説明

表示装置

【課題】LEDの温度変化によって生じるLEDバックライトの色温度変化を補償することができる表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネルP1と、LEDバックライトと、前記LEDバックライトのLEDを駆動するLEDドライバ3と、前記LEDバックライトのLED温度を検出するLED温度検出部(降圧回路4,CPU5)と、前記LEDバックライトの色温度変化を補償するように、前記LED温度検出部の検出結果に応じて、液晶表示パネルP1に供給する映像信号を補正する補正部(CPU5,色温度調整回路7,メモリ8)とを備える表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特にLEDバックライトを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルと、前記表示パネルを前記表示パネルの背面から照明するバックライトとを備える表示装置(例えば透過型液晶表示装置)においては、テレビ受像機などの比較的画面サイズが大きい表示装置である場合、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)やEEFL(External Electrode Fluorescent Lamp)等の蛍光管をバックライトとして用いる構成が一般的である。
【0003】
ところが、近年、環境問題などの観点から、蛍光管よりも消費電力が小さいLED(Light Emitting Diode)をバックライトの光源に用いている表示装置、すなわち、LEDバックライトを有する表示装置が脚光を浴びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−156157号公報(段落0040〜0048)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、LEDバックライトでは、LEDの色みが温度により変化してしまうので、LEDの温度が変化するとLEDバックライトの色温度も変化してしまい、LEDバックライトの特性が安定しないという問題がある。
【0006】
なお、特許文献1では、使用温度環境が表示機器における特性変化の速さに影響するため、液晶表示パネル近傍の使用温度を温度センサで測定し、使用温度環境をパラメータとして加味して、標準的な温度条件に置き換えた場合の積算点灯時間(換算積算点灯時間)に応じた画質調整を行う表示機器が提案されている。
【0007】
特許文献1で提案されている表示機器は、あくまで劣化状況の指標である積算点灯時間に応じた画質調整を行うものであるので、同一の劣化状況すなわち同一の換算積算点灯時間(例えば0時間)においてLEDの温度が変化すると、LEDバックライトの色温度が変化してしまう。すなわち、特許文献1で提案されている表示機器は、上記の問題を解決できるものではない。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑み、LEDの温度変化によって生じるLEDバックライトの色温度変化を補償することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルに光を出射するLEDバックライトと、前記LEDバックライトのLEDを駆動するLEDドライバと、前記LEDバックライトのLED温度を検出するLED温度検出部と、前記LEDバックライトの色温度変化を補償するように、前記LED温度検出部の検出結果に応じて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正する補正部とを備える構成とする。
【0010】
このような構成によると、LEDの温度変化によって生じるLEDバックライトの色温度変化を補償することができる。
【0011】
また、前記LED温度検出部が、前記LEDドライバの出力を用いて、前記LEDバックライトのLED温度を検出することが好ましい。
【0012】
これにより、温度センサが不要になるため、低コスト化を図ることができるとともに、LED温度の検出精度が悪化するおそれも無くなる。
【0013】
さらに、前記LEDドライバが定電流出力のドライバであり、前記LED温度検出部が、前記LEDドライバの出力電圧を用いて、前記LEDバックライトのLED温度を検出することが好ましい。
【0014】
これにより、LEDが定電流駆動となり、LEDバックライトの輝度が安定する。
【0015】
また、前記補正部が、前記LED温度と温度補正値との対応関係を示す第1ルックアップテーブルを予め記憶し、前記LED温度検出部が検出した前記LED温度に対応する温度補正値を、前記第1ルックアップテーブルを参照して、決定し、決定した温度補正値に基づいて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正することが好ましい。
【0016】
これにより、映像信号の補正に関する演算処理が容易になる。
【0017】
また、前記LEDバックライトの色温度変化のみならず前記表示パネルの劣化も補償するために、前記補正部が、前記LEDバックライトの色温度変化及び前記表示パネルの劣化を補償するように、前記LED温度検出部の検出結果及び前記表示パネルの積算点灯時間に応じて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正することが好ましい。この場合、前記補正部が、前記表示パネルの積算点灯時間と劣化補正値との対応関係を示す第2ルックアップテーブルを予め記憶し、前記表示パネルの積算点灯時間に対応する劣化補正値を、前記第2ルックアップテーブルを参照して、決定し、前記第1ルックアップテーブルを参照して決定した温度補正値及び前記第2ルックアップテーブルを参照して決定した劣化補正値に基づいて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正することが好ましい。