説明

表示装置

【課題】封止領域より侵入する水分や酸素の量を減らした信頼性の高い表示装置を提供する。
【解決手段】第1の基板31に接して設けられた下地膜と、前記下地膜上に設けられた積層された絶縁層33と、前記絶縁層上に設けられた、発光素子を有する表示部と、前記絶縁層上で且つ前記表示部の外側に設けられたシール材37と、前記シール材の外側で、前記下地膜及び前記絶縁層の外端部側面を被覆する積層された封止膜36と、前記シール材により前記第1の基板に固着された第2の基板32と、を有し、前記絶縁層の少なくとも一層は有機樹脂材料を有し、前記外端部側面は前記第1の基板上に設けられ、前記シール材は前記封止膜に接し、前記封止膜のそれぞれの膜はAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる合金であり、前記封止膜は前記第1の基板上で、且つ前記第1の基板に接して設けられていることを特徴とする表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間に発光材料を挟んだ素子(以下、発光素子という)を有する表示装置(以下、表示装置という)及びその作製方法に関する。特に、EL(エレクトロルミネッセンス:Electro Luminescence)が得られる発光性材料(以下、EL材料という)を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光材料のEL現象を利用した発光素子(以下、EL素子という)を用いた表示装置(EL表示装置)の開発が進んでいる。EL表示装置は発光素子自体に発光能力があるため、液晶ディスプレイのようなバックライトが不要である、またさらに視野角が広い、コントラストが高いなどの利点を備えている。
【0003】
EL素子は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0004】
また、EL素子に用いられる発光性材料には無機発光材料と有機発光材料とがあるが、駆動電圧が低い有機発光材料が注目されている。
【0005】
しかし、EL素子に有機材料を用いた有機EL素子は、一定期間駆動すると、発光輝度、発光の均一性等の発光特性が初期に比べて著しく劣化するという問題がある。この信頼性の低さは実用化の用途が限られている要因である。
【0006】
信頼性を悪化させる要因の一つに、外部から有機EL素子に侵入する水分や酸素などがあげられる。
【0007】
EL素子を用いたEL表示装置(パネル)においては、内部に侵入する水分は、深刻な信頼性低下を招いており、ダークスポットやシュリンク、発光表示装置周辺部からの輝度劣化を引き起こす。ダークスポットは発光輝度が部分的に低下(発光しなくなるものも含む)する現象であり、上部電極に穴が開いた場合などに発生する。またシュリンクとは、画素の端(エッジ)から輝度が劣化する現象である。
【0008】
上記のようなEL素子の劣化を防ぐ構造を有する表示装置の開発がなされている。EL素子を気密性容器に収納し、EL素子を密閉空間に閉じ込め外気から遮断し、さらにその密閉空間に、EL素子から隔離して乾燥剤をもうける方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
また、EL素子の形成された絶縁体の上にシール材を形成し、シール材を用いてカバー材およびシール材で囲まれた密閉空間を樹脂などから成る充填材で充填し、外部から遮断する方法もある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−148066号公報
【特許文献2】特開平13−203076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献においては、EL素子の形成された絶縁体の上にシール材を形成し、シール材を用いてカバー材およびシール材で囲まれた密閉空間を形成している。この封止工程は不活性ガス雰囲気下で行うので、水や酸素は始めから表示装置内部に多く存在するわけではなく、封止直後は表示装置内部には微量な水や酸素しか存在しない。
【0012】
つまり、ダークスポット等劣化の原因となる水分は主に封止後に表示装置内部に侵入する。また、絶縁体とカバー材は金属やガラスである場合が多いので、水や酸素は主にシール材から侵入する。
【0013】
図1に、特許文献2に記載のEL表示装置の上面図を示す。点線で示された401はソース側駆動回路、402はゲート側駆動回路、403は画素部、409はFPC(フレキシブルプリントサーキット)である。また、404はカバー材、405は第1のシール材、406は第2のシール材である。図1のような従来のEL表示装置の断面図を図27に示す(第2のシール材406は図示しない)。図27で示すように、封止領域の領域Aにおいて、シール材によりEL素子を内部に封入している。
【0014】
上記特許文献1および特許文献2は、このように図27における封止領域中の領域Aにおいて、シール材によりEL素子と外部の水分とを遮断している。
【0015】
特許文献1のようにEL素子を気密性容器に収納する構造であると、容器の大きさだけ、EL表示装置が大型化してしまう。さらに、乾燥剤(乾燥剤入りの保護層)が直接EL素子に積層することによって生じる悪影響を防ぐために、乾燥剤をEL素子と隔離して配置するので、気密性容器はより大型化する。しかし、EL表示装置は大型化するが、発光部分の大きさは変わらない。これでは、せっかくのEL表示装置のバックライト不要という薄型化の利点が生かされない。さらに、特許文献1の構造では、気密性容器内部で乾燥剤により水分を吸着するので、気密性容器内部に侵入した水分がEL素子に触れ、EL素子の劣化をまねくおそれがある。
【0016】
特許文献2では、EL素子は樹脂等の充填材により、外部の水分と遮断されているが、やはりシール材を図27の領域Aに塗布し、密閉空間を作製しているため、EL表示装置の大型化はまぬがれない。
【0017】
上記のように、発光する画素部以外の表示装置面積(図27における領域A)が広いと、発光しない部分が増加してしまい、同面積の発光部分を得るには表示装置も大型化しなければならなくなる。
【0018】
この問題を解決するために、シール材を、層間膜や保護膜などの絶縁層の上に塗布するという方法がある。このようなEL表示装置を図17に示し、端部である封止領域の端(エッジ)部分を拡大したものを図2に示す。図2において、21は基板、22は対向基板、23はゲート絶縁膜、24、25は層間膜、26は配線、27はシール材である。
【0019】
図2のように封止領域では、基板21上のゲート絶縁膜23、層間膜24、25や配線26が積層され、その絶縁層(積層膜)の上にシール材27が塗布されている。この構造だと、発光しない図27における領域Aを小さくすることができる。なお図2は一例であって、TFT基板側に積層されている膜の材料や積層の順番はこの例に限定されない。ここでは例としてガラス基板上に下地膜、ゲート絶縁膜、保護膜や層間膜、1番上に配線が積層している構造となっている。
【0020】
しかし、図2のように封止のためのシール材が積層された膜の上にある場合、積層されているすべての膜がパネル外部の大気と直接接することになる。このため、パネル外部の水や酸素は積層されている膜を通して表示装置内に侵入する。さらに層間膜としてアクリルなどのような透湿性の高い材料を用いる場合、侵入する水や酸素はより増加する。
【0021】
この層間膜のアクリルやアクリルの上下界面から水分や酸素が侵入し、コンタクトホールにおいてソース、ドレイン電極の成膜性の悪さから生じる断線部分などを経由し、EL素子と直接接している層間膜にまで侵入する。そして、EL表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を引き起こす。
【0022】
よって、本発明は、EL表示装置を大型化することなく、EL素子の特性を劣化させる原因である侵入する水分や酸素を遮断し、信頼性の高いEL表示装置と、その作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、表示装置の端部の封止領域において、前記表示装置を構成している膜によって表示装置内部と外部を遮断し、表示装置外部の水や酸素等の汚染物質の侵入を防ぐものである。また本明細書中において、表示装置の内部と外部を遮断し、発光素子を汚染物質より保護する保護膜のことを封止膜と記す。
【0024】
本発明の表示装置は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置であって、前記表示部は、一方の基板に形成した絶縁層上に形成され、前記一対の基板は、前記表示部の外側に形成し外周を囲んで、前記絶縁層上に形成されたシール材により固着され、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成され、前記シール材の外側に位置する前期絶縁層の外端部は、封止膜により被覆されていることを特徴としている。
【0025】
本発明の表示装置は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置であって、前記表示部は、一方の基板に形成した絶縁層上に形成され、前記一対の基板は、前記表示部の外側に形成し外周を囲んで、前記絶縁層上に形成されたシール材により固着され、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成され、前記絶縁層は開口部を有し、前記開口部は封止膜により被覆され、前記シール材は前記封止膜に接して形成されていることを特徴としている。
【0026】
本発明の表示装置は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置であって、前記表示部は、一方の基板に形成した絶縁層上に形成され、前記一対の基板は、前記表示部の外側に形成し外周を囲んで、前記絶縁層上に形成されたシール材により固着され、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成され、前記絶縁層は開口部を有し、前記開口部は封止膜により被覆され、前記シール材の外側に位置する前期絶縁層の外端部は、前記封止膜により被覆されていることを特徴としている。
