説明

表示装置

【課題】導光板を用いてパララックスバリアと等価な機能を実現することができる光源デバイスおよび表示装置を提供する。
【解決手段】互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、導光板内部に向けて側面方向から第1の照明光を照射する第1の光源と、導光板に対して、第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、第2の内部反射面に向けて外側から第2の照明光を照射する第2の光源とを備える。第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方に、第1の光源からの第1の照明光を散乱させて第1の内部反射面から導光板の外部に出射させる複数の散乱エリアを設け、散乱エリア内に、第2の光源からの第2の照明光を透過させる透過エリアが設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パララックスバリア(視差バリア)方式による立体視を可能にする光源デバイスおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特殊な眼鏡を装着する必要がなく、裸眼で立体視が可能な立体表示方式の一つとして、パララックスバリア方式の立体表示装置が知られている。この立体表示装置は、2次元表示パネルの前面(表示面側)に、パララックスバリアを対向配置したものである。パララックスバリアの一般的な構造は、2次元表示パネルからの表示画像光を遮蔽する遮蔽部と、表示画像光を透過するストライプ状の開口部(スリット部)とを水平方向に交互に設けたものである。
【0003】
パララックスバリア方式では、2次元表示パネルに立体視用の視差画像(2視点の場合には右眼用視点画像と左眼用視点画像)を空間分割して表示し、その視差画像をパララックスバリアによって水平方向に視差分離することで立体視が行われる。パララックスバリアにおけるスリット幅などを適切に設定することで、所定の位置、方向から観察者が立体表示装置を見た場合に、スリット部を介して観察者の左右の眼に異なる視差画像の光を別々に入射させることができる。
【0004】
なお、2次元表示パネルとして例えば透過型の液晶表示パネルを用いる場合、2次元表示パネルの背面側にパララックスバリアを配置する構成も可能である(特許文献1の図10、特許文献2の図3参照)。この場合、パララックスバリアは、透過型の液晶表示パネルとバックライトとの間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3565391号公報(図10)
【特許文献2】特開2007−187823号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パララックスバリア方式の立体表示装置では、パララックスバリアという3次元表示用の専用部品を必要とするため、部品点数と配置スペースが通常の2次元表示用の表示装置に比べて多く必要になってしまうという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、導光板を用いてパララックスバリアと等価な機能を実現することができる光源デバイスおよび表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示による光源デバイスは、互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、導光板内部に向けて側面方向から第1の照明光を照射する第1の光源と、導光板に対して、第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、第2の内部反射面に向けて外側から第2の照明光を照射する第2の光源とを備えたものである。そして、第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方に、第1の光源からの第1の照明光を散乱させて第1の内部反射面から導光板の外部に出射させる複数の散乱エリアが設けられ、散乱エリア内に、第2の光源からの第2の照明光を透過させる透過エリアが設けられているものである。
【0009】
本開示による表示装置は、画像表示を行う表示部と、表示部に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスとを備え、その光源デバイスを、上記本開示の光源デバイスで構成したものである。
【0010】
本開示による光源デバイスまたは表示装置では、散乱エリアによって第1の光源からの第1の照明光が散乱され、一部またはすべての光が、第1の内部反射面から導光板の外部に出射される。これにより、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることが可能となる。すなわち、等価的に、散乱エリアを開口部(スリット部)としたパララックスバリアとして機能させることができる。また、散乱エリア内の透過エリアでは、第2の光源からの第2の照明光が透過する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の光源デバイスまたは表示装置によれば、導光板の第1の内部反射面または第2の内部反射面に散乱エリアを設けるようにしたので、等価的に、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。また、散乱エリア内に透過エリアを設け、第2の光源からの第2の照明光を透過させるようにしたので、第2の光源の光利用効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を、第1の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図2】図1に示した表示装置の一構成例を、第2の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図3】図1に示した表示装置の第1の変形例を示す断面図である。
【図4】図1に示した表示装置の第2の変形例を示す断面図である。
【図5】(A)は図1に示した表示装置における導光板表面の第1の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図6】(A)は図1に示した表示装置における導光板表面の第2の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図7】(A)は図1に示した表示装置における導光板表面の第3の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図8】表示部の画素構造の一例を示す平面図である。
【図9】(A)は図8の画素構造において、2つの視点画像を割り当てた場合の割り当てパターンと散乱エリアの配置パターンとの対応関係の第1の例を示す平面図であり、(B)は断面図である。
【図10】(A)は図1に示した表示装置において第2の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を示した断面図である。(B)は(A)の光線出射状態での輝度分布を模式的に示す説明図である。
