10−1,擦り切り治具10−2の使用によって図6(f),図6(g)のような平滑面が得られた場合は良好(OK)であるが、図6(h),図6(i)に示すように、凹部8a内の表示媒体用粒子3Waの表面が円弧状にえぐれた場合は、不良(NG)として処理する。
【0022】
擦り切り治具10−1または擦り切り治具10−2を使用した擦り切りによって図6(f),図6(g)のような平滑面が得られた場合、表示媒体用粒子3Waの平滑面に対し一定値(ここでは一定値=1mmとする)以下の隙間を保ち、かつ、平行になるように分光光度計(図示せず)を設置して分光光度を測定する測定工程を行う。この測定工程において、1mm以上の隙間があると、測定値に隙間間隔依存性が出るため、好ましくない。さらに、表示媒体用粒子の表面に分光光度計を密着させると、測定時に表示媒体用粒子の表面が動いてしまうため、平滑面を測定したことにならなくなる。また、分光光度計の設置の際に平行度が出ていないと、同様に測定値に測定角度依存性が生じるため、正確な評価ができなくなる。
【0023】
本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法の特徴は、表示媒体用粒子自体の平滑面を形成して、その平滑面の分光光度を測定することにある。例えば、より電子ディスプレイに近い状態にするために、表示媒体用粒子の表面上にガラス板等の平板を置いて分光光度を測定しようとすると、かえって測定値がばらついてしまう。その理由は、測定時にガラス板等の平板が板の下部の粒子を動かしてしまうためである。逆に、ガラス板等の平板から一定の隙間を保った状態で分光光度を測定しようとすると、表示媒体用粒子の表面の分光光度を直接測定するのとは異なり、距離依存性が発生するため、やはり定量測定には適さない。
その他にも、平滑面を持つ透明容器に評価対象とする表示媒体用粒子を充填して、平滑面越しに分光光度を測定する方法も考えられるが、これも充填具合のばらつきの影響が大きくなるため、表示媒体用粒子の擦り切り面を直接測定する上記方法に比較して、再現性の点で不利である。
なお、本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法において評価指標とする色味表記法としては、L*,a*,b*に限定されるものではなく、マンセル表色系色座標や三刺激値(X,Y,Z)による色空間、U*,V*,W*色空間(CIE1964色空間)やL*u*v*色空間(CIE1976L*u*v*色空間)など、他の手法で計測、評価しても、適正な数値変換にて対応を取れば全く問題ないことは、自明の理である。
【0024】
本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法によれば、充填工程で、平面状部材8に形成した凹部8a内に、評価対象とする表示媒体用粒子(例えば3Wa)を充填して圧密し、平滑化工程で、平面状部材8の平面に沿って擦り切り治具10−1または10−2を移動させることにより凹部8a内に充填して圧密した表示媒体用粒子の表面を擦り切って平滑面を形成し、測定工程で、前記表示媒体用粒子の平滑面に対し平行に分光光度計を設置して分光光度を測定するから、後に説明する実施例で立証されているように、情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味を、粒子状態のまま、粒子形状を保ったままで、直接的かつ簡便に評価して、ばらつきが少なく再現性が高い評価結果を得る方法を提供することができる。
【0025】
以下、本発明の表示媒体用粒子より成る表示媒体を用いる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0026】
基板については、少なくとも一方の基板はパネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板となる背面基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0027】
必要に応じて基板に設ける電極の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン錫酸化物(ATO)導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布してパターニング形成する方法が用いられる。視認側(表示面側)基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能である導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0028】
必要に応じて基板に設ける隔壁については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図7に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示装置に搭載する情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0029】
次に、本発明の対象となる情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0030】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0031】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0032】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0033】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0034】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0035】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0036】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の表示用有色粒子を作製できる。
【0037】
