説明

表示装置

【課題】品質を満足し、組み付け性も良い表示装置を提供する。
【解決手段】回路基板1(基板)に取り付けられた複数の発光ダイオード2と、この発光ダイオード2の前方側に配置され発光ダイオード2の点灯により発光する発光部材3が固着された前面部材4と、回路基板1と前面部材4との間に配置され発光ダイオード2間を仕切る仕切壁5とを備えた表示装置において、仕切壁5は前面部材4側が前面部材4に設けた剛性を有する壁部6からなり、回路基板1側が壁部6に装着された合成ゴム製の仕切り部材7からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の作動状態あるいは異常内容などを表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1には、複数の表示意匠が印刷された意匠レンズ13(表示板)と、この意匠レンズ13の裏面側に配置された回路基板11と、表示意匠に対向した回路基板11上に実装されたLED12と、意匠レンズ13と回路基板11との間の空間に各LED12を仕切る仕切壁2を有するウォーニングケース1とを備えたLED表示器(表示装置)が記載されている。この様に各LED12間を仕切壁2で仕切ることによって、隣接するLEDが点灯していないにも関わらず、そのLEDに対応した表示意匠が恰も発光したかの如く視認される(いわゆる疑似点灯)のを防ぐことができるようになっている。
【特許文献1】実開平6−73785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の様に構成されたLED表示器(表示装置)においては、意匠レンズ13,仕切壁2および回路基板11が共に剛性のある部材であるため、各部材の寸法バラツキによっては各部材間に隙間が生じて光洩れ(疑似点灯)が発生したり、振動が加わった際に異音や擦れ粉が発生したりする可能性がある。また、LED12と仕切壁2との隙間が狭いと、ウォーニングケース1を回路基板11に組み付ける際に仕切壁2の下端がLED12に当接してLED12を壊す虞もあるため、組み付け時の注意が必要である。LED12と仕切壁2との隙間を広くすると組み付け性も良くなるが各表示意匠の間隔が広くなり、要求品質(外観意匠)を満足しない場合もある。
【0004】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、品質を満足し、組み付け性も良い表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するため、基板に取り付けられた複数の光源と、この光源の前方側に配置され前記光源の点灯により発光する発光部材が固着または保持された前面部材と、前記基板と前記前面部材との間に配置され前記光源間を仕切る仕切壁とを備えた表示装置において、前記仕切壁は前記前面部材側が前記前面部材に設けた剛性を有する壁部からなり、前記基板側が前記壁部に装着された合成ゴム製の仕切り部材からなるものである。
【0006】
また、前記仕切り部材は断面U字状の装着部を有し、この装着部に前記壁部を挿し入れることによって前記仕切り部材が前記壁部に装着されるものである。
【0007】
また、前記仕切り部材の厚さが前記壁部の厚さより薄いものである。
【発明の効果】
【0008】
品質を満足し、組み付け性も良い表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
フォークリフトに備えられている表示装置を実施形態として説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す表示装置の部分正面図であり、図2は表示装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面)である。図3は、図2に於ける回路基板を取り除いた状態の表示装置の部分裏面図である。
【0010】
表示装置は、回路基板1(基板)に取り付けられた光源としての複数の発光ダイオード2と、この発光ダイオード2の前方側に配置され発光ダイオード2の点灯により発光する発光部材3が固着された前面部材4と、回路基板1と前面部材4との間に配置され発光ダイオード2間を仕切る仕切壁5を備えている。なお、仕切壁5は前面部材4側が前面部材4に設けた剛性を有する壁部6からなり、回路基板1側が壁部6に装着された合成ゴム製の仕切り部材7からなっている。
【0011】
発光部材3は、例えば黒色で光透過性の合成樹脂(例えばアクリル樹脂)からなり、表面(車両運転者側)に車両の異常内容あるいは作動状態などを現す絵マーク(ニュートラルマーク8A,パーキングブレーキマーク8B,荷役系故障警告マーク8C,バッテリ液量マーク8D,走行系故障警告マーク8E,低速走行マーク8F)が黒色で施してある。この発光部材3は、図1に破線で外周線を示す様に一枚の略平板状となっている。なお、図2に於いては各絵マークの記載は省略してある。
【0012】
前面部材4は、例えば黒色(光不透過性)で剛性を有する合成樹脂(例えばABS樹脂)からなる。この前面部材4と発光部材3とは一体成形(インサート成形)されている。本実施形態に於いては、一体成形されていることにより発光部材3が前面部材4に固着されるものである。また、前面部材4には各絵マーク間を仕切る壁部6と周壁部9とが前面部材4と一体に設けてある。この壁部6および周壁部9は前面部材4と回路基板1との中間位置くらいまで延びている。なお、発光ダイオード2の光が外部に洩れない構造となっていれば、周壁部9は必ずしも設ける必要はない。
【0013】
仕切り部材7は、例えば黒色の合成ゴムからなり、図2に示す断面の如く、壁部6および周壁部9側に断面U字状(正面から見た際には、連続した溝状となっている)の装着部10を有し、装着部10および周壁部9と回路基板1との間は、壁部6および周壁部9の板厚より薄い薄平部11とした一体物である。
【0014】
表示装置の組み付け方法について説明する。先ず、発光部材3がインサート成形された前面部材4の壁部6および周壁部9に仕切り部材7を装着する。装着の仕方は、断面U字状の装着部10に壁部6および周壁部9の下端側を挿し入れることによって、仕切り部材7が壁部6および周壁部9に装着される。この際、装着部10のU字の幅が壁部6および周壁部9の板厚より僅かに狭くした方が、装着後の仕切り部材7が壁部6および周壁部9から脱着しにくいので狭い方が望ましい。
