説明

表示装置用信号線駆動回路と表示装置並びに信号線駆動方法

【課題】データ取り込み時の極性とソースドライバ出力時の極性が異なる場合であってもデータクロス制御を正常に行うことができる装置と方法を提供する。
【解決手段】入力される極性信号から1ラインの前の極性を判定しデータ極性御信号DPOLを生成する極性制御部120と、前記データ極性御信号に基き、入力データの取り込み時に、データの入れ替えを行うデータ制御部110と、出力極性制御信号POLOに基づき、出力回路のデータの入れ替えを制御するセレクタ部7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の信号線駆動回路とその制御方法に関し、特に液晶表示装置等の交流駆動方式をとる信号線駆動回路及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやパソコン用ディスプレーに使用される液晶表示装置の大画面化・高精細化が進む一方、低価格化も急激に進んでいる。これに伴い、表示装置の信号線駆動回路として用いられるソースドライバへのコストダウンの要求もいっそう厳しくなってきている。この要求に対処するため、ソースドライバの1チップあたりのサイズを小さくする方策がとられる。材料費、製造工数の点で有利であるためである。
【0003】
図11は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)のソースドライバ300の構成を示す図である(特許文献1の図1)。図11を参照すると、ソースドライバ300は、シフトレジスタ部11と、表示用ディジタルデータDnのビット数分の記憶容量をそれぞれ有するデータレジスタ部12と、ラッチ部13と、デコーダ部14と、アナログスイッチ群から成るセレクタ部17と、正側基準電源部15と、負側基準電源部16と、を備え、クロックCLKと、データ取り込みの開始を指示するスタート信号STと、出力の切り換えのタイミングを指示するラッチ信号LPとにより制御される。
【0004】
シフトレジスタ部11は、表示ライン(1水平周期)毎に供給されるスタート信号STにより動作を開始し、クロックCLKによりスタート信号STを転送させ各段からタイミング信号SPを出力する。タイミング信号SPは、データレジスタ部12によるデータ取り込みのタイミングを制御する。
【0005】
データレジスタ部12は、シフトレジスタ部11からのタイミング信号SPに応答して、表示用ディジタルデータDnを順次取り込む。
【0006】
ラッチ部13は、データレジスタ部12にデータが取り込まれた後、次の1ライン分のデータが到来する前に、データレジスタ部12内のデータをラッチ信号LPに応答して取り込む。
【0007】
デコーダ部14は、ラッチ部13に保持されたディジタルデータをデコードする。
【0008】
セレクタ部17は、デコーダ部14でのデコード結果に基づいて、正側基準電源部15、負側基準電源部16で作成される複数の階調電圧の1つを選択出力する。選択出力された階調電圧は、駆動電圧として各チャネル(データラインQ1〜Q240)に送出される。
【0009】
正側及び負側の各基準電源部15、16は、それぞれ16本の基準電圧V16〜V31,V0〜V15を16階調の階調電圧としてセレクタ部17の対応する奇数チャネル及び偶数チャネルにつながる階調電圧ラインに直接出力している。16階調の階調電圧の一つが、デコーダ部14のデコード結果(ディジタル信号)に基づいて、セレクタ部17内の対応するアナログスイッチにより選択出力される。
【0010】
データ入力部10と出力部18は、ドライバ外部から与えられる、極性制御信号(データ切り換え制御信号)POLに基づいて、隣り合うチャネル間でデータの入れ換えを行うデータクロス機能(2入力・2出力のスイッチで、第1、第2の入力を第1、第2の出力に接続するストレート接続と、第1、第2の入力を第2、第1の出力に接続するクロス接続を切り替える機能)を備えている。
【0011】
なお、データ入力部10とシフトレジスタ部11に入力されている信号R/Lは、データのシフト方向を切り換えるための制御信号である。
【0012】
図11のドライバの回路構成では、ドライバの出力極性は、ライン先頭信号STB↑(立ち上がり)でサンプルされる極性制御信号POLの値により決定される。データ入力部10とデータ出力部18に設けられたデータクロス機能を、同じ極性制御信号POLで行っている。
【0013】
