説明

表示機器及び表示制御方法

【課題】スクリーンセーバ表示において画像を縮小した場合であっても、通常表示されている表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができるスクリーンセーバ機能を備えた表示機器等を提供する。
【解決手段】スクリーンセーバの制御信号を送出するCPU1を備える表示機器において、N個の画素を一単位として通常時表示データを作成する表示コントローラ2と、前記通常時表示データに基づいて表示画面に画像表示する表示器4と、を備える。表示コントローラ2は、CPU1からスクリーンセーバの制御信号を受信すると、前記N個の画素が有する情報を一画素とするスクリーンセーバ用表示データを作成し、表示器4は、前記スクリーンセーバ用表示データに基づいて前記表示画面に画像表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機器に関し、特にスクリーンセーバ機能を備えた表示機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面の同一場所に同一画像を長時間表示しつづけると画面焼き付け、固定化が発生する。特に、記録計等の工業計器に備えた表示機器の場合には、電圧、温度等を常時監視し続けなければならず、画面焼き付けの影響は大きい。
【0003】
一般に、画面焼き付け防止のためのスクリーンセーバ機能を持つ表示機器では、スクリーンセーバの表示指示を受けた表示コントローラが、スクリーンセーバ用の画像を作成し、表示器に出力している。例えば、第1の手法として、全表示領域を黒データに固定し、非表示状態にする手法がある。第2の手法として、通常表示されている画像と関係のない画像をスクリーンセーバ用画像として画面の一部で表示させる手法がある。また、その画像を一定時間ごとに画面内で移動させる場合もある。第3の手法として、通常表示されている画像の全部又は一部を縮小し、その縮小画像を画面の一部で表示させる手法がある。またその画像を一定時間ごとに画面内で移動させるという手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−286647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第1、第2の手法では、通常表示されている表示内容の情報は完全に失われる。従って、動作確認のためにはスクリーンセーバを終了させなければならない。第3の手法では、画像を縮小していることから、表示解像度の関係で、表示内容の情報が一部失われることが考えられる。
【0006】
本発明の目的は、スクリーンセーバ表示において画像を縮小した場合であっても、通常表示されている表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができるスクリーンセーバ機能を備えた表示機器等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示機器は、表示画面に表示すべき表示データを作成する表示データ作成手段と、前記表示データ作成手段により作成された表示データに基づいて前記表示画面に画像表示する表示手段と、通常時表示とスクリーンセーバ用表示とを切り替えるためのスクリーンセーバの制御信号を出力するスクリーンセーバ制御手段と、を備える表示機器において、前記スクリーンセーバ制御手段からのスクリーンセーバの制御信号が受信されない場合には、前記表示データ作成手段は、前記表示画面の隣接するN個の画素を同一階調とする通常画面表示に対応する通常時表示データを作成し、前記表示手段は前記通常時表示データに基づいて前記表示画面に前記通常画面表示を画像表示し、前記スクリーンセーバ制御手段からのスクリーンセーバの制御信号が受信される場合には、前記表示データ作成手段は、前記N個の画素の階調を前記表示画面の一画素に割り当てることで前記通常画面表示を縮小した縮小表示に対応するスクリーンセーバ用表示データを作成し、前記表示手段は前記スクリーンセーバ用データに基づいて前記表示画面に前記縮小表示を画像表示することを特徴とする。
この表示機器によれば、スクリーンセーバを実行した場合であっても、常に画像表示されるので、動作確認のためにスクリーンセーバを終了させる必要がない。さらに、スクリーンセーバを実行した場合であっても、表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができる。
【0008】
前記表示手段は、前記スクリーンセーバ用表示データに基づいて前記表示画面の一部であるスクリーンセーバ時表示領域に画像表示し、かつ、前記表示画面において、前記スクリーンセーバ時表示領域を順次移動してもよい。
【0009】
前記表示データ作成手段は、前記スクリーンセーバ時表示領域以外の領域を非表示領域とする前記スクリーンセーバ用表示データを作成してもよい。
【0010】
前記N個の画素が有する情報は色情報を含んでもよい。
【0011】
本発明の表示制御方法は、表示画面に表示すべき表示データを作成する表示データ作成ステップと、前記表示データ作成ステップにより作成された表示データに基づいて前記表示画面に画像表示する表示ステップと、通常時表示とスクリーンセーバ用表示とを切り替えるためのスクリーンセーバの制御信号を出力するスクリーンセーバ制御ステップと、を備える表示制御方法において、前記スクリーンセーバ制御ステップに基づくスクリーンセーバの制御信号が受信されない場合には、前記表示データ作成ステップでは、前記表示画面の隣接するN個の画素を同一階調とする通常画面表示に対応する通常時表示データを作成し、前記表示ステップでは前記通常時表示データに基づいて前記表示画面に前記通常画面表示を画像表示し、前記スクリーンセーバ制御ステップに基づくスクリーンセーバの制御信号が受信される場合には、前記表示データ作成ステップでは、前記N個の画素の階調を前記表示画面の一画素に割り当てることで前記通常画面表示を縮小した縮小表示に対応するスクリーンセーバ用表示データを作成し、前記表示ステップでは前記スクリーンセーバ用データに基づいて前記表示画面に前記縮小表示を画像表示することを特徴とする。
