説明

表示装置

【課題】互いに並んで位置する発光部を近接させても、これら各発光部が共に正しい発光状態にて発光するコンビネーションメータの提供。
【解決手段】情報を表示する表示領域20aに、互いに発光状態の異なる複数の発光部を備えるコンビネーションメータ100であって、発光ダイオード83と、複数の発光部としての赤色帯状部55及び赤色帯状部55と並んで位置する環状発光部57と、発光ダイオード83の光を赤色に調整する赤色印刷部66と、赤色の調整光を赤色帯状部55に集光する赤色光集光部65と、を備える。この構成により、赤色帯状部55に入射する視認者の視線方向が変化した場合でも、赤色の調整光は、環状発光部57を発光させる白色の光に混じり合い難くなる。故に、赤色帯状部55及び環状発光部57は、共に正しい発光状態にて発光することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する表示領域に、複数の発光部を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示領域に設けられた複数の発光部の発光状態が、互いに異なる表示装置が開示されている。このような表示装置の一種として、例えば特許文献1に開示の指針計器は、複数の発光部のうちの一つである目盛と、複数の発光部のうちの他の一つであって、目盛と並んで位置する文字と、を表示領域に備えている。特許文献1に開示の指針計器において、複数の発光部を発光させるための発光ダイオードから放出された光は、透光性部材に形成された凹凸層によって反射されることにより、目盛に到達する。透光性部材の凹凸層では、凸部の発光状態として予め規定された輝度になるよう、発光ダイオードから放出された光の状態が調整される。以上により、特許文献1の指針計器では、表示領域の目盛及び文字は、互いに異なる輝度にて発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−3304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1に開示の指針計器において、目盛及び文字等の発光部に入射する視認者の視線方向は、視認者における左右の目の位置の差異、並びに首及び上半身の動作に起因して、一定にはならない。故に、互いに発光状態の異なる発光部を近接させた場合、視認者の視線方向によっては、凸部の発光状態として予め規定された輝度に調整された光は、目盛と共に、目盛と並んで位置する文字にも到達し、文字を発光させる光に混じり合って視認されてしまう。すると、凹凸層よって高輝度に調整された光は、文字の発光状態を変化させてしまう。
【0005】
以上のような文字の発光状態の変化を防ぐため凹凸層を設ける領域を狭くしてしまうと、第一発光部は、予め規定された輝度にて、発光できなくなり得る。これらのように、情報を表示する表示領域において互いに並んで位置する目盛及び文字等の発光部を近接させてしまうと、これら発光部のうちの一方は、正しい発光状態にて発光することができなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、互いに並んで位置する発光部を近接させても、これら各発光部が共に正しい発光状態にて発光する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、情報を表示する表示領域に、互いに発光状態の異なる複数の発光部を備える表示装置であって、複数の発光部を発光させるための光を放出する光源部と、複数の発光部のうちの一つである第一発光部と、複数の発光部のうちの他の一つであって、第一発光部と並んで位置する第二発光部と、光源部から放出された光の状態を、第一発光部の発光状態として予め規定された状態に調整する発光調整部と、発光調整部によって状態を調整された調整光を第一発光部に集光する集光部と、を備える表示装置とする。
【0008】
この発明によれば、集光部が、発光調整部によって発光の状態を調整された調整光を集光する。故に、発光部に入射する視認者の視線方向が変化した場合でも、第一発光部の発光状態として予め規定された状態に調整された調整光は、第二発光部を発光させる光に混じり合い難くなる。以上により、第二発光部の発光状態が調整光によって変化してしまう事態は、防がれ得る。加えて、第一発光部は、集光部によって集光された調整光により、予め規定された発光状態にて、確実に発光することができる。したがって、情報を表示する表示領域において互いに並んで位置する第一発光部及び第二発光部を近接させても、これら第一発光部及び第二発光部は、共に正しい発光状態にて発光することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、集光部は、第一発光部に向けて調整光を反射させることにより、第一発光部に調整光を集光する反射面、を有することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、反射面は、発光状態の調整された調整光を第一発光部に向けて反射する。故に、調整光は、第二発光部を発光させる光に混じり合うことなく、確実に第一発光部に集光される。以上により、視認者の視線方向が変化した場合でも、第二発光部の発光状態が調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。したがって、互いに並んで位置する第一発光部及び第二発光部を近接させても、これら第一発光部及び第二発光部は、共に正しい発光状態にて確実に発光することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、集光部は、第一発光部に向けて調整光を屈折させることにより、第一発光部に調整光を集光する屈折面、を有することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、屈折面は、発光状態の調整された調整光を第一発光部に向けて屈折させる。故に、調整光は、第二発光部を発光させる光に混じり合うことなく、確実に第一発光部に集光される。以上により、視認者の視線方向が変化した場合でも、第二発光部の発光状態が調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。したがって、互いに並んで位置する第一発光部及び第二発光部を近接させても、これら第一発光部及び第二発光部は、共に正しい発光状態にて確実に発光することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、発光調整部は、集光部と一体で形成されることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、発光調整部が集光部と一体で形成されることにより、調整光は、集光部によって漏れ無く集光される。