図12は、LCDソースドライバ300のデータ取り込みから出力までのタイミングチャートであり、本願発明者により作成されたものである。図12のSTBは図11のSTに対応する。図12のS1、S2、S(n−1)、Snは、n=240として図11のデータ線Q1、Q2、Q239、Q240STに対応している。図12のS1、S2、S(n−1)、Snは、本発明の実施例で参照される図1のS1、S2、S(n−1)、Snに対応している。
【0014】
図12のSTHは、図9のスタート信号STに対応する。図10において、信号STBは、ライン先頭信号で、データのラッチ及び出力イネーブルを制御する信号である。STBのパルス間が1ライン(1H)期間に対応する。図10において、AMP出力のOFFとONは、図10の出力部のドライバ(アンプ)の出力ディスエーブル、出力イネーブルに対応する。特に制限されないが、AMP出力は、STBのHIGH期間に対応してOFF、LOW期間に対応してONとされる。
【0015】
図12に示すように、ライン毎に反転するような極性出力(1H反転駆動)の場合には、データ取り込み時のPOL極性と、ソースドライバの出力時のPOL極性が異なる。このため、図11のように、データ入力部10のデータクロス機能と出力部18のデータクロス機能の切替を、同じデータ切り換え制御信号POLで行う構成では、隣り合うチャネル間でのデータクロス制御が正しく機能しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平09−114420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以下に関連技術の分析を与える。図11の構成では、ドライバの出力極性は、ライン先頭信号STB↑(立ち上がり)でサンプルされる信号POLの値により決定される。よって、前ラインでのデータ取り込み時のPOL極性が出力ラインのPOL極性と一致するとは限らない。
【0018】
また、図11の構成では、データ入力部10と出力部18に設けられたデータクロス機能を、同じデータ切り換え制御信号POLで行っている。図12に示すように、ライン毎に反転するような極性出力の場合には、データ取り込み時のPOL極性と、ソースドライバの出力時(図11のデータ出力部18での出力時)のPOL極性が異なる。このため、データ入力部10と出力部18のデータクロス機能の切替を、同じデータ切り換え制御信号POLで行い構成では、隣り合うチャネル間でのデータクロス制御が正しく機能しない。
【0019】
したがって、本発明は、データ取り込み時の極性とソースドライバ出力時の極性が異なる場合であってもデータクロス制御を正常に行うことができる表示装置用信号線駆動回路と該回路を備えた表示装置並びに信号線駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、入力される極性信号から1ライン前の極性を示すデータ極性御信号を生成する極性制御部と、入力データの取り込み時、前記データ極性御信号に基き、入力データの入れ替えを行うデータ制御部と、出力極性制御信号に基づき、出力データの入れ替えを制御するセレクタ部と、を備えている表示装置用信号線駆動回路が提供される。本発明においては、前記データ制御部からの入力データを取り込むデータレジスタ部を備え、前記データレジスタ部と、前記出力データを信号線に出力する出力端子との間に、前記セレクタ部が配設されている。
【0021】
本発明によれば、表示装置の信号線駆動回路の制御方法であって、前記信号側駆動回路に入力される極性信号から、1ライン前の極性を判定し、入力データの取り込み時に、出力ラインの極性に合わせて、データの入替を行う方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、データ取り込み時の極性とソースドライバ出力時の極性が異なる場合であってもデータクロス制御を正常に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1のソースドライバ100の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例1の極性制御部の回路構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例1の極性制御部の動作波形を示す図である。
【図4】本発明の実施例1のデータ制御部110の回路構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例1のデータ制御部110の動作波形を示す図である。
【図6】本発明の実施例2のソースドライバ200の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2の極性制御部130の回路構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例2の極性制御部130の動作波形(1H反転時)を示す図である。