【0027】
本発明の表示装置は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置であって、前記表示部は、一方の基板に形成した絶縁層上に形成され、前記一対の基板は、前記表示部の外側に形成し外周を囲んで、前記絶縁層上に形成されたシール材により固着され、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成され、前記絶縁層は複数の開口部を有し、前記複数の開口部は封止膜により被覆され、前記シール材は前記封止膜に接して形成されていることを特徴としている。
【0028】
本発明の表示装置は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置であって、前記表示部は、一方の基板に形成した絶縁層上に形成され、前記一対の基板は、前記表示部の外側に形成し外周を囲んで、前記絶縁層上に形成されたシール材により固着され、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成され、前記絶縁層は複数の開口部を有し、前記複数の開口部は封止膜により被覆され、前記シール材の外側に位置する前期絶縁層の外端部は、前記封止膜により被覆されていることを特徴としている。
【0029】
上記構成において、前記絶縁層は複数開口部を設けて封止膜で覆ってもよいし、表示装置内部において、どの部分で開口部を設けてもよい。画素領域と周辺駆動回路領域の間で封止されていてもよいし、封止領域で封止されていてもよい。しかし、前記シール材の外側に位置する前期絶縁層の外端部は、封止膜で被覆されている必要がある。よって、開口部がシール材より外側に位置した場合、図4のように前記外端部は開口部であってもよい。
【0030】
上記構成において、前記封止膜は導電性薄膜、絶縁性薄膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。導電性薄膜としてはAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。絶縁性薄膜としては窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または窒素含有炭素膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。
【0031】
上記構成において、前記有機樹脂材料はアクリル、ポリアミドまたはポリイミドから選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いることができる。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料で形成してもよい。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。
【0032】
本発明の表示装置の作製方法は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置の作製方法であって、前記表示部を、一方の基板に形成した絶縁層上に形成し、前記一対の基板は、前記表示部の外側に外周を囲んで形成し、前記絶縁層上に形成したシール材により固着し、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成し、前記シール材の外側に形成する前期絶縁層の外端部を、封止膜により被覆することを特徴としている。
【0033】
本発明の表示装置の作製方法は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置の作製方法であって、前記表示部を、一方の基板に形成した絶縁層上に形成し、前記一対の基板は、前記表示部の外側に外周を囲んで形成し、前記絶縁層上に形成したシール材により固着し、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成し、前記絶縁層に開口部を形成し、前記開口部を封止膜により被覆し、前記シール材を前記封止膜に接して形成することを特徴としている。
【0034】
本発明の表示装置の作製方法は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置の作製方法であって、前記表示部を、一方の基板に形成した絶縁層上に形成し、前記一対の基板は、前記表示部の外側に外周を囲んで形成し、前記絶縁層上に形成したシール材により固着し、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成し、前記絶縁層に開口部を形成し、前記開口部を封止膜により被覆し、前記シール材の外側に形成する前期絶縁層の外端部を、封止膜により被覆することを特徴としている。
【0035】
本発明の表示装置の作製方法は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置の作製方法であって、前記表示部を、一方の基板に形成した絶縁層上に形成し、前記一対の基板は、前記表示部の外側に外周を囲んで形成し、前記絶縁層上に形成したシール材により固着し、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成し、前記絶縁層に複数の開口部を形成し、前記複数の開口部をそれぞれ封止膜により被覆し、前記シール材を前記封止膜に接して形成することを特徴としている。
【0036】
本発明の表示装置の作製方法は、一対の基板間に有機発光材料を用いた発光素子を配列して形成された表示部を有する表示装置の作製方法であって、前記表示部を、一方の基板に形成した絶縁層上に形成し、前記一対の基板は、前記表示部の外側に外周を囲んで形成し、前記絶縁層上に形成したシール材により固着し、前記絶縁層の少なくとも一層は、有機樹脂材料で形成し、前記絶縁層に複数の開口部を形成し、前記複数の開口部をそれぞれ封止膜により被覆し、前記シール材の外側に形成する前期絶縁層の外端部を、封止膜により被覆することを特徴としている。
【0037】
上記構成において、前記絶縁層は複数開口部を設けて封止膜で覆ってもよいし、表示装置内部において、どの部分で開口部を設けてもよい。画素領域と周辺駆動回路領域の間で封止されていてもよいし、封止領域で封止されていてもよい。しかし、前記シール材の外側に位置する前期絶縁層の外端部は、封止膜で被覆されている必要がある。よって、開口部がシール材より外側に位置した場合、図4のように前記外端部は開口部であってもよい。
【0038】
上記構成において、前記封止膜は導電性薄膜、絶縁性薄膜から選ばれた一種、または複数種から形成してもよい。導電性薄膜としてはAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種から形成してもよい。絶縁性薄膜としては窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または窒素含有炭素膜から選ばれた一種、または複数種から形成してもよい。
【0039】
上記構成において、前記有機樹脂材料はアクリル、ポリアミドまたはポリイミドから選ばれた一種、または複数種から形成することができる。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料で形成してもよい。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。
【0040】
本発明のように封止膜を有することにより、表示装置の有機樹脂材料を含んだ絶縁層は表示装置(パネル)外部の大気と直接接しなくなる。このため、表示装置外部の水や酸素が、吸湿性のあるような有機材料を含んだ絶縁膜などを通して表示装置内に侵入することを防止することができる。よって、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができる。また、本発明は表示装置を構成している膜を封止膜(保護膜)として利用することから、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の構成を採用することにより、以下に示すような効果を得ることが出来る。
【0042】
封止膜(保護膜)を有することにより、表示装置の有機樹脂材料を含んだ絶縁層は表示装置(パネル)外部の大気と直接接しなくなる。このため、表示装置外部の水や酸素が、吸湿性のあるような有機材料を含んだ絶縁膜などを通して表示装置内に侵入することを防止することができる。よって、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、本発明は表示装置を構成している膜と同じ材料の膜を同時に形成し、封止膜として利用することから、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0044】
以上のようにして作製される表示装置は表示装置端部の封止領域において、汚染物質を遮断する構造を有していることから、前記表示装置の動作特性や信頼性は十分なものとなり得る。そして、本発明の表示装置を用いた電子機器も高い信頼性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、従来の表示装置の上面図である。
【図2】図2は、従来の構成を示した図である。
【図3】図3は、本発明の構成を示した図である。
【図4】図4は、本発明の構成を示した図である。
【図5】図5は、本発明の構成を示した図である。
【図6】図6は、アクティブマトリクスマトリクス基板の作製工程を示した断面図である。
【図7】図7は、アクティブマトリクスマトリクス基板の作製工程を示した断面図である。
【図8】図8は、アクティブマトリクスマトリクス基板の作製工程を示した断面図である。
