表示素子
【課題】表示ムラが少なく、良好な色味の明るい表示の表示素子の実現。
【解決手段】透明基材11で形成された2枚の基板と、基板間に挟持され、電圧によって反射率、透過率または偏光状態が変化する光媒体3を有する光媒体層と、を有し、各基板は、光媒体層に面する側の表面上に形成された屈折率が1.8以上の透明平板電極12と、透明平板電極上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極20と、を有する表示素子。
【解決手段】透明基材11で形成された2枚の基板と、基板間に挟持され、電圧によって反射率、透過率または偏光状態が変化する光媒体3を有する光媒体層と、を有し、各基板は、光媒体層に面する側の表面上に形成された屈折率が1.8以上の透明平板電極12と、透明平板電極上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極20と、を有する表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ディスプレイの表示方式の1つに、透明基材上に透明平板電極を成膜した2枚の基板の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体を挟持し、2枚の基板の透明平板電極間への電圧の印加によって、表示を制御する方式がある。この表示方式は、さらに、表示素子の背面に光源を設け、光媒体の透過状態を制御することにより光源からの光の透過を制御して表示を行う透過型と、表示素子の観察面側から入射する光の反射状態を制御することにより表示を行う反射型と、に分けられる。
【0003】
図1は、このような表示方式の表示素子の基本構成を示す図であり、(A)が基本構成を示し、(B)が基板の構成を示す。
【0004】
図1の(A)に示すように、2枚の基板1および2の間に光媒体3を挟持し、2枚の基板1、2の光媒体3に接する側の表面に形成された透明平板電極に、駆動電圧源4から電圧を印加する。ここでは、基板1を観察面側の基板として上側基板と称し、基板2を観察面と反対側の基板として下側基板と称する。
【0005】
図1の(B)に示すように、上側基板1および下側基板2は、透明基材11と、光媒体3に面する側の表面に形成された透明平板電極12と、を有する。
【0006】
透過型の表示素子においては、下側基板2の背面に光源を設ける。カラー表示を行う透過型の表示素子においては、透明平板電極を複数のグループに分割し、各グループに対応させてカラーフィルタを設ける。一方、反射型の表示素子においては、光源を設ける必要は無く、使用環境において観察面へ入射する光を利用し、光媒体を透過した光を吸収する光吸収層が下側基板2の背面に設けられる。カラー表示を行う反射型の表示素子においては、透過型と同様にカラーフィルタを設けるものもあるが、表示が暗くなるという問題があるので、表示素子を複数枚積層した積層型が使用される。
【0007】
上記のような表示方式では、透過型および反射型のいずれにおいても、光学媒体に光が届く必要があるため、透明平板電極はできるだけ透過率が高いことが、黒表示時には余分な光が無いほうが良いため、透明平板電極の反射率は低いことが望ましい。
【0008】
また、透明平板電極の面積(シート)抵抗が大きい場合、透明平板電極部での電圧降下のため、外部接続端子から遠い部位と近い部位で、光学媒体に実質的に印加される電圧が異なり、表示ムラとなってしまう。端子部に近い部位と遠い部位で、印加電圧に対する応答を同じにするためには、透明平板電極の面積抵抗を所定の値以下にする必要がある。
【0009】
透明平板電極は、ITO(Indium Tin Oxide)膜、ZnO(Zinc Oxide)膜などで実現される。ITO等の透明平板電極を用いた表示素子では、透明平板電極の屈折率が1.8以上と高いために、樹脂、ガラス等の基材や光学媒体との屈折率差が大きく、透明平板電極の上下の界面で反射が大きい。また、必要な面積抵抗を実現するために、透明平板電極をある程度以上の厚さにしなくてはならないが、透明平板電極の厚さによっては、上下界面の反射光が干渉して、電極での反射光に意図しない色味がついてしまう。この電極での反射光の色味が原因で、表示素子の表示色が、目標とする色からずれるという問題があり、特に黒表示時に、電極での反射光の色味が強く現れ、きれいな黒を表示することができなかった。さらに、透明平板電極が厚くなると、光の吸収も大きくなるため、白表示時にも十分な明るさを得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−034711号公報
【特許文献2】特開2004−006249号公報
【特許文献3】特開2010−244746号公報
【特許文献4】国際公開(WO)2009/078263
【特許文献5】特開2006−236747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実施形態によれば、比較的小さな面積抵抗を有し、表面反射および光の吸収が比較的小さく、電極での反射光の色味の影響を低減した表示素子が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の観点によれば、透明基材で形成された2枚の基板と、2枚の基板間に挟持され、電圧によって反射率、透過率または偏光状態が変化する光媒体を有する光媒体層と、を有し、各基板は、光媒体層に面する側の表面上に形成された屈折率が1.8以上の透明平板電極と、透明平板電極上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極と、を有する表示素子が提供される。
【発明の効果】
【0013】
実施形態によれば、表示ムラが少なく、良好な色味の明るい表示の表示素子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、表示方式の表示素子の基本構成を示す図であり、(A)が基本構成を示し、(B)が基板の構成を示す。
【図2】図2は、第1実施形態の表示素子の基板の構成を示す図であり、(A)が断面図を、(B)が光媒体層と接する側から見た場合の上面図である。
【図3】図3は、第2実施形態の表示素子の基板の断面図である。
【図4】図4は、複数のワイヤ状電極の分布例を示す帯状電極の上面図であり、(A)が第1または第2実施形態の構成で形成した場合を、(B)が第3実施形態の場合を示す。
【図5】図5は、各ワイヤ状電極の長軸が帯状透明平板電極の長軸と45度以下の角度をなすように載置する第3実施形態の表示素子の製造方法を説明する図である。
【図6】図6は、実施例1の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【図7】図7は、実施例1の表示素子の作製方法を示す図である。
【図8】図8は、実施例1の透明平板電極の反射スペクトルを示す図である。
【図9】図9は、実施例2の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【図10】図10は、実施例2の表示素子の作製方法を示す図である。
【図11】図11は、実施例2の透明平板電極の反射スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1実施形態の表示素子は、図1の(A)に示したような、透明基材上に透明平板電極を成膜した2枚の基板1、2の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体3の層を挟持し、2枚の基板の透明平板電極間への電圧の印加によって、表示を制御する素子である。
