説明

表示装置、表示装置の製造方法、および電子機器

【課題】表示領域への装置外部のガスの進入を十分に防止することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この表示装置は、主面側に素子が配列された第1基板と、この第1基板の素子形成面と対向して配置され、素子を取り囲む領域に凹部を有する第2基板と、凹部を充填し、かつ第1基板と第2基板との間からはみ出ることなく設けられた封止層とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示装置の製造方法、および電子機器に関し、特に2枚の基板間に発光素子が封止された表示装置およびその製造方法、ならびにそのような表示装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子を配列形成してなる表示装置は、有機電界発光素子が水分や酸素に極めて弱く、外部から侵入したガス(水蒸気・酸素)によって劣化し、発光しないエリア(ダークスポット)が発生したり輝度が低下するなどの具合が生じ易い。このため、発光素子が設けられた表示領域へのガスの侵入を抑えるための封止技術が不可欠である。
【0003】
現状では、発光素子が形成された第1基板上を保護膜で覆い、さらにこの保護膜に対向して第2基板を配置し、第1基板と第2基板との間に発光素子を封止する構造が採用されている。封止構造の第1例としては、第1基板と第2基板との間に、発光素子が設けられた表示領域を含む全面にわたって接着層を充填して封止する構成が例示される(下記特許文献1参照)。また封止構造の第2例としては、第1基板と第2基板との周縁を封止層で封止し、発光素子が設けられた表示領域を気密空間に保つか、表示領域をさらに別の封止層で封止する構成が例示される(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3501148号公報(図9をよび段落0009参照)
【特許文献2】特開2003−203763(図4、図5、および段落0012参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1例の封止構造では、第1基板と第2基板との全周および高さ方向の全面にわたって、表示領域にまで達する接着層が露出している。このため、装置外部のガスが接着層を介して表示領域に侵入し易く、十分な封止効果を得ることができない。また、第2の封止構造であっても、第1基板と第2基板との全周および高さ方向の全面にわたって、封止層が露出している。このため、この封止層を介して、気密空間とした表示領域や他の封止層で覆われた表示領域にまで装置外部のガスが侵入し易く、十分な封止効果を得ることができない。
【0006】
そこで本発明は、素子が設けられた表示領域への装置外部のガスの侵入を十分に防止することが可能で、これにより信頼性の高い表示が可能な表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのような表示装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明の表示装置は、一主面側に素子が配列された第1基板と、この第1基板の素子形成面と対向して配置され、素子を取り囲む領域に凹部を有する第2基板と、凹部を充填し、かつ第1基板と第2基板との間からはみ出ることなく設けられた封止層とを有する。
【0008】
また、本発明の電子機器は、上記構成の表示装置を備えたものである。
【0009】
このような構成の表示装置では、第1基板と第2基板との間隔は、素子形成部分よりも狭められおり、この狭められた部分に封止層が充填された状態となっている。したがって、封止層が外部に露出される部分は最小限に抑えられ、封止層を介して外部の水蒸気や酸素を含むガスが内部に到達することが防止される。
【0010】
また本発明の表示装置の製造方法は、次の手順を行う。まず、第1工程では、第1基板と、第1基板の素子形成面と対向する側の、素子を取り囲む領域に凹部を有する第2基板とを対向配置する。次の第2工程では、凹部を充填し、かつ第1基板と第2基板との間からはみ出すことなく封止層を設ける。
【0011】
このような製造方法では、封止層が第1基板と第2基板との間からはみ出さないので、封止層の外部への露出面積を最小限に抑えた上記構成の表示装置が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、封止層が外部に露出される部分を最小限に抑えることができるため、封止層を介して外部のガス(水蒸気・酸素)が内部に到達することを防止し、封止層で覆われた素子の劣化を防止できる。この結果、第1基板と第2基板との間に素子を封止したパネルを有する表示装置及び電子機器の信頼性の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の表示装置の概略断面図である。
【図2】第1実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図である。
【図3】第2実施形態の表示装置の概略断面図である。
