説明

表示機器

【課題】効率よく入力文字を所望する文字に変換する。
【解決手段】表示機器10は、少なくとも文字に係る変換候補を表示する表示部16と、それぞれ異なる文字が割り当てられた複数の操作検出部16と、複数の操作検出部16に含まれる一の操作検出部16により操作が検出されると、操作の状態に基づいて複数の操作検出部16に含まれる他の操作検出部16を特定し、一の操作検出部16に割り当てられた文字に係る変換候補と特定された他の操作検出部16に割り当てられた文字に係る変換候補とを表示部16に表示する制御部13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも文字に係る変換候補を表示する表示部を有する表示機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末において、平仮名を漢字に変換するときに、変換すべき漢字等の文字の変換候補を表示部に表示することは周知である。たとえば、キーの押し間違いを考慮し、押下すべきキーと異なるキーが押下されても、実際に押下されたキーの周辺のキーに割り当てられた文字の変換候補を表示部に表示する携帯端末が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−304966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1によれば、操作された操作検出部の周辺の操作検出部に割り当てられた文字の変換候補を一律に表示部に表示するため、ユーザが意図した可能性の低い変換候補まで表示部に表示される。したがって、変換候補の数が増加し、意図する変換候補を効率よく得ることができないという欠点がある。
【0004】
本発明は、効率よく変換候補を表示部に表示することができる表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示機器は、少なくとも文字に係る変換候補を表示する表示部と、それぞれ異なる文字が割り当てられた複数の操作検出部と、前記複数の操作検出部に含まれる一の操作検出部により操作が検出されると、当該操作の状態に基づいて前記複数の操作検出部に含まれる他の操作検出部を特定し、前記一の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補と特定された前記他の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補とを前記表示部に表示する制御部と、を有する。
【0006】
好適には、前記操作検出部は、前記操作の状態として前記操作の位置を検出し、前記制御部は、前記一の操作検出部に対する前記操作の位置に基づいて前記他の操作検出部を特定する。
【0007】
好適には、前記制御部は、前記一の操作検出部に対する前記操作の位置と前記一の操作検出部に隣接した操作検出部との間の距離に基づいて前記他の操作検出部を特定する。
【0008】
好適には、前記操作検出部は、前記操作の状態として前記操作の範囲を検出し、前記制御部は、前記一の操作検出部に対する前記操作の範囲に基づいて前記他の操作検出部を特定する。
【0009】
好適には、前記制御部は、前記操作の状態に基づいて、前記一の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補および前記他の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補の前記表示部への表示の態様を異ならせる。
【0010】
好適には、前記制御部は、所定の条件が成立した場合には、前記一の操作検出部および前記他の操作検出部の中から所定の操作検出部を特定すると共に、前記所定の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補を前記表示部に表示し、かつ、前記一の操作検出部および前記他の操作検出部に含まれる操作検出部であって前記所定の操作検出部以外のものに割り当てられた文字に係る変換候補の前記表示部への表示を抑制する。
【0011】
好適には、前記制御部は、前記一の操作検出部により操作が検出される度に、当該操作の状態に基づいて前記複数の操作検出部に含まれる他の操作検出部を特定し、前記一の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補と特定された前記他の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補とを前記表示部に表示する。
【0012】
好適には、前記複数の操作検出部は、同一平面上に配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率よく変換候補を表示部に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯端末の構成例を示す概略ブロック図である。
