説明

表面に色を塗布するための物品及び方法

装飾用ドライカラー積層体は、ドライカラー層と、該ドライカラー層の一側面上に感圧性接着剤層と、該感圧性接着剤(PSA)と反対の側面に該ドライカラー層と剥離可能に接触している支持材料とを含む。使用する際、該接着剤層は、加圧を受けて該ドライカラー積層体を表面に接着し、該支持材料は、該ドライカラー層を暴露するために剥がされる。建築表面上に実質的に永久的な色彩効果を提供するための方法は、該物品を建築表面に供給することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(共同研究契約)
本願に主張される内容は、プロクター&ギャンブル社(Procter & Gamble Company)とエイベリー・デニソン社(Avery Dennison Corporation)との間の共同研究契約に準じ、その範囲内における活動の結果として作成された。
本発明は、表面、例えば建築表面上に色を塗布するための物品を目的とする。該物品を作製する方法及び表面上に色を塗布する方法もまた記載される。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、審美的効果又はその他の目的のために、表面、例えば内壁又は外壁等の建築表面等に1つ以上の色を塗布することが望ましい。典型的に、色は、水性又は油性の液状塗料による従来の塗装、壁紙等の貼り付けによって提供される。液状塗装又は壁紙を貼ることで表面上に色を塗布することによって得られる効果の割には、これらの手順において必要とされる労力は、手軽ではなく、時間がかかる。
【0003】
別の方法で表面を装飾する数々の試みが行われてきた。このような試みには、以下の特許公報、リード(Reed)の米国特許第4,054,697号、アイセレ(Eissele)の米国特許第5,322,708号、ブラウン(Brown)らの米国特許第5,413,829号、デプロスペロ(DeProspero)らの米国特許第6,703,089号、スミス(Smith)の欧州特許第0569921号、及び国際特許出願公開第WO94/03337号に記載されるものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,054,697号
【特許文献2】米国特許第5,322,708号
【特許文献3】米国特許第5,413,829号
【特許文献4】米国特許第6,703,089号
【特許文献5】欧州特許第0569921号
【特許文献6】国際特許出願公開第WO94/03337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表面上に色を塗布するための改善された物品、そのような物品の作製方法、及び表面上に色を塗布する方法の探求は続いている。特に、そのような物品が実質上継ぎ目を有さず、塗料様の外観を有することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面、例えば建築表面上に色を塗布するための物品を目的とする。該物品を作製する方法及び表面上に色を塗布する方法もまた記載される。本発明の多数の非限定的な実施形態が存在する。
【0007】
一態様において、本発明は、表面上に色を塗布するための物品を目的とする。非限定的な一実施形態において、本発明は、基材表面に色の層を提供するための多層の積層体を目的とする。積層体は、ドライカラー層及び該積層体を基材表面に接着するための感圧性接着剤層を含む。一変形において、該カラー層は、装飾用乾性塗料層である。本変形において、該積層体は、該ドライカラー層と該接着剤層との間に可撓性構造層を含む。構造層は、ドライカラー層に構造的支持体を提供する。また、構造層は、所望により他の目的に適合してもよく、例えば構造体は、また、ドライカラー層に付加的不透明度を提供する役割を果たしてもよい。また、構造層は、所望により、カラー層の変色の原因となり得る、塗装された基材の色素又は染料(特にアゾ型色素又は染料)が積層体のカラー層に移染することを低減する又はなくすための変色防止障壁層としての役割を果たしてもよい。また、構造層は、所望により、積層体を作製するプロセスにおいて、その上に他の層が形成されてもよい、形成ウェブとしての役割を果たしてもよい。更に積層体は、任意に感圧性接着剤(PSA)と反対側の上のドライカラー層と剥離可能に接触している支持材料を含む。使用する際、接着剤層は、加圧を受けて積層体を基材表面に接着し、支持材料は、ドライカラー層を露出するために剥がされる。
【0008】
多層の積層体は、幾つかの異なる方法で製造することができる。非限定的な一実施形態において、積層体は、その上に積層体の他の層が形成されてもよい形成ウェブとして構造層を最初に使用することによって作製される。構造層は、例えば、以下、1つ以上の任意の不透明化層、1つ以上のカラー層、1つ以上の任意のパターン又は印刷コート、及び1つ以上のトップコートの順でその上に形成される層を有することができる。支持材料は、(積層体がロール形状である場合に感圧性接着剤層を固定するために)接着剤剥離コートを一側面に、及び剥離表面をトップコートと面する表面上に有して、別個に形成されてもよい。支持材料は、次いでトップコートに剥離可能に接合されてもよい。また、感圧性接着剤層は、別個に形成され、次いで構造層に接合されてもよい。
【0009】
別の態様において、本発明は、建築表面上に実質的に永久的な色彩効果を提供するための方法を目的とする。一実施形態において、方法は、上述の実施形態の1つに係る物品を建築表面に供給することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の発明を実施するための形態は、図面を鑑みることにより更に十分に理解されよう。
【図1】本発明に係る表面上に色を塗布するための物品の一実施形態の層を示す概略図。
【図1A】表面に色を塗布するための物品であって、二重層接着剤を含む物品の別の実施形態の概略図。
【図1B】表面に色を塗布するための物品であって、構造層のそれぞれの側面の上に不透明化層を含む物品の、更に別の実施形態の概略図。
【図2】該物品で使用するドライカラーコンポーネントを生成するための1つのプロセスの概略図。
【図3】図1に示される物品のコンポーネントが組み立てられる方法の一実施形態の概略図。
【図4】「バブルテスト」で使用される装置の斜視図。
【図5】下塗りされた米国のドライウォール材の一部分の表面質感の一例を示す、拡大斜視図。
【図6】表面に色を塗布するための物品であって、下に位置するドライウォール材の表面との整合性の度合いを達成する物品の一実施例を示す、更に拡大した概略断面図。
【図7】表面に色を塗布するための物品であって、下に位置するドライウォール材の表面との比較的低い整合性を達成する物品の一実施例を示す、拡大概略断面図。
【0011】
図面に示される実施形態は、本質上例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明を限定することを意図するものではない。更に、図面及び本発明の個々の特徴は、「発明を実施するための形態」を鑑みると、より十分に明らかとなりかつ理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、表面、例えば建築表面上に色を塗布するための物品を目的とする。また、該物品を作製する方法及び表面上に色を塗布する方法も記載される。
【0013】
ドライカラー積層体
図1は、基材表面20に塗布された本発明に係る物品の非限定的な一実施形態を示す。物品は、多層のシート又はフィルムの形状であってもよい、多層のドライカラー積層体10を含む。積層体の1つの層のみに色付けする必要があることが理解されるべきである。積層体のすべての層に色付けする必要はない。ドライカラー積層体は、磨耗耐性、耐溶剤性、及び従来の壁塗料と同様の不透明度の特質を提供してもよい。ドライカラー積層体は、建物の内壁及び外壁、建物の付属品又は装具、並びに家具等の建築表面に塗布されるように適合される。ドライカラー積層体が壁に塗布される場合、本明細書において「壁フィルム」と称されてもよい。ドライカラー積層体は、塗布中に再配置可能であり、その後、表面に実質的に永久に接着可能であってもよい。
【0014】
図1に示されるように、多層のドライカラー積層体10は、ドライカラーコンポーネント12を含む。ドライカラーコンポーネント12は、ドライカラー積層体10が塗布される表面20の方を向く第1の表面(又は「内側表面」)12A、及びドライカラー積層体が塗布される表面20から見て外方を向く第2の表面(又は「外側表面」)12Bを有する。ドライカラーコンポーネントの第1の表面12A上にある又はそれに接合した接着剤14、及びドライカラーコンポーネント12の第2の表面12B上にある又はそれに接合した、支持構造体16が存在する。本実施形態では、支持構造体16は、ドライカラー積層体が表面20に塗布された時点で引き剥がされる。その他の実施形態では、支持構造体16は、任意であり、省かれてもよい。支持構造体16を引き剥がした後に基材表面20に残留するドライカラー積層体10の一部分は、ドライカラー/接着剤コンポーネント(本明細書において「表面被覆コンポーネント」と称されてもよい)を含み、参照番号17で示される。
【0015】
本明細書で使用される場合、「接合した」という用語は、要素を直接他の要素に取り付けることによって要素が別の要素に直接固定されている構成、要素を中間部材(単数又は複数)に固定し、次いでそれを他の要素に固定することによって要素が間接的に他の要素に固定されている構成、及び1つの要素が別の要素と一体化している構成、すなわち、1つの要素が本質的に他の要素の一部分である構成を包含する。「接合した」という用語は、要素の1つの表面全体にわたり要素が完全に別の要素に固定されている構成に加え、要素が別の要素の選択された位置に固定されている構成を包含する。
【0016】
示される実施形態において、ドライカラーコンポーネント12は、幾つかのサブコンポーネントを含む。これらには、外側表面12Bから内側表面12Aまで、1つ以上のトップコート18、1つ以上のパターン又は印刷コート22、1つ以上の層の形状のカラーコート24、1つ以上の不透明化コート又は層26、及び構造層28が含まれる。これらのそれぞれは、ドライカラー積層体が塗布される表面20から見て外方に向く第1の表面(又は「外側表面」)、及びドライカラー積層体が塗布される表面20の方に向く第2の表面(又は「内側表面」)を有する。トップコートが色付けされている必要はないが、トップコート18、パターン又は印刷コート22、カラーコート24、及び不透明化コート又は層26は、本明細書において、まとめて「ドライカラー要素」(又は「ドライカラー層」若しくは「装飾用コンポーネント)19と称されてもよい。また、支持構造体16は、幾つかのサブコンポーネント又は要素を含んでもよい。これらは、次の、支持材料シート36、第1の剥離表面である剥離表面又は層38、接着剤層40、及び第2の剥離表面である接着剤剥離コート層42の1つ以上を含んでもよい。
【0017】
図1の概略図は、装飾用ドライカラー積層体のコンポーネントの相対厚さを示すが、図示される厚さは、図1の実施形態又はいかなる残りの図の実施形態におけるそれぞれのコンポーネントの実際の厚さも制限するものではないことが理解されるべきである。更に、コンポーネント間の接触面は、はっきりと明確な線で示されるが、コンポーネント間の実際の接触面は、その他の異なる又はそれほど明確ではない形状であってもよい。
【0018】
トップコート
トップコート18は、磨耗耐性、耐水性若しくは耐溶剤性、紫外線保護、及び従来の塗料の強靭性の1つ以上の防御性を有するドライカラーコンポーネント12を提供してもよく、及び/又は着色ドライカラー層若しくはその下に位置する層上への上塗り可能な特性を提供してもよい。一実施形態において、トップコートは、透明又は実質的に透明なクリアコート層である。また、トップコートは、所望のレベルの表面光沢、又は真珠光沢等の視覚効果を有するドライカラーコンポーネントを提供することができる。トップコートは、基材表面20に塗布中又は塗布後にトップコートから剥離されるように適合されている支持構造体16に接着する。
【0019】
