説明

表示装置およびこれを備える航空調査システム、並びに、当該表示装置の表示方法

【課題】 航空調査において、包括的および局所的の双方の観点で取得された調査データを、即時的な解析に利用できるように、解析の担当者に与える。
【解決手段】 表示装置の3D地形表示領域31では、航空調査の対象となる海域の地形データを、3D地形図34として、好ましくは正射影の裸眼立体視方式で三次元表示する。また、当該海域に所在する複数のデータ収集装置をブイシンボル36bとして表示し、表示装置を搭載する航空機を航空機シンボル36aとして表示する。さらに、3Dインジケータ表示領域32では、データ収集装置で収集された調査データに変化が生じたときに、変化に合わせて伸縮する3Dインジケータ35が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示を可能とし、航空機を利用した調査に好適に用いることができる表示装置およびその表示方法と、当該表示装置を備える航空調査システムに関し、特に、海洋または山岳地に所在するデータ収集装置から調査データ等を取得して解析のために表示する表示装置および表示方法と、これを備える航空調査システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋には、魚介類等の膨大な生物資源が存在しているだけでなく、大陸棚における石油、ガス等のエネルギー資源、あるいは、マンガン団塊、海底熱水鉱床等の鉱物資源を有しており、近年の科学技術の進歩により、これら海洋資源の開発および利用は大きく注目されている。
【0003】
さらに、近年では、資源の開発以外に、海洋そのものの新たな利用方法も注目されている。例えば、波力発電、海流発電、潮汐発電等の海洋発電は環境への負荷の小さい発電方法として期待され、あるいは、大型浮体式構造物(メガフロート)は、従来の埋立てのように海域を消滅させることなく沿岸開発を行うことが可能であるとして期待されている。
【0004】
加えて海洋は環境問題にも大きく関係する。例えば、エルニーニョ現象のような広範囲の海面温度の異常は、異常気象を誘発する原因の一つとされる。また、重油、原油等による海洋汚染は、漁業に被害をもたらすおそれがあるだけでなく、生態系にも大きな影響を与える。最近では、海中林(海藻類が密集した藻場)の消失現象(「磯焼け」または「磯枯れ」と呼ばれる)の発生も報告されている。
【0005】
このような海洋の利用、開発、あるいは環境の保護等においては、海洋に関するさまざまなデータ(海洋データ)を正確に取得し、利用の目的に応じて適切に解析すること、すなわち海洋調査が極めて重要となる。
【0006】
海洋調査の実施においては、取得すべき海洋データの種類または目的に応じてさまざまな方法が利用される。一般には、海洋調査船等の船舶を利用した方法が挙げられるが、航空機を利用した方法も知られている。重油等の流出事故を例に挙げれば、重油等で汚染された海域を調査するために、マルチスペクトラルスキャナ(MSS)を搭載した航空機を汚染海域の上空で飛行させて海洋データを取得する方法が知られている。MSSは、可視光および赤外光を周波数域別に収集して解析するものであるため、広い面積を包括的に調査する海洋調査に適している。
【0007】
MSSを用いた上記の方法は、海洋から離れた上空から海洋データを収集する「リモートセンシング」技術を利用したものであるが、これとは異なり、海洋に観測機器を直接所在させて各種の海洋データを取得する方法も存在する。代表的な例として、観測機器および通信機器を備える浮体を海洋に投入し、当該浮体との通信により航空機(あるいは人工衛星)で海洋データを収集する方法を挙げることができる。
【0008】
浮体および航空機を利用した海洋調査に関する技術としては、例えば、特許文献1に開示される浮流物質検出システム及び浮流物質検出方法が挙げられる。この技術は、海難事故等により海上に流出し、浮流又は浮遊している重油等の浮流物質を検出することを目的としており、水域に一時的に若しくは常時浮上している浮体等に支持された水中撮影機を備え、当該水中撮影機で水中から水面を撮影し、この撮影画像の画像処理により水面に浮流する浮流物質の有無の検出を行う構成を有している。画像処理を行う部分は、浮体に設けられても航空機等の浮体以外に設けられてもよく、航空機に設けられる場合には、水中撮影機で撮影した撮影画像のデータを航空機側の画像処理装置に送信して、この画像処理装置で画像処理を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−281423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、海洋調査においては、その目的により、包括的な観点、局所的な観点、あるいは、両方の観点に基づいて海洋データを取得し解析する必要がある。例えば、前述した重油等の流出事故を例に挙げれば、汚染された海域全体を把握することは包括的な観点に基づくものであり、事故発生直後に特定の養殖場を保護することは、相対的に局所的な観点に基づくものとなる。局所的な観点のより具体的な例としては、流出した重油等が特定の養殖場にいつごろ漂着するのかを予測するために、流出現場と養殖場との間に位置する特定の観測点で重油の到達の有無を確認することが挙げられる。
【0011】
海洋調査においては、通常、包括的または局所的の一方の観点のみで海洋データを取得し解析することはまれであって、双方の観点で取得したデータを総合的、包括的に解析することが多い。
【0012】
例えば、MSSを搭載する航空機を用いた方法は、包括的な観点で海洋データを取得する目的に適するものであるが、局所的な観点での海洋データの取得には向くものではない。一方、特許文献1に開示される技術は、浮体から直接取得される画像データを画像処理することになるので、局所的な観点で海洋データを取得する目的に適する。さらに、多数の浮体を用いて多数の海洋データが取得できれば、これら局所的な海洋データの集合体を適切に解析することで、包括的な観点での海洋データを取得し解析することが可能である。しかしながら、特許文献1では、このような包括的な観点での解析に関しては具体的に開示されていない。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、航空機を利用した海洋調査あるいは山岳調査に好適に用いることができ、包括的および局所的の双方の観点で取得された調査データを、解析担当者に与えることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記課題に鑑みて鋭意検討した結果、調査データを表示する表示装置において、通常の二次元表示に加えて三次元表示を組み合わせることで、包括的および局所的の双方の観点で取得された調査データを、解析担当者に対して、解析しやすいように表示可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明に係る表示装置は、海洋調査または山岳調査の対象となる海域または地域に所在する複数のデータ収集装置により収集され、通信により取得された調査データを表示可能とする、表示装置であって、二次元画像および三次元画像を同時に表示可能とする表示部と、地形を前記三次元画像として表示するための三次元地形データを少なくとも含む表示用データを記憶する記憶部と、前記データ収集装置より取得した調査データから、当該調査データの表示用データを生成する表示用データ生成部と、制御部と、を備え、前記表示用データ生成部は、前記調査データに変化が生じたときには、変化の前後で画像が異なって表示されるように、前記表示用データを生成し、前記制御部は、前記三次元地形データに基づいて前記海域または地域の地形を三次元画像として前記表示部に表示させるとともに、前記調査データに変化が生じたときには、当該変化を、前記表示用データに基づく画像の変化として前記表示部に表示させるよう構成されている。
【0016】
前記構成によれば、少なくとも地形データが三次元画像として表示され、調査データに変化が生じた場合には画像の変化として表示される。それゆえ、包括的な観点である海域または地域全体は、三次元化されることで他の表示とは明確に区別されるとともに、局所的な観点である個々の調査データは、海域または地域の表示とは明確に区別される。しかも、解析担当者が、三次元の地形画像を中心視野にて集中して目視している場合であっても、調査データを示す画像が周辺視野に入っていれば、調査データの変化に伴う画像の変化を解析担当者は適切に把握することができる。加えて、調査データの変化は、随時、画像の変化として表示される。それゆえ、包括的および局所的の双方の観点で取得された調査データを、即時的な解析に利用できるように、解析担当者に提示することが可能となる。
【0017】
前記表示装置においては、前記表示用データ生成部は、前記調査データに変化が生じたときには、当該調査データを示す画像を、少なくとも画面の奥行き方向に表示が変化する三次元画像である、インジケータ画像として表示されるように、前記表示用データを生成する構成であると好ましい。
【0018】
前記構成によれば、任意のデータ収集装置で収集された調査データが変化すると、そのデータ変化は、二次元的な変化ではなく三次元的な変化を示すインジケータ画像として表示されることになる。それゆえ、包括的な観点の表示と局所的な観点の表示との区別を、より明確にすることができる。しかも、画像の変化が随時明確に把握されやすくなるため、調査データの即時的な解析への寄与を向上させることができる。
【0019】
しかも、画面構成上、例えば二次元のインジケータ画像を表示させるには画面上での表示領域が狭すぎる場合であっても、三次元のインジケータ画像であれば、変化は画面の奥行き方向での変化(インジケータ画像の高さ方向の伸縮)として表示することができる。それゆえ、狭い表示領域で明確な調査データの変化を表示することができ、表示のコンパクト化を図ることもできる。
【0020】
なお、本発明に係る前記表示装置は、海洋調査または山岳調査を目的としておれば、どのような状況においても使用可能であるが、特に、航空機に搭載されて用いられることが好ましいものとなっている。
【0021】
前記表示装置においては、前記表示用データ生成部は、文字情報を含む二次元形式の表示用データをさらに生成し、前記制御部は、前記表示用データに基づき、三次元画像と同時に、二次元画像を前記表示部に表示させるよう構成されていることが好ましい。
【0022】
前記構成によれば、三次元画像と二次元画像とを同時に表示することができるので、陸上または海底の地形を三次元画像で表示し、文字情報を通常の二次元画像で表示することができる。これにより、解析担当者が認識しやすいように、表示される画像の種類に応じて三次元または二次元の表示を切り換えることができる。
【0023】