【0016】
図1に図示する表示機器としての携帯端末10は、アンテナ11、通信部12、制御部13、記憶部14、音声入出力部15、スピーカ(SP)15a、マイクロフォン(MIC)15b、およびタッチパネル16(操作検出部および表示部)を有する。
【0017】
携帯端末10は、本実施形態においては、携帯電話機である。携帯端末10は、たとえばPHS(Personal Handy phone System)であってもよい。携帯端末10は、音声通話、電子メールの作成とその送受信、WEB(World Wide Web)サイトの閲覧等を行う機能を有する。これらの各種機能は、制御部13の制御の下、アプリケーションプログラムによって実行される。
【0018】
アンテナ11は、本実施形態においては内蔵型アンテナである。アンテナ11は、たとえばロッドアンテナであってもよい。アンテナ11は、所定の周波数帯域における電磁波を基地局(不図示)に向けて送信、あるいは基地局から受信する。
【0019】
通信部12は、制御部13が出力した送信信号を所定の変調方式に変調し、変調した送信信号を電波信号としてアンテナ11を介して基地局に送信する。通信部12は、アンテナ11を介して基地局から受信した電波信号を変調方式に対応した復調を行い、復調した信号を受信信号として制御部13に出力する。
【0020】
制御部13は、たとえばマイクロコンピュータ、DSP等で構成されている。制御部13は、ユーザによるタッチパネル16により検出された、各種処理が適切な手順で実行されるように、携帯端末10の全般の動作を制御する。
【0021】
制御部13が行う処理には、文字変換に関する処理、変換候補を表示するための処理が含まれる。この他、制御部13が行う処理には、音声通話、電子メールやWEBの閲覧を行うためのアプリケーションの処理等が含まれる。
【0022】
制御部13が行う制御には、たとえば、通信部12の通信制御、記憶部14とのアクセス、タッチパネル16へのデータの表示、タッチパネル16の操作による文字の入力、音声入出力部15における音声処理の制御等が含まれる。
【0023】
記憶部14は、たとえば不揮発性の記憶デバイス(フラッシュメモリ)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(SRAM、DRAM)等で構成されている。
【0024】
記憶部14には、文字変換および変換候補をタッチパネル16に表示するための辞書、文字変換の履歴が登録された変換履歴、オペレーティングシステム、文字入力に関するアプリケーションプログラム等が格納されている。この他、記憶部14には、制御部13の出力結果、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータ、電話番号等で構成されたアドレス帳等が格納されている。
【0025】
音声入出力部15は、制御部13から供給されたデジタルの音声データをスピーカ15aを介して出力するため、デジタルの音声データに対して、デジタル・アナログ(D/A)変換、増幅等の信号処理を施す。
【0026】
音声入出力部15は、マイクロフォン15bから入力されたアナログの音声信号をデジタルの音声データに変換して制御部13に出力するため、アナログの音声信号に対して、増幅、アナログ・デジタル(A/D)変換、符号化等の処理を施す。
【0027】
タッチパネル16は、本実施形態においては、タッチパネル16を指で押下させて文字を入力する抵抗膜方式のタッチパネルである。タッチパネル16は、たとえば、静電容量方式、赤外線方式等、その他の方式であってもよい。
【0028】
タッチパネル16は、文字を入力するための入力装置としての機能、および文字や画像等を表示する表示装置としての機能を有する。タッチパネル16は、制御部13の制御に基づいて、入力装置および表示装置としての機能を実行する。
【0029】
上述した図1に図示する各構成要素は、図2に図示する筐体に格納されている。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る携帯端末の外観例を示す斜視図である。
【0031】
図2に図示するように、携帯端末10は、本実施形態においては、ストレート型と称される携帯端末である。携帯端末10の筐体100の上面100Fには、タッチパネル16が指で押下可能に装着されている。携帯端末10は、たとえば、2つの筐体をヒンジ部で折りたたむことができる折りたたみ型であってもよい。携帯端末10が折りたたみ型の場合、2つの筐体の少なくともいずれか一方に、タッチパネル16が搭載されている。
【0032】
タッチパネル16の上部には、スピーカ15a用の孔部101が形成され、筐体100内部の孔部101近傍には、スピーカ15aが配置されている。タッチパネル16の下部には、マイクロフォン15b用の孔部102が形成され、筐体100内部の孔部102近傍には、マイクロフォン15bが配置されている。筐体100の上面100Fまたは筐体100の側面には、不図示の電源ボタン等が配置されている。
