表示装置、マルチディスプレイシステム、表示方法、制御プログラム、および記録媒体
【課題】マルチディスプレイシステムを容易に構築できる表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置4は、システムで用いられる複数の表示装置の台数に関する台数情報、および原画像内における該表示装置4が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部42と、原画像情報から部分画像情報を生成し部分画像情報に基づく部分画像を画像投射部41に表示させる制御装置43とを備える。制御装置43は、機械式スイッチ部42と電気的に接続し機械式スイッチ部42の状態を検出して機械式スイッチ部42に設定された台数情報および位置情報を認識するスイッチ認識部432と、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して部分画像情報を生成する部分画像情報生成部4341Aとを備える。
【解決手段】表示装置4は、システムで用いられる複数の表示装置の台数に関する台数情報、および原画像内における該表示装置4が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部42と、原画像情報から部分画像情報を生成し部分画像情報に基づく部分画像を画像投射部41に表示させる制御装置43とを備える。制御装置43は、機械式スイッチ部42と電気的に接続し機械式スイッチ部42の状態を検出して機械式スイッチ部42に設定された台数情報および位置情報を認識するスイッチ認識部432と、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して部分画像情報を生成する部分画像情報生成部4341Aとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、マルチディスプレイシステム、表示方法、制御プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し、部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置(例えば、プロジェクタ)を有し、複数の表示装置が表示する各部分画像によって原画像情報に基づく原画像を、高輝度、高解像度、および大画面で表示するマルチディスプレイシステム(投写表示システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術では、マルチディスプレイシステムの設営時において、1台のコンピュータ(以下、PCと記載)と、全てのプロジェクタとをカスケード接続する。そして、各プロジェクタは、PCから順次出力される制御信号に基づいて、接続順序の番号データ、および接続された台数データを認識し、番号データメモリおよび台数データメモリにそれぞれ格納する。また、設置作業者がPCの表示部に表示された設定画面により各プロジェクタの処理条件(番号データおよび台数データに関連付けられ、部分画像の抽出範囲や拡大倍率に関する処理条件)を設定すると、PCと各プロジェクタとを接続するケーブルを介して、各プロジェクタの処理条件メモリ内に処理条件が格納される。
そして、各プロジェクタは、入力した原画像情報から、番号データメモリおよび台数データメモリにそれぞれ格納された番号データおよび台数データに関連付けられた処理条件(抽出範囲、拡大倍率)を処理条件メモリから認識し、該処理条件で原画像情報から部分画像情報を抽出および拡大して、部分画像を表示する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−207247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しなしながら、特許文献1に記載の技術では、マルチディスプレイシステムの設営時において、接続された台数や接続順序の番号を設定する際、PCおよび各プロジェクタをカスケード接続する必要がある。また、処理条件を設定する際には、PCの表示部に表示された設定画面上で各プロジェクタの処理条件を設定する必要がある。すなわち、マルチディスプレイシステムの設営時において、PCが必須の要件となり、プロジェクタ単体で動作設定(接続順序の番号、接続された台数、処理条件等の設定)ができないため、動作設定が複雑なものとなり、マルチディスプレイシステムの構築が難しいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、マルチディスプレイシステムを容易に構築できる表示装置、マルチディスプレイシステム、表示方法、制御プログラム、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置であって、前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、前記
原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記機械式スイッチ部と電気的に接続し、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識するスイッチ認識部と、前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、表示装置が機械式スイッチ部を備えているので、マルチディスプレイシステムを設営する設置作業者は、従来のようにPCや各表示装置をカスケード接続することなく、すなわち、PCを用いることなく、用いる表示装置の台数に関する台数情報、および設定対象となる表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械式スイッチ部に設定できる。また、台数情報および位置情報を設定する部分が機械式スイッチ部で構成されているので、設置作業者は、表示装置の電源を投入しなくても、台数情報および位置情報を機械式スイッチ部に設定できる。さらに、設置作業者は、機械式スイッチ部により台数情報および位置情報の設定状態が目視にて確認できるので、該台数情報および位置情報を目視にて確認しながら、表示装置を所定位置に設置できる。
【0008】
また、表示装置を構成する制御装置は、スイッチ認識部および部分画像情報生成部を備えているので、例えば、以下に示すように、原画像情報から部分画像情報を生成できる。
すなわち、スイッチ認識部は、機械式スイッチ部の状態を検出し、機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する。
そして、部分画像情報生成部は、例えば、台数情報および位置情報に関連付けられ、原画像情報から部分画像情報を生成するための各処理条件パラメータ(例えば、原画像情報から部分画像情報を生成するために原画像情報から所定領域の画像情報を切り出す切出範囲に関する情報や、切り出された画像情報の拡大率に関する情報)を記憶するメモリからスイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを読み出す。そして、部分画像情報生成部は、読み出した処理条件パラメータを用いて、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた切出範囲の画像情報を原画像情報から切り出す処理、および切り出した画像情報を拡大する処理(画像情報のサイズを変換する処理)等を実施して、部分画像情報を生成する。
以上のように、設置作業者は、従来のようにPCの表示部に表示された設定画面上から処理条件を設定する必要がない。
したがって、マルチディスプレイシステムの設営時において、PCを用いることなく、表示装置単体で動作設定(台数情報、位置情報、処理条件等の設定)ができ、動作設定の簡略化により、マルチディスプレイシステムを容易に構築できる。
【0009】
本発明の表示装置では、前記各部分画像は、少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して前記原画像を構成するものであり、前記部分画像情報生成部は、前記部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像情報を前記原画像情報から切り出して前記部分画像情報を生成することが好ましい。
ここで、表示装置としては、部分画像を拡大投射するプロジェクタを採用できる。
ところで、各部分画像が重なり合うことなく各部分画像によって原画像を構成する場合には、各プロジェクタが適切に設置されていないと、各部分画像間に隙間が生じ、原画像を良好に表示できない。
本発明では、各部分画像は、少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する。そして、部分画像情報生成部は、部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像情報を原画像情報から切り出して部分画像情報を生成する。このことにより、各プロジェクタから拡大投射される各部分画像の少なくとも一部が重なり合って原画像が表示されるので、各部分画像間に隙間が生じることがなく、原画像を良好に表示できる。
【0010】
本発明の表示装置では、前記部分画像の重なり領域の明るさを調整する明るさ調整部を備えていることが好ましい。
ここで、明るさ調整部としては、部分画像の重なり領域の明るさを光学的に調整(光量調整)する遮光板や、部分画像情報における重なり領域に対応する画像情報に対して、明るさ(輝度や色)を調整する画像補正処理を実施する画像補正部等を採用できる。
【0011】
ところで、各部分画像の一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する場合には、原画像において、重なり領域における輝度値が他の領域に比べて増大してしまい、原画像を良好に表示することが難しい。
本発明によれば、明るさ調整部により部分画像の重なり領域の明るさを調整できるので、原画像において、重なり領域における輝度値を他の領域と同等の輝度値とすることができ、原画像を自然な画像にして良好に表示できる。
【0012】
本発明の表示装置では、前記制御装置は、前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、一画面の少なくとも一部を構成する参照部分画像を前記表示部に表示させる参照画像表示制御を実施する参照画像表示制御部を備えていることが好ましい。
本発明では、制御装置を構成する参照画像表示制御部は、スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、例えば、一画面となる参照原画像情報をメモリから読み出し、部分画像情報生成部の処理と同様に、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた切出範囲の画像情報を参照原画像情報から切り出して参照部分画像情報を生成する。または、参照画像表示制御部は、台数情報および位置情報に関連付けられ、一画面の少なくとも一部を構成する各参照部分画像情報を記憶するメモリからスイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像情報を読み出す。そして、参照画像表示制御部は、生成した参照部分画像情報、または、読み出した参照部分画像情報に基づく参照部分画像を表示部に表示させる参照画像表示制御を実施する。このことにより、表示装置は、従来のようにPCを接続することなく、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた参照部分画像を表示できる。このため、マルチディスプレイシステムの設営時において、設置作業者は、各表示装置に表示された各参照部分画像を確認しながら、各表示装置を適切な位置に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステムの構築をより容易に実施できる。
【0013】
本発明の表示装置では、前記参照画像表示制御部は、当該表示装置の電源投入時において、前記参照画像表示制御を実施することが好ましい。
本発明によれば、マルチディスプレイシステムの設営時において、設置作業者は、各表示装置の電源を投入するだけで、各表示装置に自身が表示すべき部分画像の位置に応じた各参照部分画像が表示されるので、各表示装置に表示された各参照部分画像を確認しながら、各表示装置を適切な位置に迅速に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステムの構築をより容易にかつ迅速に実施できる。
【0014】
本発明の表示装置では、前記参照部分画像は、当該表示装置の設置位置を調整するための案内情報を含んで構成されていることが好ましい。
ここで、案内情報としては、例えば、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた数字や文字に関する情報、各部分画像の少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する場合には重なり領域を示す情報(例えば、格子状の線や色)等が採用できる。
本発明によれば、参照部分画像が案内情報を含んで構成されているので、マルチディスプレイシステムの設営時において、設置作業者は、各表示装置に表示された各参照部分画像に含まれる案内情報を認識することで、各表示装置を適切な位置に容易にかつ高精度に調整することができる。
【0015】
本発明のマルチディスプレイシステムは、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムであって、前記複数の表示装置は、上述した表示装置で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、マルチディスプレイシステムは、上述した表示装置を備えているので、上述した表示装置と同様の作用および効果を享受できる。
【0016】
本発明の表示方法は、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の表示方法であって、前記表示装置は、前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、当該表示方法は、前記制御装置が、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを実行することを特徴とする。
本発明の表示方法は、上述した表示装置によって実施されるものであるので、上述した表示装置と同様の作用および効果を享受できる。
【0017】
本発明の制御プログラムは、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の制御プログラムであって、前記表示装置は、前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを前記制御装置に実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明の記録媒体は、上述した制御プログラムがコンピュータに読取可能に記録されていることを特徴とする。
【0019】
以上のような構成の制御プログラムおよび記録媒体は、上述した表示方法を実施するために利用されるので、上述した表示方法と同様の作用および効果を享受できる。
また、上述した制御プログラムを記録媒体に記録させるので、プログラムの取り扱いが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔マルチディスプレイシステムの全体構成〕
図1は、マルチディスプレイシステム1の構成を示す図である。
マルチディスプレイシステム1は、複数の表示装置にて表示される各部分画像によって
、高輝度、高解像度、および大画面の画像(原画像)を表示するシステムである。このマルチディスプレイシステム1は、図1に示すように、画像出力装置2と、画像信号分配器3と、表示装置としての複数のプロジェクタ4(本実施形態では、縦方向2台×横方向2台(「2×2」)の4台のプロジェクタ4A,4B,4C,4D)とで構成される。
【0021】
画像出力装置2は、マルチディスプレイシステム1を利用して、画像(原画像)を表示させるための原画像情報としての画像信号を出力する装置である。この画像出力装置2としては、種々の機器を用いることができ、例えば、パーソナルコンピュータ、テレビジョンチューナ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ等が例示できる。
画像信号分配器3は、画像出力装置2と信号線S1を介して接続し、画像出力装置2から出力され信号線S1を介して入力した画像信号を各プロジェクタ4に並列に出力する装置である。この画像信号分配器3としては、例えば、パーソナルコンピュータ等の画像出力装置2から出力された画像信号を、信号レベルを保持するためのビデオバッファアンプを介して各プロジェクタ4に並列に出力する汎用の画像信号分配器を用いることができる。
【0022】
図2は、プロジェクタ4の構成を示すブロック図である。
各プロジェクタ4は、図1に示すように、画像信号分配器3と信号線S2,S3,S4,S5を介してそれぞれ接続する。そして、プロジェクタ4は、画像信号分配器3から出力され各信号線S2〜S5を介して入力した画像信号に対して所定の画像処理を施し、画像処理を施した画像信号に基づいて、光源から射出された光束を光学的に処理して画像光を形成し、スクリーンScに拡大投射する。
ここで、スクリーンScは、具体的な図示は省略するが、本実施形態では、入射した画像光を透過して投影する透過型スクリーンを採用している。なお、スクリーンScとしては、入射した画像光を反射して投影する反射型スクリーンで構成しても構わない。
【0023】
すなわち、図1では、4つのプロジェクタ4A〜4Dのうち、プロジェクタ4Aは、スクリーンScを背面側(視聴者側とは反対側)から見て左上部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。プロジェクタ4Bは、スクリーンScを背面側から見て右上部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。プロジェクタ4Cは、スクリーンScを背面側から見て左下部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。プロジェクタ4Dは、スクリーンScを背面側から見て右下部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。
なお、本実施形態では、図1に示すように、各プロジェクタ4A〜4Dから拡大投射した画像光(部分画像)の一部を重ね合わせることで原画像を構成するものとしている。
また、本実施形態では、4つのプロジェクタ4A〜4Dの構成は同一の構成とし、以下では、1つのみのプロジェクタ4を説明する。このプロジェクタ4は、図2に示すように、表示部としての画像投射部41と、機械式スイッチ部42と、制御装置43とで大略構成されている。
【0024】
画像投射部41は、制御装置43による制御の下、画像光を形成してスクリーンScに拡大投射する。この画像投射部41は、図2に示すように、光源装置411と、光変調素子としての液晶ライトバルブ412と、投射光学系413等を備える。
光源装置411は、制御装置43による制御の下、光束を液晶ライトバルブ412に向けて射出する。この光源装置411は、光源ランプ4111と、光源駆動部4112とを備える。
【0025】
光源ランプ4111は、超高圧水銀ランプにて構成されている。なお、超高圧水銀ランプに限らず、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の他の放電発光型の光源ランプを採用してもよい。さらに、放電発光型の光源ランプに限らず、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の各種自己発光素
子を採用してもよい。
光源駆動部4112は、制御装置43による制御の下、所定の駆動電圧で光源ランプ4111を駆動する。
【0026】
液晶ライトバルブ412は、透過型の液晶パネルであり、制御装置43からの駆動信号に基づいて、液晶セル(図示略)に封入された液晶分子の配列を変化させ、光源ランプ4111から射出された光束を、透過若しくは遮断することにより駆動信号に応じた画像光を投射光学系413に射出する。
投射光学系413は、液晶ライトバルブ412から射出された画像光をスクリーンScに向けて拡大投射する。
【0027】
なお、図示は省略したが、プロジェクタ4は、RGBの3色に対応する3枚の液晶ライトバルブ412を備えている。また、光源装置411は、光源光を3色の光に分離する色分離光学系を備えている。さらに、投射光学系413は、3色の画像光を合成してカラー画像を表す画像光を生成する色合成光学系を有している。なお、このような光学系の構成については、種々の一般的なプロジェクタの光学系の構成が利用可能である。
