説明

表示装置

【課題】接地電圧の信号レベルを制御することによって発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧を補償することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】電流量に応じて自発光する発光素子と、発光素子と接続され発光素子を発光させるための発光電流の発光素子への印加を制御するトランジスタとを備える画素回路を有する画素をマトリクス状に備え、入力された映像信号に基づく映像を表示画面に表示する映像表示部と、伝達される制御信号に応じて、第1レベルの接地電圧、または第1レベルより信号レベルが高い第2レベルの接地電圧を画素それぞれに選択的に供給する共通電源供給部と、接地電圧の信号レベルを選択的に切り替えるための制御信号を共通電源供給部に伝達する表示制御部とを備える表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CRTディスプレイ(Cathode Ray Tube display)に替わる表示装置として、有機ELディスプレイ(organic ElectroLuminescence display。または、OLEDディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)ともよばれる。)や、FED(Field Emission Display。電界放出ディスプレイ)、LCD(Liquid Crystal Display。液晶ディスプレイ)、PDP(Plasma Display Panel。プラズマディスプレイ)など様々な表示装置が開発されている。
【0003】
上記のような様々な表示装置のうち、有機ELディスプレイは、エレクトロルミネッセンス現象(ElectroLuminescence)を利用した自発光型の表示装置である。有機ELディスプレイは、例えば、LCDのように別途の光源を必要とする表示装置と比較すると、動画特性、視野角特性、色再現性などが優れていることから、次世代の表示装置として特に注目されている。ここで、エレクトロルミネッセンス現象とは、物質(有機EL素子)の電子状態が、電界によって基底状態(ground state)から励起状態(excited state)へ変化し、不安定な励起状態から安定した基底状態へと戻るときに、差分のエネルギーが光として放出される現象である。
【0004】
有機ELディスプレイは、一般的にマトリクス状(行列状)に配置された複数の画素を備える。また、有機ELディスプレイにおける画素は、例えば、発光素子(有機EL素子)と、当該発光素子を発光させるための発光電流を制御するトランジスタ(以下、「駆動トランジスタ」とよぶ場合がある。)とを備える画素回路を有する。有機ELディスプレイは、映像信号に応じた発光電流を各画素の発光素子に印加することによって、映像信号が表す映像を表示画面に表示させる。ここで、各画素が備える駆動トランジスタは、ゲート端子(制御端子)とソース端子との間のゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthよりも大きくなったときに、ゲート−ソース間電圧Vgsに応じた発光電流を発光素子に印加する。よって、有機ELディスプレイでは、映像信号に応じてゲート−ソース間電圧Vgsを調整することによって、映像信号に応じた映像を表示画面に表示させている。
【0005】
しかしながら、駆動トランジスタは、経時劣化などによって閾値電圧Vthが変化する(より具体的には、大きくなる)。上記のように駆動トランジスタの閾値電圧Vthが変化した場合には、輝度の低下や非発光などの望ましくない事態が生じてしまう。
【0006】
このような中、画素が備えるトランジスタの閾値電圧Vthを補償する技術が開発されている。発光を制御するトランジスタに逆バイアスを印加することによって、トランジスタの閾値電圧Vthを補償する技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3が挙げられる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−99773号公報
【特許文献2】特開2005−164893号公報
【特許文献3】特開2005−164894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画素が備えるトランジスタの閾値電圧Vthを補償する従来の技術を用いた表示装置(以下、「従来の表示装置」とよぶ場合がある。)では、駆動トランジスタのゲート端子(制御端子)に逆バイアスを印加するために、画素回路内に専用(あるいは共用)のトランジスタを備え、さらに、これらのトランジスタを制御するための専用(あるいは共用)の制御信号線を設けなければならない。また、画素が備えるトランジスタの閾値電圧Vthを補償する従来の技術を用いた表示装置では、上記画素回路を駆動させるためにより複雑な制御も必要となる。