説明

表示装置

【課題】表示装置にタッチパネル機能を付加することによる画像のコントラストの低下を抑え、タッチパネル機能の付加に要する実装面積を削減する。
【解決手段】有機EL素子OELの駆動電流を発光駆動トランジスタT23に供給させるための電圧を保持するコンデンサCs2と並列に、容量値と抵抗を変化させることができる可変素子Ev21を接続する。走査ラインLsに走査パルスが出力されると、データラインLdに出力されている電圧がコンデンサCs2に印加される。その際、可変素子Ev21の容量値に応じてデータラインLdの電圧の変化が遅延する。判定回路57aは、デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAVC)54aに入力される電圧値データとデジタル信号に変換されたノードN23(データラインLd)の電圧とを比較して、人の指等が表示パネルに触れたか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル機能を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro−Luminescence)表示装置の表示パネルには、自己発光型の発光素子である有機EL素子を含む画素回路がマトリクス状に配置されている。有機EL表示装置は自己発光型であるため、ブラウン管と同等なコントラストの高い画像を表示することができる。
【0003】
また、有機EL表示装置の表示パネルの上にタッチパネルが積層して配置された表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−91342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機EL表示装置の表示パネルの上に位置を入力するためのタッチパネルを積層して配置すると、タッチパネルで光が反射されることがあるため、表示された画像のコントラストが低下する。
また、タッチパネル上で指定された位置を検出するための回路を表示パネルとは別に設ける必要があるため、実装面積が増大する。
【0006】
本発明の目的は、表示された画像のコントラストの低下を抑えることができるとともに、実装面積を削減することができる、タッチパネル機能を備える表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置は、行方向及び列方向に配設された複数の走査ライン及び複数のデータラインの各交点近傍に配設された複数の表示画素を備える表示パネルと、
前記各走査ラインに走査信号を供給することによって当該走査ラインに接続されている前記各表示画素を選択し、前記各データラインに表示信号を供給することによって選択されている前記各表示画素を駆動する駆動回路と、
を備え、
前記各表示画素は、発光素子と、当該発光素子に前記各データラインを介して供給される前記表示信号に応じた駆動電流を供給するとともに、外部から加えられる圧力に応じて物理パラメータが変化し、当該物理パラメータの変化により前記各データラインに供給された表示信号に応じた電位を変調する可変素子を含む画素駆動回路と、を有し、
前記駆動回路は、前記可変素子による前記各データラインの電位の変調の有無を判定し、前記電位が変調されていると判定した前記データラインに対応する列を、圧力が加えられている位置として特定する判定回路を有する、
ことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記判定回路は、前記各表示画素が選択されている選択期間内の所定の測定タイミングで、選択されている前記各表示画素について前記データラインの電位の変調の有無を判定することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記駆動回路は、前記表示信号に対応した電圧値を有する信号電圧を生成し、前記各データラインに出力する階調電圧生成回路を有し、
前記判定回路は、前記測定タイミングで前記各データラインの電圧値を取得し、当該取得された電圧値と前記可変素子により前記電位が変調されていないときの前記データラインの電圧値との比較に基づいて、前記電位の変調の有無を判定する、
ことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記駆動回路は、前記表示信号に対応した電流値を有する信号電流を生成し、前記各データラインに出力する階調電流生成回路を有し、
前記判定回路は、前記測定タイミングで前記各データラインの電圧値を取得し、当該取得された電圧値と前記可変素子により前記電位が変調されていないときの前記データラインの電圧値との比較に基づいて、前記電位の変調の有無を判定する、
ことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記可変素子は、外部から加えられる圧力に応じて前記物理パラメータとして容量値が変化する容量素子を含み、
前記画素駆動回路は、前記表示信号に対応する電圧を保持するコンデンサを含み、
前記各表示画素は、前記選択期間に、前記データラインに前記コンデンサを含む回路と前記可変素子とが並列に接続される、
ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記容量素子は、外部から加えられる圧力の増加に応じて前記容量値が増加することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記可変素子は、外部から加えられる圧力に応じて前記物理パラメータとして電気抵抗が変化する抵抗素子を含み、
前記各表示素子は、前記選択期間に、前記可変素子の前記抵抗素子を前記データラインと所定の基準電圧との間に接続する、
ことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記抵抗素子は、外部から加えられる圧力の増加に応じて前記電気抵抗の値が減少することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記表示パネルは、前記各走査ラインと対をなし、対応する走査ラインが接続されている前記表示画素に接続された複数の電源ラインを含み、
前記駆動回路は、前記各電源ラインに前記所定の基準電圧を出力する電源ドライバを備え、
前記各画素駆動回路は、
制御端子が前記コンデンサの一方の電極に接続され、当該電流路の一端が前記コンデンサの他方の電極と前記発光素子のアノード電極と前記可変素子の一方の電極とに接続され、電流路の他端が前記電源ラインに接続された第1のトランジスタと、
制御端子が前記走査ラインに接続され、電流路の一端が前記第1のトランジスタの制御端子と前記コンデンサの一方の電極とに接続され、電流路の他端が前記電源ラインと前記第1のトランジスタの電流路の他端とに接続された第2のトランジスタと、
制御端子が前記走査ラインに接続され、電流路の一端が前記データラインに接続され、電流路の他端が前記コンデンサの他方の電極と前記可変素子の一方の電極と前記第1のトランジスタの電流路の一端と前記発光素子のアノード電極とに接続された第3のトランジスタと、
を含み、
前記可変素子の他方の電極に前記所定の基準電圧が印加されている、
ことを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記表示パネルは、前記各走査ラインと対をなし、対応する走査ラインが接続されている前記表示画素に接続された複数の電源ラインを含み、
前記駆動回路は、前記各電源ラインに前記所定の基準電圧を出力する電源ドライバを備え、
前記各画素駆動回路は、
制御端子が前記コンデンサの一方の電極と前記可変素子の一方の電極に接続され、当該電流路の一端が前記コンデンサの他方の電極と前記発光素子のアノード電極に接続され、電流路の他端が前記電源ラインに接続された第1のトランジスタと、
制御端子が前記走査ラインに接続され、電流路の一端が前記データラインに接続され、電流路の他端が前記第1のトランジスタの制御端子と前記コンデンサの一方の電極と前記可変素子の一方の電極とに接続された第2のトランジスタと、
を含み、
前記可変素子の他方の電極に前記所定の基準電圧が印加されている、
ことを特徴とする。
【0017】
好ましくは、前記駆動回路は、
前記複数の走査ラインに接続され、前記各走査ラインに前記各表示画素を順次選択するための前記走査信号を順次供給する走査ドライバと、
前記電位が変調されていると前記判定回路によって判定された場合に、前記走査ドライバが前記走査信号を出力している走査ラインに対応する行の位置と前記判定回路により特定された列の位置とに基づいて、圧力が加えられている前記表示パネル上の位置を特定する位置検出回路と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、位置を入力するためのタッチパネル機能が付加された表示装置について、表示された画像のコントラストの低下を抑えることができ、タッチパネル機能を付加するための実装面積を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置1aについて説明する。有機EL表示装置1aは、図1に示すように、表示パネル2aと、走査ドライバ3と、電源ドライバ4aと、データドライバ5aと、システムコントローラ6と、表示信号生成回路7とを有している。
【0020】
表示パネル2aは、マトリクス状に配置された表示画素21と、行方向(図1の左右方向)に延びている複数の走査ラインLs1〜Lsnおよび電源ラインLv1〜Lvn、列方向(図1の上下方向)に延びている複数のデータラインLd1〜Ldmとを有している。電源ラインLv1〜Lvnはそれぞれ走査ラインLs1〜Lsnと対をなしており、走査ラインLs1〜Lsnが接続された表示画素21に接続されている。
【0021】
表示画素21は、走査ラインLs1〜LsnとデータラインLd1〜Ldmの交点の近傍に配置されている。
なお、図1は、例えば白黒画像を表示する場合の例である。カラー画像を表示する場合には、RGBの各色を発する一組の表示画素21がマトリクス状に配置される。例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の光を発する表示画素21を一組として、この組が行方向に繰り返し複数配置されるとともに、列方向に同一色の画素が複数配置される。
【0022】
走査ドライバ3は、システムコントローラ6から供給される走査制御信号に基づいて、行方向に並んだ表示画素21を順次選択するための走査パルスを出力する。走査ドライバ3は、図2(A)に示すように、まず選択期間tsの間走査ラインLs1に基準電圧Vss(例えば、接地電位GND=0V)より高いハイレベルの電圧Vhigh(例えば、+15V)、それ以外の期間(発光期間)に基準電圧Vss以下のローレベルの電圧Vlow(例えば、−15V)となる走査パルスを出力する。この走査パルスによって走査ラインLs1に接続された表示画素21が選択期間tsの間選択される。次に、走査ドライバ3は、図2(B)に示すように、次の選択期間tsにハイレベルの電圧Vhighとなる走査パルスを走査ラインLs2に出力する。この走査パルスによって走査ラインLs2に接続された表示画素21が次の選択期間tsの間選択される。そして、走査ドライバ3は、図2(C)に示すように、更に次の選択期間tsにハイレベルの電圧Vhighとなる走査パルスを走査ラインLs3に出力する。この走査パルスによって走査ラインLs3に接続された表示画素21が更に次の選択期間tsの間選択される。
【0023】
次いで、走査ドライバ3は、図2(D)に示すように、走査ラインLs4から走査ラインLsnまで選択期間tsの間ハイレベルの電圧Vhighとなる走査パルスを順次出力し、走査ラインLs4〜Lsnに接続された表示画素21を順次選択する。
【0024】
電源ドライバ4aは、システムコントローラ6から供給される電源制御信号に基づいて、図2(E)〜(H)に示すように、電源ラインLv1〜Lvnとそれぞれ対をなしている走査ラインLs1〜Lsnに走査パルスが出力されている間、電源ラインLv1〜Lvnに基準電圧Vss(例えば、接地電位GND=0V)を出力し、それ以外の期間、基準電圧Vssより高いレベルの電源電圧Vccを出力する。
【0025】
データドライバ5aは、表示データを表示パネル2aに表示させるために、図3に示すように、シフトレジスタ回路51と、データレジスタ回路52と、データラッチ回路53と、デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAVC)54aとを有している。
