説明

表示装置、電子機器、及び表示装置用製造方法

【課題】本発明は、指のタッチ位置を正確に検出でき低コストな表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置(1)は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子(2)を形成し表示を行い、第2の基板(19)側にて通電インピーダンス面を形成し接触体の接触位置を検出する。表示装置(1)は、第1の基板(10)側に形成され通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部(30)と、リニアライゼイションパターン部(30)と第2の基板の通電インピーダンス面とを電気接続する導電部材(34)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、液晶表示装置、電子機器、及び表示装置用製造方法に関し、より詳細には、指やペンのタッチ位置を検出することが可能なタッチセンサを備えた表示装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサは、指やペンなどのタッチ位置を検出する装置であり、通常、液晶表示装置(LCD)やプラズマ表示装置(PDP)等の表示装置と組み合わせて用いられる。
表示装置の画面上のボタンなど所定の位置を指やペン等の接触体でタッチすると発生するタッチセンサの出力信号を計算機に入力し、計算機によって機器を制御したり、表示装置の表示内容を制御したりすることにより、マンマシン・インターフェイスとして計算機のキーボード、マウス等とともに、利用されている。タッチパネルは現在、携帯情報端末、券売機、現金自動預け払い機(ATM)、カーナビゲーション、コピー機などにおいて実用化されている。
【0003】
タッチセンサの方式として、アナログ容量結合方式、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、電磁誘導方式が知られている。このうちアナログ容量結合方式は、更に、Projected Capacitive型とSurface Capacitive型とに分類される。
Surface Capacitive型のタッチセンサは、透明基板とその上に形成された、均一な透明導電膜とその上に形成された薄い絶縁膜とで構成される。
【0004】
駆動する際は、この透明導電膜の4隅から交流電圧を印加する。指でタッチセンサを触れると、タッチ面表面と指とによって形成される容量によって、指に微小電流が流れる。この電流はそれぞれの隅からタッチした点へ流れる。
コントローラがそれぞれの電流の比を求め、タッチ位置の座標を計算する。Surface Capacitive型のタッチセンサに関する技術については、特許文献1に基本装置が開示されている。
【0005】
但し、透明導電膜に四隅から交流電圧を印加しただけでは、透明導電膜上に分布している電界曲線が湾曲し、不均一であり、指やペンなどのタッチ位置を正確に検出できないという課題がある。この課題を解決する技術が特許文献1、2に開示されている。
【0006】
上記文献では、透明導電膜の外周部に設けられたリニアライゼイションパターンについて記載されており、外周部の各辺にあるリニアライゼイションパターンから、対向する辺に向けて電界が延び、その電界強度が外周部の各辺に対して垂直な方向に一定となる。すなわち、透明導電膜上の電位分布について、外周部の各辺に対して平行な等電位線が形成され、その等電位線の間隔が均一となる。このために、透明導電膜上の電位分布と対応する指の接触位置との関係を簡素化できる。
【0007】
特許文献1では、シルクスクリーニング印刷により抵抗性表面(以下、通電インピーダンス表面という)に導電性セグメントを重畳する構成が開示されている(特許文献1の第5頁左下欄第7行目〜第12行目、及び特許文献1の第5図)。
さらに、導電性セグメントを幾何学形状に配置し、セグメント間の抵抗網を表す同時線型方程式の系を反復修正することによって最適な幾何学形状とする例が開示されている(特許文献1の第5頁左下欄第13行目〜第18行目、及び特許文献1の第6図)。
これにより、通電インピーダンス表面では、平面上のあらゆる点において電流密度の大きさ及び方向が同じであるため、発生する電界が線型の抵抗性表面となる。
【0008】
また、特許文献2では、電界曲線を均一にするリニアライゼイションパターンが、対向基板側の位置検出導電膜のへりに沿って設けられている例が開示されている(特許文献2の段落番号0017、特許文献2の図5)。さらに、特許文献2では、対向基板上に位置検出導電膜の層を形成し、その位置検出導電膜の層上にさらにリニアライゼイションパターンの層を形成している(特許文献2の図7)。
【0009】
また一方、アナログ容量結合方式の最新技術動向が非特許文献1に開示されている。関連技術のアナログ容量結合方式のタッチセンサでは、透明基板に形成されたSurface Capacitive型のタッチセンサと、表示装置とを重ね合わせて使用していた。
【0010】
しかしながら、このような構成では、表示面上にさらにタッチセンサが存在することにより、装置自体の厚みが増す、コストがかかる、表示品位が損なわれるといった課題があった。そこで、これら課題を解決する技術が特許文献3、4に開示されている。
【0011】
特許文献3では、液晶に電圧を印加する対向電極面の四隅に電流検出器を取り付け、四隅に流れる電流に基づきタッチ部の位置座標を計算する装置が開示されている。
【0012】
特許文献4では、透明導電膜に対して表示用の電圧または電流を供給する液晶表示回路と、透明導電膜の複数の箇所から流れる電流を検出する位置検出回路と、これら回路のいずれか一方を対向電極と電気的に導通させるスイッチング回路と、を備えた装置が開示されている。
【0013】
さらに、特許文献4では、対向電極を位置検出用導電膜(透明導電膜)として機能させ(特許文献4の0030)、位置検出用導電膜の4隅に電圧印加される位置検出用の電極を形成する例、さらに、対向電極の周辺に亘って位置検出用の複数の電極を形成する例が開示されている。
【0014】
特許文献3、4によると、共通電極、あるいは透明導電膜が、Surface Capacitive型のタッチセンサの透明導電膜の役割を果たすとされ、Surface Capacitive型のタッチセンサを表示装置に別途付加する必要がないため、装置自体の厚みが増す、コストがかかる、表示品位が損なわれるといった課題が解決されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特公昭56−500230号公報
【特許文献2】特許第3121592号公報
【特許文献3】特開2003−99192号公報
【特許文献4】特開2003−66417号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】三谷雄二監修、「タッチパネルの技術と開発」、シーエムシー出版、2004年12月1日、p.54−64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前述の特許文献3、4で開示された表示装置においては、次のような課題がある。
【0018】
すなわち、特許文献3、4には、装置自体の厚みが増す、コストがかかるといった課題を解決するために、位置検出用の透明導電膜として対向電極を利用するとされているが、対向電極上へのリニアライゼイションパターンの形成方法ついて何ら記載が無い。
このため、特許文献3、4で開示された表示装置は、軽量、小型、薄型化に適すると共に、指やペンなどのタッチ位置を正確に検出するといった課題を同時に解決するものではない。
【0019】
一方で、リニアライゼイションパターンの関連技術の形成方法は、特許文献2などに記載があるように、導電性ペーストのスクリーン印刷などであるが、そのためにはリニアライゼイションパターンを形成するための工程を付加することを必要とし、スクリーン印刷などの特別な製造装置を必要としていた。
【0020】
さらに、リニアライゼイションパターンの導電性ペーストは、一般的に銀などの貴金属の微粉末からなるので、これらの高価な材料を必要としていた。
【0021】
これらの結果、対向電極上にリニアライゼイションパターンを形成するために、特許文献3、4の技術と特許文献2の技術とを単に組み合わせただけでは、表示装置の製造コストを増大させるという課題があった。
【0022】
本発明は、上記した技術の課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、タッチ位置を正確に検出可能としながらも、小型、薄型で、かつ低コストで構成可能な表示装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の表示装置は、第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を封止手段により形成して画像の表示を行う表示装置において、通電インピーダンス面を形成し、接触体による接触点で流れる電流値を複数箇所で計測し、接触位置を検出する第2の基板と、前記通電インピーダンス面に対向し、リニアライゼイションパターン部及び前記表示素子の制御部並びに配線を形成した第1の基板と、前記リニアライゼイションパターン部と前記通電インピーダンス面とを電気的に接続する導電部材と、を含むことを特徴としている。
【0024】
本発明の表示装置用製造方法は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能な表示装置用製造方法であって、前記第1の基板に、前記通電インピーダンス面の電界を線型化可能とし、かつ、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部を形成し、前記第1の基板に画素電極を形成する工程、又は、前記第1の基板に配線を形成する工程とを同時に行う第1の工程と、前記第2の基板に、前記通電インピーダンス面として機能する対向電極を形成する第2の工程と、前記リニアライゼイションパターン部と前記対向電極との間に導電部材を形成する第3の工程と、を含むことを特徴としている。
【0025】
本発明の表示装置に用いられる表示装置基板用製造方法は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能な表示装置を構成する前記第1の基板として用いられる表示装置基板用製造方法であって、前記第1の基板に、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部を形成する第1の工程を有し、前記第1の工程は、前記第1の基板に画素電極を形成する工程、または、前記第1の基板に配線を形成する工程と同時に行うことを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、第1の基板側にリニアライゼイションパターン部を形成することで、第2の基板にリニアライゼイションパターン部の形成が不要となり、特別な製造装置・資源を必要としないので、表示装置の製造コストの低減を図りながらも、接触体による接触位置を正確に検出可能で、リニアライゼイションパターン部の占有面積が小さくなり、軽量化、小型化、薄型化に適するという、他の関連技術にない優れた表示装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図3】図2に示すI−I´部分の部分断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る透明導電膜の外周四辺に均一な電圧を供給できるリニアライゼイションパターン部の一例を示す平面模式図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の概略構成の一例を模式的に示した断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の主な電極の電圧の様子の一例を模式的に示したタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図9】図8に示すII−II´部分の部分断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図11】図10に示すIII−III´部分の部分断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図13】図12に示す表示装置における対向電極の電位分布を示す斜視図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図15】図14に示す表示装置における電極の電圧の一例を示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の第7の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体との関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【図17】図16に示すIV−IV´部分の部分断面図である。