したがって、画素が備えるトランジスタの閾値電圧Vthを補償する従来の技術を用いた表示装置では、画素回路や表示パネル全体の構造が複雑となるので、開口率の低下や歩留まり(yield rate)の低下を招く恐れがある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、接地電圧の信号レベルを制御することによって発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧を補償することが可能な、新規かつ改良された表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、電流量に応じて自発光する発光素子と、前記発光素子と接続され前記発光素子を発光させるための発光電流の前記発光素子への印加を制御するトランジスタとを備える画素回路を有する画素をマトリクス状に備え、入力された映像信号に基づく映像を表示画面に表示する映像表示部と、伝達される制御信号に応じて、第1レベルの接地電圧、または前記第1レベルより信号レベルが高い第2レベルの接地電圧を前記画素それぞれに選択的に供給する共通電源供給部と、前記接地電圧の信号レベルを選択的に切り替えるための前記制御信号を前記共通電源供給部に伝達する表示制御部とを備える表示装置が提供される。
【0011】
かかる構成によって、各画素の発光素子の発光を制御するトランジスタに逆バイアスを印加することができる。したがって、かかる構成により、接地電圧の信号レベルを制御して発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧を補償することができる。
【0012】
また、前記表示制御部は、前記画素が備える前記発光素子を発光させる発光期間には、前記第1レベルの接地電圧を供給させるための第1の制御信号を伝達し、前記発光素子を発光させない非発光期間には、前記第2レベルの接地電圧を供給させるための第2の制御信号を伝達してもよい。
【0013】
かかる構成によって、各画素の発光素子の発光を制御するトランジスタに逆バイアスを印加して当該トランジスタの閾値電圧を補償することができる。
【0014】
また、前記共通電源供給部は、前記表示制御部から前記第1の制御信号が伝達された場合には、前記第1レベルの接地電圧を出力し、前記表示制御部から前記第2の制御信号が伝達された場合には、前記第2レベルの接地電圧を出力する補償回路を備えてもよい。
【0015】
かかる構成によって、各画素の発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧を選択的に補償することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接地電圧の信号レベルを制御することによって発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧を補償することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
なお、以下では、本発明の実施形態に係る表示装置(以下、「表示装置100」という。)として、電流量に応じて自発光する発光素子と、当該発光素子に印加する発光電流を制御するトランジスタ(駆動トランジスタ)とを備える画素回路を各画素に有する自発光型の表示装置である有機ELディスプレイを例に挙げて説明する。
【0019】
(本発明の実施形態に係る駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償アプローチ)
表示装置100の構成について説明する前に、まず、表示装置100における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償アプローチについて説明する。
【0020】
〔1〕画素回路の一例と、駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償が必要な理由
表示装置100が、発光素子として有機EL素子を備える場合、映像を表示画面に表示する表示パネルを構成する各画素は、例えば、発光素子と、当該発光素子と接続されて発光素子への発光電流の印加を制御する駆動トランジスタとを備える。図1は、本発明の実施形態に係る画素回路の一例を概略的に示す説明図である。なお、図1では、画素回路が、2つの薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、「TFT」または単に「トランジスタ」とよぶ場合がある。)と、1つのキャパシタC1と、発光素子LED1とを備える構成を示すが、本発明の実施形態に係る画素回路は、上記に限られない。
【0021】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る画素回路は、n−チャネル型のトランジスタTr1と、n−チャネル型のトランジスタTr2と、キャパシタC1と、発光素子LED1とを備える。ここで、トランジスタTr1は、発光素子LED1への発光電流の印加を制御する役目を果たす。また、トランジスタTr2は、映像信号に応じたデータ電圧VdataをトランジスタTr1のゲート端子(制御端子)に選択的に印加する役目を果たす。以下では、トランジスタTr1を「駆動トランジスタTr1」、トランジスタTr2を「スイッチングトランジスタTr2」とよぶ。
【0022】