トップコート18は、層又はコーティングの形状を含む、いずれかの適した形状であってよい。トップコートは、単一層若しくはコート、又は複数の層若しくはコートを含んでもよい。トップコートが1つを超える層又はコートを含む場合、異なる層は、同一材料又は異なる材料で構成されてもよい。(同じことが多層の積層体の他の層についてもいえる。)トップコートは、印刷、押出されてもよく、又は本明細書に記載される様々な溶媒から配合され、成形又はコーティング技術によって塗布されてもよい。非限定的な一実施形態において、トップコートは、グラビア印刷される。トップコートの厚さは、一般的に約0.01〜約0.4ミル(約0.25〜約10μm)、約0.01〜0.3ミル(約0.25〜約8μm)、又は約0.02〜0.12ミル(約0.5〜3μm)の範囲であってよい。本明細書に記載されるこれらの厚さ及びその他のすべての厚さは、ドライフィルム厚さを指す。
【0020】
トップコート18は、本明細書に記載される、カラー層に使用するいずれかのポリマー結合剤又は樹脂材料を含んでもよい。一実施形態において、トップコートは、ポリ(エチルメタクリレート)等のアクリル樹脂材料を含む。1つの適した樹脂は、ルーサイト・インターナショナル社(Lucite International Company)のエルバサイト(ELVACITE)(登録商標)2042樹脂である。ドライカラー積層体10は、トップコート18(すなわち、「充填」トップコート)に含まれる粒子(例えば、突出粒子)、後処理、又は質感付け(エンボス加工)を用いることにより、所望の光沢特徴を提供してもよい。一実施形態において、ドライカラー積層体は、つや消し仕上げであってもよく、トップコートは、ドライカラー積層体のつや消し仕上げの光沢を下げるために、分散した充填剤又はシリカなどの平坦化剤を含むことができる。また、トップコートの特徴は、異なる光沢、質感、又は色を付与するために、表面全体の特定の領域に印刷、後処理、又は質感付け(エンボス加工)することによって変えることができる。これらの領域は、審美的目的及び/又は機能目的のために規定されたパターンを更に含んでもよい。パターンは、例えば、積層体のシートが互いに並んで、及び好ましくは重ねて基材上に定置される場合に、継ぎ目を隠すために使用されてもよい。本目的に適したパターンは、米国特許出願公報第US2004/0076788 A1号に記載される。
【0021】
質感付け(エンボス加工)を用いて所望の光沢特徴を有するドライカラー積層体10を提供することによって、光沢特徴をより制御できるという利点をもたらすことができる。例えば、光沢は、トップコートを再配合する、又はトップコートに添加物を提供するいずれかの代わりに、エンボス加工シリンダーのパターンを変えることによって変更されてもよい。これは、トップコートの組成物を同一に保てるようにする。エンボス加工パターンを変更し、異なる充填トップコート間での変更に必要な洗浄及び切り替えを回避することによって光沢の変更を容易に達成できることから、生産効率を向上し得る。ドライカラー積層体は、質感付けなどの技術を使用して、2つ以上の異なる光沢を有する領域を提供してもよい。
【0022】
質感付け(エンボス加工)を用いて所望の光沢特徴を有するドライカラー積層体10を提供することによって、上述の印刷された平坦化剤の場合のような突出型表面特長(正の歪み)よりはむしろ、くぼんだ/クレーター状の表面(負の歪み)を有する表面トポロジーをもたらすことができる。入射光線は、添加された平坦化剤から得られる特長からというよりはむしろ、トップコートに形成された微細な表面特長から散乱される。エンボス加工されたパターンは、熱可塑性材料で構成されるトップコート表面に、該表面がエンボス加工シリンダー又はベルト等のパターン付きマスター表面に整合する時間、圧力、及び温度の組み合わせによって転写されてもよい。UV又は電子ビーム感受性トップコート等の硬化ポリマー系によって製造されたトップコートでは、エンボス加工作業は、硬化作業中に未硬化トップコート表面を所望のエンボス加工表面と接触させることによって行うことができる。あるいは、光沢は、構造体全体に積層体の永久の変形をもたらすのに十分な時間、温度、及び圧力(エンボス加工)を与えることによるドライカラー積層体の質感付けによって変えることができる。
【0023】
このようなパターン付きトップコート表面は、負の印象材が完成品に所望の表面を提供するように設計される。一実施形態において、金属プレート状の送風媒体による単純なパターンは、様々な光沢度のエンボス加工製品の表面を形成することができる。エンボス加工プレートによる表面特長の転写度は、エンボス加工条件によって制御される。一実施形態において、85°の光線の正反射率によって測定される完成品の光沢度は、この場合も同様にエンボス加工プレート上の表面特長の寸法及びエンボス加工プロセスの条件を変えることによって13光沢単位(つや消し)値から30光沢単位(つや有り)値までで操作することができる。
【0024】
表面特徴は、視覚的効果を提供し、結果として生じる表面の感触的性質を変えるために、製品にエンボス加工されてもよい。表面内の微細なパターンが入射光を回析するように作用する際、ホログラフィック効果又はプリズム効果が生成される。これらの効果は、上述のように継ぎ目を隠す等の審美的目的及び/又は機能目的のための巨視的パターンと組み合わせられてもよい。材料の摩擦係数に加えて、表面粗度は、製品表面の感触感を変更するために変えることができる。
【0025】
印刷コート
1つ以上のパターン又は印刷コート(若しくは「グレイン」)22は、トップコートを通して見ることができる模様の付いたドライカラーコンポーネント12を提供するために使用されてもよい装飾用コンポーネントを含む。パターン22は、審美的目的及び/又は機能目的に使用することができる。パターンは、例えば、積層体のシートが互いに並んで、及び好ましくは重ねて基材上に定置される場合に、継ぎ目を隠すために使用されてもよい。本目的に適したパターンは、米国特許出願公報第US2004/0076788 A1号に記載される。更に、印刷コートパターンは、ドライカラー積層体全体の不透明度を高めるために使用されてもよい。
【0026】
パターン又は印刷コート22は、1つ以上のポリマー結合剤又は樹脂及び結合剤又は樹脂に分散した1つ以上の色素を含んでもよい。パターン22を形成するために使用されるインク又は染料は、不透明であっても半透明であってもよい。パターン22は、層又は印刷された配列若しくは要素の形状を含むが、それらに限定されない、いずれかの適した構造体内に提供されてもよい。パターン22は、色のある領域、及び色のない領域を含むことができる。色のない領域は、透明、クリア、又はパターンがないように見え、カラーコート24の部分がパターン22を通して見える。色のない領域は、全体で色がある領域より大きくてもよい。その他の実施形態において、逆の関係であってもよい。
【0027】
1、2、3、4、5等を含むいずれかの適した数のパターン又は印刷コート22が存在してもよい。非限定的な一実施形態において、パターン22は、2つ以上の印刷された配列を含み、そのうちの1つは、もう一方の上に印刷される。該ドライカラーコンポーネントの一変形において、2つのパターンは、それぞれに印刷された配列の形状であり、1つの印刷された配列は、青色又は灰色のインクで印刷され、もう一方は、茶色又は黄褐色のインクで印刷される。一実施形態において、パターン22は、約1μm以下の厚さ、場合によっては約0.5μm以下等、非常に薄くてもよい。
【0028】
カラー層
カラー層24は、ドライカラー積層体に色を提供するいずれかの適した要素又は構造体を含むことができる。カラー層は、例えば、インク、塗料、有色フィルム、金属化フィルム、不透明フィルム、着色接着剤、ラッカー、固体色素、プランシェット(懸濁した布地又はセルロース繊維)、又はドライカラー積層体に色を提供するいずれかの他の構造体若しくは要素を含んでもよい。しかしながら、その他の実施形態において、カラー層及び/又はドライカラー積層体は、実質的に布地又はセルロースを含んでいなくてもよい。
【0029】
非限定的な一実施形態において、カラー層は、塗料、及びより具体的には1つ以上の乾性塗料の層を含む。該実施形態において、また、カラー層は、したがって、本明細書において「ドライ塗料層」と称されてもよい。また、ドライカラー層は、ドライカラー積層体の少なくとも部分に少なくともある程度の不透明度を提供してもよい。ドライカラー層24は、ドライカラー層の形成が完了した後、実質的にいかなる液体も含まない支持材料であるべきである。ドライカラー層は、層又はコーティングの形状を含む、いずれかの適した形状であってよい。ドライカラー層は、単一層若しくはコート、又は複数の層若しくはコートを含んでもよい。
【0030】
非限定的な一実施形態において、ドライカラー層24は、可撓性不透明ドライカラーフィルムを形成するために、固体の色剤、すなわち、液状媒質に懸濁され、直接又は間接的に構造層28等の支持体材料に塗布され、続いて乾燥される、1つ以上の色素を含む塗料組成物を含む。
【0031】
ドライカラー層24は、1つ以上のポリマー結合剤又は樹脂、及び結合剤又は樹脂に分散した1つ以上の色素を含んでもよい。これらの層は、溶媒鋳造液体塗料組成物から作製されてもよい。これらの組成物は、水、又は1つ以上の有機溶媒中に分散されてもよく、所望により加工特性を制御するために1つ以上の追加の添加剤を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ドライカラー層は、本質的に繊維性ではない。カラー層は、反転ロールコーティングを含むロールコーティング、反転グラビアを含むグラビア印刷、フレキソ、オフセットリソグラフィ、凸版印刷、シルクスクリーン、又はフレキソ/スクリーン、凸版印刷/オフセットリソグラフィ等の組み合わせ、スロットダイ、及びカーテンコーティング等のコーティング技術によって形成されてもよい。その他の実施形態において、ドライカラー層、及び/又はトップコート層は、それぞれ独立して、共押出及び押出被覆によって形成されたものを含む1つ以上の押出層を含んでもよい。
【0032】
壁塗料配合に従来的に使用されるいずれかの結合剤又は樹脂がドライカラー層(単数又は複数)に使用されてもよい。結合剤は、例えば、熱可塑性又は熱硬化性樹脂を含んでもよい。一般的に、有用な結合剤又は樹脂の例には、合成ラテックス樹脂、アクリル、ビニル、ポリエステル、アルキド、ブタジエン、スチレン、ウレタン、セルロース、及びエポキシ樹脂、並びにこれらの混合物が挙げられる。例えば、結合剤又は樹脂は、1つ以上のポリスチレン類、ポリエチレン類及びポリプロピレン類を含むポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、脂肪族及び芳香族のポリウレタン類を含むポリウレタン類、ポリアクリレート類、ポリビニルアセテート類、イオノマー樹脂、セルロースポリマー類、並びにこれらの混合物を含んでもよい。しかしながら、特定の実施形態において、ドライカラー層、又は更には多層の積層体10全体が実質的にポリ塩化ビニルを含まないことが望ましい場合がある。
【0033】
色素は、装飾用コーティングの作製に使用されるいずれかの色素であってもよい。これらは、二酸化チタン及び酸化亜鉛等の不透明化色素、並びに当該技術分野において既知の染色色素を含む。コーティング及び塗料の配合に典型的に使用される従来の量の粘土、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、カオリン粘土、及び雲母等の充填剤色素も同様に添加してもよい。
【0034】
溶媒は、1つ以上の有機系溶媒、若しくは水であってもよく、又は結合剤若しくは樹脂で水性乳化重合を形成するために、水性溶液が使用されてもよい。水性溶液は、水とアルコールの混合物を含む。その他の実施形態において、ドライカラー層(単数又は複数)は、加工を容易にするために、無溶媒コーティング(例えば、UV硬化性コーティング)から作製することができる。
【0035】
使用することができる追加成分には、湿潤剤、可塑剤、懸濁補助剤、凝集剤、界面活性剤、増粘剤、シリカ等の揺変剤、ポリシロキサン化合物等の撥水添加剤、難燃添加剤、殺生物剤、殺菌剤、消泡剤、及び流動化剤が挙げられる。しかしながら、特定の実施形態において、ドライカラー層、又は更には多層の積層体全体が実質的に可塑剤を含まないことが望ましい場合がある。
【0036】