また、本発明の表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1〜50μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0038】
さらに本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0039】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0040】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0041】
さらに、本発明の表示媒体用粒子で構成する表示媒体を気中空間で駆動させる情報表示用パネルに適用する場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1(a),(b)〜図4(a),(b)、図5(a)〜(d)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0042】
本発明の対象となる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の気中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、色味評価用の粒子材料として、以下の試料A,試料B,試料Cを用いた。
【0044】
[試料Aの作製]
シクロオレフィンポリマーに、隠蔽材として平均粒子径200nmのチタニアと、着色剤としてピグメントイエロー(Pigment Yellow)138(大日精化工業(株)製)とを配合し、二軸混錬機で分散後、ジェットミル・気流分級機で粉砕・分級することにより、黄色粒子Cを得た。この黄色粒子Cの平均粒子径は8.8μmであった。この黄色粒子100重量部に対し、疎水性ヒュームドシリカRX300(日本アエロジル(株)製)を22重量部、カーボンミキサーHFM−001C((株)SMT製)にて3000rpmで30分混合攪拌することでナノ凹凸化表面処理を施して、粒子の試料Aを得た。なお、この試料Aの原材料である黄色粒子Cを、試料Cとした。
【0045】
[試料Bの作製]
ベースポリマー原料としてスチレンを用い、着色剤としてRed254(長瀬産業(株)製)を配合し、さらにエチレングリコールジメタクリレートを用いて分散・懸濁重合することにより、3次元架橋構造を取った赤色粒子を得た。この赤色粒子の平均粒子径は9.5μmであった。この赤色粒子を乾燥し、さらにこの赤色粒子100重量部に対し、疎水性ヒュームドシリカRX300(日本アエロジル(株)製)を22重量部、カーボンミキサーHFM−001C((株)SMT製)にて3000rpmで30分混合攪拌することでナノ凹凸化表面処理を施して、粒子の試料Bを得た。
【0046】
[付着力の評価]
以上の試料A,試料B,試料Cについて、付着力の差異を評価した。
指標として次の試験を行った。パウダーテスター「PT−R」(ホソカワミクロン(株)製)による凝集度測定モードを使用し、目開き32μmのステンレスメッシュを振動させた。ここに試料を一定量取り分け、1分間篩い続けた。この操作を終えた後に、メッシュ上に残存した試料重量の投入重量に対する割合を残存率として求めたところ、表1に示す評価が得られた。なお、付着力の小さい粒子ほど、メッシュを良好に通過するので、残存率は小さくなる。
【0047】
【表1】

【0048】
[各種測定条件]
(1)SUS丸棒(φ2.5)擦り切りを行う。
(2)ガラスブレード擦り切りを行う。
(3)カバーガラスを表示媒体用粒子の粒子からなる表示媒体の粒子面上に置いて、平面を形成する。
(4)ガラス製のセル(ガラス厚2mm)内に表示媒体用粒子の粒子からなる表示媒体を充填して、セル面越しに測定を行う。
(x)タッピング充填を行う。
(y)ガラス板によるプレス充填を行う。
(α)測定面−測定機間を0.5mm離して、平行にセットする。
(β)測定面−測定機間を1.5mm離して、平行にセットする。
(γ)測定面−測定機間を密着させるようにセットし、測定面にカバーガラスをセットする。
(δ)測定面−測定機間が平行にならないようにセットする。
【0049】
<実施例および比較例>
上記測定条件を組み合わせた種々の測定法を用いて、上記試料A,試料B,試料Cの色味を評価した。測定は試料調整を含めて10回行い、平均値および偏差を求めた。
測定装置には、「45/0分光光度計、Spectro Eye Model36.64.00 (GretagMacbeth AG製)」を用いた。
【0050】
<実施例1>
(1),(x),(α)の測定条件を用いたところ試料A,試料Bは、丸棒擦り切りによって、ばらつきが少なく、再現性が高い測定ができた。試料Cは、丸棒で擦り切るには凝集力が大き過ぎたため、試料A,試料Bと同等レベルの平面を出すことができなかった。試料A,試料Bの測定結果を表2に示す。
【0051】
<実施例2>
(2),(y),(α)の測定条件を用いたところ、凝集力の大きい試料Cは、ガラスブレードによる擦り切りにより、ばらつきが少ない色味測定ができた。凝集力の小さい試料A,試料Bは、充填した表示媒体用粒子の表面が下向きに円弧状にえぐれてしまい、試料の調整ができず、測定結果が得られなかった。試料Cの測定結果を表2に示す。
【0052】
<比較例1>
(3),(x),(γ)の測定条件を用いたところ、測定面に測定機を密着させたため、試料Aの測定値が非常にばらついてしまった。なお、カバーガラスが無いと、測光部に粒子が付着してしまい、測定できなかった。試料Aの測定結果を表2に示す。
【0053】
<比較例2>
(1),(x),(β)の測定条件を用いたところ、測定面と測定機の間隔を1.5mm開けたため、比較例1と同様に、試料Bの測定値のばらつきが大きくなってしまった。試料Bの測定結果を表2に示す。
【0054】
<比較例3>
(4),(x),(α)の測定条件を用いたところ、セル面越しに測定する方法を用いたため、上記の方法に比べてバラツキが大きくなってしまった。測定値のズレが生じる点も問題である。試料Cの測定結果を表2に示す。
【0055】
<比較例4>
上記試料を錠剤成型器およびホットプレートを用いて加圧固化し、板状にした試料にて測定を試みたところ、試料Aは、実施例1の擦り切り測定の測定値とずれた測定値となってしまった。試料Bは、固化しなかったため、この測定方法では、測定できなかった。試料Aの測定結果を表2に示す。
【0056】
