説明

表示装置

【課題】前面ガラス板のコストを削減すると共に最前面がフラットな構成を実現することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】前面基板20の透明基材21の寸法を後面基板10よりも大きくし、透明基材21と後面基板10とが重なり合う第1領域と、透明基材21が後面基板10よりもはみ出した第2領域とを設ける。第1領域には、第1遮光層、駆動素子および液晶表示素子をこの順に設けて有効画面を形成する。有効画面端部から第2領域には、第2遮光層および端子部を設け、端子部に接続された接続部材40を前面基板20の外形よりも内側に収める。前面基板20の外側に更にガラス板を追加する必要がなくなり、前面基板20それ自体を表示装置1の最前面として用いることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン装置または情報端末などに好適な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置は、例えば特許文献1,2に記載されたように、TFT(薄膜トランジスタ;Thin Film Transistor)および絵素電極を有するTFT基板と、カラーフィルタ,ブラックマトリクスおよび透明電極を有する対向基板とを対向配置し、対向基板側を最前面とした構成を有している。対向基板の周縁部はベゼル(側面筐体)といわれる枠縁状の部材で遮蔽されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−143791号公報(第1図)
【特許文献2】特開昭61−143789号公報(第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、特にテレビジョン装置などの表示装置について、ベゼル(側面筐体)を廃止し、最前面がフラットな構成が主流になりつつある。しかしながら、従来のように対向基板側を最前面とした表示装置において最前面をフラットにするためには、対向基板の外側に更に前面ガラス板を設ける必要があり、そのための部材コストおよび製造コストが増加してしまっていた。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、前面ガラス板のコストを削減すると共に最前面がフラットな構成を実現することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による表示装置は、以下の(A)〜(C)の構成要素を備えたものである。
(A)後面基板
(B)後面基板よりも寸法の大きな透明基材を有し、透明基材の背面に、透明基材と後面基板とが重なり合う第1領域および透明基材が後面基板よりもはみ出した第2領域を有し、第1領域には第1遮光層,駆動素子および表示素子がこの順に設けられ、第2領域には第2遮光層および駆動素子に接続された端子部がこの順に設けられた前面基板
(C)端子部に接続されると共に前面基板の外形よりも内側に収められた接続部材
【0007】
本発明の表示装置では、前面基板の透明基材の寸法が後面基板よりも大きく、透明基材と後面基板とが重なり合う第1領域と、透明基材が後面基板よりもはみ出した第2領域とが設けられている。第1領域には第1遮光層,駆動素子および表示素子がこの順に設けられているので、第1遮光層により外光が吸収され、外光反射によるコントラスト低下が抑えられる。第2領域には第2遮光層および端子部がこの順に設けられ、端子部に接続された接続部材が前面基板の外形よりも内側に収められているので、接続部材が前面基板の外形から外側にはみ出すことがなくなると共に、第2遮光層により内部構造が遮蔽され、従来のベゼル(側面筐体)が不要となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表示装置によれば、前面基板の透明基材の寸法を後面基板よりも大きくし、透明基材と後面基板とが重なり合う第1領域と、透明基材が後面基板よりもはみ出した第2領域とを設け、第1領域には第1遮光層,駆動素子および表示素子をこの順に設ける一方、第2領域には第2遮光層および端子部を設け、この端子部に接続された接続部材を前面基板の外形よりも内側に収めるようにしたので、前面基板の外側に更にガラス板を追加する必要がなくなり、前面基板それ自体を表示装置の最前面として用いることが可能となる。よって、従来のような前面ガラス板のコストを削減すると共に最前面がフラットな構造を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の全体構成を概略的に表す断面図である。
【図2】図1に示した前面基板を、後面基板の側から見た構成を表す平面図である。
【図3】図1の変形例を表す断面図である。
【図4】図1に示した後面基板の構成を表す平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】前面基板の第1領域の構成を表す平面図である