【図18】関連技術のリニアライゼイションパターン部が設けられたタッチパネルの一例を示す平面模式図である。
【図19】図18に示すV−V´部分の部分断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
(表示装置の全体構成)
先ず、本実施の形態の表示装置の具体的構成について、全体構成から説明し、続いて各部の詳細構成について説明することとする。図1は、本発明における第1実施の形態のタッチセンサ一体型の表示装置を模式的に示した全体の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置1は、液晶表示装置(LCD)であり、表示面上に於いて指やペンのタッチの有無やその位置座標を検出することが可能なタッチセンサを備えたものである。
表示装置1は、液晶表示装置の他、プラズマ表示装置(PDP)有機EL表示装置等の表示装置とすることもできる。
表示装置1は、表示装置基板10と、対向基板19と、偏光板(図示せず)と、を含んで構成される。
【0031】
表示装置基板10は、表示領域にて表示素子の一例である液晶2に電気信号を与えるための電極(図1では信号線(信号電極)4、走査線(走査電極)6、蓄積容量線(蓄積容量電極)8に相当)が形成された基板である。表示装置基板10の対向基板19側に相対する面には、表示領域に画素マトリクス部が形成されている。画素マトリクス部は、複数の信号線(図1では符号4)と、信号線と交差する複数の走査線(図1では符号6)と、走査線間に配された蓄積容量線(図1では符号8)と、夫々の交差部に対応して配置された画素回路とで構成される。
【0032】
画素回路は、画素スイッチTFTと、蓄積容量と、画素電極とを有する。画素スイッチTFT(スイッチング素子)では、ゲート電極にTFTのオンオフを制御するための走査線6が接続されており、ドレイン電極及びソース電極の一方に画素電極に信号を供給するための信号線4が接続されており、ドレイン電極及びソース電極の他方に蓄積容量及び画素電極が接続されている。蓄積容量は、対応する蓄積容量線8と接続されている。
【0033】
ここで、図1では概略的に走査線6、及び信号線4が2本の例を示しているが、画素回路は任意に設計すればよい。
【0034】
表示装置基板10における表示領域の外周部には、画素マトリクス部を駆動するための走査線駆動回路14、信号線駆動回路15、及び蓄積容量線駆動回路(図示せず)が配設されている。走査線駆動回路14は、走査線6を駆動するための回路である。
【0035】
信号線駆動回路15は、信号線4を駆動するための回路である。蓄積容量線駆動回路は、蓄積容量線8に電圧信号を与えるための回路であり、COM端子に接続されている。
ここで、これらの画素回路、走査線駆動回路14、信号線駆動回路15、及び蓄積容量線駆動回路などにより「表示素子の制御部」を構成することができる。また、信号線4、走査線6、蓄積容量線8などを単に「配線」(駆動用配線)と呼ぶこともできる。さらに、この駆動用配線と後述のタッチ位置検出用配線とを合わせて「配線」ということもできるし、いずれか一方を「配線」ということもできる。
【0036】
表示装置基板10の表示領域の外周部のさらに周辺領域には、リニアライゼイションパターン部30が設けられる。
ここで、リニアライゼイションパターン部の符号について定義する。図1中では、黒く塗りつぶされたパターン全てを総称してリニアライゼイションパターン部30とする。これらの中で、四隅近傍(隅部)に設けられ、配線部を構成する配線32(タッチ位置検出用配線)と接続している4つのリニアライゼイションパターン部を30a(第1のパターン部)とし、それ以外となる外周四辺(辺部)上に設けられたリニアライゼイションパターン部を30b(第2のパターン部)とする。
また、図2では、リニアライゼイションパターン部30b(第2のパターン部)は、さらに、外周側の長い外周側パターン30b−1と、内周側の短い内周側パターン30b−2とを含む。
さらに、リニアライゼイションパターン部30a(第1のパターン部)は、少なくとも2以上の隅部に形成されればよく、四隅に制限されないものである。
【0037】
表示装置基板10の四隅近傍に設けられたリニアライゼイションパターン部30aの夫々は、これらに接続されている配線32を介して、FPC38(Flexible Printed Circuits)の圧着端子(図示せず)に接続されている。
FPCの圧着端子は、FPC38を介して表示装置基板10の外部基板20(制御回路などを搭載可能な制御回路基板)と接続され、外部基板20の単極双投型のスイッチ21と電気的に接続されている。
【0038】
スイッチ21は、一方の接点に電流検出回路13を介して交流電圧源22が電気的に接続されており、他方の接点にCOM端子を介して蓄積容量線駆動回路と電気的に接続されている(図示せず)。
【0039】
電流検出回路13は、位置検出期間中に、透明導電膜12に流れる電流を検出する。電流検出回路13で検出された電流に係る信号は、図示されていない位置検出回路に向けて出力される。位置検出回路では、電流検出回路13の出力信号に基づいてガラス基板23上での指(接触体)24との接点位置を検出する。
【0040】
交流電圧源22は、対応する電流検出回路13、リニアラゼイションパターン部30aを介して透明導電膜12に交流電圧を供給する。
【0041】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係を示した平面模式図を示す。図3は、図2のI−I’線の部分断面図を示す。ここで、全ての図において、平面模式図は、対向基板(表示装置の正面)側から見た図とする。
【0042】
但し、図2の平面模式図は、対向基板を含まない。また、図3の部分断面図は、対向基板を含むものとする。また、図2以降の図において、リニアライゼイションパターン部30と表示装置の関係、及び本発明の実施の形態の特徴に注目して説明するために、リニアライゼイションパターン部30以外の構成については、特に示さない限り適宜省略する。
【0043】
図2の平面模式図、及び図3の部分断面図を参照すると、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12の間には導電部材の一例である異方性導電体34が形成されている。この異方性導電体34は、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と(通電インピーダンス面を構成する)透明導電膜12とを電気的に接続している。異方性導電体34のパターンは、表示装置基板10の外周領域に設けたリニアライゼイションパターン部30の全てを覆うように枠形状としている。
【0044】
ここで、異方性導電体34には、絶縁性の接着剤中にニッケルなどの金属で出来た粒子やプラスチックにニッケルや金などの金属をコーティングした微粒子が分散されている。この異方性導電体34を二つの基板の電極間に挟んで加熱・加圧し、異方性導電体34の金属粒子がそれぞれの電極間を電気的に接続する。これにより、上下の電極間の導通をとり、隣り合う電極間を絶縁し、上下の接着を同時に行うことができる。
【0045】
また、リニアライゼイションパターン部30は、図5と共に後述するが、画素電極5と同一の層によって形成されている。画素電極5は、図5に示すように、例えばAL(アルミニウム)42とこのAL(アルミニウム)42上に積層されたITO<Indium Tin Oxide>(透明導電膜)40とからなる「ITO40/AL42」積層を構成する。
同様に、リニアライゼイションパターン部30は、図3に示すように、例えばAL(アルミニウム)42とこのAL(アルミニウム)42上に積層されたITO(透明導電膜)40とからなる「ITO40/AL42」積層を構成する。
【0046】
ここで、リニアライゼイションパターン部30による透明導電膜の部分的な抵抗低減の作用について説明する。
一般的に、インピーダンス面を構成する透明導電膜の抵抗に比べて、リニアライゼイションパターン部30がある領域の抵抗は低い(図3に示す低抵抗部)。
これは、リニアライゼイションパターン部領域の抵抗は、透明導電膜の抵抗とリニアライゼイションパターン部の抵抗を並列した合成抵抗と見なせるので、リニアライゼイションパターン部の抵抗の大小によらず、透明導電膜の抵抗より低くなるということである。
【0047】
一方、対向基板19は、対向基板19のガラス基板23と、その液晶側の面に形成されたカラーフィルタ(図示せず)と、さらにカラーフィルタの液晶2側の面に形成された透明導電膜12とを有する。透明導電膜12は、ITO<Indium Tin Oxide>で形成された対向電極であって、これは通電インピーダンス面を構成する。
【0048】
また、ガラス基板23の表示装置基板10側の反対側の面には、偏光板(図示せず)が配置される。液晶2は、表示装置基板10と対向基板19の間に配された電気光学的応答をする表示素子の一例である。ここで、液晶2を封止手段例えばシールの一例であるシール剤36により封止している。
【0049】
リニアライゼイションパターン部30(30a、30b)は、インピーダンス面上の電界曲線の分布を均一にする。リニアライゼイションパターン部30は、種々のものが考案されており、図2などはその一例である。理想的なリニアライゼイションが実現できた場合の電界曲線の分布では、直線的な等電位線が均等な間隔で分布できる。
【0050】
ここで、図2に示す第1の実施の形態の構造と、特許文献2などに記載されている関連技術のリニアライゼイションパターン部が設けられたタッチパネルの構造とを比較する。
図18は、関連技術のリニアライゼイションパターン部が設けられたタッチセンサを有するタッチパネルの平面模式図を示す。図19は、図18のV−V´線の部分断面図を示す。
図18を参照すると、対向基板である石英基板80が、透明導電膜81によって覆われている。透明導電膜81上の外周部には、銀ペーストなどから成るリニアライゼイションパターン部82が形成されている。
【0051】
一方、図2の第1の実施の形態においては、表示装置基板形成工程の中で新たな工程を付加することなく、表示装置基板10上にリニアライゼイションパターン部30が形成されている。このリニアライゼイションパターン部30により、その役割を果たすので、透明導電膜12上にリニアライゼイションパターン部(図18の符号82)を形成する必要がない。
【0052】
このため、対向基板側にリニアライゼイションパターン部を形成することなく、対向基板側の通電インピーダンス面に、リニアライゼイションパターン部としての機能を反映させることができる。
また、リニアライゼイションパターン部の形状に対応させて、インピーダンス面の部分的な領域の抵抗を低減せしめることができる。あたかも、表示装置基板に形成されたリニアライゼイションパターン部が通電インピーダンス面に投影されたかのようなイメージで捉えられる。
さらに、対向基板側のリニアライゼイションパターン部を形成するための専用の領域が不要となる。
【0053】
ここで、図2では、リニアライゼイションパターン部30を簡略化した一例を示した。これに対し、図4に示す表示装置100のリニアライゼイションパターン部30a、30bでは、図2に示すパターンより複雑だが、透明導電膜12の外周四辺により均一な電圧を供給できる。
