表示装置
表示装置6は、ディスプレイ2及び生成手段10,8を有している。ディスプレイ2は、複数の発光素子3、及びパルス幅変調(PWM)信号を発光素子3に供給するためのデータライン13を有している。生成手段10,8は、フレーム周期の時間インターバルSFの間、時間インターバルSFの第一のインターバルの間に発光素子3の第一の非ゼロの放出レベルL(V1;C1;I1)と、時間インターバルSFの第二のインターバルの間に第二の非ゼロの放出レベルL(V2;C2;12)を少なくとも生成するためのデータラインに結合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子をもつディスプレイを有する表示装置に関する。
また、本発明は、かかる表示装置を有する電子装置及びディスプレイを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の発光素子又は画素を利用した表示装置は、ますます普及してきている。これらの発光素子は、行及び列からなるマトリクスで配列される表示画素に組み込まれるか又は表示画素を形成する発光ダイオード(LED)である場合がある。かかるLEDで利用される材料は、特にポリメリック(PLED)又はオーガニック(OLED)材料のような、電流がこれらの材料を流れる場合に光を発生するのに適している。したがって、LEDは、電流がこれらの発光材料を通して駆動することができるように配列される必要がある。典型的に、パッシブ又はアクティブに駆動されるマトリクス型ディスプレイが区別される。アクティブマトリクス型ディスプレイについて、ディスプレイの画素自身は、1以上のトランジスタのようなアクティブ回路を有している。
【0003】
アクティブマトリクス型ディスプレイでは、トランジスタのパラメータのバリエーションは、たとえばディスプレイの均一性といった重要な問題である。合理的に高い電流でトランジスタを動作させることで、LEDの発光は、トランジスタの閾値電圧における変動に対して感度が低く、この変動は、ディスプレイの非均一性の主要な原因となる。LEDが数レベルの明るさのみで動作する場合、動作スキームのような特定の電流レベルに対応するそれぞれはデジタル駆動と呼ばれる。
【0004】
公知であるようにデジタル駆動により数レベルの明るさが利用可能であるので、パルス幅変調(PWM)を使用することで、より多くのグレイレベルが形成される場合がある。たとえば、ディスプレイの発光素子は、所望のグレイレベルに依存して、フレーム周期における多数のサブフィールドの間に「オン」又は「オフ」のいずれかにされる場合がある。サブフィールドは、フレーム周期内の時間インターバルである。
【0005】
しかし、発光している素子に関連する多数の選択ラインを含む大型ディスプレイをアドレス指定するための時間で行を利用するとき、1つの行をアドレス指定又は選択するための利用可能なアドレス指定時間は、サブマイクロ秒のオーダである場合がある。これらの非常に短いアドレス指定時間を扱うため、マルチラインアドレス指定(MLA: MultiLine Addressing)スキームが好ましい。MLAスキームは、結合されたライン又は行アドレス指定アプローチとも呼ばれる。サブフィールド間のMLAスキームの停止時間は、適切なアルゴリズムにより最小にされる。かかるアプローチは、たとえばEP出願01204541.5に開示されている。このテキストでは、MLAは、PWMアドレス指定の種であると考えられる。
【0006】
PWM技術の問題は、ディスプレイのための最適なレンジのグレースケールレベルを提供しないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、PWMアドレス指定されたディスプレイのグレイスケールのレベル数を大幅に拡張することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、表示装置を提供することで達成され、本表示装置は、複数の発光素子及び該発光素子にパルス幅変調(PWM)信号を供給するためのデータラインをもつディスプレイと、フレーム周期の時間インターバルの間、時間インターバルのうちの第一のインターバルの間の発光素子の第一の非ゼロの発光レベルと、時間インターバルのうちの第二のインターバルの間の第二の非ゼロの発光レベルとを少なくとも生成する、前記データラインに結合される手段と、を有している。
【0009】
第一及び第二の非ゼロレベルのつぎに、ゼロレベル及び更なる非ゼロレベルが存在する場合がある。
大きな重みをもつサブフィールドが要求されるとき、時間インターバルを増加するよりはむしろ、第一の発光レベルよりも高い第二の発光レベルが利用される場合があり、時間インターバルを増加することなしに、生成されるべき大きな重みのサブフィールドを生成可能である。
【0010】
サブフィールドの期間がこのやり方で短縮されるので、より多くのフィールドがフレーム周期の間に生成され、ディスプレイのための拡張された数のグレイスケールのレベルを生じる。生成手段は、データドライバ、表示されるべき画像に関する情報を受け、データドライバを駆動するための駆動信号及びタイミング信号を決定するための制御ユニットを有している場合がある。ディスプレイは、アクティブマトリクス型ディスプレイであることが好ましい。かかるディスプレイは、複数の発光素子の一部が発光するのを可能にし、別の部分がアドレス指定又は消去される。このことは、発光素子のそれぞれが、たとえばキャパシタといった記憶素子と共に薄膜トランジスタのような能動素子を含むために可能とされる。
【0011】
実施の形態では、マルチラインアドレス指定スキームが適用され、この適用により、フレーム周期内の停止時間の更なる低減となり、これにより、光を発生するための更に多くの時間インターバルが可能となり、より多くのグレイレベルを生成することができる。
【0012】
また、生成手段は、複数の発光素子の一部を選択するための行選択回路を有する場合がある。
好ましくは、PWMアドレス指定スキームの時間インターバルは、二進の重み付け期間を有している。これらの時間インターバルは、それらの期間に関して混合された順序で配列される場合があり、すなわち、長い期間又は短い期間の時間インターバルは、フレーム周期の最適な利用を達成するため、互いに隣り合う場合がある。好ましくは、発光レベルのそれぞれは、二進の重み付けの期間を有する時間インターバルのセットに関連される。
【0013】
本発明の実施の形態では、発光素子の発光レベルは、データラインを介して提供される。好ましくは、これは、フレーム周期の間に最初の全ての時間インターバルが第一の発光レベルについて、その後に第二の発光レベル等について順次に処理される、シーケンシャルモードで行われる。この駆動スキームは、電圧プログラム及び電流プログラム発光素子の両者について適切である。
【0014】
混合モードでは、放出レベルに関連する時間インターバルは、所望のようにフレーム周期内に分散される場合があり、たとえば、第一の発光レベル及び第二の発光レベルがそれぞれの時間インターバルについて交互に利用される。この駆動スキームは、電圧プログラム及び電流プログラム発光素子の両者について適切である。電流プログラム発光素子について、この実施の形態では、発光素子の発光レベルがフレーム周期内で頻繁に変化する場合があるので、幾つかの独立な電流源を利用することが好ましい。かかるケースでは、電流源は短時間での様々な電流振幅の間で十分に正確に切り替えることが一般に不可能であるので、単一の電流源は適切ではない。
