説明

表示装置及び映像視聴システム

【課題】クロストークを抑制することができる表示装置及び映像視聴システムを提供する。
【解決手段】フレーム画像が表示される表示面を含む液晶パネルと、フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する変換部と、第1画像信号を表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行した後、第2画像信号を表示面全体の画素に亘って第2走査動作を実行し、液晶パネルを駆動する液晶駆動部と、を備え、液晶駆動部は、表示面の画素に対して第1走査動作が実行され第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と前記フレーム画像信号によって規定される画素に対する目標輝度とに基づき設定される駆動輝度に向けて第2走査動作を実行することを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置及び映像視聴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体的に知覚される映像を表示する表示装置は、左眼で視聴されるための左眼用フレーム画像(以下、Lフレーム画像と称される)と、右眼で視聴されるための右眼用フレーム画像(以下、Rフレーム画像と称される)とを所定周期(例えば、フィールド周期)で交互に表示する。表示されるLフレーム画像及びRフレーム画像は、視差の分だけ異なる内容を含む。視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像の表示周期に同期して駆動される液晶シャッタを備える眼鏡装置を通じて、Lフレーム画像及びRフレーム画像を視聴する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この結果、視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像に表現されたオブジェクトを立体的に知覚する。
【0003】
図32は、従来の映像視聴システムのブロック図である。尚、図32に示される映像視聴システムには、60Hzの映像信号(左眼用映像信号及び右眼用映像信号)が入力される。
【0004】
映像視聴システム900は、60Hzの映像信号(左眼用映像信号及び右眼用映像信号)が入力される映像信号処理部901を備える。映像信号処理部901は、入力された映像信号を120Hzの左眼用映像信号と右眼用映像信号とに変換する。変換された左眼用映像信号及び右眼用映像信号は、液晶駆動部902及びバックライト制御部903へ出力される。液晶駆動部902は、120Hzの左眼用映像信号及び右眼用映像信号を液晶パネル904で表示可能な形式に変換する。液晶駆動部902によって変換された左眼用映像信号及び右眼用映像信号は液晶パネル904に出力される。バックライト制御部903は、バックライト905に発光制御信号を出力する。バックライト905は、発光制御信号により液晶パネル904に対し、液晶パネル904の背面から光を照射する。この結果、液晶パネル904に、120HzでLフレーム画像及びRフレーム画像が交互に表示される。
【0005】
眼鏡装置950は、左眼シャッタ951と右眼シャッタ952とを備える。映像信号処理部901によって変換された120Hzの左眼用映像信号及び右眼用映像信号を基準にして、左眼シャッタ951用のシャッタ制御回路906及び右眼シャッタ952用のシャッタ制御回路907は、左眼シャッタ951及び右眼シャッタ952を同期制御する。
【0006】
図33は、従来の映像視聴システム900の制御タイミングチャートである。図33のセクション(A)は、液晶パネル904のLフレーム画像及びRフレーム画像の走査タイミングを示す。図33のセクション(B)は、バックライト905の点灯タイミングを示す。図33のセクション(C)は、眼鏡装置950のシャッタ951,952の開閉タイミングを示す。図32及び図33を用いて、従来の映像視聴システム900が説明される。
【0007】
液晶パネル904に左眼用映像信号及び右眼用映像信号が順次書き込まれる。この間、バックライト905は常時点灯している。シャッタ制御回路906,907は、シャッタ951,952を制御する。液晶パネル904への左右交互の書き込み走査の後、シャッタの開期間がそれぞれの映像期間の半分となるように、シャッタ951,952は、シャッタ制御回路906,907の制御下で開閉する。シャッタ951,952を通じて視聴されるLフレーム画像及びRフレーム画像は、視聴者の左右の眼でそれぞれ視聴される。この結果、視聴者は、脳内で、視覚的な立体像を生成する。
【0008】
図33に示される制御タイミングで動作する映像視聴システムにおいて、視聴者はシャッタ951,952が開かれている期間(立体像の生成に必要な映像を視聴するのに十分な期間)のみLフレーム画像又はRフレーム画像を視聴する。一方、バックライト905は、シャッタ951,952が開かれている期間以外の期間においても常時点灯している。したがって、図33に示される制御タイミングで動作する映像視聴システムは、省電力の観点から好ましくない。
【0009】
図34は、従来の映像視聴システム900の他の制御タイミングチャートである。図34のセクション(A)は、液晶パネル904のLフレーム画像及びRフレーム画像の走査タイミングを示す。図34のセクション(B)は、バックライト905の点灯タイミングを示す。図34のセクション(C)は、眼鏡装置950のシャッタ951,952の開閉タイミングを示す。図32乃至図34を用いて、従来の映像視聴システム900が更に説明される。
【0010】
特許文献2は、Lフレーム画像又はRフレーム画像が視聴される期間のみバックライト905が点灯される制御を開示する。図34に示される制御では、図33に示される制御と異なり、Lフレーム画像又はRフレーム画像が視聴される期間のみバックライト905が発光している。したがって、図34に示される制御は、図33に示される制御よりも省電力の点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭62−133891号公報
【特許文献2】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
左眼シャッタ951は、液晶パネル904が左眼で視聴されるように作成されたLフレーム画像を表示した後且つRフレーム画像を表示するための右眼用映像信号が走査される前に開かれる。同様に、右眼シャッタ952は、液晶パネル904が右眼で視聴されるように作成されたRフレーム画像を表示した後且つLフレーム画像を表示するための左眼用映像信号が走査される前に開かれる。
【0013】
図33及び図34に示される如く、左眼用映像信号及び/又は右眼用映像信号は液晶パネル904の上部から走査される。したがって、液晶パネル904の下部における左眼用映像信号及び/又は右眼用映像信号の走査は、液晶パネル904の上部に対して遅れる。
【0014】
左眼用映像信号及び/又は右眼用映像信号に基づく液晶の応答は、表示される映像の種類に応じた時間を要求する。例えば、先行して表示されるフレーム画像を表現する画素の輝度と、後に表示されるフレーム画像を表現する画素の輝度との間で大きさに差異が生ずる場合、比較的長い液晶の応答時間が要求される。
【0015】
Lフレーム画像又はRフレーム画像の表示が完了するのを待って、左眼シャッタ951又は右眼シャッタ952が開かれた場合、液晶の応答時間が長いことに起因して、左眼シャッタ951又は右眼シャッタ952が開かれている期間が短くなる。この結果、視聴者は液晶パネル904に表示された立体映像を暗く感じる。
【0016】
Lフレーム画像の表示が完了するのを待たずに、左眼シャッタ951が開かれた場合、視聴者は、先行して表示されたRフレーム画像の影響が混在したLフレーム画像を視聴することとなる。同様に、Rフレーム画像の表示が完了するのを待たずに、右眼シャッタ952が開かれた場合、視聴者は、先行して表示されたLフレーム画像の影響が混在したRフレーム画像を視聴することとなる。このようなLフレーム画像とRフレーム画像との混在は、クロストークと称される。液晶パネル904の下部における左眼用映像信号及び/又は右眼用映像信号の走査の遅れ並びに液晶の応答時間に起因して、先行するフレーム画像(Lフレーム画像又はRフレーム画像)の混在量は、液晶パネル904の下部において特に大きくなる。したがって、視聴者は液晶パネル904の下部において表示されたフレーム画像を立体的に知覚しにくくなる。
【0017】
上述のクロストークの課題は、視差の分だけ異なる内容を表すLフレーム画像及びRフレーム画像が時間的に交互に表示される立体映像の表示において、特に顕著となるが、2次元映像においても共通の課題である。先行して表示されるフレーム画像と後続のフレーム画像との間の輝度差が大きな領域が存在するならば、視聴者は、クロストークを知覚しやすい。特に、輝度差が大きな領域が、比較的遅く走査されるならば、視聴者は、クロストークを一層知覚しやすくなる。
【0018】
本発明は、クロストークを抑制することができる表示装置及び映像視聴システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一の局面に係る表示装置は、フレーム画像が表示される表示面を含む液晶パネルと、前記フレーム画像を表示するためのフレーム画像信号を、該フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、該第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する変換部と、前記第1画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行した後、前記第2画像信号を前記表示面全体の前記画素に亘って第2走査動作を実行し、前記液晶パネルを駆動する液晶駆動部と、を備え、該液晶駆動部は、前記表示面の前記画素に対して前記第1走査動作が実行され、前記第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と前記フレーム画像信号によって規定される前記画素に対する目標輝度とに基づき設定される駆動輝度に向けて前記第2走査動作を実行することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、液晶パネルは、フレーム画像を表示面に表示する。変換部は、フレーム画像を表示するためのフレーム画像信号を、フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する。液晶駆動部は、第1画像信号を表示面全体の画素に亘って走査する第1走査動作を実行する。液晶駆動部は、その後、第2画像信号を表示面全体の画素に亘って走査する第2走査動作を実行する。フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号を用いる第1走査動作は、第2走査動作より短い期間で達成されるので、第2走査動作を行うための期間が適切に確保される。また、第1走査動作によって、液晶パネルの駆動が表示面に亘って早期に開始されるので、特に比較的遅く第2走査動作がなされる表示面の領域におけるクロストークが低減される。
【0021】
駆動輝度は、表示面の画素に対して第1走査動作が実行される結果、第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と、フレーム画像信号によって規定される画素に対する目標輝度とに基づき設定される。液晶駆動部は、駆動輝度に向けて、画素に対応する液晶を駆動させる。達成輝度に対する期待値と目標輝度とに応じて、駆動輝度が調整されるので、第1走査動作のための解像度の低減処理がフレーム画像の表示に与える影響が少なくなる。
【0022】
上記構成において、前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを、含み、前記液晶パネルは、前記左眼用フレーム画像と前記右眼用フレーム画像とを、時間的に交互に切り換えて、立体的に知覚される画像を表示面に表示することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、液晶パネルは、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを、時間的に交互に切り換えて、立体的に知覚される画像を表示面に表示する。視聴者は、特に比較的遅く第2走査動作がなされる表示面の領域におけるクロストークが低減された立体画像を視聴することができる。
【0024】
上記構成において、前記表示面は、副走査方向に整列した複数の画素を含む画素グループを含み、前記変換部は、前記フレーム画像信号に基づき、前記画素グループに共通する等価輝度を規定する等価信号を生成し、液晶駆動部は、前記等価輝度に応じて、前記複数の画素に前記第1走査動作を同時に実行することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、表示面は、副走査方向に整列した複数の画素を含む画素グループを含む。変換部は、フレーム画像信号に基づき、画素グループに共通する等価輝度を規定する等価信号を生成する。第1走査動作を実行する液晶駆動部は、等価輝度に応じて、複数の画素に対応する液晶を同時に駆動する。第1走査期間は、比較的短くなるので、第2走査動作を行うための期間が適切に確保される。また、第1走査動作によって、液晶パネルの駆動が表示面に亘って早期に開始されるので、特に比較的遅く第2走査動作がなされる表示面の領域におけるクロストークが低減される。
【0026】
上記構成において、前記等価信号は、前記フレーム画像信号が前記画素グループ内の前記複数の画素それぞれに対して規定する輝度が平均された輝度を、前記画素グループ内の前記複数の画素それぞれに規定することが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、等価信号は、フレーム画像信号が画素グループ内の複数の画素それぞれに対して規定する輝度が平均された輝度を、画素グループ内の複数の画素それぞれに規定する。液晶駆動部は、画素グループ内の複数の画素それぞれに対して、第1走査動作を同時に実行する。第1走査期間は、比較的短くなるので、第2走査動作を行うための期間が適切に確保される。また、第1走査動作によって、液晶パネルの駆動が表示面に亘って早期に開始されるので、特に比較的遅く第2走査動作がなされる表示面の領域におけるクロストークが低減される。また、平均された輝度が規定されるので、グループ内に含まれるすべての画素に対してフレーム画像信号が規定する輝度から大きく乖離しない輝度が規定される。
【0028】
上記構成において、前記等価信号は、前記画素グループ内の前記複数の画素から選択された画素に対して前記フレーム画像信号が規定する輝度と等しい輝度を、前記画素グループ内の前記複数の画素それぞれに規定することが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、等価信号は、画素グループ内の複数の画素から選択された画素に対してフレーム画像信号が規定する輝度と等しい輝度を、画素グループ内の複数の画素それぞれに規定する。液晶駆動部は、画素グループ内の複数の画素それぞれに対して、第1走査動作を同時に実行する。第1走査期間は、比較的短くなるので、第2走査動作を行うための期間が適切に確保される。また、第1走査動作によって、液晶パネルの駆動が表示面に亘って早期に開始されるので、特に比較的遅く第2走査動作がなされる表示面の領域におけるクロストークが低減される。また、選択された輝度が規定されるので、少なくとも選択された画素に対してはフレーム画像信号が規定する輝度が規定される。
【0030】
上記構成において、前記第1画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行する第1走査期間は、前記第2画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第2走査動作を実行する第2走査期間よりも短いことが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、第1画像信号を表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行する第1走査期間は、第2画像信号を表示面全体の画素に亘って第2走査動作を実行する第2走査期間よりも短いので、第2走査動作を行うための期間が適切に確保される。
【0032】
上記構成において、前記変換部は、表示対象のフレーム画像に対応する前記等価信号が規定する前記画素の現行輝度と、前記表示対象のフレーム画像の直前に表示された先行のフレーム画像に対応する前記等価信号が規定する前記画素の先行輝度と、に基づき、前記達成輝度に対する前記期待値を設定することが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、変換部が設定する達成輝度に対する期待値は、表示対象のフレーム画像に対応する等価信号が規定する画素の現行輝度と、表示対象のフレーム画像の直前に表示された先行のフレーム画像に対応する等価信号が規定する画素の先行輝度と、に基づくので、適切な値となる。適切に設定された達成輝度に対する期待値と目標輝度とに応じて、駆動輝度が適切に調整されるので、第1走査動作のための解像度の低減処理がフレーム画像の表示に与える影響が少なくなる。