データドライバ5aは、システムコントローラ6から供給されるデータ制御信号(シフトクロック信号CLK、サンプリングスタート信号STR、データラッチ信号STB)等に基づいて、表示データ(D1〜Dm)を所定のタイミングで取り込んで保持し、所定のタイミングで表示データ(D1〜Dm)に対応する表示信号(階調電圧:−Vdata)を生成して、各データラインLd1〜Ldmに出力する。
【0026】
なお、後述するように、データドライバ5aは、例えば、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触したとき、それらが表示パネル2aに接触した位置を検出するために、更に、検出用抵抗55と、ADC(Analog−to−Digital Converter)56aと、判定回路57aとを有している。判定回路57aは、人の指等が表示パネル2aに接触した位置を検出すると、システムコントローラ6に含まれる位置検出回路61に検出信号を出力する。
【0027】
シフトレジスタ回路51は、図示しないシフトレジスタを含んでおり、サンプリングスタート信号STRをシフトクロック信号CLKに基づいて順次シフトしつつシフト信号をデータレジスタ回路52に供給する。
データレジスタ回路52は、シフトレジスタ回路51から供給されるシフト信号のタイミングで表示データD1〜Dmを順次取り込む。
データラッチ回路53は、システムコントローラ7からデータラッチ信号STBが供給されると、データレジスタ回路52に取り込まれている1行分の表示データD1〜Dmをラッチして、保持する。
DAVC54aは、データラッチ回路53に保持されている表示データD1〜Dmをアナログ電圧の表示信号(負の階調電圧:−Vd)に変換して、各データラインLd1〜Ldmに出力する。
【0028】
走査パルスによって選択されている1行分の表示画素21は、各表示画素21が接続されているデータラインLd1〜Ldmに出力された表示信号を読み込む。表示画素21に読み込まれた表示信号は、次の画面の表示信号が読み込まれるまで保持され、画像として表示パネル2aに表示される。
【0029】
システムコントローラ6は、上述したように、データドライバ5aにデータ制御信号(シフトクロック信号CLK、シフトスタート信号STR、ラッチ信号STB)と表示データD1〜Dmを供給する。また、システムコントローラ6は、走査ドライバ3と電源ドライバ4aにそれぞれ走査制御信号と電源制御信号を供給する。システムコントローラ6は、これらの各制御信号を供給することにより各ドライバを所定のタイミングで動作させ、各表示画素21に表示信号を読み込ませ、表示パネル2aに画像を表示させる。
【0030】
また、システムコントローラ6は、位置検出回路61を備えている。後述するように、位置検出回路61は、例えば、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触したとき、それらが表示パネル2aに接触した位置を検出する。位置検出回路61は、人の指やタッチペンが表示パネル2aに接触した際に、走査ドライバ3が走査パルスを出力していた走査ラインLs1〜Lsnと、データドライバ5aが表示信号を出力していたデータラインLd1〜Ldmに基づいて、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触した位置を特定する。
【0031】
表示信号生成回路7は、例えば、有機EL表示装置1aの外部から供給される画像信号から抽出される表示データを、データドライバ5aのデータレジスタ回路52に供給する。ここで、画像信号が、テレビ放送信号(コンポジット映像信号)のように、画像信号の表示タイミングを規定するタイミング信号成分を含む場合には、表示信号生成回路7は、表示データを抽出する機能のほか、タイミング信号成分を抽出してシステムコントローラ6にタイミング信号を供給する機能を有するものであってもよい。この場合、システムコントローラ6は、表示信号生成回路7から供給されるタイミング信号に基づいて、走査ドライバ3、電源ドライバ4a及びデータドライバ5aにそれぞれ供給する走査制御信号、電源制御信号及びデータ制御信号を生成する。
【0032】
なお、有機EL表示装置1aは本発明の表示装置の一例であり、表示パネル2aは本発明の表示パネルの一例であり、表示画素21は本発明の表示画素の一例であり、走査ドライバ3とデータドライバ5aは本発明の駆動回路の一例であり、データラッチ回路53とDAVC54aは本発明の階調電圧生成回路の一例であり、位置検出回路61は本発明の位置検出回路の一例である。
【0033】
表示画素21は、図4に示すように、画素駆動回路21Dと有機EL素子OELとを有している。
画素駆動回路21Dは、第1入力トランジスタT21と、第2入力トランジスタT22と、発光駆動トランジスタT23と、コンデンサCs2と、可変素子Ev21とを含む。
第1入力トランジスタT21と第2入力トランジスタT22と発光駆動トランジスタT23は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを用いたnチャネル型TFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)である。
なお、以下では、個々の走査ラインを示す場合、走査ラインLsのように、適宜添え字1〜nを省略する。電源ラインLvとデータラインLdについても同様である。
【0034】
第1入力トランジスタT21は、ゲートが走査ラインLsに接続され、ソースがノードN22に接続され、ドレインが電源ラインLvと発光駆動トランジスタT23のドレインに接続されている。
第2入力トランジスタT22は、ゲートが走査ラインLsに接続され、ソースがデータラインLdに接続され、ドレインがノードN21に接続されている。
発光駆動トランジスタT23は、ゲートがノードN22に接続され、ソースがノードN21に接続され、ドレインが電源ラインLvと第1入力トランジスタT21のドレインに接続されている。
【0035】
また、コンデンサCs2は、ノードN22とノードN21の間、すなわち、発光駆動トランジスタT23のゲートとソースの間に接続されている。
可変素子Ev21は、一方の電極がノードN21に接続され、他方の電極に基準電圧Vssが印加されている。可変素子Ev21は、容量値を変化させることができる可変コンデンサとして機能するとともに、抵抗を変化させることができる可変抵抗としても機能する素子である。
【0036】
有機EL素子OELは、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、発光層、正孔注入層、等を備える。有機EL素子OELのアノード電極は、ノードN21に接続され、カソード電極には基準電圧Vssが印加されている。
有機EL素子OELは、アノード電極からカソード電極に向かって電流が流れると、発光層において正孔注入層から供給された正孔と電子注入層から供給された電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0037】
データドライバ5aは、図4に示すように、データラッチ回路53と、DAVC54aと、検出用抵抗55と、ADC56aと、判定回路57aとを有している。データドライバ5aは、上述したように、その他に、図3に示したシフトレジスタ回路51と、データレジスタ回路52とを有しているが、図4においては省略した。
図4には、データラッチ回路53と、DAVC54aと、検出用抵抗55と、ADC56aをそれぞれ1個示してあるが、実際にはこれらはデータラインLd1〜Ldmの各々に対応して、それぞれm個設けられている。
なお、検出用抵抗55の抵抗値は、例えば数Ω程度の、比較的小さいものであってもよい。この検出用抵抗55は、抵抗素子としてDAVC54aとADC56aとの接続点との間に設けられるものであってもよいし、DAVC54aとADC56aとの接続点との間に設けられている配線の配線抵抗からなるものであってもよい。
【0038】
本実施形態では、表示データは、デジタル信号である電圧値データVdataで指定される。電圧値データVdataが例えば8ビットのデジタル信号である場合、有機EL素子OELの発光の階調は256階調である。
DAVC54aは、データラッチ回路53から電圧値データVdataが供給されると、アナログ電圧である負の階調電圧(−Vd)に変換し、検出用抵抗55を介してデータラインLdに出力する。負の階調電圧(−Vd)は検出用抵抗55で電圧の大きさが減少する。すなわち、検出用抵抗55による電圧降下分だけ変化した電圧(−Vd’)がデータラインLdに出力される。電圧(−Vd’)がデータラインLdに出力されると、電流Idが画素駆動回路21DからDAVC54aに流れる。
【0039】
図5は、画素駆動回路21Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図5(A)および図5(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図5(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN23の電圧を示す。また、図5(D)は発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgs(コンデンサCs2の両方の電極間の電圧)を示し、図5(E)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。
本実施形態の有機EL表示装置1aでは、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触していないとき、可変素子Ev21は、その容量値が無視できる程度に小さく、抵抗の大きさが十分に大きく無限大であると見なせるように構成されている。このときには走査ドライバ3と電源ドライバ4aとデータドライバ5aは図5に示すように動作し、表示パネル2aに画像が表示される。
【0040】
まず、選択期間tsに、走査ドライバ3は、図5(A)に示すように、走査ラインLsにハイレベルの電圧Vhighの走査パルスを出力する。走査ラインLsに走査パルスが出力されると、第1入力トランジスタT21と第2入力トランジスタT22のソースとドレイン間が導通する。このとき、電源ドライバ4aは、図5(B)に示すように、電源ラインLvに基準電圧Vssを出力している。
データドライバ5aのDAVC54aは、表示データの階調値に応じた電圧値データVdataに対応する負の電圧(−Vd)を出力し、図5(C)に示すように、検出用抵抗55を介してノードN23に電圧(−Vd’)を印加する。すなわち、DAVC54aは電源ドライバ4aから表示画素21の画素駆動回路21Dを介して電流Idを吸い込む。
【0041】
電流Idは、図6(A)に示すように、電源ラインLvから、発光駆動トランジスタT23のドレインとソース間と第2入力トランジスタT22のドレインとソース間を通って、データラインLdに流れる。
このとき、第1入力トランジスタT21のソースとドレイン間は導通しているため、発光駆動トランジスタT23のゲートとドレインの電位は両方とも基準電圧Vssである。発光駆動トランジスタT23は、ダイオード接続状態とされているため、飽和領域で動作する。
なお、有機EL素子OELのカソード電極に印加されている電圧は基準電圧Vssであり、アノード電極に印加されている電圧はノードN21の電圧に等しく、基準電圧Vssに等しいかそれより低い電圧となるため、有機EL素子OELに電流は流れない。
【0042】
発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間には、コンデンサCs2が接続されている。ノードN22に接続されているコンデンサCs2の一方の電極には基準電圧Vssが印加されている。一方、ノードN21には電流Idが流れ、図5(D)に示すように、コンデンサCs2の両方の電極間(発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間)の電圧は、発光駆動トランジスタT23のドレインとソース間に電流Idが流れるときの発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧に等しい電圧Vgs1になる。これにより、ノードN23(データラインLd)の電圧は、選択期間tsにおいて、概ねVss―Vgs1に等しい値となる。一方、図5(C)に示したように、ノードN23には電圧(−Vd’)が印加されているため、Vgs1とVd’は概ね等しい。