【図9】図9は、アクティブマトリクスマトリクス基板の断面図である。
【図10】図10は、本発明の表示装置の断面図である。
【図11】図11は、本発明の表示装置の断面図である。
【図12】図12は、表示装置の例を示した図である。
【図13】図13は、表示装置の例を示した図である。
【図14】図14は、表示装置の例を示した図である。
【図15】図15は、従来の表示装置の信頼性評価の結果を示した図である。
【図16】図16は、本発明の表示装置の信頼性評価の結果を示した図である。
【図17】図17は、従来のEL表示装置の断面図である。
【図18】図18は、本発明の表示装置の断面図である。
【図19】図19は、従来の表示装置の上面図である。
【図20】図20は、本発明の表示装置の断面図である。
【図21】図21は、本発明の表示装置の断面図である。
【図22】図22は、本発明の表示装置の上面図である。
【図23】図23は、本発明の表示装置の信頼性評価の結果を示す図である。
【図24】図24は、本発明の表示装置の信頼性評価の結果を示す図である。
【図25】図25は、本発明の表示装置の信頼性評価の結果を示す図である。
【図26】図26は、本発明の表示装置を示す図である。
【図27】図27は、従来のEL表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0047】
表示装置の封止領域では、TFT基板上のゲート絶縁膜や層間膜や配線が積層され、絶縁層となっている。図3において、31は基板、32は対向基板、33は絶縁膜、34、35は層間膜、36は保護膜である封止膜、37はシール材である。なお図3の積層例は一例であって、TFT基板側に積層されている膜の材料や積層の順番はこの例に限定されない。ここでは例としてガラス基板上に下地膜(図示しない)、ゲート絶縁膜、保護膜や層間膜、1番上に封止膜が積層している構造となっている。
【0048】
前述のように、発光しない画素部以外の表示装置面積を減らすため、シール材は前記積層された絶縁層の上に塗布され、絶縁層を含む基板と対向基板と接着(固着)している。本実施の形態では、図3で示すように、1番上に積層された封止膜は配線と同じ材料の膜で配線と同時に形成され、それより前に積層された下地膜(図示しない)、絶縁膜、層間膜、保護膜などを覆う構造になっている。
【0049】
この封止膜により、層間膜などの膜は表示装置外部の大気と直接接しなくなる。このため、表示装置外部の水や酸素が、層間膜などや、膜と膜の隙間から通って表示装置内に侵入することを防止することができる。よって、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができる。また、本発明は表示装置を構成している膜と同じ材料の膜を封止膜として利用することから、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0050】
水や酸素などを遮断する封止膜は、保護膜として機能するので、この封止膜は緻密な構造のものが望ましい。
【0051】
また、封止膜は導電性薄膜、絶縁性薄膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。導電性薄膜としてはAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる合金膜などの膜を用いてもよい。絶縁性薄膜としては窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または窒素含有炭素膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いることができる。
【0052】
また絶縁層に用いる有機樹脂材料は、アクリル、ポリアミドまたはポリイミドなどを用いることができ、材料に限定されない。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料を用いても良い。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。
【0053】
また、図5のように、封止膜を一層だけでなく、2層以上設けてもよい。その時、導電性のある膜で覆うときは、表示装置内部でのショートなどを避けるため、図5の(B)のように、表示装置内部領域とは分断して、封止領域のみに積層する必要がある。このように表示装置端部を積層して遮断すると、封止膜単層よりさらに汚染物質の遮断効果があがる。
【0054】
また、図3の側面図で示すように、封止膜で覆うとき、覆われる下の層の膜の形状は、傾斜面が曲率半径が連続的に変化する形状(なだらか)であると、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。下の層の膜の傾斜面は下の層の膜表面がなだらかでない場合、下層膜の表面上で封止膜の膜厚が薄くなり、破壊されてしまう。破壊された膜では汚染物質を十分に遮断することができず、本発明の効果が減少してしまう。また、覆われる下層膜の表面の平坦性がよいほうが、重ねて形成される封止膜のカバレッジがよく、より本発明の効果は向上する。従って、下層膜として感光性材料を用いてウェットエッチングを行うことは、膜表面の荒れが少なく、平坦性がよくなるので好ましい。
【0055】
以上のように、発光しない画素部以外の表示装置面積を増やすことなく、劣化の原因となる汚染物質を遮断した信頼性の高い表示装置を得ることができる。
【0056】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0057】
表示装置の封止領域では、TFT基板上の絶縁膜や層間膜や配線が積層され、絶縁層となっている。図4において、41は基板、42は対向基板、43は絶縁膜、44、45は層間膜、46は保護膜である封止膜、47はシール材である。なお、図4の積層例は一例であって、TFT基板側に積層されている膜の材料や積層の順番はこの例に限定されない。ここでは例としてガラス基板上に下地膜(図示しない)、絶縁膜、保護膜や層間膜、1番上に封止膜が積層している構造となっている。
【0058】
前述のように、画素部以外のパネル面積を減らすため、シール剤は前記積層された絶縁層の上に塗布され、絶縁層を含む基板と対向基板と接着している。本実施の形態では、図4で示すように、積層された下地膜(図示しない)、絶縁膜、層間膜、保護膜などに開口部を設け、その開口部に封止膜を積層された膜を覆うように形成した構造になっている。この封止膜は配線と同じ材料で同時に形成される。
【0059】
この封止膜によって、封止膜より下の有機樹脂材料などを含んだ絶縁層は表示装置内で内側の領域と外側の領域に切り離される。表示装置内側の領域のそれらの膜は表示装置外部の大気と直接接しない。このため、切り離された表示装置内の外側の絶縁層が大気に曝され、層間膜や膜と膜の隙間から表示装置外部の水や酸素が、外側の領域の層間膜などや膜と膜の間を通してパネル内に侵入したとしても、封止膜によって遮断され、表示装置内部に侵入することができない。従って、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができる。また、表示装置を構成している膜と同じ材料で同時に封止膜を形成するので、工程数を増やすことなく作製する表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0060】
水や酸素などを遮断する封止膜は、保護膜として機能するので、この封止膜は緻密な構造のものが望ましい。
【0061】
また、封止膜は導電性薄膜、絶縁性薄膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いてもよい。導電性薄膜としてはAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる合金膜などの膜を用いてもよい。絶縁性薄膜としては窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、または窒素含有炭素膜から選ばれた一種、または複数種からなる膜を用いることができる。
【0062】
また絶縁層に用いる有機樹脂材料は、アクリル、ポリアミドまたはポリイミドなどを用いることができ、材料に限定されない。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料で形成してもよい。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。
【0063】
また、パネル内部で封止膜で分断し、かつ、実施の形態1のようにパネル端部を封止膜が覆う構造でもよい。多層膜は複数回分断されていてもよいし、表示装置内部において、どの部分で分断されていてもよい。つまり、画素領域と周辺駆動回路領域の間で分断されていてもよいし、封止領域で分断されていてもよい。
【0064】
絶縁層は複数開口部を設けて封止膜で覆ってもよいし、表示装置内部において、どの部分で開口部を設けてもよい。画素領域と周辺駆動回路領域の間で封止されていてもよいし、封止領域で封止されていてもよい。しかし、前記シール材の外側に位置する前期絶縁層の外端部は、封止膜で被覆されている必要がある。よって、開口部がシール材より外側に位置した場合、図4のように前記外端部は開口部であってもよい。
【0065】
また、本実施の形態の図4では開口部をガラス基板に達するように形成しているが、本発明の構造はこれに限定されない。つまり、吸湿性のあるような有機材料を含む絶縁膜を封止膜で覆うことができればよいので、窒化珪素膜など封止膜として用いることのできる膜に達するまで開口部を形成し、封止膜で覆ってもよい。
【0066】
