説明

表示装置

【課題】映像表示部に映像が表示されていない間は、映像表示部を遮蔽することで、黒色領域の圧迫感等により室内の雰囲気が損なわれるのを防ぐことのできる表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置は、映像を表示可能な映像表示部4aと、映像表示部の前面に位置する状態において、映像表示部の略全体を遮蔽する遮蔽領域を有する前面シートと、前面シートを移動させるシート移動手段10,11と、映像表示部における映像の表示及び非表示に連動してシート移動手段を制御し、映像が表示されていない間は遮蔽領域を映像表示部の前面に位置させ、映像が表示されている間は遮蔽領域を映像表示部の前面から退避させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、特に、映像を表示可能な映像表示部を有する表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ等の表示装置における映像表示部(表示画面)は、より迫力のある映像を利用者に提供すべく大型化している。映像を表示していない間、つまり電源がオフとなっている間の映像表示部は、何も表示されない黒色領域となる。映像表示部の大型化により電源がオフとなっている間の黒色領域が、表示装置が設置された室内にいる人に圧迫感等を与え、室内の雰囲気を損ねる場合がある。
【0003】
黒色領域による圧迫感等を解消するための技術としては、例えば、映像表示部を異なる大きさのものに交換することができるようにしたもの(特許文献1参照)や、映像表示部を鏡として利用できるようにしたもの(特許文献2参照)がある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−37136号公報
【特許文献2】特開2003−219321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のものは、交換用の映像表示部を保管するスペースが必要になるという問題がある。また、映像表示部を交換するのが面倒であるという問題もある。特許文献2に記載のものは、映像表示部が鏡となるので、室内の様子が写り込んだり、光が反射したりすることで、映像表示部の存在感が増して室内の雰囲気を一層損ねる場合がある。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、映像表示部に映像が表示されていない間は、映像表示部を遮蔽することで、黒色領域の圧迫感等により室内の雰囲気が損なわれるのを防ぐことのできる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、映像を表示可能な映像表示部と、映像表示部の前面に位置する状態において、映像表示部の略全体を遮蔽する遮蔽領域を有する前面シートと、前面シートを移動させるシート移動手段と、映像表示部における映像の表示及び非表示に連動してシート移動手段を制御し、映像が表示されていない間は遮蔽領域を映像表示部の前面に位置させ、映像が表示されている間は遮蔽領域を映像表示部の前面から退避させる制御手段と、を備える。
【0007】
映像表示部に映像が表示されていない間は、前面シートの遮蔽領域で映像表示部を遮蔽するので、黒色領域による圧迫感等を軽減し、室内の雰囲気が損なわれるのを防ぐことができる。前面シートの遮蔽領域は、映像表示部に映像が表示されている間は、映像表示部の前面から退避しているので、利用者が映像を見るのに邪魔にならない。また、前面シートが映像表示部の表示及び非表示に連動して移動するので、利用者の手を煩わせることなく黒色領域による圧迫感等を軽減することができる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、遮蔽領域に画像が描かれていることが望ましい。例えば、画像として風景画等が描かれていれば、部屋の美観を損なわずに、室内の雰囲気を和らげることもできる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、前面シートが遮蔽領域を複数有し、少なくとも1の遮蔽領域に画像が描かれていることが望ましい。前面シートが遮蔽領域を複数有しているので、映像表示部を遮蔽する部分を適宜変更することができる。例えば、遮蔽領域ごとに異なる画像が描かれていれば、室内の雰囲気や利用者のその日の気分に合わせた画像が描かれた遮蔽領域を選択して映像表示部の前面に位置させることができる。