説明

表示装置

【課題】十分な光量で指針が発光すると共に、指針の回転軸の径を小さく、且つ、薄く形成することでデザイン性を向上し、視差を低減することが可能な表示装置を提供すること。
【解決手段】光源と、一方の端部で前記光源が照射する光を受光し、他方の端部に形成された反射面で前記光源からの光を反射する略円柱状の第1の導光部材と、前記第1の導光部材が挿入される貫通孔を有し、一方の端部で前記光源が照射する光を受光し、他方の端部に形成された反射面で前記光源からの光を反射する略円錐状の第2の導光部材と、透光性の材料で形成され、前記第1及び第2の導光部材の前記反射面が形成された端部にそれぞれ固定支持される指針と、同一の回転軸を中心として前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とを前記指針と共に個別に回転駆動させる駆動部と、を有し、前記第1及び第2の導光部材が、前記光源からの光を受光して前記反射面で反射することで前記指針を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機、船舶等に装備される表示装置に関し、特に同一の回転軸で個別に回動する2つの指針が発光し、暗闇の中でも読み取ることが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶等の操縦席には、速度、時刻、高度、温度等を表示するための表示装置が配設されている。この様な表示装置は文字盤等を備え、その前面で表示指針が回動して文字盤上の数字等を示すことで速度、時刻等を表示するのが一般的である。
【0003】
また、夜間やトンネル等の暗闇の中でも速度、時刻等を明確に読み取ることができる様に、例えば特許文献1には、文字盤だけでなく指針を発光させる輝光型表示指針が開示されている。
【0004】
さらに、同軸で個別に回動する2つ以上の指針を有する表示装置(速度とエンジンの回転数とを表示する指針計器、短針と長針で時刻を表示するアナログ時計等)であって、暗中でも視認できる様に各指針を発光させる構成が知られている。
【0005】
この様な構成として、例えば特許文献2には、少なくとも2つの被照明指針を有する表示装置において、各被照明指針のために共通の光源を設け、光源からの光が光スプリッタを介して被照明指針に供給されることで、互いに上下に配置された2つの被照明指針への光の供給を行う表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−297036号公報
【特許文献2】特開2002−277290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に係る表示装置では、視認される様に十分な光量で被照明指針を発光させるためには、光スプリッタ及び被照明指針の軸部分の外径を大きくすると共に、被照明指針を回転軸方向に厚く形成する必要がある。
【0008】
したがって、被照明指針の軸径が大きく、指針自体が厚くなるため、デザイン性が低下してしまう場合がある。また、被照明指針が厚くなるため指針と表示パネルとの距離が離れ、表示装置を見る角度によって指針が示す位置に差異が生じる、いわゆる視差が大きくなる場合がある。
【0009】
そこで、本発明では、暗中でも読み取ることが可能な十分な光量で指針を発光させると共に、指針の軸径を小さく、且つ、指針を薄く形成することでデザイン性を向上し、視差を低減することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、光源と、一方の端部で前記光源が照射する光を受光し、他方の端部に形成された反射面で前記光源からの光を反射する略円柱状の第1の導光部材と、前記第1の導光部材が挿入される貫通孔を有し、一方の端部で前記光源が照射する光を受光し、他方の端部に形成された反射面で前記光源からの光を反射する略円錐状の第2の導光部材と、透光性の材料で形成され、前記第1及び第2の導光部材の前記反射面が形成された端部にそれぞれ固定支持される指針と、同一の回転軸を中心として前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とを前記指針と共に個別に回転駆動させる駆動部と、を有し、前記第1及び第2の導光部材が、前記光源からの光を受光して前記反射面で反射することで前記指針を発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、同一の回転軸で個別に回動する2つの指針を、それぞれ十分な光量で発光させると共に、各指針の軸径を小さく、且つ、指針を薄く形成することでデザイン性が向上し、視差を低減することが可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る表示装置の外観斜視図