駆動トランジスタTr1のドレイン端子(第1端子)は、発光素子LED1のカソードと接続され、ソース端子(第2端子)は、接地電圧Vssが印加される共通電源線(図1では、端子として示している。)に接続される。また、発光素子LED1のアノードは、駆動電圧Vccが印加される電源供給線に接続される。つまり、駆動トランジスタTr1のドレイン端子(第1端子)には、駆動電圧Vccが発光素子LED1を介して印加される。また、キャパシタC1の一の端子は、電源供給線に接続され、他の端子は、駆動トランジスタTr1のゲート端子(制御端子)に接続される。
【0023】
また、スイッチングトランジスタTr2の第1端子は、データ電圧Vdataが印加されるデータ線と接続され、第2端子は、駆動トランジスタTr1のゲート端子に接続される。そして、スイッチングトランジスタTr2のゲート端子(制御端子)は、選択電圧Vselectが印加される走査線と接続される。よって、スイッチングトランジスタTr2は、ゲート端子に印加される選択電圧Vselectに応じて、データ電圧Vdataを駆動トランジスタTr1のゲート端子に印加する。
【0024】
データ電圧Vdataがゲート端子に印加されることによって、駆動トランジスタTr1のドレイン−ソース間には、ゲート端子に印加されるデータ電圧Vdataに応じた発光電流が流れ、発光素子LED1には発光電流が印加される。したがって、画素回路では、発光素子LED1が発光電流に応じた発光量で発光することとなる。ここで、図1に示す構成は、定電流駆動とよばれる。
【0025】
上記のように、本発明の実施形態に係る画素回路では、駆動トランジスタTr1のゲート端子にデータ電圧Vdataが印加されることによって、ゲート−ソース間電圧Vgsが変化する。ここで、駆動トランジスタTr1では、ゲート−ソース間電圧Vgsが、所定の閾値電圧Vthを超えたとき、ゲート端子に印加されるデータ電圧Vdataに応じた発光電流がドレイン−ソース間に流れる。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る駆動トランジスタにおけるゲート−ソース間電圧Vgsと、ドレイン−ソース間に流れる発光電流Idとの関係の一例を示す説明図である。ここで、図2(a)は、経時劣化が進んでいない状態におけるゲート−ソース間電圧Vgsと発光電流Idとの関係の一例を示している。また、図2(b)は、経時劣化が進んだ状態におけるゲート−ソース間電圧Vgsと発光電流Idとの関係の一例を示している。なお、以下では、経時劣化による閾値電圧Vthの変化を例に挙げて説明するが、閾値電圧Vthの変化の要因が経時劣化に限られないことは、言うまでもない。
【0027】
図2(a)に示すように、駆動トランジスタTr1の経時劣化が進んでいない状態では、ゲート−ソース間電圧Vgsが、閾値電圧Vth=Vth0を超えたときに、ゲート−ソース間電圧Vgsに応じた発光電流Idが流れる。
【0028】
しかしながら、図2(b)に示すように、駆動トランジスタTr1の経時劣化が進むと、閾値電圧Vthは、閾値電圧Vth=Vth1(Vth1>Vth0)へと変化する。また、図2(b)に示すように、閾値電圧Vthは変化するが、その他の関係は変化しない。よって、図2(b)に示す閾値電圧Vthの変化は、“Vthシフト”とよばれることがある。
【0029】
図2(b)に示すように、駆動トランジスタTr1の閾値電圧Vthが変化した場合には、同じ映像を示す映像信号が表示装置100に入力された場合であっても、例えば、輝度の低下や、非発光(ゲート−ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthを超えないため)の状態が生じる恐れがある。上記の場合には、表示装置100の表示画面に表示される映像(静止画像/動画像)の画質は低下することから、高画質化は望めない。ここで、図2(b)に示すようなトランジスタの閾値電圧Vthの変化(Vthシフト)は、駆動トランジスタTr1が、例えば、アモルファスシリコン(amorphous silicon)や低温ポリシリコン(low-temperature poly-silicon)など様々なプロセスにより形成された場合において、生じうる。
【0030】
したがって、表示装置100では、上記のような画質の低下を防止するために、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償を行う。なお、上記では、本発明の実施形態に係る画素回路として定電流駆動の構成を示したが、本発明の実施形態に係る画素回路は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る画素回路は、ソースフォロア(またはドレイン接地)とよばれる構成とすることもできる。また、本発明の実施形態に係る画素回路は、p−チャネル型のトランジスタを用いた駆動トランジスタ、スイッチングトランジスタで構成することもできる。
【0031】
〔2〕閾値電圧Vthの補償アプローチ
次に、本発明の実施形態に係る駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償アプローチについて説明する。
【0032】
