説明

表示装置および当該表示装置を有する画像表示端末

【課題】三次元表示においてクロストークが防止される表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置を構成する液晶モニタ28は、表示パネル210と、2層に形成された2つの視差バリア710,720とを含む。表示装置のユーザの両目が理想の位置にある場合、左目730および右目740として規定される。クロストークを防止するための視差バリア710は、表示パネル210と視差バリア720との間に形成される。一例として、表示パネル210から視差バリア710までの距離をbとし、視差バリア710と視差バリア720との間隔を距離cとし、ユーザの両目から視差バリア720までの距離をdとし、視差バリア710の幅をxとし、視差バリア720の幅をmとすると、x:m=b:(b+c)が成立し、幅xはx=m*b/(b+c)として規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元の画像を表示する技術に関し、より特定的には、クロストークを軽減しつつ三次元の画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一層の視差バリアを用いて三次元の画像を表示するための装置の場合、その画像を視認する位置がずれた場合にクロストークが発生する。そのクロストークを抑えるため、たとえば、視差バリアの幅を広くする方法が知られている。しかし、この方法では、視差バリアの形成をオン(三次元の画像表示モード)になると、必要以上に全体の輝度が低下する場合がある。さらに、視差バリアによって隠される特定色の一部(サブピクセル)が隠れ、その特定色が減少して目に視認される。そのため、三次元画像の表示の品位も低下する。たとえば、オリジナルの画像が、三次元の表示モードにおいては、変色することになる。
【0003】
たとえば、特開平6−105341号公報(特許文献1)は、「あらゆる任意の方向から立体視を実現する」ための技術を開示している。また、特開2008−111905号公報(特許文献2)は、「画像クロストークが発生する方向の範囲を少なくし、正しい画像のみを表示しやすくできる表示素子」を開示している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−105341号公報
【特許文献2】特開2008−111905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2008−111905号公報に開示された技術は、異なる方向から観測したときに、各方向で異なる画像を表示できる表示素子に向けられている(特許文献2の段落0001)。そのため、同一のユーザが画像を視認する場合には、その技術をそのまま適用することはできないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、クロストークの発生が抑制される表示装置を提供することである。
【0007】
他の目的は、クロストークの発生が抑制される表示装置を有する画像表示端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態に従う、画像を3次元で表示可能な表示装置は、画像を表示するための表示手段と、表示手段を部分的に遮光する視差バリアを形成するための第1の形成手段と、表示手段と第1の形成手段との間において、表示手段を部分的に遮光する視差バリアを形成するための第2の形成手段とを備える。第2の形成手段によって形成される視差バリアの幅は、第1の形成手段によって形成される視差バリアの幅よりも小さい。
【0009】
好ましくは、第2の形成手段によって形成される視差バリアの数は、第1の形成手段によって形成される視差バリアの数よりも多い。
【0010】
好ましくは、第1の形成手段は、一方向に少なくとも3つの視差バリアを形成する。3つの視差バリアのうちの第1の視差バリアと第3の視差バリアとの間の第2の視差バリアと、表示手段との間には、第2の形成手段による1つの視差バリアが形成されている。第1の視差バリアと表示手段との間、および、第3の示唆バリアと表示手段との間には、それぞれ、第2の形成手段による2つの視差バリアが形成されている。
【0011】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載の表示装置を有する画像表示端末が提供される。
【発明の効果】
【0012】
ある局面にしたがうと、クロストークの発生が抑制される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】表示装置100のハードウェア構成の表わすブロック図である。
【図2】従来の構成を有する三次元表示可能な液晶モニタ200の構造の概略を表わす図である。
【図3】図2に示される液晶モニタ200を視認する両目が理想の位置から右側にずれた場合における視認の態様を表わす図である。
【図4】本実施の形態に係る表示装置100が備える液晶モニタ28の構成の概略を表わす図である。
【図5】ある局面における表示装置について、一層の視差バリアとして、視差バリア510,520が形成される場合を表わす図である。
【図6】本実施の形態に係る表示装置100の液晶モニタ28の構成の概要を表わす図である。
【図7】表示パネル210と、2層に形成された2つの視差バリア710,720との関係を表わす図である。
