表示装置
【課題】発光素子を有する表示装置において、ディスプレイの焼き付きによる映像の劣化を伴わずに階調を調整することを可能とする。
【解決手段】電気光学素子の生成する光強度を制御する画素部をマトリクス上に配置した表示部と、データラインにデータを供給するデータドライバと、ゲートラインに選択信号を供給するゲートドライバとを備え、各画素部に対する映像データを出力する映像データ処理部20と、各画素部に対する映像データ又は前記映像データの出力履歴に基づいて補正データを算出して出力する補正データ処理部21と、表示部における1フレームの表示期間を映像期間と補正期間とに分割して、映像期間には映像データを表示し、補正期間には補正データを表示すべくデータを切り替えて出力するマルチプレクサ22とを含むコントローラ8を備えることにより上記課題を解決することができる。
【解決手段】電気光学素子の生成する光強度を制御する画素部をマトリクス上に配置した表示部と、データラインにデータを供給するデータドライバと、ゲートラインに選択信号を供給するゲートドライバとを備え、各画素部に対する映像データを出力する映像データ処理部20と、各画素部に対する映像データ又は前記映像データの出力履歴に基づいて補正データを算出して出力する補正データ処理部21と、表示部における1フレームの表示期間を映像期間と補正期間とに分割して、映像期間には映像データを表示し、補正期間には補正データを表示すべくデータを切り替えて出力するマルチプレクサ22とを含むコントローラ8を備えることにより上記課題を解決することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブマトリクス型表示装置に関し、特に、エレクトロルミネッセンス素子を含むアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイは自発光型であり、応答が速く、明るく、高視野角である。したがって、次世代のディスプレイとして注目されている。特に、アクティブマトリクス型有機ELディスプレイは、高精細化が可能であるため、携帯端末から大型TVなど用途に適用できるので実現への期待が大きい。
【0003】
有機ELディスプレイでは、画素を形成する有機EL素子の発光を制御するために有機EL素子に流す電流を制御する駆動素子が必要となる。駆動素子として、例えば、TFT(Thin Film Transistor)が用いられている。特に、低温ポリシリコンTFTは、移動度が比較的高く、高速動作が可能であり、また、比較的長時間安定していることから、有機ELを駆動する駆動素子として適していると考えられている。
【0004】
また、最近では有機ELを駆動する駆動素子として、比較的安価に、かつ大面積に形成可能なアモルファスシリコンTFTを用いる試みもなされている。
【0005】
両者にはそれぞれ長所と短所がある。低温ポリシリコンTFTは、安定かつ高移動度であるが、飽和領域で用いた場合に特性の均一性に問題がある。逆に、アモルファスシリコンTFTは特性の均一性は優れるが、安定性が乏しく、移動度が低いという問題がある。
【0006】
低温ポリシリコンTFTを用いて有機ELディスプレイを形成した場合、特性の均一性に乏しいため、輝度ムラが生じやすいが、TFTをスイッチとして用い、有機EL素子をオンオフさせて階調を調整する方法を用いれば均一性を改善できる。しかし、この場合、有機EL素子は電圧が印加されるか否かで制御されるため、高輝度で長時間発光させ続けることに伴う素子の劣化、すなわち素子が高抵抗化することにより、焼き付きとなって画質が劣化し易いといった欠点がある。
【0007】
一方、アモルファスシリコンTFTを用いて有機ELディスプレイを形成すると、飽和領域で用いた場合においても均一性に優れるので輝度ムラは生じにくい。しかしながら、安定性に乏しいので、やはり長時間動作に伴うTFTの劣化により、焼き付きとなって画質が劣化し易い。
【0008】
したがって、いずれのTFTを用いてもディスプレイの長時間動作を保証するためには、この焼き付きを抑制する工夫が必要となる。例えば、特許文献1には焼き付きを抑制するための技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−228329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
階調を調整して焼き付きによる影響を補正するためには、映像を表示するための表示範囲に加えて補正のための補正範囲もあらかじめ考慮して信号のダイナミックレンジを設定しておく必要がある。例えば、5Vを映像表示範囲とし、補正範囲としてさらに5Vを見込んでおくとすれば、全体で10Vのダイナミックレンジが必要となる。映像表示範囲である5Vを8ビット(256階調)で表現した場合、補正範囲を含む信号のダイナミックレンジである10Vを表すためには9ビット(512階調)程度が必要となる。
【0011】
通常、このようなビット(階調)の変換手段は、専用のIC(Integrated Circuit)によって提供される。すなわち、補正機能を導入するとすれば、新たに広範囲のダイナミックレンジを実現することができる専用のICを開発しなければならず、開発コストがかかり、また、IC自体も高価となってしまう。
【0012】
さらに、例えば、デジタル駆動による補正では、理由は後述するが、補正処理によって擬似輪郭と称されるノイズが発生し易くなり、視認性を著しく低下させる原因となる。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、上記課題の少なくとも一つを解決することができる自発光素子を有するアクティブマトリクス型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電気光学素子と、ゲートラインに供給される選択信号とデータラインに供給されるデータ値に応じて前記電気光学素子の生成する光強度を制御する画素部と、をマトリクス上に配置した表示部と、前記データラインにデータを供給するデータドライバと、前記ゲートラインに選択信号を供給するゲートドライバと、を備える表示装置であって、外部から入力される映像信号に応じて各画素部に対する映像データを出力する映像データ処理部と、各画素部に対する前記映像データ又は前記映像データの出力履歴に基づいて補正データを算出して出力する補正データ処理部と、前記表示部における1フレームの表示期間を映像期間と補正期間とに分割して、前記映像期間には前記映像データを表示し、前記補正期間には前記補正データを表示すべくデータを切り替えて出力するマルチプレクサと、を含むコントローラを備えることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記電気光学素子は発光素子とすることができる。例えば、自発光式のエレクトロルミネッセンス素子とすることができる。
【0016】
また、前記画素部は、発光素子と、前記データラインに供給されるデータ値に応じて前記発光素子の発光を制御する駆動トランジスタと、前記ゲートラインに供給される選択信号により、前記駆動トランジスタへの前記データラインのデータ値の供給を制御するゲートトランジスタとを各々含むことが好適である。
【0017】
ここで、前記データラインに供給されるデータは、前記駆動トランジスタの電流を複数生成するデータが供給されることが好適である。例えば、前記データラインに供給されるデータは、前記駆動トランジスタをオンするデータとオフするデータの2種のデータが供給されることが好適である。
【0018】
また、前記ゲートドライバは、各ラインに少なくとも1つ備えられた選択データを転送するシフトレジスタと、各ラインに少なくとも1つ備えられた前記選択データをイネーブルするイネーブル回路と、前記イネーブル回路を制御するn(nは2以上の整数)本のイネーブル制御ラインと、を有し、前記イネーブル回路はnライン置きに同じイネーブル制御ラインに接続されることが好適である。
【0019】
ここで、前記ゲートドライバは、nで割った余りが互いに異なるラインに選択データが入力され、n本のイネーブル制御ラインの未だアクティブにされていないいずれか一つをアクティブにすることでゲートラインを選択し、前記データドライバは、イネーブル制御ラインによって選択されるゲートラインの映像データを出力する。
【0020】
また、前記マルチプレクサは、前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正期間には補正データを出力することが好適である。例えば、前記マルチプレクサは、前記イネーブル制御ラインによって、前記映像データを書き込むために選択される期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正データを書き込むために選択される期間には、補正データを出力する。
【0021】
また、前記マルチプレクサは、前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データの一部を表示すべく選択出力し、前記補正期間には、前記映像データの残り及び前記補正データ処理部から出力される補正データを表示すべく選択出力することも好適である。また、前記マルチプレクサは、前記補正期間には、前記補正データ処理部から出力される補正データの一部を表示すべく選択出力し、前記映像期間には、前記補正データの残り及び前記映像データ処理部から出力される映像データを表示すべく選択出力することも好適である。
【0022】
また、前記補正データ処理部は、各画素部における発光素子の発光強度の累積値を算出し、当該累積値に応じて各画素部に対して前記補正データを算出することが好適である。例えば、前記補正データ処理部は、揮発性メモリを備え、各画素部を複数の更新順カテゴリーのいずれか1つに分類し、各画素部に対して算出された前記累積値を更新順カテゴリー毎に時系列的に分割して前記揮発性メモリに記憶させる。
【0023】
また、例えば、前記補正データ処理部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、前記揮発性メモリ内に保持されている各画素部に対して算出された前記累積値を、揮発性メモリと異なるタイミングで不揮発性メモリに更新させてもよい。また、例えば、前記補正データ処理部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、画素部の現在の発光強度及び当該画素部に対して算出された前記累積値から、当該画素において、発光強度が高く、発光期間が長いと判断される場合に前記揮発性メモリ及び前記不揮発性メモリの少なくとも1つを更新させてもよい。
【0024】
また、前記コントローラは、前記表示部へ供給される電流値を測定する電流モニタを備え、前記映像データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記映像データを補正し、前記補正データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記補正データを補正することが好適である。
【0025】
また、具体的な回路構成として、前記発光素子のアノードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることが好適である。
【0026】
また、前記発光素子のアノードは第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることも好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、自発光素子を有するアクティブマトリクス型表示装置において、ディスプレイの焼き付きによる映像の劣化を伴わずに階調を調整することができる。また、ディスプレイの寿命を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(焼き付き補正)
まず図11A,11B,11Cを用いて、焼き付き補正の一般的な考え方を説明する。
【0029】
