説明

表示装置及び電子機器

【課題】両面表示を実現可能な表示装置において、装置の薄型化を図ることができるとともに、バックライトなどの照明手段を表裏の表示手段に共用した場合に、それぞれの表示手段における表示品位の低下を抑制することのできる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置100は、前面に表示面を備えた第1表示手段110と、背面に表示面を備えた第2表示手段120と、第1表示手段と第2表示手段の間に配置され、第1表示手段及び第2表示手段の双方に光を照射する共通の照明手段130とを具備し、照明手段130は、第1表示手段に対向する第1光出射面132bと、第2表示手段に対向する第2光出射面132cとを備えた導光部材132を有し、導光部材の第2光出射面と第2表示手段との間に、半透過反射手段141が配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及び電子機器に係り、特に、携帯型電子機器に搭載する表示装置として好適な構成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯型電子機器に搭載される表示装置としては、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置などの電気光学装置が用いられる。特に、携帯電話には、その小さな筺体内に小型の液晶表示装置が搭載されている。近年、薄型の表示部分の表裏にそれぞれ小型の液晶表示装置が搭載された両面表示方式の携帯電話が市販されている。この種の携帯電話においては、表示部分の筺体内に一対の液晶表示装置が背中合わせになるように収容され、表裏いずれからも表示を視認できるように構成されている。
【0003】
液晶表示装置は、多くの場合、液晶パネルの背後に照明装置としてのバックライトが配置された構造を有する。このようなバックライトを持たない反射型の液晶表示装置もあるが、暗所や夜間には表示を視認することができなくなるので用途は限られる。バックライトを備えた液晶表示装置は厚くなる欠点を有するが、近年における小型の液晶表示装置の高精細化やカラー表示化に伴い、ほとんどの携帯型電子機器において用いられている。近年、バックライトを備えて透過型表示を行うことができるとともに、反射型表示も可能な半透過反射型の液晶表示装置も出現している。
【0004】
上記の携帯電話のような携帯型電子機器においては年々小型化・薄型化が進行してきているため、これに伴って液晶表示装置の薄型化が強く要求されるようになってきている。
このため、液晶パネルの薄型化やバックライトの薄型化が進められている(例えば、以下の特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−75093号公報(図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の両面表示方式の携帯電話では、その筺体内に一対の液晶表示装置を背中合わせに収容しなければならないので薄型化が困難であり、個々の液晶表示装置をそれぞれ薄型化しても、通常の片面表示方式の携帯電話に比べると、厚く、かつ、重くなってしまうという問題点がある。
【0007】
上記問題点を解決する一手法として、表裏の液晶表示装置のバックライトを共用化し、単一のバックライトによって表裏一対の液晶パネルを照明するという方法が考えられる。
ところが、一般に、両面表示方式の携帯電話では、表裏の液晶表示装置の表示面積が異なる場合が多いので、上記のようにバックライトを共用化した場合、大きなメインパネルの輝度分布が、背後にある小さなサブパネルへの照明作用によって影響を受け、メインパネルの表示画像中にサブパネルの陰が写り込み、表示品位が低下する恐れがある。
【0008】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、両面表示を実現可能な表示装置において、装置の薄型化を図ることができるとともに、バックライトなどの照明手段を表裏の表示手段に共用した場合に、それぞれの表示手段における表示品位の低下を抑制することのできる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の表示装置は、第1表示手段と、前記第1表示手段の観察側とは反対側から観察される第2表示手段と、前記第1表示手段と前記第2表示手段の間に配置され、前記第1表示手段及び前記第2表示手段の双方に光を照射する照明手段とを具備し、前記照明手段は、前記第1表示手段に対向する第1光出射面と、前記第2表示手段に対向する第2光出射面とを備えた導光部材を有し、前記導光部材の前記第2光出射面と前記第2表示手段との間に、入射した光の一部を反射するとともに、入射した光の一部を透過させるシート材が配置されてなり、前記シート材は、前記第1表示手段の表示領域と平面的に重なる範囲のうち、前記第2表示手段の表示領域と平面的に重なる重畳部分における光の透過率が、前記範囲のうち前記重畳部分以外の部分における光の透過率より高いことを特徴とする。
【0010】
本発明の表示装置は、第1表示手段と、前記第1表示手段の観察側とは反対側から観察される第2表示手段と、前記第1表示手段と前記第2表示手段の間に配置され、前記第1表示手段及び前記第2表示手段の双方に光を照射する照明手段とを具備し、前記照明手段は、前記第1表示手段に対向する第1光出射面と、前記第2表示手段に対向する第2光出射面とを備えた導光部材を有し、前記導光部材の前記第1光出射面と前記第1の表示手段との間に、光拡散手段が配置されてなり、前記導光部材の前記第2光出射面と前記第2表示手段との間に、入射した光の一部を反射するとともに、入射した光の一部を透過させるシート材が配置されてなり、前記シート材は、前記第2表示手段の表示領域と平面的に重なる重畳部分には設けられていないことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る表示装置は、前面に表示面を備えた第1表示手段と、背面に表示面を備えた第2表示手段と、前記第1表示手段と前記第2表示手段の間に配置され、前記第1表示手段及び前記第2表示手段の双方に光を照射する共通の照明手段とを具備し、前記照明手段は、前記第1表示手段に対向する第1光出射面と、前記第2表示手段に対向する第2光出射面とを備えた導光部材を有し、前記導光部材の前記第2光出射面と前記第2表示手段との間に、半透過反射手段が配置されている。
