表示装置
【課題】 有機EL表示装置の高輝度化や高精細化を容易にする。
【解決手段】 赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する画素がマトリクス状に配置された表示装置であって、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および発光層を有し、かつ、前記第1の電極と前記発光層とは、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層の開口部で接続しており、それぞれの前記サブ画素における前記開口部の面積は概ね等しく、第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、あらかじめ定められた順番で繰り返し並んでおり、かつ、前記第1の方向で隣接する2つの前記サブ画素の前記開口部の間隙の寸法が2通り以上である表示装置。
【解決手段】 赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する画素がマトリクス状に配置された表示装置であって、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および発光層を有し、かつ、前記第1の電極と前記発光層とは、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層の開口部で接続しており、それぞれの前記サブ画素における前記開口部の面積は概ね等しく、第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、あらかじめ定められた順番で繰り返し並んでおり、かつ、前記第1の方向で隣接する2つの前記サブ画素の前記開口部の間隙の寸法が2通り以上である表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、有機EL(エレクトロルミネセンス)材料でなる発光層を有する有機EL表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、映像や画像を表示するアクティブマトリクス方式の表示装置には、たとえば、有機EL材料でなる発光層を有する有機EL表示装置がある。有機EL表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示パネルを有し、それぞれの画素は、たとえば、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する。このとき、表示パネルの第1の方向(たとえば、水平方向)には、たとえば、第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでいる。
【0003】
第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間に介在する発光層を有する。このとき、第1の電極は、サブ画素毎に独立した電極であり、第2の電極は、複数のサブ画素で共有している電極である。またこのとき、それぞれのサブ画素における第1の電極と発光層とは、たとえば、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層(バンク層と呼ぶこともある)の開口部で接続している。
【0004】
有機EL表示装置の表示パネルを製造するときには、まず、たとえば、ガラス基板などの第1の絶縁基板の表面に、走査信号線、映像信号線、TFT素子などを形成する。
【0005】
次に、TFT素子のソースまたはドレインに接続される第1の電極を形成し、その上に、第1の電極のうちのあらかじめ定められた領域が露出する開口部を有する絶縁層(バンク層)を形成する。
【0006】
次に、たとえば、第1のサブ画素の発光層、第2のサブ画素の発光層、および第3のサブ画素の発光層を順次形成する。このとき、それぞれのサブ画素の発光層は、一般に、シャドウマスク(蒸着マスクと呼ぶこともある)を用いた蒸着法で形成する(たとえば、特許文献1を参照。)。
【0007】
次に、複数のサブ画素で共有する第2の電極、および保護膜を形成する。
【0008】
そして最後に、保護膜の上に第2の絶縁基板を貼り付ける。
【0009】
なお、有機EL表示装置の表示パネルの詳細な製造手順は、たとえば、回路構成や発光層が発した光の出射方向などによって異なるが、概ね上記のような手順で製造される。
【特許文献1】特開2004−185832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
有機EL表示装置の表示パネルの製造方法において、それぞれのサブ画素の発光層を形成するときには、通常、上記のようにシャドウマスク(蒸着マスク)を用いた蒸着法で形成する。すなわち、第1のサブ画素の発光層を形成するときには、当該発光層を形成する面(バンク層)の上に、第1のサブ画素の発光層を配置する領域のみが開口したシャドウマスクを設置し、加熱して蒸発させた蒸着材料を固着させる。また、第2のサブ画素の発光層を形成するときには、当該発光層を形成する面(バンク層)の上に、第2のサブ画素の発光層を配置する領域のみが開口したシャドウマスクを設置し、加熱して蒸発させた蒸着材料を固着させる。また、第3のサブ画素の発光層を形成するときには、当該発光層を形成する面(バンク層)の上に、第3のサブ画素の発光層を配置する領域のみが開口したシャドウマスクを設置し、加熱して蒸発させた蒸着材料を固着させる。
【0011】
ところで、発光層を蒸着法で形成する場合、蒸着源の加熱にともない、発光層を形成する第1の絶縁基板およびシャドウマスクの温度が上昇し、第1の絶縁基板およびシャドウマスクが膨張する。また、第1の絶縁基板は、一般にガラス基板であり、シャドウマスクは、一般にニッケル−コバルト合金などで形成されている。また、シャドウマスクは、通常、発光層を形成する面とあらかじめ定められた間隔を保持するように配置されている。したがって、発光層を形成する工程では、第1の絶縁基板の熱膨張量とシャドウマスクの熱膨張量とに差が生じ、発光層が形成される領域が、設計時に定めた領域よりも広くなってしまう。
【0012】
このとき、第1のサブ画素の発光層が、設計時に定めた領域の外側にはみ出してしまい、隣接する第2のサブ画素の発光層または第3のサブ画素の発光層と接触してしまうと、たとえば、当該サブ画素を有する画素の表示に異常が生じるなどの問題が発生する。
【0013】
そのため、従来の有機EL表示装置の表示パネルでは、たとえば、隣接する2つのサブ画素におけるバンク層の開口部の間隙の寸法を広くし、それぞれのサブ画素の発光層が接触しないようにしている。
【0014】
しかしながら、たとえば、表示領域において1つの画素が占有する領域の面積(すなわち画素のサイズ)を変えずに、隣接する2つのサブ画素におけるバンク層の開口部の間隙の寸法を広くすると、バンク層の開口部の面積が狭くなり、それぞれのサブ画素における発光領域の面積が狭くなる。そのため、従来の有機EL表示装置では、たとえば、高輝度化や高精細化が難しいという問題があった。
【0015】
本発明の目的は、たとえば、有機EL表示装置の高輝度化や高精細化が可能な技術を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
【0018】
(1)複数の画素がマトリクス状に配置された表示パネルを有し、それぞれの前記画素は、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する表示装置であって、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する発光層を有し、かつ、前記第1の電極と前記発光層とは、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層の開口部で接続しており、それぞれの前記サブ画素の前記開口部の面積は概ね等しく、前記表示パネルの第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、あらかじめ定められた順番で繰り返し並んでおり、かつ、前記第1の方向で隣接する2つの前記サブ画素の前記開口部の間隙の寸法が2通り以上である表示装置。
【0019】
(2)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとし、隣接する前記第2のサブ画素と前記第3のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDGBとし、隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとしたときに、それぞれの前記間隙の寸法DRG,DGB,DBRの関係が下記数式1乃至数式4のいずれかの関係である表示装置。
DRG≠DGB≠DBR ・・・(数式1)
DRG=DGB≠DBR ・・・(数式2)
DRG≠DGB=DBR ・・・(数式3)
DRG=DBR≠DBR ・・・(数式4)
【0020】
(3)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係は、DBR<DRGの関係、またはDBR>DRGの関係のいずれか一方のみである表示装置。
【0021】
(4)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係には、DBR<DRGの関係である場合と、DBR>DRGの関係である場合とがある表示装置。
【0022】
(5)前記(1)の表示装置において、前記発光層は、有機エレクトロルミネセンス材料でなる表示装置。
【0023】
(6)前記(1)の表示装置において、前記第2の電極は、複数の前記サブ画素で共有している表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明の表示装置によれば、有機EL表示装置の高輝度化や高精細化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1(a)乃至図1(d)は、本発明に関わる有機EL表示装置の一構成例を示す模式図である。
図1(a)は、本発明に関わる有機EL表示装置の概略構成の一例を示す模式図である。図1(b)は、有機EL表示装置の表示領域の概略構成の一例を示す模式図である。図1(c)は、1つのサブ画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図1(d)は、図1(c)のA−A’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。
【0027】
本発明は、たとえば、アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置(以下、単に有機EL表示装置という。)に適用される。有機EL表示装置は、たとえば、図1(a)に示すように、複数本の走査信号線101および複数本の映像信号線102を有する表示パネル1、第1の駆動回路2、第2の駆動回路3、および制御回路4を有する。
【0028】
表示パネル1の表示領域DAは、複数の画素がマトリクス状に配置されており、それぞれの画素は、たとえば、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する。このとき、それぞれのサブ画素は、第1の電極、第2の電極、およびそれらの電極の間に介在する発光層(有機EL層)とを有する。第1のサブ画素は、たとえば、ピーク波長が650μm付近の赤色系の光を発する第1の発光層を有する。第2のサブ画素は、たとえば、ピーク波長が550μm付近の緑色系の光を発する第2の発光層を有する。第3のサブ画素は、たとえば、ピーク波長が400μm付近の青色系の光を発する第3の発光層を有する。
【0029】
またこのとき、表示パネル1の表示領域DAは、たとえば、図1(b)に示すように、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bが規則的(周期的)に配置されている。一般的な有機EL表示装置の場合、表示領域DAの第1の方向(+x方向)には、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bがこの順番で繰り返し並んでおり、1つの画素104は、第1の方向で連続する第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bを有する。
【0030】
また、一般的な有機EL表示装置の場合、表示領域DAの第2の方向(y方向)には、同じ系統の色の光を発する発光層が繰り返し並んでいる。
【0031】
表示パネル1は、一般に、第1の基板と第2の基板の2枚の基板を貼り合わせた構成になっており、第1の基板と第2の基板との間には、たとえば、走査信号線101、映像信号線102、および各サブ画素などが配置されている。このとき、図1(b)に示した第2のサブ画素104Gは、たとえば、図1(c)および図1(d)に示すように、第1の基板100の上に配置された第1の電極105、第2の電極106、および第2の発光層103Gを有する。なお、図1(d)の断面図では、第2の電極106の上に配置される保護膜や第2の基板を省略している。
【0032】
またこのとき、第1の基板100と第1の電極105との間には、たとえば、走査信号線101、映像信号線102、TFT素子などが配置されており、TFT素子の半導体層107、第1の絶縁層108、TFT素子のゲート電極109、第2の絶縁層110、TFT素子のソース電極111およびドレイン電極112、第3の絶縁層113などが形成されている。そして、第1の電極105は、第3の絶縁層113に設けられた開口部CH1によりソース電極111に接続している。
【0033】
また、第3の絶縁層113の上には、第1の電極105の一部分と重なる位置に開口部CH2を有する第4の絶縁層114(バンク層)が形成されている。このとき、第2の発光層103Gが第1の電極105および第2の電極106の両方と接触しているのは、開口部CH2の第1の電極105側の開口端と重なる領域のみであり、当該領域が発光領域となる。
【0034】
また、トップエミッション型の有機EL表示装置の場合は、第3の絶縁層113と第1の電極105との間に反射層115が配置されている。
【0035】
また、第1のサブ画素および第3のサブ画素は、それぞれ、第2のサブ画素104Gと同じ構成であり、第2の発光層103Gが第1の発光層103Rまたは第3の発光層103Bに変わるだけである。
【0036】
なお、図1(c)および図1(d)に示したサブ画素の構成は、本発明が適用可能な有機EL表示装置におけるサブ画素の概略構成の一例である。本発明は、たとえば、図1(c)および図1(d)に示したサブ画素の構成のうちの、反射層115、第1の電極105、第4の絶縁層114の開口部CH2、および発光層103R,103G,103Bの配置方法に関するものである。したがって、本発明が適用可能な有機EL表示装置では、たとえば、第1の基板100と第3の絶縁層113との間の構成が適宜変更可能である。そのため、本明細書では、第1の基板100と第3の絶縁層113との間の構成および製造方法に関する詳細な説明は省略する。
【0037】
図1(c)および図1(d)に示したような構成のサブ画素を有する表示パネルを製造するときには、まず、ガラス基板などの第1の基板100の表面に、走査信号線101、映像信号線102、半導体層107、第1の絶縁層108、ゲート電極109、第2の絶縁層110、ソース電極111およびドレイン電極112、開口部CH1を有する第3の絶縁層113などを、所定の手順で形成する。
【0038】
次に、第3の絶縁層113の上に、反射層115および第1の電極105を形成する。反射層115は、たとえば、アルミニウムなどの光反射率が高い金属膜をエッチングして形成する。第1の電極105は、たとえば、IZOまたはITOなどの透明な導電膜をエッチングして形成する。
【0039】
次に、開口部CH2を有する第4の絶縁層114を形成する。第4の絶縁層114は、一般にバンク層と呼ばれている絶縁層であり、たとえば、SiNなどからなる絶縁膜を形成(成膜)した後、当該絶縁膜をエッチングして開口部CH2を形成する。
【0040】
次に、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bを、所定の順番で形成する。第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bは、それぞれ、シャドウマスク(蒸着マスク)を用いた蒸着法で形成する。
【0041】
次に、第2の電極106を形成する。第2の電極106は、たとえば、IZOまたはITOなどの透明な導電膜を成膜して形成する。