【0015】
電流プログラマブル発光素子について、データラインにおける寄生容量による遅延を克服するため、電流を適用する前にデータラインを適切な電圧レベルにすることが有利である場合がある。
【0016】
第一又は第二の供給電圧を発光素子に結合するために電力ラインを使用する駆動スキームは、電圧プログラム発光素子について特に適している。
さらに、本発明は、先のパラグラフに記載された表示装置を有する電子装置に更に関する。かかる電子装置は、モバイルフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、又はポータブルコンピュータのようなハンドヘルド装置、若しくは、パーソナルコンピュータ、コンピュータモニタ、たとえば自動車のダッシュボード上のテレビジョンセット又はディスプレイのような装置に関連する場合がある。
【0017】
本発明は、添付図面を参照して更に例示され、これらの添付図面は、本発明に係る好適な実施の形態を示している。本発明に係る装置及び方法は、これら特定及び好適な実施の形態に限定されないことを理解されたい。異なる図面における同じ参照符号は、同じ構成要素を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、行4及び列5からなるマトリクスに配置される、複数の発光素子すなわち表示画素3を有するディスプレイ2を有する電子装置1を示している。
【0019】
図2は、図1に示されるような電子装置1のディスプレイ2を有する、表示装置6の概念的な例示を示している。ディスプレイ2は、行選択回路7及びデータドライバ8を有している。(ビデオ)画像のような情報又はデータは、ライン9を介して受信され、ディスプレイ2に表示されるものであって、制御ユニット10に入力され、この情報又はデータは、制御ユニット10によりライン11を介してデータドライバ8の適切な部分に続いて転送される。表示画素3の行4の選択は、選択ライン12を介して行選択回路7により実行される。データは、データライン13を介してデータドライバ8から表示画素3に書き込まれる。
【0020】
さらに、制御回路10は、電力ライン14を介して表示画素3の電力供給を制御する。
【0021】
図3は、ディスプレイ技術におけるグレイスケールのレベルを形成するためのパルス幅変調(PWM)のタイミングチャートを示している。図3では、ディスプレイ2の8つの矢印4のみが垂直方向で示されており、水平方向では、それぞれの行の状態が時間tの関数として示されている。フレーム周期の一部のみが示されている。フレーム周期は、表示されるべきグレイスケールのレベルの数に従って異なる期間のサブフィールド又は時間インターバルSFに分割される。図3は、SF1及びSF2により示される、8つの矢印4についてのフレーム周期の2つの時間インターバル又はサブフィールドを示しているだけである。時間インターバルSFでは、幾つかの状態が表示画素3について区別されており、すなわち、アドレッシング(ハッチングされたブロック)、バーニング(黒のブロック)、イレージング(点のブロック)、及びデッドタイム(白のブロック)である。フレーム周期の時間インターバルSFが2進の重み付けされた分布を有する場合、時間インターバルは、グレイスケールのレベル数のビット表現を表している。たとえば、フレーム周期が6つの2進の重み付けされた時間インターバルSF1,...,6に分割された場合、SF1は、グレイスケールのビットレベル1を表し、SF2は、グレイスケールのビットレベル2を表し、SF3はビットレベル4を表し、SF4はビットレベル8を表し、SF5はビットレベル16を表し、さらに、SF6はビットレベル32を表しており、26=64の可能なグレイスケールのレベル(=6ビット)を全体的に生じる。
【0022】
480の行4、フレーム時間20msを有するディスプレイ2について、64グレイスケールのレベルによれば、サブフィールドSF1について0.65マイクロ秒の利用可能な時間インターバルとなる。
【0023】
図4は、PWMとの組み合わせでマルチライン行アドレス指定(MLA)を利用したタイミングチャートを示している。明らかに分かるように、MLAでは、行4について、時間インターバルSF間のデッドタイム(停止時間)の量は、可変であり、適切なアルゴリズムを適用することで最小にすることができる。結果として、フレーム周期における利用可能な時間は、より効率的に使用される。なお、最も効率的な結果を得るため、フレーム周期内での時間インターバルをシャッフル又は混合することが好ましい場合がある。このことは、先のパラグラフの例では、時間インターバルのシーケンスは、必ずしもSF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6である必要はなく、たとえばSF3、SF1、SF6、SF4、SF2、SF5の場合もあることを意味している。
【0024】
図5は、電圧プログラム画素回路15における、本発明の第一の実施の形態を示している。ディスプレイ2の単一の表示画素3のみが示されており、トランジスタT1(スイッチとして描かれている)及びT2、キャパシタC並びにLEDを有している。表示画素3は、選択ライン12を介して選択され、データライン13を介してデータが供給される。表示画素3は、パワーライン14を介して電圧が印加される。選択ライン12を通して供給される選択信号は、右側の図に表されており、ここで、オン状態は、アドレッシング(アドレス指定)AD及びイレージング(消去)ERを連続して示している。データライン13を通して供給されるデータは、右の図における「オフ」及び「オン」により表される、トランジスタT2を完全に開くか、完全に閉じることができる電圧であり、すなわち、T2はスイッチとして振る舞い、LEDの発光レベルは、電力ライン14にわたり供給される電圧に依存する。異なる電圧は、LEDの異なる発光レベルを生じる。この作用は、フレーム時間内でグレイスケールのレベル数を拡張するために使用される。図5では、PWM信号は、第一の時間インターバルSF1の間、選択ライン12を介して表示画素3に供給され、表示画素3は、V1により示される(第一の放出レベルに対応する)第一の放出状態にされ、同じ期間の続く時間インターバルSF1において、V2により示される(第二の放出レベルに対応する)第二の放出状態にされる。このことは、右の図で示されている。これらのイベントは、次の時間インターバルSF2で繰り返され(図示せず)、バーニングは、時間インターバルSF2において再びV1及びV2で続いて実行される。nのパワーレベルがパワーライン14にわたり利用可能である場合、すなわちマルチレベルパワーアドレッシング(MPA)の場合、1フレーム周期におけるNの時間インターバルSFのシーケンスは、たとえば、SF1(V1),SF1(V2),SF1(V3)...SF1(Vn);SF2(V1)...SF2(Vn);...;SFN(V1)...SFN(Vn)これは、混合モードの例であり、LEDの放出状態は繰返し変化される。
【0025】
MPAアプローチでは、個々の時間インターバルSFは、実際に、1回の代わりにn回使用される。結果として、グレイスケールのレベルのビット数は、ファクタnにより最良に拡張される。図6は、8つの行4のディスプレイ2のタイミングチャートを示しており、SF1の間、表示画素3について第一の放出状態V1(ライトグレイブロック)が利用され、続いて、続く同じ時間インターバルSF1の間、第二の放出状態V2が利用される。