一例として、ドライカラー層を形成するために使用される液体塗料又はコーティング組成物の特定の実施形態の色素濃度は、グラビア印刷によって塗布される場合、約0.4重量%〜約38重量%、又はあるいは約13重量%〜約27重量%であってよい。結合剤又は樹脂の濃度は、約12重量%〜約40重量%、又は約22重量%〜約37重量%であってよい。水又は有機溶媒の濃度は、グラビアでは約30重量%〜約85重量%、又は約40重量%〜約60重量%であってよい。湿潤剤、懸濁剤等の追加成分は、最大約5重量%の濃度を有してよい。ドライカラー層の作製に使用されるコーティング又は塗料組成物は、約9%〜約16%の色素体積濃度(不揮発性コンポーネントの全体積で除算した色素体積)を有してよい。
【0037】
カラー層(単数又は複数)は、以下、約0.05〜約0.5ミル(約1.2〜約13μm)、約0.05〜約0.3ミル(約1.2〜8μm)(又は約0.3ミル未満)、約0.06〜約0.2ミル(約1.5〜5μm)、及び約0.08ミル〜約0.16ミル(約2〜4μm)を含むがこれらに限定されない、いずれかの適した範囲の一体厚さを有してもよい。
【0038】
不透明層
ドライカラー積層体は、ドライカラー層(単数又は複数)の下に位置する1つ以上の不透明化層又は不透明層26を有してよい。不透明層は、層又はコーティングの形状を含む、いずれかの適した形状であってよい。不透明層は、1つ以上のポリマー結合剤又は樹脂及び結合剤又は樹脂に分散した1つ以上の色素を含んでもよい。不透明層は、例えば、TiO2、金属化フィルム、充填フィルム、又はドライカラー積層体に付加的な不透明度を提供するその他の構造体を含む白色インク層を含んでもよい。金属化フィルム不透明層は、例えば、蒸発金属を構造層上に蒸着することによって形成されてもよい。
【0039】
不透明層は、構造層28の片側又は両側を含む、いずれかの適した位置にあってよい。非限定的な一実施形態において、不透明層は、構造層のトップコートに最も近い側面上にある1つ以上の白色インク層を含む。別の実施形態において、不透明層は、構造層のそれぞれの側面上に1つ以上の白色インク層を含む。図1Bは、構造層の両面上に不透明層が印刷された構造層を有するドライカラー積層体の一実施例を示す。不透明層は、上に位置するカラー層との間の色差を最小化して継ぎ目が現れることを最小限にするために、カラー層の値又は色相と同様に染色又は色付けされてもよい。これは、多層の積層体上の端部の視認性を最小化するであろう。
【0040】
不透明層(単数又は複数)は、以下、約0.05〜約0.5ミル(約1.2〜13μm)、約0.05〜約0.3ミル(約1.2〜8μm)(又は約0.3ミル未満)、及び約0.06ミル〜約0.3ミル(約1.5〜約8μm)を含むがこれらに限定されない、いずれかの適した範囲の一体厚さを有してもよい。金属化フィルム不透明化層の場合、不透明化層は、より薄い、例えば、100〜300オングストローム(10〜30ナノメートル又は0.01〜0.03μm)と薄くてもよい。
【0041】
構造層
構造層(又は「支持層」若しくは「強化層」)28は、ドライカラー層(単数又は複数)に構造的支持体を提供する。また、構造層は、所望により、ドライカラー層に更なる不透明度を提供するため及び/又は変色防止障壁層としての役割を果たすため等、その他の目的に適合してもよい。後者の場合、構造層は、塗装された基材の色素又は染料(特にアゾ型色素又は染料)が積層体のカラー層に移染することを低減する又はなくすための障壁としての役割を果たしてもよいが、それはカラー層の変色の原因となり得る。また、構造層は、積層体を作製するプロセス中に、その上に他の積層体層が形成されてもよい、形成ウェブとしての役割を果たしてもよい。構造層は、ドライカラー層又は複数のドライカラー層を上回る引っ張り強度を有してもよい。
【0042】
構造層は、それに関して上記に明記される機能の1つ以上を、構造層が果たすことができる、いずれかの適した材料を含むことができる。構造層に適した材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン(LDPE及びHDPEを含む)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド類(例えば、ナイロン)、ポリスチレン、ポリウレタン、及びエチレン・ビニルアルコール(EVOH)から作製されたフィルム、並びに金属化フィルムが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、構造層は、予め形成された独立型高分子フィルム(すなわち、積層体を作製するプロセス中にその場に形成されない、例えば、コーティングとして形成されないフィルム)を含んでもよい。より詳しくは、構造層は、予め形成された軸配向半結晶性高分子フィルムであってよい。構造層が変色障壁効果を提供することが望ましい特定の実施形態において、構造層は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリアミド類からなる群から選択されるフィルムを含んでもよい。
【0043】
場合によっては、構造層は、完成積層体の不透明度を高めるために、上述の色素の1つ以上を含んでもよい。色素が使用される場合、構造層内の色素の濃度は、最高約40重量%、及び最高約6〜約10重量%を含む、いずれかの適した範囲であってよい。構造層は、別の方法として、又は更に、上述のように、その表面の片側又は両側に印刷された1つ以上の不透明層を含んでもよい。更に、構造層が構造体に不透明度を提供するためにも使用される場合、これは、ドライカラー層(単数又は複数)内の色素の量を減少できるようにする。
【0044】
ドライカラー層、外側トップコート層、又は構造層は、外観特性(クリア、不透明、又は有色フィルム)、耐久性、及び加工特徴等の所望の特性を提供するために、独立して無機充填剤又はその他の有機若しくは無機添加剤を含んでもよい。有用な材料の例には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、金属粒子、繊維、難燃剤、酸化防止剤化合物、熱安定剤、光安定剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、及び酸受容体が挙げられる。
【0045】
ドライカラー層、不透明層、外側トップコート層、又は構造層の1つ以上は、その隣接層への接着を強化するために、少量の接着剤樹脂を含んでもよい。また、若しくは別の方法として、接着剤樹脂の結合コート層は、本明細書に記載されるいずれかの層間に使用されてもよい。結合コートの接着剤樹脂は、アクリル樹脂接着剤であってもよく、又は、デュポン(DuPont)から商標名エルヴァックス(ELVAX)(商標)で入手可能なもの等のエチレン/ビニルアセテートコポリマー接着剤であってもよい。デュポン(DuPont)から商標名バイネル(BYNEL)(商標)で入手可能な接着剤樹脂を使用してもよい。
【0046】
特定の実施形態において、構造層28は可撓性であり、少なくとも最低限の伸張性を呈するが、積層体を基材表面に塗布中、その上に作用する力の下、室温で実質的に非弾性(実質的に非エラストマー)であることが望ましい場合がある。その他の実施形態において、構造層28は、実質的に非延伸性又は非伸張性であってもよい。装飾用ドライカラー積層体は、構造層が実質的に非延伸性である場合にも基材表面の微小なきめと密接に整合できるように、その他の特性を提供してもよい。幾つかの実施形態において、多層の積層体の他のコンポーネント(ドライカラー層、不透明層(単数、又は複数)及び外側トップコート層)の少なくとも幾つかもまた、可撓性であるが、室温で実質的に非延伸性かつ非弾性であってもよい。その他の実施形態において、これらのコンポーネントの1つ以上は、少なくとも非延伸性の構造層に直接又は間接的に接合されていない場合、伸張性であってもよい。
【0047】
構造層28は、印刷コート、ドライカラー層(単数又は複数)、及び/又は不透明層(単数又は複数)より厚くてもよい。これは、構造体が主に積層体に構造的一体性を提供する役目を担う積層体のコンポーネントとなることを可能にしてもよい。構造層は、いずれかの適した範囲の厚さを有してよい。構造層の厚さは、以下、約0.1〜1ミル(2.5〜25μm)、約0.1〜0.5ミル(2.5〜13μm)、又は約15μmまで、約0.23〜約0.48ミル(、約6〜12μm)まで、0.18〜0.47ミル(約4.5〜約12μm)、0.3〜約0.35ミル(約8〜約9μm)を含むがこれらに限定されない範囲に含まれてもよく、ある場合には、約0.35ミル(約9μm)の厚さである。
【0048】
構造層が使用される場合、ドライカラーコンポーネント12の厚さ(すなわち、トップコート、任意の印刷コート、カラー層、不透明層、及び構造層の一体厚さ)は、以下、約0.25〜約1.5ミル(約5〜38μm)、約0.25〜約1ミル(約5〜25μm)、又は、0.5〜1ミル(約13〜約25μm)を含むがこれらに限定されない、いずれかの適した範囲であってよい。
【0049】
接着剤
接着剤は、加圧を受けて、室温で装飾用積層体を基材表面に固着する。本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、40°F(約4℃)〜104°(40℃F)未満を指し、該範囲内のいかなるより狭い範囲も含む。接着剤は、層、コーティング、及び接着剤の規則的又は不規則的パターンを含むがこれらに限定されない、いずれかの適した形状であってよい。
【0050】
接着剤は、感圧性、水性(water-based)、水性(water-borne)、溶媒系、紫外線及び電子ビーム硬化性接着剤、ホットメルト感圧性接着剤、水性(water-based)感圧性接着剤、水性(water-borne)感圧性接着剤、静的接着剤、静電接着剤、並びにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、いずれかの適した接着剤を含んでもよい。接着剤が基材表面に塗布される際、接着剤の端部からの染み出しが皆無又はそれに近くなるよう、接着剤が実質的に非流動性であることが望ましい。
【0051】
一実施形態において、接着剤は、感圧性接着剤(PSA)を含む乾性接着剤層を含む。該実施形態の一変形において、接着剤層は、より永久的な固着を形成する前に配置調整できるようにするため、初期の粘着が弱く、積層体をわずかに移動することができる、再配置可能な接着剤である。接着剤は、室温で抑制された初期の粘着度を有してもよく、これにより、積層体が基材表面に接着し、その上で再配置できるようになる。次いで積層体は、典型的に平坦化される又は磨かれ、次いで支持構造体がドライカラーコンポーネントから引き剥がされる。接着剤は、ドライカラーコンポーネントを基材表面に永久に固着するのに十分な加圧の結果として、及び/又は時間の経過によって生じる接着の強化を受けて、接着剤の基材表面への接着を向上してもよい。
【0052】
幾つかの実施形態において、感圧性接着剤は、架橋アクリル樹脂材料、及びより詳しくは、架橋アクリルエマルションを含む。特に有用な接着剤材料は、内部架橋アクリルエマルションを含む。また、機能特性の所望の組み合わせを生成するために、高分子量アクリル接着剤及び外部架橋アクリル接着剤が使用されてもよい。架橋レベルを適切に調節できる有用なPSAの例には、純ポリマー(ブチルアクリレート若しくは2−エチルヘキシルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレート)PSA等のアクリルエマルションPSA、又は類似する着色ポリマー及びコポリマー材料が挙げられる。特に有用なPSAは、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの非粘着強化架橋コポリマーエマルション等の内部架橋アクリルエマルションPSAである。本接着剤は、エイベリー・デニソン社(Avery Dennison Corporation)から製品番号S−3506として入手可能である。
【0053】
また、接着剤層は、その上に位置するカラー層の不透明度を高め、より薄いカラー層を使用して所望のレベルの不透明度を達成できるようにするために、1つ以上の色素を含んでもよい。上記に特定されるいずれかの色素が使用されてもよい。例には、二酸化チタン及びカーボンブラックが挙げられる。色素の体積濃度は、以下、最高約10%、約5%〜約10%、又は約2%〜約8%を含むがこれらに限定されない、いずれかの適した範囲であってよい。製品番号S−3506PSAの着色形体は、S−3506接着剤樹脂を96.8%、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)UCD1106E(商標)二酸化チタン色素濃縮分散を2.87%、及びUCD1507E(商標)カーボンブラック色素濃縮分散を0.33%含み、灰色である。
