説明

表示装置

【課題】情報を虚像として目視させ、且つ、3次元空間において浮遊した状態でこの虚像を目視させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、所望の情報を表示像2Aとして表示する表示手段2と、第1光源4と、第1光源4の発する光を透過像31Aとして透過させる透光部材3と、表示像2Aの光を目視側へ反射して虚像2Bとして表示像2Aを目視させ且つ透過像31Aの光を目視側へ透過させて実像として透過像31Aを目視させるハーフミラー5とを備え、表示像2Aの虚像2Bと透過像31Aが同時に比較されて目視されるように、表示像2Aの虚像2Bが目視される位置と透過像31Aとを近接させ、透過像31Aの明暗によって透過像31Aが立体的に目視されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を虚像として目視させる表示装置に関するものであり、車両用に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
情報を虚像として目視させる車両用の表示装置として、ヘッドアップディスプレイ(HUD)が利用されている(特許文献1を参照)。
【0003】
この表示装置は、所望の情報を表示像として表示する液晶表示器と、フロントガラスにおいて車室内側に形成されたハーフミラー層とを備える。ハーフミラー層は、表示像の光を目視側(運転者側)へ反射させ、これにより、フロントガラスより遠方側で表示像を虚像として目視させる。このため、運転中に遠方情景を見ている運転者にとって、この虚像に対する焦点合わせが容易になる。
【0004】
また、実像と虚像とを重ねて表示する表示装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【0005】
この表示装置は、情報を表示する第1表示手段と、星空をイメージさせる背景として情報の背景を表示する第2表示手段と、第1表示手段と第2表示手段の間に配設されたハーフミラーとを備える。情報と背景の一方を虚像として目視させ、他方を実像として目視させるようにハーフミラーが構成される。例えば、指針計器を虚像として目視させ、これに重ねて星空をイメージさせる背景を実像として目視させる。このため、星空をイメージさせる背景が指針計器と重なって目視され、これにより、広がりの印象を与える斬新な表示を行うことができる。
【特許文献1】特開平11−15420号公報
【特許文献2】特開平9−288457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の表示装置では、表示像の虚像に対して遠く離れた遠方情景と、この虚像との両方に対して同時に焦点を合わせることが運転者にとって困難になる。このため、ぼやけた遠方情景を背景として虚像を目視させることになる。ぼやけた遠方情景は3次元空間を認識させ難いため、3次元空間において表示像の虚像を目視させることが困難になる。
【0007】
また、虚像と遠方情景とを同時に比較して目視できないため、即ち、虚像と比較して目視する対象がないため、前後方向においてどの位置で虚像が目視されているかを認識させ難い。したがって、3次元空間において本来ならば浮遊した状態で目視されるべき虚像を、3次元空間において浮遊した状態で目視させることが困難になる。
【0008】
一方、特許文献2の表示装置では、指針計器の虚像と星空をイメージさせる背景の実像が近接しているため、両方に対して同時に焦点を合わせることが運転者にとって容易になる。しかし、無限の遠方に星空が存在するため、星空をイメージさせる背景は、平面的な印象を与えるに止まり、3次元空間を認識させ難い。したがって、3次元空間において指針計器の虚像を目視させることが困難になる。
【0009】
また、虚像と背景とを同時に比較して目視できるが、背景が平面的な印象を与えるに止まるため、前後方向においてどの位置で虚像が目視されているかを認識させ難い。したがって、3次元空間において本来ならば浮遊した状態で目視されるべき虚像を、3次元空間において浮遊した状態で目視させることが困難になる。
【0010】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、情報を虚像として目視させ、且つ、3次元空間において浮遊した状態でこの虚像を目視させることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0012】