これにより、映像信号の補正に関する演算処理が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルに光を出射するLEDバックライトと、前記LEDバックライトのLEDを駆動するLEDドライバと、前記LEDバックライトのLED温度を検出するLED温度検出部と、前記LEDバックライトの色温度変化を補償するように、前記LED温度検出部の検出結果に応じて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正する補正部とを備える構成である。このような構成により、LEDの温度変化によって生じるLEDバックライトの色温度変化を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機の要部構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】LEDドライバの一構成例を示す図である。
【図4】色温度補正値の決定に関連するCPUの動作を示すフローチャートである。
【図5】LEDドライバから出力される駆動電圧とLED温度との関係を示す図である。
【図6】LED温度とLEDバックライトの色温度変化による表示映像の色度シフト量及び温度補正値との関係を示す図である。
【図7】液晶表示パネルのパネル点灯積算時間と液晶表示パネルの劣化による表示映像の色度シフト量及び劣化補正値との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機の要部構成を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機の概略構成を示すブロック図である。
【図10】色温度補正値の決定に関連するCPUの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0021】
まず、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機について説明する。本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機の要部構成を図1に示す。本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機は、エッジ型LEDバックライトを備えている。当該エッジ型LEDバックライトは、複数のLEDの直列接続回路であるLEDバックライト用第1LEDモジュール1と、同じく複数のLEDの直列接続回路であるLEDバックライト用第2LEDモジュール2と、導光板L1とによって構成されている。
【0022】
LEDバックライト用第1LEDモジュール1とLEDバックライト用第2LEDモジュール2とは並列接続されており、LEDドライバ3から出力される駆動電圧によって駆動(点灯)する。導光板L1は、LEDバックライト用第1LEDモジュール1およびLEDバックライト用第2LEDモジュール2から射出される光を液晶表示パネルP1に導いている。
【0023】
さらに、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機では、降圧回路4が、LEDドライバ3から出力される駆動電圧を、テレビジョン受信機全体を制御するCPU(Central Processing Unit)5が直接読み込める電圧まで降圧して、CPU5に供給している。詳細は後述するが、このような構成により、CPU5は、エッジ型LEDバックライトのLED温度を演算することができる。
【0024】
次に、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機の概略構成を図2に示す。なお、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付す。
【0025】
図2に示す通り、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機は、LEDバックライト用第1LEDモジュール1、LEDバックライト用第2LEDモジュール2、LEDドライバ3、降圧回路4、CPU5、映像信号処理回路6、色温度調整回路7、メモリ8、パネル点灯積算時間リセットスイッチ9、および液晶表示パネルP1を備えている。また、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機は、デジタルチューナ、デマルチプレクサ、AVデコーダ、音声信号処理回路(いずれも不図示)なども備えている。なお、本実施形態においては、降圧回路4及びCPU5が請求項中に記載されているLED温度検出部に相当し、CPU5、色温度調整回路7、及びメモリ8が請求項中に記載されている補正部に相当する。
【0026】
デジタルチューナが、アンテナからの高周波信号を、特定周波数の信号である選択された物理チャンネルのデジタル変調信号に変換する。また、デジタルチューナは、選択された物理チャンネルのデジタル変調信号を復調する復調回路等を備えており、トランスポートストリームを出力する。
【0027】
デマルチプレクサは、デジタルチューナから受け取ったトランスポートストリームのパケットのうち暗号化が施されているパケットに対して復号を行い、パケットを放送番組の内容そのものであるAVデータとSI(Service Information)情報とに分別し、AVデータをAVデコーダに出力し、SI情報をCPU5に出力する。
【0028】
AVデコーダは、CPU5から出力されるAV制御信号に応じて、デマルチプレクサから受け取ったAVデータを映像信号と音声信号とにデコードし、映像信号を映像信号処理回路6に出力し、音声信号を音声信号処理回路に出力する。
【0029】
映像信号処理回路6は、AVデコーダから受け取った映像信号に対して各種処理を施して、RGB信号を生成し、そのRGB信号を色温度調整回路7に送出する。
【0030】