【0026】
図7では、1つの矢印4で、16のグレイスケールレベル(=4ビット)のPWMアドレス指定スキームについて、シーケンシャルモードでMPAを利用した概念的なタイミングチャートが表示されている。シーケンシャルモードでは、第一の放出状態V1の最初の全ての時間インターバルSFは、選択ライン12を通して供給され、続いて、第二の放出状態V2の全ての時間インターバルSFが続く。なお、時間インターバルSFは、必ずしも時間の期間に従って順序付けされる必要はなく、フレーム周期の更に効果的な利用を提供する場合には混合される場合もある。図7では、数は、時間インターバルSF1...SF4に関連するグレイスケールのレベル数を示している。第二の放出状態V2における表示画素3の放出レベルL(V2)がフレーム周期におけるグレイスケールのレベル数、すなわち第一の放出状態における発光素子の放出レベルL(V1)の16倍、に等しいように、第二の放出状態V2が選択される。上のタイミング図では、MPAは、シーケンシャルモードで利用される。たとえばグレイスケールのレベル100を達成するため、フレーム周期で表示画素3に選択ライン12を通してハッチングされたビットを提供することは十分である。最大数のグレイレベルは、1つのフレーム周期において256である。比較のため、下のタイミングチャートは、MPAのない状況を示している。このケースでは、同じ時間量は、1つのフレーム周期において32のグレイスケールのレベルのみを可能にしている。より一般的に、nのパワーレベルがパワーライン14を通して利用可能である場合、すなわちマルチレベル電力アドレス指定(MPA)の場合、シーケンシャルモードの1フレーム期間におけるNの時間インターバルのシーケンスは、SF1(V1),SF2(V1),SF3(V1)...SFN(V1);SF1(V2)...SFN(V2);...;SF1(Vn)...SFN(Vn)である。
【0027】
図8は、混合モードにおけるマルチレベル列アドレス指定(MCA)を利用した、電圧プログラム画素回路15における、本発明の第三の実施の形態を示している。選択信号は、右の図に示されるように選択ライン12を通して印加される。この実施の形態では、右の図に示される、データライン13を通して列電圧を変えることで、更なるグレイスケールのレベルが生成される。表示画素3について電力ライン14を通して供給される電力レベルは、一定に保持される。しかし、MPA及びMCAは、1つのアドレス指定スキームの両者において利用することができる。この実施の形態では、セミデジタルアプローチが採用され、制限された量の電圧レベルはT2をスイッチオフにするための電圧レベルを含むトランジスタT2のゲートに印加することができる。T2は、図5におけるケースのようにスイッチとしてもはや機能しないが、LEDがデータレベルC1で駆動され、データレベルC2でスイッチとしての役割を果たすようにセミアナログコンポーネントである。なお、この状態は、現在使用されている高分子材料により、電圧駆動LEDの寿命が短いため、LEDの品質低下の観点から利益がある。
【0028】
LEDの発光状態は、データライン13を通してT2のゲートに印加される電圧の数により決定される。図5におけるように、図8では、好適な実施の形態は、データライン13を通して、それぞれの時間インターバルSFの間、表示画素3についてC1に関連される第一の放出状態を提供し、C2に関連する第二の放出状態を提供することで、グレイスケールのレベル数を2倍にしている。レベルC1及びC2は、状態C2でのLEDの光放出レベルL(C2)が、状態C1での光放出レベルL(C1)のグレイスケールのレベル数倍したものに等しいように選択されるのが好ましい。たとえば、PWMが4ビットである場合、マルチレベル列アドレス指定(MCA)を適用することで、256のグレイスケールのレベルが生じる。一般に、nの電圧レベルがデータライン13を通して利用可能である場合、すなわちマルチレベル列アドレス指定(MCA)である場合、混合モードについて、たとえばSF1(C1),SF1(C2),SF1(C3)...SF1(Cn);SF2(C1)...SF2(Cn);...;SFN(C1)...SFN(Cn)である場合がある。図9は、PWM−MLA−MCAアドレス指定スキームを利用したタイミングチャートを示している。ライトグレイのブロックは、第一の放出状態C1を表し、黒のブロックは、第二の放出状態C2を表している。
【0029】
図5のように、図8は、シーケンシャルモードでも利用することができ、一般的なケースでは、シーケンスSF1(C1),SF2(C1),SF3(C1)...SFN(C1);SF1(C2)...SFN(C2);...;SF1(Cn)...SFN(Cn)を生じる。
【0030】
マルチプル列アドレス指定(MCA)スキームは、電流プログラマブル画素回路にも利用することができる。図10は、スイッチド電流ミラー回路を有する公知の電流プログラマブル画素回路16を示している。電流ミラーは、他のタイプの電流ミラー回路を使用して動作する場合もある。データライン13は、フレーム周期におけるnの異なる放出状態にLEDをアクチベートするため、nの電流レベルI1…Inを提供するために使用することもできる。ゼロレベルは、高速であるために好ましい電圧レベルであるか、アドレス指定又は消去の間にLEDをデアクチベートするための電流レベルのいずれかとすることができる。アドレス指定又は消去の間、スイッチトランジスタT0及びT3がオンであり、スイッチトランジスタT4がオフであり、駆動トランジスタT11は、電流Iiを駆動するためにプログラムされる。バーニング期間では、T0及びT3はスイッチオフであり、T4はオンであり、T11は、電流IiをLEDに転送する。
【0031】
好適な実施の形態では、n=2、すなわち電流I1が第一の放出状態と関連され、電流I2が表示画素の第二の放出状態と関連される。電流I2は、第二の放出状態における光放出レベルL(I2)が第一の放出状態における光放出レベルL(I1)の第一の放出状態のグレイスケールのレベル数の倍数であるように選択されることが好ましい。図10に記載の回路は、好ましくは、シーケンシャルモードで動作され、これにより、シーケンスSF1(I1),SF2(I1),SF3(I1)...SFN(I1);SF1(I2)...SFN(I2);...;SF1(In)...SFN(In)を生じる。図10に示される実施の形態は、電流源が正確な電流レベル間で迅速に切り替えることが通常は不可能であるため、混合されたモードについて適切ではない。
【0032】
電流プログラマブル画素回路についてMCAスキームを利用する混合されたモードを可能にするため、データライン13を通して適切な電流の振幅を提供する、幾つかの独立な電流源を使用することが好ましい。図11では、かかる変更された電流プログラマブル画素回路17が示されており、データライン13を通して電流I1及びI2を提供する2つの独立な電流源を有している。スイッチトランジスタS1及びS2は、ライン18を通して制御ユニット10により制御されるものであって、適切な時間インターバルSFにおいて電流I1及びI2をそれぞれ供給するために適合される。他の電流は、ダンピングユニット19において投棄される。4ビットのPWMアドレス指定スキームについて、混合モードでは、スキームは、SF3(I1),SF3(I2),SF2(I1),SF2(I2),SF4(I1),SF4(I2),SF1(I1),SF1(I2)を読み出す場合がある。なお、このシーケンスでは、時間インターバルは、それらの期間に関して混合され、フレーム周期の効率的な使用について好ましい場合がある。
