説明

表示装置およびその製造方法

【課題】 EL薄膜パネルにおいて、低コストな平板状の封止用対向基板を用いて良好な封止性能を得る。
【解決手段】 薄膜EL発光素子10が形成されたガラス基板1と、薄膜EL発光素子10を封止するための平板状の封止用対向基板11とが貼り合わされ、封止用対向基板11上に、ガラス基板1と封止用対向基板11間の封止空間18に貫通孔14を通して連通可能とする凹部を有する第3基板15が貼り合わせられる。平板状の封止用対向基板11を用いても、第3基板15の凹部および封止空間18により内部空間の体積をより大きくすることができる。また、第3基板15の凹部内には吸湿材17が配置され、凹部内に連通する封止空間18の相対湿度を低くすることができる。さらに、第3基板15の凹部は、封止用対向基板11に凹部を形成する場合に比べて小面積でよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子として無機EL(Electro luminescence;エレクトロ・ルミネッセンス)素子および有機EL素子などのEL素子や、その他の発光素子を用いた発光型の表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したEL素子を用いたEL表示装置には、発光層が無機材料からなる無機EL素子を用いた無機ELパネルと、発光層が有機材料からなる有機EL素子を用いた有機ELパネルとが存在する。これらの無機EL素子および有機EL素子はいずれも、湿気により劣化するため、EL表示装置では、防湿のために発光素子部を封止することが不可欠になっている。
【0003】
以下に、従来のEL表示装置の発光素子部の封止方法について、図16に示す薄膜ELパネルを一例に挙げて説明する。
【0004】
図16に示すように、薄膜ELパネル50は、ガラス基板51上に、第1電極52、第1絶縁層53、発光層54、第2絶縁層55および第2電極56が順次積層されて、発光素子としての薄膜EL素子を構成している。
【0005】
これらの第1電極52および第2電極56はそれぞれ短冊状の複数本が互いに平行かつ、第1電極52と第2電極56とが直交する方向に形成されており、第1電極52と第2電極56間に電圧を印加することによって、発光素子部として、両電極間に挟まれた発光層54が選択的に発光して文字・図形などを表示可能になる。
【0006】
この発光素子部を封止するために、ガラス基板31の発光素子部側と、この発光素子部が収容可能な対向基板(封止板)61の凹部側とが対向するように接着材62によって貼り合わされている。この接着材62を通して外部から、ガラス基板31と対向基板61間の封止空間に水分が浸入してしまうと相対湿度が高くなって、発光素子の劣化が加速される。
【0007】
よって、封止空間の体積を大きくするべく対向基板61に凹部を設ける方法、封止空間に充填材として飽和水分量が高い材料を充填する方法、および封止空間に吸湿材を配置する方法などの各種対策が施される。
【0008】
図16の事例では、対向基板61に凹部が形成されており、封止空間の体積が大きくとられている。
【0009】
また、図16の事例では、両基板間に、充填材として、吸湿材63を混入したシリコンオイル64が充填されている。この充填材は、対向基板61に設けられた貫通孔65から封止空間に充填され、この貫通孔65は封止金属66および接着材67によって貼り合わされた封止ガラス68によって密閉されて封止されている。
【0010】
上記充填材としては、例えば特許文献1および特許文献2に記載されているように、絶縁オイル、シリコンオイル、吸湿材を混入したシリコンオイルまたは弗素化合物絶縁油などを用いることができる。特に、吸湿材63が混入されたシリコンオイル64を用いると、耐湿寿命が非常に優れていることから、FA(Factory Automation;ファクトリオートメイション)用など、高信頼性が要求される用途にも適している。
【0011】
その他にも、無機EL素子の封止方法として、例えば特許文献3には、封止空間の体積を大きくするために平板状の対向基板(封止板)と環状のガラス層とを組み合わせる方法が記載されている。また、特許文献4には、平板状の対向基板とビーズ形状のスペーサとを組み合わせる方法が記載されている。さらに、特許文献5には、平板状の対向基板と短冊状のスペーサとを組み合わせる方法が記載されている。
【0012】
また、有機EL素子の封止方法として、例えば特許文献6には、有機EL素子が形成された基板と絞り加工により凹部が形成された金属製対向基板とを貼り合わせた後、両基板の間に不活性ガスを充填する方法が記載されている。また、特許文献7には、有機EL素子が形成された基板と凹部に吸湿材が配置された金属製対向基板とを貼り合わせた後、両基板の間に不活性ガスを充填する方法が記載されている。さらに、特許文献8および特許文献9には、有機EL素子が形成された基板と掘り込み加工により凹部が形成されたガラス製対向基板とを貼り合わせた後、乾燥材と不活性ガスとを封入する方法が記載されている。さらに、特許文献10には、有機EL素子が形成された基板と平板状のガラス製対向基板とをスペーサ材を混合したシール材によって貼り合せる方法が記載されている。さらに、特許文献11には、有機EL素子が形成された基板と平板状のガラス製対向基板とを貼り合せた後、オイルを充填する方法が記載されている。さらに、特許文献12には、長期間に亘って吸着性能が維持される吸着材成型体を、ハウジング(封止容器)内部に形成する方法が記載されている。
【特許文献1】特許公報−昭59−8039号公報
【特許文献2】特開平10−134959号公報
【特許文献3】実開平2−137796号公報
【特許文献4】特開昭63−252391号公報
【特許文献5】特開平10−3988号公報
【特許文献6】特開平4−249092号公報
【特許文献7】特開平3−261091号公報
【特許文献8】特開2001−185349号公報
【特許文献9】特開2001−57287号公報
【特許文献10】特開平11−214152号公報
【特許文献11】特開平10−74582号公報
【特許文献12】特開2003−320215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、上記従来のEL素子の封止方法として、各種方法が考案・実用化されている。しかしながら、これらの方法にはいずれも、コスト、性能および製造工程などに問題がある。
【0014】
例えば、発光素子部が形成された発光素子部形成基板と、この発光素子部を封止するためのガラス製または金属製の封止用対向基板とは、樹脂製接着材により貼り合せられているため、接着材部を通して外部から封止空間に水分が浸入する。発光素子の劣化は、封止空間の相対湿度が高くなると加速されるため、上記従来の構成では、内部の体積を大きくすること、内部の充填材として飽和水分量が高い材料を使用すること、および吸湿材を配置することなどの対策が取られている。また、封止空間への水分の侵入を抑えるために、接着幅(シール幅)を広くすること、接着厚(発光素子部形成基板−封止用対向基板間隔)を薄くすること、透湿度が小さい接着材を用いること、発光素子部形成基板または封止用対向基板と接着材との密着性を向上させる方法などが用いられている。
【0015】
ここで、発光素子部の封止に用いられる封止用対向基板としては、凹部を有するものと、平板状のものとが挙げられる。
【0016】
凹部を有する封止用対向基板を用いることにより、封止空間の体積を大きくすると共に、吸湿材を配置するスペースを確保することができる。したがって、封止用対向基板に凹部を形成することにより、優れた封止性能が得られると考えられるが、この封止用対向基板への凹部加工が必要になるためコストが高くなる。
【0017】
一方、平板状の封止用対向基板を用いる場合には、充分な封止性能が得られないと考えられる。例えば、下記表1を用いて説明する。下記表1には、標準的な構成で凹部が形成された封止用対向基板を用いた封止方法と、平板状の封止用対向基板とを用いた封止方法とについて、接着材厚さと封止空間の基板間距離との例を示している。
【0018】
【表1】

上記表1に示すように、平板状の対向基板を用いた封止方法では、接着材厚さと封止空間の基板間距離とが同じになり、封止空間の体積と接着材厚の比とを大きく設定することはできない。なお、封止空間の体積/接着材厚(封止空間の体積と接着材厚の比)は、大きい程、封止空間の相対湿度を低く設定することができるため、封止性能を向上させることができる。
【0019】
これに対して、凹部を有する封止用対向基板を用いた封止方法では、接着材厚さと封止空間の基板間距離とを自由に設定することができるため、封止部内部の体積と接着材厚の比とを大きく設定して、封止性能を向上させることができる。
【0020】
さらに、封止空間に吸湿材を配置する方法と、封止空間に吸湿材を配置しない方法とがある。ここで、吸湿材を配置することは、封止空間の体積を大きく設定することに比べて、封止性能を向上させる効果が大きい。特に、酸化カルシウムのように、非可逆的であり、低湿度の領域から強力な吸湿性を示す吸湿材は、接着材を通して封止空間に侵入した水分が吸湿材に吸着されるため、封止空間の体積が大きくない場合であっても、優れた封止性能を示す。
【0021】
凹部を有する封止用対向基板を用いる場合には凹部全体に吸湿材を配置することができ、さらに特許文献12のように封止容器が比較的大きい場合には吸着材成型体を形成して封止容器内部に配置することもできるが、封止用対向基板が平板状の場合には吸湿材を配置可能なスペースを確保することが困難である。