【0011】
この発明によれば、共通の照明手段が第1表示手段と第2表示手段とに共に光を照射するように構成されていることにより、照明手段を2つ設ける必要がなくなるため、その分、装置の薄型化や軽量化を図ることが可能になる。また、照明手段の導光部材の第2光出射面と前記第2表示手段との間に半透過反射手段が配置されていることにより、導光部材の第2光出射面から出射する光の一部が半透過反射手段を透過し、第2表示手段へ向けて照射されるので、第2表示手段を照明可能に構成しつつ、導光部材の第2光出射面から出射する光の残部を半透過反射手段によって反射させ、第1表示手段へ向けて照射することができる。したがって、第1表示手段の照明状態を優先させることが可能になり、第1表示手段の表示品位を向上させることができる。
【0012】
また、上記構成においては、第1光出射面と第1表示手段との間にも半透過反射手段を配置することができる。この場合には、第2表示手段においても、上記第1表示手段と同等の光学的効果を得ることができる。
【0013】
本発明において、前記第1表示手段の表示領域は、前記第2表示手段の表示領域及び該表示領域の外側の領域に対して平面的に重なるように構成されていることが好ましい。これによれば、第1表示手段の表示領域は、第2表示手段の表示領域だけでなく、その外側にも平面的に重なるように構成されているため、共通の照明手段によって第2表示手段に光が出射されることによって、第1表示手段の表示態様は、第2表示手段の表示領域が背後に存在していることによる光学的影響を受ける。このため、第1表示手段の表示面に第2表示手段の表示領域の影が写り込む場合がある。しかしながら、本発明においては、上記のように、導光部材の第2光出射面と第2表示手段との間に半透過反射手段が配置されていることにより、上記第2表示手段による光学的影響を低減させることができるため、第1表示手段の表示品位を向上させることができる。
【0014】
本発明の実施形態において、前記半透過反射手段が光拡散機能を有することが好ましい。これによれば、その光拡散機能によって照明手段の照明光の均一性を高めることができるので、第1表示手段及び第2表示手段の表示ムラをより低減できる。特に、半透過反射手段による反射光が拡散されるように構成されている場合には、導光部材内部の光均一性を高め、第1表示手段に対する照度分布を均一化することができるので、第1表示手段の表示ムラをさらに低減できる。
【0015】
本発明の実施形態において、前記半透過反射手段は、前記第1表示手段の表示領域と平面的に重なる範囲のうち、前記第2表示手段の表示領域と平面的に重なる重畳部分における光学特性と、前記範囲のうち前記重畳部分以外の部分における光学特性とが異なることが好ましい。これによれば、半透過反射手段は、上記範囲のうちの上記重畳部分における光学特性と、それ以外の部分における光学特性とが異なることによって、上記重畳部分とそれ以外の部分とで第1表示手段の表示領域への半透過反射手段による光学作用を異なるものとすることが可能になる。したがって、第1表示手段の表示領域内における重畳部分とそれ以外の部分との間の光学的相違(表示明度の差など)を低減させたり、或いは、第2表示手段の表示品位を優先させたりすることが可能になる。
【0016】
すなわち、上記半透過反射手段が上記範囲全てに亘り配置されている場合において、上記範囲のうち上記重畳部分の背後には第2表示手段が配置され、上記重畳部分以外の部分の背後には他の背景があるものとすれば、半透過反射手段の光学特性が上記範囲全てに亘って均一に構成されているときには、第2表示手段の反射率と他の背景の反射率との間に差が存在すれば、第1表示手段の表示領域に、第2表示手段の黒影又は白影が写り込むことになる。したがって、このように第2表示手段と上記他の背景との間に反射率の差が存在する場合には、上記のように重畳部分とそれ以外の部分とで半透過反射手段の光学特性を異なるものとすることによって上記の黒影又は白影を目立たなくさせることが可能である。ここで、半透過反射手段の光学特性とは、光反射率、光透過率、光吸収率、光拡散度合など、第1表示手段及び第2表示手段の表示態様に影響を及ぼし得る光学的特性を言う。
【0017】
本発明の実施形態において、前記半透過反射手段は、実質的に光を透過させることの可能な厚さを有する反射性素材で構成された薄膜であることが好ましい。これによれば、反射性素材の薄膜の厚さにより光透過性を与えるようにしていることにより、パターニングなどの工程が不要となり、容易に製造することができる。反射性素材としては金属薄膜が挙げられる。特に、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などが望ましい。
【0018】
本発明の実施形態において、前記半透過反射手段は、実質的に光を透過させる微細な開口が複数分散配置されてなる反射性素材で構成された薄膜であることが好ましい。これによれば、反射性素材の薄膜に微細な開口を分散させて配置することによって光透過性を与えているので、開口の開口率(大きさや密度)によって光透過率を精密に制御することができる。
【0019】
本発明の実施形態において、前記半透過反射手段は、光透過性素材で構成された基材と、該基材中に、前記基材とは屈折率の異なる光透過性素材で構成された微粒子を分散させてなる光拡散層により構成される場合がある。これによれば、基材と微粒子との屈折率の差や微粒子の大きさや密度によって光透過性及び光反射性を調整することができるとともに、光拡散作用によって表示ムラを低減できる。特に、この構成では透過率を容易に高めることができる。
【0020】
本発明の実施形態において、前記半透過反射手段は、光透過性素材で構成された基材と、該基材中に反射性素材で構成された微粒子を分散させてなる光拡散層により構成される場合がある。これによれば、基材中に分散された反射性素材で構成された微粒子によって光が拡散されるため、微粒子の大きさや密度によって光透過性及び光反射性を調整することができるとともに、光拡散作用によって表示ムラを低減できる。特に、この構成では反射率を容易に高めることができる。
