説明

表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いた電子シャッター並びに画像表示媒体

【課題】簡素な製造工程で表示材料を確実かつ略均一に封入することができ、高歩留まりで量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法の提供。
【解決手段】第1基板2に複数列の隔壁3を立設する隔壁形成工程と、複数列の隔壁に第2基板4を覆設して第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部5を形成する第2基板覆設工程と、空間部5に表示材料とリブ形成材とを注入する内包部材注入工程と、リブ形成材を硬化させ空間部5を複数のセル5aに分割するリブ形成材硬化工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界の作用で移動する帯電粒子や電流を流すことによって発光する有機EL材料などの表示材料が封入される表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いて光の透過、不透過を切り替えることができる電子シャッター並びに画像を表示することができる画像表示媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偏光板を使用しない明るい液晶光学装置として(高分子/液晶)複合膜あるいは高分子分散型液晶(PDLC)を利用する光学装置が開発され、その光スイッチング機能に基づく光シャッター(調光シャッター装置)やディスプレイ(画像などの情報表示装置)などへの応用が試みられている。
光スイッチング機能を示す(高分子/液晶)複合膜には、電界の無印加時に光散乱状態となり、電界の印加時に透明状態となるように制御するノーマル方式(ノーマルモード)と、電界の無印加時に光透過状態となり、電界の印加時に光散乱状態となるリバース方式(リバースモード)の二種類があり、用途などに応じて使い分けられている。
乗物、建物などの窓やパーティション用の光シャッター(電子シャッター)として使用されるような場合には、設置場所、目的、消費電力、安全性などを考慮して、いずれかの方式が採用される。
特に、リバースモード型の光スイッチング液晶光学装置において所期の電気光学効果を実現するには、電界無印加時での複合膜の透明状態を安定に保持させるために、初期状態で液晶分子の均一な配列を垂直(ホメオトロピック)配向か平行(ホモジニアスあるいはプレーナ)配向で安定に固定化することが必要となり、量産性に欠けると共に、コントラストや応答速度などが低下し易いという問題点があった。
この問題点を解決するために、例えば、(特許文献1)には、「基板表面にシランカップリング剤が吸着しており、液晶の分子長軸が、基板近傍においては基板に対して傾斜して配向しているとともに、複合膜の中央部に進むに従って基板に対して垂直に配向しているような初期配向を有していることを特徴とする液晶表示装置」が開示されている。
また、液晶の代わりに、液体中や気体中に帯電粒子を封入し、電界によって帯電粒子を移動させることにより、帯電粒子の分散状態を変化させ、光の透過と不透過を切り替えたり、画像を表示したりする電気泳動型や粒子移動型等の装置も検討されている。
【0003】
さらに、有機ELディスプレイは、鮮明で明るい画面を広い視野角及び高速応答で表示できることから、様々な用途に使用される次世代ディスプレイとして期待されており、既に携帯電話や車載用ディスプレイとして工業化されている。この有機ELディスプレイの製造においては、ドットマトリクス表示の多数の画素にそれぞれ発光素子を構成しなければならず、発光層となる有機EL素子の薄膜を製造する際には、真空中でマスクを用いてガラス基板上に薄膜を形成するマスク蒸着方式が主流となっている。また、インクジェット方式の印刷技術を利用し、インク(液体)状にした有機EL材料を基板上で薄膜にして素子を作製する技術も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−321562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)のように液晶を用いる方式では、特に液晶自体が高価で装置として高コストになるだけでなく、液晶が光に弱く、耐候性に欠けるため、設置場所が限定され、設置自在性、汎用性に欠けるという課題があった。
(2)電気泳動型の装置は、一般的に、溶媒と共に帯電粒子を封入したマイクロカプセルを整列させて製造するが、表示のコントラストを向上させるためにはマイクロカプセルの粒子径をできるだけ均一にそろえなければならず、現状は主に篩い分けによる分級が行われており、製造効率が悪く、また破損したマイクロカプセルの除去が困難で、量産性に欠けるという課題があった。
(3)また、一方の基板にフォトリソグラフィやスクリーン印刷等で碁盤目状や蜂巣状に隔壁を形成し、各々のセルに帯電粒子分散液を充填した後、他方の基板を貼り合わせる電気泳動型の画像表示媒体の製造方法では、隔壁と他方の基板との間を確実に接着することが困難であり、隔壁と基板との間に帯電粒子が侵入し易く、基板を屈曲させることができず、形状自在性、設置自在性に欠けるという課題があった。さらに、カラーの画像表示媒体を製造する場合、多色の帯電粒子を制御電極に対して正確に塗り分けることが困難で、量産性、画像の高品質性に欠けるという課題があった。
(4)有機ELディスプレイの製造におけるマスク蒸着方式による薄膜形成では、真空のチャンバー内で、原料化合物を加熱し蒸発させるため、マスクのズレが生じるなどの理由で、大型画面においては均一に成膜することが難しく、大型有機ELディスプレイ製造上の課題となっている。
インクジェット印刷方式では、ノズルから有機EL材料をガラス基板上の隔壁内に噴出して塗布する際に、有機EL材料の一部がガラス基板から跳ね返って周りに飛散し、跳ね返った有機EL材料が周りの他の色の有機EL材料に混入してしまい、有機EL材料が混色するという課題があった。また、ノズルを、有機EL材料を噴出すべき、隔壁内の各噴出位置に合わせるようにXY方向の二方向に高精度に制御する必要があり、さらに、各噴出位置に合わせた時点で有機EL材料を噴出させるという有機EL材料噴出のオンオフタイミングも高精度に制御する必要があり、有機EL材料を塗布する際の制御が非常に煩雑であるという課題があった。
よって、これらの方式に代わる新たな製造方法の開発が強く要望されている。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、簡素な製造工程で帯電粒子や有機EL材料などの表示材料を確実かつ略均一に封入することができ、高歩留まりで量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法の提供、帯電粒子が略均一に封入され、電子シャッターやディスプレイ等に好適に用いることができる品質の均一性に優れた表示材料封入パネルの提供及び必要に応じて電圧を印加したり、電荷を注入したりして、帯電粒子を移動させることができ、光の透過、不透過を短時間で切り替えることができる応答性に優れた電子シャッター並びに所望の画像を簡便に表示することができ、特にカラー画像の高品質性に優れた画像表示媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いた電子シャッター並びに画像表示媒体は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の表示材料封入パネルの製造方法は、第1基板と第2基板の間に形成された複数のセル内に表示材料が封入される表示材料封入パネルの製造方法であって、前記第1基板に複数列の隔壁を立設する隔壁形成工程と、前記複数列の隔壁に前記第2基板を覆設して前記第1基板と2列の隣接する前記隔壁と前記第2基板で囲まれた複数列の空間部を形成する第2基板覆設工程と、前記空間部に前記表示材料とリブ形成材とを注入する内包部材注入工程と、前記リブ形成材を硬化させ前記空間部を前記複数のセルに分割するリブ形成材硬化工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)第1基板に複数列の隔壁を立設する隔壁形成工程と、複数列の隔壁に第2基板を覆設して第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部を形成する第2基板覆設工程を有するので、隔壁の上面と第2基板を斑無く確実に接合して、隣接する空間部を隔壁で確実に仕切ることができ、空間部同士が連通することがなく、表示材料の密閉性、耐久性に優れる。
(2)空間部に表示材料とリブ形成材とを注入する内包部材注入工程と、リブ形成材を硬化させ空間部を複数のセルに分割するリブ形成材硬化工程を有することにより、列単位でまとめて表示材料とリブ形成材を注入した後、リブ形成材を硬化させて空間部の中を複数のセルに分割することができるので、縦横に配置された複数のセル内に短時間で確実に表示材料を封入することができ、量産性に優れる。
(3)第2基板覆設工程において、第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部を形成することにより、各々の空間部に列単位で表示材料を注入することができるので、表示材料として異なる色に着色された帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料を列単位で確実に充填し、複数列の空間部を列単位で多色に塗り分けることができ、縦横に配置された複数のセル内に個別に帯電粒子分散液を充填したり、有機EL材料を基板上に真空蒸着或いは噴射して薄膜を形成したりする場合に比べ、量産性に優れる。
【0008】
ここで、第1基板、第2基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート,ポリエーテルスルフォン等の透明な合成樹脂、ガラス等でフィルム状やシート状に形成されたものが好適に用いられる。屈曲や湾曲が自在な厚みに形成された透明な合成樹脂で第1基板、第2基板が形成されている場合は、フレキシブルな表示材料封入パネルを得ることができ、設置自在性、形状自在性に優れる。
隔壁は、フォトリソグラフィやスクリーン印刷等で形成することができる。また、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などで形成することもできる。
隔壁と第2基板は、接着や溶着などで接合される。
内包部材注入工程は、空間部の端部にマイクロチューブを挿入し、マイクロポンプなどを用いて、用途に応じて帯電粒子分散液や液体状の有機EL材料などの各種表示材料とリブ形成材を供給することによって行うことができる。必要に応じて脱気工程を行ってもよい。
【0009】
帯電粒子分散液は、分散媒(溶媒)の中に多数の帯電粒子を分散させたものである。
帯電粒子は、正又は負に帯電して電界によって移動する粒子であって、白色や黒色等のほか、用途に応じて、所望の色に着色された着色粒子を用いることができる。具体的には、酸化チタン微粒子,アルミナ微粒子等の白色の粒子、トナー粒子等の黒色その他の単色の粒子或いはブリジストン製の電子粉流体と呼ばれる白色、黒色、灰色等の単色の粒子などを用いることができる。
分散媒(溶媒)としては、脂肪族炭化水素,イソパラフィン,シリコンオイル等の絶縁性流体が好適に用いられる。尚、帯電粒子の種類によっては、分散媒(溶媒)に帯電粒子を分散させた状態で空間部に注入し、セルを形成した後、分散媒(溶媒)を揮発させて、セルの空間中に帯電粒子を分散させた状態で使用することもできる。
【0010】
リブ形成材は、注入後に硬化させることができるものであればよいが、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などが好適に用いられる。
第1基板や第2基板には必要に応じて電極を形成する。電極としては、ITO、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、共役系の導電性ポリアニリンやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸からなる導電性高分子(PEDOT/PSS)等の透明電極が好適に用いられる。