【図9】本発明の実施例2の極性制御部130の動作波形(2H反転時)を示す図である。
【図10】本発明の実施例2の極性制御部130の動作波形(フレーム反転時)を示す図である。
【図11】関連技術のLCDのソースドライバ300の構成を示す図である。
【図12】関連技術のソースドライバのデータ取り込みから出力までのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明においては、表示装置の信号線駆動回路において、表示データ取り込み側のデータレジスタ(図1の2)の出力と出力アンプ(図1の8)の出力端子との間に、データクロス機能を行うための一つのセレクタ部(図1の7)を備えている。また、信号線駆動回路に入力される極性信号(POL)から、1ライン前の極性を判定し、データ取り込み制御用に別の極性信号(DPOL)を生成し、データ取り込み時に、出力ラインの極性に合わせてデータの入替を行う。
【0025】
本発明によれば、データ取り込み制御と、ソースドライバ出力制御とを、それぞれ別々の極性制御信号(DPOL、POLO)で、データクロス制御を行うことにより、データ取り込み時の極性とソースドライバ出力時の極性が異なる場合であっても、隣り合うチャネル間でのデータクロス制御を、正しく行うことが可能となる。
【0026】
本発明の一形態において、表示装置の信号線駆動回路は、入力される極性信号(POL)から1ライン前の極性を示すデータ極性御信号(DPOL)を生成する極性制御部(120)と、入力データ(DI)の取り込み時、データ極性御信号(DPOL)に基き、入力データの入れ替えを行うデータ制御部(110)と、出力極性制御信号(POLO)に基づき、出力データの入れ替えを制御するセレクタ部(7)とを備えている。
【0027】
本発明の一形態において、データ制御部(110)はシリアル入力される隣接する第1、第2のデータをパラレルに変換し、前記第1、第2のデータを、データ極性御信号(DPOL)に基づき、偶データ(DOE)、奇データ(DOO)として出力するか、又は、奇データ(DOO)、偶数データ(DOE)として出力する。
【0028】
本発明の一形態において、極性制御部(120)は、フレーム先頭ラインは前記極性信号(POL)に対して反転信号、その後は、ライン毎に反転する値の第1の信号を生成する第1の回路と、フレーム先頭ラインは前記極性信号(POL)と同一レベルの信号、その後は、複数ライン毎に反転する値の第2の信号を生成する第2の回路と、前記極性信号(POL)と同相の第3の信号を生成する第3の回路と、入力される極性モード信号(MODE0、MODE1)に基づき、1ライン反転駆動、複数ライン反転駆動、フレーム反転駆動のいずれであるかに応じて、前記第1、第2、第3の回路からの出力信号のいずれかを前記データ極性御信号として選択出力する選択回路(図2の129)と、を備えた構成としてもよい。以下実施例に即して説明する。
【実施例】
【0029】
<実施例1>
本発明の第1の実施例を説明する。図1は、本発明の第1の実施例におけるソースドライバ100の回路構成を示す図である。ソースドライバ100は、データ制御部110と、極性制御部120と、シフトレジスタ部1と、データレジスタ部2と、データラッチ部3と、D/Aコンバータ部4と、基準電源部5、6(正極側、負極側)と、セレクタ部7と、出力アンプ部8とを備えている。
【0030】
極性制御部120は、極性制御信号POLと、ライン先頭信号STBと、フレーム先頭信号FSTRと、モード信号MODE0、1を入力し、ソース出力極性制御信号POLOと、データ極性制御信号DPOLを、セレクタ部7と、データ制御部110にそれぞれ出力する。また、極性制御部120は、データラッチ制御信号LPと、出力アンプ制御信号ROをデータラッチ部3と、出力アンプ部8にそれぞれ出力する。
【0031】
データ制御部110は、極性制御部120からのデータ極性制御信号DPOLに基づいて隣り合うチャネル間(例えばチャネル1と2の間、チャネル3と4の間、・・・)でデータの入れ換えを行う。すなわち、データ制御部110は、データ極性制御信号DPOLが1のとき、チャネル1、チャネル2にはD1、D2を出力し、データ極性制御信号DPOLが0のとき、チャネル1、チャネル2にはD2、D1を出力するデータ切替機能(図11のデータクロス機能)を備えている。
【0032】
シフトレジスタ部1は、表示ライン(1水平周期)毎に供給されるスタート信号STHを入力し、クロックCLKにより、スタート信号STHを転送させ、対応する段から、タイミング信号SR1、SR2、・・・SR(n/2)として出力する。