【0028】
図3および図4は、機械式スイッチ部42の構成を示す図である。
機械式スイッチ部42は、マルチディスプレイシステム1に用いる全てのプロジェクタ4の台数に関する台数情報、および、原画像内における自身のプロジェクタ4が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とするスイッチである。この機械式スイッチ部42は、図2ないし図4に示すように、台数設定部421と、PJ番号設定部422とを備える。
【0029】
台数設定部421は、図3または図4に示すように、プロジェクタ4の外装筺体44に露出して設けられるスライドスイッチで構成されている。そして、台数設定部421をスライドさせて、外装筺体44に形成された「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の数字位置にスイッチトップ421Aを位置付けることで、マルチディスプレイシステム1に用いる全てのプロジェクタ4の台数に関する台数情報が設定される。より具体的に、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「1」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が縦方向1台×横方向1台(「1×1」)の1台のみである旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「2」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「2×2」の4台である旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「3」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「3×3」の9台である旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「4」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「4×4」の16台である旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「5」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「5×5」の25台である旨の台数情報が設定される。
【0030】
本実施形態では、上述したように、縦方向2台×横方向2台の4台のプロジェクタ4A〜4Dを用いるので、台数設定部421は、図3に示すように、外装筺体44に形成された「2」の数字位置にスイッチトップ421Aが位置付けられている。なお、例えば、縦方向4台×横方向4台の16台のプロジェクタ4を用いる場合には、図4に示すように、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「4」の数字位置に位置付ければよい。
【0031】
PJ番号設定部422は、図3または図4に示すように、プロジェクタ4の外装筺体4
4に露出して設けられるディップスイッチ(本実施形態では、5個のスイッチが並べられたディップスイッチ)で構成されている。そして、PJ番号設定部422は、各スイッチ422A,422B,422C,422D,422EをON状態またはOFF状態とする(外装筺体44に形成された「1」または「0」の数字位置に位置付ける)ことで、表示する原画像内における自身のプロジェクタ4が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報が設定される。本実施形態では、PJ番号設定部422は、2進数のコードで位置情報を設定可能に構成されている。例えば、本実施形態において、スクリーンScを背面側から見て左下部分に画像光を拡大投射するプロジェクタ4C(図3中、「2×2」の3番目の位置に配設されるプロジェクタ4C)の位置情報を設定する場合には、図3に示すように、スイッチ422A,422BをON状態、スイッチ422C〜422EをOFF状態とする。すなわち、PJ番号設定部422には、「00011」の2進数のコード、すなわち、「3」の位置情報が設定される。なお、例えば、図4に示すように、「4×4」の16台のプロジェクタ4を用いる場合で、「4×4」の11番目の位置に配設されるプロジェクタの位置情報を設定する場合には、スイッチ422A,422B,422DをON状態、スイッチ422C,422EをOFF状態とすればよい。すなわち、PJ番号設定部422には、「01011」の2進数のコード、すなわち、「11」の位置情報が設定される。
【0032】
制御装置43は、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成され、メモリ433に記憶された制御プログラムにしたがって、プロジェクタ4全体を制御する部分である。なお、制御装置43の構成としては、入力した画像信号の処理機能を主に説明し、その他の機能については説明を省略する。この制御装置43は、図2に示すように、信号処理部431と、スイッチ認識部432と、メモリ433と、表示制御部434等を備える。これら各構成要素431〜434は、図示しないバスにより接続され、必要な情報が伝送可能に構成されている。
【0033】
信号処理部431は、画像入力端子431A(図1)を介して画像信号分配器3等から入力した画像信号を、表示制御部434にて読み取り可能な信号(デジタル信号)に変換して出力する。
スイッチ認識部432は、機械式スイッチ部42と電気的に接続し、機械式スイッチ部42の状態を検出して機械式スイッチ部42に設定された台数情報および位置情報を認識する。そして、スイッチ認識部432は、認識した台数情報および位置情報に応じた信号を適宜、表示制御部434に出力する。
【0034】
メモリ433は、制御装置43にて各種処理を実行するための制御プログラム、各種処理に必要な情報、処理された情報等を記憶する。このメモリ433は、図2に示すように、処理条件記憶部4331と、参照画像情報記憶部4332等を備える。
処理条件記憶部4331は、表示制御部434にて実施される部分画像データ生成処理に必要な処理条件に関する各処理条件パラメータを記憶する。ここで、処理条件パラメータは、信号処理部431を介して入力した画像信号(原画像情報としての原画像データ)から部分画像データ(部分画像情報)を生成するための処理条件に関する情報である。そして、処理条件記憶部4331は、機械式スイッチ部42に設定される各台数情報(「1×1」、「2×2」、「3×3」、「4×4」、「5×5」)および各位置情報(例えば、1〜25)と各処理条件パラメータとを関連付けて(例えば、台数情報「1×1」および位置情報「1」と所定の処理条件パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「1」と所定の処理条件パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「2」と所定の処理条件パラメータとを関連付け、・・・台数情報「5×5」および位置情報「25」と所定の処理条件パラメータとを関連付けて)記憶する。例えば、処理条件記憶部4331は、複数の情報を区画するデータテーブルを有し、台数情報および位置情報毎に各処理条件パラメータをデータテーブルの各区画に対応させて記憶する構成が例示できる。
【0035】
参照画像情報記憶部4332は、マルチディスプレイシステム1の設営時、すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dを所定の設置位置にそれぞれ調整する際に用いられる各参照部分画像に関する各参照部分画像データ(参照部分画像情報)を記憶する部分である。これら各参照部分画像データは、所定の原画像データを、用いるプロジェクタの台数(台数情報)に対応させて切り出した部分画像データである。また、各参照部分画像データは、具体的には後述するが、各プロジェクタ4A〜4Dの設置位置を調整するための各案内データを含んで構成されている。そして、参照画像情報記憶部4332は、機械式スイッチ部42に設定される各台数情報および各位置情報と各参照部分画像データとを関連付けて(例えば、台数情報「1×1」および位置情報「1」と所定の参照部分画像データとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「1」と所定の参照部分画像データとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「2」と所定の参照部分画像データとを関連付け、・・・、台数情報「5×5」および位置情報「25」と所定の参照部分画像データとを関連付けて)記憶する。例えば、参照画像情報記憶部4332は、複数の情報を区画するデータテーブルを有し、台数情報および位置情報毎に各参照画像データをデータテーブルの各区画に対応させて記憶する構成が例示できる。
【0036】
表示制御部434は、液晶ライトバルブ412の駆動制御を実施する部分である。より具体的に、表示制御部434は、信号処理部431を介して入力した画像信号(原画像データ)に対して所定の処理を施して部分画像データを生成し、部分画像データに応じた駆動信号を液晶ライトバルブ412に出力することで部分画像データに基づく部分画像(画像光)を液晶ライトバルブ412に形成させる。この表示制御部434は、図2に示すように、画像データ処理部4341と、参照画像表示制御部4342と、パネル駆動部4343と、同期制御部4344等を備える。
【0037】
画像データ処理部4341は、信号処理部431を介して入力したデジタルの原画像データから部分画像データを生成する部分画像データ生成処理、ガンマ補正等適宜必要な画像データ補正処理等の各種の画像データ処理を実施する。この画像データ処理部4341は、図2に示すように、部分画像情報生成部4341Aと、画像補正部4341B等を備える。なお、具体的な図示は省略したが、画像データ処理部4341は、上述した画像データ処理を実施する際の記憶領域として図示しない画像データ記憶部を有している。この画像データ記憶部は、信号処理部431を介して入力した原画像データをバッファリングする部分であり、例えば、1画面分の原画像データを全て記憶するフレームバッファや、水平方向の1ライン分の走査データを記憶するラインバッファ等を採用できる。
【0038】
部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データから所定領域の画像データを切り出す画像データ切出処理と、切り出された所定領域の画像データの画像サイズを変換する画像サイズ変換処理とを実施して、部分画像データを生成する(部分画像データ生成処理)。
画像補正部4341Bは、部分画像情報生成部4341Aにて生成された部分画像データに対して、メモリ433に記憶された画像補正パラメータを用いて、ガンマ補正等適宜必要な画像データ補正処理を実施する。
【0039】
参照画像表示制御部4342は、プロジェクタ4の電源投入時(起動時)において、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、読み出した参照部分画像データに基づく参照部分画像を液晶ライトバルブ412に形成させる参照画像表示制御を実施する。
【0040】
パネル駆動部4343は、画像データ処理部4341にて生成された部分画像データから液晶ライトバルブ412を駆動するための駆動信号を生成し、液晶ライトバルブ412に駆動信号を出力することで、液晶ライトバルブ412に部分画像(画像光)を形成させる。また、パネル駆動部4343は、参照画像表示制御部4342にて読み出された参照部分画像データから液晶ライトバルブ412を駆動するための駆動信号を生成し、液晶ライトバルブ412に駆動信号を出力することで、液晶ライトバルブ412に参照部分画像(画像光)を形成させる。
【0041】
同期制御部4344は、信号処理部431を介して入力した原画像データが有する同期信号を基準に上述した各種画像データ処理および表示制御を実施させる同期制御を実施する。すなわち、この同期制御部4344により、同期制御を実施することで、各プロジェクタ4(4A〜4D)での表示タイミングがばらつくことを防止している。
【0042】
〔マルチディスプレイシステムの動作〕
次に、上述したマルチディスプレイシステム1の動作について図面を参照して説明する。
なお、以下では、マルチディスプレイシステム1の動作のうち、プロジェクタ4の動作を主に説明し、画像出力装置2および画像信号分配器3の動作については説明を省略する。また、以下では、先ず、マルチディスプレイシステム1の設営時におけるプロジェクタ4の動作を説明し、次に、マルチディスプレイシステム1を利用したプロジェクタ4の動作(タイリング表示動作)を説明する。
【0043】
〔設営時でのプロジェクタの動作〕
図5は、マルチディスプレイシステム1の設営時におけるプロジェクタ4の動作を説明するフローチャートである。
図6は、マルチディスプレイシステム1の設営時におけるプロジェクタ4の動作を説明するための図である。具体的に、図6は、タイリング表示を実施する場合での参照部分画像F1,F2,F3,F4の一例を示す図である。なお、図6中、中央部分の画像は、タイリング表示された、すなわち、参照部分画像F1,F2,F3,F4を並べた状態の参照原画像を示している。
なお、以下では、各プロジェクタ4A〜4Dは、画像信号分配器3と信号線S2〜S5を介して接続していない状態とする。また、各プロジェクタ4A〜4Dの各機械式スイッチ部42には、予め、マルチディスプレイシステム1の設置作業者により、以下に示すような台数情報および位置情報が設定されているものとする。
すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dの各台数設定部421は、スイッチトップ421Aが外装筺体44に形成された「2」の数字位置に位置付けられている。
また、プロジェクタ4AのPJ番号設定部422は、スイッチ422AがON状態に設定され、各スイッチ422B〜422EがOFF状態に設定されている。プロジェクタ4BのPJ番号設定部422は、スイッチ422BがON状態に設定され、各スイッチ422A,422C〜422EがOFF状態に設定されている。プロジェクタ4CのPJ番号設定部422は、スイッチ部422A,422BがON状態に設定され、各スイッチ422C〜422EがOFF状態に設定されている。プロジェクタ4DのPJ番号設定部422は、スイッチ部422CがON状態に設定され、各スイッチ422A,422B,422D,422EがOFF状態に設定されている。
【0044】
先ず、設置作業者による各プロジェクタ4A〜4Dの図示しない各操作パネルの「プロジェクタの電源をONする」旨の操作により、前記各操作パネルから各制御装置43に電源ON信号が出力される。そして、制御装置43は、電源ON信号の入力に応じて、メモリ433に記憶された制御プログラムを読み出し、該制御プログラムにしたがって、以下
の処理を実行する。
【0045】
すなわち、制御装置43は、光源装置411を駆動制御し、光源ランプ4111を点灯させる(ステップST1)。
ステップST1の後、制御装置43のスイッチ認識部432は、台数設定部421およびPJ番号設定部422の状態を検出し、台数設定部421に設定された台数情報、およびPJ番号設定部422に設定された位置情報をそれぞれ認識する(ステップST2)。そして、スイッチ認識部432は、認識した台数情報および位置情報に応じた信号を表示制御部434に出力する。
【0046】
より具体的に、プロジェクタ4A〜4Dを構成する各スイッチ認識部432は、台数設定部421のスイッチトップ421Aが外装筺体44に形成された「2」の位置に位置付けられている状態を検出し、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「2×2」の4台である旨の台数情報をそれぞれ認識する。また、プロジェクタ4Aを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00001」の2進数のコード、すなわち、「1」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Bを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00010」の2進数のコード、すなわち、「2」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Cを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00011」の2進数のコード、すなわち、「3」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Dを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00100」の2進数のコード、すなわち、「4」の位置情報を認識する。
【0047】
ステップST2の後、制御装置43の参照画像表示制御部4342は、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出す。そして、参照画像表示制御部4342は、パネル駆動部4343に参照部分画像データに応じた駆動信号を生成させて液晶ライトバルブ412に出力させ、読み出した参照部分画像データに基づく参照部分画像を液晶ライトバルブ412に形成させる参照画像表示制御を実施する(ステップST3)。
【0048】
より具体的に、ステップST3において、プロジェクタ4Aでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の1番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Aから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F1が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。プロジェクタ4Bでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の2番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Bから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F2が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。プロジェクタ4Cでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の3番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Cから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F3が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。プロジェクタ4Dでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の4番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Dから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F4が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。
【0049】
なお、本実施形態では、図6に示すように、各参照部分画像F1〜F4が同一の画像として構成されている。
ここで、各参照部分画像F1〜F4は、上述した案内データに基づく案内情報を含んだ画像で構成されている。より具体的に、各参照部分画像F1〜F4は、隣接する参照部分画像が重なり合う重なり領域を示す情報を含んだ画像で構成されている。すなわち、各参照部分画像F1〜F4は、図6に示すように、縦横に延びる格子状の線F1A,F2A,F3A,F4Aを有する。本実施形態では、線F1A,F2A,F3A,F4Aは、図6に示すように、縦方向に7本、横方向に7本で構成されている。また、各参照部分画像F1〜F4は、図6に示すように、線F1A,F2A,F3A,F4Aにて区画された各領域のうち重なり領域に対応する領域の色と他の領域の色とが異なるように形成されている。すなわち、図6に示すように、線F1A,F2A,F3A,F4Aにて区画された各領域F1B,F2B,F3B,F4Bのうち、四隅の各角部分に対応する領域F1B1〜F1B4,F2B1〜F2B4,F3B1〜F3B4,F4B1〜F4B4(各4個の区画分)の色が黒に設定され、四隅の各角部分間の辺縁に沿う領域F1B5〜F1B8,F2B5〜F2B8,F3B5〜F3B8,F4B5〜F4B8(各8個の区画分)の色がグレーに設定され、中心に位置する領域F1B9,F2B9,F3B9,F4B9(各16個の区画分)の色が白に設定されている。