第1基板や第2基板に形成する電極のパターンは、表示材料封入パネルの用途に応じて、適宜、選択することができる。
表示材料として帯電粒子分散液を封入した表示材料封入パネルを電子シャッターに用いる場合、単に全面で光の透過と不透過を切り替えるだけであれば、第1基板及び第2基板の全面にそれぞれ電極を形成し、その間に電圧を印加すればよい。
第1基板又は第2基板のいずれか一方にセル単位に分割した電極を形成したものや、第1基板に行単位に分割した電極を形成し、第2基板に列単位に分割した電極を形成したものであれば、選択的(部分的)に光の透過と不透過を切り替えることができる電子シャッター或いは所望の画像を表示する画像表示媒体に用いることができる。
【0011】
液体状の有機EL材料は、高分子材料で発光材料を溶媒に分散及び溶解させたものが好適に用いられる。従来と同様に、TFT(薄膜トランジスタ)などのアクティブ素子を各画素に配置して駆動する(アクティブ・マトリクス駆動)か、直交させたストライプ電極にタイミングを合わせて電流を流すことでその交点の各画素を順次駆動する(パッシブ・マトリクス駆動)かのどちらかの駆動方式を用いることにより、有機EL材料が封入された表示材料封入パネルを有機ELディスプレイとして使用することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記内包部材注入工程において、前記空間部に前記表示材料を注入する表示材料注入工程と、前記空間部に前記リブ形成材を注入するリブ形成材注入工程と、を交互に行う構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内包部材注入工程において、空間部に表示材料を注入する表示材料注入工程と、空間部にリブ形成材を注入するリブ形成材注入工程と、を交互に行うことにより、空間部に所望の間隔でリブ形成材を配置することができるので、空間部に複数のリブを略等間隔で形成することも可能であり、表示材料として帯電粒子分散液や有機EL材料を略均一に封入することができ、電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイなどに用いた際のコントラストや濃度の斑を低減でき、品質の均一性に優れる。
ここで、表示材料注入工程とリブ形成材注入工程を交互に行うには、例えば、主管と枝管を有するマイクロチューブを用い、主管及び枝管のそれぞれにマイクロポンプ等を接続し、一方から表示材料、他方からリブ形成材を供給すればよい。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記第2基板覆設工程が、前記隔壁形成工程で前記第1基板に立設された前記隔壁の上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記第1基板の前記隔壁の一端側から他端側に前記第2基板を覆設しながら前記第1基板と前記第2基板を前記隔壁の長手方向に搬送して接着する搬送接着工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)第2基板覆設工程が、隔壁形成工程で第1基板に立設された隔壁の上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、第1基板の隔壁の一端側から他端側に第2基板を覆設しながら第1基板と第2基板を隔壁の長手方向に搬送して接着する搬送接着工程を有することにより、長尺状の第1基板と第2基板を連続的に搬送しながら接着することができ、量産性に優れる。
ここで、接着剤塗布工程で塗布する接着剤は、適宜、選択することができるがUV硬化型の接着剤が好適に用いられる。第1基板の隔壁に第2基板を覆設した後、UV照射によって簡便かつ確実に接着できるためである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記第2基板覆設工程で形成される前記空間部が蛇行した一続きの流路となるように、前記隔壁形成工程において、前記隔壁の両端部を交互に接続する隔壁接続部を形設する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)第2基板覆設工程で形成される空間部が蛇行した一続きの流路となるように、隔壁形成工程において、隔壁の両端部を交互に接続する隔壁接続部を形設することにより、内包部材注入工程において、空間部の一端から空間部の全長に対して表示材料やリブ形成材を注入することができ、表示材料やリブ形成材を供給するためのマイクロチューブなどを複数列の空間部に繋ぎ直す必要がなく、作業性、量産性に優れる。
【0015】
ここで、隔壁接続部は、隔壁形成工程において隔壁と共に形設することができる。隔壁接続部の形状は、適宜、選択することができるが、蛇行した一続きの流路の幅が均一になるように円弧状に形成することが好ましい。表示材料やリブ形成材をスムーズに注入することができ、充填斑などの不良が発生することを防止できるためである。
尚、第1基板及び第2基板の内の隔壁接続部が形設された範囲は、部材注入工程後にリブ形成材硬化工程でリブ形成材を硬化させてから切断するなどして除去することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記内包部材注入工程で前記表示材料と前記リブ形成材とを注入するためのマイクロチューブの先端部を前記空間部に挿通するマイクロチューブ挿通工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)内包部材注入工程で表示材料とリブ形成材とを注入するためのマイクロチューブの先端部を空間部に挿通するマイクロチューブ挿通工程を備えるので、マイクロチューブの先端部の上下を第1基板と第2基板で挟み、左右を隣接する隔壁で挟んで、空間部に位置決めした状態で保持することができ、内包部材注入工程において空間部に簡便かつ確実に表示材料とリブ形成材を注入することができ、表示材料やリブ形成材の注入の確実性に優れる。特に、長尺状の第1基板と第2基板を使用する場合、最初にマイクロチューブ挿通工程でマイクロチューブの先端部を空間部に挿通した後は、第1基板と第2基板を少しずつスライド(搬送)させながら、内包部材注入工程を行うことにより、位置決め作業を行うことなく、連続して安定的に表示材料とリブ形成材を注入することができ、連続作業性、量産性、品質の均一性に優れる。
【0017】
ここで、マイクロチューブの直径は、第1基板と第2基板の間隔及び隣接する隔壁の間隔と同程度のものが好適に用いられる。マイクロチューブを空間部に固定して位置ずれを防止できるためである。マイクロチューブはニッケルの電気鋳造で微細径に形成することができ、表示材料封入パネルを画像表示媒体、有機ELディスプレイなどとして使用する際の画素を高精細化することができ、高品質性に優れる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記表示材料が、帯電粒子分散液又は液体状の有機EL材料である構成を有している。
この構成により、請求項5の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示材料が、帯電粒子分散液又は液体状の有機EL材料であることにより、各々のセルに均一に帯電粒子や有機EL材料を分散或いは封入することができ、高品質で大型の電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイなどを製造することができる。
【0019】
ここで、表示材料が、帯電粒子分散液の場合、例えば白色と黒色等の異なる色に着色された2種類の着色粒子により単色表示を行うことができ、表示材料封入パネルを電子シャッターやモノカラーの画像表示媒体として使用することができる。また、加法混色法における三原色(R,G,B)を持つカラーフィルタや減法混色法における三原色(Y,M,C)を持つ反射層と組合せてフルカラー表示を行うことができる。さらに、空間部を列単位で複数の領域に分割し、領域毎に異なる色を表示するようにしてもよい。
表示材料が、有機EL材料の場合、白色、青色、黄色などの発光色を有する有機EL材料により、モノカラーやエリアカラーの有機ELディスプレイとして使用することができる。尚、青色(B)の発光色を有する有機EL材料のみを用い、その発光の一部を色変換層によって赤色(R)と緑色(G)に変換し、フルカラー表示を行うことや、白色の発光色を有する有機EL材料のみを用い、三原色(R,G,B)のカラーフィルタと組合せてフルカラー表示を行うこともできる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記帯電粒子分散液中の帯電粒子の色又は前記有機EL材料の発光色が、前記空間部の列単位で異なる構成を有している。
この構成により、請求項6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)帯電粒子分散液中の帯電粒子の色又は有機EL材料の発光色が、空間部の列単位で異なることにより、画像表示媒体や有機ELディスプレイとして複数の色を表示することができ、汎用性、画像の視認性、高品質性に優れる。
【0021】
ここで、帯電粒子分散液中の帯電粒子の色や有機EL材料の発光色は、適宜、選択して組合せることができる。表示材料封入パネルを画像表示媒体に用いる場合には、白色等の背景色を表示する着色粒子以外を減法混色法における三原色(Y,M,C)等の表示原色に着色してフルカラー表示を行うことができる。
表示材料封入パネルをフルカラー表示の有機ELディスプレイとして使用する場合、加法混色法における三原色(R,G,B)の各発光色を有する有機EL材料をそれぞれ列単位で封入すればよい。尚、色の純度を向上させるため、カラーフィルタを併用してもよい。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記帯電粒子分散液又は前記有機EL材料が、複数列の前記空間部に前記帯電粒子の色単位又は前記有機EL材料の発光色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように封入されている構成を有している。
この構成により、請求項7の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)帯電粒子分散液又は有機EL材料が、複数列の空間部に帯電粒子の色単位又は有機EL材料の発光色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように封入されていることにより、各色の合成による表示色の制御を容易にし、色ずれを防止することができ、画像表示媒体や有機ELディスプレイとしての色の再現性、画像の高品質性に優れる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記帯電粒子分散液又は前記有機EL材料を注入するための複数の前記マイクロチューブが、注入する前記帯電粒子の色単位又は前記有機EL材料の発光色単位で連結されている構成を有している。
この構成により、請求項7又は8の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)帯電粒子分散液又は有機EL材料を注入するための複数のマイクロチューブが、注入する帯電粒子の色単位又は有機EL材料の発光色単位で連結されていることにより、同じ色の帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液又は同じ発光色の有機EL材料を複数列の空間部にまとめて一度に注入することができ、量産性に優れる。
ここで、例えば、帯電粒子の色や有機EL材料の発光色が3種類の場合、先端部が各列の空間部に挿入されるマイクロチューブの後端側を3列置きにヘッダ管で連結すれば、3本のヘッダ管から3種類の異なる帯電粒子分散液又は有機EL材料を各々の空間部に色単位で簡便に注入することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルの製造方法であって、前記帯電粒子分散液の溶媒を揮発させる溶媒揮発工程を備えている構成を有している。