故に、調整光は、集光部によって確実に集光されることにより、第二発光部を発光させる光に混じり難くなる。以上により、視認者の視線方向が変化した場合でも、第二発光部の発光状態が調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。したがって、互いに並んで位置する第一発光部及び第二発光部を近接させても、これら第一発光部及び第二発光部は、共に正しい発光状態にて確実に発光することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、集光部としての第一集光部と、光源部から放出された光のうち発光調整部を迂回した迂回光を第二発光部に集光する第二集光部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、第二集光部が、光源部から放出された光のうち発光調整部を迂回した迂回光を集光する。故に、視認者の視線方向が変化した場合でも、発光調整部によって発光状態を調整されていない迂回光は、発光調整部によって発光状態を調整された調整光に混じり合い難くなる。以上により、迂回光が第一発光部の発光状態を変化させる事態、及び調整光が第一発光部の発光状態を変化させる事態は、共に防がれ得る。したがって、第一発光部及び第二発光部をさらに近接させても、これら第一発光部及び第二発光部は、共に正しい発光状態にて確実に発光できる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、第一集光部及び第二集光部のうちの少なくとも一方は、第一発光部及び第二発光部のうち対応する発光部に向けて、調整光及び迂回光のうち対応する光を屈折させることにより、当該対応する発光部に当該対応する光を集光する屈折面、を有することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第一集光部及び第二集光部のうちの少なくとも一方の有する屈折面は、視認者の視線方向を、任意の方向に屈折させる作用を発揮できる。故に、第一発光部の発光状態に光の状態を調整する発光調整部と、第二発光部を発光させるための発光調整部による調整を受けない迂回光が当該発光調整部を迂回する迂回部分とは、互いに離れて位置し得る。
【0019】
詳記すると、第一集光部が屈折面を有する場合には、当該屈折面により、迂回部分から離れた位置に向けて視認者の視線方向を屈折させる。この屈折させた視線方向の延長上に発光調整部を配置することにより、発光調整部は、迂回部分から離れて位置しつつ、第一発光部を発光させる光の発光状態を調整する作用を発揮できる。
【0020】
一方で、第一集光部が屈折面を有する場合には、当該屈折面によって、発光調整部から離れた位置に向けて視認者の視線方向を屈折させる。この屈折させた視線方向の延長先に、迂回部分を位置させることにより、第二発光部を発光させる光は、発光調整部を確実に迂回できる。
【0021】
以上のように、第一集光部及び第二集光部の少なくとも一方に設けられる屈折面によって、第一発光部と第二発光部との距離にかかわらず、発光調整部と迂回部分とは、互いに離れて位置し得るようになる。故に、互いに状態の異なる光が混じり合う事態は、さらに確実に抑制される。したがって、第一発光部及び第二発光部は、共に正しい発光状態にて確実に発光することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、第一発光部及び第二発光部は、発光状態として発光色が互いに異なり、発光調整部は、光源部から放出される光の色を、予め規定された第一発光部の発光色に調整することを特徴とする。
【0023】
この発明のように、並んで位置する第一発光部及び第二発光部の発光色が互いに異なる形態において、仮に、発光調整部によって発光色の調整された調整光が第二発光部を発光させる光に混じり合ったとする。すると、第二発光部は、正しくない発光色で発光してしまう。このように、第二発光部の発光色が正しくないことは、視認者によって知覚され易く、表示装置の見栄えを著しく悪化させる要因となり得る。
【0024】
しかし、上述したように、集光部によって、調整光と第二発光部を発光させる光との混じり合いが抑制されることにより、視認者の視線方向が変化した場合でも、第二発光部の発光色が変化してしまう事態は、防がれ得る。このように、互いに並んで位置する第一発光部及び第二発光部を近接させても、第一発光部及び第二発光部の発光状態が正しく維持される効果は、発光状態としての発光色が互いに異なる形態において、表示装置の見栄え確保に顕著に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの正面図である。
【図2】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの機械的構成を示す図であって、図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の特徴部分を説明するための拡大図であって、(a)は、立体目盛リングの構成を説明するための図であり、(b)は、立体目盛リングの作用を説明するための図である。
【図5】本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータの特徴部分を説明するための拡大図である。
【図6】本発明の第三実施形態によるコンビネーションメータの特徴部分を説明するための拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0027】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータ100の正面図である。コンビネーションメータ100は、車両の車室内に設けられたインスツルメントパネル内に収容され、図1に示す正面側を運転席側に向けて配置されている。
【0028】
(基本構成)
以下、本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータ100の基本構成について説明する。コンビネーションメータ100は、車両に関する種々の情報の表示する表示装置である。図1に示されるように、コンビネーションメータ100は、タコメータ20、並びに図示されないスピードメータ、水温計、及び燃料計等の計器によって構成されている。
【0029】
タコメータ20は、車両に搭載されている内燃機関の出力軸の回転速度を、情報として表示する。タコメータ20において、情報を表示する表示領域20aには、表示パネル30、指針40、外縁リング39、及び立体目盛リング50が設けられている。タコメータ20の表示は、指針40、表示パネル30に形成された文字部31、及び立体目盛リング50に形成された複数の発光部等によって構成されている。
【0030】