【0054】
具体的には、図4のリニアライゼイションパターン部30b(第2のパターン部)は、さらに、内周側の短い第1内周側パターン30b−4と、第1内周側パターン30b−4より長い第2内周側パターン30b−3と、第2内周側パターン30b−3より長い第3内周側パターン30b−2と、内周側から外周側へ向けて各パターンの一端側に沿って延在形成される特定の幾何形状を有する幾何形状パターン30b−1とを含む。リニアライゼイションパターン部30a(第1のパターン部)は、中央部に向かって長く延在形成される。
【0055】
以下の動作説明では、図4以外のリニアライゼイションパターン部30のパターンは、図2のように簡略した例を用いて説明する。
【0056】
(動作について)
次に、第1の実施の形態に係る表示装置の動作について図1および図6を用いて説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の主な電極の電圧の様子を模式的に示したタイミングチャートである。
ここで、図6中、Vcは、透明導電膜(図1の符号12)の電圧、Vgは、走査線(図1の符号6)の電圧、SWは、スイッチ(図1の符号21)の状態を決める制御信号の電圧を示す。また、図6では、Vgを概略的に走査線2本の例としたが、任意に設計すればよい。
【0057】
表示装置は、その駆動に関し、表示駆動期間と位置検出期間の2つの期間を有する。これら2つの期間は時間的に分割されている。表示駆動期間は、画素表示のために電圧を書き込むための期間である。位置検出期間は、指やペンの位置或いは指し示す動作の有無を検出するために、電流検出回路(図1の符号13)が電流を検出する期間である。
【0058】
位置検出期間は、垂直ブランキング期間を利用する。垂直ブランキング期間とは、走査線(図1の符号6)の走査が行われていない期間をいう。(ここで、図1を参照して説明をする。)また、表示駆動期間において、スイッチ21が配線32とCOM配線とを接続しているが、位置検出期間において、スイッチ21は電流検出回路13を含む交流電圧源22側に対して導通状態とされる。この状態は、図6のSW信号をB、すなわちハイレベルとすることによって実現される。
【0059】
このようなスイッチの状態、すなわち図1に示されているスイッチ21の状態において、配線32を介して交流電圧源22により生成される同相・同電位の交流電圧をリニアライゼイションパターン部30aに印加する。ここで、リニアライゼイションパターン部30は、異方性導電体34を介して、透明導電膜12と電気的に接続されている。
【0060】
リニアライゼイションパターン部30aによって、電気的に接続した透明導電膜12の四隅近傍の領域に交流電圧源22の交流電圧が印加される。ここで、透明導電膜12の電圧は、図6の位置検出期間中のVcで示される。
【0061】
このように、透明導電膜12の四隅近傍から交流電圧が均一に供給されるが、接触体の一例である指24でLCDの表面をタッチすると、指24とタッチ部に対応する透明導電膜12の間に容量25が形成される。このとき、指24を介して人間の電位が接地されているので、指24と交流電源22との間に電位差が生じ、容量25を介してタッチ部から四隅近傍まで透明導電膜12を伝って、電流が流れる。
【0062】
一方、リニアライゼイションパターン部30bの夫々は、表示装置基板10上において孤立しているが、異方性導電体34と接触しており、異方性導電体34を介して透明導電膜12と電気的に接続している。
【0063】
リニアライゼイションパターン部30bは、対応する透明導電膜12の領域部分の抵抗を低減している。従って、指24でLCDの表面をタッチしたときの容量結合で、タッチ部に対応する透明導電膜12の領域の電位が下がっても、透明導電膜12の外周領域を同電位に保つことができる。
【0064】
ここで、透明導電膜12の四隅近傍の交流電圧源22に対して、外周領域において電圧降下が生じるが、透明導電膜12の四隅近傍から外周領域の任意の点までの抵抗をリニアライゼイションパターン部30bなどで調整することにより、外周領域の任意の点で電圧降下を揃えている。
【0065】
四隅近傍の領域から隣接する辺の任意の点までの抵抗の調節は、リニアライゼイションパターン部30bが設けられた低抵抗領域とリニアライゼイションパターン部30bが設けられていない高抵抗領域を組み合わせることにより行われている。
【0066】
このとき、4つの電流検出回路13によって検出される電流Ia〜Idに対応した信号を演算することにより、指24のタッチ有無、及びその位置座標(x、y)が検出される。
【0067】
演算の一例は、以下に示す数式1、数式2のようになる。

x=(Ic+Id)/(Ia+Ib+Ic+Id)k+k ・・・・(数1)

y=(Ib+Ic)/(Ia+Ib+Ic+Id)k+k ・・・(数2)

【0068】
ここで、xは、タッチ位置のX座標である。yは、タッチ位置のY座標である。kおよびkは、定数である。また、IaからIdは、4つの電流検出回路13で検出される電流である。
【0069】
上述の通り、位置検出期間において透明導電膜12は、静電容量式タッチセンサの透明導電膜の役割を果たす。
【0070】
(製造方法について)
次に、上述のような構成を有する表示装置の製造方法(表示装置用製造方法)としての各種の処理手順について、図5を参照しつつ説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態による表示装置の製造方法を説明するために、表示装置の一例を模式的に示した断面図である。ここで、図5では、ブラックマトリックス58、オーバーコート層54を記載したが、図5以外の図ではこれらの層を省略した。
【0071】
本実施の形態に係る表示装置用製造方法は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能なものを対象とするものである。
【0072】
この表示装置用製造方法は、基本的構成として、前記第1の基板に、前記通電インピーダンス面の電界を線型化可能とし、かつ、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部を形成する第1の工程と、前記第2の基板に、前記通電インピーダンス面として機能する対向電極を形成する第2の工程と、前記リニアライゼイションパターン部と前記対向電極との間に導電部材を形成する第3の工程と、を含むことができる。
ここで、通電インピーダンス面は、透明導電膜に四隅近傍から電圧を印加すると透明導電膜上に電界曲線分布(電位分布)が形成される面であり、接触体のタッチ時に電流が流れる面である。
さらに、電界の線型化とは、透明導電膜上の電位分布について、外周部の各辺に対して平行な等電位線を形成し、その等電位線の間隔が均一となるようにすること(電界の線型性、直交性を維持)をいう。
このため、リニアライゼイションパターン部によって、通電インピーダンス面の電界の線形化が可能となる。
【0073】
また、前記第1の工程は、前記第1の基板に画素電極を形成する工程、または、前記第1の基板に配線を形成する工程と同時に行うことができる。
【0074】
さらに、前記第1の工程は、導電膜を成膜し、PRを行い、エッチングする一連の工程を含むことができる。
【0075】
より具体的に、表示装置基板10(第1の基板)の製造方法(第1の工程)について、低温ポリシリコンTFTを例にとって説明する。すなわち、表示装置基板10(第1の基板)は、TFT基板を構成することができる。
ここで、TFTの基本構造としては、ゲート電極がチャネルのポリシリコンより上にあるコプラナー型とし、導電型としては、チャネル電流のキャリアとして電子を用いるnチャネル型とした。
【0076】
図5を参照すると、表示装置基板10のガラス23(透明基板)がシリコン酸化膜46aで覆われており、その上にポリシリコン膜48が島状に形成される。
ここで、ドレイン領域49a及びソース領域49bとすべきポリシリコン膜の領域にリンなどのV族元素がドープされる。
また、チャネルの領域とソース・ドレインの領域との間に、ソース・ドレイン領域よりも少ない量のリンを注入したLDD(Lightly Doped Drain)を設けても良い(図示せず)。
なお、LDDの構造のTFTは、チャネルとドレインの境界に低濃度不純物領域を設け、チャネルからドレインにかけて不純物濃度の勾配を緩やかにすることで、ドレインの境界部での電界集中を緩和することができ、リーク電流抑制効果がある。
【0077】
島状のポリシリコン膜48は、シリコン酸化膜46bで覆われ、その上にゲート電極52が形成される。ここで、ポリシリコン膜48とゲート電極52に挟まれた領域のシリコン酸化膜46bは、ゲート絶縁膜となる。
また、このシリコン酸化膜46bにより蓄積容量を形成してもよい(図示せず)。ゲート電極52上は、シリコン酸化膜46cで覆われ、シリコン酸化膜46cにコンタクトホールを形成することにより、ゲート電極52、ドレイン領域49a及びソース領域49bが開口される。
【0078】
シリコン酸化膜46c上に、AL(アルミニウム)42をスパッタし、信号線(電極)、画素電極5、リニアライゼイションパターン部30とすべき領域にレジストマスク(図示せず)を残した後、AL(アルミニウム)42をドライエッチングし、パターニングする。
【0079】
AL(アルミニウム)42上に層間絶縁膜41を形成するが、この層間絶縁膜41は、窒化シリコン膜、アクリル膜の積層より成る。層間絶縁膜41にコンタクトホールを形成することで、信号線(電極)、画素電極5、リニアライゼイションパターン部30領域が開口される。最後に、ITO(透明導電膜)40をスパッタした後、ソース電極を構成するITO(透明導電膜)40と、リニアライゼイションパターン部30を構成するITO(透明導電膜)40の領域を残すように、ITO(透明導電膜)40をエッチングして、表示装置基板を完成させる。ここで、リニアライゼイションパターン部30は「ITO40/AL42」の積層から成る。
【0080】
このように、前記リニアライゼイションパターン部30(30a、30b)は、第1の基板(表示装置基板)上の画素又は周辺回路を構成する単層又は複数層の導電膜と同層の導電膜にて形成されるものである
【0081】
以上nチャネル型の場合について説明した。pチャネル型の場合は、nチャネルの場合のpとnを入れ替えればよい。また、nチャネル型とpチャネル型の両方を用いてもよい。
【0082】
走査線駆動回路14及び信号線駆動回路15は、n型TFTおよびp型TFTを用いて構成することができる。
【0083】
また、第1の実施の形態では、表示装置基板10を低温ポリシリコンTFTプロセスで作成したが、アモルファスシリコンTFTプロセスで作成してもよい。
更には、それ以外のTFTプロセス、例えば、マイクロクリスタルシリコンTFTプロセスや、酸化物TFTプロセス、有機TFTプロセス、支持基板上にシリコン薄膜を転写した後にTFTを形成するプロセス等で形成してもよい。
【0084】
また、ポリシリコンTFTプロセス、アモルファスシリコンTFTプロセス、バルクシリコンプロセス、SOIプロセス等を用いて回路を形成した後、これを他の基板に転写して表示装置基板10を形成してもよい。
【0085】
次に、対向基板19を構成するための方法(第2の工程)について説明する。
対向基板19のガラス23(透明基板)上に画素部として、カラーフィルタがマトリクス状に設けられる(図示せず)。画素部では、配線とその間隙、ブラックマトリクス58などのために、有効な開口部が限られている。カラーフィルタ及びブラックマトリックス58は、アクリルなどから成るオーバーコート層54で覆われており、オーバーコート層54上には透明導電膜12が形成される。さらに、透明導電膜12の上にポリイミドなどから成る配向膜が印刷される(図示せず)。
【0086】
次に、第3の工程を説明する。この工程では、前述の表示装置基板10と対向基板19とを重ね合わせてTFT−LCDパネルを形成する。また、表示装置基板10と対向基板19の間においては、図5の右側の画素TFT側では液晶2が充填される。
一方、図5の左側のリニアライゼイションパターン部30側においては、異方性導電体34が表示装置基板10のITO(透明導電膜)40と対向基板上の透明導電膜12との間で接触している。