この構成により、請求項6乃至9の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)帯電粒子分散液の溶媒を揮発させる溶媒揮発工程を有するので、セルの空間中に帯電粒子を分散させることができ、帯電粒子としてブリジストン製の電子粉流体等を使用することができ、帯電粒子の選択範囲が広く、汎用性に優れる。
ここで、帯電粒子分散液の溶媒(分散媒)としては、メチルアルコール、エチルアルコール、ペンタンやヘキサン等のアルカン類、エーテル類等の揮発性の液体が好適に用いられる。帯電粒子分散液は空間部を減圧して注入してもよい。
【0025】
本発明の請求項11に記載の表示材料封入パネルは、第1基板と第2基板の間に形成された複数のセル内に表示材料が封入される表示材料封入パネルであって、第1基板と、前記第1基板に立設された複数列の隔壁と、前記複数列の隔壁に覆設された第2基板と、前記第1基板と2列の隣接する前記隔壁と前記第2基板で囲まれた複数列の空間部に前記表示材料と共に注入され又は前記表示材料と交互に注入されたリブ形成材が注入後に硬化されて形設された複数のリブと、前記隔壁と前記リブで分割され内部に前記表示材料が封入された前記複数のセルと、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部に注入された表示材料と、空間部に表示材料と共に注入され又は表示材料と交互に注入されたリブ形成材を注入後に硬化させて形設した複数のリブを有するので、隔壁とリブによって仕切られて縦横に配置された複数のセル内に表示材料を確実に封入することができ、電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイに好適に用いることができる。
(2)第1基板上に隔壁を立設した後、表示材料封入パネルやリブ形成材を注入する前に隔壁上に第2基板を覆設し、熱硬化型のエポキシ系接着剤やシール材などを用いて接着したり、熱処理工程によって隔壁を一旦軟化させた後に硬化させて接合したりすることにより、第1基板及び第2基板と隔壁とが隙間なく確実に密着し、隣接する空間部の間が隔壁で確実に仕切られるので、表示材料を注入した際に、表示材料が隔壁と第2基板との隙間に侵入することがなく、パネルを屈曲させたり、湾曲させたりすることができ、形状自在性、設置自在性に優れると共に、表示材料が隣接する空間部に侵入することがなく、表示材料の分散安定性、量産性に優れ、特に、表示材料として異なる色に着色された帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料を列単位で充填した場合に、色の異なる帯電粒子や発光色の異なる有機EL材料が混ざり合うことがなく、複数列の空間部を列単位で確実に多色に塗り分けることができ、画像表示媒体や有機ELディスプレイに用いても、にじみや混色が発生せず、高品質性に優れる。
ここで、第1基板、第2基板、隔壁、リブ、帯電粒子分散液、有機EL材料については、請求項1で説明した通りであるので、説明を省略する。
【0026】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の表示材料封入パネルであって、前記リブが、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂で形成された構成を有している。
この構成により、請求項11の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)リブが、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂で形成されていることにより、先に隔壁と第2基板を確実に接合した後から、空間部に表示材料やリブ形成材を供給し、リブ形成材のみを硬化させてリブを形成して、複数のセルに区画することができるので、隣接する空間部が連通することがなく、接合の信頼性、耐久性に優れる。
ここで、熱硬化性樹脂としては、ポリイソシアネート系,エポキシ系,アクリル系,シリコーン系,ポリウレタン系,尿素系,フェノール系,ホルムアルデヒド系,エポキシ−ポリアミド系,メラミン系,アルキド系樹脂等を用いることができる。
また、光硬化性樹脂としては、紫外線で硬化するものでも可視光で硬化するものでもよく、エポキシ系,オキセタン系,ビニルエーテル系,アクリルレート系,不飽和ポリエステル系樹脂等を用いることができる。
【0027】
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の表示材料封入パネルであって、前記表示材料が、帯電粒子分散液である構成を有している。
この構成により、請求項11又は12の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示材料が帯電粒子分散液であることにより、電界によって帯電粒子を移動させ、光の透過と不透過を切り替えたり、所望の画像を表示させたりして、電子シャッターや画像表示媒体として使用することができる。
ここで、帯電粒子分散液については、請求項1で説明した通りであるので、説明を省略する。
【0028】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の表示材料封入パネルであって、前記帯電粒子分散液の溶媒が揮発して帯電粒子のみが内包された構成を有している。
この構成により、請求項13の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)帯電粒子分散液の溶媒が揮発して帯電粒子のみが内包されていることにより、セルの空間中に帯電粒子のみを分散させることができ、使用中に分散液が漏洩することがなく、安全性、長寿命性に優れる。
ここで、帯電粒子分散液の溶媒(分散媒)については、請求項10で説明した通りであるので、説明を省略する。
【0029】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の表示材料封入パネルであって、前記隔壁が、導電性を有する構成を有している。
この構成により、請求項13又は14の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)隔壁が導電性を有することにより、隔壁を電極として利用することができ、第1基板や第2基板の全面に透明電極を形成したり、行単位、列単位、画素(セル)単位などに分割した電極を形成したりする必要がなく、量産性に優れる。
ここで、隔壁の材質としては、銀や導電性カーボン等を分散させた導電性樹脂が好適に用いられる。隔壁を電極として利用することにより、複数列の空間部に対して列単位で電圧を印加して、電圧が印加された隔壁の表面に、隔壁に印加された電圧と逆極性に帯電した帯電粒子を集め、光の透過、不透過を簡便に切り替えることができ、表示材料封入パネルを電子シャッターとして用いる場合の制御性に優れる。
【0030】
本発明の請求項16に記載の電子シャッターは、請求項11乃至14の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルを用いた電子シャッターであって、前記第1基板に形成された第1電極と、前記第2基板に形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)第1基板に形成された第1電極と、第2基板に形成された第2電極と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部を有するので、電圧を印加していない時は、帯電粒子を分散させて、光が透過できる状態とし、必要に応じて電圧印加部で電圧を印加することによって、第1電極又は第2電極の表面に、逆極性に帯電した帯電粒子を集めて光を遮断し、光が不透過な状態としてプライバシーや秘密などを保護することができ、安全性、使用性に優れる。
【0031】
ここで、第1電極及び第2電極は、請求項1で説明した透明電極であり、それぞれ第1基板及び第2基板の空間部側の表面に形成される。第1電極及び第2電極を第1基板及び第2基板の全面に形成することにより、電子シャッター全体の光の透過、不透過を切り替えることができる。尚、第1電極や第2電極を行単位、列単位、セル(画素)単位などの単位毎に選択的に電圧を印加できる構成にした場合、選択的(部分的)に光の透過と不透過を切り替えることができ、縞模様、各種図形、記号、文字などを光の透過の有無で表示することができる。
表示材料封入パネルを電子シャッターに用いる場合には、帯電粒子の色が光の不透過部分の色となる。白色、黒色、灰色等に着色された単色の帯電粒子が好適に用いられるが、その他の色に着色された帯電粒子を用いてもよい。また、空間部の列単位で異なる色に着色された帯電粒子を用いた場合、不透過時に縞模様を表示させることができる。
【0032】
本発明の請求項17に記載の電子シャッターは、請求項15に記載の表示材料封入パネルを用いた電子シャッターであって、前記複数列の隔壁の内の奇数列目の隔壁の一端部と電気的に接続された第1電気接続部と、前記複数列の隔壁の内の偶数列目の隔壁の他端部と電気的に接続された第2電気接続部と、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部との間に電圧を印加する電圧印加部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)複数列の隔壁の内の奇数列目の隔壁の一端部と電気的に接続された第1電気接続部と、複数列の隔壁の内の複数列目の隔壁の他端部と電気的に接続された第2電気接続部と、第1電気接続部と第2電気接続部との間に電圧を印加する電圧印加部と、を有するので、奇数列目の隔壁と偶数列目の隔壁との間にまとめて電圧を印加することができ、電圧印加部で電圧を印加した時には、奇数列目又は偶数列目の隔壁の表面に、逆極性に帯電した帯電粒子を集めて光を透過させることができ、電圧を印加しない時には、帯電粒子を分散させて光を遮断し、光が不透過な状態としてプライバシーや秘密などを保護することができ、安全性、省エネルギー性に優れる。
【0033】
ここで、第1電気接続部及び第2電気接続部は、第1基板又は第2基板の空間部側の表面に形成される。尚、第1電気接続部及び第2電気接続部は、請求項1で説明した透明電極と同様の材質で形成してもよいし、銅等の不透明な金属で形成してもよい。
【0034】
本発明の請求項18に記載の画像表示媒体は、請求項13又は14に記載の表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体であって、前記第1基板又は前記第2基板の少なくともいずれか一方に形成された帯電制御用電極を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)第1基板又は第2基板の少なくともいずれか一方に形成された帯電制御用電極を有するので、電子やイオンを照射して電荷を注入(付与)したり、電圧を印加したりして、第1基板と第2基板との間に電界を形成し、帯電粒子を選択的に移動させて、高コントラストで、斑のない画像を表示させることができ、画像の高品質性、視認性に優れる。
【0035】
ここで、帯電制御用電極のパターンや配置は、画像表示媒体と組み合わせて使用する画像書込手段(印字ヘッド)や電圧印加手段の種類、或いは表示する画像の種類などに応じて、適宜、選択することができる。
この画像表示媒体に静電潜像を形成する画像書込手段(印字ヘッド)で画像を形成する場合、画像書込手段(印字ヘッド)は電子又はイオンを発生させることができるものであればよく、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させるもの等を用いることができる。中でも、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させる画像書込手段であって、特許第3725092号に示すような、電圧が印加された放電電極への選択的加熱で放電を行わせる加熱放電方式の印字ヘッドが好適に用いられる。
