表示媒体
【課題】 光学特性、特にコントラスト比を向上させた表示媒体を提供する。
【解決手段】 基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層の少なくとも1層を含む構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、それらの吸光度比をDa/Db=Dとしたとき、
D>1.20
を満たすことを特徴とする表示媒体。
【解決手段】 基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層の少なくとも1層を含む構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、それらの吸光度比をDa/Db=Dとしたとき、
D>1.20
を満たすことを特徴とする表示媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層を有する表示媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会は益々増大している。
【0003】
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また新たに有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に電子情報がドキュメント情報である場合、比較的長時間にわたって閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難い。一般に、発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間にわたって閲覧すると消費電力が嵩む等が知られている。
【0004】
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られている。反射型ディスプレイのうち、液晶組成物を油滴状にしてバインダー中に分散保持させる方式は、高分子分散型液晶または散乱型液晶と呼ばれ、様々な方式が知られている。(例えば、特許文献1〜4参照。)
本発明者は、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、確かに液晶の光散乱状態と光透過状態とを利用して像表示は行えるものの、従来技術では、バインダー中に分散された液晶組成物の外部場に応じて変化する液晶の分子配列状態が不均一で安定ではないためにコントラスト比が低く,光学特性に課題があることが判明した。
【特許文献1】特開2003−302625号公報
【特許文献2】特開平7−287214号公報
【特許文献3】特開平9−218421号公報
【特許文献4】特開2000−98326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光学特性、特にコントラスト比を向上させた表示媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
【0007】
(請求項1)
基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層の少なくとも1層を含む構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、それらの吸光度比をDa/Db=Dとしたとき、
D>1.20
を満たすことを特徴とする表示媒体。
【0008】
(請求項2)
前記液晶層の少なくとも1層に下記一般式(I)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸およびその塩からなる界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、RはC1〜8の直鎖又は分岐アルキル基を表す。Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアミンを表す。mは1〜3の整数、nは1〜2の整数を表す。)
(請求項3)
前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が30以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示媒体。
【0011】
(請求項4)
前記液晶組成物が、コレステリック相を有するカイラルネマチック液晶組成物であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示媒体。
【0012】
(請求項5)
前記カイラルネマチック液晶組成物が、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光から選ばれる少なくとも1種の光を選択反射する液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【0013】
(請求項6)
前記カイラルネマチック液晶組成物が、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【0014】
(請求項7)
同一液晶層内に複数種の液晶組成物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0015】
(請求項8)
前記液晶層を複数層有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0016】
(請求項9)
1対の電極間に、液晶層を配置したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0017】
(請求項10)
遮光層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0018】
(請求項11)
前記遮光層が、1対の電極間に設けられたことを特徴とする請求項10に記載の表示媒体。
【0019】
(請求項12)
1対の電極の少なくとも1方の電極を、ノズル径30μm以下の静電誘導方式のインクジェット法を用いて形成されたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の表示媒体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学特性、特にコントラスト比を向上させた表示媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層を含む少なくとも1層の構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、その吸光度比をDa/Db=Dとした時に、D>1.20を満たす場合に、バインダー中に分散された液晶組成物の液晶分子の配列が均一で安定となり、コントラスト比が高い表示媒体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0023】
すなわち、本発明では、液晶組成物は水性バインダー中に分散されているため界面近傍では液晶分子の極性基がバインダーの極性に影響を受けるため、配向安定性が失われる。バインダーの影響を受けた液晶分子の極性基と疎水性基の配向状態によって、バインダー中においても外部場に応じて変化する液晶の分子配列状態が均一で安定となり、コントラスト比を向上できることを見出した。
【0024】
以下、本発明の表示媒体の詳細について説明する。
【0025】
本発明の表示媒体は、基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層を含む少なくとも1層の構成層から形成されている。構成層としては、分散された液晶組成物を含有する液晶層の他、バインダーのみを含有する中間層や保護層、染料や顔料を含むフィルター層や遮光層、その他の層を含む。
【0026】
〔バインダー〕
本発明の表示媒体のバインダーとしては、親水性バインダーが好ましく用いられる。その例としては、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されているバインダー及び特開昭64−13546号公報の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。
【0027】
また、本発明に好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも疎水性でもよいが、本発明においては、液晶組成物と相溶しない範囲で疎水性透明バインダーを使用することもできる。疎水性透明バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。疎水性バインダーの中でも、特に、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステルが好ましく用いられる。
【0028】
これらバインダーは2種以上を併用して用いてもよく、バインダーの塗布量は1m2あたり100g以下が好ましく、特に20g以下にするのが適当である。
【0029】
本発明に係るバインダーは、特に対向電極を用いる場合、液晶層の膜強度を確保する為に重要であり、バインダーと共に膜厚を一定化するため、樹脂柱構造物やスペーサー粒子を用いることも可能であるが、工程の簡略化からそれらは特に使用しないことが好ましい。また、ゼラチンは加熱溶解、塗布、冷却セット、乾燥の各工程で、均一な膜厚を有する構成層が得られる好ましいバインダーであるが、ゼラチンの他の例としては、例えば、ポリビニルアルコール類においてもカラギナンやゲランガム等の増粘多糖類を併用して用いることにより、前記ゼラチン同様の工程をとることが可能であり、この場合も均一な膜厚を有する構成層が得られる。
【0030】
その他、本発明で用いられるバインダーとしては、ポリウレタン樹脂類やポリアクリル樹脂類やシリコーン樹脂類等の水性溶媒分散物、光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
【0031】
また、バインダーは硬膜処理されていてもよい。バインダーを硬膜処理すると、バインダー中に分散された液晶組成物に対して化学的に相互作用を与えずにバインダーの機械的強度を向上できるため、表示媒体のタフネスをさらに向上できる。
【0032】
バインダーとしてゼラチンを用いる場合、好ましい硬膜剤の例としては、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(例えば、N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(例えば、ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(例えば、特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。これらの硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独又は併用して使用することが好ましい。これらの硬膜剤は、バインダー1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。
【0033】
〔マイクロカプセル〕
本発明の液晶組成物は、マイクロカプセルに内包させた状態で用いることができる。
【0034】
本発明で用いることができるマイクロカプセルの製法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ法等の公知の方法を用いることができる。これらの中でコアセルベーション法による製法は油相である液晶組成物への化学的影響が少なく好ましく用いることができる。
【0035】
バインダーの1つとしてゼラチンを用いる場合、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、寒天、ポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸共重合体、その他界面活性剤との疎水性相互作用によるコアセルベートでき、コアセルベート後は、ホルムアルデヒドや、前記のゼラチン硬膜剤を用いてゼラチン硬化反応を行わせることにより、コアセルベートしたゼラチン複合膜を硬化でき、マイクロカプセル壁の強度を向上させることができる。
【0036】
また界面重合法は、ポリアミン、多価フェノール等と多塩基酸ハライド、ポリイソシアネート等を水相と油相界面で重合してマイクロカプセル壁を形成することができる。
【0037】
また、in−situ重合方法としては、尿素−メラミン等に用いられるアミド樹脂、フェノール樹脂の単独またはその共重合体をホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等で架橋してマイクロカプセルを形成させることができる。
【0038】
マイクロカプセル壁には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン等を共存させることにより、マイクロカプセル壁強度を向上させることができる。
【0039】
本発明に係るマイクロカプセルは、溶液系で調製した後、乾燥して分級することができる。分級の方法としては、スプレードライヤ、ロータリー乾燥機、バンド乾燥機等が挙げられる。
【0040】
次いで、本発明の表示媒体のその他も構成要素について説明する。
【0041】
〔基体〕
本発明で用いることのできる基体としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
【0042】
〔液晶組成物〕
本発明に係る液晶組成物としては、コレステリック相を有するカイラルネマチック液晶組成物であることが好ましい。
【0043】
カイラルネマチック液晶は、コレステリック相を示す液晶の代表的なもので、ネマチック液晶に所定量のカイラル材を添加することによって得られる。このカイラルネマチック液晶は、一般的に、棒状の液晶分子がねじれた配列をなし、コレステリック相を示している。この液晶に光が入射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離である。一方、ヘリカル軸に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は反射することなく透過する(フォーカルコニック状態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われる。
【0044】
