説明

表示装置

【課題】TFTリークに起因する縦クロストークの発生を低減し、高画質な画像を表示する表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】走査線駆動回路2により、走査線G1と信号線S1との交差部に配設されたスイッチ素子11をオンに制御する複数の走査信号(第1の走査信号及び第2の走査信号)を1水平期間に異なるタイミングで走査線G1に出力するので、画素の画像を保持しておく保持時間を短くことができ、その結果、TFTリーク時間を短くすることができ、縦スクロールの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等の情報機器や、テレビ,ビデオムービー,カーナビゲーションシステム等の映像機器などに対応する、様々な形態を有する表示装置が市場に流通している。
【0003】
このような表示装置には、通常、表示部に設けられた走査線及び信号線の交点に電圧を印加し、その交点に位置する液晶セルの液晶分子の配向を変化させて、透過するバックライトの光量を調整し、RGBのカラーフィルターを介して調整後の光を外部に出力することで、様々な配色を表示させるマトリクス駆動方式が用いられている。
【0004】
そして、1フレーム(1画面)を表示するには、1垂直期間に各走査線を順次走査し、各走査線に接続された各スイッチ素子を1水平期間に1回オンに制御して、制御されたスイッチ素子を有する画素の信号線に画像を表示する画像電圧を供給することで、1フレームの表示を行う。
【0005】
なお、そのような駆動方法を用いる技術は、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2006−171041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば、車に搭載されるカーナビや、ハンドバックに入れて持ち歩く携帯電話など、利用形態によっては表示パネルの大きさに限りがある場合には、そのパネルに配置された走査線や信号線などの高精細化が必要になり、その結果としてパネルの開口率が低下することになる。
【0007】
開口率の低下を回避して所望の輝度を確保する一例としては、バックライト光の輝度を高くする方法を用いてもよい。しかしながら、バックライト光の輝度を高くするに伴い、画像電圧が供給される信号線と画素電極との間を接続するスイッチ素子のオンオフを制御するチャネル部にバックライト光が照射される割合が高くなるため、本来的に印加される予定のない電圧が画素電極に印加されるTFT(Thin Film Transister)リーク現象が発生し、本来のタイミングで表示される画像に対して異なるタイミングの画像が表示され、ある時点において複数の画像が混在する縦クロストークが発生するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、TFTリークに起因する縦クロストークの発生を低減し、高画質な画像を表示する表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、アレイ基板に複数の走査線及び複数の信号線を設け、前記走査線と前記信号線との交差部にスイッチ素子を配設した表示部と、前記表示部の各走査線を順次に走査し、前記スイッチ素子をオンに制御する第1の走査信号及び第2の走査信号を、1水平期間に異なるタイミングで各走査線に出力する走査線駆動回路と、前記表示部に画像を表示する画像電圧を各信号線に印加する信号線駆動回路と、を有することを要旨とする。
【0010】
本発明にあっては、走査線駆動回路により、走査線と信号線との交差部に配設されたスイッチ素子をオンに制御する複数の走査信号(第1の走査信号及び第2の走査信号)を1水平期間に異なるタイミングで走査線に出力するため、画素の画像を保持しておく保持時間を短くことができ、その結果、TFTリーク時間を短くすることができ、縦スクロールの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、前記走査線駆動回路を駆動する第1のスタート信号及び第2のスタート信号を出力し、前記第1の走査信号及び前記第2の走査信号が出力されるタイミングを制御する第1のタイミング信号及び第2のタイミング信号を交互に出力する制御回路を更に有し、前記走査線駆動回路は、出力された前記第1のスタート信号を入力端子に順次入力し、前記第2のタイミング信号が入力されるタイミングに応じて、前記第1の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第1のシフトレジスタと、出力された前記第2のスタート信号を入力端子に順次入力し、前記第1のタイミング信号が入力されるタイミングに応じて、前記第2の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第2のシフトレジスタと、当該第1の走査信号と当該第2の走査信号とを合成し、前記走査線に出力する合成回路と、を有することを要旨とする。