【0043】
次に、発光期間teにおいて、発光駆動トランジスタT23は有機EL素子OELのアノード電極に駆動電流Iem1を供給する。
【0044】
発光期間teに、走査ドライバ3は、図5(A)に示すように、走査ラインLsにローレベルの電圧Vlowを出力する。このため、第1入力トランジスタT21のソースとドレイン間と第2入力トランジスタT22のソースとドレイン間は非導通となる。このとき、電源ドライバ4aは、図5(B)に示すように、電源ラインLvに電源電圧Vccを出力する。この電源電圧Vccは、発光駆動トランジスタT23を飽和領域で動作させることができる電圧である。
【0045】
第1入力トランジスタT21のソースとドレイン間が非導通であるため、ノードN22はフローティング状態である。コンデンサCs2の両方の電極間には、選択期間tsに印加された電圧Vgs1が保持されている。一方、上述したように、発光駆動トランジスタT23のドレインには発光駆動トランジスタT23を飽和領域で動作させることができる電圧が印加されている。
このため、発光駆動トランジスタT23は、図6(B)に示すように、ゲートとソース間の電圧、すなわち、コンデンサCs2の両方の電極間に保持されている電圧Vgs1に応じて有機EL素子OELのアノード電極に駆動電流Iem1を供給する。このため、駆動電流Iem1は選択期間tsにノードN21を流れた電流Idと同じ電流値を有する。
【0046】
ADC56aは、ノードN23(データラインLd)に印加されている電圧をデジタル信号に変換して判定回路57aに供給する。
判定回路57aは、データラッチ回路53から出力される電圧値データVdataとADC56aによってデジタル信号に変換されたノードN23(データラインLd)の電圧を比較する。判定回路57aは、選択期間tsが終了する直前の時点で、これらの電圧の比較によって抽出される差分の大きさに基づいて、データラインLdに出力された表示信号に応じたデータラインLdの電位の変調の有無を判定する。
【0047】
すなわち、判定回路57aは、電圧値データVdataとデジタル信号に変換されたノードN23(データラインLd)の電圧の値とが概ね等しく、その差分が所定の範囲内にある場合には、データラインLdの電位は変調されていないと判定して、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触していないと判断する。言い換えると、このとき、判定回路57aは、コンデンサCs2は表示信号に対応する電圧を保持していると判定する。
【0048】
一方、電圧値データVdataとデジタル信号に変換されたノードN23(データラインLd)の電圧の値とが異なり、その差分が上記所定の範囲より大きいとき、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定して、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触していると判断する。言い換えると、このときには、判定回路57aは、コンデンサCs2は表示信号に対応する電圧を保持していないと判定する。
【0049】
判定回路57aは、データラインLdの電位が変調されていると判定したとき、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触しているとして、その判定結果を位置検出回路61に出力する。
【0050】
次に、可変素子Ev21の具体的な構造の一例について説明する。可変素子Ev21は、一方の電極がノードN21に接続されている。ノードN21には、発光駆動トランジスタT23のソースも接続されている。
可変素子Ev21の一方の電極と、発光駆動トランジスタT23のソースとを接続した場合の表示画素21の構造の例を図7と図8に示す。図7は、表示画素21の平面図の一例であり、図8は、図7に示すXI−XI間断面図の一例である。図7と図8は、表示画素21がトップエミッション構造である場合の例である。
【0051】
アノード電極121は、有機EL素子OELのアノード電極である。また、コンデンサ電極Cs21は、コンデンサCs2のノードN22に接続されている電極である。表示画素21は、図7に示すように、有機EL素子OELを挟むようにして、左側に第1入力トランジスタT21のソース21sとゲート21gとドレイン21d、および第2入力トランジスタT22のソース22sとゲート22gとドレイン22dが配置されている。また、有機EL素子OELの右側に、発光駆動トランジスタT23のソース23sとゲート23gとドレイン23dが配置されている。
【0052】
第1入力トランジスタT21のソース21sは、コンタクト部143を介して、コンデンサ電極Cs21と接続され、更にコンデンサ電極Cs21を介して発光駆動トランジスタT23のゲート23gと接続されている。
また、第2入力トランジスタT22のドレイン22dは、アノード電極121に接続されており、ソース電極22sは、コンタクト部141を介してデータラインLdに接続されている。また、第2入力トランジスタT22のゲート22gは、コンタクト部142を介して走査ラインLsと接続されている。
第1入力トランジスタT21のドレイン21dと発光駆動トランジスタT23のドレイン23dは、電源ラインLvに接続されている。
発光駆動トランジスタT23のソース23sは、後述するように、コンタクト部144を介して、可変素子Ev21の一方の電極をなす可変素子アノード電極118と接続されている。
なお、コンタクト部141〜144は、異なる層に形成された電極、配線等を上下に導通させるものであり、絶縁膜等に開口を設け、これに導電材料を充填することによって形成される。
【0053】
表示画素21は、図8に示すように、封止基板111と画素基板113の間に形成されている。封止基板111は例えば透明な樹脂材料からなり、人の指やタッチペン等が封止基板111の表面側に接触して圧力が加えられたときに、変形してある程度撓むように構成されている。
画素基板113上には、第2入力トランジスタT22のゲート22gと発光駆動トランジスタT23のゲート23gが形成される。更に、画素基板113上には、コンデンサCs2の一方の電極Cs21と、データラインLdが形成されており、更にこれらを覆うように絶縁膜114が形成される。画素基板113上に形成されたコンデンサ電極Cs21と、絶縁膜114と、アノード電極121とが、表示画素21に含まれるコンデンサCs2として機能する。
【0054】
絶縁膜114は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から形成され、データラインLdと、ゲート22g、ゲート23gと、コンデンサ電極Cs21と、を覆うように画素基板113上に形成される。
【0055】
第1入力トランジスタT21、第2入力トランジスタT22、発光駆動トランジスタT23は、それぞれnチャネル型TFTである。それぞれのトランジスタは、図8に示すように、画素基板113上に形成される。第2入力トランジスタT22は、半導体層221と、保護絶縁膜222と、ドレイン22dと、ソース22sと、オーミックコンタクト層224、225と、ゲート22gと、を備える。また、発光駆動トランジスタT23は、半導体層231と、保護絶縁膜232と、ドレイン23dと、ソース23sと、オーミックコンタクト層234、235と、ゲート23gと、を備える。なお、図示は省略しているが、第1入力トランジスタT21も同様に形成される。
【0056】
各トランジスタT21,T22,T23において、ゲートは、例えば、アルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)またはクロム(Cr)から形成される。また、ドレインとソースはそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCrから形成されている。また、ドレイン及びソースと半導体層との間にはそれぞれ低抵抗性接触のため、オーミックコンタクト層が形成される。
【0057】
アノード電極121は、Al等の光反射性の金属層およびその上に積層されたITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電層の2層構造である。各アノード電極121は隣接する他の表示画素21のアノード電極121と層間絶縁膜115によって絶縁されている。
【0058】
層間絶縁膜115は、絶縁材料、例えばSiN、ポリイミド等から形成される。層間絶縁膜115は、アノード電極121間に形成され、隣接するアノード電極121間を絶縁する。また、層間絶縁膜115はトランジスタT21、T22、T23を覆うように形成される。
表示画素21がインクジェット法で製造される場合、層間絶縁膜115には、図9に示すように、平面形状が略方形の開口115aが形成される。この開口115aによって表示画素21の発光領域が画される。層間絶縁膜115上には更に、隔壁116が形成される。
【0059】
隔壁116は、絶縁材料、例えばポリイミド等から形成され、層間絶縁膜115上に形成される。隔壁116は、隣接する画素間においてアノード電極121上に形成される発光層124の形成時の混色を防止する。
【0060】
正孔注入層122は、アノード電極121上に形成され、発光層124に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層122は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料から構成される。また、有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液としては、例えば導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いる。
【0061】
インターレイヤ123は正孔注入層122上に形成される。インターレイヤ123は、正孔注入層122の正孔注入性を抑制して発光層124内において電子と正孔とを再結合させやすくする機能を有し、発光層124の発光効率を高めるために設けられている。
【0062】
発光層124は、インターレイヤ123上に形成されている。発光層124は、アノード電極121とカソード電極125との間に所定の電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層124は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)をノズルコート法やインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0063】
また、カソード電極125は、導電材料、例えばCa,Ba等仕事関数の低い材料からなる電子注入層と、ITO等の光透過性導電層からなる2層構造である。カソード電極125は、発光層124の上に形成され、更に隔壁116を覆うように形成されている。カソード電極125は、基準電圧Vssに接続される。
【0064】
可変素子アノード電極118は、隔壁116の上に形成されている。可変素子アノード電極118は、絶縁膜117によってカソード電極125と電気的に絶縁されている。
可変素子アノード電極118は、コンタクト部144により、発光駆動トランジスタT23のソース23sと接続される。コンタクト部144は、隔壁116とカソード電極125に開口を設け、これに導電材料を充填することによって形成される。
【0065】
また、可変素子Ev21の他方の電極をなす可変素子カソード電極112は、封止基板111に接して配置される。そして、可変素子カソード電極112は、基準電圧Vssに接続される。
【0066】
表示画素21がインクジェット法で製造される場合、可変素子アノード電極118は、図9に示すように、隔壁116の形状に合わせた開口115aを空けて形成される。
【0067】