【0087】
以上、背面からの面状のバックライト光をLCDで変調し画像を表示する透過型のLCDを例にとって説明したが、上述の表示装置基板10上に反射板となる金属電極を形成し、周囲光を表示に利用する反射型LCDとしてもよい。また、反射板に網点状に微細な穴を開け、透過・反射兼用とした半透過型LCDとしてもよい。
【0088】
第1の実施の形態では、ガラス基板23、表示装置基板10の基材をガラスとしているが、可撓性材料を用いてもよい。この場合、対向基板19には位置検出用の透明導電膜12が一体形成されるため、曲げに対して機械的歪が生じにくく、かつその位置検出性能は曲げによって劣化しない。
【0089】
(効果について)
以上のように本第1の実施の形態によれば、軽量、小型、薄型化に適すると共に、指のタッチ位置を正確に検出できるタッチセンサ一体型の表示装置で提供できる。
【0090】
また、本第1の実施の形態によれば、対向基板19にリニアライゼイションパターン部30を形成するための工程、及び特別の製造装置・資源を必要としない。これらの結果、表示装置の製造コストを下げることが出来る。
すなわち、表示装置基板に電極または配線を形成する何れかの工程と同時に、リニアライゼイションパターン部30を形成すれば、新たな工程を追加する必要が無い。さらに、表示装置基板に、電極または配線とリニアライゼイションパターン部を形成する工程が、導電膜の成膜と、PR(Photo Lithography)と、エッチングの一連の工程(以下、PR工程と略す)から構成すれば、表示画素等の形成と同一工程で形成できるため、別にリニアライゼイションパターン部を形成するために工程を変更する必要が無く、フォトマスク等のレイアウトにリニアライゼイションパターン部を追加するだけでよい。
【0091】
さらに、本第1の実施の形態によれば、スクリーン印刷などの方法と比べて、PR工程の方がパターンを高精細にできる。すなわち、表示装置基板にPR工程によりリニアライゼイションパターン部を形成することで、リニアライゼイションパターン部を高精細にできる。この結果、より細い線の採用も容易になるため、指やペンなどのタッチ位置の検出精度が向上すると共に、リニアライゼイションパターン部30の占有面積を小さくし、LCDを狭額縁化できる。
【0092】
さらにまた、第1の実施の形態によれば、リニアライゼイションパターン部30に、シート抵抗の低い材料を用いることによって、リニアライゼイションパターン部30の抵抗をより低くすることが出来る。特にAL(アルミニウム)もしくはAL(アルミニウム)の合金が好ましい。
【0093】
また、リニアライゼイションパターン部30が、画素電極5の層と同一の層で構成されることにより、リニアライゼイションパターン部30と異方性導電体34の接触抵抗を低減出来る。これは、異方性導電体34と画素電極5の信号線(電極)4と同一の層の間で、ITO(透明導電膜)40が接触しており、ITO(透明導電膜)40は、信号線(電極)4の材料と異方性導電体34との両方に相性が良く抵抗が少ないためである。
【0094】
実際に、リニアライゼイションパターン部30を画素電極5の層と同一の層で構成し、リニアライゼイションパターン部30を形成するITO(透明導電膜)40のパターンの夫々の面積を1mmとして設計したところ、異方性導電体34を介したITO(透明導電膜)40と透明導電膜12間の抵抗は1Ωと僅かであった。
【0095】
以上説明した通り、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と異方性導電体34との接触抵抗が低くなるため、透明導電膜12の特定の領域の抵抗を大幅に低減できるという効果がある。
【0096】
さらに、表示装置基板上のリニアライゼイションパターン部と導電インピーダンス面が異方性導電体を介して電気的に接続されることによって、リニアライゼイションパターン部の形状に対応させて、対向する導電インピーダンス面の部分的な領域の抵抗を低減せしめることができ、あたかも、表示装置基板に形成されたリニアライゼイションパターン部がインピーダンス面に投影されたかのようなイメージで捉えられる。
【0097】
ここで、本実施の形態の構成要件と本発明の構成との対応関係を述べると、本発明の表示装置は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子(例えば図1に示す符号2など)を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板(例えば図1に示す符号19など)側に形成した通電インピーダンス面に流れる電流値を複数箇所で検出し、接触体による接触位置を検出可能なものである。この表示装置は、前記第1の基板(例えば図1に示す符号10など)側に形成したリニアライゼイションパターン部(例えば図1に示す符号30a、30bからなる構成など)と、前記リニアライゼイションパターン部と前記通電インピーダンス面とを電気的に接続する導電部材(例えば図1に示す符号34など)とを含むものである。
また、表示装置は、第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を封止手段により形成して画像の表示を行うことができる。第2の基板は、通電インピーダンス面を形成し、接触体による接触点で流れる電流値を複数箇所で計測し、接触位置を検出することができる。第1の基板は、前記通電インピーダンス面に対向し、リニアライゼイションパターン部及び前記表示素子の制御部並びに配線を形成することができる。
【0098】
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について、図7に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図7は、本発明の第2の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【0099】
上述の第1の実施の形態では、異方性導電体とシ―ル剤とを別体にて構成としたが、本実施の形態では、異方性導電体がシ―ル剤としての機能を兼用する構成としている。すなわち、導電部材は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に介在され、前記表示素子を封止するシール剤である場合を示す。
【0100】
具体的には、本実施の形態の表示装置200は、図7に示すように、第1の実施の形態(図2)と同様に、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12とを異方性導電体34により電気的に接続しているが、図2との違いは、同一の異方性導電体34のパターンにより、表示装置基板10と対向基板19を接着し、電気的接続をとると同時に液晶材料2を封止する。
【0101】
ここで、異方性導電体34として、導電粒子を混入させたシール剤を用いるのが好ましく、シール剤としてはエポキシ樹脂、導電粒子としては金ボールなどが用いられる。また、シールによる基板重ね方法として、スクリーン印刷方式、ディスペンサ方式などにより、どちらかの基板のシール部分にシール剤を塗布しておき、基板を重ねあわせた時にこれらを接着する。その後、焼成し、シール剤を熱硬化させる。
【0102】
リニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12とを電気的に接続すると同時に、液晶2を封止する異方性導電体34の作用を説明する。
【0103】
第1の実施の形態(図2)は、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12とを電気的に接続する異方性導電体34と、液晶2を封止するシール剤36を別々のパターンとして設けているが、異方性導電体34のパターン、シール剤36が占有する面積が大きくなり、この結果、LCDの額縁領域が広くなるという新たな課題がある。
一方、図7においては、シール剤としての機能を有する異方性導電体34のパターンにより、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜(図示せず)とを電気接続すると共に、液晶2を封止することで、シール剤36のパターン(図2の符号36)を省略できるので、シール剤36の分の占有面積が減る。この結果、LCDを狭額縁化できるという効果がある。
【0104】
その他の構成およびその他のステップ(工程)ないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップ(工程)にて製造する製造方法に用いる製造装置における処理内容及び各部(回路)の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0105】
[第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる第3の実施の形態について、図8及び図9に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図8は、本発明の第3の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。図9は、図8のII−II´線の部分断面図である。
【0106】
本実施の形態では、導電部材の一例である導電体のレイアウトパターンを、リニアラゼイションパターンのレイアウトパターンに対応する構成としている。すなわち、導電部材は、複数に分割して形成された導電部材パターンを有し、前記導電部材パターンは、前記リニアライゼイションパターン部と同一のレイアウトパターンである場合を示す。
【0107】
具体的には、本実施の形態の表示装置300は、図8に示すように、第1の実施の形態(図2)と異なり、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12とを電気的に接続している導電体47のパターンのレイアウトが、リニアラゼイションパターン30の形状のレイアウトに対応した構成となっている。ここで、導電体47は、電気的に等方性であっても、異方性であってもよい。
【0108】
より詳細には、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30に対して、導電体47のパターン(導電体パターン)を同一のレイアウトにするため、導電体47のパターンは、複数に分割された導電体47の集合からなり、隣り合う導電体47が互いに電気的に接続されていない。このとき、液晶2は、シール剤36により封止される。
【0109】
また、導電体47のパターンは、リニアライゼイションパターン部30と同一のレイアウトとなっているため、図8に示す平面模式図では、符号30(30a、30b)と符号47とが重なっており、図9に示す部分断面図では、符号30(30a、30b)と符号47とが積層される構造となる。
【0110】
ここで、導電体47は、例えばポスト(柱状)スペーサなどにより形成することが好ましい。一般的にスペーサは、均一粒径の球体、あるいは均一直径の円柱体であり、表示部では対向基板19のブラックマトリックス上で、表示装置基板10と対向基板19の間の厚み(セルギャップ)を維持する役割を果たしている。
【0111】
ポストスペーサは、一般的に、ガラスあるいはプラスチックを材料とする絶縁体であるが、ここでは導電材料を用いることで、表示装置基板10と対向基板19との導通をとっている。
【0112】
次に、このようなリニアラゼイションパターン30の形状に対応させた導電体47のパターンによる作用について説明する。
【0113】
表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12とを導電体47により、電気的に接続することが出来るが、透明導電膜12の抵抗が低減される領域が、導電体47のパターンに依存する。
【0114】
このため、導電体47のパターンを第1の実施の形態(図2)のように、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30の全てを覆った単一のパターンで形成すると、導電体47が電気的に等方性である場合、膜面に水平な面にも電気的に接続され、透明導電膜12の抵抗が低減される領域が、図2の符号34のパターン通りになってしまう。
