説明

表示装置

【課題】表示コンテンツの自由度を向上させ、より魅力的な表示装置を提供する。
【解決手段】画像を投影する投影手段21と、投影手段21により投影される画像を表示する表示手段22と、操作者により操作入力可能に設けられる操作手段と、を備え、表示手段22は、複数の分割スクリーン44が面方向に沿って配列されてなるスクリーン11と、投影手段21により投影される画像に応じて分割スクリーン44を厚さ方向に沿って変位可能とし、スクリーン11の凹凸状態を変更するアクチュエータ42と、を備え、操作手段への操作入力に応じて画像の表示内容、及びスクリーン11の凹凸状態のうち、少なくとも何れか一方を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置や、空調装置、音響装置等の各種車両情報を表示するための表示装置としては、TFT液晶等が用いられている。このような表示装置では、ディスプレイに表示される車両情報が平面的で立体感が低いため、表示装置としての魅力が少ない。
【0003】
ここで、近時では、立体的に変形するスクリーンの表面形状に応じて二次元の投影データを補償するデータ補償部を設け、そのデータ補償部により補償された投影データにしたがってスクリーンに画像を投影する表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の構成では、スクリーンの表面形状を変形させるアクチュエータが設けられ、三次元地図の縮尺に応じて三次元の地図データを変換し、変換した地図データに基づいてアクチュエータを駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−277900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の構成にあっては、変形されたスクリーンに画像を投影するのみの構成であるため、表示コンテンツの自由度が低いという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、表示コンテンツの自由度を向上させ、より魅力的な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、画像を投影する投影手段(例えば、実施形態における投影手段21)と、前記画像を表示する表示手段(例えば、実施形態における表示手段22)と、操作者により操作入力可能に設けられる操作手段(例えば、実施形態における分割スクリーン44)と、を備え、前記表示手段は、複数の分割スクリーンが面方向に沿って配列されてなるスクリーン(例えば、実施形態におけるスクリーン11)と、前記画像に応じて前記分割スクリーンを厚さ方向に沿って変位可能とし、前記スクリーンの凹凸状態を変更するアクチュエータ(例えば、実施形態におけるアクチュエータ42)と、を備え、前記操作手段への操作入力に応じて前記画像の表示内容、及び前記スクリーンの凹凸状態のうち、少なくとも何れか一方を変更することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明では、前記分割スクリーンは、隣接する前記分割スクリーンの厚さ方向における幅内で変位可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明では、前記画像は、前記操作者が選択可能なメニュー項目を各項目毎に区分する項目枠とともに示す画像であり、前記投影手段は、前記分割スクリーンのそれぞれに前記各項目を対応させて前記画像を投影し、前記アクチュエータは、前記画像に対応するメニュー項目が選択状態である場合には、当該画像が投影される分割スクリーンの凹凸状態を凹状態にするとともに、前記画像に対応するメニュー項目が非選択状態である場合には、当該画像が投影される分割スクリーンの凹凸状態を凸状態にすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明では、前記操作手段は、前記分割スクリーンのそれぞれにより構成され、前記凸状態の分割スクリーンが押圧操作されることで、当該分割スクリーンに投影された画像に対応するメニュー項目に対する操作入力を可能とすることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載した発明では、前記アクチュエータには、前記分割スクリーンへの押圧操作を検出するセンサ(例えば、実施形態におけるセンサ54)が