【0021】
本発明の実施形態において、前記導光部材の前記第1光出射面と前記第1の表示手段との間に、光拡散手段が配置されていることが好ましい。これによれば、第1光出射面と第1の表示手段との間に光拡散手段が配置されていることにより、照明手段の照度分布の均一性を高めることができるので、第1表示手段の表示ムラをさらに低減できる。
【0022】
なお、前記光拡散手段は、前記第1表示手段の表示領域と平面的に重なる範囲のうち、前記第2表示手段の表示領域と平面的に重なる重畳部分において光学特性と、前記範囲のうち前記重畳部分以外の部分における光学特性とが異なるように構成されていてもよい。
これによって、第1表示手段の表示ムラをさらに低減できる場合がある。
【0023】
前記光拡散手段は、光透過性素材で構成された基材と、該基材中に、前記基材とは屈折率の異なる光透過性素材で構成された微粒子を分散させてなる光拡散層により構成される場合がある。また、前記光拡散手段は、光透過性素材で構成された基材と、該基材中に反射性素材で構成された微粒子を分散させてなる光拡散層により構成される場合もある。さらに、前記光拡散手段は、光透過性素材の表面に微細な凹凸表面構造を設けてなる光拡散層で構成される場合もある。
【0024】
次に、本発明の電子機器は、上記いずれか1項に記載の表示装置と、該表示装置を制御する制御手段とを有することが好ましい。電子機器としては、特に携帯型電子機器であることが、容易に筺体の薄型化が可能になる点で効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、添付図面を参照して本発明に係る表示装置及び電子機器の実施形態について詳細に説明する。
【0026】
[第1実施形態]
最初に、図1を参照して、本発明に係る表示装置の第1実施形態である液晶表示装置100について説明する。この液晶表示装置100は、第1表示手段110と、第2表示手段120と、照明手段130とを有する。
【0027】
第1表示手段110は液晶パネルであり、ガラスやプラスチック等で構成される基板111,112がシール材113を介して貼り合わされ、その内部に液晶114が配置されたものである。液晶114は、基板111,112の内面上にそれぞれ形成された電極によって所定の電界を受けるように構成されている。基板112の外面上(すなわち前面側或いは第1表示手段の観察側)には偏光板115が配置され、基板111の外面上(すなわち背面側)にも偏光板116が配置されている。
【0028】
第2表示手段120もまた液晶パネルであり、ガラスやプラスチック等で構成される基板121,122がシール材123を介して貼り合わされ、その内部に液晶124が配置されたものである。液晶124は、基板121,122の内面上にそれぞれ形成された電極によって所定の電界を受けるように構成されている。基板122の外面上(すなわち背面側或いは第2表示手段の観察側)には偏光板125が配置され、基板121の外面上(すなわち前面側)にも偏光板126が配置されている。
【0029】
第1表示手段110と第2表示手段120との間には照明手段130が配置されている。この照明手段130はバックライトを構成するものである。照明手段130は、冷陰極管やLED(発光ダイオード)などで構成される光源131と、この光源131の光を受ける導光板132とを有する。導光板132は、アクリル系樹脂などの透明素材によって構成されている。この照明手段130においては、導光板132が表示装置の光軸方向と直交する姿勢で配置された板状体であり、光源131が導光板132の側方に配置されている。導光板132は、光源131に対して側端面である光入射面132aを対向させ、前面(図中上面)である第1光出射面132bを第1表示手段110に向け、背面(図中下面)である第2光出射面132cを第2表示手段120に向けた姿勢で設置されている。
【0030】
ここで、導光板132は、光源131から受けた光を内部において伝播させながら、その第1光出射面132bから第1表示手段110に向けて照明光を出射させるとともに、その第2光出射面132cから第2表示手段120に向けて照明光を出射させるように構成されている。導光板132内では第1光出射面132b及び第2光出射面132cに対して臨界角より小さい入射角で入射する光は全反射され、その臨界角より大きい入射角で入射する光は第1光出射面132b及び第2光出射面132cから外部へ出射される。特に、図示を省略してあるが、導光板132の第1光出射面132b若しくは第2光出射面132cに、或いは、第1光出射面132bと第2光出射面132cの双方に、光源131から導入された光を第1表示手段110及び第2表示手段120の光軸方向及びその近傍に出射させるための光偏向手段として、表面凹凸形状や散乱層を形成することができる。
【0031】
上記導光板132の第2光出射面132cと第2表示手段120との間には、半透過反射手段141が配置されている。この半透過反射手段141は、照明手段の照明光のうちの一部を前面側に反射させるとともに、上記照明光の残部のうち少なくとも一部を背面側に透過させることができるように構成されたものであればよい。たとえば、薄い金属膜、或いは、分散配置された微細な多数の開口を形成した金属膜などで構成できる。また、半透過反射手段141は、導光板132の背面に被着された状態で設けられていてもよく、或いは、導光板132とは別体のシート材や板状材で構成されていてもよい。なお、本発明の半透過反射手段は、照明手段130の第2光出射面132cと第2表示手段120との間に配置されていればよく、それ以外の限定事項は課せられないものであるが、本実施形態の半透過反射手段141は、基本的に、導光板132の第2光出射面132cの全体を覆うとともに、平面的に均一な光学特性を有するものとして構成されていることを前提として以下説明する。
【0032】