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図7に示した第1遮光層の設けられている領域を説明するための平面図である。
【図9】前面基板の第2領域の構成を表す断面図である。
【図10】図1に示した前面基板,後面基板および照明部の保持方法を説明するための斜視図である。
【図11】従来の表示装置の全体構成を表す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る表示装置の前面基板の第1領域の構成を表す平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(第1遮光層を単独のフォトリソグラフィ工程により形成した例)
2.第2の実施の形態(第1遮光層をゲート電極兼走査線と同一のフォトリソグラフィ工程により形成した例)
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の全体構成を表したものである。この表示装置1は、例えばテレビジョン装置または情報端末として用いられるものであり、後面基板10および前面基板20と共に照明部(BLU;バックライトユニット)30を備えた液晶表示装置である。前面基板20は、TFT(薄膜トランジスタ;Thin Film Transistor)および絵素電極を有する、いわゆるTFT基板であり、後面基板10は、透明電極を有する、いわゆる対向基板である。すなわち、この表示装置1では、TFT基板としての前面基板20が、視聴者からみて最前面に配置されている。
【0012】
図2は、前面基板20を後面基板10および照明部30の側から見た平面構成を表したものである。前面基板20は、ガラス基板などよりなる透明基材21を有している。この透明基材21は、後面基板10よりも寸法が大きくなっており、透明基材21の背面には、透明基材21と後面基板10とが重なり合うと共に有効画面20Cを有する第1領域20Aと、第1領域20A端部から透明基材21が後面基板10よりもはみ出した第2領域20B(図2において網掛けを施した領域)とが設けられている。第2領域20Bは、例えば、透明基材21の周縁部に、第1領域20Aを囲む枠状に設けられている。第2領域20Bの幅は、従来のベゼルに相当する幅、例えば30mm程度であることが望ましい。
【0013】
第1領域20Aは画像または映像が表示される有効画面20Cを有している。この有効画面20Cには、透明基材21上に、後述する第1遮光層,駆動素子としてのTFTおよび液晶表示素子が透明基材21側からこの順に設けられている。
【0014】
第2領域20Bには、透明基材21上に、後述する第2遮光層と、TFTに接続された端子部22とが透明基材21側からこの順に設けられている。端子部22は、例えば、第1領域20A内の有効画面20C端部から第2領域20Bにわたって設けられており、第2領域20B内で複数本ずつ束ねられて実装用パッドを構成している。なお、透明基材21の左右辺のゲートドライバが接続される端子部22については、ドライバ回路をCOG(Chip on Glass)で透明基材21上に作りこみ、端子部22を実装しない場合もある。
【0015】
端子部22は、図1に示したように、例えばCOF(Chip On Film)よりなる接続部材40を介して、ドライバ回路基板41および後面基板10の背面の制御回路基板42に接続されている。この接続部材40は、前面基板20の外形よりも内側に収められて実装されている。具体的には、接続部材40は、図1に示したように内向きに反らせた逆反り形でもよいし、図3に示したように折り曲げた逆反り形でもよい。このような接続部材40の形状は、例えば、端子部22への貼り付け方やCOFの材料の選定などにより調整することが可能である。いずれの場合も、端子部22とのボンディングの信頼性を確保するため、接続部材40を予め十分に逆反りさせて、ストレスを緩和しておくことが望ましい。
【0016】
前面基板20の背面の全体は筐体50で覆われており、この筐体50および前面基板20で囲まれた空間に、後面基板10,照明部30,接続部材40,ドライバ回路基板41および制御回路基板42が収容されている。
【0017】
以下、第1領域20Aおよび第2領域20Bを構成する後面基板10および前面基板20の具体的な構成について説明する。
【0018】
図4は、後面基板10の一部を拡大して表したものであり、図5はその断面構成を表したものである。後面基板10は、ガラス基板などよりなる後面基材11の前面基板20側に、カラーフィルタ12,オーバーコート層13および透明電極14をこの順に有している。カラーフィルタ12としては、赤色フィルタ12R,緑色フィルタ12Gおよび青色フィルタ12Bが順に配置されている。これら赤色フィルタ12R,緑色フィルタ12Gおよび青色フィルタ12Bは、顔料を混入した樹脂によりそれぞれ構成されており、顔料を選択することにより、目的とする赤,緑あるいは青の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。赤色フィルタ12R,緑色フィルタ12Gおよび青色フィルタ12Bは、後述する第1遮光層23Aの幅よりも、前面基板20と後面基板10との貼り合わせずれを考慮した範囲で間隔をあけてもよく、あるいはオーバーラップしていてもよい。オーバーコート層13は、カラーフィルタ12が設けられた後面基材11の表面の平坦性を高めるためのものであり、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などにより構成されている。透明電極14は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料により構成されている。