【0022】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、凹部加工が不要で低コストな平板状の対向基板を用いても充分な封止性能を得ることができる表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の表示装置は、表面上に発光素子が形成された第1基板と平板状の第2基板とが互いに対向して、両基板間の封止空間内に該発光素子を有するように固定され、
凹部を有する第3基板が、該凹部を内側にして該第1基板および該第2基板のうち少なくともいずれかの外側表面上に該凹部内を封止するように固定され、
該第3基板が固定された片方の基板側または当該基板の端面側に、該封止空間と該凹部内とを連通させる連通空間が設けられており、そのことにより上記目的が達成される。
【0024】
また、好ましくは、本発明の表示装置における連通空間は、前記第3基板が固定された片方の基板側に形成された貫通孔である。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板および前記第2基板の一方上でかつその他方の前記基板端面側に固定された第4基板を更に有し、該第4基板の端面に切り欠き部が設けられ、該切り欠き部と該基板端面側間、および該第1基板と該第2基板間の一部に前記連通空間が設けられている。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板は前記第1基板および該第2基板の外側表面上に固定され、前記連通空間は、該第1基板および該第2基板の一方の端面側と該第3基板の凹部間、および該第1基板と該第2基板間の一部に設けられている。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板は、ガラス、金属、金属層を積層した樹脂フィルムのいずれかである。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における金属および、金属層を積層した樹脂フィルムのいずれかは絞り加工が施されて前記凹部が形成されている。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における発光素子は、無機薄膜EL(Electro luminescence)素子、有機薄膜EL素子、有機/無機ハイブリッド型EL素子または厚膜/薄膜ハイブリッド型EL素子である。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板の凹部内に、特定物質を吸着する吸着物質が配置されている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における吸着物質は、前記特定物質として水分および酸素のうち少なくとも水分を吸着する材料である。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における吸着物質は、吸湿材または乾燥材である。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における吸着物質は、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化マグネシウムの少なくともいずれかである。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板と前記第2基板とは、径が1μm以上20μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板と前記第2基板とは、径が3μm以上10μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板と前記第1基板または前記第2基板とは、径が1μm以上20μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板と前記第1基板または前記第2基板とは、径が3μm以上10μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置におけるスペーサがビーズ形状である。
【0039】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板と前記第1基板または前記第2基板とが、UV(紫外線)硬化型接着材によって貼り合わされている。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における接着材はエポキシ系接着材である。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板の凹部の深さが0.05mm以上1.00mm以下に設定されている。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板の凹部の深さが0.1mm以上1.00mm以下に設定されている。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板および前記第2基板が湾曲して表示部が曲面である。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第3基板は、前記第1基板または前記第2基板の端部の表面上に固定され、該第1基板および第2基板は該第3基板が配置されていない部分で湾曲されている。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板および第2基板の厚みが0.01mm以上0.3mm以下に設定されている。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板および第2基板の厚みが0.05mm以上0.2mm以下に設定されている。
【0047】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における第1基板と第2基板間の封止空間内に特定ガスが充填されている。
【0048】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置における特定ガスは、乾燥空気、窒素ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれかである。
【0049】
本発明の表示装置の製造方法は、第1基板上に発光素子を形成する工程と、第2基板または該第1基板に貫通孔を形成し、該第2基板と該第1基板とを、両基板間の封止空間内に該発光素子を有するように貼り合せる工程と、前記凹部を有する第3基板と該第1基板または該第2基板とを、該凹部内が該貫通孔を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0050】
本発明の表示装置の製造方法は、第1基板上に前記発光素子を形成する工程と、両基板間の封止空間内に該発光素子を有するように第2基板と該第1基板とを貼り合せる工程と、 該第1基板および該第2基板を薄板化する薄板化工程と、薄板化した第1基板または第2基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、前記凹部を有する第3基板と薄板化した第1基板または第2基板とを、該凹部内が該貫通孔を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0051】
本発明の表示装置の製造方法は、第1基板上に発光素子を形成する工程と、端面に切り欠き部が設けられた第4基板および平板状の第2基板と該第1基板とを、該切り欠き部と該第2基板の端面とを対向させかつ、該第2基板と該第1基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該切り欠き部と該第2基板の端面間の空間を該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、前記凹部を有する第3基板と、該第1基板または該第2基板、および該第4基板とを、該凹部内が、該切り欠き部と該第2基板の端面間の連通空間、および該第1基板と該第2基板間の一部の連通空間をそれぞれ通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0052】
本発明の表示装置の製造方法は、第1基板上に前記発光素子を形成する工程と、端面に切り欠き部が設けられた第4基板および平板状の第2基板と該第1基板とを、該切り欠き部と該第2基板の端面とを対向させかつ、該第2基板と該第1基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該切り欠き部と該第2基板の端面間の空間を該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、該第1基板、該第2基板および該第4基板を薄板化する薄板化工程と、前記凹部を有する第3基板と、薄板化した第1基板または第2基板、および薄板化した第4基板とを、該凹部内が、該切り欠き部と該第2基板の端面間の連通空間、および該第1基板と該第2基板間の一部の連通空間を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0053】