【0054】
図1Aに示される実施形態において、接着剤は、下に位置する接着剤34の第2の層又は部分に接合した白色接着剤32の第1の層又は部分を含む2層(又は2つの部分)構造体を含む。接着剤の第2の層は、未着色接着剤、又は上述される灰色接着剤等の着色接着剤の層であってもよい。白色接着剤層は、構造層と接着剤の第2の層との間に配置される。白色接着剤の層は、上に位置するパターン及びドライカラー層により明るい色が使用される場合に、カラー層の下に白地を提供することによってより明るい色の輝度を向上するために使用されてもよい。灰色接着剤の層は、所望の再配置能力及び白色層単体よりも優れた基材の表面との接着性(すなわち、これは、白色層よりも強い基材表面との接着を有する)を有する2層接着剤構造体を提供する。下に位置する接着剤又は表面が透けて見えることを避けるために必要な不透明度を白色接着層に提供するために必要なTiO2のレベルが基材表面との十分な接着を有さないため、2層接着剤構造体が使用される。非限定的な一実施形態において、灰色接着剤層は、乾燥重量の4%の92%/8%TiO2/カーボンブラック分散物で化合される、上述の製品番号S−3506PSAの形体であり、白色接着剤層は、乾燥重量の35%のTiO2分散で化合される、上述の製品番号S−3506PSAの形体を含む。
【0055】
不透明接着剤層とも称される場合がある白色接着剤層32は、基材接着剤層とも称される場合がある灰色接着剤層34とともに、全体表面被覆コンポーネント17の50%を超える不透明性指数を提供してもよい。一実施形態において、不透明化接着剤層32は、単独で、50%を超える表面被覆コンポーネントの不透明性指数を提供することができる。
【0056】
特定の実施形態において、カラーコート層に必要な明色コーティングの量を減少し、依然として表面被覆コンポーネントにおける完全な不透明度(99%を超える不透明性指数)を達成するために、不透明化接着剤層32の比較的高い色素含有量において、相当量の表面被覆コンポーネントの不透明度を生成することが望ましい場合がある。一実施形態において、不透明化接着剤層32は、不透明化接着剤層に含まれる樹脂/充填剤固体全体の約10重量%〜約40重量%の固体を含む場合、表面被覆コンポーネント全体の不透明度の約70%〜約90%を生成する。
【0057】
灰色接着剤34の層(暗色ドライカラー層を含む表面被覆コンポーネントに使用される)を含む一実施形態において、灰色感圧性接着剤層は、表面被覆コンポーネントの合計不透明性指数の約50%超過を提供する。
【0058】
特定の実施形態において、接着剤は、基材上の積層体を剥がす、引き剥がす、再配置するのとは対照的に、基材の表面に対して積層体を滑らせることによって積層体が再配置され得るものであってもよい。
【0059】
接着剤層の厚さ、又は1つを超える層がある場合は接着剤層の総合した厚さは、次の、約0.4〜約1ミル(約10〜25μm)、又は、約0.4〜約0.8ミル(約10〜20μm)を含むがこれらに限定されない、いずれかの適した範囲であってよい。
【0060】
支持構造体
支持構造体16は、ドライカラー積層体10が基材表面20に塗布されるのを受けて一時的支持材料が引き剥がされるまで、ドライカラー積層体に構造的完全性を提供する。支持構造体16は、単一コンポーネント又は要素を含んでもよい。しかしながら、特定の実施形態において、支持構造体16は、幾つかのサブコンポーネント又は要素を含むことができる。これらは、以下、支持材料シート又は「支持材料」36;第1の剥離表面、剥離表面又は層38;接着剤層(例えば、「支持材料接着剤層」)又は結合(若しくはプライマー)層40等の追加接着層;及び第2の剥離表面、接着剤剥離コート層42の1つ以上を含むことができる。
【0061】
支持材料シート36は、紙、並びにポリプロピレン、ポリエチレン(LDPE及びHDPEを含む)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリウレタン、及びエチレン・ビニルアルコール(EVOH)、及びこれらの組み合わせから作製されたフィルム等の高分子フィルムを含むがこれらに限定されない、本目的に適したいずれかの材料を含んでもよい。支持材料シートは、薄い、可撓性の、折り畳むことができる、耐熱性の、実質的に非弾性の、独立型一時的支持フィルム又はキャスティングシートから形成されてもよい。特定の実施形態において、例えば、支持材料シートは、デュポン(DuPont)の商標であるマイラー(MYLAR)(登録商標)として入手可能なポリエチレンテレフタレート(PET)、又は三菱(Mitsubishi)のホスタファン(HOSTAPHAN)2000(商標)として入手可能なポリエステルフィルム等の配向ポリエステルフィルムである。
【0062】
支持材料シート36の厚さは、以下、約0.5〜約2ミル(約13〜50μm)、約0.5〜約1.5ミル(約13〜38μm)、又は約0.6〜約1.2ミル(約15〜30μm)を含むがこれらに限定されない、いずれかの適した範囲であってよい。特定の実施形態において、また、支持構造体16全体の厚さも、上記の範囲内であってもよい。薄い支持材料シート36(1ミル(約25μm)未満)を提供することにより、基材の表面との所望のミクロ整合性を達成するために、塗布中にドライカラー積層体をより容易につや出しする、又は平坦にすることができるようになる。
【0063】
支持材料シート36は、トップコート18に面する表面上に剥離表面又は層(若しくは「剥離可能コーティング」)38を有する。剥離表面38は、トップコートと剥離可能に接着するが、トップコートに溶解しない、いずれかの構造体を含んでもよい。接着レベルは、多層の積層体のそれ自体を傷つける配向での形成、それの巻き戻し、及びそれの基材表面への塗布を含む、多層の積層体の形成プロセス中並びに通常の取り扱い中に、剥離表面38がトップコート18から分離するのを防ぐのに十分であるべきである。しかしながら、剥離表面38は、表面被覆コンポーネントを基材に塗布した後のトップコートからの分離を促進するために十分な剥離特性を有するべきである。更に、層間剥離又は支持フィルムを引き剥がすのに必要となる過度の力のいずれかによって塗布経験に悪影響を及ぼす可能性があるため、剥離表面とトップコートとの間の剥がし力が保管中に実質的に上昇しない又は低減しないことが望ましい。また、剥離表面38は、好ましくは最小量の残留物をトップコート表面上に残す、より好ましくはトップコート表面上に残留物を残すべきではない。剥離表面系の幾つかの非制限的実施例が本明細書に記載される。
【0064】
一実施形態において、剥離可能支持構造体16をトップコート表面に積層するため、及び使用中に剥離可能支持構造体をトップコートから分離するのを制御するために、複数層(例えば、二重層)剥離系が使用される。二重層剥離系は、使用中に剥離可能支持構造体16がトップコートから引き剥がされる際、トップコート18からの制御剥離を実現する、剥離層38を含む。また、二重層剥離系は、永久接着剤層又は「支持材料接着剤」40等の接着層を含む。接着層は、支持材料シート36に固着された永久感圧性接着剤を含んでもよい。永久接着剤40は、最初に、ドライカラーコンポーネント12上にコーティングされている剥離層38に積層されてもよい。剥離層38は、剥離可能支持材料シート36上の永久接着剤層40に固着されているため、乾燥中に最初にトップコート18に接着するが、剥離可能支持構造体16がトップコート18から剥がされる際に、その不粘着状態によって光沢に影響を与えることなくきれいにトップコートから分離し、剥離する材料を含んでもよい。本剥離系は、所望の剥がし力を選択できるようにし、該力は、好ましくは保管及び塗布にわたり安定している。
【0065】
トップコートから分離する剥離可能支持構造体に対する本明細書の一般参照は、記載の簡易化のためだけであることが理解されるべきである。本説明は、剥離可能支持構造体16がトップコートだけでなく、剥離可能支持構造体16が最も外側のパターン層又はドライカラー層のいずれかに剥離可能に接合される、トップコートがない構造体にも剥離可能に接合される、多層の積層体構造体を対象とすることを目的とする。
【0066】
本実施形態において、剥離層38は、ドライフィルム形状で、室温で不粘着の極性剥離材料、好ましくは高極性剥離材料のコーティングを含む。本コーティングは、トップコート上にコーティング又は印刷され、乾燥されてもよい。剥離層材料38は、トップコート又はドライカラーコンポーネント12の外側表面とは異なる極性、好ましくは大幅に異なる極性を有する。一実施形態において、剥離層材料は、極性(親水性)材料、又は高極性材料を含み、トップコート材料は、非極性である、又はより低い極性を有する。トップコートは、湿度又は水への暴露によって影響を受けない(疎水性)、十分に低い極性の材料を含んでもよい。その他の実施形態において、剥離層38は、トップコートと比較して無極性であってもよい。剥離層38の材料は、水/アルコール溶液に溶解する高分子材料等の高極性材料から作製されてもよい。該実施形態の一変形において、剥離層材料38は、水及びエタノールに重合したヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及びヒドロキシブチルアクリレート(HBA)のコポリマーを含む。剥離層材料は、オルギン(Holguin)の米国特許第6,653,427号に記載される方法で調製された親水性若しくは高極性ホモポリマー類又はコポリマー類であってもよい。
【0067】
極性の差は、トップコート上にコーティングされる剥離コート材料内の溶媒又は揮発物の比溶解度で処置しなければいけない。剥離コート材料を含むポリマー類は、トップコート材料を可溶化しない溶媒に溶解する、すなわち、トップコート材料は、剥離コート材料の溶媒において不溶性である。結果として、及びそれらの相互接着に加えて、剥離コート及びトップコートは、接触面に沿って分離可能であり、これは、結果としてトップコートの暴露される表面上の表面特性又は光沢に有意な影響を与えない。
【0068】
あるいは、剥離コート38の材料は、押出技術等によってトップコート上、又は支持構造体16上にコーティングされてもよい、無溶媒樹脂材料を含んでもよい。この場合、2つの材料は、それらの間の接触面に沿って互いに接着し、トップコート18からの剥離層38の分離は、暴露されるトップコート表面の光沢などの表面特性に相互作用又は望ましくない影響をもたらさない。
【0069】
剥離層38は、例えば、約10μmより薄い、又は約8μmより薄い、及び更には約5μmより薄いドライフィルム厚さを実現するために、グラビア印刷によってダイコーティング又は印刷されてもよい。剥離層を約5μm以下(例えば、約1μmを超える厚さに至るまで)のドライフィルム厚さにダイコーティング又はグラビア印刷することにより、本明細書に記載されるように、層間剥離のない、良好な剥離又は剥がし力レベルを提供することができる。
【0070】
幾つかの実施形態において、接着層40は、接着剤を含むことができる。一実施形態において、接着層40は、エイベリー・デニソン社(Avery Dennison Corporation)から表記S−8860で入手可能であるもの等の感圧性接着剤を含む永久接着剤である。永久接着剤材料は、好ましくは、永久固着を形成するために、支持材料シート36にコーティング又は印刷され、乾燥される。永久接着剤は、好ましくは約10μm未満、より好ましくは約8μm未満、及び更により好ましくは約5μm未満(例えば、約3μmを超える厚さまで)のドライフィルム厚さで支持材料シート36に塗布される。永久接着剤層40は、剥離層38とトップコート18との間の接着を上回る粘着レベルを有する。剥離層38とトップコート18との間の接着は、表面被覆コンポーネント17と基材表面20との接着を下回る。
【0071】
プロセス中、ドライカラー層24が構造層28上に形成された後、結果として生じる合成フィルムは、次いで剥離可能支持材料16の永久PSAコーティングされた側面40がトップコート表面18にコーティングされている乾式剥離層38に積層される、積層工程に移されてもよい。これは、永久PSA40と剥離層38との間に永久固着を形成する。