前記表示装置においては、前記表示部は、前記三次元地形データを、等高線または等深線に基づいた三次元画像として表示するよう構成されていることがより好ましい。
【0024】
前記構成によれば、陸上および海底の地形が高さを基準として包括的に表示される。それゆえ、調査対象となる海域または地域について、地形に基づいた包括的な観点による解析への寄与を向上させることができる。
【0025】
前記表示装置においては、前記表示部は、三次元画像を、正射影で裸眼立体視により表示するよう構成されていると、さらに好ましい。
【0026】
前記構成によれば、三次元画像を、一般的な透視法射影でなく正射影で表示するため、三次元画像の表示上の大きさは、目視者(解析担当者)の視点からの距離に関係なく変わることがない。しかも、三次元画像は裸眼立体視で表示される。それゆえ、目視者は、立体表示用のメガネ等を用いない裸眼で、的確な地形の表示を認識することが可能になり、包括的な観点による解析への寄与をより一層向上させることができる。
【0027】
前記表示装置においては、前記制御部は、前記表示部における画面全体を複数の表示領域に分割し、それぞれの前記表示領域で異なる画像を表示させるとともに、前記表示領域のうち、表示される三次元画像の高さが最大となる表示領域において、当該三次元画像の高さ方向の基準面を設定し、全ての前記表示領域において、前記基準面を基準として画像を表示するよう構成されていると、さらに好ましい。
【0028】
前記構成によれば、高さが最大となる三次元画像を基準として基準面を設定し、当該基準面に基づいて複数の表示領域全てで三次元画像を表示するため、表示画面における手前または最奥部が明確に目視できるように、三次元画像の表示を調整することができる。
【0029】
前記表示装置においては、前記調査データ以外のデータを入力可能とする入力部を備えてもよい。入力部の具体的な構成は特に限定されず、公知のさまざまな入力機器を用いることができる。
【0030】
ここで、前記表示装置において、操作指部とは、操作者の五指だけでなく、五指以外の掌の一部、並びに、操作者が把持するペン等の指以外の物体も含むものである。そして、前記表示装置においては、前記入力部が、前記表示部と一体化されたタッチパネルであると、さらに好ましい。
【0031】
前記表示装置においては、前記入力部は、前記表示部の前における操作者の前記操作指部の位置の動作を、当該表示部の画面を基準とした三次元位置データとして入力する三次元位置データ入力部であり、前記表示用データのうち三次元形式の画像の表示に用いられるデータには、入力される前記三次元位置データと対応する画像用位置データが含まれ、前記制御部は、前記三次元位置データおよび前記画像用位置データとの差分から、前記入力者による操作指令の入力を実行させる制御を行う構成であると、より好ましい。
【0032】
前記構成によれば、表示部にて表示される三次元画像に指で触れるような動作を、解析担当者が行うことでデータ等の入力が可能となる。それゆえ、表示部の表示とデータ等の入力とを直接的に対応させることができるため、操作性をより向上させることができる。また、前記入力部がタッチパネルであれば、表示部の画面を解析担当者が触れることでデータの入力が可能となる。それゆえ、表示部の表示とデータ等の入力とを直接的に対応させることができるため、操作性をより向上させることができる。
【0033】
前記表示装置においては、前記入力部が、視線追跡カメラであると、さらに好ましい。
【0034】
前記構成によれば、視線追跡カメラにより表示部の画面を目視する解析担当者の目の動きを、データの入力に利用することができる。それゆえ、例えば、複数ステップの入力動作を目の動きだけで実現できたり、画面上のカーサシンボルを目の動きだけで迅速に移動させたりすることができる。
【0035】
本発明に係る航空調査システムは、前記いずれかの構成の表示装置と、調査データを取得するデータ取得部および取得した調査データを送信する送信部を備えるデータ収集装置と、前記データ収集装置から受信した前記調査データを前記表示装置に入力するデータ受信装置と、を備えている構成である。
【0036】
前記航空調査システムにおいては、前記データ収集装置の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、海洋調査においては、前記データ収集装置として、水面に浮かぶ浮体を好ましく用いることができる。
【0037】
さらに、本発明には、前記表示装置および前記航空調査システムに加えて、表示装置の表示方法も含まれる。具体的には、本発明に係る表示装置は、表示用データに基づいて、二次元形式の画像および三次元形式の画像を同時に表示可能とする画像表示ステップと、海洋調査または山岳調査の対象となる海域または地域に所在する複数のデータ収集装置により収集され、通信により取得された調査データから、当該調査データに対応する前記表示用データを生成する、表示用データ生成ステップと、を含み、前記表示用データには、予め記憶されている、地形を三次元形式の画像として表示するための三次元地形データが含まれ、前記表示用データ生成ステップでは、前記調査データに変化が生じたときに、当該変化の前後で画像が異なって表示されるように、前記表示用データを生成し、前記画像表示ステップでは、前記変化を、前記表示用データに基づく三次元形式の画像の変化として表示する構成を挙げることができる。
【0038】
前記表示方法においては、前記画像表示ステップでは、前記調査データに変化が生じたときには、当該調査データを示す画像を、少なくとも画面の奥行き方向に沿って表示が変化するインジケータ画像として表示する構成であると好ましい。
【0039】
前記表示方法においては、前記表示用データ生成ステップでは、さらに、文字情報を含む二次元形式の表示用データを生成し、前記画像表示ステップでは、前記表示用データに基づき、三次元形式の画像と同時に、二次元形式の画像を表示する構成であると好ましい。
【0040】
前記表示方法においては、前記画像表示ステップでは、前記三次元地形データを、等高線または等深線に基づいた三次元画像として表示する構成であると好ましい。
【0041】
前記表示方法においては、前記画像表示ステップでは、前記三次元形式の画像が、正射影立体表示により裸眼立体視表示される構成であると、より好ましい。
【0042】
前記表示方法においては、前記画像表示ステップでは、画面全体を複数の表示領域に分割し、それぞれの前記表示領域で異なる画像を表示するとともに、前記表示領域のうち、表示される三次元画像の高さが最大となる表示領域において、当該三次元画像の高さ方向の基準面を設定し、全ての前記表示領域において、前記基準面を基準として画像を表示する構成であると、さらに好ましい。
【0043】
前記表示方法は、海洋調査または山岳調査を目的としておれば、どのような状況で使用される表示装置にも適用可能であるが、特に本発明においては、表示装置が航空機搭載用の表示装置であると好ましい。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明では、航空機を利用した海洋調査に好適に用いることができ、包括的および局所的の双方の観点で取得された海洋データを、即時的な解析に利用できるように、解析の担当者に与えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1に係る航空調査システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す航空調査システムが備える表示装置の外観構成の一例を示す模式的正面図である。
【図3】図2に示す表示装置における制御系統の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図2に示す表示装置における下表示パネルで表示される三次元地形図および三次元インジケータの一例を、二次元表示と対比させて説明する模式図である。
【図5】(a)は、図2に示す表示装置における下表示パネルで表示される画面構成の一例を示す模式図であり、(b)は、(a)に示す三次元インジケータの構成例を示す模式的斜視図である。
【図6】図3に示す表示装置における三次元表示の制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】(a)〜(c)は、図6に示すフローチャートに対応する、複数の表示領域の基準面を調整する手順を示す模式図である。
【図8】図6に示すフローチャートにおける画像表示ステップのうち、三次元インジケータの表示制御の一例を具体的に示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る表示装置の外観構成の一例を示す模式的正面図である。
【図10】図9に示す表示装置における制御系統の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図9に示す表示装置における手振り入力操作の制御の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態3に係る表示装置の外観構成の一例を示す模式的正面図である。
【図13】図12に示す表示装置における制御系統の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る表示装置の制御系統の構成の一例を示すブロック図である。
【図15】(a),(b)は、図14に示す表示装置におけるマルチタッチパネルによる操作の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0047】
(実施の形態1)
[航空調査システムの概略構成]
まず、本発明の実施の形態1に係る表示装置が適用される航空調査システムの一例について、図1を参照して具体的に説明する。図1に示すように、本実施の形態で例示する航空調査システムは、典型的には、航空機10、当該航空機10に搭載されている表示装置11Aおよびデータ受信装置15、並びにデータ収集装置20を含む構成である。なお、表示装置11Aおよびデータ受信装置15は、航空機10からの吹き出し状の枠内に図示することで、当該航空機10に搭載されていることを表している。
【0048】
航空機10としては、海洋調査の対象となる海域または山岳調査の対象となる地域を飛行して調査データを取得できるとともに、調査データを解析するための乗員(解析担当者)、表示装置11Aおよびデータ受信装置15を搭載できるものであれば、その構成は特に限定されない。図1に示す例では、航空機10は固定翼機であるが、無人機または回転翼機でもよいし、気球または飛行船等でもよい。
【0049】