表示パネル30は、円盤状に形成されている。表示パネル30に形成された文字部31は、コンビネーションメータ100から運転席側に向かう表示方向に、光を出射させることによって発光する。文字部31は、「0」〜「7」の文字の形状を模っており、文字盤の周方向に沿って等間隔で並んでいる。
【0031】
指針40は、運転席側に向けられた表示パネル30のおもて面に沿って回転する。指針40は、キャップ部42及び指針本体部41を有している。キャップ部42は、円盤状に形成されており、表示パネル30の中央部に位置している。指針本体部41は、キャップ部42から、表示パネル30の径方向に沿って延伸している。指針本体部41の延伸方向の先端部は、コンビネーションメータ100の表示方向において、立体目盛リング50に形成された複数の発光部と重なることが可能な位置まで延伸している。指針本体部41は、光を出射させることにより発光する。
【0032】
外縁リング39は、円環状に形成されている。外縁リング39は、立体目盛リング50の外周側を全周に亘って囲んでいる。外縁リング39によって、コンビネーションメータ100の表示上におけるタコメータ20の表示領域20aが規定されている。
【0033】
立体目盛リング50は、円環状に形成されている。立体目盛リング50は、表示パネル30に形成された文字部31の外周側を全周に亘って囲んでいる。立体目盛リング50には、複数の発光部として、主目盛部51、補助目盛部52、白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57が形成されている。
【0034】
主目盛部51及び補助目盛部52は、内燃機関の回転速度に応じて回転する指針40の先端部が指し示す値を、文字部31と協働で表示するための符号である。主目盛部51は、表示パネル30の外縁に沿って、等間隔且つ環状に並んでいる。主目盛部51は、表示パネル30に形成された各文字部31の径方向外側に位置している。主目盛部51は、矩形状に形成されている。主目盛部51の長手方向は、立体目盛リング50の径方向に沿っている。補助目盛部52は、主目盛部51によって挟まれた領域に、表示パネル30の外縁に沿って環状に並んでいる。ただし、「6」を示す文字部31の径方向内側に位置する主目盛部51と、「7」を示す文字部31の径方向内側に位置する主目盛部51との間の領域には、補助目盛部52は形成されていない。各補助目盛部52は、隣接する主目盛部51及び補助目盛部52のいずれかと、等間隔で並んでいる。各補助目盛部52は、主目盛部51よりも小さい矩形形状に形成されている。補助目盛部52の長手方向は、立体目盛リング50の径方向に沿っている。
【0035】
白色帯状部53及び赤色帯状部55は、「6」を示す文字部31の径方向内側に位置する主目盛部51と、「7」を示す文字部31の径方向内側に位置する主目盛部51との間の領域に形成されている。白色帯状部53及び赤色帯状部55は、立体目盛リング50の周方向に沿って帯状に延伸している。白色帯状部53は、赤色帯状部55の内周側に位置しており、白色の発光色にて発光する。赤色帯状部55は、白色帯状部53の外周側に位置しており、赤色の発光色にて発光する。白色帯状部53及び赤色帯状部55は、内燃機関の出力軸が回転可能な速度の限界領域である所謂レッドゾーンを、協働で示している。
【0036】
環状発光部57は、主目盛部51、補助目盛部52、白色帯状部53、及び赤色帯状部55の外周側を全周に亘って囲む環状の装飾である。環状発光部57は、外縁リング39の内周側に位置している。環状発光部57は、白色の発光色にて発光する。以上のように、赤色帯状部55と白色帯状部53及び環状発光部57とは、発光状態として発光色が互いに異なっている。
【0037】
次に、コンビネーションメータ100の機械的構成及び電気的構成を、図1〜図3に基づいて説明する。
【0038】
コンビネーションメータ100は、上述した表示パネル30、指針40、外縁リング39、及び立体目盛リング50に加えて、導光体70、カバー部材73、発光ダイオード83、ステッパーモータ85及びメータ制御部80を備えている。これらコンビネーションメータ100の構成は、複数のケース部材および透明なフロントパネル等を互いに組み付けることによって構成された筐体(図示しない)に収容されており、雰囲気中の塵や埃等から保護されている。
【0039】
表示パネル30は、例えばアクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の透光性の樹脂材料によって形成されている。表示パネル30は、遮光部32及び透光部33を有する。遮光部32は、遮光性の印刷を表示パネル30の基材に施すことにより、形成されている。遮光部32において、遮光性の印刷は、各文字部31を除く部分に施されている。これにより、文字部31は、光を透過させることにより、発光することができる。透光部33は、遮光部32の外周側に位置している。透光部33は、光を透過させることができる。透光部33は、導光体70と立体目盛リング50との間に位置している。導光体70から出射された光は、表示パネル30の透光部33を透過して、立体目盛リング50に入射する。
【0040】
指針40において、キャップ部42は、遮光性の樹脂材料によって形成されている。指針本体部41は、透光性であって、赤く着色された樹脂材料によって形成されている。指針本体部41は、キャップ部42によって視認者から隠された部分から、発光ダイオード83によって放出された光を内部に入射させる。指針本体部41は、入射させた光を、表示パネル30上に露出している部分から放出することにより、発光する。
【0041】
外縁リング39は、遮光性の樹脂材料によって形成されている。外縁リング39において、視認者から視認される領域には、塗装が施されている。外縁リング39は、コンビネーションメータ100の筐体に取り付けられることにより、カバー部材73との間で、立体目盛リング50及び表示パネル30を挟持している。
【0042】
立体目盛リング50は、透光性の材料によって形成されている。立体目盛リング50の表面には、表示パネル30と同様に遮光性の印刷によって、遮光部59が形成されている。遮光部59によって、主目盛部51及び補助目盛部52等の複数の発光部が区切られている。また、立体目盛リング50は、白色光入射面63a、赤色光入射面65a、及び環状入射面67aを有している。白色光入射面63aは、立体目盛リング50において白色帯状部53の表示方向とは反対側に位置している。白色光入射面63aは、白色帯状部53を発光させるための光を立体目盛リング50内に入射させる。赤色光入射面65aは、立体目盛リング50において赤色帯状部55の表示方向とは反対側に位置している。赤色光入射面65aは、赤色帯状部55を発光させるための光を立体目盛リング50内に入射させる。環状入射面67aは、立体目盛リング50において環状発光部57の表示方向とは反対側の位置に環状に形成されている。環状入射面67aは、環状発光部57を発光させるための光を立体目盛リング50内に入射させる。