【0115】
そこで、導電体47のパターンをリニアラゼイションパターン30の形状に対応させることにより、隣り合う導電体47が互いに電気的に接続されることがない。このとき、導電体47が電気的に異方性である必要がなく、等方性であってもよい。
【0116】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、電気的に等方性である導電体47を用いても、透明導電膜12の所望の領域において、抵抗を低減できるという効果がある。導電体が電気的に異方性である必要がないので、導電体材料の選択の範囲が広がり、安価な材料を選択することが出来る。
【0117】
また、導電体47をポストスペーサに使用することにより、表示装置基板10と対向基板19のギャップを基板面内で均一に保つことを目的としてポストを形成する工程と、同一の工程により形成できる。この結果、新たな工程を追加する必要が無く、表示装置の製造コストを低減することができる。
【0118】
その他の構成およびその他のステップ(工程)ないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップ(工程)にて製造する製造方法に用いる製造装置における処理内容及び各部(回路)の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0119】
[第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる第4の実施の形態について、図10及び図11に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図10は、本発明の第4の実施の形態に係る表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示す平面模式図である。図11は、図10に示すIII−III´線の部分断面図である。
【0120】
本実施の形態では、表示装置基板の四隅近傍に孤立して設けられたリニアライゼイションパターン部を長く形成する構成としている。すなわち、前記リニアライゼイションパターン部は、前記第1の基板の隅部に形成され、位置検出用の電圧が供給される配線部に接続される第1のパターン部(30a)と、前記第1の基板の辺部に形成され、前記配線部と非接続の第2のパターン部(30b)と、を含み、前記第1のパターン部は、前記隅部から前記辺部側に向けて延在形成されるものである場合を示す。
【0121】
具体的には、本実施の形態の表示装置400は、図10に示すように、第2の実施の形態(図7)と同様に、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜12を異方性導電体34により電気的に接続し、同一の異方性導電体パターン34により液晶2を封止しているが、リニアライゼイションパターン部30のレイアウトが第2の実施の形態(図7)と異なる。
【0122】
より詳細には、表示装置基板10の四隅近傍に孤立して設けられたリニアライゼイションパターン部30aが、隣接する夫々の辺の中央に向かって延在形成される。すなわち、リニアライゼイションパターン部30a(第1のパターン部)は、前記隅部から前記辺部側に向けて延在形成し、前記延在する範囲は隅部から辺中央付近までとしている。
【0123】
ここで、リニアライゼイションパターン部30aには、配線32が接続されている。この配線32には、交流電圧源22に接続されている(図示せず)。
【0124】
また、図10に示すように、表示装置基板10上の外周領域の四辺上に、表示装置基板10上で複数に分割されたリニアライゼイションパターン部を設ける代わりに、絶縁層41でAl(アルミニウム)電極42と絶縁されたダミーパターン39を設けてもよい。
【0125】
ここで、リニアライゼイションパターン部30は異方性導電体34と接触しており、異方性導電体34を介して透明導電膜12と電気的に接続しているが、ダミーパターン39は絶縁層41によって覆われており、異方性導電体34と接触しておらず、透明導電膜12と電気的に接続していない。
【0126】
ダミーパターン39は、リニアライゼイションパターン部30と同じ層を用いるのが好ましい。
図10に示すように、表示装置基板10の四隅近傍から隣接する辺の中央に向けてリニアライゼイションパターン部30aが伸びており、辺の中央近傍ではリニアライゼイションパターン部30aが存在しない領域ができる。
【0127】
このため、リニアライゼイションパターン部30aがある領域と比べて、リニアライゼイションパターン部30aが無い領域では、リニアライゼイションパターン部30aの厚みによって表示装置基板10に凹部が生じ、表示装置基板10と対向基板19とのギャップが局所的に大きくなってしまう不具合がある。
【0128】
そこで、リニアライゼイションパターン部30aが存在しない領域にダミーパターン39を設けることによって、LCDのギャップの均一性を向上できるという効果がある。
【0129】
具体的には、画素電極(図5では符号5)などが用いられる。図11に示すように、ダミーパターン39は、AL(アルミニウム)42、絶縁層41(層間絶縁膜)、ITO(透明導電膜)40の層からなる。すなわち、第2のパターン部の一例であるダミーパターン39は、表示装置基板10上に形成する画素又は周辺回路を構成する複数層の導電膜と、前記複数の導電膜間に層間絶縁膜とを有することができる。ダミーパターン39を覆う絶縁層41には、窒化シリコン、アクリル等が用いられる。また、ダミーパターン39に対応する領域には絶縁層41にコンタクトホールを形成しない。
また、前記第2のパターン部は、省略可能となっている。
【0130】
次に、上述のように、表示装置基板10の四隅近傍に設けられ、隣接する辺の中央に向かって伸びるリニアライゼイションパターン部30aの動作を説明する。
【0131】
指やペンのタッチ位置を検出する位置検出期間中、透明導電膜12に流れる電流は、異方性導電体パターン34と、リニアライゼイションパターン部30aを介して、外部基板(図1では符号20)上の電流検出回路(図1では符号13)でこれらの電流を検出する。
【0132】
一方、表示駆動期間中は、リニアライゼイションパターン部30aに共通電圧を印加し、異方性導電体34を介して、透明導電膜12を共通電位に保持する。そして、液晶2に表示装置基板10側から信号線(電極)(図1では符号4)の電圧を印加し、対向基板19側から共通電圧を印加することにより、液晶2の光の透過率を変化させる。
【0133】
リニアライゼイションパターン部30aを隣接する夫々の辺の中央に向かって伸ばすことによって、透明導電膜12の外周四辺上の抵抗を低くする効果がある。
抵抗が低くなる領域は、リニアライゼイションパターン部30aを四隅近傍から隣接する辺の中央に向けて伸ばした範囲による。辺の中央付近まで伸ばしてもよく他のリニアライゼイションパターン部30aと接触しない範囲まで伸ばすことができる。
【0134】
以上のように本実施の形態によれば、前記実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、表示装置基板10の外周四辺上に複数に分割したリニアライゼイションパターン部30bを設けることと同様の効果がある。
【0135】
また、リニアライゼイションパターン部(図7では符号30b)は外周四辺上で2重になっているが、第4の実施の形態の構造(図10)では、リニアライゼイションパターン部30aは1重でよく占有面積が小さくなる。
この結果、LCDを狭額縁化できるという効果がある。
【0136】
その他の構成およびその他のステップ(工程)ないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップ(工程)にて製造する製造方法に用いる製造装置における処理内容及び各部(回路)の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0137】
[第5の実施の形態]
次に、本発明にかかる第5の実施の形態について、図12及び図13に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図12は、本発明の第5の実施の形態に係る表示装置の概略構成の一例を示す平面模式図である。図13は、透明導電膜の電位分布を示す斜視図である。
【0138】
本実施の形態では、タッチ位置の検出期間を、位置x(方向)と位置y(方向)とで分ける構成としている。
【0139】
具体的には、本実施の形態の表示装置500は、図12に示すように、前記第4の実施の形態(図10)と同様に、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜(対向電極)とを異方性導電体34により電気的に接続しているが、前記第4の実施の形態と異なり、指のタッチ位置26の検出期間中に、位置x(方向)と位置y(方向)とで、検出する期間を分ける制御を行う。
ここで、図12に示す回路部分では、指のx方向の位置検出期間中のスイッチング状況を示している。
【0140】
より詳細には、表示装置500は、指のタッチ位置26の検出期間中に、表示装置基板10の四隅近傍にあるリニアライゼイションパターン部30aと電流検出回路13とを電流検出方向切替スイッチ521により接続する。
【0141】
この際、表示装置500は、位置x(第1の方向であるx方向)を検出する期間中では、リニアライゼイションパターン部30a(左下<第1の電極部>、左上<第2の電極部>)を電流検出回路13a(第1の電流検出回路)に接続し、リニアライゼイションパターン部30a(右上<第4の電極部>、右下<第3の電極部>)を電流検出回路13b(第2の電流検出回路)に接続する。
【0142】
一方、表示装置500は、位置y(第2の方向であるy方向)を検出する期間中では、リニアライゼイションパターン部30a(左下、右下)を電流検出回路13aに接続し、リニアライゼイションパターン部30a(左上、右上)を電流検出回路13bに接続することを特徴とする。
【0143】
このときの接続の切り替えは電流検出方向切替スイッチ521を電流検出スイッチング制御回路(不図示)により制御することにより行う。この場合、電流検出方向切替スイッチ521、電流検出スイッチング制御回路(不図示)、電流検出回路13a(第1の電流検出回路)、電流検出回路13b(第2の電流検出回路)により「検出期間切替制御手段」を構成することができる。
この「検出期間切替制御手段」は、前記接触位置を検出する検出期間を、前記通電インピーダンス面の第1の方向の位置検出を行う第1の位置検出期間と、前記第1の方向と交差する第2の方向の位置検出を行う第2の位置検出期間とで区分して切替制御を行うことができる。
【0144】
また、図12は、第4の実施の形態のように、表示装置基板10の外周四辺上において、四隅近傍から隣接する夫々の辺の中央に向けて伸びるリニアライゼイションパターン部30aの場合を示しているが、第1の実施の形態のように、表示装置基板10の外周四辺上に、複数に分割されたリニアライゼイションパターン部30bを設けてもよい。
【0145】
また、図12は、表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部30と透明導電膜(対向電極)とを電気的に接続すると同時に、液晶2を封止する異方性導電体パターン34の場合を示しているが、役割ごとに別々に異方性導電体パターン34を形成してもよい。
【0146】
次に、指でタッチしたx方向の位置xを検出する場合を例にとって、本第5の実施の形態(図12)の作用を説明する。
【0147】
指でLCDの表面をタッチすると、タッチ部26に対応する透明導電膜(対向電極)の電位が下がるが、表示装置基板10の四隅近傍にあるリニアライゼイションパターン部30(左下、左上)を同一の電流検出回路13aに接続することによって、リニアライゼイションパターン部30a(左下、左上)を結ぶ辺の電位を均一に保つ作用がある。
【0148】
同様に、リニアライゼイションパターン部30a(右上、右下)を結ぶ辺の電位を均一に保つことができる。この結果、x方向にはタッチ位置26に対応する透明導電膜(対向電極)の領域を極小とする電位の勾配が生じるが、y方向については電位が均一になり、y方向に平行な等電位線を形成できる。