可変素子アノード電極118上には複数の絶縁性微粒子131と導電性微粒子132とが配置されている。絶縁性微粒子131は、電気を通さない直径数ミクロンの真球状の微粒子である。絶縁性微粒子131は、誘電率の高い材料でできており、かつ柔軟性を有しており、圧力が加わると変形する。例えば、プラスチックを材料として製造される。可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間に、絶縁性微粒子131を配置することで、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触していないときに、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間隔を均一に保つことができる。
【0068】
導電性微粒子132は、導電性を有し、絶縁性微粒子131よりも小さい真球状の微粒子である。例えば、プラスチックを材料とする微粒子の表面を金メッキすることにより製造される。人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触して封止基板111に圧力が加えられると、絶縁性微粒子131は変形してつぶれ、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112が両方とも導電性微粒子132に接触する。このとき、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112との間の抵抗は極めて小さくなる。
【0069】
可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112は、可変素子Ev21を構成する。可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112は、通常空気層によって絶縁されている。この場合、可変素子Ev21の抵抗は数MΩ以上であり、可変素子Ev21の容量値は無視できる程小さい。この場合、上述したように、可変素子Ev21は有機EL素子OELの発光に影響を及ぼさない。
【0070】
可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間隔に応じて、可変素子Ev21の容量値は変化する。人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触して封止基板111の表面側から表示パネル2aに圧力が加えられると、封止基板111が撓んでへこみ、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間隔が狭くなる。可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間隔が狭くなるに連れて、可変素子Ev21の容量値は増加する。
そして、封止基板111の側から表示パネル2aに更に圧力が加えられると、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112が両方とも導電性微粒子132に接触する。このとき、可変素子Ev21の容量値は極めて小さくなり、同時に可変素子Ev21の抵抗も極めて小さくなる。
このように、可変素子Ev21は、容量値を変化させることができる可変コンデンサ、または抵抗を変化させることができる可変抵抗、または可変コンデンサと可変抵抗の両方として機能する。
ここで、封止基板111の表面側から表示パネル2aに圧力を加えることを、表示パネル2aに圧力を加えるということとする。
【0071】
なお、図7〜図9では、可変素子Ev21の一方の電極と、発光駆動トランジスタT23のソースとを接続した場合の表示画素21の構造の例を示したが、可変素子Ev21の一方の電極と、第2入力トランジスタT22のドレインとを接続しても良い。
【0072】
上述したように、表示パネル2aに圧力が加えられ、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間隔が狭くなるに連れて、可変素子Ev21の容量値が増加し、可変素子Ev21がコンデンサとして機能し始める。
【0073】
次に、本実施形態の有機EL表示装置1aにおいて、表示パネル2aに人の指やタッチペン等が接触して圧力が加えられたときの動作について説明する。
まず、表示パネル2aに加えられた圧力が弱く、可変素子Ev21の容量値の値がそれほど大きくない場合について説明する。図10は、可変素子Ev21がコンデンサとして機能し始めた場合の表示画素21の各部の電圧または電流の一例を示す図である。図10(A)および図10(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図10(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN23の電圧を示す。また、図10(D)は、判定回路57aの出力を示す。図10(E)は、発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs2の両方の電極間の電圧)を示し、図10(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。また、図11は、可変素子Ev21がコンデンサとして機能しているときの、可変素子Ev21とコンデンサCs2の充電動作に係わる等価回路を示す。
【0074】
選択期間tsに、走査ドライバ3は、図10(A)に示すように、走査ラインLsにハイレベルの電圧Vhighの走査パルスを出力する。このため、第1入力トランジスタT21のソースとドレイン間が導通する。このとき、電源ドライバ4aは、図10(B)に示すように、電源ラインLvに基準電圧Vssを出力している。このため、ノードN22の電圧は基準電圧Vssとなる。ここで、コンデンサCs2はノードN21とノードN22の間に接続されている。
一方、可変素子Ev21は、一方の電極がノードN21に接続されており、他方の電極に基準電圧Vssが印加されている。このため、コンデンサCs2と可変素子Ev21は、選択期間tsには、図11の等価回路に示すように、ノードN23と基準電圧Vssの間に並列に接続された並列回路を構成する。そのため、コンデンサCs2の容量値をC1、可変素子Ev21の容量値をC2としたとき、ノードN23と基準電圧Vssの間に設けられる容量の容量値Ct1は容量値C1と容量値C2とを合計した値となる。
【0075】
従って、データドライバ5aが負の階調電圧(−Vd’)をデータラインLdに出力するとき、この電圧が可変素子Ev21を含む容量値Ct1の充電にも使われることになる。このとき、図11に示すように、検出用抵抗55と容量値Ct1を有する容量とは直列に接続されて、いわゆるCR回路をなしている。そして、検出用抵抗55の一端にDAVC54aから出力される電圧(-Vd)が印加されたとき、検出用抵抗55の他端(ノードN23)の電圧V(N23)は、検出用抵抗55の抵抗値をRとしたとき、電圧(-Vd)の印加開始からの時間をt、抵抗値Rと容量値Ct1との積を時定数τ、として、式(1)で表される。
【0076】
【数1】

【0077】
すなわち、図10(C)に示すように、ノードN23の電圧V(N23)の変化は、DAVC54aからの電圧(-Vd)の印加に対して、時定数τの大きさに応じて遅延したものとなる。このため、図12(A)に示す、発光駆動トランジスタT23のドレインとソース間を介してデータドライバ5aのDAVC54aに引き込まれる電流Id2の電流値は、DAVC54aから電圧(-Vd)が印加された直後では、図6(A)における電流Idより小さく、徐々に増加するものとなる。これに応じて、発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgsの上昇も、図10(E)に示すように、遅延したものとなり、選択期間tsが終了する時点で、電圧Vgs2となる。
ただし、可変素子Ev21の容量値が比較的小さく、図10(C)に示すように、選択期間tsの間に、ノードN23の電圧V(N23)の電圧が、図5(C)における電圧(Vss−Vd’)に概ね達する場合には、図10(E)に示すように、選択期間tsの間に、コンデンサCs2の両方の電極間の電圧(発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧)Vgs2は、図5(D)における、発光駆動トランジスタT23のドレインとソース間に電流Idが流れるときの電圧Vgs1に概ね等しくなる。また、図10(F)と図12(B)に示すように、発光期間teにおいて有機EL素子OELに供給される電流Iem2は、図5(E)における電流Iem1と概ね同じ電流値を有する。
【0078】
判定回路57aは、図10(D)に示すように、選択期間tsが終了する直前の電圧測定タイミングtmで、デジタル信号に変換されたノードN23(データラインLd)の電圧を取得し、ノードN23(データラインLd)の電圧とデータラッチ回路53から出力される電圧値データVdataを比較する。この場合、電圧測定タイミングtmでのノードN23の電圧は電圧値データVdataに対応する電圧(-Vd)に概ね等しいため、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていないと判定し、Lowを出力する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs2が表示信号を保持していると判定する。
【0079】
次に、表示パネル2aに更に圧力が加えられて、可変素子Ev21の容量値が更に増加した場合について説明する。
図13は、このときの画素駆動回路21Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図13(A)および図13(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図13(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN23の電圧を示す。また、図13(D)は、判定回路57aの出力を示す。図13(E)は、発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs2の両方の電極の電圧)を示し、図13(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。
【0080】
図13(A)と図13(B)に示す走査ラインLsと電源ラインLvの電圧はそれぞれ図10(A)と図10(B)に示したものと同一であるため、説明を省略する。
【0081】
可変素子Ev21の容量値が更に増加すると、上記式(1)に示した時定数が更に増加する。このため、図13(C)に示すように、ノードN23の電圧の変化は、図10(C)の場合より更に遅延したものとなり、選択期間tsが終了する時点で、図5(C)における電圧(Vss−Vd’)に達しなくなる。このため、図14(A)に示す、発光駆動トランジスタT23のドレインとソース間を介してデータドライバ5aのDAVC54aに引き込まれる電流Id3の電流値は、図12(A)における電流Id2より更に小さくなる。これに応じて、図13(E)に示すように、発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgsも、図10(E)の場合よりゆっくりと上昇し、選択期間tsが終了する時点で、電圧Vgs3となる。電圧Vgs3は、図10(E)の場合のVgs2より小さい値となる。また、図13(E)と図14(B)に示すように、発光期間teにおいて有機EL素子OELに供給される電流Iem3は、図10(F)及び図12(B)における電流Iem2より小さい電流値を有する。
【0082】
この場合、電圧測定タイミングtmでのノードN23の電圧は電圧値データVdataに対応する電圧(-Vd)より低いため、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定し、Highを出力する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs2が表示信号を保持していないと判定する。
【0083】
判定回路57aは、データラインLdの電位が変調されていると判定すると、有機EL表示装置1aの位置検出回路61に、データラインLdの電位が変調されていると判定したデータラインの番号(1〜mのいずれか)を送る。
