説明

表示装置

【課題】簡易な構成で複数の表示形状を同一箇所に切り替えて表示することのできる表示装置を提供する。
【解決手段】所定の表示形状が透光領域として形成された表示板102を裏面側から照明して該表示形状を発光表示する表示装置101は、表示板102が、第1表示形状110と、第2表示形状111と、を同一箇所に有し、互いに補色の関係にある第1発光色と、第2発光色とで表示板102の裏面を照明する照明手段103を備えており、第1表示形状110の領域および第2表示形状111の領域の重複領域A1が、無色とされ、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2が、第1発光色とされ、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3が、第2発光色とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の表示形状が透光領域として形成された表示板を裏面側から照明して該表示形状を発光表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表示装置として、複数の表示形状を同一箇所に切り替えて表示するようにした表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された表示装置1は、図6に示すように、基材2の上に複数の(図示の例では3層)の表示板3a〜3cが積層されている。各表示板には文字や数字などの所定の表示形状4a〜4cが設けられており、これらの表示形状は透光材で形成されている。また、各表示板において、表示形状の周囲は特定の波長(例えば赤色、緑色、青色のいずれか一色)の光を吸収する光吸収材で形成されたマスク部5a〜5cとされている。そして、各表示板のマスク部で吸収される波長は、表示板毎に異なるように構成されている。
【0004】
例えば各表示板のマスク部で吸収される波長が表示板3aでは赤色、表示板3bでは緑色、表示板3cでは青色であるとして、赤色光で照明された場合には、表示板3aの表示形状4aが発光表示され、緑色光で照明された場合には、表示板3bの表示形状4bが発光表示され、青色光で照明された場合には、表示板3cの表示形状4cが発光表示される。
【特許文献1】特開2004−355368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1によれば、複数の表示形状を同一箇所に切り替えて表示するので、各表示形状の表示サイズを維持しつつ表示エリアを小型化することができる。しかしながら、上記特許文献1では、表示形状および光吸収特性が互いに異なる表示板を複数用いており、部品点数が多くなる傾向にあり、特性が互いに異なる光吸収材の使用とあいまって、その製造にコストがかかる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で複数の表示形状を同一箇所に切り替えて表示することのできる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明に係る下記の表示装置により達成される。
(1)所定の表示形状が透光領域として形成された表示板を裏面側から照明して該表示形状を発光表示する表示装置であって、前記表示板が、第1表示形状と、第2表示形状と、を同一箇所に有し、互いに補色の関係にある第1発光色と、第2発光色とで前記表示板の裏面を照明する照明手段を備えており、前記第1表示形状の領域および前記第2表示形状の領域の重複領域が、無色とされ、前記重複領域を除く前記第1表示形状の領域が、前記第1発光色とされ、前記重複領域を除く前記第2表示形状の領域が、前記第2発光色とされていることを特徴とする表示装置。
(2)前記表示板が、無色の透光性の基材を含み、前記基材において、前記重複領域を除く前記第1表示形状の領域には、前記第1発光色の第1透光層が形成され、前記基材において、前記重複領域を除く前記第2表示形状の領域には、前記第2発光色の第2透光層が形成され、前記第1表示形状の領域と、前記第2表示形状の領域とを除く前記基材の遮光領域には、前記第1透光層および前記第2透光層が重ねて形成されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(3)前記第1透光層と、前記第2透光層とが、それぞれ各層の色に対応した透光性インクによる印刷層とされていることを特徴とする(2)に記載の表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表示装置によれば、第1発光色で照明された際には、第1表示形状の領域との重複領域を除き第1発光色と補色の関係にある第2発光色とされた第2表示形状の領域は黒色となり、第1表示形状のみが発光表示される。一方、第2発光色で照明された際には、第2表示形状の領域との重複領域を除き第2発光色と補色の関係にある第1発光色とされた第1表示形状の領域は黒色となり、第2表示形状のみが発光表示される。このように補色を利用することで、一つの表示板で第1表示形状と、第2表示形状とを切り替えて表示することができる。それにより、表示装置の構成を簡易なものとすることができ、そして、各表示形状の表示サイズを維持しつつ表示エリアを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の表示装置の第1実施形態の断面図、図2は図1の表示装置の表示板の正面図、図3は表示板の構成を示す背面図、図4は図1の表示装置の表示形態を示す正面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の表示装置101は、車両に搭載されるコンビネーションメータの各種の警告等を表示するインジケータであって、各種の警告等の所定の表示形状が透光領域として形成された表示板102を裏面側から照明して表示形状を発光表示するものである。