また、図5のように、封止膜を一層だけでなく、2層以上設けてもよい。図5(A)において、501は基板、502は対向基板、503は絶縁膜、504、505は層間膜、506、508は保護膜である封止膜、507はシール材である。その時、導電性のある膜で覆うときは、表示装置内部でのショートなどを避けるため、図5の(B)のように、表示装置内部領域とは分断して、封止領域のみに積層する必要がある。図5(B)において、511は基板、512は対向基板、513は絶縁膜、514、515は層間膜、516、518は保護膜である封止膜、517はシール材である。このように表示装置内部での分断回数を増加させたり、端部を覆う構造と組み合わせたり、表示装置端部を積層したりして遮断すると、封止膜単層よりさらに汚染物質の遮断効果があがる。
【0067】
本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わすことができる。
【0068】
以上のように、発光しない画素部以外の表示装置面積を増やすことなく、劣化の原因となる水や酸素などの汚染物質を遮断した信頼性の高い表示装置を得ることができる。
【実施例1】
【0069】
本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図6〜図9を用いて説明する。アクティブマトリクス基板は複数のTFTを有しているが、それぞれnチャネル型TFT及びpチャネル型TFTとを有する駆動回路部と画素部とを有する場合で説明する。
【0070】
絶縁表面を有する基板200の上に下地膜300として、プラズマCVD法により窒化酸化珪素膜10〜200nm(好ましくは50〜100nm)nmを形成し、酸化窒化水素化珪素膜を50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。本実施例ではプラズマCVD法により窒化酸化珪素膜を50nm、窒化水素化珪素膜を100nm形成し、基板200としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板を用いても良い。また、下地膜として2層構造を用いてもよいし、前記下地(絶縁)膜の単層膜又は2層以上積層させた構造を用いてもよい。
【0071】
次いで、下地膜上に半導体膜301を形成する(図6(A))。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。この非晶質珪素膜に結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法およびレーザ結晶化法を行う。
【0072】
本実施例では半導体膜として、プラズマCVD法により非晶質珪素膜を54nm形成した。金属元素としてニッケルを用い、溶液塗布法により非晶質珪素膜上に導入する。非晶質珪素膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質珪素膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面の濡れ性を改善し、非晶質珪素膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0073】
その後500〜550℃で8〜20時間かけて熱処理を行い、非晶質珪素膜を結晶化する。本実施例では金属元素としてニッケルを用い、溶液塗布法により金属含有層302を形成し非晶質珪素膜301上に導入した後、550℃で4時間の熱処理を行って第1の結晶性珪素膜303を得た(図6(B)(C))。
【0074】
次に第1の結晶性珪素膜303にレーザ光を照射し結晶化を助長し、第2の結晶性珪素膜304を得る。レーザ結晶化法は、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、連続発振の固体レーザまたは気体レーザまたは金属レーザが望ましい。なお、前記固体レーザとしては連続発振のYAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、前記気体レーザとしては連続発振のArレーザ、Krレーザ、COレーザ等があり、前記金属レーザとしては連続発振のヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。また、連続発光のエキシマレーザも適用できる。前記レーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていてもよい。前記非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。前記高調波のレーザには、一般にNd、Yb、Crなどがドープされており、これが励起しレーザが発振する。ドーパントの種類は適宜実施者が選択すればよい。前記半導体膜としては、非晶質半導体膜や微結晶半導体膜、結晶性半導体膜などがあり、非晶質珪素ゲルマニウム膜、非晶質珪素カーバイト膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を適用しても良い。
【0075】
このようにして得られた結晶性半導体膜304をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層305〜308を形成する。
【0076】
また、半導体層305〜308を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0077】
次いで、半導体層305〜308を覆うゲート絶縁膜309を形成する。ゲート絶縁膜309はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0078】
次いで、ゲート絶縁膜上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜はTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。なお、本実例では、ゲート絶縁膜309上に膜厚30nmの窒化タンタル膜310、膜厚370nmのタングステン膜311を順次積層して形成した(図7(A))。
【0079】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク312〜316を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望のテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl、BCl、SiClもしくはCClなどを代表とする塩素系ガス、CF、SFもしくはNFなどを代表とするフッ素系ガス又はOを適宜用いることができる。
【0080】
第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層317〜321(第1の導電層317a〜321aと第2の導電層317b〜321b)を形成した(図7(B))。
【0081】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層322b〜326bを形成する。一方、第1の導電層322a〜326aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層322〜326を形成する。
【0082】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層322〜326がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域327〜330が形成される。不純物領域327〜330には1×1018〜1×1020/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する(図7(C))。
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク331a〜331cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。ドーピング処理は第2の導電層323b、326bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方の半導体層に不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図8(A)の状態を得る。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域335、341には1×1018〜5×1019/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域334、337、340には1×1019〜5×1021/cmの濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0083】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0084】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク342a、342bを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域343、344、347、348を形成する。第1及び第2の導電層322、326を不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域343、344、347、348はジボラン(B)を用いたイオンドープ法で形成する(図8(B))。この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク342a、342bで覆われている。第1乃至3のドーピング処理によって、不純物領域332、340、341にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cmとなるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0085】
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
【0086】