色温度調整回路7は、CPU5から受け取った色温度補正値に基づいて、RGB信号のRGB比率を変更し、RGB比率変更後のRGB信号を液晶表示パネルP1に送出する。これにより、液晶表示パネルP1に映像が表示される。なお、液晶表示パネルP1の輝度は、LEDバックライトの輝度によって決まり、LEDバックライトの輝度はLEDドライバ3からLEDバックライト用第1LEDモジュール1およびLEDバックライト用第2LEDモジュール2に出力される定電流の値によって決まる。ここで、LEDドライバ3の一構成例を図3に示す。図3に示す構成例では、LEDドライバ3は、DC/DCコンバータ31と、電流検出用抵抗32とを有している。電流検出用抵抗32は、LEDバックライト用第1LEDモジュール1を流れる電流とLEDバックライト用第2LEDモジュール2を流れる電流との合計電流に比例した電圧をDC/DCコンバータ31にフィードバックする。DC/DCコンバータ31は、LEDバックライト用第1LEDモジュール1を流れる電流とLEDバックライト用第2LEDモジュール2を流れる電流との合計電流が定電流になるように、出力電圧をフィードバック制御する。当該定電流の値は、CPU5からの命令に従って決定される。
【0031】
メモリ8は、CPU5がテレビジョン受信機の各種制御を行うために必要な各種プログラム及び各種データを不揮発的に記憶している。
【0032】
CPU5は、メモリ8に記憶されているルックアップテーブルを用いて、色温度調整回路7に送出する色温度補正値を決定している。色温度補正値の決定に関連するCPU5の動作について図4のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0033】
本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機の電源がオン状態になると、図4に示すフローチャート動作が開始される。フローチャート動作開始時に、CPU5は、内蔵タイマーを用いて、液晶表示パネルP1の点灯時間の計時を開始する。
【0034】
まず、CPU5は、液晶表示パネルP1が交換されたか否かを判定する(ステップS10)。本実施形態では、電源がオフ状態からオン状態に切り替わってから所定時間が経過するまでにパネル点灯積算時間リセットスイッチ9が押圧されれば、液晶表示パネルP1が交換されたと判定し、電源がオフ状態からオン状態に切り替わってから所定時間が経過してもパネル点灯積算時間リセットスイッチ9が押圧されなければ、液晶表示パネルP1が交換されていないと判定する。
【0035】
液晶表示パネルP1が交換されたと判定した場合(ステップS10のYES)、CPU5がメモリ8に記憶されているパネル点灯積算時間の初期化(リセット)を実行し(ステップS20)、その後ステップS30に移行する。これに対して、液晶表示パネルP1が交換されていないと判定した場合(ステップS10のNO)、直接ステップS30に移行する。
【0036】
ステップS30において、CPU5は、メモリ8に記憶されているパネル点灯積算時間を読み出す。ステップS30に続くステップS40において、CPU5は、降圧回路4から出力されるデータを取得する。ステップS40に続くステップS50において、CPU5による演算が実行される。
【0037】
LEDドライバ3が定電流出力であるため、LEDドライバ3から出力される駆動電圧と、LEDバックライト用第1LEDモジュール1及びLEDバックライト用第2LEDモジュール2のLED温度との間には、図5に示すような関係がある。このため、ステップS50の演算処理において、CPU5は、ステップS40で取得したデータを用いて、LEDバックライト用第1LEDモジュール1及びLEDバックライト用第2LEDモジュール2のLED温度を検出する。
【0038】
LED温度とLEDバックライトの色温度変化による表示映像の色度シフト量との間には、図6に示すような関係があり、温度補正値K1x及びK1yによってLEDバックライトの色温度変化を補償することで、LEDバックライトの色温度変化による表示映像の色度シフト量を図6に示す点線のように零にすることができる。メモリ8には、LED温度と温度補正値K1x及びK1yとの対応関係を示す第1ルックアップテーブルが予め記憶されている。そこで、ステップS50の演算処理において、CPU5は、ステップS40で取得したデータを用いて検出したLED温度に対応する温度補正値K1x及びK1yを、上記第1ルックアップテーブルを参照して、決定する。
【0039】
また、液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間と液晶表示パネルP1の劣化による表示映像の色度シフト量との間には、図7に示すような関係があり、劣化補正値K2x及びK2yによって液晶表示パネルP1の劣化を補償することで、液晶表示パネルP1の劣化による表示映像の色度シフト量を図7に示す点線のように零にすることができる。メモリ8には、液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間と劣化補正値K2x及びK2yとの対応関係を示す第2ルックアップテーブルが予め記憶されている。そこで、ステップS50の演算処理において、CPU5は、ステップS30で読み出したパネル点灯積算時間に対応する劣化補正値K2x及びK2yを、上記第2ルックアップテーブルを参照して、決定する。
【0040】
ステップS50の演算処理の最終段階において、CPU5は、色温度補正値(K1x+K2x,K1y+K2y)を演算する。そして、ステップS50に続くステップS60において、CPU5は、色温度調整回路7に出力する色温度補正値を、ステップS50での演算結果に応じて変更する。
【0041】
ステップS60に続くステップS70において、CPU5は、電源切断を指示する操作があったか否かを判定する。電源切断を指示する操作がなければ(ステップS70のNO)、ステップS40に戻り、電源切断を指示する操作があれば(ステップS70のYES)、ステップS80に移行する。
【0042】