【図4】本発明の表示装置を用いたテレビを示す斜視図である。
【図5】本発明の表示装置を用いたデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図6】本発明の表示装置を用いたノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図7】本発明の表示装置を用いたビデオカメラを示す斜視図である。
【図8】本発明の表示装置を用いた携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す斜視図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて、次に示す順に実施の形態を説明する。
1.第1実施形態(凸条が一体成形された第2基板を用いた表示装置の例)
2.第2実施形態(凸条を別体とした第2基板を用いた表示装置の例)
3.第3実施形態(表示装置パネルを用いた電子機器の例)
【0015】
≪1.第1実施形態≫
<表示装置の構成>
図1は、第1実施形態の表示装置1aの構成を説明するための概略断面図である。この図に示す表示装置1aは、例えば有機電界発光素子を用いた表示装置であり、次のように構成されている。
【0016】
第1基板11上の中央に設定された広い表示領域11aには、複数の発光素子13が配列形成されている。第1基板11における発光素子13の形成面側には、第2基板21が対向配置されている。これらの第1基板11と第2基板21との間には、発光素子13が形成された表示領域11aを覆う状態で第1封止層31が充填され、また第1封止層31を囲む状態で第2封止層32が充填されている。特に本第1実施形態においては、第2基板21の全周縁が、素子形成面側に向かって凸条に厚膜化された凸条周縁Aを備えており、この部分に第2封止層32が充填されているところが特徴的である。以下、各部材の詳細を説明する。
【0017】
第1基板11は、発光素子13が形成された表面側の絶縁性が保たれていれば特に材質が限定されることはなく、プラスチック基板、ガラス基板、さらには金属箔基板の表面に絶縁膜を設けて絶縁性とした基板が用いられる。また表示装置1aにフレキシブルな屈曲性が求められる場合には、プラスチック基板や絶縁膜で覆った金属箔基板が好適に用いられる。プラスチック基板であれば、少なくとも一方の面が無機材料からなる保護膜(無機保護膜)で覆われていることが好ましい。また金属箔基板であれば、また金属箔基板を覆う絶縁膜も無機材料であることが好ましい。無機保護膜を設けることにより、第1基板11−第2基板21間へガス(水蒸気・酸素)の浸入を防止する。
【0018】
発光素子13は、例えば有機電界発光素子などの自発光素子であることとする。これらの発光素子13には、ここでの図示を省略した薄膜トランジスタを有する駆動回路に接続されていることとする。またここでの図示は省略したが、発光素子13が設けられた第1基板11上の全面は、無機材料からなる保護膜(いわゆるパッシベーション膜)で覆われていることが好ましい。
【0019】
第2基板21は、例えば表示光を取出側の基板であり、光透過性を有していれば特に材質が限定されることはなく、プラスチック基板、ガラス基板、さらには金属箔基板の表面に絶縁膜を設けて絶縁性とした基板が用いられる。また第1基板11と同様に、表示装置1aにフレキシブルな屈曲性が求められる場合には、プラスチック基板や絶縁膜で覆った金属箔基板などのフィルム状基板が好適に用いられる。プラスチック基板であれば、少なくとも一方の面が無機材料からなる保護膜(無機保護膜)で覆われていることが好ましい。また金属箔基板であれば、また金属箔基板を覆う絶縁膜も無機材料であることが好ましい。無機保護膜を設けることにより、第1基板11−第2基板21間へガス(水蒸気・酸素)の浸入を防止する。
【0020】
この第2基板21は、上述のように第1基板11に向かう側の全周縁が凸条周縁Aとし一体成形によって厚膜化されたキャップ構造となっている。この凸条周縁Aは、表示領域11a上の第1封止層31を囲む状態で配置されている。第2基板21において凸条周縁Aを一体成形したものとすることで、外部に露出する界面を減らし、界面からのガス(水蒸気・酸素)の浸入を防止する。
【0021】
凸条周縁Aで囲まれた第2基板21の凹部内には、表示領域11aに設けられた発光素子13に対応するカラーフィルタ層23や、これを覆う無機保護膜25が設けられていても良い。また第2基板21がプラスチック基板のような有機材料を用いて構成されている場合には、外側に配置された面にも無機保護膜27が設けられていることが好ましい。無機保護膜25,27はガス(水蒸気・酸素)の浸入を防止するためのものである。
【0022】
第2基板21における無機保護膜25の形成分も含めた凸条周縁Aの高さd1は、第1封止層31の高さ(膜厚)d2よりもやや小さく、これにより第1基板11と凸条周縁Aとの間に間隔d3が設けられる構成となっている。この間隔d3は、未硬化の第2封止層材料が毛細管現象によって充填される程度の大きさであることとする。
【0023】