次いで、レジストからなるマスク342a、342bを除去して第1の層間絶縁膜349を形成する。この第1の層間絶縁膜349としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する(図8(C))。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成する。勿論、第1の層間絶縁膜349は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0087】
次いで、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行う。また、活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
【0088】
第1の層間絶縁膜349上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜350を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成するが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用いる。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料を用いても良い。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。この後、第2の層間絶縁膜350上に窒化絶縁膜(代表的には、窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜又は窒素含有炭素膜(CN))からなるパッシベーション膜351を形成する。
【0089】
次いで金属膜を形成し、金属膜をエッチングして各不純物領域とそれぞれ電気的に接続するソース電極及びドレイン電極、各配線(図示しない)を形成する。金属膜は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いればよい。なお本実施例では、チタン膜/チタンーアルミニウム合金膜/チタン膜(Ti/Al−Si/Ti)をそれぞれ100/350/100nmに積層したのち、所望の形状にパターニング及びエッチングしてソース電極、ドレイン電極352及び各配線(図示しない)を形成する。よって、周辺回路部1にpチャネル型TFT11、nチャネル型TFT12、画素部2にnチャネル型TFT13、pチャネル型TFT14が形成される。
【0090】
この配線を形成する際、本発明に基づいて封止領域となる基板端部で、配線と同じ材料の膜が封止膜となり、下層の膜を覆いこむように形成してもよい。発光素子が外部の大気に接しなければよいので、端部の封止の方法は実施の形態1または2、またはそれらを組み合わせて用いればよい。
【0091】
この封止膜により、層間膜などの絶縁層は表示装置外部の大気と直接接しなくなる。このため、表示装置外部の水や酸素が、絶縁層や、膜と膜の隙間から通って表示装置内に侵入することを防止することができる。よって、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができる。また、本発明は表示装置を構成している膜と同じ材料の膜を封止膜として利用することから、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0092】
その後、電極(EL表示装置の場合は陽極又は陰極となり、液晶表示装置の場合は画素電極となる)を形成する。電極には、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、ITO、SnO等の透明導電膜を用いたり、反射型の液晶表示装置の場合はAl等の金属膜を用いたりすることができる。なお本実施例では、ITOを成膜し、所望の形状にエッチングすることで電極353を形成する(図9)。
【0093】
以上のような工程により、TFTを備えたアクティブマトリクス基板が完成する。
【0094】
なお、本発明は、本実施例で示したトップゲート型(プレーナー型)TFTの作製方法に限らず、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【実施例2】
【0095】
本実施例では、実施例1で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、表示装置を作製した例について説明する。本明細書において、表示装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFTを備えた表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。また、有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)がある。 本発明に用いることのできるEL材料は、一重項励起もしくは三重項励起、もしくは両者の励起を経由して発光するすべての発光性材料を含む。
【0096】
なお、本明細書中では、発光素子において陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的に発光素子は、陽極層、発光層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、発光層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、発光層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。
【0097】
図11は本実施例の表示装置の断面図である。図11において、周辺回路部6001にpチャネル型TFT6003、nチャネル型TFT6004、画素部6002にnチャネル型TFT6005、pチャネル型TFT6006が形成され、封止領域6000において封止されている。なお、本実施例ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
【0098】
基板700上に設けられた駆動回路は図9のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT11とpチャネル型TF12の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0099】
なお、711は、透明導電膜からなる画素電極(発光素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極711は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜上に形成してもよい。樹脂からなる平坦化膜を用いてTFTによる段差を平坦化することは有効である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0100】
配線701を形成後、図11に示すようにバンク712を形成する。バンク712は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料を用いても良い。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。
【0101】
なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子の静電破壊には注意が必要である。本実施例ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子や金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×10〜1×1012Ωm(好ましくは1×10〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。
【0102】
画素電極711の上には発光層713が形成される。なお、図11では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機発光材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq)膜を設けた積層構造としている。Alqにキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
【0103】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0104】
次に、発光層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0105】
この陰極714まで形成された時点で発光素子715が完成する。なお、ここでいう発光素子715は、画素電極(陽極)711、発光層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。
【0106】
発光素子715を完全に覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である(図示せず)。パッシベーション膜としては、炭素膜、窒化珪素膜、窒素含有炭素膜(CN)もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。
【0107】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層713が酸化するといった問題を防止できる。
【0108】
さらに、パッシベーション膜(図示せず)上にシール材717を設け、カバー材720を貼り合わせる。シール材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材720はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)や可撓性基板の両面に炭素膜(好ましくはDLC膜)を形成したものを用いる。炭素膜以外にもアルミ膜(AlON、AlN、AlOなど)、SiNなどを用いることができる。
