説明

表示装置の製造方法および表示装置

【課題】接触転写法によって下部電極上に有機層をパターン形成する際に、画素の開口率を低下させずに補助配線上への有機層の形成を防止でき、これにより上部電極の電圧降下を防止して表示性能の向上を図ることを可能とした表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板10の平坦面上に、下部電極18とこれよりも膜厚の薄い補助配線20とをパターン形成する。これらを覆う状態で第3絶縁膜22を平坦化絶縁膜として形成し、画素開口22aとこれよりも深い接続孔22bを補助配線20上に形成する。補助配線20との間に間隔dを設ける一方、下部電極18に密着させる状態で、有機層5が設けられたドナーフィルム1を基板10に対向配置し、この状態でのレーザ光hの照射によりドナーフィルム1を密着させた部分でかつレーザ光hを照射した部分に対応させて有機層5を下部電極上に選択的にパターン転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光層を備えて構成される有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置の製造方法および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:以下ELと記す。)を利用した有機EL素子は、下部電極と上部電極との間に有機正孔輸送層や有機発光層を積層させてなる有機層を設けてなり、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
【0003】
近年、上記有機EL素子を用いたフルカラーの表示装置の製造において有機層をパターン形成する技術として、マスク蒸着法やインクジェット法と比較して、大型基板を用いることができると共に作製時間を大幅に短縮することが可能な転写法が注目されている。なかでも接触転写法では、転写元であるドナーフィルムに形成した有機層の積層構造をそのまま保った状態で、転写先の基板上に有機層を転写する事が出来る。このため表示装置の製造工程の簡略化に有利である。
【0004】
このような接触転写法による有機層のパターン形成では、先ず有機層が予め成膜されたドナーフィルムを、下部電極が予めパターニングされた基板上に密着させる。次に、有機層を形成したい部分のみにレーザ光を照射し、これによりレーザ光が照射された有機層部分のみを、ドナーフィルム上から基板の下部電極上に選択的にパターン転写する。
【0005】
また、以上のような接触転写法においては、有機層が転写形成される基板面に凹凸が有る場合、そのテーパ角を40°以下、段差を3000Å以下とすることにより、ドナーフィルムと基板との密着不足による転写の不具合を防止する構成が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−165324号公報(特に0013、0016段落参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、有機EL素子を用いた表示装置の駆動方式としては、単純マトリックス型およびアクティブマトリックス型が挙げられるが、画素数が多い場合は、アクティブマトリックス型が適している。代表的なアクティブマトリックス型の表示装置(すなわち有機ELディスプレイ)においては、基板上の各画素に薄膜トランジスタが設けられ、薄膜トランジスタが層間絶縁膜で覆われている。そして、層間絶縁膜上に有機EL素子が形成されている。有機EL素子は、薄膜トランジスタに接続された状態で各画素にパターン形成された下部電極、下部電極を覆う状態で形成された有機層、有機層を覆う状態で設けられた上部電極で構成されている。上部電極は、全画素を覆うベタ膜として形成され、全画素間に共通の上部電極として用いられている。
【0008】
またこのようなアクティブマトリックス型の表示装置は、有機EL素子の開口率を確保するために、基板と反対側から光を取り出す、いわゆる上面光取り出し構造(以下、上面発光型と記す)として構成することが有効になる。上面発光型とした場合、上部電極は、透明または半透明な材料で形成されるが、透明または半透明な材料からなる上部電極は、抵抗値が高いことから、上部電極内において電圧勾配が発生して電圧降下が生じ、表示性能が著しく低下してしまう。そこで、各画素間に、上部電極の補助配線を設けることにより、電圧降下を防止する構成が提案されている。
【0009】
ところが、補助配線を設けた表示装置の製造に、上述した接触転写法を適用した場合、レーザ光の照射位置に位置ずれが生じると補助配線上にも有機層が転写され、上部電極と補助配線とのコンタクト不良が発生する。これにより電圧降下を効果的に防止することができず、表示性能を向上させることが困難になる。
【0010】
これを防止するためには、下部電極と補助配線とを十分離れた位置に配置し、レーザ光の照射エリアが補助配線上にかからないようにする対策が必要となる。しかしながら、このような対策を講じた場合、画素レイアウト上の制約が非常に大きくなり、開口率の向上が困難になる。それにより、有機EL素子の高輝度化、長寿命化が困難になる。
【0011】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものであり、接触転写法によって下部電極上に有機層をパターン形成する際に、画素の開口率を低下させることなく補助配線上への有機層の形成を防止でき、これにより上部電極の電圧降下を防止して表示性能の向上を図ることを可能とした表示装置の製造方法および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明の表示装置の製造方法は、次の工程を順次行うことを特徴としている。先ず、複数の下部電極が配列形成されると共に当該下部電極間に補助配線がパターン形成された基板を用意する。また、発光機能層が設けられたドナーフィルムと用意する。そして、下部電極に発光機能層を密着させる一方、補助配線との間に間隔を設ける状態で、ドナーフィルムを基板に対して対向配置する。この状態で、ドナーフィルム上からエネルギー線を照射することにより、当該ドナーフィルムを密着させた部分でかつ当該エネルギー線を照射した部分に対応させて、発光機能層を下部電極上に選択的にパターン転写する。その後、下部電極との間に発光機能層を狭持すると共に、補助配線に接続された上部電極を形成することにより、当該下部電極と上部電極との間に発光機能層を狭持してなる発光素子を形成する。
【0013】
このような製造方法によれば、エネルギー線の照射領域に位置ずれが生じた場合であっても、接続孔の底部の補助配線とドナーフィルムとの間には間隔が設けられているので、補助配線上に発光機能層がパターン転写されることはない。
【発明の効果】
【0014】
したがって本発明によれば、エネルギー線の照射領域の位置ずれに対するレイアウトの余裕を広げることなく、接触転写法によって下部電極上に発光機能層をパターン形成する際の補助配線上への発光機能層の形成を防止できる。これにより、発光素子が設けられる画素の開口率を低下させることなく、補助配線によって上部電極の電圧降下を防止し、表示装置における表示性能の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、ここでは、有機EL素子を発光素子として用いた表示装置を例にとり、先ずその製造に用いられるドナーフィルムの構成を説明し、続く各実施形態においてこのドナーフィルムを用いた表示装置の製造方法および表示装置の構成をこの順に説明する。
【0016】
<ドナーフィルム>
【0017】
図1に示すドナーフィルム1は、有機EL素子を発光素子として用いた表示装置の製造において、有機EL素子の有機層を形成する際に用いられるものである。このドナーフィルム1は、基材フィルム2上に、光熱変換層3および保護層4を介して、転写対象となる有機層(すなわち発光機能層)5が設けられている。以下、ドナーフィルム1を構成する各層の詳細を説明する。
【0018】
1)基材フィルム2