すなわち、各参照部分画像データには、上述した線F1A,F2A,F3A,F4Aに関するデータや、各領域F1B,F2B,F3B,F4Bの色に関するデータ等の案内データを含んで構成されている。
【0050】
そして、以上のような状態において、設置作業者は、各参照部分画像F1〜F4を確認しながら、すなわち、上述した各線F1A,F2A,F3A,F4Aや各領域F1B,F2B,F3B,F4Bを確認しながら、各プロジェクタ4A〜4Dを設置する。
例えば、プロジェクタ4Aを所定位置に位置付ける。次に、プロジェクタ4Aにて拡大投射された参照部分画像F1の各領域F1B2,F1B4,F1B6に、プロジェクタ4Bにて拡大投射された参照部分画像F2の各領域F2B1,F2B3,F2B8がそれぞれ合致するように、プロジェクタ4Bを位置付ける。次に、参照部分画像F1の各領域F1B3,F1B4,F1B7にプロジェクタ4Cにて拡大投射された参照部分画像F3の各領域F3B1,F3B2,F3B5がそれぞれ合致し、かつ、参照部分画像F2の領域F2B3に参照部分画像F3の領域F3B2が合致するように、プロジェクタ4Cを位置付ける。最後に、参照部分画像F2の各領域F2B3,F2B4,F2B7にプロジェクタ4Dにて拡大投射された参照部分画像F4の各領域F4B1,F4B2,F4B5がそれぞれ合致し、かつ、参照部分画像F3の各領域F3B2,F3B4,F3B6に参照部分画像F4の各領域F4B1,F4B3,F4B8がそれぞれ合致するように、プロジェクタ4Dを位置付ける。
【0051】
〔タイリング表示動作〕
図7は、プロジェクタ4のタイリング表示動作を説明するフローチャートである。
図8は、プロジェクタ4のタイリング表示動作を説明するための図である。
なお、以下では、各プロジェクタ4A〜4Dは、上述した設営時でのプロジェクタの動作で説明した設置位置に位置付けられているものとする。また、画像出力装置2、画像信号分配器3、および各プロジェクタ4A〜4Dは、設置作業者により、信号線S1〜S5により接続された状態とする。また、各プロジェクタ4A〜4Dの各機械式スイッチ部42の設定状態は、上述した設営時でのプロジェクタの動作で説明した状態と同一の状態のままである。さらに、画像信号分配器3から各プロジェクタ4A〜4Dに出力される画像信号は、共通のものとする。
【0052】
先ず、制御装置43のスイッチ認識部432は、台数設定部421およびPJ番号設定部422の状態を検出し、台数設定部421に設定された台数情報、およびPJ番号設定
部422に設定された位置情報をそれぞれ認識する(ステップST11:設定認識ステップ)。すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dを構成する各スイッチ認識部432は、上述したステップST2と同様に、台数設定部421のスイッチトップ421Aが外装筐体44に形成された「2」の位置に位置付けられている状態を検出し、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「2×2」の4台である旨の台数情報をそれぞれ認識する。また、プロジェクタ4Aを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「1」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Bを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「2」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Cを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「3」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Dを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「4」の位置情報を認識する。
【0053】
ステップST11の後、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを処理条件記憶部4331から読み出す。そして、部分画像情報生成部4341Aは、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データに対して、画像データ切出処理(ステップST12)、および画像サイズ変換処理(ステップST13)とを実施して、部分画像データを生成する(ステップST14)。すなわち、ステップST12〜ST14は、本発明に係る部分画像情報生成ステップに相当する。
【0054】
ここで、処理条件パラメータとしては、図8に示すように、原画像データにおける部分画像データの範囲の始点位置に関する始点座標と、拡大率とで構成された情報が例示できる。なお、始点座標は、切出開始位置として、例えば、切り出す矩形領域の左上部を指定するための座標P(例えば、P1,P2,P3,P4)である。また、拡大率は、切り出された画像データの拡大範囲を定めるもので、図8に示すように、原画像データD0の水平解像度をW、垂直解像度をH、切り出す矩形領域の水平解像度をw、垂直解像度をhとすると、拡大率Zは、Z=W/w=H/hと表すことができる。なお、本実施形態では、原画像データのアスペクト比と、切り出す矩形領域のアスペクト比とが同一であるものとしている。また、拡大率Z(Z1,Z2,Z3,Z4)=1.75としている。
【0055】
より具体的に、プロジェクタ4Aの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜ST14を実施することで、部分画像データD1(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の1番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P1(0、0)、および拡大率Z1(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P1および拡大率Z1に基づいて、終点座標Q1(W/1.75、H/1.75)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P1、および算出した終点座標Q1で設定される切出範囲の画像データD1Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD1Aに対して、読み出した拡大率Z1で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD1を生成する。
【0056】
また、プロジェクタ4Bの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜S14を実施することで、部分画像データD2(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の2番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P2(W−W/1.75、0)、および拡大率Z2(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P2および拡大率Z2に
基づいて、終点座標Q2(W、H/1.75)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P2、および算出した終点座標Q2で設定される切出範囲の画像データD2Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD2Aに対して、読み出した拡大率Z2で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD2を生成する。
【0057】
また、プロジェクタ4Cの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜ST14を実施することで、部分画像データD3(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の3番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P3(0、H−H/1.75)、および拡大率Z3(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P3および拡大率Z3に基づいて、終点座標Q3(W/1.75、H)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P3、および算出した終点座標Q3で設定される切出範囲の画像データD3Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD3Aに対して、読み出した拡大率Z3で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD3を生成する。
【0058】
また、プロジェクタ4Dの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜ST14を実施することで、部分画像データD4(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の4番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P4(W−W/1.75、H−H/1.75)、および拡大率Z4(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P4および拡大率Z4に基づいて、終点座標Q4(W、H)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P4、および算出した終点座標Q4で設定される切出範囲の画像データD4Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD4Aに対して、読み出した拡大率Z4で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD4を生成する。
【0059】
ステップST14の後、生成された部分画像データに対して画像補正部4341Bにて画像データ補正処理が実施される(ステップST15)。
ステップST15の後、パネル駆動部4343は、画像データ補正処理が実施された部分画像データに応じた駆動信号を生成し、液晶ライトバルブ412に出力し、液晶ライトバルブ412に部分画像データD1〜D4に応じた各部分画像を形成させる。そして、各プロジェクタ4A〜4Dから各部分画像が拡大投射されスクリーンSc上に投影されることで、原画像データD0に応じた原画像が表示される(ステップST16)。
【0060】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、プロジェクタ4が機械式スイッチ部42を備えているので、マルチディスプレイシステム1を設営する設置作業者は、従来のようにPCや各プロジェクタをカスケード接続することなく、すなわち、PCを用いることなく、用いるプロジェクタ4の台数に関する台数情報、および設定対象となるプロジェクタが表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械式スイッチ部42に設定できる。また、台数情報および位置情報を設定する部分が機械式スイッチ部42で構成されているので、設置作業者は、プロジェクタ4の電源を投入しなくても、台数情報および位置情報を機械式スイッチ部42に設定できる。さらに、設置作業者は、機械式スイッチ部42により台数情報および位置情報の
設定状態が目視にて確認できるので、該台数情報および位置情報を目視にて確認しながら、プロジェクタ4を所定位置に設置できる。
【0061】
また、本実施形態では、プロジェクタ4を構成する制御装置43は、処理条件記憶部4331、スイッチ認識部432、および部分画像情報生成部4341Aを備えている。そして、部分画像情報生成部4341Aは、処理条件記憶部4331に記憶された各処理条件パラメータのうち、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを読み出し、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データから部分画像データを生成する。このことにより、設置作業者は、従来のようにPCの表示部に表示された設定画面上から処理条件を設定する必要がない。
したがって、マルチディスプレイシステム1の設営時において、PCを用いることなく、プロジェクタ4単体で動作設定(台数情報、位置情報、処理条件等の設定)ができ、動作設定の簡略化により、マルチディスプレイシステム1を容易に構築できる。
また、設置作業者は、処理条件を設定する必要がないので、従来のように処理条件を間違って設定してしまう恐れがなく、各プロジェクタ4が適切に設置されていれば、原画像を良好に表示できる。
【0062】
ところで、各部分画像が重なり合うことなく各部分画像によって原画像を構成する場合には、各プロジェクタが適切に設置されていないと、各部分画像間に隙間が生じ、原画像を良好に表示できない。
本実施形態では、各部分画像は、一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、切出範囲が部分画像の重なり領域を含んだ範囲に設定された処理条件パラメータを用いて、部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像データを原画像データから切り出して部分画像データを生成する。このことにより、各プロジェクタ4から拡大投射される各部分画像の一部が重なり合って原画像が表示されるので、各部分画像間に隙間が生じることがなく、原画像を良好に表示できる。
【0063】
また、プロジェクタ4は、参照画像情報記憶部4332および参照画像表示制御部4342を備えているので、従来のようにPCを接続することなく、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた参照部分画像を表示できる。このため、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各プロジェクタ4から拡大投射された各参照部分画像を確認しながら、各プロジェクタ4を適切な位置に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステム1の構築をより容易に実施できる。
【0064】
ここで、参照画像表示制御部4342は、プロジェクタ4の電源投入時において、参照画像表示制御を実施する。このことにより、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各プロジェクタ4の電源を投入するだけで、各プロジェクタ4から自身が表示すべき部分画像の位置に応じた各参照部分画像が拡大投射されるので、表示された各参照部分画像を確認しながら、各プロジェクタ4を適切な位置に迅速に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステム1の構築をより容易にかつ迅速に実施できる。
また、各参照部分画像には、案内情報(格子状の線F1A,F2A,F3A,F4A、各領域F1B,F2B,F3B,F4Bの色を異なるものに設定した情報)が含まれている。このことにより、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各プロジェクタ4から拡大投射された各参照部分画像に含まれる各案内情報を認識することで、各プロジェクタ4を適切な位置に容易にかつ高精度に調整することができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して
、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、第2実施形態におけるプロジェクタ40の構成を示すブロック図である。
本実施形態は、前記第1実施形態に対して、プロジェクタ40(本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、4台のプロジェクタ40A,40B,40C,40D)が部分画像データにおける重なり領域(各部分画像が重なり合う領域)に対応する画像データに対してエッジブレンディング処理を実施して明るさを調整する点が異なるのみである。すなわち、プロジェクタ40を構成する制御装置43の画像データ処理部4341(画像補正部4341B)の機能、およびメモリ433に記憶される情報が異なるのみであり、その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0066】
メモリ433は、制御装置43にて各種処理を実行するための制御プログラム、各種処理に必要な情報、処理された情報等を記憶する部分であり、前記第1実施形態で説明した処理条件記憶部4331および参照画像情報記憶部4332の他、重なり補正情報記憶部4333を備える。
重なり補正情報記憶部4333は、画像補正部4341Bにて実施されるエッジブレンディング処理に必要な各重なり補正パラメータを記憶する。この重なり補正パラメータは、重なり領域の範囲を示す重なり領域情報と、重なり領域情報に基づく重なり領域の画像データの明るさを調整するための明るさ補正パラメータとに関する情報である。そして、重なり補正情報記憶部4333は、機械式スイッチ部42に設定される各台数情報および各位置情報と、各重なり補正パラメータとを関連付けて(例えば、台数情報「1×1」および位置情報「1」と所定の重なり補正パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「1」と所定の重なり補正パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「2」と所定の重なり補正パラメータとを関連付け、・・・、台数情報「5×5」および位置情報「25」と所定の重なり補正パラメータとを関連付けて)記憶する。例えば、重なり補正情報記憶部4333は、複数の情報を区画するデータテーブルを有し、台数情報および位置情報毎に各重なり補正パラメータをデータテーブルの各区画に対応させて記憶する構成が例示できる。
【0067】
明るさ調整部としての画像補正部4341Bは、部分画像データに対して前記第1実施形態で説明したガンマ補正等適宜必要な画像データ補正処理を実施する機能の他、以下の機能を有する。すなわち、画像補正部4341Bは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた重なり補正パラメータを重なり補正情報記憶部4333から読み出し、読み出した重なり補正パラメータを用いて、部分画像データにおける所定の重なり領域に対応する画像データに対して、明るさ(例えば、輝度や色)を調整するエッジブレンディング処理を実施する。
【0068】
図10および図11は、画像補正部4341Bによるエッジブレンディング処理を説明するための図である。
例えば、前記第1実施形態のように、部分画像データに対してエッジブレンディング処理を実施しない場合には、図10に示すように、一部が重なり合う各部分画像をそれぞれ表示するプロジェクタ4A,4Bによる表示画像のスクリーンSc上での重なり領域における輝度値が他の領域に比べて増大してしまう。
そして、本実施形態では、画像補正部4341Bは、前記第1実施形態で説明したステップST15において、前記第1実施形態で説明した画像データ補正処理の他、以下に示すように、エッジブレンディング処理を実施する。
すなわち、画像補正部4341Bは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた重なり補正パラメータを重なり補正情報記憶部4333から読み出す。そして、画像補正部4341Bは、読み出した重なり補正パラメータに基づいて、重なり領域情報により部分画像データにおける重なり領域を認識し、図11に示すように、部分画像データにおける重なり領域に対応する画像データに対して、明るさ補正