図2には、上記半透過反射手段141の構成例を示す。図2(a)に示す例は、ガラスやプラスチックフィルム等で構成される透明基板141Aの表面上に、アルミニウム等の金属などの反射性素材で構成された薄膜である反射性薄膜141Bを形成したものである。反射性素材としては、白色樹脂、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウムや銀等の金属などを挙げることができる。ここで、透明基板141Aの代わりに、上記導光板132を用い、その第2光出射面132c上に反射性薄膜141Bを形成してもよい。この点は、以下に示す図2(b)乃至図2(e)に示す各構成についても同様である。
【0033】
この反射性薄膜141Bの光学特性としては、たとえば、アルミニウムや銀等の金属を10〜50nm程度の膜厚を有するように形成することによって、可視光領域における平均透過率を30〜70%程度とすることができる。上記薄膜は、蒸着法、スパッタリング法、レーザアブレーション法などによって形成できる。この構成例における反射率及び透過率は膜厚によって調整できる。
【0034】
また、半透過反射手段としては、上記のような反射性素材で構成する場合の他に、公知の誘電体多層膜によって形成することが可能である。
【0035】
図2(b)に示す構成例は、透明基板141Aの表面上に、アルミニウム等の金属などの反射性素材で構成された薄膜である反射性薄膜141Cを形成したものである。反射性素材としては、白色樹脂、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウムや銀等の金属などを挙げることができる。この反射性薄膜141Cは、全体として可視光領域における平均反射率が90%程度、或いはそれ以上となるように構成されているとともに、微小開口141Caが多数形成されたものである。微小開口141Caは、反射性薄膜141Cの膜面全体に亘り分散配置されている。微小開口141Caの換算開口径(開口面積が同一の円形状の開口における開口径)は1〜100μm程度であることが好ましく、5〜30μm程度であることが望ましい。特に、第1表示手段及び第2表示手段の画素寸法よりも小さく、かつ、画素ピッチよりも小さい間隔で形成されていることが望ましい。この構成例における反射率及び透過率は、上記微小開口141Caの開口率によって調整できる。この開口率は、微小開口141Caの換算開口径や形成密度によって決定される。
【0036】
図2(c)に示す構成例は、透明基板141Aの表面上に、基本的に光透過性素材で構成された光拡散層141Dを備えたものである。この光拡散層141Dは、アクリル系樹脂等で構成される透明な基材141d1と、この基材141d1中に分散配置された微粒子141d2とを有する。基材141d1と、微粒子141d2とは屈折率が異なる素材で構成される。微粒子としては、たとえばシリカ粒子やアクリル系樹脂などが挙げられる。また、微粒子の粒径としては、1〜10μm、特に4〜5μm程度であることが望ましい。
【0037】
この構成例では、基材中に屈折率の異なる微粒子が分散配置されていることにより、光が散乱若しくは拡散されるため、巨視的に見ると、一部が反射され、残部が透過するといった光学特性が得られる。この構成例の反射率及び透過率は、基材と微粒子との屈折率差、微粒子の大きさや分布密度などによって調整できる。
【0038】
図2(d)に示す構成例は、透明基板141Aの表面上に、基本的に光透過性素材で構成された光拡散層141Eを備えたものである。この光拡散層141Eは、アクリル系樹脂等で構成される透明な基材141e1と、この基材141e1中に分散配置された光反射性の微粒子141e2とを有する。微粒子141e2は反射性素材で構成される。反射性素材としては、たとえば、白色樹脂、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウムや銀などの金属などが上げられる。微粒子141e1の粒径としては、1〜10μm、特に2〜3μm程度であることが望ましい。
【0039】
この構成例では、基材中に反射性素材で構成される微粒子が分散配置されていることにより、光が散乱若しくは拡散されるため、巨視的に見ると、一部が反射され、残部が透過するといった光学特性が得られる。この構成例の反射率及び透過率は、微粒子の反射率、微粒子の大きさや密度などによって調整できる。
【0040】
図2(e)に示す構成例は、透明基板141Aの表面上に、上記図2(a)に示す反射性素材で構成されたものと同じ反射性薄膜141Bを形成し、この薄膜141B上にさらに光透過性素材(好ましくは透明材)で構成され、表面に微細な凹凸を有する散乱層141Fを形成したものである。散乱装141Fの表面凹凸は、たとえば、1〜10μm、好ましくは3〜4μm程度の周期で2〜3μm程度の深さに形成される。この表面凹凸は、フォトリソグラフィ法などによるパターニング技術により形成することができる。たとえば、透明な感光性樹脂を塗布した後に上記表面凹凸に対応する周期で開口を有するマスクパターンにより露光を行い、その後、現像することによって上記表面凹凸を形成することができる。ここで、現像後の上記透明樹脂の上にさらに別の透明樹脂を塗布したり、或いは、現像後の透明樹脂を加熱して軟化させたりするといった、滑らかな表面凹凸形状を形成するための工程を付加的に実施してもよい。
【0041】
この構成例によれば、上述と同様に反射性薄膜141Bの膜厚に応じた反射及び透過特性が得られるとともに、反射性薄膜141Bに入射する光および反射光が散乱層141Fによって散乱を受けることとなるので、光拡散機能をも有するものとなり、第1表示手段110及び第2表示手段120における輝度分布の均一性を向上させることが可能である。
【0042】
また、上記導光板132と第1表示手段110との間には、光拡散手段142が配置されている。この光拡散手段142は、導光板132から出射された光を適度に拡散させることにより、導光板132及びそれよりも背面側(図示下方)の構造に起因する表示ムラ(表示面内における明るさのばらつき)を低減するためのものである。光拡散手段142は、たとえば、アクリル系樹脂等の基材中にシリカ、アクリル系樹脂等で構成された屈折率の異なる微粒子(たとえば2〜3μm程度の粒径を有するもの)を分散させたもの、表面に微細な凹凸表面形状を設けたものなどを用いることができる。より具体的には、上記の図2(c)または図2(d)に示すものと同様の構造や、図2(e)に示すものから反射性薄膜141Bを除去された構造などを用いることができる。この光拡散手段142は、導光板132の前面に被着された状態で設けられていてもよく、或いは、導光板132とは別体のシート材や板状材で構成されていてもよい。