【0042】
その後、たとえば、保護膜を形成し、ガラス基板などの第2の基板を張り合わせることで、図1(c)および図1(d)に示したような構成のサブ画素を有する表示パネルが得られる。
【0043】
図2は、従来の有機EL表示装置におけるサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【0044】
従来の有機EL表示装置の表示パネル1におけるサブ画素の配置、言い換えると第4の絶縁層114の開口部CH2および発光層103R,103G,103Bの配置は、たとえば、図2に示すような配置になっている。
【0045】
第4の絶縁層114の開口部CH2は、それぞれ、たとえば、x方向の寸法がLX、y方向の寸法がLYの概略長方形の開口端を有する。このとき、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隔PXRG,PXGB,PXBRは、通常、同じ値に設定されており、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRが同じ値になっている。
【0046】
なお、間隔PXRGは、第1の発光層103Rを配置する開口部CH2と第2の発光層103Gを配置する開口部CH2との間隔である。また、間隔PXGBは、第2の発光層103Gを配置する開口部CH2と第3の発光層103Bを配置する開口部CH2との間隔である。また、間隔PXBRは、第3の発光層103Bを配置する開口部CH2と第1の発光層103Rを配置する開口部CH2との間隔である。
また、間隙DRGは、第1の発光層103Rを配置する開口部CH2と第2の発光層103Gを配置する開口部CH2との間隙である。また、間隙DGBは、第2の発光層103Gを配置する開口部CH2と第3の発光層103Bを配置する開口部CH2との間隙である。また、間隙DBRは、第3の発光層103Bを配置する開口部CH2と第1の発光層103Rを配置する開口部CH2との間隙である。
【0047】
またこのとき、発光層103R,103G,103Bは、それぞれ、たとえば、x方向の寸法がOEX、y方向の寸法がOEYの概略長方形である。発光層103R,103G,103Bは、通常、上記のようにシャドウマスクを用いた蒸着法で形成する。そのため、発光層103R,103G,103Bは、蒸着尤度Mを考慮し、x方向の寸法OEXおよびy方向の寸法OEYを、それぞれ、OEX=LX+2・M、OEY=LY+2・Mに設定している。
【0048】
蒸着尤度Mは、たとえば、発光層103R,103G,103Bの形成位置や寸法にずれが生じたときの発光領域の減少を防ぐために設ける余剰部分の寸法であり、たとえば、下記の数式5により与えられる。
M=√(AA2+MA2+MS2) ・・・(数式5)
【0049】
なお、数式5において、AAは発光層を形成する第1の基板100とシャドウマスクとの位置合わせの精度、MAはシャドウマスクの設計精度、MSはシャドウマスクの開口部の寸法の精度である。
【0050】
またさらに、従来の有機EL表示装置では、たとえば、図2に示したように、x方向で隣接する2つの発光層の間に間隙UXを設ける場合がある。この場合、間隙DRG,DGB,DBRは、DRG=DGB=DBR=2・M+UXになる。なお、図2に示した例では、x方向で隣接する発光層の区別をしやすくするために、2つの発光層の間に間隙UXを設けた場合を示しているが、これに限らず、間隙UXが0μmであってもよいことはもちろんである。
【0051】
従来の発光層103R,103G,103Bを形成する工程における上記の3つの精度AA,MA,MSが、それぞれ、たとえば、AA=±5μm、MA=±5μm、MS=±3μmであるとすると、数式5から、蒸着尤度Mは約7.7μmとなる。したがって、数式5で与えられる蒸着尤度Mを考慮して発光層103R,103G,103Bを形成する場合、間隙DRG,DGB,DBRは、画素のピッチPXによらず、最低でも7.7×2=15.4μm必要になる。
【0052】
有機EL表示装置では、高輝度化のために、それぞれのサブ画素における発光領域をできるだけ広くすることが望ましい。そのため、従来の有機EL表示装置では、たとえば、発光層の間隙UXを0μmにし、2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを必要最小限の値(たとえば、DRG=DGB=DBR=2・M)にしていることが多い。
【0053】
図3(a)および図3(b)、図4(a)乃至図4(e)は、発光層の形成方法の一例とその問題点を説明するための模式図である。
図3(a)は、第1の発光層の形成を開始した直後の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。図3(b)は、第1の発光層の形成を終了する直前の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。
図4(a)は、第1の基板の熱膨張の様子の一例を示す模式図である。図4(b)は、図4(a)の領域H1に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。図4(c)は、図4(a)の領域H2に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。図4(d)は、図4(a)の領域H4に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。図4(e)は、図4(a)の領域H6に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
なお、図3(a)および図3(b)では、第1の基板100の上に形成されている半導体層107、第1の絶縁層108、第3の絶縁層113、反射層115、第1の電極105、第4の絶縁層114などを省略している。
また、図4(b)乃至図4(e)の各図において、開口部CH2を囲む破線は設計データにおける発光層103R,103G,103Bの形成領域を表している。また、図4(b)乃至図4(e)の各図において、開口部CH2の内部に示した矢印は、矢の向きで第1の基板100が熱膨張する際に膨張する方向を表し、長さで熱膨張の度合いを表している。
【0054】
有機EL表示装置の表示パネル1の製造方法において、発光層103R,103G,103Bを形成する工程は、第1の発光層103Rを形成する工程、第2の発光層103Gを形成する工程、および第3の発光層103Bを形成する工程を、あらかじめ定められた順序で行う。このとき、それぞれの発光層を形成する工程は、通常、シャドウマスクを用いた蒸着法で行われる。
【0055】
蒸着法で第1の発光層103Rを形成するときには、たとえば、図3(a)に示すように、第1の基板100の第1の発光層103Rを形成する面にシャドウマスク5を配置して行う。シャドウマスク5は、たとえば、36%Ni−Fe合金などの金属材料で形成されており、設計データにおける第1の発光層103Rの形成領域Qと対応する箇所に開口領域5Aを有する。このとき、シャドウマスク5は、たとえば、外周部が蒸着装置のフレームに固定されており、第1の基板100とあらかじめ定められた間隔で保持されている。そして、この状態で、第1の発光層103Rの材料である蒸着源6を加熱蒸発させ、蒸発した材料を第1の基板100側に導き、固着(堆積)させる。
【0056】
このとき、第1の発光層103Rの形成を開始した直後は、たとえば、図3(a)に示すように、形成領域Qとシャドウマスク5の開口領域5Aの位置が一致している。しかしながら、蒸着源6の加熱にともない蒸着装置内の温度が上昇するため、時間の経過とともに第1の基板100およびシャドウマスク5の温度が上昇し、徐々に膨張していく。
【0057】
第1の基板100とシャドウマスク5とは、異なる材料で形成されており、通常、熱膨張係数が異なる。第1の基板100がガラス基板の場合、その熱膨張係数は、たとえば、3.8×10−6ppm/℃程度である。一方、シャドウマスク5は、たとえば、36%Ni−Fe合金などで形成されており、その熱膨張係数は、たとえば、1.2×10−6ppm/℃である。
【0058】
そのため、第1の発光層103Rの形成を開始した直後は、設計データにおける第1の発光層103Rの形成領域Qとシャドウマスク5の開口領域5Aの位置が一致していても、第1の発光層103Rの形成が終了する直前には、たとえば、図3(b)に示すように、形成領域Qとシャドウマスク5の開口領域5Aの位置にずれが生じる。
【0059】
その結果、第1の基板100の上に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qの寸法よりも大きくなる。
【0060】
また、第2の発光層103Gを形成するとき、および第3の発光層103Bを形成するときにも、同様の現象が発生する。そのため、第1の基板100の上に形成された第2の発光層103Gおよび第3の発光層103Bは、設計データにおいて形成する領域の寸法よりも大きくなる。
【0061】
またこのとき、それぞれの発光層103R,103G,103Bは、形成領域Qに対して、第1の基板100が膨張する方向と反対の方向にはみ出す。
【0062】
表示パネル1に用いる基板を1枚ごとに個別に形成する場合、発光層103R,103G,103Bを形成する工程で1枚の第1の基板100を加熱すると、当該第1の基板100は、たとえば、図4(a)に示すように、第1の基板100の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0063】
このとき、第1の基板100のx方向への膨張は、x方向の中心を通る中心線DAC1を境に、中心線DAC1よりも左側の部分は−x方向に膨張し、右側の部分は+x方向に膨張する。また、第1の基板100のy方向への膨張は、y方向の中心を通る中心線DAC2を境に、中心線DAC2よりも上側の部分は+y方向に膨張し、下側の部分は−y方向に膨張する。
【0064】
すなわち、表示領域DAを中心線DAC1,DAC2で4分割した場合、左上の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、+x方向および−y方向にはみ出す。また、左下の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、+x方向および+y方向にはみ出す。また、右上の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、−x方向および−y方向にはみ出す。また、右下の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、−x方向および+y方向にはみ出す。
【0065】
またこのとき、第1の基板100のx方向への膨張の度合いは、x方向の中心を通る中心線DAC1から遠ざかるほど大きくなる。また、第1の基板100のy方向への膨張の度合いは、y方向の中心を通る中心線DAC2から遠ざかるほど大きくなる。
【0066】
図4(a)に示した第1の基板100の領域H1乃至領域H9のそれぞれに形成される第1の発光層103Rの平面形状の一例について、図4(b)乃至図4(e)を参照しながら説明する。
【0067】
第1の基板100のうちの、表示領域DAの中心付近にある領域H1は、中心線DAC1,DAC2の両方に近い領域であり、x方向およびy方向への熱膨張の度合いが小さい。そのため、設計データにおける発光層の形成領域と、シャドウマスク5の開口領域5Aとの、熱膨張による位置ずれの度合いが小さい。したがって、第1の基板100の領域H1に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域との関係は、たとえば、図4(b)に示すような関係になる。すなわち、領域H1に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのx方向へのはみ出し量Δxおよびy方向へのはみ出し量Δyがともに小さい。
【0068】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの上辺中央部にある領域H2は、x方向への熱膨張の度合いは小さく、+y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H2に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(c)に示すような関係になる。すなわち、領域H2に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのx方向へはみ出し量Δxが小さく、−y方向へのはみ出し量Δyが大きい。
【0069】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの下辺中央部にある領域H3は、x方向への熱膨張の度合いは小さく、−y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H3に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(c)を上下反転させたような関係になる。すなわち、領域H3に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのx方向へのはみ出し量Δxが小さく、+y方向へのはみ出し量Δyが大きい。
【0070】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの左辺中央部にある領域H4は、y方向への熱膨張の度合いは小さく、−x方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H4に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(d)に示すような関係になる。すなわち、領域H4に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのy方向へのはみ出し量Δyが小さく、+x方向へのはみ出し量Δxが大きい。
【0071】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの右辺中央部にある領域H5は、y方向への熱膨張の度合いは小さく、+x方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H5に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(d)を左右反転させたような関係になる。すなわち、領域H5に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのy方向へのはみ出し量Δyが小さく、−x方向へのはみ出し量Δxが大きい。
【0072】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの左上角部にある領域H6は、−x方向および+y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H6に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)に示すような関係になる。すなわち、領域H6に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの+x方向へのはみ出し量Δxおよび−y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0073】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの左下角部にある領域H7は、−x方向および−y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H7に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)を上下反転させたような関係になる。すなわち、領域H7に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの+x方向へのはみ出し量Δxおよび+y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0074】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの右上角部にある領域H8は、+x方向および+y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H8に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)を左右反転させたような関係になる。すなわち、領域H8に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの−x方向へのはみ出し量Δxおよび−y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0075】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの右下角部にある領域H9は、+x方向および−y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H9に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)を180℃回転させたような関係になる。すなわち、領域H9に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの−x方向へのはみ出し量Δxおよび+y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0076】