【0034】
上記構成において、前記変換部は、前記画素の副走査方向の位置に更に基づき、前記達成輝度に対する期待値を設定することが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、変換部は、画素の副走査方向の位置に更に基づき、達成輝度に対する期待値を設定するので、表示面全体に亘って、適切な輝度制御が達成される。
【0036】
上記構成において、前記変換部は、前記現行輝度と前記先行輝度とに基づき前記駆動輝度を決定するための第1データを含む第1テーブルを用いて、前記駆動輝度を設定することが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、変換部は、現行輝度と先行輝度とに対応する駆動輝度を表す第1データを含む第1テーブルを用いて、駆動輝度を設定する。したがって、変換部が行う駆動輝度を設定するための処理が簡素化される。
【0038】
上記構成において、前記変換部は、前記達成輝度に対する期待値と前記目標輝度との差が大きいほど、前記目標輝度との差が大きくなる前記駆動輝度を設定することが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、変換部は、達成輝度に対する期待値と目標輝度との差が大きいほど、目標輝度との差が大きくなる駆動輝度を設定する。第1走査期間において、達成輝度に対する期待値と目標輝度との差が大きいほど、第2走査期間において、画素の輝度の調整が大きく行われるので、画素は比較的早期に目標輝度を達成することができる。したがって、フレーム画像のクロストークが低減される。
【0040】
上記構成において、前記変換部は、前記画素の副走査方向の位置に更に基づき、前記駆動輝度を設定することが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、変換部は、画素の副走査方向の位置に更に基づき、駆動輝度を設定するので、表示面全体に亘って、適切な輝度制御が達成される。
【0042】
上記構成において、前記変換部は、表示対象のフレーム画像の直前に表示された先行のフレーム画像に対応する前記フレーム画像信号によって規定される前記画素に対する目標輝度に更に基づき、前記駆動輝度を設定することが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、表示対象のフレーム画像の直前に表示された先行のフレーム画像に対応するフレーム画像信号によって規定される画素に対する目標輝度に更に基づき、駆動輝度を設定するので、先行するフレーム画像信号の影響が低減される。
【0044】
上記構成において、前記変換部は、前記達成輝度に対する期待値と前記目標輝度とに基づき前記駆動輝度を決定するための第2データを含む第2テーブルを用いて、前記駆動輝度を設定することが好ましい。
【0045】
上記構成によれば、変換部は、達成輝度に対する期待値と目標輝度とに基づき駆動輝度を決定するための第2データを含む第2テーブルを用いて、駆動輝度を設定するので、変換部が行う駆動輝度を設定するための処理が簡素化される。
【0046】
上記構成において、前記第2テーブルは、前記達成輝度に対する前記期待値に関する期待値データを格納する期待値テーブルと、前記期待値データと前記目標輝度に基づき前記駆動輝度を決定するための決定テーブルと、を含むことが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、第2テーブルは、達成輝度に対する期待値に関する期待値データを格納する期待値テーブルと、期待値データと目標輝度とに基づき駆動輝度を決定するための決定テーブルと、を含む。したがって、変換部が行う駆動輝度を設定するための処理が簡素化される。
【0048】
本発明の一の局面に係る映像視聴システムは、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを表示し、立体的に知覚される画像を提供する表示装置と、前記左眼用フレーム画像が視聴されるように前記左眼へ到達する光量を調整する左眼フィルタと、前記右眼用フレーム画像が視聴されるように前記右眼へ到達する光量を調整する右眼フィルタとを含む眼鏡装置と、を備え、前記表示装置は、前記左眼用フレーム画像と前記右眼用フレーム画像とを、時間的に交互に切り換えて表示面に表示する液晶パネルと、前記左眼用フレーム画像又は前記右眼用フレーム画像を表示するためのフレーム画像信号を、該フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、該第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する変換部と、前記第1画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行した後、前記第2画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第2走査動作を実行し、前記液晶パネルを駆動する液晶駆動部と、を備え、該液晶駆動部は、前記表示面の前記画素に対して前記第1走査動作が実行され、前記第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と前記フレーム画像信号によって規定される前記画素に対する目標輝度とに基づき設定される駆動輝度に向けて前記第2走査動作を実行することを特徴とする。
【0049】
上記構成によれば、表示装置は、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを表示する。眼鏡装置の左眼フィルタは、左眼用フレーム画像が視聴されるように左眼へ到達する光量を調整する。眼鏡装置の右眼フィルタは、右眼用フレーム画像が視聴されるように右眼へ到達する光量を調整する。液晶パネルは、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを、時間的に交互に切り換えて表示面に表示する。したがって、視聴者は、表示装置が提供する画像を立体的に知覚することができる。
【0050】
変換部は、変換部は、左眼用フレーム画像又は右眼用フレーム画像を表示するためのフレーム画像信号を、フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する。液晶駆動部は、第1画像信号を表示面全体の画素に亘って走査する第1走査動作を実行する。液晶駆動部は、その後、第2画像信号を表示面全体の画素に亘って走査する第2走査動作を実行する。フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号を用いる第1走査動作は、第2走査動作より短い期間で達成されるので、第2走査動作を行うための期間が適切に確保される。また、第1走査動作によって、液晶パネルの駆動が表示面に亘って早期に開始されるので、特に比較的遅く第2走査動作がなされる表示面の領域におけるクロストークが低減される。
【0051】
駆動輝度は、表示面の画素に対して第1走査動作が実行される結果、第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と、フレーム画像信号によって規定される画素に対する目標輝度とに基づき設定される。液晶駆動部は、駆動輝度に向けて、画素に対応する液晶を駆動させる。達成輝度に対する期待値と目標輝度とに応じて、駆動輝度が調整されるので、第1走査動作のための解像度の低減処理が左眼用フレーム画像及び右眼フレーム画像の表示に与える影響が少なくなる。
【発明の効果】
【0052】
上述の如く、本発明に係る表示装置及び映像視聴システムは、クロストークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示される映像視聴システムを概略的に示す模式図である。
【図3】図1に示される表示装置の映像信号処理部が実行する平均化処理の概念図である。
【図4】図1に示される表示装置の映像信号処理部が実行する選択処理の概念図である。
【図5】図1に示される表示装置の液晶駆動部による第1走査動作及び第2走査動作を概略的に説明する概念図である。
【図6】オーバードライブ処理の概念図である。
【図7】オーバードライブ処理の1つのパターンを例示する概略的なタイミングチャートである。
【図8】オーバードライブ処理の1つのパターンを例示する概略的なタイミングチャートである。
【図9】映像信号処理部へ入力されるフレーム画像信号が含む輝度データを例示する表である。
【図10】図9に示されるフレーム画像信号の輝度データの比較タイミングを概略的に示すチャートである。
【図11】低解像度化処理(平均化処理又は選択処理)とオーバードライブ処理との組み合わせに起因する課題を示すタイミングチャートである。
【図12】図1に示される表示装置の映像信号処理部が備える概略的な機能構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示される映像信号処理部の等価部が行う平均化処理又は選択処理に伴う画素の輝度変化を概略的に説明する概念図である。
【図14】図12に示される映像信号処理部の第1補正部による第1補正値を決定するための工程を概略的に説明する概念図である。
【図15】図12に示される映像信号処理部の第2補正部による第2補正値を決定するための工程を概略的に説明する概念図である。
【図16】図12に示される映像信号処理部の信号の出力図である。
【図17】図12に示される映像信号処理部が第1走査期間に出力する信号を示すブロック図である。
【図18】図12に示される映像信号処理部が第2走査期間に出力する信号を示すブロック図である。
【図19】図12に示される映像信号処理部が第1走査期間に出力する信号が含む輝度データを示す概略的なブロック図である。
【図20】図12に示される映像信号処理部が第2走査期間に出力する信号が含む輝度データを示す概略的なブロック図である。
【図21】図12に示される映像信号処理部の出力部から出力される第1画像信号及び第2画像信号の走査によって得られる画素の輝度変化を概略的に表すタイミングチャートである。
【図22】第2実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図23】図22に示される映像信号処理部が第1走査期間に出力する信号を示す概略的なブロック図である。
【図24】図22に示される映像信号処理部が第2走査期間に出力する信号を示す概略的なブロック図である。
【図25】画素の位置を考慮しない制御が包含する問題点を説明するためのタイムチャートである。
【図26】第3実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる第2補正部が行う第2補正信号の生成工程を概略的に示す概念図である。
【図27】第3実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置の画素の輝度変化を概略的に説明するタイミングチャートである。
【図28】第4実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる第2補正部が行う第2補正信号の生成工程を概略的に示す概念図である。
【図29】第5実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部の概略的なブロック図である。
【図30】図29に示される映像信号処理部が第2走査期間に出力する信号が含む輝度データを示す概略的なブロック図である。
【図31】第5実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置の画素の輝度変化を概略的に説明するタイミングチャートである。
【図32】従来の映像視聴システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図33】従来の映像視聴システムの制御を例示する制御タイミングチャートである。
【図34】従来の映像視聴システムの制御を例示する制御タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の一実施形態に係る表示装置及び映像視聴システムが図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0055】
<第1実施形態>
(映像視聴システムの構成)
図1は、第1実施形態に係る映像視聴システムの構成を概略的に示すブロック図である。図2は、図1に示される映像視聴システムを概略的に示す模式図である。図1及び図2を参照しつつ、映像視聴システムの概略的な構成が説明される。
【0056】
映像視聴システム100は、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像(以下、Lフレーム画像と称される)と、右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像(以下、Rフレーム画像と称される)とを含むフレーム画像を表示する表示装置200と、表示装置200が表示するLフレーム画像及びRフレーム画像の視聴を補助する眼鏡装置300とを備える。眼鏡装置300は、視聴者が左眼でLフレーム画像を視聴し、右眼でRフレーム画像を視聴するように、表示装置200によるLフレーム画像及びRフレーム画像の表示に同期した立体視補助動作を行う。この結果、視聴者は、眼鏡装置300を通じて、表示装置200が表示するフレーム画像(Lフレーム画像及びRフレーム画像)を立体的に知覚する(視聴者は、Lフレーム画像及びRフレーム画像中で表現されたオブジェクトを、Lフレーム画像及びRフレーム画像が映し出される表示面に対して、飛び出たように或いは引っ込んだように知覚する)。
【0057】
視力矯正用の眼鏡と同様の形状をなす眼鏡装置300は、視聴者の左眼前に配設される左眼シャッタ311と、視聴者の右眼前に配設される右眼シャッタ312とを含む光学シャッタ部310を備える。左眼シャッタ311は、表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに開き、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに閉じる。右眼シャッタ312は、表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに閉じ、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに開く。表示装置200がLフレーム画像を表示しているときに、Lフレーム画像から視聴者の左眼へ透過する光路が開かれる一方で、Lフレーム画像から視聴者の右眼へ透過する光路が閉じられるので、視聴者は左眼のみでLフレーム画像を視聴する。同様に、表示装置200がRフレーム画像を表示しているときに、Rフレーム画像から視聴者の右眼へ透過する光路が開かれる一方で、Rフレーム画像から視聴者の左眼へ透過する光路が閉じられるので、視聴者は右眼のみでRフレーム画像を視聴する。本実施形態において、左眼シャッタ311は、左眼フィルタとして例示される。また、右眼シャッタ312は、右眼フィルタとして例示される。左眼フィルタ及び右眼フィルタとして、表示装置200が表示する映像から視聴者の左眼へ到達する光の量(以下、左眼光量と称される)及び視聴者の右眼へ到達する光の量(以下、右眼光量と称される)を調整可能に形成された他の光学素子が用いられてもよい。例えば、左眼フィルタ及び右眼フィルタとして、視聴者の左眼及び右眼へ透過する光を偏光する偏光素子(例えば、液晶フィルタ)や光量を調整可能な他の光学素子が好適に用いられる。左眼フィルタは、Lフレーム画像の表示に同期して、左眼光量を増大させる一方で、Rフレーム画像の表示に同期して、左眼光量を低減させるように制御される。同様に、右眼フィルタは、Rフレーム画像の表示に同期して、右眼光量を増大させる一方で、Lフレーム画像の表示に同期して、右眼光量を低減させるように制御される。
【0058】
表示装置200は、映像信号処理部210、液晶駆動部220、表示部230、第1制御部250、第2制御部240を備える。
【0059】
映像信号処理部210には、基本となる垂直同期周波数を有する映像信号(左眼用映像信号及び右眼用映像信号)が入力される。映像信号処理部210は、入力された左眼用映像信号(以下、L信号と称される)と右眼用映像信号(以下、R信号と称される)とを、基本となる垂直同期周波数のN倍(Nは自然数)の周波数で、交互に出力する。本実施形態では、入力された60Hzの映像信号が、120HzのL信号及びR信号に変換される。変換を通じて得られたL信号及びR信号は、液晶駆動部220へ出力される。加えて、映像信号処理部210は、L信号及びR信号の出力に同期して、第1制御部250に制御信号を出力する。
【0060】
表示部230は、バックライト232を備える。第1制御部250は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、表示部230のバックライト232を制御する。映像信号処理部210は、L信号及びR信号の出力に同期して、第2制御部240を制御するための制御信号を出力する。第2制御部240は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、光学シャッタ部310を制御する。第1制御部250及び/又は第2制御部240へ出力される制御信号は、映像信号処理部210による変換後のL信号及び/又はR信号自体であってもよい。代替的に、L信号及び/又はR信号の120Hzの垂直同期信号であってもよい。