表示装置11Aは、解析担当者に対して調査データを表示するものであり、単に表示を行うだけでなく、各種データの入力、予め記憶されているプログラム等によるデータの処理等が行われる構成であってもよい。データ受信装置15は、データ収集装置20から受信した調査データを表示装置11Aに入力するものである。これら表示装置11Aおよびデータ受信装置15については後に詳述する。
【0050】
データ収集装置20は、海洋調査の対象となる海域または山岳調査の対象となる地域に複数所在しており、海洋調査または山岳調査のために調査データを収集するものであれば、その構成は特に限定されない。図1に示す例では、水面に浮かぶ浮体である漂流型ブイ20Aまたは係留型ブイ20B、あるいは、山の中腹等に設けられる各種テレメータ20C等が挙げられる。
【0051】
データ収集装置20は、後述するように、調査データを取得するデータ取得部および取得した調査データを送信する送信部を備えている。データ取得部の具体的構成は特に限定されず、取得の対象となる調査データの種類に応じて適切な測定機器を用いればよい。例えば、海洋調査の場合、調査データとしては、海洋地形、水温、塩分、海流の方向、海流の流量等が挙げられ、山岳調査の場合、調査データとしては、山岳地形、気温、湿度、風向、雨量等が挙げられるので、これらを測定するためのレーザプロファイラ(地形)、水温または気温測定装置、塩分測定装置、気象観測装置、海流流速計等の測定機器が用いられる。
【0052】
航空機10およびデータ収集装置20の間の通信(図中点線の矢印で示す)は、公知の方法が好適に用いられる。典型的には、超短波(VHF)を用いた通信により、データ収集装置20の送信部から航空機10のデータ受信装置15に対して調査データの通信が行われる。もちろんこれ以外の波長域の電磁波を用いて通信を行ってもよい。したがって、データ収集装置20の送信部およびデータ受信装置15としては、VHFまたは他の電磁波を利用した通信機器を用いることができる。なお、図1に示す例では、通信は、データ収集装置20から航空機10に向かう一方向のみであるが、航空機10からデータ収集装置20に対して各種データの送信も行う双方向の通信であってもよい。つまり、航空機10にはデータ送信装置が設けられ、データ収集装置20は受信部を備える構成であってもよい。
【0053】
[表示装置の構成]
次に、本実施の形態に係る表示装置の具体的な構成の一例について、図2および図3を参照して具体的に説明する。まず、図2にその外観を示すように、表示装置11Aは、表示装置本体111、卓部112、上表示パネル121、下表示パネル122、左タッチパネル123、右タッチパネル124、キーボード131、トラックボール132、ジョイスティック133等を備えている。
【0054】
表示装置本体111は、内部に制御部等を備えており、その前面上部に上表示パネル121が設けられ、その下部に下表示パネル122が設けられ、下表示パネル122の両側方に左タッチパネル123(図2における向かって左側)、右タッチパネル124(図2における向かって右側)が設けられている。表示装置本体111の前面で下表示パネル122の下部には、当該前面の垂直方向に突出した卓部112が設けられ、この卓部112の上面中央にはキーボード131が設けられ、キーボード131における向かって右側にはトラックボール132、ジョイスティック133が設けられている。
【0055】
上表示パネル121は、本実施の形態では、レーダ画面を二次元表示するよう構成され、下表示パネル122は、少なくとも三次元画像を表示可能としており、特に好ましくは、二次元画像および三次元画像を同時に表示可能とするよう構成されている。上表示パネル121、下表示パネル122はいずれも表示装置11Aの表示部を構成しており、その具体的な構成は特に限定されず、公知の液晶パネル、プラズマディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイを好適に用いることができる。
【0056】
下表示パネル122は、三次元画像を表示可能としていれば、その表示方式は特に限定されないが、後述するように、裸眼立体視表示方式であることが特に好ましい。さらに、表示される三次元画像は、一般的な透視法射影ではなく正射影であると、非常に好ましい。この点については、後に詳述する。
【0057】
左タッチパネル123、右タッチパネル124は、各種キー等を表示可能としており、当該キーに対応する画像を使用者(解析担当者)が触れることで、表示されているキーに対応する操作が入力される。つまり、左タッチパネル123および右タッチパネル124は、表示装置11Aの表示部であるとともに入力部でもある。左タッチパネル123、右タッチパネル124の具体的な構成は特に限定されず、抵抗膜方式等の公知の構成を好適に用いることができる。
【0058】
キーボード131、トラックボール132、ジョイスティック133は、表示装置11Aの入力部を構成しており、その具体的な構成は限定されず、パーソナルコンピュータ等の分野で公知の構成を好適に用いることができる。これら入力部のうち、トラックボール132は、下表示パネル122に表示されているカーサシンボル30(カーソル)を画面上で移動させるために用いられ、図2において矢印P1で示すトラックボール132を使用者(解析担当者)が回転させれば、その回転方向に応じてカーサシンボル30が下表示パネル122の画面上で矢印P2に示すように移動する。なお、カーサシンボル30は、下表示パネル122だけでなく、上表示パネル121にも移動可能である。
【0059】
表示装置11Aは、図3に示すように、データ受信装置15を介してデータ収集装置20と通信が可能となっている。データ収集装置20は、前述のとおり、データ取得部21および送信部22を備えており、データ取得部21で取得した調査データを送信部22からデータ受信装置15へ送信する(図中点線の矢印で示す)。データ受信装置15は、受信した調査データを表示装置11Aに入力する。
【0060】
表示装置11Aは、前述した表示部および入力部に加えて、表示制御部141、表示用データ生成部142および記憶部143を備えている。なお、図3においては、説明の便宜上、表示部として下表示パネル122のみを図示し、また、入力部であるキーボード131、トラックボール132、ジョイスティック133、左タッチパネル123、右タッチパネル124は、一点鎖線の枠で囲んで「入力部13」としてまとめて図示する。また、左タッチパネル123、右タッチパネル124は、図3ではまとめて1つのパネルとして模式的に図示し、かつ、これらは表示部を兼ねているので、表示制御部141と左タッチパネル123、右タッチパネル124とは、制御を示す矢印が双方向となっている。
【0061】
表示制御部141は、表示部による画像の表示を制御するものであり、特に、本発明では、図3において、下表示パネル122の画面上に破線で模式的に示すように、後述する3D地形図34、3Dインジケータ35等の三次元画像を表示する制御を行う。表示用データ生成部142は、データ収集装置20から取得した調査データから、当該調査データの表示用データを生成するものである。なお、入力部13は、表示制御部141に調査データ以外の各種のデータを入力可能となっている。したがって、表示制御部141は、入力部13から入力されたデータを表示部の表示に反映させる制御を行うように構成されている。これにより、地形データおよび調査データ以外のさまざまなデータを表示部に表示することが可能になるので、調査データの即時的な解析をより行いやすくすることができる。
【0062】
記憶部143は、表示制御部141による制御に用いられる種々のデータまたはプログラム等を記憶しており、特に、本実施の形態では、海洋地形または山岳地形を、下表示パネル122にて三次元画像として表示するための三次元地形データを記憶している。この三次元地形データは、等高線および等深線(あるいはこれらの一方)に基づいたデータとなっている。
【0063】
表示制御部141および記憶部143は、例えば、それぞれ、マイクロコンピュータのCPUおよび内部メモリで構成されている。なお、表示制御部141および記憶部143の構成はこれに限定されるものではない。たとえば、表示制御部141は、単独の制御装置ではなく複数の制御装置から構成される制御装置群であってもよいし、記憶部143についても、単一である必要はなく、複数の記憶装置(例えば、内部メモリと外付け型のハードディスクドライブ)を備えていてもよい。
【0064】
表示用データ生成部142は、表示制御部141の機能構成であって、表示制御部141としてのCPUが、記憶部143に格納されるプログラムに従って動作することにより実現される構成を挙げることができる。また、公知のスイッチング素子、減算器、比較器等によるデータ変換回路等として構成されてもよい。
【0065】
また、表示制御部141、表示用データ生成部142、および記憶部143は、1つの回路基板として構成されてもよい。この場合、当該回路基板には、データ収集装置20から送信された調査データをデータ受信装置15から入力ためのI/O回路、さらには、調査データがアナログ信号である場合にデジタル信号へ変換するためのA/D変換回路等が組み込まれてもよい。すなわち、図3に示す制御系統の構成には、I/O回路、A/D変換回路等、当業者にとって周知の回路または機能ブロックについては、その記載を省略している。
【0066】
[表示部における画面の構成例]
表示装置11Aにおいて、下表示パネル122が三次元画像を表示する場合の画面の構成について、図4および図5(a),(b)を参照して具体的に説明する。図4のうち上図は三次元表示の例を示し、下図は上図に対応する二次元表示の例を示す。また、図4では、説明の便宜上、地形図、シンボル、インジケータ等の画像を、実際の表示から大きく模式化して図示している。さらに、以下の説明では、二次元および三次元をそれぞれ「2D」および「3D」と略記している。
【0067】
例えば、下表示パネル122の画面全体が、図4下図に示すように、2Dで地形を表示する2D地形表示領域131と、2Dインジケータ135を表示する2Dインジケータ表示領域132とに分割されているとする。
【0068】
このうち、2D地形表示領域131では、2Dの俯瞰による海底地形(2D地形図134)が表示され、この2D地形図134に重なる状態で、表示装置11Aを搭載する航空機10を示す航空機シンボル136a(図中白抜きの丸印)と、データ収集装置20の一例である漂流型ブイ20Aを示すブイシンボル136b(図中網掛けの丸印)とが表示されている。ブイシンボル136bは4個が表示されているので、この表示に対応する海洋調査では、4個の漂流型ブイ20Aがデータ収集装置20として用いられている。
【0069】
なお、4個の独立したブイシンボル136bをそれぞれ区別するために、図4では、上図と下図との間をつなぐ二点鎖線の横に、S1〜S4の補助参照符号を付している。そこで、以下の説明では、特定の漂流型ブイ20Aまたはブイシンボル136bを表示する場合、「漂流型ブイ20A−S1」あるいは「ブイシンボル136b−S1」等として表記する。また、航空機シンボル136aは1個しかないが、ブイシンボル136bの補助参照符号S1〜S4に合わせて、補助参照符号S0を付すものとする。