この表示制御方法によれば、スクリーンセーバを実行した場合であっても、常に画像表示されるので、動作確認のためにスクリーンセーバを終了させる必要がない。さらに、スクリーンセーバを実行した場合であっても、表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の表示機器によれば、スクリーンセーバを実行した場合であっても、常に画像表示されるので、動作確認のためにスクリーンセーバを終了させる必要がない。さらに、スクリーンセーバを実行した場合であっても、表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができる。
【0013】
本発明の表示制御方法によれば、スクリーンセーバを実行した場合であっても、常に画像表示されるので、動作確認のためにスクリーンセーバを終了させる必要がない。さらに、スクリーンセーバを実行した場合であっても、表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】表示機器の回路構成例を示すブロック図。
【図2】通常表示の表示画面の表示例を示す図。
【図3】スクリーンセーバ制御状態の表示画面の表示例を示す図。
【図4】スクリーンセーバ制御状態の表示画面の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による表示機器の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では文字、波形等を表示する記録計等の工業計器に備えたスクリーンセーバ機能を持つ表示機器を例に説明する。
【0016】
図1は、表示機器の回路構成例を示すブロック図、図2は通常表示の表示画面の表示例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の表示機器は、コンピュータの中央処理装置及び主記憶装置を含むスクリーンセーバ制御手段としてのCPU1、CPU1からスクリーンセーバの制御情報を受け、表示データを作成して表示器4へ出力する表示データ作成手段としての表示コントローラ2、作成した表示データ等を表示コントローラ2において再利用可能な形態で記憶する表示メモリ3、表示コントローラ2からの表示データに基づいて表示画面に画像表示する表示手段としての表示器4と、を備える。
【0018】
CPU1は、表示コントローラ2に対してスクリーンセーバの制御信号(オン、オフ)を送出する。表示コントローラ2はスクリーンセーバの制御信号に従って通常表示とスクリーンセーバ表示とを切り替えて表示データを作成し、作成した表示データを表示器4に送信する。表示器4は、表示データに基づいて表示画面に画像表示する。
【0019】
通常表示の場合、表示コントローラ2は、表示画面の隣接するN個(Nは2以上の自然数)の画素を一単位として表示データ(通常時表示データ)を作成し、N個の画素で構成される一単位の画素に割り当てる階調(モノクロ表示の場合には輝度、カラー表示の場合には表示色)を同一とする全画面表示を行う。図2の例では、上下隣り合う2×2画素(N=4)を一単位として表示データを作成する場合を示している。この場合、表示器4は、表示データに基づいて表示画面の通常時表示領域4aに画像表示する。つまり、表示器4の表示画面がもつ表示分解能のN分の一の表示分解能での表示を行うことになる。例えば、表示器4の表示画面がVGA(640×480画素)の解像度を持つ場合には、QVGA(320×240画素)相当の表示分解能での表示を行う。
【0020】
図3(A)〜(D)は、スクリーンセーバ表示の表示画面の表示例を示す図、図4はスクリーンセーバ表示の表示画面の説明図である。図3(A)は表示器4の表示画面の左上四分の一をスクリーンセーバ時表示領域4bとした表示例であり、図3(B)は表示器4の表示画面の右上四分の一を、図3(C)は表示器4の表示画面の左下四分の一を、図3(D)は表示器4の表示画面の右下四分の一を、それぞれスクリーンセーバ時表示領域4bとした表示例である。
【0021】
スクリーンセーバ表示の場合、表示コントローラ2は、通常時における1単位を表示画面の1画素に割り当てた表示データ(スクリーンセーバ用表示データ)を作成する。したがって、通常時表示におけるN個の画素が有する情報(階調)を1画素で表示する縮小画像が作成されることになる。例えば、N個の画素が持つ色情報が黒である場合、対応する1画素は黒色となる。よって、通常時のN分の一(Nは2以上の自然数)の領域が表示領域となる。表示コントローラ2は、スクリーンセーバ時表示領域4b以外の表示領域は、非表示領域4cとして黒色画素の表示データを作成する。例えば、通常時において2×2画素(N=4)を1単位とした場合、表示器4の表示画面の四分の一がスクリーンセーバ時表示領域4bとなる。図3(A)〜(D)の例では、320×240画素がスクリーンセーバ時表示領域4bとなる。
【0022】
そして、表示器4の表示画面においてスクリーンセーバ時表示領域4bを移動させていくことにより、画面焼き付け防止のスクリーンセーバとして動作する。図3の例では、例えば、(A)、(B)、(C)、(D)、(A)、(B)、(C)、・・・、と表示画面においてスクリーンセーバ時表示領域4bを例えば一定時間ごとに順次移動させていくことにより、画面焼き付け防止のスクリーンセーバとして動作する。
【0023】