【0036】
印字ヘッドなどによって、電子やイオンの照射位置を位置決め、選択できる場合は、第1基板又は第2基板のいずれか一方の全面に共通なベタ状の帯電制御用電極を形成すればよい。帯電制御用電極を接地若しくは電圧印加をした状態で反対側から電子やイオンの照射を行うことができるためである。
第1基板又は第2基板のいずれか一方に行単位或いは列単位で選択して接地や電圧印加が可能な帯電制御用電極を形成した場合、印字ヘッドでは列方向或いは行方向の位置を選択するだけで、両者が交差する位置に電子やイオンを照射させることができる。また、第1基板又は第2基板のいずれか一方に各画素の表示要素毎に選択して接地や電圧印加ができるようにマトリックス状などに帯電制御用電極を形成した場合、印字ヘッド側で選択的な駆動を行わなくても、選択された帯電制御用電極に対向する位置から電子やイオンを照射させることができる。尚、印字ヘッド側で画素単位の選択的な駆動が可能な場合は、帯電制御用電極の選択は、行単位、列単位、画素単位のいずれでもよい。
さらに、第1基板及び第2基板の空間部側の表面にそれぞれ短冊状に分割して帯電制御用電極を形成し、互いに直交するように配置した場合、第1基板又は第2基板のいずれか一方に形成した帯電制御用電極への選択的な接地又は電圧印加を行い、他方の帯電制御用電極へ印字ヘッドから選択的に電子やイオンを照射して電荷を注入することにより、両面の帯電制御用電極が交差する位置に画像を表示させることができる。
【0037】
画像書込手段(印字ヘッド)によらず、電圧印加によって画像を形成する場合には、表示する画像の種類に応じて、第1基板と第2基板との間に選択的に電圧を印加できるように、第1基板及び第2基板にそれぞれ所定のパターンで帯電制御用電極を形成すればよい。
表示する画像が、予め決められた文字や数字などの場合は、第1基板及び第2基板に形成する帯電制御用電極のいずれか一方を文字や数字を構成するセグメント単位に分割して形成し、他方は画像表示領域に共通の平板電極とすればよい。
また、任意の画像を表示させる場合には、第1基板及び第2基板に形成する帯電制御用電極の一方を行単位、他方を列単位で選択可能に形成してもよいし、一方を全面に共通な平板電極とし、他方を画素単位で選択可能なマトリックス状に形成してもよい
【0038】
例えば帯電粒子として、白色と複数の表示原色の内のいずれか一色に着色された2種類の着色粒子を組合せて封入することにより、複数の表示原色を選択的に表示することができる。一緒に封入される2種類の着色粒子の内の少なくとも一方が正又は負の電荷を帯びた帯電粒子であれば、白色と黒色又は表示原色を選択的に表示することができる。2種類の着色粒子の内のいずれか一方のみを電荷を帯びた帯電粒子とする場合、他方を帯電粒子よりも粒径の小さな微粒子として分散させることにより、帯電粒子の移動を妨げることがなく、白色と黒色又は表示原色を選択的に表示することができる。2種類の着色粒子の一方が正電荷を帯び、他方が負電荷を帯びた帯電粒子である場合、それぞれの着色粒子を電荷によって確実に移動させることができ動作安定性に優れる。
尚、この画像表示媒体は、紙代わりの媒体として持ち運んだりして使用する以外に、画像形成装置に固定して広告などを表示する看板等の表示媒体として使用することもできる。
【0039】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の画像表示媒体であって、前記表示材料封入パネルの各画素に対応して薄膜トランジスタ又は薄膜ダイオードが搭載された構成を有している。
この構成により、請求項18の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)表示材料封入パネルの各画素に対応して薄膜トランジスタ又は薄膜ダイオードが搭載されることにより、高精細な画像を大画面で表示することができ、画像の高品質性に優れ、カラー画像(特にフルカラー)の表示に好適に用いることができる。
ここで、薄膜トランジスタや薄膜ダイオードは従来公知のものを使用することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、本発明の表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いた電子シャッター並びに画像表示媒体によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)第1基板及び第2基板と隔壁との間を隙間なく確実に密着させて、隔壁で仕切られた複数列の空間部を形成することができ、隣接する空間部同士が連通することがなく、量産性、表示材料の密閉性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0041】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)空間部に複数のリブを略等間隔で形成し、表示材料として帯電粒子分散液や有機EL材料を略均一に封入することができ、電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイなどに用いた際のコントラストや濃度の斑を低減できる品質の均一性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0042】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)長尺状の第1基板と第2基板を連続的に搬送しながら接着することができる量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0043】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)空間部が蛇行した一続きの流路として形成されることにより、一度の作業で空間部の一端から空間部の全長に対して表示材料やリブ形成材を注入することができ、表示材料やリブ形成材を供給するためのマイクロチューブなどを複数列の空間部に繋ぎ直す必要がなく、作業性、量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0044】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)マイクロチューブの先端部を空間部に位置決めした状態で保持することができ、内包部材注入工程において空間部に簡便かつ確実に表示材料とリブ形成材を注入することができる表示材料やリブ形成材の注入の確実性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0045】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)各々のセルに均一に帯電粒子や有機EL材料を分散或いは封入することができ、大型の電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイなどとして使用することができる高品質性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0046】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)画像表示媒体や有機ELディスプレイとして複数の色を表示することができる汎用性、画像の視認性、高品質性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0047】
請求項8に記載の発明によれば、請求項7の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)各色の合成による表示色の制御を容易にし、色ずれを防止することができる画像表示媒体や有機ELディスプレイとしての色の再現性、画像の高品質性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0048】
請求項9に記載の発明によれば、請求項7又は8の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)複数種類の帯電粒子分散液又は有機EL材料を帯電粒子の色単位又は有機EL材料の発光色単位で複数列の空間部にまとめて一度に注入することができる量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0049】
請求項10に記載の発明によれば、請求項6乃至9の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)ブリジストン製の電子粉流体等の帯電粒子のみをセルの空間中に分散させて使用することができ、帯電粒子の選択範囲が広く、汎用性に優れた表示材料封入パネルの製造方法を提供することができる。
【0050】
請求項11に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)表示材料が隔壁と第2基板との隙間に侵入することがなく、パネルを屈曲させたり、湾曲させたりすることができ、形状自在性、設置自在性に優れると共に、表示材料が隣接する空間部に侵入することがなく、表示材料の分散安定性、量産性に優れ、特に表示材料として異なる色に着色された帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料を列単位で充填した場合に、色の異なる帯電粒子や発光色の異なる有機EL材料が混ざり合うことがなく、複数列の空間部を列単位で確実に多色に塗り分けることができ、にじみや混色が発生しない高品質な画像表示媒体や有機ELディスプレイとして用いることができる汎用性、取扱い性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0051】
請求項12に記載の発明によれば、請求項11の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)予め隔壁を碁盤目状や蜂巣状に形成する必要がなく、複数列の隔壁と第2基板を確実に接合した後から、空間部に表示材料やリブ形成材を供給し、リブ形成材のみを硬化させてリブを形成することにより、複数のセルに区画して表示材料を略均一に封入することができ、隣接する空間部が連通することがなく、複数列の空間部を異なる色の帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液や異なる発光色を有する液体状の有機EL材料で簡便かつ確実に列単位で色分けすることが可能で、接合の信頼性、耐久性、高品質性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0052】
請求項13に記載の発明によれば、請求項11又は12の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)電界によって帯電粒子を移動させ、光の透過と不透過を切り替えたり、所望の画像を表示させたりして、電子シャッターや画像表示媒体として好適に使用することができる制御性、省エネルギー性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0053】
請求項14に記載の発明によれば、請求項13の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)空間部の空気中に帯電粒子を分散させることができ、使用中に分散液が漏洩することがなく、安全性、長寿命性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0054】
請求項15に記載の発明によれば、請求項13又は14の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)隔壁を電極として利用することができ、第1基板や第2基板の全面に透明電極を形成したり、行単位、列単位、画素(セル)単位などに分割した電極を形成したりする必要のない量産性に優れた表示材料封入パネルを提供することができる。