【0070】
また、2Dインジケータ表示領域132では、データ収集装置20で収集される調査データにさまざまな変化が生じたときに、その変化の発生または程度を2Dインジケータ135の変化により表示する。2Dインジケータ135は画面の水平方向に沿って延びる帯状で、S1〜S4の漂流型ブイ20A(ブイシンボル136b)に対応して、それぞれ4つ表示されている。そして、図中向かって右側に網掛け部分が延びると、調査データの変化の程度がプラスに大きく、図中向かって左側に網掛け部分が延びると、調査データの変化がマイナスに大きく、網掛け部分が表示されないと、調査データに変化が無いことが示される。
【0071】
図4下図に示す海洋調査の例では、2D地形表示領域131の右上に位置する陸地L0と、中央部に水平方向に並んで位置する島L1,L2が存在する海域で調査を行っている。2D地形表示領域131では、画面の上方向が北に相当するので、西から東に向かって、陸地L0、島L1、島L2が並んでおり、航空機シンボル136aすなわち航空機10は、最も東側の島L2の南東に位置している。4つのブイシンボル136bのうち、ブイシンボル136b−S1は、陸地L0の北部沿岸に位置し、ブイシンボル136b−S2は、陸地L0の南部沿岸に位置し、ブイシンボル136b−S3は、島L1の南西沿岸に位置し、ブイシンボル136b−S4は、島L1および島L2の間の海峡に位置している。
【0072】
調査データが、例えば経時的な海水温の変化であるとすれば、2Dインジケータ表示領域132の4つの2Dインジケータ135にそれぞれ示すように、ブイシンボル136b−S1の位置では、海水温には経時的な変化が観測されないが、ブイシンボル136b−S2の位置では、海水温が少し高くなり、ブイシンボル136b−S3の位置では、海水温がさらに高くなり、ブイシンボル136b−S4の位置では、海水温が低くなるという変化が観測されていることがわかる。
【0073】
例えば、この海域に南方から暖流が流れ込み、北方から寒流が流れ込んでいる環境で、北西に向かう潮汐流が発生したときに、海水温の経時的な変化を解析する場合であれば、次のような解析が可能である。すなわち、ブイシンボル136b−S1の位置では、寒流が優勢であるため、北西方向の潮汐流が発生しても暖流とほとんど混ざり合わず、それゆえ海水温に変化が見られない。一方、ブイシンボル136b−S2の位置では、陸地L0と島L1の間から流れ込む寒流よりも、潮汐流によって南方から流れ込む暖流が優勢となるが、2つの海底丘B3,B4により暖流が一部妨げられるため、海水温の上昇の程度は低くなる。
【0074】
さらに、ブイシンボル136b−S3の位置では、北方から島L1の周囲に沿って寒流が流れ込んでいるが、島L1の南部沿岸の海底には、潮汐流による暖流を妨げるような海底地形が周囲に存在しないので、結果的に暖流が優勢となり、海水温が大きく上昇する。これに対して、ブイシンボル136b−S4の位置は、南北に沿った海峡であることに加え、海底に海底峡谷B1が存在するため、当該位置では全体的に寒流の速い流れが形成される。それゆえ寒流と対向するように流れ込んでいた暖流は、北西に向かう潮汐流の発生によって陸地L0に向かって流れがずれ、その結果、寒流が優勢となって海水温が低下する。
【0075】
ここで、海底地形は、地上の地形と比較して相対的に急峻である。それゆえ、図4下図に示す2D地形図134のような俯瞰表示では、面積が狭いところに急峻な深度の変化があるので、等深線の数が多くなるほど不明瞭に表示されてしまう。具体的には、例えば海底峡谷B1等の細長い地形であれば、隣接する等深線が密になりすぎて、画面を目視する使用者(解析担当者)が海底峡谷B1を適切に確認することができなくなる。そこで、等深線の数を減らすと、図4下図に示すように、例えば、相対的に高い海底丘B4は確認できても、相対的に低い海底丘B3を適切に確認できなくなる。
【0076】
また、島L1の南西部には海底窪地B2が存在する。図4下図に示すように、単位深さ当たりの等深線の数を減らせば、海底窪地B2も明確に確認できなくなる。例えば、調査データである海水温が海底付近であれば、海底窪地B2のような海底の凹部では低温の海水が滞留しやすいため、その把握は解析上で重要となる。しかしながら、画面上で凹部が確認できなければ、適切な解析の妨げとなり得る。
【0077】
これに対して、本実施の形態では、図4上図に示すように、3Dにより海底地形を表示している。特に、3D表示は、一般的な透視法射影ではなく正射影であると、より一層好ましく、さらに、いわゆる「3Dメガネ」等の補助具を用いない3D表示方式である、裸眼立体視表示方式が用いられると非常に好ましい。
【0078】
具体的には、図4上図に示すように、下表示パネル122の画面全体は、下図と同様に、3Dで地形を表示する3D地形表示領域31と、3Dインジケータ35を表示する3Dインジケータ表示領域32とに分割されている。3D地形表示領域31では、目視者(使用者、解析担当者)の手前に突出するように3D地形図34が正射影で裸眼立体視形式により表示され、この3D地形図34に重なる状態で、航空機10を示す航空機シンボル36a(図中白い球体)と、漂流型ブイ20Aを示すブイシンボル36b(図中網掛けの球体)とが表示されている。
【0079】
3D地形図34は、記憶部143に記憶されている3D形式の地形データから生成される3D画像オブジェクトであるが、必要に応じて、入力部13から新たに入力される地形データから生成されてもよい。また、3D地形図34は、陸上部分については等高線、海底部分については等深線に基づいて3D画像として表示される。
【0080】
また、3Dインジケータ表示領域32においても、略円柱状の3Dインジケータ35が正射影で裸眼立体視表示されており、この3Dインジケータ35は、調査データの変化に対応して、目視の手前側に向かって突出したり、逆に目視者から離れた奥側に引込んだりするように表示される。3Dインジケータ35の突出または引込みは、実際の画面に一致する基準面R2を基準としており、この基準面R2は、隣接する3D地形表示領域31に網掛けの面として示される基準面R1と一致している。また、3Dインジケータ表示領域32には、複数の3Dインジケータ35を区別するために、基準面R2上に仕切り格子線と、S1〜S4の文字が表示されているので、3Dインジケータ表示領域32は、3D画像と2D画像との双方が表示可能となっている。
【0081】
図4上図に示す4つの3Dインジケータ35の突出または引込み状態について説明すると、ブイシンボル36b−S1に対応する3Dインジケータ35−S1は、基準面R2と段差がなく突出も引込みもしていない状態にあり、調査データ(前記の例では、海水温の経時的変化)に変化が無いことを示している。また、ブイシンボル36b−S2に対応する3Dインジケータ35−S2は、目視者に向かってある程度突出しており、調査データにプラスの変化が生じていることを示している。ブイシンボル36b−S3に対応する3Dインジケータ35−S3は、大きく突出しており、調査データに大きなプラスの変化が生じていることを示しており、ブイシンボル36b−S4に対応する3Dインジケータ35−S4は、奥側に引込んでいるので、調査データにマイナスの変化が生じていることを示している。
【0082】
なお、図4上図においては、目視者の目視方向V1と正射影による3D表示との関係を説明する便宜上、3D画像である3D地形図34、航空機シンボル36a、ブイシンボル36b、3Dインジケータ35は、斜視図として示している。また、下図との対応関係を示すために、上図の航空機シンボル36aおよび4つのブイシンボル36bは、それぞれ下図の航空機シンボル136aおよび4つのブイシンボル136bと、二点鎖線でつないで表示している。
【0083】
図4上図に示すように、陸地L0、島L1,L2に対する航空機シンボル36aおよび各ブイシンボル36bの位置関係は、下図と同じである。しかしながら、3D地形図34が正射影表示されていることから、2D地形図134では不明確であった海底窪地B2、海底丘B3が明確に表示されている。また、3Dインジケータ35は、略円柱状の3D画像となっており、画面の手前から奥に渡って伸縮するように正射影表示される。それゆえ、2Dインジケータ135と比較して、調査データの変化の程度が一層明確となる。
【0084】
また、図4上図では、正射影による3D表示の基準面R1は、3D地形図34における海底の傾斜部の中腹に位置しているが、これを海水面まで上昇させたり、より深い位置まで下降させたりすることで、目視者から見て3D地形図34を全体的に高さ方向に上下移動させることもできる。なお、これに合わせて3Dインジケータ表示領域32の基準面R2も上下に移動する。
【0085】
さらに、表示装置11Aは、2D画像を表示する上表示パネル121も備えている(図2参照)ので、上表示パネル121による2D表示と下表示パネル122による正射影の3D表示とを対比させることで、解析担当者は、より一層適切な解析を行うことが可能となる。例えば、上表示パネル121では、地形図ではなく、気象レーダによる気象図を表示させ、下表示パネル122で正射影により海底地形を立体表示させれば、解析担当者は、降雨等の気象現象と海底地形とを容易に対比することができる。また、例えば調査の種類によっては、図4下図に示す2D表示と図4上図に示す3D表示とが切換可能となっていてもよい。
【0086】
前述した下表示パネル122の模式的な画面について、より具体的な構成を例示すれば、図5(a)に示すように、3D地形表示領域31、3Dインジケータ表示領域32に加えて、2Dテキスト表示領域33も含む構成が挙げられる。3D地形表示領域31は画面全体の大部分を占め、その向かって右側に3Dインジケータ表示領域32が位置し、その上側に2Dテキスト表示領域33が位置している。3D地形表示領域31および3Dインジケータ表示領域32は、前述のとおり、正射影により3D画像を表示する表示領域であるが、2Dテキスト表示領域33は、文字情報等、2Dでの表示が適している画像を表示する表示領域である。なお、図5(a)においては、説明の便宜上、3D地形図34および3Dインジケータ35は2次元的に図示している。
【0087】
3D地形表示領域31には、図4上図と同様に、1つの航空機シンボル36aと、複数のブイシンボル36bとが、3D地形図34に重ねて表示されている。この例では、ブイシンボル36bは9つ表示されているので、3Dインジケータ表示領域32には、3Dインジケータ35も9つ表示されている。
【0088】