図11Aに示されるように、背景となる映像Aに重ね合わせて映像Aよりも輝度の高い映像Bを長時間表示すると、輝度がΔLだけ低下した意図しない映像Axが現れる。この映像Axは、焼き付きにより画像中の一部の輝度がΔLだけ低下したものであり、有機EL素子の発光効率の低下,駆動TFTの素子劣化,有機EL素子に電圧を印加するか否かで階調を制御するデジタル駆動等を原因とする有機EL素子の高抵抗化による電流減少によるものと考えられる。
【0030】
この後、図11Bに示すように、背景となる映像Aに重ね合わせて新たな映像Cが表示された場合、焼き付き映像Axが残ってしまうために映像Cの視認性が著しく低下してしまう。そこで、図11Cに示すように、新たな映像Cに加えて、焼き付きによって低下した輝度ΔLを補う映像dAを重ね合わせて表示することによって焼き付きによる影響をキャンセルし、映像Cの視認性を維持することができる。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1に、本発明の第1の実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の全体構成図を示す。アクティブマトリクス表示装置1は、それぞれ有機EL素子を含む画素回路7がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクスアレイ2、データライン5の電位を制御するデータドライバ3、ゲートライン6の電位を制御するゲートドライバ4及びデータドライバ3,ゲートドライバ4を制御するコントローラ8を含んで構成される。コントローラ8から供給されるタイミング信号により、ゲートドライバ4が選択したゲートラインに接続される画素に、データドライバ3により供給されるデータが書き込まれ、各画素が所望の発光強度を示すように制御される。また、アクティブマトリクスアレイ2からの電流はコントローラ8にフィードバックされ、電流がモニタできるようになっている。
【0032】
アクティブマトリクスアレイ2は、通常ガラス基盤上に形成される。データドライバ3及びゲートドライバ4を低温ポリシリコンTFTで形成すると、データドライバ3及びゲートドライバ4をアクティブマトリクスアレイ2と同じガラス基盤上に形成できる。一方、データドライバ3及びゲートドライバ4をアモルファスシリコンTFTで形成する場合、データドライバ3及びゲートドライバ4を外部IC(Integrated Circuit)として形成してアクティブマトリクスアレイ2に接続することになる。
【0033】
図2に、画素回路7の等価回路を示す。駆動トランジスタ10は、ソース端子が全画素共通の電源線に接続されて電圧VDDに保持され、ドレイン端子が有機EL素子9のアノードに接続されている。また、駆動トランジスタ10のゲート端子は、保持容量12の一端及びゲートトランジスタ11のソース端子に接続されている。保持容量12の他端は電源線に接続され電圧VDDに保持される。有機EL素子9のカソードは、全画素共通のVSS端子に接続され電圧VSSに保持される。
【0034】
ゲートトランジスタ11は、ゲート端子がゲートライン6に接続され、ドレイン端子がデータライン5に接続される。ゲートライン6をアクティブ(High)にするとデータライン5に供給されたデータが保持容量12に書き込まれ、オフ(Low)にするとそのデータが保持容量12に保持され、次にアクセスされるまでそのデータが維持される。
【0035】
駆動トランジスタ10のゲート端子に駆動トランジスタ10がオンするのに十分な電圧値(オン電圧)が供給されると、有機EL素子9にVDD−VSSの電圧が印加されて有機EL素子9が発光する。一方、駆動トランジスタ10がオフするのに十分な電圧(オフ電圧)がゲート端子に供給されると、有機EL素子9には電圧が印加されないため有機EL素子9は発光しない。
【0036】
デジタル駆動では、この2つの状態のみを用いて発光期間を映像データに応じて変化させることにより多階調表示を行う。
【0037】
図3に、6ビットのデジタル駆動時の走査タイミングの例を示す。1フレーム期間は6つのサブフレームに分割されている。各サブフレームの表示期間T0〜T5は、概ねT0:T1:T2:T3:T4:T5=1:2:4:8:16:32となるように設定されている。図3にはT2、T3、T4、T0、T1、T5の順に走査している例が示されている。
【0038】
例えば第N−aラインに着目した場合について説明する。第N−aラインのある画素の表示データが6ビットデータ101001である場合、その画素の発光パルスは図3に示されるように、T5、T3、T0がオン、T4、T2、T1がオフとなり、発光強度41レベル(最大63レベル)の輝度が得られる。ここで、図3の期間Xに着目すると、第N、N−a、N−bラインはこの期間Xにおいてそれぞれサブフレーム2(表示期間T2)、サブフレーム3(表示期間T3)、サブフレーム4(表示期間T4)を開始する。このような制御を矛盾することなく行うためには、図4に示すようなゲートドライバを用いて、図5のタイミングチャートのように制御すればよい。
【0039】
図4のゲートドライバは、直列に接続された複数のシフトレジスタ13、各々のシフトレジスタ13のデータをイネーブルするイネーブル回路14、イネーブル回路14を制御するイネーブルラインE1、E2、E3を含んで構成される。各イネーブル回路14の出力が各ゲートラインに接続される。イネーブルラインE1は、第1、4、・・・、3*n+1ライン、E2は第2、5、・・・、3*n+2ライン、E3は第3、6、・・・、3*n+3ラインのイネーブル回路を制御する(ただし、nは0または正の整数である)。
【0040】
期間Xにおいて、第N、N−a、N−bラインのシフトレジスタに”1”、それ以外に”0”のデータが保持され、第Nライン(N=3*n+1)がE1、第N−aライン(N−a=3*n+2)がE2、第N−bライン(N−b=3*n+3)がE3で制御されるようにa、bが設定されているものとする。例えば、N=199、N−a=134、N−b=6となるようにa、bを設定すると、第NラインはE1、第N−aラインはE2、第N−bラインはE3で制御される。
【0041】
図5に示されるように、データライン5に第N、N−a、N−bラインのデータを順に出力し、それに同期させてE1、E2、E3を順にアクティブとすると、矛盾することなく、各N、N−a、N−bにそれぞれ第Nラインのサブフレーム2、第N−aラインのサブフレーム3、第N−bラインのサブフレーム4のデータが書き込まれる。
【0042】
以上、デジタル駆動の階調生成に関して簡単に説明したが、焼き付きを補正するためには焼き付きによって低下した輝度ΔLをデジタル駆動により生成しなければならない。図6に、焼き付き補正のための階調生成方法を示す。
【0043】
例えば、6ビットで表される階調におけるデータ”63”を表示する場合、焼き付きによって低下した輝度ΔLをデータ”1”で補正できるとすると、最終的にはデータ”63”+”1”=”64”が補正後のデータとして出力される。このデータ”64”を図6Aの方法で生成した場合を考える。なお、図6Aでは、7ビットで階調を表すデジタル駆動の駆動方法を示す。7ビットの階調再現性を有すると、最大127まで階調を再現することが可能である。したがって、6ビット映像の最大値”63”が有機EL素子の劣化により再生できなくなった場合でも補正することができる。
【0044】
第A、A+1ラインに着目すると、第Aラインの映像はMSBのみ”0”のデータ”63”であり、第A+1ラインの映像は補正された映像、MSBのみ”1”である”64”である。このとき、隣り合う第A、A+1ラインでは発光パルスは互いに逆位相の関係となっている。このような発光パルスを補正後に生成してしまうと、擬似輪郭と呼ばれるノイズが発生する。
【0045】
簡単にその原因を説明する。視線を第Aラインから第A+1ラインへ移動させると、データ”63”の発光を見た後、さらにデータ”64”の発光を見ることになるため、視覚には本来と異なる発光パルスが作用し、この場合明るく認識されてしまう。逆に、視線を第A+1ラインから第Aラインへ移動させると、データ”64”の無発光を見た後、データ”63”の無発光を見ることになるため、暗く認識される。2つのライン間における階調データの差はわずか1であるのに対して、画素の見え方は”127(点灯)”と”0(消灯)”という極端な差を生じる。そのため、映像に違和感が生じてしまい、補正本来の効果を損ねてしまう。そこで図6Bの方法で補正することを考える。
【0046】
図6Bは、1フレーム期間を映像期間と補正期間の二つに分割したデジタル駆動の駆動方法を示す。映像期間は映像データをそのまま表示する期間であり、補正期間は補正データを表示する期間である。
【0047】
第A,A+1ラインに着目すると、映像期間ではともにデータ”63”が表示されているが、補正期間では第A+1ラインのみデータ”1”が表示される。すなわち、第Aラインはデータ”63”、第A+1ラインはデータ”64”の映像が表示される。
【0048】
図6Aの補正方法と異なり、発光パルスが逆位相となることがないため、擬似輪郭は抑制され、補正本来の効果が期待できる。
【0049】
図7は、図6Bの補正方式を実現するためのコントローラ8の内部構成図である。コントローラ8は、映像データ処理部20、補正データ処理部21、マルチプレクサ22、第1〜第4フレームメモリ15,16,17,18、不揮発性メモリ19を含んで構成される。
【0050】
入力データは映像データ処理部20と補正データ処理部21に入力され、それぞれに処理された映像はマルチプレクサ22によって切り替えられる。マルチプレクサ22は、映像期間においては映像データ処理部20により処理された映像を出力し、補正期間においては補正データ処理部21で処理された映像を出力することで、図6Bに示される駆動を実現する。
【0051】
映像データ処理部20は、第1,第2フレームメモリ15、16を用いてデジタル駆動タイミングで各サブフレーム映像を生成する。補正データ処理部21は、第3,第4フレームメモリ17、18、不揮発性メモリ19を用いて補正データを生成する。一般に、フレームメモリ15,16,17,18としては高速に大容量のデータを読み書き可能なDRAM(Dynamic Random Access Memory)、不揮発性メモリ19としては大容量で安価なNAND型フラッシュ等を用いることが好適である。
【0052】
まず、映像データ処理部20によるサブフレームデータ生成過程について説明する。
【0053】
入力された映像データは、第1フレームメモリ15に一旦蓄積される。1フレームの映像が蓄積されると、1フレームの映像データの各ビットにランダムにアクセスが可能となる。図3に示されるように、第1ラインから順に第2ビットのデータをまず読み出していく。期間Xのように3つのラインを選択しなければならない期間では、図5に示されるように、まず第Nラインの第2ビットのデータ、次に第N−aラインの第3ビットのデータ、最後に第N−bラインの第4ビットのデータを順に読み出す。第1フレームメモリ15のデータを読み出している間、次のフレームの映像データは第2フレームメモリ16に蓄積され、さらに次のフレーム期間にその映像データは同様に読み出され、第1フレームメモリ15に次のフレームの映像データが蓄積される。第1,第2フレームメモリ15、16は、この動作を交互に繰り返し、滞りなく映像データを処理し、処理された映像データはマルチプレクサ22へ入力される。
【0054】
次に、補正データ処理部21の動作について説明する。図11に示すような焼き付き補正を行うためには現在までに表示した映像データの履歴が必要になる。図8に、補正データ処理部21で処理されるデータの流れを示す。
【0055】
ディスプレイを使用し始めた初期の段階では、不揮発性メモリ19には初期履歴データとして”0”が保持されている。ディスプレイの起動直後、不揮発性メモリ19に格納された映像履歴データは、補正データ処理部21を介して、第3フレームメモリ17及び第4フレームメモリ18へ格納される。これは一般に不揮発性メモリ19はアクセススピードが遅いため、高速にアクセス可能なフレームメモリ17,18に履歴データを格納しておくことが好ましいからである。
