説明

表示素子内封繊維の製造方法

【課題】 複合紡糸の安定性を向上させ、かつ複合紡糸と簡単な工程のみで、表示素子内封繊維を簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】 表示素子が独立して回転可能な表示素子内封繊維の製造方法において、表示素子形成樹脂として破断伸度が4%以下の熱可塑性樹脂、繊維形成樹脂として破断伸度が10%以上の熱可塑性樹脂を使用し、表示素子形成樹脂、表示素子形成樹脂の外周に内液、さらにその外周に繊維形成樹脂を配置する複合紡糸ノズルを使用し、該ノズルから表示素子形成樹脂、内液及び繊維形成樹脂を押し出すことによって繊維形成樹脂が鞘部を形成し、内液で覆われた表示素子形成樹脂フィラメントが芯部を形成した表示素子内封繊維の前駆体を得た後、次いで該前駆体を屈曲させることにより表示素子形成樹脂フィラメントを所望の長さに切断して表示素子を形成させる表示素子内封繊維の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ、携帯電話や電子ブックのディスプレイなどの情報表示装置の用途、表示機能や装飾機能を有する衣類、壁紙、インテリア材、幕、旗などの用途に利用可能な表示素子内封繊維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる薄型の表示装置の開発研究が盛んに行なわれている。これらの表示装置は一般に電界、磁界、熱などの刺激を表示素子に印加し、表示素子の状態を変化させることで表示機能を示す。この中で2色以上の異なる色の領域に区分した表示素子に電界を印加し、表示素子を回転させることにより所望の表示画像を得るツイストボール方式が提案されている(例えば特許文献1、2)。
これらの表示装置を製造する1手段として表示素子を内包した繊維を利用する方法が提案されている(特許文献3)。この製造例として、中空繊維の中空部に表示素子分散液を導入する方法や中間層に表示素子樹脂を複合紡糸し、複合糸の断面を一部切断して表示素子樹脂を表示素子樹脂の溶剤で一部溶出させたり、表示素子樹脂を光溶解させる方法などが提案されている。しかしながら、複合紡糸を行なった場合、表示素子、鞘成分の長手方向の太さ斑、表示素子部と鞘成分との融着などが発生しやすいのみならず、繊維化するため製造工程が煩雑で、かつ非常にコスト高になる欠点がある。
【特許文献1】米国特許第4126854号明細書
【特許文献2】特開平11−175003号
【特許文献3】特開2002−202536号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の課題を解決しようとするものであり、複合紡糸の安定性を向上させ、かつ複合紡糸と簡単な工程のみで、情報表示装置の用途、表示機能や装飾機能を有する衣類、壁紙、インテリア材、幕などの用途に利用可能な表示素子内封繊維を簡便で安価に製造する方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)鞘部に繊維形成樹脂、芯部に表示素子と該表示素子を覆った内液とを有し、かつ表示素子が独立して回転可能な表示素子内封繊維の製造方法において、表示素子形成樹脂として引張破断伸度が4%以下の熱可塑性樹脂、繊維形成樹脂として引張破断伸度が10%以上の熱可塑性樹脂を使用し、表示素子形成樹脂、表示素子形成樹脂の外周に内液、さらにその外周に繊維形成樹脂を配置できる複合紡糸ノズルから表示素子形成樹脂、内液及び繊維形成樹脂を押し出して、繊維形成樹脂の鞘部と内液で覆われた表示素子形成樹脂フィラメントの芯部とを有する表示素子内封繊維前駆体を得た後、次いで該前駆体を屈曲させることにより、表示素子形成樹脂フィラメントを該フィラメントの直径(d2)の0.7〜3倍の長さに切断し、独立して回転可能な表示素子を形成させることを特徴とする表示素子内封繊維の製造方法。
(2)繊維形成樹脂の溶融粘度の活性化エネルギーが表示素子形成樹脂の溶融粘度の活性化エネルギーよりも小さいことを特徴とする前記(1)記載の表示素子内封繊維の製造方法。
(3)繊維形成樹脂のガラス転移点が0℃以下で、表示素子形成熱可塑性樹脂のガラス転移点が80℃以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の表示素子内封繊維の製造方法。