パラメータにより、端部側に向かうにつれて次第に明るさを低下させるエッジブレンディング処理を実施する。
【0069】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
画像補正部4341Bは、エッジブレンディング処理により重なり領域に対応する画像データの明るさを調整するので、原画像において、重なり領域における輝度値を他の領域と同様の輝度値とすることができ、原画像を自然な画像にして良好に表示できる。
また、重なり領域に対応する画像データの明るさ(輝度や色)を調整する画像補正処理を実施する構成としているので、例えば、部分画像の重なり領域の明るさを光学的に調整、すなわち、拡大投射される部分画像の一部の光量を調整する遮光板を用いる構成と比較して、プロジェクタ40の構造の簡素化が図れる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図12は、第3実施形態におけるマルチディスプレイシステム10の構成を示す図である。
前記第1実施形態では、マルチディスプレイシステム1は、画像信号分配器3を用いて画像出力装置2からの画像信号を各プロジェクタ4A〜4Dに分配している。
これに対して第3実施形態では、マルチディスプレイシステム10は、各プロジェクタ4A〜4Dを直列接続(カスケード接続)し、画像信号分配器3を省略した構成としている。すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dを直列接続する構造、および画像信号分配器3を省略した点が前記第1実施形態と異なるのみであり、その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0071】
すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dには、図12に示すように、前記第1実施形態で説明した画像入力端子431Aの他、画像入力端子431Aを介して入力した画像信号をそのまま外部に出力可能なモニタ出力端子等の画像出力端子431Bを備えている。この画像出力端子431Bとしては、例えば、画像入力端子431Aにそのまま並列接続されている構成を採用できる。また、このような構成を採用した場合には、画像信号を長い距離にわたって引き回すこととなって信号が減衰してしまいノイズが混入しやすくなり、また、画像出力装置2の画像信号の出力インピーダンスが高い場合にはやはり画像信号が減衰してしまう。このため、具体的な図示は省略するが、例えば、信号処理部431に接続し、バッファアンプを有する信号出力部から画像出力端子431Bを介して外部に画像信号を出力する構成が好ましい。このような構成では、信号処理部431から出力された画像信号がバッファアンプを介して画像出力端子431Bから外部に画像信号が出力されるので、上述した画像信号の減衰を抑制できる。
【0072】
そして、マルチディスプレイシステム10は、図12に示すように、画像出力装置2とプロジェクタ40Aの画像入力端子431Aとが信号線S6を介して接続し、プロジェクタ4Aの画像出力端子431Bとプロジェクタ4Bの画像入力端子431Aとが信号線S7を介して接続し、プロジェクタ4Bの画像出力端子431Bとプロジェクタ4Cの画像入力端子431Aとが信号線S8を介して接続し、プロジェクタ4Cの画像出力端子431Bとプロジェクタ4Dの画像入力端子431Aとが信号線S9を介して接続することで、各プロジェクタ4A〜4Dが直列接続する。このように、各プロジェクタ4A〜4Dが直列接続されることで、画像出力装置2からの同一の画像信号が各プロジェクタ4A〜4Dに与えられる。
【0073】
なお、マルチディスプレイシステム10の動作については、前記第1実施形態で説明したマルチディスプレイシステム1の動作と同様であり、説明を省略する。
【0074】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態においては、前記第1実施形態で説明したようにプロジェクタ4単体で動作設定できるので、各プロジェクタ4A〜4Dをカスケード接続する際、信号線S7〜S9の接続状態を間違えた場合であっても、各プロジェクタ4A〜4Dが適切に設置されていれば、各プロジェクタ4A〜4Dが拡大投射する部分画像の位置が異なることなく、原画像を良好に表示できる。
また、本実施形態によれば、前記第1実施形態と比較して、画像信号分配器3を省略でき、また、必要な信号線の数を減らすことができ(前記第1実施形態では信号線S1〜S5の5本に対して、本実施形態では信号線S6〜S9の4本)、マルチディスプレイシステム10を簡略化できる。
【0075】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、部分画像情報生成部4341Aは、処理条件記憶部4331に記憶された各処理条件パラメータのうち、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを用いて、部分画像データを生成していたが、これに限らない。部分画像情報生成部4341Aによる部分画像データ生成処理は、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、原画像データの少なくとも一部の画像データを切り出して部分画像データを生成する処理であれば、その他の処理で実施しても構わない。
【0076】
前記各実施形態では、機械式スイッチ部42は、スライドスイッチおよびディップスイッチで構成されていたが、これに限らず、機械的に設定可能とするスイッチであれば、その他のスイッチを採用しても構わない。
また、前記各実施形態では、台数設定部421への台数情報の設定として、相似比に関する情報(「1×1」、「2×2」、「3×3」、「4×4」、「5×5」)を設定可能とする構成としたが、これに限らず、PJ番号設定部422と同様に、2進数のコードで、台数を設定可能とする構成としても構わない。
さらに、前記各実施形態では、台数情報の設定として、「5×5」の25台までの設定しかできない構成としていたが、これに限らず、25台以上の設定を可能とする構成等を採用しても構わない。
【0077】
前記各実施形態では、各部分画像の一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する説明をしたが、これに限らず、各部分画像が重なり合うことなく各部分画像によって原画像を構成するものとしても構わない。
【0078】
前記各実施形態において、機械式スイッチ部42の設定が間違っていた場合、例えば、台数設定部421に設定された台数情報が「2×2」の4台であるにもかかわらず、PJ番号設定部422に設定された位置情報が「5」である場合に、制御装置43が画像投射部41を駆動制御して、エラー表示、例えば、「機械式スイッチ部の設定が間違っている」旨のメッセージを表示させる構成としても構わない。例えば、上述した設定状態において、表示制御部434が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた情報(処理条件パラメータ、参照部分画像情報、重なり補正パラメータ等)をメモリ433から読み出すことができない構成としておけば、該読み出すことができないことをトリガとして、上述したエラー表示を実施する。
【0079】
前記各実施形態では、参照画像表示制御部4342は、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、該参照部分画像データに基づく参照部分画像を表示させる参照画像表示制御を実施していたが、これに限らず、以下に示すように参照画像表示制御を実施する構成としても構わない。
例えば、一画面を構成する参照原画像データを参照画像情報記憶部に記憶しておく。そして、参照画像表示制御部は、部分画像情報生成部4341Aの部分画像データ生成処理と同様に、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた切出範囲の画像データを参照原画像データから切り出して参照部分画像データを生成する。この後、参照画像表示制御部は、生成した参照部分画像データに基づく参照部分画像を表示させる参照画像表示制御を実施する。
【0080】
また、前記各実施形態では、各プロジェクタ4にて拡大投射される各参照部分画像F1〜F4が全て同一の画像で構成されていたが、これに限らない。例えば、参照部分画像F1においては、各領域F1Bのうち、各領域F1B1,F1B5,F1B8の色を白に設定する。また、参照部分画像F2においては、各領域F2Bのうち、各領域F2B2,F2B5,F2B6の色を白に設定する。また、参照部分画像F3においては、各領域F3Bのうち、各領域F3B3,F3B7,F3B8の色を白に設定する。また、参照部分画像F4においては、各領域F4B4,F4B6,F4B7の色を白に設定する。すなわち、隣接する参照部分画像が重なり合う領域と、重なり合わない領域とを明確に区別する。
【0081】
さらに、前記各実施形態において、案内情報としては、格子状の線F1A,F2A,F3A,F4Aや、各領域F1B,F2B,F3B,F4Bの色を異なるものに設定した情報を採用したが、これに限らない。
例えば、案内情報として、数や文字等を採用しても構わない。例えば、参照部分画像F1においては、「1」の数字や「A」の文字を含んだ画像とする。また、参照部分画像F2においては、「2」の数字や「B」の文字を含んだ画像とする。また、参照部分画像F3においては、「3」の数字や「C」の文字を含んだ画像とする。また、参照部分画像F4においては、「4」の数字や「D」の文字を含んだ画像とする。
また、例えば、案内情報を含まない参照部分画像としても構わない。
【0082】
前記各実施形態では、各部分画像を並べることで原画像を構成する「タイリング表示」を説明したが、前記各実施形態で説明したプロジェクタ4は、各部分画像の全ての領域を重ねて原画像を構成する「スタック表示」も実施可能に構成されているものである。すなわち、この「スタック表示」を実施する際には、例えば、各プロジェクタ4において、各台数情報設定部421の各スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「1」の数字位置に位置付けるとともに、PJ番号設定部422のスイッチ422AのみをON状態とする。このような設定により、各プロジェクタ4において、各部分画像情報生成部4341Aは、上述した設定によりスイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(1台中の1番目)に関連付けられた処理条件パラメータを処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データに対して画像データ切出処理(原画像データの全ての領域を切り出す)および画像サイズ変換処理(拡大率1)を実施して、すなわち、原画像データを部分画像データとする。
【0083】
また、以上の「スタック表示」を実施する際には、参照画像表示制御部4342は、以下に示す参照部分画像F1´,F2´,F3´,F4´を表示させる参照画像表示制御を実施するものである。
図13は、スタック表示を実施する場合での参照部分画像F1´,F2´,F3´,F4´の一例を示す図である。なお、図13中、中央部分の画像は、スタック表示された、すなわち、参照部分画像F1´,F2´,F3´,F4´を重ねた状態の参照原画像を示
している。
すなわち、参照画像表示制御部4342は、上述した設定によりスイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(1台中の1番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、読み出した参照部分画像データに基づく参照部分画像を液晶ライトバルブ412に形成させる参照画像表示制御を実施する。
ここで、各参照部分画像F1´〜F4´は、図13に示すように、各プロジェクタ4の設置位置を調整するための案内情報を含んだ画像で構成されている。より具体的に、各参照部分画像F1´〜F4´は、図13に示すように、縦横に延びる格子状の線F1A1´,F2A1´,F3A1´,F4A1´と、一対の対角線F1A2´,F2A2´,F3A2´,F4A2´とを有する。なお、図13の例では、線F1A1´,F2A1´,F3A1´,F4A1´は、縦方向に7本、横方向に7本で構成されている。そして、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各参照部分画像F1´〜F4´を確認しながら、すなわち、各線F1A1´〜F4A1´がそれぞれ合致しかつ、各一対の対角線F1A2´〜F4A2´がそれぞれ合致するように、各プロジェクタ4A〜4Dを設置する。
【0084】
前記第2実施形態では、明るさ調整部として画像補正部4341Bを採用したが、これに限らず、部分画像の重なり領域の明るさを光学的に調整、すなわち、拡大投射される部分画像の一部の光量を調整する遮光板を採用しても構わない。
また、前記第2実施形態では、画像補正部4341Bは、部分画像データにおける重なり領域に対応する画像データに対して、端部側に向かうにつれて次第に明るさを低下させるエッジブレンディング処理を実施していたが、これに限らず、重なり領域に対応する画像データの輝度値を全て略0にする処理や、重なり領域に対応する画像データの色を全て黒にする処理等を採用しても構わない。
【0085】
前記第3実施形態における各プロジェクタ4をカスケード接続する構成に、前記第2実施形態で説明したエッジブレンディング処理を実施する機能を付加しても構わない。
前記各実施形態では、信号線S1〜S9として、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、LAN(Local Area Network)ケーブル等の有線で信号を伝送するものとして説明したが、これに限らず、無線媒体(電波、音、赤外線等)を介して信号を伝送する規格で構成しても構わない。
【0086】
前記各実施形態では、透過型の液晶パネル(液晶ライトバルブ412)を採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネルを採用してもよく、あるいは、ディジタル・マイクロミラー・デバイス(テキサス・インスツルメント社の商標)を採用してもよい。
前記各実施形態では、液晶ライトバルブ412を3枚設けた構成としていたが、これに限らず、1枚のみの液晶ライトバルブ412を設ける構成、2枚の液晶ライトバルブ412を設ける構成、4枚以上の液晶ライトバルブ412を設ける構成としてもよい。
【0087】
前記各実施形態では、表示装置としてプロジェクタを採用していたが、これに限らず、直視型のディスプレイ(プラズマや液晶、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ等)で構成しても構わない。このように直視型のディスプレイを表示装置として構成した場合には、前記各実施形態で説明した重なり領域とは異なり、各ディスプレイのエッジの部分が生じてしまうので、該エッジの部分を例えば前記第2実施形態で説明した画像補正処理と同様に明るさを調整して目立たなくすることが好ましい。
【0088】
さらに、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲か
ら逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の表示装置は、マルチディスプレイシステムを容易に構築できるため、プレゼンテーション等に用いられるマルチディスプレイシステムを構成する表示装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態におけるマルチディスプレイシステムの構成を示す図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態における機械式スイッチ部の構成を示す図。
【図4】前記実施形態における機械式スイッチ部の構成を示す図。
【図5】前記実施形態におけるマルチディスプレイシステムの設営時におけるプロジェクタの動作を説明するフローチャート。
【図6】前記実施形態におけるマルチディスプレイシステムの設営時におけるプロジェクタの動作を説明するための図。
【図7】前記実施形態におけるタイリング表示動作を説明するフローチャート。
【図8】前記実施形態におけるタイリング表示動作を説明するための図。
【図9】第2実施形態におけるプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図10】前記実施形態における画像補正部によるエッジブレンディング処理を説明するための図。
【図11】前記実施形態における画像補正部によるエッジブレンディング処理を説明するための図。
【図12】第3実施形態におけるマルチディスプレイシステムの構成を示す図。
【図13】前記各実施形態におけるスタック表示を実施する場合での参照部分画像の一例を示す図。
【符号の説明】
【0091】
1,10・・・マルチディスプレイシステム、4,4A〜4D,40,40A〜40D・・・プロジェクタ(表示装置)、41・・・画像投射部(表示部)、42・・・機械式スイッチ部、43・・・制御装置、432・・・スイッチ認識部、4341A・・・部分画像情報生成部、4341B・・・画像補正部(明るさ調整部)、4342・・・参照画像表示制御部、ST11・・設定認識ステップ、ST12〜ST14・・・部分画像情報生成ステップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、マルチディスプレイシステム、表示方法、制御プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し、部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置(例えば、プロジェクタ)を有し、複数の表示装置が表示する各部分画像によって原画像情報に基づく原画像を、高輝度、高解像度、および大画面で表示するマルチディスプレイシステム(投写表示システム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術では、マルチディスプレイシステムの設営時において、1台のコンピュータ(以下、PCと記載)と、全てのプロジェクタとをカスケード接続する。そして、各プロジェクタは、PCから順次出力される制御信号に基づいて、接続順序の番号データ、および接続された台数データを認識し、番号データメモリおよび台数データメモリにそれぞれ格納する。また、設置作業者がPCの表示部に表示された設定画面により各プロジェクタの処理条件(番号データおよび台数データに関連付けられ、部分画像の抽出範囲や拡大倍率に関する処理条件)を設定すると、PCと各プロジェクタとを接続するケーブルを介して、各プロジェクタの処理条件メモリ内に処理条件が格納される。
そして、各プロジェクタは、入力した原画像情報から、番号データメモリおよび台数データメモリにそれぞれ格納された番号データおよび台数データに関連付けられた処理条件(抽出範囲、拡大倍率)を処理条件メモリから認識し、該処理条件で原画像情報から部分画像情報を抽出および拡大して、部分画像を表示する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−207247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しなしながら、特許文献1に記載の技術では、マルチディスプレイシステムの設営時において、接続された台数や接続順序の番号を設定する際、PCおよび各プロジェクタをカスケード接続する必要がある。また、処理条件を設定する際には、PCの表示部に表示された設定画面上で各プロジェクタの処理条件を設定する必要がある。すなわち、マルチディスプレイシステムの設営時において、PCが必須の要件となり、プロジェクタ単体で動作設定(接続順序の番号、接続された台数、処理条件等の設定)ができないため、動作設定が複雑なものとなり、マルチディスプレイシステムの構築が難しいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、マルチディスプレイシステムを容易に構築できる表示装置、マルチディスプレイシステム、表示方法、制御プログラム、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示装置は、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置であって、前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、前記