【0072】
剥離層38は、所望の剥離又は剥がし力で支持構造体16をトップコート表面18から容易に引き剥がすことができるようにし、高い室温及び圧力での時間の経過において安定した引き剥がし力をもたらす。一実施形態において、剥離層38は、約35℃を上回る、より好ましくは約40℃を上回るTgを有する。使用の際、剥離層38は、(1)望ましくない早期層間剥離を避けるためのトップコートとの接着性、(2)表面光沢に望ましくない影響を与えることを避ける、トップコートとの不粘着接触、(3)トップコート表面からの望ましくない層間剥離を避けるための十分に高い開始力、(4)高速又は低速で支持材料を引き剥がせるようにするための十分に低い引き剥がし力(5)表面被覆コンポーネントの望ましくない引き剥がしを防ぐための表面被覆コンポーネントと基材表面との間のPSA固着よりも十分に低い剥がし力レベル、の有用な組み合わせを提供する。
【0073】
約0.19N/cm(約100gm/2インチ(又は5cm当たり))より低い剥離力は、該剥離力特性の良好な組み合わせを提供する。所望のレベルの剥離力は、異なる種類のトップコート表面、すなわち、低光沢をつや消し剥離支持材料からトップコートに転写するか、又は本明細書に記載されるようなトップコート材料に含まれる粒子状平坦化剤を使用するかのいずれかによって低光沢つや消し仕上げをもたらすもので達成することができる。
【0074】
使用中、ユーザーは、多層のドライカラー積層体をつや出しし、次いで剥離可能支持構造体16を引き剥がすことによって、多層のドライカラー積層体10を基材表面20に塗布することができる。支持構造体16の引き剥がし速度は、ユーザー間で可変であり得る。幾つかの実施形態において、剥離層38は支持構造体16が引き剥がされる低速及び高速の両方に対して効果的な低剥離力を実現することが望ましい。該剥離層の速度依存性は、高速の引き剥がしで非常に高い剥離力を示す引き剥がし可能なPSAのものとは逆である。
【0075】
剥離コート38の材料は、使用中の剥がし力と比較し、比較的高い初期剥離力を有してもよい。早期層間剥離を防ぐために、高い初期剥離力が望ましい。加工中、剥離コート層38が溶媒コーティングによってトップコート18上にコーティングされているため、PSA接触がない状態において、接触効率は高く、同様に高い初期剥離力をもたらす。
【0076】
剥離力の良好な安定性を有する剥離層材料38の例には、例えば、それぞれの比率が70/30重量部のHEMA/HBAコポリマー、それぞれの比率が65/35重量部のHEMA/HBAコポリマー、及び米国ニュージャージー州ウェーン(Wayne)にあるインターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(International Specialty Products)の製品であるコポリマー(Copolymer)845(商標)、PVP/DMAEMA(ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート)等の極性コポリマーが挙げられる。あるいは、ポリビニルアセテートエマルション等のエマルション型剥離材料が使用されてもよい。
【0077】
別の実施形態において、剥離剤コーティング38は、ポリ−HEMAコーティング及び接着積層を使用する代わりに、ドライカラーコンポーネント12に加熱積層することができる、低融点を有するポリマーコーティングである。ポリマーコーティングは、支持材料シート36に塗布され、続いてドライカラーコンポーネント12に加熱積層される。あるいは、本ポリマーコーティングは、支持材料シートをドライカラーコンポーネントに押出積層するために使用することができ、2つの基材間に積層接触が形成されるまでポリマーコーティング加工の熱がポリマーの流動性を維持する。ポリマー剥離剤コーティングと支持材料シート36の固着強度は、表面被覆コンポーネントを基材に塗布した後に支持材料シートが引き剥がされる際の層間剥離を防ぐのに十分でなければいけない。ポリ−HEMAコーティング系に接着積層を使用するのと同様に、結合層は、この必要とされる支持材料シートとの固着を提供するために、支持材料接着剤層40と置き換えることができる。該実施形態において、結合層は、支持材料シート36上(例えば、PET剥離ライナーの非シリコーン側の上)に接着プライマーコーティングされるか、又は結合層樹脂が支持材料シート36上にポリマー剥離剤コーティングとともに共押出コーティングされるかのいずれかであってよい。また、支持材料シートは、追加の結合層を使用して又は使用せずにポリマーコーティングとの接着剤固着を向上するために、表面処理(化学又はエネルギー)を有してもよい。
【0078】
ポリマー剥離剤コーティングの有用ではあるが非制限的実施例の1つは、支持材料シートの引き剥がし中に剥離特性を制御するように配合されたポリオレフィンのブレンドである。ブレンドは、非常に低い極性のコーティングを生成するために、低密度ポリエチレン等のポリオレフィン材料だけから構成されてもよい。剥離力は、プラストマー類等のより融点の低いポリオレフィン類をブレンド全体に添加することによって向上することができる。低密度ポリエチレンの融点は約100〜125℃であってよい。「添加剤」の融点は、約60〜100℃であってよい。理論に束縛されるものではないが、より低い融点の材料は、任意の一連の積層条件でドライカラーコンポーネント表面とのより優れた流体接触を提供すると考えられる。これらの低融点ポリオレフィン類は、一般により柔軟であり、より低い結晶化度を有する。また、ポリオレフィン剥離剤コーティングブレンドは、ブレンドの結晶化度を減少するためだけでなく、極性を向上するためにもポリエチレンコポリマー類を組み込むことができる。エチレンモノマーとビニルアセテート又はメチルアクリレート等の極性モノマーの共重合は、コモノマーの割合に基づき、様々な等級を提供し、これは、塩基低密度ポリエチレン樹脂と相溶するブレンドを作製する。ポリマー剥離剤コーティングブレンド組成物全体は、この場合もやはり、これらのより極性であるコンポーネントとの接触面における化学的相互作用に加えてドライカラーコンポーネント表面との流体接触による剥離力を向上させるように調節されてよい。その他の実施形態において、2つを超えるコンポーネントのブレンドを使用することができる。ポリオレフィンブレンドのこれらの種類は、剥離剤コーティングとして使用するための「熱活性ポリマーブレンド」系を形成する。
【0079】
支持構造体16は、275°F〜325°F(約135℃〜163℃)の温度及び支持構造体16をドライカラーコンポーネント12に固着するのに十分な圧力で、ドライカラーコンポーネント12に加熱積層される。熱活性ポリマーブレンド層は、典型的に約0.3〜0.7ミル(約8〜18μm)の厚さであり、約0.5ミル(約13μm)の厚さであってもよい。グラビアコーティングされたポリエーテルイミド(PEI)プライマー層は、0.1μm未満の厚さであってもよい。適した結合層とともに、該剥離剤コーティング38の幾つかの実施例及びそれを塗布するための方法が以下の表に記される。
【0080】
【表1】

【0081】
これらの実施例の共押出構造体は、約0.5ミル(12.7μm)の総厚、及び層厚さ比率1:1を有する。結果として生じる支持構造体は、7.6m/分(300インチ/分)の試験速度で、約0.08N/cm〜0.17N/cm(約40〜90g/2インチ(又は5cm当たり))の剥離力、及び好ましくは、同一条件下で約0.12N/cm〜0.14N/cm(約60〜70g/2インチ)の力を有してもよい。
【0082】
剥離系は、ドライカラーコンポーネントへの光沢転写から剥離可能支持構造体の剥離特性を分離する。上に表面被覆コンポーネント材料の異なる層が鋳造され、乾燥される、つや消し剥離支持材料を含む表面被覆コンポーネントの前述実施形態において、光沢及び剥離特性は、相互依存する。これらの特性は、光沢制御及び色/外観特性がトップコート及び下に位置するカラー層の組成物によって制御され、一方、剥離特性が本剥離層によって独立して制御される、本明細書に記載される剥離系によって、ドライカラーフィルムからの剥離と支持構造体が引き剥がされた時点で暴露される表面被覆コンポーネントの光沢の制御との間に相互作用なく分離される。
【0083】
別の実施形態において、剥離層系は、支持構造体16全体を形成するために、支持材料シート36にコーティングされた又は印刷された感圧性接着剤(PSA)を含む。支持構造体16のPSAコーティングされた表面は、多層ドライカラー積層体を完成するために、次いでドライカラーコンポーネントのトップコート表面に積層される。一実施形態において、PSAは、外部架橋アクリルエマルションで構成されてもよい。PSAの粘着を含む機能特性は、支持材料シートに塗布されるPSAの架橋度及び/又はコート重量によって調整することができる。該PSAは、好ましくは引き剥がし可能な支持材料と固着し、上述の剥離コート38の剥離効率と同レベルでトップコート材料と接触する。
【0084】
PSA剥離層系の剥離力は、速度に依存し、支持材料シートの引き剥がし速度とともに増大するであろう。この速度依存性は、ドライカラーコンポーネント12から支持構造体16を引き剥がすことを助長することができる、比較的低い剥がすための開始力を提供する。また、低開始力は、本引き剥がし力の大きさが、物品が基材表面上で完全につや出しされる前の多層の積層物品から支持構造体の望ましくない早期層間剥離を防ぐために十分であることを必要とする。この早期層間剥離は、物品の製造プロセス中、物品の基材表面への塗布中、又は物品の基材表面でのつや出し中に生じる可能性がある。上述のような0.19N/cm(2インチ(5cm)当たり100グラム)のレベルの場合、300インチ/分(7.62m/分)の速度で測定されるPSA剥離層の剥離力は、製造及び取り扱い中に早期層間剥離問題にさらされる場合がある。剥離力は、この望ましくない層間剥離を防ぐために、0.38N/cm(2インチ(5cm)当たり200グラムを上回るまで、又は好ましくは0.58N/cm(2インチ(5cm)当たり300グラム)を上回るまで上昇され得る。より高い剥離力は、高い引き剥がし速度でのライナーの引き剥がしをより困難にするが、PSA剥離系の速度感度は、7.62m/分(300インチ/分)の速度で0.58N/cm(5cm(2インチ)当たり300グラム)と測定される剥離力でさえ容易な低速引き剥がしの開始を生じることを可能にする。
【0085】
PSA剥離層系の剥離力は、PSAとトップコートとの間の接触が上昇するとともに、時間とともに上昇する傾向を有することができる。PSAとドライカラーコンポーネントとの間の初期粘着(生強度)は、製造プロセス中の早期層間剥離を防ぐために、より高い粘着PSA製剤の使用又は必要な接着形成のための製造における遅延を必要とする場合がある。これらの代償行為の必要性を低減するための一方法は、PSAをドライカラーコンポーネントの表面に固着するのに加熱積層を使用することである。積層プロセス中の熱と圧力の組み合わせは、より低い粘着PSA製剤を有するトップコート表面にPSAのより優れた濡れを提供し、より高い粘着製剤又は接着形成のための遅延の必要性を除去する。また、加熱積層プロセスは、多層の積層体の完成ロールにおいて、長時間にわたるPSAによる接着に少ない変化(上昇)をもたらす。
【0086】
支持材料シート36は、ドライカラーコンポーネント12から見て外方を向く表面上に接着剤剥離コート層42を有する。支持材料シートの反対側の接着剤剥離コート層は、当該技術分野において既知のいずれかの剥離剤コーティング組成物を含んでもよい。シリコーン剥離剤コーティング組成物が使用されてもよい。基材表面上の多層の積層体のつや出し又は平坦化を助長するために、接着剤剥離コート42がスキージ又は手刷り用ローラー等のツールで過度の滑りなくつや出しできるようにするのに十分な表面特性を提供することが望ましい場合がある。
【0087】
特性
物品(すなわち、多層のドライカラー積層体)10が特定の全体特性を提供することが望ましい場合がある。物品は、該特性が添付の特許請求の範囲に含まれていない限り、これらの特性の1つ以上を有する必要はない。これらの特性は、実質上の継ぎ目がなく、かつ塗料のような外観を有する物品の提供に有用であり得る。すべての特性は、23℃及び50%RHで測定される。