【0033】
電流プログラマブル画素回路16,17は、寄生的な結合によるタイミングの問題に苦しむことが知られている。電流パルスが表示画素2に書き込まれるとき、表示画素3の列に対応するデータライン13の寄生キャパシタンスは、はじめに充電されることになる。このキャパシタンスは、著しくハイレベルであって、ディスプレイ2のサイズに依存する。図10及び図11に示される電流プログラマブル画素回路16,17は、データライン13をプリチャージするのに適しており、すなわち電流を供給する前にデータラインを適切な電圧にするのに適している場合がある。このプリチャージは、制御ユニット10を介してデータドライバ8により管理することができる。
【0034】
先に記載された実施の形態は、本発明を制限するよりはむしろ例示するものであって、当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなしに代替的な実施の形態を設計することが可能である。請求項では、括弧間に位置される参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する“comprise”」及びその派生語の使用は、請求項で述べた構成要素又はステップ以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。エレメントに先行する冠詞“a”又は“an”は、複数のかかるエレメントの存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの個々のエレメントを含むハードウェアにより、適切にプログラムされたコンピュータにより実現される場合がある。幾つかの手段を列挙する装置の請求項では、多数のこれらの手段は、同一アイテムのハードウェアにより実施される場合がある。所定の手段が相互に異なる従属の請求項で引用される事実は、これらの手段の組み合わせが利用することができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスプレイを有する電子装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るアクティブマトリクス用の表示装置を示す図である。
【図3】従来技術に係るパルス幅変調(PWM)を表す概念的なタイミングチャートである。
【図4】従来技術に係るMLAスキームを利用したパルス幅変調を表す概念的なタイミングチャートである。
【図5】混合モードにおけるマルチレベル電力アドレス指定(MPA)を利用した電圧プログラム画素回路における本発明の第一の実施の形態を示す図である。
【図6】図5に示される実施の形態のマルチレベル電力アドレス指定(MPA)を利用したパルス幅変調を表す概念的なタイミングチャートである。
【図7】シーケンシャルモードにおけるマルチレベル電力アドレス指定(MPA)を利用した、本発明の第二の実施の形態の概念的なタイミングチャートである。
【図8】混合モードにおけるマルチレベル列アドレス指定(MCA)を利用した、電圧プログラム画素回路における、本発明の第三の実施の形態を示す図である。
【図9】図8に示される実施の形態についてマルチレベル列アドレス指定(MCA)を利用した、パルス幅変調を表す概念的なタイミングチャートである。
【図10】電流プログラム画素回路における本発明の第四の実施の形態を示す図である。
【図11】変更された電流プログラム画素回路における本発明の第四の実施の形態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子をもつディスプレイを有する表示装置に関する。
また、本発明は、かかる表示装置を有する電子装置及びディスプレイを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の発光素子又は画素を利用した表示装置は、ますます普及してきている。これらの発光素子は、行及び列からなるマトリクスで配列される表示画素に組み込まれるか又は表示画素を形成する発光ダイオード(LED)である場合がある。かかるLEDで利用される材料は、特にポリメリック(PLED)又はオーガニック(OLED)材料のような、電流がこれらの材料を流れる場合に光を発生するのに適している。したがって、LEDは、電流がこれらの発光材料を通して駆動することができるように配列される必要がある。典型的に、パッシブ又はアクティブに駆動されるマトリクス型ディスプレイが区別される。アクティブマトリクス型ディスプレイについて、ディスプレイの画素自身は、1以上のトランジスタのようなアクティブ回路を有している。
【0003】
アクティブマトリクス型ディスプレイでは、トランジスタのパラメータのバリエーションは、たとえばディスプレイの均一性といった重要な問題である。合理的に高い電流でトランジスタを動作させることで、LEDの発光は、トランジスタの閾値電圧における変動に対して感度が低く、この変動は、ディスプレイの非均一性の主要な原因となる。LEDが数レベルの明るさのみで動作する場合、動作スキームのような特定の電流レベルに対応するそれぞれはデジタル駆動と呼ばれる。
【0004】
公知であるようにデジタル駆動により数レベルの明るさが利用可能であるので、パルス幅変調(PWM)を使用することで、より多くのグレイレベルが形成される場合がある。たとえば、ディスプレイの発光素子は、所望のグレイレベルに依存して、フレーム周期における多数のサブフィールドの間に「オン」又は「オフ」のいずれかにされる場合がある。サブフィールドは、フレーム周期内の時間インターバルである。
【0005】
しかし、発光している素子に関連する多数の選択ラインを含む大型ディスプレイをアドレス指定するための時間で行を利用するとき、1つの行をアドレス指定又は選択するための利用可能なアドレス指定時間は、サブマイクロ秒のオーダである場合がある。これらの非常に短いアドレス指定時間を扱うため、マルチラインアドレス指定(MLA: MultiLine Addressing)スキームが好ましい。MLAスキームは、結合されたライン又は行アドレス指定アプローチとも呼ばれる。サブフィールド間のMLAスキームの停止時間は、適切なアルゴリズムにより最小にされる。かかるアプローチは、たとえばEP出願01204541.5に開示されている。このテキストでは、MLAは、PWMアドレス指定の種であると考えられる。
【0006】
PWM技術の問題は、ディスプレイのための最適なレンジのグレースケールレベルを提供しないことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、PWMアドレス指定されたディスプレイのグレイスケールのレベル数を大幅に拡張することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、表示装置を提供することで達成され、本表示装置は、複数の発光素子及び該発光素子にパルス幅変調(PWM)信号を供給するためのデータラインをもつディスプレイと、フレーム周期の時間インターバルの間、時間インターバルのうちの第一のインターバルの間の発光素子の第一の非ゼロの発光レベルと、時間インターバルのうちの第二のインターバルの間の第二の非ゼロの発光レベルとを少なくとも生成する、前記データラインに結合される手段と、を有している。