(4)表示素子形成樹脂フィラメントが少なくとも2色の複合フィラメントである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の表示素子内封繊維の製造方法。
(5)前記表示素子内封機能繊維の前駆体を屈曲させるに際し、前駆体を内液の融点よりも低い温度に冷却させることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の表示素子内封繊維の製造方法。
(6)前駆体を屈曲させる際の前駆体の屈曲部の曲率半径Rが以下の条件を満たすことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の表示素子内封繊維の製造方法。
1/E1> R >(T1+d2)/E2
(ただし、E1は繊維形成樹脂の引張破断伸度/100、d1は表示素子内封繊維の直径(μm)、E2は表示素子形成樹脂の引張破断伸度/100、d2は表示素子形成樹脂フィラメントの直径(μm)、T1は表示素子内封繊維の中空部膜厚(μm)である。)
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、芯部の表示素子樹脂が細化が速く、かつ内液に囲まれて、鞘成分の繊維形成樹脂とともに複合紡糸されるため、繊維の長手方向の太さ斑及び表示素子部と鞘成分との融着などが飛躍的に軽減でき、表示素子が電界などの印加によって回転可能な表示素子内封繊維が安価に製造可能である。また、芯部の表示素子形成樹脂として破断伸びが小さい樹脂を選定し、かつ鞘部の熱可塑性樹脂として破断伸びが大きい樹脂を選定しているため、複合紡糸した前駆体繊維を内液が固化するような条件で屈曲させることによって表示素子形成樹脂フィラメントのみを所望の長さに切断できるため、電界の印加などによって回転可能な表示素子を簡便に形成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における表示素子形成樹脂とは、引張破断伸度(ASTM D 638に準拠)が4%以下の熱可塑性樹脂であり、好ましくは3%以下である。破断伸度が4%を超えると、後の表示素子樹脂フィラメントの表示素子への屈曲による切断工程で切断が困難になる。
また、表示素子形成樹脂のガラス転移点は、80℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。
また、表示素子形成樹脂は、溶融粘度の活性化エネルギーが繊維形成熱可塑性樹脂よりも高いことが必要である。吐出温度、吐出量、紡糸速度などの条件が同じであれば、溶融粘度の活性化エネルギーが高い程、ノズルから溶融吐出された樹脂は、よりノズルに近い上流側で細化が完了する。このため、表示素子形成樹脂は、繊維形成熱可塑性樹脂より細化が早く完了し、太細斑の発生を抑制することができ、鞘部の繊維形成熱可塑性樹脂の紡糸斑などの影響を受けにくくなる。
繊維形成熱可塑性樹脂の溶融粘度の活性化エネルギーが低すぎる場合、先に細化した表示素子との融着が起こりやすく、溶融粘度の活性化エネルギーが高すぎると表示素子樹脂の細化が完了した時点での表示素子形成樹脂と繊維形成熱可塑性樹脂との吐出速度差が大きくなりすぎて表示素子形成樹脂フィラメント斑の原因となる。
【0007】
表示素子形成樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステルおよびその共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミドおよびその共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン系ポリマーなどで透明性が高く、切断工程で切断されやすいように破断伸度を低く設定されたポリマーが好ましい。特に、ノルボルネンとエチレンをメタロセン触媒にて共重合した環状オレフィンコポリマーで、環状オレフィンの含有率が高いものが所望の長さに切断しやすいため好ましい。また、顔料、染料などの着色材料や荷電粒子を混練することによって破断伸度を低く設定することも可能である。
【0008】
また、表示素子形成樹脂フィラメントは、電界印加特性と色が異なる少なくとも2種類の成分が複合された複合フィラメントであることが好ましい。表示素子の安定性、真円性、各成分の接着性などの観点から各成分は同一の熱可塑性樹脂に異なる顔料、染料などの着色材料や荷電粒子を混練したものであることが好ましい。