【0033】
ここで、携帯端末10は、文字を漢字等の他の文字に変換する文字変換機能を有する。文字変換は、後述する文字変換モードに応じて実行される。
【0034】
タッチパネル16への操作は、指でタッチパネル16上に表示されたキーを軽く押下することによって行われる。この押下は、タッチパネル16が入力を検出可能であれば、接触(軽い押下等のタッチ)でもよい。指の代わりに、たとえばペン(タッチペン)を用いて文字を入力することもできる。タッチパネル16は、このような押下や接触を検出することができるように構成されている。
【0035】
このように、指で軽くタッチパネル16を押下すればよいため、感覚的な操作が可能である。この反面、タッチパネル16における操作の検出領域は、通常同一平面上に形成されるため、操作の検出領域を複数の領域(複数の操作検出部)に分割した場合であっても、各領域同士は必然的に同一平面上に配置される。
【0036】
したがって、これら複数の領域にそれぞれ異なる文字を割り当て、これら複数の領域に対する操作に応じて文字を入力する場合には、その操作が同一平面上に配置された複数の領域に跨って検出され、文字の誤入力が生じる恐れがある。携帯端末10は、このような文字の誤入力を考慮した上で文字の変換候補を提示することを特徴とする。
【0037】
以下、タッチパネル16およびタッチパネル16を用いた文字変換機能について説明する。以下の説明において、文字とは、平仮名、カタカナ、英字(アルファベット)、漢字、数字、記号等をいう。平仮名、カタカナ、英字、数字には、1バイトの文字および2バイトの文字が含まれている。ただし、ユニコードでは、半角文字は、2バイトの文字である。文字変換には、平仮名から漢字への変換だけではなく、平仮名からカタカナへの変換、平仮名から英字への変換等、種々の変換が含まれる。
【0038】
図3は、図2に図示するタッチパネルの詳細を示す模式図である。
【0039】
図3に図示するように、タッチパネル16は、操作領域ARE1と表示領域ARE2とによって構成されている。表示領域ARE2のタッチパネル16は、表示装置として機能し、本発明の表示部に対応する。
【0040】
操作領域ARE1は、通話キー、決定キー、方向キー、数字キー等、各種機能が割り当てられた複数の領域に分割されている。このように区分分けされた各領域には、それぞれ割り当てられた機能および文字の内容を示す情報が表示されている。操作領域ARE1は、3(X軸方向)×8(Y軸方向)の領域KEYに分割されている。たとえば、図3の破線で示すXa−Xb間の各領域KEYには、X軸方向に「4」キー、「5」キー、および「6」キーが割り当てられ、その割り当てられた文字の内容が表示されている。表示領域ARE2は、操作領域ARE1のキーの押下によって入力された文字、予測される文字の変換候補、文字変換後の文字、種々の画像等を表示する領域である。
【0041】
図3には、タッチパネル16に占める操作領域ARE1の面積と表示領域ARE2の面積とが互いに略同一となる場合が例示されている。タッチパネル16は、その全体を操作領域ARE1が占めることが可能であり、その全体を表示領域ARE2が占めることも可能である。無論、タッチパネル16に占める操作領域ARE1の面積と表示領域ARE2の面積との割合は、好適に設定することができる。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係るキーの文字の割り当ての一例を示す図である。
【0043】
「5」キーの文字の割り当てを例に挙げて説明する。「漢字ひらがなモード」では、「5」キーに、「な」、「に」、「ぬ」、「ね」、および「の」が割り当てられている。「カタカナモード」では、「5」キーに、「ナ」、「ニ」、「ヌ」、「ネ」、および「ノ」が割り当てられている。「英字モード」では、「5」キーに、「j」、「k」、「l」、「J」、「K」、「L」、および「5」が割り当てられている。「数字モード」では、「5」キーに「5」が割り当てられている。これらのモードは、ユーザによって適宜選択される。
【0044】
図5は、図2に図示するタッチパネルの構造および操作の検出方法を説明するための図3の破線Xa−Xb間における断面模式図である。ただし、図5には、入力装置としての最も単純なタッチパネルの構造が図示され、カラーフィルタ、液晶等が適宜省略されて図示されている。
【0045】
図5に図示するように、タッチパネル16は、ガラス基板161とフィルム162とが対向配置されている。ガラス基板161のフィルム162と対向する面には、ITO(Indium Tin Oxide)163が成膜されている。フィルム162のガラス基板161と対向する面にも、ITO163が成膜されている。誤接触の防止等のために、ガラス基板161とフィルム162との間に、複数のスペーサ164が配置されている。
【0046】