【図11】(A)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第1の例を示す平面図であり、(B)は断面図である。
【図12】(A)は散乱エリア内に透過エリアを設けた場合において第2の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を示した断面図である。(B)は(A)の光線出射状態での輝度分布を模式的に示す説明図である。
【図13】(A)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第2の例を示す平面図であり、(B)は断面図である。
【図14】(A)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第3の例を示す平面図であり、(B)は断面図である。
【図15】(A)は透過エリアを設けない場合の散乱エリアと表示部の画素との対応関係を示した平面図および断面図である。(B)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第1の例における散乱エリアと表示部の画素との対応関係を示した平面図および断面図である。(C)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第3の例における散乱エリアと表示部の画素との対応関係を示した平面図および断面図である。
【図16】(A)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第4の例を示す平面図および断面図である。(B)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第5の例を示す平面図および断面図である。(C)は散乱エリア内に透過エリアを設けた第6の例を示す平面図および断面図である。
【図17】第2の実施の形態に係る表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図である。
【図18】(A)は図17に示した表示装置における導光板表面の第1の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図19】(A)は図17に示した表示装置における導光板表面の第2の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図20】(A)は図17に示した表示装置における導光板表面の第3の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
[表示装置の全体構成]
図1および図2は、本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を示している。この表示装置は、画像表示を行う表示部1と、表示部1の背面側に配置され、表示部1に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスとを備えている。光源デバイスは、第1の光源2(2D/3D表示用光源)と、導光板3と、第2の光源7(2D表示用光源)とを備えている。導光板3は、表示部1側に対向配置される第1の内部反射面3Aと、第2の光源7側に対向配置される第2の内部反射面3Bとを有している。なお、この表示装置は、その他にも、表示に必要な表示部1用の制御回路等を備えているが、その構成は一般的な表示用の制御回路等と同様であるので、その説明を省略する。また、光源デバイスは、図示しないが、第1の光源2および第2の光源7のオン(点灯)・オフ(非点灯)制御を行う制御回路を備えている。
【0015】
この表示装置は、全画面での2次元(2D)表示モードと、全画面での3次元(3D)表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。2次元表示モードと3次元表示モードとの切り替えは、表示部1に表示する画像データの切り替え制御と、第1の光源2および第2の光源7のオン・オフの切り替え制御とを行うことで可能となっている。図1は、第1の光源2のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これは3次元表示モードに対応している。図2は、第2の光源7のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これは2次元表示モードに対応している。なお、図2では、第2の光源7からの第2の照明光L10の理想的な光線出射状態を示している。
【0016】
表示部1は、透過型の2次元表示パネル、例えば透過型の液晶表示パネルを用いて構成され、例えば図8に示したように、R(赤色)用画素11R、G(緑色)用画素11G、およびB(青色)用画素11Bからなる画素を複数有し、それら複数の画素がマトリクス状に配置されている。表示部1は、光源デバイスからの光を画像データに応じて画素ごとに変調させることで2次元的な画像表示を行うようになっている。表示部1には、3次元画像データに基づく複数の視点画像と2次元画像データに基づく画像とが任意に選択的に切り替え表示されるようになっている。なお、3次元画像データとは、例えば、3次元表示における複数の視野角方向に対応した複数の視点画像を含むデータである。例えば2眼式の3次元表示を行う場合、右眼表示用と左眼表示用の視点画像のデータである。3次元表示モードでの表示を行う場合には、例えば、1画面内にストライプ状の複数の視点画像が含まれる合成画像を生成して表示する。なお、表示部1の各画素に複数の視点画像を割り当てる、その割り当てパターンと散乱エリア31の配置パターンとの対応関係の具体例は後に詳述する。
【0017】
第1の光源2は、例えば、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の蛍光ランプや、LED(Light Emitting Diode)を用いて構成されている。第1の光源2は、導光板3内部に向けて側面方向から第1の照明光L1(図1)を照射するようになっている。第1の光源2は、導光板3の側面に少なくとも1つ配置されている。例えば、導光板3の平面形状が四角形である場合、側面は4つとなるが、第1の光源2は、少なくともいずれか1つの側面に配置されていれば良い。図1では、導光板3における互いに対向する2つの側面に第1の光源2を配置した構成例を示している。第1の光源2は、2次元表示モードと3次元表示モードとの切り替えに応じて、オン(点灯)・オフ(非点灯)制御されるようになっている。具体的には第1の光源2は、表示部1に3次元画像データに基づく画像を表示する場合(3次元表示モードの場合)には点灯状態に制御されると共に、表示部1に2次元画像データに基づく画像を表示する場合(2次元表示モードの場合)には非点灯状態または点灯状態に制御されるようになっている。
【0018】