【0009】
第一及び第二の非ゼロレベルのつぎに、ゼロレベル及び更なる非ゼロレベルが存在する場合がある。
大きな重みをもつサブフィールドが要求されるとき、時間インターバルを増加するよりはむしろ、第一の発光レベルよりも高い第二の発光レベルが利用される場合があり、時間インターバルを増加することなしに、生成されるべき大きな重みのサブフィールドを生成可能である。
【0010】
サブフィールドの期間がこのやり方で短縮されるので、より多くのフィールドがフレーム周期の間に生成され、ディスプレイのための拡張された数のグレイスケールのレベルを生じる。生成手段は、データドライバ、表示されるべき画像に関する情報を受け、データドライバを駆動するための駆動信号及びタイミング信号を決定するための制御ユニットを有している場合がある。ディスプレイは、アクティブマトリクス型ディスプレイであることが好ましい。かかるディスプレイは、複数の発光素子の一部が発光するのを可能にし、別の部分がアドレス指定又は消去される。このことは、発光素子のそれぞれが、たとえばキャパシタといった記憶素子と共に薄膜トランジスタのような能動素子を含むために可能とされる。
【0011】
実施の形態では、マルチラインアドレス指定スキームが適用され、この適用により、フレーム周期内の停止時間の更なる低減となり、これにより、光を発生するための更に多くの時間インターバルが可能となり、より多くのグレイレベルを生成することができる。
【0012】
また、生成手段は、複数の発光素子の一部を選択するための行選択回路を有する場合がある。
好ましくは、PWMアドレス指定スキームの時間インターバルは、二進の重み付け期間を有している。これらの時間インターバルは、それらの期間に関して混合された順序で配列される場合があり、すなわち、長い期間又は短い期間の時間インターバルは、フレーム周期の最適な利用を達成するため、互いに隣り合う場合がある。好ましくは、発光レベルのそれぞれは、二進の重み付けの期間を有する時間インターバルのセットに関連される。
【0013】
本発明の実施の形態では、発光素子の発光レベルは、データラインを介して提供される。好ましくは、これは、フレーム周期の間に最初の全ての時間インターバルが第一の発光レベルについて、その後に第二の発光レベル等について順次に処理される、シーケンシャルモードで行われる。この駆動スキームは、電圧プログラム及び電流プログラム発光素子の両者について適切である。
【0014】
混合モードでは、放出レベルに関連する時間インターバルは、所望のようにフレーム周期内に分散される場合があり、たとえば、第一の発光レベル及び第二の発光レベルがそれぞれの時間インターバルについて交互に利用される。この駆動スキームは、電圧プログラム及び電流プログラム発光素子の両者について適切である。電流プログラム発光素子について、この実施の形態では、発光素子の発光レベルがフレーム周期内で頻繁に変化する場合があるので、幾つかの独立な電流源を利用することが好ましい。かかるケースでは、電流源は短時間での様々な電流振幅の間で十分に正確に切り替えることが一般に不可能であるので、単一の電流源は適切ではない。
【0015】
電流プログラマブル発光素子について、データラインにおける寄生容量による遅延を克服するため、電流を適用する前にデータラインを適切な電圧レベルにすることが有利である場合がある。
【0016】
第一又は第二の供給電圧を発光素子に結合するために電力ラインを使用する駆動スキームは、電圧プログラム発光素子について特に適している。
さらに、本発明は、先のパラグラフに記載された表示装置を有する電子装置に更に関する。かかる電子装置は、モバイルフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、又はポータブルコンピュータのようなハンドヘルド装置、若しくは、パーソナルコンピュータ、コンピュータモニタ、たとえば自動車のダッシュボード上のテレビジョンセット又はディスプレイのような装置に関連する場合がある。
【0017】
本発明は、添付図面を参照して更に例示され、これらの添付図面は、本発明に係る好適な実施の形態を示している。本発明に係る装置及び方法は、これら特定及び好適な実施の形態に限定されないことを理解されたい。異なる図面における同じ参照符号は、同じ構成要素を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、行4及び列5からなるマトリクスに配置される、複数の発光素子すなわち表示画素3を有するディスプレイ2を有する電子装置1を示している。
【0019】
図2は、図1に示されるような電子装置1のディスプレイ2を有する、表示装置6の概念的な例示を示している。ディスプレイ2は、行選択回路7及びデータドライバ8を有している。(ビデオ)画像のような情報又はデータは、ライン9を介して受信され、ディスプレイ2に表示されるものであって、制御ユニット10に入力され、この情報又はデータは、制御ユニット10によりライン11を介してデータドライバ8の適切な部分に続いて転送される。表示画素3の行4の選択は、選択ライン12を介して行選択回路7により実行される。データは、データライン13を介してデータドライバ8から表示画素3に書き込まれる。
【0020】
さらに、制御回路10は、電力ライン14を介して表示画素3の電力供給を制御する。
【0021】
図3は、ディスプレイ技術におけるグレイスケールのレベルを形成するためのパルス幅変調(PWM)のタイミングチャートを示している。図3では、ディスプレイ2の8つの矢印4のみが垂直方向で示されており、水平方向では、それぞれの行の状態が時間tの関数として示されている。フレーム周期の一部のみが示されている。フレーム周期は、表示されるべきグレイスケールのレベルの数に従って異なる期間のサブフィールド又は時間インターバルSFに分割される。図3は、SF1及びSF2により示される、8つの矢印4についてのフレーム周期の2つの時間インターバル又はサブフィールドを示しているだけである。時間インターバルSFでは、幾つかの状態が表示画素3について区別されており、すなわち、アドレッシング(ハッチングされたブロック)、バーニング(黒のブロック)、イレージング(点のブロック)、及びデッドタイム(白のブロック)である。フレーム周期の時間インターバルSFが2進の重み付けされた分布を有する場合、時間インターバルは、グレイスケールのレベル数のビット表現を表している。たとえば、フレーム周期が6つの2進の重み付けされた時間インターバルSF1,...,6に分割された場合、SF1は、グレイスケールのビットレベル1を表し、SF2は、グレイスケールのビットレベル2を表し、SF3はビットレベル4を表し、SF4はビットレベル8を表し、SF5はビットレベル16を表し、さらに、SF6はビットレベル32を表しており、26=64の可能なグレイスケールのレベル(=6ビット)を全体的に生じる。
【0022】
480の行4、フレーム時間20msを有するディスプレイ2について、64グレイスケールのレベルによれば、サブフィールドSF1について0.65マイクロ秒の利用可能な時間インターバルとなる。