【0009】
本発明における繊維形成熱可塑性樹脂とは、破断伸度(ASTM D 638に準拠)が10%以上であることが必要である。10%未満では後の屈曲させることによる切断工程で鞘部が損傷を受けてしまい破裂、切断などの問題が生ずる。
また、繊維形成熱可塑性樹脂は、表示素子形成樹脂フィラメントの切断工程で損傷を受けないようにできるものであれば用いること可能であるが、切断工程を内液の融点以下に冷却して実施する場合は、ガラス転移点が10℃以下であることが好ましく、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である。
また、繊維形成熱可塑性樹脂は、透明性が高いことが好ましいが、光線透過率が70%以上であれば特に問題ないが、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。
【0010】
繊維形成熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステルおよびその共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミドおよびその共重合体などが挙げられる。
これらの中で、紡糸性、透明性などに優れる点でメタロセン触媒によるポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ランダム共重合体が好ましい。
【0011】
本発明における内液とは、表示素子を覆って繊維内に内封されて表示素子が電界の印加などの外部からの何らかの駆動力によって独立して回転できるように潤滑剤の役割を果たすことができるもので、繊維形成熱可塑性樹脂や表示素子を膨潤させず、表示素子中に分散している着色材料や荷電粒子を溶出しない常温で液体の公知の化合物を使用できる。繊維形成熱可塑性樹脂や表示素子の種類によって適宜選択されるが、シリコンオイル、パラフィン類、ワックス類などの常温で液体の潤滑剤などであるが、耐熱性、粘度安定性などの点でシリコンオイルが好ましい。
【0012】
本発明における表示素子形成樹脂フィラメントは、少なくとも2色の複合フィラメントであることが好ましい。複合フィラメントは、断面が少なくとも2色に区分けされ、色以外に電気特性、磁気特性、光学特性、熱特性などの何らかの特性が異なるように複合紡糸することによって形成される。この色や特性の付与は、表示素子形成樹脂に、公知の着色剤、導電性粒子、磁性粒子などの添加剤を配合することで達成できる。
この複合紡糸は、公知の複合紡糸を採用することができるが、本発明においては、さらに、ノズル面で複合フィラメントの外周に内液を配置し、さらにその外周に繊維形成熱可塑性樹脂による鞘部を配置するように、例えば、図1に示したような複合紡糸ノズルを使用して複合紡糸される。表示素子部と内液は同心円状に配置されていなければならない。同心円状に配置されていないと表示素子の断面形状が円形とならず、ディスプレイとしたときの欠点となる。
【0013】
本発明において紡糸速度は10〜1000m/min以下であることが好ましい。10m/min未満では内液が繊維形成部、表示素子部より常に速く落下することになるため、斑の多い繊維となってしまう。逆に1000m/minを超えると、内液より表示素子部、鞘部が速く細化してしまい斑が大きくなってしまう。
複合紡糸ノズルから押し出されて繊維形成樹脂が鞘部を形成し、内液で覆われた表示素子形成樹脂フィラメントが芯部を形成した芯鞘型複合繊維、すなわち、表示素子内封繊維の前駆体は、表示素子形成樹脂フィラメントのみがフィラメントの直径(d2)の0.7〜3倍の長さに切断されて表示素子内封フィルムとなる。切断の長さは、視認性、回転性の点で(d2)〜2(d2)程度が好ましい。
【0014】
前駆体中の表示素子形成樹脂フィラメントを所定の長さに切断する方法としては、例えば図2のように、ローラーとピンを利用して、前駆体繊維を表示素子形成樹脂フィラメントの屈曲伸び限界以上に屈曲させて表示素子形成樹脂フィラメントを破断させる方法が好ましい。表示素子形成樹脂フィラメントを破断を効率的に進行させるためには、前駆体を巻き取り装置に引取る前の任意の地点で内液の固化点以下に冷却することが好ましい。冷却することにより内液が固化し芯部の表示素子部分に張力が一定の場所で印加できる。冷却が不十分であると、張力印加の場所が一定せず、表示素子部分の太細斑が発生することがある。冷却は空冷でも液体を用いて冷却してもかまわないし、チルロールを用いてもかまわないが内液の固化点が低いことから生産性の観点で液体で冷却することが好ましい。また、繊維形成樹脂が固化する前から冷却を開始してもかまわない。