【0055】
請求項16に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)電圧を印加していない時は、帯電粒子を分散させて、光が透過できる状態とし、必要に応じて電圧印加部で電圧を印加することによって、第1電極又は第2電極の表面に、逆極性に帯電した帯電粒子を集めて光を遮断し、光が不透過な状態としてプライバシーや秘密などを保護することができる安全性、使用性に優れた電子シャッターを提供することができる。
【0056】
請求項17に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)電圧を印加した時には、奇数列目又は偶数列目の隔壁の表面に、逆極性に帯電した帯電粒子を集めて光を透過させることができ、電圧を印加しない時には、帯電粒子を分散させて光を遮断し、光が不透過な状態としてプライバシーや秘密などを保護することができる安全性、省エネルギー性に優れた電子シャッターを提供することができる。
【0057】
請求項18に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)帯電制御用電極に対して電子やイオンを照射して電荷を注入(付与)したり、電圧を印加したりして、第1基板と第2基板との間に電界を形成し、帯電粒子を選択的に移動させることにより、高コントラストで、斑のない画像を表示させることができる画像の高品質性、視認性に優れた画像表示媒体を提供することができる。
【0058】
請求項19に記載の発明によれば、請求項18の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)高精細な画像を大画面で表示することができ、カラー画像(特にフルカラー)の表示に好適に用いることができる画像の高品質性に優れた画像表示媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)実施の形態1における表示材料封入パネルを示す要部断面模式図 (b)図1(a)のA−A線矢視断面模式図
【図2】実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法を示す要部断面模式平面図
【図3】(a)実施の形態1における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの不透過状態を示す要部断面模式図 (b)実施の形態1における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの透過状態を示す要部断面模式図
【図4】実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法の変形例を示す要部断面模式平面図
【図5】実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターを示す要部断面模式平面図
【図6】(a)実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの透過状態を示す要部断面模式図 (b)実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの不透過状態を示す要部断面模式図
【図7】(a)実施の形態3における表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体を示す要部断面模式図 (b)実施の形態3における表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体の画像表示状態を示す要部断面模式図
【図8】実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法を示す要部断面模式平面図
【図9】実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法を示す要部断面模式側面図
【図10】実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法に用いるマイクロチューブの変形例を示す要部断面模式平面図
【図11】実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法に用いるマイクロチューブの変形例を示す要部断面模式側面図
【発明を実施するための形態】
【0060】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いた電子シャッターについて、以下図面を参照しながら説明する。
図1(a)は実施の形態1における表示材料封入パネルを示す要部断面模式図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線矢視断面模式図である。
図1中、1は本発明の実施の形態1における表示材料封入パネル、2は屈曲,湾曲自在な厚みに形成された透明のPETで形成された表示材料封入パネル1の第1基板、3は第1基板2にフォトリソグラフィやスクリーン印刷等で形成され立設された複数列の隔壁、4はPETで形成され複数列の隔壁3に覆設され第1基板2と対向配置された表示材料封入パネル1の第2基板(図1(a))、5は第1基板2と2列の隣接する隔壁3と第2基板4で囲まれた複数列の空間部、5aは空間部5が後述するリブ6によって区画されて形成された複数のセル、6は空間部5に後述する表示材料としての帯電粒子分散液7と共に注入され又は帯電粒子分散液7と交互に注入されたリブ形成材を注入後に硬化させて空間部5に間隔を空けて固設した複数のリブ、7は空間部5に注入された表示材料としての帯電粒子分散液、7aは脂肪族炭化水素,イソパラフィン,シリコンオイル等の絶縁性流体からなる帯電粒子分散液7の分散媒(溶媒)、7bは正又は負に帯電し分散媒7aの中に分散された酸化チタン微粒子,アルミナ微粒子,トナー粒子等の多数の帯電粒子、10はITO、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、共役系の導電性ポリアニリンやポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸からなる導電性高分子(PEDOT/PSS)等の透明電極で第1基板2の空間部5側の表面全体に共通して形成されたベタ状(平板状)の第1電極、11は第1電極10と同様に第2基板4の空間部5側の表面全体に共通して形成されたベタ状(平板状)の第2電極である。
【0061】
次に、実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法について説明する。
図2は実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法を示す要部断面模式平面図である。
図2中、6aはポリイソシアネート系,エポキシ系,アクリル系,シリコーン系,ポリウレタン系,尿素系,フェノール系,ホルムアルデヒド系,エポキシ−ポリアミド系,メラミン系,アルキド系樹脂等の熱硬化性樹脂やエポキシ系,オキセタン系,ビニルエーテル系,アクリルレート系,不飽和ポリエステル系樹脂等の光硬化性樹脂等を用いたリブ形成材、20は一端部が表示材料封入パネル1の空間部5に挿通され他端部に配設されるマイクロポンプ等(図示せず)により帯電粒子分散液7を注入するマイクロチューブ、21はマイクロチューブ20から分岐して形設され端部に配設されるマイクロポンプ等(図示せず)により帯電粒子分散液7と交互にリブ形成材6aを注入するマイクロチューブ20の枝管である。
【0062】
まず、隔壁形成工程において、第1電極10が形成された第1基板2に複数列の隔壁3を立設する。
次に、第2基板覆設工程において、複数列の隔壁3に第2電極11が形成された第2基板4を覆設して第1基板2と2列の隣接する隔壁3と第2基板4で囲まれた複数列の空間部5を形成する(図1参照)。
次に、マイクロチューブ挿通工程でマイクロチューブ20の先端部を表示材料封入パネル1の空間部5に挿通した後、図2に示すように、内包部材注入工程において、マイクロチューブ20から空間部5に帯電粒子分散液7を注入する表示材料注入工程と、空間部5にリブ形成材6aを注入するリブ形成材注入工程を繰り返す。
全ての空間部5にリブ形成材6aと帯電粒子分散液7を注入した後、リブ形成材硬化工程において、加熱又は紫外線等の光照射を行い、リブ形成材6aを硬化させる。リブ形成材6aが硬化して、空間部5に間隔を空けて固設された複数のリブ6となることにより、空間部5の中が複数のセル5aに区画され帯電粒子分散液7が封入された表示材料封入パネル1が得られる(図1(b))。
【0063】
尚、リブ6は帯電粒子7bの凝集や横方向の移動を制限できればよいので、細かな位置決め精度は要求されない。よって、等間隔に配置する必要はなく、また、第1基板2,隔壁3,第2基板4と必ずしも密着している必要やこれらと直交している必要もなく、隙間が空いていたり、傾斜していたりしてもよい。従って、リブ形成材6a及び帯電粒子分散液7の材質にもよるが、本実施の形態のように、内包部材注入工程において、表示材料注入工程とリブ形成材注入工程を交互に繰り返す代わりに、リブ形成材6aと帯電粒子分散液7を混ぜた状態で注入することもできる。
【0064】
以上のように構成された実施の形態1における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターについて説明する。
図3(a)は実施の形態1における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの不透過状態を示す要部断面模式図であり、図3(b)は実施の形態1における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの透過状態を示す要部断面模式図である。
図3中、1Aは実施の形態1における表示材料封入パネル1を用いた電子シャッター、12は第1電極10と第2電極11との間に電圧を印加する電圧印加部である。
図3(a)に示すように、電圧印加部12によって第1電極10と第2電極11との間に電圧を印加した状態では、帯電粒子分散液7中の負に帯電した帯電粒子7bが第1電極10側の表面に引き寄せられ、光の透過が遮られ、不透過の状態となる。
また、図3(b)に示すように、第1電極10と第2電極11との間に電圧を印加していない状態では、帯電粒子分散液7中の帯電粒子7bが分散媒7aの中に分散し、光が分散媒7aを通過して、透過の状態となる。
【0065】
本実施の形態では、第1電極10及び第2電極11を第1基板2及び第2基板4の全面に形成することにより、電子シャッター1A全体の光の透過、不透過を切り替えるようにしたが、第1電極10や第2電極11を行単位、列単位、セル(画素)単位などの単位毎に選択的に電圧を印加できる構成にした場合、選択的(部分的)に光の透過と不透過を切り替えることができ、縞模様、各種図形、記号、文字などを光の透過の有無で表示することができ、画像表示媒体として機能させることもできる。
帯電粒子7bの色が光の不透過部分の色となるので、白色、黒色、灰色等に着色された単色の帯電粒子7bが好適に用いられるが、その他の色に着色された帯電粒子7bを用いてもよい。また、空間部5の列単位で異なる色に着色された帯電粒子7bを用いた場合、不透過時に縞模様を表示させることができる。
【0066】
次に、実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法の変形例について説明する。
図4は実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法の変形例を示す要部断面模式平面図である。
図4において、実施の形態1における表示材料封入パネルの製造方法の変形例が実施の形態1と異なるのは、表示材料封入パネル1aにおいて、第2基板覆設工程で形成される空間部5が、蛇行した一続きの流路となるように、隔壁形成工程において、隔壁3の両端部を交互に接続する隔壁接続部3aを形設している点である。尚、13は第1基板2上の切断位置を示す仮想線である。
【0067】