図5には、指でフィルム162の一部が押下操作された状態が図示されている。このとき、ガラス基板161側のITO163とフィルム162側のITO163とが押下点で接触している。タッチパネル16は、次のようにして、押下点のX座標およびY座標を検出する。
【0047】
押下点のX座標の検出時には、フィルム162側のITO163のX軸方向に電圧が印加され、フィルム162側のITO163とガラス基板161側のITO163とが押下点で導通する。このとき、フィルム162側のITO163には、X軸方向に電圧勾配が発生する。タッチパネル16は、ガラス基板161側で検出した押下点の電圧から分圧を求めることにより、押下点のX座標を検出する。
【0048】
押下点のY座標の検出時には、X座標の検出時と逆に、ガラス基板161側のITO163のY軸方向に電圧が印加される。このとき、ガラス基板161側のITO163のY軸方向に電圧勾配が発生する。タッチパネル16は、フィルム162側で検出した押下点の電圧から分圧を求めることにより、押下点のY座標を検出する。
【0049】
図6は、図3に図示するタッチパネルの一部を示す模式図である。図6には、「5」キーの周辺部のみが図示されている。
【0050】
図6に図示するように、タッチパネル16の各領域には、「1」キー〜「9」キーが表示されている。以下、「5」キーが表示されている領域KEYに着目し、「な」を入力する場合の制御部13によって実行される変換候補の表示方法について説明する。
【0051】
ユーザは、「な」を入力するため、「漢字ひらがなモード」を選択し、タッチパネル16上の「5」キーが表示されている領域を押下したものとする。このとき、タッチパネル16は、押下点PのX座標およびY座標を検出する。
【0052】
タッチパネル16は、検出した押下点Pの座標を制御部13に出力する。
【0053】
制御部13は、検出された押下点Pの座標に基づいて「5」キーに割り当てられた「な」が入力されたものと判断する。そして制御部13は、記憶部14の辞書等を参照し、入力文字「な」および「な」から予測される変換候補をタッチパネル16の表示領域ARE2に表示する。このときの表示例を図7に例示する。
【0054】
変換候補とは、たとえば、入力された文字(たとえば「な」)から予測される変換候補(たとえば「など」、「何」)のことをいう。
【0055】
図7は、本発明の実施形態に係るタッチパネルの表示例を示す図である。
【0056】
図7に図示するように、文字入力時には、タッチパネル16の表示領域ARE2が、上段Uおよび下段Dに区分されている。表示領域ARE2の下段Dには、「など」、「何」、「なかなか」等の変換候補が表示されている。変換候補の表示順序は、記憶部14に格納されている辞書、あるいは変換履歴等に従って好適に表示される。
【0057】
表示領域ARE2の上段Uには、入力文字「な」が表示されている。入力文字は、たとえば、「な」の入力後に決定キーを押下することで確定される。
【0058】
ところで、押下点Pの位置は、この領域内の中心付近に存在するとは限らない。押下点Pは、図6に例示するように、押下された領域の右下付近に存在する場合がある。この場合、ユーザは「5」キーではなく、「5」キーに隣接した「8」キーまたは「6」キーを押下しようとした可能性がある。
【0059】
そこで、制御部13は、「5」キーの領域をさらに4分割し、押下点Pが存在する分割領域に応じて変換候補を表示領域ARE2に表示する。
【0060】
図8は、本発明の実施形態に係る携帯端末における、あるキーに対する操作の状態に基づく他のキーの特定、およびそれらのキーの文字に係る変換候補の表示について説明するための図である。
【0061】
図8に図示するように、操作領域ARE1において分割された各領域は均等に4分割されている。ここでは、4つの各分割領域をKEY1〜KEY4と表すものとする。以下、図6に例示した押下点Pが、分割領域KEY4に存在する場合について説明する。
【0062】
制御部13は、タッチパネル16から出力された押下点Pの座標に基づき、分割領域KEY1〜KEY4から、押下点Pが存在する分割領域を検出する。制御部13は、押下点Pが分割領域KEY4に存在することを検出すると、その検出された位置の情報に基づいて、「5」キーが70%の可能性で押下され、「8」キーが20%の可能性で押下され、「6」キーが10%の可能性で押下されたものと判断する。
【0063】
このように、制御部13は、押下点Pが存在する分割領域の情報(操作の状態)に基づき、「5」キー以外に押下された可能性のある他の領域に割り当てられた領域を特定する。この場合、制御部13が特定した領域は、「6」キーおよび「8」キーの領域である。
【0064】
制御部13は、押下の可能性に応じて、変換候補を表示領域ARE2に表示する。具体的には、制御部13は、「5」キーの「な」、「8」キーの「や」、および「6」キーの「は」に係る変換候補をタッチパネル16の表示領域ARE2に表示する。
【0065】