【0043】
立体目盛リング50は、表示パネル30のおもて面側に載置されている。立体目盛リング50は、表示パネル30及び外縁リング39によって挟まれている。立体目盛リング50において、複数の発光部の形成されている前面は、表示方向に向かうに従って、径方向外側に傾斜している。このような立体目盛リング50の形状により、径方向に延伸している主目盛部51及び補助目盛部52は、コンビネーションメータ100の表示に、立体感を付与する。
【0044】
導光体70は、透光性の樹脂材料によって円盤状に形成されている。導光体70は、表示方向において、表示パネル30の表示方向とは反対側に位置している。導光体70は、発光ダイオード83から放出された光を内部に入射させ、径方向外側に向けて導光する。導光体70内を導光された光は、表示パネル30の文字部31及び立体目盛リング50の各発光部と表示方向において重畳する領域から、表示方向に出射される(図2 矢印参照)。以上のように、導光体70は、表示領域20aにおいて発光する文字部31及び各発光部に、発光ダイオード83の光を導光する。
【0045】
カバー部材73は、白色の遮光性の樹脂材料によって形成されている。カバー部材73は、コンビネーションメータ100の筐体に固定されている。カバー部材73は、導光体70において表示方向とは反対側となる背面を覆うことにより、導光体70からの光の漏れを低減している。
【0046】
発光ダイオード83は、指針40の指針本体部41、表示パネル30の文字部31、及び立体目盛リング50の複数の発光部等を発光させるための光を、電圧の印加によって放出する発光素子である。発光ダイオード83は、コンビネーションメータ100の回路基板(図示しない)に複数実装されている。発光ダイオード83は、導光体70に近接して配置されており、導光体70に光を入射させる。第一実施形態において用いられる発光ダイオード83は、白色の光を放出する。発光ダイオード83は、メータ制御部80と接続されており、当該メータ制御部80によって印加される電圧によって発光する。
【0047】
ステッパーモータ85は、指針40を回転させる機構である。ステッパーモータ85の有する回転軸には、指針40のキャップ部42が取り付けられている。ステッパーモータ85は、メータ制御部80に接続されている。ステッパーモータ85は、メータ制御部80から出力される制御信号に基づいて、指針40を回転させる。
【0048】
メータ制御部80は、プログラムに基づいて作動するマイクロコンピュータである。メータ制御部80には、外部のバッテリ95、イグニッション・リレー94、及び車載用のLocal Area Network(車内LAN)91等が接続されている。メータ制御部80は、バッテリ95から電力を供給される。車内LAN91上には、電力供給制御回路92が設けられている。電力供給制御回路92は、運転者によるイグニッション・スイッチ93の押圧操作を検知して、イグニッション・リレー94に電圧を印加し、当該リレー94を通電状態にする。電力供給制御回路92は、検知した運転者によるイグニッション・スイッチ93の押圧操作に基づいて、車両のイグニッションのON/OFF状態に関する情報を車内LAN91上に出力する。メータ制御部80は、車内LAN91に出力された車両に関する情報、例えば、内燃機関の回転速度、イグニッション・スイッチ93のON/OFF状態等の情報を取得する。
【0049】
メータ制御部80は、発光ダイオード83の発光及びステッパーモータ85の回転を制御する。メータ制御部80は、発光ダイオード83に電圧を印加することにより、発光ダイオード83に光を放出させる。メータ制御部80は、車内LAN91を通じて取得した内燃機関の回転速度の情報に基づいて、指針40を回転させるべき方向と回転角度を算出する。そして、メータ制御部80は、算出結果に対応した制御信号をステッパーモータ85に出力し、指針40を回転させる。
【0050】
以上説明したコンビネーションメータ100では、運転者等によるイグニッション・スイッチ93の操作に基づいて、指針40の回転が開始されると共に、指針40の指針本体部41、文字部31、主目盛部51、及び補助目盛部52等の発光が開始される。これらにより、タコメータ20による内燃機関の回転速度の表示が形成される。
【0051】
(特徴部分)
以下、第一実施形態によるコンビネーションメータ100の特徴部分について、図4に基づいて詳細に説明する。
【0052】
立体目盛リング50は、赤色印刷部66、白色光集光部63、赤色光集光部65、及び環状集光部67を有している。赤色印刷部66は、赤色光集光部65と一体となるよう赤色光入射面65aに形成されている。赤色印刷部66は、発光ダイオード83(図3参照)から放出された光の状態を、赤色帯状部55の発光状態として予め規定された状態に調整する。具体的に、赤色印刷部66は、赤色の波長域に属する光を主に通過させる。これにより赤色印刷部66は、発光ダイオード83から放出された光の色を、赤色帯状部55の発光色として予め規定された赤色に調整する。
【0053】
白色光集光部63は、立体目盛リング50において白色帯状部53の表示方向とは反対側に形成されている。白色光集光部63は、白色帯状部53に白色の光を導光するために、上述した白色光入射面63に加えて、反射面63bを形成している。白色光入射面63aは、表示パネル30のおもて面に沿った平面状であって、赤色印刷部66の内周側において表示パネル30の透光部33と接している。尚、透光部33において、白色光入射面63aと接している部分であって、赤色印刷部66を迂回した迂回光を白色光入射面63aに入射させる迂回部分を、帯状透光部33aとする。反射面63bは、表示方向に向かうに従って径方向外側に傾斜している。反射面63bは、立体目盛リング50の周方向に沿って伸びている。以上により、帯状透光部33aを透過し、白色のままである迂回光が、白色光入射面63aから白色光集光部63に入射する。白色光集光部63は、反射面63bによって、白色帯状部53に向けて迂回光を反射させることにより、白色帯状部53に迂回光を集光する。
【0054】
赤色光集光部65は、立体目盛リング50において赤色帯状部55の表示方向とは反対側に形成されている。赤色光集光部65は、立体目盛リング50から表示方向とは反対の方向に向けて突出している。赤色光集光部65は、赤色帯状部55に赤色の調整光を導光するために、上述した赤色光入射面65aに加えて、一対の反射面65bを形成している。赤色光入射面65aは、赤色光集光部65において突出方向の先端面に形成されている。赤色光入射面65aは、表示パネル30のおもて面に沿った平面状であって、表示パネル30の透光部33と接している。一対の反射面65bは、立体目盛リング50の径方向において相対している。各反射面65bは、立体目盛リング50の周方向に沿って伸びている。一対の反射面65bのうち、内周側に位置する一方は、表示方向に向かうに従って径方向内側に傾斜している。一対の反射面65bのうち、外周側に位置する他方は、表示方向に向かうに従って径方向外側に傾斜している。赤色光集光部65の赤色光入射面65aには、赤色印刷部66によって赤色に調整された調整光が入射する。赤色光集光部65は、反射面65bによって、赤色帯状部55に向けて調整光を反射させることにより、赤色帯状部55に調整光を集光する。