隔壁接続部3aは、隔壁形成工程において隔壁3と共に形設することができる。隔壁接続部3aの形状は、適宜、選択することができるが、蛇行した一続きの流路の幅が均一になるように円弧状に形成することが好ましい。帯電粒子分散液7などの表示材料やリブ形成材6aをスムーズに注入することができ、充填斑などの不良が発生することを防止できるためである。
尚、第1基板2及び第2基板4の内の隔壁接続部3aが形設された範囲は、内包部材注入工程後にリブ形成材硬化工程でリブ形成材6aを硬化させてから仮想線13の位置で切断するなどして除去することができ、電子シャッター1Aに用いることができる。
【0068】
実施の形態1の表示材料封入パネルの製造方法は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)第1基板に複数列の隔壁を立設する隔壁形成工程と、複数列の隔壁に第2基板を覆設して第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部を形成する第2基板覆設工程を有するので、隔壁の上面と第2基板を斑無く確実に接合して、隣接する空間部を隔壁で確実に仕切ることができ、空間部同士が連通することがなく、帯電粒子分散液の密閉性、耐久性に優れる。
(2)空間部に表示材料としての帯電粒子分散液とリブ形成材とを注入する内包部材注入工程と、リブ形成材を硬化させ空間部を複数のセルに分割するリブ形成材硬化工程を有することにより、列単位でまとめて帯電粒子分散液とリブ形成材を注入した後、リブ形成材を硬化させて空間部の中を複数のセルに分割することができるので、マトリックス状に配置されたセル内に短時間で確実に帯電粒子を封入することができ、量産性に優れる。
(3)第2基板覆設工程において、第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部を形成することにより、各々の空間部に列単位で帯電粒子分散液を注入することができるので、異なる色に着色された帯電粒子を列単位で確実に充填、分散させて、複数列の空間部を列単位で多色に塗り分けることができ、マトリックス状に配置された複数のセル内に個別に帯電粒子分散液を充填する場合に比べ、量産性に優れる。
(4)内包部材注入工程において、空間部に帯電粒子分散液を注入する表示材料注入工程と、空間部にリブ形成材を注入するリブ形成材注入工程と、を交互に行うことにより、空間部に所望の間隔でリブ形成材を配置することができるので、空間部に複数のリブを略等間隔で形成することも可能であり、帯電粒子の分散状態を均一化することができ、電子シャッターや画像表示媒体に用いた際のコントラストや濃度の斑を低減でき、品質の均一性に優れる。
(5)第2基板覆設工程で形成される空間部が蛇行した一続きの流路となるように、隔壁形成工程において、隔壁の両端部を交互に接続する隔壁接続部を形設した場合、内包部材注入工程において、空間部の一端から空間部の全長に帯電粒子分散液などの表示材料やリブ形成材を注入することができ、表示材料やリブ形成材を供給するためのマイクロチューブなどを複数列の空間部に繋ぎ直す必要がなく、作業性、量産性に優れる。
(6)内包部材注入工程で表示材料とリブ形成材とを注入するためのマイクロチューブの先端部を空間部に挿通するマイクロチューブ挿通工程を備えるので、マイクロチューブの先端部の上下を第1基板と第2基板で挟み、左右を隣接する隔壁で挟んで、空間部に位置決めした状態で保持することができ、内包部材注入工程において空間部に簡便かつ確実に表示材料とリブ形成材を注入することができ、表示材料やリブ形成材の注入の確実性に優れる。
(7)表示材料が、帯電粒子分散液であることにより、各々のセルに均一に帯電粒子を分散させることができ、高品質で大型の電子シャッターや画像表示媒体などを製造することができる。
【0069】
実施の形態1の表示材料封入パネルは以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)第1基板と2列の隣接する隔壁と第2基板で囲まれた複数列の空間部に注入された帯電粒子分散液と、空間部に帯電粒子分散液と共に注入され又は帯電粒子分散液と交互に注入されたリブ形成材を注入後に硬化させて空間部に間隔を空けて固設した複数のリブを有するので、隔壁とリブによってマトリックス状に区画された複数のセルに帯電粒子分散液を確実に封入することができ、電子シャッターや画像表示媒体に好適に用いることができる。
(2)第1基板及び第2基板と隔壁とが隙間なく確実に密着し、隣接する空間部の間が隔壁で確実に仕切られることにより、帯電粒子が隔壁と第2基板との隙間に侵入することがなく、パネルを屈曲させたり、湾曲させたりすることができ、形状自在性、設置自在性に優れると共に、帯電粒子が隣接する空間部に侵入することがなく、帯電粒子の分散安定性、量産性に優れ、特に、列単位で異なる色に着色された帯電粒子を充填した場合に、色の異なる帯電粒子が混ざり合うことがなく、複数列の空間部を列単位で確実に多色に塗り分けることができ、画像表示媒体に用いても、にじみや混色が発生せず、高品質性に優れる。
(3)リブが、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂で形成されていることにより、先に隔壁と第2基板を確実に接合した後から、空間部に帯電粒子分散液やリブ形成材を供給し、リブ形成材のみを硬化させてリブを形成することができるので、隣接する空間部が連通することがなく、接合の信頼性、耐久性に優れる。
(4)表示材料が帯電粒子分散液であることにより、電界によって帯電粒子を移動させ、光の透過と不透過を切り替えたり、所望の画像を表示させたりして、電子シャッターや画像表示媒体として使用することができる。
【0070】
実施の形態1の表示材料封入パネルを用いた電子シャッターは以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)第1基板に形成された第1電極と、第2基板に形成された第2電極と、第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部を有するので、電圧を印加していない時は、帯電粒子を分散させて、光が透過できる状態とし、必要に応じて電圧印加部で電圧を印加することによって、第1電極又は第2電極の表面に、逆極性に帯電した帯電粒子を集めて光を遮断し、光が不透過な状態としてプライバシーや秘密などを保護することができ、安全性、使用性に優れる。
【0071】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いた電子シャッターについて、以下図面を参照しながら説明する。
図5は実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターを示す要部断面模式平面図である。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッター1Bが実施の形態1と異なるのは、隔壁3bが銀や導電性カーボン等を分散させた導電性樹脂で形成されている点と、第1基板2及び第2基板4に第1電極10及び第2電極11を形成する代わりに、第1基板2のみに複数列の隔壁3bの内の奇数列目の隔壁3bの一端部と電気的に接続された第1電気接続部14a及び複数列の隔壁3bの内の偶数列目の隔壁3bの他端部と電気的に接続された第2電気接続部14bが形成されている点と、第1電気接続部14aと第2電気接続部14bとの間に電圧を印加する電圧印加部12aを備えている点である。
【0072】
実施の形態2における表示材料封入パネルの製造方法が実施の形態1と異なるのは、第1基板2や第2基板4に形成される電極のパターンの違いや隔壁3bの材質の違いのみであり、隔壁形成工程、第2基板覆設工程、内包部材注入工程、リブ形成材硬化工程としては同様であるので、説明を省略する。
尚、第1電気接続部14a及び第2電気接続部14bは、実施の形態1で説明した透明電極と同様の材質で形成してもよいし、銅等の不透明な金属で形成してもよい。但し、内包部材注入工程において、リブ形成材6a及び帯電粒子分散液7を注入する際に、第1電気接続部14a及び第2電気接続部14bが邪魔にならないように薄膜状に形成する。
【0073】
以上のように構成された実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの使用方法について説明する。
図6(a)は実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの透過状態を示す要部断面模式図であり、図6(b)は実施の形態2における表示材料封入パネルを用いた電子シャッターの不透過状態を示す要部断面模式図である。
図5及び図6(a)に示すように、電圧印加部12aによって第1電気接続部14aと第2電気接続部14bとの間に電圧を印加した状態では、帯電粒子分散液7中の負に帯電した帯電粒子7bが第2電気接続部14bに接続された偶数列目の隔壁3bの両側表面に引き寄せられ、光が分散媒7aを通過して、透過の状態となる。
また、図6(b)に示すように、第1電気接続部14aと第2電気接続部14bとの間に電圧を印加していない状態では、帯電粒子分散液7中の帯電粒子7bが分散媒7aの中に分散し、光の透過が遮られ、不透過の状態となる。
【0074】
実施の形態2の表示材料封入パネルの製造方法は、実施の形態1と同様の作用を有するので省略する。
【0075】
実施の形態2の表示材料封入パネルは以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)隔壁が導電性を有することにより、隔壁を電極として利用することができ、第1基板や第2基板の全面に透明電極を形成したり、行単位、列単位、画素(セル)単位などに分割した電極を形成したりする必要がなく、量産性に優れる。
【0076】
実施の形態2の表示材料封入パネルを用いた電子シャッターは以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)複数列の隔壁の内の奇数列目の隔壁の一端部と電気的に接続された第1電気接続部と、複数列の隔壁の内の偶数列目の隔壁の他端部と電気的に接続された第2電気接続部と、第1電気接続部と第2電気接続部との間に電圧を印加する電圧印加部と、を有するので、奇数列目の隔壁と偶数列目の隔壁との間にまとめて電圧を印加することができ、電圧印加部で電圧を印加した時には、奇数列目又は偶数列目の隔壁の表面に、逆極性に帯電した帯電粒子を集めて光を透過させることができ、電圧を印加しない時には、帯電粒子を分散させて光を遮断し、光が不透過な状態としてプライバシーや秘密などを保護することができ、安全性、省エネルギー性に優れる。
【0077】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における表示材料封入パネルの製造方法、表示材料封入パネル及びそれを用いた画像表示媒体について、以下図面を参照しながら説明する。
図7(a)は実施の形態3における表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体を示す要部断面模式図であり、図7(b)は実施の形態3における表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体の画像表示状態を示す要部断面模式図である。尚、実施の形態1又は2と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図7において、実施の形態3における表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体1Cが実施の形態1と異なるのは、第1基板2と第2基板4との間に画素(セル)単位で選択的に電圧を印加できるように、帯電制御用電極10a,11aが形成され、帯電制御用電極10aに選択的に電圧を印加する電圧印加部12bと、帯電制御用電極11aを接地する接地部12cを備えている点である。
尚、実施の形態3における表示材料封入パネルの製造方法が実施の形態1と異なるのは、第1基板2及び第2基板4に予め所定のパターンの帯電制御用電極10a,11aが形成されている点のみであり、隔壁形成工程、第2基板覆設工程、内包部材注入工程、リブ形成材硬化工程としては同様であるので、説明を省略する。