【0033】
データレジスタ部2は、シフトレジスタ部1の対応する段から出力されるタイミング信号SR1、SR2、・・・SR(n/2)に応答して、データ制御部110から送られる、表示用ディジタルデータDOO(奇データ)とDOE(偶データ)を取り込むレジスタをn個備えている。なお、DOO(奇データ)とDOE(偶データ)を取り込む隣り合う2つのレジスタの組は、共通のタイミング信号でDOO(奇データ)とDOE(偶データ)を取り込む。
【0034】
データラッチ部3は、データレジスタ部2にデータが取り込まれた後、次の表示ライン先頭にて、データレジスタ部2のデータ(n個)をラッチ信号LPに応答して一斉に取り込む。
【0035】
D/Aコンバータ部4は、データラッチ部3に保持された、対応するディジタルデータをアナログ信号に変換するn個のD/Aコンバータを備えている。(n/2)個のD/Aコンバータ(正極)は、それぞれ対応するデータラッチ部3からの信号(ディジタル信号)に基づき、基準電源部(正極)5で作成される複数の階調電圧の1つを選択出力する。(n/2)個のD/Aコンバータ(負極)は、それぞれ対応するデータラッチ部3からの信号(ディジタル信号)に基づき、基準電源部(負極)6で作成される複数の階調電圧の1つを選択出力する。
【0036】
セレクタ部7は、D/Aコンバータ部4より選択出力された階調電圧を、ソース出力極性制御信号POLOに基づいて、隣り合うチャネル間で出力の入れ換えを行う、2入力・2出力のスイッチ)を(n/2)個を備えている。セレクタ部7の出力は駆動電圧として、各チャネルの出力アンプ部8に入力される。例えばD/Aコンバータ(正極)とD/Aコンバータ(負極)の出力は、2入力2出力の切替スイッチに入力され、ソース出力極性制御信号POLOの値に基づいてストレート接続、又はクロス接続に接続状態を切り替える。
【0037】
出力アンプ部8は、極性制御部120からの制御信号(活性化制御信号)R0が活性状態のときに活性化され、セレクタ部7からの対応する出力(階調電圧)に対応した電圧をソースラインS1、S2、・・・S(n−1)、Snに出力するn個の増幅回路を備えている。
【0038】
図2は、図1の極性制御部120の回路構成を示す図である。図2を参照すると、1H反転時の構成として、セレクタ121と、FF(フリップフロップ)122とを備えている。セレクタ121は、FF122の出力Qの帰還信号と、POLの反転信号とをI1、I2端子に入力し、フレーム先頭信号FSTRを選択制御信号として受け、フレーム先頭信号FSTRが1のとき、I2端子、フレーム先頭信号FSRTが0のときI1端子を選択し、FF122は、ライン先頭信号STBの立ち上がりエッジで、セレクタ121の出力をサンプルする。FF122は、フレームの先頭ラインでは、POLの反転レベルを出力し、その後はライン毎(STBの立ち上がりエッジ毎)に反転する。
【0039】
2H反転時用の構成として、セレクタ123と、FF124と、セレクタ125と、FF126とセレクタ127を備えている。セレクタ123は、セレクタ127の出力とPOLとをI1、I2端子に入力し、フレーム先頭信号FSTRを選択制御信号として受け、フレーム先頭信号FSTRが1のときI2端子、フレーム先頭信号FSRTが0のとき、I1端子を選択する。FF124は、STBの立ち上がりエッジでセレクタ123の出力をサンプルし、FF124の出力Qとその反転信号はセレクタ127のI1、I2端子に入力される。セレクタ125は、FF126の出力Qの反転信号と電源電圧VDDをI1端子、I2端子に入力し、フレーム先頭信号FSTRを選択制御信号として受け、フレーム先頭信号FSTRが1のときI2端子、フレーム先頭信号FSRTが0のとき、I1端子を選択する。FF126は、ライン先頭信号STBの立ち上がりエッジでセレクタ125の出力をサンプルし、FF125の出力Qはセレクタ127に選択制御信号として入力され、セレクタ127は、FF125の出力Qが1のとき、I2端子、FF125の出力Qが0のとき、I1入力を選択出力する。セレクタ127は、フレームの先頭ラインでは、POLの同一値を出力し、その後は2ライン毎(STBの立ち上がりエッジ毎)に反転する。
【0040】
フレーム反転時の構成として、POLをライン先頭信号STBの立ち上がりエッジでサンプルするFF128を備えている。FF128の出力はPOLOとして、セレクタ部7に切替信号として入力される。
【0041】