基材フィルム2としては、透明高分子フィルムからなるものを用いることができる。透明高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルフォンなどを挙げることができる。また、膜厚としては、約10〜600μm程度が好ましく、より好ましくは約50〜200μm程度である。
【0019】
2)光熱変換層3
光熱変換層3は、光を吸収して効率良く熱を発生する機能を有する膜である。そのような膜としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、その酸化物/硫化物からなる金属膜、カーボンブラック、黒鉛、赤外線染料などを高分子材料に分散した膜などを用いることができる。
【0020】
3)保護層4
保護層4は、光熱変換層3と転写層である有機層5との間に配置され、有機層5に対する光熱変換層3からの汚染を防ぐための層であり、その材料としては特に限定されないが、例えば、ポリαメチルスチレンなどを用いることができる。また有機層5の剥離を補助する役割や、光熱変換層3で発生した熱を制御する役割を兼ねることも出来る。
【0021】
尚、この保護膜4は、必要に応じて設ければ良い。
【0022】
また、ここでの図示は省略したが、保護層4上には、必要に応じてガス発生層を設けても良い。ガス発生層は、光または熱を吸収して、分解反応によりガス(例えば、窒素ガスなど)を生成して放出することにより転写を効率良く行うための層で、その材料としては、例えば、四硝酸ペンタエリトリトール、トリニトロトルエンなどを挙げることができるが、この発明は特にこれらに限定されるものではない。
【0023】
4)有機層5
有機層5としては、単層構造でも多層構造でも良く、このドナーフィルムを用いて作製する有機EL素子に必要とされる特性によって設定された層構造を備えていることが重要である。このような有機層5の構成として、下記に示す単層構造または積層構造が例示される。
(1)有機発光層
(2)電子輸送層
(3)正孔輸送層/有機発光層
(4)有機発光層/電子輸送層
(5)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/ブロッキング層/電子輸送層
【0024】
以上の(1)〜(7)を構成する各層は、さらにそれぞれが単層であっても良く、積層構造であっても良い。また、(2)〜(7)の積層構造は、有機EL素子の構成によって逆の積層順となる場合も有る。これらの(1)〜(7)を構成する各層は、従来の方法で成膜することが可能であり、例えば、有機発光層であれば、有機発光材料を直接、真空蒸着法、EB法、MBE法、スパッタリング法等のドライブロセスで成膜することが可能であるが、この発明は特にそれらに限定されるものではない。
【0025】
図1においては、基材フィルム2側から順に、電子輸送層5a、有機発光層5b、正孔輸送層5c、および正孔注入層5dをこの順に積層した(6)の逆積み構成の有機層5を、一例として示している。
【0026】
そして、フルカラーの表示装置の製造であれば、赤、緑、青の各発光色の有機EL素子を基板上に形成するため、この発光色に対応させた3種類のドナーフィルム1を用意する。各ドナーフィルム1は、少なくとも有機発光層5bが、それぞれの発光色に特有の発光材料を用いた異なる構成となっている。
【0027】
具体的な一例として、青色の有機EL素子の形成に用いるドナーフィルム1においては、発光層を兼ねる電子輸送層5aとして、Alq3[tris(8-quinolinolato)aluminium(III)]が20nmの膜厚で蒸着されている。この上部に、有機発光層5bとして例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、青色発光性のゲスト材料である4,4’≡ビス[2≡{4≡(N,N≡ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%で混合した材料層が、25nm程度の膜厚で蒸着成膜されている。次いで、正孔輸送層5cとして、α−NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]が30nmの膜厚で蒸着されている。最後に、正孔注入層5dとして、m−MTDATA〔4,4,4 -tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine〕が10nmの膜厚で蒸着されている。
【0028】
<第1実施形態>
図2および図3は、上述した一構成例のドナーフィルムを用いた製造方法の第1実施形態を説明する断面工程図であり、以下これらの図面に基づいてアクティブマトリックス型の表示装置の製造方法の第1実施形態を説明する。尚、これらの断面工程図は、表示領域における1画素分の断面に相当する。
【0029】
先ず、図2(1)に示すように、例えば光透過性材料からなる基板10上に、画素回路を構成する薄膜トランジスタTrやここでの図示を省略した容量素子や抵抗素子等を形成する。次に、これらの素子(図面においては薄膜トランジスタTr)を覆う第1絶縁膜12を成膜し、さらに第1絶縁膜12上にトランジスタTrに接続されたソース電極配線14s、ドレイン電極線14d、さらにはこれらに接続された信号線や電源線等を適宜形成する。
【0030】
その後、以上の配線を覆う状態で、第1絶縁膜12上に第2絶縁膜16を形成する。ここでは、この第2絶縁膜16は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、SOGのような無機絶縁材料を用いた平坦化絶縁膜として形成する。そして、この第2絶縁膜16に、ドレイン電極配線14dに達する接続孔16aを形成する。
【0031】
次いで、平坦化絶縁膜として形成した第2絶縁膜16の平坦化表面の上に、有機EL素子の下部電極18をパターン形成する。この下部電極18は、例えば図4のレイアウト図に示すように、1画素毎の画素電極として表示領域内にマトリックス状に配列形成され、それぞれの下部電極18が接続孔16aを介してドレイン電極配線14dに接続される。
【0032】
また、下部電極18は、ここではアノード電極として用いられることとし、ここで作製する表示装置が上面発光型である場合には可視光に対して高反射性材料で構成され、一方この表示装置が透過型である場合には可視光に対して透明に形成される。
【0033】
そして、表示装置が上面発光型である場合、アノード電極となる下部電極18は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)さらには金(Au)のように、可視光に対して反射率の高い導電性材料、およびその合金で構成される。
【0034】
また、表示装置が透過型であり、下部電極18をアノード電極として用いる場合には、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)のように、可視光に対して透過率の高い導電性材料で下部電極18を構成する。
【0035】
なお、有機EL素子が上面発光型であり、下部電極18をカソード電極として用いる場合には、下部電極18はアルミニウム(Al)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)−銀(Ag)合金のような仕事関数が小さい導電性材料のうち、可視光に対して反射率の高いもので構成される。さらに有機EL素子が透過型であり、下部電極18をカソード電極として用いる場合には、仕事関数が小さくかつ、可視光に対して透過率の高い導電性材料で下部電極18を構成する。
【0036】
また、第2絶縁膜(ここでは平坦化絶縁膜)16上には、下部電極18と絶縁性を保った状態で補助配線20を形成する。この補助配線20は、表示領域内において共通電位であって良く、例えば図4のレイアウト図に示すように、マトリックス状に配列された下部電極18間に行列状に配線される。
【0037】
そして特に本第1実施形態においては、この補助配線20の膜厚を、下部電極18よりも薄く形成することが重要である。この膜厚さは、下部電極18の膜厚t1に対して、補助配線20の膜厚t2≧t1+500nm程度であることが好ましい。これにより、下部電極18の表面を、補助配線20の表面よりも高く形成する。
【0038】
このような補助配線20は、下部電極18と別工程で形成するか、または同一工程でパターン形成した後、補助配線20の膜厚のみを減厚させるためのエッチングを行うことによって膜厚調整しても良い。