また、図を参照した説明は省略するが、第1の基板100の領域H1乃至H9の各領域に形成された第2の発光層103Gの平面形状と設計データにおける形成領域との関係、および第3の発光層103Bの平面形状と設計データにおける形成領域との関係は、それぞれ、第1の発光層103Rの平面形状と設計データにおける形成領域Qとの関係と同様の関係になる。
【0077】
ところで、第1の基板100の表示領域DAに形成される多数個の第1の発光層103Rにおいて、x方向へのはみ出し量Δxおよびy方向へのはみ出し量Δyが最も大きくなるのは、第1の基板100の膨張中心からの距離が最も遠い第1の発光層103R、すなわち表示領域DAの角部に形成される第1の発光層103Rである。
【0078】
このとき、x方向のはみ出し量Δxの最大値Δxmax、およびy方向のはみ出し量Δyの最大値Δymaxは、たとえば、第1の基板100の材料(熱膨張係数)とシャドウマスク5の材料(熱膨張係数)との組み合わせ、発光層103R,103G,103Bの形成条件(蒸着源の加熱温度および蒸着時間)、第1の基板100の大きさ(表示領域DAの面積)などによって異なる。
【0079】
熱膨張係数が3.8×10−6ppm/℃である第1の基板100(ガラス基板)と、熱膨張係数が1.2×10−6ppm/℃であるシャドウマスク5とを用いて、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bのそれぞれを形成するときの形成条件およびはみ出し量Δxの最大値Δxmaxの一例を、下記の表に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
なお、上記の表において、ELRは第1の発光層103Rとして用いる有機EL材料、ELGは第2の発光層103Gとして用いる有機EL材料、ELBは第3の発光層103Bとして用いる有機EL材料である。また、上記の表において、STEはそれぞれの有機EL材料でなる蒸着源の加熱温度、STIは蒸着時間、ΔTSは蒸着開始時と終了時での第1の基板100の温度差、Δxmaxは発光層のx方向へのはみ出し量Δxの最大値である。また、上記の表における発光層のはみ出し量Δxの最大値Δxmaxは、たとえば、図4(a)に示した表示領域DAの対角の寸法が50cmである場合の、表示領域DAの角部(たとえば、領域H7)に形成される発光層のx方向へのはみ出し量Δxの最大値である。
【0082】
しかしながら、従来の有機EL表示装置におけるx方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRは、たとえば、上記の数式5で与えられる蒸着尤度Mに基づいて、DRG=DGB=DBR=2・M(μm)になるようにしている。そのため、第1の基板100とシャドウマスク5との熱膨張係数の差による発光層のx方向へのはみ出し量Δxmaxが大きいと、たとえば、第1の発光層103Rが、隣のサブ画素(第2の発光層103Gを有する第2のサブ画素)の開口部CH2にかかって第2のサブ画素の発光色に異常を来すなどの問題が生じやすくなり、表示パネルの製造歩留まりの低下が懸念される。
【0083】
上記のような熱膨張による発光層のはみ出し量Δxに起因する問題を解決する方法としては、たとえば、間隙DRG,DGB,DBRをDRG=DGB=DBR=2・M+UX(μm)にし、発光層の間隙UXを大きくするという方法が考えられる。しかしながら、発光層の間隙UXを大きくすると、非発光領域が増える分、開口部CH2の面積が狭くなり、有機EL表示装置の輝度出力の低下および消費電力の増加が懸念される。
【実施例1】
【0084】
図5(a)乃至図5(c)は、本発明による実施例1の有機EL表示装置におけるサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
図5(a)は、実施例1の有機EL表示装置における表示領域の左下角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。図5(b)は、実施例1の有機EL表示装置における表示領域の右上角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。図5(c)は、実施例1の有機EL表示装置における表示領域の中心部分のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【0085】
有機EL表示装置の表示パネル1を1枚ごとに個別に製造する場合、第1の基板100に形成される発光層103R,103G,103Bは、それぞれ、設計データにおける形成領域から、表示領域DAの中心(膨張中心)に向かう方向にはみ出す。このとき、x方向へのはみ出し量Δxが最も大きくなるのは、表示領域DAの左辺および右辺に沿って形成される発光層103R,103G,103Bである。またこのとき、表示領域DAの左辺に沿って形成される発光層103R,103G,103Bは、設計データにおける形成領域から+x方向へのはみ出し量Δxが大きく、−x方向へのはみ出し量はほぼ0μmである。一方、表示領域DAの右辺に沿って形成される発光層103R,103G,103Bは、設計データにおける形成領域から−x方向へのはみ出し量Δxが大きく、+x方向へのはみ出し量はほぼ0μmである。
【0086】
したがって、熱膨張による発光層のはみ出し量Δxを考慮してx方向で隣接する2つの発光層の間隙DRG,DGB,DBRを設定する場合、数式5で与えられる蒸着尤度Mと、2つの発光層のうちの一方の発光層におけるx方向へのはみ出し量Δxを考慮して設定すれば、非発光領域の増加量を最小限に抑えられることを、本願発明者らは見出した。
【0087】
すなわち、実施例1の有機EL表示装置では、図4(a)に示した領域H7におけるサブ画素の配置、言い換えると第4の絶縁層114の開口部CH2および発光層103R,103G,103Bを、たとえば、図5(a)に示すような配置にする。なお、実施例1の有機EL表示装置では、すべての開口部CH2の面積(開口端の寸法)を等しくする。また、図5(a)に示した例における発光層103R,103G,103Bは、従来の製造方法と同様に、数式5で与えられる蒸着尤度Mに基づいた寸法の開口領域5Aを有するシャドウマスク5を用いて形成しており、第1の基板100およびシャドウマスク5の熱膨張の影響がなければ、破線で示した概略長方形の形成領域Qに形成される。
【0088】
表示パネル1を1枚ごとに個別に製造する場合、たとえば、表示領域DAの左下角部にある領域H7に形成される発光層103R,103G,103Bは、前述のように、+x方向および+y方向にはみ出す。そのため、第1の発光層103Rと第2の発光層103Gの間隙DRGは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第1の発光層103Rのx方向のはみ出し量ΔxRmaxに基づき、DRG=2・M+UX+ΔxRmaxにする。
【0089】
また、第2の発光層103Gと第3の発光層103Bの間隙DGBは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第2の発光層103Gのx方向のはみ出し量ΔxGmaxに基づき、DGB=2・M+UX+ΔxGmaxにする。同様に、第3の発光層103Bと第1の発光層103Rの間隙DBRは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第3の発光層103Bのx方向のはみ出し量ΔxBmaxに基づき、DBR=2・M+UX+ΔxBmaxにする。
【0090】
このとき、発光層103R,103G,103Bのx方向のはみ出し量ΔxRmax,ΔxGmax,ΔxBmaxが、それぞれ、上記の表に示したような関係(ΔxRmax>ΔxGmax>ΔxBmax)であれば、間隙DRG,DGB,DBRの関係は、DRG>DGB>DBRになる。またこのとき、それぞれの開口部CH2の寸法(面積)を等しくするのであれば、隣接する2つの開口部CH2の間隔PXRG,PXGB,PXBRの関係は、PXRG>PXGB>PXBRになる。
【0091】
また、図は省略するが、実施例1の有機EL表示装置では、表示領域DAの左下角部の領域H7だけに限らず、図4(a)に示した表示領域DAのうちの、中心線DSC1よりも左側の領域におけるサブ画素の配置、言い換えると開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを、すべてDRG=2・M+UX+ΔxRmax,DGB=2・M+UX+ΔxGmax,DBR=2・M+UX+ΔxBmaxにする。
【0092】
一方、実施例1の有機EL表示装置では、図4(a)に示した領域H8におけるサブ画素の配置、言い換えると第4の絶縁層114の開口部CH2および発光層103R,103G,103Bを、たとえば、図5(b)に示すような配置にする。なお、図5(b)に示した例における発光層103R,103G,103Bは、従来の製造方法と同様に、数式5で与えられる蒸着尤度Mに基づいた寸法の開口領域5Aを有するシャドウマスク5を用いて形成しており、第1の基板100およびシャドウマスク5の熱膨張の影響がなければ、破線で示した概略長方形の形成領域に形成される。
【0093】
表示パネル1を1枚ごとに個別に製造する場合、たとえば、表示領域DAの右上角部にある領域H8に形成される発光層103R,103G,103Bは、前述のように、−x方向および−y方向にはみ出す。そのため、第1の発光層103Rと第2の発光層103Gの間隙DRGは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第2の発光層103Gのx方向のはみ出し量ΔxGmaxに基づき、DRG=2・M+UX+ΔxGmaxにする。
【0094】
また、第2の発光層103Gと第3の発光層103Bの間隙DGBは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第3の発光層103Bのx方向のはみ出し量ΔxBmaxに基づき、DGB=2・M+UX+ΔxBmaxにする。同様に、第3の発光層103Bと第1の発光層103Rの間隙DBRは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第1の発光層103Rのx方向のはみ出し量ΔxRmaxに基づき、DBR=2・M+UX+ΔxRmaxにする。
【0095】
このとき、発光層103R,103G,103Bのx方向のはみ出し量ΔxRmax,ΔxGmax,ΔxBmaxが、それぞれ、上記の表に示したような関係(ΔxRmax>ΔxGmax>ΔxBmax)であれば、間隙DRG,DGB,DBRの関係は、DBR>DRG>DGBになる。
【0096】
また、実施例1の有機EL表示装置では、すべての開口部CH2の面積(開口端の寸法)を等しくするので、隣接する2つの開口部CH2の間隔PXRG,PXGB,PXBRの関係は、PXBR>PXRG>PXGBになる。
【0097】
また、図は省略するが、実施例1の有機EL表示装置では、表示領域DAの右上角部の領域H8だけに限らず、図4(a)に示した表示領域DAのうちの、中心線DAC1よりも右側の領域におけるサブ画素の配置、言い換えると開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを、すべてDRG=2・M+UX+ΔxGmax,DGB=2・M+UX+ΔxBmax,DBR=2・M+UX+ΔxRmaxにする。
【0098】
またこのとき、中心線DAC1を挟んで隣接する2つの画素のサブ画素の配置は、たとえば、図5(c)に示すようになる。このとき、中心線DAC1の左側にある画素と右側にある画素では、上記のように、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRの設定方法が異なるが、値が入れ替わるだけある。したがって、1つの画素のピッチPXの値は変わるものの中心線DAC1を基準にした画素のx方向の寸法PLXは同じ値になる。
【0099】
このように、第1の基板100の熱膨張により発光層がはみ出す方向とはみ出し量の最大値に基づいて、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを設定すると、たとえば、第1の発光層103Rが、隣のサブ画素(第2の発光層103Gを有する第2のサブ画素)の開口部CH2にかかる確率を低くすることができ、発光色の異常などによる製造歩留まりの低下を抑えることができる。
【0100】
また、第1の基板100の熱膨張により発光層がはみ出す方向とはみ出し量の最大値に基づいて、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを設定すると、非発光領域の増加を抑えることができるので、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。
【0101】
また、以上のようなことから、実施例1の有機EL表示装置は、従来の有機EL表示装置に比べて、高輝度化や高精細化が容易であると言える。
【0102】
なお、実施例1では、発光層103R,103G,103Bのはみ出し量の最大値Δxmaxの値および関係が、上記の表に示したような関係になっている場合を例に挙げている。しかしながら、発光層103R,103G,103Bの形成に用いる材料の組み合わせや、形成条件が変われば、はみ出し量の最大値Δxmaxの値の関係が変わる。また、はみ出し量の最大値Δxは、たとえば、表示領域DAの大きさによっても変わる。したがって、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRの値や大小関係は、発光層103R,103G,103Bの形成に用いる材料の組み合わせや表示領域DAの大きさによって適宜変更可能である。
【0103】
すなわち、実施例1で説明したサブ画素の配置方法を適用した有機EL表示装置では、すべての開口部CH2の面積(開口端の寸法)が等しく、かつ、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙が2通り以上であればよく、具体的には、DRG,DGB,DBRの関係が、下記数式1乃至数式4のいずれかの関係であればよい。
DRG≠DGB≠DBR ・・・(数式1)
DRG=DGB≠DBR ・・・(数式2)
DRG≠DGB=DBR ・・・(数式3)
DRG=DBR≠DBR ・・・(数式4)
【0104】
ところで、有機EL表示装置は、近年、たとえば、テレビやパーソナルコンピュータ用のディスプレイなどへの適用を想定した大型化(大画面化)が進んでいる。そのような大画面の有機EL表示装置に用いる表示パネル1を製造するときには、表示領域の外周部に形成される発光層103R,103G,103Bのはみ出し量Δx(Δxmax)が大きくなる。そのため、実施例1で説明したようなサブ画素の配置方法は、たとえば、大画面の有機EL表示装置の実用化にも大きく寄与すると考えられる。
【0105】
また、実施例1では、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRの設定方法を例に挙げているが、これに限らず、y方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙についても実施例1で説明したような方法で設定することは可能である。
【実施例2】
【0106】
図6(a)乃至図6(d)は、本発明による実施例2のサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