原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記機械式スイッチ部と電気的に接続し、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識するスイッチ認識部と、前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、表示装置が機械式スイッチ部を備えているので、マルチディスプレイシステムを設営する設置作業者は、従来のようにPCや各表示装置をカスケード接続することなく、すなわち、PCを用いることなく、用いる表示装置の台数に関する台数情報、および設定対象となる表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械式スイッチ部に設定できる。また、台数情報および位置情報を設定する部分が機械式スイッチ部で構成されているので、設置作業者は、表示装置の電源を投入しなくても、台数情報および位置情報を機械式スイッチ部に設定できる。さらに、設置作業者は、機械式スイッチ部により台数情報および位置情報の設定状態が目視にて確認できるので、該台数情報および位置情報を目視にて確認しながら、表示装置を所定位置に設置できる。
【0008】
また、表示装置を構成する制御装置は、スイッチ認識部および部分画像情報生成部を備えているので、例えば、以下に示すように、原画像情報から部分画像情報を生成できる。
すなわち、スイッチ認識部は、機械式スイッチ部の状態を検出し、機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する。
そして、部分画像情報生成部は、例えば、台数情報および位置情報に関連付けられ、原画像情報から部分画像情報を生成するための各処理条件パラメータ(例えば、原画像情報から部分画像情報を生成するために原画像情報から所定領域の画像情報を切り出す切出範囲に関する情報や、切り出された画像情報の拡大率に関する情報)を記憶するメモリからスイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを読み出す。そして、部分画像情報生成部は、読み出した処理条件パラメータを用いて、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた切出範囲の画像情報を原画像情報から切り出す処理、および切り出した画像情報を拡大する処理(画像情報のサイズを変換する処理)等を実施して、部分画像情報を生成する。
以上のように、設置作業者は、従来のようにPCの表示部に表示された設定画面上から処理条件を設定する必要がない。
したがって、マルチディスプレイシステムの設営時において、PCを用いることなく、表示装置単体で動作設定(台数情報、位置情報、処理条件等の設定)ができ、動作設定の簡略化により、マルチディスプレイシステムを容易に構築できる。
【0009】
本発明の表示装置では、前記各部分画像は、少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して前記原画像を構成するものであり、前記部分画像情報生成部は、前記部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像情報を前記原画像情報から切り出して前記部分画像情報を生成することが好ましい。
ここで、表示装置としては、部分画像を拡大投射するプロジェクタを採用できる。
ところで、各部分画像が重なり合うことなく各部分画像によって原画像を構成する場合には、各プロジェクタが適切に設置されていないと、各部分画像間に隙間が生じ、原画像を良好に表示できない。
本発明では、各部分画像は、少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する。そして、部分画像情報生成部は、部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像情報を原画像情報から切り出して部分画像情報を生成する。このことにより、各プロジェクタから拡大投射される各部分画像の少なくとも一部が重なり合って原画像が表示されるので、各部分画像間に隙間が生じることがなく、原画像を良好に表示できる。
【0010】
本発明の表示装置では、前記部分画像の重なり領域の明るさを調整する明るさ調整部を備えていることが好ましい。
ここで、明るさ調整部としては、部分画像の重なり領域の明るさを光学的に調整(光量調整)する遮光板や、部分画像情報における重なり領域に対応する画像情報に対して、明るさ(輝度や色)を調整する画像補正処理を実施する画像補正部等を採用できる。
【0011】
ところで、各部分画像の一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する場合には、原画像において、重なり領域における輝度値が他の領域に比べて増大してしまい、原画像を良好に表示することが難しい。
本発明によれば、明るさ調整部により部分画像の重なり領域の明るさを調整できるので、原画像において、重なり領域における輝度値を他の領域と同等の輝度値とすることができ、原画像を自然な画像にして良好に表示できる。
【0012】
本発明の表示装置では、前記制御装置は、前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、一画面の少なくとも一部を構成する参照部分画像を前記表示部に表示させる参照画像表示制御を実施する参照画像表示制御部を備えていることが好ましい。
本発明では、制御装置を構成する参照画像表示制御部は、スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、例えば、一画面となる参照原画像情報をメモリから読み出し、部分画像情報生成部の処理と同様に、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた切出範囲の画像情報を参照原画像情報から切り出して参照部分画像情報を生成する。または、参照画像表示制御部は、台数情報および位置情報に関連付けられ、一画面の少なくとも一部を構成する各参照部分画像情報を記憶するメモリからスイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像情報を読み出す。そして、参照画像表示制御部は、生成した参照部分画像情報、または、読み出した参照部分画像情報に基づく参照部分画像を表示部に表示させる参照画像表示制御を実施する。このことにより、表示装置は、従来のようにPCを接続することなく、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた参照部分画像を表示できる。このため、マルチディスプレイシステムの設営時において、設置作業者は、各表示装置に表示された各参照部分画像を確認しながら、各表示装置を適切な位置に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステムの構築をより容易に実施できる。
【0013】
本発明の表示装置では、前記参照画像表示制御部は、当該表示装置の電源投入時において、前記参照画像表示制御を実施することが好ましい。
本発明によれば、マルチディスプレイシステムの設営時において、設置作業者は、各表示装置の電源を投入するだけで、各表示装置に自身が表示すべき部分画像の位置に応じた各参照部分画像が表示されるので、各表示装置に表示された各参照部分画像を確認しながら、各表示装置を適切な位置に迅速に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステムの構築をより容易にかつ迅速に実施できる。
【0014】
本発明の表示装置では、前記参照部分画像は、当該表示装置の設置位置を調整するための案内情報を含んで構成されていることが好ましい。
ここで、案内情報としては、例えば、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた数字や文字に関する情報、各部分画像の少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する場合には重なり領域を示す情報(例えば、格子状の線や色)等が採用できる。
本発明によれば、参照部分画像が案内情報を含んで構成されているので、マルチディスプレイシステムの設営時において、設置作業者は、各表示装置に表示された各参照部分画像に含まれる案内情報を認識することで、各表示装置を適切な位置に容易にかつ高精度に調整することができる。
【0015】
本発明のマルチディスプレイシステムは、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムであって、前記複数の表示装置は、上述した表示装置で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、マルチディスプレイシステムは、上述した表示装置を備えているので、上述した表示装置と同様の作用および効果を享受できる。
【0016】
本発明の表示方法は、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の表示方法であって、前記表示装置は、前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、当該表示方法は、前記制御装置が、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを実行することを特徴とする。
本発明の表示方法は、上述した表示装置によって実施されるものであるので、上述した表示装置と同様の作用および効果を享受できる。
【0017】
本発明の制御プログラムは、入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の制御プログラムであって、前記表示装置は、前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを前記制御装置に実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明の記録媒体は、上述した制御プログラムがコンピュータに読取可能に記録されていることを特徴とする。
【0019】
以上のような構成の制御プログラムおよび記録媒体は、上述した表示方法を実施するために利用されるので、上述した表示方法と同様の作用および効果を享受できる。
また、上述した制御プログラムを記録媒体に記録させるので、プログラムの取り扱いが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔マルチディスプレイシステムの全体構成〕
図1は、マルチディスプレイシステム1の構成を示す図である。
マルチディスプレイシステム1は、複数の表示装置にて表示される各部分画像によって
、高輝度、高解像度、および大画面の画像(原画像)を表示するシステムである。このマルチディスプレイシステム1は、図1に示すように、画像出力装置2と、画像信号分配器3と、表示装置としての複数のプロジェクタ4(本実施形態では、縦方向2台×横方向2台(「2×2」)の4台のプロジェクタ4A,4B,4C,4D)とで構成される。
【0021】
画像出力装置2は、マルチディスプレイシステム1を利用して、画像(原画像)を表示させるための原画像情報としての画像信号を出力する装置である。この画像出力装置2としては、種々の機器を用いることができ、例えば、パーソナルコンピュータ、テレビジョンチューナ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ等が例示できる。
画像信号分配器3は、画像出力装置2と信号線S1を介して接続し、画像出力装置2から出力され信号線S1を介して入力した画像信号を各プロジェクタ4に並列に出力する装置である。この画像信号分配器3としては、例えば、パーソナルコンピュータ等の画像出力装置2から出力された画像信号を、信号レベルを保持するためのビデオバッファアンプを介して各プロジェクタ4に並列に出力する汎用の画像信号分配器を用いることができる。
【0022】
図2は、プロジェクタ4の構成を示すブロック図である。
各プロジェクタ4は、図1に示すように、画像信号分配器3と信号線S2,S3,S4,S5を介してそれぞれ接続する。そして、プロジェクタ4は、画像信号分配器3から出力され各信号線S2〜S5を介して入力した画像信号に対して所定の画像処理を施し、画像処理を施した画像信号に基づいて、光源から射出された光束を光学的に処理して画像光を形成し、スクリーンScに拡大投射する。
ここで、スクリーンScは、具体的な図示は省略するが、本実施形態では、入射した画像光を透過して投影する透過型スクリーンを採用している。なお、スクリーンScとしては、入射した画像光を反射して投影する反射型スクリーンで構成しても構わない。
【0023】
すなわち、図1では、4つのプロジェクタ4A〜4Dのうち、プロジェクタ4Aは、スクリーンScを背面側(視聴者側とは反対側)から見て左上部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。プロジェクタ4Bは、スクリーンScを背面側から見て右上部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。プロジェクタ4Cは、スクリーンScを背面側から見て左下部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。プロジェクタ4Dは、スクリーンScを背面側から見て右下部分に画像光(部分画像)を拡大投射している。
なお、本実施形態では、図1に示すように、各プロジェクタ4A〜4Dから拡大投射した画像光(部分画像)の一部を重ね合わせることで原画像を構成するものとしている。
また、本実施形態では、4つのプロジェクタ4A〜4Dの構成は同一の構成とし、以下では、1つのみのプロジェクタ4を説明する。このプロジェクタ4は、図2に示すように、表示部としての画像投射部41と、機械式スイッチ部42と、制御装置43とで大略構成されている。
【0024】
画像投射部41は、制御装置43による制御の下、画像光を形成してスクリーンScに拡大投射する。この画像投射部41は、図2に示すように、光源装置411と、光変調素子としての液晶ライトバルブ412と、投射光学系413等を備える。
光源装置411は、制御装置43による制御の下、光束を液晶ライトバルブ412に向けて射出する。この光源装置411は、光源ランプ4111と、光源駆動部4112とを備える。
【0025】
光源ランプ4111は、超高圧水銀ランプにて構成されている。なお、超高圧水銀ランプに限らず、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の他の放電発光型の光源ランプを採用してもよい。さらに、放電発光型の光源ランプに限らず、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の各種自己発光素
子を採用してもよい。
光源駆動部4112は、制御装置43による制御の下、所定の駆動電圧で光源ランプ4111を駆動する。
【0026】
液晶ライトバルブ412は、透過型の液晶パネルであり、制御装置43からの駆動信号に基づいて、液晶セル(図示略)に封入された液晶分子の配列を変化させ、光源ランプ4111から射出された光束を、透過若しくは遮断することにより駆動信号に応じた画像光を投射光学系413に射出する。
投射光学系413は、液晶ライトバルブ412から射出された画像光をスクリーンScに向けて拡大投射する。
【0027】
なお、図示は省略したが、プロジェクタ4は、RGBの3色に対応する3枚の液晶ライトバルブ412を備えている。また、光源装置411は、光源光を3色の光に分離する色分離光学系を備えている。さらに、投射光学系413は、3色の画像光を合成してカラー画像を表す画像光を生成する色合成光学系を有している。なお、このような光学系の構成については、種々の一般的なプロジェクタの光学系の構成が利用可能である。
【0028】
図3および図4は、機械式スイッチ部42の構成を示す図である。
機械式スイッチ部42は、マルチディスプレイシステム1に用いる全てのプロジェクタ4の台数に関する台数情報、および、原画像内における自身のプロジェクタ4が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とするスイッチである。この機械式スイッチ部42は、図2ないし図4に示すように、台数設定部421と、PJ番号設定部422とを備える。
【0029】
台数設定部421は、図3または図4に示すように、プロジェクタ4の外装筺体44に露出して設けられるスライドスイッチで構成されている。そして、台数設定部421をスライドさせて、外装筺体44に形成された「1」、「2」、「3」、「4」、「5」の数字位置にスイッチトップ421Aを位置付けることで、マルチディスプレイシステム1に用いる全てのプロジェクタ4の台数に関する台数情報が設定される。より具体的に、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「1」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が縦方向1台×横方向1台(「1×1」)の1台のみである旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「2」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「2×2」の4台である旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「3」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「3×3」の9台である旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「4」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「4×4」の16台である旨の台数情報が設定される。また、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「5」の数字位置に位置付けることで、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「5×5」の25台である旨の台数情報が設定される。
【0030】
本実施形態では、上述したように、縦方向2台×横方向2台の4台のプロジェクタ4A〜4Dを用いるので、台数設定部421は、図3に示すように、外装筺体44に形成された「2」の数字位置にスイッチトップ421Aが位置付けられている。なお、例えば、縦方向4台×横方向4台の16台のプロジェクタ4を用いる場合には、図4に示すように、スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「4」の数字位置に位置付ければよい。
【0031】
PJ番号設定部422は、図3または図4に示すように、プロジェクタ4の外装筺体4
4に露出して設けられるディップスイッチ(本実施形態では、5個のスイッチが並べられたディップスイッチ)で構成されている。そして、PJ番号設定部422は、各スイッチ422A,422B,422C,422D,422EをON状態またはOFF状態とする(外装筺体44に形成された「1」または「0」の数字位置に位置付ける)ことで、表示する原画像内における自身のプロジェクタ4が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報が設定される。本実施形態では、PJ番号設定部422は、2進数のコードで位置情報を設定可能に構成されている。例えば、本実施形態において、スクリーンScを背面側から見て左下部分に画像光を拡大投射するプロジェクタ4C(図3中、「2×2」の3番目の位置に配設されるプロジェクタ4C)の位置情報を設定する場合には、図3に示すように、スイッチ422A,422BをON状態、スイッチ422C〜422EをOFF状態とする。すなわち、PJ番号設定部422には、「00011」の2進数のコード、すなわち、「3」の位置情報が設定される。なお、例えば、図4に示すように、「4×4」の16台のプロジェクタ4を用いる場合で、「4×4」の11番目の位置に配設されるプロジェクタの位置情報を設定する場合には、スイッチ422A,422B,422DをON状態、スイッチ422C,422EをOFF状態とすればよい。すなわち、PJ番号設定部422には、「01011」の2進数のコード、すなわち、「11」の位置情報が設定される。
【0032】