【図2】実施形態に係る表示装置の分解斜視図
【図3】実施形態に係る表示装置の断面図
【図4】実施形態に係る第1の導光部材の斜視図
【図5】実施形態に係る第1の導光部材の(a)底面図、(b)側面図、(c)正面図、(d)側面図、(e)上面図
【図6】実施形態に係る第1の導光部材に嵌合するギヤの斜視図
【図7】実施形態に係る第1の導光部材がギヤに固定された状態の斜視図
【図8】実施形態に係る第1の導光部材がギヤに固定された状態の断面図
【図9】実施形態に係る第2の導光部材の斜視図
【図10】実施形態に係る第2の導光部材の(a)底面図、(b)背面図、(c)正面図、(d)側面図、(e)側断面図、(f)上面図
【図11】実施形態に係る遮光部材の斜視図
【図12】実施形態に係る第2の導光部材が遮光部材に固定保持された状態の第2の導光部材及び遮光部材の断面図
【図13】実施形態に係る短針の(a)斜視図、(b)断面図
【図14】実施形態に係る長針の(a)斜視図、(b)断面図
【図15】実施形態に係る第1の導光部材及び第2の導光部材の受光経路を説明する図
【図16】実施形態に係る第1の導光部材から長針及び第2の導光部材から短針への導光経路を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
<表示装置の構成>
図1から図3を用いて、本発明の実施形態の一態様である表示装置100の構成について説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る表示装置100の外観斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る表示装置100は、指針として短針4及び長針5を有し、本体ケース1,2の内部に収納されている駆動部によって短針4及び長針5が同軸で回転駆動する。なお、短針4及び長針5と本体ケース1との間には不図示の文字盤が設けられており、短針4及び長針5が回動して文字盤上の文字等を指し示す。
【0017】
本体ケース2の下部には基板3上に光源としてのLEDが設けられており、LEDの光が本体ケース1の円筒部101に収納されている導光部材により導かれて短針4及び長針5に達することで、短針4及び長針5が発光して夜間でも視認することが可能になっている。
【0018】
本体ケース1,2は、内部に駆動部であるムーブメント、LEDからの光を短針4及び長針5に導く導光部材等を備える。
【0019】
また、本体ケース1,2はツメ202,203が係合して固定された状態で、本体ケース1に設けられたツメ102が文字盤若しくは文字盤を有する操作パネル等に係合することで表示装置として用いられる。
【0020】
図2に、本実施形態に係る表示装置100の分解斜視図を示す。
【0021】
上側の本体ケース1は、内部に導光部材等を収納する円筒部101の上部に回動する短針4及び長針5が設けられ、側部には下側の本体ケース2のツメ202,203に係合する突部104,105を有している。
【0022】
下側の本体ケース2には、光源としてのLED12を備える基板3を支持する基板支持部201,207、LED12の光を通す導光孔206が形成されている。
【0023】
基板3には位置決め孔301,302が設けられており、下側の本体ケース2に設けられた位置決め部204,205と嵌合することで、LED12の位置ずれを最小限に抑えた状態で基板3が本体ケース2に固定されている。
【0024】
上側の本体ケース1の円筒部101の内部には、遮光部材8、第1の導光部材6、第2の導光部材7等が収納される。第1の導光部材6はギヤ9と嵌合し、下側の本体ケース2に設けられた駆動部であるムーブメント11の駆動力を受けて図中点線で示す回転軸を中心に矢印方向に回転する。
【0025】
また、第2の導光部材7は、遮光部材8に圧入されることで固定保持され、遮光部材8と一体形成されるギヤがムーブメント11のギヤ10と噛合うことで、第1の導光部材6と同一の回転軸を中心にして、第1の導光部材6とは独立して矢印方向に回転駆動する。
【0026】
短針4は第2の導光部材7の端部に遮光部材8を介して固定支持され、長針5は第1の導光部材6の端部に嵌合して固定支持されることで、同一回転軸を中心としてムーブメント11によってそれぞれ個別に図中矢印方向に回動する。
【0027】
また、第1の導光部材6及び第2の導光部材7は、LED12の直上に設けられており、それぞれ短針4及び長針5を固定支持する側とは反対側の端部でLED12が照射する光を受光する。
【0028】