図6(a)は、表示パネルを2面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。図6(b)は、表示パネルを4面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。図6(c)は、表示パネルを6面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。図6(d)は、表示パネルを32面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【0107】
実施例1では、有機EL表示装置の表示パネル1を1枚ずつ個別に製造する場合を例に挙げ、第1の基板100の熱膨張の仕方とサブ画素の配置方法について説明している。
【0108】
しかしながら、現在実用化されている有機EL表示装置は、たとえば、携帯電話端末などの携帯型電子機器のディスプレイとして用いられるものが多く、これらの有機EL表示装置に用いられる表示パネル1は、表示領域DAの対角の寸法が数インチから十数インチ程度である。
【0109】
このような小型の表示パネル1を製造するときには、たとえば、1枚の大面積のガラス基板(マザーガラス)を用いて複数枚の表示パネル1を一括して製造する多面取りと呼ばれる方法で製造するのが一般的である。
【0110】
1枚のマザーガラスを用いて2枚の表示パネル1を一括して製造する2面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(a)に示すように、1枚のマザーガラス7の2カ所の領域701,702のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、領域701の表示領域DAの第1の発光層103Rと、領域702の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0111】
このとき、マザーガラス7の領域701は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における上半分、すなわち中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域702は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における下半分、すなわち中心線DAC2よりも下側の部分と同様の熱膨張をする。
【0112】
そのため、領域701,702のサブ画素の配置に、実施例1で説明した配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、領域701,702のサブ画素の配置に、実施例1で説明した配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、領域701,702のサブ画素の配置に、実施例1で説明した配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0113】
1枚のマザーガラスを用いて4枚の表示パネル1を一括して製造する4面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(b)に示すように、1枚のマザーガラス7の4カ所の領域711〜714のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、それぞれの領域711〜714の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0114】
このとき、マザーガラス7の領域711は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも左側であり、かつ、中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域712は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも左側であり、かつ、中心線DAC2よりも下側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域713は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも右側であり、かつ、中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域714は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも右側であり、かつ、中心線DAC2よりも下側の部分と同様の熱膨張をする。
【0115】
そのため、領域711,712のサブ画素の配置に、図5(a)に示したような配置方法を適用し、領域713,714のサブ画素の配置に、図5(b)に示したような配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、領域711,712のサブ画素の配置に、図5(a)に示したような配置方法を適用し、領域713,714のサブ画素の配置に、図5(b)に示したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、領域711,712のサブ画素の配置に、図5(a)に示したような配置方法を適用し、領域713,714のサブ画素の配置に、図5(b)に示したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0116】
なお、マザーガラス7における領域711,712は、図4(a)に示した表示領域DAの左半分(中心線DAC1よりも左側)の領域に相当する。そのため、領域711,712に形成された表示パネル1は、たとえば、1枚の表示パネル1の全体における第1のサブ画素の開口部CH2と第2のサブ画素の開口部CH2との間隙DRGが、同じ関係になる。また、他の間隙DGB,DBRについても同様である。またさらに、マザーガラス7における領域713,714においても、1枚の表示パネル1の全体における間隙DRG,DGB,DBRは同じ関係になる。
【0117】
1枚のマザーガラス7を用いて6枚の表示パネル1を一括して製造する6面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(c)に示すように、1枚のマザーガラス7の6カ所の領域721〜726のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、それぞれの領域721〜726の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0118】
したがって、詳細な説明は省略するが、領域721〜726のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、領域721〜726のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、領域721〜726のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0119】
1枚のマザーガラス7を用いて32枚の表示パネル1を一括して製造する32面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(c)に示すように、1枚のマザーガラス7の32カ所の領域のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、それぞれの領域の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0120】
このとき、マザーガラス7の左上側に配置されている8カ所の領域(網掛けを付している領域)は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも左側であり、かつ、中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。そのため、この8カ所の領域を1つの領域と見なし、当該1つの領域のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、左上の8カ所の領域を1つの領域と見なし、当該1つの領域のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、左上の8カ所の領域を1つの領域と見なし、当該1つの領域のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0121】
また、繰り返しの説明は省略するが、残りの領域のサブ画素の配置についても同様に、実施例1で説明したような配置方法を適用することで、表示パネル1の製造歩留まりの低下、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。また、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0122】
また、実施例2では、2面取り、4面取り、6面取り、および32面取りの4通りの場合を例に挙げたが、表示パネル1を製造するときには、別の枚数を一括して製造する場合もある。その場合も、それぞれの領域における膨張の仕方(方向と度合い)に基づき、実施例1で説明した方法でサブ画素を配置することで、表示パネル1の製造歩留まりの低下、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。また、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0123】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1(a)】本発明に関わる有機EL表示装置の概略構成の一例を示す模式図である。
【図1(b)】有機EL表示装置の表示領域の概略構成の一例を示す模式図である。
【図1(c)】1つのサブ画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図1(d)】図1(c)のA−A’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。
【図2】従来の有機EL表示装置におけるサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図3(a)】第1の発光層の形成を開始した直後の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。
【図3(b)】第1の発光層の形成を終了する直前の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。
【図4(a)】第1の基板の熱膨張の様子の一例を示す模式図である。
【図4(b)】図4(a)の領域H1に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図4(c)】図4(a)の領域H2に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図4(d)】図4(a)の領域H4に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図4(e)】図4(a)の領域H6に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図5(a)】実施例1の有機EL表示装置における表示領域の左下角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図5(b)】実施例1の有機EL表示装置における表示領域の右上角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図5(c)】実施例1の有機EL表示装置における表示領域の中心部分のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図6(a)】表示パネルを2面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【図6(b)】表示パネルを4面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【図6(c)】表示パネルを6面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【図6(d)】表示パネルを32面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0125】
1…表示パネル
100…第1の基板
101…走査信号線
102…映像信号線
103R…(第1の)発光層
103G…(第2の)発光層
103B…(第3の)発光層
105…第1の電極
106…第2の電極
107…半導体層
108…第1の絶縁層
109…ゲート電極
110…第2の絶縁層
111…ソース電極
112…ドレイン電極
113…第3の絶縁層
114…第4の絶縁層
115…反射層
2…第1の駆動回路
3…第2の駆動回路
4…制御回路
5…シャドウマスク
6…蒸着源
7…マザーガラス
CH1,CH2…開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、有機EL(エレクトロルミネセンス)材料でなる発光層を有する有機EL表示装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、映像や画像を表示するアクティブマトリクス方式の表示装置には、たとえば、有機EL材料でなる発光層を有する有機EL表示装置がある。有機EL表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示パネルを有し、それぞれの画素は、たとえば、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する。このとき、表示パネルの第1の方向(たとえば、水平方向)には、たとえば、第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでいる。
【0003】
第1のサブ画素、第2のサブ画素、および第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間に介在する発光層を有する。このとき、第1の電極は、サブ画素毎に独立した電極であり、第2の電極は、複数のサブ画素で共有している電極である。またこのとき、それぞれのサブ画素における第1の電極と発光層とは、たとえば、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層(バンク層と呼ぶこともある)の開口部で接続している。
【0004】
有機EL表示装置の表示パネルを製造するときには、まず、たとえば、ガラス基板などの第1の絶縁基板の表面に、走査信号線、映像信号線、TFT素子などを形成する。
【0005】
次に、TFT素子のソースまたはドレインに接続される第1の電極を形成し、その上に、第1の電極のうちのあらかじめ定められた領域が露出する開口部を有する絶縁層(バンク層)を形成する。
【0006】
次に、たとえば、第1のサブ画素の発光層、第2のサブ画素の発光層、および第3のサブ画素の発光層を順次形成する。このとき、それぞれのサブ画素の発光層は、一般に、シャドウマスク(蒸着マスクと呼ぶこともある)を用いた蒸着法で形成する(たとえば、特許文献1を参照。)。
【0007】
次に、複数のサブ画素で共有する第2の電極、および保護膜を形成する。
【0008】
そして最後に、保護膜の上に第2の絶縁基板を貼り付ける。
【0009】
なお、有機EL表示装置の表示パネルの詳細な製造手順は、たとえば、回路構成や発光層が発した光の出射方向などによって異なるが、概ね上記のような手順で製造される。
【特許文献1】特開2004−185832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
有機EL表示装置の表示パネルの製造方法において、それぞれのサブ画素の発光層を形成するときには、通常、上記のようにシャドウマスク(蒸着マスク)を用いた蒸着法で形成する。すなわち、第1のサブ画素の発光層を形成するときには、当該発光層を形成する面(バンク層)の上に、第1のサブ画素の発光層を配置する領域のみが開口したシャドウマスクを設置し、加熱して蒸発させた蒸着材料を固着させる。また、第2のサブ画素の発光層を形成するときには、当該発光層を形成する面(バンク層)の上に、第2のサブ画素の発光層を配置する領域のみが開口したシャドウマスクを設置し、加熱して蒸発させた蒸着材料を固着させる。また、第3のサブ画素の発光層を形成するときには、当該発光層を形成する面(バンク層)の上に、第3のサブ画素の発光層を配置する領域のみが開口したシャドウマスクを設置し、加熱して蒸発させた蒸着材料を固着させる。