第2の光源7は、導光板3に対して第2の内部反射面3Bが形成された側に対向配置されている。第2の光源7は、第2の内部反射面3Bに向けて外側から第2の照明光L10を照射するようになっている(図2参照)。第2の光源7は、一様な面内輝度の光を発する面状光源であれば良く、その構造自体は特定のものには限定されず、市販の面状バックライトを使用することが可能である。例えばCCFLやLED等の発光体と、面内輝度を均一化するための光拡散板とを用いた構造などが考えられる。第2の光源7は、2次元表示モードと3次元表示モードとの切り替えに応じて、オン(点灯)・オフ(非点灯)制御されるようになっている。具体的には第2の光源7は、表示部1に3次元画像データに基づく画像を表示する場合(3次元表示モードの場合)には非点灯状態に制御されると共に、表示部1に2次元画像データに基づく画像を表示する場合(2次元表示モードの場合)には点灯状態に制御されるようになっている。
【0019】
導光板3は、例えばアクリル樹脂等による透明なプラスチック板により構成されている。導光板3は、第2の内部反射面3B以外の面は、全面に亘って透明とされている。例えば、導光板3の平面形状が四角形である場合、第1の内部反射面3Aと、4つの側面とが全面に亘って透明とされている。
【0020】
第1の内部反射面3Aは、全面に亘って鏡面加工がなされており、導光板3内部において全反射条件を満たす入射角で入射した光線を内部全反射させると共に、全反射条件から外れた光線を外部に出射するようになっている。
【0021】
第2の内部反射面3Bは、散乱エリア31と全反射エリア32とを有している。散乱エリア31は、後述するように、導光板3の表面にレーザ加工、サンドブラスト加工、塗装加工、またはシート状の光散乱部材を貼り付けるなどすることで形成されている。第2の内部反射面3Bにおいて、散乱エリア31は3次元表示モードにしたときに、第1の光源2からの第1の照明光L1に対してパララックスバリアとしての開口部(スリット部)として機能し、全反射エリア32は遮蔽部として機能するようになっている。第2の内部反射面3Bにおいて、散乱エリア31と全反射エリア32は、パララックスバリアに相当する構造となるようなパターンで設けられている。すなわち、全反射エリア32はパララックスバリアにおける遮蔽部に相当するパターンで設けられ、散乱エリア31はパララックスバリアにおける開口部に相当するパターンで設けられている。なお、パララックスバリアのバリアパターンとしては例えば、縦長のスリット状の開口部が遮蔽部を介して水平方向に多数、並列配置されたようなストライプ状のパターンが知られている。ただし、バリアパターンは、従来から知られている種々のタイプのものを用いることができ、特定のものには限定されない。
【0022】
第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32は、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線を内部全反射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1で入射した光線を内部全反射させる)ようになっている。これにより、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した第1の光源2からの第1の照明光L1は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32との間で、内部全反射により側面方向に導光されるようになっている。全反射エリア32はまた、図2に示したように、第2の光源7からの第2の照明光L10を透過させ、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射するようになっている。
【0023】
なお、導光板3の屈折率をn1、導光板3の外側の媒質(空気層)の屈折率をn0(<n1)とすると臨界角αは、以下で表される。α,θ1は、導光板表面の法線に対する角度とする。全反射条件を満たす入射角θ1は、θ1>αとなる。
sinα=n0/n1
【0024】
散乱エリア31は、図1に示したように、第1の光源2からの第1の照明光L1を散乱反射させ、第1の照明光L1の少なくとも一部の光を第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線(散乱光線L20)として出射するようになっている。
【0025】
[表示装置の構成の変形例]
図1に示した表示装置において、表示部1に表示された複数の視点画像の空間分離を行うためには、表示部1の画素部と導光板3の散乱エリア31とが所定の距離dを保って対向配置されている必要がある。図1では表示部1と導光板3との間が空気間隔となっているが、図3の第1の変形例に示したように、所定の距離dを保つために、表示部1と導光板3との間にスペーサ8が配置されていても良い。スペーサ8は、無色透明で散乱が少ない材料であればよく、例えばPMMAなどを使用することができる。このスペーサ8は表示部1の背面側の表面と導光板3の表面との全部を覆うように設けられていても良いし、距離dを保つために必要最小限、部分的に設けられていても構わない。
【0026】
また、図4に示した第2の変形例のように、導光板3の厚みを全体的に厚くして空気間隔をなくすようにしてもよい。
【0027】
[散乱エリア31の具体的な構成例]
図5(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第1の構成例を示している。図5(B)は図5(A)に示した第1の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第1の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凹形状の散乱エリア31Aにした構成例である。このような凹形状の散乱エリア31Aは例えば、サンドブラスト加工やレーザ加工により形成することができる。例えば、導光板3の表面を鏡面加工した後、散乱エリア31Aに対応する部分をレーザ加工することで形成することができる。この第1の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した第1の光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、凹形状の散乱エリア31Aでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12の光線の一部が凹形状の側面部分33では全反射条件を満たさなくなり、一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線(散乱光線L20)の一部またはすべてが、図1に示したように、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0028】