【0149】
以上のように本実施の形態によれば、前記実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、電位分布が一次元的になり、位置xを検出する期間において、位置yに関する情報を除去でき、位置xに関する検出精度が向上するという効果がある。
また、指でタッチした位置yを検出する場合も、同様に考えられる。
【0150】
さらに、前記第1の実施の形態(図1)で4つ必要だった電流検出回路13を2つに減らすことができるので、2つに減らした場合の図12において、電流検出回路13の製造コストを半減できるという効果がある。
【0151】
さらに、上述した第5の実施形態の表示装置は、以下のように構成することもできる。すなわち、前記リニアライゼイションパターン部の第1のパターン部(30a)は、前記第1の基板の4つの隅部に配置された第1〜第4の各電極部(左下、左上、右下、右上)を含む。この場合、前記検出期間切替制御手段は、前記第1の位置検出期間に、前記第1の方向の一端部側の前記第2の方向での電位を均一化して前記第1、第2の各電極部での電流を検出するとともに、前記第2の位置検出期間に、前記第2の方向の一端部側の前記第1の方向での電位を均一化して前記第1、第3の各電極部での電流を検出する第1の電流検出回路(13a)と、前記第1の位置検出期間に、前記第1の方向の他端部側の前記第2の方向での電位を均一化して前記第3、第4の各電極部での電流を検出するとともに、前記第1の位置検出期間に、前記第2の方向の他端部側の前記第1の方向での電位を均一化して前記第2、第4の各電極部での電流を検出する第2の電流検出回路(13b)と、前記第1〜第4の各電極部と、前記第1、第2の各電流検出回路との接続関係をスイッチング制御する電流検出スイッチング制御回路(不図示)を含むことができる。
【0152】
その他の構成およびその他のステップ(工程)ないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップ(工程)にて製造する製造方法に用いる製造装置における処理内容及び各部(回路)の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0153】
[第6の実施の形態]
次に、本発明にかかる第6の実施の形態について、図14に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図14は、本発明の第6の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す平面模式図である。
【0154】
本実施の形態では、表示領域外部から表示領域内部へ電気信号を伝えるための配線上にスイッチ素子を設けた構成としている。
【0155】
具体的には、本実施の形態の表示装置600は、図14に示すように、前記第5の実施の形態(図12)と異なり、表示領域外部の第2の回路部から表示領域内部の第1の回路部へ電気信号を伝えるための配線部上にハイインピーダンススイッチ部16(第1のハイインピーダンススイッチ)、ハイインピーダンススイッチ部17(第2のハイインピーダンススイッチ)、ハイインピーダンススイッチ部18(第3のハイインピーダンススイッチ)を設けている。
【0156】
ここで、表示領域外部の第2の回路部は、表示領域内部の第1の回路部と同一基板上に形成されていても、外部基板上にあってもよい。
表示領域外部の第2の回路部が表示領域内部の第1の回路部と同一基板上に設けられる場合、表示領域外部と外部基板とを結ぶ配線部上にハイインピーダンススイッチ部16、17、18を設けられることが好ましい。
具体的には、ハイインピーダンススイッチ部16、17、18が設けられる配線部は、信号線4、走査線6、容量線8、電源線(図示せず)の少なくとも1つであることが好ましい。
【0157】
また、ハイインピーダンススイッチ部を制御するハイインピーダンススイッチング制御回路を備え、該ハイインピーダンススイッチング制御回路は、電流検出回路13が電流を検出する期間に、表示領域外部から表示領域内部へ電気信号を伝えるための電極の少なくとも1つをハイインピーダンスに制御することが好ましい。
【0158】
ここで、ハイインピーダンススイッチ部16、17、18とハイインピーダンススイッチング制御回路とにより、「インピーダンス制御手段」を構成することができる。この「インピーダンス制御手段」は、表示装置基板上に形成されてもよいし、別体の制御回路基板に形成されてもよい。
【0159】
この「インピーダンス制御手段」は、接触位置を検出する検出期間中に、第1の基板の表示領域内の第1の回路部を、前記表示領域外の第2の回路部に対して電気的にハイインピーダンスとすることができる。さらに、「インピーダンス制御手段」は、前記第1の回路部と前記第2の回路部とを非導通とするができる。また、この「インピーダンス制御手段」は、前記第1の回路と前記第2の回路とを接続する配線部に形成されるハイインピーダンススイッチ部と、前記ハイインピーダンススイッチ部をオンオフ制御するハイインピーダンス制御回路と、を含むことができる。
【0160】
次に、ハイインピーダンススイッチ部の動作について説明する。
表示領域の外周部には、画素マトリクス部内の回路と、表示領域の外周部の回路とを電気的にハイインピーダンスとすることを可能にするために、走査線6の信号パスにはそれぞれハイインピーダンススイッチ部16が設けられており、信号線4の信号パスにはそれぞれハイインピーダンススイッチ部17が設けられており、蓄積容量線8の信号パスにはそれぞれハイインピーダンススイッチ部18が設けられている。
【0161】
ハイインピーダンススイッチ部16、17、18は、図示されていないハイインピーダンススイッチング制御回路によってスイッチング制御される。これにより、表示領域の外部から内部へ電気信号を伝えるための走査線6や信号線4をハイインピーダンスにすることが可能となる。
【0162】
位置検出期間は、垂直ブランキング期間を利用するが、位置検出期間において、ハイインピーダンススイッチ部16、ハイインピーダンススイッチ部17、ハイインピーダンススイッチ部18は、図14のように全てオフ状態とされ、信号線4、走査線6、蓄積容量線8は表示領域の外部の配線(走査線駆動回路14、信号線駆動回路15、及びCOM端子に接続されている配線)に対してハイインピーダンスとされる。
【0163】
また、位置検出期間において、電流方向検出用スイッチ521は、電流検出回路13を含む交流電圧源22側に対して導通状態とされる。図14に示すスイッチの状態において、交流電圧源22により生成される同相の交流電圧を表示装置基板10の四隅近傍にあるリニアライゼイションパターン部30aに印加する。
【0164】
表示装置基板10上の四隅近傍にあるリニアライゼイションパターン部30aは透明導電膜と異方性導電体34により電気的に接続しているので、透明導電膜の四隅近傍に交流電圧が印加される。
【0165】
また、図14は、表示装置基板10の外周四辺上において、四隅近傍から隣接する夫々の辺の中央に向けて伸びるリニアライゼイションパターン部30aの場合を示しているが、表示装置基板10の外周四辺上に、複数に分割されたリニアライゼイション30bを設けてもよい。
【0166】
図15に、本発明の第6の実施の形態に係る表示装置の電極の電圧を示すタイミングチャートを示す。透明導電膜の電圧は、図15のVcで示した。
図15の電圧のタイミングチャートを参照すると、各走査線6は、ハイインピーダンスであり、かつ、透明導電膜と容量結合しているため、透明導電膜の電圧振幅と同振幅で走査線6の電圧Vgが変動する。
【0167】
以上のように本第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、位置検出期間において、画素マトリクス内部の回路が外部の回路に対してハイインピーダンスとされるため、透明導電膜に交流電圧を印加する際に、透明導電膜12から見た寄生容量が極めて小さくなる。具体的には、関連技術は寄生容量が例えば15nFであるのに対して、本第6の実施の形態を用いると、寄生容量が例えば100pFまで小さくなる。
この結果、電流検出回路13から出力される信号のS/N比が、関連技術では例えば4×10−4であるのに対して、本第6の実施の形態を用いると、例えば6×10−2と150倍になる。
【0168】
また、トランジスタのゲート電圧、及びソース電圧が共に透明導電膜の電圧振幅と同振幅で電圧が変化するために、ゲート電圧とソース電圧の相対的な差は一定となり、トランジスタのVgsは変動しない。この結果、位置検出期間の駆動による画質劣化への影響を最小限にするといった格別な効果が得られる。
【0169】
ここで、表示領域11の内部と外部とを電気的にハイインピーダンスとするハイインピーダンススイッチ部16、17、18としてn型TFTを用いているが、このハイインピーダンススイッチ部はp型のTFTでもよいし、n型とp型とを組み合わせたトランスファーゲートでもよい。
【0170】
その他の構成およびその他のステップ(工程)ないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップ(工程)にて製造する製造方法に用いる製造装置における処理内容及び各部(回路)の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0171】
[第7の実施の形態]
次に、本発明にかかる第7の実施の形態について、図16及び図17に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図16は、本発明の第7の実施の形態による表示装置におけるリニアライゼイションパターン部と異方性導電体の関係の概略構成の一例を示した平面模式図である。図17は、図16に示すIV−IV´線の部分断面図である。
【0172】
上述の第1の実施の形態では、液晶表示装置による構成例を示したが、本実施の形態では、マイクロカプセル型電気泳動素子を利用した電気泳動型表示装置による構成例を示している。
【0173】
具体的には、本実施の形態の表示装置700は、図16及び図17に示すように、マイクロカプセル型電気泳動素子を利用した電気泳動型表示装置(以下、EPD:Electrophoretic Display)であり、モノクロEPDアクティブマトリクスディスプレイである。表示装置700は、対向基板19と、EPDフィルム102と、表示装置基板10とを有する。
【0174】
対向基板19は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の透明なプラスティック基板23の内面側に、透明導電膜からなる対向電極12が形成されている。なお、対向基板19は、プラスティック基板23の代わりにガラス基板を用いたものでもよい。
【0175】
図17に示すように、EPDフィルム102は、フィルム状の電気泳動表示装置であり、マイクロカプセル113と、バインダとからなる。マイクロカプセル113は、EPDフィルム102の内部に敷きつめられており、約40μmの大きさである。マイクロカプセル113の内部には、イソプロピルアルコール(IPA)等からなる溶媒115が封入されているとともに、溶媒115中にそれぞれナノレベルの大きさの、酸化チタン系の白色顔料である白粒子116と、カーボン系の黒色顔料である黒粒子117とが分散されて浮遊している。白粒子116はマイナス(−)の帯電極性を有し、黒粒子117はプラス(+)の帯電極性を有している。バインダは、マイクロカプセル113間に結合のために充填されたポリマーからなる。
【0176】
表示装置基板10は、ガラス基板23上にTFTが形成された構成となっている。TFTは、ゲートGがソースS及びドレインDよりもガラス基板23側に配された逆スタガ型となっている。
【0177】
TFTは、ガラス基板23上にゲートGが形成され、ゲートG上にゲート絶縁膜となる絶縁膜72が形成され、絶縁膜72上にチャネル材料73が形成され、チャネル材料73の両外側にソースS、ドレインDが形成され、チャネル材料73、ソースS、及びドレインDを含む絶縁膜72上に絶縁膜74が形成され、絶縁膜74上に画素電極5が形成され、画素電極5がソースSとビア接続されている。