第1封止層31および第2封止層32は、例えば熱硬化樹脂または光硬化樹脂などの封止材料からなる。特に第2封止層32は、第1封止層31の全周において第1基板11−第2基板21間に隙間なく充填され、第1基板11と第2基板21における凸条周縁Aとの間隔d3の全域に充填されていることが重要である。
【0024】
一方で、第2封止層32は、第1基板11と凸条周縁Aとの間隔d3に未硬化の状態で毛細管現象によって供給された後に硬化させることにより、第1基板11と第2基板21との間からはみ出ること無く設けられていることとする。これにより、第2封止層32は、第1基板11と第2基板21との間にのみ設けられ、外部への露出が最小限に抑えられた構成となっている。
【0025】
以上のような構成の表示装置1aは、第1基板11と第2基板21との間に充填した第1封止層31内に発光素子13を配置したフィルム封止型の表示装置である。この表示装置1aでは、表示領域11aを囲む第1基板11と第2基板21との全周縁部分の間隔d3は、表示領域11a部分よりも狭められおり、この狭められた全周縁分部に第2封止層32が充填された状態となっている。したがって、第2封止層32が外部に露出される部分は最小限に抑えられ、第2封止層32を介して外部のガス(水蒸気・酸素)が第1封止層31に到達することが防止される。
【0026】
この結果、第1封止層31で覆われた発光素子13や他の素子が有機材料を用いて構成された場合であっても、これらの素子の水分や酸素による劣化を防止でき、表示装置1aの信頼性の向上を図ることが可能である。
【0027】
<表示装置の製造方法>
次に図2の断面工程図に基づいて、第1実施形態の表示装置1aの製造方法を説明する。
【0028】
先ず、図2(1)に示すように、必要に応じて無機材料からなる絶縁膜で覆われた第1基板11の表示領域11a上に発光素子13を含む素子を形成し、ここでの図示を省略した無機絶縁膜によって発光素子13を覆う。その後、発光素子13が形成された表示領域11a上を覆うと共に、表示領域11aの周囲を露出させる形状の第1封止層31を、第1基板11上に形成する。第1封止層31の形成は、例えば印刷法や塗布法によって行う。第1基板11上に第1封止層31を形成した後には、用いた材料によって光照射または熱処理を選択して行うことにより第1封止層31を硬化させる。
【0029】
その後、図2(2)に示すように、第1基板11上における第1封止層31の全周に、未硬化の第2封止層材料32aを供給する。この際、例えばディスペンサーBを用いることにより、第1基板11上において広がり過ぎない適度な粘性を有する未硬化の第2封止層材料32aを、第1封止層31の全周に供給する。
【0030】
次いで図2(3)に示すように、凸条周縁Aが一体形成されたキャップ構造の第2基板21を用意する。このような第2基板21は、第1基板11とほぼ同じ平面形状を有し、凸条周縁Aで囲まれた分部には、カラーフィルタ層23が形成され、このカラーフィルタ層23を覆う状態で無機絶縁膜25が設けられていることとする。また、このカラーフィルタ層23を覆う状態で無機絶縁膜25が設けられた状態においての凸条周縁Aの高さd1は、第1封止層31の高さ(膜厚)d2よりも小さいこととする。尚、キャップ構造の成形方法が限定されることはなく、例えば凸条周縁Aを残して表示領域11aと対応する部分のみを深く削り取っても良い。またカラーフィルタ層23および無機絶縁膜25の形成方法も、特に限定されることはない。
【0031】
以上のような第2基板21は、凸条周縁Aによって第1封止層31を囲む状態で、第1基板11における発光素子13の形成面側に対向配置させる。
【0032】
そして図2(4)に示すように、第1基板11と、第2基板21における凸条周縁Aで囲まれた凹部との間に第1封止層31を狭持させ、第1封止層31に第2基板21の無機絶縁膜25を密着させる。この工程は、真空雰囲気中で行われることとする。この状態においては、凸条周縁Aの高さd1は、第1封止層31の高さ(膜厚)d2よりも小さいため、第1基板11と、第2基板21における凸条周縁Aとの間には間隔d3が設けられる。この間隔d3は、未硬化の第2封止層材料32aが毛細管現象を引き起こす程度に間隔に設定される。
【0033】
その後、図2(5)に示すように、重ねあわされた第1基板11と第2基板21とを徐々に大気開放することにより、第1封止層31の周囲に供給された未硬化の第2封止層材料32aは、第1基板11と第2基板21との空間部分に充填される。これと共に、第1基板11と第2基板21における凸条周縁Aとの間隔d3の全域には、この間隔d3から外部にはみ出ることなく、毛細管現象によって第2封止層材料32aが充填される。
【0034】
以上の後には、図1に示したように、第1基板11と第2基板21との間に挟持された第2封止層材料32aを硬化させて第2封止層32を形成する。この際、用いた第2封止層材料32aによって、光照射または熱処理などから適切の硬化処理を選択して行うことにより、第2封止層材料32aを硬化させる。
【0035】