【0056】
第3フレームメモリ17には、ディスプレイの使用初期の段階では各画素の初期データ”0”、ある程度使用経過後には履歴データS(t−Δt,i,j)が各画素(i,j)に対応するアドレスA(i,j)に格納されている。ただし、i、jは正の整数、tはディスプレイ動作中の時刻を示す。
【0057】
入力映像データD(t,i,j)が1画素ずつ入力されると、補正データ処理部21は、第3フレームメモリ17を参照して、入力データの表示位置(i,j)に対応するアドレスA(i,j)の履歴データS(t−Δt,i,j)を1画素分読み込み、入力データD(t,i,j)に加算後、履歴データS(t,i,j)=D(t,i,j)+S(t−Δt,i,j)を生成し、同じアドレスA(i,j)に上書き格納する。このような処理をそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)のデータについて全画素で行う。その結果、第3フレームメモリ17には、ある時刻tにおいて、時刻0から時刻tまで各画素に入力されたデータの履歴データS(t,i,j)=ΣD(t,i,j)の値が格納されることになる。
【0058】
履歴データS(t,i,j)は、例えば、数〜数十フレーム毎に数画素分の比較的小規模データを不揮発性メモリ19の対応するアドレスA(i,j)へ上書きして更新される。このように書き込む情報量を減らすことでアクセススピードの遅い不揮発性メモリ19への更新が可能である。
【0059】
不揮発性メモリ19の履歴データはディスプレイ動作時に更新されるため、第4フレームメモリ18においても、数フレーム毎に数画素分のデータが不揮発性メモリ19から読み込まれ、こちらも更新される。ディスプレイ起動直後に読み込み及び更新された第4フレームメモリ18の履歴データは、ディスプレイ全動作時間tに特徴づけられる補正データ生成処理F(t)を施され、マルチプレクサ22へ入力される。マルチプレクサ22は、映像期間には映像データ処理部20から供給される映像Aを出力し、補正期間では補正データ処理部から供給される映像dAを出力することで映像A+dAを生成する。すなわち、図11において映像Aを出力した場合に低下する輝度△Lを補正映像dAが補う。
【0060】
ディスプレイの表示を終了する場合には、第3フレームメモリ17に格納された最新の履歴データは不揮発性メモリ19に書き込まれ、全画素分の履歴データは電源が入っていない場合も保持される。以上の処理を繰り返すことで履歴データを蓄積及び更新しながら補正期間に反映することができる。
【0061】
なお、通常、入力映像データはフレーム単位で常に変化することはあまりないため、数フレーム置きに第3フレームメモリ17に積算してもよいであろう。例えば、図9に示されるように、画素4×4を1ブロックとして、第3フレームメモリ17の履歴データを更新する場合を考える。
【0062】
第3フレームメモリ17を入力映像データで更新する順番を例えば図9のように設定した場合、kを0または正の整数とすると、第16*k+1フレームでは”1”が記された位置の画素データ、第16*k+2フレームでは”2”が記された位置の画素データ、第16*k+16フレームでは”16”が記された位置の画素データのみ第3フレームメモリ17の該当するアドレスに格納してある履歴データを積算する。このように制御すると、各画素は16フレーム毎に更新されることになり、データ処理を簡略化及び高速化することができる。
【0063】
ディスプレイが動作中に不揮発性メモリ19へ履歴データを更新する場合は、例えばあるフレーム間隔毎に数画素ずつ、順にすべての画素を更新してもよい。ただし、より劣化が著しいと推測される画素のみの履歴データを更新した方が処理を簡略化及び高速化できるので焼き付き防止に効果的である。
【0064】
例えば、第3フレームメモリ17から読み出したある画素(i,j)の履歴データS(t−Δt,i,j)が発光強度の高い映像を表示し続けており、その表示位置の入力映像データD(t,i,j)もやはり高い発光強度を示すデータが入力されつづけている場合、この画素は劣化が速いことが予測されるため、できる限り速く不揮発性メモリ19及び第4フレームメモリ18の履歴データを更新して、補正表示に反映することが望ましい。逆に発光強度の低い、暗い映像が多く表示されつづけている画素は劣化が遅いため、頻繁に更新する必要がない。そこで、不揮発性メモリ19のデータを更新する必要性の高い場合のみ履歴データを更新することで処理が簡略化される。補正に反映するためには、不揮発性メモリ19の履歴データは第4フレームメモリ18へ読み出されなければならないが、不揮発性メモリ19へ更新が行われた画素のみ読み出すことでこの処理を簡略化できる。
【0065】
図6Bに示される補正期間は、焼き付き補正処理のためだけでなく、映像期間に表示される映像で発生する擬似輪郭を抑制する処理を行う目的で用いても良い。
【0066】
図10に、映像期間に表示される擬似輪郭をも抑制可能な補正データ処理部21を示す。映像データ処理部20で処理した映像データAと補正データ処理部21で処理した補正データdAはマルチプレクサ22によりそれぞれ映像期間と補正期間に表示され、発光強度A+dAを与える必要がある。
【0067】
映像期間において表示される映像に擬似輪郭が発生する条件、すなわち発光パルスが概ね逆相となるデータが隣接する場合には、映像データAから擬似輪郭を抑制できるデータDを差し引き、補正データdAに加算することで発光強度を等しく保ちつつ、擬似輪郭、及び焼き付きを補正することができる。例えば”32”とそれに近い”31”、”30”、”29”等のいずれかのデータが隣接すると、ビットの並びはそれぞれ”100000”(”32”)、”011111”(”31”)、”011110”(”30”)、”011101”(”29”)であるため、発光パルスが逆相となり、擬似輪郭が発生する。このような条件が発生した場合、データDとして例えば”17”を選択すると、映像期間に表示されるデータは”15”、”14”、”13”、”12”となり、映像期間では擬似輪郭は発生しない。補正期間では、”17”+dAが表示される。データDは補正期間で表示するデータD+dAが擬似輪郭を生じさせないように決定することが好適である。
【0068】
また、映像表示中、アクティブマトリクスアレイ2に含まれる全有機EL素子9に流れる電流はコントローラ8により常にモニタされている。有機EL素子9は温度によりIV特性が変化するため、有機EL素子9に電圧を印加するデジタル駆動では測定電流も温度により容易に変化する。このような変化は有機EL素子9に過度な電流を流すことになり、有機EL素子9の劣化を加速させてしまう。そこで、デジタル駆動においては、温度上昇による電流変化を抑制する方法が必要となる。
【0069】
電流値は入力データと有機EL素子9の特性によりあらかじめ予測できる。そこで、コントローラ8において電流値をモニタすることで、現在流れている電流が適正値か否かを知ることができる。電流が予測値よりも多く流れている場合、温度上昇による影響が考えられるため、映像期間に表示する映像データと補正期間に表示する補正データを同様に暗くすることで予測値に近づけることができる。
【0070】
例えば、電流が予測値に対して2倍に増加したのであれば、映像データと補正データをそれぞれ同様に1/2とすれば適切な焼き付き補正を維持しつつ過度な電流が流れることを防ぐことができる。電流が温度により減少した場合も同様に処理することができる。例えば、電流が予測値に対して1/2になれば、映像データと補正データを2倍にすればよい。
【0071】
これを図6Aのように拡張されたデータで処理しようとすると同様に擬似輪郭を発生させる可能性がある。したがって、温度変化による影響を抑制しつつ、画質を維持するという点においても大きな効果がある。
【0072】
(第2の実施の形態)
焼き付きは有機EL素子の劣化のみに影響を与える現象ではなく、駆動トランジスタにも影響を与える。特に、アモルファスシリコンTFTは、低温ポリシリコンTFTと比較すると閾値Vthのシフトが非常に短時間で進行することが知られている。
【0073】
第2の実施の形態では、駆動トランジスタの劣化を同様な原理で補正する方法について説明する。図14A及び図14Bに、2種の画素回路7の例がそれぞれ示されている。図14Aは、図2の画素回路7をnチャネルトランジスタに変えた例を示している。図14Bは、さらに有機EL素子9のアノードを電源線に接続して電圧VDDに維持し、カソードを駆動トランジスタ10のドレイン端子に接続し、駆動トランジスタ10のソース端子をVSS端子に接続して電圧VSSに維持した例を示している。図14Bの画素回路7は、駆動トランジスタ10のソース電位が電圧VSSに固定されているため、有機EL素子9に流れる電流が駆動トランジスタ10のゲート電位で制御される。一方、図14Aの場合、駆動トランジスタ10のソース電位が固定されていないため、有機EL素子9に流れる電流は駆動トランジスタ10のゲート電位と有機EL素子9のアノード電位との差で制御される。
【0074】
図14Aの画素回路7は、図2と同じカソードが共通となる有機ELプロセスで形成可能であるが、駆動トランジスタ10のソース電位が固定されていないため制御が困難であるという課題がある。一方、図14Bの画素回路7は、ソース電位が固定されているため、制御が容易である半面、アノード共通の有機ELプロセスとなるため新しいデバイスを開発する必要があるという素子形成上の課題がある。しかしながら、いずれにしても本実施の形態の画素回路7は実現可能である。
【0075】
データドライバ3として、例えば6ビットのデータドライバICを用いた場合、生成できるデータは64レベル(階調)しかない。焼き付き補正を行うため”64”というデータが必要となった場合にはそのデータを生成することができない。したがって、従来はより高価な7ビットや8ビットといった生成できるデータ数の多い回路を用いなければならなかった。
【0076】
しかし、図12A及び図12Bに示されている駆動方法を用いれば6ビットのドライバを用いても63レベル以上のデータを生成可能である。
【0077】
図12Aに示される駆動方法では、フレーム期間は映像期間と補正期間に分割され、映像期間には入力される映像データを表示し、補正期間には焼き付きを補正するための補正データを表示する。まず映像期間において、映像データが入力されると第1ラインから順に映像データを図14A又は図14Bの画素に書き込む。しばらくすると、補正期間が第1ラインから開始され、映像データを保持している画素に補正データが書き込まれる。
【0078】
この様子を第A、A+1ラインに着目して説明する。第A、A+1ラインはともに映像データとして”63”の表示を行うものであるが、第A+1ラインは補正が”1”必要であり、”64”のデータを表示する必要があるものとする。両者は共に映像期間において、同じデータ”63”を表示すればよい。第A+1ラインは補正が必要であるため、補正期間には”1”の補正データを表示する。この駆動方法を実現するためには、図4のゲートドライバを用いて、図13に示されるタイミングでデータ及びイネーブルE1、E2、E3を制御すればよい。図12Aの期間Xに着目すると、期間Xでは第Nラインと第N−aラインを選択して、それぞれ映像データ、補正データを書き込む必要がある。
【0079】
図4のゲートドライバ4の構成から、第N(N=3*n+1)ラインがE1、第N−a(N−a=3*n+2)ラインがE2で選択されるものとする。期間Xの2分割された前半の期間で、データライン5に第Nラインの映像データを出力し、その間E1をアクティブとすると第Nラインに映像データが書き込まれる。後半の期間で、データライン5に第N−aラインの補正データを出力し、E2をアクティブとすると、第N−aラインに補正データが書き込まれる。その後、第N+1ラインをE2で選択することでデータライン5に供給される第N+1ラインの映像データを書き込み、第N+1−aラインをE3で選択することでデータライン5に供給される第N+1−aラインの補正データを書き込む。これを繰り返すと図12Aの第A、A+1ラインに示される発光パルスが生成され、6ビットのドライバICを用いた場合でも、映像を6ビットで表示しつつ、適切に焼き付きを補正できる。図13のデータライン上の映像データと補正データの期間Xに占める割合は任意であり、映像データを供給する時間を長くとって、映像データをより確実に画素に書き込むように制御してもよい。