【0023】
図4は、PWMとの組み合わせでマルチライン行アドレス指定(MLA)を利用したタイミングチャートを示している。明らかに分かるように、MLAでは、行4について、時間インターバルSF間のデッドタイム(停止時間)の量は、可変であり、適切なアルゴリズムを適用することで最小にすることができる。結果として、フレーム周期における利用可能な時間は、より効率的に使用される。なお、最も効率的な結果を得るため、フレーム周期内での時間インターバルをシャッフル又は混合することが好ましい場合がある。このことは、先のパラグラフの例では、時間インターバルのシーケンスは、必ずしもSF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6である必要はなく、たとえばSF3、SF1、SF6、SF4、SF2、SF5の場合もあることを意味している。
【0024】
図5は、電圧プログラム画素回路15における、本発明の第一の実施の形態を示している。ディスプレイ2の単一の表示画素3のみが示されており、トランジスタT1(スイッチとして描かれている)及びT2、キャパシタC並びにLEDを有している。表示画素3は、選択ライン12を介して選択され、データライン13を介してデータが供給される。表示画素3は、パワーライン14を介して電圧が印加される。選択ライン12を通して供給される選択信号は、右側の図に表されており、ここで、オン状態は、アドレッシング(アドレス指定)AD及びイレージング(消去)ERを連続して示している。データライン13を通して供給されるデータは、右の図における「オフ」及び「オン」により表される、トランジスタT2を完全に開くか、完全に閉じることができる電圧であり、すなわち、T2はスイッチとして振る舞い、LEDの発光レベルは、電力ライン14にわたり供給される電圧に依存する。異なる電圧は、LEDの異なる発光レベルを生じる。この作用は、フレーム時間内でグレイスケールのレベル数を拡張するために使用される。図5では、PWM信号は、第一の時間インターバルSF1の間、選択ライン12を介して表示画素3に供給され、表示画素3は、V1により示される(第一の放出レベルに対応する)第一の放出状態にされ、同じ期間の続く時間インターバルSF1において、V2により示される(第二の放出レベルに対応する)第二の放出状態にされる。このことは、右の図で示されている。これらのイベントは、次の時間インターバルSF2で繰り返され(図示せず)、バーニングは、時間インターバルSF2において再びV1及びV2で続いて実行される。nのパワーレベルがパワーライン14にわたり利用可能である場合、すなわちマルチレベルパワーアドレッシング(MPA)の場合、1フレーム周期におけるNの時間インターバルSFのシーケンスは、たとえば、SF1(V1),SF1(V2),SF1(V3)...SF1(Vn);SF2(V1)...SF2(Vn);...;SFN(V1)...SFN(Vn)これは、混合モードの例であり、LEDの放出状態は繰返し変化される。
【0025】
MPAアプローチでは、個々の時間インターバルSFは、実際に、1回の代わりにn回使用される。結果として、グレイスケールのレベルのビット数は、ファクタnにより最良に拡張される。図6は、8つの行4のディスプレイ2のタイミングチャートを示しており、SF1の間、表示画素3について第一の放出状態V1(ライトグレイブロック)が利用され、続いて、続く同じ時間インターバルSF1の間、第二の放出状態V2が利用される。
【0026】
図7では、1つの矢印4で、16のグレイスケールレベル(=4ビット)のPWMアドレス指定スキームについて、シーケンシャルモードでMPAを利用した概念的なタイミングチャートが表示されている。シーケンシャルモードでは、第一の放出状態V1の最初の全ての時間インターバルSFは、選択ライン12を通して供給され、続いて、第二の放出状態V2の全ての時間インターバルSFが続く。なお、時間インターバルSFは、必ずしも時間の期間に従って順序付けされる必要はなく、フレーム周期の更に効果的な利用を提供する場合には混合される場合もある。図7では、数は、時間インターバルSF1...SF4に関連するグレイスケールのレベル数を示している。第二の放出状態V2における表示画素3の放出レベルL(V2)がフレーム周期におけるグレイスケールのレベル数、すなわち第一の放出状態における発光素子の放出レベルL(V1)の16倍、に等しいように、第二の放出状態V2が選択される。上のタイミング図では、MPAは、シーケンシャルモードで利用される。たとえばグレイスケールのレベル100を達成するため、フレーム周期で表示画素3に選択ライン12を通してハッチングされたビットを提供することは十分である。最大数のグレイレベルは、1つのフレーム周期において256である。比較のため、下のタイミングチャートは、MPAのない状況を示している。このケースでは、同じ時間量は、1つのフレーム周期において32のグレイスケールのレベルのみを可能にしている。より一般的に、nのパワーレベルがパワーライン14を通して利用可能である場合、すなわちマルチレベル電力アドレス指定(MPA)の場合、シーケンシャルモードの1フレーム期間におけるNの時間インターバルのシーケンスは、SF1(V1),SF2(V1),SF3(V1)...SFN(V1);SF1(V2)...SFN(V2);...;SF1(Vn)...SFN(Vn)である。
【0027】
図8は、混合モードにおけるマルチレベル列アドレス指定(MCA)を利用した、電圧プログラム画素回路15における、本発明の第三の実施の形態を示している。選択信号は、右の図に示されるように選択ライン12を通して印加される。この実施の形態では、右の図に示される、データライン13を通して列電圧を変えることで、更なるグレイスケールのレベルが生成される。表示画素3について電力ライン14を通して供給される電力レベルは、一定に保持される。しかし、MPA及びMCAは、1つのアドレス指定スキームの両者において利用することができる。この実施の形態では、セミデジタルアプローチが採用され、制限された量の電圧レベルはT2をスイッチオフにするための電圧レベルを含むトランジスタT2のゲートに印加することができる。T2は、図5におけるケースのようにスイッチとしてもはや機能しないが、LEDがデータレベルC1で駆動され、データレベルC2でスイッチとしての役割を果たすようにセミアナログコンポーネントである。なお、この状態は、現在使用されている高分子材料により、電圧駆動LEDの寿命が短いため、LEDの品質低下の観点から利益がある。
【0028】
LEDの発光状態は、データライン13を通してT2のゲートに印加される電圧の数により決定される。図5におけるように、図8では、好適な実施の形態は、データライン13を通して、それぞれの時間インターバルSFの間、表示画素3についてC1に関連される第一の放出状態を提供し、C2に関連する第二の放出状態を提供することで、グレイスケールのレベル数を2倍にしている。レベルC1及びC2は、状態C2でのLEDの光放出レベルL(C2)が、状態C1での光放出レベルL(C1)のグレイスケールのレベル数倍したものに等しいように選択されるのが好ましい。たとえば、PWMが4ビットである場合、マルチレベル列アドレス指定(MCA)を適用することで、256のグレイスケールのレベルが生じる。一般に、nの電圧レベルがデータライン13を通して利用可能である場合、すなわちマルチレベル列アドレス指定(MCA)である場合、混合モードについて、たとえばSF1(C1),SF1(C2),SF1(C3)...SF1(Cn);SF2(C1)...SF2(Cn);...;SFN(C1)...SFN(Cn)である場合がある。図9は、PWM−MLA−MCAアドレス指定スキームを利用したタイミングチャートを示している。ライトグレイのブロックは、第一の放出状態C1を表し、黒のブロックは、第二の放出状態C2を表している。