【0061】
以下の説明において、L信号に含まれる一の垂直同期信号と、該一の垂直同期信号に続いて入力される後の垂直同期信号との間の映像情報を含む映像信号は、Lフレーム画像信号と称される。また、R信号に含まれる一の垂直同期信号と、該一の垂直同期信号に続いて入力される後の垂直同期信号との間の映像情報を含む映像信号は、以下の説明において、Rフレーム画像信号と称される。Lフレーム画像信号は、Lフレーム画像を表現するために用いられる。同様に、Rフレーム画像信号は、Rフレーム画像を表現するために用いられる。本実施形態において、Lフレーム画像信号及び/又はRフレーム画像信号は、フレーム画像信号として例示される。
【0062】
表示部230は、上述のバックライト232に加えて、液晶を用いてLフレーム画像とRフレーム画像とを時間的に交互に切り換えて表示する液晶パネル231を備える。バックライト232は、映像信号処理部210からの制御信号に基づき、液晶パネル231に光を照射する。液晶駆動部220は、主走査方向及び副走査方向にフレーム画像信号(Lフレーム画像信号又はRフレーム画像信号)を走査し、液晶パネル231の液晶を駆動する。図2に示されるように、液晶パネル231の幅方向は、フレーム画像信号の主走査方向として例示される。液晶パネル231の上下方向は、フレーム画像信号の副走査方向として例示される。以下の説明において、フレーム画像の表示に用いられる副走査方向の区間(液晶パネル231の上端縁から下端縁までの区間)は、副走査区間Sと称される。液晶駆動部220は、Lフレーム画像信号とRフレーム画像信号とを交互に走査する。この結果、液晶パネル231にLフレーム画像及びRフレーム画像が時間的に交互に表示される。
【0063】
映像信号処理部210は、1つのLフレーム画像に対応して、第1画像信号と、第1画像信号に後続する第2画像信号とを液晶駆動部220へ出力する。同様に、映像信号処理部210は、1つのRフレーム画像に対応して、第1画像信号と、第1画像信号に後続する第2画像信号とを液晶駆動部220へ出力する。第1画像信号は、映像信号処理部210に入力されたフレーム画像信号(Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号)より低い解像度の画像を表す。第2画像信号は、第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す。本実施形態において、フレーム画像信号を第1画像信号と第2画像信号とに変換する映像信号処理部210は、変換部として例示される。
【0064】
第1画像信号及び第2画像信号は、液晶駆動部220にそれぞれ入力される。液晶駆動部220は、第1画像信号に基づき、液晶パネル231の表示面に亘って液晶を駆動させる第1走査動作と、第2画像信号に基づき、液晶パネル231の表示面に亘って液晶を駆動させる第2走査動作と、を実行する。尚、第2走査動作は、第1走査動作の後に実行される。上述の如く、第1画像信号は、比較的低い解像度の画像を表すので、液晶駆動部220は、第1走査動作を第2走査動作よりも短期間で実行することができる。この結果、第1走査動作が実行された後であっても、左眼シャッタ311が開く前又は右眼シャッタ312が閉じる前に実行される第2走査動作のための十分に長い時間が確保されることとなる。
【0065】
液晶駆動部220は、第1画像信号及び第2画像信号に含まれる垂直同期信号及び水平同期信号にしたがって、第1画像信号及び第2画像信号を、液晶パネル231が表示可能な形式に変換する。液晶駆動部220は、液晶パネル231上のフレーム画像の表示ごとに変換された第1画像信号及び第2画像信号のフレーム画像信号を用いて、第1走査動作と第2走査動作とをそれぞれ実行する。
【0066】
上述の液晶駆動部220による液晶の駆動によって、液晶パネル231は、入力された第1画像信号と第2画像信号とに応じて、背面から入射する光を変調する。この結果、液晶パネル231は、左眼で視聴されるように作成されたLフレーム画像と、右眼で視聴されるように作成されたRフレーム画像とを交互に表示する。液晶パネル231には、例えば、IPS(In Plane Switching)方式や、VA(Vertical Alignment)方式やTN(Twisted Nematic)方式といった様々な駆動方式が好適に適用される。
【0067】
バックライト232は、液晶パネル231の背面から液晶パネル231の表示面に向けて光を照射する。本実施形態において、バックライト232として、面発光するように二次元配列された複数の発光ダイオード(LED)(図示せず)が用いられている。代替的に、バックライト232として、面発光するように配列された複数の蛍光管が用いられてもよい。バックライト232として用いられる発光ダイオードや蛍光管は、液晶パネル231の縁部に配設され、面発光を生じさせてもよい(エッジタイプ)。
【0068】
第1制御部250は、映像信号処理部210から出力された120Hzの制御信号を基準に発光制御信号を出力する。バックライト232は、発光制御信号に基づき明滅可能である。
【0069】
第2制御部240は、眼鏡装置300の光学シャッタ部310を、Lフレーム画像及びRフレーム画像の表示周期に合わせて制御する。第2制御部240は、左眼シャッタ311を制御するための左眼用のフィルタ制御部241(以下、Lフィルタ制御部241と称される)と、右眼シャッタ312を制御するための右眼用のフィルタ制御部242(以下、Rフィルタ制御部242と称される)とを備える。液晶パネル231がLフレーム画像及びRフレーム画像を、例えば、120Hzで交互に表示するとき、Lフィルタ制御部241は、左眼シャッタ311が60Hzの周期で左眼光量を調整する(増減させる)ように眼鏡装置300を制御する。同様に、Rフィルタ制御部242は、右眼シャッタ312が60Hzの周期で右眼光量を調整する(増減させる)ように眼鏡装置300を制御する。
【0070】
図2に示される如く、本実施形態において、表示装置200は、Lフレーム画像の表示に同期する第1同期信号を送信する第1送信部243と、Rフレーム画像の表示に同期する第2同期信号を送信する第2送信部244とを備える。また、眼鏡装置300は、左眼シャッタ311と右眼シャッタ312との間に配設される受信部320を備える。受信部320は、第1同期信号及び第2同期信号を受信する。第1同期信号の波形は、好ましくは、第2同期信号の波形と異なる。受信部320は、受信された同期信号の波形に基づき、第1同期信号と第2同期信号とを識別する。かくして、眼鏡装置300は、第1同期信号に基づき、左眼シャッタ311を動作させる。また、眼鏡装置300は、第2同期信号に基づき、右眼シャッタ312を動作させる。表示装置200と眼鏡装置300との間の同期信号の無線通信並びに眼鏡装置300による同期信号(第1同期信号及び第2同期信号)の内部処理に対して、既知の他の通信技術並びに既知の他の信号処理技術が用いられてもよい。代替的に、表示装置200と眼鏡装置300との間の同期信号(第1同期信号及び第2同期信号)の通信が、有線式に行われてもよい。また、左眼用映像の表示に同期する第1同期信号を送信する第1送信部243と、右眼用映像の表示に同期する第2同期信号を送信する第2送信部244とを共通化して1つの送信部としてもよい。この場合、左眼用映像の表示及び右眼用映像の表示は、共通化された同期信号の立ち上がりに交互に同期されてもよい。
【0071】
Lフィルタ制御部241及びRフィルタ制御部242は、映像信号処理部210からの制御信号を基準とし、左眼シャッタ311による左眼光量の増減周期の位相及び右眼シャッタ312による右眼光量の増減周期の位相を決定する。Lフィルタ制御部241及びRフィルタ制御部242は、決定された位相に従い、第1同期信号及び第2同期信号を出力する。左眼シャッタ311及び右眼シャッタ312それぞれは、第1同期信号及び第2同期信号に基づき、Lフレーム画像の表示及びRフレーム画像の表示に同期して、左眼光量及び右眼光量を増減させる。
【0072】
第2制御部240は、液晶パネル231の応答特性並びに表示されるLフレーム画像とRフレーム画像との間のクロストーク(相互干渉)を考慮して、左眼シャッタ311及び右眼シャッタ312それぞれが左眼光量及び右眼光量を増大させている期間(以下、光量増大期間と称される)の長さと、光量増大期間のタイミング(位相)を決定する。Lフィルタ制御部241は、左眼光量に対する光量増大期間の長さ及びタイミングを制御する。Rフィルタ制御部242は、右眼光量に対する光量増大期間の長さ及びタイミングを制御する。
【0073】
映像信号処理部210の120Hzの制御信号に基づき動作する第1制御部250は、左眼シャッタ311及び右眼シャッタ312による光量調整の動作に同期してバックライト232を発光させる発光制御信号を出力する。バックライト232は、発光制御信号に基づき、明滅することができる。尚、本実施形態において、バックライト232は、第1制御部250の制御下で、常時点灯している。したがって、視聴者がフレーム画像を視聴することができる視聴期間のタイミング及び長さは、眼鏡装置300の光学シャッタ部310の動作によって定められる。
【0074】
代替的に、第1制御部250は、第2制御部240によって調整される光量増大期間中の一部の期間或いは光量増大期間と略一致する期間において、バックライト232を点灯させ、他の期間においてバックライト232を消灯させてもよい。このような第1制御部250によるバックライト232の明滅制御下において、視聴者がフレーム画像を視聴することができる視聴期間のタイミング及び長さは、バックライト232の明滅動作によって定められる。
【0075】
(フレーム画像信号から第1画像信号への変換手法)
図3及び図4は、液晶パネル231の一部を概略的に示す模式図である。図1、図3及び図4を用いて、フレーム画像信号から第1画像信号への変換が概略的に説明される。
【0076】
液晶パネル231は、主走査方向に延びる複数のゲート線と、副走査方向に延びる複数のデータ線と、を含む。図3には、副走査方向に整列したゲート線L1乃至L16及び主走査方向に整列したデータ線M乃至M32が示されている。各ゲート線L乃至L16と各データ線M乃至M32との交点には、画素P及び画素Pに対応する液晶(図示せず)がそれぞれ割り当てられる。各ゲート線L乃至L16と各データ線M乃至M32とに印加される電圧に応じて、液晶の駆動量が定められる。
【0077】
本実施形態において、映像信号処理部210は、ゲート線L2t−1に沿って配列された画素P2t−1及びゲート線L2tに沿って配列された画素P2tが等しい輝度となるように第1画像信号を生成する(tは、自然数)。第1走査動作時において、ゲート線L1とデータ線M1との交点に配設された画素P(L,M)の輝度及びゲート線L2とデータ線M1との交点に配設された画素P(L,M)の輝度が等しくなるように、これら画素P(L,M),P(L,M)にそれぞれ対応する液晶が駆動される。同様に、第1走査動作時において、ゲート線L15とデータ線M17との交点に配設された画素P(L15,M17)の輝度及びゲート線L16とデータ線M17との交点に配設された画素P(L16,M17)の輝度が等しくなるように、これら画素P(L15,M17),P(L16,M17)にそれぞれ対応する液晶が駆動される。同様に、第1走査動作時において、ゲート線Lとデータ線M32との交点に配設された画素P(L,M32)の輝度及びゲート線Lとデータ線M32との交点に配設された画素P(L,M32)の輝度が等しくなるように、これら画素P(L,M32),P(L,M32)にそれぞれ対応する液晶が駆動される。かくして、第1走査動作において、液晶パネル231の表示面に配設された任意の画素の輝度と、該任意の画素に対して副走査方向に整列した他の画素の輝度とが等しくなるように、これら画素対応する液晶が駆動される。本実施形態において、輝度が等しくなるように駆動される液晶に対応する画素の組は、画素グループとして例示される。
【0078】
図3に示されるフレーム画像信号から第1画像信号への変換は、フレーム画像の輝度の平均化に基づく。フレーム画像信号は、表現されるフレーム画像に従い、画素Pそれぞれに対する輝度を定める。したがって、映像信号処理部210に入力されたフレーム画像信号が、例えば、画素P(L,M)に対して定める輝度B(L,M)は、画素P(L,M)に対して定める輝度B(L,M)と異なることもある。映像信号処理部210は、輝度B(L,M)と輝度B(L,M)とを平均化し、画素P(L,M)及び画素P(L,M)に対してそれぞれ等しい輝度を設定する。
【0079】
図4に示されるフレーム画像信号から第1画像信号への変換は、フレーム画像の輝度の選択に基づく。映像信号処理部210は、例えば、輝度B(L,M)と輝度B(L,M)のうち一方の輝度を選択する。映像信号処理部210は、その後、選択された輝度に基づき、画素P(L,M)及び画素P(L,M)に対してそれぞれ等しい輝度を設定する。例えば、一組として取り扱われるゲート線から予め選択された1つのゲート線に沿って整列した画素に対して、フレーム画像信号によってそれぞれ割り当てられた輝度が、他のゲート線に沿って整列した画素にそれぞれ対応して設定されてもよい。例えば、フレーム画像信号がゲート線Lに沿って整列した画素に対してそれぞれ割り当てた輝度が、ゲート線Lに沿って整列した画素に対しても設定される。代替的に、映像信号処理部210は、フレーム画像信号が2つの画素(例えば、画素P(L,M)及び画素(L,M))に対して定めた輝度(例えば、上述の輝度B(L,M)及び輝度B(L,M))のうち大きい方或いは小さい方を選択し、両画素に選択された輝度を設定するように第1画像信号を生成してもよい。更に代替的に、映像信号処理部210は、他の適切な基準に基づき、第1画像信号を生成するための輝度を選択してもよい。
【0080】
本実施形態において、副走査方向に隣接して整列した2つの画素からなる組に対して、上述の平均化処理或いは選択処理がなされる。代替的に、副走査方向に整列した2を超える数の画素からなる組に対して、上述の平均化処理或いは選択処理がなされてもよい。
【0081】
(第1走査動作と第2走査動作)
図5は、液晶駆動部220が行う走査動作を示す概略的なグラフである。図5(a)は、第1画像信号に基づく、第1走査動作を示す。図5(b)は、第2画像信号に基づく、第2走査動作を示す。図5は、ゲート線L1乃至L12までの走査動作を示す。図5(a)及び図5(b)の横軸は、ゲート線L1乃至L12までの走査動作を行っている時間軸である。図5(a)及び図5(b)の縦軸は、液晶パネル231の副走査方向に位置を表す。図1、図3乃至図5を用いて、第1走査動作及び第2走査動作が説明される。
【0082】
第1画像信号は、図3及び図4に関連して説明された平均化処理或いは選択処理によって、副走査方向に整列した画素の輝度を等しくする。本実施形態において、ゲート線L2t−1,L2t上の副走査方向に整列した画素の輝度は等しく設定される(tは、自然数)。したがって、液晶駆動部220は、ゲート線L2t−1,L2t上に同時に第1画像信号を書き込むことができる。この結果、ゲート線L2t−1,L2t上の画素に対応する液晶は、同時に駆動される。
【0083】
第2画像信号は、後述されるオーバードライブ処理を施されたフレーム画像信号(Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号)に基づいて生成される。オーバードライブ処理は、上述の平均化処理或いは選択処理のように、2つの画素の輝度を等しくするための処理ではないので、液晶駆動部220は、ゲート線L1から順次書き込みを行う。
【0084】
本実施形態において、第1走査動作を行う液晶駆動部220は、2つのゲート線L2t−1,L2tの組に同時に第1画像信号の書き込みを行うので、ゲート線L12までの書き込みを完了するまでの第1走査動作の期間T1は、ゲート線L12までの書き込みを完了するまでの第2走査動作の期間T2の半分となる。比較的短期間で行われる第1走査動作によって、液晶パネル231の液晶の駆動が表示面全体に亘って早期に開始されるので、表示面下部領域におけるクロストークが低減される。
【0085】
(オーバードライブ処理の原理)
液晶パネルの画素の輝度を目標とする輝度(フレーム画像信号によって規定される画素に対する輝度)に到達させるための手法として、オーバードライブ処理が挙げられる。
【0086】
図6は、オーバードライブ処理の原理を説明する概略的なタイミングチャートである。図6を用いて、オーバードライブ処理が説明される。
【0087】
液晶パネルには、Lフレーム画像及びRフレーム画像が交互に表示される。図6のセクション(A)には、Lフレーム画像の表示のための左眼期間と、Rフレーム画像の表示のための右眼期間とが示されている。以下の説明において、右眼期間におけるオーバードライブ処理が説明される。尚、右眼期間において実行されたオーバードライブ処理の原理は、左眼期間に対して同様に適用される。
【0088】
図6のセクション(B)に示される如く、左眼期間において、Lフレーム画像信号の第1走査動作及び第2走査動作が行われる。また、右眼期間において、Rフレーム画像信号の第1走査動作及び第2走査動作が行われる。
【0089】
図6のセクション(C)は、光学シャッタ部の開閉動作を示す。左眼シャッタは、右眼期間の開始タイミングの直前に開く。また、右眼シャッタは、左眼期間の開始タイミングの直前に開く。
【0090】