図6(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第2の構成例を示している。図6(B)は図6(A)に示した第2の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第2の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凸形状の散乱エリア31Bにした構成例である。このような凸形状の散乱エリア31Bは例えば、導光板3の表面を金型による成型加工することで形成することができる。この場合、金型の表面により全反射エリア32に対応する部分については鏡面加工を行う。この第2の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した第1の光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、凸形状の散乱エリア31Bでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12の光線の一部が凸形状の側面部分34では全反射条件を満たさなくなり、一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線(散乱光線L20)の一部またはすべてが、図1に示したように、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0029】
図7(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第3の構成例を示している。図7(B)は図7(A)に示した第3の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。図5(A)および図6(A)の構成例では、導光板3の表面を全反射エリア32とは異なる形状に表面加工することにより散乱エリア31を形成するようにした。これに対して図7(A)の構成例による散乱エリア31Cは、表面加工ではなく、第2の内部反射面3Bに対応する導光板3の表面に、導光板3の材料とは異なる材料による光散乱部材35を配置したものである。この場合、光散乱部材35として例えば白色塗料(例えば硫酸バリウム)をスクリーン印刷で導光板3の表面にパターニングすることで散乱エリア31Cを形成することができる。この第3の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した第1の光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、光散乱部材35を配置した散乱エリア31Cでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12が光散乱部材35によって一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線の一部またはすべてが、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0030】
[表示装置の基本動作]
この表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、第1の光源2と第2の光源7とを3次元表示用にオン(点灯)・オフ(非点灯)制御する。具体的には、図1に示したように、第1の光源2をオン(点灯)状態にすると共に、第2の光源7をオフ(非点灯)状態に制御する。この状態では、第1の光源2からの第1の照明光L1は、導光板3において第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bの全反射エリア32との間で、繰り返し内部全反射されることにより、第1の光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、第1の光源2による第1の照明光L1の一部が、導光板3の散乱エリア31で散乱反射されることで、導光板3の第1の内部反射面3Aを透過し、導光板3の外部に出射される。これにより、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることが可能となる。すなわち、第1の光源2による第1の照明光L1に対しては、等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0031】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、第1の光源2と第2の光源7とを2次元表示用にオン(点灯)・オフ(非点灯)制御する。具体的には、例えば図2に示したように、第1の光源2をオフ(非点灯)状態にすると共に、第2の光源7をオン(点灯)状態に制御する。この場合、第2の光源7による第2の照明光L10が、第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32および散乱エリア31を透過することで、第1の内部反射面3Aのほぼ全面から、全反射条件を外れた光線となって導光板3の外部に出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0032】
なお、第2の光源7のみを点灯させたとしても導光板3のほぼ全面から、第2の照明光L10が出射されるが、必要に応じて、第1の光源2を点灯するようにしても良い。これにより、例えば、第2の光源7のみを点灯しただけでは、散乱エリア31と全反射エリア32とに対応する部分で輝度分布に差が生じるような場合、第1の光源2の点灯状態を適宜調整する(オン・オフ制御、または点灯量の調整をする)ことで全面に亘って輝度分布を最適化することが可能である。ただし、2次元表示を行う場合において、例えば表示部1側で十分に輝度の補正を行える場合には、第2の光源7のみの点灯で構わない。
【0033】
[視点画像の割り当てパターンと散乱エリア31の配置パターンとの対応関係]
この表示装置では、3次元表示モードでの表示を行う場合、表示部1には複数の視点画像を所定の割り当てパターンで各画素に割り当てて表示する。導光板3における複数の散乱エリア31は、その所定の割り当てパターンに対応した所定の配置パターンで設けられている。
【0034】
以下、視点画像の割り当てパターンと散乱エリア31の配置パターンとの対応関係の具体例を説明する。なお、以降の説明では、表示部1の表示面、または導光板3の第2の内部反射面3Bに平行な面内における第1の方向(垂直方向)をY方向、第1の方向に直交する第2の方向(水平方向)をX方向と記す。また、Y方向およびX方向に直交する方向(厚み方向)をZ方向と記す。
【0035】
表示部1の画素構造は、図8に示したように、赤色用画素11R、緑色用画素11G、および青色用画素11Bからなる画素を複数有し、それら複数の画素がY方向およびX方向にマトリクス状に配置されているものとする。X方向に3つの色の各画素11R,11G,11Bが周期的に交互に配列され、Y方向には同一色の各画素11R,11G,11Bが配列されている。この画素構造の場合、表示部1に通常の2次元画像を表示する状態(2次元表示モード)では、X方向に連続する3つの色の各画素11R,11G,11Bの組み合わせが、2次元のカラー表示を行うための1画素(2Dカラー表示の1単位画素)となる。図8では、2Dカラー表示の1単位画素を、X方向に6画素分、Y方向に3画素分、図示している。
【0036】