メモリー性を有する反射型液晶表示体の動作モードとしては、テクニカルペーパーSID国際シンポジューム要約(SID International Symposium Digestof Technical Paper)第29巻、897頁に開示されている。この動作モードは、カイラルネマチック液晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及びフォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに切り換えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるため、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表示媒体として有用である。
【0045】
上記文献に記載されている反射型の液晶表示媒体は、それぞれ電極を備えた一対の基板間にカイラルネマチック液晶を挟持した構成であり、電極によって基板に対して垂直方向に電界を作用させ、その電界の強度及び/又は印加時間を制御することにより、液晶を所定の状態(プレーナ状態及びフォーカルコニック状態)に変化させる。
【0046】
液晶にそのねじれを解くための閾値電圧以上の電圧を充分な時間印加すると、液晶は全てホメオトロピック状態(液晶分子の長軸方向が基板に対して垂直な状態)になる。この状態は、メモリ性がないために電界を消去すると、液晶はねじれた配列になる。ホメオトロピック状態から、電界を急激に消去した場合はプレーナ状態になり、電界を徐々に消去した場合はフォーカルコニック状態になる。
【0047】
また、フォーカルコニック状態の液晶に、そのねじれを解くための閾値電圧以上のパルス電圧(一部の液晶がホメオトロピック状態になるパルス幅の電圧)を印加した場合、ホメオトロピック状態になった液晶は、パルス電圧の印加終了後にプレーナ状態になる。パルス電圧の幅及び/又は電圧の高さを制御することにより、プレーナ状態となる液晶の割合を調整(中間調を表示)することができる。
【0048】
本実施形態のカイラルネマチック液晶組成物(以下、単に「液晶組成物」ということがある)は誘電率異方性(Δε)が10〜50、好ましくは30以上、屈折率異方性(Δn)が0.13〜0.32、好ましくは0.15〜0.20、粘度(η)が0.02〜0.12Pa・s、好ましくは0.02〜0.1Pa・s、および等方相転移温度(Tc)が50℃〜130℃、好ましくは60〜95℃である。
【0049】
本明細書中、粘度は20℃でRheoStress RS50パラレルプレート20(HAAKE社製)によって測定された値を用いているが、当該装置によって測定されなければならないというわけではない。上記装置と同様の原理によって測定可能な装置であれば、いかなる装置によって測定されてもよい。また、上記範囲内の誘電率異方性とすることによって、バインダー中に分散された液晶組成物の均一な分子配列と低減された駆動電圧を両立することができる。誘電率異方性(Δε)とは一軸対称性を有する液晶系試料における対称軸方向の誘電率から当該対称軸に垂直な方向の誘電率を減じた値(25℃)である。本明細書中、誘電率異方性はLCRメータ4192A(HP社製)を用いて室温で測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。誘電率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。屈折率異方性(Δn)とは一軸対称性を有する液晶系試料における対称軸方向の屈折率から当該対称軸に垂直な方向の屈折率を減じた値(25℃)である。
【0050】
本明細書中、屈折率異方性はアタゴ社製アッベ屈折率計1型を用いて25℃で測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。屈折率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。等方相転移温度(Tc)とは、液晶系試料を加温していったときに、当該試料の液晶相が等方相に転移するときの温度である。本明細書中、等方相転移温度はコントローラーFP90(METTLER社製)、ホットステージFP82HT(METLLER社製)、及び偏光顕微鏡BX50(オリンパス光学工業社製)から構成された液晶評価装置によって測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。等方相転移温度を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0051】
カイラルネマティック液晶を用いた液晶−高分子複合膜において、ネマティック液晶に添加するカイラルドーパントの量を調整し、カイラルネマティック液晶のヘリカルピッチを、選択反射波長が、例えば、それぞれ青色光、緑色光、赤色光、黄色光となるように調整することにより、プレーナ配列の場合にそれぞれ赤色、緑色、青色、黄色に着色した選択反射状態となり、フォーカル・コニック配列の場合に無色透明の光透過状態となる液晶−高分子複合膜が得られる。この様にして得られた液晶−高分子複合膜を透明電極間に挟持することにより、カラーの液晶表示デバイスが得られる。本発明の表示媒体においては、カイラルネマチック液晶組成物が、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光から選ばれる少なくとも1種の光を選択反射する複数の液晶組成物から構成されていることが好ましい。
【0052】
また、カイラルドーパントの添加量を調整して、カイラルネマティック液晶のヘリカルピッチを、選択反射波長が赤外光となるように調整すると、プレーナ配列で無色透明の光透過状態、フォーカル・コニック配列では等方散乱により白く見える光散乱状態を示す液晶−バインダー複合膜が得られる。こうして得られた液晶−バインダー複合膜を透明電極間に挟持することにより、白色表示デバイスが得られる。
【0053】
なお、ヘリカルピッチp(nm)と選択反射波長λ(nm)との関係は、下式(1)で表される。
【0054】
式(1)
λ=n×p
式中、nは平均屈折率を表し、n2=(n12+n22)1/2である。n1は液晶分子の長軸方向に光を入射した場合の屈折率を表し、n2は液晶分子の長軸方向に対して垂直な方向に光を入射した場合の屈折率を表す。
【0055】
白色表示デバイスあるいは各色のカラー表示デバイスを作製するには、例えば、液晶とバインダーとの混合物を1対の透明電極間に挟持した上で、硬膜剤等で硬化させ液晶とバインダーとを相分離する方法を採用することができる。この際、上記混合物とともにスペーサを透明電極間に挟持させると液晶−バインダー複合膜の厚さの制御が容易となる。
【0056】
ネマティック液晶に添加するカイラルドーパントとして、複数種のカイラルドーパントを混合して使用してもよい。複数種のカイラルドーパントの使用は、液晶の相転移温度を高くしたり、複合膜の透明状態における透明度を向上させたり、特にカラー表示デバイスの透明状態と選択反射状態との表示切り替えを速くしたりするのに有効である。
【0057】
特定色のカラー表示デバイスとして、左旋性のカイラルネマティック液晶を用いた複合膜を有する第1の表示デバイスと、前記左旋性のカイラルネマティック液晶と同じ波長の光を選択反射しかつ右旋性のカイラルネマティック液晶を使用した複合膜を有する第2の表示デバイスとを積層したものを用いることも、本発明の好ましい態様の1つである。こうすることによって反射率を増大させ、さらに良好なカラー表示を行うことができる。特に、緑色に比べて比視感度が低い青色および赤色を強く表示すると全体のカラーバランスが向上するため、青色表示デバイスあるいは赤色表示デバイスにおいてこのような複層構成が有効である。
【0058】
白色表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜に、スメティック液晶を添加してもよい。スメティック液晶を添加することにより、液晶−バインダー複合膜の透明度が向上し、無色透明状態と白色状態との間のコントラストを高めることができる。
【0059】
なお、各色の表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜の膜厚には特に制限はないが、白色表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜の膜厚をカラー表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜の膜厚よりも大きくしておくことが望ましい。
【0060】
コレステリック相を示す液晶組成物の具体的化合物としては、米国特許5,695,682号に記載の化合物を挙げることができる。
【0061】
その他の本発明に用いられる散乱型液晶組成物として、4−置換安息香酸4′−置換フェニルエステル、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換フェニルエステル、4−置換ビフェニル4′−置換シクロヘキサン、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4″−置換ターフェニル、4−置換4′−置換ビフェニル、4−置換フェニル−4′−置換シクロヘキサン等、さらに特開2001−51260号公報、特開平8−43846号公報、特開平7−4950号公報、特開2000−147476号公報、特開平8−160470号公報、特開平10−54996号公報、特開2002−221709号公報、特開2001−92383号公報、特開2003−131234号公報、特開2004−77754号公報、特開2004−2771号公報等に記載の液晶組成物や、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)、ポリマー分散液晶(PDLC)と称される液晶組成物等を挙げることができる。
【0062】
本発明の表示媒体においては、本発明に係る液晶組成物をバインダー中に分散させた状態で存在させる。例えば、本発明に係る液晶及びカイラル剤を混合した後、この混合物を界面活性剤等を含むゼラチン溶液中に添加し、公知の分散機を用いて分散することにより調製することができる。
【0063】
上記分散に用いられる界面活性剤としては、前記一般式(I)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸類が好ましい。
【0064】
上記アルキルナフタレンスルホン酸類において、芳香環に結合するアルキル基Rの炭素数は1〜8個であるが、3〜5個の炭素数が好ましい。従って、当該ナフタレンスルホン酸類は、具体的には、n−プロピルナフタレンスルホン酸、n−ブチルナフタレンジスルホン酸、イソペンチルナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンジスルホン酸、ジ−t−ブチルナフタレンジスルホン酸、ジ−n−ブチルナフタレンスルホン酸、ジ−n−ペンチルナフタレンスルホン酸、トリ−n−プロピルナフタレンジスルホン酸、トリイソブチルナフタレンジスルホン酸、トリ−t−ペンチルナフタレンスルホン酸、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩などである。
【0065】
分散には、例えば、剪断式攪拌機、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
【0066】
また、バインダーに液晶組成物が分散された液晶層の赤外吸収スペクトルの測定は、赤外分光光度計(HITACHI Spectrophotometer U−320)を用いてKRS−5〔ヨウ化タリウム(TlI)と臭化タリウム(TlBr)〕の混晶体に膜化前の液晶組成物が分散されたバインダー水溶液を塗布、乾燥して行った。
【0067】
次いで、本発明の表示媒体の構成について説明する。
【0068】
〔透明電極〕
本発明の表示媒体は、1対の電極(対向電極とも言う。)間に液晶層を配置し、電場を印加することにより、画像表示を行う。対向電極の少なくとも一部に透明電極を用いることができる。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば、特に制限はなく、例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、酸化錫(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、マグネシウム、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等やこれらの混合物を用いることができる。混合物は、例えば、50nm厚程度のITO層と50nm程度の銀の層とが積層構造になっていてもよい。
【0069】
また、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系、ポリアセチレン系、ポリパラフェニレン系、ポリセレノフェニレン系等高分子化合物、またはその混合物の導電性高分子を透明電極として用いることができる。
【0070】
また、350℃〜800℃で焼成済みのITO微粉末を、溶媒や高分子材料を含む溶液に分散した液を基体に塗布して溶媒を揮発または高分子を硬化させることにより透明電極を作製することも可能である。この場合、塗布後の固化温度は、40℃以上、200℃以下が好ましい。ITOの微粉末は、例えば、塩化錫水溶液と塩化インジウム水溶液を混合し、アンモニア等を添加してpHが9に保ちながら共沈反応を起こさせ、得られた水酸化物の沈殿を分別、洗浄して、500℃で2時間焼成して作製することが可能である。塩化錫と塩化インジウムの混合比率を変更することにより任意の混合割合の微粉末を形成することができる。微粉末の形状は、粒状、針状、板状、フレーク状のいづれであってもよく、針状と粒状等を混合して用いてもよい。
【0071】
また、キシロール中に有機インジウムと有機錫を97:3の質量比で約10%配合された塗布液を基体上に塗布し、100℃以上、150℃以下で、溶媒の揮発及び焼成を行って固化する方法も好ましく用いることができる。
【0072】
上記の塗布液には、電極の機械強度向上を目的として、ブロックドイソシアネートを含むポリウレタン樹脂を形成しうる化合物種やエポキシ樹脂を形成しうる化合物種等の高分子化合物を混合させてもよい。
【0073】
透明電極の表面抵抗値としては、500Ω/□以下が好ましく、特に300Ω/□以下が好ましい。また、膜厚は、0.2μm以上、50μm以下が好ましい。
【0074】
〔電極の製法〕
透明電極、金属電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着するか、全面形成した後に、フォトリソグラフィー法でパターニングしてもよい。また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
【0075】