以上説明した第1実施形態の製造方法では、第1封止層31の周囲に供給された第2封止層材料32aを、第1基板11と第2基板21における凸状周縁Aとの間隔d3に、毛細管現象によって充填する。このため、第1基板11と第2基板21との間からはみださせること無く、第1基板11と第2基板21と全周縁に第2封止層材料32aを充填することができる。これにより、第2封止層32の外部への露出面積を最小限に抑えた上記構成の表示装置1aを得ることができる。
【0036】
≪2.第2実施形態≫
<表示装置の構成>
図3は、第2実施形態の表示装置1bの構成を説明するための概略断面図である。この図に示す表示装置1bが、第1実施形態の表示装置1aと異なるところは、第2基板21に設けた凸条周縁Aが、第2基板21の平板部分21aに対して別体で設けられているところにあり、他の構成は同様である。
【0037】
この場合、凸条周縁Aは、例えばエポキシ樹脂で構成される。またこのエポキシ樹脂からなる凸条周縁Aの高さは、第1実施形態と同様である。すなわち、第2基板21における無機保護膜25の形成分も含めた凸条周縁Aの高さd1は、第1封止層31の高さ(膜厚)d2よりもやや小さく、これにより第1基板11と凸条周縁Aとの間に間隔d3が設けられる構成となっている。この間隔d3は、未硬化の第2封止層材料が毛細管現象によって充填される程度の大きさであることとする。また別体として設けられた凸条周縁Aで囲まれた平板部分21a上に、カラーフィルタ23や無機保護膜25が設けられている。
【0038】
そして、特に第2封止層32は、第1封止層31の全周において第1基板11−第2基板21間に隙間なく充填され、第1基板11と第2基板21における凸条周縁Aとの間隔d3の全域に充填されている。また第2封止層32は、第1基板11と凸条周縁Aとの間隔d3に未硬化の状態で毛細管現象によって供給された後に硬化させることにより、第1基板11と第2基板21との間からはみ出ること無く設けられていることとする。これにより、第2封止層32は、第1基板11と第2基板21との間にのみ設けられ、外部への露出が最小限に抑えられた構成となっている。
【0039】
以上のような構成の表示装置1bであっても、表示領域11aを囲む第1基板11と第2基板21との全周縁部分の間隔d3は、表示領域11a部分よりも狭められおり、この狭められた全周縁分部に第2封止層32が充填された状態となっている。したがって、第1実施形態と同様に、第1封止層31で覆われた発光素子13や他の素子が有機材料を用いて構成された場合であっても、これらの素子の水分や酸素による劣化を防止でき、表示装置1bの信頼性の向上を図ることが可能である。
【0040】
また本第2実施形態の構成であれば、第2基板21の平板部分21a上にカラーフィルタ23や無機保護膜25の形成を行った後に、凸条周縁Aを形成することができるため、カラーフィルタ23や無機保護膜25の形成プロセスが容易である。
【0041】
<表示装置の製造方法>
以上のような第2実施形態の表示装置1bの製造方法は、図2を用いて説明した第1実施形態の製造方法において、第2基板21の作製方法が異なるのみであり、その他は同様に行うことで、第1実施形態の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0042】
つまり、第1実施形態において図2(1)および図2(2)を用いて説明したと同様に、第1基板11上に発光素子13、第1封止層31、および第2封止層材料32を設ける。その後、図2(3)を用いて説明した工程においては、平板部分21aの周縁上に別体で凸状周縁Aが設けられ、凸条周縁Aで囲まれた平板部分21a上にカラーフィルタ23や無機保護膜25が設けられた第2基板21を用意する。ここ第2基板21は、平板部分21a上にカラーフィルタ23や無機保護膜25の形成を行った後に、例えばエポキシ樹脂を用いて凸条周縁Aを形成することによって得られる。このような第2基板21を、凸条周縁Aによって第1封止層31を囲む状態で、第1基板11における発光素子13の形成面側に対向配置させる。
【0043】
次いで、第1実施形態において図2(4)を用いて説明したと同様に真空雰囲気内において第1基板11と第2基板21とを重ね合わせ、図2(5)を用いて説明したと同様に大気開放することにより毛細管現象を利用した第2封止層材料32aの充填を行う。その後、第2封止層材料32aを硬化させて第2封止層32として表示装置1bを完成させる。
【0044】
以上により、第1実施形態と同様に、第1基板11と第2基板21との間からはみださせること無く、第1基板11と第2基板21と全周縁に第2封止層材料32aを充填することができる。これにより、第2封止層32の外部への露出面積を最小限に抑えた上記構成の表示装置1bを得ることができる。
【0045】
尚、以上説明した第1実施形態および第2実施形態においては、有機電界発光素子を用いた表示装置1a,1bに本発明を適用した構成を説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されることはなく、特に有機材料からなる素子(例えば有機薄膜トランジスタ)を設けた装置であれば、この素子の水分や酸素による劣化を防止する効果を得ることができるため、有効である。さらに、表示装置以外であっても、有機材料からなる素子(例えば有機薄膜トランジスタ)を設けた装置であれば、この素子の劣化を防止する効果を得ることができる。