【0088】
薄さ
基材表面に塗布されるドライカラー積層体の部分(すなわち、トップコート、パターン又は印刷コート、カラー層、構造層、及び接着剤)である表面被覆コンポーネント17は、塗布中に隣接表面被覆コンポーネントが重なり合う場合、目に見える継ぎ目を最小化するために、好ましくは比較的薄い。
【0089】
基材表面に塗布される完成状態の表面被覆コンポーネント17の全厚(支持材料は省く)は、好ましくは約3.3ミル(約84μm)未満であり、約2.0ミル(約50μm)未満、約1.6ミル(約40μm)未満、約1.3ミル(33μm)未満、約1.25ミル(約32μm)以下、又は更には約1ミル(約25μm)以下であってもよい。表面被覆コンポーネントの厚さの適した範囲は、次の範囲、0.5ミル〜2ミル(約13〜50μm)、又は1ミル〜2ミル(約25〜50μm)、又は1ミル〜1.5ミル(約25〜38μm)、又は1ミル〜1.3ミル(約25〜33μm)未満を含むが、これらに限定されない。
【0090】
多層の積層体は、いずれかの適した全圧を有することができる。多層の積層体、又はいずれかのその主要なコンポーネントの厚さの適した範囲は、そのサブコンポーネントに指定される範囲を加算することによって得ることができる。特定の実施形態において、多層の積層体は、約50〜約80μm(2.0〜3.2又は3.3ミル)の総厚を有する。
【0091】
多層の積層体の主要なコンポーネント(ドライカラーコンポーネント、接着剤、及び支持構造体)の厚さは、0.09N(8.74グラム)の制御付加の下に先端部(#900032、ネルソン・プレシジョン(Nelson Precision))を備える、ミツトヨ社(Mitutoyo Corporation)によって製造されたモデルID#C112CEBのキャリパーを使用して測定される。個別の層の厚さは、多層の積層体の断面図の顕微鏡写真から測定することができる。
【0092】
不透明度
表面被覆コンポーネントは、その単一シートを適用することによって良好な不透明度及び被覆率を提供してもよく、これは、消費者に費用及び時間便益を提供する。好ましくは、表面被覆コンポーネントは、ASTM D2805に従って測定される際、少なくとも約0.95の不透明性指数を呈する。典型的に、該測定において、表面被覆コンポーネントは、試験表面、例えばレネタ(Leneta)不透明度フォーム2A等の色対比カードの表面に、気泡及びしわを避けながら慎重に塗布される。より具体的な実施形態において、表面被覆コンポーネントは、ASTM D2805に従って測定される際、少なくとも約0.98、より具体的には少なくとも約0.995の不透明性指数を呈する。実質的に完全な被覆率、すなわち全被覆は、暗い表面、着色された表面等の上でも得られ得る。
【0093】
伸張性、可撓性、及び整合性
伸張性
表面被覆コンポーネントは、望ましくは、表面被覆コンポーネントの屈曲、丸め、又は類似の操作を可能にするのに十分である、少なくとも最低限の伸張性を呈してもよい。表面被覆コンポーネントの伸張度は、伸張速度に加え、その中に含まれるコンポーネント、特に使用される構造層の種類に依存するであろう。
【0094】
表面被覆コンポーネントは、約0.1%以上〜約100%未満(及び場合によっては、100%に等しくない)の伸張性を有してもよい。表面被覆コンポーネントは、約1%以上、又は約10%以上〜約50%以下等、上記の範囲内に包含されるいずれかのより狭い範囲の伸張性を有してもよい。
【0095】
一実施形態において、表面被覆コンポーネントは、比較的低いレベルの伸張性を有し、室温で実質的に非弾性又は非弾性のいずれかであってもよい。例えば、構造層がPETフィルムを含む場合、表面被覆コンポーネント(いかなる引き剥がし可能な支持材料もない状態)は、約0.1%〜約5%、又は約0.5%〜約1%の伸張性を有してもよい。場合によっては、これらの伸張性は、5psi(3.4458×104N/m2)の圧力で測定されてもよい。伸張性の測定値がある圧力で測定されたものとして本明細書に明記される場合、これらの測定値は、使用条件(すなわち、塗布圧力)で模擬実験することを目的とする「バブルテスト」に従って測定されたものである。別の方法では、本明細書に記載される伸張特性は、ASTM−D−638Mの修正版を使用し、インストロン(Instron)引張試験器で測定される。
【0096】
表面被覆コンポーネントは、インストロン(Instron)引張試験器を使用して測定される破断時の引張ひずみが約45%以下、又はあるいは約30%〜約40%であってもよい。表面被覆コンポーネントは、約300、400、500、又は600MPa以上の引っ張り係数を有してもよい。表面被覆コンポーネントは、破断時の引張応力が約12、15、20、30、40、又は50MPa以上であってもよい。インストロン(Instron)器で得られたものとして本明細書に記載される伸張特性は、ASTM−D−638Mの修正版を使用し、インストロン(Instron)モデル5542引張試験器を使用して測定される。試料の寸法及び伸張速度の修正が行われる。試料は、首部位(すなわち、伸張集中部位)を有し、長さが0.5インチ(1.3cm)及び幅が0.125インチ(3.2mm)の犬用の骨形状の試料である。試料は、40%のひずみ/秒のひずみ速度で伸張される。
【0097】
本明細書に記載されるように、表面被覆コンポーネントのミクロ整合性とは、下に位置する塗料ローラー型のきめと密接に整合するきめを供給するその能力を指し、これが均一な塗料様外観を供給するため、消費者に好まれる。表面への塗布中の積層体10のつや出しは、良好なミクロ整合性及び均一な末端部の外観を達成する要因である。消費者は、異なる力及び速度でつや出しする場合があるため、全体的に均一な所望の塗料様外観を損なう可能性がある、異なるレベルの最終的なミクロ整合性を経験する場合がある。つや出しの速度及び圧力にそれほど依存しない、表面に色を塗布するための物品を提供する必要性がある。本明細書に記載されるように、多層の積層体は、該物品が比較的硬く、半結晶性の工学的熱可塑性構造層を含んでいる場合があるが、該物品を含んでもよい。
【0098】
熱可塑性フィルム構造層を含む物品は、可塑化PVCフィルムを含む前述の物品よりひずみ速度に依存しないようにすることができる。これは、塗布速度又は圧力の変化にそれほど影響を受けずに、最終的なレベルのミクロ整合性が達成され得ることを意味する。
【0099】
特定の実施形態において、表面被覆コンポーネントの引っ張り係数が4%ひずみ/秒〜40%ひずみ/秒の伸張速度によって比較的影響されないことが望ましい場合がある。例えば、これらの異なる速度での引っ張り係数の差が以下の量、6倍、5倍、4倍、3倍、2倍、1.5倍、又は1.25倍のうちの1つ以下であることが望ましい場合がある。これらの異なる速度での破断時の引張ひずみの差が以下の量、1.5倍、1.4倍、1.3倍、又は1.25倍以下のうちの1つであることが望ましい場合がある。これらの異なる速度での破断時の引張応力の差が以下の量、1.5倍、1.4倍、1.3倍、1.25倍、又は1.2倍以下のうちの1つであることが望ましい場合がある。
【0100】
特定の実施形態における表面被覆コンポーネント、特に比較的低い伸張度を有するものは、比較的低い応力緩和を呈してもよい。本明細書の表面被覆コンポーネントの応力緩和は、現在米国デラウェア州ニューキャッスル(New Castle)のTAインストルメンツ(TA Instruments)が所有する、レオメトリクス・サイエンティフィック(Rheometrics Scientific)から入手されたTAモデルRSA−IIIレオロジー機器を使用して測定される。使用される試料は、そこから引き剥がされるいずれかの引き剥がし可能な支持材料を有するものである。2つの試料が入手される。両試料は、14mm×12mmの寸法を有する。第1の試料は、物品から製品の長手寸法の方向に測定される長手寸法、例えば、巻かれた製品を広げる方向(典型的に製品の製造中の機械方向(又はMD))に採取され、第2の試料は、それに対して垂直に測定される長手寸法(機械横断方向(又はCD))に採取される。これは、一定ひずみ測定である。試料は、0.1秒間に1%のひずみまで傾斜される。これに、最高5分間の応力の減衰のモニタリングが続く。特定の非限定的な実施形態において、塗料/接着剤組み合わせコンポーネントは、5分後のひずみが1%で、以下の量、約75%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%以下のいずれかの応力緩和を呈してもよい。
【0101】
特定の実施形態における表面被覆コンポーネント、特に比較的低い伸張度を有するものは、比較的低い永久ひずみを呈してもよい。したがって、表面被覆コンポーネントは、縮む傾向が低くなる。これにより、基材表面と整合し、かつ基材表面と整合した状態を保つことが可能になる。本明細書の表面被覆コンポーネントの永久ひずみは、「バブルテスト」に従って測定される。
【0102】
バブルテストは、図4に示されるように、バブルテスト装置50で実行される。バブルテスト装置は、上に試料が定置される台52、台内にあり、それを通して圧搾空気が供給される直径が0.9インチ(2.3cm)の開口部54を有する。バブルテストでは、大きさが2.5インチ×2.5インチ(6.4cm×6.4cm)の試料が使用される。試料は、そこから引き剥がされるいずれかの引き剥がし可能な支持材料を有する。試料は、台52の表面上の開口部の上に定置される。カバー56が試料の上に定置される。カバーが台52の4つの穴60に嵌るねじ58で台に固定される。測定中、確実に装置が気密となるようにねじが締められる。カバー56の中心には、直径が1/4インチ(6.3mm)の穴62がある。圧搾空気が試料に供給される際、試料の一部分がカバー56の中心の穴62によって浮き上がってもよい。
【0103】
バブルテストは、試料の一部を、1、2、3、4、及び5psi(6.895×103、1.379×104N/m2、2.069×104N/m2、2.758×104N/m2、3.4458×104N/m2)の量で段階的に上昇する下方からの気圧にさらし、次いで気圧を、5、4、3、2、1、及び0psi(34.5、27.6、20.7、13.8、6.9、及び0kPa)の量で段階的に減少させることを伴う。気圧にさらされる試料の一部分は、直径が2インチ(5cm)である。試料の残りの表面より上にある、膨らんだ気泡の頂面の高さを、それぞれの気圧の増加時に測定する。永久ひずみは、に空気が抜かれた後の気泡の高さ5psiでの気泡の高さの比として計算される。特定の非限定的な実施形態において、表面被覆コンポーネントは、約0.1%又は0.5%以上の永久ひずみを呈してもよい。特定の非限定的な実施形態において、表面被覆コンポーネントは、以下の量、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%、又は0.5%以下のいずれかの永久ひずみを呈してもよい。特定の非限定的な実施形態において、表面被覆コンポーネントは、上記の最小値及び最大値を含む、又はその間のいずれかの適した範囲の永久ひずみを呈してもよい。
【0104】
可撓性
本明細書に記載される物品の可撓性は、それらの曲げ剛性及び硬さを測定することによって決定される。
【0105】
曲げ剛性
曲げ剛性は、テスティング・マシン社(Testing Machine、Inc.)(米国ニューヨーク州ロンコンコワ(Ronkonkowa))の曲げ試験器モデルK−416を使用して測定される。試験手順は、ISO2493に従う。試験される製品は、その上にいずれかの引き剥がし可能な支持材料を含む。2つの1インチ×1.5インチ(25mm×38mm)の矩形試料は、38mm(幅)カットの製品から製品の試験配向に対して垂直に切り取られる、例えば、機械方向(MD)の試料試験のために横断方向(CD)に38mm切り取る。38mmの幅で垂直に配向された一試料を曲げ試験器に定置する。曲げ角度が15度及び曲げ長さが5mmとなるように試験器を設定する。同一試験を水平に配向された第2の試料に対して実行し、機械方向(MD)及び機械横断方向(CD)の曲げ剛性の平均を得るために、値を平均する。本機器によって試料の曲げ抵抗力が測定される。
【0106】
試料の曲げ剛性は、以下の等式で計算することができる。
剛性(Nmm)=8.37610-4×曲げ抵抗力(mN)
【0107】