【0012】
本発明にあっては、走査線駆動回路を駆動する第1のスタート信号及び第2のスタート信号を出力し、第1の走査信号及び第2の走査信号が出力されるタイミングを制御する第1のタイミング信号及び第2のタイミング信号を交互に出力する制御回路を更に有し、走査線駆動回路は、出力された第1のスタート信号を入力端子に順次入力し、第2のタイミング信号が入力されるタイミングに応じて、第1の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第1のシフトレジスタと、出力された第2のスタート信号を入力端子に順次入力し、第1のタイミング信号が入力されるタイミングに応じて、第2の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第2のシフトレジスタと、出力された第1の走査信号と第2の走査信号とを合成し、走査線に出力する合成回路とを有するため、画素の画像を保持しておく保持時間を短くことができ、その結果、TFTリーク時間を短くすることができ、縦スクロールの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。
【0013】
また、本発明にあっては、制御回路が、第1のタイミング信号と第2のタイミング信号とを交互に出力するため、第1のスタート信号及び第2のスタート信号のそれぞれが、第1のシフトレジスタ及び第2のシフトレジスタのそれぞれに同時に入力された場合であっても、確実に異なるタイミングで走査信号を走査線に出力することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明は、前記信号線駆動回路は、前記スイッチ素子が前記第2の走査信号により制御される場合に、当該スイッチ素子が前記第1の走査信号により制御された時に印加された画像電圧と同じ電圧を前記信号線に印加することを要旨とする。
【0015】
本発明にあっては、信号線駆動回路が、スイッチ素子が第2の走査信号により制御される場合に、このスイッチ素子が第1の走査信号により制御された時に印加された画像電圧と同じ電圧を信号線に印加するため、TFTリーク現象が発生した場合であっても、第1の走査信号が出力された時に表示された画像で上書きすることが可能となり、縦クロストークの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。
【0016】
請求項4に記載の本発明は、前記信号線駆動回路は、前記スイッチ素子が前記第2の走査信号により制御される場合に、当該スイッチ素子が前記第1の走査信号により制御された時に印加された画像電圧と異なる電圧を前記信号線に印加するものであって、前記第2の走査信号により当該スイッチ素子がオンに制御される時間は、前記第1の走査信号により当該スイッチ素子がオンに制御される時間よりも短いことを特徴とする要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、TFTリークに起因する縦クロストークの発生を低減し、高画質な画像を表示する表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
最初に、本実施の形態の係る表示装置の構成及び各構成ブロックが備える機能について説明する。図1は、本実施の形態に係る表示装置の構造を模式的に表示した模式図である。本実施の形態に係る表示装置は、画像を表示する表示部1と、表示部1を構成する複数の走査線に接続された走査線駆動回路2と、複数の走査線に交差して配設された複数の信号線に接続された信号線駆動回路3と、走査線駆動回路2及び信号線駆動回路3の動作タイミングを制御する制御回路4とを備えた構成である。
【0020】
表示部1には、アレイ基板に互いに交差する複数の走査線G1〜G3及び信号線S1〜S3が設けられ、全ての走査線Gと信号線Sとの各交差部にスイッチ素子11を設け、スイッチ素子11の出力電極に接続された画素電極12と対向電極13との間に液晶セル14を配設し、スイッチ素子11の出力電極に液晶セル14に対する補助容量となるコンデンサ15が接続されている。例えば、7”WQVGAパネルの場合、234本の走査線Gと1440本の信号線Sがアレイ基板上に配置されている。なお、液晶セル14に代えて、有機EL(Electroluminescence Display)などを用いた場合であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0021】