【0016】
図2は、第1実施形態の表示素子の基板1、2の構成を示す図であり、(A)が断面図を、(B)が光媒体層3と接する側から見た場合の上面図である。
【0017】
図2の(A)に示すように、第1実施形態の表示素子の基板1、2は、透明基材11と、透明基材11の光媒体層3に面する側の表面上に形成された透明平板電極12と、透明平板電極12上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極20と、を有する。透明平板電極12は、ITO膜、ZnO膜等で実現され、屈折率が1.8以上である。
【0018】
ワイヤ状電極20の直径は300nm以下であり、このような直径が可視光波長以下のワイヤを用いることで、表示素子の光学特性に対するワイヤ状電極20の影響を少なくすることができる。また、ワイヤ状電極20は、長さが2μm〜10μmである。ワイヤ状電極20は、例えば、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、白金ナノワイヤやカーボンナノチューブ等で実現される。したがって、ワイヤ状電極20は、高導電性で、線抵抗が非常に小さい。
【0019】
図2の(B)に示すように、ワイヤ状電極20は、透明平板電極12に載置され、複数の部分で透明平板電極12に接触する。同一のワイヤ状電極20が接触した透明平板電極12の2箇所の間の抵抗は、ワイヤ状電極20により非常に小さくなる。
【0020】
図2の(A)に示すように、ワイヤ状電極20は、例えば、透明平板電極12の表面からの高さが最大でも数μm程度になるように載置される。これは、塗布材料にワイヤ状電極20を混合し、塗布材料層を所定の厚さで形成した後、塗布材料を除去することにより実現され、必要に応じて、ワイヤ状電極20を透明平板電極12に押し付ける等の処理を行ってもよい。載置された複数のワイヤ状電極20は、1つの層を成すとみなすことができる。この層の面積抵抗は、ワイヤ状電極20の密度に応じて変化する。
【0021】
透明平板電極12は、任意の厚みで成膜され、その上にワイヤ状電極20を載置して、透明平板電極12とワイヤ状電極20を合わせて所定の面積抵抗にする。このような構造にすることで、透明平板電極12を任意の厚みで成膜することができ、透明平板電極12の干渉色をコントロールすることが可能になり、色味の少ない黒表示が可能な表示素子を実現できる。
【0022】
透明平板電極12を、従来よりも薄い、干渉色が少なくなる所定の厚みで成膜した場合、透明平板電極12のみでは必要な面積抵抗Rrを実現できない。第1実施形態のように、透明平板電極12上にワイヤ状電極20を載置することで、干渉色を少なくしたまま、必要な面積抵抗Rrを得ることができる。上記のように、複数のワイヤ状電極20がなすとみなした層の平均的な面積抵抗Rwを、透明平板電極12の面積抵抗をRfとすると、Rw<Rr×Rf/(Rf−Rr)となるように設定する。これにより、実質的な面積抵抗を、必要な面積抵抗Rrより小さくできる。
【0023】
ここで、透明平板電極12と複数のワイヤ状電極20が成す層の抵抗が大きく異なる場合、一方の面積抵抗が支配的になり、両方の電極を用いる効果がなくなる。そのため、ワイヤ状電極の面積抵抗は、透明平板電極に対して0.1〜10倍程度であることが望ましい。
【0024】
なお、透明平板電極12を使用せずに複数のワイヤ状電極20のみを用いることも考えられるが、複数のワイヤ状電極20のみを用いた場合、複数のワイヤ状電極20の分布の密度ムラにより、ワイヤ同士の距離が場所によっては大きくなる。その場合、ワイヤ間の部分には十分に電圧が印加されず、光媒体3が応答しない。このようなワイヤ間の距離を十分に小さくするためには、ワイヤ状電極20を大量に用いなければならず、その場合、光の散乱を表すヘイズ値が大きくなりすぎ、黒表示時の明るさが大きくなる等の表示性能の劣化を生じる。第1実施形態では、透明平板電極12上に複数のワイヤ状電極20を配置するので、ワイヤ間に常に透明平板電極が存在するため、このような問題は生じない。
【0025】
図3は、第2実施形態の表示素子の基板の断面図である。第2実施形態の表示素子は、第1実施形態と同様に、図1の(A)に示したような、2枚の基板1、2の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体3の層を挟持し、2枚の基板間への電圧の印加によって、表示を制御する素子である。第2実施形態の表示素子の基板1、2は、図3に示すような断面構造を有し、光媒体層3と接する側から見た場合には、複数のワイヤ状電極20が図2の(B)に示すように分布している。
【0026】
第2実施形態の表示素子の基板は、複数のワイヤ状電極20が、透明平板電極12の上のワイヤ保護層21中に設けられていることが、第1実施形態と異なる。
ワイヤ保護層21は、複数のワイヤ状電極20が透明平板電極12上に載置された状態で、複数のワイヤ状電極20を含むように形成される。したがって、複数のワイヤ状電極20は、第1実施形態と同様に、複数の部分で透明平板電極12に接触する。これにより、第1実施形態と同様に、透明平板電極12の厚さを比較的薄くしても、複数のワイヤ状電極20を含むワイヤ保護層21と透明平板電極12を合わせた面積抵抗が所望の値になる。
【0027】
ワイヤ状電極20は、ワイヤ保護層21中に設けることにより、安定になり、信頼性が向上する。このワイヤ保護層21を、透明平板電極の屈折率と光学媒体の屈折率の中間の屈折率をもつ材料で形成することで、電極界面の反射を少なくすることができる。すなわち、光媒体3の屈折率をN1、ワイヤ保護層21の屈折率をN2、透明平板電極12の屈折率をN3とすると、N1<N2<N3となるような、ワイヤ保護層21の材料を選択する。
【0028】
ここで、ワイヤ状電極20を透明平板電極12の基材11側に配置することも考えられる。その場合、界面での反射を低減するために、透明平板電極12上に、ワイヤ保護層21の材料のような中間屈折率層を設けることも可能であるが、中間屈折率層で電圧降下が生じ、光学媒体に印加される実質的な電圧が低下してしまう。第2実施形態のように、透明平板電極12の上にワイヤ状電極20を配置した場合、中間屈折率層に対応するワイヤ保護層21中にワイヤ状電極20が分散するため、中間屈折率層自体が若干の導電性を有することになり、電圧降下は小さく、問題を生じない。このため、光媒体に印加される実質的な電圧を低下させることなく、電極界面の反射を減らすことが可能である。
【0029】
パッシブ型のマトリクス表示を行う表示素子では、基材11上に、一方向(長軸方向)に帯状に伸びた複数の透明平板電極12を形成する。
【0030】
図4の(A)は、第1または第2実施形態の構成で形成した帯状電極を、光媒体層3と接する側から見た場合の複数のワイヤ状電極20の分布例を示している。図4の(A)に示すように、複数のワイヤ状電極20は、ランダムに分布し、各ワイヤ状電極20の延伸方向(長軸)もランダムである。
【0031】
各帯状透明平板電極12は、短軸方向の電圧降下は問題にならないが、長軸方向の電圧降下が問題であり、長軸方向の面積抵抗を所定値以下にすることが望まれる。そこで、ワイヤ状電極20の密度を高くして面積抵抗を低減することが考えられるが、ワイヤ状電極20の密度が高くなりすぎると、前述のようにヘイズ値が大きくなり、黒表示時の明るさが大きくなってしまう。