セレクタ129は、FF122、FF124、FF128の出力をI1、I2、I3端子に入力し、MODE0、MODE1の2ビット信号に基づき、I1、I2、I3入力の1つを選択し、DPOLを出力する。MODE1=0、MODE0=0のときI1、MODE1=0、MODE0=1のときI2、MODE1=1(MODE0は0または1)のときI3を選択する。またFF128の出力はソース出力極性制御信号POLOとして出力される。
【0042】
なお、図2には示されていないが、極性制御部120において、図1の出力アンプ制御信号ROは、例えば図12に示したように、STBの相補信号として生成してもよい。また、ラッチ信号LPは、ライン先頭信号STBに基づき生成してもよい。
【0043】
図3は、図2の動作を示すタイミングチャート示す図である。FSTR、STBは、図2のFSTR、STBである。有効データ入力ラインは、図1のデータ入力D1、出力ラインには、フレーム内の各ラインのデータ出力と、帰線消去期間(blanking)が示されている。1H反転時、POLとDPOLはSTB毎に反転する相補の信号とされる。2H反転時、DPOLはフレーム開始時の1ライン分POLと同一の値を出力し、その後、POL、DPOLとも、2ライン毎のSTBの立ち上がりで反転し、1ライン分ずれた信号とされる。すなわち、データ制御部110に入力されるDPOLはPOLと一ライン分シフトされている。フレーム反転時、POLとDPOLは同一値の信号とされる。
【0044】
図4は、データ制御部110の回路構成を示す図である。図5は、図4の動作を示すタイミングチャートである。FF111、112、113、セレクタ114、115を備えている。FF111は、データ入力DIをクロックCLKをインバータで反転した立ち下がりエッジでサンプルする。FF112は、D1をCLKの立ち上がりでサンプルし、FF113は、FF112の出力をCLKの立ち下がりでサンプルする。セレクタ114は、FF111とFF113の出力をI1端子とI2端子にそれぞれ入力し、DPOLが0のとき、I1端子、DPOLが1のとき、I2端子を選択し、偶数データDOEとして出力する。セレクタ115は、FF113とFF111の出力をI1端子とI2端子にそれぞれ入力し、DPOLが0のとき、I1端子、DPOLが1のとき、I2端子を選択し、奇数データDOOとして出力する。
【0045】
図5は、図4の回路の動作を説明するタイミング図であり、クロックCLK、データ入力DI、図4の出力DOE、DOOが示されている。また、シフトレジスタパルスSR1、SR2、SR(n/2)は図1のシフトレジスタ部1からのタイミング信号であり、クロック周期分のHighパルスとされ、図1のデータレジススタ2は、対応する段のシフトレジスタパルスの立ち下がりエッジに基づき、DOO、DOEをサンプルする。
【0046】
DPOL=1のとき、セレクタ114、115はI2端子を選択し、セレクタ114の出力DOEには、クロックCLKの立ち上がりエッジのタイミングでのデータ入力DIのサンプル値(D1、D3、・・・)が出力され、セレクタ115の出力DOOには、クロックCLKの立ち下がりエッジのタイミングでのDIのサンプル値(D2、D4、・・・)が出力される。
【0047】
DPOL=0のとき、セレクタ114、115はI1入力を選択し、セレクタ114の出力DOEには、クロックCLKの立ち下がりエッジのタイミングでのDIのサンプル値(D2、D4、・・・)が出力され、DOOには、クロックCLKの立ち上がりエッジのタイミングでのDIのサンプル値(D1、D3、・・・)が出力される。
【0048】
1H反転駆動の場合、図1において、DPOL=1のとき、データ制御部110からDOO、DOEにD1、D2が出力され、データレジスタ部2、データラッチ部3、D/Aコンバータ部4(正極、負極)を介してセレクタ部7の入力端子に供給され、POLO=0であるため、セレクタ部7はストレート接続とされ、D/Aコンバータ部4(正極)の出力D1は出力アンプ部8を介してS1に、D/Aコンバータ部4(負極)の出力D2は出力アンプ部8を介してS2に出力される。一方、DPOL=0のとき、データ制御部110からDOO、DOEにD2、D1が出力され、データレジスタ部2、データラッチ部3、D/Aコンバータ部4(正極、負極)を介してセレクタ部7の入力端子に供給され、POLO=1であるため、セレクタ部7はクロス接続とされ、D/Aコンバータ部4(正極)の出力D2は出力アンプ部8を介してS2に、D/Aコンバータ部4(負極)の出力D1はS1に出力される。
【0049】
上記した実施例1のソースドライバ100の動作をまとめると以下のとおりである。
【0050】
(1)極性制御信号POLとライン先頭信号STBとフレーム先頭信号FSTRと極性モード切り換え信号MODE0とMODE1が極性制御部120に入力される。
