説明

表示装置の制御方法

【課題】人物の部位の接近によって操作する表示装置の操作性を向上させる。
【解決手段】コンテンツを表示する表示パネル50と、表示パネル50の周囲に配置され、人物の部位の接近を検出する検出センサー60と、検出センサー60の近傍に配置され、検出センサー60が部位を検出したことを発光により示す表示ライト55とを備えた表示装置の制御方法は、コンテンツを表示パネル50に表示する工程と、検出センサー60が人物の部位の接近を検出する工程と、検出センサー60が部位を検出した場合、検出センサー60の近傍の表示ライト55の発光量を増加させる工程と、部位が更に接近した場合、表示パネル50の一方の側から対向する他方の側に向かって部位を案内する案内バー95を表示パネル50に表示する工程と、一方の側から他方の側への部位の移動に応じて表示パネル50に表示するコンテンツの表示を変更させる工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを表示する表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の入力機器から入力された観賞用画像を表示する装置として電子写真立てが知られている。このような電子写真立てを操作する方法として、下記特許文献1に示すように、画面とユーザーとの間の距離に応じて表示画像の大きさを変える方法が提案されており、このような方法を電子写真立てに適用することで、電子写真立てに内蔵されたセンサーがユーザーの位置や行動を検出し、検出した情報に応じて電子写真立てが表示する画像の大きさを変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−238124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーが電子写真立てに対して自身の位置を移動したり、手をかざしたりした場合、電子写真立てのセンサーがユーザーの行動を検出したか、否かは、行動に応じた操作が実行されることが確認できるまでわからなかった。加えて、ユーザー自身の位置や行動により電子写真立てに対して所望の操作を行いたい場合、ユーザーは自身の位置を変えたり、所定の行動を行ったりする必要があるが、これらを行うタイミングがわからないため、同じ行動を繰り返したり、途中で止めたりすることにより、所望の操作とは異なった操作が実行されたりした。このようなことから、ユーザーの位置や行動を検出して操作する方法は、ユーザーに対して使い勝手が悪いという印象を与えた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる表示装置の制御方法は、コンテンツを表示する表示手段と、前記表示手段の周囲に配置され、人物の部位の接近を検出する検出手段と、前記検出手段の近傍に配置され、前記検出手段が前記部位を検出したことを発光により示す発光手段とを備えた表示装置の制御方法であって、前記コンテンツを前記表示手段に表示する工程と、前記検出手段が前記人物の部位の接近を検出する工程と、前記部位の接近に応じて前記検出手段の近傍に配置された前記発光手段の発光量を増加させる工程と、前記部位が更に接近した場合、前記表示手段において前記検出手段が配置された一方の側から対向する他方の側に向かって前記部位を案内する案内バーを前記表示手段に表示する工程と、前記一方の側から前記他方の側への前記部位の移動に応じて前記表示手段に表示されている前記コンテンツを変更する工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような方法によれば、コンテンツを表示する表示手段の周囲に配置された検出手段が、人物の部位の接近を検出した場合、この検出手段の近傍に配置された発光手段の発光量が増加し、部位が更に接近した場合、表示手段において検出手段が配置された一方の側から対向する他方の側に向かって部位を案内する案内バーが表示される。この案内バーに従い部位が移動することで、部位の移動に応じて表示手段に表示されているコンテンツが変更される。従って、表示装置に対して所望の操作をすべく人物が部位を接近させた場合、人物は、検出手段が部位を検出したことを発光手段の発光量の変化で視認できることに加え、次に行うべき動作が表示手段に案内されるため、部位を繰り返して接近させたり移動させたりすることによる表示装置の誤動作を回避できることから、表示装置の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像表示装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】画像表示装置のハードウェア構成を説明する図。
【図3】画像表示装置の外観を示す図。
【図4】画像表示装置において、人物の手の動きに合わせた処理の流れを説明するフローチャート。
【図5】ユーザーの手の動きに対する画像表示装置の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、画像表示装置について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施形態)
図1は、画像表示装置10の機能構成を示すブロック図である。この画像表示装置10は、検出手段20、発光制御手段25、発光手段30、案内バー表示制御手段28、コンテンツ表示制御手段35、表示手段40およびコンテンツ入力手段45を備え、ユーザーの指示に応じて所望のコンテンツを表示することができる。
検出手段20は、人物の部位の接近を検出する。尚、本実施形態では、人物の部位は、手を想定するが、これに限定されない。この検出手段20は、人物の手の接近を検出した場合、発光制御手段25、案内バー表示制御手段28およびコンテンツ表示制御手段35に対して、人物の手の接近を示す検出信号を送る。