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載した発明では、前記センサは、前記分割スクリーンの変位が閾値よりも大きい場合に、当該分割スクリーンに対する前記操作者の押圧操作を検出し、前記閾値は、前記画像に対応するメニュー項目の種類に応じて異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載した発明によれば、投影手段により投影される画像に応じて分割スクリーンを変位可能とするとともに、操作手段への操作入力に応じて画像の表示内容、及び前記スクリーンの凹凸状態のうち、少なくとも何れか一方を変更することで、従来のように単に立体的に変形するスクリーンに画像を投影させる構成に比べて、表示コンテンツの自由度を向上させ、より魅力的な表示装置を提供できる。
【0014】
請求項2に記載した発明によれば、隣接する分割スクリーン同士が、面方向から見て常にラップするように配置される。これにより、分割スクリーンの面方向へのガタツキを抑制できるため、分割スクリーンが面方向でずれて隣接する分割スクリーン同士が厚さ方向で重なり合うことで、分割スクリーンの変位が阻害されるのを抑制できる。また、各分割スクリーン間の隙間が形成されるのを抑制できるので、スクリーンの内側(アクチュエータ側)に異物等が侵入したりするのを抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載した発明によれば、操作者が選択可能なメニュー項目の画像を分割スクリーンに投影することで、各種パターンの操作画面を1つのスクリーンで表現できる。そのため、操作者は分割スクリーンに投影された画像に基づいて各メニュー項目の操作入力を行うことができる。そして、各分割スクリーンのうち、選択状態のメニュー項目の画像が投影された分割スクリーンの凹凸状態を、凹状態とすることで、操作者は所望のメニュー項目が選択されたことを視覚によって判断することができる。これにより、操作性を向上させることができる。
【0016】
請求項4に記載した発明によれば、あたかも実際の物理的なボタンを操作したような効果を操作者に与えることができるとともに、各種パターンの操作画面を1つのスクリーンで表現できる。これにより、より一層魅力的な表示装置を提供できる。
【0017】
請求項5に記載した発明によれば、アクチュエータに設けられたセンサによって、凸状態にある分割スクリーンの入力操作を判断することで、分割スクリーンが操作されたか否かを確実に判断できる。
【0018】
請求項6に記載した発明によれば、画像に対応するメニュー項目の種類によって閾値を変更することで、例えば、走行等に関する入力操作(例えば、レーンキープモード等)に関しては、他の入力操作に比べて上述した閾値を高く設定する等して、誤検出の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】表示装置の配置を示す車室内の斜視図である。
【図2】表示装置を側方から見た概略構成図である。
【図3】ECUのブロック図である。
【図4】第1階層の操作画面を示す表示手段の平面図である。
【図5】図2に相当する図であって、分割スクリーンの動作を説明するための説明図である。
【図6】第2階層の操作画面を示す表示手段の平面図である。
【図7】本実施形態の他の構成を示す表示手段の平面図である。
【図8】本実施形態の他の構成を示す表示手段の平面図である。
【図9】本実施形態の他の構成を示す表示手段の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は表示装置1の配置を示す車室内の斜視図であり、図2は表示装置1を側方から見た概略構成図である。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。
図1,2に示すように、本実施形態の表示装置1は、車両10に搭載され、スクリーン11に表示された画像に基づいて車載機器の入力操作を行うためのものであって、車両のインストゥルメントパネル12における中央部に配置されている。具体的に、インストゥルメントパネル12の中央部には、後方に向けて開放された開口部13が形成され、この開口部13を前方から覆うようにケース14が設けられている。そして、このケース14内に本実施形態の表示装置1が収納されている。なお、本実施形態の車両は、車載機器として、例えば、ナビゲーション装置や、音響装置、空調装置、車両情報等を備え、操作対象となる車載機器の選択から、選択した車載機器の機能や設定値等の選択まで、階層を経ることで所望の機能が実行される。