【0109】
こうして図11に示すような構造の表示装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、パッシベーション膜(図示せず)を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材720を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。
【0110】
さらに、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0111】
また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成しうる。
【0112】
本実施例では、配線を形成する際、本発明に基づいて封止領域となる基板端部で、配線と同じ材料を用いた封止膜718を形成する。封止膜はより下層の膜を覆いこむ(被膜する)ように形成する。絶縁層、特に吸湿性のある有機材料を含む絶縁膜が外部の大気に接しなければよいので、端部の被膜、遮断の方法は実施の形態1または2、またはそれらを組み合わせて用いればよく、図11の構造に限定されない。よって配線より上層に積層する画素電極、バンク、パッシベーション膜、陰極などでパネル端部を覆ってもよいし、2層以上で覆ってもそれがどの膜の組み合わせでもよい。
また、図4に示すように、開口部に封止膜を形成して、下層の膜を表示装置内で内側の領域と外側の領域に切り離し、汚染物質の侵入を防ぐ構造でもよい。配線と同時に、同材料で形成される封止膜により表示装置端部の絶縁層が剥き出しになっている部分を覆い、かつ絶縁層に形成した開口部を同封止膜で覆った構造を図20に示す。図20において、9000は封止領域、9001は周辺回路部、9002は画素部、9003、9006はpチャネル型TFT、9004、9005はnチャネル型TFT、2000は基板、2001は配線、2011、2014は電極(陽極または陰極)、2012はバンク、2013は発光層、2015は発光素子、2018は開口部、2019は開口部2018と側端部を覆う封止膜(保護膜)、2017はシール材である。導電性のある膜で覆うときは、表示装置内部でのショートなどを避けるため、図5の(B)のように、表示装置内部領域とは分断して、封止領域のみに積層する必要がある。また、図4で示すように、封止膜を積層構造にして遮断すると、封止膜単層よりさらに汚染物質の遮断効果があがる。図21に封止膜として配線と同材料の膜と、ITOと同材料の膜の積層構造を用いた例を示す。図21において、9500は封止領域、9501は周辺回路部、9502は画素部、9503、9506はpチャネル型TFT、9504、9505はnチャネル型TFT、2100は基板、2101は配線、2111、2114は電極(陽極または陰極)、2112はバンク、2113は発光層、2115は発光素子、2118は開口部、2119a、2119bは開口部2118と側端部を覆う封止膜(保護膜)、2117はシール材である。
【0113】
また、表示装置を構成している膜を、どの膜をどのように組み合わせて封止膜として利用しても、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができる。しかし、封止膜として最も外側に形成され、外部の水分や酸素などを含んだ外気にさらされる封止膜は、水分や酸素などを遮断できる緻密な膜である必要がある。また、図20、図21においてはシール材は封止膜の一部に形成されているが、封止膜全部を覆うように形成してもよい。
【0114】
従来の構造を有する表示装置と本実施例を用いた構造を有する表示装置との信頼性評価を行った。なお、封止膜には配線と同様な材料の膜を用い、実施の形態1の構造とした。
【0115】
信頼性の評価は温度65℃、湿度95%で190時間保存し、発光輝度の変化を調べた。図15に従来の構造を有する表示装置の、図16に本実施例を用いた構造の表示装置の、それぞれ上述の条件で保存してから190時間後の発光の様子を示す。図15及び図16の写真は、それぞれ発光している画素領域内の9箇所の発光の様子である。
【0116】
図15からわかるように、従来の構造を有する表示装置では、表示装置端部から中心部に向かって、非発光の領域が広がっている。これは前述のようにシュリンクと呼ばれる劣化であり、水や酸素といった汚染物質が表示装置内部に侵入したためである。それと比較して、図16ではそのような劣化がほとんど見られなかった。これは本発明により、水や酸素などの汚染物質が遮断され、表示装置内部に侵入できなかったことを意味する。
本実施例の構造を持つ表示装置においては、この封止膜により、層間膜などの膜は表示装置外部の大気と直接接しなくなる。このため、表示装置外部の水や酸素が、層間膜などや、膜と膜の隙間から通って表示装置内に侵入することを防止することができた。よって、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができた。また、本発明は表示装置を構成している膜と同じ材料の膜を封止膜として利用することから、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができた。
【0117】
以上のようにして作製される表示装置は表示装置端部の封止領域において、汚染物質を遮断する構造を有していることから、前記表示装置の動作特性や信頼性は十分なものとなり得る。そして、このような表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
【実施例3】
【0118】
本実施例では、実施例2で作製した表示装置において、封止膜の構造が異なる例を図10を用いて説明する。よって実施例2と同様な構造の部分は、実施例2の方法で作製すればよい。
【0119】
本実施例でも実施例2と同様実施例1で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、表示装置を作製する。
【0120】
図10は、本実施例の表示装置の断面図である。図10において、5000は封止領域、5001は周辺回路部、5002は画素部、5003、5006はpチャネル型TFT、5004、5005はnチャネル型TFT、1000は基板、1001は配線、1011、1014は電極(陽極または陰極)、1012はバンク(隔壁)、1013は発光層、1015は発光素子、1018は開口部、1019は開口部1018と側端部を覆う封止膜(保護膜)、1017はシール材である。
【0121】
本実施例において、電極1011は、透明導電膜からなる。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。
【0122】
図10のように、電極1011を形成するとき、ソース電極、ドレイン電極の上に電極1011と同材料の膜を封止膜として形成してもよい。ソース電極、ドレイン電極の下の層間絶縁膜には、非感光性アクリルや感光性アクリル、無機材料を用いることができる。非感光性アクリルや無機材料からなる層間膜にコンタクトを開口する際、ドライエッチングを用いる必要がある。ドライエッチングによるエッチングによってエッチング断面の凹凸が生じ、ソース電極、ドレイン電極の成膜性を低下させる可能性がある。図10のように、ソース電極、ドレイン電極に封止膜を形成することによって、ソース電極、ドレイン電極の成膜性の不良から生じる可能性のある断線部分(膜の穴)などから、侵入する水分や酸素を遮断することができる。よってEL表示装置の水分や酸素による劣化を防ぐことができる。
【0123】
発光層1013の上には導電膜からなる電極1014が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0124】
本実施例では、発光層1013の上に設けられる陰極を形成するときに、電極1014と同材料で封止膜1019を形成する。基板まで達する開口部1018を形成し、封止膜1019をその開口部を覆うように形成する。陰極と封止膜の機能を兼ね備えた導電膜を周辺回路の外側まで連続して成膜し、内部のEL素子やTFTを保護することによって、シール材や外気にさらされているアクリルなどの層間膜を通って水分や酸素が侵入したとしても、本発明の封止膜によってそれらを遮断することができる。よってEL表示装置の水分や酸素による劣化を防ぐことができる。また、電極1014と封止膜1019はつながっていてもよいし、マスク等を用いて離して形成してもよい。
【0125】
本実施例では陰極と同材料の膜を封止膜に用いたが、陰極(第2電極)の上にパッシベーション膜を形成し、パッシベーション膜と同行程、同材料で封止膜を形成してもよい。
【0126】
本実施例は、実施の形態1、2、実施例1、2を組み合わせてもよく、またはそれらを複数組み合わせて用いてもよい。
【実施例4】
【0127】
本実施例では、実施例2または実施例3で作製した表示装置において、画素電極とソース、ドレイン電極の接続構成、封止膜の構造が異なる例を、図18を用いて説明する。図18において、8000は封止領域、8001は周辺回路部、8002は画素部、8003、8006はpチャネル型TFT、8004、8005はnチャネル型TFT、1100は基板、1101は配線、1111、1114は電極(陽極または陰極)、1112は平坦化層、1113は発光層、1115は発光素子、1116はバンク、1118は開口部、1119は開口部1118と側端部を覆う封止膜(保護膜)、1117はシール材である。
【0128】
図18に示すように、ソース電極及びドレイン電極である配線1101上に平坦化層1112を設け、その平坦化層1112上に電極1111を設けている。このとき、平坦化層1112は無機絶縁膜であっても有機絶縁膜であっても良い。平坦化層を用いるとより平坦性の向上に有効である。平坦化層1112には、非感光性アクリルや感光性アクリル、無機材料などを用いることができる。また、珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料を用いても良い。珪素と酸素との結合で骨格構造が形成された材料としては、シロキサン系ポリマーが代表例として挙げられ、詳しくは、珪素と酸素との結合で骨格構造が構成され置換基に少なくとも水素を含む材料、又は、置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料である。