図9(A)は図8の画素構造において、表示部1の各画素に2つの視点画像(第1および第2の視点画像)を割り当てた場合の割り当てパターンと散乱エリア31の配置パターンとの対応関係の一例を示している。図9(B)は図9(A)のA−A’部分の断面に相当している。図9(B)では、2つの視点画像の分離状態を模式的に示している。この例では、2Dカラー表示の1単位画素を、1つの視点画像を表示するための1画素として割り当てている。そして、第1の視点画像と第2の視点画像とをX方向に交互に表示するように画素を割り当てている。従って、2Dカラー表示の1単位画素をX方向に2つ分、組み合わせたものが、3次元表示としての1単位画像(1立体画素)となる。図9(B)に示したように、第1の視点画像が観察者の右眼10Rのみに到達し、第2の視点画像が観察者の右眼10Rのみに到達する状態となることで、立体視が行われる。この例では、散乱エリア31のX方向の配置位置が、3次元表示としての1単位画像の略中央部分に位置するように配置されている。また、散乱エリア31は、導光板3のY方向に対向する2つの側面の間でY方向に延在すると共に、X方向に複数、並列的に配列されている。
【0037】
ここで、散乱エリア31のX方向の幅D1は、1つの視点画像を表示するための1画素の幅D2に対して所定の関係を有する大きさとされている。具体的には、散乱エリア31の幅D1は、幅D2に対して0.5倍以上1.5倍以下の大きさであることが好ましい。散乱エリア31の幅D1が大きくなるほど、散乱エリア31で散乱される光の量が多くなり、導光板3から出射する光の量が増加する。このため、輝度を増加させることができる。ただし、散乱エリア31の幅D1が、幅D2の1.5倍を超えると、複数の視点画像からの光が混じって観察されてしまう、いわゆるクロストークが生じるので好ましくない。逆に、散乱エリア31の幅D1が小さくなるほど、散乱エリア31で散乱される光の量が少なくなり、導光板3から出射する光の量が減少する。このため、輝度が低減する。散乱エリア31の幅D1が、幅D2の0.5倍を下回ると、輝度が低くなりすぎて画像表示として暗くなりすぎてしまうので、好ましくない。
【0038】
また、散乱エリア31の導光板表面(本実施の形態では第2の内部反射面3B)に対する高さ(深さ)H1は、散乱エリア31の幅D1に対して所定の関係を有する大きさとされている。具体的には、以下の所定の条件(1A)を満たすことが好ましい。すなわち、高さ(深さ)H1は、散乱エリア31の幅D1の2倍よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、以下の条件(1B)を満たすと良い。すなわち、高さ(深さ)H1が、散乱エリア31の幅D1の0.2倍以上0.5倍以下の大きさであることがより好ましい。なお、高さH1は、図5(A)に示したような凹形状の散乱エリア31Aの場合には、導光板表面から内部方向への高さである。また、図6(A)に示したような凸形状の散乱エリア31B、または図7(A)に示したような印刷パターン等の散乱エリア31Cの場合には、導光板表面から外部方向への高さである。
0<H1<2・D1 …(1A)
0.2≦H1≦0.5・D1 …(1B)
【0039】
なお、図9では、2視点の場合を例にしたが、視点数(表示する視点画像の数)は2つに限らず、3視点以上であっても良い。また、視点画像の割り当てパターンと散乱エリア31の配置パターンは、図9に示した例に限らず、他のパターンであっても良い。例えば、斜め方向に赤色用画素11R、緑色用画素11G、および青色用画素11Bを組み合わせて、1つの視点画像を表示するための1画素として割り当てるような割り当てパターンであっても良い。その場合、散乱エリア31は、斜め方向に傾斜して配置されるパターンとなる。また、散乱エリア31がY方向や斜め方向に連続的に延在するような配置パターンに限らず、Y方向およびX方向に離散的に配列されたような構造であっても良い。
【0040】
[散乱エリア31の好ましい構成例]
図10(A)は、図1に示した表示装置において第2の光源7のみをオン(点灯)状態にした場合(2次元表示モード)における光線の出射状態を示している。図10(B)は、図10(A)の光線出射状態でのX方向の輝度分布を示している。第2の光源7のみをオン(点灯)状態にした場合、図2に示したように導光板3において第2の照明光L10が全反射エリア32および散乱エリア31を同等に透過し、第1の内部反射面3Aのほぼ全面から均一に外部に出射されることが理想である。しかしながら、実際には、図10(A),(B)に示したように、散乱エリア31に対応する位置では導光板3の外部に出射される光線の輝度が低下し、輝度分布が不均一になってしまう場合がある。これは、散乱エリア31で散乱が発生し、光線の出射方向が変化してしまうことが原因である。特に散乱エリア31の配置パターンが視点数が2つの場合に対応する構造である場合には、散乱エリア31と全反射エリア32との割合が1:1となるので、輝度低下が顕著になる。一方で視点数が多くなるにつれて輝度の低下量は少なくなる。
【0041】
次に、図11〜図16を参照して、上述の輝度分布を改善する手法を説明する。なお、図11〜図16では、散乱エリア31がY方向に延在すると共に、X方向に複数、並列的に配列されている場合を例に説明するが、散乱エリア31が斜め方向に傾斜して配置されるパターンとなる場合や、Y方向およびX方向に離散的に配列されたような構造である場合においても同様の手法で、輝度分布の改善を行うことが可能である。
【0042】
上述の輝度分布を改善するためには、散乱エリア31内に、第2の光源7からの第2の照明光L10を透過させる透過エリアを設ければ良い。図11(A),(B)は、その第1の例を示している。この例では、Y方向に延在する複数の散乱エリア31のそれぞれに、Y方向に延在するスリット状の透過エリア51を設けている。これにより、1つの散乱エリア31が2つに分割されたような形状となる。
【0043】
図12(A)は、図11(A),(B)の第1の例における第2の光源7からの光線の出射状態を示している。図12(B)は、図12(A)の光線出射状態でのX方向の輝度分布を示している。図12(B)には、比較のために、透過エリア51を設けなかった場合の輝度分布を破線で示す。図12(A),(B)に示したように、透過エリア51を設けたことで、散乱エリア31での輝度低下が少なくなり、輝度分布の不均一性が改善されている。
【0044】
図11(A),(B)の第1の例では、1つの散乱エリア31の中央にスリット状の透過エリア51を設け、1つの散乱エリア31を2つに均等に分割した構成にしているが、スリット状の透過エリア51を設ける位置を中央から外れた位置にしても良い。そして、1つの散乱エリア31を不均等に2つに分割した構成にしても良い。また、1つの散乱エリア31内に設けるスリット状の透過エリア51の数は、1つに限らず、1つの散乱エリア31を3つ以上に分割するようにしても良い。例えば図13(A),(B)の第2の例のように、1つの散乱エリア31内にスリット状の透過エリア51を2つ設け、1つの散乱エリア31を3つに均等に分割するようにしても良い。3つ以上に分割する場合においても、均等ではなく不均等に分割するような構成であっても良い。
【0045】