図6のセクション(D)は、液晶パネルの特定の画素の輝度の変化を示す。以下の説明において、Lフレーム画像信号は、「100」の目標輝度を規定している。また、Rフレーム画像信号は、「30」の目標輝度を規定している。
【0091】
右眼期間において、映像信号処理部は、Lフレーム画像信号が規定する輝度と、Rフレーム画像信号が規定する輝度と、を比較する。この結果、映像信号処理部は、画素の輝度が「100」から「30」へ低減させる必要があることを判定する。映像信号処理部は、Rフレーム画像信号が規定する目標輝度「30」に画素の輝度を早く到達させるために、Rフレーム画像信号が規定する目標輝度「30」を下回る「0」の輝度を規定する第1走査動作用の駆動信号を出力する。液晶駆動部は、「0」の輝度を規定する駆動信号に基づき、液晶を駆動させる。この結果、画素の輝度は、第1走査動作によって、Rフレーム画像信号が規定する目標輝度「30」に大幅に近づくことができる。
【0092】
右眼シャッタが開くタイミングに合わせて、画素の輝度が目標輝度「30」に到達するように、映像信号処理部は、Rフレーム画像信号が規定した目標輝度「30」と第1走査動作用の駆動信号が規定した輝度「0」との間に設定された輝度を規定する第2走査動作用の駆動信号を出力する。図6において、第2走査動作用の駆動信号は、「15」の輝度を規定している。この結果、第2走査動作が行われている間、画素の輝度の変化率は徐々に減少し、目標輝度「30」に近づく。右眼シャッタが開いている間、視聴者は、目標輝度に等しい或いは目標輝度に近づけられた輝度の画素を右眼で知覚することができる。
【0093】
図7は、Lフレーム画像信号が規定する輝度とRフレーム画像信号が規定する輝度との差異が比較的小さいときのオーバードライブ処理を概略的に示すタイミングチャートである。図8は、Lフレーム画像信号が規定する輝度とRフレーム画像信号が規定する輝度との差異が比較的大きいときのオーバードライブ処理を概略的に示すタイミングチャートである。図6に示されるLフレーム画像信号とRフレーム画像信号との間の輝度差は、図7及び図8に示される輝度差の間に設定されている。図6乃至図8を用いて、オーバードライブ処理が更に説明される。
【0094】
図7及び図8のセクション(A)には、図6と同様に、Lフレーム画像の表示のための左眼期間と、Rフレーム画像の表示のための右眼期間とが示されている。以下の説明において、右眼期間におけるオーバードライブ処理が説明される。尚、右眼期間において実行されたオーバードライブ処理の原理は、左眼期間に対して同様に適用される。
【0095】
図7及び図8のセクション(B)には、第1走査動作及び第2走査動作が示される。左眼期間において、Lフレーム画像信号の第1走査動作及び第2走査動作が行われる。また、右眼期間において、Rフレーム画像信号の第1走査動作及び第2走査動作が行われる。
【0096】
図7及び図8のセクション(C)は、光学シャッタ部の開閉動作を示す。左眼シャッタは、右眼期間の開始タイミングの直前に開く。また、右眼シャッタは、左眼期間の開始タイミングの直前に開く。
【0097】
図7及び図8のセクション(D)は、液晶パネルの特定の画素の輝度の変化を示す。以下の説明において、Lフレーム画像信号は、「100」の目標輝度を規定している。
【0098】
図7に示される如く、先行するLフレーム画像信号が「100」の目標輝度を表し、後続のRフレーム画像信号が「50」の目標輝度を表しているならば、映像信号処理部は、第1走査動作用の駆動信号に対してオーバードライブ処理を行い、Rフレーム画像信号が規定する「50」の目標輝度を下回る輝度を設定する(図7には、「30」の設定輝度が示されている)。この結果、第1走査動作によって、画素の輝度は、Rフレーム画像信号が規定する「50」の目標輝度に略到達する。その後行われる第2走査動作時に用いられる駆動信号に対しては、映像信号処理部は、オーバードライブ処理を行わない。したがって、映像信号処理部は、Rフレーム画像信号が規定する「50」の目標輝度と等しい輝度を規定する第2走査動作用の駆動信号を出力する。この結果、右眼シャッタが開くと、視聴者は、略目標輝度の明るさの画素を知覚することができる。
【0099】
図6に関連して説明された如く、先行するLフレーム画像が「100」の目標輝度を表し、後続のRフレーム画像信号が「30」の目標輝度を表しているならば、映像信号処理部は、第1走査動作用の駆動信号及び第2走査動作用の駆動信号それぞれにオーバードライブ処理を行う。上述の如く、オーバードライブ処理を施された第1走査動作用の駆動信号は、Rフレーム画像信号が規定する「30」の目標輝度を下回る「0」の輝度を規定する。オーバードライブ処理を施された第1走査動作用の駆動信号は、Rフレーム画像信号が規定する「30」の目標輝度を下回る「15」の輝度を規定する。この結果、右眼シャッタが開くと、視聴者は、略目標輝度の明るさの画素を知覚することができる。
【0100】
図8に示される如く、先行するLフレーム画像信号が「100」の目標輝度を表し、後続のRフレーム画像信号が「10」の目標輝度を表しているならば、映像信号処理部は、第1走査動作用及び第2走査動作用の駆動信号に対してオーバードライブ処理を行い、Rフレーム画像信号が規定する「10」の目標輝度を下回る輝度を設定する。Lフレーム画像信号の目標輝度とRフレーム画像の目標輝度との差異が過度に大きいならば、Rフレーム画像信号が規定する目標輝度に対して最大限の差異を設けた輝度を第1走査動作時及び第2走査動作時に設定しても、画素の輝度は、目標輝度に到達しない。したがって、映像信号処理部は、第1走査動作用の駆動信号及び第2走査動作用の駆動信号が規定する輝度をともに「0」の値に設定する。この結果、右眼シャッタが開いたとき、視聴者は、目標輝度に最大限近づけられた輝度の画素を知覚することができる。
【0101】
(低解像度化とオーバードライブ処理とから派生する課題)
図3及び図4に関連して説明された平均化処理或いは選択処理は、映像信号処理部へ入力されたフレーム画像信号が表すフレーム画像よりも低い解像度のフレーム画像を表す第1画像信号の生成に貢献する。第1画像信号の生成によって、図5に関連して説明された比較的短期間の第1走査動作が達成される。この結果、液晶パネル全体に亘る液晶の駆動の開始が早められ、クロストークが低減される。液晶パネル全体に亘る液晶の駆動の開始タイミングを早める平均化処理或いは選択処理と異なり、オーバードライブ処理は、個別の画素に対応する液晶の駆動を加速し、クロストークの低減に貢献する。平均化処理/選択処理とオーバードライブ処理との組み合わせは、更なるクロストークの低減に寄与すると期待されるが、これらの処理の組み合わせは、新たな課題を招来する。
【0102】
図9は、映像信号処理部へ入力されるフレーム画像信号が示す輝度を例示する。図3、図4及び図9を用いて、平均化処理/選択処理とオーバードライブ処理との組み合わせが招来する課題が説明される。
【0103】
図9には、特定のデータ線Msに沿って整列した画素に割り当てられた輝度を示す。図9の上側の表は、映像信号処理部に入力されたLフレーム画像及びRフレーム画像が規定する輝度を示す。図9の下側の表は、図4に関連して説明された選択処理後の駆動信号が規定する輝度を示す。
【0104】
映像信号処理部に入力されたLフレーム画像信号は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して、「40」の輝度を規定し、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して、「60」の輝度を規定している。映像信号処理部に入力されたRフレーム画像信号は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して、「80」の輝度を規定し、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して、「60」の輝度を規定している。尚、ゲート線Lは、液晶パネルの上部(即ち、走査動作が先に行われる位置)に配設され、ゲート線L2tは、液晶パネルの下部(即ち、走査動作が後に行われる位置)に配設されている。ゲート線Lに付された番号が大きくなるにつれて、画素に対応する液晶の駆動は遅れていく。
【0105】
映像信号処理部は、例えば、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に割り当てられた輝度を基準に選択処理を行う。この結果、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に割り当てられた輝度それぞれに等しくされる。この結果、選択処理後のLフレーム画像信号は、データ線Ms上の画素全てに対して、「40」の輝度を規定する。また、選択処理後のRフレーム画像信号は、データ線Ms上の画素全てに対して、「80」の輝度を規定する。
【0106】
以下の説明において、選択処理前のLフレーム画像信号は、「信号AL」と称される。選択処理後のLフレーム画像信号は、「信号BL」と称される。選択処理前のRフレーム画像信号は、「信号AR」と称される。選択処理後のRフレーム画像信号は、「信号BR」と称される。
【0107】
図10は、平均化処理/選択処理とオーバードライブ処理とを用いた信号処理を概略的に例示する模式図である。図5乃至図10を用いて、平均化処理/選択処理とオーバードライブ処理とを用いた信号処理が説明される。
【0108】
図10に示されるように、Lフレーム画像を表示するための左眼期間及びRフレーム画像を表示するための右眼期間が交互に設定される。左眼期間は、図5に関連して説明された第1走査動作を実行するための第1走査期間と、第1走査期間の後に行われる第2走査動作を実行するための第2走査期間と、左眼シャッタが開かれる左開期間と、を含む。左開期間は、第2走査期間の終了後且つ右眼期間の開始前に設定される。同様に、右眼期間は、図5に関連して説明された第1走査動作を実行するための第1走査期間と、第1走査期間の後に行われる第2走査動作を実行するための第2走査期間と、右眼シャッタが開かれる右開期間と、を含む。右開期間は、第2走査期間の終了後且つ左眼期間の開始前に設定される。
【0109】
図6乃至図8に関連して説明された如く、オーバードライブ処理は、先行するフレーム画像信号が規定する輝度と、後続のフレーム画像信号が規定する輝度との比較に基づく。したがって、オーバードライブ処理は、例えば、フレーム画像信号の遅延処理を伴って実行される。
【0110】
図10に示される「N番目」のRフレーム画像を表示するための右眼期間の第1走査期間において、「N番目」のRフレーム画像を表示するための信号ARに対する選択処理に基づき生成された信号BRは、直前の「N番目」のLフレーム画像を表示するための左眼表示期間で用いられた信号BLと比較され、オーバードライブ処理に基づく輝度が決定される。
【0111】
「N番目」のRフレーム画像を表示するための右眼期間の第2走査期間において、「N番目」のRフレーム画像を表示するための信号ARは、直前の「N番目」のLフレーム画像を表示するための左眼表示期間で用いられた信号ALと比較され、オーバードライブ処理に基づく輝度が決定される。
【0112】
図11は、図10に関連して説明された信号処理に基づく画素の輝度の変化を表す概略的なタイムチャートである。図3乃至図11を用いて、平均化処理/選択処理とオーバードライブ処理との組み合わせが招来する課題が更に説明される。
【0113】
図11のセクション(A)には、Lフレーム画像の表示のための左眼期間と、Rフレーム画像の表示のための右眼期間とが示されている。以下の説明において、右眼期間における画素の輝度変化が説明される。
【0114】
図11のセクション(B)には、第1走査動作及び第2走査動作が示される。左眼期間において、Lフレーム画像信号の第1走査動作及び第2走査動作が行われる。また、右眼期間において、Rフレーム画像信号の第1走査動作及び第2走査動作が行われる。第1走査動作を行うために、映像信号処理部は、図3及び図4に関連して説明された平均化処理又は選択処理を行うとともに、図6乃至図8に関連して説明されたオーバードライブ処理を行う。
【0115】
図11のセクション(C)は、光学シャッタ部の開閉動作を示す。左眼シャッタは、第2走査動作の完了後、且つ、右眼期間が開始される前までの期間において開く。また、右眼シャッタは、第2走査動作の完了後、且つ、左眼期間が開始される前までの期間において開く。
【0116】
図11のセクション(D)は、ゲート線Lとデータ線Msとの交点に位置する画素の輝度の変化を表す。図11のセクション(E)は、ゲート線Lとデータ線Msとの交点に位置する画素の輝度の変化を表す。
【0117】
図10に関連して説明された如く、映像信号処理部は、N番目のRフレーム画像を表示するために生成された信号BRと、直前のLフレーム画像を表示するために生成された信号BLと、を比較し、N番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間の第1走査動作に用いられる駆動信号が規定する輝度を決定する。図9に示される表に従うと、データ線Ms上の画素全てに対して、信号BRは、「80」の輝度を示し、信号BLは、「40」の輝度を示している。映像信号処理部は、データ線Ms上の画素の輝度を「40」から「80」へ増加させる必要があると判定し、オーバードライブ処理を行う。オーバードライブ処理の結果、第1走査動作が行われるときの駆動輝度は、「85」に設定される。
【0118】
第1走査動作の結果、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素は、先行の信号ALが規定した輝度「40」から駆動輝度「85」に向けて駆動される。ゲート線Lとデータ線Msとの交点に位置する画素の輝度は、第2走査動作が開始するまでに、「75」の輝度に到達する。偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素は、先行の信号ARが規定した輝度「60」から駆動輝度「85」に向けて駆動される。ゲート線Lとデータ線Msとの交点に位置する画素の輝度は、第2走査動作が開始するまでに、「75」の輝度に到達する。
【0119】
第2走査期間において、映像信号処理部は、信号AL及び信号ARを参照し、オーバードライブ処理の要否を決定する。例えば、映像信号処理部は、第1走査動作におけるオーバードライブ処理に基づき、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素の輝度は、第1走査動作によって十分に目標輝度に近づけられていると判定する。また、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して信号ALが規定する輝度と信号ARが規定する輝度の差異が小さい(図9に示される輝度差は「0」である)ので、映像信号処理部は、オーバードライブ処理が不要であると判定する。この結果、映像信号処理部は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して、Rフレーム画像信号が規定する「80」の輝度を設定する駆動信号を生成する。第2走査動作が開始されるとき、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素の輝度は、Rフレーム画像信号が規定する「80」の輝度に十分に近づけられているので、右眼シャッタが開かれると、視聴者は、Rフレーム画像信号が規定する「80」の輝度の画素を知覚することができる。映像信号処理部は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して、Rフレーム画像信号が規定する「60」の輝度を設定する駆動信号を生成する。偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素の輝度は、上述の選択処理並びに奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に連動したオーバードライブ処理によって、第2走査動作の開始時において、「60」の目標輝度から大幅に離れている。したがって、「60」の輝度を設定する駆動信号に基づく液晶の駆動では、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素の輝度は、右眼シャッタが開くタイミングにおいて、「60」の目標輝度に到達しない。目標輝度「60」と図11のセクション(E)の実線で示される達成輝度との差異は、視聴者にクロストークとして知覚される。
【0120】
上述の如く、平均化処理或いは選択処理といったフレーム画像信号の低解像度化は、第1走査動作の実行期間を短縮させる一方で、画素の輝度の不必要な変動を潜在的に生じさせる。加えて、オーバードライブ処理は、不必要な輝度の変動を潜在的に増大させる。したがって、フレーム画像信号の低解像度化とオーバードライブ処理との単純な組み合わせは、クロストークの発生を促す結果となる。
【0121】
(映像信号処理部)
図12は、本実施形態に従う表示装置200の映像信号処理部210の機能構成を概略的に示すブロック図である。映像信号処理部210は、クロストークの発生を促すことなく、フレーム画像信号の低解像度化とオーバードライブ処理とを行うように形成される。図1及び図12を用いて、映像信号処理部210が説明される。
【0122】
映像信号処理部210は、第1等価部211、第1選択部212、第1遅延部213、第2等価部214、第2遅延部215、第3遅延部216、第1補正部217、第2補正部218、第2選択部219及び出力部221を備える。