位置検出回路61はこの番号を受信すると、走査ドライバ3が走査パルスを出力していた走査ラインの番号(1〜nのいずれか)を取得する。走査ラインの番号は、例えば、走査ドライバ3が走査ラインLs1に最初の走査パルスを出力してから、判定回路57aによってデータラインLdの電位が変調されていると判定されるまでに、走査ドライバ3に印加されるクロック信号のパルス数をカウントすることによって、知ることができる。あるいは、走査ラインの番号は、走査ドライバ3が走査ラインLs1に最初の走査パルスを出力してから、判定回路57aによってデータラインLdの電位が変調されていると判定されるまでに、走査ドライバ3が走査ラインLs2〜Lsnに順次出力する走査パルスの数をカウントすることによって知ることができる。
【0084】
位置検出回路61は、取得したデータラインの番号と走査ラインの番号を、圧力が加えられている表示パネル2aの位置として特定する。ただし、例えば、人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れると、同時に複数のデータラインの番号と走査ラインの番号が特定される場合がある。この場合、位置検出回路61は、例えば、複数のデータラインの番号と走査ラインの番号により特定される表示パネル2aの複数の位置を人の指やタッチペンが触れた複数の位置として特定するものであってもよい。あるいは、位置検出回路61は、複数のデータラインの番号と走査ラインの番号により特定されるエリアの中心を人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れた位置とするものであってもよい。このようにして、取得したデータラインの番号と走査ラインの番号によって、人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れた位置を決めることができる。
【0085】
次いで、表示パネル2aに更に圧力が加えられて、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112が両方とも導電性微粒子132に接触した場合について説明する。
このとき、可変素子Ev21の抵抗が極めて小さくなり、コンデンサCs2と可変素子Ev21で構成される回路のインピーダンスが低下する。このため、図15(A)に示すように、選択期間tsにDAVC54aに引き込まれる電流Idは、主に基準電圧Vssから可変素子Ev21を通って流れる。なお、このとき、ダイオード接続状態とされた発光駆動トランジスタT23のドレイン・ソース間にも有る程度の電流が流れるが、通常、発光駆動トランジスタT23のドレイン・ソース間は少なくとも1KΩ以上の比較的高い抵抗値を有するため、可変素子Ev21の抵抗値がほぼ0とみなせる場合には、基準電圧Vssから可変素子Ev21を通って流れる電流に対して発光駆動トランジスタT23のドレイン・ソース間に流れる電流は、ほぼ無視できる程度の電流値となる。この場合、ノードN23(データラインLd)の電圧は基準電圧Vssに近づく。そして、可変素子Ev21の抵抗値がほぼ0とみなせる場合には、ノードN23(データラインLd)の電圧は基準電圧Vssにほぼ等しくなる。
【0086】
図16は、画素駆動回路21Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図16(A)および図16(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図16(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN23の電圧を示す。また、図16(D)は、判定回路57aの出力を示す。図16(E)は、発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs2の両方の電極間の電圧)を示し、図16(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。
【0087】
図16(A)と図16(B)に示す走査ラインLsと電源ラインLvの電圧はそれぞれ図10(A)と図10(B)に示したものと同一であるため、説明を省略する。
【0088】
図16(E)に示すように、選択期間tsに発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgs4は概ね0Vになり、図16(C)に示すように、ノードN23(データラインLd)の電圧はほぼ基準電圧Vssに等しくなる。また、図15(B)と図16(E)に示すように、発光期間teに有機EL素子OELに供給される電流Iem4はほぼゼロになり、有機EL素子OELは発光しない。
【0089】
この場合、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定し、Highを出力する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs2が表示信号を保持していないと判定する。
【0090】
判定回路57aは、データラインLdの電位が変調されていると判定すると、有機EL表示装置1aの位置検出回路61に、データラインLdの電位が変調されていると判定したデータラインの番号(1〜mのいずれか)を送る。位置検出回路61は、受け取ったデータラインの番号と、そのとき走査ドライバ3が走査パルスを出力していた走査ラインの番号を、圧力が加えられている表示パネル2aの位置として特定する。特定された位置によって、人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れた位置を知ることができる。
また、このとき、同時に複数のデータラインの番号と走査ラインの番号が特定される場合がある。この場合、位置検出回路61は、例えば、複数のデータラインの番号と走査ラインの番号により特定される表示パネル2aの複数の位置を人の指やタッチペンが触れた複数の位置として特定するものであってもよい。あるいは、位置検出回路61は、複数のデータラインの番号と電源ラインの番号により特定されるエリアの中心を人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れた位置とするものであってもよい。
【0091】
なお、可変素子Ev21は本発明の可変素子の一例であり、画素駆動回路21Dは本発明の画素駆動回路の一例であり、判定回路57aは本発明の判定回路の一例である。
【0092】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置1bについて説明する。有機EL表示装置1bは、図17に示すように、表示パネル2bと、走査ドライバ3と、電源ドライバ4bと、データドライバ5bと、システムコントローラ6と、表示信号生成回路7とを有している。
表示パネル2bは、図18に示すように、表示画素22を含む。表示画素22に含まれる画素駆動回路22Dは、2個のトランジスタで構成される点で、第1の実施形態の画素駆動回路21Dと異なっている。このため、電源ドライバ4bとデータドライバ5bも図1の電源ドライバ4aとデータドライバ5aと異なっている。図1と図17における同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0093】
表示画素22は、図18に示すように、画素駆動回路22Dと有機EL素子OELとを有している。
画素駆動回路22Dは、入力トランジスタT31と、発光駆動トランジスタT32と、コンデンサCs3と、可変素子Ev31とを含む。
入力トランジスタT31と発光駆動トランジスタT32は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを用いたnチャネル型TFTである。
【0094】
入力トランジスタT31は、ゲートが走査ラインLsに接続され、ソースがノードN31に接続され、ドレインがデータラインLdに接続されている。
発光駆動トランジスタT32は、ゲートがノードN31に接続され、ソースがノードN32に接続され、ドレインが電源ラインLvに接続されている。
【0095】
また、コンデンサCs3は、ノードN31とノードN32の間、すなわち、発光駆動トランジスタT32のゲートとソースの間に接続されている。
可変素子Ev31は、一方の電極がノードN31に接続され、他方の電極に基準電圧Vssが印加されている。可変素子Ev31は、第1の実施形態のEV21と同様に容量値を変化させることができる可変コンデンサ、または抵抗を変化させることができる可変抵抗、または可変コンデンサと可変抵抗の両方として機能する可変素子である。
有機EL素子OELのアノード電極は、ノードN32に接続され、カソード電極には基準電圧Vssが印加されている。
【0096】
データドライバ5bは、図18に示すように、データラッチ回路53と、デジタル電圧/アナログ電流変換回路(DAVC)54bと、検出用抵抗55と、ADC56bと、判定回路57aとを有している。データドライバ5bは、その他に、図18には示されていないシフトレジスタ回路51と、データレジスタ回路52とを有している。
図18のデータドライバ5bは、正の階調電圧Vdを出力する点で図4のデータドライバ5aと異なる。図4のデータドライバ5aと図18のデータドライバ5bにおける同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0097】
表示データは、第1の実施形態と同様に、デジタル信号である電圧値データVdataで指定される。電圧値データVdataが例えば8ビットのデジタル信号である場合、有機EL素子OELの発光の階調は256階調である。
第1の実施形態では、DAVC54aがデータラッチ回路53から供給された電圧値データVdataをアナログ電圧である負の階調電圧(−Vd)に変換したのに対し、本実施形態では、DAC54bは電圧値データVdataを正の階調電圧Vdに変換する。
正の階調電圧Vdは検出用抵抗55を介してノードN33(データラインLd)に印加される。
【0098】
ADC56bは、ノードN33(データラインLd)に印加されている電圧をデジタル信号に変換して判定回路57aに供給する。
判定回路57aは、選択期間tsが終了する直前の測定タイミングtmで、ADC56bによってデジタル信号に変換されたノードN33(データラインLd)の電圧を取得し、取得したノードN33(データラインLd)とデータラッチ回路53から出力される電圧値データVdataの電圧を比較する。判定回路57aは、選択期間tsが終了する直前の時点で、これらの電圧の比較によって抽出される差分の大きさに基づいてデータラインLdの電位の変調の有無を判定する。判定回路57aにおける判定方法は第1の実施形態と同様である。
【0099】
本実施形態の有機EL表示装置1bでは、走査ドライバ3と電源ドライバ4bは図19に示すように動作する。
走査ドライバ3の動作は第1の実施形態と同様である。すなわち、走査ドライバ3は、図19(A)〜(D)に示すように、システムコントローラ6から供給される走査制御信号に基づいて、走査ラインLs1から走査ラインLsnまで選択期間tsの間ハイレベルの電圧Vhighとなる走査パルスを順次出力し、走査ラインLs1〜Lsnに接続された表示画素22を順次選択する。
【0100】
電源ラインLv1〜Lvnは、図17に示すように、共通のノードN11に接続される。
電源ドライバ4bは、第1の実施形態の電源ドライバ4aと異なり、図19(E)に示すように、ノードN11を介して電源ラインLv1〜Lvnに基準電圧Vssより高いレベルの電源電圧Vccを常時出力する。
【0101】
図20は、画素駆動回路22Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図20(A)および図20(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図20(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN33の電圧を示す。また、図20(D)は、判定回路57aの出力を示す。図20(E)は、発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs3の両方の電極間の電圧)を示し、図20(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。
【0102】
本実施形態の有機EL表示装置1bにおいて、人の指やタッチペン等が表示パネル2bに接触していないときには、可変素子Ev31の容量値は無視できる程度に小さく、抵抗の大きさは十分に大きく無限大であると見なすことができる。この場合、走査ドライバ3と電源ドライバ4bとデータドライバ5bは図20に示すように動作し、表示パネル2bに画像が表示される。