【0078】
画像表示媒体1Cにおいて、帯電制御用電極10a,11aの間に電圧を印加して任意の画像を表示させる場合には、帯電制御用電極10aを列単位で選択可能に形成し、帯電制御用電極11aを行単位で選択可能に形成してもよいし、帯電制御用電極10aを画素単位で選択可能なマトリックス状に形成し、帯電制御用電極11aを全面に共通な平板状(ベタ状)に形成してもよい。
帯電制御用電極10a,11aの間に電圧を印加していない状態では、図7(a)に示すように、帯電粒子分散液7中の帯電粒子7bが分散媒7aの中に分散し、画像は表示されない。そして、図7(b)に示すように、帯電制御用電極10a,11aの間に選択的に電圧を印加した状態(図7(b)では、上から1,2,5番目の帯電制御用電極10aと帯電制御用電極11aとの間に電圧を印加)では、帯電粒子分散液7中の負に帯電した帯電粒子7bが選択した帯電制御用電極10aの表面に引き寄せられ、帯電粒子7bの色によって、画像が表示される。
尚、帯電制御用電極10a,11aの間に帯電粒子7bを移動させるだけの電位差があればよいので、本実施の形態のように、接地部12cにより帯電制御用電極11a側を接地するものに限らず、印加する電圧を帯電制御用電極10aと帯電制御用電極11aに分配することができ、帯電制御用電極11a側に電圧を印加してもよい。
【0079】
画像表示媒体1Cは、単色表示を行う以外に、加法混色法における三原色(R,G,B)を持つカラーフィルタや減法混色法における三原色(Y,M,C)を持つ反射層と組合せてカラー表示を行うことができる。また、カラーフィルタや反射層と組合せる代わりに、白色等の背景色を表示する着色粒子以外を減法混色法における三原色(Y,M,C)等の表示原色に着色してカラー表示を行うこともできる。例えば白色と複数の表示原色の内のいずれか一色に着色された2種類の着色粒子を組合せて封入することにより、複数の表示原色を選択的に表示することができる。一緒に封入される2種類の着色粒子の内の少なくとも一方が正又は負の電荷を帯びた帯電粒子であれば、白色と黒色又は表示原色を選択的に表示することができる。
【0080】
尚、各画素に対応して薄膜トランジスタ又は薄膜ダイオードを搭載することにより、高精細な画像を大画面で表示することができ、画像の高品質性に優れ、カラー画像(特にフルカラー)の表示に好適に用いることができる。このとき、表示材料として帯電粒子分散液7の代わりに液体状の有機EL材料を封入すれば、各セルに封入された有機EL材料を選択的に発光させることができ、有機ELディスプレイとして使用することができる。液体状の有機EL材料としては、高分子材料で発光材料を溶媒に分散及び溶解させたものが好適に用いられる。白色、青色、黄色などの発光色を有する有機EL材料を用いれば、モノカラーやエリアカラーの有機ELディスプレイとして使用することができる。尚、青色(B)の発光色を有する有機EL材料のみを用い、その発光の一部を色変換層によって赤色(R)と緑色(G)に変換し、フルカラー表示を行うことや、白色の発光色を有する有機EL材料のみを用い、三原色(R,G,B)のカラーフィルタと組合せてフルカラー表示を行うこともできる。また、加法混色法における三原色(R,G,B)の各発光色を有する有機EL材料をそれぞれ列単位で封入すれば、フルカラー表示の有機ELディスプレイとして使用することができる。尚、その場合は、色の純度を向上させるため、カラーフィルタを併用してもよい。
【0081】
帯電制御用電極10a,11aの間に直接電圧を印加(電界を形成)する代わりに、画像表示媒体1Cに静電潜像を形成する画像書込手段(印字ヘッド)で画像を形成することもできる。画像書込手段(印字ヘッド)は電子又はイオンを発生させることができるものであればよく、ワイヤ電極や針電極等に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるもの、電極を加熱して熱電子を放出させるもの、電極に印加する電圧と電極の温度を制御して電子やイオンを発生させるもの等を用いることができる。
画像書込手段(印字ヘッド)によって、電子やイオンの照射位置を位置決め、選択できる場合は、第1基板2又は第2基板4のいずれか一方の全面に共通なベタ状の帯電制御用電極を形成し、接地若しくは電圧印加した状態で反対側から電子やイオンの照射を行って、所望の画像を表示させることができる。
【0082】
第1基板2又は第2基板4のいずれか一方に行単位或いは列単位で選択して接地や電圧印加が可能な帯電制御用電極を形成した場合、印字ヘッドでは列方向或いは行方向の位置を選択するだけで、両者が交差する位置に電子やイオンを照射させることができる。また、第1基板2又は第2基板4のいずれか一方に各画素の表示要素毎に選択して接地や電圧印加ができるようにマトリックス状などに帯電制御用電極を形成した場合、印字ヘッド側で選択的な駆動を行わなくても、選択された帯電制御用電極に対向する位置から電子やイオンを照射させることができる。尚、印字ヘッド側で画素単位の選択的な駆動が可能な場合は、帯電制御用電極の選択は、行単位、列単位、画素単位のいずれでもよい。
さらに、第1基板2及び第2基板4の空間部5側の表面にそれぞれ短冊状に分割して帯電制御用電極10a,11aを形成し、互いに直交するように配置した場合、第1基板2に形成した帯電制御用電極10a又は第2基板4に形成した帯電制御用電極11aのいずれか一方への選択的な接地又は電圧印加を行い、他方へ印字ヘッドから選択的に電子やイオンを照射して電荷を注入することにより、両面の帯電制御用電極10a,11aが交差する位置に画像を表示させることができる。
【0083】
実施の形態3の表示材料封入パネルの製造方法は、実施の形態1と同様の作用を有するので省略する。
【0084】
実施の形態3の表示材料封入パネルは以上のように構成されているので、実施の形態1と同様の作用を有するので省略する。
【0085】
実施の形態3の表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)第1基板及び第2基板に形成された帯電制御用電極を有するので、電圧を印加して、第1基板と第2基板との間に電界を形成し、帯電粒子を選択的に移動させて、高コントラストで、斑のない画像を表示させることができ、画像の高品質性、視認性に優れる。
【0086】
尚、実施の形態1乃至3において、分散媒(溶媒)7aの中に多数の帯電粒子7bを分散させた帯電粒子分散液7を用いたが、帯電粒子7bとして、ブリジストン製の電子粉流体等を使用する場合は、分散媒(溶媒)7aとしてメチルアルコール、エチルアルコール、ペンタンやヘキサン等のアルカン類、エーテル類等の揮発性の液体を使用し、分散媒(溶媒)7aに帯電粒子7bを分散させた状態で空間部5に注入し、リブ形成材6aを硬化させて空間部5をリブ6で複数のセル5aに区切った後、セル5a内に封入された分散媒(溶媒)7aを揮発させて、セル5aの空間中に帯電粒子7bを分散させた状態で使用することもできる。これにより、帯電粒子7bの選択範囲が広く、汎用性に優れる。
【0087】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法及び表示材料封入パネルについて、以下図面を参照しながら説明する。
図8は実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法を示す要部断面模式平面図であり、図9は実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法を示す要部断面模式側面図である。尚、実施の形態1乃至3と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図8中、20a,20b,20c,20dは、リブ形成材6aと帯電粒子分散液7を空間部5に注入するためのマイクロチューブ、22a,22b,22c,22dはそれぞれマイクロチューブ20a,20b,20c,20dと連結孔23a,23b,23c,23dで接続され、白色とそれぞれ異なる色(例えば、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック))に着色された2種類の着色粒子(帯電粒子)を分散させた帯電粒子分散液7を帯電粒子の色(Y,M,C,K)毎にマイクロチューブ20a,20b,20c,20dに供給するヘッダ管である。
尚、マイクロチューブ20a,20b,20c,20dは、空間部5に注入される帯電粒子分散液7中の帯電粒子(Y,M,C,K)が色単位で縞模様状に繰り返し並ぶようにヘッダ管22a,22b,22c,22dと連結孔23a,23b,23c,23dで接続され繰り返し配置される。
【0088】
図9中、30は図示しない隔壁形成工程で隔壁3が立設された第1基板2を搬送する第1基板搬送ローラ、31は第1基板搬送ローラ30と対向配置され隔壁3の上面に接着剤を塗布する接着剤塗布ローラ、32は第1基板2の隔壁3に覆設される第2基板4を搬送する第2基板搬送ローラ、33は積層された第1基板2と第2基板4を挟んで対向配置され第1基板2と第2基板4を上下から圧接しながら隔壁3の長手方向に搬送する一対の圧接ローラである。
【0089】
実施の形態1と同様に、隔壁形成工程において複数列の隔壁3が形成された第1基板2を、図9に示すように、第2基板覆設工程の接着剤塗布工程において、第1基板搬送ローラ30で下流側に搬送しながら、接着剤塗布ローラ31で隔壁3の上面にUV硬化型の接着剤を塗布する。
次に、第2基板覆設工程の搬送接着工程において、第2基板搬送ローラ32で第2基板4を搬送し、第1基板2の隔壁3の一端側から他端側に第2基板4を覆設して、積層された第1基板2と第2基板4を圧接ローラ33,33で隔壁3の長手方向に搬送しながら、第2基板搬送ローラ32と圧接ローラ33の間でUV光を照射し、隔壁3と第2基板4を接着する。これにより、空間部5が形成される。
【0090】
次に、マイクロチューブ挿通工程において、マイクロチューブ20a,20b,20c,20dの先端部を各々の空間部5に挿通する。このとき、マイクロチューブ20a,20b,20c,20dの先端が、第2基板覆設工程の搬送接着工程でUV光を照射する位置よりも下流側に位置するようにマイクロチューブ20a,20b,20c,20dを挿通することにより、後工程の内包部材注入工程において、隔壁3と第2基板4が接着された状態で表示材料やリブ形成材を注入することができ、注入された表示材料やリブ形成材が隣接する空間部5に浸入することがなく、各々の空間部5に列単位で確実に表示材料やリブ形成材を充填することができる。
【0091】
次に、内包部材注入工程において、空間部5に表示材料として帯電粒子分散液7を注入する表示材料注入工程と、空間部5にリブ形成材6aを注入するリブ形成材注入工程と、を交互に行う。このとき、マイクロチューブ20a,20b,20c,20dには、連結孔23a,23b,23c,23dを介してヘッダ管22a,22b,22c,22dが接続されており、各々のヘッダ管22a,22b,22c,22dから、白色とそれぞれ異なる色(Y,M,C,K)に着色された2種類の着色粒子(帯電粒子)を分散させた帯電粒子分散液7を供給することができる。これにより、異なる色の帯電粒子を含む帯電粒子分散液7が複数列の空間部5に列単位で縞模様状に注入される。
【0092】
次に、圧接ローラ33の下流側で、実施の形態1と同様に、リブ形成材硬化工程において、加熱又は紫外線等の光照射を行い、リブ形成材6aを硬化させることにより、空間部5の中が複数のセルに区画され帯電粒子分散液7が封入された表示材料封入パネル1bが得られる。
尚、第1基板2及び第2基板4に、実施の形態3の表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体1Cと同様に、図示しない帯電制御用電極10a,11aを予め形成することにより、第1基板2と第2基板4との間に画素(セル)単位で選択的に電圧を印加して、任意の画像を表示することができ、フルカラーの画像表示媒体として使用することができる。
【0093】