さらに、スリット状の透過エリア51に限らず、他の形状の透過エリアにしても良い。また、1つの散乱エリア31内で不規則に複数の透過エリアが設けられていても良い。例えば図14(A),(B)の第3の例のように、1つの散乱エリア31内に円形状の透過エリア52を複数設けるようにしても良い。また、円形状に限らず、楕円形状、四角形状、三角形状、または星形等、その形状は種々のものであっても構わない。また、1つの散乱エリア31内で異なる形状の透過エリアが設けられていても良いし、複数の散乱エリア31のそれぞれにおいて、透過エリアを設ける位置や形状が異なっていても構わない。
【0046】
図15(A)は、散乱エリア31内に透過エリアを設けない場合の散乱エリア31と表示部1の画素との対応関係を示している。図15(B)はスリット状の透過エリア51を設けた第1の例(図11)における同様の対応関係を示している。図15(C)は円形状の透過エリア52を設けた第3の例(図14)における同様の対応関係を示している。図15(A)〜(C)では、図9(A),(B)の例と同様に散乱エリア31の配置パターンが2視点に対応している場合を示しており、2Dカラー表示の1単位画素をX方向に2つ分、組み合わせたものが、3次元表示としての1単位画像(1立体画素)となっている。
【0047】
(透過エリアの構成の他の例)
図16(A)〜(C)は、散乱エリア31内に透過エリアを設けた第4〜第6の例を、散乱エリア31と表示部1の画素との対応関係と共に示している。ここでは、図15(A)〜(C)と同様に、散乱エリア31の配置パターンが2視点に対応している場合を示している。
【0048】
図16(A)の第4の例は、1つの散乱エリア31内に斜めスリット状の透過エリア53を複数、設けた例である。図16(A)の第4の例では、斜めスリット状の透過エリア53を1立体画素に対応する領域内に1つずつ設けている例を示しているが、必ずしも1立体画素に対応させる必要はない。
【0049】
図16(B)の第5の例は、1つの散乱エリア31内にX字状に交差する斜めスリット状の透過エリア54を複数、設けた例である。図16(B)の第5の例では、X字状に交差する斜めスリット状の透過エリア54を1立体画素に対応する領域内に1つずつ設けている例を示しているが、必ずしも1立体画素に対応させる必要はない。
【0050】
図16(C)の第6の例は、1つの散乱エリア31内にX方向にスリット状の透過エリア55を複数、設けた例である。図16(C)の第6の例では、スリット状の透過エリア55を1立体画素に対応する領域内に1つずつ設けている例を示しているが、必ずしも1立体画素に対応させる必要はない。
【0051】
以上の図11〜図16に示した例において、散乱エリア31内に設ける透過エリアの割合は、例えば散乱エリア31の面積に対して50%以下であることが好ましい。1つの散乱エリア31内において、透過エリアの占める割合が50%を超えると、3次元表示時の表示品質が低下するおそれがある。
【0052】
[効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る表示装置によれば、導光板3の第2の内部反射面3Bに散乱エリア31と全反射エリア32とを設け、第1の光源2による第1の照明光と、第2の光源7による第2の照明光L10とを選択的に導光板3の外部に出射可能にしたので、等価的に、導光板3自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。これにより、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数を少なくし、省スペース化を図ることができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る表示装置によれば、散乱エリア31内に透過エリアを設け、第2の光源7からの第2の照明光L10を透過させるようにしたので、第2の光源7の光利用効率の低下を防止することができる。これにより、2次元表示時の輝度分布のむらを改善し、表示品質を向上させることができる。
【0054】
<第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態に係る表示装置について説明する。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0055】
[表示装置の全体構成]
上記上記第1の実施の形態では、導光板3において、散乱エリア31と全反射エリア32とを第2の内部反射面3B側に設けた構成例について説明したが、第1の内部反射面3A側に設けた構成であっても良い。
【0056】
図17は、本開示の第2の実施の形態に係る表示装置の一構成例を示している。この表示装置は、図1の表示装置と同様に、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図17は3次元表示モードでの構成に対応している。図17には、3次元表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0057】
第2の内部反射面3Bは、全面に亘って鏡面加工がなされており、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した第1の照明光L1を内部全反射させるようになっている。第1の内部反射面3Aは、散乱エリア31と全反射エリア32とを有している。第1の内部反射面3Aにおいて、全反射エリア32と散乱エリア31は、パララックスバリアに相当する構造となるように、交互に例えばストライプ状に設けられている。すなわち後述するように、3次元表示モードにしたときに、散乱エリア31がパララックスバリアとしての開口部(スリット部)として機能し、全反射エリア32が遮蔽部として機能するような構造とされている。
【0058】
全反射エリア32は、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した第1の照明光L1を内部全反射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1で入射した第1の照明光L1を内部全反射させる)ようになっている。散乱エリア31は、入射した光線L2のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる)ようになっている。散乱エリア31ではまた、入射した光線L2のうち、その他の一部の光線が内部反射するようになっている。
【0059】
図17に示した表示装置において、表示部1に表示された複数の視点画像の空間分離を行うためには、表示部1の画素部と導光板3の散乱エリア31とが所定の距離dを保って対向配置されている必要がある。図1では表示部1と導光板3との間にスペーサ8が配置されている。スペーサ8は、無色透明で散乱が少ない材料であればよく、例えばPMMAなどを使用することができる。このスペーサ8は表示部1の背面側の表面と導光板3の表面との全部を覆うように設けられていても良いし、距離dを保つために必要最小限、部分的に設けられていても構わない。
【0060】
[散乱エリア31の具体的な構成例]