【0080】
図12Bに示される駆動方法を用いてもよい。図12Aの駆動方法では1フレーム期間をかけて全ラインを書き込むが、図12Bの駆動方法では1/2フレーム期間で全ラインの映像データを書き込み、残りの1/2フレーム期間で全ラインの補正データを書き込む。図12Bの駆動方法の場合、図13に示される制御は必要なく、1ラインずつ2倍の速度で映像データ及び補正データを書き込めばよい。
【0081】
いずれの方法も、図7に示されるコントローラにより制御可能である。図12Aの駆動方法の場合、期間Xの間で映像データと補正データとをデータライン5に出力するため、マルチプレクサ22は期間Xの周期で映像データと補正データを切り替える。この場合、映像データを1フレーム保持する必要はないため、第1フレームメモリ15と第2フレームメモリ16は必要ない。図12Bの駆動方法の場合、映像データは1/2フレーム期間内に書き込み終える必要があるため、第1、第2フレームメモリ15、16を用いて映像データを1フレーム保持し、2倍の速度で読み出す必要がある。マルチプレクサ22は映像期間では映像データ処理部20に処理された映像データを出力し、補正期間では補正データ処理部で処理された補正データを出力する。補正データ処理は、いずれも第1の実施の形態と同じであるため説明は省略する。本実施の形態の方法はアモルファスシリコンTFTに限らず、比較的素子特性が安定している低温ポリシリコンTFTを用いた図2に示される画素回路、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、SED(Surface Conduction Electron Emitter Display)等の自発光型ディスプレイにも適用できることは言うまでもない。
【0082】
(第3の実施形態)
補正データの代わりに、もしくはそれに加えて映像データを出力すれば、例えば6ビットのデータドライバを用いて、64階調以上の階調を表示することも可能である。表示期間のみを用いた場合、6ビットのデータドライバでは64階調までしか表示できないが、補正期間を拡張された映像期間として用いることでさらに63階調加算した127階調表示が可能となる。
【0083】
図15に示されるように、6ビット以上のデータ(例えば7ビット)から構成される映像Aを2分の1として映像A/2に変換して表示期間に表示し、補正期間で残りの映像A/2+dAを表示することで容易に実現できる。映像A/2は6ビット表示であるため、映像データを2分の1としてもデータは失われない。
【0084】
これを実現するにはフレームメモリを用いて1フレーム分の映像データを蓄積し、映像期間でメモリに蓄積された映像データを2分の1として出力し、補正期間でフレームメモリの同データを同様に2分の1とし、補正データと加算して出力すればよい。駆動方法は図12A及び図12Bに示される先の実施形態と同様とすることができる。
【0085】
本実施形態に示される方法によると、比較的輝度劣化が遅いデバイスを用いた場合、補正期間はほとんど発光しないため、この補正期間をより有効に用いることができる。
【0086】
また、階調レベルを増加させるという点ではLCD(Liquid Crystal Display)等の非発光型ディスプレイにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1の実施の形態におけるアクティブマトリクスパネル全体構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における画素回路を示す図である。
【図3】デジタル駆動を説明するための概念図である。
【図4】ゲートドライバの構成を示す図である。
【図5】第1の実施の形態におけるイネーブルタイミングチャートである。
【図6A】階調生成方法を説明する概念図である。
【図6B】階調生成方法を説明する概念図である。
【図7】コントローラ機能ブロックを示す図である。
【図8】第1の実施の形態における補正データ処理部の機能を説明する図である。
【図9】各画素を更新順カテゴリーに分けて履歴データを格納する処理方法を示す図である。
【図10】第1の実施の形態における別の補正データ処理部の機能を説明する図である。
【図11A】焼き付き補正方法概念を示す図である。
【図11B】焼き付き補正方法概念を示す図である。
【図11C】焼き付き補正方法概念を示す図である。
【図12A】第2の実施の形態における駆動概念を示す図である。
【図12B】第2の実施の形態における駆動概念を示す図である。
【図13】第2の実施の形態におけるイネーブルタイミングチャートである。
【図14A】第2の実施の形態における画素回路を示す図である。
【図14B】第2の実施の形態における画素回路を示す図である。
【図15】第3の実施の形態における補正データ処理部の機能を説明する図である。
【符号の説明】
【0088】
1 アクティブマトリクス表示装置、2 アクティブマトリクスアレイ、3 データドライバ、4 ゲートドライバ、5 データライン、6 ゲートライン、7 画素回路、8 コントローラ、9 有機EL素子、10 駆動トランジスタ、11 ゲートトランジスタ、12 保持容量、13 シフトレジスタ、14 イネーブル回路、15,16,17,18 フレームメモリ、19 不揮発性メモリ、20 映像データ処理部、21 補正データ処理部、22 マルチプレクサ。
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブマトリクス型表示装置に関し、特に、エレクトロルミネッセンス素子を含むアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイは自発光型であり、応答が速く、明るく、高視野角である。したがって、次世代のディスプレイとして注目されている。特に、アクティブマトリクス型有機ELディスプレイは、高精細化が可能であるため、携帯端末から大型TVなど用途に適用できるので実現への期待が大きい。
【0003】
有機ELディスプレイでは、画素を形成する有機EL素子の発光を制御するために有機EL素子に流す電流を制御する駆動素子が必要となる。駆動素子として、例えば、TFT(Thin Film Transistor)が用いられている。特に、低温ポリシリコンTFTは、移動度が比較的高く、高速動作が可能であり、また、比較的長時間安定していることから、有機ELを駆動する駆動素子として適していると考えられている。
【0004】
また、最近では有機ELを駆動する駆動素子として、比較的安価に、かつ大面積に形成可能なアモルファスシリコンTFTを用いる試みもなされている。
【0005】
両者にはそれぞれ長所と短所がある。低温ポリシリコンTFTは、安定かつ高移動度であるが、飽和領域で用いた場合に特性の均一性に問題がある。逆に、アモルファスシリコンTFTは特性の均一性は優れるが、安定性が乏しく、移動度が低いという問題がある。
【0006】
低温ポリシリコンTFTを用いて有機ELディスプレイを形成した場合、特性の均一性に乏しいため、輝度ムラが生じやすいが、TFTをスイッチとして用い、有機EL素子をオンオフさせて階調を調整する方法を用いれば均一性を改善できる。しかし、この場合、有機EL素子は電圧が印加されるか否かで制御されるため、高輝度で長時間発光させ続けることに伴う素子の劣化、すなわち素子が高抵抗化することにより、焼き付きとなって画質が劣化し易いといった欠点がある。
【0007】
一方、アモルファスシリコンTFTを用いて有機ELディスプレイを形成すると、飽和領域で用いた場合においても均一性に優れるので輝度ムラは生じにくい。しかしながら、安定性に乏しいので、やはり長時間動作に伴うTFTの劣化により、焼き付きとなって画質が劣化し易い。
【0008】
したがって、いずれのTFTを用いてもディスプレイの長時間動作を保証するためには、この焼き付きを抑制する工夫が必要となる。例えば、特許文献1には焼き付きを抑制するための技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−228329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
階調を調整して焼き付きによる影響を補正するためには、映像を表示するための表示範囲に加えて補正のための補正範囲もあらかじめ考慮して信号のダイナミックレンジを設定しておく必要がある。例えば、5Vを映像表示範囲とし、補正範囲としてさらに5Vを見込んでおくとすれば、全体で10Vのダイナミックレンジが必要となる。映像表示範囲である5Vを8ビット(256階調)で表現した場合、補正範囲を含む信号のダイナミックレンジである10Vを表すためには9ビット(512階調)程度が必要となる。
【0011】
通常、このようなビット(階調)の変換手段は、専用のIC(Integrated Circuit)によって提供される。すなわち、補正機能を導入するとすれば、新たに広範囲のダイナミックレンジを実現することができる専用のICを開発しなければならず、開発コストがかかり、また、IC自体も高価となってしまう。
【0012】
さらに、例えば、デジタル駆動による補正では、理由は後述するが、補正処理によって擬似輪郭と称されるノイズが発生し易くなり、視認性を著しく低下させる原因となる。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、上記課題の少なくとも一つを解決することができる自発光素子を有するアクティブマトリクス型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電気光学素子と、ゲートラインに供給される選択信号とデータラインに供給されるデータ値に応じて前記電気光学素子の生成する光強度を制御する画素部と、をマトリクス上に配置した表示部と、前記データラインにデータを供給するデータドライバと、前記ゲートラインに選択信号を供給するゲートドライバと、を備える表示装置であって、外部から入力される映像信号に応じて各画素部に対する映像データを出力する映像データ処理部と、各画素部に対する前記映像データ又は前記映像データの出力履歴に基づいて補正データを算出して出力する補正データ処理部と、前記表示部における1フレームの表示期間を映像期間と補正期間とに分割して、前記映像期間には前記映像データを表示し、前記補正期間には前記補正データを表示すべくデータを切り替えて出力するマルチプレクサと、を含むコントローラを備えることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記電気光学素子は発光素子とすることができる。例えば、自発光式のエレクトロルミネッセンス素子とすることができる。
【0016】
また、前記画素部は、発光素子と、前記データラインに供給されるデータ値に応じて前記発光素子の発光を制御する駆動トランジスタと、前記ゲートラインに供給される選択信号により、前記駆動トランジスタへの前記データラインのデータ値の供給を制御するゲートトランジスタとを各々含むことが好適である。
【0017】
ここで、前記データラインに供給されるデータは、前記駆動トランジスタの電流を複数生成するデータが供給されることが好適である。例えば、前記データラインに供給されるデータは、前記駆動トランジスタをオンするデータとオフするデータの2種のデータが供給されることが好適である。
【0018】
また、前記ゲートドライバは、各ラインに少なくとも1つ備えられた選択データを転送するシフトレジスタと、各ラインに少なくとも1つ備えられた前記選択データをイネーブルするイネーブル回路と、前記イネーブル回路を制御するn(nは2以上の整数)本のイネーブル制御ラインと、を有し、前記イネーブル回路はnライン置きに同じイネーブル制御ラインに接続されることが好適である。