本発明の表示装置の製造方法は、第1基板上に発光素子を形成する工程と、平板状の第2基板と該第1基板とを、両基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、前記凹部を有する第3基板と該第1基板および該第2基板とを、該凹部内が該連通空間を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0054】
本発明の表示装置の製造方法は、第1基板上に前記発光素子を形成する工程と、
平板状の第2基板と該第1基板とを、両基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、該第1基板および該第2基板を薄板化する薄板化工程と、前記凹部を有する第3基板と、薄板化した第1基板または第2基板とを、該凹部内が該連通空間を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有し、そのことにより上記目的が達成される。
【0055】
また、好ましくは、本発明の表示装置の製造方法における第3基板貼り合せ工程後に、前記第1基板および前記第2基板を所定の曲面に湾曲させる工程を更に有する。
【0056】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置の製造方法における薄板化工程は、化学的エッチングにより前記第1基板および前記第2基板を薄板化する。
【0057】
さらに、好ましくは、本発明の表示装置の製造方法における貫通孔形成工程は、レーザ照射により前記第1基板または前記第2基板の所定位置に貫通孔を形成する。
【0058】
上記構成により、以下に、本発明の作用を説明する。
【0059】
本発明にあっては、発光素子が形成された第1基板と、平板状の第2基板(対向基板)とが貼り合わされ、第1基板または第2基板に凹部を有する第3基板が貼り合わされている。第1基板または第2基板の、凹部内に対応する部分に貫通孔が設けられており、平板状の第2基板を用いても、第3基板の凹部内の体積分だけ、これに連通する封止空間の体積に含めることで内部体積を大きくして相対湿度を低くすることが可能となる。第3基板は、第2基板よりも大幅に小面積でよいため、より低コストで凹部を形成することが可能となる。
【0060】
また、第3基板の凹部には、吸湿材や乾燥材などのように水分や酸素を吸着する吸着物質が配置されており、平板状の第2基板を用いても吸着物質の配置スペースを確保することが可能となる。
【0061】
さらに、第1基板と第2基板と、および第3基板と第1基板または第2基板とを、接着材の強度が低下しない範囲の厚みで薄く貼り合せることによって、接着材を通して封止空間に水分が侵入することを抑制することが可能となる。接着材の厚みは、例えば径が1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下のスペーサを混合することによって調整することが可能となる。
【0062】
さらに、第1基板と第2基板とを貼り合せる接着材、および第1基板または第2基板と第3基板とを貼り合せる接着材として、透湿度が低いエポキシ系接着材を用いることによって、接着材を通して封止空間に水分が侵入することを抑制することが可能となる。
【0063】
第1基板または第2基板と第3基板とを貼り合せる接着材として、UV(紫外線)硬化型接着材を用いることによって、UV照射により容易に貼り合わせを行うことが可能となる。
【0064】
接着材に混入されるスペーサとしてビーズ形状のものを用いることによって、所定の接着材厚に容易に設定可能である。
【0065】
さらに、第1基板および第2基板を化学的エッチングなどにより薄板化して湾曲させることにより、曲面状の表示部を形成することが可能となる。この場合、第3基板を第1基板または第2基板の端部に貼り合せて、第1基板および第2基板を第3基板が配置されていない部分で湾曲させることが可能となる。
【0066】
さらに、第1基板と第2基板とが貼り合わされた空間(封止空間)に、乾燥空気、窒素ガスまたは不活性ガスなどを充填することによって、封止空間への水分混入や吸着材への水分吸着を抑制することができる。
【0067】
さらに、第3基板と第1基板または第2基板とを貼り合わせる接着材に混合されたスペーサの径が1μm以上20μm以下、より好ましくは、3μm以上10μm以下である理由について説明する。即ち、接着材、特に透湿が少ないエポキシ系接着材は、接着剤厚(スペーサ径で決まる)が薄くなると接着強度が低下することが知られている。実験の結果、3μm以下で接着強度の低下が見られ、1μm未満で著しく接着強度が低下した。また、接着材厚が厚くなると、接着強度が低下することに加え、接着材を介して進入する水分が比例して増加する。実験の結果、20μmを超える場合、で接着強度の低下と大幅な水分の浸入、すなわち封止特性の低下が見られた。10μmを超え20μm以下の場合、接着強度の低下は認められなかったものの、水分の浸入、すなわち封止特性の低下が大きいことが確認された。これより、接着材に混合するスペーサ材の適正範囲を決定することができる。
【0068】
第3基板の凹部の深さは、例えば0.05mm以上1.00mm以下、好ましくは0.1mm以上1.00mm以下に設定する。下限値は吸着物質のスペースを確保するのに充分な厚み、上限値は浅い方が凹部の形成が容易なためである。
【0069】
即ち、第3基板の凹部に配置する吸湿材は、吸湿材粉末を混合した樹脂をフィルム状にしたものが使用されることが多い。この厚さは0.2mm程度のものが多く使われている。凹部の深さが、0.05mm以下の場合、充填できる吸湿材の量が極めて少なくなり望ましくない。望ましくは、吸湿材を混合した樹脂フィルムが形成しやすい0.1mm以上が望ましい。また、凹部の厚さが1mmを超えると第3の基板の厚さも1mm超えることになり、表示装置としての厚さが厚くなるため、望ましくない。また、凹部の形成も難しくなる。
【0070】
第1基板および第2基板の厚みを0.01mm以上0.3mm以下、より好ましくは、0.05mm以上0.2mm以下に設定する理由について説明する。即ち、基板の厚みが0.01mm以下になると強度が極めて低くなり望ましくない。0.01mmから0.05mmの間は、基板の強度を補う手段が必要となり望ましくない。0.05mm以上であれば、製造上一定レベルの強度が確保され望ましい。また、0.3mm以上になると基板の湾曲が困難であり望ましくない。0.2〜0.3mmの場合、湾曲は可能であるが、その程度が小さく湾曲化の効果がほとんど認められない。0.2mm以下の場合、R300mm程度以下の湾曲化の効果が認められる湾曲が得られ望ましい。
【0071】
なお、特許文献12にも、吸湿材を部分的にまとめて配置する方法が記載されているが、この従来技術では発光素子が形成された基板と凹部を有する対向基板とが貼り合せられて構成される封止容器内部に吸湿材が配置されている。本発明では、発光素子が形成された基板と平板状の対向基板とが貼り合せられて構成される封止容器の外部に、第2基板よりも小面積の第3基板によって凹部を形成し、その凹部内に吸湿材が配置されているため、凹部加工を施しても、第2基板の場合に比べて低価格で容易に加工を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0072】
以上のように、本発明によれば、平板状の第2基板を用いても、第3基板の凹部によって、封止空間の体積を大きくすると共に、吸湿材などの吸着部材を配置するためのスペースを容易に確保することができる。接着材を通って封止空間に侵入した水分は、例えば第2基板の貫通孔を通して第3基板の凹部内の吸着材に吸着されるため、封止空間の相対湿度を十分に低く保って、発光素子の劣化を防ぐことができる。また、接着材の厚みを十分に薄くすることによって、封止空間の体積はそれほど大きくなくても、接着材を通って侵入する水分量を少なくして、封止空間をより低湿度に保つことができる。さらに、第3基板は第2基板よりも小面積であるため、凹部加工を施しても、低価格で加工を行うことができる。したがって、封止性能に優れた表示装置を低コストで容易に実現することができる。
【0073】
また、表示部を透明として背景が透けて見える透明表示装置を構成する場合、対向基板の凹部に吸湿材を配置することはできない。また、機械研磨、ブラスト加工またはケミカル処理により凹部の加工を行う場合に、凹部の掘り込み部の表面状態を均一にすることは極めて困難であり、従来のように第2基板に凹部を形成する場合には、表示部の透明度を確保することが困難であった。これに対して、第2基板に平板を使用する本発明では、十分な透明度を確保して良好な表示状態を得ることができる。したがって、封止性能に優れ、低コストの透明表示装置を実現することができる。
【0074】
さらに、発光素子が形成された第1基板と、第2基板とを薄板加工して表示部を湾曲させることにより、曲面表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下に、本発明の表示装置およびその製造方法の実施形態1〜3を薄膜EL素子を用いた薄膜ELパネル(EL表示装置)に適用した場合について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1の構成例を示す要部断面図であり、図2は図1の発光素子部の構成例を示す要部断面図である。
【0076】