【0123】
フレーム画像信号(Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号)は、第1等価部211、第1遅延部213及び第1選択部212に入力される。第1遅延部213は、1フレーム分だけ、入力されたフレーム画像信号を遅延させ、第2等価部214へ出力する。第1遅延部213は、例えば、Lフレーム画像信号が入力されると、先行して入力されたRフレーム画像信号を第2等価部214へ出力する。同様に、第1遅延部213は、Rフレーム画像信号が入力されると、先行して入力されたLフレーム画像信号を第2等価部214へ出力する。
【0124】
図13は、第1等価部211及び第2等価部214が行う等価処理(平均化処理,選択処理)を概略的に示す。図12及び図13を用いて、第1等価部211及び第2等価部214が説明される。
【0125】
図13は、2つのデータ線M,Mと、4つのゲート線L乃至Lと、データ線M,Mとゲート線L乃至Lとの交点それぞれに対応する画素P1乃至P8と、を示す。画素P1乃至P4は、副走査方向に延びるデータ線Mに沿って整列される。画素P5乃至P8は、副走査方向に延びるデータ線Mに沿って整列される。
【0126】
フレーム画像信号は、画素P1乃至P8の輝度を規定する輝度データを含む。第1等価部211及び第2等価部214は、データ線それぞれに対応して、輝度データを複数のグループに分ける。各データグループには、複数の画素に対応する輝度の値が含まれる。かくして、副走査方向に整列した複数の画素に対応するデータグループが設定される。図13において、画素P1,P2のデータグループ、画素P3,P4のデータグループ、画素P5,P6のデータグループ及び画素P7,P8のデータグループが設定されている。また、フレーム画像信号は、画素P1,P3に対して、「40」の輝度を規定し、画素P2,P4,P6,P8に対して、「60」の輝度を規定し、画素P5,P7に対して、「80」の輝度を規定している。本実施形態において、これらのデータグループに対応する画素の組は、画素グループとして例示される。
【0127】
第1等価部211及び第2等価部214は、各データグループ内で平均化処理或いは選択処理を行い、データグループ内の画素の輝度を等しくする。第1等価部211及び第2等価部214が平均化処理を行うと、画素P1,P2,P3,P4それぞれに対して、「50」の輝度を規定し、画素P5,P6,P7,P8それぞれに対して、「70」の輝度を規定する等価信号が生成される。第1等価部211及び第2等価部214が、奇数番号のゲート線上の画素の輝度を基準に選択処理を行うと、画素P1,P2,P3,P4それぞれに対して、「40」の輝度を規定し、画素P5,P6,P7,P8それぞれに対して、「80」の輝度を規定する等価信号が生成される。本実施形態において、データグループに対応する画素に対して共通して用いられる輝度(平均化処理或いは選択処理を通じて決定された輝度)は、等価輝度として例示される。
【0128】
第1等価部211は、第1選択部212及び第2遅延部215へ等価信号を出力する。第2等価部214は、第1補正部217及び第3遅延部216へ等価信号を出力する。
【0129】
図12及び図13を用いて、第1選択部212が説明される。
【0130】
上述の如く、第1選択部212には、フレーム画像信号及び第1等価部211によって生成された等価信号が出力される。第1選択部212は、第1走査動作が行われる第1走査期間に等価信号を出力し、第2走査動作が行われる第2走査期間にフレーム画像信号を出力する。
【0131】
図14は、第1補正部217が格納する第1補正テーブルの概念図である。図1、図5、図12乃至図14を用いて、第1補正部217が説明される。
【0132】
第1補正部217には、第1等価部211からの等価信号及び第2等価部214からの等価信号が入力される。上述の如く、第2等価部214は、第1遅延部213によって遅延されたフレーム画像信号に基づき、等価信号を出力する。図14に示される第1補正テーブル222中の第1等価部211からの入力に対応する座標軸は、第1等価部211からの等価信号が規定する現行輝度を示す。第1補正テーブル222中の第2等価部214からの入力に対応する座標軸は、第2等価部214からの等価信号が規定する先行輝度を示す。
【0133】
第1補正部217は、第1等価部211からの等価信号に規定される現行輝度と、第2等価部214からの等価信号に規定される先行輝度と、に基づき、画素P1乃至P8それぞれに対して、第1補正値を決定し、第1補正値の情報を含む第1補正信号を第2選択部219へ出力する。第1補正値の絶対値は、例えば、現行輝度と先行輝度との差が大きいほど、大きくなるように設定される。また、現行輝度が先行輝度よりも大きいならば、第1補正値は、正の値に設定される。現行輝度が先行輝度より小さいならば、第1補正値は負の値に設定される。後述されるように、選択された第1補正値に応じて、第1走査期間中に達成される画素P1乃至P8の輝度が変動する。本実施形態において、第1補正テーブル222は、第1テーブルとして例示される。また、現行輝度と先行輝度とに応じて選択される第1補正テーブル222中の第1補正値は、第1データとして例示される。
【0134】
第2選択部219は、第1走査動作が行われる第1走査期間に第1補正信号を出力する。したがって、第1走査期間において、出力部221には、第1等価部211によって生成された等価信号及び第1補正部217によって生成された第1補正信号が入力される。
【0135】
出力部221は、第1等価部211によって生成された等価信号が規定する現行輝度と、第1補正信号が規定する第1補正値と、を加算する。上述の如く、現行輝度が先行輝度よりも大きいならば、第1補正値は、正の値に設定されるので、出力部221によって算出された加算値は、現行輝度よりも大きくなる。現行輝度が先行輝度よりも小さいならば、第1補正値は、負の値に設定されるので、出力部221によって算出された加算値は、現行輝度よりも小さくなる。第1走査動作が行われる第1走査期間において、出力部221は、算出された加算値の情報を含む第1画像信号を液晶駆動部220へ出力する。
【0136】
液晶駆動部220は、第1画像信号に基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する。図5に関連して説明された如く、第1走査期間において、液晶駆動部220は、画素P1,P2それぞれに対応する液晶を同時に駆動する。また、液晶駆動部220は、画素P5,P6それぞれに対応する液晶を同時に駆動する。ゲート線L,Lに対応する水平同期信号に基づき、ゲート線L,Lに対応する画素に対する液晶の駆動が開始される。この結果、液晶駆動部220は、画素P3,P4それぞれに対応する液晶を同時に駆動する。また、液晶駆動部220は、画素P7,P8それぞれに対応する液晶を同時に駆動する。
【0137】
第1補正部217に入力される2つの信号はともに、等価信号であるので、データグループ内の画素に対して規定される輝度は等価である。したがって、第1補正テーブル222に基づき決定される第1補正値は、データグループ内の画素に対しては、等しくなる。この結果、出力部221から出力される第1画像信号が規定する輝度も、データグループ内の画素に対しては、等しくなる。かくして、第1画像信号に基づく第1走査動作によって達成されるデータグループ内の画素の達成輝度は、略等しくなる。
【0138】
図12を用いて、第2遅延部215及び第3遅延部216が説明される。
【0139】
上述の如く、第2遅延部215には、第1等価部211によって生成された等価信号が入力される。上述の如く、第1等価部211によって生成された等価信号は、第1走査期間において、出力部221によって、第1画像信号に変換され、液晶駆動部220に出力される一方で、第2遅延部215によって遅延され、後続の第2走査動作が行われる第2走査期間に第2補正部218に出力される。
【0140】
上述の如く、第3遅延部216には、第2等価部214によって生成された等価信号が入力される。第2等価部214によって生成された等価信号は、第1遅延部213によって1フレーム分だけ遅延されたフレーム画像信号に基づいて生成されるので、先行するフレーム画像の表示に用いられた第1画像信号を生成するために第1等価部211から出力された等価信号と等しくなる。上述の如く、第2等価部214によって生成された等価信号は、第1走査期間において、第1補正部217による第1補正信号の生成に用いられる一方で、第3遅延部216によって更に遅延され、後続の第2走査動作が行われる第2走査期間に第2補正部218に出力される。
【0141】
図15は、第2補正部218が格納する第2補正テーブルの概念図である。図1、図11乃至図15を用いて、第2補正部218が説明される。
【0142】
第2補正部218には、フレーム画像信号、第2遅延部215を介して出力された第1等価部211からの等価信号及び第3遅延部216を介して出力された第2等価部214からの等価信号が入力される。
【0143】
第2補正部218は、第2補正テーブル223を格納する。第2補正テーブル223は、期待値テーブル224と、決定テーブル225と、を含む。
【0144】
第1走査期間中に達成される画素の輝度は、第1画像信号が規定する設定輝度に必ずしも到達しない。期待値テーブル224は、第1画像信号に従って第1走査期間中に達成される画素の輝度に対する期待値のデータを格納する。第2遅延部215から出力される等価信号の輝度は、図14に関連して説明された第1等価部211からの等価信号の輝度(現行輝度)と等価である。したがって、図15に示される期待値テーブル224中の第2遅延部215からの入力に対応する座標軸は、現行輝度を示す。第3遅延部216から出力される等価信号の輝度は、図14に関連して説明された第2等価部214からの等価信号の輝度(先行輝度)と等価である。したがって、図15に示される期待値テーブル224中の第3遅延部216からの入力に対応する座標軸は、先行輝度を示す。
【0145】
第2補正部218は、第2遅延部215からの等価信号に規定される現行輝度と、第3遅延部216からの等価信号に規定される先行輝度と、に基づき、画素P1乃至P8それぞれが第1走査期間中に達成すると期待される輝度を、期待値テーブル224が格納するデータから抽出する。本実施形態において、第2補正部218が期待値テーブル224から抽出したデータは、達成輝度として例示される。
【0146】
フレーム画像信号が各画素に対して規定する輝度は、視聴者に知覚されるべき目標の輝度である。理想的には、左眼シャッタ311が開かれたとき、Lフレーム画像信号が規定する輝度に画素の輝度が到達し、右眼シャッタ312が開かれたとき、Rフレーム画像信号が規定する輝度に画素の輝度が到達する。図11に関連して説明された如く、目標輝度と視聴者に知覚される画素の輝度との間の差異は、クロストークとして、視聴者に知覚される。
【0147】
決定テーブル225は、第2走査期間に出力される第2補正値のデータを格納する。図15に示される決定テーブル225中のフレーム画像信号の入力に対応する座標軸は、フレーム画像信号が規定する目標輝度を示す。決定テーブル225中の期待値テーブル224からの入力に対応する座標軸は、期待値テーブル224から抽出された輝度の期待値(即ち、第1走査期間中に達成すると期待される画素の輝度)を示す。第2補正部218は、目標輝度と輝度の期待値と、に基づき、画素P1乃至P8それぞれに対して、第2補正値を決定し、第2補正値の情報を含む第2補正信号を第2選択部219へ出力する。第2補正値の絶対値は、例えば、輝度の期待値と目標輝度との差が大きいほど、大きくなるように設定される。本実施形態において、第2補正テーブル223は、第2テーブルとして例示される。また、決定テーブル225に格納される第2補正値のデータは、第2データとして例示される。
【0148】
第2選択部219は、第2走査動作が行われる第2走査期間に第2補正信号を出力する。したがって、第2走査期間において、出力部221には、フレーム画像信号及び第2補正部218によって生成された第2補正信号が入力される。
【0149】
出力部221は、フレーム画像信号が規定する目標輝度と、第2補正信号が規定する第2補正値と、を加算し、第2走査期間で用いられる駆動輝度を決定する。第2走査動作が行われる第2走査期間において、出力部221は、算出された駆動輝度の情報を含む第2画像信号を液晶駆動部220へ出力する。
【0150】
液晶駆動部220は、第2画像信号に基づき、液晶パネル231の液晶を駆動する。第2画像信号に基づく液晶の駆動の結果、画素P1乃至P8の輝度は、目標輝度に向けて変動する。
【0151】
図16は、映像信号処理部210中の信号の出力図である。図17は、第1走査期間における映像信号処理部210中の信号の出力を表す概略的なブロック図である。図18は、第2走査期間における映像信号処理部210中の信号の出力を表す概略的なブロック図である。図13乃至図18を用いて、映像信号処理部210中の信号の出力が説明される。
【0152】
図16には、N番目のLフレーム画像を表示するための左眼期間、N番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間、(N+1)番目のLフレーム画像を表示するための左眼期間及び(N+1)番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間が示されている。以下の説明において、N番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間における信号の出力が説明される。尚、他の期間においても、N番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間における信号の出力の原理は同様に適用される。
【0153】
図17に示される如く、N番目のRフレーム画像信号SRn(2)が入力されると、第1走査期間において、第1等価部211は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行し、等価信号SRn(1)を生成並びに出力する。等価信号SRn(1)は、第1選択部212、第1補正部217及び第2遅延部215を介して第2補正部218へ入力される。
【0154】
第1遅延部213は、直前のN番目のLフレーム画像を表示するための左眼期間において、N番目のLフレーム画像信号SLn(2)を取得している。第1遅延部213は、Lフレーム画像信号SLn(2)を遅延させ、後続のN番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間の第1走査期間に第2等価部214へ出力する。
【0155】
第2等価部214は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行し、等価信号SLn(1)を生成並びに出力する。等価信号SLn(1)は、第1補正部217及び第3遅延部216へ入力される。
【0156】
図14に関連して説明された如く、第1走査期間において、第1補正部217は、等価信号SRn(1)が指し示す現行輝度と、等価信号SLn(1)が指し示す先行輝度とに基づき、第1補正テーブル222を用いて、第1補正値を決定する。第1補正部217は、決定された第1補正値の情報を含む第1補正信号CRn(1)を第2選択部219へ出力する。
【0157】
第1選択部212及び第2選択部219は、同期して、等価信号SRn(1)及び第1補正信号CRn(1)をそれぞれ出力部221へ出力する。出力部221は、等価信号SRn(1)と第1補正信号CRn(1)とを加算し、第1画像信号IRn(1)を生成する。第1画像信号IRn(1)は、液晶駆動部220へ出力される。
【0158】
図18に示される如く、N番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、第1等価部211だけでなく、第1選択部212へ入力される。第2走査期間において、第1選択部212は、Rフレーム画像信号SRn(2)を出力する。
【0159】
N番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、更に、第2補正部218に入力される。第2遅延部215は、第1走査期間において取得された等価信号SRn(1)を遅延させ、第2走査期間において、遅延された等価信号SRn(1d)として、第2補正部218へ出力する。第3遅延部216は、第1走査期間において取得された等価信号SLn(1)を遅延させ、第2走査期間において、遅延された等価信号SLn(1d)として、第2補正部218へ出力する。
【0160】
図15に関連して説明された如く、第2走査期間において、第2補正部218は、等価信号SRn(1d)が指し示す現行輝度と、等価信号SLn(1d)が指し示す先行輝度とに基づき、期待値テーブル224を用いて、第1走査期間に達成される輝度の期待値を決定する。第2補正部218は、更に、決定された期待値と、Rフレーム画像信号SRn(2)が指し示す目標輝度と、に基づき、決定テーブル225を用いて、第2補正値を決定する。第2補正部218は、決定された第2補正値の情報を含む第2補正信号CRn(2)を第2選択部219へ出力する。
【0161】
第2選択部219は、第1選択部212と同期して、第2補正信号CRn(2)を出力部221に出力する。出力部221は、Rフレーム画像信号SRn(2)と第2補正信号CRn(2)とを加算し、第2画像信号IRn(2)を生成する。第2画像信号IRn(2)は、液晶駆動部220へ出力される。