【0039】
次に、図2(2)に示すように、下部電極18および補助配線20を覆う状態で第3絶縁膜22を形成する。第3絶縁膜22は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、SOGのような無機絶縁材料を用いた平坦化絶縁膜として形成する。これにより、第3絶縁膜22は、下部電極18上よりも補助配線20上で厚くなるように形成される。
【0040】
次いで、第3絶縁膜22に、下部電極18の周縁を覆った状態で中央部を広く露出させた画素開口22aを形成すると共に、補助配線20に達する接続孔22bを形成する。これにより、下部電極18上の画素開口22aよりも、補助配線20上の接続孔22bを深く形成する。特にここでは、画素開口22aの側壁テーパ角が、30°以下となるように条件設定されたエッチングを行うことが好ましい。
【0041】
次に、図2(3)に示すように、基板10における下部電極18の形成面側にドナーフィルム1を対向配置する。ここでは、図1を用いて説明した構成のドナーフィルム1の有機層5の形成面側を、基板10における下部電極18の形成面側に密着させる。この際、画素開口22aよりも深く形成された接続孔22bの底面に露出させた補助配線20と有機層5との間に間隔dを設ける。その一方、接続孔22bよりも浅く形成された画素開口22aの底面に露出させた下部電極18に有機層5を密着させる。
【0042】
この状態で、ドナーフィルム1側から、選択された画素の下部電極18分部に対応させてレーザ光h等のエネルギー線を照射する。例えば、赤色の有機EL素子用のドナーフィルム1を基板10に密着させた状態で、赤色画素に形成された下部電極18に対応させた領域のみにレーザ光hを選択的に照射する。これにより、ドナーフィルム1の有機層5を密着させた部分で、かつレーザ光hを照射した部分に対応させて、有機層5を下部電極18上に選択的にパターン転写させる接触転写を行う。
【0043】
ここで、レーザ光hとしては、ドナーフィルム1の光熱変換層(図3参照)の材質に対して効率よく吸収できる波長のものを用いる。例えば、光熱変換層がカーボンブラックを含む高分子層で構成されている場合、例えば半導体CWレーザを用いて、波長800nmの赤外レーザ光を照射し、ドナーフィルム1の光熱変換層(図3参照)にレーザ光hを吸収させ、そこで発生した熱を利用して、ドナーフィルム1上に成膜された有機層5を基板10上に転写する。
【0044】
またこの接触転写においては、画素開口22a内に露出している下部電極18の全面に対応する十分な領域にレーザ光hを照射することで、選択された画素における下部電極18の露出面が完全に有機層5で覆われるように、レーザ光hの照射領域を設定することが重要である。このため、レーザ照射装置が精密なアライメント機構を備えている場合には、基板10上のアライメントマーク(例えば下部電極18)に沿って、適正なスポット径に調整されたレーザ光hを照射すれば良い。
【0045】
また、レーザ光hを照射する部分に対応した開口を有するマスクを用いても良い。この場合、ドナーフィルム1の上部にマスク(図示省略)を配置して、レーザ光hを開口より大きなスポット径にして照射する。これにより、マスクの開口を介して正確にレーザ光hを必要な領域に照射することができる。
【0046】
尚、マスクを用いる場合、広範囲(例えば全面)にレーザ光を一括して照射してもよい。これにより、短時間で目的の箇所へレーザ光hを照射できるようになる
【0047】
そして、以上のような接触転写においては、ドナーフィルム1は下部電極18には密着しているが、補助配線20には密着していない。よって、レーザ光hが補助配線20上のドナーフィルム1に照射された場合であっても、非密着部である補助配線20上には有機層5が転写されることはない。
【0048】
次に、図3(1)に示すように、ドナーフィルム1を基板10側から引き剥がすことにより、赤色画素に形成された下部電極18上に、有機層5を選択的にパターン形成する。
【0049】
以上の後には、緑色の有機EL素子用のドナーフィルム1を用いて、図2(3)、図3(1)の工程を繰り返し行うことで、緑色画素に形成された下部電極18上に、緑色発光用の有機層5を選択的にパターン形成する。また青色の有機EL素子用のドナーフィルム1を用いて、図2(3)、図3(1)の工程を繰り返し行うことで、青色画素に形成された下部電極18上に、青色発光用の有機層5を選択的にパターン形成する。
【0050】
次に、図3(2)に示すように、基板10における表示領域の全面にベタ付けにする状態で、各画素に共通の上部電極30を形成する。この上部電極30は、全面に形成されるとともに、有機層5の転写後にも露出した状態となっている補助配線20に対して接続されることになる。ただし、この上部電極30は、有機層5および第3絶縁膜22によって下部電極18とは絶縁されたものになる。
【0051】
またここでは、下部電極18をアノード電極として形成しているため、上部電極30はカソード電極として形成されることになる。そして、この上部電極30は、ここで作製する表示装置が上面発光型である場合には可視光に対して透明、または半透明に形成され、一方この表示装置が透過型である場合には可視光に対して高反射性材料で構成される。
【0052】
そして、表示装置が上面発光型である場合、カソード電極となる上部電極30は、有機層5に対して電子を効率的に注入できるように、仕事関数の小さい材料で、可視光に対して透明に形成され、特に蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって形成できる金属薄膜として形成することが好ましい。また、電子注入を促進する為に、LiF等の無機薄膜との積層構造にしても良い。ここでは、Mg-Ag合金のような透過率の高い、好ましくは透過率30%以上の金属薄膜を上部電極4として用いることとし、例えばMg-Ag合金を共蒸着によって14nmの膜厚で形成する。
【0053】
また、有機EL素子が透過型である場合、カソード電極となる上部電極30は、仕事関数が小さくかつ可視光に対して反射率の高い導電性材料で構成される。
【0054】
尚、下部電極18がカソード電極として形成された場合には、上部電極30は、アノード電極として形成されることになる。そして、有機EL素子が透過型であれば、アノード電極となる上部電極30は、可視光に対して反射率の高い導電性材料で構成される。
【0055】
このような上部電極30の形成においては、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD(chemical vapor deposition)法によって行うこととする。また、望ましくは、有機層5を大気に暴露することなく、有機層5の形成と同一の装置内において連続して上部電極30の形成を行うことで、大気中の水分による有機層5の劣化を防止することが好ましい。
【0056】
以上のような上部電極30の形成により、下部電極18と上部電極30との間に有機層5を狭持してなる有機電界発光素子ELが、各画素開口22aに対応して基板10上に配列形成される。そして、これらの有機電界発光素子ELは、その上部電極18が補助配線20と接続され、電圧降下が防止されたものとなる。
【0057】
以上の後、図3(3)に示すように、上部電極30上に、絶縁性または導電性の保護膜32を設ける。この際、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法で、例えば蒸着法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって保護膜32の形成を行うこととする。また、保護膜32の形成は、上部電極30を大気に暴露することなく、上部電極30の形成と同一の装置内において連続して行うこととする。これによって、大気中の水分や酸素による有機層5の劣化を防止する。
【0058】
また、この保護膜32は、有機層5への水分の到達防止を目的とし、透過水性,吸水性の低い材料を用いて十分な膜厚で形成されることとする。さらに、表示装置が上面発光型である場合には、この保護膜32は有機層5で発生した光を透過する材料からなり、例えば80%程度の透過率が確保されていることとする。