たとえば、制御部13は、「な」から予測される「など」、「や」から予測される「やはり」、「は」から予測される「パソコン」等を押下の可能性に応じて、タッチパネル16の表示領域ARE2に表示する。このときの表示例を図9に例示する。
【0066】
図9は、本発明の実施形態に係る携帯端末における操作の状態に基づく変換候補の表示制御について説明するための図である。
【0067】
図9に図示するように、表示領域ARE2の下段Dには、「な」、「など」、…、「や」、「やはり」、…、「は」、「パソコン」等の変換候補が表示されている。
【0068】
変換候補は、押下された可能性が高い順に表示される。詳細には、変換候補は、押下された可能性が最も高い「5」キーの「な」、「な」から予測される語句、次に押下された可能性が高い「8」キーの「や」、「や」から予測される語句、最後に「6」キーの「は」、「は」から予測される語句の順に表示される。なお、語句とは、「など」のように、文字の集合である。
【0069】
変換候補の表示数を押下された可能性に応じて異ならせても良い。「5」キーが押下された可能性は最も高く、「6」キーが押下された可能性は最も低い。そこで、素早く入力文字を確定するために、「6」キーの「は」から予測される表示すべき変換候補の数は、「5」キーの「な」から予測される語句の数より少ない方が望ましい。
【0070】
押下点Pが2つの領域KEYの境界上に存在する場合について例を挙げて説明する。押下点Pが、たとえば、「5」キーの領域KEYと「6」キーの領域KEYとの境界上に存在する場合、制御部13は、「5」キーが50%の可能性で押下され、「6」キーが50%の可能性で押下されたものと判断する。
【0071】
押下点Pが他の分割領域に存在する場合についても、制御部13は、上述した方法と同様に変換候補をタッチパネル16の表示領域ARE2に表示する。たとえば、押下点Pが分割領域KEY1に存在する場合、制御部13は、「5」キーが70%の可能性で押下され、「2」キーが20%の可能性で押下され、「4」キーが10%の可能性で押下されたものと判断する。
【0072】
分割領域KEY1〜KEY4に応じた押下の可能性は、好適に設定することができる。たとえば、押下点Pが分割領域KEY4に存在する場合、制御部13は、「5」キーが60%の可能性で押下され、「8」キーが20%の可能性で押下され、「6」キーが5%の可能性で押下され、「9」キーが5%の可能性で押下されたものと判断することができる。
【0073】
このように、制御部13は、この押下の可能性に応じて、他の文字が割り当てられた領域を特定し、押下された領域に割り当てられた文字に係る変換候補および特定された領域に割り当てられた他の文字に係る変換候補を表示領域ARE2に表示する。
【0074】
図10は、本発明の実施形態に係る携帯端末における変換候補の絞り込み処理について説明するための図である。
【0075】
変換候補が表示領域ARE2に表示された後、複数表示された変換候補の中から素早く所望する文字または語句を確定するため、制御部13は、絞り込み処理を行うことができる。
【0076】
具体的には、図10に図示するように、ユーザが表示領域ARE2の下段Dに表示されている「な」をタッチすると、制御部13は、表示領域ARE2の上段Uに、「「な」に絞る?」という誘導メッセージを表示する。ユーザが、この誘導メッセージに従い、決定キーを押下すると、表示領域ARE2の上段Uには、「な」および「な」に係る語句のみが表示され、その他の変換候補の表示が消去される(抑制される)。
【0077】
このように、表示されている複数の変換候補の中から、ある1つのキーに割り当てられた文字に係る変換候補のみを残し、他の変換候補を消すことで、ユーザは所望する変換候補を効率よく得ることができる。
【0078】
なお、ここでは絞り込みの手段として表示領域ARE2の下段Dに誘導メッセージを表示したが、たとえば、表示領域ARE1上の「電話帳」キーや「アプリ」キーの表示をこのような「「な」に絞る?」の表示に変更するようにしてもよい。
【0079】
携帯端末10の動作例について説明する。以下の説明では、ユーザが「5」キーを押下したものとする。
【0080】
図11は、本発明の実施形態に係る携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
【0081】
図11に図示するように、文字の入力が開始されると(ステップST1)、ユーザは、タッチパネル16の操作領域ARE1を操作し、入力すべき文字が割り当てられたキーを押下する。
【0082】
タッチパネル16は、押下点PのX座標およびY座標を検出し、検出した押下点Pの座標を制御部13に出力する(ステップST2)。
【0083】
その後、制御部13は、タッチパネル16から出力された押下点Pの座標に基づいて、いずれの領域が押下されたかを検出する。そして、制御部13は、押下点Pが存在する分割領域に基づき、押下された可能性のあるキーを特定する(ステップST3)。
【0084】
この場合、制御部13が特定した領域は、「6」キーおよび「8」キーの領域である。