【0162】
図19は、第1走査期間に出力される信号が含む輝度のデータを示す。図13、図14、図17及び図19を用いて、第1走査期間中の輝度のデータの変化が説明される。図19中の表は、データ線Mに沿って整列した画素の輝度を表す。
【0163】
第1等価部211に入力されるN番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「80」の輝度を示している。また、Rフレーム画像信号SRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「60」の輝度を示している。
【0164】
第1等価部211は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素の輝度を基準に、図13に関連して説明された選択処理を行い、等価信号SRn(1)を生成する。この結果、等価信号SRn(1)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素及び偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素の両方に対して、「80」の輝度を示す。等価信号SRn(1)は、第1選択部212及び第1補正部217に出力される。第1選択部212は、出力部221へ等価信号SRn(1)を出力する。
【0165】
N番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間の第1走査期間において、第1遅延部213は、直前のN番目のLフレーム画像を表示するために左眼期間において取得されたLフレーム画像信号SLn(2)を出力する。Lフレーム画像信号SLn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「40」の輝度を示している。また、Lフレーム画像信号SLn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「60」の輝度を示している。Lフレーム画像信号SLn(2)は、第2等価部214へ入力される。
【0166】
第2等価部214は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素の輝度を基準に、図13に関連して説明された選択処理を行い、等価信号SLn(1)を生成する。この結果、等価信号SLn(1)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素及び偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素の両方に対して、「40」の輝度を示す。等価信号SLn(1)は、第1補正部217に出力される。
【0167】
図14に関連して説明された如く、第1補正部217は、等価信号SRn(1),SLn(1)に基づき、第1補正テーブル222を用いて、第1補正信号CRn(1)を生成する。第1補正部217は、等価信号SRn(1)が示す現行輝度と、等価信号SLn(1)が示す先行輝度とに基づき、画素それぞれに対して第1補正値を決定する。図19に示される等価信号SRn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「80」の現行輝度を示し、等価信号SLn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「40」の先行輝度を示しているので、第1補正部217は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「5」の第1補正値を定め、第1補正信号CRn(1)を生成する。第1補正信号CRn(1)は、その後、第2選択部219を介して、出力部221へ出力される。
【0168】
出力部221は、等価信号SRn(1)が指し示す輝度と、第1補正信号CRn(1)が指し示す第1補正値と、を画素それぞれについて加算する。図19に示される等価信号SRn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「80」の輝度を示し、第1補正信号CRn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「5」の第1補正値を示しているので、出力部221から出力される第1画像信号IRn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「85」の輝度を規定する。
【0169】
図20は、第2走査期間に出力される信号が含む輝度のデータを示す。図15、図17乃至図20を用いて、第2走査期間中の輝度のデータの変化が説明される。図20中の表は、データ線Mに沿って整列した画素の輝度を表す。
【0170】
N番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、第1選択部212及び第2補正部218に入力される。第1選択部212は、第2走査期間に、Rフレーム画像信号SRn(2)を出力部221へ出力する。
【0171】
第1走査期間において、第1等価部211が出力した等価信号SRn(1)は、第2遅延部215に入力される。第2遅延部215は、等価信号SRn(1)を遅延させ、第2走査期間において、等価信号SRn(1d)として、出力する。尚、等価信号SRn(1)が画素それぞれに規定する輝度及び等価信号SRn(1d)が画素それぞれに規定する輝度は等しい。
【0172】
第1走査期間において、第2等価部214が出力した等価信号SLn(1)は、第3遅延部216に入力される。第3遅延部216は、等価信号SLn(1)を遅延させ、第2走査期間において、等価信号SLn(1d)として、出力する。尚、等価信号SLn(1)が画素それぞれに規定する輝度及び等価信号SLn(1d)が画素それぞれに規定する輝度は等しい。
【0173】
第2遅延部215は、等価信号SRn(1d)を第2補正部218へ出力する。等価信号SRn(1d)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素及び偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「80」の輝度をそれぞれ示している。
【0174】
第3遅延部216は、等価信号SLn(1d)を第2補正部218へ出力する。等価信号SLn(1d)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素及び偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「40」の輝度をそれぞれ示している。
【0175】
図15に関連して説明された如く、第2補正部218は、等価信号SRn(1d)が示す現行輝度と、SLn(1d)が示す先行輝度とに基づき、期待値テーブル224を用いて、画素それぞれが第1走査期間において達成する輝度の期待値を決定する。図19に示される等価信号SRn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「80」の現行輝度を示し、等価信号SLn(1)は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「40」の現行輝度を示しているので、第2補正部218は、データ線Mに沿う全ての画素に対し、「75」の輝度の期待値を決定する。
【0176】
第2補正部218は、その後、画素それぞれに対して決定された輝度の期待値と、Rフレーム画像信号SRn(2)が画素それぞれに規定する目標輝度と、に基づき、決定テーブル225を用いて、第2補正値を画素それぞれに対して決定する。
【0177】
図20に示されるRフレーム画像信号SRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「80」の目標輝度を規定している。また、期待値テーブル224に基づき決定された奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対する輝度の期待値は、「75」である。奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素の輝度は、第1走査期間において、「80」の目標輝度に十分に近づけられている。かくして、第2補正部218は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素の輝度に対しては、「0」の第2補正値を設定する。
【0178】
図20に示されるRフレーム画像信号SRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「60」の目標輝度を規定している。また、期待値テーブル224に基づき決定された偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対する輝度の期待値は、「75」である。奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素の輝度は、第1走査期間において、「60」の目標輝度を大幅に上回っている。かくして、第2補正部218は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素の輝度に対しては、「−10」の第2補正値を設定する。
【0179】
第2補正部218は、上述の如く設定された第2補正値に関する情報を含む第2補正信号CRn(2)を生成する。第2補正信号CRn(2)は、第2選択部219を介して、出力部221へ出力される。
【0180】
出力部221は、Rフレーム画像信号SRn(2)が指し示す輝度と、第2補正信号CRn(2)が指し示す第2補正値と、を画素それぞれについて加算する。図20に示されるRフレーム画像信号SRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「80」の目標輝度を示し、第2補正信号CRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「0」の第2補正値を示しているので、出力部221から出力される第2画像信号IRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「80」の駆動輝度を規定する。また、Rフレーム画像信号SRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「60」の目標輝度を示し、第2補正信号CRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「−10」の第2補正値を示しているので、出力部221から出力される第2画像信号IRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「50」の目標輝度を規定する。
【0181】
図21は、図19及び図20に関連して説明された第1画像信号IRn(1)及び第2画像信号IRn(2)に基づく、画素の輝度変化を表す概略的なタイムチャートである。図1、図5、図11、図19乃至図21を用いて、画素の輝度変化が説明される。
【0182】
図21のセクション(A)には、N番目のLフレーム画像の表示のための左眼期間、N番目のRフレーム画像の表示のための右眼期間及び(N+1)番目のLフレーム画像の表示のための左眼期間が示されている。以下の説明において、右眼期間における画素の輝度変化が説明される。
【0183】
図21のセクション(B)には、第1走査動作及び第2走査動作が示される。右眼期間の第1走査期間において、液晶駆動部220は、第1画像信号IRn(1)を用いて、第1走査動作を実行する。図5に関連して説明された如く、液晶駆動部220は、1つの奇数番号のゲート線に対応する画素と、1つの偶数番号のゲート線に対応する画素の液晶と、を1つの組として、同時に駆動する。この結果、第1画像信号IRn(1)は、ゲート線(L,L)の組、ゲート線(L,L)の組、・・・・、ゲート線(L2t−1,L25)の組に順次書き込まれる。右眼期間の第2走査期間において、液晶駆動部220は、第2画像信号IRn(2)を用いて、第2走査動作を実行する。図5に関連して説明された如く、液晶駆動部220は、ゲート線L,L,L,L,・・・L2t−1,L25に順次、第2画像信号IRn(2)を書き込む。
【0184】
図21のセクション(C)は、光学シャッタ部310の開閉動作を示す。左眼シャッタ311は、第2走査動作の完了後、且つ、右眼期間が開始される前までの期間において開く。また、右眼シャッタ312は、第2走査動作の完了後、且つ、左眼期間が開始される前までの期間において開く。
【0185】
図21のセクション(D)は、ゲート線Lとデータ線Mとの交点に位置する画素の輝度の変化を表す。図21のセクション(E)は、ゲート線Lとデータ線Mとの交点に位置する画素の輝度の変化を表す。
【0186】
図19及び図20に関連して説明された如く、直前の左眼期間においてLフレーム画像の表示に用いられたLフレーム画像信号SLn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「40」の目標輝度を規定している。したがって、セクション(D)に示される画素の輝度は、略「40」から変動を開始する。Lフレーム画像信号SLn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「60」の目標輝度を規定している。したがって、セクション(E)に示される画素の輝度は、略「60」から変動を開始する。
【0187】
図19に関連して説明された如く、第1画像信号IRn(1)は、データ線Mに沿う画素全てに対して、「85」の駆動輝度を設定する。したがって、第1走査動作がなされると、データ線Mに沿う画素の輝度は、「85」の駆動輝度に向けて、変動を開始する。
【0188】
第1走査動作の結果、第2走査動作が開始される直前には、データ線Mに沿う画素の輝度は、第2補正部218の期待値テーブル224を用いて決定された「75」の輝度の期待値に到達する、或いは、「75」の輝度の期待値に近似する。
【0189】
図20に関連して説明された如く、第2画像信号IRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素に対して、「80」の駆動輝度を設定する。したがって、第2走査動作がなされると、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素は、「80」の駆動輝度に向けて、変動を開始する。上述の如く、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1に対応する画素の輝度は、第1走査動作の結果、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度に十分に近づけられているので、右眼シャッタ312が開かれるときには、目標輝度に到達している。
【0190】
第2画像信号IRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素に対して、「50」の駆動輝度を設定する。したがって、第2走査動作がなされると、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素は、「50」の駆動輝度に向けて、変動を開始する。「50」の駆動輝度は、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度「60」を下回るので、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2tに対応する画素の液晶は、比較的大きな駆動力で駆動される。したがって、右眼シャッタ312が開かれるときには、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度に十分に近づけられている。
【0191】
図21のセクション(E)に示される如く、比較的早期に第2走査動作が実行されるゲート線Lに対応する画素は、右眼シャッタ312が開かれるときには、「60」の目標輝度に略到達している。
【0192】
尚、クロストークの更なる改善は、眼鏡装置300のシャッタ部310の開閉制御及び/又はバックライト232の点灯制御によっても達成可能である。例えば、クロストークの量は、眼鏡装置300の左眼シャッタ311が開くタイミング及び右眼シャッタ312が開くタイミングがそれぞれ遅延されることにより、低減される。左眼シャッタ311が開くタイミング及び右眼シャッタ312が開くタイミングの遅延は、結果として、左眼シャッタ311及び右眼シャッタ312の短縮化をもたらし、視聴者が知覚する光量が低減することもある。バックライト232の光量の増大により、左眼シャッタ311及び右眼シャッタ312の短縮化に起因する視聴者が知覚する光量の低減は、補填されうる。かくして、クロストークの一層の低減化が好適に図られる。
【0193】
(第2実施形態)
図22は、第2実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部の概略的なブロック図である。映像信号処理部を除く他の要素は、第1実施形態に関連して説明された要素と同様である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。図13及び図22を用いて、第2実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部が説明される。