ステップS80において、CPU5は、液晶表示パネルP1の点灯時間を確認し、ステップS80に続くステップS90において、CPU5は、液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間に液晶表示パネルP1の点灯時間を加算した時間を、新たな液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間とし、メモリ8に記憶させている液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間を更新し、その後フローチャート動作を終了する。
【0043】
以上のような動作により、LEDバックライトの色温度変化及び液晶表示パネルP1の劣化が補償され、表示映像の色度シフト量が抑制される。また、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機は、後述する本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機と異なり、LED温度の検出に温度センサを用いない構成であるので、後述する本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機が有する以下のような問題点を有していない。この点において、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機は、後述する本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機に比べて好適である。
<本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機が有する問題点>
(1)高価な温度センサを用いるので、コスト面で不利である。
(2)温度センサの設置位置はセットシャーシの影響を受けるため、温度センサを常に適切な位置に設置できるわけではなく、LEDバックライトの色温度変化をうまく補償できないおそれがある。
(3)セット毎に温度センサの配置設計を行う必要があり、セット開発に費やす時間が長くなる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機について説明する。本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機の要部構成を図8に示し、本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機の概略構成を図9に示す。なお、図8、図9において図1、図2と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
本発明の第2実施形態に係るテレビジョン受信機は、本発明の第1実施形態に係るテレビジョン受信機から降圧回路4を取り除き、降圧回路4の代わりに温度センサ10及び11を設けた構成である。なお、本実施形態においては、CPU5並びに温度センサ10及び11が請求項中に記載されているLED温度検出部に相当し、CPU5、色温度調整回路7、及びメモリ8が請求項中に記載されている補正部に相当する。
【0046】
温度センサ10は、液晶表示パネルP1の上部、より詳細にはLEDバックライト用第1LEDモジュール1の近傍に設けられ、温度センサ11は、液晶表示パネルP1の下部、より詳細にはLEDバックライト用第2LEDモジュール2の近傍に設けられる。熱の対流の関係で液晶表示パネルP1の上部の方が下部よりも高温になる傾向があるため、液晶表示パネルP1の上部と下部のいずれか一方のみに温度センサを設けるだけでは不十分であり、本実施形態のように液晶表示パネルP1の上部と下部の両方に温度センサを設ける必要がある。
【0047】
本実施形態において、CPU5は、温度センサ10及び11から出力される信号に基づいて、LEDバックライト用第1LEDモジュール1及びLEDバックライト用第2LEDモジュール2のLED温度を検出する。このため、本実施形態における、色温度補正値の決定に関連するCPU5の動作は図10に示すフローチャートのようになる。なお、図10に示すフローチャートにおいて、図4に示すフローチャートと同一のステップには同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0048】
図10に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートからステップS40を取り除き、ステップS40の代わりにステップS45を設けたフローチャートである。
【0049】
ステップS10〜S30の動作については、第1実施形態の場合と同じであるため、説明を省略する。
【0050】
ステップS45において、CPU5は、温度センサ10及び11から出力されるデータを取得する。ステップS45に続くステップS50において、CPU5による演算が実行される。
【0051】
ステップS50の演算処理において、CPU5は、ステップS45で取得したデータを用いて、LEDバックライト用第1LEDモジュール1及びLEDバックライト用第2LEDモジュール2のLED温度の平均値を検出する。
【0052】
LED温度とLEDバックライトの色温度変化による表示映像の色度シフト量との間には、図6に示すような関係があり、温度補正値K1x及びK1yによってLEDバックライトの色温度変化を補償することで、LEDバックライトの色温度変化による表示映像の色度シフト量を図6に示す点線のように零にすることができる。メモリ8には、LED温度と温度補正値K1x及びK1yとの対応関係を示す第1ルックアップテーブルが予め記憶されている。そこで、ステップS50の演算処理において、CPU5は、ステップS45で取得したデータを用いて検出したLED温度の平均値に対応する温度補正値K1x及びK1yを、上記第1ルックアップテーブルを参照して、決定する。
【0053】