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
【0076】
電極材料を塗布にて形成する場合は、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
【0077】
〔静電インクジェット法〕
本発明の表示媒体においては、対向電極の少なくとも1方の電極が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
【0078】
さらに前記ノズル内の溶液が当該ノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
【0079】
また、前記凸状メニスカス形成手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を行わせつつ液滴の吐出に際して前記凸状メニスカス形成手段の駆動電圧の印加を行わせる第一の吐出制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい。
【0080】
また、前記凸状メニスカス形成手段の駆動及び吐出電圧印加手段による電圧印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記凸状メニスカス形成手段による溶液の盛り上げ動作と前記吐出電圧の印加とを同期させて行う第二の吐出制御部を有することを特徴とする液体吐出装置を用いること、前記動作制御手段は、前記溶液の盛り上げ動作及び咋出電圧の印加の後に前記ノズル先端部の液面を内側に引き込ませる動作制御を行う液面安定化制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい形態である。
【0081】
この様な静電インクジェットを用いて電極パターンを作製することにより、オンデマンド製に優れ、廃棄材料が少なく、寸法精度に優れた電極を得ることができ有利である。
【0082】
〔遮光層〕
本発明の表示媒体には遮光層を設けることができる。遮光は、例えば、金属反射板、散乱板、着色塗料を基体中に塗布する、顔料や染料等の着色物を含むバインダー構成層を設ける等のいかなる方法でもよい。本発明においては、この遮光層を一対の対向する電極間に設けることが好ましく、この場合、液晶層に近い隣接層に、例えば、カーボンブラック等を分散させた層を設けることにより、より光吸収効率を上げた良好な黒表示が行える。また、透明電極付き樹脂基板を対向電極に用いる場合は、基板の液晶層とは反対側の表面に着色体を設けることができる。遮光する光の色は、黒表示の場合は黒色、また、液晶の反射色を補填するフィルター色であってもよい。
【0083】
〔表示媒体駆動法〕
本発明の表示媒体においては、上記説明した対向電極の駆動操作が単純マトリックス駆動であることが好ましい。
【0084】
本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。
【0085】
本発明の表示媒体は、アクティブマトリックス駆動を用いてもよい。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、諧調やメモリー機能などのメリットがある。
【0086】
次いで、本発明の表示媒体の具体的な構成例を、図を用いて説明するが、本発明ではこれら例示した構成に限定されるものではない。
【0087】
本発明の表示媒体においては、1対の電極間に、バインダー及びバインダー中に分散された液晶組成物を配置した構成をとることが好ましい。
【0088】
図1は、分散された液晶化合物を含む構成層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0089】
図1のa)は、基体A上に、一対の電極として、第1の電極1と第2の電極6を有しており、このうち下部の観察方向に位置する第2の電極6は透明電極であることが好ましい。
【0090】
対向した位置にある第1の電極1と第2の電極6間には、3層の構成層5を有し、それぞれの構成層には、それぞれ独立して、バインダー中に分散された赤色光反射液晶組成物2、緑色光反射液晶組成物3、青色光反射液晶組成物4を含有している。これらの各色光反射液晶組成物は、ネマティック液晶に添加するカイラルドーパントの量や第1の電極1と第2の電極6間に印加する閾値電圧量を適宜調整することによりカラー表示を行うことができる。また、更に各色光反射液晶組成物の不正吸収を取り除き、最適な色再現を実現するため、図1のb)に示すように、各構成層間に色補正のためのフィルター層を設けることも好ましい。
【0091】
本発明の表示媒体においては、同一構成層内に複数種の液晶組成物を含むことが好ましい態様の1つである。
【0092】
図2は、単一の構成層に3色の光反射液晶組成物を含む表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0093】
図2のa)において、一つの電極である第1の電極1と第2の電極6間に、1層の構成層5を有し、この構成層5中に、バインダー中に分散された赤色光反射液晶組成物2、緑色光反射液晶組成物3、青色光反射液晶組成物4を含む構成である。
【0094】
また、図2のb)は、各色光反射液晶組成物を含む液晶層と第1の電極1間に、構成層として黒色の遮光層8を設けた形態であり、この構成をとることで、より光吸収効率を上げた良好な黒色表示が行える。また、図2のc)では、第1の電極1と基体A′間に黒色の遮光層8を設けた形態である。
【0095】
図3は、2対以上の電極から構成され、液晶化合物を含む液晶層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0096】
図3のa)では、図1のa)の構成に対し、緑色光反射液晶組成物3を含む液晶層5と青色光反射液晶組成物4を含む液晶層5間に新たな電極9を設けた形態の一例であり、図3のb)は、それぞれの構成層を一対の電極で挟んだ構成の表示媒体の一例である。
【0097】
上記説明した図1〜図3で示した表示媒体の構成は、白黒表示も可能であるが、主としてカラー表示用として適用することが好ましい。
【0098】
図4は、白黒表示用の表示媒体の構成の一例を示す構成図である。
【0099】
図4のa)において、一つの電極である第1の電極1と第2の電極6間に、2層の液晶層5を有し、1層中には青色光反射液晶組成物4を含み、他の構成層5中には青色光反射液晶組成物4とは補色の関係にある黄色光反射液晶組成物11を含み、白及び黒を表示させる方法である。また、第1の電極1と液晶層5間に、黒色の遮光層8を設けた形態であり、この構成をとることで、より光吸収効率を上げた良好な黒表示が行える。図4のa)では、青色光反射液晶組成物4と黄色光反射液晶組成物11による黒色表示の一例を示したが、例えば、緑色光反射液晶組成物とマゼンタ色光反射液晶組成物の組み合わせ、あるいは赤色光反射液晶組成物とシアン色光反射液晶組成物の組み合わせであっても良い。
【0100】
図4のb)は、青色光反射液晶組成物4と黄色光反射液晶組成物11とを、単一層中に同時に存在させた形態である。
【0101】
本発明の表示媒体においては、カイラルネマチック液晶組成物が、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含むことが好ましい。
【0102】
図5は、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含む白黒表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0103】
図5のa)は、それぞれ独立した液晶層5中に、左旋性の液晶組成物12、あるいは右旋性の液晶組成物を含む一例であり、図5のb)は、単一液晶層中に左旋性の液晶組成物12及び右旋性の液晶組成物を含む一例であり、いずれも白黒表示用として適用することができる形態の1つである。
【0104】
図6は、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含むカラー表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0105】
図6のa)では、基体A上に、一対の電極として、第1の電極1と第2の電極6を有し、対向した位置にある第1の電極1と第2の電極6間に、3層の液晶層5を有し、それぞれの構成層には、それぞれ独立して、バインダー中に分散された左旋性の赤色光反射性液晶組成物12と右旋性の赤色光反射性液晶組成物13とを含む赤色反射層14、バインダー中に分散された左旋性の緑色光反射性液晶組成物16と右旋性の緑色光反射性液晶組成物17から構成される緑色反射層18、及びバインダー中に分散された左旋性の青色光反射性液晶組成物19と右旋性の青色光反射性液晶組成物20から構成される青色反射層21から構成される。図6のb)は、バインダー中に分散されたそれぞれの左旋性の液晶組成物と右旋性の液晶組成物とが独立した液晶層中に含有されている一例を示す。
【0106】
〔本発明の表示媒体の適用分野〕
本発明の表示媒体は、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子書籍端末、ドキュメントビュアー、案内板や掲示板等のサイン用途等が挙げられる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
実施例1
〔表示媒体1の作製:比較例〕
(透明電極1の作製)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上に、公知のスパッタンリング法でITO(インジウム錫酸化物)膜を全面に形成した後、フォトリソグラフ法を用いて電極間隔50μm、電極幅2mmピッチの電極パターンを有する透明電極1を作製した。
【0109】
(液晶層塗布液1の作製)
78.7質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶BL006(メルク社製)と、9.2質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、4.2質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)、7.9質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して調製した右旋性の緑色反射性液晶組成物1(Δε:13)を作製した。次にゼラチンをイオン交換水に対して8質量%添加し、室温で攪拌した後、30分放置してゼラチンを十分に膨潤させ、次いで、42℃に温度を上げて、ゼラチンを溶解させた。この溶液に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬製)を10質量%含むイソプロピルアルコールを水に対して12質量%添加した後、右旋性の緑色反射性液晶組成物1を水に対して12質量%添加した。この混合溶液を42℃に保ったまま、櫛歯式分散機にて攪拌し、平均分散粒径が5μmの液晶層塗布液1を得た。この液晶層塗布液1をKRS−5に塗布乾燥させて赤外分光光度計(HITACHI Spectrophotometer U−320)で測定したところ、吸光度比Da/Db=D=1.14であった。
【0110】
(表示媒体の作製)
透明電極1上に、42℃に加温した液晶層塗布液1を35μmの膜厚になるように塗布し、塗布直後に試料を10℃の環境下に放置して液晶層塗布液をゼリー状に固化した後ゼリー状形状を保ったまま水を乾燥させた。該試料の上に同様にして、5質量%のゼラチンを含む水溶液を塗布して水を乾燥させ、さらに、カーボンブラック20質量%を含みかつ5質量%のゼラチンを含む水溶液を塗布して水を乾燥させた。該試料に銀ペーストインク(東洋紡製 DW−250H−5)を用いて、電極間隔50μm、電極幅2mmピッチで、透明電極1の電極パターンと直交する電極パターンをスクリーン印刷法にて形成して表示媒体1を得た。
【0111】
〔表示媒体2の作製:比較例〕
表示媒体1の作製において、界面活性剤をエマール10ニードル(花王社製、ラウリル硫酸ナトリウム)に変更した以外は同様にして、表示媒体2を作製した。このときD=1.10であった。
【0112】
〔表示媒体3の作製:本発明〕
表示媒体1の作製において、界面活性剤をトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムに変更した以外は同様にして、表示媒体3を作製した。このときD=1.67であった。
【0113】
〔表示媒体4の作製:本発明〕
表示媒体1の作製において、界面活性剤をジ−n−ブチルナフタレンジスルホン酸ナトリウムに変更した以外は同様にして、表示媒体4を作製した。このときD=1.72であった。
【0114】
〔表示媒体5の作製:比較例〕
表示媒体3の作製において液晶組成物1を、71.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、10.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、4.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、15.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して調製した右旋性の緑色反射性液晶組成物2(Δε:6)に変更した以外は同様にして液晶層塗布液2を作製し、表示媒体5を作製した。このとき液晶層塗布液2のD=0.75であった。
【0115】
〔表示媒体6の作製:本発明〕
表示媒体3の作製において液晶組成物1を、81.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI−4814−000(メルク社製)と、14.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)と、5.0質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の緑色反射性液晶組成物3(Δε:33)に変更した以外は同様にして液晶層塗布液3を作製し、表示媒体6を作製した。このとき液晶層塗布液3のD=1.44であった。
【0116】
《表示媒体の評価》
得られた各表示媒体の両極に、50Hz、250msecの交流電圧を、電圧値を変化させながら印加し、コニカミノルタセンシング社製のスペクトロフォトメーターCM−3700dを用いて、分光反射率(Y値)を測定した。Y値が小さいほど透明である。また、コントラストは「高反射率状態でのY値/低反射率状態でのY値」で与えられる。以下に説明する各実験例における表示媒体において、液晶層がプレナー状態としたときに高反射率状態(着色)となり、フォーカルコニック状態としたときに低反射率状態(透明)となる。