【0046】
≪3.第3実施形態≫
図4〜8には、以上説明した本発明に係る表示装置を表示パネルとして用いた電子機器の一例を示す。本発明の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、さらに電子機器内で生成した映像信号を表示するあらゆる分野の電子機器における表示部に適用することが可能である。以下に、本発明が適用される電子機器の一例について説明する。
【0047】
図4は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0048】
図5は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0049】
図6は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0050】
図7は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0051】
図8は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0052】
尚、上述した第3実施形態においては、本発明の電子機器の一例として、第1実施形態または第2実施形態で説明した表示装置を表示パネルとして用いた電子機器を説明した。しかしながら、本発明の電子機器は、第1実施例または第2実施形態の発光素子を、有機材料からなる他の素子(例えば有機薄膜トランジスタ)に置き換えたことで、この素子の水分や酸素による劣化を防止した素子パネルを有する電子機器にも適用される。このような電子機器であっても、同様に信頼性の向上を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1a,1b…表示装置、11…第1基板、13…発光素子、21…第2基板、25,27…無機保護膜、31…第1封止層、32…第2封止層、A…凸条周縁、d1…高さ(凸条周縁)、d2…高さ(第1封止層)、d3…間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面側に素子が配列された第1基板と、
前記第1基板の素子形成面と対向して配置され、前記素子を取り囲む領域に凹部を有する第2基板と、
前記凹部を充填し、かつ前記第1基板と前記第2基板との間からはみ出ることなく設けられた封止層と
を有する表示装置。
【請求項2】
前記素子を覆うように前記第1基板と前記第2基板との間に充填された充填層を有する
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記封止層は、前記充填層の周縁を囲むように設けられている
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2基板は、前記第1基板へ向けて立設すると共に前記封止層を囲むように設けられた凸部を有する
請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2基板の、前記第1基板の素子形成面と対向する対向面において前記第1基板へ向けて立設すると共に前記封止層を囲むように設けられた凸部を有する
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記素子を覆うように前記第1基板と前記第2基板との間に充填された充填層を有し、
前記封止層は、前記保護層の周縁と前記凸部との間に充填されている
請求項4または請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記封止層は、前記充填層の周縁から前記凸部に亘って毛細管現象によって前記第1基板と前記第2基板との間に充填されている
請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記凸部の高さは、前記充填層の高さよりも小さい
請求項6または請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1基板および前記第2基板は有機材料からなる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2基板の、前記第1基板の素子形成面と対向する対向面に保護膜が設けられている
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記保護膜は、無機材料からなる
請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2基板は、前記第1基板へ向けて立設すると共に前記封止層を囲むように設けられた凸部を有し、
前記第2基板の、前記第1基板の素子形成面と対向する対向面に保護膜が設けられており、
前記凹部は、前記保護膜の周縁と前記凸部との隙間である
請求項1記載の表示装置。
【請求項13】
前記素子を覆うように前記第1基板と前記第2基板との間に充填された充填層を有し、