図1に示すように、薄膜ELパネル20は、第1基板としてのガラス基板1上に発光素子部としての無機薄膜EL素子10が形成されており、その発光素子形成側表面上に、第2基板としての平板状の封止用対向基板11が対向配置されている。無機薄膜EL素子10と封止用対向基板11との間にはスペーサ材12が散布されており、その外周部はスペーサ材12が混合された接着材13によって、無機薄膜EL素子10と封止用対向基板11とが貼り合せられている。封止用対向基板11の端部には、その外側表面部から、無機薄膜EL素子10と封止用対向基板11間の封止空間18まで達する貫通孔14が形成されている。
【0077】
封止用対向基板11の外周端部の外側表面部には、凹部を有する第3基板15がスペーサ材15が混合された接着材13によって、その凹部が内側になるように貼り合せられている。この第3基板15の凹部内には、水分や酸素を吸着する吸着物質として吸湿材(または乾燥材)17が凹部底面に配置されている。この第3基板15の凹部内と封止空間18とは貫通孔14により連通されており、封止空間18の水分もこの吸着物質によって吸着されるようになっている。
【0078】
無機薄膜EL素子10は、図2に示すように、ガラス基板1上に、第1透明導電パターン電極2と、第1絶縁層3と、無機材料からなる発光層4と、第2絶縁層5と、第2透明導電体パターン電極6とが順次積層されて構成されている。第1透明導電体パターン電極2および第2透明導電体パターン電極6は、それぞれ短冊状の複数本が互いに平行でかつ、第1透明導電体パターン電極2と第2透明導電体パターン電極6とが交差(または直交)する方向に形成されており、交流電圧源7と電気的に接続されている。第1透明導電体パターン電極2および第2透明導電体パターン電極6に選択的に交流電圧源7から所定電圧を印加することによって、選択された導電体パターン電極2,6に挟まれた発光層4に絶縁層3および5を介して所定電圧が印加され、その発光層4の部分が画素として選択的に発光して文字・図形などがドットマトリックス表示されるようになっている。
【0079】
以下に、本実施形態1の薄膜ELパネル20の製造方法について説明する。
【0080】
まず、ガラス基板1上に無機薄膜EL素子10を形成する。
【0081】
この工程では、図2に示すように、ガラス基板1上にITOからなる第1透明導電パターン電極2を形成し、その上にSiO、Si、SiON、Y、Al、Taなどからなる第1絶縁層3をスパッタリング法により形成する。
【0082】
この第1縁層3上にZnS:Mnなどの無機材料からなる発光層4を形成し、その上に第1絶縁層3と同種の材料からなる第2絶縁層5を形成する。これにより、発光層4が絶縁層3および5で挟持された二重絶縁構造が形成される。
【0083】
第2絶縁層5上に、ITOからなる短冊状の第2透明導電パターン電極6を、短冊状の第1透明電極パターン電極2と直交するように配置する。図2の事例では、図面(図2)の紙面に平行な方向に短冊状の複数本の第1透明電極パターン電極2が形成され、その紙面に垂直な方向に短冊状の複数本の第2透明電極パターン電極6が形成されている。なお、これらの第1透明電極パターン電極2および第2透明電極パターン電極6はガラス基板1の表面に平行である。
【0084】
次に、以上のようにして発光素子部として薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と封止用対向基板11とを貼り合せてその発光素子部を内部の封止空間18内に封止する。
【0085】
この工程では、図1に示すように、第3基板15の凹部内に貫通孔14が形成された平板状の封止用対向基板11の外周部分にスペーサ材12が混合された接着材13を塗布し、スペーサ材12が薄膜EL素子10の表面上に散布されたガラス基板1と貼り合せる。
【0086】
なお、接着材13中のスペーサ材12の径と、薄膜EL素子10の表面上に散布されるスペーサ材12とはその径が同じであるか、または近い値であることが好ましく、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下であり、ビーズ形状のスペーサ材を用いることが好ましい。また、接着材13としては、透湿度が低いエポキシ系接着材を用いることが好ましい。さらに、接着材13は薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1側に塗布してもよく、スペーサ材12は平板状の封止用対向基板11側に散布してもよい。さらに、以上のようにして貼り合せられたガラス基板1または封止用対向基板11(本実施形態では封止用対向基板11)に、凹部を内側にして第3基板15を貼り合わせる。
【0087】
この工程では、図1に示すように、第3基板15の凹部内に吸着物質としての吸湿材17を配置し、凹部の周囲にスペーサ材16が混合されたUV接着材13を塗布して、対向基板11の貫通孔14に第3基板15の凹部を配置して、第3基板15と封止用対向基板11とを貼り合せることにより、薄膜ELパネル20が作製される。
【0088】
なお、吸湿材17としては、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムなどを用いることが可能であるが、本実施形態1では、吸湿特性が優れた酸化カルシウムの粉末を樹脂に分散させた吸湿シートを用いた。第3基板15の凹部の深さは、この吸湿シートを設置するのに十分な0.05mm以上1.00mm以下、好ましくは0.1mm以上1.00mm以下に設定されている。
【0089】
また、接着材13中のスペーサ材12の径は、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下であり、ビーズ形状のスペーサ材を用いることが好ましい。また、接着材13としては、透湿度が低いエポキシ系UV接着材を用いることが好ましい。
【0090】
さらに、第3基板15と、EL発光素子10が形成されたガラス基板1とを貼り合せてもよい。この場合には、ガラス基板1側に貫通孔14が設けられている。
【0091】
さらに、凹部を有する第3基板15を貼り合せる前に、薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と対向基板11とが貼り合された内部空間(封止部内部)に、乾燥空気、窒素ガスまたは不活性ガスなどを充填することが好ましい。例えば、乾燥空気、窒素ガスまたは不活性ガスなどが充填されたグローブボックスまたは装置内において貼り合わせ作業を行うことにより実現することもできる。
【0092】
以上のように、本実施形態1によれば、薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と平板状の封止用対向基板11とを貼り合わせた後、凹部内に吸湿材17が配置された第3基板15を低水分雰囲気下で装着処理することより、封止空間18への水分混入と吸湿材17の水分吸着とを十分少なく抑えることができる。このため、吸着物質に吸着抑制物質の被覆処理などを行う必要はなかった。さらに、薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と平板状の封止用対向基板11とが貼り合わせられた構造であり、封止空間18に接着材13を通して侵入する水分量が少ないため、比較的吸湿量が少ないシリカゲルから吸湿量が多い酸化カルシウム等の化学的吸着による吸湿材まで、幅広い吸湿材を使用することが可能である。
【0093】
また、第3基板15に凹部を形成することによって、平板状の対向基板11を用いても接着材13の厚さを十分に薄くすることが可能であり、さらに、第3基板15の凹部内に吸湿材を配置できるため、十分に優れた封止特性を得ることができる。接着材13から封止空間に侵入した水分は、封止用対向基板11の貫通孔12を通して第3基板15の凹部内に配置された吸湿材17に吸着されるため、封止空間の相対湿度を十分に低く保つことが可能となる。
【0094】
なお、本実施形態1では、封止用対向基板11よりも遥かに小さい第3基板15に凹部が設けられているため、封止用対向基板11に凹部を設けた従来技術に比べて封止空間18の体積は大きくないが、接着材13の厚さを十分に薄くすることができるため、接着材13の断面を通して封止空間18に侵入する水分量は少ない。また、吸湿材17として、非可逆的で低透湿領域において強力な吸湿特性を示す酸化カルシウム吸湿材を用いることにより、接着材13を通して封止空間に侵入した水分は、ほぼ完全に酸化カルシウム吸湿材に吸着されるため、封止空間18を極めて低湿度に保つことが可能であり、非常に優れた封止特性を実現することができる。また、凹部加工を施した第3基板15を用いているものの、封止用対向基板11に比べて遥かに小面積であるため、低コストで凹部加工を行うことが可能である。したがって、封止性能に優れた表示装置を低コストで実現することができる。
【0095】
さらに、表示部を透明として背景が透けて見えるようにした透明表示装置を作製する場合に、封止用対向基板11の凹部内に吸湿材17を配置すると表示部の透明度が得られなくなる。また、凹部の加工のために、機械研磨、ブラスト加工またはケミカル処理を用いても、凹部の掘り込み部の表面状態を均一にすることは極めて困難であり、表示部の透明度を確保することが困難である。これに対して、本実施形態1では平板状の対向基板11を用いており、第3基板15の凹部内に吸湿材17を配置しているため、表示部では十分な透明度を確保することができる。したがって、優れた封止特性を有する透明表示装置を低コストで実現することができる。