【図8】サブの視差バリア(SPB)810,811,812,813のうち、視差バリア812の有無に応じて形成される視差の相違を説明するための図である。
【図9】表示装置100のユーザの右目が標準の位置よりも右側にずれている場合、および、ユーザの左目が標準の位置よりも左側にずれている場合における視差を説明するための図である。
【図10】図9の一部を拡大して表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
図1を参照して、本実施の形態に係る表示装置100のハードウェア構成について説明する。図1は、表示装置100のハードウェア構成の表わすブロック図である。ある局面において、表示装置100は、たとえば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型PC(Personal Computer)、タブレット型PC、電子書籍、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機その他の端末装置であって、三次元表示可能な端末装置として実現される。
【0016】
表示装置100は、通信装置13と、チューナ12と、アンテナ14,15と、CPU(Central Processing Unit)10と、音声信号処理回路11と、測位処理部25と、測位信号受信フロントエンド部24と、GPS(Global Positioning System)アンテナ23と、カメラ17と、スピーカ27と、フラッシュメモリ18と、RAM(Random Access Memory)19と、ROM(Read Only Memory)20と、液晶モニタ28と、バックライト29と、マイク26と、LED(Light Emitting Diode)30と、メモリカード駆動装置21と、データ通信I/F(Interface)31と、バイブレータ32とを備える。メモリカード駆動装置21には、メモリカード22が装着され得る。
【0017】
アンテナ14は、ワンセグ放送その他のテレビジョン放送信号を受信する。チューナ12は、CPU10の命令に従って番組を選局し、映像信号および音声信号をCPU10に伝送する。他の局面において、アンテナ14は、ラジオ放送を受信してもよい。
【0018】
アンテナ15によって受信された信号は、通信装置13によってフロントエンド処理が行なわれた後、処理後の信号は、CPU10に送られる。CPU10は、表示装置100に対して与えられる命令に基づいて表示装置100の動作を制御するための処理を実行する。CPU10は、通信装置13から送られた信号に基づいて予め規定された処理を実行し、処理後の信号を音声信号処理回路11に送出する。音声信号処理回路11は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ27に送出する。スピーカ27は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0019】
マイク26は、表示装置100に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路11に対して送出する。音声信号処理回路11は、その信号に基づいて通話のために予め規定された処理を実行し、処理後の信号をCPU10に対して送出する。CPU10は、その信号を送信用のデータに変換し、変換後のデータを通信装置13に対して送出する。通信装置13は、そのデータを用いて送信用の信号を生成し、アンテナ15に向けてその信号を送出する。
【0020】
フラッシュメモリ18は、CPU10から送られるデータを格納する。また、CPU10は、フラッシュメモリ18に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
【0021】
RAM19は、ボタン16に対して行なわれた操作に基づいてCPU10によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM20は、表示装置100に予め定められた動作を実行させるためのプログラムあるいはデータを格納している。CPU10は、ROM20から当該プログラムまたはデータを読み出し、表示装置100の動作を制御する。
【0022】
メモリカード駆動装置21は、メモリカード22に格納されているデータを読み出し、CPU10に送出する。逆にメモリカード駆動装置21は、CPU10によって出力されるデータを、メモリカード22の空き領域に書き込む。
【0023】
音声信号処理回路11は、上述のような通話のための信号処理を実行する。なお、図1に示される例では、CPU10と音声信号処理回路11とが別個の構成として示されているが、他の局面において、CPU10と音声信号処理回路11とが一体として構成されていてもよい。
【0024】
液晶モニタ28は、液晶モニタ28は、CPU10から取得されるデータに基づいて、当該データによって規定される画像を表示する。たとえば、フラッシュメモリ18が格納している静止画像、動画像、文書、音楽ファイルの属性(当該ファイルの名前、演奏者、演奏時間など)を表示する。ある局面において、液晶モニタ28は、二次元の画像と三次元の画像とを表示することができる。三次元の画像の表示は、たとえば、視差バリアを形成することによって実現されるが、三次元の表示のために他の方式が用いられてもよい。また、他の局面において、液晶モニタ28は、タッチパネル式のディスプレイであってもよい。この場合、タッチパネルの機構は特に限られない。なお、画像を表示するための手段の態様は、液晶モニタ28に限られず、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)パネルを用いたモニタであってもよい。