これにより、室内の雰囲気の異なる部屋に設置することもでき、表示装置の汎用性を高めることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、シート移動手段は、映像表示部の外側に配置されるとともに前面シートを巻き取って移動させることが望ましい。シート移動手段が映像表示部の外側に配置されて前面シートを巻き取るので、映像表示部の前面から退避した前面シートを映像表示部の外側にコンパクトに納めることができるとともに、映像を視認する際の邪魔にならないようにできる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、前面シートに、表示部の前面に位置する状態において映像表示部の略全体を視認可能とする開口が形成され、制御部は、映像表示部に映像が表示されている間は開口を映像表示部の前面に位置させることが望ましい。開口を形成するという簡単な加工で、映像表示部に表示された映像を視認可能とする領域を前面シートに形成することができるので、製造コストを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、前面シートは、透光性の材料で形成された透光性領域を有し、制御部は、映像が表示されている間は透光性領域を映像表示部の前面に位置させて透光性領域を通して映像表示部の略全体を視認可能とすることが望ましい。透光性領域が映像表示部の前面に位置するので、映像表示部を視認可能としつつ、透光性領域によって映像表示部を保護することができる。また、映像表示部を視認可能とする領域が開口ではなく透明材料で形成されるので、前面シートに開口を形成した場合に比べて前面シートを丈夫で耐久性の高いものにすることができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、前面シートは、映像表示部の外側であって映像表示部を挟んだ両側を通るように移動手段に向けて延びるワイヤーを有し、遮蔽領域が映像表示部の前面から退避した状態において、ワイヤーの間から映像表示部の略全体が視認可能であることが望ましい。前面シートを遮蔽領域からワイヤーが延びるという簡単な構成とすることができる。ワイヤーは比較的丈夫であるため移動手段による巻き取りが繰り返されても切断されにくく、表示装置の信頼性を高めることができる。また、ワイヤーは映像表示部の外側であって映像表示部を挟んだ両側を通っているため、映像表示部に映像が表示されている間は、ワイヤーの間から映像表示部を視認させればワイヤーが邪魔にならない。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、遮蔽領域に情報表示手段が設けられていることが望ましい。遮蔽領域に情報表示手段が設けられているので、映像表示部に映像が表示されていない間であっても、利用者は情報表示手段から様々な情報を得ることができ利便性を高めることができる。また、黒色領域となって圧迫感等を与えるにすぎなかった領域を、様々な情報を得ることができる領域として有効活用することができる。例えば、情報表示部に時刻情報や天気情報を表示させることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、情報表示手段は、電気的表示手段であることが望ましい。情報表示手段が電気的表示手段であるので、電気的に情報を様々に変化させることができる。また、例えば電気的表示手段として反射型液晶表示装置を用いれば、消費電力を抑えて情報を表示させることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、情報表示手段は、可撓性を有することがのぞましい。情報表示手段が可撓性を有するので、前面シートが移動手段によって巻き取られた場合であっても故障しにくくすることができる。これにより、情報表示手段を比較的大きなサイズで形成することもできる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、情報表示手段に表示させる情報を受信するためのアンテナ部を備えることが望ましい。情報を受信するためのアンテナ部を備えるので、情報表示手段に最新の情報を表示させることができる。例えば、天気情報や株価情報のように時々刻々と変化する情報であっても最新の情報として表示させることができる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様としては、情報表示手段を駆動させるバッテリーをさらに有し、バッテリーは、映像が表示されている間に充電されることが望ましい。情報表示手段がバッテリーで駆動し、映像が表示されている間にバッテリーが充電されるので、映像が表示されていない間、すなわち表示装置の電源がオフとなっている間はコンセント等からの電力供給を必要とせずに情報表示手段を駆動させることができる。したがって、表示装置のいわゆる待機電力を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の実施例に係るテレビ受像機(表示装置)の概略構成を示す図である。また、図2は、テレビ受像機内部の概略構成を示す横断面図である。