【0085】
制御部13は、押下の可能性に応じて、押下されたキーおよび特定されたキーの文字に係る変換候補を表示領域ARE2に表示する(ステップST4)。
【0086】
押下されたキーおよび特定された他のキーに割り当てられた文字に係る変換候補が表示領域ARE1に表示された後、制御部13は、押下されたキーの文字および特定された他のキーの文字の中から、ある1つのキーの文字を選択する絞り込み処理が行われたかどうかを判断する(ステップST5)。
【0087】
ステップST5において絞り込み処理が行われ、1つのキーが選択された場合には(Yes)、制御部13はそのキーに割り当てられた文字に係る変換候補を表示領域ARE2に表示すると共に他のキーに割り当てられた文字に係る変換候補を表示領域ARE2から消去する。つまり、制御部13は、表示領域ARE2に表示された変換候補の表示制御を行う(ステップST6)。
【0088】
一方、ステップST5において絞り込み処理が行われない場合(No)には、制御部13は、かかる変換候補の表示制御を行うことなくステップST7に進む。
そして、ステップST7においては、表示された変換候補から一の変換候補が選択および決定されたか否かが判定され、一の変換候補の選択および決定が、タッチパネル16に対する操作に応じて行われた場合には、その変換候補を確定し、処理を終了する(ステップST8)。
【0089】
以上詳細に説明したように、携帯端末10によれば、制御部13が、押下されたキーに対する操作の状態に基づいて他のキーを特定する。このとき、制御部13は、押下されたキーに割り当てられた文字の変換候補だけではなく、特定した他のキーに割り当てられた文字の変換候補もタッチパネル16の表示領域ARE2に表示し、押下されたキーに対する操作の状態に基づいて変換候補の表示を抑制する。
【0090】
これにより、効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。特に、タッチパネル16は、キーが同一平面上に配置されているため、他のキーと区別することが難しく、キーの押し間違いが発生しやすい。しかし、携帯端末10によれば、タッチパネル16を用いた場合であっても、操作性を損なうことなく、効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。
【0091】
携帯端末10は、絞り込み処理を行うため、ユーザの意図しない不要な変換候補を削減することができ、素早く所望する文字を確定することができる。
【0092】
(変形例1)
変形例1は、図11に図示するステップST3において、制御部13が他のキーを特定する際に、押下されたキーの押下点と、押下されたキーに隣接した他のキーの中心点との距離から押下された可能性の高いキーを絞り込むものである。
【0093】
図12は、本発明の変形例に係るタッチパネルの一部を示す模式図である。図12には、「5」キーの周辺部のみが図示されている。
【0094】
以下、「5」キーが表示されている領域KEYに着目し、最も単純な例を挙げて説明する。
【0095】
押下点は、図12に図示する「5」キーの中央下部の押下点P1であったものとする。制御部13は、押下点P1の座標と「5」キーに隣接した各キーの中心点の座標との距離を算出する。このとき、算出された押下点P1と他のキーの中心点との距離のうち、押下点P1と「8」キーの中心点P2との距離が最も短い。
【0096】
そこで、制御部13は、「5」キーおよび「8」に割り当てられた文字に係る変換候補をタッチパネル16の表示領域ARE2に表示する。
【0097】
これにより、更に効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。
【0098】
(変形例2)
変形例2は、図11に図示するステップST3において、制御部13が押下されたキーに隣接した他のキーを特定する際に、押下されたキーの押下範囲から、押下されたキーに隣接した他のキーを特定するものである。
【0099】
図13は、本発明の変形例に係るタッチパネルの一部を示す模式図である。図13には、「5」キーの周辺部のみが図示されている。
【0100】
以下、「5」キーが表示されている領域KEYに着目し、最も単純な例を挙げて説明する。
【0101】
図13に図示するように、指による押下の場合、押下部分はある程度の面積をもつ。そこで、制御部13は、押下点Pを検出すると共に、押下された押下範囲REGを検出する。
【0102】
この場合、押下範囲REGは、図8における分割領域KEY2とKEY4に及んでいる。
制御部13は、押下範囲REGが及ぶ分割領域の情報(操作の状態)に基づいて他のキーを特定し、「5」キーが70%、「6」キーおよび「8」キーがそれぞれ15%の可能性で押下されたものと判断する。そして、制御部13は、「5」キー、「6」キーおよび「8」キーに割り当てられた文字に係る変換候補をタッチパネル16上の表示領域ARE2に表示する。