次に、実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法に用いるマイクロチューブの変形例について説明する。
図10は実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法に用いるマイクロチューブの変形例を示す要部断面模式平面図であり、図11は実施の形態4における表示材料封入パネルの製造方法に用いるマイクロチューブの変形例を示す要部断面模式側面図である。
図10中、24はリブ形成材6aをマイクロチューブ20aに供給するリブ形成材供給部、24aはリブ形成材供給部24から分岐して各々のマイクロチューブ20aに接続されると共に連結孔23aを介してヘッダ管22aと接続された分岐部、25aはヘッダ管22aとリブ形成材供給部24とを備えた内包部材供給ユニットである。
図11中、25b,25c,25dは内包部材供給ユニット25aと同様に、リブ形成材供給部24とヘッダ管22b,22c,22dをそれぞれ備えマイクロチューブ20b,20c,20dに接続された内包部材供給ユニットである。
【0094】
マイクロチューブ20a,20b,20c,20dにリブ形成材6a及び帯電粒子分散液7を供給するための内包部材供給ユニット25a,25b,25c,25dが、供給する帯電粒子分散液7に含まれる帯電粒子の色単位でユニット化されて形成されているので、表示材料封入パネル1bの複数列の空間部5に対して、内包部材供給ユニット25a,25b,25c,25dからリブ形成材6a及び帯電粒子分散液7を注入する際に、図11に示すように、4つの内包部材供給ユニット25a,25b,25c,25dをそれぞれ異なる角度で引き出したマイクロチューブ20a,20b,20c,20dと接続して使用することができる。内包部材供給ユニット25a,25b,25c,25dは供給する帯電粒子分散液7に含まれる帯電粒子の色が異なるだけで、同一の構成を有しており、それぞれ同じ物がマイクロチューブ20a,20b,20c,20dと接続されるように配置すればよい。この内包部材供給ユニット25a,25b,25c,25dはユニット毎に交換して使用することができ、メンテナンス性、量産性、取扱い性に優れる。
【0095】
実施の形態4の表示材料封入パネルの製造方法は、実施の形態1の(1)乃至(4),(6),(7)と同様の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)第2基板覆設工程が、隔壁形成工程で第1基板に立設された隔壁の上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、第1基板の隔壁の一端側から他端側に第2基板を覆設しながら第1基板と第2基板を隔壁の長手方向に搬送して接着する搬送接着工程を有することにより、長尺状の第1基板と第2基板を連続的に搬送しながら接着することができ、量産性に優れる。
(2)帯電粒子分散液中の帯電粒子の色が、空間部の列単位で異なることにより、画像表示媒体として複数の色を表示することができ、汎用性、画像の視認性、高品質性に優れる。
(3)帯電粒子分散液が、複数列の空間部に帯電粒子の色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように封入されていることにより、各色の合成による表示色の制御を容易にし、色ずれを防止することができ、画像表示媒体としての色の再現性、画像の高品質性に優れる。
(4)帯電粒子分散液を注入するための複数のマイクロチューブが、注入する帯電粒子の色単位で連結されていることにより、同じ色の帯電粒子を分散させた帯電粒子分散液を複数列の空間部にまとめて一度に注入することができ、量産性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、簡素な製造工程で帯電粒子や有機EL材料などの表示材料を確実かつ略均一に封入することができ、高歩留まりで量産性に優れた表示材料封入パネルの製造方法の提供、帯電粒子が略均一に封入され、電子シャッターやディスプレイ等に好適に用いることができる品質の均一性に優れた表示材料封入パネルの提供及び必要に応じて電圧を印加したり、電荷を注入したりして、帯電粒子を移動させることができ、光の透過、不透過を短時間で切り替えることができる応答性に優れた電子シャッター並びに所望の画像を簡便に表示することができ、特にカラー画像の高品質性に優れた画像表示媒体の提供を行って、電子シャッターや画像表示媒体、有機ELディスプレイの普及を図ることができる。
【符号の説明】
【0097】
1,1a,1b 表示材料封入パネル
1A,1B 電子シャッター
1C 画像表示媒体
2 第1基板
3,3b 隔壁
3a 隔壁接続部
4 第2基板
5 空間部
5a セル
6 リブ
6a リブ形成材
7 帯電粒子分散液
7a 分散媒(溶媒)
7b 帯電粒子
10 第1電極
10a,11a 帯電制御用電極
11 第2電極
12,12a,12b 電圧印加部
12c 接地部
13 切断位置を示す仮想線
14a 第1電気接続部
14b 第2電気接続部
20,20a,20b,20c,20d マイクロチューブ
21 枝管
22a,22b,22c,22d ヘッダ管
23a,23b,23c,23d 連結孔
24 リブ形成材供給部
24a 分岐部
25a,25b,25c,25d 内包部材供給ユニット
30 第1基板搬送ローラ
31 接着剤塗布ローラ
32 第2基板搬送ローラ
33 圧接ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板の間に形成された複数のセル内に表示材料が封入される表示材料封入パネルの製造方法であって、
前記第1基板に複数列の隔壁を立設する隔壁形成工程と、前記複数列の隔壁に前記第2基板を覆設して前記第1基板と2列の隣接する前記隔壁と前記第2基板で囲まれた複数列の空間部を形成する第2基板覆設工程と、前記空間部に前記表示材料とリブ形成材とを注入する内包部材注入工程と、前記リブ形成材を硬化させ前記空間部を前記複数のセルに分割するリブ形成材硬化工程と、を備えたことを特徴とする表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項2】
前記内包部材注入工程において、前記空間部に前記表示材料を注入する表示材料注入工程と、前記空間部に前記リブ形成材を注入するリブ形成材注入工程と、を交互に行うことを特徴とする請求項1に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項3】
前記第2基板覆設工程が、前記隔壁形成工程で前記第1基板に立設された前記隔壁の上面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記第1基板の前記隔壁の一端側から他端側に前記第2基板を覆設しながら前記第1基板と前記第2基板を前記隔壁の長手方向に搬送して接着する搬送接着工程と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項4】
前記第2基板覆設工程で形成される前記空間部が蛇行した一続きの流路となるように、前記隔壁形成工程において、前記隔壁の両端部を交互に接続する隔壁接続部を形設することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項5】
前記内包部材注入工程で前記表示材料と前記リブ形成材とを注入するためのマイクロチューブの先端部を前記空間部に挿通するマイクロチューブ挿通工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項6】
前記表示材料が、帯電粒子分散液又は液体状の有機EL材料であることを特徴とする請求項5に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項7】
前記帯電粒子分散液中の帯電粒子の色又は前記有機EL材料の発光色が、前記空間部の列単位で異なることを特徴とする請求項6に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項8】
前記帯電粒子分散液又は前記有機EL材料が、複数列の前記空間部に前記帯電粒子の色単位又は前記有機EL材料の発光色単位で縞模様状に繰り返し並ぶように封入されていることを特徴とする請求項7に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項9】
前記帯電粒子分散液又は前記有機EL材料を注入するための複数の前記マイクロチューブが、注入する前記帯電粒子の色単位又は前記有機EL材料の発光色単位で連結されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項10】
前記帯電粒子分散液の溶媒を揮発させる溶媒揮発工程を備えたことを特徴とする請求項6乃至9の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルの製造方法。
【請求項11】
第1基板と第2基板の間に形成された複数のセル内に表示材料が封入される表示材料封入パネルであって、
第1基板と、前記第1基板に立設された複数列の隔壁と、前記複数列の隔壁に覆設された第2基板と、前記第1基板と2列の隣接する前記隔壁と前記第2基板で囲まれた複数列の空間部と、前記第1基板と2列の隣接する前記隔壁と前記第2基板で囲まれた複数列の空間部に前記表示材料と共に注入され又は前記表示材料と交互に注入されたリブ形成材が注入後に硬化されて形設された複数のリブと、前記隔壁と前記リブで分割され内部に前記表示材料が封入された前記複数のセルと、を備えたことを特徴とする表示材料封入パネル。
【請求項12】
前記リブが、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂で形成されたことを特徴とする請求項11に記載の表示材料封入パネル。
【請求項13】
前記表示材料が、帯電粒子分散液であることを特徴とする請求項11又は12に記載の表示材料封入パネル。
【請求項14】
前記帯電粒子分散液の溶媒が揮発して帯電粒子のみが内包されたことを特徴とする請求項13に記載の表示材料封入パネル。
【請求項15】
前記隔壁が、導電性を有することを特徴とする請求項13又は14に記載の表示材料封入パネル。
【請求項16】
請求項11乃至14の内いずれか1項に記載の表示材料封入パネルを用いた電子シャッターであって、
前記第1基板に形成された第1電極と、前記第2基板に形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加する電圧印加部と、を備えたことを特徴とする電子シャッター。
【請求項17】
請求項15に記載の表示材料封入パネルを用いた電子シャッターであって、
前記複数列の隔壁の内の奇数列目の隔壁の一端部と電気的に接続された第1電気接続部と、前記複数列の隔壁の内の偶数列目の隔壁の他端部と電気的に接続された第2電気接続部と、前記第1電気接続部と前記第2電気接続部との間に電圧を印加する電圧印加部と、を備えたことを特徴とする電子シャッター。
【請求項18】
請求項13又は14に記載の表示材料封入パネルを用いた画像表示媒体であって、
前記第1基板又は前記第2基板の少なくともいずれか一方に形成された帯電制御用電極を備えたことを特徴とする画像表示媒体。
【請求項19】
前記表示材料封入パネルの各画素に対応して薄膜トランジスタ又は薄膜ダイオードが搭載されたことを特徴とする請求項18に記載の画像表示媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−227440(P2011−227440A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236752(P2010−236752)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(302004366)有限会社 福岡テクノ研工業 (16)
【出願人】(310009454)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【Fターム(参考)】