表示装置100は、表示パネルを構成する各画素回路の駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償するために、駆動トランジスタに対して逆バイアスを印加する。上述したように、従来の表示装置では、駆動トランジスタのゲート端子に逆バイアスを印加するために、専用(あるいは共用)のトランジスタと、専用(あるいは共用)の制御信号線とを設けている。これに対して、表示装置100は、図1に示す画素回路に対してトランジスタや制御信号線などの逆バイアス印加のための構成を特に追加せずに、駆動トランジスタに対する逆バイアスの印加を図る。具体的には、表示装置100は、共通電源線に印加される接地電圧Vssの信号レベルを、第1レベル(例えば、グランドレベル。以下、「GND」とよぶ場合がある。)と、第1レベルよりも電圧レベルが高い第2レベル(以下、「Vbias」とよぶ場合がある。)との間で選択的に変化させることによって、駆動トランジスタに対する逆バイアスの印加を図る。
【0033】
例えば図1の画素回路を参照して説明すると、接地電圧VssをGNDからVbiasへと変化させたとき、画素回路の駆動トランジスタTr1のゲート端子の電位が0(ゼロ)あるいは低い電位に固定されている場合には、駆動トランジスタTr1のソース端子の電位は、GNDからVbiasへと上がる。上記は、等価的に駆動トランジスタTr1のゲート端子に逆バイアスを印加したことに相当する。ここで、上記のように接地電圧VssをGNDからVbiasへと変化させたとしても、発光素子LED1に対しては逆電圧が印加されることとなるので、発光素子LED1が発光することはない(すなわち、誤発光しない。)。
【0034】
上記のように、表示装置100は、各画素の発光素子LED1を発光させない非発光期間に接地電圧Vssを第1レベルから第2レベルへと選択的に変化させることによって、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償する。また、表示装置100は、各画素の発光素子LED1を発光させる発光期間には、接地電圧Vssを第1レベルとする。したがって、表示装置100は、図2(b)に示すようなトランジスタの閾値電圧Vthの変化(Vthシフト)が補償された状態で発光素子を発光させるので、トランジスタの閾値電圧Vthの変化によって起こりうる、例えば、輝度の低下や、意図しない非発光の状態を防止することができる。
【0035】
また、表示装置100は、上記のように、非発光期間において接地電圧Vssを第1レベルから第2レベルへと変化させることによって、駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償する。したがって、表示装置100は、表示画面に映像を表示させない任意の期間において、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償することができる。よって、表示装置100は、例えば、ユーザが表示装置100の電源をオフ(ただし主電源はオン)したとき(すなわち、表示画面には映像が表示されない。)に、ユーザに意識させることなく、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償することもできる。
【0036】
(本発明の実施形態に係る表示装置100)
次に、上述した駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償アプローチを実現することが可能な、表示装置100の構成について説明する。以下では、表示装置100に映像信号が入力されるものとして説明するが、表示装置100に入力される映像信号は、静止画像を示すものであってもよいし、または、動画像(いわゆる映像)であってもよい。また、表示装置100に入力される映像信号は、例えば、放送局から送信され表示装置100が受信したものとすることができるが、上記に限られない。例えば、表示装置100に入力される映像信号は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して外部装置から送信され表示装置100が受信したものであってもよいし、または、表示装置100が備える記憶部(図示せず)に保持された映像ファイルや画像ファイルを表示装置100が読み出したものであってもよい。
【0037】
図3は、本発明の実施形態に係る表示装置100の構成の一例を示す説明図である。図3を参照すると、表示装置100は、表示パネル102(映像表示部)と、走査駆動部104と、データ駆動部106と、駆動電源供給部108と、共通電源供給部110と、表示制御部112とを備える。また、表示装置100は、入力された映像信号に対して、例えば、ゲイン調整などの処理を行う映像信号処理部(図示せず)を備えることもできる。
【0038】