請求項1に記載の表示装置は、所望の情報を表示像として表示する表示手段と、第1光源と、第1光源の発する光を透過像として透過させる透光部材と、表示像の光を目視側へ反射して虚像として表示像を目視させ且つ透過像の光を目視側へ透過させて実像として透過像を目視させるハーフミラーとを備え、表示像の虚像と透過像が同時に比較されて目視されるように、表示像の虚像が目視される位置と透過像とを近接させ、透過像の明暗によって透過像が立体的に目視されるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成では、透過像の明暗によって立体的に目視される透過像によって、3次元空間を目視者に透過像が認識させることができる。また、この構成では、3次元空間を認識させることができる透過像と表示像の虚像が同時に比較されて目視されるため、透過像を基準として前後方向において表示像の虚像が目視される位置を認識させることができる。これらの結果、情報を虚像として目視させ、且つ、3次元空間において浮遊した状態でこの虚像を目視させることが可能な表示装置を提供できる。
【0014】
請求項2に記載の表示装置は、透過像が目視される領域内で表示像の虚像が目視されるように構成されていることを特徴とする。これにより、透過像と表示像の虚像がより密接に比較されて目視されるため、透過像を基準として前後方向において表示像の虚像が目視される位置を、明確に認識させることができる。この結果、3次元空間において明確に浮遊した状態で虚像を目視させることができる。
【0015】
請求項3に記載の表示装置は、表示像の虚像の外枠として透過像の暗部側が目視されるように構成され、外枠へ向かって透過像の明度が徐々に低く目視されるように構成されていることを特徴とする。これにより、透過像のいわゆるグラデーション効果によって、表示像の虚像の外枠として透過像の明暗が強調されるため、透過像をより立体的に目視させることができる。
【0016】
請求項4に記載の表示装置は、第1光源の発する光を減衰させて透過させる光減衰部材を透光部材が備え、光減衰部材の厚さの薄い部分側が明暗の明部側を表現し且つ光減衰部材の厚さの厚い部分側が明暗の暗部側を表現するように構成され、光減衰部材を透過した第1光源の発する光を、透過像として目視させるように構成されていることを特徴とする。これにより、光減衰部材の厚さという簡易な構成によって透過像の明暗を表現できる。
【0017】
請求項5に記載の表示装置は、明暗を表現するように形成された印刷層を透光部材が備え、印刷層を透過した第1光源の発する光を、透過像として目視させるように構成されていることを特徴とする。これにより、印刷層という簡易な構成によって透過像の明暗を表現できる。
【0018】
請求項6に記載の表示装置は、前後方向へ傾斜して透過像が目視されるように構成され、背後側で透過像の明度が低く目視されるように構成されていることを特徴とする。この構成では、透過像において明度が低く目視される部分を、即ち、透過像において目視し難い部分を、背後側に配置する。このため、透過像を傾斜して目視させることが、透過像の明暗によって透過像を立体的に目視させることを助長することとなり、透過像をより立体的に目視させることができる。
【0019】
請求項7に記載の表示装置は、車両に搭載される表示装置であって、第1光源の発する光と異なる色調の光を発する第2光源と、自車両に備わる機器の作動状態を報知するインジケータの表示または自車両の異常を警告するウォーニングの表示に連動させて、第1光源と第2光源の点燈・消燈の切替制御をする制御手段と備え、第2光源の発する光を透過像として透光部材が透過させるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成では、インジケータの表示またはウォーニングの表示に連動させて、第1光源と第2光源の点燈・消燈の切替制御をする、即ち、透過像の色調を切り替える。これにより、インジケータが報知されていることまたはウォーニングが警告されていることを、より確実に認識させることができる。
【0021】