【0051】
(2)入力信号POLを、STB信号の立ち上がりにFF128(図2)に取り込み、FF1の出力は、ライン先頭に同期した極性信号POLOとして出力される。
【0052】
(3)MODE0とMODE1の設定値により、POLの極性モードに合わせて、セレクタは、データ極性制御信号DPOLを出力する。データ取り込みラインを基準にした場合、データ極性制御信号DPOLは、1ライン後の出力ラインと同じ極性と一致すればよい。以下モード別に、データ極性制御信号DPOLの動作を説明する。
【0053】
(A)1H反転の場合
データ極性制御信号DPOLは、フレーム先頭ラインはPOLの反転レベルをセット、その後はライン毎に反転する。
【0054】
(B)2H反転の場合
データ極性制御信号DPOLは、フレーム先頭ラインはPOLと同レベルをセットし、その後は2ライン毎に反転する。
【0055】
(C)フレーム反転の場合
データ極性制御信号DPOLは、POLと同相信号(DPOL=POL)
【0056】
(4)表示データ入力DIとクロックCLKと、データ極性制御信号DPOLがデータ制御部110に入力される(図4)。データ制御部110は、データ極性制御信号DPOLに基づいて隣り合うチャネル間でデータの入れ換えを行い、偶数ピクセルデータDOEと奇数ピクセルデータDOOとしてデータレジスタに出力される。セレクタ114(図4)は、DIのサンプリング結果と1つ前のサンプリング結果をI1、I2に入力し、DPOLがLow、HighでI1、I2を選択し、DOEとして出力する。セレクタ115(図4)は、DIのサンプリング結果と1つ前のサンプリング結果をI2、I1に入力し、DPOLがLow、HighでI1、I2を選択DOOとして出力する。
【0057】
(5)シフトレジスタ部1にて、表示ライン(1水平周期)毎に供給されるスタート信号STHにより動作を開始し、クロックCLKにより歩進してタイミング信号SRを生成する。
【0058】
(6)データレジスタ部2にて、タイミング信号SRに応答してデータ制御部110から送られてくる、表示用ディジタルデータDOOとDOEを順次取り込む。
【0059】
(7)データラッチ部3にて、データレジスタ部2にデータが取り込まれた後、次の表示ライン先頭にて、データレジスタ部2内のデータをラッチ信号LPに応答して取り込む。
【0060】
(8)D/Aコンバータ部4にて、データラッチ部3に保持されたディジタルデータをアナログ信号に変換する。基準電源部5、6(正極側、負極側)から出力される複数の階調電圧の1つを選択出力する。
【0061】
(9)セレクタ部7にて、D/Aコンバータ部4から出力される正極側もしくは負極側のアナログ出力を極性制御信号POLに基づいて、隣り合うチャネル間で出力の入れ換えを行う。
【0062】
(10)駆動電圧として、各チャネル(データラインS1〜Sn)に送出された信号は出力アンプ部を介して出力制御信号ROにより制御されて各チャネルより出力される。
【0063】
入力信号POLの極性モードから出力ラインの1ライン前の極性を判定することにより、表示データ取り込み時の極性を、表示ラインと同じ極性になるように制御することが可能となる。そのため、データ制御部110で、表示データ取り込み時に、データの入替を行うことが出来る。よって、データレジスタ部2とデータラッチ部3の間にデータの入替を行うセレクタ回路を設ける必要がなくなる。
【0064】
<実施例2>
図6は、本発明の第2の実施例のソースドライバ200の回路構成を示す。実施例1のソースドライバ100に対して、極性判定部130をさらに備えている。図7は、極性判定部130の回路構成を示すブロック図である。極性判定部130は、フレーム先頭信号FSTRとライン先頭信号STBを入力してかウント動作するラインカウンタ131と、フレーム先頭信号FSTRと極性信号POLを入力しPOLのレベル切り替わりをカウントする極性カウンタ132と、ラインカウンタ131の出力LCNT[9:0]と極性カウンタ132の出力PCNT[9:0]とを比較する比較回路133よりなる。なお、ラインカウンタ131の出力LCNT[9:0]、極性カウンタ132の出力PCNT[9:0]は10ビットとされるが、本発明がかかる構成に制限されるものでないことは勿論である。図8は、本実施例の1H反転時の動作を説明するタイミングチャートである。図9は本実施例の2H反転時の動作を説明するタイミングチャートである。図10は本実施例のフレーム反転時の動作を説明するタイミングチャートである。
【0065】
(1)極性制御信号POLとライン先頭信号STBとフレーム先頭信号FSTRが極性制御部120に入力される(図7)。