【0032】
図4の(B)は、第3実施形態の基板上に形成された1つの帯状電極の上面図であり、光媒体層3と接する側から見た場合の複数のワイヤ状電極20の分布例を示している。
【0033】
第3実施形態の表示素子は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、図1の(A)に示したような、2枚の基板1、2の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体3の層を挟持し、2枚の基板間への電圧の印加によって、表示を制御する素子である。第3実施形態の表示素子の基板1、2には、複数の帯状透明平板電極12が平行に形成され、各帯状透明平板電極12は、図2または図3に示すような断面構造を有する。各帯状透明平板電極12では、光媒体層3と接する側から見た場合には、複数のワイヤ状電極20が図4の(B)に示すように分布している。すなわち、図4の(A)に示すような各ワイヤ状電極20の延伸方向(長軸)がランダムである分布に対して、図4の(B)の分布では、各ワイヤ状電極20の長軸と帯状透明平板電極12の長軸となす角度が45度以下である。これにより、複数のワイヤ状電極20と透明平板電極12を合わせた長軸方向の面積抵抗が低減され、透明平板電極12の長軸方向で電圧降下が低減される。同じ長軸方向の面積抵抗を実現する場合、ワイヤ状電極20がランダムな方向を向いている場合に比べて、ワイヤ状電極20の密度を低くすることができる。
【0034】
なお、各ワイヤ状電極20の形状はランダムであり、各ワイヤ状電極20の延伸方向(長軸)は、例えば、最小2条法等により1方向に伸びる直線に近似させた時の直線の方向で表すことができる。
【0035】
図5は、第3実施形態の表示素子を製造する場合に、帯状透明平板電極12上に、図4の(B)に示すように、各ワイヤ状電極20の長軸が帯状透明平板電極12の長軸と45度以下の角度をなすように載置する方法を説明する図である。
【0036】
図5では、1本の帯状透明平板電極12のみを示しているが、実際には複数の帯状透明平板電極12が平行に形成される。帯状透明平板電極12の上をスリットコーター(塗布装置)31を一定速度で移動して、銀ナノワイヤ等のワイヤ状電極20を含む分散液を薄い膜厚の膜になるように塗布する。この時、帯状透明平板電極12とコーター31の間隔を狭くして、ワイヤ状電極20に適度なずり応力が発生する移動速度および膜厚で塗布する。これにより、塗布直後にはワイヤ状電極20の長軸が、コーター31の移動方向、すなわち帯状透明平板電極12の長軸方向に近づくように整列される。コーター31の直後にコーター31と同じように移動する乾燥器32を設けて、温風で溶液を乾燥すると、ワイヤ状電極20は、その長軸が帯状透明平板電極12の長軸と45度以下の角度をなす状態で固定される。
【0037】
以上説明したように、第1から第3実施形態では、透明平板電極12上に複数のワイヤ状電極20を載置したが、透明平板電極12を設けずに複数のワイヤ状電極20のみで電極を形成することも考えられる。しかし、複数のワイヤ状電極20のみで電極を形成する場合、以下のような問題を生じる。
【0038】
ワイヤ状電極20のみを用いた場合、密度がまばらになるため、表示ムラになったり、光媒体の動作不良等が生じたりする。また、ワイヤ同士の接触確率が下がるため、場合によっては断線等が生じる。これに対して、第1から第3実施形態では、透明平板電極12自体で導電性が得られるため、このようなムラや、動作不良は生じない。また、ワイヤ同士が接触しない部位でも透明平板電極で導電性が得られるため、断線等にはならない。
【0039】
特に、ワイヤ状電極20を一方向にそろえた場合、その直交方向で抵抗が高くなり、上記の問題が顕著になるが、第3実施形態ではこのような問題は生じない。
【0040】
また、金属粒子を透明平板電極内に混ぜて、透明平板電極の抵抗を調整することが知られているが、金属粒子の場合、金属粒子同士が接触する確率が低いため、抵抗の低下に対して十分な効果を得ることができない。また、方向性も無いため、大量の金属粒子を用いる必要がある。第1から第3実施形態のように、ワイヤ状電極20を用いた場合、ワイヤ状電極20同士が接触する確率が高いため、十分に抵抗を低下させることができ、また、ワイヤ状電極の方向を揃えることで、より効果的に抵抗を低下させることができる。
【実施例1】
【0041】
次に、第1実施形態の構成でパッシブ型のマトリクス表示を行う表示素子を形成した場合の実施例1を説明する。
【0042】
図6は、実施例1の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【0043】
図6の(A)および(B)に示すように、実施例1の表示素子は、2枚の基板1、2と、2枚の基板1、2の間に挟持された光媒体3の層と、2枚の基板1、2の間隔を保持する粒状スペーサ5と、光媒体3の層をシールするシール材6と、を有する。光媒体3は、コレステリック液晶であり、電圧によって光学特性が変化する。
【0044】
表示素子の基板1、2は、透明基材11A、11Bと、透明基材の光媒体層3に面する側に形成された透明平板電極12A、12Bと、透明平板電極12上に載置された複数のワイヤ状電極20と、を有する。透明平板電極12A、12Bは、ITO膜で形成され、屈折率が2.0である。ワイヤ状電極20は、直径が300nm以下の銀ナノワイヤである。透明平板電極12A、12Bおよび銀ナノワイヤ20は、それぞれの基板で平行な複数の帯(ライン)状にパターニングされており、上下の基板の帯状透明平板電極12A、12Bが直交してマトリックスをつくるように、2枚の基板1、2が積層されている。
【0045】
図7は、実施例1の表示素子の作製方法を示す図である。
図7の(A)に示すように、基材11を準備する。
図7の(B)に示すように、基材11にスパッタリングでITO膜12を所定の厚みで成膜する。
【0046】
図7の(C)に示すように、ITO膜12上に銀ナノワイヤの分散液を塗布し、乾燥させて溶媒を飛ばし、銀ナノワイヤ20がITO膜12上に載置された状態になる。
図7の(D)に示すように、銀ナノワイヤ20が載置されたITO膜12上にレジストを塗布し、パターン露光、現像、エッチング、レジスト剥離の処理を行い、ITO膜12と銀ナノワイヤ20をライン状にパターニングする。
【0047】
図7の(E)に示すように、パターニング後、一方の基板の電極面にセルギャップ保持のためのスペーサ5を散布する。
図7の(F)に示すように、基板の周辺部にシール材6を塗布する。
図7の(G)に示すように、電極面が向かい合うように、かつ、帯状透明平板電極およびライン状電極が直交するようにして、別の基板を貼り合わせる。
【0048】
図7のH)に示すように、シール材6に開けられた空隙から液晶3を注入し、注入後空隙を封止剤で封止することで液晶パネルが完成する。
上記のようにして完成した表示素子の帯状透明平板電極の端部の外部接続端子と外部の制御機器を接続することで、表示素子が完成する。
【0049】
図8は、実施例1で、透明基材11Aおよび11BとしてPETフィルムを使用した場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す図である。上記のように、透明平板電極12はITO膜であり、その屈折率は2.0であり、コレステリック液晶の屈折率は1.6であり、PETフィルムの屈折率は1.6である。図8において、PはITO膜12の膜厚が30nmでワイヤ状電極20が約71Ω/□の面積抵抗を示す場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示し、Qはワイヤ状電極20が無く、ITO膜12の膜厚が100nmの場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す。
