説明

表示装置、表示方法、及び表示プログラム

【課題】表示されている画像の特定の部分が指で隠れた状態が続くことを防止し、視認性を向上することができる、表示装置、表示方法、及び表示プログラムを提供すること。
【解決手段】表示装置1は、画像を表示するディスプレイ20と、タッチパネル10と、タッチパネル10に接触した利用者の指の位置を検出する位置検出部31と、利用者の指の接触開始位置に対応する画像上の位置に対応するディスプレイ20上の位置と、利用者の指の検出位置に対応するディスプレイ20上の位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、画像の表示位置を、接触開始位置に対応する画像上の位置に対応するディスプレイ20上の位置から利用者の指の検出位置に対応するディスプレイ20上の位置に向かう方向に所定周期で更新する表示制御部32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置等において、ディスプレイに表示された地図を上下左右にスクロールさせたり、ディスプレイに表示されたリストを特定の方向にスクロールさせたりすることが行われている。ディスプレイに表示された情報をこのようにスクロールさせるための操作入力として、例えばタッチパネルやジョイスティック等を用いた操作入力が採用されている。
【0003】
例えば、タッチパネルを用いた座標入力部による座標入力がある間は、入力座標の変化ベクトルに基づいたベクトルで表示画面をスクロールさせ、座標入力がなくなると、その座標入力がなくなる直前の入力座標の変化ベクトルに基づいたベクトルで表示画面をスクロールさせる制御を行う、画面のスクロール制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−161628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の装置では、ユーザがタッチパネル上で指を動かす(いわゆるドラッグ操作を行う)ことにより地図等の画像をスクロールさせる際、指の動きと一致するように画像がスクロールされていた。このため、指の直下に表示されている画像が常時指の下に隠れた状態が続いてしまい、視認性が悪くなる可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表示されている画像の特定の部分が指で隠れた状態が続くことを防止し、視認性を向上することができる、表示装置、表示方法、及び表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の表示装置は、画像を表示する表示手段と、前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルと、前記タッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された利用者の指の接触開始位置に対応する前記画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置と、前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を前記画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、前記画像の表示位置を、前記接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置から前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置に向かう方向に所定周期で更新する表示制御手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の表示装置は、請求項1に記載の表示装置において、前記表示制御手段は、当該表示制御手段による前記画像の表示位置の移動方向が特定方向に限定されている場合、前記接触開始位置に対応する前記画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置と、前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置との、前記特定方向の成分の距離に基づいて、前記移動量を算出する。
【0009】
また、請求項3に記載の表示装置は、請求項1又は2に記載の表示装置において、前記画像は複数の項目からなるリストであり、前記最小移動量は、前記リストの1項目当たりの表示幅又は表示高さである。
【0010】
また、請求項4に記載の表示装置は、請求項1又は2に記載の表示装置において、前記画像は地図であり、前記表示制御手段は、前記所定係数を、前記地図の縮尺に応じて異なる値とする。
【0011】
また、請求項5に記載の表示方法は、画像を表示手段に表示する表示ステップと、前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップで検出された利用者の指の接触開始位置に対応する前記画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置と、前記位置検出ステップで検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を前記画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、前記画像の表示位置を、前記接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置から前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置に向かう方向に所定周期で更新する表示制御ステップと、を含む。
【0012】
また、請求項6に記載の表示プログラムは、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の表示装置、請求項5に記載の表示方法、及び請求項6に記載の表示プログラムによれば、位置検出手段により検出された利用者の指の接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する表示手段上の位置と、位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する表示手段上の位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、画像の表示位置を、接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する表示手段上の位置から位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する表示手段上の位置に向かう方向に所定周期で更新するので、タッチパネルに接触した利用者の指の動きに遅れて追