【0117】
以上により得られた結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の構成を満たす表示媒体は、コントラスト比が上がり、光学特性が向上していることが確認できた。
【0120】
実施例2
《液晶層塗布液の調製》
(液晶層塗布液4の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液1の調製において、52.0質量%のネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、22.0質量%のネマチック液晶E44(メルク社製)6.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、6.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、14.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して調製した右旋性の黄色反射性液晶組成物2(Δε:12)に変更した以外は同様にして液晶層塗布液4を作製した。このとき液晶層塗布液4のD=1.12であった。
【0121】
(液晶層塗布液5の作製)
33.0質量%のネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、33.0質量%のネマチック液晶E44(メルク社製)7.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、7.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、20.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の青色反射性液晶組成物6(Δε:12)に変更した以外は同様にして、右旋性の青色光反射性の液晶塗布液5を調製した。
【0122】
(液晶層塗布液6の作製)
上記調製した液晶層塗布液4と液晶層塗布液5とを質量比1:1.3の比率で混合して、液晶層塗布液6を作製した。
【0123】
(液晶層塗布液7の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液2の調製において、74.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、3.5質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、9.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、13.5質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の黄色光反射性の液晶塗布液7(Δε:4)を調製した。
【0124】
(液晶層塗布液8の作製)
66.5質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、7.9質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、8.6質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、17.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の青色反射性液晶組成物8(Δε:4)を調製した。
【0125】
(液晶層塗布液9の作製)
上記調製した液晶層塗布液7と液晶層塗布液8とを質量比1:1.3の比率で混合して、液晶層塗布液9を作製した。
【0126】
(液晶層塗布液10の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液3の調製において、液晶組成物3を、84.5質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI−4814−000(メルク社製)と、10.5質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)と、5.0質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の黄色反射性液晶組成物10(Δε:34)を調整した。
【0127】
(液晶層塗布液11の作製)
87.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI−4814−000(メルク社製)と、6.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)と7.0質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の青色反射性液晶組成物11(Δε:34)を調整した。
【0128】
(液晶層塗布液12の作製)
上記調製した液晶層塗布液10と液晶層塗布液11とを質量比1:1.3の比率で混合して、液晶層塗布液12を作製した。
【0129】
《表示媒体の作製及び評価》
実施例1に記載の表示媒体1〜7の作製において、液晶層塗布液1〜3を、それぞれ上記調製した液晶層塗布液6、9、12に変更した以外は同様にして、表示媒体7〜12を作製し、実施例1と同様の各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の構成を満たす表示媒体は、コントラスト比が上がり、光学特性が向上していることが確認できた。また、液晶層塗布液6、9、12を塗布する代わりに、液晶層塗布液4、5、7、8、10、11をそれぞれ別層に積層して塗布した試料を作製したところ、表2に記載の結果と同様の効果を確認することができた。
【0132】
実施例3
《液晶層塗布液の調製》
(液晶層塗布液15の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液1の調製において、液晶組成物1を、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶BL006(メルク社製)の85.0質量%と、右旋性のカイラル剤CNL−611R(メルク社製)の15.0質量%とから構成される液晶組成物13に変更した以外は同様にして、右旋光性の緑色光反射性の液晶層塗布液13を調製した。
【0133】
次いで、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶BL006(メルク社製)の85.0質量%と、左旋性のカイラル剤CNL−617L(メルク社製)の15.0質量%とから構成される液晶組成物14を調製した。
【0134】
上記調製した液晶層塗布液13、14を質量比で1:1で混合して液晶層塗布液15を調製した。
【0135】
(液晶層塗布液18の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液2の調製において、液晶組成物2を、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)の71.0質量%と、右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)の29.0質量%とから構成される液晶組成物16に変更した以外は同様にして、右旋光性の緑色光反射性の液晶層塗布液16を調製した。
【0136】
次いで、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)の71.0質量%と、左旋性のカイラル剤S811(メルク社製)の29.0質量%とから構成される液晶組成物17を調製した。
【0137】
上記調製した液晶層塗布液16、17を質量比で1:1で混合して液晶層塗布液18を調製した。
【0138】
(液晶層塗布液21の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液3の調製において、液晶組成物3をZLI−4814−000(メルク社製)の93.5質量%と、右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)の6.5質量%とから構成される液晶組成物19に変更した以外は同様にして、右旋光性の緑色光反射性の液晶層塗布液19を調製した。
【0139】
次いでZLI−4814−000(メルク社製)の93.5質量%と、左旋性のカイラル剤S1011(メルク社製)の6.5質量%とから構成される液晶組成物20を調製した。
【0140】
上記調製した液晶層塗布液19、20を質量比で1:1で混合して液晶層塗布液21を調製した。
【0141】
《表示媒体の作製及び評価》
実施例1に記載の表示媒体1〜7の作製において、液晶層塗布液1〜3を、それぞれ上記調製した液晶層塗布液15、18、21に変更した以外は同様にして、実施例1と同様の各評価を行った結果、実施例1の結果と同様に、本発明の構成を満たす表示媒体はコントラスト比が上がり、光学特性が向上していることが確認できた。
【0142】
実施例4
実施例1の液晶組成物1を、特開平5−273576号の段落番号〔0081〕〜〔0082〕に記載の液晶組成物に変更して液晶の相転移電圧を測定し、実施例1と同様の評価を行ったところ、本発明の構成を満たす表示媒体は、相転移電圧の変動比が少なく、コレステリック液晶以外においても本発明の効果が得られることを確認することができた。
【0143】
実施例5
実施例1に記載の銀ペーストをスクリーン印刷する代わりに、平均粒径20nmの銀コロイド粒子を含む溶液を、吐出先端ノズル径15μmの静電インクジェット装置を用いて、実施例1と同様の電極パターンを形成した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に本発明の効果を確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】分散された液晶化合物を含む構成層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図2】単一の構成層に3色の光反射液晶組成物を含む表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図3】2対以上の電極から構成され、液晶化合物を含む構成層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図4】白黒表示用の表示媒体の構成の一例を示す構成図である。
【図5】右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含む白黒表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図6】右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含むカラー表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0145】
A、A′ 基体
1 第1の電極
2 赤色光反射液晶組成物
3 緑色光反射液晶組成物
4 青色光反射液晶組成物
5 液晶層
6 第2の電極(透明電極)
7 フィルター層
8 黒色の遮光層
9、10 透明電極
11 黄色光反射液晶組成物
12 左旋性の液晶組成物
13 右旋性の液晶組成物
14 左旋性の赤色光反射性液晶組成物
15 右旋性の赤色光反射性液晶組成物
16 赤色反射層
17 左旋性の緑色光反射性液晶組成物
18 右旋性の緑色光反射性液晶組成物
19 緑色反射層
20 左旋性の青色光反射性液晶組成物
21 右旋性の青色光反射性液晶組成物
22 青色反射層
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層を有する表示媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会は益々増大している。
【0003】
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また新たに有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に電子情報がドキュメント情報である場合、比較的長時間にわたって閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難い。一般に、発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間にわたって閲覧すると消費電力が嵩む等が知られている。
【0004】
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られている。反射型ディスプレイのうち、液晶組成物を油滴状にしてバインダー中に分散保持させる方式は、高分子分散型液晶または散乱型液晶と呼ばれ、様々な方式が知られている。(例えば、特許文献1〜4参照。)
本発明者は、上記各特許文献に開示されている技術を詳細に検討した結果、確かに液晶の光散乱状態と光透過状態とを利用して像表示は行えるものの、従来技術では、バインダー中に分散された液晶組成物の外部場に応じて変化する液晶の分子配列状態が不均一で安定ではないためにコントラスト比が低く,光学特性に課題があることが判明した。
【特許文献1】特開2003−302625号公報
【特許文献2】特開平7−287214号公報
【特許文献3】特開平9−218421号公報
【特許文献4】特開2000−98326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光学特性、特にコントラスト比を向上させた表示媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
【0007】
(請求項1)
基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層の少なくとも1層を含む構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、それらの吸光度比をDa/Db=Dとしたとき、
D>1.20
を満たすことを特徴とする表示媒体。
【0008】
(請求項2)
前記液晶層の少なくとも1層に下記一般式(I)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸およびその塩からなる界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、RはC1〜8の直鎖又は分岐アルキル基を表す。Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアミンを表す。mは1〜3の整数、nは1〜2の整数を表す。)