【0194】
第2実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部210Aは、第1実施形態と同様の第1等価部211、第1選択部212、第1遅延部213、第2等価部214、第1補正部217、第2補正部218、第2選択部219及び出力部221に加えて、第3等価部251及び第4等価部252を備える。第3等価部251及び第4等価部252は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行する。
【0195】
図23は、第1走査期間における映像信号処理部210A中の信号の出力を表す概略的なブロック図である。図24は、第2走査期間における映像信号処理部210A中の信号の出力を表す概略的なブロック図である。図13乃至図18並びに図23及び図24を用いて、映像信号処理部210A中の信号の出力が説明される。図16は、映像信号処理部210A中の信号の出力図である。
【0196】
N番目のRフレーム画像信号SRn(2)が入力されると、第1走査期間において、第1等価部211は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行し、等価信号SRn(1)を生成並びに出力する。等価信号SRn(1)は、第1選択部212及び第1補正部217へ入力される。
【0197】
第1遅延部213は、直前のN番目のLフレーム画像を表示するための左眼期間において、N番目のLフレーム画像信号SLn(2)を取得している。第1遅延部213は、Lフレーム画像信号SLn(2)を遅延させ、後続のN番目のRフレーム画像を表示するための右眼期間の第1走査期間に第2等価部214へ出力する。
【0198】
第2等価部214は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行し、等価信号SLn(1)を生成並びに出力する。等価信号SLn(1)は、第1補正部217へ入力される。
【0199】
図23に示される第1補正部217(第2実施形態)への入力信号は、図17に示される第1補正部217(第1実施形態)への入力信号と等しい。したがって、第2実施形態の第1補正部217も、第1実施形態と同様に、第1補正信号CRn(1)を出力する。第1補正信号CRn(1)は、図14に関連して説明された生成原理に従って、生成される。
【0200】
第1走査期間において、第1選択部212及び第2選択部219は、同期して、等価信号SRn(1)及び第1補正信号CRn(1)をそれぞれ出力部221へ出力する。図23に示される出力部221(第2実施形態)への入力信号は、図17に示される出力部221(第1実施形態)への入力信号と等しい。したがって、出力部221は、第1走査期間において、第1画像信号IRn(1)を生成する。第1画像信号IRn(1)の生成は、第1実施形態に関連して説明された原理に従う。第1画像信号IRn(1)は、液晶駆動部220へ出力される。
【0201】
N番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、第1等価部211だけでなく、第1選択部212へ入力される。第2走査期間において、第1選択部212は、Rフレーム画像信号SRn(2)を出力する。
【0202】
N番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、更に、第2補正部218及び第3等価部251に入力される。第3等価部251は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行し、等価信号SRn(1)を生成並びに出力する。等価信号SRn(1)は、第2補正部218へ入力される。
【0203】
第1遅延部213から出力されるN番目のLフレーム画像信号SLn(2)は、第2等価部214だけでなく、第4等価部252にも出力される。第3等価部251は、図13に関連して説明された平均化処理又は選択処理を実行し、等価信号SLn(1)を生成並びに出力する。等価信号SLn(1)は、第2補正部218へ入力される。
【0204】
第2実施形態の第2補正部218に入力される等価信号SRn(1)は、第1実施形態の第2補正部218に入力される等価信号SRn(1d)と等しい現行輝度のデータを含む。第2実施形態の第2補正部218に入力される等価信号SLn(1)は、第1実施形態の第2補正部218に入力される等価信号SLn(1d)と等しい先行輝度のデータを含む。また、第2実施形態の第2補正部218には、第1実施形態の第2補正部218と同様に、Rフレーム画像信号SRn(2)が入力される。したがって、第1実施形態と同様に、図15に関連して説明された原理に従って、第2補正信号CRn(2)が生成される。
【0205】
第2選択部219は、第2走査期間において、第2補正信号CRn(2)を出力部221へ出力する。図24に示される出力部221(第2実施形態)への入力信号は、図18に示される出力部221(第1実施形態)への入力信号と等しい。したがって、出力部221は、第2走査期間において、第2画像信号IRn(2)を生成する。第2画像信号IRn(2)の生成は、第1実施形態に関連して説明された原理に従う。第2画像信号IRn(2)は、液晶駆動部220へ出力される。
【0206】
第2実施形態の映像信号処理部210Aは、第1実施形態の第2遅延部215及び第3遅延部216に代えて、第3等価部251及び第4等価部252をそれぞれ含む。したがって、第2遅延部215及び第3遅延部216としての機能を発揮するメモリ要素が削減される点において、第2実施形態の映像信号処理部210Aは、第1実施形態の映像信号処理部210よりも優れている。
【0207】
(第3実施形態)
第3実施形態において、フレーム画像の表示領域に応じた制御が説明される。
【0208】
図25は、フレーム画像の上部と下部とで等しい第2補正値を第2補正部218が出力したときの画素の輝度変化を表す概略的なタイムチャートである。図1、図5、図15及び図25を用いて、フレーム画像の上部と下部とで等しい第2補正値が用いられたときの問題点が説明される。
【0209】
図25のセクション(A)には、N番目のLフレーム画像の表示のための左眼期間、N番目のRフレーム画像の表示のための右眼期間及び(N+1)番目のLフレーム画像の表示のための左眼期間が示されている。以下の説明において、右眼期間における画素の輝度変化が説明される。
【0210】
図25のセクション(B)には、第1走査動作及び第2走査動作が示される。図5に関連して説明された如く、第2走査動作が行われる第2走査期間は、第1走査動作が行われる第1走査期間よりも長い。
【0211】
図25のセクション(C)は、光学シャッタ部310の開閉動作を示す。左眼シャッタ311は、第2走査動作の完了後、且つ、右眼期間が開始される前までの期間において開く。また、右眼シャッタ312は、第2走査動作の完了後、且つ、左眼期間が開始される前までの期間において開く。
【0212】
図25のセクション(D)は、液晶パネル231の上部に位置する画素の輝度の変化を表すタイムチャートである。図25のセクション(E)は、液晶パネル231の下部に位置する画素の輝度の変化を表すタイムチャートである。図25のセクション(D)及びセクション(E)に示されるタイムチャートは、液晶パネル231の上部及び下部に位置する画素に対して、それぞれ等しい目標輝度を設定するLフレーム画像信号及びRフレーム画像信号に基づき得られている。
【0213】
第2補正部218は、第1実施形態及び第2実施形態に関連して説明された如く、Lフレーム画像信号が規定する目標輝度とRフレーム画像信号が規定する目標輝度とに基づき、第2補正値を決定する。したがって、Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号が液晶パネル231の上部及び下部に位置する画素に対して、それぞれ等しい目標輝度を設定し、且つ、第2補正部218が画素の位置を考慮しないならば、第2補正部218は、液晶パネル231の上部の画素と下部の画素に対して、等しい第2補正値を決定する。図25のタイムチャートにおいて、第2補正部218は、Lフレーム画像信号及びRフレーム画像信号が規定する目標輝度に基づき、「75」の期待値を設定し、第2補正信号CRn(2)を出力している。
【0214】
上述の如く、第2走査動作が行われる第2走査期間は、第1走査動作が行われる第1走査期間よりも長いので、液晶パネル231の上部の画素と下部の画素との間で、第2走査期間の開始時において、画素が達成している輝度の値は異なる。図25のタイムチャートにおいて、液晶パネル231の上部の画素は、期待値と等しい「75」の輝度を達成しているのに対し、液晶パネル231の下部の画素は、期待値よりも大きい「83」の輝度を達成している。この結果、期待値が考慮されない処理と比べてクロストークの改善は見られるものの、液晶パネル231の下部(走査動作のタイミングが遅い領域)において、クロストークが視聴者に、尚、知覚されやすくなる。
【0215】
図26は、第3実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる第2補正部が格納する第2補正テーブルの概念図である。第2補正部を除く他の要素は、第1実施形態或いは第2実施形態に関連して説明された要素と同様である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。図15及び図26を用いて、第2補正部が格納する第2補正テーブルが説明される。
【0216】
第2補正部218Bが格納する第2補正テーブル223Bは、第1実施形態と同様の期待値テーブル224及び決定テーブル225に加えて、垂直位置テーブル253を含む。期待値テーブル224を用いた期待値を決定するための工程は、第1実施形態の原理に従う。
【0217】
垂直位置テーブル253は、画素の垂直位置に応じて定められた垂直補正のデータを含む。第2補正部218Bは、垂直位置テーブル253Bを用いて、等価信号SRn(1d)及び/又は等価信号SLn(1d)から読み取った画素の垂直位置に応じて垂直補正値を決定する。第2補正部218Bは、垂直位置テーブル253から得られた垂直補正値を用いて、期待値テーブル224から得られた期待値を補正する。第2補正部218Bは、補正された期待値とフレーム画像信号SRn(2)に基づいて、決定テーブル225を用いて、第2補正値を決定する。この結果、比較的遅く第2走査動作が開始されるゲート線L2t上の画素ほど、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度から離れた値の駆動輝度に設定される。本実施形態において、垂直位置テーブル253は、画素の位置に応じて期待値を調整するための位置テーブルとして例示される。
【0218】
図27は、画素の輝度変化を表す概略的なタイムチャートである。図27のセクション(A)乃至(E)は、図25のセクション(A)乃至(E)と同様である。図25乃至図26を用いて、下部の画素のクロストークの改善が説明される。
【0219】
第2補正部218Bは、画素の垂直位置に応じて第2補正値の大きさを調整するので、比較的早期に第2走査動作が開始されるゲート線L上の画素は、第2走査期間において、「50」の駆動輝度に向けて、輝度を低減させる一方で、遅れて第2走査動作が開始されるゲート線L2t上の画素は、「30」の駆動輝度に向けて、輝度を低減させる。したがって、第2走査動作の開始タイミングが遅いほど、画素の輝度は急激に変動することとなる。この結果、第2走査動作の開始タイミングが遅い領域のクロストークが適切に改善される。
【0220】
(第4実施形態)
図28は、第4実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる第2補正部が格納する第2補正テーブルの概念図である。第2補正部を除く他の要素は、第1実施形態或いは第2実施形態に関連して説明された要素と同様である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。図15及び図28を用いて、第2補正部が格納する第2補正テーブルが説明される。
【0221】
第2補正部218Cが格納する第2補正テーブル223Cは、第1実施形態と同様の期待値テーブル224及び決定テーブル225に加えて、垂直位置テーブル253Cを含む。期待値テーブル224及び決定テーブル225を用いた第2補正値の決定までの処理工程は、第1実施形態の原理に従う。
【0222】
垂直位置テーブル253Cは、画素の垂直位置に応じて定められた増幅係数のデータを含む。第2補正部218Cは、垂直位置テーブル253Cを用いて、Rフレーム画像信号SRn(2)から読み取った画素の垂直位置に応じて第2補正値を増幅する。例えば、第2補正部218Cは、比較的早期に第2走査動作が開始されるゲート線L上の画素に対しては、「1」の係数を第2補正値に乗算する。また、第2補正部218Cは、比較的遅く第2走査動作が開始されるゲート線L2t上の画素に対しては、「1」よりも大きな係数を第2補正値に乗算する。この結果、比較的遅く第2走査動作が開始されるゲート線L2t上の画素ほど、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度から離れた値の駆動輝度に設定される。かくして、第3実施形態と同様に、第2走査動作の開始タイミングが遅い領域のクロストークが適切に改善される。
【0223】
第3実施形態及び第4実施形態に関連して説明された垂直位置に基づく制御は、他の手法を用いても達成することができる。例えば、第2補正部は、垂直位置に応じて異なる期待値テーブルを備えてもよい。
【0224】
(第5実施形態)
第2走査動作が開始されるときにおいて画素が達成している輝度の値は、垂直位置だけでなく、第1走査動作が開始されるときの画素が達成している輝度の値(即ち、先行するフレーム画像の表示において、画素が達成している輝度の値)にも影響を受ける。本実施形態において、第1走査動作が開始されるときの画素が達成している輝度の値が考慮された制御が説明される。
【0225】
図29は、第5実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部の概略的なブロック図である。映像信号処理部を除く他の要素は、第1実施形態に関連して説明された要素と同様である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。図29を用いて、第5実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部が説明される。
【0226】
第5実施形態に係る映像視聴システム及び表示装置に用いられる映像信号処理部210Dは、第1実施形態と同様の第1等価部211、第1選択部212、第2等価部214、第2遅延部215、第3遅延部216、第1補正部217、第2選択部219及び出力部221に加えて、第1遅延部213D及び第2補正部218Dを備える。第1実施形態と異なり、第1遅延部213Dは、第2等価部214だけでなく第2補正部218Dにも先行フレームの画像信号を出力する。また、第2補正部218Dは、第1遅延部213Dからの出力信号を用いて、期待値を決定する。尚、第2補正部218Dは、第3実施形態及び第4実施形態に関連して説明された原理に基づき、画素の垂直位置に応じて、期待値を調整する。
【0227】
映像信号処理部210Dによる第1走査動作の制御は、第1実施形態に関連して説明された制御と同様である。以下に、映像信号処理部210Dによる第2走査動作の制御が説明される。
【0228】
図30は、N番目のRフレーム画像を表示するための第2走査期間に出力される信号が含む輝度のデータを示す。図1、図29及び図30を用いて、第2走査期間中の輝度のデータの変化が説明される。図30中の表は、データ線Mに沿って整列した画素の輝度を表す。
【0229】
第1実施形態と同様に、N番目のRフレーム画像信号SRn(2)は、第1選択部212及び第2補正部218Dに入力される。第1選択部212は、第2走査期間に、Rフレーム画像信号SRn(2)を出力部221へ出力する。Rフレーム画像信号SRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して、「80」の輝度を規定し、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して、「60」の輝度を規定している。
【0230】
上述の如く、第1遅延部213Dは、第2走査期間において、N番目のLフレーム画像信号SLn(2)を第2補正部218Dに出力する。Lフレーム画像信号SLn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して、「40」の輝度を規定し、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して、「0」の輝度を規定している。
【0231】
第2遅延部215は、第1実施形態と同様に、Rフレーム画像信号SRn(2)に基づいて生成された等価信号SRn(1d)を第2補正部218Dに出力する。等価信号SRn(1d)は、データ線M上の画素全てに対して、「80」の輝度を規定している。
【0232】
第3遅延部216は、第1実施形態と同様に、Lフレーム画像信号SLn(2)に基づいて生成された等価信号SLn(1d)を第2補正部218Dに出力する。等価信号SLn(1d)は、データ線M上の画素全てに対して、「40」の輝度を規定している。