【0025】
バックライト29は、発光することにより、液晶モニタ28に対して光を供給する。ある局面において、バックライト29は、CPU10からの制御信号に基づいて光量を増加させ、または減少させることができる。
【0026】
LED30は、CPU10からの信号に基づいて、予め定められた発光動作を実現する。たとえば、LED30が複数の色を表示可能な場合には、LED30は、CPU10から出力される信号に含まれるデータに関連付けられている色で発光する。発光の態様(間隔、発光する色の数、点滅パターンなど)は特に限られない。
【0027】
データ通信I/F31は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。データ通信I/F31は、CPU10から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信I/F31は、当該ケーブルを介して受信されるデータを、CPU10に対して送出する。
【0028】
バイブレータ32は、CPU10から出力される命令に基づいて、フラッシュメモリ18において設定されている周波数で発振する。
【0029】
GPSアンテナ23は、GPS衛星から発信される信号を受信し、受信した信号を測位信号受信フロントエンド部24に送出する。測位信号受信フロントエンド部24は、少なくとも3つ(望ましくは4つ以上)のGSP衛星から受信した各信号に基づいてパターンマッチングを行ない、各信号に含まれるコードパターンと表示装置100が保持するコードパターンとが一致した場合に、その信号を測位処理部25に送出する。
【0030】
測位処理部25は、その信号を用いて、測位処理を実行し、当該信号を受信した表示装置100の位置を算出する。CPU10は、その算出結果を液晶モニタ28に表示する。ある局面において、液晶モニタ28は、測位処理部25が算出した表示装置100の位置情報(たとえば緯度、経度、高度など)を地図上に重ねて表示してもよい。他の局面において、液晶モニタ28は、カメラ17によって撮影された場所の画像と、当該場所の位置情報とを重ねて表示してもよい。
【0031】
本実施の形態に係る表示装置100において、ある局面において、カメラ17は、液晶モニタ28の表示領域の中心線上に配置されている。中心線は、たとえば、表示領域が線対称である場合における対称軸に相当する。
【0032】
CPU10は、カメラ17による撮像結果に基づいて、表示装置100のユーザの両目の位置を検出する。CPU10は、両目の位置が三次元で表示される画像を視認するために予め規定された位置にあることを検出すると、第1の形成部50として、液晶モニタ28において第1の視差バリアを形成し、第2の形成部51として、第2の視差バリアを形成しない。これにより、視差バリアが選択的に構成され得る。
【0033】
図2を参照して、ある局面に従う液晶モニタの構造について説明する。図2は、従来の構成を有する三次元表示可能な液晶モニタ200の構造の概略を表わす図である。図2に示される例は、たとえば、液晶モニタ200が理想の位置にある両目によって視認される状態を表わす。
【0034】
液晶モニタ200は、表示パネル210と、視差バリア220,221,222とを含む。液晶モニタ200のユーザの両目は、たとえば、左目230と右目240として示される。このとき、視差バリア220,221,222が形成されると、左目230は、左画像ドット250,252,254を視認できる。一方、右目240は、視差バリア220,221,222によって遮られるため、左画像ドット250,252,254を視認することができない。逆に、右画像ドット251,253,255は、右目240によって視認されるが、視差バリア220,221,222によって遮られるため、左目230には視認されない。
【0035】
図3を参照して、ユーザの両目の位置が右にずれた場合について説明する。図3は、図2に示される液晶モニタ200を視認する両目が理想の位置から右側にずれた場合における視認の態様を表わす図である。
【0036】
具体的には、ある局面において、ユーザの両目は、左目231と右目241として示される。このとき、たとえば、左画像ドット250のうちの一部310は、視差バリア220によって遮られるため、左目231には視認されない。一方、この一部310は、右目241に対しては、視差バリア220によって妨げられないため、左目表示用の画像が右目241に視認されることになる。
【0037】
同様に、右画像ドット251の一部311は、左目231に対しては、視差バリア220によって妨げられない。したがって、右目用の画像が左目231によって視認されることになり、クロストークが発生する。一方、この一部311は、右目241に対しては、視差バリア221によって妨げられるため、右目用として出力された画像は、右目241によって一部が視認されなくなる。そのため、三次元で表示される画像の品質の低下に繋がる。同様にして、各画像ドットの一部312,313,314,315についても、クロストークが発生する。
【0038】