【0011】
ところで、発光層を蒸着法で形成する場合、蒸着源の加熱にともない、発光層を形成する第1の絶縁基板およびシャドウマスクの温度が上昇し、第1の絶縁基板およびシャドウマスクが膨張する。また、第1の絶縁基板は、一般にガラス基板であり、シャドウマスクは、一般にニッケル−コバルト合金などで形成されている。また、シャドウマスクは、通常、発光層を形成する面とあらかじめ定められた間隔を保持するように配置されている。したがって、発光層を形成する工程では、第1の絶縁基板の熱膨張量とシャドウマスクの熱膨張量とに差が生じ、発光層が形成される領域が、設計時に定めた領域よりも広くなってしまう。
【0012】
このとき、第1のサブ画素の発光層が、設計時に定めた領域の外側にはみ出してしまい、隣接する第2のサブ画素の発光層または第3のサブ画素の発光層と接触してしまうと、たとえば、当該サブ画素を有する画素の表示に異常が生じるなどの問題が発生する。
【0013】
そのため、従来の有機EL表示装置の表示パネルでは、たとえば、隣接する2つのサブ画素におけるバンク層の開口部の間隙の寸法を広くし、それぞれのサブ画素の発光層が接触しないようにしている。
【0014】
しかしながら、たとえば、表示領域において1つの画素が占有する領域の面積(すなわち画素のサイズ)を変えずに、隣接する2つのサブ画素におけるバンク層の開口部の間隙の寸法を広くすると、バンク層の開口部の面積が狭くなり、それぞれのサブ画素における発光領域の面積が狭くなる。そのため、従来の有機EL表示装置では、たとえば、高輝度化や高精細化が難しいという問題があった。
【0015】
本発明の目的は、たとえば、有機EL表示装置の高輝度化や高精細化が可能な技術を提供することにある。
【0016】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、以下の通りである。
【0018】
(1)複数の画素がマトリクス状に配置された表示パネルを有し、それぞれの前記画素は、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する表示装置であって、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する発光層を有し、かつ、前記第1の電極と前記発光層とは、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層の開口部で接続しており、それぞれの前記サブ画素の前記開口部の面積は概ね等しく、前記表示パネルの第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、あらかじめ定められた順番で繰り返し並んでおり、かつ、前記第1の方向で隣接する2つの前記サブ画素の前記開口部の間隙の寸法が2通り以上である表示装置。
【0019】
(2)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとし、隣接する前記第2のサブ画素と前記第3のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDGBとし、隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとしたときに、それぞれの前記間隙の寸法DRG,DGB,DBRの関係が下記数式1乃至数式4のいずれかの関係である表示装置。
DRG≠DGB≠DBR ・・・(数式1)
DRG=DGB≠DBR ・・・(数式2)
DRG≠DGB=DBR ・・・(数式3)
DRG=DBR≠DBR ・・・(数式4)
【0020】
(3)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係は、DBR<DRGの関係、またはDBR>DRGの関係のいずれか一方のみである表示装置。
【0021】
(4)前記(1)の表示装置において、前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係には、DBR<DRGの関係である場合と、DBR>DRGの関係である場合とがある表示装置。
【0022】
(5)前記(1)の表示装置において、前記発光層は、有機エレクトロルミネセンス材料でなる表示装置。
【0023】
(6)前記(1)の表示装置において、前記第2の電極は、複数の前記サブ画素で共有している表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明の表示装置によれば、有機EL表示装置の高輝度化や高精細化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について、図面を参照して実施の形態(実施例)とともに詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1(a)乃至図1(d)は、本発明に関わる有機EL表示装置の一構成例を示す模式図である。
図1(a)は、本発明に関わる有機EL表示装置の概略構成の一例を示す模式図である。図1(b)は、有機EL表示装置の表示領域の概略構成の一例を示す模式図である。図1(c)は、1つのサブ画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。図1(d)は、図1(c)のA−A’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。
【0027】
本発明は、たとえば、アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置(以下、単に有機EL表示装置という。)に適用される。有機EL表示装置は、たとえば、図1(a)に示すように、複数本の走査信号線101および複数本の映像信号線102を有する表示パネル1、第1の駆動回路2、第2の駆動回路3、および制御回路4を有する。
【0028】
表示パネル1の表示領域DAは、複数の画素がマトリクス状に配置されており、それぞれの画素は、たとえば、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する。このとき、それぞれのサブ画素は、第1の電極、第2の電極、およびそれらの電極の間に介在する発光層(有機EL層)とを有する。第1のサブ画素は、たとえば、ピーク波長が650μm付近の赤色系の光を発する第1の発光層を有する。第2のサブ画素は、たとえば、ピーク波長が550μm付近の緑色系の光を発する第2の発光層を有する。第3のサブ画素は、たとえば、ピーク波長が400μm付近の青色系の光を発する第3の発光層を有する。
【0029】
またこのとき、表示パネル1の表示領域DAは、たとえば、図1(b)に示すように、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bが規則的(周期的)に配置されている。一般的な有機EL表示装置の場合、表示領域DAの第1の方向(+x方向)には、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bがこの順番で繰り返し並んでおり、1つの画素104は、第1の方向で連続する第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bを有する。
【0030】
また、一般的な有機EL表示装置の場合、表示領域DAの第2の方向(y方向)には、同じ系統の色の光を発する発光層が繰り返し並んでいる。
【0031】
表示パネル1は、一般に、第1の基板と第2の基板の2枚の基板を貼り合わせた構成になっており、第1の基板と第2の基板との間には、たとえば、走査信号線101、映像信号線102、および各サブ画素などが配置されている。このとき、図1(b)に示した第2のサブ画素104Gは、たとえば、図1(c)および図1(d)に示すように、第1の基板100の上に配置された第1の電極105、第2の電極106、および第2の発光層103Gを有する。なお、図1(d)の断面図では、第2の電極106の上に配置される保護膜や第2の基板を省略している。
【0032】
またこのとき、第1の基板100と第1の電極105との間には、たとえば、走査信号線101、映像信号線102、TFT素子などが配置されており、TFT素子の半導体層107、第1の絶縁層108、TFT素子のゲート電極109、第2の絶縁層110、TFT素子のソース電極111およびドレイン電極112、第3の絶縁層113などが形成されている。そして、第1の電極105は、第3の絶縁層113に設けられた開口部CH1によりソース電極111に接続している。
【0033】
また、第3の絶縁層113の上には、第1の電極105の一部分と重なる位置に開口部CH2を有する第4の絶縁層114(バンク層)が形成されている。このとき、第2の発光層103Gが第1の電極105および第2の電極106の両方と接触しているのは、開口部CH2の第1の電極105側の開口端と重なる領域のみであり、当該領域が発光領域となる。
【0034】
また、トップエミッション型の有機EL表示装置の場合は、第3の絶縁層113と第1の電極105との間に反射層115が配置されている。
【0035】
また、第1のサブ画素および第3のサブ画素は、それぞれ、第2のサブ画素104Gと同じ構成であり、第2の発光層103Gが第1の発光層103Rまたは第3の発光層103Bに変わるだけである。
【0036】
なお、図1(c)および図1(d)に示したサブ画素の構成は、本発明が適用可能な有機EL表示装置におけるサブ画素の概略構成の一例である。本発明は、たとえば、図1(c)および図1(d)に示したサブ画素の構成のうちの、反射層115、第1の電極105、第4の絶縁層114の開口部CH2、および発光層103R,103G,103Bの配置方法に関するものである。したがって、本発明が適用可能な有機EL表示装置では、たとえば、第1の基板100と第3の絶縁層113との間の構成が適宜変更可能である。そのため、本明細書では、第1の基板100と第3の絶縁層113との間の構成および製造方法に関する詳細な説明は省略する。
【0037】
図1(c)および図1(d)に示したような構成のサブ画素を有する表示パネルを製造するときには、まず、ガラス基板などの第1の基板100の表面に、走査信号線101、映像信号線102、半導体層107、第1の絶縁層108、ゲート電極109、第2の絶縁層110、ソース電極111およびドレイン電極112、開口部CH1を有する第3の絶縁層113などを、所定の手順で形成する。
【0038】
次に、第3の絶縁層113の上に、反射層115および第1の電極105を形成する。反射層115は、たとえば、アルミニウムなどの光反射率が高い金属膜をエッチングして形成する。第1の電極105は、たとえば、IZOまたはITOなどの透明な導電膜をエッチングして形成する。
【0039】
次に、開口部CH2を有する第4の絶縁層114を形成する。第4の絶縁層114は、一般にバンク層と呼ばれている絶縁層であり、たとえば、SiNなどからなる絶縁膜を形成(成膜)した後、当該絶縁膜をエッチングして開口部CH2を形成する。
【0040】
次に、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bを、所定の順番で形成する。第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bは、それぞれ、シャドウマスク(蒸着マスク)を用いた蒸着法で形成する。
【0041】
次に、第2の電極106を形成する。第2の電極106は、たとえば、IZOまたはITOなどの透明な導電膜を成膜して形成する。
【0042】
その後、たとえば、保護膜を形成し、ガラス基板などの第2の基板を張り合わせることで、図1(c)および図1(d)に示したような構成のサブ画素を有する表示パネルが得られる。
【0043】
図2は、従来の有機EL表示装置におけるサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【0044】
従来の有機EL表示装置の表示パネル1におけるサブ画素の配置、言い換えると第4の絶縁層114の開口部CH2および発光層103R,103G,103Bの配置は、たとえば、図2に示すような配置になっている。
【0045】
第4の絶縁層114の開口部CH2は、それぞれ、たとえば、x方向の寸法がLX、y方向の寸法がLYの概略長方形の開口端を有する。このとき、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隔PXRG,PXGB,PXBRは、通常、同じ値に設定されており、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRが同じ値になっている。
【0046】
なお、間隔PXRGは、第1の発光層103Rを配置する開口部CH2と第2の発光層103Gを配置する開口部CH2との間隔である。また、間隔PXGBは、第2の発光層103Gを配置する開口部CH2と第3の発光層103Bを配置する開口部CH2との間隔である。また、間隔PXBRは、第3の発光層103Bを配置する開口部CH2と第1の発光層103Rを配置する開口部CH2との間隔である。
また、間隙DRGは、第1の発光層103Rを配置する開口部CH2と第2の発光層103Gを配置する開口部CH2との間隙である。また、間隙DGBは、第2の発光層103Gを配置する開口部CH2と第3の発光層103Bを配置する開口部CH2との間隙である。また、間隙DBRは、第3の発光層103Bを配置する開口部CH2と第1の発光層103Rを配置する開口部CH2との間隙である。
【0047】
またこのとき、発光層103R,103G,103Bは、それぞれ、たとえば、x方向の寸法がOEX、y方向の寸法がOEYの概略長方形である。発光層103R,103G,103Bは、通常、上記のようにシャドウマスクを用いた蒸着法で形成する。そのため、発光層103R,103G,103Bは、蒸着尤度Mを考慮し、x方向の寸法OEXおよびy方向の寸法OEYを、それぞれ、OEX=LX+2・M、OEY=LY+2・Mに設定している。
【0048】
蒸着尤度Mは、たとえば、発光層103R,103G,103Bの形成位置や寸法にずれが生じたときの発光領域の減少を防ぐために設ける余剰部分の寸法であり、たとえば、下記の数式5により与えられる。
M=√(AA2+MA2+MS2) ・・・(数式5)
【0049】
なお、数式5において、AAは発光層を形成する第1の基板100とシャドウマスクとの位置合わせの精度、MAはシャドウマスクの設計精度、MSはシャドウマスクの開口部の寸法の精度である。
【0050】
またさらに、従来の有機EL表示装置では、たとえば、図2に示したように、x方向で隣接する2つの発光層の間に間隙UXを設ける場合がある。この場合、間隙DRG,DGB,DBRは、DRG=DGB=DBR=2・M+UXになる。なお、図2に示した例では、x方向で隣接する発光層の区別をしやすくするために、2つの発光層の間に間隙UXを設けた場合を示しているが、これに限らず、間隙UXが0μmであってもよいことはもちろんである。
【0051】
従来の発光層103R,103G,103Bを形成する工程における上記の3つの精度AA,MA,MSが、それぞれ、たとえば、AA=±5μm、MA=±5μm、MS=±3μmであるとすると、数式5から、蒸着尤度Mは約7.7μmとなる。したがって、数式5で与えられる蒸着尤度Mを考慮して発光層103R,103G,103Bを形成する場合、間隙DRG,DGB,DBRは、画素のピッチPXによらず、最低でも7.7×2=15.4μm必要になる。
【0052】
有機EL表示装置では、高輝度化のために、それぞれのサブ画素における発光領域をできるだけ広くすることが望ましい。そのため、従来の有機EL表示装置では、たとえば、発光層の間隙UXを0μmにし、2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを必要最小限の値(たとえば、DRG=DGB=DBR=2・M)にしていることが多い。
【0053】
図3(a)および図3(b)、図4(a)乃至図4(e)は、発光層の形成方法の一例とその問題点を説明するための模式図である。
図3(a)は、第1の発光層の形成を開始した直後の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。図3(b)は、第1の発光層の形成を終了する直前の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。