(請求項3)
前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が30以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示媒体。
【0011】
(請求項4)
前記液晶組成物が、コレステリック相を有するカイラルネマチック液晶組成物であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示媒体。
【0012】
(請求項5)
前記カイラルネマチック液晶組成物が、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光から選ばれる少なくとも1種の光を選択反射する液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【0013】
(請求項6)
前記カイラルネマチック液晶組成物が、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【0014】
(請求項7)
同一液晶層内に複数種の液晶組成物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0015】
(請求項8)
前記液晶層を複数層有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0016】
(請求項9)
1対の電極間に、液晶層を配置したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0017】
(請求項10)
遮光層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示媒体。
【0018】
(請求項11)
前記遮光層が、1対の電極間に設けられたことを特徴とする請求項10に記載の表示媒体。
【0019】
(請求項12)
1対の電極の少なくとも1方の電極を、ノズル径30μm以下の静電誘導方式のインクジェット法を用いて形成されたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の表示媒体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学特性、特にコントラスト比を向上させた表示媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層を含む少なくとも1層の構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、その吸光度比をDa/Db=Dとした時に、D>1.20を満たす場合に、バインダー中に分散された液晶組成物の液晶分子の配列が均一で安定となり、コントラスト比が高い表示媒体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0023】
すなわち、本発明では、液晶組成物は水性バインダー中に分散されているため界面近傍では液晶分子の極性基がバインダーの極性に影響を受けるため、配向安定性が失われる。バインダーの影響を受けた液晶分子の極性基と疎水性基の配向状態によって、バインダー中においても外部場に応じて変化する液晶の分子配列状態が均一で安定となり、コントラスト比を向上できることを見出した。
【0024】
以下、本発明の表示媒体の詳細について説明する。
【0025】
本発明の表示媒体は、基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層を含む少なくとも1層の構成層から形成されている。構成層としては、分散された液晶組成物を含有する液晶層の他、バインダーのみを含有する中間層や保護層、染料や顔料を含むフィルター層や遮光層、その他の層を含む。
【0026】
〔バインダー〕
本発明の表示媒体のバインダーとしては、親水性バインダーが好ましく用いられる。その例としては、リサーチディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されているバインダー及び特開昭64−13546号公報の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。
【0027】
また、本発明に好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー、合成ポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。親水性でも疎水性でもよいが、本発明においては、液晶組成物と相溶しない範囲で疎水性透明バインダーを使用することもできる。疎水性透明バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。疎水性バインダーの中でも、特に、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステルが好ましく用いられる。
【0028】
これらバインダーは2種以上を併用して用いてもよく、バインダーの塗布量は1m2あたり100g以下が好ましく、特に20g以下にするのが適当である。
【0029】
本発明に係るバインダーは、特に対向電極を用いる場合、液晶層の膜強度を確保する為に重要であり、バインダーと共に膜厚を一定化するため、樹脂柱構造物やスペーサー粒子を用いることも可能であるが、工程の簡略化からそれらは特に使用しないことが好ましい。また、ゼラチンは加熱溶解、塗布、冷却セット、乾燥の各工程で、均一な膜厚を有する構成層が得られる好ましいバインダーであるが、ゼラチンの他の例としては、例えば、ポリビニルアルコール類においてもカラギナンやゲランガム等の増粘多糖類を併用して用いることにより、前記ゼラチン同様の工程をとることが可能であり、この場合も均一な膜厚を有する構成層が得られる。
【0030】
その他、本発明で用いられるバインダーとしては、ポリウレタン樹脂類やポリアクリル樹脂類やシリコーン樹脂類等の水性溶媒分散物、光硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
【0031】
また、バインダーは硬膜処理されていてもよい。バインダーを硬膜処理すると、バインダー中に分散された液晶組成物に対して化学的に相互作用を与えずにバインダーの機械的強度を向上できるため、表示媒体のタフネスをさらに向上できる。
【0032】
バインダーとしてゼラチンを用いる場合、好ましい硬膜剤の例としては、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(例えば、N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(例えば、ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(例えば、特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。これらの硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独又は併用して使用することが好ましい。これらの硬膜剤は、バインダー1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。
【0033】
〔マイクロカプセル〕
本発明の液晶組成物は、マイクロカプセルに内包させた状態で用いることができる。
【0034】
本発明で用いることができるマイクロカプセルの製法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ法等の公知の方法を用いることができる。これらの中でコアセルベーション法による製法は油相である液晶組成物への化学的影響が少なく好ましく用いることができる。
【0035】
バインダーの1つとしてゼラチンを用いる場合、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、寒天、ポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸共重合体、その他界面活性剤との疎水性相互作用によるコアセルベートでき、コアセルベート後は、ホルムアルデヒドや、前記のゼラチン硬膜剤を用いてゼラチン硬化反応を行わせることにより、コアセルベートしたゼラチン複合膜を硬化でき、マイクロカプセル壁の強度を向上させることができる。
【0036】
また界面重合法は、ポリアミン、多価フェノール等と多塩基酸ハライド、ポリイソシアネート等を水相と油相界面で重合してマイクロカプセル壁を形成することができる。
【0037】
また、in−situ重合方法としては、尿素−メラミン等に用いられるアミド樹脂、フェノール樹脂の単独またはその共重合体をホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等で架橋してマイクロカプセルを形成させることができる。
【0038】
マイクロカプセル壁には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン等を共存させることにより、マイクロカプセル壁強度を向上させることができる。
【0039】
本発明に係るマイクロカプセルは、溶液系で調製した後、乾燥して分級することができる。分級の方法としては、スプレードライヤ、ロータリー乾燥機、バンド乾燥機等が挙げられる。
【0040】
次いで、本発明の表示媒体のその他も構成要素について説明する。
【0041】
〔基体〕
本発明で用いることのできる基体としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
【0042】
〔液晶組成物〕
本発明に係る液晶組成物としては、コレステリック相を有するカイラルネマチック液晶組成物であることが好ましい。
【0043】
カイラルネマチック液晶は、コレステリック相を示す液晶の代表的なもので、ネマチック液晶に所定量のカイラル材を添加することによって得られる。このカイラルネマチック液晶は、一般的に、棒状の液晶分子がねじれた配列をなし、コレステリック相を示している。この液晶に光が入射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離である。一方、ヘリカル軸に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は反射することなく透過する(フォーカルコニック状態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われる。
【0044】
メモリー性を有する反射型液晶表示体の動作モードとしては、テクニカルペーパーSID国際シンポジューム要約(SID International Symposium Digestof Technical Paper)第29巻、897頁に開示されている。この動作モードは、カイラルネマチック液晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及びフォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに切り換えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるため、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表示媒体として有用である。
【0045】
上記文献に記載されている反射型の液晶表示媒体は、それぞれ電極を備えた一対の基板間にカイラルネマチック液晶を挟持した構成であり、電極によって基板に対して垂直方向に電界を作用させ、その電界の強度及び/又は印加時間を制御することにより、液晶を所定の状態(プレーナ状態及びフォーカルコニック状態)に変化させる。
【0046】
液晶にそのねじれを解くための閾値電圧以上の電圧を充分な時間印加すると、液晶は全てホメオトロピック状態(液晶分子の長軸方向が基板に対して垂直な状態)になる。この状態は、メモリ性がないために電界を消去すると、液晶はねじれた配列になる。ホメオトロピック状態から、電界を急激に消去した場合はプレーナ状態になり、電界を徐々に消去した場合はフォーカルコニック状態になる。
【0047】
また、フォーカルコニック状態の液晶に、そのねじれを解くための閾値電圧以上のパルス電圧(一部の液晶がホメオトロピック状態になるパルス幅の電圧)を印加した場合、ホメオトロピック状態になった液晶は、パルス電圧の印加終了後にプレーナ状態になる。パルス電圧の幅及び/又は電圧の高さを制御することにより、プレーナ状態となる液晶の割合を調整(中間調を表示)することができる。
【0048】
本実施形態のカイラルネマチック液晶組成物(以下、単に「液晶組成物」ということがある)は誘電率異方性(Δε)が10〜50、好ましくは30以上、屈折率異方性(Δn)が0.13〜0.32、好ましくは0.15〜0.20、粘度(η)が0.02〜0.12Pa・s、好ましくは0.02〜0.1Pa・s、および等方相転移温度(Tc)が50℃〜130℃、好ましくは60〜95℃である。
【0049】
本明細書中、粘度は20℃でRheoStress RS50パラレルプレート20(HAAKE社製)によって測定された値を用いているが、当該装置によって測定されなければならないというわけではない。上記装置と同様の原理によって測定可能な装置であれば、いかなる装置によって測定されてもよい。また、上記範囲内の誘電率異方性とすることによって、バインダー中に分散された液晶組成物の均一な分子配列と低減された駆動電圧を両立することができる。誘電率異方性(Δε)とは一軸対称性を有する液晶系試料における対称軸方向の誘電率から当該対称軸に垂直な方向の誘電率を減じた値(25℃)である。本明細書中、誘電率異方性はLCRメータ4192A(HP社製)を用いて室温で測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。誘電率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。屈折率異方性(Δn)とは一軸対称性を有する液晶系試料における対称軸方向の屈折率から当該対称軸に垂直な方向の屈折率を減じた値(25℃)である。
【0050】