随するように画像の表示位置を更新することができ、表示されている画像の特定の部分が指で隠れた状態が続くことを防止し、視認性を向上することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の表示装置によれば、表示制御手段は、当該表示制御手段による画像の表示位置の移動方向が特定方向に限定されている場合、接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する表示手段上の位置と、位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する表示手段上の位置との、特定方向の成分の距離に基づいて、移動量を算出するので、画像が特定方向にのみスクロールする場合でも、表示されている画像の特定の部分が指で隠れた状態が続くことを防止し、視認性を向上することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の表示装置によれば、画像が複数の項目からなるリストの場合、最小移動量を、リストの1項目当たりの表示幅又は表示高さとしたので、表示手段の端部においてリストの項目が欠けた状態で当該リストの移動が停止することを防止できる。
【0016】
また、請求項4に記載の表示装置によれば、画像が地図の場合、表示制御手段は、移動係数を地図の縮尺に応じて異なる値とするので、地図の縮尺に応じて、ユーザの指の動きに追随する地図の動きの遅れ具合を調整することができ、視認性を一層向上させることができる。例えば、地名や施設名等の表示情報の密度が高い広域地図が表示されている場合には利用者の指の動きと比較して地図をゆっくり移動させ、地名や施設名等の表示情報の密度が低い詳細地図が表示されている場合には利用者の指の動きに合わせて地図を素早く移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る表示装置を例示するブロック図である。
【図2】表示制御処理のフローチャートである。
【図3】ディスプレイに地図が表示されている場合を例示した図であり、図3(a)は利用者の指がタッチパネルに接触を開始した状態を示す図、図3(b)は利用者の指がタッチパネルに接触しながら移動した状態を示す図である。
【図4】ディスプレイに複数の項目からなるリストが表示されている場合を例示した図であり、図4(a)は利用者の指がタッチパネルに接触を開始した状態を示す図、図4(b)は利用者の指がタッチパネルに接触しながら移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る表示装置、表示方法、及び表示プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(構成)
最初に、実施の形態に係る表示装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係る表示装置を例示するブロック図である。図1に示すように、表示装置1は、タッチパネル10、ディスプレイ20、制御部30、及びデータ記録部40を備えている。
【0020】
(構成−タッチパネル)
タッチパネル10は、ユーザの指等で押圧されることにより、ディスプレイ20に表示されている画像を移動させるための操作入力等を含む各種操作を受け付ける入力手段である。このタッチパネル10は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ20の前面において当該ディスプレイ20の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル10としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。
【0021】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ20は、制御部30の制御に基づいて画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ20の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0022】
(構成−制御部)
制御部30は、表示装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態1に係る表示プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して表示装置1にインストールされることで、制御部30の各部を実質的に構成する。
【0023】
この制御部30は、機能概念的に、位置検出部31、及び表示制御部32を備えている。位置検出部31は、タッチパネル10に接触した利用者の指の位置を所定の検出周期で検出する位置検出手段である。表示制御部32は、ディスプレイ20における情報の表示位置を所定の表示周期で更新する表示制御手段である。これらの制御部30の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0024】
(構成−データ記録部)
データ記録部40は、表示装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0025】
このデータ記録部40は、地図情報データベース41(以下、データベースをDBと略記する)を備えている。
【0026】
地図情報DB41は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、対象地物データ(交差点、一時停止線、踏切、カーブ、ETC料金所、高速出口等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ20に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0027】
(処理−表示制御処理)
次に、このように構成された表示装置1によって実行される表示制御処理について説明する。図2は表示制御処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この表示制御処理は、例えば、表示装置1に電源が投入され、ディスプレイ20に地図やリスト等の画像が表示された場合に起動される。
【0028】
図2に示すように、表示制御処理が開始されると、位置検出部31は、タッチパネル10からの出力に基づき、利用者の指がタッチパネル10に接触するまで待機し(SA1、No)、利用者の指がタッチパネル10に接触した場合(SA1、Yes)、タッチパネル10に接触を開始した際の利用者の指の位置(以下、必要に応じて「接触開始位置」)に対応する画像上の位置を特定する(SA2)。ここで、「接触開始位置に対応する画像上の位置」とは、画像と共に移動する座標系における、タッチパネル10に接触を開始した際の利用者の指の位置の座標を意味する。
【0029】