発光制御手段25は、検出手段20から送られる検出信号に応じて、所定の光を発光する発光手段30の発光輝度を制御する。また、案内バー表示制御手段28は、検出手段20から送られる検出信号に応じて、直線状の光束であって表示手段40に表示される案内バー95(図3)および表示手段40の周縁部の照度を制御する。また、コンテンツ表示制御手段35は、コンテンツ入力手段45から入力されたコンテンツを表示手段40に表示させ、検出手段20から送られる検出信号に応じて、表示手段40に表示しているコンテンツの表示を変更させるべく制御する。尚、本実施形態では、コンテンツは写真を想定するが、これに限定されるものではなく、文書、動画等であっても良い。
【0011】
本実施形態では、検出手段20が人物の手の接近を検出した場合、発光制御手段25は、発光手段30の発光輝度を所定値だけ明るくし、更に手の接近を検出する場合、発光制御手段25は発光手段30の発光輝度を更に明るくする。この際、発光手段30の発光する色を変化させても良い。
また、案内バー表示制御手段28は、検出手段20が手の接近を所定の時間に渡り検出した場合、表示手段40の周縁部のうち、接近する手に近い側の照度を上げる。また、検出手段20が手の接近を更に所定の時間に渡り検出した場合、案内バー表示制御手段28は、照度を上げた周縁部に案内バー95(図3)を表示し、この周縁部から他方の周縁部に向かって手を移動させるべく案内する。この場合、手の動きに合わせて案内しても良く、手よりも先に先導して案内しても良い。
また、コンテンツ表示制御手段35は、案内バー95(図3)の動きに応じてコンテンツの表示を切り替える。
【0012】
次に、図2は画像表示装置10のハードウェア構成を説明する図であり、図3は画像表示装置10の外観を示す図である。
図2に示すように、この画像表示装置10のハードウェア構成は、制御プログラムに基づいて演算および装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)70と、所定領域にあらかじめCPU70の制御プログラム等を格納しているROM(Read Only Memory)75と、ROM75等から読み出したデータやCPU70の演算過程で必要な演算結果を格納するためのRAM(Random Access Memory)80と、コンテンツのデータやコンテンツを表示させるためのプログラム等を格納しているSSD(Solid State Drive)85と、外部デバイスに対してデータの入出力を媒介するI/F65とで構成されている。これらは、データを転送するための信号線であるバス90により、相互にデータが授受可能であるように接続されている。
I/F65には、コンテンツの画像信号に基づいて画面を表示する表示パネル50と、手の接近を検出可能な検出センサー1(60A)〜検出センサー4(60D)と、所定の光を発光可能な表示ライト1(55A)〜表示ライト4(55D)が接続されている。本実施形態では、検出センサー1(60A)〜検出センサー4(60D)は、検出物までの距離に応じた電気信号を出力する赤外線センサーを採用し、表示ライト1(55A)〜表示ライト4(55D)は、LEDを採用するが、これらに限定されるものではない。
【0013】
また、画像表示装置10は、図3に示すように、箱状の様態であり、一方の面に表示パネル50が配置されると共に、この表示パネル50の周囲の略中央部には、検出センサー1(60A)〜検出センサー4(60D)と表示ライト1(55A)〜表示ライト4(55D)とがそれぞれ対応して配置されている。このような画像表示装置10は、例えば、壁面に固定されたり、机上に置かれたりする様態を想定し、ユーザーは、表示パネル50の周囲に手を近づけることにより、検出センサー1(60A)〜検出センサー4(60D)がユーザーの手の接近を検出し、検出したセンサーに対応する表示ライト1(55A)〜表示ライト4(55D)の輝度が変化したり、表示パネル50に表示されているコンテンツを変更したりする。
【0014】
尚、本実施形態では、検出センサー1(60A)〜検出センサー4(60D)と表示ライト1(55A)〜表示ライト4(55D)は、表示パネル50が配置された面と同一な面に配置されているが、これに限定されるものではなく、表示パネル50が配置された面と直交する側面に配置されても良く、表示パネル50が配置された面と側面の両方にそれぞれ配置されても良い。更に、これらの検出センサー60毎にコンテンツに対する操作を関連付けても良い。例えば、手が案内バー95に案内されて、左右方向に移動する場合、左右方向の検出センサー60B,60Dは、手を所定の時間差でそれぞれ検出するため、コンテンツとしてフォルダー毎に管理された写真ファイルを想定する場合、例えば、同じフォルダー内における写真の表示切替えに関連付けても良い。また、手が案内バー95に案内されて、上下方向に移動する場合、上下方向の検出センサー60A,60Cは、手を所定の時間差でそれぞれ検出するため、このような場合は、例えば、他のフォルダーの写真への切り替えに関連付けても良い。
上述した各機能手段は、これらのハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、それぞれの機能を実現している。
【0015】
図4は、画像表示装置10において、人物の手の動きに合わせた処理の流れを説明するフローチャートであり、図5も参照して説明する。最初に、処理が開始されると、CPU70は、図5(a)に示すように、ユーザー等からの指示に基づき、コンテンツを表示パネル50に表示する(ステップS100)。次に、CPU70は、検出センサー1(60A)〜検出センサー4(60D)がユーザーの手の接近を検出したか、否かを判定し(ステップS105)、手の接近が検出されない場合(ステップS105でNo)、この工程(ステップS105)を繰り返す。他方で、手の接近が検出された場合(ステップS105でYes)、CPU70は、図5(b)に示すように、手の接近を検出した検出センサー60Bに対応する表示ライト55Bの輝度を、検出センサー60Bからの出力信号に応じて所定値だけ明るくする(ステップS110)。加えて、CPU70は、輝度が上昇した表示ライト55に近い表示パネル50の端部領域98を明るくする(ステップS115)。