本明細書中、屈折率異方性はアタゴ社製アッベ屈折率計1型を用いて25℃で測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。屈折率異方性を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。等方相転移温度(Tc)とは、液晶系試料を加温していったときに、当該試料の液晶相が等方相に転移するときの温度である。本明細書中、等方相転移温度はコントローラーFP90(METTLER社製)、ホットステージFP82HT(METLLER社製)、及び偏光顕微鏡BX50(オリンパス光学工業社製)から構成された液晶評価装置によって測定された値を用いているが、上記装置によって測定されなければならないわけではない。等方相転移温度を測定できる限り、いかなる装置を用いて測定されてもよい。
【0051】
カイラルネマティック液晶を用いた液晶−高分子複合膜において、ネマティック液晶に添加するカイラルドーパントの量を調整し、カイラルネマティック液晶のヘリカルピッチを、選択反射波長が、例えば、それぞれ青色光、緑色光、赤色光、黄色光となるように調整することにより、プレーナ配列の場合にそれぞれ赤色、緑色、青色、黄色に着色した選択反射状態となり、フォーカル・コニック配列の場合に無色透明の光透過状態となる液晶−高分子複合膜が得られる。この様にして得られた液晶−高分子複合膜を透明電極間に挟持することにより、カラーの液晶表示デバイスが得られる。本発明の表示媒体においては、カイラルネマチック液晶組成物が、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光から選ばれる少なくとも1種の光を選択反射する複数の液晶組成物から構成されていることが好ましい。
【0052】
また、カイラルドーパントの添加量を調整して、カイラルネマティック液晶のヘリカルピッチを、選択反射波長が赤外光となるように調整すると、プレーナ配列で無色透明の光透過状態、フォーカル・コニック配列では等方散乱により白く見える光散乱状態を示す液晶−バインダー複合膜が得られる。こうして得られた液晶−バインダー複合膜を透明電極間に挟持することにより、白色表示デバイスが得られる。
【0053】
なお、ヘリカルピッチp(nm)と選択反射波長λ(nm)との関係は、下式(1)で表される。
【0054】
式(1)
λ=n×p
式中、nは平均屈折率を表し、n2=(n12+n22)1/2である。n1は液晶分子の長軸方向に光を入射した場合の屈折率を表し、n2は液晶分子の長軸方向に対して垂直な方向に光を入射した場合の屈折率を表す。
【0055】
白色表示デバイスあるいは各色のカラー表示デバイスを作製するには、例えば、液晶とバインダーとの混合物を1対の透明電極間に挟持した上で、硬膜剤等で硬化させ液晶とバインダーとを相分離する方法を採用することができる。この際、上記混合物とともにスペーサを透明電極間に挟持させると液晶−バインダー複合膜の厚さの制御が容易となる。
【0056】
ネマティック液晶に添加するカイラルドーパントとして、複数種のカイラルドーパントを混合して使用してもよい。複数種のカイラルドーパントの使用は、液晶の相転移温度を高くしたり、複合膜の透明状態における透明度を向上させたり、特にカラー表示デバイスの透明状態と選択反射状態との表示切り替えを速くしたりするのに有効である。
【0057】
特定色のカラー表示デバイスとして、左旋性のカイラルネマティック液晶を用いた複合膜を有する第1の表示デバイスと、前記左旋性のカイラルネマティック液晶と同じ波長の光を選択反射しかつ右旋性のカイラルネマティック液晶を使用した複合膜を有する第2の表示デバイスとを積層したものを用いることも、本発明の好ましい態様の1つである。こうすることによって反射率を増大させ、さらに良好なカラー表示を行うことができる。特に、緑色に比べて比視感度が低い青色および赤色を強く表示すると全体のカラーバランスが向上するため、青色表示デバイスあるいは赤色表示デバイスにおいてこのような複層構成が有効である。
【0058】
白色表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜に、スメティック液晶を添加してもよい。スメティック液晶を添加することにより、液晶−バインダー複合膜の透明度が向上し、無色透明状態と白色状態との間のコントラストを高めることができる。
【0059】
なお、各色の表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜の膜厚には特に制限はないが、白色表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜の膜厚をカラー表示デバイスに用いる液晶−バインダー複合膜の膜厚よりも大きくしておくことが望ましい。
【0060】
コレステリック相を示す液晶組成物の具体的化合物としては、米国特許5,695,682号に記載の化合物を挙げることができる。
【0061】
その他の本発明に用いられる散乱型液晶組成物として、4−置換安息香酸4′−置換フェニルエステル、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換フェニルエステル、4−置換ビフェニル4′−置換シクロヘキサン、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4″−置換ターフェニル、4−置換4′−置換ビフェニル、4−置換フェニル−4′−置換シクロヘキサン等、さらに特開2001−51260号公報、特開平8−43846号公報、特開平7−4950号公報、特開2000−147476号公報、特開平8−160470号公報、特開平10−54996号公報、特開2002−221709号公報、特開2001−92383号公報、特開2003−131234号公報、特開2004−77754号公報、特開2004−2771号公報等に記載の液晶組成物や、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)、ポリマー分散液晶(PDLC)と称される液晶組成物等を挙げることができる。
【0062】
本発明の表示媒体においては、本発明に係る液晶組成物をバインダー中に分散させた状態で存在させる。例えば、本発明に係る液晶及びカイラル剤を混合した後、この混合物を界面活性剤等を含むゼラチン溶液中に添加し、公知の分散機を用いて分散することにより調製することができる。
【0063】
上記分散に用いられる界面活性剤としては、前記一般式(I)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸類が好ましい。
【0064】
上記アルキルナフタレンスルホン酸類において、芳香環に結合するアルキル基Rの炭素数は1〜8個であるが、3〜5個の炭素数が好ましい。従って、当該ナフタレンスルホン酸類は、具体的には、n−プロピルナフタレンスルホン酸、n−ブチルナフタレンジスルホン酸、イソペンチルナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンジスルホン酸、ジ−t−ブチルナフタレンジスルホン酸、ジ−n−ブチルナフタレンスルホン酸、ジ−n−ペンチルナフタレンスルホン酸、トリ−n−プロピルナフタレンジスルホン酸、トリイソブチルナフタレンジスルホン酸、トリ−t−ペンチルナフタレンスルホン酸、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩などである。
【0065】
分散には、例えば、剪断式攪拌機、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
【0066】
また、バインダーに液晶組成物が分散された液晶層の赤外吸収スペクトルの測定は、赤外分光光度計(HITACHI Spectrophotometer U−320)を用いてKRS−5〔ヨウ化タリウム(TlI)と臭化タリウム(TlBr)〕の混晶体に膜化前の液晶組成物が分散されたバインダー水溶液を塗布、乾燥して行った。
【0067】
次いで、本発明の表示媒体の構成について説明する。
【0068】
〔透明電極〕
本発明の表示媒体は、1対の電極(対向電極とも言う。)間に液晶層を配置し、電場を印加することにより、画像表示を行う。対向電極の少なくとも一部に透明電極を用いることができる。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば、特に制限はなく、例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、酸化錫(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、マグネシウム、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等やこれらの混合物を用いることができる。混合物は、例えば、50nm厚程度のITO層と50nm程度の銀の層とが積層構造になっていてもよい。
【0069】
また、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系、ポリアセチレン系、ポリパラフェニレン系、ポリセレノフェニレン系等高分子化合物、またはその混合物の導電性高分子を透明電極として用いることができる。
【0070】
また、350℃〜800℃で焼成済みのITO微粉末を、溶媒や高分子材料を含む溶液に分散した液を基体に塗布して溶媒を揮発または高分子を硬化させることにより透明電極を作製することも可能である。この場合、塗布後の固化温度は、40℃以上、200℃以下が好ましい。ITOの微粉末は、例えば、塩化錫水溶液と塩化インジウム水溶液を混合し、アンモニア等を添加してpHが9に保ちながら共沈反応を起こさせ、得られた水酸化物の沈殿を分別、洗浄して、500℃で2時間焼成して作製することが可能である。塩化錫と塩化インジウムの混合比率を変更することにより任意の混合割合の微粉末を形成することができる。微粉末の形状は、粒状、針状、板状、フレーク状のいづれであってもよく、針状と粒状等を混合して用いてもよい。
【0071】
また、キシロール中に有機インジウムと有機錫を97:3の質量比で約10%配合された塗布液を基体上に塗布し、100℃以上、150℃以下で、溶媒の揮発及び焼成を行って固化する方法も好ましく用いることができる。
【0072】
上記の塗布液には、電極の機械強度向上を目的として、ブロックドイソシアネートを含むポリウレタン樹脂を形成しうる化合物種やエポキシ樹脂を形成しうる化合物種等の高分子化合物を混合させてもよい。
【0073】
透明電極の表面抵抗値としては、500Ω/□以下が好ましく、特に300Ω/□以下が好ましい。また、膜厚は、0.2μm以上、50μm以下が好ましい。
【0074】
〔電極の製法〕
透明電極、金属電極を形成するには、公知の方法を用いることができる。例えば、基板上にスパッタリング法等でマスク蒸着するか、全面形成した後に、フォトリソグラフィー法でパターニングしてもよい。また、電解メッキや無電解メッキ、印刷法や、インクジェット法によっても電極形成が可能である。
【0075】
インクジェット方式を用いて基板上にモノマー重合能を有する触媒層を含む電極パターンを形成した後に、該触媒により重合されて重合後に導電性高分子層になりうるモノマー成分を付与して、モノマー成分を重合し、さらに、該導電性高分子層の上に銀等の金属メッキを行うことにより金属電極パターンを形成することもでき、フォトレジストやマスクパターンを使用することがないので、工程を大幅に簡略化できる。
【0076】
電極材料を塗布にて形成する場合は、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いることができる。
【0077】
〔静電インクジェット法〕
本発明の表示媒体においては、対向電極の少なくとも1方の電極が、帯電した液体を吐出する内部直径が30μm以下のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記ノズル内に溶液を供給する供給手段と、前記ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを備えた液体吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
【0078】
さらに前記ノズル内の溶液が当該ノズル先端部から凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段を設けた吐出装置を用いて形成されることが好ましい。
【0079】
また、前記凸状メニスカス形成手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を行わせつつ液滴の吐出に際して前記凸状メニスカス形成手段の駆動電圧の印加を行わせる第一の吐出制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい。
【0080】
また、前記凸状メニスカス形成手段の駆動及び吐出電圧印加手段による電圧印加を制御する動作制御手段を備え、この動作制御手段は、前記凸状メニスカス形成手段による溶液の盛り上げ動作と前記吐出電圧の印加とを同期させて行う第二の吐出制御部を有することを特徴とする液体吐出装置を用いること、前記動作制御手段は、前記溶液の盛り上げ動作及び咋出電圧の印加の後に前記ノズル先端部の液面を内側に引き込ませる動作制御を行う液面安定化制御部を有する液体吐出装置を用いることも好ましい形態である。
【0081】
この様な静電インクジェットを用いて電極パターンを作製することにより、オンデマンド製に優れ、廃棄材料が少なく、寸法精度に優れた電極を得ることができ有利である。
【0082】
〔遮光層〕
本発明の表示媒体には遮光層を設けることができる。遮光は、例えば、金属反射板、散乱板、着色塗料を基体中に塗布する、顔料や染料等の着色物を含むバインダー構成層を設ける等のいかなる方法でもよい。本発明においては、この遮光層を一対の対向する電極間に設けることが好ましく、この場合、液晶層に近い隣接層に、例えば、カーボンブラック等を分散させた層を設けることにより、より光吸収効率を上げた良好な黒表示が行える。また、透明電極付き樹脂基板を対向電極に用いる場合は、基板の液晶層とは反対側の表面に着色体を設けることができる。遮光する光の色は、黒表示の場合は黒色、また、液晶の反射色を補填するフィルター色であってもよい。
【0083】
〔表示媒体駆動法〕
本発明の表示媒体においては、上記説明した対向電極の駆動操作が単純マトリックス駆動であることが好ましい。
【0084】
本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。
【0085】
本発明の表示媒体は、アクティブマトリックス駆動を用いてもよい。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、諧調やメモリー機能などのメリットがある。
【0086】
次いで、本発明の表示媒体の具体的な構成例を、図を用いて説明するが、本発明ではこれら例示した構成に限定されるものではない。
【0087】