【0059】
そして、特にここでは、保護膜32を絶縁性材料によって形成する、つまり、金属薄膜からなる単層構造の上部電極30上に、絶縁性の保護膜32を直接形成する。
【0060】
このような保護膜32として、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-x Nx )さらにはアモルファスカーボン(α−C)等を好適に用いることができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜32となる。
【0061】
例えば、アモルファス窒化シリコンからなる保護膜32を形成する場合には、CVD法によって2〜3μmの膜厚に形成されることとする。ただし、この際、有機層5の劣化による輝度の低下を防止するため成膜温度を常温に設定し、さらに、保護膜32の剥がれを防止するために膜のストレスを最小になる条件で成膜することが望ましい。
【0062】
なお、保護膜32を導電性材料で構成する場合には、ITOやIZOのような透明導電性材料が用いられる。
【0063】
以上のようにして保護膜32を形成した後、必要に応じて保護膜32上に紫外線硬化樹脂34を介して対向基板36を固着し、表示装置38を完成させる。
【0064】
このようにして得られた表示装置38は、上部電極30が補助配線20に接続された有機電界発光素子ELを基板10上に配列形成してなる。そして特に、上部電極30を補助配線20に接続させるための接続孔22bが、画素開口22aよりも深く形成されたものとなっていることが特徴的である。このため、図2(3)を用いて説明した有機層5の接触転写工程においては、接続孔22bの底部の補助配線20に対してドナーフィルム1が接触し難くなっている。また、もともと接続孔22bは、画素開口22aよりも開口幅が狭いことも、補助配線20に対してドナーフィルム1が接触し難い要因の一つになっている。
【0065】
そして、この接触転写工程においては、画素開口22a内の下部電極18に対してドナーフィルム1を密着させる一方、補助配線20とドナーフィルム1との間には間隔dを設けた状態でレーザ光hが照射されるため、レーザ光hの照射領域に位置ずれが生じた場合であっても、補助配線20上に有機層5がパターン転写されることはない。
【0066】
したがって、レーザ光hの照射領域の位置ずれに対するレイアウトの余裕を広げることなく、接触転写法によって下部電極18上に有機層(発光機能層)5をパターン形成する際の補助配線20上への有機層5の形成を防止できる。これにより、画素の開口率を確保でき、かつ補助配線20と上部電極18とのコンタクト抵抗の上層を抑えて電圧降下を防止できるため、有機電界発光素子ELの高輝度化、長寿命化を達成でき、表示装置38における表示性能の向上を図ることが可能となる。
【0067】
また、補助配線20と上部電極18とのコンタクト抵抗の上層が抑えられるため、消費電力を削減することが可能になる。
【0068】
<第2実施形態>
図5および図6は、上述した一構成例のドナーフィルムを用いた製造方法の第2実施形態を説明する断面工程図であり、以下これらの図面に基づいてアクティブマトリックス型の表示装置の製造方法の第2実施形態を説明する。尚、これらの断面工程図は、表示領域における1画素分の断面に相当する。また、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0069】
先ず、図5(1)に示すように、基板10上に、画素回路を構成する薄膜トランジスタTrなどの素子を形成し、これらを第1絶縁膜12で覆い、この上部に薄膜トランジスタTrに接続されたソース電極配線14s、ドレイン電極線14d、さらにはこれらに接続された信号線や電源線等を適宜形成する。
【0070】
次に、以上の配線を覆う状態で、第1絶縁膜12上に第2絶縁膜16を形成する。この第2絶縁膜16は、平坦化絶縁膜として形成することが好ましい。そして、この第2絶縁膜16に、ドレイン電極配線14dに達する接続孔16aを形成する。
【0071】
次いで、平坦化絶縁膜として形成した第2絶縁膜16の平坦化表面の上に、有機EL素子の下部電極18および補助配線40をパターン形成する。図4のレイアウト図に示すように、下部電極18は、例えば1画素毎の画素電極として表示領域内にマトリックス状に配列形成され、それぞれの下部電極18が接続孔16aを介してドレイン電極配線14dに接続される。また、補助配線40は、表示領域内において共通電位であって良く、マトリックス状に配列された下部電極18間に行列状に配線される。これらの下部電極18および補助配線40は、同一工程で形成して良い。
【0072】
次に、図5(2)に示すように、下部電極18および補助配線40を覆う状態で第3絶縁膜22を形成する。第3絶縁膜22は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、SOGのような無機絶縁材料を用いた平坦化絶縁膜として形成する。
【0073】
次いで、第3絶縁膜22に、下部電極18を露出させた画素開口22aを形成すると共に、補助配線40に達する接続孔22bを形成する。ここでは、下部電極18の側壁まで露出させるように画素開口22aを大口径化することで、画素開口22aの開口径に対する接続孔22bの開口径の比率を縮小させるところが特徴的である。
【0074】
以上の後には、第1実施形態と同様に、図5(3)〜図6(3)に示す工程を行う。
【0075】
すなわち先ず、図5(3)に示すように、基板10における下部電極18の形成面側にドナーフィルム1を対向配置する。ここでは、図1を用いて説明した構成のドナーフィルム1の有機層5の形成面側を、基板10における下部電極18の形成面側に密着させる。この際、大口径化された画素開口22aの底面に露出させた下部電極18に有機層5を密着させる。その一方、大口径化された画素開口22aに対して、充分に開口径の比率が小さくなった接続孔22bの底面に露出させた補助配線40と有機層5との間に間隔dを設ける。
【0076】
この状態で、ドナーフィルム1側から、選択された画素の下部電極18分部に対応させてレーザ光h等のエネルギー線を照射し、ドナーフィルム1の有機層5を密着させた部分で、かつレーザ光hを照射した部分に対応させて、有機層5を下部電極18上に選択的にパターン転写させる接触転写を行う。
【0077】
次に、図6(1)に示すように、ドナーフィルム1を基板10側から引き剥がすことにより、目的の画素に形成された下部電極18上に、有機層5を選択的にパターン形成する。
【0078】
そして、図5(3)、図6(1)の工程を繰り返し行うことで、各色の画素に形成された下部電極18上に、各色の有機層5を選択的にパターン形成する。
【0079】
次に、図6(2)に示すように、基板10における表示領域の全面にベタ付けにする状態で、各画素に共通の上部電極30を形成する。そして、有機層5の転写後にも露出した状態となっている補助配線40に、上部電極30を接続させる。
【0080】
以上のような上部電極30の形成により、下部電極18と上部電極30との間に有機層5を狭持してなる有機電界発光素子ELが、各画素開口22aに対応して基板10上に配列形成される。そして、これらの有機電界発光素子ELは、その上部電極18が補助配線40と接続され、電圧降下が防止されたものとなる。
【0081】
以上の後、図6(3)に示すように、上部電極30上に、絶縁性または導電性の保護膜32を設け、必要に応じて保護膜32上に紫外線硬化樹脂34を介して対向基板36を固着し、表示装置38aを完成させる。
【0082】
このようにして得られた表示装置38aは、上部電極30が補助配線40に接続され有機電界発光素子ELを基板10上に配列形成してなる。そして特に、上部電極30を補助配線40に接続させるための接続孔22bの開口径が、大口径化された画素開口22aに対して充分小さく形成されたものとなっていることが特徴的である。これにより、図5(3)を用いて説明した有機層5の接触転写工程においては、接続孔22bの底部の補助配線40に、ドナーフィルム1が接触し難くなっている。
【0083】