また、表示装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などで構成され表示装置100全体を制御する制御部(図示せず)や、制御部が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データが記録されたROM(Read Only Memory。図示せず)、制御部により実行されるプログラムなどを一次記憶するRAM(Random Access Memory。図示せず)、放送局などから送信される映像信号を受信する受信部(図示せず)、映像ファイルや画像ファイルなどを記憶可能な記憶部(図示せず)、ユーザが操作可能な操作部(図示せず)、外部装置(図示せず)と通信を行うための通信部(図示せず)などを備えてもよい。表示装置100は、例えば、データの伝送路としてのバス(bus)により上記各構成要素間を接続する。また、表示装置100は、例えば、上記制御部(図示せず)と表示制御部112とを一体の部とすることもできる。
【0039】
ここで、記憶部(図示せず)としては、例えば、ハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリ(nonvolatile memory)が挙げられるが、上記に限られない。また、操作部(図示せず)としては、例えば、キーボードやマウスなどの操作入力デバイスや、ボタン、方向キー、あるいは、これらの組み合わせなどが挙げられるが、上記に限られない。
【0040】
また、表示装置100と外部装置(図示せず)とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子やIEEE1394規格の端子、DVI(Digital Visual Interface)端子、あるいはHDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子などを介して物理的に接続されてもよいし、また、WUSB(Wireless Universal Serial Bus)やIEEE802.11などを利用して無線で接続することもできる。さらに、表示装置100と外部装置(図示せず)とは、例えば、ネットワークを介して接続することもできる。ネットワークとしては、例えば、LANやWAN(Wide Area Network)など有線ネットワーク、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)を用いたWLAN(Wireless Local Area Network)などの無線ネットワーク、あるいは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの通信プロトコルを用いたインターネットなどが挙げられるが、上記に限られない。したがって、通信部(図示せず)は、外部装置(図示せず)との接続形態に応じたインタフェースを有する。
【0041】
表示パネル102は、p×q(p、qはそれぞれ2以上の自然数。)のマトリクス状(行列状)に画素が配置され、映像を表示する表示画面の役目を果たす。例えば、SD(Standard Definition)解像度の映像を表示する表示パネルは、少なくとも640×480=307200(データ線×走査線)の画素を有し、カラー表示のために当該画素が赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のサブピクセル(sub pixel)からなる場合には、640×480×3=921600(データ線×走査線×サブピクセルの数)のサブピクセルを有する。。同様に、例えば、HD(High Definition)解像度の映像を表示する表示パネルは、1920×1080の画素を有し、カラー表示の場合には、1920×1080×3のサブピクセルを有する。ここで、図3では、表示パネル102が備える画素として、画素120A〜画素120Fを示している。
【0042】
画素120A〜画素120Fそれぞれには、走査駆動部104から出力される選択電圧Vselect(選択信号)が印加される走査線SLm(mは、1以上の整数。)、データ駆動部106から出力される映像信号に応じたデータ電圧Vdata(データ信号)が印加されるデータ線DLn(nは、1以上の整数。)、および駆動電源供給部108から出力される駆動電圧Vcc(駆動信号)が印加される電源供給線DPLm(mは、1以上の整数。)が接続される。また、それぞれの画素には、共通電源供給部110から出力される接地電圧Vssが印加される共通電源線CPLm(mは、1以上の整数。)が接続される。ここで、図3では、各画素がそれぞれ対応する共通電源線CPLmに接続される例を示しているが、上記に限られない。例えば、表示パネル102は、共通電源線を画素120A〜画素120Fが接続される面電極として備えることもできる。
【0043】
また、画素120A〜画素120Fは、例えば、図1に示すような定電流駆動の画素回路を備えることができるが、上記に限られない。例えば、画素120A〜画素120Fは、ソースフォロアの画素回路を備えることもできる。
【0044】
走査駆動部104は、データ電圧Vdataを各画素へ選択的に印加させるための選択電圧Vselectを走査線SLmを介して表示パネル102の各画素へと印加する。ここで、走査駆動部104は、例えば、表示制御部112から伝達される第1制御信号に基づいて、各走査線SLmへと選択的に選択電圧Vselectを印加する。
【0045】