この様な構成により、LED12が照射した光が第1の導光部材6及び第2の導光部材7を通り、透光性の材料で形成されている短針4及び長針5に達することで、短針4及び長針5を発光させることができる。
【0029】
図3に、本実施形態に係る表示装置100の断面図を示す。
【0030】
上記した様に、第1の導光部材6はギヤ9に嵌合してムーブメント11によって図中点線で示す回転軸を中心として回転駆動する。また、遮光部材8に固定支持される第2の導光部材7は、遮光部材8がムーブメント11によって回転駆動することによって、遮光部材8と共に第1の導光部材6とは別に回転駆動する。
【0031】
長針5は第1の導光部材6の端部に固定支持されて第1の導光部材6と共に回動し、短針4は第2の導光部材7の端部に遮光部材8を介して固定支持されることで、第2の導光部材7と共に回動する。
【0032】
第1の導光部材6及び第2の導光部材7の長針5又は短針4の反対側の回転軸の延長線上には、基板3上にLED12を配設している。第1の導光部材6及び第2の導光部材7は、LED12が照射する光を一方の端部で受光し、他方の端部に形成された反射面601,701で反射して長針5又は短針4に光を導くことで、長針5及び短針4を発光させる。
【0033】
第1の導光部材6は略円柱状であり、受光部605でLED12からの光を受光し、第2の導光部材7に挿入される挿入部602を透過した光を、長針5を固定支持する端部に形成された反射面601で反射することで長針5に光を導く。
【0034】
第2の導光部材7は、第1の導光部材6の受光部605を透過した光を受光面704で受光し、短針4を固定支持する側に回転軸からずれた位置に形成されている反射面701で反射することで短針4に光を導く。
【0035】
また、第2の導光部材7には第1の導光部材6の挿入部602が挿入される貫通孔が形成されている。第2の導光部材7は、回転軸に直交する受光面704を底面とし、反射面701を頂点とする略円錐状であり、貫通孔が回転軸に平行に底面である受光面704から回転軸方向に抜ける様に形成されている。
【0036】
<第1の導光部材>
図4に、本実施形態に係る第1の導光部材6の斜視図を示す。また、図5は本実施形態に係る第1の導光部材6であり、(a)は底面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は上面図である。
【0037】
第1の導光部材6は透明の樹脂等の透光性材料で形成され、LED12の光を受光する受光部605、後述するギヤ9に嵌合するリブ604、フランジ部603、第2の導光部材7に挿入される挿入部602、受光した光を長針5に反射する反射面601を有している。
【0038】
受光部605は、LED12が照射する放射状に拡散する光を回転軸方向に導光するために、受光面606が球状に形成されている。また、受光面606の表面には微細なシボ加工を施し、受光した光を乱反射させることでLED12の実装ずれによる光量の偏りを緩和すると共に、色を均一に混ぜた状態で導光することができる。
【0039】
リブ604は、受光部605が挿入されるギヤ9が有する溝部に嵌合することで、第1の導光部材6がギヤ9に固定されてムーブメント11からの動力を受けて回転駆動する。
【0040】
受光部605の反射面606の反対側には鍔状のフランジ部603は、ギヤ9に挿入される第1の導光部材6を掛止する。また、第2の導光部材7を固定保持する遮光部材8がフランジ部603上で摺動する。
【0041】
挿入部602は、第2の導光部材7に挿入され、受光部605が受光するLED12の光を反射面601に導く。
【0042】
第1の導光部材6の受光部605と反対側の端部には反射面601が形成され、長針5に圧入されることで長針5を固定支持する。反射面601は、挿入部602を透過した光を長針5に反射することで、長針5がLED12の光を受けて発光する。
【0043】
図6は、本実施形態に係る第1の導光部材6に嵌合するギヤ9の斜視図である。
【0044】
ギヤ9の中央に形成された挿入孔901には、第1の導光部材6の受光部605が挿入され、溝部902に第1の導光部材6のリブ604が嵌ると共にフランジ部603が挿入孔901で掛止することで、第1の導光部材6がギヤ9に固定される。
【0045】
図7に本実施形態に係る第1の導光部材6がギヤ9に固定された状態の斜視図を示し、図8には本実施形態に係る第1の導光部材6がギヤ9に固定された状態の断面図を示す。
【0046】
ギヤ9は側面に形成されている歯車903がムーブメント11のギヤと噛合うことで動力を受けて図中点線で示す回転軸を中心として矢印方向に回転し、第1の導光部材6がギヤ9と共に回転駆動する。
【0047】
<第2の導光部材>