そして、以上説明した第2実施形態の製造方法においても、この接触転写工程においては、画素開口22a内の下部電極18に対してドナーフィルム1を密着させる一方、補助配線40とドナーフィルム1との間には間隔dを設けた状態でレーザ光hが照射されるため、レーザ光hの照射領域に位置ずれが生じた場合であっても、補助配線40上に有機層5がパターン転写されることはない。
【0084】
したがって、第1実施形態と同様に、有機電界発光素子ELの高輝度化、長寿命化を達成でき、表示装置38aにおける表示性能の向上を図ることが可能となる。
【0085】
<第3実施形態>
図7および図8は、上述した一構成例のドナーフィルムを用いた製造方法の第3実施形態を説明する断面工程図であり、以下これらの図面に基づいてアクティブマトリックス型の表示装置の製造方法の第3実施形態を説明する。尚、これらの断面工程図は、表示領域における1画素分の断面に相当する。また、第2実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0086】
先ず、図7(1)に示すように、基板10上に、画素回路を構成する薄膜トランジスタTrなどの素子を形成し、これらを第1絶縁膜12で覆い、この上部に薄膜トランジスタTrに接続されたソース電極配線14s、ドレイン電極線14d、さらにはこれらに接続された信号線や電源線等を適宜形成する。
【0087】
次に、第2実施形態と同様に、第1絶縁膜12上に第2絶縁膜16を形成してドレイン電極配線14dに達する接続孔16aを設け、次いで第2絶縁膜16の平坦化表面の上に、有機EL素子の下部電極18および補助配線40をパターン形成する。
【0088】
次に、図7(2)に示すように、下部電極18および補助配線40を覆う状態で第3絶縁膜22を形成する。第3絶縁膜22は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、SOGのような無機絶縁材料を用いた平坦化絶縁膜として形成する。
【0089】
次いで、第3絶縁膜22に、下部電極18の周縁を覆った状態で中央部を広く露出させた画素開口22aを形成すると共に、補助配線40に達する接続孔22bを形成する。この際、特に、画素開口22aの側壁のテーパ角度θ1(好ましくはθ1≦30°)よりも、接続孔22bの側壁のテーパ角度θ2が大きくなるように、これらの画素開口22aおよび接続孔22bを形成することが本第3実施形態の特徴となる。
【0090】
このような画素開口22aおよび接続孔22bの形成は、例えば、レジストパターンを用いた2回のエッチングによって形成する。つまり、第3絶縁膜22上に、テーパ角度θ1の画素開口22aに対応する開口を備えた第1のレジストパターンを形成する。そして、第1のレジストパターン上から、第1のレジストパターンと共に第3絶縁膜22をエッチングすることにより、第3絶縁膜22にテーパ角度θ1の画素開口22aを形成する。同様に、第2のレジストパターンを用いたエッチングにより、第3絶縁膜22にテーパ角度θ2の接続孔22bを形成する。
【0091】
尚、第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンに設ける開口のテーパ角度は、レジストパターン形成の際の露光量等によって調整することができる。
【0092】
以上の後には、第1実施形態と同様に、図7(3)〜図8(3)に示す工程を行う。
【0093】
すなわち先ず、図7(3)に示すように、基板10における下部電極18の形成面側にドナーフィルム1を対向配置する。ここでは、図1を用いて説明した構成のドナーフィルム1の有機層5の形成面側を、基板10における下部電極18の形成面側に密着させる。この際、画素開口22aよりも側壁のテーパ角度θ2が大き形成された接続孔22bの底面に露出させた補助配線40と有機層5との間に間隔dを設ける。その一方、接続孔22bよりもテーパ角度θ1が小さく形成された画素開孔22aの底面に露出させた下部電極18に有機層5を密着させる。
【0094】
この状態で、ドナーフィルム1側から、選択された画素の下部電極18分部に対応させてレーザ光h等のエネルギー線を照射し、ドナーフィルム1の有機層5を密着させた部分で、かつレーザ光hを照射した部分に対応させて、有機層5を下部電極18上に選択的にパターン転写させる接触転写を行う。
【0095】
次に、図8(1)に示すように、ドナーフィルム1を基板10側から引き剥がすことにより、目的の画素に形成された下部電極18上に、有機層5を選択的にパターン形成する。
【0096】
そして、図7(3)、図8(1)の工程を繰り返し行うことで、各色の画素に形成された下部電極18上に、各色の有機層5を選択的にパターン形成する。
【0097】
次に、図8(2)に示すように、基板10における表示領域の全面にベタ付けにする状態で、各画素に共通の上部電極30を形成する。そして、有機層5の転写後にも露出した状態となっている補助配線40に、上部電極30を接続させる。
【0098】
以上のような上部電極30の形成により、下部電極18と上部電極30との間に有機層5を狭持してなる有機電界発光素子ELが、各画素開口22aに対応して基板10上に配列形成される。そして、これらの有機電界発光素子ELは、その上部電極18が補助配線40と接続され、電圧降下が防止されたものとなる。
【0099】
以上の後、図8(3)に示すように、上部電極30上に、絶縁性または導電性の保護膜32を設け、必要に応じて保護膜32上に紫外線硬化樹脂34を介して対向基板36を固着し、表示装置38bを完成させる。
【0100】
このようにして得られた表示装置38bは、上部電極30が補助配線40に接続され有機電界発光素子ELを基板10上に配列形成してなる。そして特に、上部電極30を補助配線40に接続させるための接続孔22bにおける側壁のテーパ角度θ2が、画素開口22aにおける側壁のテーパ角度θ1よりも大きく形成されたものとなっていることが特徴的である。これにより、図7(3)を用いて説明した有機層5の接触転写工程においては、接続孔22bの底部の補助配線40に、ドナーフィルム1が接触し難くなっている。また、もともと接続孔22bは、画素開口22aよりも開口幅が狭いことも、補助配線40に対してドナーフィルム1が接触し難い要因の一つであることは、他の実施形態と同様である。
【0101】
そして、以上説明した第3実施形態の製造方法においても、この接触転写工程においては、画素開口22a内の下部電極18に対してドナーフィルム1を密着させる一方、補助配線40とドナーフィルム1との間には間隔dを設けた状態でレーザ光hが照射されるため、レーザ光hの照射領域に位置ずれが生じた場合であっても、補助配線40上に有機層5がパターン転写されることはない。
【0102】
したがって、第1実施形態と同様に、有機電界発光素子ELの高輝度化、長寿命化を達成でき、表示装置38bにおける表示性能の向上を図ることが可能となる。
【0103】
尚、上述した第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、組み合わせることにより、各実施形態の効果を高めることが可能になる。
【0104】
<第4実施形態>
図9および図10は、上述した一構成例のドナーフィルムを用いた製造方法の第4実施形態を説明する断面工程図であり、以下これらの図面に基づいてアクティブマトリックス型の表示装置の製造方法の第4実施形態を説明する。尚、これらの断面工程図は、表示領域における1画素分の断面に相当する。また、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0105】
先ず、図9(1)に示すように、基板10上に、画素回路を構成する薄膜トランジスタTrなどの素子を形成し、これらを第1絶縁膜12で覆い、この上部に薄膜トランジスタTrに接続されたソース電極配線14s、ドレイン電極線14d、さらにはこれらに接続された信号線や電源線等を適宜形成する。
【0106】
また、特に本第4実施形態においては、上述した素子または配線の何れかの層と同一層で、補助配線50を形成することが特徴である。この補助配線50は、第1実施形態と同様に表示領域内において共通電位であって良く、例えば図4のレイアウト図に示すように、次の工程で形成される下部電極18間に行列状に配線される。尚、ここでは、ソース電極配線14sおよびドレイン電極線14dと同一層で補助配線50を形成した構成を図示したが、ここでの図示を省略した他の配線と同一層で補助配線50を形成しても良い。