ここで、3Dインジケータ35は、図5(b)に示すように、調査データの変化に対応して様々な変化が生じるように表示されてよい。例えば、図5(b)における向かって左端に示す3Dインジケータ35aは、単純な円柱状であって、目視者から見て、目視方向V1に沿って伸縮するように表示されるが、その右横に示す3Dインジケータ35bは、伸縮に伴って当該3Dインジケータ35bの天面(手前の面)の輝度が変化するように表示される。図5(b)では、天面が最奥に位置すれば、濃い網掛けで図示するように輝度が低く暗く表示されるが、手前に伸びるほど天面の輝度が高くなり(図中、網掛けの濃度が低下し)、明るく表示される。
【0089】
あるいは、3Dインジケータ35bの右横に示す3Dインジケータ35cは、伸縮に伴って、その天面の色が変化するように表示される。図5(b)では、天面が最奥に位置すれば、例えば寒色の青色(図中、縦線のハッチングで示す)で表示され、天面が中間に位置すれば、緑色(図中、斜線のハッチングで示す)で表示され、天面が最も手前に位置すれば、暖色の赤色(図中、斜め破線のハッチングで示す)で表示される。
【0090】
あるいは、向かって右端に示す3Dインジケータ35dは、伸縮に伴って、その天面の縮尺が変化するように表示される。図5(b)では、天面が最奥に位置すれば、当該天面の面積が小さく表示されるが、手前に伸びるほど天面の面積が高くなるように表示される。また、図示しないが、天面の形状が変化する(例えば、最奥の位置では矩形で、手前に伸びるほど円形に近づく)ように表示されてもよい。
【0091】
さらに、前記の各変化がそれぞれ組合せられてもよいし、前記以外の変化が組み合わせられてもよい。すなわち、3Dインジケータの天面において、輝度および色が変化するように構成されてもよいし、天面の大小変化に伴って天面の輝度および色の少なくとも一方が変化するように構成されてもよい。
【0092】
2Dテキスト表示領域33は、図5(a)に示すように、「13:23:45」という時刻と、「Z」という3D表示状態にあることを示す文字とを表示しており、さらに、文字情報に加えて、各種のアイコン等、2Dでの表示に適している画像も表示可能となっている。したがって、表示用データ生成部142(図3参照)は、表示用データとして文字情報を含む2D形式のデータも生成可能に構成され、また、記憶部143には、文字情報を含む2D形式の表示用データが記憶されていればよい。
【0093】
このように、3D画像と2D画像とを同時に表示することが可能であれば、陸上または海底の地形を3D画像で表示し、文字情報を通常の2D画像で表示することができる。それゆえ、目視者(解析担当者)が認識しやすいように、表示される画像の種類に応じて3Dまたは2Dの表示を切り換えることができる。
【0094】
なお、下表示パネル122で表示される3D画像は、当該画像の種類によって目視者から見ての高さの上限が予め決められていることが好ましい。例えば、3D地形図134は、海底地形等の急峻な地形変化を3D表示する画像であるのに対し、3Dインジケータ35は、調査データの程度または変化を表示する画像であるので、表示制御上では、3D表示における高さを、3Dインジケータ35よりも3D地形図134の方が高くなるように設定することができる。3Dインジケータ35は、伸縮可能な3D画像であるが、その最大伸張寸法が3D地形図134の高さを超えると、目視者にとっては、地形の目視の妨げとなり得る。逆に、3Dインジケータ35の伸縮変化を強調したい場合には、3D地形図134よりも3Dインジケータ35の方が高くなるように設定してもよい。
【0095】
[3D画像の表示制御]
次に、前述した正射影による3D画像の表示制御について、図3および図5(a),(b)に加えて、図6ないし図8を参照して具体的に説明する。
【0096】
図3に示す表示制御部141は、図6に示すように、まず、記憶部143から、予め記憶されている表示用データとしての地形データを読み出す(ステップS101:表示用データ読出ステップ)。このとき読み出される地形データは、典型的には、3D地形図34を表示するための3D地形データであるが、下表示パネル122にて2D地形図134を表示させる場合には、2D地形データが読み出される。
【0097】
次に、図3に示すように、データ受信装置15は、データ収集装置20(例えば漂流型ブイ20A)から調査データ(例えば海水温の経時的変化)を受信して、表示用データ生成部142に入力するので、表示制御部141は、表示用データ生成部142に対して、調査データから表示用データを生成させる(ステップS102:表示用データ生成ステップ)。
【0098】
なお、下表示パネル122で表示される画像の種類によっては、入力された調査データだけでなく、記憶部143に記憶されている各種データから、表示用データ生成部142により新たな表示用データを生成させてもよい。したがって、表示用データ生成部142による表示用データ生成ステップでは、取得した調査データだけでなく、他のデータから表示用データを生成してもよい。また、画面の構成上、3D地形図34(または2D地形図134)だけを表示させる場合には、表示用データ生成ステップを制御上、スキップすることもできる。
【0099】
次に、表示制御部141は、予め設定されている複数の表示領域毎に、画像オブジェクトを作成する(ステップS103:画像オブジェクト作成ステップ)。図5(a)に示す例では、下表示パネル122に設定される複数の表示領域は、3D地形表示領域31、3Dインジケータ表示領域32、および2Dテキスト表示領域33の3つであるので、各表示領域に表示される画像オブジェクトを表示用データから生成する。3D地形表示領域31においては、3D画像オブジェクトである3D地形図34が生成され、3Dインジケータ表示領域32においては、3D画像オブジェクトである3Dインジケータ35が生成され、2Dテキスト表示領域33においては、2D画像オブジェクトである文字列(テキスト)が生成される。
【0100】
次に、表示制御部141は、生成された2Dまたは3Dの画像オブジェクトのうち、高さZが最大の3D画像オブジェクトが作成された表示領域を「調整領域」として選択する(ステップS104:調整領域判定ステップ)。例えば、図7(a)に示すように、画像オブジェクトが生成された各表示領域を、XYZ座標に対応させた立体として模式的に示せば、3Dインジケータ35が最大伸張状態であったとしても、前述のとおり、通常、当該3Dインジケータ35の高さZよりも3D地形図34の高さZが大きくなるよう設定されている。そして、2D画像オブジェクトは高さZ=0であるので、調整領域として3D地形表示領域31が選択される。
【0101】
次に、表示制御部141は、調整領域について、3D画像オブジェクトを表示するための基準面R1の位置を調整する(ステップS105:オフセット調整ステップ)。つまり、調整領域のXYZ座標における相対位置を、高さZの方向にオフセットすることで、当該調整領域で表示される3D画像オブジェクトの突出の程度を調整する。例えば、図7(a)に示すように、3D地形表示領域31(図中直方体)は、その後端面がXY面上に接している状態にあるが、図7(b)に示すように、3D地形表示領域31を−Z方向に平行移動させて、高さZの中間にXY面が位置するように調整する。これによって、3D地形表示領域31の高さZの中間に基準面R1が位置することになる。なお、基準面R1は、高さZの中間に限定されないことはいうまでもない。
【0102】
次に、表示制御部141は、調整領域において、3D画像オブジェクトの奥行きを調整する(ステップS106:突出量調整ステップ)。「奥行きの調整」とは、図7(b)に参照符号Dmで示すように、目視者から見て、3D画像オブジェクトの手前の位置から最奥の位置までの間隔(奥行きDm)を調整することを指し、基準面R1からの3D画像オブジェクトの突出量に相当する。奥行きDmを適宜調整することで、目視者は、3D画像オブジェクトの手前および最奥のいずれも明確に視認することが可能となる。なお、この突出量調整ステップでは、高さZ方向(奥行きDm)の調整が目的であるので、XY方向の縮尺は変更しない。言い換えれば、このステップでは、3D地形表示領域31のXY方向の寸法は固定し、Z方向の縮尺のみが調整される。
【0103】
次に、複数の表示領域において、基準面が調整されていない表示領域が存在するか否かを判定する(ステップS107:未調整表示領域判定ステップ)。本実施の形態では、3Dインジケータ表示領域32および2Dテキスト表示領域33が残っているので(ステップS107においてYES)、ステップS104に戻る。ステップS104では、調整領域として3Dインジケータ表示領域32が選択され(2Dテキスト表示領域33は高さZ=0であるため)、ステップS105では、3Dインジケータ表示領域32のオフセット調整が行われ、図7(c)に示すように、基準面R2が、3D地形表示領域31の基準面R1(すなわちXY面)に一致するように移動する。目視者の目の焦点は、基準面R1に合わせられるので、基準面R2上に表示される仕切り格子線、文字等の2D画像は明確に目視できることになる。その後、ステップS106で3Dインジケータ表示領域32の突出量調整ステップが行われる。
【0104】
次に、ステップS107に進み、基準面が調整されていない表示領域の存在が判定され、2Dテキスト表示領域33が残っているので(ステップS107においてYES)、ステップS104に戻る。そして、ステップS105で2Dテキスト表示領域33のオフセット調整が行われ、図7(c)に示すように、平面である2Dテキスト表示領域33は、3D地形表示領域31の基準面R1(すなわちXY面)に一致するように移動する。目視者の目の焦点は、基準面R1に合わせられるので、2Dテキスト表示領域33に表示されるテキスト等の2D画像は明確に目視できることになる。その後、ステップS106は、実質的にスキップされ(3D画像は表示されないため)、ステップS107に進む。
【0105】
全ての表示領域について基準面の調整等が終了したので(ステップS107においてNO)、表示部(下表示パネル122)の各表示領域に対応する画像オブジェクトがそれぞれ表示される(ステップS108:画像表示ステップ)。このようにして、3D画像の一例の表示制御が終了する。
【0106】
このように、表示装置11Aにおいては、記憶部143に海域(または地域)の3D地形データが記憶されており、表示用データ生成部142は、調査データに変化が生じたときには、変化の前後で画像が異なって表示されるように、調査データに対応する表示用データを生成する。そして、表示制御部141は、3D地形データに基づいて海域(または地域)の地形を3D画像(3D地形図34)として下表示パネル122に表示させるとともに、調査データに変化が生じたときには、当該変化を、表示用データに基づく画像の変化として下表示パネル122に表示させる。この画像の変化は、図4下図に示す2Dインジケータ135のような2D画像でもよいが、前述した表示制御の通り、図5(a),(b)に示す3Dインジケータ35のような3D画像であると特に好ましい。