前記凸部の高さは、前記充填層の高さよりも小さい
請求項12記載の表示装置。
【請求項14】
前記封止層は、前記充填層の周縁から前記凸部に亘って毛細管現象によって前記第1基板と前記第2基板との間に充填されている
請求項12または請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記素子は、有機電界発光素子である
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
第1基板と、前記第1基板の素子形成面と対向する側の、前記素子を取り囲む領域に凹部を有する第2基板とを対向配置する第1工程と、
前記凹部を充填し、かつ前記第1基板と前記第2基板との間からはみ出すことなく封止層を設ける第2工程と
を含む表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1基板上に配列された素子を覆うように充填層を形成する第3工程を含む
請求項16記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記封止層を、前記充填層の周縁を囲むように設ける
請求項17記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1工程を真空雰囲気内で行ったのち、大気開放することにより前記第2工程を行う
請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項20】
一主面側に素子が配列された第1基板と、前記第1基板の素子形成面と対向して配置され、前記素子を取り囲む領域に凹部を有する第2基板と、前記凹部を充填し、かつ前記第1基板と前記第2基板との間からはみ出ることなく設けられた封止層とを有する表示装置と、
前記素子と接続された薄膜トランジスタを有する駆動回路と
を備えた電子機器。
【請求項21】
前記素子を覆うように前記第1基板と前記第2基板との間に充填された充填層を有する
請求項20記載の電子機器。
【請求項22】
前記封止層は、前記充填層の周縁を囲むように設けられている
請求項21記載の電子機器。
【請求項23】
前記第2基板は、前記第1基板へ向けて立設すると共に前記封止層を囲むように設けられた凸部を有する
請求項20記載の電子機器。
【請求項24】
前記第2基板の、前記第1基板の素子形成面と対向する対向面において前記第1基板へ向けて立設すると共に前記封止層を囲むように設けられた凸部を有する
請求項20記載の電子機器。
【請求項25】
前記素子を覆うように前記第1基板と前記第2基板との間に充填された充填層を有し、
前記封止層は、前記保護層の周縁と前記凸部との間に充填されている
請求項23または請求項24に記載の電子機器。
【請求項26】
前記封止層は、前記充填層の周縁から前記凸部に亘って毛細管現象によって前記第1基板と前記第2基板との間に充填されている
請求項25記載の電子機器。
【請求項27】
前記凸部の高さは、前記充填層の高さよりも小さい
請求項25または請求項26に記載の電子機器。
【請求項28】
前記第1基板および前記第2基板は有機材料からなる
請求項20から請求項27のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項29】
前記第2基板の、前記第1基板の素子形成面と対向する対向面に保護膜が設けられている
請求項20から請求項28のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項30】
前記保護膜は、無機材料からなる
請求項29記載の電子機器。
【請求項31】
前記第2基板は、前記第1基板へ向けて立設すると共に前記封止層を囲むように設けられた凸部を有し、
前記第2基板の、前記第1基板の素子形成面と対向する対向面に保護膜が設けられており、
前記凹部は、前記保護膜の周縁と前記凸部との隙間である
請求項20記載の電子機器。
【請求項32】
前記素子を覆うように前記第1基板と前記第2基板との間に充填された充填層を有し、
前記凸部の高さは、前記充填層の高さよりも小さい
請求項31記載の電子機器。
【請求項33】
前記封止層は、前記充填層の周縁から前記凸部に亘って毛細管現象によって前記第1基板と前記第2基板との間に充填されている
請求項31または請求項32に記載の電子機器。
【請求項34】
前記素子は、有機電界発光素子である
請求項20から請求項33のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−48115(P2013−48115A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−263996(P2012−263996)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2009−125944(P2009−125944)の分割
【原出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】