本明細書に記載される物品は、約10ミリニュートン(mN)以上、及び約20mN、25mN、30mN、35mN、40mN、45mN、又は50mN以下等の曲げ剛性等のいずれかの適した曲げ抵抗を有してよい。特定の実施形態において、例えば、物品は、約10〜20mN、あるいは約15〜20mNの曲げ剛性を有してもよい。
【0108】
硬さ
硬さは、米国ニュージャージー州ウエストベルリン(West Berlin)にあるトウィング−アルバート・インストルメント社(Thwing−Albert Instrument Company)から入手可能なトウィング−アルバート・ハンドル−O−メータ(Thwing−Albert Handle−O−Meter)を使用して測定される。試験は、ASTM D6828−02に従って実行される。2インチ×2インチ(5cm×5cm)の正方形試料が製品から切り取られる。いずれかの支持体がその上にある試料とない試料の両方を試験することができる。
【0109】
本明細書に記載される物品は、いずれの適した硬さを有してもよい。良好な整合性を得るためには、物品がいかなる支持材料もない状態で約1g/cm以下、又は約0.8g/cm以下(例えば、約0.1〜約1g/cm、あるいは約0.3〜約0.7g/cm)の硬さを有することが望ましい場合がある。物品は、支持材料がある状態で約20g/cm、15g/cm、又は13g/cm以下(例えば、約4〜約13g/cm、又はあるいは、約10g/cm以下)の硬さを有してよい。幾つかの実施形態において、支持材料がある状態での硬さは、4g/cmを超えてもよい。
【0110】
整合性
また、表面被覆コンポーネントは、色付けされる表面のトポグラフィー/表面モルホロジーに適合するのに十分な整合性を呈してもよい。更に、表面被覆コンポーネントは、角部及びその他の三次元形状の周囲並びに/又はその中で物品を容易に操作することができるようにするのに十分な整合性を有してもよい。更に、表面被覆コンポーネントのシートは、ミクロ整合性を有してもよい。本明細書で使用される場合、ミクロ整合性とは、それらが接着される表面の形状又は特徴と類似し、したがって塗布を受けて、表面被覆コンポーネントの内側表面17A及び外側表面17Bの両方のそれぞれが下に位置する表面のきめを模倣し、塗料様外観を提供する、物品の能力を指す。
【0111】
特に、内壁塗布の場合、表面被覆コンポーネント17が、塗料又はプライマーの、下に位置する表面、例えばドライウォールへの塗布中に塗料ローラーによって残されるきめと整合するように、十分に整合可能であることが望ましいことが知られている。典型的な表面の例としてドライウォールが用いられるが、可能性のある適した表面を制限することを意図するものではない。図5は、下塗りされ、塗装された米国ドライウォール材20の一部分の表面組織の一例(拡大)を示す。図5に示されるように、ドライウォールの表面は、その上に複数個の不規則なしわ70を有する。これらは図6の概略断面図に示される。図6に示されるように、ドライウォール20の表面は、しわ70(そのうちの3つが示される)を含み、これは、塗装されたドライウォールの目に見える又は「巨視的」表面粗度を画定すると見なしてもよい。また、図6は、これらのしわのそれぞれが、その上に微細なしわ72(これは、拡大図でのみ見ることができる)を有することを示す。微細なしわ72は、表面20のミクロ粗度を画定すると見なしてもよい。
【0112】
図6は、塗装されたドライウォール材の表面20とのある程度のミクロ整合性を達成するために湾曲する、表面被覆コンポーネント17の外側表面17Bの一実施例を示す。本明細書で使用される場合、「ミクロ整合性」という用語は、角部等の周囲で曲がるのとは対照的に、目に見えるしわ70との少なくとも部分的な整合性(「整合性」と関連する)を指し、表面のミクロ粗度72との整合性を要求しない。
【0113】
図6に示されるように、ドライカラーコンポーネント17Aの内側表面17が、ドライカラー積層が接着される下に位置する表面20のきめと少なくとも部分的に整合することが望ましいだけでなく、外側表面17Bも下に位置する表面20のきめに少なくとも部分的に整合する(又は追従する)ことが望ましい。しかしながら、図6に示されるように、下に位置する表面のきめとの完全な整合が必ずしも必要というわけではない。したがって、物品がミクロ整合可能であると見なすために、ドライカラーコンポーネント17の内側表面17Aがしわ70又は微細なしわ72と正確に整合する必要はない。図6は、下に位置するドライウォール材との比較的低い整合性を達成する表面被覆材料17の一実施例を示す図7と比較することができる。
【0114】
消費者は、上述のミクロ整合性をもたらすことができない物品を好まないことが知られている。消費者は、このレベルの整合性を供給することができない物品は、乾性塗料というよりはむしろ、大きな一片の接着剤テープのように見えると考えている。典型的に、従来の塗装された表面において、ローラー塗料コーティングの結果として生じる表面組織は、最大頂点から溝の高さが30〜50μmであり、主要な頂点間の空隙部が数ミリメートルである、5〜10μmの粗度値(Ra)を有する。塗布される表面被覆コンポーネントがこれらの頂点に架かる場合、悪い意味で壁のきめの全体の外観を変える。これは、表面被覆コンポーネント17が内側表面17Aを有する(しかし、外側表面17Bを有さない)としても、図17Aの第2のしわ70と第3のしわ70との間に点線で示されるようなしわ70と整合する場合である。ミクロ整合性を達成する内側表面17Aを有するが、ミクロ整合性を達成しない外側表面17Bを有さない構造体は、平坦な外観を提供するために車体に塗布されるフィルムに適しているが、ドライウォールの内面に所望の塗料様外観を提供しないであろう。
【0115】
整合性及びミクロ整合性を測定するための試験方法は、次のとおりである。大きさが4フィート(1.2m)×1フィート(0.3m)の物品の試料シートが、下塗りされ、塗装された米国ドライウォール材の断片の表面に塗布される。次いで試料シートは、10人の官能試験員によって視覚的に評価され、以下の基準に対して数値で等級付けされる。以下の表中、整合性の均一性の等級付けにおいて、「パッチ」という用語は、下に位置するドライウォール材によるきめが実質的にない物品の範囲を指す。
【0116】
【表2】

【0117】
好ましくは、上記に定義されるように、室温で整合性及びミクロ整合性が呈される。物品が少なくとも6の平均ミクロ整合性点数を有することが望ましい。また、物品が少なくとも6の平均均一性点数を有することが望ましい場合がある。特定の理論に束縛されるものではないが、表面被覆コンポーネントに所望の整合性を提供すると考えられる特性は、その曲げ剛性及び硬さによって確定されるその可撓性、並びに上述の少なくとも最低限の伸張性である。表面被覆コンポーネントがこれらの特性を有する場合、比較的剛性かつ比較的非延伸性の構造層を提供するとしても、所望のレベルの整合性を呈し得る。
【0118】
また、整合性は、壁等の表面被覆コンポーネント17の表面上の塗料のような見た目及び塗料のような感触の程度を測定する感覚データの点から表現することもできる。
【0119】
多層のドライカラー積層体の表面上での、塗料のような見た目及び塗料のような感触の程度を測定するための試験手順は、次のとおりである。試験される物品の2つのシートが、下塗りされ、塗装された米国ドライウォール材の断片の表面に塗布される。シートは、製造業者に指示される方法で、シートの塗布によって形成されるいかなる継ぎ目もドライウォール材の中心を下方向に走るように塗布される。いかなる継ぎ目もパネルの中心に保ちながら、ドライウォール材は、大きさが1フィート(0.3m)×1フィート(0.3m)のパネルに切り取られる。4つの比較試料は、同様の下塗りされた(しかし、初期は塗装されていない)米国ドライウォール材パネルの表面上に準備される。比較試料は、(1)繻子光沢レベルを有する内壁塗料で塗装されたパネル、(2)半光沢内壁塗料で塗装されたパネル、(3)スポンジで塗布される金属塗料を使用する模造仕上げで塗装されたパネル、及び(4)模造コーミングツールを使用する模造仕上げで塗装されたパネルを含む。次いで試料は、20人の官能試験員によって評価される。「塗料のような見た目」の評価では、試料は、視覚的に比較される。「塗料のような感触の」評価では、官能試験員は目隠しされ、官能試験員は、その表面の感触で試料を比較する。次いで試料は、以下の基準に対して数値で格付けされる。
【0120】
【表3】

【0121】
比較試料と対照して試験される材料は、好ましくは、「塗料のような感触」及び「塗料のような見た目」の基準の少なくとも1つにおいて3点以上を達成する。試験される材料の塗料のような感触又は塗料のような見た目の度合いを判断する別の方法において、材料は、好ましくは、「塗料のような感触」及び「塗料のような見た目」の基準において塗装された表面の1点以内、より好ましくは1/2点以内の点数を得る。
【0122】
多層のドライカラー積層体の1つの可能な用途は、建築内面の表面皮膜としてである。したがって、表面被覆コンポーネントが寸法安定性を呈することが望ましい。すなわち、表面被覆コンポーネントは、熱又は水分の変化に対して実質的に鈍感であるべきであり、壁への塗布後に実質的に拡大又は縮小するべきではない。寸法不安定性は、表面被覆コンポーネントの角部からの持ち上げ、継ぎ目若しくは重なり合う範囲での拡大又は縮小、又はz方向における収縮として呈される場合がある。該寸法不安定性は、望ましくない外観をもたらし、塗布される積層体の、所望とされるほとんど継ぎ目がない塗料のような外観を損なう可能性がある。比較的高い弾性率及び低い感湿性を有する構造層を含有することにより、表面被覆コンポーネントに寸法安定性を提供し、一方、ミクロ整合性及び硬さ等の他の所望の特徴を維持することができる。
【0123】
光沢
本明細書に記載される物品の光沢は、60°及び85°の角度の光線の正反射率によって測定される。典型的に、60°での表面被覆コンポーネントの正反射率は、次の、約60、50、40、30、20、10、又は5のいずれか1つの光沢単位未満、又は以下である。下限値は、60°で1光沢単位であってもよい。85°での表面被覆コンポーネントの正反射率は、以下、約60、50、40、30、又は20のいずれか1つの光沢単位未満、又は以下であってもよい。
【0124】
一実施形態において、表面被覆コンポーネントは、60°で約1〜6、あるいは約3〜6光沢単位、又はあるいは5光沢単位未満の正反射率を有する。該実施形態は、85°で約3〜60光沢単位、あるいは約3〜50光沢単位、あるいは20光沢単位未満、あるいは約3〜20光沢単位、又はあるいは、約10〜20光沢単位、又はあるいは約12〜15光沢単位の正反射率を有してもよい。一実施形態において、非充填トップコートは、60°で2光沢単位及び85°で5光沢単位の正反射率を有する表面被覆コンポーネントを生成するために、エンボス加工されてもよい。
【0125】
当業者は、該仕上げと、例えば、自動車産業等で採用されるもの等の高光沢仕上げとの間の差を理解するであろう。正反射率は、ジェネラル・モーターズ・試験仕様(General Motors Test Specification)TM−204−Aに記載される試験方法を使用して測定されてもよい。仕上げ面の鏡面光沢を測定するために、ビク−マリンクロド(Byk-Mallinckrodt)「多重光沢」又は「単一光沢」光沢計測器を使用してもよい。これらの光沢計測器は、ASTM法D−523−57で得られるものと同等の値をもたらす。正反射率測定の更なる詳細は、米国特許出願公報第US2004/0200564 A1号に開示される。
【0126】
変色障壁特性
構造層は、幾つかの実施形態において、米国特許出願公報第US2005/0196607 A1号に記載されるような変色防止特性を提供してもよい。特定の実施形態において、構造層は、60℃で少なくとも400時間にわたり、0.40Δb*C.I.E色単位以下の色ずれを生じることを特徴とする、変色の原因となる色素に対する障壁を提供する。
【0127】
力平衡
ドライカラー積層体のコンポーネントは、米国特許出願公報第US2005/0003129 A1号に記載されるように、その層間に異なる剥離特性を提供してもよい。しかしながら、本明細書に記載される多層のドライカラー積層体の場合、垂直剥離速度(10〜1000インチ/分(25〜2,500cm/分)、又は12〜300インチ/分(30〜760cm/分))での支持構造体剥離力は、支持構造体の剥離を開始するための力が、加工中又は壁への塗布中の早期層間剥離を防ぐのに十分に強いという条件で、ロール巻き出し力より弱くてもよい。更に、支持構造体が塗布された製品を持ち上げることなく引き剥がされるように、支持構造体剥離を開始するための力が製品と壁との接着強度より低いことが望ましい。