【0012】
表示板102の裏面側には、表示板102を照明する照明手段103が設けられた基板104が配置されている。基板104には、例えば照明手段103の点灯、消灯を制御する制御回路等が実装され得る。図1で符号105は、表示装置101のケースに設けられた支持部材を示し、この支持部材105は、表示板102と基板104との間に介在して両者を支持するとともに、ランプケースを形成している。
【0013】
図2に示すように、表示板102には、第1表示形状110と、第2表示形状111とが同一箇所に形成されている。図2では、第1表示形状110の一例として車両の方向指示器の動作状態を表示する矢印を示し、第2表示形状111の一例として車両の半ドア状態を表示する車体概形を示すが、本発明において、表示形状は上記に限定されるものではない。尚、図2で一点鎖線Lは、表示形状110、111の表示エリアを示す。
【0014】
表示装置101では、第1表示形状110を第1発光色で発光表示し、第2表示形状を第1発光色とは補色の関係にある第2発光色で発光表示する。以下で、第1発光色を緑色、第2発光色を赤色として説明するが、本発明において、第1発光色と、第2発光色とは、互いに補色の関係にあればよく、緑色と赤色とに限定されるものではない。
【0015】
表示板102の同一箇所に形成された第1表示形状110と第2表示形状111とは、互いに重複する部分を有している。表示板102において、第1表示形状110の領域および第2表示形状111の領域の重複領域A1は、図3(A)に示すように、無色の透光領域とされている。そして、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2は、図3(B)に示すように、第1発光色である緑色の透光領域とされ、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3は、図3(C)に示すように、第2発光色である赤色の透光領域とされている。尚、第1表示形状110の領域と第2表示形状111の領域とを除く領域A4は、図3(D)に示すように、遮光領域とされている。
【0016】
上記の表示板102は、図1に示すように、無色の透光性の基材120の裏面において、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2に、緑色の第1透光層121を形成し、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3に、赤色の第2透光層122を形成し、そして、第1表示形状110の領域と第2表示形状111の領域とを除く遮光領域A4に、遮光層123を形成して構成されている。重複領域A1は、基材120が露呈した状態となっている。尚、図1で符号124は、基材120の表面に形成されたスモーク層を示し、このスモーク層124は、照明手段103が点灯されていない時には第1表示形状110および第2表示形状111が視認されないようにするためのものである。
【0017】
上記の第1透光層121、第2透光層122、遮光層123は、それぞれ緑色の透光性インク、赤色の透光性インク、黒色の遮光性インクを基材120の裏面に印刷して形成されている。
【0018】
尚、表示板102の構成は、上記したものに限定されない。例えば、第1透光層121、第2透光層122、遮光層123を印刷によらずフィルムで形成することもできる。また、透光性の基材120に替えて遮光性の基材を用い、この基材から第1表示形状110と第2表示形状111との領域を抜き、重複領域A1の領域を無色の透光性材料で、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2を緑色の透光性材料で、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3を赤色の透光性材料で埋めて形成することもできる。
【0019】
照明手段103は、第1発光色である緑色に発光する第1光源130と、第2発光色である赤色に発光する第2光源131とを含んでいる。光源130、131としては、例えば発光ダイオードを用いることができる。光源130、131は、表示板102の表示形状110、111が形成された箇所に対向する位置で基板104に実装されており、光源130、131から照射された光は、表示板102の表示形状110、111が形成された箇所に直接入射する。尚、導光部材を適宜用いて、表示板102の表示形状110、111が形成された箇所に対向する位置から外れた位置に光源130、131を配置することもできる。