【0021】
テレビ受像機1は、筐体2、ディスプレイ本体4、前面シート6、制御装置(制御手段)8を備えて大略構成される。
【0022】
筐体2は、テレビ受像機1の外郭を構成し、内部に収容されたディスプレイ本体4等の機器を保護する。筐体2の前面には内部に収容されたディスプレイ本体4の表示画面(映像表示部)4aを視認可能とする窓部2aが形成されている。筐体2には、主電源スイッチ2bが設けられている。主電源スイッチ2bが操作されるたびに、テレビ受像機1の主電源のオン・オフが切り替わる。
【0023】
図3は、テレビ受像機の内部に収容されたディスプレイ本体4、前面シート6の概略構成を示す斜視図である。ディスプレイ本体4は、その一面がテレビ放送等の映像を表示可能な表示画面4aとなっている。ディスプレイ本体4は、表示画面4aを窓部2aに向けるように筐体2内部に収容されており、利用者は表示画面4aに表示された映像を、窓部2aを通して見ることができる。なお、表示画面4aは映像が表示されていない間は、何も表示されない黒色領域となる。
【0024】
本実施例のテレビ受像機1には主電源のオン・オフの切り替えの他に映像電源のオン・オフの切り替えがある。映像電源のオン・オフは図示しないリモートコントローラの電源スイッチの操作によって主に切り替えられる。主電源が「オン」となることで、ディスプレイ本体4の表示画面4aに映像を表示可能な待機状態となる。テレビ受像機1の主電源が「オン」となっている状態で、映像電源が「オン」となると表示画面4aに映像が表示される。一方、主電源が「オン」となっている状態であっても、映像電源が「オフ」となっている場合には表示画面4aに映像は表示されない。映像電源が「オン」となっていても主電源が「オフ」に切り替えられた場合には、表示画面4aに映像が表示されなくなる。
【0025】
前面シート6は、表示画面4aの前面に移動可能に配置されたシート状の部材である。前面シート6は、ディスプレイ本体4の上下幅よりも大きな長さを有しており、その上下両端が表示画面4aの外側であって表示画面4aの上下に備えられた巻取り軸10に巻き付けられている。表示画面4aの上部側の巻き取り軸10には、モータ11の回転軸が連結されている。モータ11の回転軸が回転すると巻き取り軸10も回転し、前面シート6が表示画面4aの前面を上下に移動する。このように、巻き取り軸10とモータ11とが協働して前面シート6を移動させるシート移動手段として機能する。表示画面4aの下部側の巻き取り軸10は、図示しない付勢手段によって前面シート6を巻き取る方向(矢印Xに示す方向。)に付勢されている。これにより、前面シート6は常に下方に引っ張られるため、前面シート6を表示画面4aの前面にたるみなく位置させることができる。
【0026】
図4は、前面シート6の展開図である。前面シート6は、第1遮蔽領域12、第2遮蔽領域14、開口16を有して構成されている。
【0027】
図5は、第1遮蔽領域12、第2遮蔽領域14、開口16のそれぞれが表示画面4aの前面に位置した状態を示すためのテレビ受像機1の正面図である。
【0028】
第1遮蔽領域12は、表示画面4aの前面に位置する状態において、表示画面4aの略全体を覆って遮蔽する。後に詳説するが、第1遮蔽領域12は、表示画面4aに映像が表示されていないときに表示画面4aの前面に位置する。したがって、前面シート6の第1遮蔽領域12が表示画面4aの前面に位置する状態においては、利用者から表示画面4aによる黒色領域が見えなくなる。また、第1遮蔽領域12には表示画面4aが配置される部屋、すなわち、テレビ受像機1が配置される部屋の壁紙の模様が画像として描かれている。
【0029】
第2遮蔽領域14も第1遮蔽領域12と同様に、表示画面4aの前面に位置する状態において、表示画面4aの略全体を覆って遮蔽する。後に詳説するが、第2遮蔽領域14も、表示画面4aに映像が表示されていないときに表示画面4aの前面に位置する。したがって、前面シート6の第2遮蔽領域14が表示画面4aの前面に位置する状態においては、利用者から表示画面4aによる黒色領域が見えなくなる。また、第2遮蔽領域14には画像として風景画が描かれている。なお、第1遮蔽領域12、第2遮蔽領域14に描かれる画像はこれらに限られず、例えば、写真であったり、全面が一色で塗られた無模様のものであったりしてもよい。