【0015】
次に、発光ダイオード2が取り付けられた回路基板1を仕切り部材7の薄平部11側に配置して、図示しないがビスなどを用いて回路基板1を前面部材4に固定する。固定した際、仕切り部材7の薄平部11が前面部材4側方向に僅かに圧縮される様に、薄平部11の長さは僅かに長くしてある。
【0016】
表示装置の発光部材3は、材料が光透過性の黒色であり、各絵マークも黒色であるため各絵マークは通常は視認されにくいが、例えばバッテリ液量が減ってバッテリ液量マーク8D用の例えば赤色で発光する発光ダイオード2が点灯した時は、発光部3が赤色で透過照明され、その中にバッテリ液量マーク8Dが黒色で浮かび上がる(視認される)ことによって、車両のバッテリ液量が少なくなったことを警告するようになっている。同様に、走行系故障警告マーク8E用の例えば赤色で発光する発光ダイオード2が点灯した際も、発光部3が赤色で透過照明されて走行系故障警告マーク8Eが黒色で浮かび上がる(視認される)ようになっている。他の絵マークも同様である。
【0017】
この様に、仕切壁5を前面部材4側が剛性を有する壁部6とし、回路基板1側が壁部6に装着された合成ゴム製の仕切り部材7とし、前面部材4と回路基板1との間で仕切り部材7の薄平部11が僅かに圧縮される様に構成したことにより、各部材の寸法がばらついたとしても光洩れ(疑似点灯)が発生したり、振動が加わった際に異音や擦れ粉が発生したりすることが抑えられる。
【0018】
また、仕切り部材7は断面U字状の装着部10を設け、この装着部10に剛性を有する壁部6を挿し入れることによって仕切り部材7が壁部6に装着される様にしたことにより、仕切り部材7の組み付け性が良い。また、仕切り部材7の薄平部11の厚さを壁部6の厚さより薄くすることにより、発光ダイオード2との隙間が広くなり、各絵マークの間隔を広くする必要もなく、前面部材4に回路基板1を組み付ける際の作業性も良くなる。
【0019】
なお、本実施形態に於いては前面部材4と発光部材3とを一体成形(インサート成形)としたが、発光部材3は前面部材4に接着あるいは溶着などによって固着する様にしても良い。また、発光部材3を一枚の略平板としたが、各絵マーク毎に別々の発光部材とし、それらを個々にインサート成形あるいは接着する様にしても良い。
【0020】
図4は、本発明の第2実施形態を示す表示装置の部分断面図である。本実施形態に於ける表示装置は、前面部材4とは別体の発光部材としての意匠シート12を備えたものである。他は前記第1実施形態と同様であるため、その詳細説明は省略する。
【0021】
意匠シート12(発光部材)は、例えば黒色で光透過性の合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂)からなるシート基材13の裏面側に、例えば黒色で不透過性の地色層14を抜き印刷することによって前記第1実施形態と同じ絵マーク(ニュートラルマーク,パーキングブレーキマーク,荷役系故障警告マーク,バッテリ液量マーク,走行系故障警告マーク,低速走行マーク)を形成したものである。この意匠シート12は、黒色の合成樹脂からなる前面部材4上に保持される。
【0022】
この意匠シート12は、シート基材13が光透過性の黒色であり、各絵マークを除いた箇所には黒色の印刷が施してあるために、各絵マークは通常は視認されにくいが、例えばバッテリ液量マーク8D用の例えば赤色で発光する発光ダイオード2が点灯した時は、バッテリ液量マーク8Dが赤色で透過照明され、バッテリ液量が少なくなったことを警告するようになっている。他の絵マークも同様である。
【0023】
仕切り部材7は、前記第1実施形態と同様に前面部材4の壁部6および周壁部9に装着される。この様に構成した表示装置に於いても、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0024】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、例えば前記第1実施形態に於いては各絵マークが黒色で浮かび上がるようにし、前記第2実施形態に於いては各絵マークが赤色で透過照明されるようにしたが、それぞれ逆であっても良い。要は、発光ダイオード2の点灯によって発光する部分を有していれば、形状,色調などは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態を示す表示装置の部分正面図。
【図2】同表示装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面)。
【図3】同表示装置の部分裏面図(回路基板を取り除いた状態)。
【図4】本発明の第2実施形態を示す表示装置の部分断面図。
【符号の説明】
【0026】
1 回路基板(基板)
2 発光ダイオード(光源)
3 発光部材
4 前面部材
5 仕切壁
6 壁部
7 仕切り部材
9 周壁部
10 装着部
12 意匠シート(発光部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられた複数の光源と、この光源の前方側に配置され前記光源の点灯により発光する発光部材が固着または保持された前面部材と、前記基板と前記前面部材との間に配置され前記光源間を仕切る仕切壁とを備えた表示装置において、前記仕切壁は前記前面部材側が前記前面部材に設けた剛性を有する壁部からなり、前記基板側が前記壁部に装着された合成ゴム製の仕切り部材からなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記仕切り部材は断面U字状の装着部を有し、この装着部に前記壁部を挿し入れることによって前記仕切り部材が前記壁部に装着されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記仕切り部材の厚さが前記壁部の厚さより薄いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−58607(P2008−58607A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235493(P2006−235493)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】