【0050】
透明平板電極12の面積抵抗は約50Ω/□が望ましく、このような面積抵抗を実現するにはITO膜12の膜厚を100nmにする。したがって、ライン状電極を載置せずに透明平板電極12のみでこの面積抵抗を実現する場合のITO膜12の膜厚は100nmとなり、Qで示す反射スペクトルとなる。反射スペクトルQは、短波長側で反射率が極端に低くなっており、電極が黄色に見える。
【0051】
これに対して、ワイヤ状電極20が設けられて、約71Ω/□の面積抵抗を示す場合、合成面積抵抗が50Ω/□になるには、ITO膜12の膜厚は30nmであればよく、Pで示す反射スペクトルとなる。反射スペクトルPは、可視波長域に亘って平らな反射率を示し、電極はほぼ無彩色に見える。なお、ワイヤ状電極20を設けて約71Ω/□の面積抵抗を実現するには、図2の(B)のように光媒体3側から見た場合のワイヤ状電極20の面積比を3〜5%にする。この場合、銀ナノワイヤ20も直径は可視光よりも十分に小さいため、光はほぼ透過する。
【実施例2】
【0052】
次に、第2実施形態の構成でパッシブ型のマトリクス表示を行う表示素子を形成し、さらに第3実施形態の構成を適用してワイヤ状電極20の長軸の方向を帯状透明平板電極12の長軸の方向に近づけた場合の実施例2を説明する。
【0053】
図9は、実施例2の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【0054】
図9の(A)および(B)に示すように、実施例1の表示素子は、2枚の基板1、2と、2枚の基板1、2の間に挟持された光媒体3の層と、2枚の基板1、2の間隔を保持する粒状スペーサ5と、光媒体3の層をシールするシール材6と、を有する。光媒体3は、コレステリック液晶であり、電圧によって光学特性が変化する。
【0055】
表示素子の基板1、2は、透明基材11A、11Bと、透明基材の光媒体層3に面する側に形成された透明平板電極12A、12Bと、透明平板電極12上に載置された複数のワイヤ状電極20A、20Bを含むワイヤ保護層21A、21Bと、を有する。したがって、光媒体3は、対向するワイヤ保護層21A、21Bの間に挟持され、粒状スペーサ5の間隔を保持する。
【0056】
透明平板電極12A、12Bは、ITO膜で形成され、屈折率が2.0である。ワイヤ状電極20A、20Bは、直径が300nm以下の銀ナノワイヤである。ワイヤ保護層21A、21Bは、透明材料で形成され、屈折率は1.8で、透明平板電極12A、12B上に載置されたワイヤ状電極20A、20Bを包含するように形成される。したがって、各ワイヤ状電極20A、20Bは、実施例1の場合と同様に、複数個所で透明平板電極12A、12Bに接触し、さらに他のワイヤ状電極と互いに接触している。
【0057】
透明平板電極12A、12B、銀ナノワイヤ20A、20Bおよびワイヤ保護層21A、21Bは、それぞれの基板で平行な複数の帯(ライン)状にパターニングされている。2枚の基板11、12は、2枚の基板の帯状透明平板電極12A、12Bが直交してマトリックスをつくるように積層されている。
【0058】
さらに、各帯状透明平板電極12A、12B上に載置される銀ナノワイヤ20A、20Bは、第3実施形態で説明したように、銀ナノワイヤ20A、20Bは、その長軸方向と帯状透明平板電極12A、12Bの長軸方向の差が45度以内になるように載置されている。
【0059】
図10は、実施例2の表示素子の作製方法を示す図である。
図10の(A)および(B)は、実施例1と同じであり、説明は省略する。
図10の(C)に示すように、ITO膜12上に銀ナノワイヤの分散液を塗布し、乾燥させて溶媒を蒸発させ、銀ナノワイヤ20がITO膜12上に載置された状態になる。この時、図5に示したスリットコーター31により、銀ナノワイヤ20に適度なずり応力が発生する速度および膜厚で塗布し、乾燥器ですぐに乾燥する。
【0060】
図10の(D)に示すように、銀ナノワイヤ20が載置されたITO膜12上にレジストを塗布し、パターン露光、現像、エッチング、レジスト剥離の処理を行い、ITO膜12と銀ナノワイヤ20をライン状にパターニングする。
図10の(E)に示すように、ITO膜12と銀ナノワイヤ20のパターニング後、その上にワイヤ保護層21の分散液を塗布し、乾燥、硬化して均一な膜を形成する。
図10の(F)から(I)は、実施例1の図7の(E)から(H)と同じであり、説明は省略する。
【0061】
図11は、実施例2で、透明基材11Aおよび11Bとして100μm厚のPETフィルムを使用した場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す図である。上記のように、透明平板電極12は厚さ30nmのITO膜であり、その屈折率は2.0であり、コレステリック液晶の屈折率は1.6であり、PETフィルムの屈折率は1.6である。ワイヤ保護層21は、屈折率1.78の高屈折率樹脂で形成され、厚さは100nmである。
【0062】
図11において、Rは実施例2の透明平板電極12の反射スペクトルを示す。Sは、実施例2で、ワイヤ保護層21を設けない場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す。
上記のように、ワイヤ保護層21の屈折率を光媒体3の屈折率1.6と透明平板電極12の屈折率2.0の約中間の値1.78とすることで、可視波長域で反射率が低減される。これにより、実施例2の表示素子は、より色味の少ない黒表示が行える。
【0063】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
1 基板
2 基板
3 光媒体
11 基材
12 透明平板電極
20 ワイヤ状電極
21 ワイヤ保護層
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ディスプレイの表示方式の1つに、透明基材上に透明平板電極を成膜した2枚の基板の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体を挟持し、2枚の基板の透明平板電極間への電圧の印加によって、表示を制御する方式がある。この表示方式は、さらに、表示素子の背面に光源を設け、光媒体の透過状態を制御することにより光源からの光の透過を制御して表示を行う透過型と、表示素子の観察面側から入射する光の反射状態を制御することにより表示を行う反射型と、に分けられる。
【0003】
図1は、このような表示方式の表示素子の基本構成を示す図であり、(A)が基本構成を示し、(B)が基板の構成を示す。
【0004】
図1の(A)に示すように、2枚の基板1および2の間に光媒体3を挟持し、2枚の基板1、2の光媒体3に接する側の表面に形成された透明平板電極に、駆動電圧源4から電圧を印加する。ここでは、基板1を観察面側の基板として上側基板と称し、基板2を観察面と反対側の基板として下側基板と称する。
【0005】
図1の(B)に示すように、上側基板1および下側基板2は、透明基材11と、光媒体3に面する側の表面に形成された透明平板電極12と、を有する。
【0006】