データ駆動部106は、映像信号に応じたデータ電圧Vdataをデータ線DLnを介して表示パネル102の各画素へと印加する。ここで、データ駆動部106は、例えば、表示制御部112から伝達される第2制御信号に基づいて、各データ線DLnへと選択的にデータ電圧Vdataを印加する。なお、図3では、入力された映像信号が、表示制御部112を介してデータ駆動部106に伝達される例を示しているが、上記に限られない。例えば、データ駆動部106には、表示制御部112を介さずに直接的に映像信号が伝達されてもよい。
【0046】
駆動電源供給部108は、各画素を駆動させるための(すなわち、発光させるための)駆動電圧Vccを、電源供給線DPLmを介して表示パネル102の各画素へと印加する。ここで、駆動電源供給部108は、例えば、表示制御部112から伝達される第3制御信号に基づいて、各電源供給線DPLmへと選択的に駆動電圧Vccを印加する。
【0047】
共通電源供給部110は、第1レベル(GND)または第2レベル(Vbias)の接地電圧Vssを、共通電源線CPLmを介して表示パネル102の各画素へと選択的に印加する。ここで、共通電源供給部110は、例えば、表示制御部112から伝達される第4制御信号に基づいて、各共通電源線CPLmへと印加する接地電圧Vssを選択的に切り替える。共通電源供給部110の構成例については、後述する。
【0048】
表示制御部112は、走査駆動部104、データ駆動部106、駆動電源供給部108、および共通電源供給部110それぞれに対して制御信号(第1制御信号/第2制御信号/第3制御信号/第4制御信号)を伝達することによって、表示画面への映像の表示の制御と、上述した各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償の制御とを行う。
【0049】
表示装置100は、上記のような構成によって、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償し、入力された映像信号に応じた映像を表示画面に表示する。したがって、表示装置100では、表示パネル102の各画素において輝度の低下や意図しない非発光の状態が生じることを防止し、高画質化を図ることができる。
【0050】
〔駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償制御の具体例〕
ここで、表示装置100における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償制御の具体例について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る表示装置100における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償制御を説明するための第1の説明図である。ここで、画素120A〜画素120Fはそれぞれ同一の構成をとることができ、また閾値電圧Vthの補償制御に係る動作は同一であるため、図4では、表示パネル102が備える画素のうち画素120Aのみを示している。また、図4では、画素120Aとして、図1に示す定電流駆動の画素回路を示している。
【0051】
図4を参照すると、共通電源供給部110は、共通電源線CPLmにそれぞれに対応する複数の補償回路130を備える。ここで、図4では、共通電源線CPL1に対応する補償回路130Aを示しているが、その他の補償回路130も同様の構成をとることができる。よって、以下では、補償回路130Aを例に挙げて説明し、その他の補償回路130については説明を省略する。なお、本発明の実施形態に係る共通電源供給部は、上記の構成に限られない。例えば、表示パネル102が共通電源線を面電極として備える場合には、共通電源供給部110は、1つの補償回路130で構成することができる。
【0052】
補償回路130Aは、Vbias(第2レベルの接地電圧)を接地電圧Vssとして共通電源線CPL1に伝達するためのn−チャネル型のトランジスタTr3と、GND(第1レベルの接地電圧)を接地電圧Vssとして共通電源線CPL1に伝達するためのn−チャネル型のトランジスタTr4とを備える。ここで、トランジスタTr3は、表示制御部112から伝達される第1の第4制御信号V1(第1の制御信号。以下、「制御信号V1」という。)によって、オン/オフ動作するスイッチング素子として機能する。また、トランジスタTr4は、表示制御部112から伝達される第2の第4制御信号V1(第2の制御信号。以下、「制御信号V2」という。)によって、オン/オフ動作するスイッチング素子として機能する。なお、本発明の実施形態に係る補償回路の構成は、上記に限られない。例えば、本発明の実施形態に係る補償回路は、p−チャネル型のトランジスタで構成することができ、また、第1レベルと第2レベルの接地電圧Vssを選択的に出力することが可能な任意の構成をとることができる。
【0053】
図5は、本発明の実施形態に係る表示装置100における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償制御を説明するための第2の説明図である。ここで、図5は、図4に示す補償回路130Aに対応する表示制御部112から出力される制御信号V1および制御信号V2と、共通電源線CPL1に伝達される接地電圧Vssとの関係の一例を示している。