【0055】
環状集光部67は、立体目盛リング50において環状発光部57の表示方向とは反対側に環状に形成されている。環状集光部67は、環状発光部57に白色の光を導光するために、上述した環状入射面67aを形成している。環状入射面67aは、表示方向とは反対の方向に凸状に湾曲している。凸レンズ状に形成された環状入射面67aの光軸は、表示方向に向かうに従って、径方向内側に傾斜している。この形状よって、環状入射面67aは、赤色印刷部66の外周側であって、当該赤色印刷部66から離れた位置に向けて、視認者の視線方向を屈折させることができる。尚、透光部33において、赤色印刷部66を迂回した迂回光を環状入射面67aに入射させる迂回部分を、環状透光部33bとする。環状透光部33bは、環状入射面67aの屈折作用によって、赤色印刷部66から離れて位置し得る。以上により、環状透光部33bを透過し、白色のままである迂回光が、環状入射面67aから環状集光部67に入射する。環状集光部67は、凸レンズ状の環状入射面67aによって、環状発光部57に向けて迂回光を屈折させることにより、環状発光部57に迂回光を集光する。
【0056】
ここれら白色光集光部63、赤色光集光部65、及び環状集光部67の集光作用について、さらに詳しく説明する。
【0057】
図4(a)に実線で示されるのは、視認者の視点位置がコンビネーションメータ100の正面にあると想定した場合の視認者の視線方向LScである。この場合、視認者の視線方向LScは、コンビネーションメータ100の表示方向に沿っている。この状態から、視認者の視点位置は、左右に移動する。図4(b)に示されるのは、視認者が頭部を移動させること等により、予め想定される範囲内において、視認者の視線方向が表示方向に対して最大の角度を有した場合である。具体的に、予め想定される範囲内において、頭部の位置が最も左側に移動した際の左目の視線方向LSlが、図4(b)において破線で示されている。また、予め想定される範囲内において、頭部の位置が最も右側に移動した際の右目の視線方向LSrが、図4(b)において一点鎖線で示されている。
【0058】
図4(b)に示されるように、赤色光集光部65の反射面65bによって、赤色帯状部55に入射する視線方向は、赤色印刷部66の形成された赤色光入射面65aに向けて反射される。仮に、反射面65bが形成されない場合、赤色帯状部55の外縁に入射する左目の視線方向LSlは、白色の迂回光を透過させる環状透光部33bに到達してしまう(図4(b)二点鎖線参照)。このとき、視認者は、赤色に発光すべき赤色帯状部55を通じて、環状透光部33bを透過した白色の迂回光を視認してしまう。
【0059】
赤色帯状部55を通じて白色の迂回光が視認されないように、仮に、赤色印刷部66を径方向外側に、左目の視線方向LSlの到達し得る位置Apまで延長したとする。この形態において、さらに環状集光部67が形成されないと仮定すると、環状発光部57の内縁に入射する右目の視線方向LSrは、径方向外側に延長された赤色印刷部66に到達してしまい得る(図4(b)二点鎖線参照)。このとき、視認者は、白色に発光すべき環状発光部57を通じて、赤色印刷部66を透過した赤色の調整光を視認し得る。
【0060】
また、赤色帯状部55及び白色帯状部53間においても、以下に説明するように、上述した赤色帯状部55及び環状発光部57間と同様である。反射面65bが形成されない場合、赤色帯状部55の内縁に入射する右目の視線方向LSrは、白色の迂回光を透過させる帯状透光部33aに到達し得る。このとき、視認者は、赤色に発光すべき赤色帯状部55を通じて、帯状透光部33aを透過した白色の迂回光を視認してしまう。
【0061】
赤色帯状部55を通じて白色の迂回光が視認されないように、赤色印刷部66を径方向内側に延長したとする。この形態において、さらに白色光集光部63が形成されないと仮定すると、白色帯状部53の外縁に入射する左目の視線方向LSlは、径方向内側に延長された赤色印刷部66に到達し得る。このとき、視認者は、白色に発光すべき白色帯状部53を通じて、赤色印刷部66を透過した赤色の調整光を視認し得る。
【0062】
しかし、ここまで説明した第一実施形態によれば、赤色帯状部55に入射する視認者の視線方向が変化した場合でも、赤色に調整された調整光は、赤色光集光部65の集光作用により、白色帯状部53及び環状発光部57を発光させる白色の迂回光に混じり合い難くなる。故に、白色帯状部53及び環状発光部57の発光色が赤色の調整光によって変化してしまう事態は、防がれ得る。加えて、赤色帯状部55は、赤色光集光部65によって集光された調整光により、予め規定された赤色にて、確実に発光することができる。したがって、互いに並んで位置する赤色帯状部55及び白色帯状部53、並びに赤色帯状部55及び環状発光部57をそれぞれ近接させても、これら白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57は、各々正しい発光状態にて発光することができる。これにより、各発光部の形状及び配置の自由度が向上するので、コンビネーションメータ100は、優れた見栄えを獲得できるようになる。
【0063】
加えて第一実施形態によれば、白色光集光部63は、帯状透光部33aを透過した迂回光を集光しつつ、白色帯状部53に導光する。加えて環状集光部67は、環状透光部33bを透過した迂回光を集光しつつ、環状発光部57に導光する。これら白色光集光部63及び環状集光部67の集光作用により、視認者の視線方向が変化した場合でも、赤色印刷部66によって発光色を調整されていない白色の迂回光は、赤色の調整光に混じり合い難くなる。故に、白色の迂回光が赤色帯状部55の発光色を変化させる事態、並びに赤色の調整光が白色帯状部53及び環状発光部57の発光色を変化させる事態は、共に確実に抑制され得る。
【0064】
また第一実施形態によれば、反射面65bの反射によって、赤色の調整光は、白色の光に混じり合うことなく、確実に赤色帯状部55に集光される。故に、視認者の視線方向が変化した場合でも、白色帯状部53及び環状発光部57の発光色が調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。
【0065】