次に、CPU70は、手と検出センサー60とが更に接近し、両者の距離が更に縮まっているか、否かを判定する(ステップS120)。ここで、手と検出センサー60との距離が更に縮まっていないと判定された場合(ステップS120でNo)、一連の処理を終了する。他方で、手と検出センサー60との距離が更に縮まっていると判定された場合(ステップS120でYes)、CPU70は想定した距離まで接近したか、否かを判定する(ステップS125)。ここで、想定した距離まで接近していないと判定された場合(ステップS125でNo)、CPU70は、ステップS110に戻る。
【0016】
他方で、想定した距離まで接近したと判定された場合(ステップS125でYes)、CPU70は、図5(c)に示すように、明るい表示パネル50の端部領域98を通常の状態に戻し、表示パネル50に案内バー95を表示し、案内バー95を水平方向に移動させる(ステップS135)。次に、CPU70は、案内バー95の移動方向に配置されている検出センサー60Dの検出信号の有無から、手が案内バー95に追従して移動したか、否かを判定する(ステップS135)。
ここで、手が案内バー95に追従して移動しないと判定された場合(ステップS135でNo)、一連の処理を終了する。他方で、手が案内バー95に追従して移動したと判定された場合(ステップS135でYes)、CPU70は、図5(d)に示すように、手の動きに関連付けられた操作をコンテンツに対して実行し(ステップS140),一連の処理を終了する。
【0017】
以上述べたように、ユーザーは、画像表示装置10に触れることなく、手を画像表示装置10に接近させ、案内バー95に従い移動させるだけで、所定の操作を実行させることが出来る。この際、手を近づけた側の表示ライト55の輝度が変化した後、表示ライト55に近い表示パネル50の端部近傍が明るくなると共に、表示パネル50に案内バー95が表示され、この案内バー95がユーザーの手の移動を案内する。従って、ユーザーは、近づけた手を画像表示装置10が認識したことを視認できると共に、近づけた手は案内バー95まで自然な流れで導かれ、手を移動すべき方向とタイミングが案内バー95により教示される。この結果、手を移動すべき方向やタイミングがわからないため、一度動かした手を戻してしまうことにより生じる画像表示装置10の誤動作を回避できることから、画像表示装置10の操作性を向上させることができる。更に、表示ライト55の輝度変化や、表示パネル50への案内バー95の出現方法は、ユーザーに対して手の動きとの一体感を与え、画像表示装置10に対する親和性を向上させることができる。
【0018】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態では、検出センサー60は、対象物までの距離を測定する測距センサーを採用したが、対象物が所定の検出範囲にあるか、否かを判定するON/OFFタイプのセンサーであっても良い。また、表示ライト55から所定の範囲の波長を含む光を放射し、検出センサー60は所定の範囲の波長に対して優れた検出特性を有し、外乱光による誤動作を低減しても良い。更に、案内バー95は、直線状の光束に限定されず、種々の形状を有する像であっても良い。また、ユーザーの手による操作を行う対象は、音楽の選曲や音量調整であっても良い。
【符号の説明】
【0019】
10…画像表示装置、20…検出手段、25…発光制御手段、28…案内バー表示制御手段、30…発光手段、35…コンテンツ表示制御手段、40…表示手段、45…コンテンツ入力手段、50…表示パネル、55…表示ライト、55A…表示ライト1、55B…表示ライト2、55C…表示ライト3、55D…表示ライト4、60…検出センサー、60A…検出センサー1、60B…検出センサー2、60C…検出センサー3、60D…検出センサー4、65…I/F、70…CPU、75…ROM、80…RAM、85…SSD、90…バス、95…案内バー、98…端部領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示する表示手段と、前記表示手段の周囲に配置され、人物の部位の接近を検出する検出手段と、前記検出手段の近傍に配置され、前記検出手段が前記部位を検出したことを発光により示す発光手段とを備えた表示装置の制御方法であって、
前記コンテンツを前記表示手段に表示する工程と、
前記検出手段が前記人物の部位の接近を検出する工程と、
前記部位の接近に応じて前記検出手段の近傍に配置された前記発光手段の発光量を増加させる工程と、
前記部位が更に接近した場合、前記表示手段において前記検出手段が配置された一方の側から対向する他方の側に向かって前記部位を案内する案内バーを前記表示手段に表示する工程と、
前記一方の側から前記他方の側への前記部位の移動に応じて前記表示手段に表示されている前記コンテンツを変更する工程と、を備えることを特徴とする表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−205003(P2010−205003A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50336(P2009−50336)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】