走査線駆動回路2には、複数段直列に接続された第1のシフトレジスタ21a〜21cと、複数段直列に接続された第2のシフトレジスタ22a〜22cと、各第1のシフトレジスタの出力端子と各第2のシフトレジスタの出力端子とにそれぞれ接続された合成回路23a〜23cとが形成されている。
【0022】
第1のシフトレジスタ21aは、制御回路4から出力された後述する第1のスタート信号STV1を入力端子に入力し、更に、制御回路4から出力される第1のタイミング信号CKV1と第2のタイミング信号CKV2とを入力可能とする。第1のシフトレジスタ21aの内部には、図示しないラッチ回路とNAND回路とが形成されており、第1のタイミング信号CKV1はラッチ回路に入力され、このラッチ回路の出力と第2のタイミング信号CKV2とはNAND回路に入力される。そして、このNAND回路から出力される信号が第1のシフトレジスタ21aの出力信号であり、即ち、第1のシフトレジスタ21aは、第2のタイミング信号CKV2が入力されるタイミングに応じて、走査線G1に接続されたスイッチ素子11をオンに制御する第1の走査信号を出力端子から出力する。また、入力されたスタート信号STV1は他の出力端子から出力されて、後段に接続された第1のシフトレジスタ21bの入力端子に入力される。その後、第1のシフトレジスタ21bは、第1のシフトレジスタ21aと同様の動作を行い、第1シフトレジスタ群21に含まれる全ての第1のシフトレジスタが順次駆動されることになる。
【0023】
第2のシフトレジスタ22aは、制御回路4から出力された第2のスタート信号STV2を入力端子に入力し、更に、制御回路4から出力される第1のタイミング信号CKV1と第2のタイミング信号CKV2とを入力可能とする。第2のシフトレジスタ22aの内部には、第1のシフトレジスタ21aと同様に、図示しないラッチ回路とNAND回路とが形成されており、第2のタイミング信号CKV2はラッチ回路に入力され、このラッチ回路の出力と第1のタイミング信号CKV1とはNAND回路に入力される。そして、このNAND回路から出力される信号が第2のシフトレジスタ22aの出力信号であり、即ち、第2のシフトレジスタ22aは、第1のタイミング信号CKV1が入力されるタイミングに応じて、走査線G1に接続されたスイッチ素子11をオンに制御する第2の走査信号を出力端子から出力する。また、入力された第2のスタート信号STV2は他の出力端子から出力されて、後段に接続された第2のシフトレジスタ22bの入力端子に入力される。その後、第2のシフトレジスタ22bは、第2のシフトレジスタ22aと同様の動作を行い、第2シフトレジスタ群22に含まれる全ての第2のシフトレジスタが順次駆動されることになる。
【0024】
例えば、先に説明した7”WQVGAパネルの場合、第1シフトレジスタ群21には、走査線の数に対応する234個の第1のシフトレジスタが配置され、第2シフトレジスタ群22にも、走査線の数に対応する234個の第2のシフトレジスタが配置されている。
【0025】
合成回路23aは、第1のシフトレジスタ21aから出力された第1の走査信号と、第2のシフトレジスタ22aから出力された第2の走査信号とを合成し、合成後の走査信号を走査線G1に出力する。
【0026】
信号線駆動回路3は、表示部1に画像を表示する画像電圧を各信号線S1〜S3に印加する。印加された画像電圧は、制御回路4によってタイミング制御される複数のアナログスイッチ(図示せず)を介して、各信号線S1〜S3に出力される。
【0027】
制御回路4は、走査線駆動回路2を駆動する第1のスタート信号STV1及び第2のスタート信号STV2を出力し、更に、第1の走査信号及び第2の走査信号が出力されるタイミングを制御する第1のタイミング信号CKV1及び第2のタイミング信号CKV2を交互に出力する。また、制御回路4は、アナログスイッチを制御するアナログ制御信号ASWを信号線駆動回路3に出力する。
【0028】
なお、上記で説明した走査線駆動回路2,信号線駆動回路3,及び,制御回路は、複数の論理回路によって構成されるものであって、実装される場合にはこれらの回路の他に様々な回路を組み合わせて構成される。
【0029】