図4を参照して、本実施の形態に係る表示装置の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係る表示装置100が備える液晶モニタ28の構成の概略を表わす図である。液晶モニタ28は、表示パネル210と、視差バリア410,411,412,413,414と、視差バリア420,421,422とを含む。ここで、視差バリア420,421,422は、三次元画像を表示可能な従来の構成を有する液晶モニタ200の視差バリア220,221,222に相当し得る。一方、視差バリア410,411,412,413,414は、三次元で表示される画像の品質を向上させるために、本実施の形態に係る表示装置100に追加されたものである。
【0039】
ある局面において、表示装置100のユーザの両目が左目430および右目440の場所にあるとき、表示パネル210から出力される画像は、視差バリア420,421,422を通して左目430および右目440にそれぞれ視認される。
【0040】
他の局面において、ユーザの両目が左目431および右目441に示されるように理想的な位置から左側にずれた場合、表示パネル210によって表示される画像のうち、右画像ドット251の一部は、視差バリア410によって遮られるため、左目431には視認されない。同様に、右目用に出力される右画像ドット253のうちの一部453および右画像ドット255の一部455は、それぞれ、視差バリア412,414によって左目431に対しては遮られるため、右目用の画像が左目431に視認されることはない。
【0041】
一方、左目用に表示される左画像ドット250,252,254については、その一部450,452,454は、視差バリア410,412,414によってそれぞれ遮られるため、右目441には視認されない。
【0042】
さらに他の局面において、ユーザの両目が理想の位置よりも右側にずれて左目432および右目442として示される場合についても同様である。
【0043】
図5は、ある局面における表示装置について、一層の視差バリアとして、視差バリア510,520が形成される場合を表わす図である。ユーザの両目が、左目530、右目540として示される時、左目用の画像ドット500,502は、左目530には視認されるが、視差バリア510,520のため、右目540には視認されない。同様に、右目用の画像ドット501,503は、右目540には、視認されるが、視差バリア510,520のため、左目530には視認されない。
【0044】
一方、ユーザの両目が、左目531、右目541として示される時、視差バリア510,520によって妨げられない右目用の画像ドット501,503の一部が、左目531によって視認され得る。これにより、クロストークLBXが発生する。また、左目用の画像ドット500,502の一部は、右目541によって視認され得る。これにより、クロストークRBXが発生する。
【0045】
図6は、本実施の形態に係る表示装置100の液晶モニタ28の構成の概要を表わす図である。液晶モニタ28は、図5に示される視差バリア510,520に加えて、さらに、視差バリア550,551,552,553,554,555を備える。視差バリア550,551,552,553,554,555は、視差バリア510,520と表示パネル210との間に、構成される。
【0046】
このような構成によると、標準の位置(すなわち、液晶モニタ28の正面)にあった左目530および右目540が左目531および右目541に移動した場合であっても、左目531および右目541によって視認されるクロストークは、視差バリア550,551,552,553,554,555によって防止され得る。
【0047】
図7を参照して、本実施の形態に係る表示装置100の液晶モニタ28の構成についてさらに説明する。図7は、表示パネル210と、2層に形成された2つの視差バリア710,720との関係を表わす図である。表示装置100のユーザの両目が理想の位置にある場合、たとえば左目730および右目740として規定される。
【0048】
図7に示される関係において、表示パネル210から視差バリア710までの距離をbとする。視差バリア710と視差バリア720との間隔を距離cとする。ユーザの両目から視差バリア720までの距離をdとする。視差バリア710の幅をxとし、視差バリア720の幅をmとする。このとき、次の関係が成立する。
【0049】
x:m=b:(b+c)
これを変形すると、幅xは、次式から求められる。
【0050】
x=m*b/(b+c)・・・(1)
図8を参照して、本実施の形態に係る表示装置100の構成についてさらに説明する。図8は、サブの視差バリア(SPB)810,811,812,813のうち、視差バリア812の有無に応じて形成される視差の相違を説明するための図である。視差バリア820,821,822,823は、三次元の画像表示可能な従来の表示装置と同様に形成される視差バリアに相当する(メインの視差バリア「MPB(Main Parallax Barrier)」と表わす)。
【0051】
画像ドット801は、視差バリア812がない場合に右目842によって視認され得る左目画像ドットの一部に相当する。ここで、右目842は、標準の位置にある右目840から右方向にずれている。画像ドット802は、視差バリア812がない場合に左目831によって視認され得る左目画像ドットの一部に相当する。ここで、左目831は、標準の位置にある左目830から左にずれている。
【0052】
視差バリア812は、たとえば理想的な位置にある左目830および右目840に入射する線850と線860との間に位置するように配置される。