【0054】
図5を参照すると、表示制御部112は、ある非発光期間においてハイレベル(図5に示す「H」)の制御信号V1を補償回路130Aに伝達し、また、このとき、表示制御部112は、ローレベル(図5に示す「L」)の制御信号V2を伝達する。ここで、図5に示す非発光期間は、表示装置100における全ての非発光期間であってもよいし、非発光期間のうちの任意の期間であってもよい。
【0055】
また、表示制御部112は、上記ある非発光期間以外の期間には、ハイレベルの制御信号V2を補償回路130Aに伝達し、また、このとき、表示制御部112は、ローレベルの制御信号V1を伝達する。
【0056】
上記のように、表示制御部112が信号レベルが相反する制御信号V1、および制御信号V2を補償回路130Aに伝達することによって、画素120Aには、非発光期間において第2レベルの接地電圧Vssが選択的に伝達される。したがって、画素120Aの駆動トランジスタTr1には、逆バイアスが印加されることとなる。
【0057】
表示装置100は、例えば図5に示すように、接地電圧Vssの信号レベルを制御することによって発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧Vthを補償することができる。
【0058】
<画素回路の他の例>
図4では、画素120Aが、図1に示す定電流駆動の画素回路を備える構成を示したが、本発明の実施形態に係る画素回路は、上記に限られない。そこで、本発明の実施形態に係る画素回路の他の例と、各画素が当該画素回路を備える場合における駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償制御について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る表示装置100における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧Vthの補償制御を説明するための第3の説明図である。ここで、図6では、図4と同様に、表示パネル102が備える画素のうち画素120Aのみを示している。また、図6では、画素120Aとして、ソースフォロアの画素回路を示している。
【0059】
図6を参照すると、画素120Aは、発光素子LEDと駆動トランジスタTr1との接続関係が、図1に示す定電流駆動の画素回路と異なることが分かる。つまり、図6に示す画素120Aでは、駆動トランジスタTr1のドレイン端子は、電源供給線DPL1に接続され、ソース端子は、発光素子LED1のアノードと接続される。また、発光素子LED1のカソードは、共通電源線CPL1に接続される。
【0060】
また、図6に示すように、共通電源供給部110が備える補償回路130Aは、図4に示す補償回路130Aと同様の構成を有する。したがって、補償回路130Aは、図4に示す補償回路130Aと同様に、表示制御部112から伝達される制御信号V1および制御信号V2に応じて、第1レベルまたは第2レベルの接地電圧Vssが伝達される。
【0061】
ここで、画素120Aが図6に示す構成をとる場合には、接地電圧Vssの信号レベルを変化させたとしても、発光素子LED1に対しては逆電圧となるので駆動トランジスタTr1に接地電圧Vssを伝達することができない。そこで、他の例に係る画素120Aでは、図6に示すように、ダイオードD1を、発光素子LED1とアノードおよびカソードの関係が反対となるように並列に接続する。図6に示す構成によって、他の例に係る画素120Aは、図1に示す画素回路と同様に、発光素子LED1を発光させることなく駆動トランジスタTr1に逆バイアスを印加することができる。
【0062】
なお、図6に示すダイオードD1は、画素回路のTFT成膜時において、TFTのダイオード接続などによって容易に生成することができる。また、ダイオードD1は、駆動トランジスタTr1に逆バイアスを印加するためだけのものなので、特性上もそれ程厳しい仕様が要求されない。表示装置100が、各画素にソースフォロアの画素回路を備える場合には、図6に示すように接地電圧Vssを駆動トランジスタTr1に印加させるためのダイオードD1が必要となるが、上記の場合であっても、表示装置100は、従来の表示装置のように専用(あるいは共用)のTFTおよび制御線を設ける必要はない。したがって、図6に示す他の例に係る画素回路を各画素に備える場合であっても、表示装置100は、従来の表示装置よりもより簡易な構成で、各画素の駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償することができる。
【0063】
以上のように、本発明の実施形態に係る表示装置100は、非発光期間に接地電圧Vssを第1レベル(GND)から第2レベル(Vbias)へと選択的に変化させることによって、各画素の駆動トランジスタに逆バイアスを印加する。したがって、表示装置100は、接地電圧Vssの信号レベルを制御することによって発光素子の発光を制御するトランジスタ(駆動トランジスタ)の閾値電圧Vthを補償することができる。
【0064】