さらに第一実施形態によれば、赤色印刷部66が赤色光集光部65と一体で形成されることにより、調整光は、赤色光集光部65によって漏れ無く集光される。故に、調整光は、赤色光集光部65によって確実に集光されることにより、白色帯状部53及び環状発光部57を発光させる白色の迂回光に混じり難くなる。以上により、視認者の視線方向が変化した場合でも、白色帯状部53及び環状発光部57の発光色が赤色の調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。
【0066】
これらの混色防止作用により、赤色帯状部55及び白色帯状部53、並びに赤色帯状部55及び環状発光部57をそれぞれ近接させても、これら白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57は、各々正しい発光状態にて確実に発光できる。
【0067】
また加えて第一実施形態によれば、環状集光部67の凸レンズ状の環状入射面67aは、視認者の視線方向を、径方向外側に屈折させる作用を発揮できる。故に、白色の迂回光を透過させるための環状透光部33bは、環状入射面67aによって屈折させた視線方向の延長先であって、赤色印刷部66から離れた位置に、形成され得る。これにより、環状発光部57を発光させるための白色の迂回光は、赤色印刷部66を確実に迂回できる。以上のように、環状入射面67aの屈折作用によって、赤色印刷部66及び環状透光部33bは、赤色帯状部55と環状発光部57との距離にかかわらず、互いに離れて位置し得る。故に、発光色の異なる光が混じり合う事態は、さらに確実に抑制される。したがって、赤色帯状部55及び環状発光部57は、共に正しい発光色にて確実に発光することができる。
【0068】
さらに加えて、第一実施形態において、並んで位置する赤色帯状部55と、白色帯状部53及び環状発光部57とは、発光色が互いに異なる。仮に、赤色印刷部66によって赤色に調整された調整光が、白色帯状部53及び環状発光部57を発光させる白色の迂回光に混じり合ったとする。すると、赤みがかって発光する白色帯状部53及び環状発光部57の発光色が正しくないことは、視認者によって知覚され易く、コンビネーションメータ100の見栄えを著しく悪化させる要因となり得る。
【0069】
しかし、上述したように、赤色光集光部65の集光作用によって、赤色の調整光と白色の迂回光との混じり合いが抑制される。故に、視認者の視線方向が変化した場合でも、白色帯状部53及び環状発光部57の発光色が変化してしまう事態は、防がれ得る。このように、赤色帯状部55と白色帯状部53及び環状発光部57とを近接させても、これらの発光状態が正しく維持される効果は、発光状態としての発光色が互いに異なる形態のコンビネーションメータ100において、見栄え確保に顕著に寄与できるのである。
【0070】
尚、第一実施形態において、主目盛部51、補助目盛部52、白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57が特許請求の範囲に記載の「複数の発光部」に相当し、赤色帯状部55が特許請求の範囲に記載の「第一発光部」に相当し、白色帯状部53及び環状発光部57が特許請求の範囲に記載の「第二発光部」に相当し、赤色印刷部66が特許請求の範囲に記載の「発光調整部」に相当し、赤色光集光部65が特許請求の範囲に記載の「集光部」及び「第一集光部」に相当し、反射面65bが特許請求の範囲に記載の「反射面」に相当し、環状入射面67aが特許請求の範囲に記載の「屈折面」に相当し、白色光集光部63及び環状集光部67が特許請求の範囲に記載の「第二集光部」に相当し、発光ダイオード83が特許請求の範囲に記載の「光源部」に相当し、コンビネーションメータ100が特許請求の範囲に記載の「表示装置」に相当する。
【0071】
(第二実施形態)
図5に示される本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態によるコンビネーションメータ200は、第一実施形態の立体目盛リング50及び表示パネル30(図2参照)に相当する、立体目盛リング250及び表示パネル230を備えている。以下、図5に基づいて、第二実施形態によるコンビネーションメータ200について詳細に説明する。
【0072】
第二実施形態の立体目盛リング250では、白色の迂回光を環状発光部57に集光する第一実施形態の環状集光部67(図4(a)参照)に相当する構成が、省略されている。具板的には、環状透光部33bを透過した白色の迂回光を入射させる環状入射面267aは、平面状に形成されている。加えて、第一実施形態の赤色印刷部66(図4(a)参照)に相当する構成は、赤色光入射面65aには形成されていない。
【0073】
表示パネル230は、上述した赤色光入射面65aにおける赤色印刷部66(図4(a)参照)の省略に伴い、赤色印刷部234をおもて面に有している。赤色印刷部234は、赤色印刷部66と同様に、赤色の波長域に属する光を主に通過させる。これにより赤色印刷部234は、発光ダイオード83(図3参照)から放出された光の色を、赤色帯状部55の発光色として予め規定された赤色に調整し、赤色光入射面65aに入射させる。加えて、赤色印刷部234は、表示パネル230において、立体目盛リング250の赤色光入射面65aと接する領域及び当該領域を囲む範囲に形成されている。故に、立体目盛リング250と表示パネル230との相対位置が部品の公差等に起因してずれた場合でも、赤色印刷部234によって赤色に調整された調整光は、赤色光入射面65aに確実に入射する。
【0074】
ここまで説明した第二実施形態でも、立体目盛リング250は、集光作用を発揮する赤色光集光部65を有する。故に、赤色帯状部55に入射する視認者の視線方向が変化した場合でも、赤色に調整された調整光は、白色帯状部53及び環状発光部57を発光させる白色の迂回光に混じり合い難くなる(図5 視線方向LSl,LSr参照)。このように、環状集光部67(図4(a)参照)に相当する構成が立体目盛リング250から省略されていても、環状発光部57の発光色が調整光によって変化してしまう事態は、防がれ得る。
【0075】
また、立体目盛リング250ではなく表示パネル230に赤色印刷部234が形成されていても、赤色に発光色を調整された調整光は、赤色光集光部65に入射し得る。故に、赤色帯状部55は、赤色光集光部65によって集光された調整光により、赤色にて確実に発光することができる。したがって、互いに並んで位置する赤色帯状部55と白色帯状部53及び環状発光部57とを近接させても、これら白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57は、各々正しい発光状態にて発光することができる。
【0076】