請求項8に記載の表示装置は、所望の情報を表示像として表示する表示手段と、第1光源と、第1光源の発する光を透過像として透過させる透光部材と、透過像の光を反射する反射鏡と、表示像の光を目視側へ反射して虚像として表示像を目視させ且つ反射鏡が反射した透過像の光を目視側へ透過させて虚像として透過像を目視させるハーフミラーとを備え、表示像の虚像と透過像の虚像が同時に比較されて目視されるように、表示像の虚像が目視される位置と透過像の虚像が目視される位置とを近接させ、透過像の虚像の明暗によって透過像の虚像が立体的に目視されるように構成されていることを特徴とする。
【0022】
この構成では、請求項1の構成に反射鏡を加えて、反射鏡が反射した透過像の光を目視側へハーフミラーが透過させて虚像として透過像を目視させる。これにより、透光部材と反射鏡の配置の組み合わせによって、透過像の虚像が目視される位置、即ち、透過像の虚像が目視される位置と表示像の虚像が目視される位置との相対的な位置関係を決定できる。このため、透過像の虚像が目視される位置と表示像の虚像が目視される位置との相対的な位置関係を設定する自由度が増加し、請求項1の構成による効果をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(構成)
本発明の一実施形態による表示装置である速度計1は、運転席前方に配置され、図1に示すようにメータフード11によって周囲が覆われ、所望の情報である自車両の車速を表示する。速度計1において、透過像31Aを背景として、後述する表示像2Aの白色の虚像2Bとして車速を目視させる。後述する透光部材である光減衰板3が、後述する第1光源である発光ダイオード4の発する青色光を透過像31Aとして透過するように構成される。
【0024】
速度計1は、図2に示すように、表示手段である液晶表示器2と、光減衰板3と、発光ダイオード4と、発光ダイオード4の発する光を光減衰板3へ導く導光体41と、ハーフミラー5とを備える。発光ダイオード4は、プリント基板8に実装され、プリント基板8と液晶表示器2と光減衰板3と導光体41とハーフミラー5は、ケース7に固定される。
【0025】
液晶表示器2は、電圧無印加時には遮光性となり電圧印加時には透光性となる液晶パネルと、これを透過照明する発光ダイオードとを備え、液晶パネルにおいて表示像2Aをセグメント表示(デジタル表示)する。例えば、図1において符号2Bで示す「47km/h」を表示像2Aとして表示する場合、液晶パネルにおいて「47km/h」に対応するセグメントに電圧を印加してこのセグメントを透光性にする。この状態で、発光ダイオードが液晶パネルを透過照明するため、「47km/h」に対応するセグメントが黒色を背景として白色で表示される。即ち、液晶表示器2は、黒色を背景として「47km/h」を白色の表示像2Aとして表示する。尚、液晶表示器2は、図示しないリードワイヤを介してプリント基板8と電気的に接続される。
【0026】
導光体41は、無色透明のアクリル樹脂等から形成された本体部42と、微細な凹凸として曇りガラス調に本体部42に形成されシボ面43と、本体部42に入射した発光ダイオード4の発する光を外部へ逃がさないようにしてシボ面43へ導く白色の遮光層44とを備える。これにより、発光ダイオード4の発する青色光は、遮光層44によってシボ面43へ導かれ、シボ面43で反射して光減衰板3へ導かれる。
【0027】
ハーフミラー5は、光を反射する反射特性と光を透過する透光性の両方を有し、この反射特性を利用して表示像2Aの光を目視側(図2において右側)へ反射する。即ち、図2に示す光路P1に従って白色の表示像2Aの光を目視側へ反射し、これにより、白色の虚像2Bとして表示像2Aを目視させる。
【0028】
光減衰板3は、導光体41によって導かれた発光ダイオード4の発する青色光を、青色の透過像31Aとして透過するように形成される。ハーフミラー5は、ハーフミラー5の透光性を利用し、光路P2に従って透過像31Aの青色光を目視側へ透過させて実像として青色の透過像31Aを目視させる。白色の虚像2Bと青色の透過像31Aは、透明カバー10を通して目視されるように構成され、透明カバー10は、ケース7に固定される。
【0029】