【0020】
第1表示形状110と、第2表示形状111とのいずれを発光表示するかに応じて、第1光源130と、第2光源131とは択一的に点灯される。即ち、第1表示形状110を発光表示する際には、第1光源130が点灯され、他方の第2光源131は消灯される。第2表示形状111を発光表示する際には、第2光源131が点灯され、他方の第1光源130は消灯される。
【0021】
第1光源130が点灯された際には、図4(A)に示すように、重複領域A1を含む第1表示形状110の領域(A1およびA2)は、無色または第1光源130の発光色と同一の緑色の透光領域であるため緑色に発光するが、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3は、第1光源130の発光色と補色の関係にある赤色の透光領域であるため遮光領域A4と同じ黒色となる。それにより、第1表示形状110のみが緑色に発光表示される。
【0022】
第2光源131が点灯された際には、図4(B)に示すように、重複領域A1を含む第2表示形状111の領域(A1およびA3)は、無色または第2光源131の発光色と同一の赤色の透光領域であるため赤色に発光するが、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2は、第2光源131の発光色と補色の関係にある緑色の透光領域であるため遮光領域A4と同じ黒色となる。それにより、第2表示形状111のみが赤色に発光表示される。
【0023】
以上、説明したように、本実施形態の表示装置101によれば、第1発光色で照明された際には、重複領域A1を除き第1発光色と補色の関係にある第2発光色とされた第2表示形状111の領域A3は黒色となり、第1表示形状110のみが発光表示される。一方、第2発光色で照明された際には、重複領域A1を除き第2発光色と補色の関係にある第1発光色とされた第1表示形状110の領域A2は黒色となり、第2表示形状111のみが発光表示される。このように補色を利用することで、一つの表示板102で第1表示形状110と、第2表示形状111とを切り替えて表示することができる。それにより、表示装置101の構成を簡易なものとすることができ、そして、各表示形状の表示サイズを維持しつつ表示エリアを小型化することができる。
【0024】
尚、上述した表示装置101で、照明手段103は、択一的に点灯される第1光源130と第2光源131とを含むものとして説明したが、これは、第1発光色を緑色とし、第2発光色を赤色としており、それぞれ単一の発光ダイオード等の光源で再現することができるからである。かかる構成によれば、部品点数の増加を抑制することができる。これに対して、単一の発光ダイオード等の光源では再現できない発光色を用いる場合に、照明手段は、赤色光源と、緑色光源と、青色光源とを含むものとし、これらの光源により所望の発光色を混成するようにしてもよい。かかる構成によれば、発光色の自由度を向上させることができる。
【0025】
(第2実施形態)
図5は本発明の表示装置の第2実施形態の表示装置の断面図である。尚、上述した第1実施形態の表示装置101と共通する部材には、同一の符号を付すことにより説明を省略あるいは簡略する。
【0026】
図5に示すように、本実施形態の表示装置201は、各種の警告等の所定の表示形状が透光領域として形成された表示板202を裏面側から照明して表示形状を発光表示する。表示板202には、第1表示形状110(図2参照)と、第2表示形状111(図2参照)とが同一箇所に形成されている。
【0027】
表示板202の同一箇所に形成された第1表示形状110と第2表示形状111とは、互いに重複する部分を有している。表示板202において、重複領域A1(図3(A)参照)は、無色の透光領域とされている。そして、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2(図3(B)参照)は、第1発光色である緑色の透光領域とされ、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3(図3(C)参照)は、第2発光色である赤色の透光領域とされている。
【0028】
上記の表示板202は、無色の透光性の基材120の裏面において、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2に、緑色の第1透光層121を形成し、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3に、赤色の第2透光層122を形成し、そして、第1表示形状110の領域と第2表示形状111の領域とを除く遮光領域A4に、第1透光層121と第2透光層122とを重ねて形成して構成されている。重複領域A1は、基材120が露呈した状態となっている。上記の第1透光層121、第2透光層122は、それぞれ緑色の透光性インク、赤色の透光性インクを基材120の裏面に印刷して形成されている。
【0029】