【0178】
図16においては、各TFTのゲートGが対応する走査線(図示せず)と電気的に接続されており、各TFTのドレインDが対応する信号線(図示せず)と電気的に接続されている。
【0179】
ゲートGに電圧が印加されることで、ドレインDに印加された+電圧がチャネル材料73とソースSを通じて対応する画素電極5に供給される。画素電極5に+電圧が供給された場合、対応するマイクロカプセル113中の白粒子116が画素電極5側に引き寄せられるとともに、対向電極12に相対的にマイクロカプセル113中の黒粒子117が引き寄せられる。
【0180】
一方、画素電極5に−電圧が供給された場合、対応するマイクロカプセル113中の黒粒子117が画素電極5側に引き寄せられるとともに、対向電極12に相対的にマイクロカプセル113中の白粒子116が引き寄せられる。このように、図16に示す表示装置では、画素電極5に+電圧を与えるか、−電圧を与えるかによって、対向電極12側に白黒の画像表示を行うことができる。
【0181】
第7の実施の形態においても、表示装置基板10に形成されたリニアライゼイションパターン部30は異方性導電体34によって覆われており、異方性導電体34は透明導電膜12とも接触している。表示装置基板10上のリニアライゼイションパターン部34と透明導電膜12とを異方性導電体34により電気的に接続することにより、表示装置基板10と透明導電膜12との導通、及び透明導電膜12の特定の領域の抵抗を低減している。
【0182】
また、図16では、表示装置基板10の外周四辺上において、四隅近傍から隣接する夫々の辺の中央に向けて伸びるリニアライゼイションパターン部30aの場合を示しているが、表示装置基板10の外周四辺上に、複数に分割されたリニアライゼイション30bを設けてもよい。
【0183】
また、表示装置基板10の電極には単極双投スイッチが接続され、スイッチの一方の接点には電流検出回路と交流電圧源が直列に接続され、他方の接点には対向電極駆動回路が接続されるCOM端子が接続されている(図示せず)。
【0184】
ここで、第7の実施の形態においても、第6の実施の形態(図14)と同様に、信号線を駆動するための信号線駆動回路、および走査線を駆動するための走査線駆動回路が、表示領域外部に備えられており、走査線と走査線駆動回路の信号パス上、および信号線と信号線駆動回路の信号パス上には、スイッチが設けられており、表示領域の外部から内部へ電気信号を伝えるためのこれら配線がハイインピーダンスとなるように構成されてもよい。
【0185】
また、第7の実施の形態に係る表示装置も、第1の実施の形態と同様、その駆動に関し、画素に表示のための電圧を書き込むための表示駆動期間と、指の位置座標或いは指し示す動作の有無を検出するために、電流検出回路が電流を検出する位置検出期間との2つの期間を有する。これら2つの期間は時間的に分割されている。
【0186】
以上のように本第7の実施の形態によれば、前記実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、EPDは表示のための電圧を書き込んだ後、その表示を長時間保持する特性を有するので、LCDの場合と比較して位置検出期間の割合を多く割くことが可能となる。
【0187】
また、表示装置基板10を薄くする、あるいは、画素回路を可撓性基板に転写することで、可撓性を有し、かつ、タッチセンサ機能を有する表示装置を実現することができる。
【0188】
その他の構成およびその他のステップ(工程)ないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。
【0189】
[その他の各種変形例]
また、本発明にかかる装置及び方法は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。
【0190】
例えば、上述の各実施の形態では、液晶表示装置および電気泳動型表示装置について説明したが、他の方式、例えば、帯電粒子、エレクトロクロミック材料、エレクトロルミネセンス材料(EL材料)、ガス、半導体、蛍光体を利用した表示装置に適用できることは無論である。
【0191】
また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。すなわち、上記実施の形態では、リニアライゼイションパターン部のうち、ダミーパターンが6×4個の場合を示したが、本発明は、これらの個数を制限するものではない。
【0192】
さらに、リニアライゼイションパターン部は、図示された幾何学形状に制限されるものではない。例えば、より複雑かつ精緻な形状として、検出精度の向上を図ることも可能である。
【0193】
ここで、上述した各実施形態に係る表示装置は、各種の電子機器の表示部として用いることができる。電子機器の例としては、放送受信装置などのテレビ、コンピュータなどの各種情報処理装置や、各種機器のリモコン、各種情報通信機能を搭載した家電機器、ゲーム機器、携帯音楽プレーヤ、各種記録装置、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、POS端末、各種モバイル端末、PDA、携帯電話機、ウエアラブル情報端末、PND、PMPなどのポータブル機器、パチンコなどの遊戯機などに搭載されるディスプレイ装置、など各種の電気製品を含んでよい。
【0194】
また、表示装置を構成する前記第1の基板として用いられる表示装置基板を、本発明の対象とすることもできる。
この場合、本発明の表示装置基板は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能な表示装置を構成する前記第1の基板として用いることができる。
【0195】
この表示装置基板は、複数の画素がマトリクス状に形成された画素マトリクス部と、前記画素マトリクス部の周辺領域に形成され、前記通電インピーダンス面の電界を線型化可能とし、かつ、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部と、を含むことができる。
【0196】
さらに、表示装置を構成する外部基板などの制御回路を、本発明の対象とすることもできる。
この場合、本発明の表示装置の制御回路は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行う表示装置と電気的に接続され、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出する制御を行うことができる。
【0197】
この表示装置の制御回路は、前記通電インピーダンス面の複数箇所にて流れる電流を検出する検出手段(電流検出回路など)と、前記接触位置を検出する検出期間を、前記通電インピーダンス面の第1の方向の位置検出を行う第1の位置検出期間と、前記第1の方向と交差する第2の方向の位置検出を行う第2の位置検出期間とで区分して切替制御を行う検出期間切替制御手段と、を含むことができる。
【0198】
また、この表示装置の制御回路は、前記接触位置を検出する検出期間中に、前記第1の基板の表示領域内の第1の回路を、前記表示領域外の第2の回路に対して電気的にハイインピーダンスとするインピーダンス制御手段をさらに有することができる。
【0199】
さらに、表示装置を構成する表示装置基板の製造方法(表示装置基板用製造方法)を、本発明の対象とすることもできる。
この場合、本発明の表示装置基板用製造方法は、通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能な表示装置を構成する前記第1の基板として用いられる表示装置基板の製造を行うことができる。
【0200】
この表示装置基板用製造方法は、前記第1の基板に、前記通電インピーダンス面の電界を線型化可能とし、かつ、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部を形成する第1の工程を有することができる。
この第1の工程は、前記第1の基板に画素電極を形成する工程、または、前記第1の基板に配線を形成する工程と同時に行うことができる。
【0201】
また、図に示すブロックにおける一部の各ブロックや図示しない制御回路(スイッチを制御する回路、ハイインピーダンススイッチング制御回路、電流検出スイッチング制御回路など)、さらには位置算出用の位置算出部を構成する回路などは、コンピュータが適宜なメモリに格納された各種プログラムを実行することにより、該プログラムにより機能化された状態を示すソフトウエアモジュール構成であってもよい。
すなわち、物理的構成は例えば一又は複数のCPU(或いは一又は複数のCPUと一又は複数のメモリ)等からなるコントローラではあるが、各部(回路・手段)によるソフトウエア構成は、プログラムの制御によってCPUが発揮する複数の機能を、それぞれ複数の部(手段)による構成要素として表現したものと考えることもできる。
CPUがプログラムによって実行されている動的状態(プログラムを構成する各手順を実行している状態)を機能表現した場合、CPU内に各部(手段)が構成されることになる。
プログラムが実行されていない静的状態にあっては、各手段の構成を実現するプログラム全体(或いは各手段の構成に含まれるプログラム各部)は、メモリなどの記憶領域に記憶されている。
【0202】
以上に示した各部(回路、手段)の説明は、プログラムにより機能化されたコンピュータをプログラムの機能と共に説明したものと解釈することも出来るし、また、固有のハードウエアにより恒久的に機能化された複数の電子回路ブロックからなる装置を説明したものとも解釈することが出来ることは、当然である。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現でき、いずれかに限定されるものではない。
【0203】
また、発明の範囲は、図示例に限定されないものとする。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。つまり、上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含む。この場合において、本実施形態において特に記載しなくとも、各実施の形態及びそれらの変形例に開示した各構成から自明な作用効果については、当然のことながら実施の形態の作用効果として含めることができる。逆に、本実施の形態に記載されたすべての作用効果を奏することのできる構成が、本発明の本質的特徴部分の必須構成要件であるとは限らない。また、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除された構成による実施の形態並びにその構成に基づく技術的範囲も発明になりうる。
【0204】
そして、各実施の形態及びそれらの変形例を含むこれまでの記述は、本発明の理解を容易にするために、本発明の多様な実施の形態のうちの一例の開示、すなわち、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、例証するものであり、制限するものではなく、適宜変形及び/又は変更が可能である。本発明は、その技術思想、またはその主要な特徴に基づいて、様々な形で実施することができ、各実施の形態及びその変形例によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
従って、上記に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物を含む趣旨である。
【0205】
[付記1]第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を封止手段により形成して画像の表示を行う表示装置において、
通電インピーダンス面を形成し、接触体による接触点で流れる電流値を複数箇所で計測し、接触位置を検出する第2の基板と、
前記通電インピーダンス面に対向し、リニアライゼイションパターン部及び前記表示素子の制御部並びに配線を形成した第1の基板と、
前記リニアライゼイションパターン部と前記通電インピーダンス面とを電気的に接続する導電部材と、
を含むことを特徴とする表示装置。
[付記2]付記1に記載の表示装置において、