【0103】
これにより、指による押下の場合でも、効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。
【0104】
(変形例3)
変形例3は、図11に図示するステップST4において、制御部13が変換候補をタッチパネル16の表示領域ARE2に表示する際に、押下の可能性に応じて表示する変換候補の文字の大きさを変化させる。
【0105】
制御部13は、押下の可能性が最も高い変換候補の文字を、押下の可能性が最も低い変換候補の文字よりも大きく表示する。図9に図示する場合を例に挙げて説明すると、制御部13は、「な」および「な」から予測される語句を「や」および「や」から予測される語句よりも大きく表示領域ARE2に表示する。
【0106】
これにより、視覚的に効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。
【0107】
他の変形例として、制御部13がキー操作の時間(操作の状態)に応じて変換候補をタッチパネル16の表示領域ARE2に表示することができる。
【0108】
図11に図示するステップST4において、変換候補がタッチパネル16の表示領域ARE2に表示され、一定時間(たとえば3秒)経過したとき、制御部13は、押下の可能性が最も高い変換候補のみを表示領域ARE2に表示する。
【0109】
これにより、効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。
【0110】
他の変形例として、本発明に係る表示機器は、図14に図示する携帯端末10aに適用することができる。図14には、折りたたみ型の携帯端末10aが例示されている。携帯端末10aは、表示部17と操作検出部としての複数のキー18を有する。このような、タッチパネル上のキーでないキーを有する携帯端末であっても、効率よく入力文字を所望する文字に変換することができる。
【0111】
本発明に係る表示機器は、携帯電話機等の携帯端末だけではなく、PDA(Personal Digital Assistant)、現金自動預け払い機等、タッチパネルを採用した種々の表示機器に適用することができる。
【0112】
なお、本実施形態においては、図11におけるステップST1〜ステップST8において示した通り、タッチパネル16に対して操作が行われた場合、その操作が行われた領域に割り当てられた文字に係る変換候補と操作の状態に基づいて特定された他の領域に割り当てられた文字に係る変換候補とを表示領域ARE2に表示した上で、決定キーの操作により一の変換候補が確定される態様について開示したが、本発明はこれに限らず、決定キーの操作により一の変換候補が確定される前に、続けて他の操作が行われた場合には、当該他の操作についてもステップST1〜ステップST8における処理がそのまま適用可能である。
【0113】
つまりこの場合には、表示領域ARE2に、当該他の操作が行われた領域に割り当てられた文字に係る変換候補と当該他の操作の状態に基づいて特定された他の領域に割り当てられた文字に係る変換候補とが表示されることとなる。
【0114】
このように、本発明は、タッチパネル16により操作が検出される度に、ステップST1〜ステップST8までの処理を適用することができる。こうすることにより、文字が入力される度に押し間違いを考慮した変換候補を表示領域ARE2に表示することができ、ユーザは安心して文字を入力することができる。
【0115】
なお、このように入力された文字の変換候補が確定される前に次の文字が入力された場合には、最後に入力された文字の押し間違いのみを考慮した変換候補の表示を行い、それまでに入力された文字については押し間違いを考慮した変換候補の表示をしないように構成してもよい。こうすることにより、押し間違いを考慮した変換候補の表示が可能にする一方で、無駄な変換候補が表示領域ARE2に表示されるのが抑制され、変換候補の視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の構成例を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の外観例を示す斜視図である。
【図3】図2に図示するタッチパネルの詳細を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るキーの文字の割り当ての一例を示す図である。
【図5】図2に図示するタッチパネルの構造および操作の検出方法を説明するための図3の破線Xa−Xb間における断面模式図である。
【図6】図3に図示するタッチパネルの一部を示す模式図である。図6には、「5」キーの周辺部のみが図示されている。