【0019】
また、カラーフィルタ12は後面基板10上ではなく、前面基板20上に設けられていてもよい。この場合、後面基板10にオーバーコート層13は不要となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0020】
図6は、前面基板20の第1領域20Aの構成の一例を表したものである。第1領域20Aは、マトリクス状に配置された複数の画素P1を有しているが、図6では例えば二つの画素P1を表している。画素P1は、例えば、TFT1,TFT2と、一つのサブ画素(以下、サブ画素Aという。)を構成する絵素電極PX1と、もう一つのサブ画素(以下、サブ画素Bという。)を構成する絵素電極PX2と、容量素子Cs1,Cs2とを有している。なお、画素P1は他の構成を有していてもよいことは言うまでもない。
【0021】
TFT1,TFT2は、サブ画素A,Bに対して、映像信号を供給するためのスイッチング素子としての機能を有するものであり、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor )により構成され、3つの電極、ゲート、ソースおよびドレインを有している。TFT1,TFT2のゲート電極61は、左右方向に延在するゲート電極兼走査線(走査線)GLに接続されている。このゲート電極兼走査線GLには、上下方向に延在する二本のソース配線(信号線)SL1,SL2が交差(例えば直交)している。TFT1のソース電極62Sはソース配線SL1に接続され、ドレイン電極62Dは絵素電極PX1に接続されると共に、容量素子Cs1の中間電極63にコンタクトホール64を介して接続されている。TFT2のソース電極62Sはソース配線SL2に接続され、ドレイン電極62Dは絵素電極PX2に接続されると共に、容量素子Cs2の中間電極63にコンタクトホール64を介して接続されている。
【0022】
絵素電極PX1,PX2は、後面基板10上の透明電極14と共に、TFT1,TFT2を介して供給される信号電圧に応じて表示のための動作を行う液晶表示素子を構成するものである。
【0023】
容量素子Cs1,Cs2は、上述した中間電極63と、容量素子主配線CLとの間に構成され、両端間に電位差を発生させるものである。容量素子主配線CLは、例えば、ゲート電極兼走査線GLに平行すなわち左右方向に延在している。
【0024】
図7は、このようなTFT1,容量素子Cs1および絵素電極PX1の断面構成の一例を表している。なお、TFT2,容量素子Cs2および絵素電極PX2も同様に構成されているので、その説明は省略する。第1領域20Aには、透明基材21上に、第1遮光層23A、オーバーコート層24、TFT1および容量素子Cs1、保護膜(パッシべーション膜)65、オーバーコート層66、並びに絵素電極PX1がこの順に設けられている。
【0025】
第1遮光層23Aは、透明基材21の表面すなわち最下層に設けられており、前面基板20側から入射する外光を吸収し、外光反射によるコントラスト低下を抑えることが可能となっている。第1遮光層23Aの構成材料としては、従来のブラックマトリクスと同様の材料、例えば黒色に着色した感光性樹脂、またはクロム(Cr)などの低反射積層膜のいずれでもよい。
【0026】
第1遮光層23Aは、各画素P1の外形に沿って格子状に設けられていることが好ましく、具体的には、図8に網掛けを施して示したように、ゲート電極兼走査線GL、ソース配線SL1,SL2、容量素子主配線CLおよびドレイン電極62Dの下層にあたる位置に設けられていることが好ましい。前面基板20側から入射した外光がそれらの配線により反射されてしまうのを確実に抑えることが可能となるからである。
【0027】
図7に示したオーバーコート層24は、必要に応じて設けられるものであり、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などにより構成されている。各ゲート電極兼走査線GLは電気的に独立させる必要があるが、第1遮光層23Aの構成材料が導電性を有する場合、あるいはゲート電極兼走査線GLを十分に電気的に独立させることが難しい場合には、層間絶縁膜としてオーバーコート層24を設ける必要がある。更に、第1遮光層を樹脂により構成した場合には、アウトガスやイオン溶出を抑えるため、窒化ケイ素(SiNx)などのキャッピング膜(図示せず)を設ける必要が生じたり、特に黒色の感光樹脂の場合、膜厚が厚くなったりするので、平坦化膜としてオーバーコート層24を設ける必要がある。