図4(a)は、第1の基板の熱膨張の様子の一例を示す模式図である。図4(b)は、図4(a)の領域H1に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。図4(c)は、図4(a)の領域H2に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。図4(d)は、図4(a)の領域H4に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。図4(e)は、図4(a)の領域H6に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
なお、図3(a)および図3(b)では、第1の基板100の上に形成されている半導体層107、第1の絶縁層108、第3の絶縁層113、反射層115、第1の電極105、第4の絶縁層114などを省略している。
また、図4(b)乃至図4(e)の各図において、開口部CH2を囲む破線は設計データにおける発光層103R,103G,103Bの形成領域を表している。また、図4(b)乃至図4(e)の各図において、開口部CH2の内部に示した矢印は、矢の向きで第1の基板100が熱膨張する際に膨張する方向を表し、長さで熱膨張の度合いを表している。
【0054】
有機EL表示装置の表示パネル1の製造方法において、発光層103R,103G,103Bを形成する工程は、第1の発光層103Rを形成する工程、第2の発光層103Gを形成する工程、および第3の発光層103Bを形成する工程を、あらかじめ定められた順序で行う。このとき、それぞれの発光層を形成する工程は、通常、シャドウマスクを用いた蒸着法で行われる。
【0055】
蒸着法で第1の発光層103Rを形成するときには、たとえば、図3(a)に示すように、第1の基板100の第1の発光層103Rを形成する面にシャドウマスク5を配置して行う。シャドウマスク5は、たとえば、36%Ni−Fe合金などの金属材料で形成されており、設計データにおける第1の発光層103Rの形成領域Qと対応する箇所に開口領域5Aを有する。このとき、シャドウマスク5は、たとえば、外周部が蒸着装置のフレームに固定されており、第1の基板100とあらかじめ定められた間隔で保持されている。そして、この状態で、第1の発光層103Rの材料である蒸着源6を加熱蒸発させ、蒸発した材料を第1の基板100側に導き、固着(堆積)させる。
【0056】
このとき、第1の発光層103Rの形成を開始した直後は、たとえば、図3(a)に示すように、形成領域Qとシャドウマスク5の開口領域5Aの位置が一致している。しかしながら、蒸着源6の加熱にともない蒸着装置内の温度が上昇するため、時間の経過とともに第1の基板100およびシャドウマスク5の温度が上昇し、徐々に膨張していく。
【0057】
第1の基板100とシャドウマスク5とは、異なる材料で形成されており、通常、熱膨張係数が異なる。第1の基板100がガラス基板の場合、その熱膨張係数は、たとえば、3.8×10−6ppm/℃程度である。一方、シャドウマスク5は、たとえば、36%Ni−Fe合金などで形成されており、その熱膨張係数は、たとえば、1.2×10−6ppm/℃である。
【0058】
そのため、第1の発光層103Rの形成を開始した直後は、設計データにおける第1の発光層103Rの形成領域Qとシャドウマスク5の開口領域5Aの位置が一致していても、第1の発光層103Rの形成が終了する直前には、たとえば、図3(b)に示すように、形成領域Qとシャドウマスク5の開口領域5Aの位置にずれが生じる。
【0059】
その結果、第1の基板100の上に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qの寸法よりも大きくなる。
【0060】
また、第2の発光層103Gを形成するとき、および第3の発光層103Bを形成するときにも、同様の現象が発生する。そのため、第1の基板100の上に形成された第2の発光層103Gおよび第3の発光層103Bは、設計データにおいて形成する領域の寸法よりも大きくなる。
【0061】
またこのとき、それぞれの発光層103R,103G,103Bは、形成領域Qに対して、第1の基板100が膨張する方向と反対の方向にはみ出す。
【0062】
表示パネル1に用いる基板を1枚ごとに個別に形成する場合、発光層103R,103G,103Bを形成する工程で1枚の第1の基板100を加熱すると、当該第1の基板100は、たとえば、図4(a)に示すように、第1の基板100の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0063】
このとき、第1の基板100のx方向への膨張は、x方向の中心を通る中心線DAC1を境に、中心線DAC1よりも左側の部分は−x方向に膨張し、右側の部分は+x方向に膨張する。また、第1の基板100のy方向への膨張は、y方向の中心を通る中心線DAC2を境に、中心線DAC2よりも上側の部分は+y方向に膨張し、下側の部分は−y方向に膨張する。
【0064】
すなわち、表示領域DAを中心線DAC1,DAC2で4分割した場合、左上の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、+x方向および−y方向にはみ出す。また、左下の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、+x方向および+y方向にはみ出す。また、右上の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、−x方向および−y方向にはみ出す。また、右下の領域に形成される発光層は、設計データにおける形成領域に対して、−x方向および+y方向にはみ出す。
【0065】
またこのとき、第1の基板100のx方向への膨張の度合いは、x方向の中心を通る中心線DAC1から遠ざかるほど大きくなる。また、第1の基板100のy方向への膨張の度合いは、y方向の中心を通る中心線DAC2から遠ざかるほど大きくなる。
【0066】
図4(a)に示した第1の基板100の領域H1乃至領域H9のそれぞれに形成される第1の発光層103Rの平面形状の一例について、図4(b)乃至図4(e)を参照しながら説明する。
【0067】
第1の基板100のうちの、表示領域DAの中心付近にある領域H1は、中心線DAC1,DAC2の両方に近い領域であり、x方向およびy方向への熱膨張の度合いが小さい。そのため、設計データにおける発光層の形成領域と、シャドウマスク5の開口領域5Aとの、熱膨張による位置ずれの度合いが小さい。したがって、第1の基板100の領域H1に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域との関係は、たとえば、図4(b)に示すような関係になる。すなわち、領域H1に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのx方向へのはみ出し量Δxおよびy方向へのはみ出し量Δyがともに小さい。
【0068】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの上辺中央部にある領域H2は、x方向への熱膨張の度合いは小さく、+y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H2に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(c)に示すような関係になる。すなわち、領域H2に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのx方向へはみ出し量Δxが小さく、−y方向へのはみ出し量Δyが大きい。
【0069】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの下辺中央部にある領域H3は、x方向への熱膨張の度合いは小さく、−y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H3に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(c)を上下反転させたような関係になる。すなわち、領域H3に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのx方向へのはみ出し量Δxが小さく、+y方向へのはみ出し量Δyが大きい。
【0070】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの左辺中央部にある領域H4は、y方向への熱膨張の度合いは小さく、−x方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H4に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(d)に示すような関係になる。すなわち、領域H4に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのy方向へのはみ出し量Δyが小さく、+x方向へのはみ出し量Δxが大きい。
【0071】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの右辺中央部にある領域H5は、y方向への熱膨張の度合いは小さく、+x方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H5に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(d)を左右反転させたような関係になる。すなわち、領域H5に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからのy方向へのはみ出し量Δyが小さく、−x方向へのはみ出し量Δxが大きい。
【0072】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの左上角部にある領域H6は、−x方向および+y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H6に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)に示すような関係になる。すなわち、領域H6に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの+x方向へのはみ出し量Δxおよび−y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0073】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの左下角部にある領域H7は、−x方向および−y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H7に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)を上下反転させたような関係になる。すなわち、領域H7に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの+x方向へのはみ出し量Δxおよび+y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0074】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの右上角部にある領域H8は、+x方向および+y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H8に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)を左右反転させたような関係になる。すなわち、領域H8に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの−x方向へのはみ出し量Δxおよび−y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0075】
また、第1の基板100のうちの、表示領域DAの右下角部にある領域H9は、+x方向および−y方向への熱膨張の度合いが大きい。そのため、第1の基板100の領域H9に形成された第1の発光層103Rの平面形状と、設計データにおける形成領域Qとの関係は、たとえば、図4(e)を180℃回転させたような関係になる。すなわち、領域H9に形成された第1の発光層103Rは、設計データにおける形成領域Qからの−x方向へのはみ出し量Δxおよび+y方向へのはみ出し量Δyがともに大きい。
【0076】
また、図を参照した説明は省略するが、第1の基板100の領域H1乃至H9の各領域に形成された第2の発光層103Gの平面形状と設計データにおける形成領域との関係、および第3の発光層103Bの平面形状と設計データにおける形成領域との関係は、それぞれ、第1の発光層103Rの平面形状と設計データにおける形成領域Qとの関係と同様の関係になる。
【0077】
ところで、第1の基板100の表示領域DAに形成される多数個の第1の発光層103Rにおいて、x方向へのはみ出し量Δxおよびy方向へのはみ出し量Δyが最も大きくなるのは、第1の基板100の膨張中心からの距離が最も遠い第1の発光層103R、すなわち表示領域DAの角部に形成される第1の発光層103Rである。
【0078】
このとき、x方向のはみ出し量Δxの最大値Δxmax、およびy方向のはみ出し量Δyの最大値Δymaxは、たとえば、第1の基板100の材料(熱膨張係数)とシャドウマスク5の材料(熱膨張係数)との組み合わせ、発光層103R,103G,103Bの形成条件(蒸着源の加熱温度および蒸着時間)、第1の基板100の大きさ(表示領域DAの面積)などによって異なる。
【0079】
熱膨張係数が3.8×10−6ppm/℃である第1の基板100(ガラス基板)と、熱膨張係数が1.2×10−6ppm/℃であるシャドウマスク5とを用いて、第1の発光層103R、第2の発光層103G、および第3の発光層103Bのそれぞれを形成するときの形成条件およびはみ出し量Δxの最大値Δxmaxの一例を、下記の表に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
なお、上記の表において、ELRは第1の発光層103Rとして用いる有機EL材料、ELGは第2の発光層103Gとして用いる有機EL材料、ELBは第3の発光層103Bとして用いる有機EL材料である。また、上記の表において、STEはそれぞれの有機EL材料でなる蒸着源の加熱温度、STIは蒸着時間、ΔTSは蒸着開始時と終了時での第1の基板100の温度差、Δxmaxは発光層のx方向へのはみ出し量Δxの最大値である。また、上記の表における発光層のはみ出し量Δxの最大値Δxmaxは、たとえば、図4(a)に示した表示領域DAの対角の寸法が50cmである場合の、表示領域DAの角部(たとえば、領域H7)に形成される発光層のx方向へのはみ出し量Δxの最大値である。
【0082】
しかしながら、従来の有機EL表示装置におけるx方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRは、たとえば、上記の数式5で与えられる蒸着尤度Mに基づいて、DRG=DGB=DBR=2・M(μm)になるようにしている。そのため、第1の基板100とシャドウマスク5との熱膨張係数の差による発光層のx方向へのはみ出し量Δxmaxが大きいと、たとえば、第1の発光層103Rが、隣のサブ画素(第2の発光層103Gを有する第2のサブ画素)の開口部CH2にかかって第2のサブ画素の発光色に異常を来すなどの問題が生じやすくなり、表示パネルの製造歩留まりの低下が懸念される。
【0083】
上記のような熱膨張による発光層のはみ出し量Δxに起因する問題を解決する方法としては、たとえば、間隙DRG,DGB,DBRをDRG=DGB=DBR=2・M+UX(μm)にし、発光層の間隙UXを大きくするという方法が考えられる。しかしながら、発光層の間隙UXを大きくすると、非発光領域が増える分、開口部CH2の面積が狭くなり、有機EL表示装置の輝度出力の低下および消費電力の増加が懸念される。
【実施例1】
【0084】
図5(a)乃至図5(c)は、本発明による実施例1の有機EL表示装置におけるサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