【0043】
また、上記導光板132と第2表示手段120との間(本実施形態の場合には半透過反射手段141と第2表示手段120との間)にも、光拡散手段145が配置されている。
この光拡散手段145は、上記光拡散手段142と同様に構成される。
【0044】
なお、本実施形態においては、第1表示手段110の表示領域に対して平面的に重なる範囲内において、第2表示手段120の表示領域にも平面的に重なる重畳部分と、上記範囲内であって上記重畳部分以外の部分とで光学的構造が異なるため、第1表示手段の表示面の均一性を高めるために、上記光拡散手段を、上記重畳部分とそれ以外の部分とでその拡散度合(たとえばヘイズ値)が異なるように構成することも可能である。
【0045】
本実施形態では、第1表示手段110及び第2表示手段120において、実質的に表示に寄与する光の割合を高めるために、集光手段(プリズムシート)143,144,146,147を照明手段130と第1表示手段110との間、及び、照明手段130と第2表示手段120との間、にそれぞれ配置してある。これらの集光手段には、光を屈折させるためのプリズム面が設けられ、このプリズム面によって光を表示装置の光軸方向(図示上下方向)及びその近傍に向けるように構成されている。より具体的には、上記プリズム面は、集光シートの表面にストライプ状に並列した複数の断面三角形状の凸条により形成される。集光手段143と144、並びに、集光手段146と147は、相互に上記凸条の延長方向がほぼ直交する姿勢となるように配置される。
【0046】
次に、以上説明した構成を有する本実施形態の作用効果について説明する。なお、以下の説明においては、説明を簡略化するために、液晶パネルである第1表示手段110及び第2表示手段120は共にTN型液晶モードで表示を行うように構成され、偏光板115は、図の紙面と平行な振動面を有する直線偏光A(第1偏光)を透過させ、図の紙面と直交する振動面を有する直線偏光B(第2偏光)を反射し、偏光板116は、上記直線偏光B(第3偏光)を透過させ、上記直線偏光A(第4偏光)を吸収するものとする。また、偏光板125は、上記直線偏光Aを透過させ、上記直線偏光Bを吸収し、偏光板126は、上記直線偏光Bを透過させ、上記直線偏光Aを吸収するものとする。すなわち、一般的には上記第1偏光乃至第4偏光の振動面の方位関係は任意であるが、以下の説明では、上記第1偏光と第4偏光とは同じ偏光状態を示し、第2偏光と第3偏光とは同じ偏光状態を示す。
【0047】
光源131から放出された光は導光板132に導入され、導光板132の内部を伝播しながら、少しずつ前面側及び背面側に出射される。まず、第1表示手段110側に出射した照明光は、光拡散手段142を通過して偏光板116により直線偏光Bとなり、集光手段143,144を経て液晶114に入射する。ここで、液晶114がOFF状態のときには、液晶114を通過すると、その旋光性により直線偏光Aになって偏光板115を通過して透過光T1として前面側に出射される。液晶114がON状態のときには、液晶114を通過しても直線偏光Bのままであるので、偏光板115により吸収される。
【0048】
一方、第1表示手段110に入射する外光は、偏光板115を透過して直線偏光Aとなり、液晶114に入射する。ここで、液晶114がOFF状態のときには、直線偏光Bとなり、偏光板116をも透過して導光板132内に進入し、半透過反射手段141によって一部が反射されて偏光板116を経て再び液晶114を通過して直線偏光Aになり、偏光板115を透過して反射光RD1として出射される。また、液晶114がON状態のときには、外光のうち偏光板115を透過した直線偏光Aは、液晶114を通過しても直線偏光Aのままであるので、偏光板116によって吸収される。
【0049】
なお、上記集光手段143,144が配置されている場合には、外光はこれらの集光手段に入射したときに散乱されるので、反射光RD1を得ることは実質的にできなくなる。
したがって、上記反射光RD1を有効に利用したい場合には、上記集光手段を配置しないことが好ましい。
【0050】
次に、照明手段130から第2表示手段120側に出射した照明光の一部は、半透過反射手段141を透過して光拡散手段145を通過し、偏光板126を通過することによって直線偏光Bとなり、液晶124を通過する。液晶124がOFF状態のときには、直線偏光Bは液晶124を通過して直線偏光Aとなり、偏光板125を透過して透過光T2として背面側に出射される。液晶124がON状態のときには、直線偏光Bは液晶124を通過してもそのままであり、偏光板125により吸収される。
【0051】
一方、第2表示手段120に入射する外光のうち、直線偏光Aは偏光板125を透過して液晶124に入射する。液晶124がOFF状態のときには、直線偏光Aは直線偏光Bとなり、偏光板126及び光拡散手段143を通過して半透過反射手段141において一部が反射され、他の一部が導光板132内に導入される。半透過反射手段141により反射された直線偏光Bはそのまま光拡散手段143及び偏光板126を通過し、液晶124を再度通過して直線偏光Aとなり、偏光板125を透過して反射光RD2として出射する。液晶124がON状態のときには、上記直線偏光Aは液晶124を通過しても直線偏光Aのままであるため、偏光板126によって吸収される。
【0052】
なお、上記集光手段146,147が配置されている場合には、外光はこれらの集光手段に入射したときに散乱されるので、反射光RD2を得ることは実質的にできなくなる。
したがって、上記反射光RD2を有効に利用したい場合には、上記集光手段を配置しないことが好ましい。
【0053】