ここで、本願発明の特徴について説明する。前述したように、第1のシフトレジスタ21a及び第2のシフトレジスタ22aのそれぞれは、異なるスタート信号を用いて駆動されるので、走査線G1に出力される複数の走査信号の出力タイミングをそれぞれ独立に制御可能としている。また、第1のタイミング信号CKV1と第2のタイミング信号CKV2は交互に出力されるので、第1のスタート信号STV1及び第2のスタート信号STV2のそれぞれが、第1のシフトレジスタ21a及び第2のシフトレジスタ22aのそれぞれに同時に入力された場合であっても、合成回路23aを介して出力される走査信号が重なることはなく、2つのシフトレジスタの駆動に応じた2つの走査信号を確実に出力することができる。
【0030】
続いて、本実施の形態に係る表示装置の動作について説明する。最初に、制御回路4は、第1のタイミング信号CKV1と第2のタイミング信号CKV2とを交互に出力しておく。即ち、制御回路4は、High(以降、単に「H」と称する)の第1のタイミング信号CKV1を出力すると共に、Low(以降、単に「L」と称する)の第2のタイミング信号CKV2を出力する。その後、Lの第1のタイミング信号CKV1を出力すると共に、Hの第2のタイミング信号をCKV2に出力する。この動作を繰り返すことで、図2に示すようなタイミング信号を第1のシフトレジスタ21a及び第2のシフトレジスタ22aに入力することができる。
【0031】
次に、制御回路4は、第1のスタート信号STV1を、1垂直期間につき1回、第1のシフトレジスタ21aに出力する動作を繰り返す。図3は、第1シフトレジスタ群21の動作により各走査線に出力される走査信号のタイミングを示す図である。第1のシフトレジスタ21aは、第1のスタート信号STV1が入力された場合に、Hの第2のタイミング信号CKV2が入力されるタイミングに応じて、第1の走査信号を出力する。その後、第1の走査信号は、合成回路23aを介して走査線G1に出力される。
【0032】
その後、第1のシフトレジスタ21aに入力された第1のスタート信号STV1は、次段に接続された第1のシフトレジスタ21bに入力され、第1シフトレジスタ群21に配置された全ての第1のシフトレジスタを順次駆動することになる。
【0033】
続いて、制御回路4は、第2のスタート信号STV2についても、1垂直期間につき1回、第2のシフトレジスタ22aに出力する。図4は、第2シフトレジスタ群22の動作により各走査線に出力される走査信号のタイミングを示す図である。第2のシフトレジスタ22aは、第2のスタート信号STV2が入力された場合に、Hの第1のタイミング信号CKV1が入力されるタイミングに応じて、第2の走査信号を出力する。その後、第2の走査信号は、合成回路23aを介して走査線G1に出力される。
【0034】
その後、第2のシフトレジスタ22aに入力された第2のスタート信号STV2は、次段に接続された第2のシフトレジスタ22bに入力され、第2シフトレジスタ群22に配置された全ての第2のシフトレジスタを順次駆動することになる。
【0035】
以上の動作により、1つの走査線G1には、1水平期間において、第1の走査信号及び第2の走査信号の2つの走査信号が出力されることになる。例えば、制御回路4から第1のスタート信号STV1が第2のスタート信号STV2よりも先に出力される場合、図1の表示部1の走査線G1に接続されたスイッチ素子において、図5に示すように、第1のシフトレジスタ21aによる第1の走査信号は、1水平期間の後半を制御し、第2のシフトレジスタ22aによる第2の走査信号は、1水平期間の前半を制御することになる。なお、第1のタイミング信号CKV1及び第2のタイミング信号CKV2の位相を調整することで、スイッチ素子をオンに制御しておく時間を調整することができる。
【0036】
図6は、走査線の本数を16本と仮定した場合の走査信号のタイミングを示す図である。図6(a)は、第1のスタート信号STV1が出力された場合において各走査線に出力される第1の走査信号のタイミングを示す図であり、図6(b)は、第1のスタート信号STV1が出力されてから1垂直期間(1V)の半分(1/2V)の時間が経過した後に、第2のスタート信号STV2が出力された場合において各走査線に出力される第2の走査信号のタイミングを示す図である。図6(a)に示す第1の走査信号の出力タイミングは1水平期間の後半、図6(b)に示す第2の走査信号の出力タイミングは1水平期間の前半となり、同時にオンとなることはない。
【0037】