また、液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間と液晶表示パネルP1の劣化による表示映像の色度シフト量との間には、図7に示すような関係があり、劣化補正値K2x及びK2yによって液晶表示パネルP1の劣化を補償することで、液晶表示パネルP1の劣化による表示映像の色度シフト量を図7に示す点線のように零にすることができる。メモリ8には、液晶表示パネルP1のパネル点灯積算時間と劣化補正値K2x及びK2yとの対応関係を示す第2ルックアップテーブルが予め記憶されている。そこで、ステップS50の演算処理において、CPU5は、ステップS30で読み出したパネル点灯積算時間に対応する劣化補正値K2x及びK2yを、上記第2ルックアップテーブルを参照して、決定する。
【0054】
ステップS50の演算処理の最終段階において、CPU5は、色温度補正値(K1x+K2x,K1y+K2y)を演算する。そして、ステップS50に続くステップS60において、CPU5は、色温度調整回路7に出力する色温度補正値を、ステップS50での演算結果に応じて変更する。
【0055】
ステップS60〜S90の動作については、第1実施形態の場合と同じであるため、説明を省略する。
【0056】
以上のような動作により、LEDバックライトの色温度変化及び液晶表示パネルP1の劣化が補償され、表示映像の色度シフト量が抑制される。
【0057】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、エッジ型LEDバックライトを備えるデジタルテレビジョン受信機を例に挙げて説明したが、直下型LEDバックライトを備えるデジタルテレビジョン受信機にも本発明を適用することができる。直下型LEDバックライトを備えるデジタルテレビジョン受信機では、LEDドライバは通常複数チャンネル出力の駆動回路になるので、上述した第1実施形態と同じように降圧回路を設ける場合、降圧回路を複数チャンネル分設ける構成が理想的であるが、降圧回路を1チャンネル分のみ設ける構成であっても構わない。
【0059】
また、LEDドライバは上述した実施形態のように通常定電流出力であるが、本発明はLEDドライバが定電圧出力である場合にも適用することができる。例えば、LEDドライバが定電圧出力であって、上述した第1実施形態と同じように降圧回路を設ける場合、降圧回路が、LEDドライバから出力される駆動電流に比例した電圧を、CPUが直接読み込める電圧まで降圧して、CPUに供給するようにすればよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、液晶表示パネルの劣化を補償しているが、本発明において液晶表示パネルの劣化を補償することは必須要件ではないので、パネル点灯積算時間や第2ルックアップテーブルを記憶しない実施形態に変形することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 LEDバックライト用第1LEDモジュール
2 LEDバックライト用第2LEDモジュール
3 LEDドライバ
4 降圧回路
5 CPU
6 映像信号処理回路
7 色温度調整回路
8 メモリ
9 パネル点灯積算時間リセットスイッチ
10、11 温度センサ
31 DC/DCコンバータ
32 電流検出用抵抗
L1 導光板
P1 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルに光を出射するLEDバックライトと、
前記LEDバックライトのLEDを駆動するLEDドライバと、
前記LEDバックライトのLED温度を検出するLED温度検出部と、
前記LEDバックライトの色温度変化を補償するように、前記LED温度検出部の検出結果に応じて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正する補正部とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記LED温度検出部が、前記LEDドライバの出力を用いて、前記LEDバックライトのLED温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LEDドライバが定電流出力のドライバであり、
前記LED温度検出部が、前記LEDドライバの出力電圧を用いて、前記LEDバックライトのLED温度を検出することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記補正部が、
前記LED温度と温度補正値との対応関係を示す第1ルックアップテーブルを予め記憶し、
前記LED温度検出部が検出した前記LED温度に対応する温度補正値を、前記第1ルックアップテーブルを参照して、決定し、
決定した温度補正値に基づいて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記補正部が、前記LEDバックライトの色温度変化及び前記表示パネルの劣化を補償するように、前記LED温度検出部の検出結果及び前記表示パネルの積算点灯時間に応じて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正する請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記補正部が、
前記表示パネルの積算点灯時間と劣化補正値との対応関係を示す第2ルックアップテーブルを予め記憶し、
前記表示パネルの積算点灯時間に対応する劣化補正値を、前記第2ルックアップテーブルを参照して、決定し、
前記第1ルックアップテーブルを参照して決定した温度補正値及び前記第2ルックアップテーブルを参照して決定した劣化補正値に基づいて、前記表示パネルに供給する映像信号を補正することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−73400(P2012−73400A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217957(P2010−217957)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】