上記のように、本実施形態では、第1表示手段110においては、透過光T1及び反射光RD1によって表示が行われる。また、第2表示手段120においては、上記透過光T2及び反射光RD2によって表示が行われる。上記の反射光RD1,反射光RD2が存在することにより、野外などの明るい場所にて視認した場合や照明手段130の照明光の光量を削減した場合における、表示の視認性の低下を抑制することが可能になる。
【0054】
本実施形態では、照明手段130が第1表示手段110及び第2表示手段120の双方に光を照射するように構成されているため、特に第1表示手段110と第2表示手段120の間に配置された導光板132が共通に用いられることとなることにより、表示装置100全体の薄型化及び軽量化を図ることが可能になっている。また、半透過反射手段141が設けられていることによって、導光板132内の光を表裏の第1表示手段110及び第2表示手段120の双方に振り分けることが可能になるとともに、導光板132から表裏両側に照射される照明光の均一性をそれぞれ向上させることができ、さらに、第1表示手段110及び第2表示手段120に入射する外光を反射させて表示光の一部として利用することも可能になる。
【0055】
特に、半透過反射手段141の存在により、照明手段130から第1表示手段110に対する照度分布が、第2表示手段120の存在による光学的影響を受けにくくなる。このため、第1表示手段110の表示領域が図示のように第2表示手段120の表示領域よりも大きく設定されている場合でも、第1表示手段110の表示面に第2表示手段120の表示領域の影が写り込みにくくなり、第1表示手段110の表示品位が向上する。
【0056】
なお、上記のように、第1表示手段110の表示領域と第2表示手段の表示領域とが平面的に重なってはいるが、一方の表示領域が他方の表示領域に包含されるような関係にあったり、両表示領域の一部に重ならない部分が存在したりする場合には、一般に表示ムラが顕著になる。したがって、これらの場合には上記の構成は特に有効なものとなる。しかしながら、上記の場合に限らず、通常、共通の照明手段によって表裏両側の表示手段を照明しようとすると、照明手段の照度分布にムラが発生しやすくなる。したがって、上記とは異なり、両表示領域が相互にほぼ同じ大きさを有し平面的にほぼ合致する態様で相互に重なっている場合にあっても、それぞれの表示手段の輝度の均一性を確保する上で、本発明の構成は技術的に意味を有するものである。
【0057】
[第2実施形態]
次に、図3を参照して本発明に係る表示装置の第2実施形態について説明する。この第2実施形態の表示装置は、半透過反射手段が異なる点を除き、基本的に図1に示す第1実施形態と同様の構成を有するので、それらの図示及び説明は省略する。
【0058】
図3(a)に示すように、本実施形態の半透過反射手段241は、第1表示手段110の表示領域と平面的に重なる範囲AR1を全て覆うように、上記導光板132の第2光出射面132cと第2表示手段120との間に配置されている。
この半透過反射手段241は、第2表示手段120の表示領域と平面的に重なる重畳部分AR2が開口部241Aとなっていて、上記範囲AR1内における上記重畳部分AR2以外の部分AR3は可視光を反射させる反射部241Rとなっている。
【0059】
この構成においては、導光板132から第2表示手段120への光照射が開口部241Aを通して行われるため、第2表示手段120の表示の明るさを容易に得ることができる。また、第1表示手段110においては、部分AR3において実質的に全ての光が反射されることによって、全体としての表示に寄与する光量を増大させることができる。ただし、この場合には、重畳部分AR2において第1表示手段110に照射される照明光の強度が低下するので、光拡散手段142による光拡散作用や、導光板132の光出射分布などを調整して照明光の強度分布を緩和する構成を採用することが望ましい。
【0060】
図3(b)は、上記の実施形態の変形例を示すものである。この半透過反射手段241'は、上記重畳部分AR2においては反射面に微小開口241A'が多数分散配置されるように形成されていて、重畳部分AR2以外の部分は、開口を備えず光を反射させる反射部241Rとなっている。この変形例においては、第2表示手段120は重畳部分AR2に形成された微小開口241A'を通過する光によって照明される。ただし、この重畳部分AR2では、微小開口241A'以外の反射面によって光が第1表示手段110へ向けて反射されるため、第1表示手段110の表示面における重畳部分AR2とそれ以外の部分AR3との間の表示の明るさの差異を低減できる。なお、この場合においても、第1表示手段110における表示ムラをさらに低減するために、光拡散手段142による光拡散作用や、導光板132の光出射分布などを調整して、照明光の強度分布を緩和する構成を採用することが望ましい。
【0061】
[第3実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る第3実施形態について説明する。この実施形態の表示装置は、半透過反射手段が異なる点を除き、基本的に図1に示す第1実施形態と同様の構成を有するので、それらの図示及び説明は省略する。
【0062】
図4(a)に示すように、半透過反射手段341は、上記範囲AR1内において、重畳部分AR2は所定の反射率(たとえば30〜70%)と透過率(たとえば30〜70%)を有する半透過反射性素材341Aで構成され、重畳部分AR2以外の部分AR3は、重畳部分AR2とほぼ同様の反射率(たとえば30〜70%)を有するが、透過率は重畳部分AR2より低い反射性素材341Bで構成されている。このAR3における反射性素材341Bの透過率はほとんど0%であることが好ましい。このような素材は、特に誘電体多層膜によって容易に形成可能である。
【0063】
これによって、上記範囲AR1内の重畳部分AR2では、照明手段130による照明光を第1表示手段110へ向けて反射させることができると同時に、照明光を第2表示手段120へ向けて透過させることができるため、両表示手段を同時に照明することができる。また、重畳部分AR2以外の部分AR3では、透過率が低いことによって不要な光を背後に透過させることがなく、また、その反射率は重畳領域AR2とほぼ同様であるので、第1表示手段110の表示ムラを低減できる。
【0064】