【0103】
まず、選択期間tsに、電圧値データVdataの階調値に対応する電圧が表示画素22に書き込まれる。
選択期間tsに、走査ドライバ3は、図20(A)に示すように、走査ラインLsに基準電圧Vssより高いハイレベルの電圧Vhighの走査パルスを出力する。走査ラインLsに走査パルスが出力されると、入力トランジスタT31のソースとドレイン間が導通する。電源ドライバ4bは、図20(B)に示すように、電源ラインLvに、基準電圧Vssより高い電源電圧Vccを常時出力している。
【0104】
DAVC54bは、電圧値データVdataの階調値に対応する階調電圧Vdを出力する。階調電圧Vdは検出用抵抗55を介してノードN33(データラインLd)に印加される。
ノードN33(データラインLd)に印加された電圧は、入力トランジスタT31のドレインとソース間を通って、発光駆動トランジスタT32のゲートに印加される。データラインLdには殆ど電流は流れないため、ノードN33(データラインLd)の電圧は、図20(C)に示すように、階調電圧Vdにほぼ等しくなる。
発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間には、コンデンサCs3が接続されている。発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間に印加される電圧(コンデンサCs3の両方の電極間に印加される電圧)Vgs5は、有機EL素子OELのアノード電極とカソード電極間の電圧をVoelとしたとき、図20(E)と図21(A)に示すように、電圧Vd―Voelとなる。
【0105】
このとき、有機EL素子OELのカソード電極に印加されている電圧は基準電圧Vssであるため、図20(F)と図21(A)に示すように、発光駆動トランジスタT32は、コンデンサCs3の両方の電極間に保持されている電圧Vd―Voelに応じた駆動電流Iem5を有機EL素子OELのアノード電極に供給する。有機EL素子OELはこの駆動電流Iem5の電流値に応じた輝度で発光する。
【0106】
次に、発光期間teにおいて、走査ドライバ3は、図20(A)に示すように、走査ラインLsに基準電圧Vss以下のローレベルの電圧Vlowを出力する。このため、入力トランジスタT31のソースとドレイン間は非導通となる。
【0107】
入力トランジスタT31のソースとドレイン間が導通していないため、ノードN31はフローティング状態である。図20(E)と図21(B)に示すように、コンデンサCs3の両方の電極間には、選択期間において書き込まれた電圧Vgs5(Vd―Voel)が保持されている。
これにより、図20(F)と図21(B)に示すように、発光駆動トランジスタT32は、コンデンサCs3の両方の電極間に保持されている電圧Vgs5(Vd―Voel)に応じた駆動電流Iem5を有機EL素子OELのアノード電極に継続して供給し、有機EL素子OELはこの駆動電流Iem5に応じて継続して発光する。
【0108】
判定回路57aは、図20(D)に示すように、選択期間tsが終了する直前の電圧測定タイミングtmで電圧値データVdataとノードN33(データラインLd)の電圧を比較し、比較による差分の大きさに基づいて、データラインLdに出力された表示信号に応じたデータラインLdの電位の変調の有無を判定する。
この場合、判定回路57aは、電圧値データVdataとノードN33(データラインLd)の電圧とが概ね等しく、その差分が比較的小さく所定の範囲内にあるため、データラインLdの電位は変調されていないと判定する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs3が表示信号を保持していると判定する。
【0109】
次に、本実施形態において、表示パネル2bに人の指やタッチペン等によって圧力が加えられたときの動作について説明する。
表示パネル2bに圧力が加えられ、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112の間隔が狭くなるに連れて、可変素子Ev31は、その容量値が増加し、コンデンサとして機能し始める。
【0110】
まず、表示パネル2bに加えられた圧力が弱く、可変素子Ev31の容量値がそれほど大きくない場合について説明する。図22は、可変素子Ev31がコンデンサとして機能し始めた場合の画素駆動回路22Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図22(A)および図22(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図22(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN33の電圧を示す。また、図22(D)は、判定回路57aの出力を示す。図22(E)は、発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs3の両方の電極間の電圧)を示し、図22(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。また、図23は、可変素子Ev31がコンデンサとして機能しているときの、可変素子Ev31とコンデンサCs3及び有機EL素子OELの容量成分の充電動作に係わる等価回路を示す。
【0111】
図22(A)と図22(B)に示す走査ラインLsと電源ラインLvの電圧はそれぞれ図20(A)と図20(B)に示したものと同一であるため、説明を省略する。
【0112】
DAVC54bは、選択期間tsに、電圧値データVdataの階調値に対応する階調電圧Vdを出力する。階調電圧Vdは、検出用抵抗55を介してノードN33(データラインLd)に印加される。
このとき、図23の等価回路に示すように、コンデンサCs3と有機EL素子OELとが直列に接続された回路と可変素子Ev31とは、ノードN33(データラインLd)と基準電圧Vssの間に並列に接続された並列回路を構成する。そのため、コンデンサCs3と有機EL素子OELの容量成分とが直列接続された容量の容量値をC3、可変素子Ev31の容量値をC4としたとき、ノードN33と基準電圧Vssの間に設けられる容量の容量値Ct2は容量値C3と容量値C4とを合計した値となる。
【0113】
従って、データドライバ5bが階調電圧VdをデータラインLdに出力するとき、この電圧が可変素子Ev31を含む容量値Ct2の充電にも使われることになる。このとき、図23に示すように、検出用抵抗55と容量値Ct2を有する容量とは直列に接続されている。そして、検出用抵抗55の一端にDAVC54bから出力される電圧(Vd)が印加されたとき、検出用抵抗55の他端(ノードN33)の電圧V(N33)は、検出用抵抗55の抵抗値をRとしたとき、電圧(Vd)の印加開始からの時間をt、抵抗値Rと容量値Ct2との積を時定数τ、として、式(2)で表される。
【0114】
【数2】

【0115】
すなわち、図22(C)に示すように、ノードN33の電圧V(N33)の変化は、DAVC54bからの電圧(Vd)の印加に対して、時定数τの大きさに応じて遅延したものとなる。これによって、図20(E)に示すように、発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間Vgsの電圧の上昇も遅延したものとなる。
ただし、可変素子Ev31の容量値が比較的小さく、図22(C)に示すように、選択期間tsの間に、ノードN33(データラインLd)の電圧が階調電圧Vdにほぼ達する場合には、選択期間tsの終了時における発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs6は、図22(E)に示すように、図20(E)における電圧Vgs5にほぼ等しくなる。このため、有機EL素子OELは、図22(F)に示すように、発光期間teにおいては、図20(F)とほぼ同じ輝度で発光する。
【0116】
このため、図22(F)に示すように、発光期間teに、発光駆動トランジスタT32は、コンデンサCs3の両方の電極間に保持されている電圧Vd―Voelに応じた駆動電流Iem6を有機EL素子OELのアノード電極に供給する。有機EL素子OELはこの駆動電流Iem6の電流値に応じた輝度で発光する。駆動電流Iem6は図20(F)に示した駆動電流Iem5とほぼ等しいため、有機EL素子OELは、発光期間teに、図20(F)の場合とほぼ同じ輝度で発光する。
【0117】
この場合、選択期間tsが終了する直前の電圧測定タイミングtmにおいてノードN33(データラインLd)の電圧は階調電圧Vdに概ね等しいため、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていないと判定し、Lowを出力する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs3が表示信号を保持していると判定する。
【0118】
次に、表示パネル2bに更に圧力が加えられて、可変素子Ev31の容量値が更に増加した場合について説明する。
図24は、この場合の画素駆動回路22Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図24(A)および図24(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図24(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN33の電圧を示す。また、図24(D)は、判定回路57aの出力を示す。図24(E)は、発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs3の両方の電極間の電圧)を示し、図24(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。
【0119】
図24(A)と図24(B)に示す走査ラインLsと電源ラインLvの電圧はそれぞれ図20(A)と図20(B)に示したものと同一であるため、説明を省略する。
【0120】
図24(C)に示すように、可変素子Ev31の容量値が更に大きくなると、上記式(2)に示した時定数が更に増加する。このため、ノードN33(データラインLd)の電圧の変化は、図22(C)の場合より更に遅延したものとなり、選択期間tsが終了するまでに、ノードN33(データラインLd)の電圧が階調電圧Vdに達しなくなる。これに応じて、図24(E)に示すように、発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs7も、図22(E)の場合より変化が更に遅延したものとなり、発光期間teにおける発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs7は、図22(E)に示す電圧Vgs6より低いものとなる。このため、発光期間teに有機EL素子OELのアノード電極に供給される駆動電流Iem7は、図24(F)に示すように、図22(F)の場合のIem6より小さくなり、有機EL素子OELは、発光期間teにおいて、図22(F)の場合より低い輝度で発光する。
【0121】
この場合、選択期間tsが終了する直前の電圧測定タイミングtmにおいてノードN33(データラインLd)の電圧は階調電圧Vdより低い電圧となる。このため、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定し、図24(D)に示すようにHighを出力する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs3が表示信号を保持していないと判定する。
【0122】
判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定すると、有機EL表示装置1bの位置検出回路61に、表示信号は変調されていると判定したデータラインの番号(1〜mのいずれか)を送る。
位置検出回路61は、受け取ったデータラインの番号と、そのとき走査ドライバ3が走査パルスを出力していた走査ラインの番号を、圧力が加えられている表示パネル2bの位置として特定する。特定された位置によって、人の指やタッチペンが表示パネル2bに触れた位置を知ることができる。
【0123】