制御装置43は、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成され、メモリ433に記憶された制御プログラムにしたがって、プロジェクタ4全体を制御する部分である。なお、制御装置43の構成としては、入力した画像信号の処理機能を主に説明し、その他の機能については説明を省略する。この制御装置43は、図2に示すように、信号処理部431と、スイッチ認識部432と、メモリ433と、表示制御部434等を備える。これら各構成要素431〜434は、図示しないバスにより接続され、必要な情報が伝送可能に構成されている。
【0033】
信号処理部431は、画像入力端子431A(図1)を介して画像信号分配器3等から入力した画像信号を、表示制御部434にて読み取り可能な信号(デジタル信号)に変換して出力する。
スイッチ認識部432は、機械式スイッチ部42と電気的に接続し、機械式スイッチ部42の状態を検出して機械式スイッチ部42に設定された台数情報および位置情報を認識する。そして、スイッチ認識部432は、認識した台数情報および位置情報に応じた信号を適宜、表示制御部434に出力する。
【0034】
メモリ433は、制御装置43にて各種処理を実行するための制御プログラム、各種処理に必要な情報、処理された情報等を記憶する。このメモリ433は、図2に示すように、処理条件記憶部4331と、参照画像情報記憶部4332等を備える。
処理条件記憶部4331は、表示制御部434にて実施される部分画像データ生成処理に必要な処理条件に関する各処理条件パラメータを記憶する。ここで、処理条件パラメータは、信号処理部431を介して入力した画像信号(原画像情報としての原画像データ)から部分画像データ(部分画像情報)を生成するための処理条件に関する情報である。そして、処理条件記憶部4331は、機械式スイッチ部42に設定される各台数情報(「1×1」、「2×2」、「3×3」、「4×4」、「5×5」)および各位置情報(例えば、1〜25)と各処理条件パラメータとを関連付けて(例えば、台数情報「1×1」および位置情報「1」と所定の処理条件パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「1」と所定の処理条件パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「2」と所定の処理条件パラメータとを関連付け、・・・台数情報「5×5」および位置情報「25」と所定の処理条件パラメータとを関連付けて)記憶する。例えば、処理条件記憶部4331は、複数の情報を区画するデータテーブルを有し、台数情報および位置情報毎に各処理条件パラメータをデータテーブルの各区画に対応させて記憶する構成が例示できる。
【0035】
参照画像情報記憶部4332は、マルチディスプレイシステム1の設営時、すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dを所定の設置位置にそれぞれ調整する際に用いられる各参照部分画像に関する各参照部分画像データ(参照部分画像情報)を記憶する部分である。これら各参照部分画像データは、所定の原画像データを、用いるプロジェクタの台数(台数情報)に対応させて切り出した部分画像データである。また、各参照部分画像データは、具体的には後述するが、各プロジェクタ4A〜4Dの設置位置を調整するための各案内データを含んで構成されている。そして、参照画像情報記憶部4332は、機械式スイッチ部42に設定される各台数情報および各位置情報と各参照部分画像データとを関連付けて(例えば、台数情報「1×1」および位置情報「1」と所定の参照部分画像データとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「1」と所定の参照部分画像データとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「2」と所定の参照部分画像データとを関連付け、・・・、台数情報「5×5」および位置情報「25」と所定の参照部分画像データとを関連付けて)記憶する。例えば、参照画像情報記憶部4332は、複数の情報を区画するデータテーブルを有し、台数情報および位置情報毎に各参照画像データをデータテーブルの各区画に対応させて記憶する構成が例示できる。
【0036】
表示制御部434は、液晶ライトバルブ412の駆動制御を実施する部分である。より具体的に、表示制御部434は、信号処理部431を介して入力した画像信号(原画像データ)に対して所定の処理を施して部分画像データを生成し、部分画像データに応じた駆動信号を液晶ライトバルブ412に出力することで部分画像データに基づく部分画像(画像光)を液晶ライトバルブ412に形成させる。この表示制御部434は、図2に示すように、画像データ処理部4341と、参照画像表示制御部4342と、パネル駆動部4343と、同期制御部4344等を備える。
【0037】
画像データ処理部4341は、信号処理部431を介して入力したデジタルの原画像データから部分画像データを生成する部分画像データ生成処理、ガンマ補正等適宜必要な画像データ補正処理等の各種の画像データ処理を実施する。この画像データ処理部4341は、図2に示すように、部分画像情報生成部4341Aと、画像補正部4341B等を備える。なお、具体的な図示は省略したが、画像データ処理部4341は、上述した画像データ処理を実施する際の記憶領域として図示しない画像データ記憶部を有している。この画像データ記憶部は、信号処理部431を介して入力した原画像データをバッファリングする部分であり、例えば、1画面分の原画像データを全て記憶するフレームバッファや、水平方向の1ライン分の走査データを記憶するラインバッファ等を採用できる。
【0038】
部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データから所定領域の画像データを切り出す画像データ切出処理と、切り出された所定領域の画像データの画像サイズを変換する画像サイズ変換処理とを実施して、部分画像データを生成する(部分画像データ生成処理)。
画像補正部4341Bは、部分画像情報生成部4341Aにて生成された部分画像データに対して、メモリ433に記憶された画像補正パラメータを用いて、ガンマ補正等適宜必要な画像データ補正処理を実施する。
【0039】
参照画像表示制御部4342は、プロジェクタ4の電源投入時(起動時)において、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、読み出した参照部分画像データに基づく参照部分画像を液晶ライトバルブ412に形成させる参照画像表示制御を実施する。
【0040】
パネル駆動部4343は、画像データ処理部4341にて生成された部分画像データから液晶ライトバルブ412を駆動するための駆動信号を生成し、液晶ライトバルブ412に駆動信号を出力することで、液晶ライトバルブ412に部分画像(画像光)を形成させる。また、パネル駆動部4343は、参照画像表示制御部4342にて読み出された参照部分画像データから液晶ライトバルブ412を駆動するための駆動信号を生成し、液晶ライトバルブ412に駆動信号を出力することで、液晶ライトバルブ412に参照部分画像(画像光)を形成させる。
【0041】
同期制御部4344は、信号処理部431を介して入力した原画像データが有する同期信号を基準に上述した各種画像データ処理および表示制御を実施させる同期制御を実施する。すなわち、この同期制御部4344により、同期制御を実施することで、各プロジェクタ4(4A〜4D)での表示タイミングがばらつくことを防止している。
【0042】
〔マルチディスプレイシステムの動作〕
次に、上述したマルチディスプレイシステム1の動作について図面を参照して説明する。
なお、以下では、マルチディスプレイシステム1の動作のうち、プロジェクタ4の動作を主に説明し、画像出力装置2および画像信号分配器3の動作については説明を省略する。また、以下では、先ず、マルチディスプレイシステム1の設営時におけるプロジェクタ4の動作を説明し、次に、マルチディスプレイシステム1を利用したプロジェクタ4の動作(タイリング表示動作)を説明する。
【0043】
〔設営時でのプロジェクタの動作〕
図5は、マルチディスプレイシステム1の設営時におけるプロジェクタ4の動作を説明するフローチャートである。
図6は、マルチディスプレイシステム1の設営時におけるプロジェクタ4の動作を説明するための図である。具体的に、図6は、タイリング表示を実施する場合での参照部分画像F1,F2,F3,F4の一例を示す図である。なお、図6中、中央部分の画像は、タイリング表示された、すなわち、参照部分画像F1,F2,F3,F4を並べた状態の参照原画像を示している。
なお、以下では、各プロジェクタ4A〜4Dは、画像信号分配器3と信号線S2〜S5を介して接続していない状態とする。また、各プロジェクタ4A〜4Dの各機械式スイッチ部42には、予め、マルチディスプレイシステム1の設置作業者により、以下に示すような台数情報および位置情報が設定されているものとする。
すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dの各台数設定部421は、スイッチトップ421Aが外装筺体44に形成された「2」の数字位置に位置付けられている。
また、プロジェクタ4AのPJ番号設定部422は、スイッチ422AがON状態に設定され、各スイッチ422B〜422EがOFF状態に設定されている。プロジェクタ4BのPJ番号設定部422は、スイッチ422BがON状態に設定され、各スイッチ422A,422C〜422EがOFF状態に設定されている。プロジェクタ4CのPJ番号設定部422は、スイッチ部422A,422BがON状態に設定され、各スイッチ422C〜422EがOFF状態に設定されている。プロジェクタ4DのPJ番号設定部422は、スイッチ部422CがON状態に設定され、各スイッチ422A,422B,422D,422EがOFF状態に設定されている。
【0044】
先ず、設置作業者による各プロジェクタ4A〜4Dの図示しない各操作パネルの「プロジェクタの電源をONする」旨の操作により、前記各操作パネルから各制御装置43に電源ON信号が出力される。そして、制御装置43は、電源ON信号の入力に応じて、メモリ433に記憶された制御プログラムを読み出し、該制御プログラムにしたがって、以下
の処理を実行する。
【0045】
すなわち、制御装置43は、光源装置411を駆動制御し、光源ランプ4111を点灯させる(ステップST1)。
ステップST1の後、制御装置43のスイッチ認識部432は、台数設定部421およびPJ番号設定部422の状態を検出し、台数設定部421に設定された台数情報、およびPJ番号設定部422に設定された位置情報をそれぞれ認識する(ステップST2)。そして、スイッチ認識部432は、認識した台数情報および位置情報に応じた信号を表示制御部434に出力する。
【0046】
より具体的に、プロジェクタ4A〜4Dを構成する各スイッチ認識部432は、台数設定部421のスイッチトップ421Aが外装筺体44に形成された「2」の位置に位置付けられている状態を検出し、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「2×2」の4台である旨の台数情報をそれぞれ認識する。また、プロジェクタ4Aを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00001」の2進数のコード、すなわち、「1」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Bを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00010」の2進数のコード、すなわち、「2」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Cを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00011」の2進数のコード、すなわち、「3」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Dを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定による「00100」の2進数のコード、すなわち、「4」の位置情報を認識する。
【0047】
ステップST2の後、制御装置43の参照画像表示制御部4342は、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出す。そして、参照画像表示制御部4342は、パネル駆動部4343に参照部分画像データに応じた駆動信号を生成させて液晶ライトバルブ412に出力させ、読み出した参照部分画像データに基づく参照部分画像を液晶ライトバルブ412に形成させる参照画像表示制御を実施する(ステップST3)。
【0048】
より具体的に、ステップST3において、プロジェクタ4Aでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の1番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Aから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F1が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。プロジェクタ4Bでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の2番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Bから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F2が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。プロジェクタ4Cでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の3番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Cから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F3が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。プロジェクタ4Dでは、参照画像表示制御部4342が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の4番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、参照画像表示制御を実施することで、図6に示すように、プロジェクタ4Dから前記参照部分画像データに応じた参照部分画像F4が拡大投射されスクリーンSc上に表示される。
【0049】
なお、本実施形態では、図6に示すように、各参照部分画像F1〜F4が同一の画像として構成されている。
ここで、各参照部分画像F1〜F4は、上述した案内データに基づく案内情報を含んだ画像で構成されている。より具体的に、各参照部分画像F1〜F4は、隣接する参照部分画像が重なり合う重なり領域を示す情報を含んだ画像で構成されている。すなわち、各参照部分画像F1〜F4は、図6に示すように、縦横に延びる格子状の線F1A,F2A,F3A,F4Aを有する。本実施形態では、線F1A,F2A,F3A,F4Aは、図6に示すように、縦方向に7本、横方向に7本で構成されている。また、各参照部分画像F1〜F4は、図6に示すように、線F1A,F2A,F3A,F4Aにて区画された各領域のうち重なり領域に対応する領域の色と他の領域の色とが異なるように形成されている。すなわち、図6に示すように、線F1A,F2A,F3A,F4Aにて区画された各領域F1B,F2B,F3B,F4Bのうち、四隅の各角部分に対応する領域F1B1〜F1B4,F2B1〜F2B4,F3B1〜F3B4,F4B1〜F4B4(各4個の区画分)の色が黒に設定され、四隅の各角部分間の辺縁に沿う領域F1B5〜F1B8,F2B5〜F2B8,F3B5〜F3B8,F4B5〜F4B8(各8個の区画分)の色がグレーに設定され、中心に位置する領域F1B9,F2B9,F3B9,F4B9(各16個の区画分)の色が白に設定されている。
すなわち、各参照部分画像データには、上述した線F1A,F2A,F3A,F4Aに関するデータや、各領域F1B,F2B,F3B,F4Bの色に関するデータ等の案内データを含んで構成されている。
【0050】
そして、以上のような状態において、設置作業者は、各参照部分画像F1〜F4を確認しながら、すなわち、上述した各線F1A,F2A,F3A,F4Aや各領域F1B,F2B,F3B,F4Bを確認しながら、各プロジェクタ4A〜4Dを設置する。
例えば、プロジェクタ4Aを所定位置に位置付ける。次に、プロジェクタ4Aにて拡大投射された参照部分画像F1の各領域F1B2,F1B4,F1B6に、プロジェクタ4Bにて拡大投射された参照部分画像F2の各領域F2B1,F2B3,F2B8がそれぞれ合致するように、プロジェクタ4Bを位置付ける。次に、参照部分画像F1の各領域F1B3,F1B4,F1B7にプロジェクタ4Cにて拡大投射された参照部分画像F3の各領域F3B1,F3B2,F3B5がそれぞれ合致し、かつ、参照部分画像F2の領域F2B3に参照部分画像F3の領域F3B2が合致するように、プロジェクタ4Cを位置付ける。最後に、参照部分画像F2の各領域F2B3,F2B4,F2B7にプロジェクタ4Dにて拡大投射された参照部分画像F4の各領域F4B1,F4B2,F4B5がそれぞれ合致し、かつ、参照部分画像F3の各領域F3B2,F3B4,F3B6に参照部分画像F4の各領域F4B1,F4B3,F4B8がそれぞれ合致するように、プロジェクタ4Dを位置付ける。
【0051】
〔タイリング表示動作〕
図7は、プロジェクタ4のタイリング表示動作を説明するフローチャートである。
図8は、プロジェクタ4のタイリング表示動作を説明するための図である。
なお、以下では、各プロジェクタ4A〜4Dは、上述した設営時でのプロジェクタの動作で説明した設置位置に位置付けられているものとする。また、画像出力装置2、画像信号分配器3、および各プロジェクタ4A〜4Dは、設置作業者により、信号線S1〜S5により接続された状態とする。また、各プロジェクタ4A〜4Dの各機械式スイッチ部42の設定状態は、上述した設営時でのプロジェクタの動作で説明した状態と同一の状態のままである。さらに、画像信号分配器3から各プロジェクタ4A〜4Dに出力される画像信号は、共通のものとする。
【0052】
先ず、制御装置43のスイッチ認識部432は、台数設定部421およびPJ番号設定部422の状態を検出し、台数設定部421に設定された台数情報、およびPJ番号設定
部422に設定された位置情報をそれぞれ認識する(ステップST11:設定認識ステップ)。すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dを構成する各スイッチ認識部432は、上述したステップST2と同様に、台数設定部421のスイッチトップ421Aが外装筐体44に形成された「2」の位置に位置付けられている状態を検出し、用いる全てのプロジェクタ4の台数が「2×2」の4台である旨の台数情報をそれぞれ認識する。また、プロジェクタ4Aを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「1」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Bを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「2」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Cを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「3」の位置情報を認識する。プロジェクタ4Dを構成するスイッチ認識部432は、PJ番号設定部422の上述した設定により、「4」の位置情報を認識する。
【0053】
ステップST11の後、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを処理条件記憶部4331から読み出す。そして、部分画像情報生成部4341Aは、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データに対して、画像データ切出処理(ステップST12)、および画像サイズ変換処理(ステップST13)とを実施して、部分画像データを生成する(ステップST14)。すなわち、ステップST12〜ST14は、本発明に係る部分画像情報生成ステップに相当する。
【0054】