【0021】
図2に示すように、表示装置1は、画像を投影する投影手段21と、投影手段21により投影される画像を反射させて表示する表示手段22と、これら投影手段21、及び表示手段22を統括的に制御するECU23と、を備えている。
【0022】
投影手段21は、表示手段22のスクリーン11に向けて画像を投影するプロジェクタ31と、プロジェクタ31により投影される画像を生成する画像生成部32と、を有している。
まず、画像生成部32は、各車載機器の選択画面や、選択した車載機器の機能や設定値等に応じたメニュー画面等の画像データが記憶された図示しないメモリ部を備え、このメモリ部から投影すべき画像データを選択する。そして、画像生成部32は、選択結果をプロジェクタ31に向けて出力する。
【0023】
プロジェクタ31は、上述したケース14の下部開口縁に配置され、画像生成部32により選択された画像データに基づいて、ケース14内の斜め前方に向けて画像を投影する。なお、上述したインストゥルメントパネル12における開口部13の下端縁は、ケース14の下部開口縁よりも上方に配置されており、プロジェクタ31は車室内から視認できないようになっている。
【0024】
表示手段11は、ケース14の前壁部に配置されたベース部41と、ベース部41の後方に間隔を空けて配置されたスクリーン11と、スクリーン11、及びベース部41間に配置された複数のアクチュエータ42と、スクリーン11を後方から覆うように配置されたパネル43と、を備えている。
【0025】
スクリーン11は、反射型のスクリーン11であって、後面側が上述したプロジェクタ31から投影される画像を表示する表示面を構成している。また、本実施形態のスクリーン11は、複数の分割スクリーン(操作手段)44が表示面の面方向(上下方向及び左右方向)に沿って配列されて構成されている。本実施形態では、上下方向に2列、左右方向に3列の合計6個の分割スクリーン44a〜44fが並んで配列されることで、スクリーン11を構成している(図4参照)。なお、以下の説明では、各分割スクリーン44a〜44fを区別する必要がない場合は、まとめて分割スクリーン44とする。
【0026】
分割スクリーン44は、基部45と、基部45に対して縮径した状態で後方に向けて突出する突出部46と、を備えている。基部45は、前後方向を厚さ方向とした矩形平板状に形成されており、隣接する分割スクリーン44同士は、互いの基部45の側面同士を接近させた状態で敷き詰められている。
突出部46は、厚さ方向に沿って漸次外形が小さくなる角錐台形状に形成され、その先端面は平坦に形成されている。
【0027】
アクチュエータ42は、各分割スクリーン44とベース部41との間に、各分割スクリーン44毎に対応して設けられている。具体的に、各アクチュエータ42は、それぞれ各分割スクリーン44の基部45とベース部41とに連結され、駆動源53から電力が供給されることで、それぞれ独立して駆動するようになっている。これにより、各分割スクリーン44が厚さ方向(前後方向)に沿って変位して、スクリーン11の凹凸状態を変更可能とされている。なお、アクチュエータ42としては、電動モータ電磁ソレノイド、積層型圧電素子、油圧モータ等を採用することが可能である。
【0028】
また、各分割スクリーン44は、隣接する分割スクリーン44の基部45の厚さ方向の寸法の範囲内で変位可能に設定され、各分割スクリーン44の基部45同士は面方向から見て常にラップするように構成されている。また、アクチュエータ42には、アクチュエータ42の変位を検出するセンサ54が接続され、センサ54で検出された検出結果がECU23に向けて出力される。また、センサ54は、各分割スクリーン44の操作時に分割スクリーン44に付与される押圧力を検出する押圧力センサであっても構わない。
【0029】
パネル43は、透明材料からなるシート状の部材であり、上述した分割スクリーン44の先端面に対向配置されている。そして、操作者はパネル43を通して分割スクリーン44を視認可能に構成されている。
【0030】
図3は、ECU23のブロック図である。
図3に示すように、ECU23は、操作入力判断部60と、入力位置検出部61と、階層選択部62と、アクチュエータ制御部63と、車載機器選択部64と、を主に備えている。