第1光源130が点灯された際には、重複領域A1を含む第1表示形状110の領域(A1およびA2)は、無色または第1光源130の発光色と同一の緑色の透光領域であるため緑色に発光するが、重複領域A1を除く第2表示形状111の領域A3は、第1光源130の発光色と補色の関係にある赤色の透光領域であり、また遮光領域A4には第1光源130の発光色と補色の関係にある赤色の第2透光層122があるため、それぞれ黒色となる。それにより、第1表示形状110のみが緑色に発光表示される。
【0030】
第2光源131が点灯された際には、重複領域A1を含む第2表示形状111の領域(A1およびA3)は、無色または第2光源131の発光色と同一の赤色の透光領域であるため赤色に発光するが、重複領域A1を除く第1表示形状110の領域A2は、第2光源131の発光色と補色の関係にある緑色の透光領域であり、また遮光領域A4には第2光源131の発光色と補色の関係にある緑色の第1透光層121があるため、それぞれ黒色となる。それにより、第2表示形状111のみが赤色に発光表示される。
【0031】
以上、説明したように、本実施形態の表示装置201によれば、第1発光色で照明された際には、重複領域A1を除き第1発光色と補色の関係にある第2発光色とされた第2表示形状111の領域A3は黒色となり、第1表示形状110のみが発光表示される。一方、第2発光色で照明された際には、重複領域A1を除き第2発光色と補色の関係にある第1発光色とされた第1表示形状110の領域A2は黒色となり、第2表示形状111のみが発光表示される。このように補色を利用することで、一つの表示板202で第1表示形状110と、第2表示形状111とを切り替えて表示することができる。それにより、表示装置201の構成を簡易なものとすることができ、そして、各表示形状の表示サイズを維持しつつ表示エリアを小型化することができる。
【0032】
また、本実施形態の表示装置201では、表示板202の遮光領域A4に、遮光層を形成することに替えて、第1透光層121と第2透光層122とを重ねて形成している。かかる構成によれば、緑色の第1光源130が点灯された場合、赤色の第2光源131が点灯された場合、いずれの場合にも、光源の発光色と補色の関係となる色相の透光層が含まれて黒色に見える。それにより、第1透光層121と第2透光層122とは別に遮光層を形成する工程を省くことができ、コストを削減することができる。
【0033】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の表示装置の第1実施形態の断面図である。
【図2】図1の表示装置の表示板の正面図である。
【図3】図1の表示板の構成を示す背面図である。
【図4】図1の表示装置の表示形態を示す正面図である。
【図5】本発明の表示装置の第2実施形態の表示装置の断面図である。
【図6】従来の表示装置の要部を分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
101 表示装置
102 表示板
103 照明手段
104 基板
105 支持部材
110 第1表示形状
111 第2表示形状
120 基材
121 第1透光層
122 第2透光層
123 遮光層
130 第1光源
131 第2光源
A1 重複領域
A2 重複領域を除く第1表示形状の領域
A3 重複領域を除く第2表示形状の領域
A4 遮光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示形状が透光領域として形成された表示板を裏面側から照明して該表示形状を発光表示する表示装置であって、
前記表示板が、第1表示形状と、第2表示形状と、を同一箇所に有し、
互いに補色の関係にある第1発光色と、第2発光色とで前記表示板の裏面を照明する照明手段を備えており、
前記第1表示形状の領域および前記第2表示形状の領域の重複領域が、無色とされ、
前記重複領域を除く前記第1表示形状の領域が、前記第1発光色とされ、
前記重複領域を除く前記第2表示形状の領域が、前記第2発光色とされていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示板が、無色の透光性の基材を含み、
前記基材において、前記重複領域を除く前記第1表示形状の領域には、前記第1発光色の第1透光層が形成され、
前記基材において、前記重複領域を除く前記第2表示形状の領域には、前記第2発光色の第2透光層が形成され、
前記第1表示形状の領域と、前記第2表示形状の領域とを除く前記基材の遮光領域には、前記第1透光層および前記第2透光層が重ねて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1透光層と、前記第2透光層とが、それぞれ各層の色に対応した透光性インクによる印刷層とされていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−128375(P2009−128375A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299638(P2007−299638)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】