ここで、虚像2Bが目視される位置と透過像31Aが近接するように構成される。即ち、図1において透過像31Aが目視される領域内(速度計1の楕円の内側)で虚像2Bが目視されるように構成され、且つ、図2において虚像2Bが目視される位置(即ち、図2において虚像2Bが描かれている位置)と透過像31Aが近接するように構成される。図1において透過像31Aと虚像2Bが重なって目視されるため、両方を同時に目視できる。また、図2において虚像2Bが目視される位置と透過像31Aが近接するため、両方に対して同時に焦点を合わせることが目視者(運転者)にとって容易になる。これらの結果、虚像2Bと透過像31Aを同時に比較して目視できる。
【0030】
以下、光減衰板3について詳細に説明する。
【0031】
光減衰板3は、発光ダイオード4の発する光を減衰させて透過させる光減衰部材であり、白色のスモーク調(曇りガラス調)で透光性を有する樹脂材から形成される。図3と図4に示す凹部31が、図1に示す速度計1の楕円より大きい形状で凹部31の中央側がより凹んだ形状で光減衰板3に形成される。図4に示すように、凹部31の中央側では光減衰板3の厚さである板厚T0が薄く、中央側より外側では板厚T1が厚く、凹部31が光減衰板3に形成される。また、凹部31の中央側の広い領域で光減衰板3の板厚が薄く、中央側より外側の領域で凹部31の外側へ向かって光減衰板3の板厚が徐々に厚くなるように凹部31が形成される。
【0032】
これにより、導光体41によって導かれた発光ダイオード4の発する光は、凹部31の中央側では光路P20に従って、板厚T0の光減衰板3のよって減衰する。一方、導光体41によって導かれた発光ダイオード4の発する光は、中央側より外側では光路P21に従って、板厚T0より厚い板厚T1の光減衰板3のよって減衰する。このため、光路P20の光の透過強度は、光路P21の光の透過強度より大きくなる。また、凹部31の中央側の広い領域で透過強度が比較的大きく、これに対して、中央側より外側の領域で凹部31の外側へ向かって透過強度が徐々に小さくなる。
【0033】
これにより、図1において透過像31Aの中央側の広い領域で透過像31Aの明度が高く目視され、中央側より外側の領域で透過像31Aの外側へ向かって透過像31Aの明度が徐々に低く(いわゆるグラデーション状に)目視される。即ち、光減衰板3の厚さの薄い部分側が透過像31Aの明暗の明部側を表現し、且つ、光減衰板3の厚さの厚い部分側が透過像31Aの明暗の暗部側を表現するように構成され、発光ダイオード4の発する光が光減衰板3を透過し透過光を透過像31Aとして目視させるように構成される。
【0034】
これにより、透過像31Aの明暗によって、特に、中央側より外側の領域でのいわゆるグラデーション効果によって、透過像31Aが立体的に目視されるように構成される。このため、3次元空間を目視者に透過像31Aが認識させることができる。また、透過像31Aにおいて明度が高く目視される領域(中央側の広い領域)に重なって虚像2Bが目視され、透過像31Aにおいて明度が低く目視される暗部側(中央側より外側の領域)が虚像2Bの外枠として目視されるように構成される。
【0035】
尚、図1において細線31Bは、透過像31Aの中央側の広い領域で透過像31Aの明度が高く目視され、中央側より外側の領域で透過像31Aの外側へ向かって透過像31Aの明度が徐々に低く目視されていることを強調するための細線である。また、図3において細線31Bは、凹部31が凹んで光減衰板3に形成されていることを強調するための細線である。
【0036】
以上説明した本実施形態による速度計1の電気回路構成について、図5に基づいて説明する。
【0037】
マイクロコンピュータ等から構成される制御手段である制御装置9には、バッテリ14から電力が常時供給される。制御装置9には、イグニッションスイッチ13が、その作動状態(オンまたはオフ)を検出可能に接続され、自車両の車速を検出する速度センサ12が検出信号を入力可能に接続される。また、制御装置9には、液晶表示器2と発光ダイオード4とが接続される。
【0038】
(作動)
以下、上記構成において本実施形態による表示装置である速度計1の作動を説明する。
【0039】
図5において、運転者によってイグニッションスイッチ13がオンされると、制御装置9は、それを検出して作動を開始する。即ち、速度センサ12からの信号に基づいて、液晶表示器2の作動を制御し、液晶表示器2に表示像2Aを表示させ、発光ダイオード4を点燈する。点燈した発光ダイオード4の発する青色光を、光減衰板3へ導光体41が導いて、導光体41によって導かれた発光ダイオード4の発する青色光を光減衰板3が青色の透過像31Aとして透過する。