図5(a)は、実施例1の有機EL表示装置における表示領域の左下角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。図5(b)は、実施例1の有機EL表示装置における表示領域の右上角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。図5(c)は、実施例1の有機EL表示装置における表示領域の中心部分のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【0085】
有機EL表示装置の表示パネル1を1枚ごとに個別に製造する場合、第1の基板100に形成される発光層103R,103G,103Bは、それぞれ、設計データにおける形成領域から、表示領域DAの中心(膨張中心)に向かう方向にはみ出す。このとき、x方向へのはみ出し量Δxが最も大きくなるのは、表示領域DAの左辺および右辺に沿って形成される発光層103R,103G,103Bである。またこのとき、表示領域DAの左辺に沿って形成される発光層103R,103G,103Bは、設計データにおける形成領域から+x方向へのはみ出し量Δxが大きく、−x方向へのはみ出し量はほぼ0μmである。一方、表示領域DAの右辺に沿って形成される発光層103R,103G,103Bは、設計データにおける形成領域から−x方向へのはみ出し量Δxが大きく、+x方向へのはみ出し量はほぼ0μmである。
【0086】
したがって、熱膨張による発光層のはみ出し量Δxを考慮してx方向で隣接する2つの発光層の間隙DRG,DGB,DBRを設定する場合、数式5で与えられる蒸着尤度Mと、2つの発光層のうちの一方の発光層におけるx方向へのはみ出し量Δxを考慮して設定すれば、非発光領域の増加量を最小限に抑えられることを、本願発明者らは見出した。
【0087】
すなわち、実施例1の有機EL表示装置では、図4(a)に示した領域H7におけるサブ画素の配置、言い換えると第4の絶縁層114の開口部CH2および発光層103R,103G,103Bを、たとえば、図5(a)に示すような配置にする。なお、実施例1の有機EL表示装置では、すべての開口部CH2の面積(開口端の寸法)を等しくする。また、図5(a)に示した例における発光層103R,103G,103Bは、従来の製造方法と同様に、数式5で与えられる蒸着尤度Mに基づいた寸法の開口領域5Aを有するシャドウマスク5を用いて形成しており、第1の基板100およびシャドウマスク5の熱膨張の影響がなければ、破線で示した概略長方形の形成領域Qに形成される。
【0088】
表示パネル1を1枚ごとに個別に製造する場合、たとえば、表示領域DAの左下角部にある領域H7に形成される発光層103R,103G,103Bは、前述のように、+x方向および+y方向にはみ出す。そのため、第1の発光層103Rと第2の発光層103Gの間隙DRGは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第1の発光層103Rのx方向のはみ出し量ΔxRmaxに基づき、DRG=2・M+UX+ΔxRmaxにする。
【0089】
また、第2の発光層103Gと第3の発光層103Bの間隙DGBは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第2の発光層103Gのx方向のはみ出し量ΔxGmaxに基づき、DGB=2・M+UX+ΔxGmaxにする。同様に、第3の発光層103Bと第1の発光層103Rの間隙DBRは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第3の発光層103Bのx方向のはみ出し量ΔxBmaxに基づき、DBR=2・M+UX+ΔxBmaxにする。
【0090】
このとき、発光層103R,103G,103Bのx方向のはみ出し量ΔxRmax,ΔxGmax,ΔxBmaxが、それぞれ、上記の表に示したような関係(ΔxRmax>ΔxGmax>ΔxBmax)であれば、間隙DRG,DGB,DBRの関係は、DRG>DGB>DBRになる。またこのとき、それぞれの開口部CH2の寸法(面積)を等しくするのであれば、隣接する2つの開口部CH2の間隔PXRG,PXGB,PXBRの関係は、PXRG>PXGB>PXBRになる。
【0091】
また、図は省略するが、実施例1の有機EL表示装置では、表示領域DAの左下角部の領域H7だけに限らず、図4(a)に示した表示領域DAのうちの、中心線DSC1よりも左側の領域におけるサブ画素の配置、言い換えると開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを、すべてDRG=2・M+UX+ΔxRmax,DGB=2・M+UX+ΔxGmax,DBR=2・M+UX+ΔxBmaxにする。
【0092】
一方、実施例1の有機EL表示装置では、図4(a)に示した領域H8におけるサブ画素の配置、言い換えると第4の絶縁層114の開口部CH2および発光層103R,103G,103Bを、たとえば、図5(b)に示すような配置にする。なお、図5(b)に示した例における発光層103R,103G,103Bは、従来の製造方法と同様に、数式5で与えられる蒸着尤度Mに基づいた寸法の開口領域5Aを有するシャドウマスク5を用いて形成しており、第1の基板100およびシャドウマスク5の熱膨張の影響がなければ、破線で示した概略長方形の形成領域に形成される。
【0093】
表示パネル1を1枚ごとに個別に製造する場合、たとえば、表示領域DAの右上角部にある領域H8に形成される発光層103R,103G,103Bは、前述のように、−x方向および−y方向にはみ出す。そのため、第1の発光層103Rと第2の発光層103Gの間隙DRGは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第2の発光層103Gのx方向のはみ出し量ΔxGmaxに基づき、DRG=2・M+UX+ΔxGmaxにする。
【0094】
また、第2の発光層103Gと第3の発光層103Bの間隙DGBは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第3の発光層103Bのx方向のはみ出し量ΔxBmaxに基づき、DGB=2・M+UX+ΔxBmaxにする。同様に、第3の発光層103Bと第1の発光層103Rの間隙DBRは、数式5で与えられる蒸着尤度M、2つの発光層の間隙UX、および第1の発光層103Rのx方向のはみ出し量ΔxRmaxに基づき、DBR=2・M+UX+ΔxRmaxにする。
【0095】
このとき、発光層103R,103G,103Bのx方向のはみ出し量ΔxRmax,ΔxGmax,ΔxBmaxが、それぞれ、上記の表に示したような関係(ΔxRmax>ΔxGmax>ΔxBmax)であれば、間隙DRG,DGB,DBRの関係は、DBR>DRG>DGBになる。
【0096】
また、実施例1の有機EL表示装置では、すべての開口部CH2の面積(開口端の寸法)を等しくするので、隣接する2つの開口部CH2の間隔PXRG,PXGB,PXBRの関係は、PXBR>PXRG>PXGBになる。
【0097】
また、図は省略するが、実施例1の有機EL表示装置では、表示領域DAの右上角部の領域H8だけに限らず、図4(a)に示した表示領域DAのうちの、中心線DAC1よりも右側の領域におけるサブ画素の配置、言い換えると開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを、すべてDRG=2・M+UX+ΔxGmax,DGB=2・M+UX+ΔxBmax,DBR=2・M+UX+ΔxRmaxにする。
【0098】
またこのとき、中心線DAC1を挟んで隣接する2つの画素のサブ画素の配置は、たとえば、図5(c)に示すようになる。このとき、中心線DAC1の左側にある画素と右側にある画素では、上記のように、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRの設定方法が異なるが、値が入れ替わるだけある。したがって、1つの画素のピッチPXの値は変わるものの中心線DAC1を基準にした画素のx方向の寸法PLXは同じ値になる。
【0099】
このように、第1の基板100の熱膨張により発光層がはみ出す方向とはみ出し量の最大値に基づいて、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを設定すると、たとえば、第1の発光層103Rが、隣のサブ画素(第2の発光層103Gを有する第2のサブ画素)の開口部CH2にかかる確率を低くすることができ、発光色の異常などによる製造歩留まりの低下を抑えることができる。
【0100】
また、第1の基板100の熱膨張により発光層がはみ出す方向とはみ出し量の最大値に基づいて、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRを設定すると、非発光領域の増加を抑えることができるので、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。
【0101】
また、以上のようなことから、実施例1の有機EL表示装置は、従来の有機EL表示装置に比べて、高輝度化や高精細化が容易であると言える。
【0102】
なお、実施例1では、発光層103R,103G,103Bのはみ出し量の最大値Δxmaxの値および関係が、上記の表に示したような関係になっている場合を例に挙げている。しかしながら、発光層103R,103G,103Bの形成に用いる材料の組み合わせや、形成条件が変われば、はみ出し量の最大値Δxmaxの値の関係が変わる。また、はみ出し量の最大値Δxは、たとえば、表示領域DAの大きさによっても変わる。したがって、開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRの値や大小関係は、発光層103R,103G,103Bの形成に用いる材料の組み合わせや表示領域DAの大きさによって適宜変更可能である。
【0103】
すなわち、実施例1で説明したサブ画素の配置方法を適用した有機EL表示装置では、すべての開口部CH2の面積(開口端の寸法)が等しく、かつ、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙が2通り以上であればよく、具体的には、DRG,DGB,DBRの関係が、下記数式1乃至数式4のいずれかの関係であればよい。
DRG≠DGB≠DBR ・・・(数式1)
DRG=DGB≠DBR ・・・(数式2)
DRG≠DGB=DBR ・・・(数式3)
DRG=DBR≠DBR ・・・(数式4)
【0104】
ところで、有機EL表示装置は、近年、たとえば、テレビやパーソナルコンピュータ用のディスプレイなどへの適用を想定した大型化(大画面化)が進んでいる。そのような大画面の有機EL表示装置に用いる表示パネル1を製造するときには、表示領域の外周部に形成される発光層103R,103G,103Bのはみ出し量Δx(Δxmax)が大きくなる。そのため、実施例1で説明したようなサブ画素の配置方法は、たとえば、大画面の有機EL表示装置の実用化にも大きく寄与すると考えられる。
【0105】
また、実施例1では、x方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙DRG,DGB,DBRの設定方法を例に挙げているが、これに限らず、y方向で隣接する2つの開口部CH2の間隙についても実施例1で説明したような方法で設定することは可能である。
【実施例2】
【0106】
図6(a)乃至図6(d)は、本発明による実施例2のサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
図6(a)は、表示パネルを2面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。図6(b)は、表示パネルを4面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。図6(c)は、表示パネルを6面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。図6(d)は、表示パネルを32面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【0107】
実施例1では、有機EL表示装置の表示パネル1を1枚ずつ個別に製造する場合を例に挙げ、第1の基板100の熱膨張の仕方とサブ画素の配置方法について説明している。
【0108】
しかしながら、現在実用化されている有機EL表示装置は、たとえば、携帯電話端末などの携帯型電子機器のディスプレイとして用いられるものが多く、これらの有機EL表示装置に用いられる表示パネル1は、表示領域DAの対角の寸法が数インチから十数インチ程度である。
【0109】
このような小型の表示パネル1を製造するときには、たとえば、1枚の大面積のガラス基板(マザーガラス)を用いて複数枚の表示パネル1を一括して製造する多面取りと呼ばれる方法で製造するのが一般的である。
【0110】
1枚のマザーガラスを用いて2枚の表示パネル1を一括して製造する2面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(a)に示すように、1枚のマザーガラス7の2カ所の領域701,702のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、領域701の表示領域DAの第1の発光層103Rと、領域702の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0111】
このとき、マザーガラス7の領域701は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における上半分、すなわち中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域702は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における下半分、すなわち中心線DAC2よりも下側の部分と同様の熱膨張をする。
【0112】
そのため、領域701,702のサブ画素の配置に、実施例1で説明した配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、領域701,702のサブ画素の配置に、実施例1で説明した配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、領域701,702のサブ画素の配置に、実施例1で説明した配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0113】
1枚のマザーガラスを用いて4枚の表示パネル1を一括して製造する4面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(b)に示すように、1枚のマザーガラス7の4カ所の領域711〜714のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、それぞれの領域711〜714の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0114】
このとき、マザーガラス7の領域711は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも左側であり、かつ、中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域712は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも左側であり、かつ、中心線DAC2よりも下側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域713は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも右側であり、かつ、中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。また、マザーガラス7の領域714は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも右側であり、かつ、中心線DAC2よりも下側の部分と同様の熱膨張をする。
【0115】
そのため、領域711,712のサブ画素の配置に、図5(a)に示したような配置方法を適用し、領域713,714のサブ画素の配置に、図5(b)に示したような配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、領域711,712のサブ画素の配置に、図5(a)に示したような配置方法を適用し、領域713,714のサブ画素の配置に、図5(b)に示したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、領域711,712のサブ画素の配置に、図5(a)に示したような配置方法を適用し、領域713,714のサブ画素の配置に、図5(b)に示したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0116】