加えて第二実施形態では、表示パネル230のおもて面に赤色印刷部234を形成することにより、低コスト化が図られている。詳しく説明すると、立体目盛リング250から赤色印刷部66(図4(a)参照)に相当する構成を省略することにより、立体目盛リング250のコストは低減される。一方で、表示パネル230のおもて面に赤色印刷部234を形成する工程は、当該おもて面に遮光部32を形成する工程と共に行われ得る。故に、表示パネル230に赤色印刷部234を追加するために要するコストは、立体目盛リング250から赤色印刷部を省略することによって低減できるコストよりも低くなる。したがって、赤色印刷部234を表示パネル230に形成することにより、コンビネーションメータ200は、低コストでありながら、赤色帯状部55を赤色にて確実に発光させることができる。
【0077】
尚、第二実施形態において、赤色印刷部234が特許請求の範囲に記載の「発光調整部」に相当し、コンビネーションメータ100が特許請求の範囲に記載の「表示装置」に相当する。
【0078】
(第三実施形態)
図6に示される本発明の第三実施形態は、第二実施形態の変形例である。第三実施形態によるコンビネーションメータ300は、第二実施形態の立体目盛リング250(図4参照)に相当する、立体目盛リング350を備えている。以下、図6に基づいて、第三実施形態によるコンビネーションメータ300について詳細に説明する。
【0079】
立体目盛リング350は、赤色光集光部365及び環状集光部367を有している。赤色光集光部365は、立体目盛リング350において赤色帯状部55の表示方向とは反対側に形成されている。赤色光集光部365は、赤色の調整光を赤色帯状部55に導光する。赤色光集光部365は、赤色帯状部55を発光させるための光を立体目盛リング350内に入射させる赤色光入射面365aを形成している。赤色光入射面365aは、表示方向とは反対の方向に凸状に湾曲している。凸レンズ状に形成された赤色光入射面365aの光軸は、表示方向に向かうに従って、径方向内側に傾斜している。この形状よって、赤色光入射面365aは、視認者の視線方向LSl,LSrを、赤色印刷部234に向けて屈折させる。以上により、赤色印刷部234を透過し、発光色を赤色に調整された調整光は、赤色光入射面365aから赤色光集光部365に入射する。赤色光集光部365は、凸レンズ状の赤色光入射面65aによって、赤色帯状部55に向けて調整光を屈折させることにより、赤色帯状部55に調整光を集光する。
【0080】
環状集光部367は、立体目盛リング350において環状発光部57の表示方向とは反対側に環状に形成されている。環状集光部367は、環状発光部57に白色の迂回光を導光する。環状集光部367は、立体目盛リング350から表示方向とは反対の方向に向けて突出している。環状集光部367は、環状発光部57を発光させるための光を立体目盛リング350内に入射させる環状入射面367aに加えて、一対の反射面367bを形成している。
【0081】
環状入射面367aは、環状集光部367において突出方向の先端面に形成されている。環状入射面367aは、表示パネル230のおもて面に沿った平面状であって、環状透光部33bと接している。一対の反射面367bは、立体目盛リング350の径方向において相対している。各反射面367bは、立体目盛リング350の周方向に沿って環状に伸びている。一対の反射面367bのうち、内周側に位置する一方は、表示方向に向かうに従って径方向内側に傾斜している。一対の反射面367bのうち、外周側に位置する他方は、表示方向に向かうに従って径方向外側に傾斜している。環状入射面367aには、環状透光部33bを透過した白色の迂回光が入射する。環状集光部367は、反射面367bによって、環状発光部57に向けて迂回光を反射させることにより、環状発光部57に迂回光を集光する。
【0082】
ここまで説明した第三実施形態では、凸レンズ状に形成された赤色光入射面365aを有する赤色光集光部365が、集光作用を発揮する。故に、赤色帯状部55に入射する視認者の視線方向が変化した場合でも、赤色に調整された調整光は、白色帯状部53及び環状発光部57を発光させる白色の迂回光に混じり合い難くなる。このように、赤色光入射面365aを凸レンズ状に形成した形態であっても、環状発光部57の発光色が調整光によって変化してしまう事態は、防がれ得る。加えて、赤色帯状部55は、赤色光集光部365によって集光された調整光により、赤色にて確実に発光することができる。したがって、互いに並んで位置する赤色帯状部55及び白色帯状部53、並びに赤色帯状部55及び環状発光部57をそれぞれ近接させても、これら白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57は、各々正しい発光状態にて発光することができる。
【0083】
加えて第三実施形態によれば、反射面367bを有する環状集光部367は、環状透光部33bを透過した迂回光を集光しつつ、環状発光部57に導光する。このように、反射面367bを有する環状集光部367であっても、環状集光部367の集光作用は、発揮され得る。故に、視認者の視線方向が変化した場合でも、発光色を調整されていない白色の迂回光は、赤色の調整光に混じり合い難くなる。故に、白色の迂回光が赤色帯状部55の発光色を変化させる事態、並びに赤色の調整光が環状発光部57の発光色を変化させる事態は、共に確実に抑制され得る。
【0084】
また第三実施形態によれば、凸レンズ状の赤色光入射面365aの集光作用によって、赤色の調整光は、白色の光に混じり合うことなく、確実に赤色帯状部55に集光される。故に、視認者の視線方向が変化した場合でも、白色帯状部53及び環状発光部57の発光色が調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。
【0085】
さらに第三実施形態によれば、凸レンズ状の赤色光入射面365aの屈折作用によって、赤色帯状部55に入射する視認者の視線方向LSl,LSrは、環状透光部33bから離れた位置に設けられた赤色印刷部234に確実に向けられる。故に、赤色印刷部234は、環状透光部33bから離れていても、赤色帯状部55を発光させる光の色を調整する作用を発揮できる。加えて、赤色印刷部234が環状透光部33bから離れているので、調整光が環状入射面367aにさらに入射し難くなる。故に、視認者の視線方向が変化した場合でも、環状発光部57の発光色が調整光によって変化してしまう事態は、確実に抑制され得る。
【0086】
これらの混色防止作用により、赤色帯状部55及び白色帯状部53、並びに赤色帯状部55及び環状発光部57をそれぞれ近接させても、これら白色帯状部53、赤色帯状部55、及び環状発光部57は、各々正しい発光状態にて確実に発光できる。
【0087】
尚、第三実施形態において、赤色光入射面365が特許請求の範囲に記載の「集光部」及び「第一集光部」に相当し、赤色光入射面365aが特許請求の範囲に記載の「屈折面」に相当し、環状集光部367が特許請求の範囲に記載の「第二集光部」に相当し、反射面367bが特許請求の範囲に記載の「反射面」に相当し、コンビネーションメータ300が特許請求の範囲に記載の「表示装置」に相当する。