図9に、本実施形態に係る第2の導光部材7の斜視図を示す。また、図10は本実施形態に係る第2の導光部材7であり、(a)は底面図、(b)は背面図、(c)は正面図、(d)は側面図、(e)は側断面図、(f)は上面図を示す。
【0048】
第2の導光部材7は透明の樹脂等の透光性材料で形成され、LED12の光を受光する受光面704、第1の導光部材6の挿入部602が挿入される貫通孔703、後述する遮光部材8に嵌合する平坦部702a,702b、光を短針4に反射する反射面701を有している。
【0049】
第2の導光部材7は、受光面704を底面、回転軸からずれた位置に形成される反射面701を頂点とする略円錐状であり、受光面704から回転軸方向に貫通する貫通孔703が形成されている。
【0050】
また、第2の導光部材7は、両端部に開口部を有する円筒状の部材を軸方向に対して一定の角度で切断した様な形状であり、受光面704から反射面701に至るまで第1の導光部材6の挿入部602の露出が徐々に大きくなる様な回転軸方向に長い開口部を有している。
【0051】
第1の導光部材6の挿入部602は、第2の導光部材7に挿入された状態で、第2の導光部材6の受光面704側は円筒状の第2の導光部材7に覆われるが、反射面701側ではその大部分が第2の導光部材7から露出した状態になる。
【0052】
この様な構成により、第2の導光部材7は受光面704で受光した光を効率的に反射面701に導光することができる。
【0053】
反射面701側の端部は、後述する遮光部材8に圧入され、反射面701の近傍に形成されている平坦部702a,702bが遮光部材8に挟持される形で第2の導光部材7が遮光部材8に固定保持される。
【0054】
図11に、本実施形態に係る遮光部材8の斜視図を示す。
【0055】
遮光部材8は光を透過しない材料で形成され、内部で第2の導光部材7を固定保持し、光が外部に漏れない様に第1の導光部材6及び第2の導光部材7を覆う様に設けられる。
【0056】
遮光部材8の一方の端部には、第1の導光部材6の端部が露出する開口部801と、第2の導光部材7の端部が露出する切り欠き部802が形成されている。また、平坦部803a,803bを有し、回転軸に直交する断面を小判状に形成することで、短針4を位相を合わせた状態で圧入して第2の導光部材7の端部と共に固定支持する。
【0057】
また、遮光部材8はギヤ805が一体に形成されており、ムーブメント11の動力を受けて内部に固定保持する第2の導光部材7及び端部で固定支持する短針4と共に回転駆動する。遮光部材8とギヤ805を一体形成することにより、部品点数を削減してコストを低減することができる。
【0058】
図12に、実施形態に係る第2の導光部材7が遮光部材8に固定保持された状態の第2の導光部材7及び遮光部材8の断面図を示す。
【0059】
第2の導光部材7は、遮光部材8に圧入されて固定保持された状態で、反射面701が形成された端部が遮光部材8の切り欠き部802から露出し、切り欠き部802を覆う様に圧入される短針4に光を導光する。
【0060】
また、遮光部材8の内部には第2の導光部材7の形状に沿う斜面807を設けることで、第2の導光部材7を遮光部材8の斜面807に挿入する際に、第2の導光部材7が斜面807に倣うことで回転方向の位置合わせが挿入と共になされる様に構成している。
<短針及び長針>
図13に、本実施形態に係る短針4の(a)斜視図、(b)断面図を示す。
【0061】
短針4は、例えば透明な樹脂等の透光性材料で形成され、針部403と短針軸402とを有している。短針軸402には、第2の導光部材7及び遮光部材8の端部に圧入して固定される様に、内部に圧入孔405が遮光部材8の端部と同様に回転軸に直交する断面が小判状に形成されている。
【0062】
圧入孔405は、針部403側の側面406に第2の導光部材7の端部が接触する様に、第2の導光部材7及び遮光部材8の端部に圧入される。
【0063】
短針4の上部には開口部401が設けられ、第2の導光部材7に挿入される第1の導光部材6の挿入部602が開口部401から露出する。
【0064】
針部403は下面403aと上面403bとが平行ではなく、第2の導光部材7の反射面701が反射した光を、下面403aから上面403bの方向にさらに反射させる様に構成している。また、下面403aには光を乱反射する様に微細なシボ加工を施すことが好ましい。
【0065】
短針4は、表面を一様に金属蒸着した後で、発光させる部分の金属をレーザーで除去することで、発光部404を形成している。金属が蒸着した部分は、発光部404以外からの漏光や、針部403内において光が反射時に減衰するのを防止している。
【0066】
この様な構成により、LED12の光が第2の導光部材7により短針4に導光され、下面403aで反射した光によって上面403bに形成された発光部404が発光する。
【0067】