【0028】
図7に示したTFT1は、例えば、ゲート電極61および容量素子主配線CL,ゲート絶縁膜71,a−Si(アモルファスシリコン)層72,n+a−Si層73,並びにソース電極62Sおよびドレイン電極62Dをこの順に有している。パッシべーション膜65は例えば窒化ケイ素(SiNx)により構成されている。オーバーコート層66は、例えば樹脂材料により構成されている。絵素電極PX1は、例えばITOにより構成され、コンタクトホール67を介してドレイン電極62Dに接続されている。
【0029】
図9は、第2領域20Bの断面構成を表したものである。第2領域20Bには、透明基材21上に、第2遮光層23B,オーバーコート層24および端子部22がこの順に設けられている。先に述べたように、ここでのオーバーコート層24は必要に応じて設けられる。第2遮光層23Bは、第1領域20Aの周辺を黒色に着色して内部構造を隠すためのものであり、例えば、第2領域20Bの全体にわたって額縁状に設けられている。つまり、第2遮光層23Bは、従来のベゼル(側面筐体)に相当する機能を有するものである。従って、第2遮光層23Bを設けると共に接続部材40を前面基板20の外形よりも内側に収めることにより、従来のベゼル(側面筐体)を不要とし、前面基板20それ自体を表示装置1の最前面として、最前面がフラットなデザインを実現することが可能となる。第2遮光層23Bの構成材料としては、第1遮光層23Aと同様の材料、例えば黒色に着色した樹脂、またはクロム(Cr)などの低反射積層膜のいずれでもよい。
【0030】
この表示装置1は、例えば次のようにして製造することが可能である。
【0031】
まず、図7,図2および図9に示したように、ガラス基板などよりなる透明基材21を用意し、この透明基材21の第1領域20Aに第1遮光層23Aを形成すると共に、第2領域20Bに第2遮光層23Bを形成する。第1遮光層23Aおよび第2遮光層23Bは、例えば黒色に着色した樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ工程によりパターニングし、焼成することにより形成してもよいし、あるいはクロム(Cr)などの低反射積層膜を形成してもよい。
【0032】
第1遮光層23Aは、各画素P1の輪郭に沿って格子状に設けることが好ましく、具体的には、図8に示したように、ゲート電極兼走査線GL、ソース配線SL1,SL2、容量素子主配線CLおよびドレイン電極62Dの下層にあたる位置に設けることが好ましい。前面基板20側から入射した外光がそれらの配線により反射されてしまうのを確実に抑えることが可能となるからである。
【0033】
次いで、同じく図7および図9に示したように、第1遮光層23Aおよび第2遮光層23Bを形成した透明基材21の全面に、必要に応じて、上述した材料よりなるオーバーコート層24を形成する。
【0034】
続いて、同じく図7に示したように、オーバーコート層24の上に、ゲート電極61を含むゲート電極兼走査線GLおよび容量素子主配線CLを形成する。そののち、ゲート絶縁膜71,a−Si(アモルファスシリコン)層72,n+a−Si層73,ソース電極62Sおよびドレイン電極62D,中間電極63並びにソース配線SL1,SL2を順に形成する。これにより、第1領域20AにTFT1,TFT2および容量素子Cs1,Cs2が形成される。また、ゲート電極兼走査線GL、ソース配線SL1,SL2、容量素子主配線CLは、必要に応じて第2領域20Bまで延長し、端子部22を形成する。
【0035】
TFT1,TFT2および容量素子Cs1,Cs2を形成したのち、全面にパッシべーション膜65,オーバーコート層66を形成し、パッシべーション膜65およびオーバーコート層66にコンタクトホール67を設ける。そののち、オーバーコート層66の上に絵素電極PX1,PX2を形成し、絵素電極PX1,PX2をコンタクトホール67を介してドレイン電極62Dに接続する。これにより図7ないし図9に示した前面基板20が形成される。
【0036】
また、図4および図5に示したように、ガラス基板などよりなる後面基材11を用意し、この後面基材11にカラーフィルタ12,オーバーコート層13および透明電極14を順に形成することにより、後面基板10を形成する。
【0037】
前面基板20および後面基板10を形成したのち、それぞれポリイミド等からなる配向膜(図示せず)を形成し、液晶(図示せず)を滴下法等により挟み込み、図1および図2に示したように、後面基板10を前面基板20の第1領域20Aに重ね合わせて周囲を封止する。その後、後面基板10の背面側と前面基板20の前面側に偏光板(図示せず)を貼りつける。そして、予め、図1または図3に示した形状に成形された接続部材40を熱圧着し、同様に接続部材40の反対側にドライバ回路基板41を熱圧着する。このとき、接続部材40を、前面基板20の外形よりも内側に収める。続いて、後面基板10の背面に照明部30を配設し、制御回路基板42を照明部30の背面に実装する。
【0038】