【0107】
これにより、少なくとも地形データが3D画像で表示され、調査データに変化が生じた場合には、好ましくは3D画像の変化として表示される。それゆえ、包括的な観点である海域(または地域)全体は、3D化されることで他の表示とは明確に区別できるとともに、局所的な観点である個々の調査データは、海域(または地域)の表示とは明確に区別することができる。しかも、収集された調査データの変化は、随時、画像の変化として表示されるので、包括的および局所的の双方の観点で取得された調査データを、即時的な解析に利用できるように、目視者(解析担当者)に与えることが可能となる。
【0108】
さらに、下表示パネル122では、3D地形図34および3Dインジケータ35の表示方式は、正射影の裸眼立体視表示方式である。3D画像が一般的な透視法射影でなく正射影で表示されれば、当該3D画像の表示上の大きさは、目視者の視点からの距離に関係なく変わることがない。しかも、3D画像は裸眼立体視表示されるので、目視者は、立体表示用のメガネ等を用いない裸眼で、海域の水深(または地域の高度差)に関係なく的確な地形の表示を認識することが可能となる。
【0109】
特に海洋調査の場合、海底地形が急峻であることから、一般的な透視法射影よりも正射影による3D画像の表示が非常に有利となる。すなわち、透視法射影で地形を3D表示すると、目視者の視点から目視方向に向かって仮定される視体積は、頂点が視点側、底面が遠方側に位置する略四角錐状(あるいはピラミッド状)となる。それゆえ、例えば、急峻な海底地形において、水深が増すほど実際の大きさより表示の大きさが小さくなることから、特定の地形に対するデータ収集装置20の位置関係を正確に認識できるように表示することが困難となる。これに対して、正射影で3D表示すれば、前記視体積は略直方体状となる。それゆえ、水深に関係なく正確な形状を表示することが可能であることから、例えば、特定の地形に対するデータ収集装置20の位置関係を正確に認識できる表示が可能となる。
【0110】
さらに、下表示パネル122の画面全体は、複数の表示領域に分割され、それぞれの表示領域で異なる画像が表示させるように構成されており、この場合、表示制御部141は、複数の表示領域のうち、表示される三次元画像の高さが最大となる表示領域において、高さ方向(Z方向)の基準面を設定し、残りの表示領域においても、基準面を基準として画像を表示するように構成されている。これにより、画面における手前または最奥部が明確に目視できるように、2Dまたは3D画像の表示を調整することができる。
【0111】
ここで、ステップS108の画像表示ステップでは、各表示領域に合わせた表示制御が行われるが、前記のとおり、3Dインジケータ35は、調査データに変化が生じたときには、少なくとも画面の奥行き方向に沿って表示が変化するように表示制御される。この表示制御について、図8を参照して具体的に説明する。
【0112】
まず、表示制御部141は、表示用データ生成部142から取得した表示用データに基づき、複数の3Dインジケータ35のうち、変化の生じた調査データに対応する3Dインジケータ35を、変化量に比例した長さに伸縮させる(ステップS201)。そして、伸縮に伴って、3Dインジケータ35の天面の輝度、色彩、縮尺、形状等を変化させる(ステップS202、例えば図5(b)参照)。その後、他に変化の生じた調査データが存在するか否かを判定し(ステップS203)、存在する場合(ステップS203でYES)には、ステップS201に戻り、存在しない場合(ステップS203でNO)には、この表示制御を終了する。
【0113】
このように、データ収集装置20で収集された調査データが変化すると、そのデータ変化は、二次元的な変化ではなく三次元的な変化を示す3Dインジケータ35として表示されることになる。それゆえ、包括的な観点の表示(3D地形表示領域31)と局所的な観点の表示(3Dインジケータ表示領域32)との区別を、より明確にすることができる。しかも、3Dインジケータ35の伸縮という画像の変化が、随時明確に把握されやすくなるため、調査データの即時的な解析への寄与を向上させることができる。
【0114】
具体的には、視野の中心部分(中心視野)は、目視者の視線が集中する領域であるので、目視者の視力を最大限に発揮することができる領域となる。したがって、目視対象を識別する場合に、十分な空間分解能(形状の知覚)を発揮でき、色彩の知覚も実質的に完全となる。それゆえ、下表示パネル122の画面上では、3D地形表示領域31を中心視野に対応するような位置に配置すればよい(図4上図、図5(a)参照)。一方、視野の周辺部分(周辺視野)は、中心視野と比較して、目視者にとって目視対象の形状または色彩を十分に知覚できない領域であるが、時間的な形状、位置等の変化に対して優れた反応特性を発揮できる領域となる。
【0115】
それゆえ、図4上図、図5(a)、図7(a)〜(c)に示すように、3Dインジケータ35を、例えば、3D地形表示領域31の横(3Dインジケータ表示領域32)に表示させることで、目視者は、3D地形図34およびブイシンボル36b等に視線を集中させて画面を観察している状態であっても、3Dインジケータ35の伸縮、さらには天面の輝度、色彩、縮尺、形状等の変化によって、調査データに変化が生じたことを適切に把握することができる。
【0116】
さらに、3Dインジケータ35の伸縮表示は、調査データの変化を経時的に表示可能とするものであるため、目視者(解析担当者)にとっては、調査データの即時解析に役立てることができる。
【0117】
例えば、海洋データの解析には、十分な解析時間を確保できる場合もあるが、解析に即時性が求められる場合も多い。例えば、前述した重油等の流出事故は、被害の拡大を防ぐために、重油等の拡散の監視およびその予測について即時的な解析が求められる。しかしながら、航空機を利用した従来の海洋調査においては、包括的および局所的の双方の観点で海洋データを取得し解析するとともに、即時性の高い解析に良好に対応し得る技術は知られていない。
【0118】
ここで、取得されたデータの解析には、当該データを数学的な手法または情報処理技術で解析することだけでなく、当該データを取り扱う担当者の確認および判断も含まれる。例えば、前述した重油等の流出事故において、保護すべき養殖場が複数存在し、かつ、保護を行うための人的および物的資源に限りがある場合を想定すれば、海洋地形、潮汐流、養殖場の規模、経済的影響等の諸条件を総合的に考慮して特定の養殖場のみを選択し、当該養殖場のみに保護のための資源を集中せざるを得ない。それゆえ、担当者は、特定の養殖場を選択するという判断を即時的に行うために、取得された各種の海洋データを解析することになる。
【0119】
本実施の形態では、表示装置11Aは、下表示パネル122において、地形データを3D画像で表示するだけでなく、調査データの変化を経時的にインジケータ画像で表示することが可能である。インジケータ画像は2D画像であってもよいが、3Dインジケータ35のように、3D画像であれば、調査データの変化は高さ方向(奥行き方向)の変化として表示できるので、目視者にとって非常に認識しやすくなるという利点がある。そのため、包括的および局所的の双方の観点で取得された調査データを、即時的な解析に利用できるように、解析担当者に提示することが可能となる。
【0120】
[変形例]
本発明においては、航空調査システムに、航空機10、表示装置11A、データ受信装置15、およびデータ収集装置20以外の機器等が含まれてもよい。たとえば、海洋調査であれば、各種船舶が含まれ、当該船舶との間でも調査データ等の通信が行われてもよい。また、山岳調査であれば、山麓または山頂に設けられた通信基地等が含まれてもよい。また、海洋調査、山岳調査に関わらず、航空機10がマルチスペクトラルスキャナ(MSS)等の調査機器を備えていてもよい。また、航空機10が複数含まれ、各航空機10が表示装置11A(およびデータ受信装置15)を搭載してもよい。また、航空調査システムの調査対象は、海洋または山地のいずれかに特定されず、双方を含む特定の領域全体であってもよい。
【0121】
また、海洋調査または山岳調査の具体的な目的等についても特に限定されない。例えば、海洋調査の場合には、建築土木等を目的とした海底地形等の調査、海洋環境の調査、海流の調査等に加えて、例えば、事故等による遭難者の捜索、海洋生物の行動調査、潜水型船舶等の動静調査等も含まれる。また、山岳調査の場合には、山岳地形の調査、山岳地の環境調査、山岳地の気象調査に加えて、例えば、事故による遭難者の捜索、山岳地の動物の行動調査等も含まれる。
【0122】
また、データ収集装置20は、特定の場所に設置される「固定型」(例えば、係留型ブイ20B)であっても、調査対象の領域を移動する「移動型」(例えば、漂流型ブイ20A)であってもよいが、さらに、動物の行動範囲を調査する目的で、動物に直接取り付ける「取付型」であってもよい。この場合、収集される調査データは、調査対象の領域内における動物の位置となる。同様に、固定型または移動型のデータ収集装置20においても、赤外線探知機、ソナー等の探知装置を備えることによって、動物、あるいは人間、さらには車両等の存在、挙動を調査データとして収集することができる。
【0123】
また、表示装置11Aは、上表示パネル121および下表示パネル122を備える構成となっているが、3D表示ができる下表示パネル122のみであってもよいし、これら以外の表示部を備える構成であってもよい。また、入力部13として、キーボード131、トラックボール132、ジョイスティック133、左タッチパネル123、右タッチパネル124を備えているが、入力部13として、これらのいずれか1つであってもよいし、これら以外の入力部13を備えてもよい。
【0124】
また、表示装置11Aを構成する入力部13、表示部、表示制御部141等は、図2に示すように一体化されておらず、それぞれ分離してケーブル等で接続される構成であってもよいし、表示装置11Aにデータ受信装置15等が一体化されている構成であってもよい。
【0125】
また、3D地形表示領域31は、3D地形図34をモノクロ表示(あるいは単色表示)してもよいが、複数色によるカラー表示する方が好ましい。特に、海底地形が非常に急峻であったり広域であったりする場合には、水深に応じて3D地形図34の表示色を変えると、目視者(解析担当者)にとって海底地形を把握しやすくなるため好ましい。例えば、大陸棚付近では薄い水色、海溝付近では深い青色として、水深が増すほど色が濃くなるように表示すれば、目視者は、直感的に大まかな推進を判断することが可能となる。それゆえ、3D画像との相乗効果によって、解析担当者の理解度をより高めることができる。
【0126】