図18(A)は、導光板3の表面の第1の構成例を示している。図18(B)は図18(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第1の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凹形状の散乱エリア31Aにした構成例である。このような凹形状は例えば、導光板3の表面を鏡面加工した後、散乱エリア31Aに対応する部分をレーザ加工することで形成することができる。このような凹形状の散乱エリア31Aにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、凹形状の側面部分33では全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0061】
図19(A)は、導光板3の表面の第2の構成例を示している。図19(B)は図19(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第2の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凸形状の散乱エリア31Bにした構成例である。このような凸形状は例えば、導光板3の表面を金型による成型加工することで形成することができる。この場合、金型の表面により全反射エリア32に対応する部分については鏡面加工を行う。このような凸形状の散乱エリア31Bにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、凸形状の側面部分34では全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0062】
図20(A)は、導光板3の表面の第3の構成例を示している。図20(B)は図20(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。図18(A)および図19(A)の構成例では、導光板3の表面を全反射エリア32とは異なる形状に表面加工することにより散乱エリア31を形成するようにした。これに対して図20(A)の構成例による散乱エリア31Cは、表面加工ではなく、第1の内部反射面3Aに対応する導光板3の表面に光拡散部材35を配置したものである。光拡散部材35としては、導光板3の屈折率以上の屈折率を有する部材、例えば屈折率1.57程度のPET樹脂を用いることができる。例えばPET樹脂を用いた拡散シートをアクリル系接着剤を使用して導光板3の表面に貼り付けることで、散乱エリア31Cを形成する。このような光拡散部材35を配置した散乱エリア31Cにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、光拡散部材35で屈折率が変化することにより全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0063】
上記で挙げた構成例に限らず、散乱エリア31の構成には他の構成例が考えられる。例えば、導光板3の表面において、散乱エリア31に対応する部分をサンドブラスト加工したり、または塗装するなどの方法によって形成することも可能である。
【0064】
[表示装置の基本動作]
この表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図18)、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、第2の光源7の状態を全面に亘ってオフ(非点灯)状態にする。導光板3の側面に配置された第1の光源2は、オン(点灯)状態にする。この状態では、第1の光源2からの第1の照明光L1は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、第1の光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線が内部反射されるが、その光線は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して外部に出射され、画像の表示に寄与することはない。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0065】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、第2の光源7の状態を全面に亘ってオン(点灯)状態にする。導光板3の側面に配置された第1の光源2は、例えば非点灯にする。この状態では、第2の光源7からの第2の照明光L10が第2の内部反射面3Bを介して、ほぼ垂直に近い状態で導光板3に入射する。従って、その光線の入射角度は、全反射エリア32における全反射条件を外れた状態となり、散乱エリア31のみならず、全反射エリア32からも外部に出射される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aの全面から光線が出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0066】
なお、2次元表示モードでの表示を行う場合において、導光板3の側面に配置された第1の光源2も、第2の光源7と共にオン(点灯)状態に制御するようにしても良い。また、2次元表示モードでの表示を行う場合において、第1の光源2を、必要に応じて非点灯状態と点灯状態とに切り替えるようにしても良い。これにより、例えば、第2の光源7のみを点灯しただけでは、散乱エリア31と全反射エリア32とで輝度分布に差が生じるような場合、第1の光源2の点灯状態を適宜調整する(オン・オフ制御、または点灯量の調整をする)ことで全面に亘って輝度分布を最適化することが可能である。
【0067】
本実施の形態においても、図11〜図16に示した例と同様にして、散乱エリア31内に透過エリアを設けることで、第2の光源7の光利用効率の低下を防止することができる。
【0068】
[効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る表示装置によれば、導光板3の第1の内部反射面3Aに散乱エリア31と全反射エリア32とを設け、第1の光源2による第1の照明光と、第2の光源7による第2の照明光L10とを選択的に導光板3の外部に出射可能にしたので、等価的に、導光板3自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。これにより、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数を少なくし、省スペース化を図ることができる。
【0069】
また、上記第1の実施の形態と同様に、散乱エリア31内に透過エリアを設けることで、第2の光源7の光利用効率の低下を防止することができる。これにより、2次元表示時の輝度分布のむらを改善し、表示品質を向上させることができる。
【0070】
<その他の実施の形態>
本開示による技術は、上記各実施の形態の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。
例えば、上記各実施の形態では、導光板3において、散乱エリア31と全反射エリア32とを第1の内部反射面3Aまたは第2の内部反射面3Bのいずれか一方にのみ設けた構成例を挙げたが、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとの双方に散乱エリア31と全反射エリア32とが設けられた構成であっても良い。