本発明の表示媒体においては、1対の電極間に、バインダー及びバインダー中に分散された液晶組成物を配置した構成をとることが好ましい。
【0088】
図1は、分散された液晶化合物を含む構成層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0089】
図1のa)は、基体A上に、一対の電極として、第1の電極1と第2の電極6を有しており、このうち下部の観察方向に位置する第2の電極6は透明電極であることが好ましい。
【0090】
対向した位置にある第1の電極1と第2の電極6間には、3層の構成層5を有し、それぞれの構成層には、それぞれ独立して、バインダー中に分散された赤色光反射液晶組成物2、緑色光反射液晶組成物3、青色光反射液晶組成物4を含有している。これらの各色光反射液晶組成物は、ネマティック液晶に添加するカイラルドーパントの量や第1の電極1と第2の電極6間に印加する閾値電圧量を適宜調整することによりカラー表示を行うことができる。また、更に各色光反射液晶組成物の不正吸収を取り除き、最適な色再現を実現するため、図1のb)に示すように、各構成層間に色補正のためのフィルター層を設けることも好ましい。
【0091】
本発明の表示媒体においては、同一構成層内に複数種の液晶組成物を含むことが好ましい態様の1つである。
【0092】
図2は、単一の構成層に3色の光反射液晶組成物を含む表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0093】
図2のa)において、一つの電極である第1の電極1と第2の電極6間に、1層の構成層5を有し、この構成層5中に、バインダー中に分散された赤色光反射液晶組成物2、緑色光反射液晶組成物3、青色光反射液晶組成物4を含む構成である。
【0094】
また、図2のb)は、各色光反射液晶組成物を含む液晶層と第1の電極1間に、構成層として黒色の遮光層8を設けた形態であり、この構成をとることで、より光吸収効率を上げた良好な黒色表示が行える。また、図2のc)では、第1の電極1と基体A′間に黒色の遮光層8を設けた形態である。
【0095】
図3は、2対以上の電極から構成され、液晶化合物を含む液晶層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0096】
図3のa)では、図1のa)の構成に対し、緑色光反射液晶組成物3を含む液晶層5と青色光反射液晶組成物4を含む液晶層5間に新たな電極9を設けた形態の一例であり、図3のb)は、それぞれの構成層を一対の電極で挟んだ構成の表示媒体の一例である。
【0097】
上記説明した図1〜図3で示した表示媒体の構成は、白黒表示も可能であるが、主としてカラー表示用として適用することが好ましい。
【0098】
図4は、白黒表示用の表示媒体の構成の一例を示す構成図である。
【0099】
図4のa)において、一つの電極である第1の電極1と第2の電極6間に、2層の液晶層5を有し、1層中には青色光反射液晶組成物4を含み、他の構成層5中には青色光反射液晶組成物4とは補色の関係にある黄色光反射液晶組成物11を含み、白及び黒を表示させる方法である。また、第1の電極1と液晶層5間に、黒色の遮光層8を設けた形態であり、この構成をとることで、より光吸収効率を上げた良好な黒表示が行える。図4のa)では、青色光反射液晶組成物4と黄色光反射液晶組成物11による黒色表示の一例を示したが、例えば、緑色光反射液晶組成物とマゼンタ色光反射液晶組成物の組み合わせ、あるいは赤色光反射液晶組成物とシアン色光反射液晶組成物の組み合わせであっても良い。
【0100】
図4のb)は、青色光反射液晶組成物4と黄色光反射液晶組成物11とを、単一層中に同時に存在させた形態である。
【0101】
本発明の表示媒体においては、カイラルネマチック液晶組成物が、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含むことが好ましい。
【0102】
図5は、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含む白黒表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0103】
図5のa)は、それぞれ独立した液晶層5中に、左旋性の液晶組成物12、あるいは右旋性の液晶組成物を含む一例であり、図5のb)は、単一液晶層中に左旋性の液晶組成物12及び右旋性の液晶組成物を含む一例であり、いずれも白黒表示用として適用することができる形態の1つである。
【0104】
図6は、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含むカラー表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【0105】
図6のa)では、基体A上に、一対の電極として、第1の電極1と第2の電極6を有し、対向した位置にある第1の電極1と第2の電極6間に、3層の液晶層5を有し、それぞれの構成層には、それぞれ独立して、バインダー中に分散された左旋性の赤色光反射性液晶組成物12と右旋性の赤色光反射性液晶組成物13とを含む赤色反射層14、バインダー中に分散された左旋性の緑色光反射性液晶組成物16と右旋性の緑色光反射性液晶組成物17から構成される緑色反射層18、及びバインダー中に分散された左旋性の青色光反射性液晶組成物19と右旋性の青色光反射性液晶組成物20から構成される青色反射層21から構成される。図6のb)は、バインダー中に分散されたそれぞれの左旋性の液晶組成物と右旋性の液晶組成物とが独立した液晶層中に含有されている一例を示す。
【0106】
〔本発明の表示媒体の適用分野〕
本発明の表示媒体は、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子書籍端末、ドキュメントビュアー、案内板や掲示板等のサイン用途等が挙げられる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
実施例1
〔表示媒体1の作製:比較例〕
(透明電極1の作製)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上に、公知のスパッタンリング法でITO(インジウム錫酸化物)膜を全面に形成した後、フォトリソグラフ法を用いて電極間隔50μm、電極幅2mmピッチの電極パターンを有する透明電極1を作製した。
【0109】
(液晶層塗布液1の作製)
78.7質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶BL006(メルク社製)と、9.2質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、4.2質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)、7.9質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して調製した右旋性の緑色反射性液晶組成物1(Δε:13)を作製した。次にゼラチンをイオン交換水に対して8質量%添加し、室温で攪拌した後、30分放置してゼラチンを十分に膨潤させ、次いで、42℃に温度を上げて、ゼラチンを溶解させた。この溶液に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬製)を10質量%含むイソプロピルアルコールを水に対して12質量%添加した後、右旋性の緑色反射性液晶組成物1を水に対して12質量%添加した。この混合溶液を42℃に保ったまま、櫛歯式分散機にて攪拌し、平均分散粒径が5μmの液晶層塗布液1を得た。この液晶層塗布液1をKRS−5に塗布乾燥させて赤外分光光度計(HITACHI Spectrophotometer U−320)で測定したところ、吸光度比Da/Db=D=1.14であった。
【0110】
(表示媒体の作製)
透明電極1上に、42℃に加温した液晶層塗布液1を35μmの膜厚になるように塗布し、塗布直後に試料を10℃の環境下に放置して液晶層塗布液をゼリー状に固化した後ゼリー状形状を保ったまま水を乾燥させた。該試料の上に同様にして、5質量%のゼラチンを含む水溶液を塗布して水を乾燥させ、さらに、カーボンブラック20質量%を含みかつ5質量%のゼラチンを含む水溶液を塗布して水を乾燥させた。該試料に銀ペーストインク(東洋紡製 DW−250H−5)を用いて、電極間隔50μm、電極幅2mmピッチで、透明電極1の電極パターンと直交する電極パターンをスクリーン印刷法にて形成して表示媒体1を得た。
【0111】
〔表示媒体2の作製:比較例〕
表示媒体1の作製において、界面活性剤をエマール10ニードル(花王社製、ラウリル硫酸ナトリウム)に変更した以外は同様にして、表示媒体2を作製した。このときD=1.10であった。
【0112】
〔表示媒体3の作製:本発明〕
表示媒体1の作製において、界面活性剤をトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムに変更した以外は同様にして、表示媒体3を作製した。このときD=1.67であった。
【0113】
〔表示媒体4の作製:本発明〕
表示媒体1の作製において、界面活性剤をジ−n−ブチルナフタレンジスルホン酸ナトリウムに変更した以外は同様にして、表示媒体4を作製した。このときD=1.72であった。
【0114】
〔表示媒体5の作製:比較例〕
表示媒体3の作製において液晶組成物1を、71.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、10.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、4.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、15.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して調製した右旋性の緑色反射性液晶組成物2(Δε:6)に変更した以外は同様にして液晶層塗布液2を作製し、表示媒体5を作製した。このとき液晶層塗布液2のD=0.75であった。
【0115】
〔表示媒体6の作製:本発明〕
表示媒体3の作製において液晶組成物1を、81.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI−4814−000(メルク社製)と、14.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)と、5.0質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の緑色反射性液晶組成物3(Δε:33)に変更した以外は同様にして液晶層塗布液3を作製し、表示媒体6を作製した。このとき液晶層塗布液3のD=1.44であった。
【0116】
《表示媒体の評価》
得られた各表示媒体の両極に、50Hz、250msecの交流電圧を、電圧値を変化させながら印加し、コニカミノルタセンシング社製のスペクトロフォトメーターCM−3700dを用いて、分光反射率(Y値)を測定した。Y値が小さいほど透明である。また、コントラストは「高反射率状態でのY値/低反射率状態でのY値」で与えられる。以下に説明する各実験例における表示媒体において、液晶層がプレナー状態としたときに高反射率状態(着色)となり、フォーカルコニック状態としたときに低反射率状態(透明)となる。
【0117】
以上により得られた結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の構成を満たす表示媒体は、コントラスト比が上がり、光学特性が向上していることが確認できた。
【0120】
実施例2
《液晶層塗布液の調製》
(液晶層塗布液4の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液1の調製において、52.0質量%のネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、22.0質量%のネマチック液晶E44(メルク社製)6.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、6.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、14.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して調製した右旋性の黄色反射性液晶組成物2(Δε:12)に変更した以外は同様にして液晶層塗布液4を作製した。このとき液晶層塗布液4のD=1.12であった。
【0121】
(液晶層塗布液5の作製)
33.0質量%のネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、33.0質量%のネマチック液晶E44(メルク社製)7.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、7.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、20.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の青色反射性液晶組成物6(Δε:12)に変更した以外は同様にして、右旋性の青色光反射性の液晶塗布液5を調製した。
【0122】
(液晶層塗布液6の作製)
上記調製した液晶層塗布液4と液晶層塗布液5とを質量比1:1.3の比率で混合して、液晶層塗布液6を作製した。
【0123】
(液晶層塗布液7の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液2の調製において、74.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、3.5質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、9.0質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、13.5質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の黄色光反射性の液晶塗布液7(Δε:4)を調製した。
【0124】
(液晶層塗布液8の作製)
66.5質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)と、7.9質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)、8.6質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)、17.0質量%の右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の青色反射性液晶組成物8(Δε:4)を調製した。