【0019】
ここで、前記ゲートドライバは、nで割った余りが互いに異なるラインに選択データが入力され、n本のイネーブル制御ラインの未だアクティブにされていないいずれか一つをアクティブにすることでゲートラインを選択し、前記データドライバは、イネーブル制御ラインによって選択されるゲートラインの映像データを出力する。
【0020】
また、前記マルチプレクサは、前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正期間には補正データを出力することが好適である。例えば、前記マルチプレクサは、前記イネーブル制御ラインによって、前記映像データを書き込むために選択される期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正データを書き込むために選択される期間には、補正データを出力する。
【0021】
また、前記マルチプレクサは、前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データの一部を表示すべく選択出力し、前記補正期間には、前記映像データの残り及び前記補正データ処理部から出力される補正データを表示すべく選択出力することも好適である。また、前記マルチプレクサは、前記補正期間には、前記補正データ処理部から出力される補正データの一部を表示すべく選択出力し、前記映像期間には、前記補正データの残り及び前記映像データ処理部から出力される映像データを表示すべく選択出力することも好適である。
【0022】
また、前記補正データ処理部は、各画素部における発光素子の発光強度の累積値を算出し、当該累積値に応じて各画素部に対して前記補正データを算出することが好適である。例えば、前記補正データ処理部は、揮発性メモリを備え、各画素部を複数の更新順カテゴリーのいずれか1つに分類し、各画素部に対して算出された前記累積値を更新順カテゴリー毎に時系列的に分割して前記揮発性メモリに記憶させる。
【0023】
また、例えば、前記補正データ処理部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、前記揮発性メモリ内に保持されている各画素部に対して算出された前記累積値を、揮発性メモリと異なるタイミングで不揮発性メモリに更新させてもよい。また、例えば、前記補正データ処理部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、画素部の現在の発光強度及び当該画素部に対して算出された前記累積値から、当該画素において、発光強度が高く、発光期間が長いと判断される場合に前記揮発性メモリ及び前記不揮発性メモリの少なくとも1つを更新させてもよい。
【0024】
また、前記コントローラは、前記表示部へ供給される電流値を測定する電流モニタを備え、前記映像データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記映像データを補正し、前記補正データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記補正データを補正することが好適である。
【0025】
また、具体的な回路構成として、前記発光素子のアノードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることが好適である。
【0026】
また、前記発光素子のアノードは第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることも好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、自発光素子を有するアクティブマトリクス型表示装置において、ディスプレイの焼き付きによる映像の劣化を伴わずに階調を調整することができる。また、ディスプレイの寿命を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(焼き付き補正)
まず図11A,11B,11Cを用いて、焼き付き補正の一般的な考え方を説明する。
【0029】
図11Aに示されるように、背景となる映像Aに重ね合わせて映像Aよりも輝度の高い映像Bを長時間表示すると、輝度がΔLだけ低下した意図しない映像Axが現れる。この映像Axは、焼き付きにより画像中の一部の輝度がΔLだけ低下したものであり、有機EL素子の発光効率の低下,駆動TFTの素子劣化,有機EL素子に電圧を印加するか否かで階調を制御するデジタル駆動等を原因とする有機EL素子の高抵抗化による電流減少によるものと考えられる。
【0030】
この後、図11Bに示すように、背景となる映像Aに重ね合わせて新たな映像Cが表示された場合、焼き付き映像Axが残ってしまうために映像Cの視認性が著しく低下してしまう。そこで、図11Cに示すように、新たな映像Cに加えて、焼き付きによって低下した輝度ΔLを補う映像dAを重ね合わせて表示することによって焼き付きによる影響をキャンセルし、映像Cの視認性を維持することができる。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1に、本発明の第1の実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の全体構成図を示す。アクティブマトリクス表示装置1は、それぞれ有機EL素子を含む画素回路7がマトリクス状に配置されたアクティブマトリクスアレイ2、データライン5の電位を制御するデータドライバ3、ゲートライン6の電位を制御するゲートドライバ4及びデータドライバ3,ゲートドライバ4を制御するコントローラ8を含んで構成される。コントローラ8から供給されるタイミング信号により、ゲートドライバ4が選択したゲートラインに接続される画素に、データドライバ3により供給されるデータが書き込まれ、各画素が所望の発光強度を示すように制御される。また、アクティブマトリクスアレイ2からの電流はコントローラ8にフィードバックされ、電流がモニタできるようになっている。
【0032】
アクティブマトリクスアレイ2は、通常ガラス基盤上に形成される。データドライバ3及びゲートドライバ4を低温ポリシリコンTFTで形成すると、データドライバ3及びゲートドライバ4をアクティブマトリクスアレイ2と同じガラス基盤上に形成できる。一方、データドライバ3及びゲートドライバ4をアモルファスシリコンTFTで形成する場合、データドライバ3及びゲートドライバ4を外部IC(Integrated Circuit)として形成してアクティブマトリクスアレイ2に接続することになる。
【0033】
図2に、画素回路7の等価回路を示す。駆動トランジスタ10は、ソース端子が全画素共通の電源線に接続されて電圧VDDに保持され、ドレイン端子が有機EL素子9のアノードに接続されている。また、駆動トランジスタ10のゲート端子は、保持容量12の一端及びゲートトランジスタ11のソース端子に接続されている。保持容量12の他端は電源線に接続され電圧VDDに保持される。有機EL素子9のカソードは、全画素共通のVSS端子に接続され電圧VSSに保持される。
【0034】
ゲートトランジスタ11は、ゲート端子がゲートライン6に接続され、ドレイン端子がデータライン5に接続される。ゲートライン6をアクティブ(High)にするとデータライン5に供給されたデータが保持容量12に書き込まれ、オフ(Low)にするとそのデータが保持容量12に保持され、次にアクセスされるまでそのデータが維持される。
【0035】
駆動トランジスタ10のゲート端子に駆動トランジスタ10がオンするのに十分な電圧値(オン電圧)が供給されると、有機EL素子9にVDD−VSSの電圧が印加されて有機EL素子9が発光する。一方、駆動トランジスタ10がオフするのに十分な電圧(オフ電圧)がゲート端子に供給されると、有機EL素子9には電圧が印加されないため有機EL素子9は発光しない。
【0036】
デジタル駆動では、この2つの状態のみを用いて発光期間を映像データに応じて変化させることにより多階調表示を行う。
【0037】
図3に、6ビットのデジタル駆動時の走査タイミングの例を示す。1フレーム期間は6つのサブフレームに分割されている。各サブフレームの表示期間T0〜T5は、概ねT0:T1:T2:T3:T4:T5=1:2:4:8:16:32となるように設定されている。図3にはT2、T3、T4、T0、T1、T5の順に走査している例が示されている。
【0038】
例えば第N−aラインに着目した場合について説明する。第N−aラインのある画素の表示データが6ビットデータ101001である場合、その画素の発光パルスは図3に示されるように、T5、T3、T0がオン、T4、T2、T1がオフとなり、発光強度41レベル(最大63レベル)の輝度が得られる。ここで、図3の期間Xに着目すると、第N、N−a、N−bラインはこの期間Xにおいてそれぞれサブフレーム2(表示期間T2)、サブフレーム3(表示期間T3)、サブフレーム4(表示期間T4)を開始する。このような制御を矛盾することなく行うためには、図4に示すようなゲートドライバを用いて、図5のタイミングチャートのように制御すればよい。
【0039】
図4のゲートドライバは、直列に接続された複数のシフトレジスタ13、各々のシフトレジスタ13のデータをイネーブルするイネーブル回路14、イネーブル回路14を制御するイネーブルラインE1、E2、E3を含んで構成される。各イネーブル回路14の出力が各ゲートラインに接続される。イネーブルラインE1は、第1、4、・・・、3*n+1ライン、E2は第2、5、・・・、3*n+2ライン、E3は第3、6、・・・、3*n+3ラインのイネーブル回路を制御する(ただし、nは0または正の整数である)。
【0040】
期間Xにおいて、第N、N−a、N−bラインのシフトレジスタに”1”、それ以外に”0”のデータが保持され、第Nライン(N=3*n+1)がE1、第N−aライン(N−a=3*n+2)がE2、第N−bライン(N−b=3*n+3)がE3で制御されるようにa、bが設定されているものとする。例えば、N=199、N−a=134、N−b=6となるようにa、bを設定すると、第NラインはE1、第N−aラインはE2、第N−bラインはE3で制御される。
【0041】
図5に示されるように、データライン5に第N、N−a、N−bラインのデータを順に出力し、それに同期させてE1、E2、E3を順にアクティブとすると、矛盾することなく、各N、N−a、N−bにそれぞれ第Nラインのサブフレーム2、第N−aラインのサブフレーム3、第N−bラインのサブフレーム4のデータが書き込まれる。
【0042】
以上、デジタル駆動の階調生成に関して簡単に説明したが、焼き付きを補正するためには焼き付きによって低下した輝度ΔLをデジタル駆動により生成しなければならない。図6に、焼き付き補正のための階調生成方法を示す。
【0043】
例えば、6ビットで表される階調におけるデータ”63”を表示する場合、焼き付きによって低下した輝度ΔLをデータ”1”で補正できるとすると、最終的にはデータ”63”+”1”=”64”が補正後のデータとして出力される。このデータ”64”を図6Aの方法で生成した場合を考える。なお、図6Aでは、7ビットで階調を表すデジタル駆動の駆動方法を示す。7ビットの階調再現性を有すると、最大127まで階調を再現することが可能である。したがって、6ビット映像の最大値”63”が有機EL素子の劣化により再生できなくなった場合でも補正することができる。
【0044】
第A、A+1ラインに着目すると、第Aラインの映像はMSBのみ”0”のデータ”63”であり、第A+1ラインの映像は補正された映像、MSBのみ”1”である”64”である。このとき、隣り合う第A、A+1ラインでは発光パルスは互いに逆位相の関係となっている。このような発光パルスを補正後に生成してしまうと、擬似輪郭と呼ばれるノイズが発生する。
【0045】