透過型の表示素子においては、下側基板2の背面に光源を設ける。カラー表示を行う透過型の表示素子においては、透明平板電極を複数のグループに分割し、各グループに対応させてカラーフィルタを設ける。一方、反射型の表示素子においては、光源を設ける必要は無く、使用環境において観察面へ入射する光を利用し、光媒体を透過した光を吸収する光吸収層が下側基板2の背面に設けられる。カラー表示を行う反射型の表示素子においては、透過型と同様にカラーフィルタを設けるものもあるが、表示が暗くなるという問題があるので、表示素子を複数枚積層した積層型が使用される。
【0007】
上記のような表示方式では、透過型および反射型のいずれにおいても、光学媒体に光が届く必要があるため、透明平板電極はできるだけ透過率が高いことが、黒表示時には余分な光が無いほうが良いため、透明平板電極の反射率は低いことが望ましい。
【0008】
また、透明平板電極の面積(シート)抵抗が大きい場合、透明平板電極部での電圧降下のため、外部接続端子から遠い部位と近い部位で、光学媒体に実質的に印加される電圧が異なり、表示ムラとなってしまう。端子部に近い部位と遠い部位で、印加電圧に対する応答を同じにするためには、透明平板電極の面積抵抗を所定の値以下にする必要がある。
【0009】
透明平板電極は、ITO(Indium Tin Oxide)膜、ZnO(Zinc Oxide)膜などで実現される。ITO等の透明平板電極を用いた表示素子では、透明平板電極の屈折率が1.8以上と高いために、樹脂、ガラス等の基材や光学媒体との屈折率差が大きく、透明平板電極の上下の界面で反射が大きい。また、必要な面積抵抗を実現するために、透明平板電極をある程度以上の厚さにしなくてはならないが、透明平板電極の厚さによっては、上下界面の反射光が干渉して、電極での反射光に意図しない色味がついてしまう。この電極での反射光の色味が原因で、表示素子の表示色が、目標とする色からずれるという問題があり、特に黒表示時に、電極での反射光の色味が強く現れ、きれいな黒を表示することができなかった。さらに、透明平板電極が厚くなると、光の吸収も大きくなるため、白表示時にも十分な明るさを得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−034711号公報
【特許文献2】特開2004−006249号公報
【特許文献3】特開2010−244746号公報
【特許文献4】国際公開(WO)2009/078263
【特許文献5】特開2006−236747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実施形態によれば、比較的小さな面積抵抗を有し、表面反射および光の吸収が比較的小さく、電極での反射光の色味の影響を低減した表示素子が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の観点によれば、透明基材で形成された2枚の基板と、2枚の基板間に挟持され、電圧によって反射率、透過率または偏光状態が変化する光媒体を有する光媒体層と、を有し、各基板は、光媒体層に面する側の表面上に形成された屈折率が1.8以上の透明平板電極と、透明平板電極上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極と、を有する表示素子が提供される。
【発明の効果】
【0013】
実施形態によれば、表示ムラが少なく、良好な色味の明るい表示の表示素子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、表示方式の表示素子の基本構成を示す図であり、(A)が基本構成を示し、(B)が基板の構成を示す。
【図2】図2は、第1実施形態の表示素子の基板の構成を示す図であり、(A)が断面図を、(B)が光媒体層と接する側から見た場合の上面図である。
【図3】図3は、第2実施形態の表示素子の基板の断面図である。
【図4】図4は、複数のワイヤ状電極の分布例を示す帯状電極の上面図であり、(A)が第1または第2実施形態の構成で形成した場合を、(B)が第3実施形態の場合を示す。
【図5】図5は、各ワイヤ状電極の長軸が帯状透明平板電極の長軸と45度以下の角度をなすように載置する第3実施形態の表示素子の製造方法を説明する図である。
【図6】図6は、実施例1の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【図7】図7は、実施例1の表示素子の作製方法を示す図である。
【図8】図8は、実施例1の透明平板電極の反射スペクトルを示す図である。
【図9】図9は、実施例2の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【図10】図10は、実施例2の表示素子の作製方法を示す図である。
【図11】図11は、実施例2の透明平板電極の反射スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1実施形態の表示素子は、図1の(A)に示したような、透明基材上に透明平板電極を成膜した2枚の基板1、2の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体3の層を挟持し、2枚の基板の透明平板電極間への電圧の印加によって、表示を制御する素子である。
【0016】
図2は、第1実施形態の表示素子の基板1、2の構成を示す図であり、(A)が断面図を、(B)が光媒体層3と接する側から見た場合の上面図である。
【0017】
図2の(A)に示すように、第1実施形態の表示素子の基板1、2は、透明基材11と、透明基材11の光媒体層3に面する側の表面上に形成された透明平板電極12と、透明平板電極12上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極20と、を有する。透明平板電極12は、ITO膜、ZnO膜等で実現され、屈折率が1.8以上である。
【0018】
ワイヤ状電極20の直径は300nm以下であり、このような直径が可視光波長以下のワイヤを用いることで、表示素子の光学特性に対するワイヤ状電極20の影響を少なくすることができる。また、ワイヤ状電極20は、長さが2μm〜10μmである。ワイヤ状電極20は、例えば、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、白金ナノワイヤやカーボンナノチューブ等で実現される。したがって、ワイヤ状電極20は、高導電性で、線抵抗が非常に小さい。
【0019】
図2の(B)に示すように、ワイヤ状電極20は、透明平板電極12に載置され、複数の部分で透明平板電極12に接触する。同一のワイヤ状電極20が接触した透明平板電極12の2箇所の間の抵抗は、ワイヤ状電極20により非常に小さくなる。
【0020】
図2の(A)に示すように、ワイヤ状電極20は、例えば、透明平板電極12の表面からの高さが最大でも数μm程度になるように載置される。これは、塗布材料にワイヤ状電極20を混合し、塗布材料層を所定の厚さで形成した後、塗布材料を除去することにより実現され、必要に応じて、ワイヤ状電極20を透明平板電極12に押し付ける等の処理を行ってもよい。載置された複数のワイヤ状電極20は、1つの層を成すとみなすことができる。この層の面積抵抗は、ワイヤ状電極20の密度に応じて変化する。
【0021】