この構成例では、第1表示手段110の表示ムラをなくそうとすれば、部分AR3において照明光の吸収に伴う光損失が発生するので、全体としての光の利用効率は低下する。
光の利用効率を高めるためには、相対的に部分AR3の反射率を重畳部分AR2よりも高めることにより当該部分における光損失を低減することが必要であり、これによって生じ得る第1表示手段110の表示ムラは、導光板232の構造や光拡散手段142などによって緩和させることが好ましい。
【0065】
図4(b)は、上記実施形態の変形例を示すものである。この半透過反射手段341'は全体が反射性素材で構成されているが、その重畳部分AR2には微小開口341A'が多数分散配置されている。また、重畳部分AR2以外の部分AR3では、微小開口341A'の代わりに黒色樹脂等で構成された微小吸収材341B'が分散配置されている。
【0066】
この半透過反射手段341'は、上記重畳部分AR2においては、微小開口341A'によって背後にある第2表示手段120にも光を照射できるように構成し、また、それ以外の部分AR3では、微小吸収材341B'を形成することによって重畳部分AR2との反射率の差異を低減している。これによって、第1表示手段110の表示ムラを低減できる。
【0067】
[第4実施形態]
次に、図5を参照して本発明に係る表示装置の第4実施形態について説明する。この実施形態の表示装置は、上記実施形態の表示装置を合成樹脂等で形成されたケース体に収容した構造を示すものである。したがって、本実施形態の表示装置は、ケース体に収容した点を除き、基本的に図1に示す第1実施形態と同様の構成を有するので、それらの図示は簡略化し、それらの説明は省略する。
【0068】
図5(a)に示すように、表示装置100'は、上記各実施形態と同様の第1表示手段110、第2表示手段120、照明手段130及び図示しないその他の上記構成を含み、これらがケース体150に収容されている。ケース体150は、たとえば白色の合成樹脂などで形成することができる。ケース体150を白色素材で構成することは、導光板132から漏れる光を反射させて再び導光板132内に戻すことを可能にするため、照明手段130の照明光の利用効率を高める上で好ましい。
【0069】
この実施形態では、照明手段130の導光板132の第2光出射面の表面上における、第2表示手段120が配置されていない領域(上記部分AR3)に、所定の光学特性を有する光学シート151を配置してある。この光学シート151は、第1表示手段110側から見たときに、第2表示手段120とほぼ同様の反射率を呈する素材で構成されている。これによって、上記半透過反射手段141が全面的に均一な光学特性を有するものであっても、第1表示手段の表示面の表示ムラを低減することができる。
【0070】
図5(b)に示すものは、上記実施形態の変形例を示すものである。この例の表示装置100″では、上記各実施形態と同様の第1表示手段110、第2表示手段120、照明手段130及び図示しないその他の上記構成がケース体160に収容されている。このケース体160は、第1表示手段110側から見たときに、第2表示手段120とほぼ同様の反射率を呈する素材で構成されている。これによって、上記半透過反射手段141が全面的に均一な光学特性を有するものであっても、第1表示手段の表示面の表示ムラを低減することができる。
【0071】
なお、上記の光学シート151及びケース体160は、半透過反射手段141や導光板132の構成如何に拘わらず、第1表示手段110の側から照明手段130を通して観察した場合に、第2表示手段120の表示領域の存在する部分と、光学シート151及びケース体160が配置された部分との照度分布が均一化するように構成されていればよい。
【0072】
[第5実施形態]
次に、図6及び図7を参照して、上記第1実施形態の表示装置100を備えた電子機器の実施形態について説明する。この実施形態の電子機器は、図6に示すように、上記第1表示手段(液晶表示パネル)110を制御する制御手段1100と、上記第2表示手段(液晶表示パネル)120を制御する制御手段1200とを有する。制御手段1100及び1200は、電子機器内に設置されたマイクロコンピュータ等で構成される中央制御部1000によって制御される。
【0073】
第1表示手段110及び第2表示手段120は、パネル上に実装され、或いは、パネルに対して配線部材を介して接続されるなどした、半導体IC等で構成される駆動回路110D,120Dに接続され、これらの駆動回路110D,120Dが上記制御手段1100,1200に接続されている。制御手段1100、1200は、表示情報出力源1110、1210と、表示処理回路1120,1220と、電源回路1130,1230と、タイミングジェネレータ1140,1240とを有する。
【0074】
表示情報出力源1110、1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるス トレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1140,1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1120,1220に供給するように構成されている。
【0075】
表示情報処理回路1120,1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路へ供給する。駆動回路110D,120Dは、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路1130,1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0076】
上記中央制御部1000は、制御手段1100,1200の表示情報出力源1110、1210に適宜に点灯/消灯指令や表示情報の元データなどを送出し、これに対応する表示情報を表示情報出力源1110、1210に出力させ、制御手段1100,1200及び駆動回路110D,120Dを介して第1表示手段110及び第2表示手段120に適宜の表示画像を表示させる。また、中央制御部1000は、上記光源131に対しても点灯や消灯などの制御を行うように構成されている。