【図7】本発明の実施形態に係るタッチパネルの表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る携帯端末における、あるキーに対する操作の状態に基づく他のキーの特定、およびそれらのキーの文字に係る変換候補の表示について説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態に係る携帯端末の予測変換候補の処理について説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態に係る携帯端末における変換候補の絞り込み処理について説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態に係る携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の変形例に係るタッチパネルの一部を示す模式図である。
【図13】本発明の変形例に係るタッチパネルの一部を示す模式図である。
【図14】本発明の変形例に係る携帯端末の外観例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
10…携帯端末、11…アンテナ、12…通信部、13…制御部、14…記憶部、15…音声入出力部、15a…スピーカ、15b…マイクロフォン、16…タッチパネル、100…筐体、100F…上面、101…孔部、102…孔部、161…ガラス基板、162…フィルム、163…ITO、164…スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも文字に係る変換候補を表示する表示部と、
それぞれ異なる文字が割り当てられた複数の操作検出部と、
前記複数の操作検出部に含まれる一の操作検出部により操作が検出されると、当該操作の状態に基づいて前記複数の操作検出部に含まれる他の操作検出部を特定し、前記一の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補と特定された前記他の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補とを前記表示部に表示する制御部と、
を有する表示機器。
【請求項2】
前記操作検出部は、
前記操作の状態として前記操作の位置を検出し、
前記制御部は、
前記一の操作検出部に対する前記操作の位置に基づいて前記他の操作検出部を特定する
請求項1記載の表示機器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記一の操作検出部に対する前記操作の位置と前記一の操作検出部に隣接した操作検出部との間の距離に基づいて前記他の操作検出部を特定する
請求項2記載の表示機器。
【請求項4】
前記操作検出部は、
前記操作の状態として前記操作の範囲を検出し、
前記制御部は、
前記一の操作検出部に対する前記操作の範囲に基づいて前記他の操作検出部を特定する
請求項1記載の表示機器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記操作の状態に基づいて、前記一の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補および前記他の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補の前記表示部への表示の態様を異ならせる
請求項1から4のいずれか一に記載の表示機器。
【請求項6】
前記制御部は、
所定の条件が成立した場合には、前記一の操作検出部および前記他の操作検出部の中から所定の操作検出部を特定すると共に、前記所定の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補を前記表示部に表示し、かつ、前記一の操作検出部および前記他の操作検出部に含まれる操作検出部であって前記所定の操作検出部以外のものに割り当てられた文字に係る変換候補の前記表示部への表示を抑制する
請求項1から4のいずれか一に記載の表示機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記一の操作検出部により操作が検出される度に、当該操作の状態に基づいて前記複数の操作検出部に含まれる他の操作検出部を特定し、前記一の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補と特定された前記他の操作検出部に割り当てられた文字に係る変換候補とを前記表示部に表示する
請求項1から6のいずれか一に記載の表示機器。
【請求項8】
前記複数の操作検出部は、同一平面上に配置されている
請求項1から7のいずれか一に記載の表示機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−55434(P2010−55434A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220581(P2008−220581)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】