【0071】
また例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、
前記導光板内部に向けて側面方向から第1の照明光を照射する第1の光源と、
前記導光板に対して、前記第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、前記第2の内部反射面に向けて外側から第2の照明光を照射する第2の光源と
を備え、
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方に、前記第1の光源からの前記第1の照明光を散乱させて前記第1の内部反射面から前記導光板の外部に出射させる複数の散乱エリアが設けられ、
前記散乱エリア内に、前記第2の光源からの前記第2の照明光を透過させる透過エリアが設けられている
光源デバイス。
(2)
前記散乱エリアは、前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面において、第1の方向に延在すると共に、第2の方向に複数、並列的に配列されている
上記(1)に記載の光源デバイス。
(3)
前記透過エリアは、前記第1の方向に延在してスリット状に設けられている
上記(2)に記載の光源デバイス。
(4)
前記透過エリアは、前記第2の方向にスリット状に設けられている
上記(2)に記載の光源デバイス。
(5)
前記透過エリアは、前記第1の方向に対して斜め方向にスリット状に設けられている
上記(2)に記載の光源デバイス。
(6)
前記透過エリアは、1つの前記散乱エリアに対して複数、設けられている
上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の光源デバイス。
(7)
1つの前記散乱エリア内において、前記透過エリアの占める面積が50%以下とされている
上記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の光源デバイス。
【符号の説明】
【0072】
1…表示部、2…第1の光源(2D/3D表示用光源)、3…導光板、3A…第1の内部反射面、3B…第2の内部反射面、7…第2の光源(2D表示用光源)、8…スペーサ、10L…左眼、10R…右眼、11R…赤色用画素、11G…緑色用画素、11B…青色用画素、31,31A,31B,31C…散乱エリア、32…全反射エリア、33…凹形状の側面部分、34…凸形状の側面部分、35…光散乱部材、51,52,53,54,55…散乱エリア、L1,L11,L12…第1の照明光、L10…第2の照明光,L20…散乱光線、θ1…入射角、D1…散乱エリアの幅、D2…1つの視点画像を表示するための1画素の幅、H1…散乱エリアの高さ(深さ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、
前記導光板内部に向けて側面方向から第1の照明光を照射する第1の光源と、
前記導光板に対して、前記第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、前記第2の内部反射面に向けて外側から第2の照明光を照射する第2の光源と
を備え、
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方に、前記第1の光源からの前記第1の照明光を散乱させて前記第1の内部反射面から前記導光板の外部に出射させる複数の散乱エリアが設けられ、
前記散乱エリア内に、前記第2の光源からの前記第2の照明光を透過させる透過エリアが設けられている
光源デバイス。
【請求項2】
前記散乱エリアは、前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面において、第1の方向に延在すると共に、第2の方向に複数、並列的に配列されている
請求項1に記載の光源デバイス。
【請求項3】
前記透過エリアは、前記第1の方向に延在してスリット状に設けられている
請求項2に記載の光源デバイス。
【請求項4】
前記透過エリアは、前記第2の方向にスリット状に設けられている
請求項2に記載の光源デバイス。
【請求項5】
前記透過エリアは、前記第1の方向に対して斜め方向にスリット状に設けられている
請求項2に記載の光源デバイス。
【請求項6】
前記透過エリアは、1つの前記散乱エリアに対して複数、設けられている
請求項1に記載の光源デバイス。
【請求項7】
1つの前記散乱エリア内において、前記透過エリアの占める面積が50%以下とされている
請求項1に記載の光源デバイス。
【請求項8】
画像表示を行う表示部と、
前記表示部に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスと
を備え、
前記光源デバイスは、
互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、
前記導光板内部に向けて側面方向から第1の照明光を照射する第1の光源と、
前記導光板に対して、前記第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、前記第2の内部反射面に向けて外側から第2の照明光を照射する第2の光源と
を備え、
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方に、前記第1の光源からの前記第1の照明光を散乱させて前記第1の内部反射面から前記導光板の外部に出射させる複数の散乱エリアが設けられ、
前記散乱エリア内に、前記第2の光源からの前記第2の照明光を透過させる透過エリアが設けられている
表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、3次元画像データに基づく複数の視点画像と2次元画像データに基づく画像とを選択的に切り替え表示するものであり、
前記第2の光源は、前記表示部に前記複数の視点画像を表示する場合には、非点灯状態に制御され、前記表示部に前記2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御される
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1の光源は、前記表示部に前記複数の視点画像を表示する場合には、点灯状態に制御され、前記表示部に前記2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態または点灯状態に制御される
請求項9に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−221664(P2012−221664A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84732(P2011−84732)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【特許番号】特許第4973794号(P4973794)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】