図14に、本実施形態に係る長針5の(a)斜視図、(b)断面図を示す。
【0068】
長針5は、例えば透明な樹脂等の透光性材料で形成され、針部502と長針軸501とを有している。長針軸501には、開口部401から露出する第1の導光部材6の端部に圧入される様に圧入孔504が形成されている。圧入孔504の針部502側の側面505に、第1の導光部材6の端部が接触する様に位置決めされた状態で長針5が第1の導光部材6の端部に圧入されて固定支持される。
【0069】
長針5は、針部502の下面502aと上面502bとが平行ではなく、第1の導光部材6の反射面601が反射した光を、下面502aから上面502b方向にさらに反射させる様に構成している。また、下面502aには、光を乱反射する様に微細なシボ加工を施すことが好ましい。
【0070】
長針5には、短針4と同様に表面を一様に金属蒸着した後で、発光させる部分の金属をレーザーで除去することで発光部503を形成している。金属が蒸着した部分は、発光部404以外からの漏光や、針部403内において光が反射時に減衰するのを防止している。
【0071】
LED12の光が第1の導光部材6により長針5に導光され、下面502aで反射した光によって上面502bに形成された発光部503が発光する。
<導光構造について>
図15に、本実施形態に係る第1の導光部材6及び第2の導光部材7の受光経路を説明する図を示す。図中矢印はLED12が照射する光の経路を示している。
【0072】
LED12が発光すると、第1の導光部材6の受光部605に形成されている球状の受光面606が放射状に照射された光を受光する。
【0073】
受光面606を球状にして表面にシボ加工を施すことで、受光面606で光を拡散させながら回転軸方向に導光することが可能になり、受光部605内で光量を均一化することができる。
【0074】
また、LED12は樹脂で覆われているLED素子の中心部と周辺部で光の色が異なる場合があり、この様な場合にも受光面606で光を拡散させて色を混合し、受光部605内の光の色を均一化して導光することが可能になっている。
【0075】
回転軸に直交する断面において、第1の導光部材6の受光部605の径は挿入部602及び第2の導光部材7の貫通孔703の径よりも大きく、受光部605が受光した光は回転軸方向に導かれて、第1の導光部材6の挿入部602と、第2の導光部材7端部の受光面704へと分配される。
【0076】
本実施形態では、回転軸に直交する断面における第1の導光部材6の挿入部602の径を1.8mm、第2の導光部材7の受光面704の径を4mmとし、これらの径の比を概略1:2に構成することで短針4及び長針5を同等の光量で発光させることが出来ている。これらの径の比を変更することで、短針4及び長針5への光量バランスを適宜変更することが可能である。
【0077】
ここで、第2の導光部材7を遮光部材8が固定保持することで、第2の導光部材7が第1の導光部材6に接触せず、遮光部材8の端部が第1の導光部材6のフランジ部603に接触して摺動する様に構成している。この様な構成により、個別に回転駆動する第1の導光部材6と第2の導光部材7とが接触しないため、導光部材が削れることによる微粉や、磨耗の発生を防止することができる。
【0078】
微粉や磨耗が生じると短針4及び長針5の発光バランスが悪化すると共に光量が低下してしまうが、第1の導光部材6と第2の導光部材7とが接触しない構成により微粉や磨耗の発生を防止し、長期に渡って発光バランス及び光量を維持することが可能になっている。
【0079】
図16に、実施形態に係る第1の導光部材6から長針5及び第2の導光部材7から短針4への導光経路を説明する図を示す。図中矢印はLED12が照射した光の経路を示している。
【0080】
第1の導光部材6に導かれた光は反射面601で長針5に反射し、長針5の下面502aでさらに拡散して反射することで、長針5の上面502bに形成された発光部503から発光する。
【0081】
また、第2の導光部材7に導かれた光は反射面701で短針4に反射し、短針4の下面403aでさらに拡散して反射することで、短針4の上面403bに形成された発光部404から発光する。
【0082】
本実施形態では、短針4の下面403a及び長針5の下面502aにシボ加工を施すことで光を拡散して反射し、それぞれの発光部404,503における発光ムラを軽減している。
【0083】
また、第1の導光部材6及び第2の導光部材7がそれぞれ導光して端部に設けられた反射面601,701で反射する構成にすることで、短針4の短針軸402及び長針5の長針軸501の径を小さくすると共に、回転軸方向の厚さを薄くすることが可能になっている。
【0084】