(実施形態2)
本実施形態2では、発光素子が形成された第1基板(ガラス基板1)および封止用対向基板11である第2基板が湾曲されて表示部が曲面形状とされた曲面表示装置について説明する。
【0096】
図3は、本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態2の構成例を示す要部断面図であり、図4は、図3の薄膜ELパネルの製造工程において、その第1基板および第2基板の湾曲前の形状を示す要部断面図である。
【0097】
図3に示すように、薄膜ELパネル20Aは、上記実施形態1の薄膜ELパネル20の場合と同様に、第1基板としてのガラス基板1上に発光素子部分としての無機薄膜EL素子10が形成され、その発光素子形成側表面に、第2基板としての平板状の封止用対向基板11が対向配置されている。
【0098】
この無機薄膜EL素子10の表面と封止用対向基板11の間にはスペーサ材12が散布されており、その外周部にはスペーサ材12が混合された接着材13によって貼り合されている。封止用対向基板11の端部には、外側表面から封止空間18まで達する貫通孔14が形成されている。
【0099】
封止用対向基板11の端部には、外側表面に、凹部を有する第3基板15がスペーサ材16を混合した接着材13によって貼り合せられている。この第3基板15の凹部内には、水分や酸素を吸着する吸着物質として吸湿材17(または乾燥材)が配置されている。また、この第3基板15の凹部内は、ガラス基板1と封止用対向基板11間の封止空間18と貫通孔14を通して連通している。
【0100】
しかも、本実施形態2の薄膜ELパネル20Aでは、図3および図4に示すように、EL発光素子10が形成されたガラス基板1および封止用対向基板11が薄板形状とされており、第3基板15が配置されていない側の面が湾曲して、表示部Aが曲面形状とされている。
【0101】
無機薄膜EL素子10は、上記実施形態1の薄膜ELパネル20の場合と同様に、図2に示すように、ガラス基板1上に、第1透明導電パターン電極2と、第1絶縁層3と、無機材料からなる発光層4と、第2絶縁層5と、第2透明導電体パターン電極6とが順次積層されている。第1透明導電体パターン電極2および第2透明導電体パターン電極6はそれぞれ短冊状に複数本が互いに平行かつ、第1透明導電体パターン電極2と第2透明導電体パターン電極6とが交差する方向に形成されており、交流電圧源7と電気的に接続されている。これらの第1透明導電体パターン電極2および第2透明導電体パターン電極6に選択的に交流電圧源7から電圧を印加することによって、選択された両導電体パターン電極で挟まれた発光層4に絶縁層3および5を介して電圧が印加され、その発光層4が画素として選択的に発光して文字・図形などがドットマトリックス表示される。このとき、ガラス基板1および封止用対向基板11が湾曲されて表示部が曲面とされているため、曲面に文字・図形などが表示される。
【0102】
以下に、本実施形態2の薄膜ELパネル20Aの製造方法について説明する。
【0103】
まず、ガラス基板1上に無機薄膜EL素子10を形成する。この工程は、上記実施形態1の場合と同様に行って、図2に示すような無機薄膜EL素子10を形成することができる。
【0104】
次に、発光素子として無機薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と封止用対向基板11とを貼り合せて発光素子部を内部の封止空間18に封止する。
【0105】
この工程では、図4に示すように、平板状の封止用対向基板11の外周部にスペーサ材12が混合した接着材13を塗布し、これをスペーサ材12が散布されたガラス基板1と貼り合せる。
【0106】
なお、接着材13中のスペーサ材12の径と、ガラス基板1上に散布されるスペーサ材12の径とは、同じであるか、または近い径の値であることが好ましく、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下程度の径であり、ビーズ形状のスペーサ材を用いることが好ましい。また、接着材13としては、透湿度が低いエポキシ系接着材を用いることが好ましい。さらに、接着材13は薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1側に塗布してもよく、スペーサ材12は平板状の対向基板11側に散布してもよい。
【0107】
次に、無機薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と封止用対向基板11とを薄板化する。
【0108】
この工程では、貼り合わされた基板の電極部など、必要な部分にマスク処理を行なった後、例えばフッ酸系エッチング液に浸して化学的エッチング処理を行うことにより、ガラス基板1と封止用対向基板11のそれぞれを薄板化する。これにより、薄板化前に例えば厚み0.7mmであった基板1および11が、厚み0.01mm以上〜0.3mm、好ましくは0.05mm以上0.2mm以下程度の板厚に薄板化される。
【0109】
次に、薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1または対向基板11に対して、第3基板15の凹部に対応する位置に貫通孔14を形成する。
【0110】
この工程では、本実施形態2では例えば封止用対向基板11にレーザを用いて貫通孔12を形成する。
【0111】
なお、EL発光素子10が形成されたガラス基板1に対して、第3基板15の凹部に対応する位置に貫通孔14を形成するようにしてもよい。
【0112】
次に、以上のようにして貫通孔12が形成されたガラス基板1または対向基板11に、凹部を有する第3基板16を貼り合せる。
【0113】
この工程では、図4に示すように、第3基板15の凹部内に吸湿材17を配置し、凹部の周囲にスペーサ材16が混合されたUV接着材13を塗布して、封止用対向基板11の貫通孔12を含む位置に第3基板15の凹部を配置して、第3基板15と封止用対向基板11とを貼り合せる。
【0114】
なお、吸湿材17としては、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウムなどを用いることが可能であるが、本実施形態2では吸湿特性が優れた酸化カルシウムの粉末を樹脂に分散させた吸湿シートを用いた。第3基板15の凹部の深さは、この吸湿シートを設置するのに十分な0.05mm以上1.00mm以下、好ましくは0.1mm以上1.00mm以下に設定されている。
【0115】
また、接着材13中のスペーサ材16の径は、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上10μm以下程度の径であり、ビーズ形状のスペーサ材を用いることが好ましい。また、接着材13としては、透湿度が低いエポキシ系UV接着材を用いることが好ましい。
【0116】
さらに、第3基板15とEL発光素子10が形成されたガラス基板1とを貼り合せてもよい。この場合には、ガラス基板1の端部側に貫通孔14が設けられ、第3基板15の凹部内が貫通孔14を通して封止空間18に連通されている。
【0117】
さらに、凹部を有する第3基板15を貼り合せる前に、薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と封止用対向基板11とが貼り合せられた封止空間18内に、乾燥空気、窒素ガスまたは不活性ガスなどを充填することが好ましい。例えば、乾燥空気、窒素ガスまたは不活性ガスなどが充填されたグローブボックスまたは装置内において貼り合わせ作業を行うことによりこれを実現することが可能となる。
【0118】
その後、薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1および封止用対向基板11を、第3基板15が配置されていない部分で湾曲させる。
【0119】
この工程では、薄膜ELパネル20Aの電極部に図示しない駆動用ICを接続した後、図3に示すように、封止されたガラス基板1および封止用対向基板11を曲げて曲面状に変形させることにより、曲面形状の表示部Aを有する曲面形状表示装置を作製することができる。
【0120】
以上のように、本実施形態2によれば、上記実施形態1の効果に加えて、発光素子としての薄膜EL素子10が形成されたガラス基板1と封止用対向基板11とを薄板加工しているため、表示部Aを湾曲させて、曲面表示装置を実現することができる。
【0121】
従来の曲面表示装置では、例えばプラスチック基板や薄型ガラス基板に発光素子が形成され、薄膜またはポリマーなどの有機膜によって封止されており、短時間の使用は可能であっても、例えば5000時間以上などの実用的な使用時間には耐えることができなかった。これに対して、本実施形態2の曲面表示装置では、実用に十分耐えることができる使用時間および封止特性を有している。
【0122】
本実施形態2の曲面表示装置を用いて、例えば車両のインサイドパネルにおける曲面表示や、車両のフロントガラスの曲率に対応させて配置することによる曲面表示、さらに、遊技機において回転体の曲率に対応させて設置することによる回転体上での曲面表示などを実現することができる。
(実施形態3)
本実施形態3では、遊技機において、回転体の曲率に対応させて設置することによる回転体上での曲面表示を可能とする場合について説明する。
【0123】
図5は、本実施形態2の曲面表示装置を本実施形態3の遊技機に適用した場合の構成例を示す斜視図である。