そののち、図1に示したように、前面基板20の背面の全体に筐体50を被せ、後面基板10,照明部30,接続部材40,ドライバ回路基板41および制御回路基板42を筐体50内に収容する。筐体50の固定方法としては、例えば図10に示したように、前面基板20の透明基材21の背面周縁部に、通し孔25Aを有する断面L字形の金具25を設けておき、この金具25に筐体50等を固定するようにすることが望ましい。なお、図10では、透明基材21の四隅のみに金具25を設けている場合を表しているが、金具25を、透明基材21の辺に沿って延在させるようにしてもよい。以上により、図1ないし図9に示した表示装置1が完成する。
【0039】
なお、前面基板20の外側には、偏光板(図示せず)を全面に貼り付けることにより、一体感をもたせることが望ましい。
【0040】
この表示装置1では、前面基板20の透明基材21の寸法が後面基板10よりも大きく、透明基材21と後面基板10とが重なり合うと共に有効画面20Cを有する第1領域20Aには第1遮光層23A、TFT1,TFT2、絵素電極PX1,PX2および透明電極14よりなる液晶表示素子がこの順に設けられているので、前面基板20側から入射した外光は第1遮光層23Aにより吸収され、外光反射によるコントラスト低下が抑えられる。一方、第1領域20A端部から透明基材21が後面基板10よりもはみ出した第2領域20Bには第2遮光層23Bおよび端子部22がこの順に設けられ、端子部22に接続された接続部材40が前面基板20の外形よりも内側に収められているので、接続部材40が前面基板20の外形から外側にはみ出すことがなくなると共に、第2遮光層23Bにより内部構造が遮蔽され、従来のベゼル(側面筐体)が不要となる。
【0041】
これに対して、従来の表示装置では、例えば図11に示したように、対向基板110側を最前面とした構成を有している。これは、対向基板110の比較的簡略な製造工程に比べて、TFT基板120は成膜・パターン形成等の工程が複雑で、歩留まりがあまりよくなかったので、少しでも工程を分離し、対向基板110側にブラックマトリクスやカラーフィルタを設けるようにしていたからである。しかしながら、現在ではTFT基板の歩留まりは十分に高くなっており、本実施の形態のようにTFT基板としての前面基板20に第1遮光層23Aおよび第2遮光層23Bを設けることによって歩留まりが極端に低下するおそれはない。
【0042】
また、従来の表示装置では、接続部材140は、一般に、TFT基板120の外形よりも外側にはみ出して、背面へ緩やかに反った形状とされている。そのため、ベゼル150の幅もある程度大きくする必要があった。一方、本実施の形態では、接続部材40が前面基板20の外形よりも内側に収められているので、額縁となる第2領域20Bを狭くすることが可能となる。
【0043】
このように本実施の形態では、前面基板20の透明基材21の寸法を後面基板10よりも大きくし、透明基材21と後面基板10とが重なり合うと共に有効画面20Cを有する第1領域20Aには第1遮光層23A、TFT1,TFT2および液晶表示素子をこの順に設ける一方、第1領域20A端部から透明基材21が後面基板10よりもはみ出した第2領域20Bには第2遮光層23Bおよび端子部22を設け、端子部22に接続された接続部材40を前面基板20の外形よりも内側に収めるようにしたので、前面基板20の外側に更にガラス板を追加する必要がなくなり、前面基板20それ自体を表示装置1の最前面として用いることが可能となる。よって、従来のような前面ガラス板の部材コストおよび製造コストを削減すると共に最前面がフラットな構造を実現することが可能となる。更に、最前面がフラットな構造とすることにより、高級感や光沢感などがもたらされ、デザイン的な価値を高めることも可能となる。加えて、前面ガラスにより前面基板20および後面基板10からなる表示パネルを封じ込める必要はなく、表示パネルの温度上昇を回避し、温度上昇に伴う輝度低下や信頼性問題などを回避することが可能となる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図12および図13は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置の前面基板の第1領域の構成を表したものであり、図12は第1領域において第1遮光層の設けられている領域を表し、図13はその断面構成を表したものである。本実施の形態は、第1遮光層23Aをクロム(Cr)の低反射積層膜により構成すると共に、第1遮光層23Aとゲート電極兼走査線GL等の配線とを直接積層することにより、それらを同一工程でパターニング可能としたものである。このことを除いては、この表示装置1は第1の実施の形態と同様の構成・作用および効果を有し、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0045】