【0040】
ハーフミラー5は、図2に示す光路P1に従って白色の表示像2Aの光を目視側へ反射し、これにより、白色の虚像2Bとして表示像2Aを目視させる。また、ハーフミラー5は、光路P2に従って透過像31Aの青色光を目視側へ透過させて実像として青色の透過像31Aを目視させる。上述したように透過像31Aの明暗によって3次元空間を運転者(目視者)に透過像31Aが認識させることができ、虚像2Bと透過像31Aが近接しているため虚像2Bと透過像31Aを同時に比較して目視できる。
【0041】
これにより、3次元空間を認識させる透過像31Aと虚像2Bが同時に比較されて目視されるため、透過像31Aを基準として前後方向(図2において左右方向)において虚像2Bが目視される位置を認識させることができる。この結果、3次元空間において浮遊した状態で(空中に浮いた状態で)虚像2Bを目視させることができる。
【0042】
また、図1において、明度が高く目視される透過像31Aの中央側の広い領域に重なって虚像2Bが目視され、明度が低く目視される中央側より外側の領域が虚像2Bの外枠として目視されるように構成される。これにより、透過像31Aと虚像2Bがより密接に比較されて目視されるため、透過像31Aを基準として前後方向において虚像2Bが目視される位置を、明確に認識させることができる。この結果、3次元空間においてより明確に浮遊した状態で虚像2Bを目視させることができる。
【0043】
また、虚像2Bの外枠として目視される外側の領域が、透過像31Aの外側へ向かって透過像31Aの明度が徐々に低く(いわゆるグラデーション状に)目視される。これにより、透過像31Aのいわゆるグラデーション効果によって透過像31Aの明暗が強調されるため、透過像31Aをより立体的に目視させることができる。この結果、3次元空間においてより明確に浮遊した状態で虚像2Bを目視させることができる。
【0044】
また、光減衰板3の厚さ(図4において板厚T0、T1)という簡易な構成によって透過像31Aの明暗を表現できる。この結果、簡易な構成によって、3次元空間において浮遊した状態で虚像2Bを目視させることができる。
【0045】
(変形例)
また、発光ダイオード4の発する青色光と異なる色調の光である例えば橙色の光を発する第2光源である第2の発光ダイオード(図示しない)を、光減衰板3に入射させて透過像31Aとして透過させる発光ダイオードとして追加して設けることも可能である。本変形例では、自車両に備わる機器の作動状態を報知するインジケータ(図示しない)の表示または自車両の異常を警告するウォーニング(図示しない)の表示に連動させて、発光ダイオード4と第2の発光ダイオードの点燈・消燈の切替制御を、制御手段である制御装置9によって行うように構成する。
【0046】
例えば、インジケータまたはウォーニングを表示する際に、発光ダイオード4を消燈して第2の発光ダイオードを点燈する。これにより、図1において、透過像31Aは、青色から橙色に切り替わり、インジケータまたはウォーニングが表示されたことを確実に認識させることができる。即ち、本変形例では、いわゆるアンビエント効果を発揮させることができる。
【0047】
図6に示す変形例では、印刷層33が形成された透光板32を、光減衰板3の代わりに設ける。明暗を表現するように形成された黒色の印刷層33と、アクリル樹脂等から形成された透光板32によって透光部材が構成される。本変形例では、印刷層33の開口34によって、透過像31Aの明暗を表現する。即ち、透過像31Aにおいて明度が高く目視される領域(中央側の広い領域)では、開口34の割合を大きくし、透過像31Aにおいて明度が低く目視される暗部側(中央側より外側の領域)では、開口34の割合を小さくする。例えば、開口34の割合を大小様々なスリット状の集合として形成するように、スクリーン印刷等によって印刷層33を形成する。
【0048】
本変形例では、印刷層33という簡易な構成によって透過像の明暗を表現できる。これにより、印刷層33という簡易な構成によって上述の効果を得ることができる。
【0049】
図7に示す変形例では、前後方向(図7において左右方向)へ傾斜して透過像34Aが目視されるように構成され、背後側(図7において左側)で透過像34Aの明度が低く目視されるように構成される。具体的に、前後方向に傾斜させた導光体41の本体部42上に、導光板32を前後方向に傾斜させて形成し、導光板32上に印刷層33を形成する。背後側で開口34の割合を小さくするように、印刷層33を形成する。