【0029】
図5のように、図8は、シーケンシャルモードでも利用することができ、一般的なケースでは、シーケンスSF1(C1),SF2(C1),SF3(C1)...SFN(C1);SF1(C2)...SFN(C2);...;SF1(Cn)...SFN(Cn)を生じる。
【0030】
マルチプル列アドレス指定(MCA)スキームは、電流プログラマブル画素回路にも利用することができる。図10は、スイッチド電流ミラー回路を有する公知の電流プログラマブル画素回路16を示している。電流ミラーは、他のタイプの電流ミラー回路を使用して動作する場合もある。データライン13は、フレーム周期におけるnの異なる放出状態にLEDをアクチベートするため、nの電流レベルI1…Inを提供するために使用することもできる。ゼロレベルは、高速であるために好ましい電圧レベルであるか、アドレス指定又は消去の間にLEDをデアクチベートするための電流レベルのいずれかとすることができる。アドレス指定又は消去の間、スイッチトランジスタT0及びT3がオンであり、スイッチトランジスタT4がオフであり、駆動トランジスタT11は、電流Iiを駆動するためにプログラムされる。バーニング期間では、T0及びT3はスイッチオフであり、T4はオンであり、T11は、電流IiをLEDに転送する。
【0031】
好適な実施の形態では、n=2、すなわち電流I1が第一の放出状態と関連され、電流I2が表示画素の第二の放出状態と関連される。電流I2は、第二の放出状態における光放出レベルL(I2)が第一の放出状態における光放出レベルL(I1)の第一の放出状態のグレイスケールのレベル数の倍数であるように選択されることが好ましい。図10に記載の回路は、好ましくは、シーケンシャルモードで動作され、これにより、シーケンスSF1(I1),SF2(I1),SF3(I1)...SFN(I1);SF1(I2)...SFN(I2);...;SF1(In)...SFN(In)を生じる。図10に示される実施の形態は、電流源が正確な電流レベル間で迅速に切り替えることが通常は不可能であるため、混合されたモードについて適切ではない。
【0032】
電流プログラマブル画素回路についてMCAスキームを利用する混合されたモードを可能にするため、データライン13を通して適切な電流の振幅を提供する、幾つかの独立な電流源を使用することが好ましい。図11では、かかる変更された電流プログラマブル画素回路17が示されており、データライン13を通して電流I1及びI2を提供する2つの独立な電流源を有している。スイッチトランジスタS1及びS2は、ライン18を通して制御ユニット10により制御されるものであって、適切な時間インターバルSFにおいて電流I1及びI2をそれぞれ供給するために適合される。他の電流は、ダンピングユニット19において投棄される。4ビットのPWMアドレス指定スキームについて、混合モードでは、スキームは、SF3(I1),SF3(I2),SF2(I1),SF2(I2),SF4(I1),SF4(I2),SF1(I1),SF1(I2)を読み出す場合がある。なお、このシーケンスでは、時間インターバルは、それらの期間に関して混合され、フレーム周期の効率的な使用について好ましい場合がある。
【0033】
電流プログラマブル画素回路16,17は、寄生的な結合によるタイミングの問題に苦しむことが知られている。電流パルスが表示画素2に書き込まれるとき、表示画素3の列に対応するデータライン13の寄生キャパシタンスは、はじめに充電されることになる。このキャパシタンスは、著しくハイレベルであって、ディスプレイ2のサイズに依存する。図10及び図11に示される電流プログラマブル画素回路16,17は、データライン13をプリチャージするのに適しており、すなわち電流を供給する前にデータラインを適切な電圧にするのに適している場合がある。このプリチャージは、制御ユニット10を介してデータドライバ8により管理することができる。
【0034】
先に記載された実施の形態は、本発明を制限するよりはむしろ例示するものであって、当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなしに代替的な実施の形態を設計することが可能である。請求項では、括弧間に位置される参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する“comprise”」及びその派生語の使用は、請求項で述べた構成要素又はステップ以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。エレメントに先行する冠詞“a”又は“an”は、複数のかかるエレメントの存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの個々のエレメントを含むハードウェアにより、適切にプログラムされたコンピュータにより実現される場合がある。幾つかの手段を列挙する装置の請求項では、多数のこれらの手段は、同一アイテムのハードウェアにより実施される場合がある。所定の手段が相互に異なる従属の請求項で引用される事実は、これらの手段の組み合わせが利用することができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係るディスプレイを有する電子装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るアクティブマトリクス用の表示装置を示す図である。
【図3】従来技術に係るパルス幅変調(PWM)を表す概念的なタイミングチャートである。
【図4】従来技術に係るMLAスキームを利用したパルス幅変調を表す概念的なタイミングチャートである。
【図5】混合モードにおけるマルチレベル電力アドレス指定(MPA)を利用した電圧プログラム画素回路における本発明の第一の実施の形態を示す図である。
【図6】図5に示される実施の形態のマルチレベル電力アドレス指定(MPA)を利用したパルス幅変調を表す概念的なタイミングチャートである。
【図7】シーケンシャルモードにおけるマルチレベル電力アドレス指定(MPA)を利用した、本発明の第二の実施の形態の概念的なタイミングチャートである。
【図8】混合モードにおけるマルチレベル列アドレス指定(MCA)を利用した、電圧プログラム画素回路における、本発明の第三の実施の形態を示す図である。
【図9】図8に示される実施の形態についてマルチレベル列アドレス指定(MCA)を利用した、パルス幅変調を表す概念的なタイミングチャートである。
【図10】電流プログラム画素回路における本発明の第四の実施の形態を示す図である。
【図11】変更された電流プログラム画素回路における本発明の第四の実施の形態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子、及び該発光素子にパルス幅変調信号を供給するためのデータラインをもつディスプレイと、