【0030】
開口16は、表示画面4aと略同じ大きさで前面シート6に形成されており、開口16が表示画面4aの前面に位置する状態において、利用者は開口16を通して表示画面4aを視認することができる。後に詳説するが、開口16は、表示画面4aに映像が表示されているときに表示画面4aの前面に位置する。したがって、前面シート6の開口16が表示画面4aの前面に位置する状態において、利用者は表示画面4aに表示された映像を窓部2a及び開口16を通して見ることができる。
【0031】
制御装置8は、テレビ受像機1の主電源のオン・オフ、映像電源のオン・オフに連動してモータ11を制御する。制御装置8は、主電源がオンとなっており、かつ映像電源がオンとなっている場合、すなわち表示画面4aに映像が表示されている場合には前面シート6の開口16を表示画面4aの前面に位置させて遮蔽領域12,14を表示画面の前面から退避させるようにモータ11を制御する。一方、映像電源がオフ、又は主電源がオフとなっている場合、すなわち表示画面4aに映像が表示されていない場合には前面シート6の第1遮蔽領域12又は第2遮蔽領域14のいずれか一方を表示画面4aの前面に位置させるようにモータ11を制御する。
【0032】
制御装置8には、表示画面4aに映像が表示されていない場合に表示画面4aの前面にいずれの遮蔽領域12,14を位置させるか予め記憶することができる。これにより、利用者の好みの違いや、室内の雰囲気の違いに合わせたいずれか一方の遮蔽領域を表示画面4aの前面に位置させることができる。なお、制御装置8がランダムに表示画面4aの前面に位置させる遮蔽領域を定めるように構成されていてもよい。
【0033】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、テレビ受像機1における映像表示及び前面シート6の移動の流れを説明する。
【0034】
テレビ受像機1の主電源が「オフ」となっている間は遮蔽領域12,14のいずれかが表示画面4aの前面に位置している。その状態で、テレビ受像機1の主電源が「オン」とされると(ステップS1)待機状態となる。次に、映像電源が「オン」とされると(ステップS2)、制御手段8によってモータ11が制御されて、開口16が表示画面4aの前面に位置するように前面シート6が移動されて遮蔽領域12,14が表示画面4aの前面から退避する(ステップS3)とともに、表示画面4aに映像が表示される(ステップS4)。次に、映像電源が「オフ」とされると(ステップS5)、第1遮蔽領域12又は第2遮蔽領域14のいずれかが表示画面4aの前面に位置するように前面シート6が移動され(ステップS6)、表示画面4aの映像が非表示とされる(ステップS7)。ステップS5において映像電源が「オフ」とされないまま主電源が「オフ」とされた場合にも(ステップS8)、第1遮蔽領域又は第2遮蔽領域のいずれかが表示画面4aの前面に位置するように前面シート6が移動され(ステップS6)、表示画面4aの映像が非表示とされる(ステップS7)。また、ステップS8において主電源が「オン」のままであれば表示画面4aに映像が表示されたままとなる。
【0035】
以上のように、本実施例のテレビ受像機1は、表示画面4aに映像が表示されていない間は、黒色領域となる表示画面4aが前面シート6の遮蔽領域12,14で遮蔽されるので、黒色領域による圧迫感等を軽減し、室内の雰囲気が損なわれるのを防ぐことができる。さらに、遮蔽領域12,14に画像として描かれた風景画や模様によって、利用者が目にする遮蔽領域12,14を室内の雰囲気に馴染んだ自然なものとすることができる。
【0036】
また、制御装置8が、表示画面4aに対する映像の表示及び非表示に連動して前面シート6を移動させるので、利用者の手を煩わせることなく黒色領域による圧迫感等を軽減することができる。
【0037】
なお、本実施例においては、表示画面4aの上下に巻き取り軸10を配置して、前面シート6を上下方向に移動させているが、巻き取り軸を左右に配置して前面シート6を左右に移動させても構わない。
【0038】
また、前面シート6の移動方法も巻き取り軸10によって巻き取る方法に限られず、例えば、ディスプレイ本体4を囲んだ筒状に前面シート6を構成し、その前面シート6を連続的に一方向に移動させるように構成してもよい。
【0039】
また、前面シート6に遮蔽領域を2ヶ所設けているが、これに限られず、遮蔽領域が1ヶ所しか設けられていなくてもよいし、3ヶ所以上設けられていてもよい。
【0040】