【0129】
平坦化膜を用いてTFTによる段差を平坦化することは有効である。後に形成される発光層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、発光層をできるだけ平坦面に形成しうるように電極(画素電極)を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0130】
発光層1113の上には導電膜からなる電極1114が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムとリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜(マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。
【0131】
本実施例では、発光層1113の上に設けられる電極1114を形成するときに、電極1114と同材料で封止膜1119を形成する。基板まで達する開口部1118を形成し、封止膜1119をその開口部を覆うように形成する。陰極と封止膜の機能を兼ね備えた導電膜を周辺回路の外側まで連続して成膜し、内部のEL素子やTFTを保護することによって、シール材や外気にさらされているアクリルなどの層間膜を通って水分や酸素が侵入したとしても、本発明の封止膜によってそれらを遮断することができる。よってEL表示装置の水分や酸素による劣化を防ぐことができる。また、電極1114と封止膜1119はつながっていてもよいし、マスク等を用いて離して形成してもよい。
【0132】
本実施例では陰極と同材料の膜を封止膜に用いたが、陰極(第2電極)の上にパッシベーション膜を形成し、パッシベーション膜と同行程、同材料で封止膜を形成してもよい。
【0133】
また、この平坦化層は、周辺回路などの平坦化が必要のない場所では、吸湿性のあるアクリルなどを材料として用いる場合、水分の通り道になってしまう可能性があるので、取り除いてしまうことも有効である。しかし、取り除くときのドライエッチング等によるプラズマなどの膜に与えるダメージを防ぐため、平坦化層を取り除かない場合、前記電極、パッシベーション膜と同材料の封止膜を用いて実施の形態1のように、絶縁層外端部を被覆すればよい。
【0134】
本実施例では、EL表示装置の場合について封止構造を適用したが、実施例1や本実施例の平坦化膜を用いた構造を有する液晶表示装置にも本発明の封止構造は適用できる。その場合は、本発明の封止構造を用いて、表示部を発光素子ではなく液晶を用いた表示装置を作製すればよい。
【0135】
本実施例は、実施の形態1または2、実施例1、2、3と組み合わせてもよく、またはそれらを複数組み合わせて用いてもよい。
【実施例5】
【0136】
本発明を適用して、様々な表示装置(アクティブマトリクス型表示装置)を作製することができる。即ち、それら表示装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
【0137】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの例を図12、図13及び図14に示す。
【0138】
図12(A)はパーソナルコンピュータであり、本体3001、画像入力部3002、表示部3003、キーボード3004等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部3003に適用することで、本発明のパーソナルコンピュータが完成する。
【0139】
図12(B)はビデオカメラであり、本体3101、表示部3102、音声入力部3103、操作スイッチ3104、バッテリー3105、受像部3106等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部3102に適用することで、本発明のビデオカメラが完成する。
【0140】
図12(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体3201、カメラ部3202、受像部3203、操作スイッチ3204、表示部3205等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部3205に適用することで、本発明のモバイルコンピュータが完成する。
【0141】
図12(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体3301、表示部3302、アーム部3303等を含む。表示部3302は基板として可撓性基板を用いており、表示部3302を湾曲させてゴーグル型ディスプレイを作製している。また軽量で薄いゴーグル型ディスプレイを実現している。本発明により作製される表示装置を表示部3302に適用することで、本発明のゴーグル型ディスプレイが完成する。
【0142】
図12(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体3401、表示部3402、スピーカ部3403、記録媒体3404、操作スイッチ3405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明により作製される表示装置を表示部3402に適用することで、本発明の記録媒体が完成する。
【0143】
図12(F)はデジタルカメラであり、本体3501、表示部3502、接眼部3503、操作スイッチ3504、受像部(図示しない)等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部3502に適用することで、本発明のデジタルカメラが完成する。
【0144】
図13(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置3601、スクリーン3602等を含む。本発明により作製される表示装置を投射装置3601の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のフロント型プロジェクターが完成する。
【0145】
図13(B)はリア型プロジェクターであり、本体3701、投射装置3702、ミラー3703、スクリーン3704等を含む。本発明により作製される表示装置を投射装置3702の一部を構成する液晶表示装置3808やその他の駆動回路に適用することで、本発明のリア型プロジェクターが完成する。
【0146】
なお、図13(C)は、図13(A)及び図13(B)中における投射装置3601、3702の構造の一例を示した図である。投射装置3601、3702は、光源光学系3801、ミラー3802、3804〜3806、ダイクロイックミラー3803、プリズム3807、液晶表示装置3808、位相差板3809、投射光学系3810で構成される。投射光学系3810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図13(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0147】
また、図13(D)は、図13(C)中における光源光学系3801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系3801は、リフレクター3811、光源3812、レンズアレイ3813、3814、偏光変換素子3815、集光レンズ3816で構成される。なお、図13(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0148】
ただし、図13に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及び表示装置での適用例は図示していない。
【0149】
図14(A)は携帯電話であり、本体3901、音声出力部3902、音声入力部3903、表示部3904、操作スイッチ3905、アンテナ3906等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部3904に適用することで、本発明の携帯電話が完成する。
【0150】
図14(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体4001、表示部4002、4003、記憶媒体4004、操作スイッチ4005、アンテナ4006等を含む。本発明により作製される表示装置は表示部4002、4003に適用することで、本発明の携帯書籍が完成する。
【0151】
図14(C)はディスプレイであり、本体4101、支持台4102、表示部4103等を含む。表示部4103は可撓性基板を用いて作製されており、軽量で薄いディスプレイを実現できる。また、表示部4103を湾曲させることも可能である。本発明により作製される表示装置を表示部4103に適用することで、本発明のディスプレイが完成する。
【0152】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、さまざまな分野の電子機器に適用することが可能である。
【実施例6】
【0153】
本実施例では、実施例2または実施例3で作製した表示装置において、封止膜の構造が異なる例を、図20、図21を用いて説明する。
【0154】
図20において、2000は基板、2001は配線、2011は電極(陽極または陰極)、2013は発光層、2014は電極(陽極または陰極)、2115は発光素子、2017はシール材である。図20では、配線2001と同行程、同材料で封止膜2019を形成する。封止領域に基板2000まで達する開口部2018を形成し、封止膜2019により開口部2018を覆い、かつ、表示装置端部の絶縁層が剥き出しになっている部分を覆った構造である。