したがって、本実施形態によれば、指針軸の外径を小さく、且つ、短針4及び長針5を薄くできるためデザイン性が向上し、短針4及び長針5と文字盤との距離が近くなることで視差の発生を低減することが可能である。
【0085】
<まとめ>
以上で説明した様に、本発明の実施形態によれば、同一の回転軸で個別に回動する2つの指針を、それぞれ十分な光量で発光させると共に、各指針の軸径を小さく、且つ、指針自体を薄く形成することでデザイン性を向上し、視差を低減することが可能な表示装置を提供することができる。
【0086】
なお、本発明の実施形態として、例えば2つの指針で車両の速度とエンジンの回転数とをそれぞれ表示する指針計器、時針及び分針を備えるアナログ時計等、同軸で回動して発光する2つの指針を有する表示装置に適用することが可能である。
【0087】
また、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0088】
4 短針(指針)
5 長針(指針)
6 第1の導光部材
7 第2の導光部材
8 遮光部材
10 ムーブメント(駆動部)
12 LED(光源)
100 表示装置
601 反射面
602 挿入部
605 受光部
701 反射面
703 貫通孔
802 斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
一方の端部で前記光源が照射する光を受光し、他方の端部に形成された反射面で前記光源からの光を反射する略円柱状の第1の導光部材と、
前記第1の導光部材が挿入される貫通孔を有し、一方の端部で前記光源が照射する光を受光し、他方の端部に形成された反射面で前記光源からの光を反射する略円錐状の第2の導光部材と、
透光性の材料で形成され、前記第1及び第2の導光部材の前記反射面が形成された端部にそれぞれ固定支持される指針と、
同一の回転軸を中心として前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とを前記指針と共に個別に回転駆動させる駆動部と、を有し、
前記第1及び第2の導光部材が、前記光源からの光を受光して前記反射面で反射することで前記指針を発光させることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の導光部材は、前記回転軸に直交する断面において、前記光源からの光を受光する受光部の径が、前記第2の導光部材に挿入される挿入部の径及び前記第2の導光部材の前記貫通孔の径よりも大きく、
前記第1の導光部材が前記受光部で受光した光が、前記第1の導光部材の前記挿入部と、前記第2の導光部材の端部へと分配される
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の導光部材は、前記受光部の前記光源からの光を受光する面が球状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の導光部材は、前記反射面を頂点として底面が前記回転軸に直交する略円錐状であり、前記反射面は前記回転軸からずれた位置に形成され、前記第2の導光部材の前記底面から前記回転軸方向に貫通孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の導光部材を内部に固定保持し、前記光源からの光が外部に漏れるのを防止する遮光部材を有し、
前記遮光部材が前記駆動部からの駆動力を受けて、前記遮光部材に固定保持される前記第2の導光部材が回転駆動する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記遮光部材は、前記第2の導光部材を前記第1の導光部材に接触しない様に内部に固定保持することで、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とが接触せずにそれぞれ個別に回転駆動する
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2の導光部材は、前記遮光部材に圧入されることにより固定保持され、
前記遮光部材の内面には、前記第2の導光部材の形状に沿う斜面が形成されている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−88285(P2013−88285A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228986(P2011−228986)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000107295)ジェコー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】