さらに、本実施の形態では、本発明に係る表示装置が航空機に搭載され、航空調査システムに用いられる構成を特に好ましい実施の形態として説明したが、本発明は、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、海洋調査または山岳調査を目的としておれば、必ずしも航空機に搭載されていなくてもよく、どのような状況においても使用可能である。
【0127】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る表示装置は、下表示パネル122で表示される3D画像に対して、使用者(解析担当者)が手振りを行うことで、直接的に入力操作を行う構成となっている。当該構成の一例について、図9ないし図11を参照して具体的に説明する。
【0128】
図9に示すように、本実施の形態に係る表示装置11Bは、前記実施の形態1に係る表示装置11Aと同様の外観構成を有しているが、下表示パネル122の上部に手振り認識カメラ134が設けられている点が異なっている。なお、手振り認識カメラ134の上部には、上表示パネル121が位置しているので、図9に示す構成では、上表示パネル121および下表示パネル122の間に手振り認識カメラ134が位置していることになる。また、図9における矢印P3は、突出状態にある3Dインジケータ35が、使用者の手振り(あるいはジェスチャー)等の動作によって操作可能であることを示している。
【0129】
また、図10に示すように、表示装置11Bは、表示装置11Aと同様の制御系統を有しているが、手振り認識カメラ134に加えてインジケータ入力制御部144を備えている点が異なっている。なお、図10においては、データ収集装置20および入力部13は、図3とは異なり、簡略化して記載している。
【0130】
インジケータ入力制御部144は、操作対応画像領域抽出部144a、インジケータ座標特定部144bおよびインジケータ操作判定部144cから構成されており、手振り認識カメラ134で撮像された画像は、操作対応画像領域抽出部144aに入力される。また、表示制御部141からインジケータ座標特定部144bに対して、後述する3Dインジケータ35の天面の中心座標が入力される。
【0131】
操作対応画像領域抽出部144aは、手振り認識カメラ134で撮像された使用者(目視者)の上半身画像から、下表示パネル122に表示される3Dインジケータ35を操作した手(右利きの場合、右手)に対応する画像領域を、「操作対応画像領域」として抽出する。この操作対応画像領域は、使用者の手の位置を3D位置データに相当する。インジケータ座標特定部144bは、表示制御部141から入力された、3Dインジケータ35の中心座標を、世界座標系の座標に変換して、当該3Dインジケータ35の座標を特定する。ここでいう世界座標系とは、下表示パネル122の画面前方において、使用者が操作に対応する手振りを行う操作空間(仮想世界)に設定された座標系であり、世界座標系に変換される前の中心座標は、3Dインジケータ35という3D画像にとっての位置データ(画像用位置データ)である。
【0132】
操作対応画像領域抽出部144aで抽出された操作対応画像領域(3D位置データ)と、インジケータ座標特定部144bにて特定された3Dインジケータ35の天面の世界座標とは、インジケータ操作判定部144cに入力される。インジケータ操作判定部144cでは、前記操作対応画像領域と、天面の世界座標とを対比し、これらの間隔が最も近くなる組合せを選択して、その距離(最近接距離)Dsを算出する。さらに、最近接距離Dsの上限値(上限距離ds)が予め設定されており、算出された最近接距離Dsが上限距離dsよりも小さい状態が一定時間維持されれば、特定の3Dインジケータ35に使用者が操作を行ったと判定し、表示制御部141に出力する。
【0133】
本実施の形態において、手振り認識カメラ134およびインジケータ入力制御部144の具体的構成は特に限定されない。手振り認識カメラ134としては、動作、手振りの入力に用いられる公知のデジタル撮像器が用いられる。インジケータ入力制御部144としては、表示制御部141の機能構成であって、表示制御部141としてのCPUが、記憶部143に格納されるプログラムに従って動作することにより実現される構成が挙げられるが、公知のスイッチング素子、減算器、比較器等による判定回路等として構成されてもよい。
【0134】
また、手振り認識カメラ134で撮像される使用者の手振り(あるいはジェスチャー)等の動きは、典型的には、使用者の五指の動きであるが、もちろんこれに限定されず、五指以外の掌の一部の動きであってもよいし、使用者が把持するペンまたはその類似物の動きであってもよい。本実施の形態では、使用者(操作者)の五指に、掌の一部または指以外の物体を含めて「操作指部」と称するものとする。
【0135】
さらに、前記操作指部の動きは、手振り認識カメラ134以外の機器により認識されてもよい。例えば、下表示パネル122として用いられるディスプレイが光センサを一体的に組み込むことで、画面前方での操作指部の動きを認識する構成を挙げることができる。あるいは、可視光の存在下で画像を撮像するカメラではなく、赤外線カメラで操作指部の動きを認識する構成であってもよい。したがって、本実施の形態では、表示部の前で操作者(使用者、目視者、解析担当者)の手振り等による操作指部の位置を、当該表示部の画面を基準とした3D位置データとして入力可能とする3D位置データ入力部を備えていればよい。
【0136】
前記構成の表示装置11Bにおいて、インジケータ入力制御部144による3Dインジケータ35の操作制御について、図11を参照して具体的に説明する。
【0137】
まず、表示制御部141は、表示されている3Dインジケータ35の天面の中心座標をインジケータ座標特定部144bに入力し、これにより、インジケータ入力制御部144は、天面の中心座標を取得する(ステップS301)。次に、インジケータ座標特定部144bは、取得した中心座標を前記世界座標に変換する(ステップS302)。
【0138】
また、下表示パネル122の画面前方における使用者の手振りは、手振り認識カメラ134により上半身画像として撮像され、操作対応画像領域抽出部144aに入力されるので、インジケータ入力制御部144は、使用者の上半身画像を取得する。そして、操作対応画像領域抽出部144aは、上半身画像から、例えば右手に対応する画像領域を、操作対応画像領域として抽出する(ステップS303)。
【0139】
そして、インジケータ操作判定部144cは、抽出された操作対応画像領域(操作指部の3D位置データ)と、特定された3Dインジケータ35の天面の世界座標(画像用位置データ)とを対比し、前述したように、最近接距離Dsを算出する(ステップS304)。その後、インジケータ操作判定部144cは、最近接距離Dsが、上限距離dsよりも小さい状態(Ds<ds)が一定時間維持されているか否か(一定時間Ds<dsであることを満たしているか否か)を判定する(ステップS305)。
【0140】
満たしている場合(ステップS305でYES)には、特定の3Dインジケータ35が使用者により操作されたと判定し、その判定結果を表示制御部141に出力する。表示制御部141は、操作に応じた内部イベントを発生させる制御を行う(ステップS306)。一方、満たしていない場合(ステップS305でNO)には、3Dインジケータ35は操作されていないと判定し、その判定結果を表示制御部141に出力する。表示制御部141は、3Dインジケータ35が操作されていないことから、特に処理を行わず、インジケータ入力制御部144の制御を終了させる。
【0141】
このように、表示装置11Bは、入力部として手振り認識カメラ134をさらに備え、制御ブロックとしてインジケータ入力制御部144をさらに備えている。そのため、下表示パネル122で表示される3Dインジケータ35に、使用者が触れるような動作(手振り)を行えば、表示装置11Bに対して操作指令(あるいは各種データ)の入力が可能となる。それゆえ、下表示パネル122における表示とデータ入力とを直接的に対応させるため、操作性がより向上する。
【0142】
なお、使用者によって操作が可能な3D画像は、3Dインジケータ35に限定されず、例えば、3D地形図34、航空機シンボル36a、ブイシンボル36b等、3D地形表示領域31に表示される3D画像であってもよい。これら3D画像の表示に用いられる表示用データには、前記操作空間に設定される3D位置データに対応する、画像用位置データが含まれていればよい。これにより、ステップS304を実行することができる。
【0143】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る表示装置は、上表示パネル121または下表示パネル122を目視する目視者が視線入力を行うことができる構成となっている。当該構成の一例について、図12および図13を参照して具体的に説明する。
【0144】
図12に示すように、本実施の形態に係る表示装置11Cは、前記実施の形態2に係る表示装置11Bと同様の外観構成を有しているが、下表示パネル122の下部で、卓部112の手前側に、視線追跡カメラ135が設けられている点が異なっている。なお、図12における矢印P4は、視線追跡カメラ135で撮像される目視者の目の動きを示し、矢印P5は、当該視線の動きP4に合わせてカーサシンボル30が、上表示パネル121および下表示パネル122の間を移動可能であることを示している。
【0145】
また、図13に示すように、表示装置11Cは、表示装置11Bと同様の制御系統を有しているが、視線追跡カメラ135に加えて視線追跡入力制御部145を備えている点が異なっている。なお、図13においても、図10同様、データ収集装置20および入力部13は、図3とは異なり、簡略化して記載している。視線追跡カメラ135は、目視者の視線の動きを、撮像データとして視線追跡入力制御部145に入力し、視線追跡入力制御部145は当該撮像データから操作指令を生成して表示制御部141に入力する。表示制御部141は入力された操作指令に基づいて表示制御を行う。
【0146】
本実施の形態において、視線追跡カメラ135および視線追跡入力制御部145の具体的構成は特に限定されない。視線追跡カメラ135としては、アイトラッキングの分野で公知のデジタル撮像器が用いられる。視線追跡入力制御部145としては、表示制御部141の機能構成であって、表示制御部141としてのCPUが、記憶部143に格納されるプログラムに従って動作することにより実現される構成が挙げられる。用いられるプログラムとしては、アイトラッキングの分野で公知のさまざまなプログラムが挙げられる。
【0147】
このように、表示装置11Cは、入力部として視線追跡カメラ135を備え、制御ブロックとして視線追跡入力制御部145を備えている。それゆえ、視線追跡カメラ135により表示部の画面を目視する目視者の目の動きを、データの入力に利用することができるので、例えば、複数ステップの入力動作を目の動きだけで実現できたり、図12に示すように、画面上のカーサシンボル30の移動を目の動きで迅速に行ったりすることができる。