【0015】
本発明において屈曲させることで表示素子成分のみ切断するとき、以下の曲率半径Rに前駆体繊維を折り曲げることが好ましい。
1/E1> R >(T1+d2)/E2
(ただし、E1は繊維形成樹脂の引張破断伸度/100、d1は表示素子内封繊維の直径(μm)、E2は表示素子部の引張破断伸度/100、d2は表示素子形成樹脂フィラメントの直径(μm)、T1は表示素子内封繊維の中空部膜厚(μm)である。)
上記曲率半径が左項以上の場合、鞘部がダメージを受けてしまう。また、曲率半径Rが上記右項以下の場合、表示素子形成樹脂フィラメントの切断不良が起こる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例で本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種特性や評価方法は下記の方法に従った。
・溶融粘度の活性化エネルギーの測定:孔径1mm、孔長2mmのノズルより吐出量1ml/minで吐出した時の圧力Pから次式で樹脂の溶融粘度ηを求める。
η=P*π×10-4/256
測定可能な範囲で温度を変更して各温度での粘度をアレニウスプロットし、その傾きから活性化エネルギーを求めた。
【0017】
・引張破断伸度:ASTM D 638に準拠した。
・糸径の測定:本発明の繊維をスライドガラスとカバーガラスの間にツエーデル油で満たして挟みこみ、光学顕微鏡(Nikon社、Optiphoto(R))を用いて繊維の外径と内径、表示素子部の外径を測定した。この操作を繊維の任意の場所100箇所で測定を行い、算術平均および標準偏差を得た。
【0018】
実施例
繊維形成樹脂としてエチレン・プロピレン・ランダムコポリマー(日本ポリプロ社製 ウインテック)を用い、内液としてシリコンオイル(信越シリコーン社製 HIVAC F−4)を用い、表示素子部の黒色部として環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチック製TOPAS5013)に黒色荷電粒子(オリエント化学工業社製BONTRON S34)を2軸混練機により分散させたものを使用し、表示素子部の白色部として環状オレフィンコポリマー(ポリプラスチック社製TOPAS5013)に酸化チタンを2軸混練機により分散させたものを使用して、紡糸温度260℃にて複合紡糸し、ノズルから200cmの位置に−50℃に冷却したメタノールを配置し、紡糸速度500m/minで紡糸を行なった。ポリマーの特性、紡糸条件を表1および表2に示す。
得られた繊維の特性は表に記載の通り表示素子部と鞘部の融着も無く、繊維の斑も少ない糸であった。
引き続き得られた前駆体繊維を図2に示す装置を用いて表3の条件(ピン直径5mm)で屈曲させ、前駆体繊維中に内封された表示素子樹脂フィラメントを破断させて表示素子を形成させた。得られた表示素子内封繊維の内容を表4に示した。
なお、d1/E1> R >(T1+d2)/E2
(ただし、E1は繊維形成樹脂の引張破断伸度/100、d1は表示素子内封繊維の直径(μm)、E2は表示素子形成樹脂の引張破断伸度/100、d2は表示素子形成樹脂フィラメントの直径(μm)、T1は表示素子内封繊維の中空部膜厚(μm)である。)に関しては、
R=2.5mmで、d1/E1=56.8μm、(T1+d2)/E2=5.3mmであり、上記関係式を満足している。
さらに、得られた繊維を5cm角の鉄板上に平行に並べ、接着剤で固定した後もう一枚の鉄板で挟み、鉄板間に100Vの電圧を印加した。表示素子は全て同一方向に回転し、欠点は無かった。さらにまた、電極を逆に結線し上記と逆方向に100Vの電圧を印加したところ、表示素子はすべて反転し欠点は無かった。
【0019】
比較例
繊維形成樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用い、表示素子形成樹脂としてポリアミド6を使用し、紡糸温度を280℃にすること以外は実施例と同様の方法で複合紡糸を行なった。