【0050】
これにより、透過像34Aにおいて明度が低く目視される部分を、即ち、透過像34Aにおいて目視し難い部分を、背後側に配置する。このため、透過像34Aを傾斜して目視させることが、透過像34Aの明暗によって透過像34Aを立体的に目視させることを助長することとなり、透過像34Aをより立体的に目視させることができる。この結果、3次元空間においてより明確に浮遊した状態で虚像2Bを目視させることができる。
【0051】
図8に示す変形例では、透過像34Aの光を反射する反射鏡6を備える。反射鏡6が反射した透過像34Aの光を、光路P3に従って目視側(図8において右側)へハーフミラー5が透過させ、これにより、虚像34Bとして透過像34Aを目視させる。これにより、反射鏡6と透光部材である印刷層33との配置の組み合わせによって、透過像34Aの虚像34Bが目視される位置、即ち、虚像34Bが目視される位置と虚像2Bが目視される位置との相対的な位置関係を決定できる。このため、虚像34Bが目視される位置と虚像2Bが目視される位置との相対的な位置関係を設定する自由度が増加し、上述した効果をより高めることができる。
【0052】
また、上述の例では、虚像2Bの外枠として透過像31Aの暗部側を目視させ、且つ、透過像31Aの外側へ向かって外枠の明度が徐々に低く(いわゆるグラデーション状に)目視させているが、これに限らない。透過像31A(またはその虚像)の明暗によって透過像31Aを立体的に目視させるように構成すれば足りる。これは、立体的に目視される透過像31Aによって、3次元空間を目視者に透過像31Aが認識させることができるため、上述の効果を得ることができるからである。
【0053】
例えば、図9に示すように、明暗によって立体的に目視させる透過像35Aを、虚像2Bの上下の両方に目視させる構成とすることも可能である。これによっても上述の効果を得ることができる。尚、図9において細線35Bは、透過像35Aの中央側の広い領域で透過像35Aの明度が高く目視され、中央側より外側の領域で透過像35Aの外側へ向かって透過像35Aの明度が徐々に低く目視されていることを強調するための細線である。また、透過像35Aを立体的に目視させる明暗は、これに限らない。
【0054】
また、表示像2A(虚像2B)をデジタル表示としないで、インジケータやウォーニングを表すマークやその他の表示像とすることも可能である。
【0055】
以上、本発明による表示装置である速度計1は、所望の情報を表示像2Aとして表示する表示手段である液晶表示器2と、第1光源である発光ダイオード4と、発光ダイオード4の発する光を透過像31Aとして透過させる透光部材である光減衰板3と、表示像2Aの光を目視側へ反射して虚像2Bとして表示像2Aを目視させ且つ透過像31Aの光を目視側へ透過させて実像として透過像31Aを目視させるハーフミラー5とを備え、表示像2Aの虚像2Bと透過像31Aが同時に比較されて目視されるように、表示像2Aの虚像2Bが目視される位置と透過像31Aとを近接させ、透過像31Aの明暗によって透過像31Aが立体的に目視されるように構成されている。
【0056】
これにより、情報を虚像として目視させ、且つ、3次元空間において浮遊した状態でこの虚像を目視させることが可能な表示装置を提供できる。
【0057】
尚、上述した例に限らないで、これらの組み合わせや、他の種々の変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による表示装置である速度計1の正面図である。
【図2】図2は、図1中のII−II線断面図である。
【図3】図3は、図2中の透光部材である光減衰板3の正面図である。
【図4】図4は、図3中のIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、図1に示す速度計1の電気回路構成を説明する回路構成図である。
【図6】図6は、図4の変形例を示す断面図である。
【図7】図7は、図2の変形例を示す断面図である。
【図8】図8は、図2の他の変形例を示す正面図である。
【図9】図9は、図1の変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 速度計(表示装置)、2 液晶表示器(表示手段)、2A 表示像、2B 虚像