図21において、2100は基板、2101は配線、2111は電極(陽極または陰極)、2013は発光層、2114は電極(陽極または陰極)、2115は発光素子、2117はシール材である。図21では、配線2101と同材料で形成される封止膜2119aと、画素電極2111と同材料で形成される封止膜2119bを用いる。封止膜2119a、2119bはそれぞれ配線2101、画素電極2111と同行程において同時に形成することができる。封止領域に基板2100まで達する開口部2118を形成し、封止膜2119a、2119bにより開口部2118を覆い、かつ、表示装置端部の絶縁層が剥き出しになっている部分を覆っている。
【0155】
本実施例では、封止領域の開口部2118を基板に達するまで形成するが、緻密な下地膜まででもよい。水分の通り道になる親水性の膜に開口部を形成すればよいので、開口部の形成深さは適宜設定すればよい。本実施例は本発明の一例であり、本発明は本実施例に限定されない。
本発明により、シール材や外気にさらされているアクリルなどの層間膜や平坦化層2012を通って水分や酸素が侵入したとしても、封止膜により水分や酸素が遮断されるので、表示装置内部のEL素子やTFTを保護することができる。よってEL表示装置の水分や酸素による劣化を防ぐことができる。また、図21のように封止膜を複数積層すると、水分などの汚染物質を遮断する能力がより向上する。
本発明の表示装置を作製し、信頼性の評価を行った。信頼性の評価は温度65℃、湿度95%で約500時間保存し、発光輝度の変化を調べた。図23に本実施例図20の構造を有する表示装置、図24に図21の構造を有する表示装置を、それぞれ上述の条件で保存してから500時間後の発光の様子を示す。図23、図24の写真は、それぞれ発光している画素領域内の9箇所の発光の様子である。
【0156】
図23の封止膜によってEL素子やTFTを保護したものは、右上、左下の隅からわずかに輝度劣化が始まっているが、激しい劣化は見られない。また、図24のさらに封止膜を積層構造にしたものではそのような劣化がほとんど見られなかった。これは、封止膜により開口部と端部を覆ったことで、水分は多重に遮断され、さらに表示装置内部に侵入できなかったことを意味する。また、さらに封止膜を複数積層することで、遮断能力は向上し、表示装置の劣化を防げることが確認できた。
本発明の表示装置においては封止膜により、層間膜などの膜は表示装置外部の大気と直接接しなくなる。このため、表示装置外部の水や酸素が、層間膜などや、膜と膜の隙間から通って表示装置内に侵入することを防止することができた。また、封止膜によって、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性を向上させることができた。また、本発明は表示装置を構成している膜と同じ材料の膜を封止膜として利用することから、工程数を増やすことなく、信頼性の高い表示装置を作製することができた。
【実施例7】
【0157】
本実施例では、表示装置の端部を引き回されている配線の配置が異なる表示装置を図1、図19、図22及び図25を用いて示す。
【0158】
図1において、411の部分で、画素部の配線は、FPC(フレキシブルプリントサーキット)に接続される。411の部分の拡大図を図19に示す。図19は従来の配線の配置であり、1901は陰極、1902は第1の陽極、1903は第2の陽極、1904は第3の陽極である。従来の配置では、最外周の配線である陰極1901が、一番内部にFPCの接続部分がある。そのため、最外周の配線で、完全に表示装置の端部を覆うことができない。よって、その隙間から水分等が侵入し、表示装置の劣化を防ぎきれない。
本発明の表示装置の配線の配置を図22に示す。FPCとの接続が最も装置の外側に存在する第1の陽極1902を最も外側に配置し、陰極1901を内側に配置する。よって最外周の配線が、FPC接続部分以外隙間なく完全に表示装置端部を覆うことが可能となり、水分を十分に遮断できる。
【0159】
なお、配線の配置は、最外周の配線が最も外側で他のFPCなどの配線に接続していればよく、配線の種類や極性、数などは適宜設定すればよい。
【0160】
図22の配線の配置であって、図20の構造を有する表示装置を作製し、信頼性の評価を行った。信頼性の評価は温度65℃、湿度95%で約570時間保存し、発光輝度の変化を調べた。図25に図20と図22の構造を有する表示装置を、上述の条件で保存してから500時間後の発光の様子を示す。
【0161】
図25に示すように、左の上下にわずかなシュリンクと見られる輝度劣化が生じているが、ほとんど劣化はしていない。また図23の、配線の配置が図19である従来のものと比較すると若干劣化の程度が軽い。よって本発明により、表示装置の劣化を防ぐ効果が向上することが確認できた。
本発明の構造により、水や酸素などが引き起こしていた表示装置の内部の汚染、電気特性の劣化、ダークスポットやシュリンクなど様々な劣化を防止することができ、表示装置の信頼性をより向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板に接して設けられた下地膜と、
前記下地膜上に設けられた積層された絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた、発光素子を有する表示部と、
前記絶縁層上で且つ前記表示部の外側に設けられたシール材と、
前記シール材の外側で、前記下地膜及び前記絶縁層の外端部側面を被覆する積層された封止膜と、
前記シール材により前記第1の基板に固着された第2の基板と、を有し、
前記絶縁層の少なくとも一層は有機樹脂材料を有し、
前記外端部側面は前記第1の基板上に設けられ、
前記シール材は前記封止膜に接し、
前記封止膜のそれぞれの膜はAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる合金であり、
前記封止膜は前記第1の基板上で、且つ前記第1の基板に接して設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
第1の基板に接して設けられた下地膜と、
前記下地膜上に設けられた積層された絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた、発光素子を有する表示部と、
前記絶縁層上で且つ前記表示部の外側に設けられたシール材と、
前記下地膜及び前記絶縁層に設けられた開口部を被覆し、且つ前記開口部内で前記第1の基板と接する積層された封止膜と、
前記シール材により前記第1の基板に固着された第2の基板と、を有し、
前記絶縁層の少なくとも一層は有機樹脂材料を有し、
前記シール材は前記封止膜に接し、
前記封止膜のそれぞれの膜はAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる合金であることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
第1の基板に接して設けられた下地膜と、
前記下地膜上に設けられた積層された絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた、発光素子を有する表示部と、
前記絶縁層上で且つ前記表示部の外側に設けられたシール材と、
前記下地膜及び前記絶縁層に設けられた複数の開口部を被覆し、且つ前記開口部内で前記第1の基板と接する積層された封止膜と、
前記シール材により前記第1の基板に固着された第2の基板と、を有し、
前記絶縁層の少なくとも一層は有機樹脂材料を有し、
前記シール材は前記封止膜に接し、
前記封止膜のそれぞれの膜はAl、Ti、Mo、WもしくはSiの元素から選ばれた一種、または複数種からなる合金であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記下地膜上に設けられたTFTを有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記封止膜は、前記TFTのソース電極及びドレイン電極と同じ配線層で形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記封止膜は、引き回し配線に用いられることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記封止膜は、FPCの最も外側の端子と電気的に接続していることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記有機樹脂材料はアクリル、ポリアミド、ポリイミドまたはアルキル基を含む酸化珪素から選ばれた一種、または複数種からなることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記発光素子は有機発光材料を用いることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項において、
前記発光素子の代わりに液晶を用いることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図27】
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【図15】
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【図16】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−94524(P2012−94524A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255620(P2011−255620)
【出願日】平成23年11月23日(2011.11.23)
【分割の表示】特願2005−502613(P2005−502613)の分割
【原出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】