前記データラインに結合され、フレーム周期の時間インターバルの間に、該時間インターバルのうちの第一のインターバルの間の発光素子の第一の非ゼロの放出レベルと、前記時間インターバルのうちの第二のインターバルの間の第二の非ゼロの放出レベルを少なくとも生成する手段と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ディスプレイは、選択ラインを更に有し、それぞれの選択ラインは、前記複数の発光素子の一部に結合され、前記生成する手段は、マルチラインアドレス指定スキームを前記データライン及び前記選択ラインに適用するために前記選択ラインに更に結合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記生成する手段は、任意の順序で二進の重み付けされた期間の時間インターバルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記生成する手段は、シーケンシャルモードで前記データラインを介して第一の放出レベルと第二の放出レベルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記生成する手段は、混合モードで第一の放出レベルと第二の放出レベルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記生成する手段は、制御ユニットと、前記第一の放出レベルを生成する第一の電流源と前記第二の放出レベルを生成する第二の電流源とを有するデータドライバを有する、
請求項3記載の表示装置。
【請求項7】
前記生成する手段は、前記第一及び第二の電流源のうちの一方を前記データラインのうちの1つに結合する前に前記データラインをプリチャージするために適合される、
請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
前記第一の放出レベルを生成するために第一の供給電圧を前記複数の発光素子に結合し、前記第二の放出レベルを生成するために第二の供給電圧を前記複数の発光素子に結合するための電力ラインを更に有する、
請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記生成する手段は、多数の時間インターバルの選択可能な組み合わせにより乗じられる前記第一の放出レベルに実質的に等しいレベルで前記第二の放出レベルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
請求項1記載の表示装置を有する電子装置。
【請求項11】
複数の発光素子と該発光素子に結合されるデータラインとをもつディスプレイを有する表示装置を駆動するための方法であって、
パルス幅変調信号を前記データラインに供給するステップと、
フレーム周期の時間インターバルの間に、パルス幅変調信号と同期して、前記時間インターバルのうちの第一のインターバルの間の発光素子の第一の非ゼロの放出レベルと前記時間インターバルのうちの第二のインターバルの間の第二の非ゼロの放出レベルとを少なくとも生成するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項1】
複数の発光素子、及び該発光素子にパルス幅変調信号を供給するためのデータラインをもつディスプレイと、
前記データラインに結合され、フレーム周期の時間インターバルの間に、該時間インターバルのうちの第一のインターバルの間の発光素子の第一の非ゼロの放出レベルと、前記時間インターバルのうちの第二のインターバルの間の第二の非ゼロの放出レベルを少なくとも生成する手段と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ディスプレイは、選択ラインを更に有し、それぞれの選択ラインは、前記複数の発光素子の一部に結合され、前記生成する手段は、マルチラインアドレス指定スキームを前記データライン及び前記選択ラインに適用するために前記選択ラインに更に結合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記生成する手段は、任意の順序で二進の重み付けされた期間の時間インターバルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記生成する手段は、シーケンシャルモードで前記データラインを介して第一の放出レベルと第二の放出レベルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記生成する手段は、混合モードで第一の放出レベルと第二の放出レベルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記生成する手段は、制御ユニットと、前記第一の放出レベルを生成する第一の電流源と前記第二の放出レベルを生成する第二の電流源とを有するデータドライバを有する、
請求項3記載の表示装置。
【請求項7】
前記生成する手段は、前記第一及び第二の電流源のうちの一方を前記データラインのうちの1つに結合する前に前記データラインをプリチャージするために適合される、
請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
前記第一の放出レベルを生成するために第一の供給電圧を前記複数の発光素子に結合し、前記第二の放出レベルを生成するために第二の供給電圧を前記複数の発光素子に結合するための電力ラインを更に有する、
請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記生成する手段は、多数の時間インターバルの選択可能な組み合わせにより乗じられる前記第一の放出レベルに実質的に等しいレベルで前記第二の放出レベルを生成するために適合される、
請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
請求項1記載の表示装置を有する電子装置。
【請求項11】
複数の発光素子と該発光素子に結合されるデータラインとをもつディスプレイを有する表示装置を駆動するための方法であって、
パルス幅変調信号を前記データラインに供給するステップと、
フレーム周期の時間インターバルの間に、パルス幅変調信号と同期して、前記時間インターバルのうちの第一のインターバルの間の発光素子の第一の非ゼロの放出レベルと前記時間インターバルのうちの第二のインターバルの間の第二の非ゼロの放出レベルとを少なくとも生成するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−523328(P2006−523328A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506787(P2006−506787)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050356
【国際公開番号】WO2004/088568
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050356
【国際公開番号】WO2004/088568
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]