操作入力判断部60は、上述したセンサ54による検出結果に基づいて、分割スクリーン44が操作されたか否かを判断する。具体的には、センサ54により検出された検出結果に基づいて、分割スクリーン44の変位を算出し、この算出結果が閾値よりも高い場合に、分割スクリーン44が操作されたと判断する。そして、操作入力判断部60の判断結果は、入力位置検出部61に向けて出力される。
【0031】
入力位置検出部61は、操作入力判断部60により分割スクリーン44が操作されたと判断された場合に、各分割スクリーン44a〜44fのうち、どの分割スクリーン44a〜44fが操作されたかを検出する。すなわち、入力位置検出部61は、後述する車載機器の入力操作において、車載機器の選択(第1階層)や、選択した車載機器の機能、設定値の選択(第2階層)等の各階層で選択可能なメニュー項目の中から、操作者の入力操作に応じたメニュー項目を操作入力判断部60の判断結果に基づいて検出する。そして、この検出結果を階層選択部62に向けて出力する。
【0032】
階層選択部62は、車載機器の入力操作において、現在の階層と入力位置検出部61による検出結果とに基づいて、階層の選択を行うものである。具体的に、階層選択部62は、入力位置検出部61で検出されたメニュー項目に対応する下位の階層を選択する。
【0033】
アクチュエータ制御部63は、上述した階層選択部62の選択結果に基づいて、アクチュエータ42の駆動量を算出し、この算出結果をアクチュエータ42の駆動源53に向けて出力する。具体的に、アクチュエータ制御部63は、各階層毎に投影される画像(例えば、各車載機器の選択画面や、選択した車載機器の機能、設定値に応じたメニュー画面等)に対応付けられたアクチュエータ42の駆動パターンが記憶された図示しないメモリ部を備え、このメモリ部から階層選択部62の選択結果に応じたアクチュエータ42の駆動量を算出し、アクチュエータ42の駆動源53に向けて出力する。
車載機器選択部64は、入力位置検出部61や階層選択部62の検出結果に基づいて、各車載機器のうち、入力された車載機器に向けて動作信号を出力する。
【0034】
次に、上述した表示装置1による車載機器の入力操作方法について説明する。なお、以下の説明では、初期状態として各分割スクリーン44が前後方向で同位置に配置されているものとする。
まず、操作者の操作によりパネル43を介して各分割スクリーン44のうち、任意の分割スクリーン44を押圧操作し、車載機器の選択画面を呼び出す。具体的には、各分割スクリーン44のうち、押圧された分割スクリーン44において、センサ54により分割スクリーン44の変位を検出する。
【0035】
そして、操作入力判断部60は、センサ54の検出結果に基づいて、分割スクリーン44の変位が閾値以下の場合には、分割スクリーン44は操作されていないと判断する。一方、操作入力判断部60は、分割スクリーン44の変位が閾値よりも高いと判断した場合には、分割スクリーン44が操作されたことを判断して、この判断結果を階層選択部62に向けて出力する。
【0036】
次に、階層選択部62は、操作入力判断部60の判断結果に基づいて、第1階層(車載機器の選択)を選択し、この選択結果をアクチュエータ制御部63、及び投影手段21の画像生成部32に向けて出力する。
【0037】
図4は、第1階層の操作画面を示す表示手段22の平面図である。また、図5は、図2に相当する図であって、分割スクリーン44の動作を説明するための説明図である。
アクチュエータ制御部63は、図示しないメモリ部から第1階層に応じたアクチュエータ42の駆動量を算出し、この算出結果をアクチュエータ42の駆動源53に向けて出力する。そして、アクチュエータ42は、アクチュエータ制御部63での算出結果に基づいて分割スクリーン44を変位させる(図5中矢印参照)。具体的に、アクチュエータ42は、図4,5に示すように、分割スクリーン44a〜44fのうち、左右方向両側に配置された分割スクリーン44a,44c,44d,44fが後方に向けて凸状態となるように伸張駆動するとともに、中央部に配置された分割スクリーン44b,44eが前方に向けて凹状態となるように縮退駆動する。
【0038】
また、画像生成部32は、図示しないメモリ部から第1階層に応じた画像データを選択し、この選択結果をプロジェクタ31に向けて出力する。そして、プロジェクタ31は、画像生成部32からの選択結果に基づいてスクリーン11に向けて画像を投影する。
【0039】