【0053】
図9および図10を参照して、本実施の形態に係る表示装置100の構成についてさらに説明する。図9および図10は、表示装置100のユーザの右目が標準の位置よりも右側にずれている場合あるいは左目が標準の位置よりも左側にずれている場合における視差を説明するための図である。
【0054】
距離alは、理想の位置にある左目730からのずれ量に相当し、具体的には、左目730から移動後の左目731までの距離に相当する。距離arは、理想の位置にある右目740からのずれ量に相当し、具体的には、右目740から右目742までの距離に相当する。距離b,c,dは、図7に示される各距離と同じである。
【0055】
幅erは、理想の位置にある右目740が右方向に距離arだけ移動して右目742で示される場所にある場合におけるクロストーク(RRX)の幅に相当する。同様に、幅elは、理想の位置にある左目730が左方向に距離alだけ移動して左目731で示される場所にある場合におけるクロストークの幅(LLX)に相当する。
【0056】
このとき、このクロストークを防ぐために必要な視差バリア710の幅xは、たとえば次のようにして求められる。
【0057】
ar:er≒d:(b+c) ・・・(2)
al:el≒d:(b+c) ・・・(3)
er:xr=(b+c):c ・・・(4)
el:xl=(b+c):c ・・・(5)
x=xr+xl ・・・(6)
式(2)〜(6)を変形すると、クロストークを防ぐための視差バリア710の幅xは、次のようにして求められる。
【0058】
xr=er*c/(b+c)
=ar*(b+c)*c/(d*(b+c))
=ar*c/d ・・・(7)
xl=el*c/(b+c)
=al*(b+c)*c/(d*(b+c))
=al*c/d ・・・(8)
x=(ar*c+al*c)/d
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る表示装置100は、三次元画像の表示のための視差バリアとして2層の視差バリアを有する。既存の視差バリアと表示領域との間に形成される2層目の視差バリアは、表示装置100のユーザの標準的な位置からずれた場合に画像の視認を妨げるように配置される。このような構成により、表示装置100のユーザの両目が左右にずれた場合において、クロストークの発生が抑制される。
【0059】
なお、本実施の形態においては、第2層目の視差バリアとして構成される視差バリア410,411,412,413,414が恒常的に形成されている態様が説明されているが、本発明に係る技術思想の適用はそのような態様に限られない。たとえば、CPU10からの命令に基づき、視差バリア410,411,412,413,414の全部又は一部が選択的に形成されてもよい。このような構成によれば、必要以上に画像ドットが妨げられることを防止することができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、視差バリアによって三次元の画像を表示可能な端末装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
11 音声信号処理回路、12 チューナ、13 通信装置、14,15 アンテナ、16 ボタン、17 カメラ、18 フラッシュメモリ、19 RAM、20 ROM、21 メモリカード駆動装置、22 メモリカード、24 測位信号受信フロントエンド部、25 測位処理部、26 マイク、27 スピーカ、28 液晶モニタ、29 バックライト、32 バイブレータ、100 表示装置、210 表示パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を3次元で表示可能な表示装置であって、
画像を表示するための表示手段と、
前記表示手段を部分的に遮光する視差バリアを形成するための第1の形成手段と、
前記表示手段と前記第1の形成手段との間において、前記表示手段を部分的に遮光する視差バリアを形成するための第2の形成手段とを備え、
前記第2の形成手段によって形成される視差バリアの幅は、前記第1の形成手段によって形成される視差バリアの幅よりも小さい、表示装置。
【請求項2】
前記第2の形成手段によって形成される視差バリアの数は、前記第1の形成手段によって形成される視差バリアの数よりも多い、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の形成手段は、一方向に少なくとも3つの視差バリアを形成し、
前記3つの視差バリアのうちの第1の視差バリアと第3の視差バリアとの間の第2の視差バリアと、前記表示手段との間には、前記第2の形成手段による1つの視差バリアが形成されており、
前記第1の視差バリアと前記表示手段との間、および、前記第3の示唆バリアと前記表示手段との間には、それぞれ、前記第2の形成手段による2つの視差バリアが形成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置を有する画像表示端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68707(P2013−68707A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205866(P2011−205866)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】