3 光減衰板(透光部材、光減衰部材)、31 凹部、32 透光板(透光部材)
33 印刷層(透光部材)、34 開口、31A、34A、35A 透過像(実像)
31B、35B 細線、34B 虚像、41 導光体、42 本体部、43 シボ面
44 遮光層、4 発光ダイオード(第1光源)、5 ハーフミラー、6 反射鏡
7 ケース、8 プリント基板、9 制御装置(制御手段)、10 透明カバー
11 メータフード、12 速度センサ、13 イグニッションスイッチ
14 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の情報を表示像として表示する表示手段と、
第1光源と、
前記第1光源の発する光を透過像として透過させる透光部材と、
前記表示像の光を目視側へ反射して虚像として該表示像を目視させ、且つ、前記透過像の光を該目視側へ透過させて実像として該透過像を目視させるハーフミラーとを備え、
前記表示像の前記虚像と前記透過像が同時に比較されて目視されるように、該表示像の該虚像が目視される位置と該透過像とを近接させ、
前記透過像の明暗によって該透過像が立体的に目視されるように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記透過像が目視される領域内で前記表示像の前記虚像が目視されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示像の前記虚像の外枠として前記透過像の暗部側が目視されるように構成され、
前記外枠へ向かって前記透過像の明度が徐々に低く目視されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1光源の発する光を減衰させて透過させる光減衰部材を前記透光部材が備え、
前記光減衰部材の厚さの薄い部分側が前記明暗の明部側を表現し、且つ、該光減衰部材の厚さの厚い部分側が該明暗の暗部側を表現するように構成され、
前記光減衰部材を透過した前記第1光源の発する光を、前記透過像として目視させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記明暗を表現するように形成された印刷層を前記透光部材が備え、
前記印刷層を透過した前記第1光源の発する光を、、前記透過像として目視させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前後方向へ傾斜して前記透過像が目視されるように構成され、
背後側で前記透過像の明度が低く目視されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
車両に搭載される表示装置であって、
前記第1光源の発する光と異なる色調の光を発する第2光源と、
自車両に備わる機器の作動状態を報知するインジケータの表示または該自車両の異常を警告するウォーニングの表示に連動させて、前記第1光源と前記第2光源の点燈・消燈の切替制御をする制御手段と備え、
前記第2光源の発する光を透過像として前記透光部材が透過させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
所望の情報を表示像として表示する表示手段と、
第1光源と、
前記第1光源の発する光を透過像として透過させる透光部材と、
前記透過像の光を反射する反射鏡と、
前記表示像の光を目視側へ反射して虚像として該表示像を目視させ、且つ、前記反射鏡が反射した前記透過像の光を該目視側へ透過させて虚像として該透過像を目視させるハーフミラーとを備え、
前記表示像の前記虚像と前記透過像の前記虚像が同時に比較されて目視されるように、該表示像の該虚像が目視される位置と該透過像の該虚像が目視される位置とを近接させ、
前記透過像の前記虚像の明暗によって該透過像の該虚像が立体的に目視されるように構成されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−116566(P2008−116566A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298048(P2006−298048)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】