これにより、各分割スクリーン44のうち、凸状態の分割スクリーン44a,44c,44d,44fに第1階層で選択可能なメニュー項目を各項目毎に区分する項目枠とともに示す画像が投影される。具体的には、分割スクリーン44aに音響装置のボタン画像「MUSIC」、分割スクリーン44cにナビゲーション装置のボタン画像「NAVI」、分割スクリーン44dに車両情報のボタン画像「CAR INFO」、分割スクリーン44fに空調装置のボタン画像「AIRCON」が投影される(図4参照)。
【0040】
そして、操作者が凸状態の各分割スクリーン44a,44c,44d,44fのうち、何れかの分割スクリーン(例えば、分割スクリーン44c)を押圧操作すると、選択した分割スクリーン44cが凹状態となるようにアクチュエータ42が縮退駆動する。これにより、第1階層のメニュー項目の中から押圧された分割スクリーン44cに応じたメニュー項目(例えば、「NAVI」)の選択が行われる。具体的に、操作入力判断部60は、センサ54の検出結果に基づいて、何れかの分割スクリーン44a,44c,44d,44fが操作されたことを判断すると、この判断結果を入力位置検出部61に向けて出力する。なお、凸状態の各分割スクリーン44a,44c,44d,44fのうち、非選択状態にある各分割スクリーン(例えば、分割スクリーン44a,44d,44f)は凸状態を維持している。
【0041】
入力位置検出部61は、操作入力判断部60の判断結果に基づいて、各分割スクリーン44a〜44fのうち、どの分割スクリーン44a〜44fが操作されたかを検出して、この検出結果を階層選択部62に向けて出力する。
階層選択部62は、入力位置検出部61の検出結果に基づいて、検出したメニュー項目に対応する第2階層(車載機器の機能、設定値)を選択し、この選択結果をアクチュエータ制御部63、及び投影手段21の画像生成部32に向けて出力する。
【0042】
アクチュエータ制御部63は、階層選択部62の選択結果に応じたアクチュエータ42の駆動量を図示しないメモリ部から算出し、この算出結果をアクチュエータ42の駆動源53に向けて出力する。そして、アクチュエータ42は、アクチュエータ制御部63の算出結果に基づいて分割スクリーン44を変位させる。具体的に、アクチュエータ42は、分割スクリーン44a〜44fのうち、左右方向両側の上段、及び中央部の下段に配置された分割スクリーン44a,44c,44eが凸状態となるように伸張駆動するとともに、それ以外の分割スクリーン44b,44d,44fが凹状態となるように縮退駆動する。
【0043】
また、画像生成部32は、階層選択部62の選択結果に応じた画面データを図示しないメモリ部から選択し、この選択結果をプロジェクタ31に向けて出力する。そして、プロジェクタ31は、画像生成部32からの選択結果に基づいて、第2階層で操作者が選択可能なメニュー項目を各項目毎に区分する項目枠とともに示す画像をスクリーン11に向けて投影する。具体的には、図6に示すように、凸状態の各分割スクリーン44a,44c,44eのうち、分割スクリーン44aに「節約ルート」のボタン画像、分割スクリーン44cに「最速ルート」のボタン画像、分割スクリーンに「エコルート」のボタン画像が表示されるように画像が投影される。
【0044】
そして、操作者が凸状態の各分割スクリーン44a,44c,44eのうち、何れかの分割スクリーン44a,44c,44eを押圧操作すると、選択した分割スクリーン44a,44c,44eが凹状態となるようにアクチュエータ42が縮退駆動する。これにより、第2階層のメニュー項目の中から押圧された分割スクリーン44a,44c,44eに応じたメニュー項目の選択が行われる。具体的に、操作入力判断部60は、上述したようにセンサ54の検出結果に基づいて、分割スクリーン44a,44c,44eが操作されたことを判断すると、この判断結果に基づいて入力位置検出部61は、どの分割スクリーン44a〜44fが操作されたかを検出する。
車載機器選択部64は、入力位置検出部61や階層選択部62の検出結果に基づいて、各車載機器のうち、選択された車載機器に向けて動作信号を出力する。これにより、車載機器は選択された機能を実行する。なお、選択された機能の実行後は、所定時間その階層の表示状態が維持され、その後一つ上位の階層または最上位の階層に復帰する。
【0045】
このように、本実施形態では、投影手段21により投影される画像に応じて分割スクリーン44を変位可能とするとともに、操作者の操作入力に応じて投影手段21によるスクリーン11への表示内容(画像の表示内容、及びスクリーン11の凹凸状態)を変更することで、従来のように単に立体的に変形するスクリーンに画像を投影させる構成に比べて、表示コンテンツの自由度を向上させ、より魅力的な表示装置1を提供できる。