また、表示装置100は、各画素の発光素子を発光させる発光期間には、接地電圧Vssを第1レベルとする。したがって、表示装置100は、図2(b)に示すようなトランジスタの閾値電圧Vthの変化(Vthシフト)が補償された状態で発光素子を発光させるので、トランジスタの閾値電圧Vthの変化によって起こりうる、例えば、輝度の低下や、意図しない非発光の状態を防止することができる。
【0065】
さらに、表示装置100は、上記のように接地電圧Vssの制御によって駆動トランジスタの閾値電圧Vthを補償するので、従来の表示装置のように、専用(あるいは共用)のトランジスタと、専用(あるいは共用)の制御信号線とを設ける必要はない。したがって、表示装置100は、従来の表示装置よりも画素回路や表示パネル全体の構造の簡単化を図ることができるので、開口率の低下や歩留まりの低下が生じる可能性を、従来の表示装置よりも低減することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態として、表示装置100を挙げて説明したが、本発明の実施形態は、かかる形態に限られない。例えば、本発明の実施形態は、例えば、有機ELディスプレイなどのように電流量に応じて自発光する発光素子と当該発光素子に印加する発光電流を制御するトランジスタ(駆動トランジスタ)とを備える画素回路を各画素に有する表示装置や、テレビジョン(Television)放送を受信する受信装置、外部または内部に表示手段を有するPC(Personal Computer)などのコンピュータ、携帯電話などの携帯型通信装置など、様々な機器に適用することができる。
【0067】
(本発明の実施形態の表示装置に係るプログラム)
コンピュータを、本発明の実施形態に係る表示装置100として機能させるためのプログラムによって、接地電圧の信号レベルを制御し、発光素子の発光を制御するトランジスタの閾値電圧を補償することができる。より具体的には、上記プログラムは、例えば、コンピュータを表示制御部112として機能させる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る画素回路の一例を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る駆動トランジスタにおけるゲート−ソース間電圧と、ドレイン−ソース間に流れる発光電流との関係の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示装置における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧の補償制御を説明するための第1の説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示装置における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧の補償制御を説明するための第2の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る表示装置における各画素が備える駆動トランジスタの閾値電圧の補償制御を説明するための第3の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
100 表示装置
102 表示パネル
104 走査駆動部
106 データ駆動部
108 駆動電源供給部
110 共通電源供給部
112 表示制御部
130 補償回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流量に応じて自発光する発光素子と、前記発光素子と接続され前記発光素子を発光させるための発光電流の前記発光素子への印加を制御するトランジスタとを備える画素回路を有する画素をマトリクス状に備え、入力された映像信号に基づく映像を表示画面に表示する映像表示部と、
伝達される制御信号に応じて、第1レベルの接地電圧、または前記第1レベルより信号レベルが高い第2レベルの接地電圧を前記画素それぞれに選択的に供給する共通電源供給部と、
前記接地電圧の信号レベルを選択的に切り替えるための前記制御信号を前記共通電源供給部に伝達する表示制御部と、
を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記画素が備える前記発光素子を発光させる発光期間には、前記第1レベルの接地電圧を供給させるための第1の制御信号を伝達し、
前記発光素子を発光させない非発光期間には、前記第2レベルの接地電圧を供給させるための第2の制御信号を伝達することを特徴とする、表示装置。
【請求項3】
前記共通電源供給部は、前記表示制御部から前記第1の制御信号が伝達された場合には、前記第1レベルの接地電圧を出力し、前記表示制御部から前記第2の制御信号が伝達された場合には、前記第2レベルの接地電圧を出力する補償回路を備えることを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−38979(P2010−38979A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198644(P2008−198644)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】