【0066】
(2)ラインカウンタ131では、ライン先頭信号STBの立ち上がりでライン毎にカウントアップする。フレーム先頭信号FSTRがアクティブの場合にカウンタを初期化することにより、1フレーム期間のライン数をカウントする。
【0067】
(3)極性カウンタ132では、極性制御信号POLのレベル切り替わりエッジ毎にカウントアップする。フレーム先頭信号FSTRがアクティブの場合にカウンタを初期化することにより、1フレーム期間のPOLのレベルの切り替わりをカウントする。
【0068】
(4)比較回路133では、ラインカウンタ値LCNT[9:0]とPCNT[9:0]ビット)を比較することにより、極性モードを判定し、モード切り換え信号MODE0、MODE1として出力される。図8は、1H反転時の判定条件の例を示すタイミング図である。図9は、2H反転時の判定条件の例を示すタイミング図である。図10は、フレーム反転時の判定条件の例を示すタイミング図である。
【0069】
(A)1H反転の場合
LCNT[9:1]/2<PCNT[9:0]≦LCNT[9:0]
【0070】
(B)2H反転の場合
LCNT[9:2]/4<PCNT[9:0] ≦LCNT[9:1]/2
【0071】
(C)フレーム反転の場合
PCNT[9:0]≦LCNT[9:2]/4
【0072】
(5)極性制御部120で判定されたモード切り換え信号MODE0、MODE1により極性制御部120にて、データ極性制御信号DPOLが生成される。
【0073】
(6)以降の制御は、前記第1の実施例1と同様であることから、動作の説明は省略する。
【0074】
前記第1の実施例では、極性の反転モードを外部入力端子(MODE0、MODE1)で切り換える必要とされているが、本実施例によれば、極性判定部130により、自動でモードを切り換えることできる。
【0075】
本発明の実施例によれば、出力ラインの極性変化により、1ライン前の極性を判定し、データ取り込み時の極性とソースドライバ出力時の極性が異なる場合であってもデータクロス制御を正常に行うことができるという作用効果を奏する。また、素子数を削減することができる(図11と同様にデータラッチ部3のセレクト回路は不要であるため)。さらに、EMI(ElectroMagnetic Interference)の低減等にも貢献する。
【0076】
なお、上記の特許文献、非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
1 シフトレジスタ部
2 データレジスタ部
3 データラッチ部
4 D/Aコンバータ部
5 基準電源部(正極)
6 基準電源部(負極)
7 セレクタ部
8 出力アンプ部
10 データ入力部(データクロス機能付)
11 シフトレジスタ部
12 データレジスタ部
13 ラッチ部
14 デコーダ部
15 正極基準電源部
16 負極基準電源部
17 セレクタ部
18 出力部(データクロス機能付)
100、200 ソースドライバ(データドライバ)
110 データ制御部
111、112、113 フリップフロップ(FF)
114、115 セレクタ
120 極性制御部
121、122、123、125、127、129 セレクタ
122、124、126、128 フリップフロップ(FF)
130 極性判定部
131 ラインカウンタ
132 極性カウンタ
133 比較回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される極性信号から1ライン前の極性を示すデータ極性御信号を生成する極性制御部と、
入力データの取り込み時、前記データ極性御信号に基き、入力データの入れ替えを行うデータ制御部と、
前記極性信号に基づき、出力データの入れ替えを制御するセレクタ部と、
を備えている、ことを特徴とする表示装置用信号線駆動回路。
【請求項2】
前記データ制御部からの入力データを取り込むデータレジスタ部を備え、
前記データレジスタ部と、前記出力データを信号線に出力する出力端子との間に、前記セレクタ部が配設されている、ことを特徴とする請求項1記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項3】
前記極性制御部は、1ライン反転駆動時は、フレーム先頭ラインは前記極性信号に対して反転信号、その後は、ライン毎に反転する値の信号を前記データ極性御信号として生成する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項4】