【0046】
また、各分割スクリーン44が、隣接する分割スクリーン44の基部45の厚さ方向の寸法の範囲内で変位可能に設定されているため、隣接する分割スクリーン44の基部45同士は、面方向から見て常にラップするように配置される。これにより、分割スクリーン44の面方向へのガタツキを抑制できるため、分割スクリーン44が面方向でずれて隣接する分割スクリーン44同士が厚さ方向で重なり合うことで、分割スクリーン44の変位が阻害されるのを抑制できる。また、各分割スクリーン44間の隙間が形成されるのを抑制できるので、スクリーン11の内側(アクチュエータ42側)に異物等が侵入したりするのを抑制することができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、操作者が選択可能なメニュー項目の画像を分割スクリーン44に投影することで、各種パターンの操作画面を1つのスクリーンで表現できる。そのため、操作者は分割スクリーン44に投影された画像に基づいて各メニュー項目の操作入力を行うことができる。そして、各分割スクリーン44のうち、選択された分割スクリーン44の凹凸状態を凹状態とすることで、操作者は所望のメニュー項目が選択されたことを視覚によって判断することができる。これにより、操作性を向上させることができる。
また、本実施形態では、凸状態の分割スクリーン44を操作者の押圧操作により操作可能とすることで、あたかも実際の物理的なボタンを操作したような効果を操作者に与えることができるとともに、各種パターンの操作画面を1つのスクリーン11で表現できる。これにより、より一層魅力的な表示装置1を提供できる。
また、アクチュエータ42に設けられたセンサ54によって、凸状態にある分割スクリーン44の入力操作を判断することで、分割スクリーン44が操作されたか否かを確実に判断できる。
【0048】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、パネル43を介して分割スクリーン44を直接操作する場合について説明したが、パネル43を設けなくても構わない。また、分割スクリーン44の後方に、透明材料からなるタッチパネルを配置し、このタッチパネルを操作手段として分割スクリーン44の操作を検出しても構わない。
【0049】
また、公知のステアリングスイッチや専用のコマンダー、ジェスチャー操作等を操作手段として採用し、これら操作手段を操作入力することによりスクリーン11に表示された画像を遠隔操作する構成であっても構わない。これにより、新たな操作手段を別体で設ける必要がないので、製造コストの増加を抑制することができる。
なお、上述した操作手段のうち、コマンダーは、例えばインストゥルメントパネル12の中央部に配置され、円板状の回転操作部材の上に、スライド操作部材の先端部を突出させた構成とされ、スクリーン11に投影された画像に基づいて回転操作部材を回転操作、またはスライド操作部材をスライド操作することで操作入力が行えるようになっている。
また、ステアリングスイッチは、ステアリングホイールのスポーク部に設けられ、ステアリングホイールを把持した操作者の指により操作可能(回転、傾動、または押圧)とされ、スクリーン11に投影された画像に基づいてステアリングスイッチを操作することにより、操作入力が行えるようになっている。
さらに、ジェスチャー操作は、ステアリングホイールのスポーク部にそれぞれが複数のタッチセンサからなるタッチパッドが配置され、スクリーン11に投影された画像に基づいてタッチパッドをタッチ操作することにより、操作入力が行えるようになっている。
【0050】
また、上述した実施形態では、6個の分割スクリーン44によりスクリーン11を構成した場合について説明したが、これに限らず、5個以下、または7個以上の分割スクリーン44によりスクリーン11を構成しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、表示装置1を車載機器の入力操作に用いる場合について説明したが、これに限らず、スクリーン11に投影される画像、及びスクリーン11の凹凸状態のうち、少なくとも何れか一方が、操作者の入力操作に応じて変更可能であれば構わない。
例えば、図7に示すように、多数個の分割スクリーン44によりスクリーン11を構成し、外周部分の分割スクリーン44を凸状態にして額縁部101とし、この額縁部101を構成する分割スクリーンの一部にボタン画像Bを投影しても構わない。また、図8に示すように、額縁部101の内側を、サイドミラーに取り付けられた車外カメラにより撮影された車両の後方画像を表示する等の画像表示部102として利用しても構わない。