透明平板電極12は、任意の厚みで成膜され、その上にワイヤ状電極20を載置して、透明平板電極12とワイヤ状電極20を合わせて所定の面積抵抗にする。このような構造にすることで、透明平板電極12を任意の厚みで成膜することができ、透明平板電極12の干渉色をコントロールすることが可能になり、色味の少ない黒表示が可能な表示素子を実現できる。
【0022】
透明平板電極12を、従来よりも薄い、干渉色が少なくなる所定の厚みで成膜した場合、透明平板電極12のみでは必要な面積抵抗Rrを実現できない。第1実施形態のように、透明平板電極12上にワイヤ状電極20を載置することで、干渉色を少なくしたまま、必要な面積抵抗Rrを得ることができる。上記のように、複数のワイヤ状電極20がなすとみなした層の平均的な面積抵抗Rwを、透明平板電極12の面積抵抗をRfとすると、Rw<Rr×Rf/(Rf−Rr)となるように設定する。これにより、実質的な面積抵抗を、必要な面積抵抗Rrより小さくできる。
【0023】
ここで、透明平板電極12と複数のワイヤ状電極20が成す層の抵抗が大きく異なる場合、一方の面積抵抗が支配的になり、両方の電極を用いる効果がなくなる。そのため、ワイヤ状電極の面積抵抗は、透明平板電極に対して0.1〜10倍程度であることが望ましい。
【0024】
なお、透明平板電極12を使用せずに複数のワイヤ状電極20のみを用いることも考えられるが、複数のワイヤ状電極20のみを用いた場合、複数のワイヤ状電極20の分布の密度ムラにより、ワイヤ同士の距離が場所によっては大きくなる。その場合、ワイヤ間の部分には十分に電圧が印加されず、光媒体3が応答しない。このようなワイヤ間の距離を十分に小さくするためには、ワイヤ状電極20を大量に用いなければならず、その場合、光の散乱を表すヘイズ値が大きくなりすぎ、黒表示時の明るさが大きくなる等の表示性能の劣化を生じる。第1実施形態では、透明平板電極12上に複数のワイヤ状電極20を配置するので、ワイヤ間に常に透明平板電極が存在するため、このような問題は生じない。
【0025】
図3は、第2実施形態の表示素子の基板の断面図である。第2実施形態の表示素子は、第1実施形態と同様に、図1の(A)に示したような、2枚の基板1、2の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体3の層を挟持し、2枚の基板間への電圧の印加によって、表示を制御する素子である。第2実施形態の表示素子の基板1、2は、図3に示すような断面構造を有し、光媒体層3と接する側から見た場合には、複数のワイヤ状電極20が図2の(B)に示すように分布している。
【0026】
第2実施形態の表示素子の基板は、複数のワイヤ状電極20が、透明平板電極12の上のワイヤ保護層21中に設けられていることが、第1実施形態と異なる。
ワイヤ保護層21は、複数のワイヤ状電極20が透明平板電極12上に載置された状態で、複数のワイヤ状電極20を含むように形成される。したがって、複数のワイヤ状電極20は、第1実施形態と同様に、複数の部分で透明平板電極12に接触する。これにより、第1実施形態と同様に、透明平板電極12の厚さを比較的薄くしても、複数のワイヤ状電極20を含むワイヤ保護層21と透明平板電極12を合わせた面積抵抗が所望の値になる。
【0027】
ワイヤ状電極20は、ワイヤ保護層21中に設けることにより、安定になり、信頼性が向上する。このワイヤ保護層21を、透明平板電極の屈折率と光学媒体の屈折率の中間の屈折率をもつ材料で形成することで、電極界面の反射を少なくすることができる。すなわち、光媒体3の屈折率をN1、ワイヤ保護層21の屈折率をN2、透明平板電極12の屈折率をN3とすると、N1<N2<N3となるような、ワイヤ保護層21の材料を選択する。
【0028】
ここで、ワイヤ状電極20を透明平板電極12の基材11側に配置することも考えられる。その場合、界面での反射を低減するために、透明平板電極12上に、ワイヤ保護層21の材料のような中間屈折率層を設けることも可能であるが、中間屈折率層で電圧降下が生じ、光学媒体に印加される実質的な電圧が低下してしまう。第2実施形態のように、透明平板電極12の上にワイヤ状電極20を配置した場合、中間屈折率層に対応するワイヤ保護層21中にワイヤ状電極20が分散するため、中間屈折率層自体が若干の導電性を有することになり、電圧降下は小さく、問題を生じない。このため、光媒体に印加される実質的な電圧を低下させることなく、電極界面の反射を減らすことが可能である。
【0029】
パッシブ型のマトリクス表示を行う表示素子では、基材11上に、一方向(長軸方向)に帯状に伸びた複数の透明平板電極12を形成する。
【0030】
図4の(A)は、第1または第2実施形態の構成で形成した帯状電極を、光媒体層3と接する側から見た場合の複数のワイヤ状電極20の分布例を示している。図4の(A)に示すように、複数のワイヤ状電極20は、ランダムに分布し、各ワイヤ状電極20の延伸方向(長軸)もランダムである。
【0031】
各帯状透明平板電極12は、短軸方向の電圧降下は問題にならないが、長軸方向の電圧降下が問題であり、長軸方向の面積抵抗を所定値以下にすることが望まれる。そこで、ワイヤ状電極20の密度を高くして面積抵抗を低減することが考えられるが、ワイヤ状電極20の密度が高くなりすぎると、前述のようにヘイズ値が大きくなり、黒表示時の明るさが大きくなってしまう。
【0032】
図4の(B)は、第3実施形態の基板上に形成された1つの帯状電極の上面図であり、光媒体層3と接する側から見た場合の複数のワイヤ状電極20の分布例を示している。
【0033】
第3実施形態の表示素子は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、図1の(A)に示したような、2枚の基板1、2の間に、電圧によって光学特性が変化する光媒体3の層を挟持し、2枚の基板間への電圧の印加によって、表示を制御する素子である。第3実施形態の表示素子の基板1、2には、複数の帯状透明平板電極12が平行に形成され、各帯状透明平板電極12は、図2または図3に示すような断面構造を有する。各帯状透明平板電極12では、光媒体層3と接する側から見た場合には、複数のワイヤ状電極20が図4の(B)に示すように分布している。すなわち、図4の(A)に示すような各ワイヤ状電極20の延伸方向(長軸)がランダムである分布に対して、図4の(B)の分布では、各ワイヤ状電極20の長軸と帯状透明平板電極12の長軸となす角度が45度以下である。これにより、複数のワイヤ状電極20と透明平板電極12を合わせた長軸方向の面積抵抗が低減され、透明平板電極12の長軸方向で電圧降下が低減される。同じ長軸方向の面積抵抗を実現する場合、ワイヤ状電極20がランダムな方向を向いている場合に比べて、ワイヤ状電極20の密度を低くすることができる。
【0034】
なお、各ワイヤ状電極20の形状はランダムであり、各ワイヤ状電極20の延伸方向(長軸)は、例えば、最小2条法等により1方向に伸びる直線に近似させた時の直線の方向で表すことができる。
【0035】
図5は、第3実施形態の表示素子を製造する場合に、帯状透明平板電極12上に、図4の(B)に示すように、各ワイヤ状電極20の長軸が帯状透明平板電極12の長軸と45度以下の角度をなすように載置する方法を説明する図である。
【0036】