【0077】
図7は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話機2000を示す。この携帯電話機2000は、各種操作ボタンが設けられマイクを内蔵した本体部2001と、表示画面やアンテナを備えスピーカを内蔵した表示部2002とを有し、本体部2001と表示部2002とが相互に折りたたみ自在に構成されている。表示部2002内には上記の表示装置100が内蔵され、その内面上には上記第1表示手段110の表示画面が視認可能に構成され、また、外面上には上記第2表示手段120の表示画面が視認可能に構成されている。
【0078】
本実施形態では、図7(a)に示すように本体部2001から表示部2002を開くことによって、上記中央制御部1000からの指令によって第1表示手段110が点灯し、所定の画像が表示され、また、図7(b)に示すように表示部2002を本体部2001上に折りたたむことにより、第1表示手段110が消灯し、その代わりに、第2表示手段120が点灯して所定の画像が表示されるように構成することができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように表示装置100が薄型化されているので、表示部2002を薄型化することができるとともに、その内部構造も簡易なものとすることができ、組立作業も容易に行うことが可能になる。ここで、本実施形態の電子機器においては、第2実施形態乃至第4実施形態の各表示装置を搭載するように構成してもよい。
【0080】
尚、本発明の電気光学装置及び電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態では電気光学パネルとして液晶表示パネルを用いているが、本発明の電気光学パネルとしては、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションディスプレイなどの各種電気光学パネルを用いることもできる。また、上記の実施形態では、基本的にパッシブマトリクス型の液晶表示パネルを図示しているが、本発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルも同様に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る第1実施形態の構成を示す概略断面図。
【図2】第1実施形態の半透過反射手段の構成(a)〜(e)を示す概略断面図。
【図3】本発明に係る第2実施形態の半透過反射手段の構成を示す概略平面図(a)及び(b)。
【図4】本発明に係る第3実施形態の半透過反射手段の構成を示す概略平面図(a)及び(b)。
【図5】本発明に係る第4実施形態の概略構成を示す概略断面図(a)及び(b)。
【図6】電子機器の構成例を示す構成ブロック図。
【図7】電子機器の構成例を示す携帯電話の概略斜視図(a)及び(b)。
【符号の説明】
【0082】
100…表示装置、110…第1表示手段、120…第2表示手段、130…照明手段、115,116,125,126…偏光板、131…光源、132…導光板、141…半透過反射手段、142,145…光拡散手段、143,144,146,147…集光手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示手段と、前記第1表示手段の観察側とは反対側から観察される第2表示手段と、前記第1表示手段と前記第2表示手段の間に配置され、前記第1表示手段及び前記第2表示手段の双方に光を照射する照明手段とを具備し、
前記照明手段は、前記第1表示手段に対向する第1光出射面と、前記第2表示手段に対向する第2光出射面とを備えた導光部材を有し、
前記導光部材の前記第2光出射面と前記第2表示手段との間に、入射した光の一部を反射するとともに、入射した光の一部を透過させるシート材が配置されてなり、前記シート材は、前記第1表示手段の表示領域と平面的に重なる範囲のうち、前記第2表示手段の表示領域と平面的に重なる重畳部分における光の透過率が、前記範囲のうち前記重畳部分以外の部分における光の透過率より高いことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1表示手段と、前記第1表示手段の観察側とは反対側から観察される第2表示手段と、前記第1表示手段と前記第2表示手段の間に配置され、前記第1表示手段及び前記第2表示手段の双方に光を照射する照明手段とを具備し、
前記照明手段は、前記第1表示手段に対向する第1光出射面と、前記第2表示手段に対向する第2光出射面とを備えた導光部材を有し、
前記導光部材の前記第1光出射面と前記第1の表示手段との間に、光拡散手段が配置されてなり、
前記導光部材の前記第2光出射面と前記第2表示手段との間に、入射した光の一部を反射するとともに、入射した光の一部を透過させるシート材が配置されてなり、前記シート材は、前記第2表示手段の表示領域と平面的に重なる重畳部分には設けられていないことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記第1表示手段の前記表示領域は、前記第2表示手段の前記表示領域及び該表示領域の外側の領域に対して平面的に重なるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示装置と、該表示装置を制御する制御手段とを有することを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−249232(P2007−249232A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146589(P2007−146589)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【分割の表示】特願2005−212209(P2005−212209)の分割
【原出願日】平成14年10月30日(2002.10.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】