続いて、位置検出部31は、ディスプレイ20に表示されている画像の表示位置を更新すべきタイミングが到来するまで待機し(SA3、No)、画像の表示位置を更新すべきタイミングが到来した場合(SA3、Yes)、タッチパネル10からの出力に基づき、タッチパネル10に接触している利用者の指の位置(以下、必要に応じて「指位置」)を検出する(SA4)。なお、画像の表示位置を更新すべきタイミングは、例えば所定周期(例えば20ms)で到来する。
【0030】
次に、表示制御部32は、SA2で特定された利用者の指の接触開始位置に対応する画像上の位置に対応するディスプレイ20上の位置(以下、必要に応じて「ディスプレイ20に表示されている画像上の位置」)と、SA4で位置検出部31により検出された利用者の指の検出位置に対応するディスプレイ20上の位置(以下、必要に応じて「ディスプレイ20上の指位置」)とを特定する(SA5)。ここで、「SA2で特定された利用者の指の接触開始位置に対応する画像上の位置に対応するディスプレイ20上の位置」とは、例えばディスプレイ20の左上端を原点とする座標系における、SA2で特定された利用者の指の接触開始位置に対応する画像上の位置の座標を意味する。また、「SA4で位置検出部31により検出された利用者の指の検出位置に対応するディスプレイ20上の位置」とは、例えばディスプレイ20の左上端を原点とする座標系における、SA4で位置検出部31により検出された指位置の座標を意味する。
【0031】
続いて、表示制御部32は、画像の表示位置の移動量を算出する(SA6)。具体的には、表示制御部32は、SA5で特定したディスプレイ20に表示されている画像上の位置とディスプレイ20上の指位置との距離に、1未満の所定係数(例えば0.4)を乗じた値を、画像の表示位置の移動量とする。
【0032】
なお、ディスプレイ20に表示されている画像が地図である場合、表示制御部32が、上記の所定係数を、地図の縮尺に応じて異なる値とするようにしてもよい。例えば、地図の縮尺から所定係数を算出する算出式を予めデータ記録部40に記録しておき、この算出式を用いて、表示制御部32が地図の縮尺から所定係数を算出するようにしてもよい。この場合、例えば地図の縮尺が大きくなるほど(すなわち、ディスプレイ20に表示される地図が広域になるほど)所定係数が小さくなるようにすることで、ディスプレイ20に表示される地図が広域地図の場合には地図の移動量を小さくし、ディスプレイ20に表示される地図が詳細地図の場合には地図の移動量を大きくすることができる。これにより、地名や施設名等の表示情報の密度が高い広域地図が表示されている場合には利用者の指の動きと比較して地図をゆっくり移動させ、地名や施設名等の表示情報の密度が低い詳細地図が表示されている場合には利用者の指の動きに合わせて地図を素早く移動させることができる。
【0033】
また、表示制御部32は、当該表示制御部32による画像の表示位置の移動方向が特定方向に限定されている場合(例えばディスプレイ20に複数の項目からなるリストが表示されている場合において、画像の表示位置の移動方向がリストの項目の羅列方向に限定されている場合)、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置とディスプレイ20上の指位置との、特定方向の成分の距離に基づいて、画像の表示位置の移動量を算出する。この場合、表示制御部32は、例えば、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置とディスプレイ20上の指位置との、特定方向の成分の距離に、所定係数を乗じた値を画像の表示位置の移動量とする。
【0034】
続いて、表示制御部32は、SA6で算出した移動量が最小移動量より大きいか否かを判定する(SA7)。この最小移動量としては、例えばディスプレイ20に表示されている画像を移動可能な最小単位(例えば1ドット)を用いる。
【0035】
また、ディスプレイ20に表示されている画像が複数の項目からなるリストである場合には、最小移動量を、リストの1項目当たりの表示幅又は表示高さとしてもよい。この場合、リストの各項目が表示幅方向に羅列されている場合には、最小移動量はリストの1項目当たりの表示幅となり、リストの各項目が表示高さ方向に羅列されている場合には、最小移動量はリストの1項目当たりの表示高さとなる。
【0036】
SA7の判定の結果、SA6で算出した移動量が最小移動量より大きくない(最小移動量以下である)場合(SA7、No)、制御部30はSA3に戻る。
【0037】
一方、SA7の判定の結果、SA6で算出した移動量が最小移動量より大きい場合(SA7、Yes)、表示制御部32は、画像の表示位置を、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置からディスプレイ20上の指位置に向かう方向に、SA6で算出した移動量移動させて更新する(SA8)。以降、制御部30はSA3からSA8の処理を繰り返す。これにより、ディスプレイ20に表示されている画像の表示位置は、表示制御部32により所定周期(例えば20ms)で更新される。
【0038】
図3はディスプレイ20に地図が表示されている場合を例示した図であり、図3(a)は利用者の指がタッチパネル10に接触を開始した状態を示す図、図3(b)は利用者の指がタッチパネル10に接触しながら移動した状態(いわゆるドラッグ操作を行った状態)を示す図である。図2のSA8で表示制御部32が地図の表示位置を更新することにより、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置(図3中のA)からディスプレイ20上の指位置(図3中のB)に向かう方向(図3(b)の矢印)に、地図の表示位置が順次更新される。すなわち、図3(b)に示すように、タッチパネル10に接触した利用者の指の動きに遅れて追随するように地図の表示位置が更新される。図3の例では、利用者の指がタッチパネル10に接触を開始した時点では利用者の指の下に隠れていたアイコン(図3(a)の「T」のアイコン」が、利用者の指の動きに遅れて追随することで視認可能となる(図3(b)の状態)。
【0039】
また、図4はディスプレイ20に複数の項目からなるリストが表示されている場合を例示した図であり、図4(a)は利用者の指がタッチパネル10に接触を開始した状態を示す図、図4(b)は利用者の指がタッチパネル10に接触しながら移動した状態(いわゆるドラッグ操作を行った状態)を示す図である。図2のSA8で表示制御部32が地図の表示位置を更新することにより、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置(図4中のC)からディスプレイ20上の指位置(図4中のD)に向かう方向の特定方向の成分(図4(b)の矢印)に応じて、リストの表示位置が順次更新される。すなわち、図4(b)に示すように、タッチパネル10に接触した利用者の指の動きの特定方向の成分に遅れて追随するようにリストの表示位置が更新される。図4の例では、利用者の指がタッチパネル10に接触を開始した時点では利用者の指の下に隠れていたボタン(図4(a)の「岡崎市」のボタン」が、利用者の指の動きに遅れて追随することで視認可能となる(図4(b)の状態)。