図5では、1本の帯状透明平板電極12のみを示しているが、実際には複数の帯状透明平板電極12が平行に形成される。帯状透明平板電極12の上をスリットコーター(塗布装置)31を一定速度で移動して、銀ナノワイヤ等のワイヤ状電極20を含む分散液を薄い膜厚の膜になるように塗布する。この時、帯状透明平板電極12とコーター31の間隔を狭くして、ワイヤ状電極20に適度なずり応力が発生する移動速度および膜厚で塗布する。これにより、塗布直後にはワイヤ状電極20の長軸が、コーター31の移動方向、すなわち帯状透明平板電極12の長軸方向に近づくように整列される。コーター31の直後にコーター31と同じように移動する乾燥器32を設けて、温風で溶液を乾燥すると、ワイヤ状電極20は、その長軸が帯状透明平板電極12の長軸と45度以下の角度をなす状態で固定される。
【0037】
以上説明したように、第1から第3実施形態では、透明平板電極12上に複数のワイヤ状電極20を載置したが、透明平板電極12を設けずに複数のワイヤ状電極20のみで電極を形成することも考えられる。しかし、複数のワイヤ状電極20のみで電極を形成する場合、以下のような問題を生じる。
【0038】
ワイヤ状電極20のみを用いた場合、密度がまばらになるため、表示ムラになったり、光媒体の動作不良等が生じたりする。また、ワイヤ同士の接触確率が下がるため、場合によっては断線等が生じる。これに対して、第1から第3実施形態では、透明平板電極12自体で導電性が得られるため、このようなムラや、動作不良は生じない。また、ワイヤ同士が接触しない部位でも透明平板電極で導電性が得られるため、断線等にはならない。
【0039】
特に、ワイヤ状電極20を一方向にそろえた場合、その直交方向で抵抗が高くなり、上記の問題が顕著になるが、第3実施形態ではこのような問題は生じない。
【0040】
また、金属粒子を透明平板電極内に混ぜて、透明平板電極の抵抗を調整することが知られているが、金属粒子の場合、金属粒子同士が接触する確率が低いため、抵抗の低下に対して十分な効果を得ることができない。また、方向性も無いため、大量の金属粒子を用いる必要がある。第1から第3実施形態のように、ワイヤ状電極20を用いた場合、ワイヤ状電極20同士が接触する確率が高いため、十分に抵抗を低下させることができ、また、ワイヤ状電極の方向を揃えることで、より効果的に抵抗を低下させることができる。
【実施例1】
【0041】
次に、第1実施形態の構成でパッシブ型のマトリクス表示を行う表示素子を形成した場合の実施例1を説明する。
【0042】
図6は、実施例1の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【0043】
図6の(A)および(B)に示すように、実施例1の表示素子は、2枚の基板1、2と、2枚の基板1、2の間に挟持された光媒体3の層と、2枚の基板1、2の間隔を保持する粒状スペーサ5と、光媒体3の層をシールするシール材6と、を有する。光媒体3は、コレステリック液晶であり、電圧によって光学特性が変化する。
【0044】
表示素子の基板1、2は、透明基材11A、11Bと、透明基材の光媒体層3に面する側に形成された透明平板電極12A、12Bと、透明平板電極12上に載置された複数のワイヤ状電極20と、を有する。透明平板電極12A、12Bは、ITO膜で形成され、屈折率が2.0である。ワイヤ状電極20は、直径が300nm以下の銀ナノワイヤである。透明平板電極12A、12Bおよび銀ナノワイヤ20は、それぞれの基板で平行な複数の帯(ライン)状にパターニングされており、上下の基板の帯状透明平板電極12A、12Bが直交してマトリックスをつくるように、2枚の基板1、2が積層されている。
【0045】
図7は、実施例1の表示素子の作製方法を示す図である。
図7の(A)に示すように、基材11を準備する。
図7の(B)に示すように、基材11にスパッタリングでITO膜12を所定の厚みで成膜する。
【0046】
図7の(C)に示すように、ITO膜12上に銀ナノワイヤの分散液を塗布し、乾燥させて溶媒を飛ばし、銀ナノワイヤ20がITO膜12上に載置された状態になる。
図7の(D)に示すように、銀ナノワイヤ20が載置されたITO膜12上にレジストを塗布し、パターン露光、現像、エッチング、レジスト剥離の処理を行い、ITO膜12と銀ナノワイヤ20をライン状にパターニングする。
【0047】
図7の(E)に示すように、パターニング後、一方の基板の電極面にセルギャップ保持のためのスペーサ5を散布する。
図7の(F)に示すように、基板の周辺部にシール材6を塗布する。
図7の(G)に示すように、電極面が向かい合うように、かつ、帯状透明平板電極およびライン状電極が直交するようにして、別の基板を貼り合わせる。
【0048】
図7のH)に示すように、シール材6に開けられた空隙から液晶3を注入し、注入後空隙を封止剤で封止することで液晶パネルが完成する。
上記のようにして完成した表示素子の帯状透明平板電極の端部の外部接続端子と外部の制御機器を接続することで、表示素子が完成する。
【0049】
図8は、実施例1で、透明基材11Aおよび11BとしてPETフィルムを使用した場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す図である。上記のように、透明平板電極12はITO膜であり、その屈折率は2.0であり、コレステリック液晶の屈折率は1.6であり、PETフィルムの屈折率は1.6である。図8において、PはITO膜12の膜厚が30nmでワイヤ状電極20が約71Ω/□の面積抵抗を示す場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示し、Qはワイヤ状電極20が無く、ITO膜12の膜厚が100nmの場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す。
【0050】
透明平板電極12の面積抵抗は約50Ω/□が望ましく、このような面積抵抗を実現するにはITO膜12の膜厚を100nmにする。したがって、ライン状電極を載置せずに透明平板電極12のみでこの面積抵抗を実現する場合のITO膜12の膜厚は100nmとなり、Qで示す反射スペクトルとなる。反射スペクトルQは、短波長側で反射率が極端に低くなっており、電極が黄色に見える。
【0051】
これに対して、ワイヤ状電極20が設けられて、約71Ω/□の面積抵抗を示す場合、合成面積抵抗が50Ω/□になるには、ITO膜12の膜厚は30nmであればよく、Pで示す反射スペクトルとなる。反射スペクトルPは、可視波長域に亘って平らな反射率を示し、電極はほぼ無彩色に見える。なお、ワイヤ状電極20を設けて約71Ω/□の面積抵抗を実現するには、図2の(B)のように光媒体3側から見た場合のワイヤ状電極20の面積比を3〜5%にする。この場合、銀ナノワイヤ20も直径は可視光よりも十分に小さいため、光はほぼ透過する。
【実施例2】
【0052】
次に、第2実施形態の構成でパッシブ型のマトリクス表示を行う表示素子を形成し、さらに第3実施形態の構成を適用してワイヤ状電極20の長軸の方向を帯状透明平板電極12の長軸の方向に近づけた場合の実施例2を説明する。
【0053】
図9は、実施例2の表示素子の構成を示す図であり、(A)が上面図であり、(B)が断面図である。
【0054】
図9の(A)および(B)に示すように、実施例1の表示素子は、2枚の基板1、2と、2枚の基板1、2の間に挟持された光媒体3の層と、2枚の基板1、2の間隔を保持する粒状スペーサ5と、光媒体3の層をシールするシール材6と、を有する。光媒体3は、コレステリック液晶であり、電圧によって光学特性が変化する。
【0055】
表示素子の基板1、2は、透明基材11A、11Bと、透明基材の光媒体層3に面する側に形成された透明平板電極12A、12Bと、透明平板電極12上に載置された複数のワイヤ状電極20A、20Bを含むワイヤ保護層21A、21Bと、を有する。したがって、光媒体3は、対向するワイヤ保護層21A、21Bの間に挟持され、粒状スペーサ5の間隔を保持する。