また、図7は、従来の走査信号のタイミングを示す図である。図7で示す従来方法の場合、各走査線の画素に画像電圧が印加された後、次に印加されるまでの時間は1Vと同じ時間となる。一方、本実施の形態によれば、図6に示すように、次に印加されるまでの時間は1/2Vとなるので、画素の画像を保持しておく保持時間は、従来の半分の時間となる。これにより、TFTリークの影響を半減することができ、高輝度バックライトから照射された場合に発生する縦クロストークを低減することが可能となる。
【0038】
なお、1水平期間において、2つの走査信号が各走査線に出力されるが、信号線駆動回路3は、第2の走査信号によりスイッチ素子11がオンに制御される時、第1の走査信号によりスイッチ素子11がオンに制御される時に印加された画像電圧と同じ画像電圧を印加する処理を行う。これにより、TFTリーク現象が発生した場合であっても、第1の走査信号が出力された時に表示された画像で上書きすることが可能となり、縦クロストークの発生を防止することが可能となる。
【0039】
また、第2の走査信号によりスイッチ素子11がオンに制御される時に印加される電圧は、必ずしも画像電圧と同じ電圧である必要はなく、例えば、第1の走査信号により制御された際に表示された色が赤色である場合、第2の走査信号により制御された際に表示された色を赤色に近いオレンジ色などを表示可能な電圧であっても略同様の効果が得られる。なお、画像電圧と同じ電圧又は画像電圧に非常に近い電圧を印加する処理を、制御回路4からの制御により調整するものであってもよい。
【0040】
更に、第1の走査信号によりスイッチ素子11がオンに制御された時には、ユーザに表示する本来の画像電圧を印加し、第2の走査信号によりオンに制御された時には、表示部1に配置された全ての画素に対して、中間調,黒色,又は,白色などの同電位で統一させる電圧を印加してもよい。このとき、第2の走査信号によりスイッチ素子11がオンに制御される時間を、第1の走査信号によりオンに制御される時間よりも短くすることで、縦クロストークの発生を確実に低減することができる。なお、走査信号によるスイッチ素子11をオンに制御する時間は、前述したように、第1のタイミング信号CKV1及び第2のタイミング信号CKV2の位相を調整することができる。
【0041】
最後に、本実施の形態では、第1のシフトレジスタ21aと第2のシフトレジスタ22aとの2つのシフトレジスタを備えた構成を用いて説明したが、3つ以上のシフトレジスタを用いて、1水平期間にスイッチ素子をオンに制御する回数を3回以上としても、同様の効果を得ることができる。
【0042】
本実施の形態によれば、走査線駆動回路2により、走査線G1と信号線S1との交差部に配設されたスイッチ素子11をオンに制御する複数の走査信号(第1の走査信号及び第2の走査信号)を1水平期間に異なるタイミングで走査線G1に出力するので、画素の画像を保持しておく保持時間を短くことができ、その結果、TFTリーク時間を短くすることができ、縦スクロールの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。
【0043】
本実施の形態によれば、走査線駆動回路2を駆動する第1のスタート信号STV1及び第2のスタート信号STV2を出力し、第1の走査信号及び第2の走査信号が出力されるタイミングを制御する第1のタイミング信号CKV1及び第2のタイミング信号CKV2を交互に出力する制御回路4を更に有し、走査線駆動回路2は、出力された第1のスタート信号STV1を入力端子に順次入力し、第2のタイミング信号CKV2が入力されるタイミングに応じて、第1の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第1のシフトレジスタ21aと、出力された第2のスタート信号STV2を入力端子に順次入力し、第1のタイミング信号CKV1が入力されるタイミングに応じて、第2の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第2のシフトレジスタ22aと、出力された第1の走査信号と第2の走査信号とを合成し、走査線に出力する合成回路23aとを有するので、画素の画像を保持しておく保持時間を短くことができ、その結果、TFTリーク時間を短くすることができ、縦スクロールの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。
【0044】
本実施の形態によれば、制御回路4が、第1のタイミング信号CKV1と第2のタイミング信号CKV2とを交互に出力するので、第1のスタート信号STV1及び第2のスタート信号STV2のそれぞれが、第1のシフトレジスタ21a及び第2のシフトレジスタ22aのそれぞれに同時に入力された場合であっても、確実に異なるタイミングで走査信号を走査線に出力することができる。
【0045】