得られた繊維は鞘部と表示素子部との融着が長い区間にわたって発生していた。得られた繊維の特性を表4に示した。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、複合紡糸と簡単な製造工程で表示機能を発現する表示素子内封繊維を簡便に製造することができる。本発明で得られた表示素子内封繊維は、電界の印加などによって表示機能を発現するため、情報表示装置への利用のみならず、表示機能や装飾機能を有する衣類、壁紙、インテリア材、幕、旗などの用途に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明で使用する複合紡糸ノズル部(概略模式断面)の一例における各構成成分の導入から吐出までの流れを示す説明図である。
【図2】表示素子内封繊維の前駆体を屈曲させて表示素子内封繊維とする工程を示す模式図である。
【符号の説明】
【0026】
1:表示素子形成樹脂の第1成分導入口
2:表示素子形成樹脂の第2成分導入口
3:内液導入口
4:繊維形成樹脂導入口
5:内液吐出口
6:繊維形成樹脂吐出口
7:表示素子形成樹脂フィラメント(芯部)
8:内液
9:繊維形成樹脂(鞘部)
10:ダイ
11:供給ローラー
12:表示素子内封繊維前駆体
13:第1ローラー 、13': 第1ローラーのゴム層
14:第2ローラー 、14': 第2ローラーのゴム層
15:ピン
16:表示素子内封繊維
17:巻取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞘部に繊維形成樹脂、芯部に表示素子と該表示素子を覆った内液とを有し、かつ表示素子が独立して回転可能な表示素子内封繊維の製造方法において、表示素子形成樹脂として引張破断伸度が4%以下の熱可塑性樹脂、繊維形成樹脂として引張破断伸度が10%以上の熱可塑性樹脂を使用し、表示素子形成樹脂、表示素子形成樹脂の外周に内液、さらにその外周に繊維形成樹脂を配置できる複合紡糸ノズルから表示素子形成樹脂、内液及び繊維形成樹脂を押し出して、繊維形成樹脂の鞘部と内液で覆われた表示素子形成樹脂フィラメントの芯部とを有する表示素子内封繊維前駆体を得た後、次いで該前駆体を屈曲させることにより、表示素子形成樹脂フィラメントを該フィラメントの直径(d2)の0.7〜3倍の長さに切断し、独立して回転可能な表示素子を形成させることを特徴とする表示素子内封繊維の製造方法。
【請求項2】
繊維形成樹脂の溶融粘度の活性化エネルギーが表示素子形成樹脂の溶融粘度の活性化エネルギーよりも小さいことを特徴とする請求項1記載の表示素子内封繊維の製造方法。
【請求項3】
繊維形成樹脂のガラス転移点が0℃以下で、表示素子形成熱可塑性樹脂のガラス転移点が80℃以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の表示素子内封繊維の製造方法。
【請求項4】
表示素子形成樹脂フィラメントが少なくとも2色の複合フィラメントである請求項1〜3のいずれかに記載の表示素子内封繊維の製造方法。
【請求項5】
前記表示素子内封繊維の前駆体を屈曲させるに際し、前駆体を内液の融点よりも低い温度に冷却させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表示素子内封繊維の製造方法。
【請求項6】
前駆体を屈曲させる際の前駆体の屈曲部の曲率半径Rが以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表示素子内封繊維の製造方法。
1/E1> R >(T1+d2)/E2
(ただし、E1は繊維形成樹脂の引張破断伸度/100、d1は表示素子内封繊維の直径(μm)、E2は表示素子形成樹脂の引張破断伸度/100、d2は表示素子形成樹脂フィラメントの直径(μm)、T1は表示素子内封繊維の中空部膜厚(μm)である。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−284836(P2007−284836A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115526(P2006−115526)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】