ここで、処理条件パラメータとしては、図8に示すように、原画像データにおける部分画像データの範囲の始点位置に関する始点座標と、拡大率とで構成された情報が例示できる。なお、始点座標は、切出開始位置として、例えば、切り出す矩形領域の左上部を指定するための座標P(例えば、P1,P2,P3,P4)である。また、拡大率は、切り出された画像データの拡大範囲を定めるもので、図8に示すように、原画像データD0の水平解像度をW、垂直解像度をH、切り出す矩形領域の水平解像度をw、垂直解像度をhとすると、拡大率Zは、Z=W/w=H/hと表すことができる。なお、本実施形態では、原画像データのアスペクト比と、切り出す矩形領域のアスペクト比とが同一であるものとしている。また、拡大率Z(Z1,Z2,Z3,Z4)=1.75としている。
【0055】
より具体的に、プロジェクタ4Aの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜ST14を実施することで、部分画像データD1(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の1番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P1(0、0)、および拡大率Z1(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P1および拡大率Z1に基づいて、終点座標Q1(W/1.75、H/1.75)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P1、および算出した終点座標Q1で設定される切出範囲の画像データD1Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD1Aに対して、読み出した拡大率Z1で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD1を生成する。
【0056】
また、プロジェクタ4Bの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜S14を実施することで、部分画像データD2(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の2番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P2(W−W/1.75、0)、および拡大率Z2(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P2および拡大率Z2に
基づいて、終点座標Q2(W、H/1.75)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P2、および算出した終点座標Q2で設定される切出範囲の画像データD2Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD2Aに対して、読み出した拡大率Z2で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD2を生成する。
【0057】
また、プロジェクタ4Cの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜ST14を実施することで、部分画像データD3(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の3番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P3(0、H−H/1.75)、および拡大率Z3(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P3および拡大率Z3に基づいて、終点座標Q3(W/1.75、H)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P3、および算出した終点座標Q3で設定される切出範囲の画像データD3Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD3Aに対して、読み出した拡大率Z3で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD3を生成する。
【0058】
また、プロジェクタ4Dの部分画像情報生成部4341Aは、以下に示すように、ステップST12〜ST14を実施することで、部分画像データD4(図8)を生成する。
すなわち、ステップST12において、部分画像情報生成部4341Aは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(4台中の4番目)に関連付けられた処理条件パラメータである始点座標P4(W−W/1.75、H−H/1.75)、および拡大率Z4(図8)を処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した始点座標P4および拡大率Z4に基づいて、終点座標Q4(W、H)を算出する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、原画像データD0から読み出した始点座標P4、および算出した終点座標Q4で設定される切出範囲の画像データD4Aを切り出す。この後、ステップST13において、部分画像情報生成部4341Aは、切り出した画像データD4Aに対して、読み出した拡大率Z4で拡大を実施することで、ステップST14において、部分画像データD4を生成する。
【0059】
ステップST14の後、生成された部分画像データに対して画像補正部4341Bにて画像データ補正処理が実施される(ステップST15)。
ステップST15の後、パネル駆動部4343は、画像データ補正処理が実施された部分画像データに応じた駆動信号を生成し、液晶ライトバルブ412に出力し、液晶ライトバルブ412に部分画像データD1〜D4に応じた各部分画像を形成させる。そして、各プロジェクタ4A〜4Dから各部分画像が拡大投射されスクリーンSc上に投影されることで、原画像データD0に応じた原画像が表示される(ステップST16)。
【0060】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、プロジェクタ4が機械式スイッチ部42を備えているので、マルチディスプレイシステム1を設営する設置作業者は、従来のようにPCや各プロジェクタをカスケード接続することなく、すなわち、PCを用いることなく、用いるプロジェクタ4の台数に関する台数情報、および設定対象となるプロジェクタが表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械式スイッチ部42に設定できる。また、台数情報および位置情報を設定する部分が機械式スイッチ部42で構成されているので、設置作業者は、プロジェクタ4の電源を投入しなくても、台数情報および位置情報を機械式スイッチ部42に設定できる。さらに、設置作業者は、機械式スイッチ部42により台数情報および位置情報の
設定状態が目視にて確認できるので、該台数情報および位置情報を目視にて確認しながら、プロジェクタ4を所定位置に設置できる。
【0061】
また、本実施形態では、プロジェクタ4を構成する制御装置43は、処理条件記憶部4331、スイッチ認識部432、および部分画像情報生成部4341Aを備えている。そして、部分画像情報生成部4341Aは、処理条件記憶部4331に記憶された各処理条件パラメータのうち、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを読み出し、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データから部分画像データを生成する。このことにより、設置作業者は、従来のようにPCの表示部に表示された設定画面上から処理条件を設定する必要がない。
したがって、マルチディスプレイシステム1の設営時において、PCを用いることなく、プロジェクタ4単体で動作設定(台数情報、位置情報、処理条件等の設定)ができ、動作設定の簡略化により、マルチディスプレイシステム1を容易に構築できる。
また、設置作業者は、処理条件を設定する必要がないので、従来のように処理条件を間違って設定してしまう恐れがなく、各プロジェクタ4が適切に設置されていれば、原画像を良好に表示できる。
【0062】
ところで、各部分画像が重なり合うことなく各部分画像によって原画像を構成する場合には、各プロジェクタが適切に設置されていないと、各部分画像間に隙間が生じ、原画像を良好に表示できない。
本実施形態では、各部分画像は、一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する。そして、部分画像情報生成部4341Aは、切出範囲が部分画像の重なり領域を含んだ範囲に設定された処理条件パラメータを用いて、部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像データを原画像データから切り出して部分画像データを生成する。このことにより、各プロジェクタ4から拡大投射される各部分画像の一部が重なり合って原画像が表示されるので、各部分画像間に隙間が生じることがなく、原画像を良好に表示できる。
【0063】
また、プロジェクタ4は、参照画像情報記憶部4332および参照画像表示制御部4342を備えているので、従来のようにPCを接続することなく、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた参照部分画像を表示できる。このため、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各プロジェクタ4から拡大投射された各参照部分画像を確認しながら、各プロジェクタ4を適切な位置に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステム1の構築をより容易に実施できる。
【0064】
ここで、参照画像表示制御部4342は、プロジェクタ4の電源投入時において、参照画像表示制御を実施する。このことにより、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各プロジェクタ4の電源を投入するだけで、各プロジェクタ4から自身が表示すべき部分画像の位置に応じた各参照部分画像が拡大投射されるので、表示された各参照部分画像を確認しながら、各プロジェクタ4を適切な位置に迅速に調整することができる。すなわち、マルチディスプレイシステム1の構築をより容易にかつ迅速に実施できる。
また、各参照部分画像には、案内情報(格子状の線F1A,F2A,F3A,F4A、各領域F1B,F2B,F3B,F4Bの色を異なるものに設定した情報)が含まれている。このことにより、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各プロジェクタ4から拡大投射された各参照部分画像に含まれる各案内情報を認識することで、各プロジェクタ4を適切な位置に容易にかつ高精度に調整することができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して
、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、第2実施形態におけるプロジェクタ40の構成を示すブロック図である。
本実施形態は、前記第1実施形態に対して、プロジェクタ40(本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、4台のプロジェクタ40A,40B,40C,40D)が部分画像データにおける重なり領域(各部分画像が重なり合う領域)に対応する画像データに対してエッジブレンディング処理を実施して明るさを調整する点が異なるのみである。すなわち、プロジェクタ40を構成する制御装置43の画像データ処理部4341(画像補正部4341B)の機能、およびメモリ433に記憶される情報が異なるのみであり、その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0066】
メモリ433は、制御装置43にて各種処理を実行するための制御プログラム、各種処理に必要な情報、処理された情報等を記憶する部分であり、前記第1実施形態で説明した処理条件記憶部4331および参照画像情報記憶部4332の他、重なり補正情報記憶部4333を備える。
重なり補正情報記憶部4333は、画像補正部4341Bにて実施されるエッジブレンディング処理に必要な各重なり補正パラメータを記憶する。この重なり補正パラメータは、重なり領域の範囲を示す重なり領域情報と、重なり領域情報に基づく重なり領域の画像データの明るさを調整するための明るさ補正パラメータとに関する情報である。そして、重なり補正情報記憶部4333は、機械式スイッチ部42に設定される各台数情報および各位置情報と、各重なり補正パラメータとを関連付けて(例えば、台数情報「1×1」および位置情報「1」と所定の重なり補正パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「1」と所定の重なり補正パラメータとを関連付け、台数情報「2×2」および位置情報「2」と所定の重なり補正パラメータとを関連付け、・・・、台数情報「5×5」および位置情報「25」と所定の重なり補正パラメータとを関連付けて)記憶する。例えば、重なり補正情報記憶部4333は、複数の情報を区画するデータテーブルを有し、台数情報および位置情報毎に各重なり補正パラメータをデータテーブルの各区画に対応させて記憶する構成が例示できる。
【0067】
明るさ調整部としての画像補正部4341Bは、部分画像データに対して前記第1実施形態で説明したガンマ補正等適宜必要な画像データ補正処理を実施する機能の他、以下の機能を有する。すなわち、画像補正部4341Bは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた重なり補正パラメータを重なり補正情報記憶部4333から読み出し、読み出した重なり補正パラメータを用いて、部分画像データにおける所定の重なり領域に対応する画像データに対して、明るさ(例えば、輝度や色)を調整するエッジブレンディング処理を実施する。
【0068】
図10および図11は、画像補正部4341Bによるエッジブレンディング処理を説明するための図である。
例えば、前記第1実施形態のように、部分画像データに対してエッジブレンディング処理を実施しない場合には、図10に示すように、一部が重なり合う各部分画像をそれぞれ表示するプロジェクタ4A,4Bによる表示画像のスクリーンSc上での重なり領域における輝度値が他の領域に比べて増大してしまう。
そして、本実施形態では、画像補正部4341Bは、前記第1実施形態で説明したステップST15において、前記第1実施形態で説明した画像データ補正処理の他、以下に示すように、エッジブレンディング処理を実施する。
すなわち、画像補正部4341Bは、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた重なり補正パラメータを重なり補正情報記憶部4333から読み出す。そして、画像補正部4341Bは、読み出した重なり補正パラメータに基づいて、重なり領域情報により部分画像データにおける重なり領域を認識し、図11に示すように、部分画像データにおける重なり領域に対応する画像データに対して、明るさ補正
パラメータにより、端部側に向かうにつれて次第に明るさを低下させるエッジブレンディング処理を実施する。
【0069】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
画像補正部4341Bは、エッジブレンディング処理により重なり領域に対応する画像データの明るさを調整するので、原画像において、重なり領域における輝度値を他の領域と同様の輝度値とすることができ、原画像を自然な画像にして良好に表示できる。
また、重なり領域に対応する画像データの明るさ(輝度や色)を調整する画像補正処理を実施する構成としているので、例えば、部分画像の重なり領域の明るさを光学的に調整、すなわち、拡大投射される部分画像の一部の光量を調整する遮光板を用いる構成と比較して、プロジェクタ40の構造の簡素化が図れる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図12は、第3実施形態におけるマルチディスプレイシステム10の構成を示す図である。
前記第1実施形態では、マルチディスプレイシステム1は、画像信号分配器3を用いて画像出力装置2からの画像信号を各プロジェクタ4A〜4Dに分配している。
これに対して第3実施形態では、マルチディスプレイシステム10は、各プロジェクタ4A〜4Dを直列接続(カスケード接続)し、画像信号分配器3を省略した構成としている。すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dを直列接続する構造、および画像信号分配器3を省略した点が前記第1実施形態と異なるのみであり、その他の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0071】
すなわち、各プロジェクタ4A〜4Dには、図12に示すように、前記第1実施形態で説明した画像入力端子431Aの他、画像入力端子431Aを介して入力した画像信号をそのまま外部に出力可能なモニタ出力端子等の画像出力端子431Bを備えている。この画像出力端子431Bとしては、例えば、画像入力端子431Aにそのまま並列接続されている構成を採用できる。また、このような構成を採用した場合には、画像信号を長い距離にわたって引き回すこととなって信号が減衰してしまいノイズが混入しやすくなり、また、画像出力装置2の画像信号の出力インピーダンスが高い場合にはやはり画像信号が減衰してしまう。このため、具体的な図示は省略するが、例えば、信号処理部431に接続し、バッファアンプを有する信号出力部から画像出力端子431Bを介して外部に画像信号を出力する構成が好ましい。このような構成では、信号処理部431から出力された画像信号がバッファアンプを介して画像出力端子431Bから外部に画像信号が出力されるので、上述した画像信号の減衰を抑制できる。
【0072】
そして、マルチディスプレイシステム10は、図12に示すように、画像出力装置2とプロジェクタ40Aの画像入力端子431Aとが信号線S6を介して接続し、プロジェクタ4Aの画像出力端子431Bとプロジェクタ4Bの画像入力端子431Aとが信号線S7を介して接続し、プロジェクタ4Bの画像出力端子431Bとプロジェクタ4Cの画像入力端子431Aとが信号線S8を介して接続し、プロジェクタ4Cの画像出力端子431Bとプロジェクタ4Dの画像入力端子431Aとが信号線S9を介して接続することで、各プロジェクタ4A〜4Dが直列接続する。このように、各プロジェクタ4A〜4Dが直列接続されることで、画像出力装置2からの同一の画像信号が各プロジェクタ4A〜4Dに与えられる。
【0073】
なお、マルチディスプレイシステム10の動作については、前記第1実施形態で説明したマルチディスプレイシステム1の動作と同様であり、説明を省略する。
【0074】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態においては、前記第1実施形態で説明したようにプロジェクタ4単体で動作設定できるので、各プロジェクタ4A〜4Dをカスケード接続する際、信号線S7〜S9の接続状態を間違えた場合であっても、各プロジェクタ4A〜4Dが適切に設置されていれば、各プロジェクタ4A〜4Dが拡大投射する部分画像の位置が異なることなく、原画像を良好に表示できる。
また、本実施形態によれば、前記第1実施形態と比較して、画像信号分配器3を省略でき、また、必要な信号線の数を減らすことができ(前記第1実施形態では信号線S1〜S5の5本に対して、本実施形態では信号線S6〜S9の4本)、マルチディスプレイシステム10を簡略化できる。
【0075】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、部分画像情報生成部4341Aは、処理条件記憶部4331に記憶された各処理条件パラメータのうち、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた処理条件パラメータを用いて、部分画像データを生成していたが、これに限らない。部分画像情報生成部4341Aによる部分画像データ生成処理は、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、原画像データの少なくとも一部の画像データを切り出して部分画像データを生成する処理であれば、その他の処理で実施しても構わない。
【0076】
前記各実施形態では、機械式スイッチ部42は、スライドスイッチおよびディップスイッチで構成されていたが、これに限らず、機械的に設定可能とするスイッチであれば、その他のスイッチを採用しても構わない。