以上のように、通常表示において、表示コントローラ2は、N個(Nは2以上の自然数)の画素を一単位として通常時表示データを作成し、表示器4は、通常時表示データに基づいて表示画面に画像表示する。そして、CPU1からスクリーンセーバを起動させる制御信号を受信すると、表示コントローラ2は、N個の画素が有する情報を一画素とするスクリーンセーバ用表示データを作成し、表示器4は、スクリーンセーバ用表示データに基づいて表示画面に画像表示するよう構成している。よって、スクリーンセーバを実行した場合であっても、常に画像表示されるので、動作確認のためにスクリーンセーバを終了させる必要がない。さらに、スクリーンセーバを実行した場合であっても、表示内容の情報量を減らすことなく、表示の正確性を保つことができる。したがって、スクリーンセーバを実行中であっても、通常表示時と同様に表示内容を確認でき、異常の発生などを迅速に把握できる。なお、スクリーンセーバ表示から通常表示への切り替えを手動で行えるようにすれば、緊急時などに通常表示による確認を行うことが可能となる。
【0024】
上記実施形態では、記録計に備えた表示機器を例に説明したが、通常表示時に表示画面の解像度を最大に利用する表示を行う必要のない機器であれば本発明を適用することができる。隣接する複数の画素に同一階調を与え、表示画面の能力よりも解像度を下げても所望の情報を表示可能な場合には、本発明を適用することができる。
【0025】
上記実施形態では、2×2画素(N=4)を1単位として使用する例を示しているが、3×3画素(N=9)、あるいはより大きな画素数を1単位として使用してもよい。また、上記実施形態ではスクリーンセーバ時表示領域を4つの領域に区分しているが、スクリーンセーバ時にスクリーンセーバ時表示領域をごく細かい間隔(例えば1画素間隔)ずつ順次、移動させることにより、縮小表示を表示画面上でゆっくりとスライドさせるようにしてもよい。この場合にも、スクリーンセーバを実行中であっても、通常表示時と同様に表示内容を確認できる。
【0026】
また上記実施形態では、文字列を表示する例を示しているが、波形などのグラフィック表示についても同様の手法が適用できる。
【0027】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、スクリーンセーバの制御信号を送出するスクリーンセーバ制御手段を備える表示機器に広く適用される。
【符号の説明】
【0028】
1 CPU(スクリーンセーバ制御手段)
2 表示コントローラ(表示データ作成手段)
4 表示器(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示すべき表示データを作成する表示データ作成手段と、
前記表示データ作成手段により作成された表示データに基づいて前記表示画面に画像表示する表示手段と、
通常時表示とスクリーンセーバ用表示とを切り替えるためのスクリーンセーバの制御信号を出力するスクリーンセーバ制御手段と、
を備える表示機器において、
前記スクリーンセーバ制御手段からのスクリーンセーバの制御信号が受信されない場合には、前記表示データ作成手段は、前記表示画面の隣接するN個の画素を同一階調とする通常画面表示に対応する通常時表示データを作成し、前記表示手段は前記通常時表示データに基づいて前記表示画面に前記通常画面表示を画像表示し、
前記スクリーンセーバ制御手段からのスクリーンセーバの制御信号が受信される場合には、前記表示データ作成手段は、前記N個の画素の階調を前記表示画面の一画素に割り当てることで前記通常画面表示を縮小した縮小表示に対応するスクリーンセーバ用表示データを作成し、前記表示手段は前記スクリーンセーバ用データに基づいて前記表示画面に前記縮小表示を画像表示することを特徴とする表示機器。
【請求項2】
前記表示手段は、前記スクリーンセーバ用表示データに基づいて前記表示画面の一部であるスクリーンセーバ時表示領域に前記縮小画面を画像表示し、かつ、前記表示画面において、前記スクリーンセーバ時表示領域を順次移動させることを特徴とする請求項1に記載の表示機器。
【請求項3】
前記表示データ作成手段は、前記スクリーンセーバ時表示領域以外の領域を非表示領域とする前記スクリーンセーバ用表示データを作成することを特徴とする請求項2に記載の表示機器。
【請求項4】
前記N個の画素が有する情報は色情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示機器。
【請求項5】
表示画面に表示すべき表示データを作成する表示データ作成ステップと、
前記表示データ作成ステップにより作成された表示データに基づいて前記表示画面に画像表示する表示ステップと、
通常時表示とスクリーンセーバ用表示とを切り替えるためのスクリーンセーバの制御信号を出力するスクリーンセーバ制御ステップと、
を備える表示制御方法において、
前記スクリーンセーバ制御ステップに基づくスクリーンセーバの制御信号が受信されない場合には、前記表示データ作成ステップでは、前記表示画面の隣接するN個の画素を同一階調とする通常画面表示に対応する通常時表示データを作成し、前記表示ステップでは前記通常時表示データに基づいて前記表示画面に前記通常画面表示を画像表示し、
前記スクリーンセーバ制御ステップに基づくスクリーンセーバの制御信号が受信される場合には、前記表示データ作成ステップでは、前記N個の画素の階調を前記表示画面の一画素に割り当てることで前記通常画面表示を縮小した縮小表示に対応するスクリーンセーバ用表示データを作成し、前記表示ステップでは前記スクリーンセーバ用データに基づいて前記表示画面に前記縮小表示を画像表示することを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−54101(P2013−54101A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190618(P2011−190618)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】