【0107】
その後、以上の補助配線50を含む配線を覆う状態で、第1絶縁膜12上に第2絶縁膜16を形成する。この第2絶縁膜16は、図示したような平坦化絶縁膜として形成しても良く、また略同一の膜厚で形成しても良い。
【0108】
次いで、第2絶縁膜16に、ドレイン電極配線14dに達する接続孔16aを形成する。この際、補助配線50に達する接続孔16bを同時に形成する。
【0109】
次に、図9(2)に示すように、第2絶縁膜16上にドレイン電極配線14dに接続させた下部電極18を、表示領域内にマトリックス状に配列形成する。これにより、補助配線50の表面よりも、下部電極18の表面を高く形成する。この際、図4のレイアウト図に示したように、行列上に配線された補助配線50間に下部電極18を配置する。
【0110】
その後、第1実施形態と同様に、図9(3)〜図10(3)に示す工程を行う。
【0111】
すなわち先ず、図9(3)に示すように、基板10における下部電極18の形成面側にドナーフィルム1を対向配置する。ここでは、図1を用いて説明した構成のドナーフィルム1の有機層5の形成面側を、基板10における下部電極18の形成面側に密着させる。この際、接続孔16bの底面に露出させた補助配線50と有機層5との間に間隔dを設ける。その一方、第2絶縁膜16の表面上に形成された下部電極18に有機層5を密着させる。
【0112】
この状態で、ドナーフィルム1側から、選択された画素の下部電極18分部に対応させてレーザ光h等のエネルギー線を照射し、ドナーフィルム1の有機層5を密着させた部分で、かつレーザ光hを照射した部分に対応させて、有機層5を下部電極18上に選択的にパターン転写させる接触転写を行う。
【0113】
次に、図10(1)に示すように、ドナーフィルム1を基板10側から引き剥がすことにより、目的の画素に形成された下部電極18上に、有機層5を選択的にパターン形成する。
【0114】
そして、図9(3)、図10(1)の工程を繰り返し行うことで、各色の画素に形成された下部電極18上に、各色の有機層5を選択的にパターン形成する。
【0115】
次に、図10(2)に示すように、基板10における表示領域の全面にベタ付けにする状態で、各画素に共通の上部電極30を形成する。そして、有機層5の転写後にも露出した状態となっている補助配線50に、上部電極30を接続させる。
【0116】
以上のような上部電極30の形成により、下部電極18と上部電極30との間に有機層5を狭持してなる有機電界発光素子ELが、基板10上に配列形成される。そして、これらの有機電界発光素子ELは、その上部電極18が補助配線50と接続され、電圧降下が防止されたものとなる。
【0117】
以上の後、図10(3)に示すように、上部電極30上に、絶縁性または導電性の保護膜32を設け、必要に応じて保護膜32上に紫外線硬化樹脂34を介して対向基板36を固着し、表示装置52を完成させる。
【0118】
このようにして得られた表示装置52は、上部電極30が補助配線50に接続された有機電界発光素子ELを基板10上に配列形成してなる。そして特に、下部電極18を第2絶縁膜16上に設け、上部電極30が接続された補助配線50を第2絶縁膜16に設けた接続孔16bの底部に露出せた状態としていることが特徴的である。このため、第1実施形態と同様に、図9(3)を用いて説明した有機層5の接触転写工程においては、接続孔16bの底部の補助配線50に、ドナーフィルム1が接触し難くなっている。
【0119】
そして、以上説明した第4実施形態の製造方法においても、この接触転写工程においては、下部電極18に対してドナーフィルム1を密着させる一方、補助配線50とドナーフィルム1との間には間隔dを設けた状態でレーザ光hが照射されるため、レーザ光hの照射領域に位置ずれが生じた場合であっても、補助配線50上に有機層5がパターン転写されることはない。
【0120】
したがって、第1実施形態と同様に、有機電界発光素子ELの高輝度化、長寿命化を達成でき、表示装置52における表示性能の向上を図ることが可能となる。
【0121】
尚、上述した第4実施形態は、第1実施形態と組み合わせて実施することが可能であり、組み合わせることにより、実施形態の効果を高めることが可能になる。
【0122】
<第5実施形態>
図11および図12は、上述した一構成例のドナーフィルムを用いた製造方法の第5実施形態を説明する断面工程図であり、以下これらの図面に基づいてアクティブマトリックス型の表示装置の製造方法の第5実施形態を説明する。尚、これらの断面工程図は、表示領域における1画素分の断面に相当する。また、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0123】
先ず、図11(1)に示すように、基板10上に、画素回路を構成する薄膜トランジスタTrなどの素子を形成し、これらを第1絶縁膜12で覆い、この上部に薄膜トランジスタTrに接続されたソース電極配線14s、ドレイン電極線14d、さらにはこれらに接続された信号線や電源線等を適宜形成する。
【0124】
また、本第5実施形態においても、上述した第4実施形態と同様に、素子または配線の何れかの層と同一層で、補助配線50を形成することが特徴である。
【0125】
その後、以上の補助配線50を含む配線を覆う状態で、第1絶縁膜12上に第2絶縁膜16を形成し、さらにドレイン電極配線14dに達する接続孔16aを形成する。この第2絶縁膜16は、図示したような平坦化絶縁膜として形成しても良く、また略同一の膜厚で形成しても良い。
【0126】
次に、第2絶縁膜16にドレイン電極配線14dに達する接続孔16aを形成した後、第2絶縁膜16上にドレイン電極配線14dに接続させた下部電極18を、表示領域内にマトリックス状に配列形成する。これにより、補助配線50の表面よりも、下部電極18の表面を高く形成する。この際、図4のレイアウト図に示したように、行列上に配線された補助配線50間に下部電極18を配置する。
【0127】
次に、図11(2)に示すように、下部電極18を覆う状態で第3絶縁膜22を形成する。この第3絶縁膜22は、図示したような平坦化絶縁膜として形成しても良く、また略同一の膜厚で形成しても良い。以上により、下部電極18上を第3絶縁膜22で覆い、補助配線50上を第2絶縁膜16および第3絶縁膜22で覆うことで、下部電極18上よりも補助配線50上における絶縁膜の膜厚を厚くする。
【0128】
次いで、第3絶縁膜22に、下部電極18の周縁を覆った状態で中央部を広く露出させた画素開口22aを形成する。また、第3絶縁膜22および第2絶縁膜16に、補助配線50に達する接続孔22b’を形成する。これにより、下部電極18上の画素開口22aよりも、補助配線50上の接続孔22b’を深く形成する。特にここでは、画素開口22aの側壁テーパ角が、30°以下となるように条件設定されたエッチングを行うことが好ましい。
【0129】
その後、第1実施形態と同様に、図11(3)〜図12(3)に示す工程を行う。
【0130】
すなわち先ず、図11(3)に示すように、基板10における下部電極18の形成面側にドナーフィルム1を対向配置する。ここでは、図1を用いて説明した構成のドナーフィルム1の有機層5の形成面側を、基板10における下部電極18の形成面側に密着させる。この際、画素開口22aよりも深く形成された接続孔22b’の底面に露出させた補助配線50と有機層5との間に間隔dを設ける。その一方、接続孔22b’よりも浅く形成された画素開孔22aの底面に露出させた下部電極18に有機層5を密着させる。
【0131】
この状態で、ドナーフィルム1側から、選択された画素の下部電極18分部に対応させてレーザ光h等のエネルギー線を照射し、ドナーフィルム1の有機層5を密着させた部分で、かつレーザ光hを照射した部分に対応させて、有機層5を下部電極18上に選択的にパターン転写させる接触転写を行う。
【0132】
次に、図12(1)に示すように、ドナーフィルム1を基板10側から引き剥がすことにより、目的の画素に形成された下部電極18上に、有機層5を選択的にパターン形成する。
【0133】