本実施の形態によれば、信号線駆動回路3が、スイッチ素子11が第2の走査信号により制御される場合に、このスイッチ素子11が第1の走査信号により制御された時に印加された画像電圧と同じ電圧を信号線に印加するため、TFTリーク現象が発生した場合であっても、第1の走査信号が出力された時に表示された画像で上書きすることが可能となり、縦クロストークの発生を低減し、高画質な画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施の形態に係る表示装置の構造を模式的に表示した模式図である。
【図2】第1のタイミング信号と第2のタイミング信号とのタイミングを示す図である。
【図3】第1シフトレジスタ群の動作により各走査線に出力される走査信号のタイミングを示す図である。
【図4】第2シフトレジスタ群の動作により各走査線に出力される走査信号のタイミングを示す図である。
【図5】1水平期間における各走査線に出力される走査信号を示す図である。
【図6】走査線の本数を16本と仮定した場合の走査信号のタイミングを示す図である。
【図7】従来の走査信号のタイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
ASW…アナログ制御信号
CKV1…第1のタイミング信号
CKV2…第2のタイミング信号
G(G1〜G3)…走査線
S(S1〜S3)…信号線
STV1…第1のスタート信号
STV2…第2のスタート信号
1…表示部
2…走査線駆動回路
3…信号線駆動回路
4…制御回路
11…スイッチ素子
12…画素電極
13…対向電極
14…液晶セル
15…コンデンサ
21…第1シフトレジスタ群
21a,21b…第1のシフトレジスタ
22…第2シフトレジスタ群
22a,22b…第2のシフトレジスタ
23a〜23c…合成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板に複数の走査線及び複数の信号線を設け、前記走査線と前記信号線との交差部にスイッチ素子を配設した表示部と、
前記表示部の各走査線を順次に走査し、前記スイッチ素子をオンに制御する第1の走査信号及び第2の走査信号を、1水平期間に異なるタイミングで各走査線に出力する走査線駆動回路と、
前記表示部に画像を表示する画像電圧を各信号線に印加する信号線駆動回路と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記走査線駆動回路を駆動する第1のスタート信号及び第2のスタート信号を出力し、前記第1の走査信号及び前記第2の走査信号が出力されるタイミングを制御する第1のタイミング信号及び第2のタイミング信号を交互に出力する制御回路を更に有し、
前記走査線駆動回路は、
出力された前記第1のスタート信号を入力端子に順次入力し、前記第2のタイミング信号が入力されるタイミングに応じて、前記第1の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第1のシフトレジスタと、
出力された前記第2のスタート信号を入力端子に順次入力し、前記第1のタイミング信号が入力されるタイミングに応じて、前記第2の走査信号を出力端子から出力する複数段直列に接続された第2のシフトレジスタと、
当該第1の走査信号と当該第2の走査信号とを合成し、前記走査線に出力する合成回路と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記信号線駆動回路は、前記スイッチ素子が前記第2の走査信号により制御される場合に、当該スイッチ素子が前記第1の走査信号により制御された時に印加された画像電圧と同じ電圧を前記信号線に印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記信号線駆動回路は、前記スイッチ素子が前記第2の走査信号により制御される場合に、当該スイッチ素子が前記第1の走査信号により制御された時に印加された画像電圧と異なる電圧を前記信号線に印加するものであって、
前記第2の走査信号により当該スイッチ素子がオンに制御される時間は、前記第1の走査信号により当該スイッチ素子がオンに制御される時間よりも短いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−53513(P2009−53513A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221106(P2007−221106)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】