次いで、表示パネル2bに更に圧力が加えられて、可変素子アノード電極118と可変素子カソード電極112が両方とも導電性微粒子132に接触した場合について説明する。
この場合、可変素子Ev31の容量値は極めて小さくなり、同時に可変素子Ev31の抵抗も極めて小さくなる。このとき、図25(A)に示すように、DAVC54bから出力される階調電圧VdによってデータラインLdに流れる電流は、主にデータドライバ5bから可変素子Ev31を通って基準電圧Vssへ流れる。
【0124】
図26は、この場合の画素駆動回路22Dの各部の電圧または電流の一例を示す図である。図26(A)および図26(B)は、それぞれ走査ラインLsおよび電源ラインLvの電圧を示す。図26(C)は、検出用抵抗55とデータラインLdの接続点であるノードN33の電圧を示す。また、図26(D)は、判定回路57aの出力を示す。図26(E)は、発光駆動トランジスタT32のゲートとソース間の電圧Vgs(すなわち、コンデンサCs3の両方の電極間の電圧)を示し、図26(F)は有機EL素子OELに流れる電流Ioelを示す。
【0125】
図26(A)と図26(B)に示す走査ラインLsと電源ラインLvの電圧はそれぞれ図20(A)と図20(B)に示したものと同一であるため、説明を省略する。
【0126】
可変素子Ev31の抵抗が極めて小さいため、ノードN33(データラインLd)の電圧は、図26(C)に示すように、ほぼ基準電圧Vssに等しくなる。また、図26(E)に示すように、発光駆動トランジスタT23のゲートとソース間の電圧Vgs8はほぼ0Vである。
【0127】
また、ノードN31の電圧はほぼ基準電圧Vssに等しいため、発光駆動トランジスタT32のソースとドレイン間は非導通であり、発光期間teに有機EL素子OELのアノード電極に供給される駆動電流Iem8は、図25(B)と図26(F)に示すように、ほぼ0Aである。このため、発光期間teに、有機EL素子OELは発光しない。
【0128】
この場合、選択期間tsが終了する直前の電圧測定タイミングtmにおいてノードN33(データラインLd)の電圧は、ほぼ基準電圧Vssであるため、判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定し、図26(D)に示すようにHighを出力する。言い換えると、判定回路57aは、コンデンサCs3が表示信号を保持していないと判定する。
【0129】
判定回路57aは、データラインLdの電位は変調されていると判定すると、有機EL表示装置1bの位置検出回路61に、データラインLdの電位が変調されていると判定したデータラインの番号(1〜mのいずれか)を送る。位置検出回路61は、受け取ったデータラインの番号と、そのとき走査ドライバ3bが走査パルスを出力していた走査ラインの番号を、圧力が加えられている表示パネル2bの位置として特定する。特定された位置によって、人の指やタッチペンが表示パネル2bに触れた位置を知ることができる。
【0130】
なお、有機EL表示装置1bは本発明の表示装置の一例であり、表示パネル2bは本発明の表示パネルの一例であり、表示画素22は本発明の表示画素の一例であり、走査ドライバ3とデータドライバ5bは本発明の駆動回路の一例であり、データラッチ回路53とDAVC54bは本発明の階調電圧生成回路の一例であり、可変素子Ev31は本発明の可変素子の一例であり、画素駆動回路22Dは本発明の画素駆動回路の一例である。
【0131】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置1cについて説明する。有機EL表示装置1cは、図27に示すように、表示パネル2aと、走査ドライバ3と、電源ドライバ4aと、データドライバ5cと、システムコントローラ6と、表示信号生成回路7とを有している。
有機EL表示装置1cは、システムコントローラ6が表示データに対応する表示信号を電流値で指定する点で図1に示した有機EL表示装置1aと異なっている。この差異により、データドライバ5cの構成は、有機EL表示装置1aに含まれるデータドライバ5aと異なる。この点を除いて、有機EL表示装置1cは有機EL表示装置1aと同一の構成を有する。図1と図27における同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0132】
データドライバ5cは、図28に示すように、シフトレジスタ回路51と、データレジスタ回路52と、データラッチ回路53と、デジタル電流/アナログ電流変換回路(DAIC)54cとを有している。データドライバ5cは、更に、図29に示すように、ADC56aと判定回路57bとを有している。
データドライバ5cにおけるシフトレジスタ回路51とデータレジスタ回路52とデータラッチ回路53とADC56aとの構成は、データドライバ5aのものと同一である。
以下に、データドライバ5cとデータドライバ5aとの異なる点について説明する。
【0133】
システムコントローラ6は、有機EL素子OELの発光の階調を、デジタル信号である電流値データIdataで指定する。電流値データIdataが例えば8ビットのデジタル信号である場合、発光の階調は256階調である。
DAIC54cは、例えば、基準電流を元に多段のミラー回路を用いて電流値データIdataに対応する負の階調電流(−Id)を生成してデータラインLdに出力する。すなわち、DAIC54cは、DAIC54cが接続されているデータラインLdから電流Idを吸い込む。有機EL素子OELは、電流Idの電流値に応じた電圧に基づいて発光する。
【0134】
人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触していないとき、第1の実施形態と同様に、可変素子Ev21は、その容量値が無視できる程度に小さく、抵抗の大きさが十分に大きく無限大であると見なせる。この場合、ノード23(データラインLd)には、負の階調電流−Idに応じた負の階調電圧(−Vd’)が生じる。
人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れて、可変素子Ev21の容量値の値が増加すると、DAIC54cからデータラインLdに出力される階調電流(−Id)の一部が可変素子Ev21の充電のために使われて、発光駆動トランジスタT23のドレインとソース間に流れる電流が階調電流(−Id)より減少する。これによって、第1の実施形態と同様に、表示パネル2aに加えられる圧力に応じてデータラインLdの電位が変調される。
従って、本実施形態に係る判定回路57bは、第1の実施形態に係る判定回路57aと同様の方法でノードN23(データラインLd)の電圧を調べることにより、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触しているか否かを判定し、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触している場合には、その位置を特定することができる。
【0135】
具体的には、例えば、有機EL表示装置1cの出荷時等に、256階調の全ての階調に対応する電流値データIdataについてノードN23(データラインLd)に生じる電圧との対応を測定して、その対応関係を図示しないテーブル(メモリ)に記憶する。
画像を表示パネル2aに表示する時、判定回路57bは、データラッチ回路53から出力される電流値データIdataを電圧値のデータに変換する。そして、判定回路57bは、電流値データIdataとノードN23(データラインLd)に生じる電圧の対応関係が記憶されたテーブルを参照して、データラッチ回路53から出力される電流値データIdataを電圧値のデータに変換する。判定回路57bは、この電圧値のデータとADC56aによってデジタル信号に変換されたノードN23b(データラインLd)の電圧とを比較する。判定回路57bは、選択期間tsが終了する直前の時点で、これらの電圧の比較によって抽出される差分の大きさに基づいて、データラインLdに出力された表示信号に応じたデータラインLdの電位の変調の有無を判定する。
【0136】
発光駆動トランジスタT23は、駆動履歴に応じてそのしきい値電圧Vthが増大することがある。特に、トランジスタとしてアモルファスシリコンTFTを使用した場合、しきい値電圧Vthの変動が比較的大きい。
このため、同一の電流値データIdataで有機EL素子OELの発光の階調を指定しても、有機EL表示装置1cの稼動時間が長くなるにつれてノードN23(データラインLd)に生じる電圧は増大する。
しかし、発光駆動トランジスタT23のしきい値電圧Vthが増大した場合であっても、表示パネル2aに加えられる圧力が大きいと、判定回路57bは人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れたことを判断することができる。このため、発光駆動トランジスタT23のしきい値電圧Vthの変化は、判定回路57bによる人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触しているか否かの判定に大きな影響は及ぼさない。
【0137】
また、例えば、有機EL表示装置1cの電源を投入するごとに、256階調の全ての階調に対応する電流値データIdataについてノードN23(データラインLd)の電圧を測定して、電流値データIdataと電圧値のデータの対応関係を示すテーブル(メモリ)を更新しても良い。判定回路57bは、この更新されたテーブルを参照して、データラッチ回路53から出力される電流値データIdataを電圧値のデータに変換することにより、発光駆動トランジスタT23のしきい値電圧Vthが増大した場合であっても、人の指やタッチペンが表示パネル2aに触れたことを正確に判定することができる。
【0138】
なお、有機EL表示装置1cは本発明の表示装置の一例であり、走査ドライバ3とデータドライバ5cは本発明の駆動回路の一例であり、データラッチ回路53とDAIC54cは本発明の階調電流生成回路の一例である。
【0139】
<第1の実施形態と第2の実施形態の変形例>
例えば、図30に示すように、データドライバ5aとデータドライバ5bに含まれる検出用抵抗55をバイパスするためのバイパススイッチ58を設けても良い。
タッチパネル機能を使用しない場合には、バイパススイッチ58をオンとすることによって、検出用抵抗55をバイパスしてDAVC54aから出力される電圧をノードN23(データラインLd)に直接印加する。
一方、タッチパネル機能を使用する場合には、バイパススイッチ58をオフにして検出用抵抗55を介してDAVC54aから出力される電圧をノードN23(データラインLd)に印加する。この場合、バイパススイッチ58をオンとしたときと同等の電圧がノードN23(データラインLd)に印加されるように、DAVC54aは検出用抵抗55で生じる電圧降下を考慮した電圧を出力する。
タッチパネル機能を使用しない場合にはバイパススイッチ58をオンにすることにより、検出用抵抗55で消費される電力を削減することができる。
【0140】
なお、上記各実施形態で示した駆動回路やデータドライバ等の構成は一例に過ぎず、異なる構成の駆動回路やデータドライバ等であっても同様に適用することができる。
また、上記実施形態に示した可変素子Ev21の構造は一例であり、他の様々な構造とすることができる。
【0141】
更に、第1の実施形態と第3の実施形態では、位置検出回路61は、走査ドライバ3が走査パルスを出力していた走査ラインLs1〜Lsnと、データドライバ5aが表示信号を出力していたデータラインLd1〜Ldmに基づいて、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触した位置を特定するとしたが、位置検出回路61は、電源ドライバ4aが基準電圧Vssを出力していた電源ラインLv1〜Lvnと、データドライバ5aが表示信号を出力していたデータラインLd1〜Ldmに基づいて、人の指やタッチペン等が表示パネル2aに接触した位置を特定しても良い。
【0142】
また、上記各実施形態では、表示画素21がトップエミッション構造である例を示したが、表示画素21はボトムエミッション構造であっても良い。ただし、ボトムエミッション構造の場合には、画素基板113の側から表示パネルに圧力を加えることを、表示パネルに圧力を加えるという。
【0143】