【0124】
図5に示すように、本実施形態3の遊技機30は、上記実施形態2の薄膜ELパネル20Aが回転体31の曲率に対応させて湾曲されており、薄膜ELパネル20Aが回転体31の上に重なるように配置されている。これにより、薄膜EL素子10による曲面状の表示部Aのドットマトリックス表示と重なって、回転体31の表面上の数字が曲面状の表示部Aから透けて見え、曲面透明表示装置を実現することができる。
【0125】
以上により、本実施形態1〜3によれば、薄膜EL発光素子10が形成されたガラス基板1と、薄膜EL発光素子10を封止するための平板状の封止用対向基板11とが貼り合わされ、封止用対向基板11上に、ガラス基板1と封止用対向基板11間の封止空間18に貫通孔14を通して連通可能とする凹部を有する第3基板15が貼り合わせられる。平板状の封止用対向基板11を用いても、第3基板15の凹部および封止空間18により内部空間の体積をより大きくすることができる。また、第3基板15の凹部内には吸湿材17が配置され、凹部内に連通する封止空間18の相対湿度を低くすることができる。さらに、第3基板15の凹部は、封止用対向基板11に凹部を形成する場合に比べて小面積でよい。これによって、EL薄膜パネル20,20Aにおいて、低コストな平板状の封止用対向基板11を用いて良好な封止性能を得ることができる。
【0126】
なお、上記実施形態1〜3では、薄膜EL素子10、特に無機薄膜EL素子を用いた例について説明したが、これに限らず、本発明では、有機薄膜EL素子、有機薄膜EL素子と無機薄膜EL素子とを組合わせた有機/無機ハイブリッド型EL素子、厚膜EL素子と薄膜EL素子とを組合わせた厚膜/薄膜ハイブリッド型EL素子などのEL素子、およびその他の発光素子を用いた発光型の表示装置に適用可能である。
【0127】
また、ここで、上記実施形態1,2の変形例について説明する。
【0128】
上記実施形態1,2では、貫通孔14を、第1基板1または第2基板11を加工することにより設けたが、これに限らず、貫通孔14に代えて、第1基板1または第2基板11を固定する物質(接着材13)を一部形成しない部分を、第3基板15の凹部と封止空間18とを連通する連通空間とする場合にも本発明を適用できる。
【0129】
また、上記実施形態1〜3では、凹部を有する第3基板15の材質については、特に説明しなかったが、ガラス、金属および、少なくとも1層の金属層と少なくとも1層の樹脂層からなるフィルム(ラミネートフイルムまたはラミネートシートという)のいずれかを用い、これを加工して凹部を形成するようにしてもよい。
【0130】
凹部を有する第3基板15は、一般的にガラスを加工したものが考えられるが、その他、金属板を絞り加工して凹部を有する形状としたものや、食品保存用として一般的に使用されている金属層を積層した樹脂フィルムを熱または圧力、その両方により金属板同様に絞り加工をして凹部を有する形状としたものなども考えられる。金属層を積層した樹脂フィルムは、金属層によって水分の遮断性に優れている。
【0131】
例えば第3の基板15を、Aガラス、B金属およびCラミネートフイルム(金属層を積層した樹脂フィルム)のいずれかとし、また、第3基板15の凹部と封止空間18とを連通する連通空間を、次の(ア)〜(ウ)のいずれかとした場合の組み合わせを次の(表2)に示している。
(ア)第1基板1または第2基板11に貫通孔14を加工する方式(穴をあけるなど)であり、連通空間は、第3基板が固定された片方の基板側に形成された貫通孔14である場合である(図6〜図8参照)。
(イ)第1基板1または第2基板11を固定する物質(接着材13)を一部形成しない(基板板厚差を補正する第4基板23を使用する)方式であり、第1基板1および第2基板11の一方上でかつその他方の基板端面側に固定された第4基板23を更に有し、第4基板23の端面に切り欠き部22が設けられ、この切り欠き部22と基板端面側間、および第1基板1と該第2基板11間の一部21に連通空間が設けられている(図9〜図11参照)。
(ウ)第1基板1または第2基板11を固定する物質(接着材13)を一部形成しない(第3基板15G〜15Iとして板厚差を補正した形状に加工)方式であり、第3基板15G〜15Iは第1基板1および第2基板11の外側表面上に固定され、連通空間は、第1基板1および第2基板11の一方の端面側と第3基板15G〜15Iのいずれかの凹部間、および第1基板1と該第2基板11間の一部21に設けられている。
【0132】
【表2】

B金属、Cラミネートフイルムは、外観的にほぼ同じため同じ図としているが、厚さが以下のように異なる。
【0133】
B金属は、100〜500μmのステンレス板を、金型を用い圧力を加えることで絞り加工を行い凹部を形成する(厚さが100μm以下だと強度的に弱く、500μ以上だと加工が困難)。
【0134】
Cラミネートフイルムは、厚さが10〜100μmのPET樹脂と、厚さが10〜100μmのAL(アルミニウム)、さらに厚さが10〜100μmのPET樹脂を積層した3層構造のフィルムを金型を用い、熱と圧力を加えて絞り加工を行い凹部を形成する(PET樹脂はその厚さが10μm以下だと強度が弱く、100μm以上だと加工が困難、ALはその厚さが10μm以下だと水分の遮断性が悪く、100μm以上だと加工が困難)。
【0135】
図7および図8の作成方法は、図6の第3の基板15Aに対して、第3の基板15B,15Cの材質およびその板厚が異なっているだけである。
【0136】
図9〜図11では、第1基板1と、第2基板11および第4基板23とを固定する物質(貼り合わせに用いる接着材13)を一部形成しない部分21を設け、接着部13を開放型(図6〜図8は密封型)とし、第4基板23は第2基板11と同じ厚さであり、切削部である切り欠き部22を有する第4の基板23をスペーサ12を混合した接着材13を用いて貼り合わせ、この上に第3の基板15D,15Eまたは15Fをその凹部を内側にして貼り合せる。第1基板1と第2基板11の封止空間18は、接着材13を一部形成しない部分21と切り欠き部22からなる連通空間を通して、第3基板15D,15Eまたは15Fの凹部内に連通しかつ密閉する。
【0137】
図12〜図14では、第2基板11の板厚差を考慮した形に成型した第3基板15G,15Hまたは15Iを用い、第1基板1と第2基板11間の封止空間18は、接着材13を一部形成しない部分21を通して、第3の基板15G,15Hまたは15Iの凹部内に連通しかつ密閉する。
【0138】
なお、上記各方式のコストは、B金属、Cラミネートフィルムを用いる方式は、金型と成型装置を新たに必要とするため、初期費用が必要となるが、生産量が多い場合には単価が下がる。一方、Aガラスを用いる方式は、比較的生産数量が少ない場合、B金属やCラミネートフィルムよりも価格的に有利となる。また、表2のア、イ、ウの貫通孔14を形成する方式による違いは、各基板の材料価格、歩留り、封止特性がそれぞれ異なるが、表示部の形状、大きさなどにより変動するため、製造する表示装置の特徴に合せて選択すべきである。
【0139】
また、図15は、図1の場合において第3基板15が平面視左手前側に設けられている場合であるが、これに限らず、第3基板15が平面視左手奥側に設けられていてもよく、第3基板15が平面視右手奥側に設けられていてもよく、第3基板15が平面視右手手前側に設けられていてもよく、第3基板15が平面視左手または右手側の前後中間位置に設けられていてもよい。
【0140】
上記実施形態1,2の表示装置の製造方法に対する変形例について説明する。
【0141】
上記実施形態1の表示装置の製造方法(変形例ア)を、
第1基板11上に発光素子10を形成する工程と、第2基板11または第1基板1に貫通孔14を形成し、第2基板11と第1基板1とを、両基板間の封止空間18内に発光素子10を有するように貼り合せる工程と、凹部を有する第3基板15と第1基板1または第2基板11とを、その凹部内が貫通孔14を通して封止空間18内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有するものとする。
【0142】
また、上記実施形態2の表示装置の製造方法(変形例ア)を、
第1基板1上に発光素子10を形成する工程と、両基板間の封止空間18内に発光素子10を有するように第2基板11と第1基板1とを貼り合せる工程と、第1基板1および第2基板11を薄板化する薄板化工程と、薄板化した第1基板1または第2基板11に貫通孔14を形成する貫通孔形成工程と、凹部を有する第3基板15と薄板化した第1基板1または第2基板11とを、凹部内が貫通孔14を通して封止空間18内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有するものとする。
【0143】
この場合に、上記実施形態1の表示装置の製造方法の変形例イ(図9〜図11)として、
第1基板1上に発光素子10を形成する工程と、端面に切り欠き部22が設けられた第4基板23および平板状の第2基板11と第1基板1とを、切り欠き部22と第2基板11の端面とを対向させかつ、第2基板11と第1基板1間の封止空間18内に発光素子10を有すると共に、切り欠き部22と第2基板11の端面間の空間を封止空間18内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、凹部を有する第3基板15D〜15Fのいずれかと、第1基板1または第2基板11、および第4基板23とを、凹部内が、切り欠き部22と第2基板11の端面間の連通空間、および第1基板1と第2基板11間の一部21の連通空間をそれぞれ通して封止空間18内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する。