さらに、図9に示すように、スクリーン11にナビゲーション装置の地図画像を投影するとともに、地図データの標高に基づいて分割スクリーン44の凹凸状態を変更することで、地図画像に標高差を設けても構わない。
【0051】
また、入力操作の種類によって操作入力判断部60の閾値を変更しても構わない。例えば、走行等に関する入力操作(例えば、レーンキープモード等)に関しては、他の入力操作に比べて上述した閾値を高く設定して、誤検出の抑制を図る等の構成にしても構わない。また、初期状態の画面から車載機器の選択画面を呼び出す際の操作入力判断部60の閾値を、他の入力操作に比べて低く設定して、起動時における応答性の向上を図る構成としても構わない。
【0052】
また、上述した実施形態では、凸状態の分割スクリーン44と、ボタン画像と、を一対一で対応して投影する場合について説明したが、これに限らず、凸状態にある複数の分割スクリーン44に対して、一つのボタン画像を投影しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、本発明の表示装置1をインストゥルメントパネル12の中央部に配置する場合について説明したが、これに限らず、インストゥルメントパネル12における運転席の前方に配置しても構わない。
【符号の説明】
【0053】
1…表示装置 11…スクリーン 21…投影手段 22…スクリーン 42…アクチュエータ 44a〜44f…分割スクリーン(操作手段) 54…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投影する投影手段と、
前記画像を表示する表示手段と、
操作者により操作入力可能に設けられる操作手段と、を備え、
前記表示手段は、複数の分割スクリーンが面方向に沿って配列されてなるスクリーンと、
前記画像に応じて前記分割スクリーンを厚さ方向に沿って変位可能とし、前記スクリーンの凹凸状態を変更するアクチュエータと、を備え、
前記操作手段への操作入力に応じて前記画像の表示内容、及び前記スクリーンの凹凸状態のうち、少なくとも何れか一方を変更することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記分割スクリーンは、隣接する前記分割スクリーンの厚さ方向における寸法の範囲内で変位可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像は、前記操作者が選択可能なメニュー項目を各項目毎に区分する項目枠とともに示す画像であり、
前記投影手段は、前記分割スクリーンのそれぞれに前記各項目を対応させて前記画像を投影し、
前記アクチュエータは、前記画像に対応するメニュー項目が選択状態である場合には、当該画像が投影される分割スクリーンの凹凸状態を凹状態にするとともに、前記画像に対応するメニュー項目が非選択状態である場合には、当該画像が投影される分割スクリーンの凹凸状態を凸状態にすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記分割スクリーンのそれぞれにより構成され、
前記凸状態の分割スクリーンが押圧操作されることで、当該分割スクリーンに投影された画像に対応するメニュー項目に対する操作入力を可能とすることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記アクチュエータには、前記分割スクリーンへの押圧操作を検出するセンサが設けられていることを特徴とする請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記センサは、前記分割スクリーンの変位が閾値よりも大きい場合に、当該分割スクリーンに対する前記操作者の押圧操作を検出し、
前記閾値は、前記画像に対応するメニュー項目の種類に応じて異なることを特徴とする請求項5記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−252143(P2012−252143A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124353(P2011−124353)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】