【0233】
第2補正部218Dは、第1遅延部213Dから出力されたLフレーム画像信号SLn(2)が規定する輝度を参照する。第1実施形態とは異なり、Lフレーム画像信号SLn(2)が偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して規定する輝度は、Lフレーム画像信号SLn(2)が奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して規定する輝度を大きく下回る。したがって、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素が第2走査動作開始時において達成している輝度は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素が第2走査動作開始時において達成している輝度よりも低いことが予想される。したがって、第2補正部218Dは、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対して決定された期待値よりも小さな期待値を偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して決定する。
【0234】
また、第2補正部218Dは、第3実施形態及び第4実施形態に関連して説明された画素の位置に応じた調整を期待値に対して行う。したがって、第2補正部218Dは、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対して「50」の期待値を設定し、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素に対して「65」の期待値を設定する。尚、本実施形態において、説明の明瞭化のため、第2補正部218Dは、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素全てに対して、「75」の期待値を設定している。第2補正部218Dは、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素に対しても、第3実施形態及び第4実施形態に関連して説明された画素の位置に応じた調整を行ってもよい。
【0235】
上述の如く、Rフレーム画像信号SRn(2)は、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して、「60」の輝度を規定している。また、第2補正部218Dは、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対して「50」の期待値を設定している。したがって、第2補正部218Dは、「60」の輝度と「50」の期待値とを比較し、「+5」の第2補正値を、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対して決定する。
【0236】
上述の如く、第2補正部218Dは、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素に対して「65」の期待値を設定している。したがって、第2補正部218Dは、「60」の輝度と「65」の期待値とを比較し、「−5」の第2補正値を、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対して決定する。
【0237】
第2補正部218Dは、第1実施形態と同様に、第2補正値の情報を含む第2補正信号CRn(2)を第2選択部219へ出力する。出力部221は、第1実施形態と同様に、第2画像信号IRn(2)を生成並びに出力する。生成された第2画像信号IRn(2)は、奇数番号のゲート線L,L,・・・,L2t−1(tは自然数)上の画素全てに対して、「80」の駆動輝度を規定している。また、第2画像信号IRn(2)は、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対して「65」の駆動輝度を規定している。更に、第2画像信号IRn(2)は、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素に対して「55」の駆動輝度を規定している。
【0238】
図31は、図30に関連して説明された信号処理に基づく画素の輝度の変化を表す概略的なタイムチャートである。図21、図29乃至図31を用いて、画素の輝度変化が説明される。
【0239】
図31のセクション(A)乃至セクション(D)は、図21のセクション(A)乃至セクション(D)と同様である。図31のセクション(E)は、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素の輝度の変化を表す。図31のセクション(F)は、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素の輝度の変化を表す。
【0240】
先行するLフレーム画像信号SLn(2)が偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素に対して規定する輝度は、「0」であるので、N番目の右眼期間の第1走査動作において、偶数番号のゲート線L,L,・・・,L2t(tは自然数)上の画素の輝度は、「0」から変化を開始する。第1実施形態と同様に、データ線M上の画素全てに対して、「85」の駆動輝度が設定されるので、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素及び液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素に対応する液晶は、「85」の駆動輝度に向けて駆動される。この結果、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素は、第2走査動作が開始されるとき、「50」の駆動輝度を達成している。一方、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素に対応する液晶は、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対応する液晶よりも長い期間に亘って「85」の駆動輝度に向けて駆動されるので、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素は、第2走査動作が開始されるとき、「65」の駆動輝度を達成している。
【0241】
第2画像信号IRn(2)は、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素に対して「65」の駆動輝度を規定しているので、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素は、第2走査期間において、輝度を増大させる。この結果、液晶パネル231の上部に位置する偶数番号のゲート線L上の画素は、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度「60」に近づく。
【0242】
第2画像信号IRn(2)は、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素に対して「55」の駆動輝度を規定しているので、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素は、第2走査期間において、輝度を減少させる。この結果、液晶パネル231の下部に位置する偶数番号のゲート線L2t上の画素は、Rフレーム画像信号SRn(2)が規定する目標輝度「60」に近づく。
【0243】
かくして、第5実施形態において、右眼期間の開始時の画素の輝度及び画素の位置が考慮された制御が達成される。したがって、フレーム画像の状態及び画素の位置にかかわらず、安定して、クロストークの低減が図られる。
【0244】
上述の様々な実施形態において、先行するフレーム画像の輝度レベルや画素の位置といった様々な要素に基づき、液晶を駆動するための駆動輝度が設定される。駆動輝度の設定に用いられた様々な要素に加えて、他の要素が考慮されてもよい。例えば、液晶パネルの温度分布及び/又は液晶の応答速度や画素の輝度に影響する他の要素が、駆動輝度を設定するために用いられてもよい。
【0245】
上述の一連の実施形態において、Lフレーム画像とRフレーム画像とが交互に表示される立体映像のクロストークが説明されている。2次元的に映像を知覚させるための複数のフレーム画像に対しても、上述の一連の実施形態に関連して説明された原理は適用される。先行するフレーム画像と後続のフレーム画像との輝度差に起因する2次元映像上でのクロストークは、上述の一連の実施形態に関連して説明された原理によって、好適に低減される。
【産業上の利用可能性】
【0246】
本発明は、クロストークの低減が可能な表示装置及び映像視聴システムとして好適である。
【符号の説明】
【0247】
100・・・・・・・・・・・・・・・・・映像視聴システム
200・・・・・・・・・・・・・・・・・表示装置
210,210A,210D・・・・・・・映像信号処理部
220・・・・・・・・・・・・・・・・・液晶駆動部
222・・・・・・・・・・・・・・・・・第1補正テーブル
223,223B,223C・・・・・・・第2補正テーブル
224・・・・・・・・・・・・・・・・・期待値テーブル
225・・・・・・・・・・・・・・・・・決定テーブル
231・・・・・・・・・・・・・・・・・液晶パネル
253・・・・・・・・・・・・・・・・・垂直位置テーブル
300・・・・・・・・・・・・・・・・・眼鏡装置
311・・・・・・・・・・・・・・・・・左眼シャッタ
312・・・・・・・・・・・・・・・・・右眼シャッタ
P1乃至P8・・・・・・・・・・・・・・画素
SLn(2)・・・・・・・・・・・・・・Lフレーム画像信号
IRn(1)・・・・・・・・・・・・・・第1画像信号
IRn(2)・・・・・・・・・・・・・・第2画像信号
SRn(1),SLn(1)・・・・・・・等価信号
SRn(1d),SLn(1d)・・・・・等価信号
SRn(2)・・・・・・・・・・・・・・Rフレーム画像信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム画像が表示される表示面を含む液晶パネルと、
前記フレーム画像を表示するためのフレーム画像信号を、該フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、該第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する変換部と、
前記第1画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行した後、前記第2画像信号を前記表示面全体の前記画素に亘って第2走査動作を実行し、前記液晶パネルを駆動する液晶駆動部と、を備え、
該液晶駆動部は、前記表示面の前記画素に対して前記第1走査動作が実行され、前記第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と前記フレーム画像信号によって規定される前記画素に対する目標輝度とに基づき設定される駆動輝度に向けて前記第2走査動作を実行することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フレーム画像は、左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを、含み、
前記液晶パネルは、前記左眼用フレーム画像と前記右眼用フレーム画像とを、時間的に交互に切り換えて、立体的に知覚される画像を表示面に表示することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示面は、副走査方向に整列した複数の画素を含む画素グループを含み、
前記変換部は、前記フレーム画像信号に基づき、前記画素グループに共通する等価輝度を規定する等価信号を生成し、
液晶駆動部は、前記等価輝度に応じて、前記複数の画素に前記第1走査動作を同時に実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記等価信号は、前記フレーム画像信号が前記画素グループ内の前記複数の画素それぞれに対して規定する輝度が平均された輝度を、前記画素グループ内の前記複数の画素それぞれに規定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記等価信号は、前記画素グループ内の前記複数の画素から選択された画素に対して前記フレーム画像信号が規定する輝度と等しい輝度を、前記画素グループ内の前記複数の画素それぞれに規定することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1画像信号を前記表示面全体の前記画素に亘って第1走査動作を実行する第1走査期間は、前記第2画像信号を前記表示面全体の前記画素に亘って第2走査動作を実行する第2走査期間よりも短いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記変換部は、表示対象のフレーム画像に対応する前記等価信号が規定する前記画素の現行輝度と、前記表示対象のフレーム画像の直前に表示された先行のフレーム画像に対応する前記等価信号が規定する前記画素の先行輝度と、に基づき、前記達成輝度に対する前記期待値を設定することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記変換部は、前記画素の副走査方向の位置に更に基づき、前記達成輝度に対する前記期待値を設定することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記変換部は、前記現行輝度と前記先行輝度とに基づき前記駆動輝度を決定するための第1データを含む第1テーブルを用いて、前記駆動輝度を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記変換部は、前記達成輝度に対する前記期待値と前記目標輝度との差が大きいほど、前記目標輝度との差が大きくなる前記駆動輝度を設定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記変換部は、前記画素の副走査方向の位置に更に基づき、前記駆動輝度を設定することを特徴とする請求項1又は10記載の表示装置。
【請求項12】
前記変換部は、表示対象のフレーム画像の直前に表示された先行のフレーム画像に対応する前記フレーム画像信号によって規定される前記画素に対する目標輝度に更に基づき、前記駆動輝度を設定することを特徴とする請求項1、10、11いずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記変換部は、前記達成輝度に対する前記期待値と前記目標輝度とに基づき前記駆動輝度を決定するための第2データを含む第2テーブルを用いて、前記駆動輝度を設定することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第2テーブルは、前記達成輝度に対する前記期待値に関する期待値データを格納する期待値テーブルと、前記期待値データと前記目標輝度に基づき前記駆動輝度を決定するための決定テーブルと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
左眼で視聴されるように作成された左眼用フレーム画像と右眼で視聴されるように作成された右眼用フレーム画像とを表示し、立体的に知覚される画像を提供する表示装置と、
前記左眼用フレーム画像が視聴されるように前記左眼へ到達する光量を調整する左眼フィルタと、前記右眼用フレーム画像が視聴されるように前記右眼へ到達する光量を調整する右眼フィルタとを含む眼鏡装置と、を備え、
前記表示装置は、
前記左眼用フレーム画像と前記右眼用フレーム画像とを、時間的に交互に切り換えて表示面に表示する液晶パネルと、
前記左眼用フレーム画像又は前記右眼用フレーム画像を表示するためのフレーム画像信号を、該フレーム画像信号よりも低い解像度の画像を表す第1画像信号と、該第1画像信号よりも高い解像度の画像を表す第2画像信号と、に変換する変換部と、
前記第1画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第1走査動作を実行した後、前記第2画像信号を前記表示面全体の画素に亘って第2走査動作を実行し、前記液晶パネルを駆動する液晶駆動部と、を備え、
該液晶駆動部は、前記表示面の前記画素に対して前記第1走査動作が実行され、前記第2走査動作が開始するまでに達成する達成輝度に対する期待値と前記フレーム画像信号によって規定される前記画素に対する目標輝度とに基づき設定される駆動輝度に向けて前記第2走査動作を実行することを特徴とする映像視聴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−137628(P2012−137628A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290202(P2010−290202)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】