以上説明したように、本発明によれば、有機EL素子を有する表示装置において、有機EL素子を駆動制御して画像表示を行う表示画素に、人の指やタッチペン等が表示パネルに接触したときの圧力によって容量値や抵抗値が変化する可変素子を形成する構成を付加することによって、位置を入力するためのタッチパネル機能を付加することができる。本発明に係る表示装置は、タッチパネルを積層して配置するものではないため、タッチパネル機能を有しながら、表示された画像のコントラストの低下を抑えることができるとともに、タッチパネル機能を付加するための実装面積を削減することができる。
【0144】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の一例を示す図である。
【図2】走査ラインに順次出力される走査パルスと電源ラインに順次出力される電圧の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画素駆動回路とデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図6】選択期間と発光期間に画素駆動回路を流れる電流の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る表示画素の平面図の一例である。
【図8】図7に示すXI−XI間断面図の一例である。
【図9】可変素子アノード電極の形状の一例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子がコンデンサとして機能し始めた場合の画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子がコンデンサとして機能しているときの要部の等価回路を示す図である。
【図12】可変素子がコンデンサとして機能し始めた場合に、選択期間と発光期間に画素駆動回路を流れる電流の一例を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子の容量値が更に増加した場合の画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図14】可変素子の容量値が更に増加した場合に、選択期間と発光期間に画素駆動回路を流れる電流の一例を示す図である。
【図15】可変素子の抵抗が極めて小さくなった場合に、選択期間と発光期間に画素駆動回路を流れる電流の一例を示す図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子の抵抗が極めて小さくなった場合の画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置の一例を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路とデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図19】走査ラインに順次出力される走査パルスと電源ラインに出力される電圧の一例を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図21】選択期間と発光期間に画素駆動回路を流れる電流の一例を示す図である。
【図22】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子がコンデンサとして機能し始めた場合の画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子がコンデンサとして機能し始めた場合の要部の等価回路を示す図である。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子の容量値が更に増加した場合の画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図25】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路とデータドライバにおける、可変素子の抵抗が極めて小さくなった場合の構成を示す図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係る画素駆動回路において、可変素子の抵抗が極めて小さくなった場合の画素駆動回路の各部の電圧または電流の一例を示す図である。
【図27】本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置の一例を示す図である。
【図28】本発明の第3の実施形態に係るデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図29】本発明の第3の実施形態に係る画素駆動回路とデータドライバの構成の一例を示す図である。
【図30】本発明の第1の実施形態と第2の実施形態の変形例に係るデータドライバの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1a、1b、1c…有機EL表示装置、21、22…表示画素、2a、2b…表示パネル、21D、22D…画素駆動回路、3…走査ドライバ、4a、4b…電源ドライバ、5a、5b、5c…データドライバ、53…データラッチ回路、54a、54b…デジタル電圧/アナログ電圧変換回路(DAVC)、54c…デジタル電流/アナログ電流変換回路(DAIC)、57a、57b…判定回路、61…位置検出回路、Cs2、Cs3…コンデンサ、Ev21、Ev31…可変素子、Ld1〜Ldm…データライン、Ls1〜Lsn…走査ライン、Lv1〜Lvn…電源ライン、OEL…有機EL素子、T21…第1入力トランジスタ、T22…第2入力トランジスタ、T23、T32…発光駆動トランジスタ、T31…入力トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向及び列方向に配設された複数の走査ライン及び複数のデータラインの各交点近傍に配設された複数の表示画素を備える表示パネルと、
前記各走査ラインに走査信号を供給することによって当該走査ラインに接続されている前記各表示画素を選択し、前記各データラインに表示信号を供給することによって選択されている前記各表示画素を駆動する駆動回路と、
を備え、
前記各表示画素は、発光素子と、当該発光素子に前記各データラインを介して供給される前記表示信号に応じた駆動電流を供給するとともに、外部から加えられる圧力に応じて物理パラメータが変化し、当該物理パラメータの変化により前記各データラインに供給された表示信号に応じた電位を変調する可変素子を含む画素駆動回路と、を有し、
前記駆動回路は、前記可変素子による前記各データラインの電位の変調の有無を判定し、前記電位が変調されていると判定した前記データラインに対応する列を、圧力が加えられている位置として特定する判定回路を有する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記判定回路は、前記各表示画素が選択されている選択期間内の所定の測定タイミングで、選択されている前記各表示画素について前記データラインの電位の変調の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記表示信号に対応した電圧値を有する信号電圧を生成し、前記各データラインに出力する階調電圧生成回路を有し、
前記判定回路は、前記測定タイミングで前記各データラインの電圧値を取得し、当該取得された電圧値と前記可変素子により前記電位が変調されていないときの前記データラインの電圧値との比較に基づいて、前記電位の変調の有無を判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記表示信号に対応した電流値を有する信号電流を生成し、前記各データラインに出力する階調電流生成回路を有し、
前記判定回路は、前記測定タイミングで前記各データラインの電圧値を取得し、当該取得された電圧値と前記可変素子により前記電位が変調されていないときの前記データラインの電圧値との比較に基づいて、前記電位の変調の有無を判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記可変素子は、外部から加えられる圧力に応じて前記物理パラメータとして容量値が変化する容量素子を含み、
前記画素駆動回路は、前記表示信号に対応する電圧を保持するコンデンサを含み、
前記各表示画素は、前記選択期間に、前記データラインに前記コンデンサを含む回路と前記可変素子とが並列に接続される、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記容量素子は、外部から加えられる圧力の増加に応じて前記容量値が増加することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記可変素子は、外部から加えられる圧力に応じて前記物理パラメータとして電気抵抗値が変化する抵抗素子を含み、
前記各表示素子は、前記選択期間に、前記可変素子の前記抵抗素子を前記データラインと所定の基準電圧との間に接続する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記抵抗素子は、外部から加えられる圧力の増加に応じて前記電気抵抗の値が減少することを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、前記各走査ラインと対をなし、対応する走査ラインが接続されている前記表示画素に接続された複数の電源ラインを含み、
前記駆動回路は、前記各電源ラインに前記所定の基準電圧を出力する電源ドライバを備え、
前記各画素駆動回路は、
制御端子が前記コンデンサの一方の電極に接続され、当該電流路の一端が前記コンデンサの他方の電極と前記発光素子のアノード電極と前記可変素子の一方の電極とに接続され、電流路の他端が前記電源ラインに接続された第1のトランジスタと、
制御端子が前記走査ラインに接続され、電流路の一端が前記第1のトランジスタの制御端子と前記コンデンサの一方の電極とに接続され、電流路の他端が前記電源ラインと前記第1のトランジスタの電流路の他端とに接続された第2のトランジスタと、
制御端子が前記走査ラインに接続され、電流路の一端が前記データラインに接続され、電流路の他端が前記コンデンサの他方の電極と前記可変素子の一方の電極と前記第1のトランジスタの電流路の一端と前記発光素子のアノード電極とに接続された第3のトランジスタと、
を含み、
前記可変素子の他方の電極に前記所定の基準電圧が印加されている、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、前記各走査ラインと対をなし、対応する走査ラインが接続されている前記表示画素に接続された複数の電源ラインを含み、
前記駆動回路は、前記各電源ラインに前記所定の基準電圧を出力する電源ドライバを備え、
前記各画素駆動回路は、
制御端子が前記コンデンサの一方の電極と前記可変素子の一方の電極に接続され、当該電流路の一端が前記コンデンサの他方の電極と前記発光素子のアノード電極に接続され、電流路の他端が前記電源ラインに接続された第1のトランジスタと、
制御端子が前記走査ラインに接続され、電流路の一端が前記データラインに接続され、電流路の他端が前記第1のトランジスタの制御端子と前記コンデンサの一方の電極と前記可変素子の一方の電極とに接続された第2のトランジスタと、
を含み、
前記可変素子の他方の電極に前記所定の基準電圧が印加されている、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記駆動回路は、
前記複数の走査ラインに接続され、前記各走査ラインに前記各表示画素を順次選択するための前記走査信号を順次供給する走査ドライバと、
前記電位が変調されていると前記判定回路によって判定された場合に、前記走査ドライバが前記走査信号を出力している走査ラインに対応する行の位置と前記判定回路により特定された列の位置とに基づいて、圧力が加えられている前記表示パネル上の位置を特定する位置検出回路と、
を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−85526(P2010−85526A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252292(P2008−252292)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】