そして、図11(3)、図12(1)の工程を繰り返し行うことで、各色の画素に形成された下部電極18上に、各色の有機層5を選択的にパターン形成する。
【0134】
次に、図12(2)に示すように、基板10における表示領域の全面にベタ付けにする状態で、各画素に共通の上部電極30を形成する。そして、有機層5の転写後にも露出した状態となっている補助配線50に、上部電極30を接続させる。
【0135】
以上のような上部電極30の形成により、下部電極18と上部電極30との間に有機層5を狭持してなる有機電界発光素子ELが、各画素開口22aに対応して基板10上に配列形成される。そして、これらの有機電界発光素子ELは、その上部電極18が補助配線50と接続され、電圧降下が防止されたものとなる。
【0136】
以上の後、図12(3)に示すように、上部電極30上に、絶縁性または導電性の保護膜32を設け、必要に応じて保護膜32上に紫外線硬化樹脂34を介して対向基板36を固着し、表示装置52aを完成させる。
【0137】
このようにして得られた表示装置52aは、上部電極30が補助配線50に接続された有機電界発光素子ELを基板10上に配列形成してなる。そして特に、上部電極30を補助配線50に接続させるための接続孔22b’が、画素開口22aよりも深く形成されたものとなっていることが特徴的である。このため、第1実施形態と同様に、図11(3)を用いて説明した有機層5の接触転写工程においては、接続孔22b’の底部の補助配線50に、ドナーフィルム1が接触し難くなっている。また、もともと接続孔22b’は、画素開口22aよりも開口幅が狭いことも、補助配線20に対してドナーフィルム1が接触し難い要因の一つになっている。
【0138】
そして、以上説明した第5実施形態の製造方法においても、この接触転写工程においては、画素開口22a内の下部電極18に対してドナーフィルム1を密着させる一方、補助配線50とドナーフィルム1との間には間隔dを設けた状態でレーザ光hが照射されるため、レーザ光hの照射領域に位置ずれが生じた場合であっても、補助配線50上に有機層5がパターン転写されることはない。
【0139】
したがって、第1実施形態と同様に、有機電界発光素子ELの高輝度化、長寿命化を達成でき、表示装置52における表示性能の向上を図ることが可能となる。
【0140】
尚、上述した第5実施形態は、第1実施形態〜第3実施形態と適宜組み合わせて実施することが可能であり、組み合わせることにより、各実施形態の効果を高めることが可能になる。
【0141】
<変形例>
図13には、上述した第1実施形態〜第5実施形態の変形例として、特に第4実施形態に付いての変形例を示す。図13(1)に示すように、補助配線50を覆う第2絶縁膜16に形成する接続孔16bは、補助配線50の側壁を露出させる状態で形成しても良い。この点が、上述した第1実施形態〜第5実施形態とは異なる点である。
【0142】
このような接続孔16bを形成した後には、第4実施形態と同様の手順を行い、図13(2)に示すように有機電界発光素子ELを形成する。その後、図13(3)に示すように、保護膜32、および紫外線硬化樹脂34を介して対向基板36を固着し、表示装置52bを完成させる。
【0143】
このような構成であっても、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0144】
尚、この変形例は、第4実施形態以外の、第1〜第3実施形態および第5実施形態にも適用可能である。さらに、第1〜第3実施形態および第5実施形態で示したような画素開口22aを設ける構成においては、下部電極上に転写形成される有機層によって下部電極と上部電極とが絶縁されることを条件として、画素開口22a内に下部電極の全面を露出させても良い。
【0145】
尚、上述した各実施形態(変形例も含む)においては、アクティブマトリックス型の表示装置の製造に本発明を適用した手順を説明した。しかしながら本発明はパッシブマトリックス型の表示装置の製造にも同様に適用可能であり、同様の効果を得ることが可能である。
【0146】
パッシブ型の表示装置であれば、図14のレイアウト図に示すように、下部電極71が一方向に延設形成され、これらの下部電極71間に補助配線72が設けられる。この補助配線72は共通電極として設ける。また、下部電極71および補助配線72上に共通電極として上部電極73が設けられる。そして、下部電極71と上部電極73とが交差して重なる部分に有機層(図示省略)を狭持させて有機EL素子を構成することは、アクティブマトリックス型と同様である。また、補助配線72上に上部電極73が重なる部分において、接続孔を介して補助配線72に上部電極73を接続させることも、アクティブマトリックス型と同様である。
【0147】
このような構成のパッシブマトリックス型の表示装置の作製において、下部電極71および補助配線72を形成し、さらに上部電極73を形成して有機EL素子を形成する工程に、上述した各実施形態を適用することにより、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0148】
さらに、上述した実施形態においては、有機EL素子を用いた表示装置への適用に限定されるものではなく、上部電極と下部電極との間に発光機能層を狭持させた発光素子を備え、さらに上部電極に接続された補助配線を有する表示装置の製造おいて、発光機能層を接触転写法によって形成する場合に広く適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】実施形態の製造方法に用いるドナーフィルムの一構成例を示す要部断面図である。
【図2】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図3】第1実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図4】実施形態における下部電極と補助配線とのレイアウトの一例を示す平面図である。
【図5】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図6】第2実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図7】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図8】第3実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図9】第4実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図10】第4実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図11】第5実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その1)である。
【図12】第5実施形態の製造方法を説明する断面工程図(その2)である。
【図13】実施形態の変形例を示す断面工程図である。
【図14】パッシブ型の表示装置における下部電極、補助配線、および上部電極のレイアウトの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0150】
1…ドナーフィルム、5…有機層、10…基板、16…第2絶縁膜、16b…接続孔、18,71…下部電極、20,40,50,72…補助配線、22…第3絶縁膜、22a…画素開口、22b,22b’…接続孔、30,73…上部電極、38,38a,38b,52,52a…表示装置、h…レーザ光(エネルギー線)、EL…有機EL素子(発光素子)、t1…画素電極の膜厚、t2…補助配線の膜厚、θ1…画素開口のテーパ角度、θ2…接続孔のテーパ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の下部電極が配列形成されると共に当該下部電極間に補助配線がパターン形成された基板と、発光機能層が設けられたドナーフィルムとを用意し、前記下部電極に前記発光機能層を密着させる一方前記補助配線との間に間隔を設ける状態で、前記ドナーフィルムを前記基板に対して対向配置する工程と、