本実施の形態では、図12に網掛けを施して示したように、第1遮光層23Aは、ゲート電極兼走査線GLの直下と、容量素子主配線CLの直下と、ドレイン電極62Dのうちゲート電極兼走査線GLとの交差位置を除く部分の直下と、およびソース配線SL1,SL2のうちゲート電極兼走査線GLまたは容量素子主配線CLとの交差位置を除く部分の直下とに設けられている。オーバーコート層24は設けられていない。これにより、本実施の形態では、第1遮光層23Aと、ゲート電極兼走査線GL,容量素子主配線CL等の配線とを同一工程でパターニング可能となり、マスク枚数の削減によるコスト削減を図ることが可能となっている。なお、本実施の形態では、第1遮光層23Aが、第1の実施の形態のような画素P1の外形に沿った完全な格子状にはならないので、外光反射は若干増える可能性があるが、ソース配線SL2,SL2により照明部30からの光の遮光は可能である。
【0046】
この表示装置1は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0047】
まず、図12および図13に示したように、透明基材21の表面にクロム(Cr)の積層膜を形成し、続けてゲート電極兼走査線GL等の配線材料となる金属膜を形成する。次いで、レジスト塗布・露光・現像によりマスクを形成し、このマスクを用いて金属膜をエッチングすることによりゲート電極兼走査線GL,容量素子主配線CL等の配線を形成し、連続してクロム(Cr)の積層膜をエッチングすることにより第1遮光膜23Aを形成する。
【0048】
続いて、第1の実施の形態と同様にして、ゲート絶縁膜71以降を形成し、前面基板20を形成する。また、第1の実施の形態と同様にして後面基板10を形成し、配向膜形成、液晶滴下を経て、後面基板10を前面基板20の第1領域20Aに重ね合わせて周囲を封止する。接続部材40等の熱圧着を行い、接続部材40を前面基板20の外形よりも内側に収めて実装し、照明部30を配置し、前面基板20の背面全体に筐体50を被せる。以上により、図12および図13に示した表示装置1が完成する。
【0049】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、カラーフィルタ12を後面基板10に設ける場合について説明したが、カラーフィルタは前面基板20側に設けることも可能である。また、上記実施の形態では、照明部30を後面基板10の背面に設ける場合について説明したが、照明部30は、後面基板10の側面に設けるタイプでもよい。
【0050】
更に、上記実施の形態では、前面基板20および後面基板10と共に照明部30を備えた液晶表示装置を例として説明したが、本発明は有機EL表示装置,プラズマ表示装置など他の表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…表示装置、10…後面基板、11…後面基材、12…カラーフィルタ、13…オーバーコート層、14…透明電極、20…前面基板、20A…第1領域、20B…第2領域、21…透明基材、22…端子部、23A…第1遮光層、23B…第2遮光層、24…オーバーコート層、25…金具、30…照明部、40…接続部材、41…ドライバ回路基板、42…制御回路基板、50…筐体、61…ゲート電極、62S…ソース電極、62D…ドレイン電極、63…中間電極、64…コンタクトホール、71…ゲート絶縁膜、72…a−Si層、73…n+a−Si層、GL…ゲート電極兼走査線、SL1,SL2…ソース配線、CL…容量素子主配線、P1…画素、PX1,PX2…絵素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面基板と、
前記後面基板よりも寸法の大きな透明基材を有し、前記透明基材の背面に、前記透明基材と前記後面基板とが重なり合う第1領域および前記透明基材が前記後面基板よりもはみ出した第2領域を有し、前記第1領域には第1遮光層,駆動素子および表示素子がこの順に設けられ、前記第2領域には第2遮光層および前記駆動素子に接続された端子部がこの順に設けられた前面基板と、
前記端子部に接続されると共に前記前面基板の外形よりも内側に収められた接続部材と
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第1領域には前記駆動素子に接続された走査線および信号線が互いに交差する方向に設けられ、前記第1遮光層は、前記走査線および前記信号線のうち少なくとも前記走査線の下に設けられている
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記前面基板の背面の全体を覆うと共に前記後面基板および前記接続部材を収容する筐体を備えた
請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記前面基板および前記後面基板と共に照明部を備えた液晶表示装置である
請求項3記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−257638(P2011−257638A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132995(P2010−132995)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】