【0144】
この変形例イ(図9〜図11)を上記実施形態2の変形例イとした場合、第1基板1上に発光素子10を形成する工程と、端面に切り欠き部22が設けられた第4基板23および平板状の第2基板11と第1基板1とを、切り欠き部11と第2基板11の端面とを対向させかつ、第2基板11と第1基板1間の封止空間18内に発光素子10を有すると共に、切り欠き部22と第2基板11の端面間の空間を封止空間18内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、第1基板1、第2基板11および第4基板23を薄板化する薄板化工程と、凹部を有する第3基板15D〜15Fのいずれかと、薄板化した第1基板1または第2基板11、および薄板化した第4基板23とを、凹部内が、切り欠き部22と第2基板11の端面間の連通空間、および第1基板1と第2基板11間の一部21の連通空間を通して封止空間18内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する。
【0145】
また、上記実施形態1の表示装置の製造方法の変形例ウ(図12〜図14)として、
第1基板1上に発光素子10を形成する工程と、平板状の第2基板11と第1基板1とを、両基板間の封止空間18内に発光素子10を有すると共に、この封止空間18内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、凹部を有する第3基板15G〜15Iのいずれかと第1基板1および第2基板11とを、凹部内が連通空間を通して封止空間18内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する。
【0146】
この変形例ウ(図12〜図14)を上記実施形態2の変形例ウとした場合、
第1基板1上に発光素子10を形成する工程と、平板状の第2基板11と第1基板1とを、両基板間の封止空間18内に発光素子10を有すると共に、封止空間18内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、第1基板1および第2基板11を薄板化する薄板化工程と、凹部を有する第3基板15G〜15Iのいずれかと、薄板化した第1基板1または第2基板11とを、凹部内が連通空間を通して封止空間18内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する。
【0147】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜3を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜3に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜3の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、例えば発光素子として無機EL素子および有機EL素子などのEL素子およびその他の発光素子を用いた発光型の表示装置およびその製造方法の分野において、平板状の封止用対向基板を用いても、第3基板の凹部によって、封止空間の体積を大きくすると共に、凹部内部に吸湿材などの吸着部材を配置して、封止空間の相対湿度を十分に低く保ち、発光素子の劣化を防ぐことができる。
【0149】
また、本発明の薄膜ELパネルにおいて、接着材厚みを十分に薄くすることによって、接着材部を通って侵入する水分量を少なくして、封止空間を低湿度に保つことができる。
【0150】
さらに、本発明の薄膜ELパネルに平面状の封止用対向基板を用いることができるため、封止性能に優れた表示装置を低コストで実現できる。
【0151】
さらに、本発明の薄膜ELパネルを透明表示装置や曲面表示装置に適用可能であり、さらに、これらを遊技機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1の構成例を示す要部断面図である。
【図2】図1の発光素子部分の構成例を示す要部断面図である。
【図3】本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態2の構成例を示す要部断面図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る薄膜ELパネルの製造工程において、図3の第1基板および第2基板の湾曲前の形状を示す要部断面図である。
【図5】本実施形態2の曲面表示装置を本実施形態3の遊技機に適用した場合の構成例を示す斜視図である。
【図6】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例1を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図7】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例2を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図8】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例3を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図9】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例4を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図10】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例5を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図11】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例6を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図12】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例7を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図13】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例8を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図14】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1に対する変形例9を模式的に示す平面図および要部断面図である。
【図15】(a)および(b)は本発明に係る薄膜ELパネルの実施形態1の変形例10を示す平面図および要部断面図である。
【図16】従来の薄膜ELパネルの要部構成例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0153】
1 第1基板(ガラス基板)
2 第1透明導電パターン電極
3 第1絶縁層
4 発光層
5 第2絶縁層
6 第2透明導電体パターン電極
7 交流電圧源
10 薄膜EL発光素子
11 第2基板(封止用対向基板)
12,16 スペーサ材
13 接着材
14 貫通孔
15,15A〜15I 第3基板
17 吸湿材
18 封止空間
20、20A 薄膜ELパネル
30 遊戯機
31 回転体
21 接着材13を一部形成しない部分
22 切り欠き部
23 第4の基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に発光素子が形成された第1基板と平板状の第2基板とが互いに対向して、両基板間の封止空間内に該発光素子を有するように固定され、
凹部を有する第3基板が、該凹部を内側にして該第1基板および該第2基板のうち少なくともいずれかの外側表面上に該凹部内を封止するように固定され、
該第3基板が固定された片方の基板側または当該基板の端面側に、該封止空間と該凹部内とを連通させる連通空間が設けられている表示装置。
【請求項2】