前記ドナーフィルム上からエネルギー線を照射することにより、当該ドナーフィルムを密着させた部分でかつ当該エネルギー線を照射した部分に対応させて前記発光機能層を前記下部電極上に選択的にパターン転写する工程と、
前記下部電極との間に前記発光機能層を狭持すると共に前記補助配線に接続された上部電極を形成することにより、当該下部電極と上部電極との間に発光機能層を狭持してなる発光素子を形成する工程とを行う
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に、複数の下部電極を配列形成すると共に当該下部電極間に補助配線をパターン形成する工程と、
前記下部電極および補助配線を覆う状態で前記基板上に絶縁膜を形成し、当該絶縁膜に当該下部電極を露出させる画素開口および当該補助配線に達する接続孔を形成する工程と、
前記補助配線との間に間隔を設ける一方、前記画素開口の底部に露出させた前記下部電極に密着させる状態で、発光機能層が設けられたドナーフィルムを前記基板に対向配置する工程と、
前記ドナーフィルム上からエネルギー線を照射することにより、当該ドナーフィルムを密着させた部分でかつ当該エネルギー線を照射した部分に対応させて前記発光機能層を前記下部電極上に選択的にパターン転写する工程と、
前記下部電極との間に前記発光機能層を狭持すると共に前記接続孔を介して前記補助配線に接続された上部電極を前記絶縁膜上に形成することにより、当該下部電極と上部電極との間に発光機能層を狭持してなる発光素子を形成する工程とを行う
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の表示装置の製造方法において、
前記下部電極上よりも前記補助配線上の膜厚が厚くなるように前記絶縁膜を形成することにより、前記接続孔を前記画素開口よりも深く形成し、前記接続孔底部の補助配線への前記ドナーフィルムの接触を防止する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置の製造方法において、
前記下部電極と補助配線と形成する工程では、当該下部電極の表面を当該補助配線の表面よりも高く形成し、
前記絶縁膜を平坦化絶縁膜として形成することにより、前記下部電極上よりも前記補助配線上の膜厚が厚くなるように当該絶縁膜を形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の表示装置の製造方法において、
前記下部電極と補助配線と形成する工程では、前記下部電極とこれよりも膜厚が薄い前記補助配線とを平坦な下地面上に形成することにより、当該下部電極の表面を当該補助配線の表面よりも高くする
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載の表示装置の製造方法において、
前記下部電極の側壁を露出させる程度に前記画素開口を大口径化することにより、当該画素電極の開口径に対する前記接続孔の開口径の比率を縮小して当該接続孔底部の補助配線への前記ドナーフィルムの接触を防止する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項2記載の表示装置の製造方法において、
前記画素開口の側壁よりも前記接続孔の側壁のテーパ角度が大きくなるように当該画素開口および接続孔を形成し、前記接続孔底部の補助配線への前記ドナーフィルムの接触を防止する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項8】
基板上に補助配線をパターン形成する工程と、
前記補助配線を覆う絶縁膜を形成してこの上部に下部電極をパターン形成する工程と、
前記絶縁膜に前記補助配線に達する接続孔を形成する工程と、
前記接続孔の底部に露出させた前記補助配線との間に間隔を設ける一方、前記絶縁膜上の下部電極に密着させる状態で、発光機能層が設けられたドナーフィルムを前記基板に対向配置する工程と、
前記ドナーフィルム上からエネルギー線を照射することにより、当該ドナーフィルムを密着させた部分でかつ当該エネルギー線を照射した部分に対応させて前記発光機能層を前記下部電極上に選択的にパターン転写する工程と、
前記下部電極との間に前記発光機能層を狭持すると共に前記接続孔を介して前記補助配線に接続された上部電極を前記絶縁膜上に形成することにより、当該下部電極と上部電極との間に発光機能層を狭持してなる発光素子を形成する工程とを行う
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の表示装置の製造方法において、
前記下部電極をパターン形成した後、前記接続孔を形成する前に、当該下部電極を覆う状態で上層絶縁膜を形成し、
次いで、前記上層絶縁膜に前記下部電極を露出させる画素開口を形成すると共に、当該上層絶縁膜と前記絶縁膜とに前記補助配線に達する接続孔を当該画素開口よりも深く形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
基板上にパターン形成された複数の下部電極と、当該下部電極間にパターン形成された補助配線と、前記下部電極を露出する画素開口と前記補助配線に達する接続孔を備えて前記基板上に設けられた絶縁膜と、前記画素開口内に露出した前記下部電極上にパターン形成された発光機能層と、当該発光機能層を介して前記下部電極上に設けられて発光素子を構成すると共に前記接続孔を介して前記補助配線に接続された上部電極とを備えた表示装置において、
前記接続孔は、前記画素開口よりも深い
ことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
基板上にパターン形成された複数の下部電極と、当該下部電極間にパターン形成された補助配線と、前記下部電極を露出する画素開口と前記補助配線に達する接続孔を備えて前記基板上に設けられた絶縁膜と、前記画素開口内に露出した前記下部電極上にパターン形成された発光機能層と、当該発光機能層を介して前記下部電極上に設けられて発光素子を構成すると共に前記接続孔を介して前記補助配線に接続された上部電極とを備えた表示装置において、
前記画素開口は前記下部電極の側壁を露出させるように大口径化されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
基板上にパターン形成された複数の下部電極と、当該下部電極間にパターン形成された補助配線と、前記下部電極を露出する画素開口と前記補助配線に達する接続孔を備えて前記基板上に設けられた絶縁膜と、前記画素開口内に露出した前記下部電極上にパターン形成された発光機能層と、当該発光機能層を介して前記下部電極上に設けられて発光素子を構成すると共に前記接続孔を介して前記補助配線に接続された上部電極とを備えた表示装置において、
前記画素開口の側壁よりも前記接続孔の側壁のテーパ角度が大きい
ことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
基板上にパターン形成された補助配線と、当該補助配線に達する接続孔を備えて前記基板上に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上にパターン形成された下部電極と、前記下部電極上にパターン形成された発光機能層と、当該発光機能層を介して前記下部電極上に設けられて発光素子を構成すると共に前記接続孔を介して前記補助配線に接続された上部電極とを備えた
ことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項13記載の表示装置において、
前記絶縁膜上には、前記下部電極を露出する画素開口と共に前記下部電極に達する接続孔が設けられた上層絶縁膜が設けられ、
前記発光機能層および前記上部電極は、前記上層絶縁膜上からの形成によって得られたものである
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−52951(P2008−52951A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226003(P2006−226003)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】