前記極性制御部は、複数ライン反転駆動時は、フレーム先頭ラインは前記極性信号と同一レベルの信号、その後は、複数ライン毎に反転する値の信号を前記データ極性御信号として生成する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項5】
前記極性制御部は、フレーム反転駆動時は、前記極性信号と同相信号を前記データ極性御信号として生成する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項6】
前記極性制御部は、
フレーム先頭ラインは前記極性信号に対して反転信号、その後は、ライン毎に反転する値の信号を生成する第1の回路と、
フレーム先頭ラインは前記極性信号と同一レベル反転信号、その後は、複数ライン毎に反転する値の信号を生成する第2の回路と、
前記極性信号と同相信号を生成する第3の回路と、
入力される極性モード信号に基づき、1ライン反転駆動、複数ライン反転駆動、フレーム反転駆動のいずれであるかに応じて、前記第1、第2、第3の回路で生成された信号のいずれかを前記データ極性御信号として選択出力する選択回路と、
を備えている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項7】
前記データ制御部は、シリアル入力される隣接する第1、第2のデータを、偶、奇データとして、又は、奇、偶数データとしてパラレル出力するかを、前記データ極性御信号に基づき、切り替える回路を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項8】
複数ライン反転駆動、フレーム反転駆動のいずれであるかに対応した極性モード信号を生成する極性判定部を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項9】
前記極性判定部が、
1フレーム期間のライン数を計数するラインカウンタと、
1フレーム期間の前記極性信号の切り替わりを計数する極性カウンタと、
前記ラインカウンタの出力と前記極性カウンタの出力を比較して、1ライン反転駆動、複数ライン反転駆動、フレーム反転駆動のいずれであるかに対応した極性モード信号を生成する比較回路と、
を備えている、ことを特徴とする請求項8記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項10】
ライン毎に供給されるスタート信号を入力し、入力されるクロック信号により、前記スタート信号を転送させ、それぞれの段からタイミング信号を生成出力するシフトレジスタ部と、
前記シフトレジスタ部の対応する段から出力される前記タイミング信号に応答して、前記データ制御部から送られる奇数番目のデータと偶数番目のデータを取り込むデータレジスタ部と、
前記データレジスタ部にデータが取り込まれた後、前記データレジスタ部のデータを、入力されるラッチ信号に応答して取り込むデータラッチ部と、
前記データラッチ部に保持された対応するデータに基き、正極基準電源部で作成される複数の階調電圧の1つを選択出力する正極のDAコンバータを複数備え、前記データラッチ部に保持された対応するディジタルデータに基き、負極基準電源部で作成される複数の階調電圧の1つを選択出力する負極のDAコンバータを複数備えたDAコンバータ部と、
隣り合う正極、負極の前記DAコンバータより選択出力された正極、負極の階調電圧を入力として受け、入力される出力極性制御信号に基づいて、隣り合うチャネル間で、ストレート接続、クロス接続の切替を行う2入力・2出力切替スイッチを複数備えた前記セレクタ部と、
前記セレクタ部からの対応する出力電圧に対応した電圧をそれぞれ出力する複数の増幅回路を備えた出力アンプ部と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置用信号線駆動回路。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の前記表示装置用信号線駆動回路を備えた表示装置。
【請求項12】
表示装置用信号線駆動回路の制御方法であって、前記信号線駆動回路に入力される極性信号から、1ライン前の極性を判定し、入力データの取り込み時に、出力ラインの極性に合わせて、データの入替を行う、ことを特徴とする表示装置用信号線駆動回路の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−59501(P2011−59501A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210521(P2009−210521)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】