前記導電部材は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に介在され、前記表示素子を封止するシール剤であることを特徴とする表示装置。
[付記3]付記1に記載の表示装置において、
前記導電部材は、複数に分割して形成されたものであることを特徴とする表示装置。
[付記4]付記1に記載の表示装置において、
前記導電部材は、異方性導電体であることを特徴とする表示装置。
[付記5]付記1に記載の表示装置において、
前記リニアライゼイションパターン部は、前記第1の基板上に形成する画素又は周辺回路を構成する単層もしくは複数層の導電膜と同層の導電膜にて形成されるものであることを特徴とする表示装置。
[付記6]付記1に記載の表示装置において、
前記リニアライゼイションパターン部は、
前記第1の基板の少なくとも2以上の隅部に形成され、位置検出用の電圧が供給される配線部に接続される第1のパターン部と、
前記第1の基板の辺部に形成され、前記配線部と非接続の第2のパターン部と、
を含むものであることを特徴とする表示装置。
[付記7]付記6に記載の表示装置において、
前記第1のパターン部は、
前記隅部から前記辺部側に向けて延在形成し、前記延在する範囲は隅部から辺中央付近までとし、前記第2のパターン部は、省略可能であることを特徴とする表示装置。
[付記8]付記6に記載の表示装置において、
前記第2のパターン部は、前記第1の基板上に形成する画素又は周辺回路を構成する複数層の導電膜と、前記複数の導電膜間に層間絶縁膜と、有し、
前記層間絶縁膜にはコンタクトホールを形成しないことを特徴とする表示装置。
[付記9]付記1に記載の表示装置において、
前記接触位置を検出する検出期間を、前記通電インピーダンス面の第1の方向の位置検出を行う第1の位置検出期間と、前記第1の方向と交差する第2の方向の位置検出を行う第2の位置検出期間とに区分し、各々の方向の位置検出時に応じて切替制御を行う検出期間切替制御手段を有することを特徴とする表示装置。
[付記10]付記1に記載の表示装置において、
前記接触位置を検出する検出期間中に、前記第1の基板の表示領域内の第1の回路部を、前記表示領域外の第2の回路部に対して電気的にハイインピーダンスとし、前記第1の回路部と前記第2の回路部とを非導通とするインピーダンス制御手段をさらに有することを特徴とする表示装置。
[付記11]付記10に記載の表示装置において、
前記インピーダンス制御手段は、
前記第1の回路部と前記第2の回路部とを接続する配線部に形成されるハイインピーダンススイッチ部と、
前記ハイインピーダンススイッチ部をオンオフ制御するハイインピーダンス制御回路と、
を含むものであることを特徴とする表示装置。
[付記12]付記1乃至付記11のうちいずれか一項に記載の表示装置を備えた液晶表示装置であって、
前記表示素子が液晶であり、前記第1の基板は、TFT基板であり、前記第2の基板は、対向基板であることを特徴とする液晶表示装置。
[付記13]付記1乃至付記11のうちいずれか一項に記載の表示装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
[付記14]通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能な表示装置用製造方法であって、
前記第1の基板に、前記通電インピーダンス面の電界を線型化可能とし、かつ、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部を形成する工程と、前記第1の基板に画素電極を形成する工程、又は、前記第1の基板に配線を形成する工程と、を同時に行う第1の工程と、
前記第2の基板に、前記通電インピーダンス面として機能する対向電極を形成する第2の工程と、
前記リニアライゼイションパターン部と前記対向電極との間に導電部材を形成する第3の工程と、
を含むことを特徴とする表示装置用製造方法。
[付記15]通電可能な第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を形成して表示を行うとともに、前記第2の基板側にて通電インピーダンス面を形成して接触体による接触位置を検出可能な表示装置を構成する前記第1の基板として用いられる表示装置基板用製造方法であって、
前記第1の基板に、前記通電インピーダンス面の電流検出が可能な複数の電極を含むリニアライゼイションパターン部を形成する第1の工程を有し、
前記第1の工程は、
前記第1の基板に画素電極を形成する工程、または、前記第1の基板に配線を形成する工程と同時に行うことを特徴とする表示装置基板用製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明は、表示装置全般に適用可能であり、より詳細には、利用例として、ゲーム機、携帯情報端末、券売機、現金自動預け払い機(ATM)、カーナビゲーション、飛行機やバスの客席に取り付けるテレビ・ゲーム機、ファクトリー・オートメーション(FA)機器、プリンタ、ファクシミリに使用される表示装置といった用途に適用できる。
【符号の説明】
【0207】
1、100、200、300、400、500、600、700 表示装置
2 液晶(表示素子)
4 信号線(電極)
5 画素電極
6 走査線(電極)
8 蓄積容量線(電極)
10 表示装置基板(第1の基板)
12 透明導電膜(対向電極)
13 電流検出回路
14 走査線駆動回路
15 信号線駆動回路
16、17、18 ハイインピーダンススイッチ部
19 対向基板(第2の基板)
20 外部基板
21 スイッチ
22 交流電圧源
23 ガラス基板(プラスティック基板)
24 指
25 容量
29 電極
30 リニアライゼイションパターン部
30a リニアライゼイションパターン部(基板四隅近傍:第1のパターン部)
30b リニアライゼイションパターン部(基板外周四辺上:第2のパターン部)
32 配線(配線部)
34 異方性導電体(導電部材)
36 シール剤
38 FPC(Flexible Printed Circuits:
フレキシブルプリント基板)
39 ダミーパターン
40 ITO(透明導電膜)<画素電極及びリニアライゼイションパターン部>
41 絶縁膜(パッシベーション膜、及び平坦化膜)
42 AL(アルミニウム)〔ソース及びドレイン電極材料〕
46、46a、46b、46c シリコン酸化膜
47 導電体
48 活性層シリコン
49、49a、49b 高濃度のドーパントを含んだシリコン
54 オーバーコート層
58 ブラックマトリックス
72、74 絶縁膜
73 チャネル材料
80 石英基板
81 透明導電膜
82 銀ペースト(リニアライゼイションパターン部)
102 EPDフィルム
113 マイクロカプセル
115 溶媒
116 白粒子
117 黒粒子
521 電流検出方向切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜半導体が上に形成される薄膜半導体基板と、対向基板との間に、電気光学材料を配して構成される画像を表示する表示装置において、
前記対向基板上に対向電極が形成され、
前記薄膜半導体基板上に、前記電気光学材料に電気信号を与えるための複数の画素電極が並ぶ画素領域部と、前記画素領域部の周辺に導電膜部と、が形成され、
前記薄膜半導体基板と前記対向基板との間の前記画素領域部の周囲の少なくとも一部に導電体が配され、
前記導電膜部と前記対向電極とが前記導電体を介して電気的接続され、
接触体の接触に伴う静電容量変化に基づき接触位置を検出する機能を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記導電体は、前記薄膜半導体基板と前記対向基板との間に介在され、前記電気光学材料を封止するシール剤であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の表示装置において、
前記導電体は、複数に分割して形成されたものであることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の表示装置において、
前記導電体は、異方性導電体であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の表示装置において、
前記導電膜部は、前記薄膜半導体基板上の複数の導電層が積層されて構成されることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の表示装置において、
画像を表示する表示駆動期間と接触位置を検出する位置検出期間とに区分されて駆動されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の表示装置において、
前記位置検出期間中に、前記導電膜部が電圧源によってバイアスされるように、切替制御する切替制御手段を有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項7記載の表示装置において、
前記電圧源は、COM、GND、交流電圧源のいずれかを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の表示装置において、
前記電圧源に流れる電流を検出する検出回路を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一つに記載の表示装置において、
前記接触位置を検出する検出期間中に、前記薄膜半導体基板の表示領域内の第1の回路部を、前記表示領域外の第2の回路部に対して電気的にハイインピーダンスとし、前記第1の回路部と前記第2の回路部とを非導通とするインピーダンス制御手段をさらに有することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置において、
前記インピーダンス制御手段は、
前記第1の回路部と前記第2の回路部とを接続する配線部に形成されるハイインピーダンススイッチ部と、
前記ハイインピーダンススイッチ部をオンオフ制御するハイインピーダンス制御回路と、
を含むものであることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
第1、第2の基板間に電気光学応答を行う表示素子を封止手段により形成して画像の表示を行う表示装置において、
対向電極を形成し、接触体による接触点で流れる電流値を複数箇所で計測し、接触位置を検出する第2の基板と、
前記対向電極に対向し、導電膜部及び前記表示素子の制御部並びに配線を形成した第1の基板と、
前記導電膜部と前記対向電極とを電気的に接続する導電部材と、
を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のうちいずれか一項に記載の表示装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項14】
薄膜半導体が上に形成される薄膜半導体基板、対向基板の基板間に電気光学材料を配して構成される画像の表示を行う表示装置用製造方法であって、
前記薄膜半導体基板上に、導電膜部を形成すると同時に、前記電気光学材料に電気信号を与える複数の画素電極が並ぶ画素領域部を形成する第1の工程と、
前記対向基板に、対向電極を形成する第2の工程と、
前記薄膜半導体基板、前記対向基板の基板間の画素領域部の周囲の少なくとも一部に異方性導電体を配する第3の工程と、を含むことを特徴とする表示装置用製造方法。
【請求項15】
前記第1の工程は、 フォトリソグラフィ工程又はエッチング工程を有することを特徴とする請求項14に記載の表示装置用製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−101705(P2013−101705A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−36817(P2013−36817)
【出願日】平成25年2月27日(2013.2.27)
【分割の表示】特願2008−101967(P2008−101967)の分割
【原出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】