また、本実施例ではテレビ受像機1を表示装置として説明したが、これに限られず、例えばパーソナルコンピュータ用のディスプレイ機器を表示装置としてもよい。すなわち、映像が表示可能な映像表示部を有する表示装置であって、映像が表示されていない間は映像表示部が利用者に圧迫感等を与えてしまうような表示装置であれば本発明を適用することができる。
【0041】
図7は、本実施例の変形例1に係る前面シート6の展開図である。本変形例1の前面シート6は、透光性の材料で形成された透光性領域19を有している。ディスプレイ本体4の表示画面4aに映像が表示されている間は、透光性領域19を表示画面4aの前面に位置させることで、利用者が透光性領域19を通して表示画面4aを見ることができる。表示画面4aを視認可能とする領域が透明材料で形成されるので、前面シート6に開口16を形成した場合に比べて前面シート6を丈夫で耐久性の高いものにすることができる。
【0042】
また、透光性領域19によって表示画面4aを保護することもできる。また、透光性領域19にアンチリフレクション(AR)処理を施すことで、室内の照明光の透光性領域19での反射を低減して、透光性領域19への光の映りこみ等により表示画面が見にくくなることを防ぐことができる。
【0043】
図8は、本実施例の変形例2に係る前面シート6の展開図である。本変形例2の前面シート6は、遮蔽領域12,14を有するシート部18と、シート部18から巻き取り軸10に向かって延びる一対のワイヤー20とを有する。シート部18が表示画面4aの下方に退避した状態、すなわち表示画面4aに映像が表示されている状態において、ワイヤー20は表示画面4aの外側であって表示画面4aを挟んだ両側を通るように巻き取り軸10に向かって延びる。したがって、利用者はワイヤー20の間から表示画面4aに表示された映像を見ることができる。ワイヤーは一般的に丈夫で耐久性も高いため、巻き取り軸10による巻き取りが繰り返し行われても切断されにくく、テレビ受像機1の故障を減らして製品の信頼性を高めることができる。
【0044】
図9は、本実施例の変形例3に係る前面シート6の展開図である。本変形例3の前面シート6は、遮蔽領域22に時刻情報表示部(情報表示手段)24、天気情報表示部(情報表示手段)26を有している。また、前面シート6の裏面にアンテナ部28、バッテリー30を有している。
【0045】
時刻情報表示部24には反射型液晶表示装置(電気的表示手段)が用いられており、低消費電力で駆動させることができる。天気情報表示部26には電子ペーパー(電気的表示手段)が用いられている。電子ペーパーは非常に薄い透明フィルム等が表示基板として用いられており、駆動部もシート上に形成されており、可撓性に優れている。したがって、巻き取り軸10に巻き取られた場合であってもその可撓性によって故障しにくく、比較的大きなサイズで天気情報表示部26を形成することができる。また、電子ペーパーは低消費電力で駆動させることができる。電子ペーパー以外にも、例えば、基板にプラスチック等を用いて可撓性を持たせた自発光表示手段である有機ELディスプレイ等や電気泳動表示手段を用いてもよい。有機ELディスプレイ等や電気泳動表示手段も低消費電力で駆動させることができる。
【0046】
アンテナ部28は、天気情報表示部26に表示させる天気情報を受信する。アンテナ部28が受信した最新の天気情報は信号線32を通じて天気情報表示部26に伝達され、天気情報表示部28に表示された情報が最新の天気情報に更新される。
【0047】
バッテリー30は、時刻情報表示部24及び天気情報表示部26に駆動電力を供給する。バッテリー30は、表示画面4aに映像が表示されている間にコンセント等からテレビ受像機1に供給される電力で充電される。したがって、表示画面4aに映像が表示されていない間、すなわち映像電源が「オフ」又は主電源が「オフ」となっている間の待機電力を抑えることができる。
【0048】
以上説明したように本変形例3の前面シート6を備えるテレビ受像機1は、表示画面に映像が表示されていない間も、遮蔽領域22に時刻情報や天気情報といった簡易な情報が表示されているため利便性の向上を図ることができる。また、アンテナ部28を備えることでこれら簡易な情報を最新の情報に更新できるため、より一層の利便性向上を図ることができる。なお、情報表示部24,26に表示される情報は、時刻情報、天気情報以外の情報であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例に係るテレビ受像機の概略構成を示す図。
【図2】テレビ受像機内部の概略構成を示す横断面図。
【図3】ディスプレイ本体、前面シートの概略構成を示す斜視図。
【図4】前面シートの展開図。