【0148】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態3に係る表示装置は、上表示パネル121または下表示パネル122を目視する目視者が視線入力を行うことができる構成となっている。当該構成の一例について、図14および図15(a),(b)を参照して具体的に説明する。
【0149】
図14に示すように、本実施の形態に係る表示装置11Dは、前記実施の形態3に係る表示装置11Cと同様の制御系統を有しているが、下表示パネル122の前面にマルチタッチパネル136が一体的に取り付けられている点が異なっている。目視者は、下表示パネル122の画面を指先等で直接触れることで、操作指令あるいは各種データを表示制御部141に入力することができる。
【0150】
下表示パネル122の前面に取り付けられるタッチパネルの具体的構成は特に限定されないが、マルチタッチパネル136であると、特に好ましい。マルチタッチパネル136であれば、画面上の2箇所に、両手の指先を同時に置くだけで、3D地形図34の特定の領域を指定することが可能となる。具体的には、図15(a)に示すように、3D地形表示領域31に、例えば、南西諸島等を除いた日本列島の3D地形図34が図示されているものとする。目視者は、北海道に相当する領域の対角線を挟むように、両手の人差し指を画面上に置けば、図中一点鎖線の枠画像である領域指定枠37が表示され、北海道を囲む領域が指定される。その後、両手の人差し指を離せば、領域が確定し、図15(b)に示すように、例えば、北海道のみの3D地形図34が拡大表示される。
【0151】
このように、下表示パネル122の前面にタッチパネルを設ければ、目視者が画面を直接触れることで、操作指令または各種データの入力が可能となる。さらに、前述のマルチタッチパネル136を用いれば、画面の複数個所に触れることで、より簡単な操作で領域指定を行う等、操作の手数を削減することができる。例えば、シングルタッチのタッチパネルであれば、領域指定には4ステップ必要となるが、マルチタッチパネル136であれば、2ステップとすることができる。それゆえ、画面の表示とデータ等の入力を直接対応させるだけでなく、入力操作を簡素化することも可能になるので、操作性をより一層向上させることができる。
【0152】
なお、本発明は上記の各実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、航空調査のうち、特に、地形の変化が急峻な海洋調査、山岳調査等の分野に特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0154】
10 航空機
11A〜11D 表示装置
13 入力部
15 データ受信装置
20 データ収集装置
20A 漂流型ブイ(データ収集装置、浮体)
20B 係留型ブイ(データ収集装置、浮体)
20Cテレメータ(データ収集装置)
21 データ取得部
22 送信部
31 3D地形表示領域(複数の表示領域)
32 3Dインジケータ表示領域(複数の表示領域)
33 2Dテキスト表示領域(複数の表示領域)
34 3D地形図(三次元画像)
35 3Dインジケータ(三次元画像、インジケータ画像)
121 上表示パネル(表示部)
122 下表示パネル(表示部)
123 左タッチパネル(表示部、入力部)
124 左タッチパネル(表示部、入力部)
131 キーボード(入力部)
132 トラックボール(入力部)
133 ジョイスティック(入力部)
134 手振り認識カメラ(入力部、三次元位置データ入力部)
135 視認追跡カメラ(入力部)
136 マルチタッチパネル(入力部、タッチパネル)
141 表示制御部(制御部)
142 表示用データ生成部
143 記憶部
R1,R2 基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋調査または山岳調査の対象となる海域または地域に所在する複数のデータ収集装置により収集され、通信により取得された調査データを表示可能とする、表示装置であって、
二次元画像および三次元画像を同時に表示可能とする表示部と、
地形を前記三次元画像として表示するための三次元地形データを少なくとも含む表示用データを記憶する記憶部と、
前記データ収集装置より取得した調査データから、当該調査データの表示用データを生成する表示用データ生成部と、
制御部と、を備え、
前記表示用データ生成部は、前記調査データに変化が生じたときには、変化の前後で画像が異なって表示されるように、前記表示用データを生成し、
前記制御部は、前記三次元地形データに基づいて前記海域または地域の地形を三次元画像として前記表示部に表示させるとともに、
前記調査データに変化が生じたときには、当該変化を、前記表示用データに基づく画像の変化として前記表示部に表示させるよう構成されていることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記表示用データ生成部は、前記調査データに変化が生じたときには、当該調査データを示す画像を、少なくとも画面の奥行き方向に表示が変化する三次元画像である、インジケータ画像として表示されるように、前記表示用データを生成することを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示用データ生成部は、文字情報を含む二次元形式の表示用データをさらに生成し、
前記制御部は、前記表示用データに基づき、三次元画像と同時に、二次元画像を前記表示部に表示させるよう構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記三次元地形データを、等高線または等深線に基づいた三次元画像として表示するよう構成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、三次元画像を、正射影で裸眼立体視により表示するよう構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記表示部における画面全体を複数の表示領域に分割し、それぞれの前記表示領域で異なる画像を表示させるとともに、
前記表示領域のうち、表示される三次元画像の高さが最大となる表示領域において、当該三次元画像の高さ方向の基準面を設定し、
全ての前記表示領域において、前記基準面を基準として画像を表示するよう構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記調査データ以外のデータを入力可能とする入力部を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記入力部が、前記表示部と一体化されたタッチパネルであることを特徴とする、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記入力部は、前記表示部の前における操作者の操作指部の位置を、当該表示部の画面を基準とした三次元位置データとして入力する三次元位置データ入力部であり、
前記表示用データのうち三次元形式の画像の表示に用いられるデータには、入力される前記三次元位置データに対応する画像用位置データが含まれ、
前記制御部は、前記三次元位置データおよび前記画像用位置データとの差分から、前記入力者による操作指令の入力を実行させる制御を行うことを特徴とする、請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記入力部が、視線追跡カメラであることを特徴とする、請求項7に記載の表示装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の表示装置と、
調査データを取得するデータ取得部および取得した調査データを送信する送信部を備えるデータ収集装置と、
前記データ収集装置から受信した前記調査データを前記表示装置に入力するデータ受信装置と、
を備えていることを特徴とする、航空調査システム。
【請求項12】
前記データ収集装置が、水面に浮かぶ浮体であることを特徴とする、請求項11に記載の航空調査システム。
【請求項13】
表示用データに基づいて、二次元形式の画像および三次元形式の画像を同時に表示可能とする画像表示ステップと、
海洋調査または山岳調査の対象となる海域または地域に所在する複数のデータ収集装置により収集され、通信により取得された調査データから、当該調査データに対応する前記表示用データを生成する、表示用データ生成ステップと、を含み、
前記表示用データには、予め記憶されている、地形を三次元形式の画像として表示するための三次元地形データが含まれ、
前記表示用データ生成ステップでは、前記調査データに変化が生じたときに、当該変化の前後で画像が異なって表示されるように、前記表示用データを生成し、
前記画像表示ステップでは、前記変化を、前記表示用データに基づく三次元形式の画像の変化として表示することを特徴とする、表示装置の表示方法。
【請求項14】
前記画像表示ステップでは、前記調査データに変化が生じたときには、当該調査データを示す画像を、少なくとも画面の奥行き方向に沿って表示が変化するインジケータ画像として表示することを特徴とする、請求項13に記載の表示方法。
【請求項15】
前記表示用データ生成ステップでは、さらに、文字情報を含む二次元形式の表示用データを生成し、
前記画像表示ステップでは、前記表示用データに基づき、三次元形式の画像と同時に、二次元形式の画像を表示することを特徴とする、請求項13に記載の表示方法。
【請求項16】
前記画像表示ステップでは、前記三次元地形データを、等高線または等深線に基づいた三次元画像として表示する、請求項13または14に記載の表示方法。
【請求項17】
前記画像表示ステップでは、前記三次元形式の画像が、正射影立体表示により裸眼立体視表示されることを特徴とする、請求項16に記載の表示方法。
【請求項18】
前記画像表示ステップでは、画面全体を複数の表示領域に分割し、それぞれの前記表示領域で異なる画像を表示するとともに、
前記表示領域のうち、表示される三次元画像の高さが最大となる表示領域において、当該三次元画像の高さ方向の基準面を設定し、
全ての前記表示領域において、前記基準面を基準として画像を表示することを特徴とする、請求項17に記載の表示方法。
【請求項19】
前記表示装置が航空機搭載用の表示装置であることを特徴とする、請求項13から18に記載の表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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