【0088】
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0089】
上記第一及び第二実施形態では、赤色帯状部55に調整光を集光する赤色光集光部65は、反射面65bを有していた。また、上記第三実施形態では、赤色光集光部365は、屈折面としての赤色光入射面365aを有していた。しかし、集光部は、反射面及び屈折面以外の構成によって、又は反射面及び屈折面を組み合わせた構成によって、調整光を赤色帯状部に集光する形態であってもよい。
【0090】
上記実施形態では、特許請求の範囲に記載の「第二集光部」として、白色光集光部及び環状集光部が設けられていた。しかし、発光状態を調整されていない迂回光が赤色帯状部から出射され難い形態であれば、迂回光を集光するためのこれら「第二集光部」に相当する構成は、省略されていても良い。
【0091】
上記第一実施形態では、環状入射面67aが、特許請求の範囲に記載の「屈折面」として、凸レンズ状に形成されていた。また、上記第三実施形態では、赤色光集光部365が、特許請求の範囲に記載の「屈折面」として、凸レンズ状に形成されていた。しかし、「屈折面」としての凸レンズ状の入射面は、集光部に形成されていなくてもよい。すべての集光部が、反射面によって光を集光する構成であってもよい。
【0092】
上記第一実施形態では、特許請求の範囲に記載の「発光調整部」として、赤色印刷部が発光色を赤色に調整していた。しかし、発光調整部によって調整される光の色は、赤色に限定されない。例えば、発光ダイオードから放出された光の色を緑色や黄色等に調整する発光調整部が、表示パネル又は立体目盛リング等に設けられていてもよい。又は、発光調整部は、「発光状態」として、光の色ではなく、光の輝度を調整する構成であってもよい。例えば、微小な凹凸を有し、「第一集光部」に入射する光の輝度を高めるシボ部が、導光体70の表示方向とは反対側の面に「発光調整部」として形成されていてもよい。
【0093】
上記第一実施形態では、「発光調整部」である赤色印刷部に発光状態を調整されない光は、発光ダイオードから放出されたままの発光状態を維持しつつ、白色光集光部及び環状集光部のいずれかに入射していた。しかし、発光調整部を迂回する迂回光であっても、輝度及び色相等の発光状態を調整されたうえで、白色帯状部及び環状発光部等の「第二発光部」から出射されてもよい。
【0094】
以上、内燃機関の回転速度を表示するタコメータに本発明を適用することにより、レッドゾーンを示す領域の発光部において光の混色を抑制した例を説明した。しかし、本発明は、タコメータのレッドゾーンを示す発光部に限らず、互いに発光状態の異なる発光部を備える、例えばスピードメータ、燃料計、及び水温計等の表示装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
20 タコメータ、20a 表示領域、30,230 表示パネル、31 文字部、32 遮光部、33 透光部、33a 帯状透光部、33b 環状透光部、234 赤色印刷部(発光調整部)、39 外縁リング、40 指針、41 指針本体部、42 キャップ部、50,250,350 立体目盛リング、51 主目盛部(複数の発光部)、52 補助目盛部(複数の発光部)、53 白色帯状部(複数の発光部,第二発光部)、55 赤色帯状部(複数の発光部,第一発光部)、57 環状発光部(複数の発光部,第二発光部)、59 遮光部、63 白色光集光部(第二集光部)、63a 白色光入射面、63b 反射面、65,365 赤色光集光部(集光部,第一集光部)、65a 赤色光入射面、365a 赤色光入射面(屈折面)、65b 反射面、66 赤色印刷部(発光調整部)、67,367 環状集光部(第二集光部)、67a, 環状入射面(屈折面)、267a,367a 環状入射面、367b 反射面、70 導光体、73 ケース、80 メータ制御部、83 発光ダイオード(光源部)、85 ステッパーモータ、91 車内LAN、92 電力供給制御回路、93 イグニッション・スイッチ、94 イグニッション・リレー、95 バッテリ、100,200,300 コンビネーションメータ(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示領域に、互いに発光状態の異なる複数の発光部を備える表示装置であって、
前記複数の発光部を発光させるための光を放出する光源部と、
前記複数の発光部のうちの一つである第一発光部と、
前記複数の発光部のうちの他の一つであって、前記第一発光部と並んで位置する第二発光部と、
前記光源部から放出された光の状態を、前記第一発光部の発光状態として予め規定された状態に調整する発光調整部と、
前記発光調整部によって状態を調整された調整光を前記第一発光部に集光する集光部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記集光部は、前記第一発光部に向けて前記調整光を反射させることにより、前記第一発光部に前記調整光を集光する反射面、を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記集光部は、前記第一発光部に向けて前記調整光を屈折させることにより、前記第一発光部に前記調整光を集光する屈折面、を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光調整部は、前記集光部と一体で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記集光部としての第一集光部と、
前記光源部から放出された光のうち前記発光調整部を迂回した迂回光を前記第二発光部に集光する第二集光部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第一集光部及び前記第二集光部のうちの少なくとも一方は、
前記第一発光部及び前記第二発光部のうち対応する発光部に向けて、前記調整光及び前記迂回光のうち対応する光を屈折させることにより、当該対応する発光部に当該対応する光を集光する屈折面、を有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第一発光部及び前記第二発光部は、発光状態として発光色が互いに異なり、
前記発光調整部は、前記光源部から放出される光の色を、予め規定された第一発光部の発光色に調整することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−154738(P2012−154738A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13213(P2011−13213)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】