【0125】
(液晶層塗布液9の作製)
上記調製した液晶層塗布液7と液晶層塗布液8とを質量比1:1.3の比率で混合して、液晶層塗布液9を作製した。
【0126】
(液晶層塗布液10の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液3の調製において、液晶組成物3を、84.5質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI−4814−000(メルク社製)と、10.5質量%の右旋性のカイラル剤MLC6248(メルク社製)と、5.0質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の黄色反射性液晶組成物10(Δε:34)を調整した。
【0127】
(液晶層塗布液11の作製)
87.0質量%の正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI−4814−000(メルク社製)と、6.0質量%の右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)と7.0質量%の右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)を十分に混合して、右旋性の青色反射性液晶組成物11(Δε:34)を調整した。
【0128】
(液晶層塗布液12の作製)
上記調製した液晶層塗布液10と液晶層塗布液11とを質量比1:1.3の比率で混合して、液晶層塗布液12を作製した。
【0129】
《表示媒体の作製及び評価》
実施例1に記載の表示媒体1〜7の作製において、液晶層塗布液1〜3を、それぞれ上記調製した液晶層塗布液6、9、12に変更した以外は同様にして、表示媒体7〜12を作製し、実施例1と同様の各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
【0130】
【表2】
【0131】
表2に記載の結果より明らかなように、本発明の構成を満たす表示媒体は、コントラスト比が上がり、光学特性が向上していることが確認できた。また、液晶層塗布液6、9、12を塗布する代わりに、液晶層塗布液4、5、7、8、10、11をそれぞれ別層に積層して塗布した試料を作製したところ、表2に記載の結果と同様の効果を確認することができた。
【0132】
実施例3
《液晶層塗布液の調製》
(液晶層塗布液15の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液1の調製において、液晶組成物1を、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶BL006(メルク社製)の85.0質量%と、右旋性のカイラル剤CNL−611R(メルク社製)の15.0質量%とから構成される液晶組成物13に変更した以外は同様にして、右旋光性の緑色光反射性の液晶層塗布液13を調製した。
【0133】
次いで、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶BL006(メルク社製)の85.0質量%と、左旋性のカイラル剤CNL−617L(メルク社製)の15.0質量%とから構成される液晶組成物14を調製した。
【0134】
上記調製した液晶層塗布液13、14を質量比で1:1で混合して液晶層塗布液15を調製した。
【0135】
(液晶層塗布液18の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液2の調製において、液晶組成物2を、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)の71.0質量%と、右旋性のカイラル剤R811(メルク社製)の29.0質量%とから構成される液晶組成物16に変更した以外は同様にして、右旋光性の緑色光反射性の液晶層塗布液16を調製した。
【0136】
次いで、正の誘電率異方性を示すネマチック液晶ZLI1565(メルク社製)の71.0質量%と、左旋性のカイラル剤S811(メルク社製)の29.0質量%とから構成される液晶組成物17を調製した。
【0137】
上記調製した液晶層塗布液16、17を質量比で1:1で混合して液晶層塗布液18を調製した。
【0138】
(液晶層塗布液21の作製)
実施例1に記載の液晶層塗布液3の調製において、液晶組成物3をZLI−4814−000(メルク社製)の93.5質量%と、右旋性のカイラル剤R1011(メルク社製)の6.5質量%とから構成される液晶組成物19に変更した以外は同様にして、右旋光性の緑色光反射性の液晶層塗布液19を調製した。
【0139】
次いでZLI−4814−000(メルク社製)の93.5質量%と、左旋性のカイラル剤S1011(メルク社製)の6.5質量%とから構成される液晶組成物20を調製した。
【0140】
上記調製した液晶層塗布液19、20を質量比で1:1で混合して液晶層塗布液21を調製した。
【0141】
《表示媒体の作製及び評価》
実施例1に記載の表示媒体1〜7の作製において、液晶層塗布液1〜3を、それぞれ上記調製した液晶層塗布液15、18、21に変更した以外は同様にして、実施例1と同様の各評価を行った結果、実施例1の結果と同様に、本発明の構成を満たす表示媒体はコントラスト比が上がり、光学特性が向上していることが確認できた。
【0142】
実施例4
実施例1の液晶組成物1を、特開平5−273576号の段落番号〔0081〕〜〔0082〕に記載の液晶組成物に変更して液晶の相転移電圧を測定し、実施例1と同様の評価を行ったところ、本発明の構成を満たす表示媒体は、相転移電圧の変動比が少なく、コレステリック液晶以外においても本発明の効果が得られることを確認することができた。
【0143】
実施例5
実施例1に記載の銀ペーストをスクリーン印刷する代わりに、平均粒径20nmの銀コロイド粒子を含む溶液を、吐出先端ノズル径15μmの静電インクジェット装置を用いて、実施例1と同様の電極パターンを形成した試料を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に本発明の効果を確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】分散された液晶化合物を含む構成層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図2】単一の構成層に3色の光反射液晶組成物を含む表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図3】2対以上の電極から構成され、液晶化合物を含む構成層を複数有するカラーの表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図4】白黒表示用の表示媒体の構成の一例を示す構成図である。
【図5】右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含む白黒表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【図6】右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物を含むカラー表示媒体の構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0145】
A、A′ 基体
1 第1の電極
2 赤色光反射液晶組成物
3 緑色光反射液晶組成物
4 青色光反射液晶組成物
5 液晶層
6 第2の電極(透明電極)
7 フィルター層
8 黒色の遮光層
9、10 透明電極
11 黄色光反射液晶組成物
12 左旋性の液晶組成物
13 右旋性の液晶組成物
14 左旋性の赤色光反射性液晶組成物
15 右旋性の赤色光反射性液晶組成物
16 赤色反射層
17 左旋性の緑色光反射性液晶組成物
18 右旋性の緑色光反射性液晶組成物
19 緑色反射層
20 左旋性の青色光反射性液晶組成物
21 右旋性の青色光反射性液晶組成物
22 青色反射層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層の少なくとも1層を含む構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、それらの吸光度比をDa/Db=Dとしたとき、
D>1.20
を満たすことを特徴とする表示媒体。
【請求項2】
前記液晶層の少なくとも1層に下記一般式(I)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸およびその塩からなる界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【化1】
(式中、RはC1〜8の直鎖又は分岐アルキル基を表す。Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアミンを表す。mは1〜3の整数、nは1〜2の整数を表す。)
【請求項3】
前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が30以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示媒体。
【請求項4】
前記液晶組成物が、コレステリック相を有するカイラルネマチック液晶組成物であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示媒体。
【請求項5】
前記カイラルネマチック液晶組成物が、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光から選ばれる少なくとも1種の光を選択反射する液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【請求項6】
前記カイラルネマチック液晶組成物が、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【請求項7】
同一液晶層内に複数種の液晶組成物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項8】
前記液晶層を複数層有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項9】
1対の電極間に、液晶層を配置したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項10】
遮光層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項11】
前記遮光層が、1対の電極間に設けられたことを特徴とする請求項10に記載の表示媒体。
【請求項12】
1対の電極の少なくとも1方の電極を、ノズル径30μm以下の静電誘導方式のインクジェット法を用いて形成されたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項1】
基体及びバインダー中に分散された液晶組成物を含有する液晶層の少なくとも1層を含む構成層を有する表示媒体であって、少なくとも1層の液晶層の赤外吸収スペクトルの2200〜2250cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDa、2830〜2900cm-1に現れる最大吸収の吸光度をDb、それらの吸光度比をDa/Db=Dとしたとき、
D>1.20
を満たすことを特徴とする表示媒体。
【請求項2】
前記液晶層の少なくとも1層に下記一般式(I)で表されるアルキルナフタレンスルホン酸およびその塩からなる界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【化1】
(式中、RはC1〜8の直鎖又は分岐アルキル基を表す。Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアミンを表す。mは1〜3の整数、nは1〜2の整数を表す。)
【請求項3】
前記液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が30以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示媒体。
【請求項4】
前記液晶組成物が、コレステリック相を有するカイラルネマチック液晶組成物であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表示媒体。
【請求項5】
前記カイラルネマチック液晶組成物が、青色光、緑色光、赤色光及び黄色光から選ばれる少なくとも1種の光を選択反射する液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【請求項6】
前記カイラルネマチック液晶組成物が、右旋性または左旋性の選択反射を与える液晶組成物であることを特徴とする請求項4に記載の表示媒体。
【請求項7】
同一液晶層内に複数種の液晶組成物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項8】
前記液晶層を複数層有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項9】
1対の電極間に、液晶層を配置したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項10】
遮光層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示媒体。
【請求項11】
前記遮光層が、1対の電極間に設けられたことを特徴とする請求項10に記載の表示媒体。
【請求項12】
1対の電極の少なくとも1方の電極を、ノズル径30μm以下の静電誘導方式のインクジェット法を用いて形成されたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の表示媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2006−98907(P2006−98907A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286773(P2004−286773)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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