簡単にその原因を説明する。視線を第Aラインから第A+1ラインへ移動させると、データ”63”の発光を見た後、さらにデータ”64”の発光を見ることになるため、視覚には本来と異なる発光パルスが作用し、この場合明るく認識されてしまう。逆に、視線を第A+1ラインから第Aラインへ移動させると、データ”64”の無発光を見た後、データ”63”の無発光を見ることになるため、暗く認識される。2つのライン間における階調データの差はわずか1であるのに対して、画素の見え方は”127(点灯)”と”0(消灯)”という極端な差を生じる。そのため、映像に違和感が生じてしまい、補正本来の効果を損ねてしまう。そこで図6Bの方法で補正することを考える。
【0046】
図6Bは、1フレーム期間を映像期間と補正期間の二つに分割したデジタル駆動の駆動方法を示す。映像期間は映像データをそのまま表示する期間であり、補正期間は補正データを表示する期間である。
【0047】
第A,A+1ラインに着目すると、映像期間ではともにデータ”63”が表示されているが、補正期間では第A+1ラインのみデータ”1”が表示される。すなわち、第Aラインはデータ”63”、第A+1ラインはデータ”64”の映像が表示される。
【0048】
図6Aの補正方法と異なり、発光パルスが逆位相となることがないため、擬似輪郭は抑制され、補正本来の効果が期待できる。
【0049】
図7は、図6Bの補正方式を実現するためのコントローラ8の内部構成図である。コントローラ8は、映像データ処理部20、補正データ処理部21、マルチプレクサ22、第1〜第4フレームメモリ15,16,17,18、不揮発性メモリ19を含んで構成される。
【0050】
入力データは映像データ処理部20と補正データ処理部21に入力され、それぞれに処理された映像はマルチプレクサ22によって切り替えられる。マルチプレクサ22は、映像期間においては映像データ処理部20により処理された映像を出力し、補正期間においては補正データ処理部21で処理された映像を出力することで、図6Bに示される駆動を実現する。
【0051】
映像データ処理部20は、第1,第2フレームメモリ15、16を用いてデジタル駆動タイミングで各サブフレーム映像を生成する。補正データ処理部21は、第3,第4フレームメモリ17、18、不揮発性メモリ19を用いて補正データを生成する。一般に、フレームメモリ15,16,17,18としては高速に大容量のデータを読み書き可能なDRAM(Dynamic Random Access Memory)、不揮発性メモリ19としては大容量で安価なNAND型フラッシュ等を用いることが好適である。
【0052】
まず、映像データ処理部20によるサブフレームデータ生成過程について説明する。
【0053】
入力された映像データは、第1フレームメモリ15に一旦蓄積される。1フレームの映像が蓄積されると、1フレームの映像データの各ビットにランダムにアクセスが可能となる。図3に示されるように、第1ラインから順に第2ビットのデータをまず読み出していく。期間Xのように3つのラインを選択しなければならない期間では、図5に示されるように、まず第Nラインの第2ビットのデータ、次に第N−aラインの第3ビットのデータ、最後に第N−bラインの第4ビットのデータを順に読み出す。第1フレームメモリ15のデータを読み出している間、次のフレームの映像データは第2フレームメモリ16に蓄積され、さらに次のフレーム期間にその映像データは同様に読み出され、第1フレームメモリ15に次のフレームの映像データが蓄積される。第1,第2フレームメモリ15、16は、この動作を交互に繰り返し、滞りなく映像データを処理し、処理された映像データはマルチプレクサ22へ入力される。
【0054】
次に、補正データ処理部21の動作について説明する。図11に示すような焼き付き補正を行うためには現在までに表示した映像データの履歴が必要になる。図8に、補正データ処理部21で処理されるデータの流れを示す。
【0055】
ディスプレイを使用し始めた初期の段階では、不揮発性メモリ19には初期履歴データとして”0”が保持されている。ディスプレイの起動直後、不揮発性メモリ19に格納された映像履歴データは、補正データ処理部21を介して、第3フレームメモリ17及び第4フレームメモリ18へ格納される。これは一般に不揮発性メモリ19はアクセススピードが遅いため、高速にアクセス可能なフレームメモリ17,18に履歴データを格納しておくことが好ましいからである。
【0056】
第3フレームメモリ17には、ディスプレイの使用初期の段階では各画素の初期データ”0”、ある程度使用経過後には履歴データS(t−Δt,i,j)が各画素(i,j)に対応するアドレスA(i,j)に格納されている。ただし、i、jは正の整数、tはディスプレイ動作中の時刻を示す。
【0057】
入力映像データD(t,i,j)が1画素ずつ入力されると、補正データ処理部21は、第3フレームメモリ17を参照して、入力データの表示位置(i,j)に対応するアドレスA(i,j)の履歴データS(t−Δt,i,j)を1画素分読み込み、入力データD(t,i,j)に加算後、履歴データS(t,i,j)=D(t,i,j)+S(t−Δt,i,j)を生成し、同じアドレスA(i,j)に上書き格納する。このような処理をそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)のデータについて全画素で行う。その結果、第3フレームメモリ17には、ある時刻tにおいて、時刻0から時刻tまで各画素に入力されたデータの履歴データS(t,i,j)=ΣD(t,i,j)の値が格納されることになる。
【0058】
履歴データS(t,i,j)は、例えば、数〜数十フレーム毎に数画素分の比較的小規模データを不揮発性メモリ19の対応するアドレスA(i,j)へ上書きして更新される。このように書き込む情報量を減らすことでアクセススピードの遅い不揮発性メモリ19への更新が可能である。
【0059】
不揮発性メモリ19の履歴データはディスプレイ動作時に更新されるため、第4フレームメモリ18においても、数フレーム毎に数画素分のデータが不揮発性メモリ19から読み込まれ、こちらも更新される。ディスプレイ起動直後に読み込み及び更新された第4フレームメモリ18の履歴データは、ディスプレイ全動作時間tに特徴づけられる補正データ生成処理F(t)を施され、マルチプレクサ22へ入力される。マルチプレクサ22は、映像期間には映像データ処理部20から供給される映像Aを出力し、補正期間では補正データ処理部から供給される映像dAを出力することで映像A+dAを生成する。すなわち、図11において映像Aを出力した場合に低下する輝度△Lを補正映像dAが補う。
【0060】
ディスプレイの表示を終了する場合には、第3フレームメモリ17に格納された最新の履歴データは不揮発性メモリ19に書き込まれ、全画素分の履歴データは電源が入っていない場合も保持される。以上の処理を繰り返すことで履歴データを蓄積及び更新しながら補正期間に反映することができる。
【0061】
なお、通常、入力映像データはフレーム単位で常に変化することはあまりないため、数フレーム置きに第3フレームメモリ17に積算してもよいであろう。例えば、図9に示されるように、画素4×4を1ブロックとして、第3フレームメモリ17の履歴データを更新する場合を考える。
【0062】
第3フレームメモリ17を入力映像データで更新する順番を例えば図9のように設定した場合、kを0または正の整数とすると、第16*k+1フレームでは”1”が記された位置の画素データ、第16*k+2フレームでは”2”が記された位置の画素データ、第16*k+16フレームでは”16”が記された位置の画素データのみ第3フレームメモリ17の該当するアドレスに格納してある履歴データを積算する。このように制御すると、各画素は16フレーム毎に更新されることになり、データ処理を簡略化及び高速化することができる。
【0063】
ディスプレイが動作中に不揮発性メモリ19へ履歴データを更新する場合は、例えばあるフレーム間隔毎に数画素ずつ、順にすべての画素を更新してもよい。ただし、より劣化が著しいと推測される画素のみの履歴データを更新した方が処理を簡略化及び高速化できるので焼き付き防止に効果的である。
【0064】
例えば、第3フレームメモリ17から読み出したある画素(i,j)の履歴データS(t−Δt,i,j)が発光強度の高い映像を表示し続けており、その表示位置の入力映像データD(t,i,j)もやはり高い発光強度を示すデータが入力されつづけている場合、この画素は劣化が速いことが予測されるため、できる限り速く不揮発性メモリ19及び第4フレームメモリ18の履歴データを更新して、補正表示に反映することが望ましい。逆に発光強度の低い、暗い映像が多く表示されつづけている画素は劣化が遅いため、頻繁に更新する必要がない。そこで、不揮発性メモリ19のデータを更新する必要性の高い場合のみ履歴データを更新することで処理が簡略化される。補正に反映するためには、不揮発性メモリ19の履歴データは第4フレームメモリ18へ読み出されなければならないが、不揮発性メモリ19へ更新が行われた画素のみ読み出すことでこの処理を簡略化できる。
【0065】
図6Bに示される補正期間は、焼き付き補正処理のためだけでなく、映像期間に表示される映像で発生する擬似輪郭を抑制する処理を行う目的で用いても良い。
【0066】
図10に、映像期間に表示される擬似輪郭をも抑制可能な補正データ処理部21を示す。映像データ処理部20で処理した映像データAと補正データ処理部21で処理した補正データdAはマルチプレクサ22によりそれぞれ映像期間と補正期間に表示され、発光強度A+dAを与える必要がある。
【0067】
映像期間において表示される映像に擬似輪郭が発生する条件、すなわち発光パルスが概ね逆相となるデータが隣接する場合には、映像データAから擬似輪郭を抑制できるデータDを差し引き、補正データdAに加算することで発光強度を等しく保ちつつ、擬似輪郭、及び焼き付きを補正することができる。例えば”32”とそれに近い”31”、”30”、”29”等のいずれかのデータが隣接すると、ビットの並びはそれぞれ”100000”(”32”)、”011111”(”31”)、”011110”(”30”)、”011101”(”29”)であるため、発光パルスが逆相となり、擬似輪郭が発生する。このような条件が発生した場合、データDとして例えば”17”を選択すると、映像期間に表示されるデータは”15”、”14”、”13”、”12”となり、映像期間では擬似輪郭は発生しない。補正期間では、”17”+dAが表示される。データDは補正期間で表示するデータD+dAが擬似輪郭を生じさせないように決定することが好適である。
【0068】
また、映像表示中、アクティブマトリクスアレイ2に含まれる全有機EL素子9に流れる電流はコントローラ8により常にモニタされている。有機EL素子9は温度によりIV特性が変化するため、有機EL素子9に電圧を印加するデジタル駆動では測定電流も温度により容易に変化する。このような変化は有機EL素子9に過度な電流を流すことになり、有機EL素子9の劣化を加速させてしまう。そこで、デジタル駆動においては、温度上昇による電流変化を抑制する方法が必要となる。
【0069】
電流値は入力データと有機EL素子9の特性によりあらかじめ予測できる。そこで、コントローラ8において電流値をモニタすることで、現在流れている電流が適正値か否かを知ることができる。電流が予測値よりも多く流れている場合、温度上昇による影響が考えられるため、映像期間に表示する映像データと補正期間に表示する補正データを同様に暗くすることで予測値に近づけることができる。
【0070】
例えば、電流が予測値に対して2倍に増加したのであれば、映像データと補正データをそれぞれ同様に1/2とすれば適切な焼き付き補正を維持しつつ過度な電流が流れることを防ぐことができる。電流が温度により減少した場合も同様に処理することができる。例えば、電流が予測値に対して1/2になれば、映像データと補正データを2倍にすればよい。
【0071】
これを図6Aのように拡張されたデータで処理しようとすると同様に擬似輪郭を発生させる可能性がある。したがって、温度変化による影響を抑制しつつ、画質を維持するという点においても大きな効果がある。
【0072】
(第2の実施の形態)
焼き付きは有機EL素子の劣化のみに影響を与える現象ではなく、駆動トランジスタにも影響を与える。特に、アモルファスシリコンTFTは、低温ポリシリコンTFTと比較すると閾値Vthのシフトが非常に短時間で進行することが知られている。