<比較例5>
上記試料を錠剤成型器およびホットプレートを用いて加圧固化し、板状にした試料にて、平滑ではない面の測定値を得るために、充填した表示媒体用粒子の表面を適当に指でならして、測定を試みたところ、試料A、試料B共に、測定値のずれが生じてしまい、測定値のばらつきも大きくなった。試料A,試料Bの測定結果を表2に示す。
【0057】
<比較例6>
上記試料を錠剤成型器およびホットプレートを用いて加圧固化し、板状にした試料にて、充填した表示媒体用粒子の平面を出すときに、ガラス板を押し当てて平面を出そうとすると、試料A、試料B共に充填した表示媒体用粒子が流動してしまい、充填した表示媒体用粒子の表面が下向きに円弧状にえぐれてしまい、平面が出せなかった。試料A,試料Bの測定結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の色味評価方法によって色味を評価した表示媒体用粒子からなる表示媒体を用いる情報表示用パネルは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants )と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞、電子マニュアル(電子取扱説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板やホワイトボード等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence 、Point Of Purchase advertising )、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部に好適に用いられる。他に、リライタブルペーパー(外部電界形成手段を用いて書き換えできる)としても好適に用いられる。
なお、本発明に係る情報表示用パネルの駆動方式については、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動方式やスタティック駆動方式、また、薄膜トランジスタ(TFT)で代表される三端子スイッチング素子あるいは薄膜ダイオード(TFD)で代表される二端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動方式や、外部電界を用いた外部電界駆動方式など、種々のタイプの駆動方式が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(a),(b)は本発明の対象となる情報表示用パネルの原理的構成を示す図である。
【図2】(a),(b)は本発明の対象となる情報表示用パネルの原理的構成を示す図である。
【図3】(a),(b)は本発明の対象となる情報表示用パネルの原理的構成を示す図である。
【図4】(a),(b)は本発明の対象となる情報表示用パネルの原理的構成を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の情報表示用パネルの原理的構成を示す図である。
【図6】(a)〜(i)は本発明の表示媒体用粒子の色味評価方法を説明するための図である。
【図7】本発明の対象となる情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 表示媒体用白色粒子
3Ba 表示媒体用黒色粒子
4 隔壁
5、6 電極
7 黒色板
8 平面状部材
8a 凹部
9 平板
10−1 ブレード状の擦り切り治具
10−2 丸棒状の擦り切り治具
11,12 外部電界形成手段
13,14 導電部材
21−1 第1のセル
21−2 第2のセル
21−3 第3のセル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22B 青色カラーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電特性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる、表示媒体を構成する表示媒体用粒子の色味評価方法であって、
平面状部材に形成した凹部内に、評価対象とする表示媒体用粒子を充填して圧密する充填工程と、
前記平面状部材の平面に沿って擦り切り治具を移動させることにより前記凹部内に充填して圧密した表示媒体用粒子の表面を擦り切って平滑面を形成する平滑化工程と、
前記表示媒体用粒子の平滑面に対し平行に分光光度計を設置して分光光度を測定する測定工程と、
を行うことを特徴とする表示媒体用粒子の色味評価方法。
【請求項2】
当該表示媒体用粒子の流動性が高い場合は、前記擦り切り治具として丸棒状の擦り切り治具を用いることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体用粒子の色味評価方法。
【請求項3】
当該表示媒体用粒子の流動性が高い場合は、凹部への充填方法を、表示媒体用粒子を多めに盛った後にタッピングする充填方法とすることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体用粒子の色味評価方法。
【請求項4】
当該表示媒体用粒子の流動性が低い場合は、前記擦り切り治具としてブレード状の擦り切り治具を用いることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体用粒子の色味評価方法。
【請求項5】
前記測定工程が前記表示媒体用粒子の平滑面に対し一定値以下の隙間を保ちつつ平行に分光光度計を設置して分光光度を測定する測定工程であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の表示媒体用粒子の色味評価方法。
【請求項6】
前記一定値以下の隙間が1mm以下の隙間であることを特徴とする請求項5に記載の表示媒体用粒子の色味評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−157868(P2008−157868A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349616(P2006−349616)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】