前記連通空間は、前記第3基板が固定された片方の基板側に形成された貫通孔である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1基板および前記第2基板の一方上でかつその他方の前記基板端面側に固定された第4基板を更に有し、該第4基板の端面に切り欠き部が設けられ、該切り欠き部と該基板端面側間、および該第1基板と該第2基板間の一部に前記連通空間が設けられている請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第3基板は前記第1基板および該第2基板の外側表面上に固定され、前記連通空間は、該第1基板および該第2基板の一方の端面側と該第3基板の凹部間、および該第1基板と該第2基板間の一部に設けられている請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第3基板は、ガラス、金属および、金属層を積層した樹脂フィルムのいずれかである請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記金属および、金属層を積層した樹脂フィルムのいずれかは絞り加工が施されて前記凹部が形成されている請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子は、無機薄膜EL(Electro luminescence)素子、有機薄膜EL素子、有機/無機ハイブリッド型EL素子または厚膜/薄膜ハイブリッド型EL素子である請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3基板の凹部内に、特定物質を吸着する吸着物質が配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記吸着物質は、前記特定物質として水分および酸素のうち少なくとも水分を吸着する材料である請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記吸着物質は、吸湿材または乾燥材である請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記吸着物質は、シリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化マグネシウムの少なくともいずれかである請求項8〜10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1基板と前記第2基板とは、径が1μm以上20μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1基板と前記第2基板とは、径が3μm以上10μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第3基板と前記第1基板または前記第2基板とは、径が1μm以上20μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第3基板と前記第1基板または前記第2基板とは、径が3μm以上10μm以下のスペーサが混合された接着材によって貼り合わされている請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
前記スペーサがビーズ形状である請求項12〜15のいずれかに記載の表示装置。
【請求項17】
前記第3基板と前記第1基板または前記第2基板とが、UV(紫外線)硬化型接着材によって貼り合わされている請求項1、14および15のいずれかに記載の表示装置。
【請求項18】
前記接着材はエポキシ系接着材である請求項12〜15および17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項19】
前記第3基板の凹部の深さが0.05mm以上1.00mm以下に設定されている請求項1、8、14、15および17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項20】
前記第3基板の凹部の深さが0.1mm以上1.00mm以下に設定されている請求項1、8、14、15および17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項21】
前記第1基板および前記第2基板が湾曲して表示部が曲面である請求項1、12〜15および17のいずれかに記載の表示装置。
【請求項22】
前記第3基板は、前記第1基板または前記第2基板の端部の表面上に固定され、該第1基板および第2基板は該第3基板が配置されていない部分で湾曲されている請求項21に記載の表示装置。
【請求項23】
前記第1基板および前記第2基板の厚みが0.01mm以上0.3mm以下に設定されている請求項1、21および22のいずれかに記載の表示装置。
【請求項24】
前記第1基板および前記第2基板の厚みが0.05mm以上0.2mm以下に設定されている請求項1、21および22のいずれかに記載の表示装置。
【請求項25】
前記第1基板と前記第2基板間の封止空間内に特定ガスが充填されている請求項1、12〜15、17および21〜24のいずれかに記載の表示装置。
【請求項26】
前記特定ガスは、乾燥空気、窒素ガスおよび不活性ガスの少なくともいずれかである請求項25に記載の表示装置。
【請求項27】
第1基板上に発光素子を形成する工程と、
第2基板または該第1基板に貫通孔を形成し、該第2基板と該第1基板とを、両基板間の封止空間内に該発光素子を有するように貼り合せる工程と、
凹部を有する第3基板と該第1基板または該第2基板とを、該凹部内が該貫通孔を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する表示装置の製造方法。
【請求項28】
第1基板上に前記発光素子を形成する工程と、
両基板間の封止空間内に該発光素子を有するように第2基板と該第1基板とを貼り合せる工程と、
該第1基板および該第2基板を薄板化する薄板化工程と、
薄板化した第1基板または第2基板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
凹部を有する第3基板と薄板化した第1基板または第2基板とを、該凹部内が該貫通孔を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する表示装置の製造方法。
【請求項29】
第1基板上に発光素子を形成する工程と、
端面に切り欠き部が設けられた第4基板および平板状の第2基板と該第1基板とを、該切り欠き部と該第2基板の端面とを対向させかつ、該第2基板と該第1基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該切り欠き部と該第2基板の端面間の空間を該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、
凹部を有する第3基板と、該第1基板または該第2基板、および該第4基板とを、該凹部内が、該切り欠き部と該第2基板の端面間の連通空間、および該第1基板と該第2基板間の一部の連通空間をそれぞれ通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する表示装置の製造方法。
【請求項30】
第1基板上に前記発光素子を形成する工程と、
端面に切り欠き部が設けられた第4基板および平板状の第2基板と該第1基板とを、該切り欠き部と該第2基板の端面とを対向させかつ、該第2基板と該第1基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該切り欠き部と該第2基板の端面間の空間を該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、
該第1基板、該第2基板および該第4基板を薄板化する薄板化工程と、
凹部を有する第3基板と、薄板化した第1基板または第2基板、および薄板化した第4基板とを、該凹部内が、該切り欠き部と該第2基板の端面間の連通空間、および該第1基板と該第2基板間の一部の連通空間を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する表示装置の製造方法。
【請求項31】
第1基板上に発光素子を形成する工程と、
平板状の第2基板と該第1基板とを、両基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、
凹部を有する第3基板と該第1基板および該第2基板とを、該凹部内が該連通空間を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する表示装置の製造方法。
【請求項32】
第1基板上に前記発光素子を形成する工程と、
平板状の第2基板と該第1基板とを、両基板間の封止空間内に該発光素子を有すると共に、該封止空間内に連通させる連通空間を残すように貼り合せる工程と、
該第1基板および該第2基板を薄板化する薄板化工程と、
凹部を有する第3基板と、薄板化した第1基板または第2基板とを、該凹部内が該連通空間を通して該封止空間内に連通しかつ密閉するように貼り合せる第3基板貼り合せ工程とを有する表示装置の製造方法。
【請求項33】
前記第3基板貼り合せ工程後に、前記第1基板および前記第2基板を所定の曲面に湾曲させる工程を更に有する請求項28、30および32のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項34】
前記薄板化工程は、化学的エッチングにより前記第1基板および前記第2基板を薄板化する請求項28、30および32のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項35】
前記貫通孔形成工程は、レーザ照射により前記第1基板または前記第2基板の所定位置に貫通孔を形成する請求項27または28に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−139971(P2006−139971A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327089(P2004−327089)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】