【0073】
第2の実施の形態では、駆動トランジスタの劣化を同様な原理で補正する方法について説明する。図14A及び図14Bに、2種の画素回路7の例がそれぞれ示されている。図14Aは、図2の画素回路7をnチャネルトランジスタに変えた例を示している。図14Bは、さらに有機EL素子9のアノードを電源線に接続して電圧VDDに維持し、カソードを駆動トランジスタ10のドレイン端子に接続し、駆動トランジスタ10のソース端子をVSS端子に接続して電圧VSSに維持した例を示している。図14Bの画素回路7は、駆動トランジスタ10のソース電位が電圧VSSに固定されているため、有機EL素子9に流れる電流が駆動トランジスタ10のゲート電位で制御される。一方、図14Aの場合、駆動トランジスタ10のソース電位が固定されていないため、有機EL素子9に流れる電流は駆動トランジスタ10のゲート電位と有機EL素子9のアノード電位との差で制御される。
【0074】
図14Aの画素回路7は、図2と同じカソードが共通となる有機ELプロセスで形成可能であるが、駆動トランジスタ10のソース電位が固定されていないため制御が困難であるという課題がある。一方、図14Bの画素回路7は、ソース電位が固定されているため、制御が容易である半面、アノード共通の有機ELプロセスとなるため新しいデバイスを開発する必要があるという素子形成上の課題がある。しかしながら、いずれにしても本実施の形態の画素回路7は実現可能である。
【0075】
データドライバ3として、例えば6ビットのデータドライバICを用いた場合、生成できるデータは64レベル(階調)しかない。焼き付き補正を行うため”64”というデータが必要となった場合にはそのデータを生成することができない。したがって、従来はより高価な7ビットや8ビットといった生成できるデータ数の多い回路を用いなければならなかった。
【0076】
しかし、図12A及び図12Bに示されている駆動方法を用いれば6ビットのドライバを用いても63レベル以上のデータを生成可能である。
【0077】
図12Aに示される駆動方法では、フレーム期間は映像期間と補正期間に分割され、映像期間には入力される映像データを表示し、補正期間には焼き付きを補正するための補正データを表示する。まず映像期間において、映像データが入力されると第1ラインから順に映像データを図14A又は図14Bの画素に書き込む。しばらくすると、補正期間が第1ラインから開始され、映像データを保持している画素に補正データが書き込まれる。
【0078】
この様子を第A、A+1ラインに着目して説明する。第A、A+1ラインはともに映像データとして”63”の表示を行うものであるが、第A+1ラインは補正が”1”必要であり、”64”のデータを表示する必要があるものとする。両者は共に映像期間において、同じデータ”63”を表示すればよい。第A+1ラインは補正が必要であるため、補正期間には”1”の補正データを表示する。この駆動方法を実現するためには、図4のゲートドライバを用いて、図13に示されるタイミングでデータ及びイネーブルE1、E2、E3を制御すればよい。図12Aの期間Xに着目すると、期間Xでは第Nラインと第N−aラインを選択して、それぞれ映像データ、補正データを書き込む必要がある。
【0079】
図4のゲートドライバ4の構成から、第N(N=3*n+1)ラインがE1、第N−a(N−a=3*n+2)ラインがE2で選択されるものとする。期間Xの2分割された前半の期間で、データライン5に第Nラインの映像データを出力し、その間E1をアクティブとすると第Nラインに映像データが書き込まれる。後半の期間で、データライン5に第N−aラインの補正データを出力し、E2をアクティブとすると、第N−aラインに補正データが書き込まれる。その後、第N+1ラインをE2で選択することでデータライン5に供給される第N+1ラインの映像データを書き込み、第N+1−aラインをE3で選択することでデータライン5に供給される第N+1−aラインの補正データを書き込む。これを繰り返すと図12Aの第A、A+1ラインに示される発光パルスが生成され、6ビットのドライバICを用いた場合でも、映像を6ビットで表示しつつ、適切に焼き付きを補正できる。図13のデータライン上の映像データと補正データの期間Xに占める割合は任意であり、映像データを供給する時間を長くとって、映像データをより確実に画素に書き込むように制御してもよい。
【0080】
図12Bに示される駆動方法を用いてもよい。図12Aの駆動方法では1フレーム期間をかけて全ラインを書き込むが、図12Bの駆動方法では1/2フレーム期間で全ラインの映像データを書き込み、残りの1/2フレーム期間で全ラインの補正データを書き込む。図12Bの駆動方法の場合、図13に示される制御は必要なく、1ラインずつ2倍の速度で映像データ及び補正データを書き込めばよい。
【0081】
いずれの方法も、図7に示されるコントローラにより制御可能である。図12Aの駆動方法の場合、期間Xの間で映像データと補正データとをデータライン5に出力するため、マルチプレクサ22は期間Xの周期で映像データと補正データを切り替える。この場合、映像データを1フレーム保持する必要はないため、第1フレームメモリ15と第2フレームメモリ16は必要ない。図12Bの駆動方法の場合、映像データは1/2フレーム期間内に書き込み終える必要があるため、第1、第2フレームメモリ15、16を用いて映像データを1フレーム保持し、2倍の速度で読み出す必要がある。マルチプレクサ22は映像期間では映像データ処理部20に処理された映像データを出力し、補正期間では補正データ処理部で処理された補正データを出力する。補正データ処理は、いずれも第1の実施の形態と同じであるため説明は省略する。本実施の形態の方法はアモルファスシリコンTFTに限らず、比較的素子特性が安定している低温ポリシリコンTFTを用いた図2に示される画素回路、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、SED(Surface Conduction Electron Emitter Display)等の自発光型ディスプレイにも適用できることは言うまでもない。
【0082】
(第3の実施形態)
補正データの代わりに、もしくはそれに加えて映像データを出力すれば、例えば6ビットのデータドライバを用いて、64階調以上の階調を表示することも可能である。表示期間のみを用いた場合、6ビットのデータドライバでは64階調までしか表示できないが、補正期間を拡張された映像期間として用いることでさらに63階調加算した127階調表示が可能となる。
【0083】
図15に示されるように、6ビット以上のデータ(例えば7ビット)から構成される映像Aを2分の1として映像A/2に変換して表示期間に表示し、補正期間で残りの映像A/2+dAを表示することで容易に実現できる。映像A/2は6ビット表示であるため、映像データを2分の1としてもデータは失われない。
【0084】
これを実現するにはフレームメモリを用いて1フレーム分の映像データを蓄積し、映像期間でメモリに蓄積された映像データを2分の1として出力し、補正期間でフレームメモリの同データを同様に2分の1とし、補正データと加算して出力すればよい。駆動方法は図12A及び図12Bに示される先の実施形態と同様とすることができる。
【0085】
本実施形態に示される方法によると、比較的輝度劣化が遅いデバイスを用いた場合、補正期間はほとんど発光しないため、この補正期間をより有効に用いることができる。
【0086】
また、階調レベルを増加させるという点ではLCD(Liquid Crystal Display)等の非発光型ディスプレイにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1の実施の形態におけるアクティブマトリクスパネル全体構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における画素回路を示す図である。
【図3】デジタル駆動を説明するための概念図である。
【図4】ゲートドライバの構成を示す図である。
【図5】第1の実施の形態におけるイネーブルタイミングチャートである。
【図6A】階調生成方法を説明する概念図である。
【図6B】階調生成方法を説明する概念図である。
【図7】コントローラ機能ブロックを示す図である。
【図8】第1の実施の形態における補正データ処理部の機能を説明する図である。
【図9】各画素を更新順カテゴリーに分けて履歴データを格納する処理方法を示す図である。
【図10】第1の実施の形態における別の補正データ処理部の機能を説明する図である。
【図11A】焼き付き補正方法概念を示す図である。
【図11B】焼き付き補正方法概念を示す図である。
【図11C】焼き付き補正方法概念を示す図である。
【図12A】第2の実施の形態における駆動概念を示す図である。
【図12B】第2の実施の形態における駆動概念を示す図である。
【図13】第2の実施の形態におけるイネーブルタイミングチャートである。
【図14A】第2の実施の形態における画素回路を示す図である。
【図14B】第2の実施の形態における画素回路を示す図である。
【図15】第3の実施の形態における補正データ処理部の機能を説明する図である。
【符号の説明】
【0088】
1 アクティブマトリクス表示装置、2 アクティブマトリクスアレイ、3 データドライバ、4 ゲートドライバ、5 データライン、6 ゲートライン、7 画素回路、8 コントローラ、9 有機EL素子、10 駆動トランジスタ、11 ゲートトランジスタ、12 保持容量、13 シフトレジスタ、14 イネーブル回路、15,16,17,18 フレームメモリ、19 不揮発性メモリ、20 映像データ処理部、21 補正データ処理部、22 マルチプレクサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学素子と、ゲートラインに供給される選択信号とデータラインに供給されるデータ値に応じて前記電気光学素子の生成する光強度を制御する画素部と、をマトリクス上に配置した表示部と、
前記データラインにデータを供給するデータドライバと、
前記ゲートラインに選択信号を供給するゲートドライバと、
を備える表示装置であって、
外部から入力される映像信号に応じて各画素部に対する映像データを出力する映像データ処理部と、
各画素部に対する前記映像データ又は前記映像データの出力履歴に基づいて補正データを算出して出力する補正データ処理部と、
前記表示部における1フレームの表示期間を映像期間と補正期間とに分割して、前記映像期間には前記映像データを表示し、前記補正期間には前記補正データを表示すべくデータを切り替えて出力するマルチプレクサと、を含むコントローラを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記電気光学素子は発光素子であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、前記データラインに供給されるデータ値に応じて前記発光素子の発光を制御する駆動トランジスタと、前記ゲートラインに供給される選択信号により、前記駆動トランジスタへの前記データラインのデータ値の供給を制御するゲートトランジスタとを各々含むことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記データラインに供給されるデータは、
前記駆動トランジスタをオンするデータとオフするデータの2種のデータが供給されることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記データラインに供給されるデータは、
前記駆動トランジスタの電流を複数生成するデータが供給されることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記ゲートドライバは、
各ラインに少なくとも1つ備えられた選択データを転送するシフトレジスタと、
各ラインに少なくとも1つ備えられた前記選択データをイネーブルするイネーブル回路と、