【0040】
なお、図2のSA3からSA8の処理と並行して、位置検出部31は、タッチパネル10からの出力に基づき利用者の指がタッチパネル10から離れたか否かを監視し、利用者の指がタッチパネル10から離れた場合、その時点でSA1に戻る。
【0041】
(効果)
このように本実施の形態によれば、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置とディスプレイ20上の指位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、画像の表示位置を、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置からディスプレイ20上の指位置に向かう方向に所定周期で更新するので、タッチパネル10に接触した利用者の指の動きに遅れて追随するように画像の表示位置を更新することができ、表示されている画像の特定の部分が指で隠れた状態が続くことを防止し、視認性を向上することができる。
【0042】
また、表示制御部32は、当該表示制御部32による画像の表示位置の移動方向が特定方向に限定されている場合、ディスプレイ20に表示されている画像上の位置とディスプレイ20上の指位置との、特定方向の成分の距離に基づいて、画像の表示位置の移動量を算出するので、画像が特定方向にのみスクロールする場合でも、表示されている画像の特定の部分が指で隠れた状態が続くことを防止し、視認性を向上することができる。
【0043】
また、画像が複数の項目からなるリストの場合、最小移動量を、リストの1項目当たりの表示幅又は表示高さとしたので、ディスプレイ20の端部においてリストの項目が欠けた状態で当該リストの移動が停止することを防止できる。
【0044】
また、画像が地図の場合、表示制御部32は、移動係数を地図の縮尺に応じて異なる値とするので、地図の縮尺に応じて、ユーザの指の動きに追随する地図の動きの遅れ具合を調整することができ、視認性を一層向上させることができる。例えば、地名や施設名等の表示情報の密度が高い広域地図が表示されている場合には利用者の指の動きと比較して地図をゆっくり移動させ、地名や施設名等の表示情報の密度が低い詳細地図が表示されている場合には利用者の指の動きに合わせて地図を素早く移動させることができる。
【0045】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0046】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0047】
(表示制御処理について)
上述の実施の形態では、図2の表示制御処理において、位置検出部31が指位置を検出する度に(SA4)、表示制御部32がディスプレイ20に表示されている画像の表示位置を更新する(SA8)場合を例として説明したが、指位置の検出周期と画像の表示位置を更新する表示周期とを異なる値としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 表示装置
10 タッチパネル
20 ディスプレイ
30 制御部
31 位置検出部
32 表示制御部
40 データ記録部
41 地図情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルと、
前記タッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された利用者の指の接触開始位置に対応する前記画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置と、前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を前記画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、前記画像の表示位置を、前記接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置から前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置に向かう方向に所定周期で更新する表示制御手段と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、当該表示制御手段による前記画像の表示位置の移動方向が特定方向に限定されている場合、前記接触開始位置に対応する前記画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置と、前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置との、前記特定方向の成分の距離に基づいて、前記移動量を算出する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像は複数の項目からなるリストであり、
前記最小移動量は、前記リストの1項目当たりの表示幅又は表示高さである、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像は地図であり、
前記表示制御手段は、前記所定係数を、前記地図の縮尺に応じて異なる値とする、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
画像を表示手段に表示する表示ステップと、
前記表示手段の前面に設けられたタッチパネルに接触した利用者の指の位置を検出する位置検出ステップと、
前記位置検出ステップで検出された利用者の指の接触開始位置に対応する前記画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置と、前記位置検出ステップで検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置との距離に、1未満の所定係数を乗じた値を前記画像の表示位置の移動量とし、当該移動量が最小移動量以下となるまで、前記画像の表示位置を、前記接触開始位置に対応する画像上の位置に対応する前記表示手段上の位置から前記位置検出手段により検出された利用者の指の検出位置に対応する前記表示手段上の位置に向かう方向に所定周期で更新する表示制御ステップと、
を含む表示方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−93860(P2012−93860A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239113(P2010−239113)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】