なお、マザーガラス7における領域711,712は、図4(a)に示した表示領域DAの左半分(中心線DAC1よりも左側)の領域に相当する。そのため、領域711,712に形成された表示パネル1は、たとえば、1枚の表示パネル1の全体における第1のサブ画素の開口部CH2と第2のサブ画素の開口部CH2との間隙DRGが、同じ関係になる。また、他の間隙DGB,DBRについても同様である。またさらに、マザーガラス7における領域713,714においても、1枚の表示パネル1の全体における間隙DRG,DGB,DBRは同じ関係になる。
【0117】
1枚のマザーガラス7を用いて6枚の表示パネル1を一括して製造する6面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(c)に示すように、1枚のマザーガラス7の6カ所の領域721〜726のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、それぞれの領域721〜726の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0118】
したがって、詳細な説明は省略するが、領域721〜726のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、領域721〜726のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、領域721〜726のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0119】
1枚のマザーガラス7を用いて32枚の表示パネル1を一括して製造する32面取りと呼ばれる方法では、たとえば、図6(c)に示すように、1枚のマザーガラス7の32カ所の領域のそれぞれが、表示パネル1の第1の基板100に相当する。このとき、たとえば、それぞれの領域の表示領域DAの第1の発光層103Rは、通常、同時に形成する。またこのとき、マザーガラス7は、当該マザーガラス7の中心(重心)を膨張中心とし、実線で示した外周が破線の位置まで広がるような膨張をする。
【0120】
このとき、マザーガラス7の左上側に配置されている8カ所の領域(網掛けを付している領域)は、たとえば、図4(a)に示した第1の基板100における中心線DAC1よりも左側であり、かつ、中心線DAC2よりも上側の部分と同様の熱膨張をする。そのため、この8カ所の領域を1つの領域と見なし、当該1つの領域のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、表示パネル1の製造歩留まりの低下を抑えることができる。また、左上の8カ所の領域を1つの領域と見なし、当該1つの領域のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。またさらに、左上の8カ所の領域を1つの領域と見なし、当該1つの領域のサブ画素の配置に、実施例1で説明したような配置方法を適用すれば、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0121】
また、繰り返しの説明は省略するが、残りの領域のサブ画素の配置についても同様に、実施例1で説明したような配置方法を適用することで、表示パネル1の製造歩留まりの低下、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。また、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0122】
また、実施例2では、2面取り、4面取り、6面取り、および32面取りの4通りの場合を例に挙げたが、表示パネル1を製造するときには、別の枚数を一括して製造する場合もある。その場合も、それぞれの領域における膨張の仕方(方向と度合い)に基づき、実施例1で説明した方法でサブ画素を配置することで、表示パネル1の製造歩留まりの低下、有機EL表示装置の輝度出力の低下あるいは消費電力の増加を抑えることができる。また、有機EL表示装置の高輝度化、高精細化が容易になる。
【0123】
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1(a)】本発明に関わる有機EL表示装置の概略構成の一例を示す模式図である。
【図1(b)】有機EL表示装置の表示領域の概略構成の一例を示す模式図である。
【図1(c)】1つのサブ画素の平面構成の一例を示す模式平面図である。
【図1(d)】図1(c)のA−A’線における断面構成の一例を示す模式断面図である。
【図2】従来の有機EL表示装置におけるサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図3(a)】第1の発光層の形成を開始した直後の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。
【図3(b)】第1の発光層の形成を終了する直前の第1の基板とシャドウマスクとの関係の一例を示す模式図である。
【図4(a)】第1の基板の熱膨張の様子の一例を示す模式図である。
【図4(b)】図4(a)の領域H1に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図4(c)】図4(a)の領域H2に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図4(d)】図4(a)の領域H4に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図4(e)】図4(a)の領域H6に形成された発光層の平面形状の一例を示す模式図である。
【図5(a)】実施例1の有機EL表示装置における表示領域の左下角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図5(b)】実施例1の有機EL表示装置における表示領域の右上角部のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図5(c)】実施例1の有機EL表示装置における表示領域の中心部分のサブ画素の配置方法の一例を示す模式図である。
【図6(a)】表示パネルを2面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【図6(b)】表示パネルを4面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【図6(c)】表示パネルを6面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【図6(d)】表示パネルを32面取りと呼ばれる方法で製造するときのサブ画素の配置方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0125】
1…表示パネル
100…第1の基板
101…走査信号線
102…映像信号線
103R…(第1の)発光層
103G…(第2の)発光層
103B…(第3の)発光層
105…第1の電極
106…第2の電極
107…半導体層
108…第1の絶縁層
109…ゲート電極
110…第2の絶縁層
111…ソース電極
112…ドレイン電極
113…第3の絶縁層
114…第4の絶縁層
115…反射層
2…第1の駆動回路
3…第2の駆動回路
4…制御回路
5…シャドウマスク
6…蒸着源
7…マザーガラス
CH1,CH2…開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された表示パネルを有し、それぞれの前記画素は、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する表示装置であって、
前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する発光層を有し、かつ、前記第1の電極と前記発光層とは、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層の開口部で接続しており、
それぞれの前記サブ画素の前記開口部の面積は概ね等しく、
前記表示パネルの第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、あらかじめ定められた順番で繰り返し並んでおり、かつ、前記第1の方向で隣接する2つの前記サブ画素の前記開口部の間隙の寸法が2通り以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、
隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとし、
隣接する前記第2のサブ画素と前記第3のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDGBとし、
隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとしたときに、それぞれの前記間隙の寸法DRG,DGB,DBRの関係が下記数式1乃至数式4のいずれかの関係であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
DRG≠DGB≠DBR ・・・(数式1)
DRG=DGB≠DBR ・・・(数式2)
DRG≠DGB=DBR ・・・(数式3)
DRG=DBR≠DBR ・・・(数式4)
【請求項3】
前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、
前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、
隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、
隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、
1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係は、DBR<DRGの関係、またはDBR>DRGの関係のいずれか一方のみであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、
前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、
隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、
隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、
1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係には、DBR<DRGの関係である場合と、DBR>DRGの関係である場合とがあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光層は、有機エレクトロルミネセンス材料でなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2の電極は、複数の前記サブ画素で共有していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された表示パネルを有し、それぞれの前記画素は、赤色系の光を発する第1のサブ画素、緑色系の光を発する第2のサブ画素、および青色系の光を発する第3のサブ画素を有する表示装置であって、
前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素は、それぞれ、第1の電極、第2の電極、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在する発光層を有し、かつ、前記第1の電極と前記発光層とは、前記第1の電極と前記発光層との間に介在する絶縁層の開口部で接続しており、
それぞれの前記サブ画素の前記開口部の面積は概ね等しく、
前記表示パネルの第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、あらかじめ定められた順番で繰り返し並んでおり、かつ、前記第1の方向で隣接する2つの前記サブ画素の前記開口部の間隙の寸法が2通り以上であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、
隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとし、
隣接する前記第2のサブ画素と前記第3のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDGBとし、
隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとしたときに、それぞれの前記間隙の寸法DRG,DGB,DBRの関係が下記数式1乃至数式4のいずれかの関係であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
DRG≠DGB≠DBR ・・・(数式1)
DRG=DGB≠DBR ・・・(数式2)
DRG≠DGB=DBR ・・・(数式3)
DRG=DBR≠DBR ・・・(数式4)
【請求項3】
前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、
前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、
隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、
隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、
1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係は、DBR<DRGの関係、またはDBR>DRGの関係のいずれか一方のみであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルの前記第1の方向には、前記第1のサブ画素、前記第2のサブ画素、および前記第3のサブ画素が、この順番で繰り返し並んでおり、
前記第1の方向で連続する前記第3のサブ画素、前記第1のサブ画素、および前記第2のサブ画素において、
隣接する前記第3のサブ画素と前記第1のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDBRとし、
隣接する前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とにおける前記開口部の間隙の寸法をDRGとしたときに、
1枚の前記表示パネル全体におけるそれぞれの前記間隙の寸法DBR,DRGの関係には、DBR<DRGの関係である場合と、DBR>DRGの関係である場合とがあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光層は、有機エレクトロルミネセンス材料でなることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2の電極は、複数の前記サブ画素で共有していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図1(d)】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図4(e)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図6(d)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図1(d)】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図4(e)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図6(d)】
【公開番号】特開2010−80220(P2010−80220A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246320(P2008−246320)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]