【0056】
透明平板電極12A、12Bは、ITO膜で形成され、屈折率が2.0である。ワイヤ状電極20A、20Bは、直径が300nm以下の銀ナノワイヤである。ワイヤ保護層21A、21Bは、透明材料で形成され、屈折率は1.8で、透明平板電極12A、12B上に載置されたワイヤ状電極20A、20Bを包含するように形成される。したがって、各ワイヤ状電極20A、20Bは、実施例1の場合と同様に、複数個所で透明平板電極12A、12Bに接触し、さらに他のワイヤ状電極と互いに接触している。
【0057】
透明平板電極12A、12B、銀ナノワイヤ20A、20Bおよびワイヤ保護層21A、21Bは、それぞれの基板で平行な複数の帯(ライン)状にパターニングされている。2枚の基板11、12は、2枚の基板の帯状透明平板電極12A、12Bが直交してマトリックスをつくるように積層されている。
【0058】
さらに、各帯状透明平板電極12A、12B上に載置される銀ナノワイヤ20A、20Bは、第3実施形態で説明したように、銀ナノワイヤ20A、20Bは、その長軸方向と帯状透明平板電極12A、12Bの長軸方向の差が45度以内になるように載置されている。
【0059】
図10は、実施例2の表示素子の作製方法を示す図である。
図10の(A)および(B)は、実施例1と同じであり、説明は省略する。
図10の(C)に示すように、ITO膜12上に銀ナノワイヤの分散液を塗布し、乾燥させて溶媒を蒸発させ、銀ナノワイヤ20がITO膜12上に載置された状態になる。この時、図5に示したスリットコーター31により、銀ナノワイヤ20に適度なずり応力が発生する速度および膜厚で塗布し、乾燥器ですぐに乾燥する。
【0060】
図10の(D)に示すように、銀ナノワイヤ20が載置されたITO膜12上にレジストを塗布し、パターン露光、現像、エッチング、レジスト剥離の処理を行い、ITO膜12と銀ナノワイヤ20をライン状にパターニングする。
図10の(E)に示すように、ITO膜12と銀ナノワイヤ20のパターニング後、その上にワイヤ保護層21の分散液を塗布し、乾燥、硬化して均一な膜を形成する。
図10の(F)から(I)は、実施例1の図7の(E)から(H)と同じであり、説明は省略する。
【0061】
図11は、実施例2で、透明基材11Aおよび11Bとして100μm厚のPETフィルムを使用した場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す図である。上記のように、透明平板電極12は厚さ30nmのITO膜であり、その屈折率は2.0であり、コレステリック液晶の屈折率は1.6であり、PETフィルムの屈折率は1.6である。ワイヤ保護層21は、屈折率1.78の高屈折率樹脂で形成され、厚さは100nmである。
【0062】
図11において、Rは実施例2の透明平板電極12の反射スペクトルを示す。Sは、実施例2で、ワイヤ保護層21を設けない場合の透明平板電極12の反射スペクトルを示す。
上記のように、ワイヤ保護層21の屈折率を光媒体3の屈折率1.6と透明平板電極12の屈折率2.0の約中間の値1.78とすることで、可視波長域で反射率が低減される。これにより、実施例2の表示素子は、より色味の少ない黒表示が行える。
【0063】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
1 基板
2 基板
3 光媒体
11 基材
12 透明平板電極
20 ワイヤ状電極
21 ワイヤ保護層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材で形成された2枚の基板と、
基板間に挟持され、電圧によって反射率、透過率または偏光状態が変化する光媒体を有する光媒体層と、を備え、
各基板は、
前記光媒体層に面する側の表面上に形成された屈折率が1.8以上の透明平板電極と、
前記透明平板電極上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極と、を備えることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記ワイヤ状電極は、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、白金ナノワイヤ、カーボンナノチューブのいずれかである請求項1記載の表示素子。
【請求項3】
前記透明平板電極上に載置された前記複数のワイヤ状電極による面積抵抗は、前記透明平板電極の面積抵抗の0.1〜10倍である請求項1または2記載の表示素子。
【請求項4】
前記透明平板電極上に形成され、前記複数のワイヤ状電極を覆うワイヤ保護層を、さらに備え、
前記ワイヤ保護層の屈折率は、前記透明平板電極の屈折率と前記光媒体の屈折率との間である請求項1から3のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項5】
前記透明平板電極は長軸方向に伸びる帯状電極であり、
前記透明平板電極上に載置された前記複数のワイヤ状電極のうち、ワイヤの延伸方向と前記透明平板電極の長軸とのなす角度が45度以下であるワイヤ状電極の割合が60%以上である請求項1から4のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項1】
透明基材で形成された2枚の基板と、
基板間に挟持され、電圧によって反射率、透過率または偏光状態が変化する光媒体を有する光媒体層と、を備え、
各基板は、
前記光媒体層に面する側の表面上に形成された屈折率が1.8以上の透明平板電極と、
前記透明平板電極上に載置された直径が300nm以下の複数のワイヤ状電極と、を備えることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記ワイヤ状電極は、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、白金ナノワイヤ、カーボンナノチューブのいずれかである請求項1記載の表示素子。
【請求項3】
前記透明平板電極上に載置された前記複数のワイヤ状電極による面積抵抗は、前記透明平板電極の面積抵抗の0.1〜10倍である請求項1または2記載の表示素子。
【請求項4】
前記透明平板電極上に形成され、前記複数のワイヤ状電極を覆うワイヤ保護層を、さらに備え、
前記ワイヤ保護層の屈折率は、前記透明平板電極の屈折率と前記光媒体の屈折率との間である請求項1から3のいずれか1項記載の表示素子。
【請求項5】
前記透明平板電極は長軸方向に伸びる帯状電極であり、
前記透明平板電極上に載置された前記複数のワイヤ状電極のうち、ワイヤの延伸方向と前記透明平板電極の長軸とのなす角度が45度以下であるワイヤ状電極の割合が60%以上である請求項1から4のいずれか1項記載の表示素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−33102(P2013−33102A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168606(P2011−168606)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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