また、前記各実施形態では、台数設定部421への台数情報の設定として、相似比に関する情報(「1×1」、「2×2」、「3×3」、「4×4」、「5×5」)を設定可能とする構成としたが、これに限らず、PJ番号設定部422と同様に、2進数のコードで、台数を設定可能とする構成としても構わない。
さらに、前記各実施形態では、台数情報の設定として、「5×5」の25台までの設定しかできない構成としていたが、これに限らず、25台以上の設定を可能とする構成等を採用しても構わない。
【0077】
前記各実施形態では、各部分画像の一部が重なり合う重なり領域を有して原画像を構成する説明をしたが、これに限らず、各部分画像が重なり合うことなく各部分画像によって原画像を構成するものとしても構わない。
【0078】
前記各実施形態において、機械式スイッチ部42の設定が間違っていた場合、例えば、台数設定部421に設定された台数情報が「2×2」の4台であるにもかかわらず、PJ番号設定部422に設定された位置情報が「5」である場合に、制御装置43が画像投射部41を駆動制御して、エラー表示、例えば、「機械式スイッチ部の設定が間違っている」旨のメッセージを表示させる構成としても構わない。例えば、上述した設定状態において、表示制御部434が、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた情報(処理条件パラメータ、参照部分画像情報、重なり補正パラメータ等)をメモリ433から読み出すことができない構成としておけば、該読み出すことができないことをトリガとして、上述したエラー表示を実施する。
【0079】
前記各実施形態では、参照画像表示制御部4342は、スイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、該参照部分画像データに基づく参照部分画像を表示させる参照画像表示制御を実施していたが、これに限らず、以下に示すように参照画像表示制御を実施する構成としても構わない。
例えば、一画面を構成する参照原画像データを参照画像情報記憶部に記憶しておく。そして、参照画像表示制御部は、部分画像情報生成部4341Aの部分画像データ生成処理と同様に、自身が表示すべき部分画像の位置に応じた切出範囲の画像データを参照原画像データから切り出して参照部分画像データを生成する。この後、参照画像表示制御部は、生成した参照部分画像データに基づく参照部分画像を表示させる参照画像表示制御を実施する。
【0080】
また、前記各実施形態では、各プロジェクタ4にて拡大投射される各参照部分画像F1〜F4が全て同一の画像で構成されていたが、これに限らない。例えば、参照部分画像F1においては、各領域F1Bのうち、各領域F1B1,F1B5,F1B8の色を白に設定する。また、参照部分画像F2においては、各領域F2Bのうち、各領域F2B2,F2B5,F2B6の色を白に設定する。また、参照部分画像F3においては、各領域F3Bのうち、各領域F3B3,F3B7,F3B8の色を白に設定する。また、参照部分画像F4においては、各領域F4B4,F4B6,F4B7の色を白に設定する。すなわち、隣接する参照部分画像が重なり合う領域と、重なり合わない領域とを明確に区別する。
【0081】
さらに、前記各実施形態において、案内情報としては、格子状の線F1A,F2A,F3A,F4Aや、各領域F1B,F2B,F3B,F4Bの色を異なるものに設定した情報を採用したが、これに限らない。
例えば、案内情報として、数や文字等を採用しても構わない。例えば、参照部分画像F1においては、「1」の数字や「A」の文字を含んだ画像とする。また、参照部分画像F2においては、「2」の数字や「B」の文字を含んだ画像とする。また、参照部分画像F3においては、「3」の数字や「C」の文字を含んだ画像とする。また、参照部分画像F4においては、「4」の数字や「D」の文字を含んだ画像とする。
また、例えば、案内情報を含まない参照部分画像としても構わない。
【0082】
前記各実施形態では、各部分画像を並べることで原画像を構成する「タイリング表示」を説明したが、前記各実施形態で説明したプロジェクタ4は、各部分画像の全ての領域を重ねて原画像を構成する「スタック表示」も実施可能に構成されているものである。すなわち、この「スタック表示」を実施する際には、例えば、各プロジェクタ4において、各台数情報設定部421の各スイッチトップ421Aを外装筺体44に形成された「1」の数字位置に位置付けるとともに、PJ番号設定部422のスイッチ422AのみをON状態とする。このような設定により、各プロジェクタ4において、各部分画像情報生成部4341Aは、上述した設定によりスイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(1台中の1番目)に関連付けられた処理条件パラメータを処理条件記憶部4331から読み出し、読み出した処理条件パラメータを用いて、原画像データに対して画像データ切出処理(原画像データの全ての領域を切り出す)および画像サイズ変換処理(拡大率1)を実施して、すなわち、原画像データを部分画像データとする。
【0083】
また、以上の「スタック表示」を実施する際には、参照画像表示制御部4342は、以下に示す参照部分画像F1´,F2´,F3´,F4´を表示させる参照画像表示制御を実施するものである。
図13は、スタック表示を実施する場合での参照部分画像F1´,F2´,F3´,F4´の一例を示す図である。なお、図13中、中央部分の画像は、スタック表示された、すなわち、参照部分画像F1´,F2´,F3´,F4´を重ねた状態の参照原画像を示
している。
すなわち、参照画像表示制御部4342は、上述した設定によりスイッチ認識部432にて認識された台数情報および位置情報(1台中の1番目)に関連付けられた参照部分画像データを参照画像情報記憶部4332から読み出し、読み出した参照部分画像データに基づく参照部分画像を液晶ライトバルブ412に形成させる参照画像表示制御を実施する。
ここで、各参照部分画像F1´〜F4´は、図13に示すように、各プロジェクタ4の設置位置を調整するための案内情報を含んだ画像で構成されている。より具体的に、各参照部分画像F1´〜F4´は、図13に示すように、縦横に延びる格子状の線F1A1´,F2A1´,F3A1´,F4A1´と、一対の対角線F1A2´,F2A2´,F3A2´,F4A2´とを有する。なお、図13の例では、線F1A1´,F2A1´,F3A1´,F4A1´は、縦方向に7本、横方向に7本で構成されている。そして、マルチディスプレイシステム1の設営時において、設置作業者は、各参照部分画像F1´〜F4´を確認しながら、すなわち、各線F1A1´〜F4A1´がそれぞれ合致しかつ、各一対の対角線F1A2´〜F4A2´がそれぞれ合致するように、各プロジェクタ4A〜4Dを設置する。
【0084】
前記第2実施形態では、明るさ調整部として画像補正部4341Bを採用したが、これに限らず、部分画像の重なり領域の明るさを光学的に調整、すなわち、拡大投射される部分画像の一部の光量を調整する遮光板を採用しても構わない。
また、前記第2実施形態では、画像補正部4341Bは、部分画像データにおける重なり領域に対応する画像データに対して、端部側に向かうにつれて次第に明るさを低下させるエッジブレンディング処理を実施していたが、これに限らず、重なり領域に対応する画像データの輝度値を全て略0にする処理や、重なり領域に対応する画像データの色を全て黒にする処理等を採用しても構わない。
【0085】
前記第3実施形態における各プロジェクタ4をカスケード接続する構成に、前記第2実施形態で説明したエッジブレンディング処理を実施する機能を付加しても構わない。
前記各実施形態では、信号線S1〜S9として、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、LAN(Local Area Network)ケーブル等の有線で信号を伝送するものとして説明したが、これに限らず、無線媒体(電波、音、赤外線等)を介して信号を伝送する規格で構成しても構わない。
【0086】
前記各実施形態では、透過型の液晶パネル(液晶ライトバルブ412)を採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネルを採用してもよく、あるいは、ディジタル・マイクロミラー・デバイス(テキサス・インスツルメント社の商標)を採用してもよい。
前記各実施形態では、液晶ライトバルブ412を3枚設けた構成としていたが、これに限らず、1枚のみの液晶ライトバルブ412を設ける構成、2枚の液晶ライトバルブ412を設ける構成、4枚以上の液晶ライトバルブ412を設ける構成としてもよい。
【0087】
前記各実施形態では、表示装置としてプロジェクタを採用していたが、これに限らず、直視型のディスプレイ(プラズマや液晶、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ等)で構成しても構わない。このように直視型のディスプレイを表示装置として構成した場合には、前記各実施形態で説明した重なり領域とは異なり、各ディスプレイのエッジの部分が生じてしまうので、該エッジの部分を例えば前記第2実施形態で説明した画像補正処理と同様に明るさを調整して目立たなくすることが好ましい。
【0088】
さらに、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲か
ら逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の表示装置は、マルチディスプレイシステムを容易に構築できるため、プレゼンテーション等に用いられるマルチディスプレイシステムを構成する表示装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態におけるマルチディスプレイシステムの構成を示す図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図3】前記実施形態における機械式スイッチ部の構成を示す図。
【図4】前記実施形態における機械式スイッチ部の構成を示す図。
【図5】前記実施形態におけるマルチディスプレイシステムの設営時におけるプロジェクタの動作を説明するフローチャート。
【図6】前記実施形態におけるマルチディスプレイシステムの設営時におけるプロジェクタの動作を説明するための図。
【図7】前記実施形態におけるタイリング表示動作を説明するフローチャート。
【図8】前記実施形態におけるタイリング表示動作を説明するための図。
【図9】第2実施形態におけるプロジェクタの構成を示すブロック図。
【図10】前記実施形態における画像補正部によるエッジブレンディング処理を説明するための図。
【図11】前記実施形態における画像補正部によるエッジブレンディング処理を説明するための図。
【図12】第3実施形態におけるマルチディスプレイシステムの構成を示す図。
【図13】前記各実施形態におけるスタック表示を実施する場合での参照部分画像の一例を示す図。
【符号の説明】
【0091】
1,10・・・マルチディスプレイシステム、4,4A〜4D,40,40A〜40D・・・プロジェクタ(表示装置)、41・・・画像投射部(表示部)、42・・・機械式スイッチ部、43・・・制御装置、432・・・スイッチ認識部、4341A・・・部分画像情報生成部、4341B・・・画像補正部(明るさ調整部)、4342・・・参照画像表示制御部、ST11・・設定認識ステップ、ST12〜ST14・・・部分画像情報生成ステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置であって、
前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、
前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記機械式スイッチ部と電気的に接続し、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識するスイッチ認識部と、
前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成部とを備えている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記各部分画像は、少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して前記原画像を構成するものであり、
前記部分画像情報生成部は、前記部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像情報を前記原画像情報から切り出して前記部分画像情報を生成する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記部分画像の重なり領域の明るさを調整する明るさ調整部を備えている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示装置において、
前記制御装置は、
前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、一画面の少なくとも一部を構成する参照部分画像を前記表示部に表示させる参照画像表示制御を実施する参照画像表示制御部を備えている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置において、
前記参照画像表示制御部は、当該表示装置の電源投入時において、前記参照画像表示制御を実施する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の表示装置において、
前記参照部分画像は、当該表示装置の設置位置を調整するための案内情報を含んで構成されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムであって、
前記複数の表示装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の表示装置で構成されている
ことを特徴とするマルチディスプレイシステム。
【請求項8】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の表示方法であって、
前記表示装置は、
前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、
前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、
当該表示方法は、
前記制御装置が、
前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、
前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを実行する
ことを特徴とする表示方法。
【請求項9】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の制御プログラムであって、
前記表示装置は、
前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、
前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、
前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、
前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを前記制御装置に実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムがコンピュータに読取可能に記録されていることを特徴とする制御プログラムを記録した記録媒体。
【請求項1】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置であって、
前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、
前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記機械式スイッチ部と電気的に接続し、前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識するスイッチ認識部と、
前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成部とを備えている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記各部分画像は、少なくとも一部が重なり合う重なり領域を有して前記原画像を構成するものであり、
前記部分画像情報生成部は、前記部分画像の重なり領域を含んだ範囲の画像情報を前記原画像情報から切り出して前記部分画像情報を生成する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、
前記部分画像の重なり領域の明るさを調整する明るさ調整部を備えている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示装置において、
前記制御装置は、
前記スイッチ認識部にて認識された台数情報および位置情報に基づいて、一画面の少なくとも一部を構成する参照部分画像を前記表示部に表示させる参照画像表示制御を実施する参照画像表示制御部を備えている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置において、
前記参照画像表示制御部は、当該表示装置の電源投入時において、前記参照画像表示制御を実施する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の表示装置において、
前記参照部分画像は、当該表示装置の設置位置を調整するための案内情報を含んで構成されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムであって、
前記複数の表示装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の表示装置で構成されている
ことを特徴とするマルチディスプレイシステム。
【請求項8】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の表示方法であって、
前記表示装置は、
前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、
前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、
当該表示方法は、
前記制御装置が、
前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、
前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを実行する
ことを特徴とする表示方法。
【請求項9】
入力した原画像情報から部分画像情報を生成し前記部分画像情報に基づく部分画像を表示する複数の表示装置を有し、前記複数の表示装置が表示する各部分画像によって前記原画像情報に基づく原画像を表示するマルチディスプレイシステムに用いられる表示装置の制御プログラムであって、
前記表示装置は、
前記マルチディスプレイシステムで用いられる前記複数の表示装置の台数に関する台数情報、および前記原画像内における当該表示装置が表示すべき部分画像の位置に関する位置情報を機械的に設定可能とする機械式スイッチ部と、
前記原画像情報から前記部分画像情報を生成し、前記部分画像情報に基づく部分画像を表示部に表示させる制御装置とを備え、
前記機械式スイッチ部の状態を検出して前記機械式スイッチ部に設定された台数情報および位置情報を認識する設定認識ステップと、
前記認識した台数情報および位置情報に基づいて、前記原画像情報の少なくとも一部の画像情報を切り出して前記部分画像情報を生成する部分画像情報生成ステップとを前記制御装置に実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムがコンピュータに読取可能に記録されていることを特徴とする制御プログラムを記録した記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−26686(P2008−26686A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200406(P2006−200406)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]