前記イネーブル回路を制御するn(nは2以上の整数)本のイネーブル制御ラインと、を有し、
前記イネーブル回路はnライン置きに同じイネーブル制御ラインに接続されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記ゲートドライバは、
nで割った余りが互いに異なるラインに選択データが入力され、n本のイネーブル制御ラインの未だアクティブにされていないいずれか一つをアクティブにすることでゲートラインを選択し、
前記データドライバは、イネーブル制御ラインによって選択されるゲートラインの映像データを出力することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正期間には補正データを出力することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記イネーブル制御ラインによって、前記映像データを書き込むために選択される期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正データを書き込むために選択される期間には、補正データを出力することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データの一部を表示すべく選択出力し、前記補正期間には、前記映像データの残り及び前記補正データ処理部から出力される補正データを表示すべく選択出力することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記補正期間には、前記補正データ処理部から出力される補正データの一部を表示すべく選択出力し、前記映像期間には、前記補正データの残り及び前記映像データ処理部から出力される映像データを表示すべく選択出力することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、各画素部における発光強度の累積値を算出し、当該累積値に応じて各画素回路に対して前記補正データを算出することを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項12に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、
揮発性メモリを備え、
各画素部を複数の更新順カテゴリーのいずれか1つに分類し、各画素部に対して算出された前記累積値を更新順カテゴリー毎に時系列的に分割して前記揮発性メモリに記憶させることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項12に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、
前記揮発性メモリ内に保持されている各画素部に対して算出された前記累積値を、揮発性メモリと異なるタイミングで不揮発性メモリに更新することを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項12に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、
画素部の現在の発光強度及び当該画素部に対して算出された前記累積値から、当該画素部において、発光強度が高く、発光期間が長いと判断される場合に前記揮発性メモリ及び前記不揮発性メモリの少なくとも1つを更新することを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記コントローラは、
前記表示部へ供給される電流値を測定する電流モニタを備え、
前記映像データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記映像データを補正し、
前記補正データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記補正データを補正することを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記発光素子のアノードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記発光素子のアノードは第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
電気光学素子と、ゲートラインに供給される選択信号とデータラインに供給されるデータ値に応じて前記電気光学素子の生成する光強度を制御する画素部と、をマトリクス上に配置した表示部と、
前記データラインにデータを供給するデータドライバと、
前記ゲートラインに選択信号を供給するゲートドライバと、
を備える表示装置であって、
外部から入力される映像信号に応じて各画素部に対する映像データを出力する映像データ処理部と、
各画素部に対する前記映像データ又は前記映像データの出力履歴に基づいて補正データを算出して出力する補正データ処理部と、
前記表示部における1フレームの表示期間を映像期間と補正期間とに分割して、前記映像期間には前記映像データを表示し、前記補正期間には前記補正データを表示すべくデータを切り替えて出力するマルチプレクサと、を含むコントローラを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記電気光学素子は発光素子であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記画素部は、発光素子と、前記データラインに供給されるデータ値に応じて前記発光素子の発光を制御する駆動トランジスタと、前記ゲートラインに供給される選択信号により、前記駆動トランジスタへの前記データラインのデータ値の供給を制御するゲートトランジスタとを各々含むことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記データラインに供給されるデータは、
前記駆動トランジスタをオンするデータとオフするデータの2種のデータが供給されることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記データラインに供給されるデータは、
前記駆動トランジスタの電流を複数生成するデータが供給されることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記ゲートドライバは、
各ラインに少なくとも1つ備えられた選択データを転送するシフトレジスタと、
各ラインに少なくとも1つ備えられた前記選択データをイネーブルするイネーブル回路と、
前記イネーブル回路を制御するn(nは2以上の整数)本のイネーブル制御ラインと、を有し、
前記イネーブル回路はnライン置きに同じイネーブル制御ラインに接続されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記ゲートドライバは、
nで割った余りが互いに異なるラインに選択データが入力され、n本のイネーブル制御ラインの未だアクティブにされていないいずれか一つをアクティブにすることでゲートラインを選択し、
前記データドライバは、イネーブル制御ラインによって選択されるゲートラインの映像データを出力することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正期間には補正データを出力することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項6に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記イネーブル制御ラインによって、前記映像データを書き込むために選択される期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データを出力し、前記補正データを書き込むために選択される期間には、補正データを出力することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記映像期間には、前記映像データ処理部から出力される映像データの一部を表示すべく選択出力し、前記補正期間には、前記映像データの残り及び前記補正データ処理部から出力される補正データを表示すべく選択出力することを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記マルチプレクサは、
前記補正期間には、前記補正データ処理部から出力される補正データの一部を表示すべく選択出力し、前記映像期間には、前記補正データの残り及び前記映像データ処理部から出力される映像データを表示すべく選択出力することを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、各画素部における発光強度の累積値を算出し、当該累積値に応じて各画素回路に対して前記補正データを算出することを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項12に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、
揮発性メモリを備え、
各画素部を複数の更新順カテゴリーのいずれか1つに分類し、各画素部に対して算出された前記累積値を更新順カテゴリー毎に時系列的に分割して前記揮発性メモリに記憶させることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項12に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、
前記揮発性メモリ内に保持されている各画素部に対して算出された前記累積値を、揮発性メモリと異なるタイミングで不揮発性メモリに更新することを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項12に記載の表示装置であって、
前記補正データ処理部は、
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備え、
画素部の現在の発光強度及び当該画素部に対して算出された前記累積値から、当該画素部において、発光強度が高く、発光期間が長いと判断される場合に前記揮発性メモリ及び前記不揮発性メモリの少なくとも1つを更新することを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記コントローラは、
前記表示部へ供給される電流値を測定する電流モニタを備え、
前記映像データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記映像データを補正し、
前記補正データ処理部では前記電流モニタの測定に応じて前記補正データを補正することを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記発光素子のアノードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記発光素子のアノードは第1の電源ラインに接続され、前記発光素子のカソードは前記駆動トランジスタのドレイン−ソース間を介して第2の電源ラインに接続され、前記駆動トランジスタのゲートは前記ゲートトランジスタのドレイン−ソース間を介して前記データラインに接続されると共にキャパシタを介して前記第1の電源ラインに接続され、前記ゲートトランジスタのゲートはゲートラインに接続されていることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【公開番号】特開2007−86347(P2007−86347A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274376(P2005−274376)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
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