【図5】第1遮蔽領域、第2遮蔽領域、開口のそれぞれが表示画面の前面に位置した状態を示すためのテレビ受像機の正面図。
【図6】映像表示及び前面シートの移動の流れを説明するためのフローチャート。
【図7】変形例1に係る前面シートの展開図。
【図8】変形例2に係る前面シートの展開図。
【図9】変形例3に係る前面シートの展開図。
【符号の説明】
【0050】
1 テレビ受像機(表示装置)、2 筐体、2a 窓部、2b 主電源スイッチ、4 ディスプレイ本体、4a 表示画面(映像表示部)、6 前面シート、8 制御装置(制御手段)、10 巻き取り軸(シート移動手段)、11 モータ(シート移動手段)、12 第1遮蔽領域、14 第2遮蔽領域、16 開口、18 シート部、19 透光性領域、20 ワイヤー、22 遮蔽領域、24 時刻情報表示部(情報表示手段)、26 天気情報表示部(情報表示手段)、28 アンテナ部、30 バッテリー、32 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示可能な映像表示部と、
前記映像表示部の前面に位置する状態において、前記映像表示部の略全体を遮蔽する遮蔽領域を有する前面シートと、
前記前面シートを移動させるシート移動手段と、
前記映像表示部における映像の表示及び非表示に連動して前記シート移動手段を制御し、前記映像が表示されていない間は前記遮蔽領域を前記映像表示部の前面に位置させ、前記映像が表示されている間は前記遮蔽領域を前記映像表示部の前面から退避させる制御手段と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記遮蔽領域に画像が描かれていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記前面シートが前記遮蔽領域を複数有し、少なくとも1の遮蔽領域に画像が描かれていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記シート移動手段は、前記映像表示部の外側に配置されるとともに前記前面シートを巻き取って移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記前面シートに、前記表示部の前面に位置する状態において前記映像表示部の略全体を視認可能とする開口が形成され、
前記制御部は、前記映像が表示されている間は前記開口を前記映像表示部の前面に位置させることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記前面シートは、透光性の材料で形成された透光性領域を有し、
前記制御部は、前記映像が表示されている間は前記透光性領域を前記映像表示部の前面に位置させて前記透光性領域を通して前記映像表示部の略全体を視認可能とすることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記前面シートは、前記映像表示部の外側であって前記映像表示部を挟んだ両側を通るように前記移動手段に向けて延びるワイヤーを有し、
前記遮蔽領域が前記映像表示部の前面から退避した状態において、前記ワイヤーの間から前記映像表示部の略全体が視認可能であることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記遮蔽領域に情報表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記情報表示手段は、電気的表示手段であることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記情報表示手段は、可撓性を有することを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記情報表示手段に表示させる情報を受信するためのアンテナ部を備えることを特徴とする請求項8から請求項10のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記情報表示手段を駆動させるバッテリーをさらに有し、
前記バッテリーは、前記映像が表示されている間に充電されることを特徴とする請求項8から請求項11のうちいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−35099(P2010−35099A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197488(P2008−197488)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】