【0128】
製品を壁に塗布中及び再配置中に製品接着力が平衡を保たなければいけないことが、米国特許出願公報第2006/0051571 A1号に更に記載される。従来の製品構造の利点は、壁に塗布される製品が支持構造体を引き剥がした後に高弾性率及び低伸張性を有することである。したがって、第2のフィルムが重なり合って塗布され、再配置する必要がある場合に、第1のフィルムが伸びる傾向は低く、結果として第1のフィルムを変形させる及び壁から持ち上げることなく第2のフィルムを引き剥がすことができる。
【0129】
水蒸気透過度
物品及び方法は、物品が表面に塗布される際に空気が脱出できるようにし、したがって気泡及び/又はしわが被覆される表面上に現れることを防ぐ、多孔質表面被覆コンポーネントを提供するために採用されてもよい。特定の実施形態において、表面被覆コンポーネントは、ミクロ孔質であり、したがって水分が、塗布される物品とそれが塗布される表面との間に蓄積されるというよりは、脱出できるようにする。例えば、本明細書に記載される物品及び方法によって提供される表面被覆コンポーネントは、ASTM F1249−90に従って測定される場合、特定の場合において、相対湿度100%及び40℃で、約0.1g−μm/cm2/24時間を超える、又は約1g−μm/cm2/24時間を超える、又は約4g−μm/cm2/24時間を超える、水蒸気透湿度(WVTR)を呈してもよい。望ましいWVTRは、本質的に水蒸気透過させる材料を使用することによって及び/又は物品にミクロ又はマクロのいずれかの規模の孔、穿孔、開口部等を提供することによって提供されてもよい。
【0130】
また、本明細書に記載される積層体及びそのコンポーネントは、いずれかの材料から形成されてもよく、又はいずれかの特性、コンポーネントを提供してもよく、あるいは以下の特許公報、米国特許出願公報第US2003/0134114 A1号、米国特許出願公報第US2004/0076788 A1号、米国特許出願公報第US2004/0200564 A1号、米国特許出願公報第US2006/0046027 A1号、米国特許出願公報第US2006/0046028 A1号、及び米国特許出願公報第US2006/0046083 A1号、米国特許出願公報第US2006/005157 A1号、米国特許出願公報第US2004/0253421 A1号、米国特許出願公報第US2005/0003129 A1号、並びに2005年9月8日の米国特許出願公報第US2005/0196607 A1号に記載されるいずれかの層配列を有してもよい。
【0131】
表面に色を塗布する方法
多層のドライカラー積層体10は、ロールからそれを広げることによって使用されてもよい(すなわち、それがロール形状の場合)。一実施形態において、多層の積層体は、同時に広げられ、基材表面に塗布される。多層の積層体は、基材20と接触している接着剤14によって基材上に定置される。多層の積層体10は、室温下での壁への塗布に特に適している。必要に応じて再配置し、多層の積層体が表面に接着するまで圧力が加えられる。次いで支持構造体16は、表面被覆コンポーネント17の前面から剥がされ、表面被覆コンポーネント17は、接着剤14によって基材に接着したままにする。支持構造体16は、支持構造体16と接着してそれの引き剥がしを助長するテープを使用することを含む、いずれかの適した方法で表面被覆コンポーネント17の前面から剥がすことができる。表面被覆コンポーネント17は、支持構造体16が引き剥がされた後、加圧することによって基材表面上でしわを伸ばすことができる。
【0132】
多層の積層体は、手で、あるいは単純な塗布器、例えば壁紙ローラー、及び/若しくはディスペンサー、又はその他のツールを使用して、表面に塗布されてもよい。物品を塗布するために適したツールは、スタインハート(Steinhardt)が発行した米国特許第6,808,586 B1号、米国特許出願公報第US2005/0092420 A1号、及び2006年4月28日に出願された米国特許出願シリアル番号第11/413,765号に記載される。物品を接着するために必要ないずれかの圧力は、手又はツールで加えられてもよい。該圧力は、物品上の単一経路又は2つ以上の経路で加えられてもよい。
【0133】
物品の作製方法
図2は、ドライカラーコンポーネント12の製造方法の非限定的な一実施形態の簡略化された概略図である。
【0134】
ドライカラーコンポーネントを作製するためのプロセスは、いずれかの適したインク及び印刷シリンダーを使用することができる。適したインクには、水性インク、溶媒系インク、UV硬化性インク、ヒートセット/熱硬化インク、又は連続階調印刷に適したその他のインク系が挙げられるが、これらに限定されない。適した印刷プロセスには、フレキソ、リソグラフィー、静電気、インクジェット、グラビア、又は印刷プロセスの目的を満たすのに適したその他のプロセスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
図2に示されるプロセスは、直接輪転グラビア印刷プロセスとして一般に知られている。プロセスは、液体有機溶媒系インク及び厚さ、被覆率、レオロジー、色、及び解像度に関して印刷されるインクに適した、クロムコーティングされ、機械的に掘り込まれた、又は化学的にエッチングされた印刷シリンダーを利用する。印刷シリンダーは、印刷インクリザーバから印刷基材の役割をする構造層にインクを置く。代替のグラビア印刷シリンダーは、セラミックコーティングされ、レーザー掘り込みされてもよく、又はその他の別の画像及び表面技術を使用してもよい。
【0136】
一実施形態において、インクは、#2ザーン(Zahn)カップ試験によって測定される場合、16〜28秒の粘度を有する。ザーン(Zahn)カップは、液体の粘度を測定するために、コーティング産業において広く使用される。これは、基本的に、底面に開けられた精密な開口部のあるステンレス鋼のディップチューブである。ユーザーは、流体がカップから空になるのに掛かる時間を計る。これは、センチポアズに変換することができ、又は、より一般的には「秒」で表現される。粘度の範囲によって異なる番号のカップがあり、#2が典型的なものである。測定するためのASTM標準法がある。ディップ型粘度カップ(Dip-Type Viscosity Cups)による粘度のASTM D4212試験方法である。
【0137】
ドライカラーコンポーネント12を作製するために使用される輪転グラビアプロセスは、適切な張力下でPETフィルムの連続ウェブを巻き出しスタンドUから巻き取りスタンドRに搬送すること、及び図2に示される8つの印刷ステーションのそれぞれの印刷ユニットに対して適切にウェブを配置するために追跡することを伴う。印刷システムは、所望の画像を基材上に印刷する印刷ヘッドPH及びインクを所望の溶媒保持レベルまで乾燥するオーブンを含む。乾燥オーブンの容量は、所望の溶媒保持レベル、インクに使用される溶媒のブレンドのコンポーネント、及びプロセスが実行される速度に関係する。
【0138】
その好ましい実施形態において、ドライカラーコンポーネントを組み立てるために数多くの印刷カラーが使用される。一般的に、1平方メートル当たり4グラム程度の白色不透明化インク層を印刷するために、最初の2つの印刷ユニットであるユニット1及び2が使用される。非常に明るい色及び白色度値を達成することを意図した別の実施形態において、印刷ユニット1、2、及び3において不透明化インクの3つの別個の層が連続して使用される。仕上がりの色によるが、2つ又は3つの不透明化インク層は、後続のプロセスにおいて加えられる接着剤の不透明度との組み合わせにおいて、99.3%より少ない所望の不透明度を達成するのに十分であるが、不透明化インクの追加の層が使用されてもよい。
【0139】
2つ又は3つの不透明化インク層が、PETフィルムと同一又は反対側に印刷されてもよい。印刷が実施される表面に関係なく、所望のインク接着を保証するために、表面処理が使用されてもよい。
【0140】
適切な数の不透明化層が印刷された後、ウェブは、所望の外観の特定の色のためのインク層により、印刷ユニット4及び5で更に印刷される。印刷カラー層は、適切な色及びインクの性能特性を保証するために、つや消し剤又はその他の添加剤を含んでもよい。
【0141】
印刷カラー層がそれらのそれぞれのオーブンで乾燥された後、適した色及び細部の視覚的に繰り返しではない図形を生成して表面被覆コンポーネントの使用目的に合わせるため、網版又はベンデイ(benday)印刷構造体が使用される。この図形は、印刷ヘッド6及び7に実装される、少なくとも2つの別個の印刷シリンダー掘り込みを必要とする。輪転グラビアプレスに8つを超える印刷ヘッドが備えられる場合、追加の印刷ヘッドが使用されてもよい。
【0142】
最後に、印刷ユニット8において、不透明化層及びカラー層の上につや消しトップコーティングが印刷される。このトップコーティングは、光沢、汚染抵抗、引っ掻き抵抗、及び製品の使用目的に合わせるために必要なその他の物理的特性の条件を満たすことを目的とする。
【0143】
前述のプロセスは、非平坦トップコート層の上に逆順で印刷された従来の構造体と比較して、実質的に平坦な構造体の表面を使用して、印刷品質(より鮮明、より一貫した印刷品質)のより優れた制御を提供してもよい。本構成の1つの利点は、光沢及び剥離が分離されるため、光沢を大幅に平らにする(低光沢)ことができ、かつ依然としてトップコートからの支持構造体の良好な剥離が維持されることである。
【0144】
図3に示されるように、支持構造体16は、(積層体がロール形状である場合に感圧性接着剤層を固定するために)接着剤剥離コート42を一側面に、剥離表面38をトップコート18と面する表面上に有して、別個に形成することができる。次いで支持構造体16は、トップコート18に剥離可能に接合することができる。また、感圧性接着剤層14は、別個に形成され、次いで構造層28に接合されてもよい。図3に示されるように、コンポーネントは、工程Aに続いて工程B、又は工程Bに続いて工程Aの順番のいずれかで接合されてもよい。
【0145】
本明細書に記載される物品及び方法は、製造利益を提供する。層は、厚い逆巻きのコーティングされた層の代わりに典型的に薄い印刷された層であるため、ライン速度が向上され得る。パターン及び色は、適切な印刷ステーションのシリンダー又はインクを交換することによって容易に変更することができる。更に、支持構造体16、ドライカラーコンポーネント12、及び接着剤14が別個に用意されてもよいため、積層等の方法を使用して様々な異なる完成物品を作出するために、それぞれの要素の在庫を維持し、それらを接合することによって、別個の要素の組み合わせにおける更なる柔軟性が達成され得る。
【実施例】
【0146】
第1の実施例は、カラー層(単数又は複数)により暗い色を有し、2つの染色された不透明化層及び灰色接着剤の単一層を使用する、基本系である。第2の実施例は、白色不透明化コーティング及び二重層PSA系の第3の層を含むカラー層(単数又は複数)により明るい色を有する系である。
【0147】
(実施例1)
東レ(Toray)PA−10 9μm二軸配向PETフィルムを含む基材フィルムは、米国ロードアイランド州ノースキングストン(North Kingston)にある東レ社(Toray Company)からを入手される。このフィルムは、その第1の表面を形成する共押出非晶質ポリエステルを有する。非晶質ポリエステル表面上に印刷又はコーティングが施される。本基材フィルムは、7つの別個の印刷ステーションを利用し、上述のグラビアプロセスによってコーティングされる。コーティングは、次の順序、不透明化層1、不透明化層2、カラー層1、カラー層2、グレインパターン層1、グレインパターン層2、及びトップコート層1で基材フィルムの第1の表面に塗布される。7つのコーティングが塗布された基材フィルムは、印刷された基材を含む。印刷された基材の第1の表面は、トップコート層であり、印刷された基材の第2の表面は、PET基材フィルムの第2の表面である。
【0148】
不透明化層は、PET基材フィルムの第1の表面上に連続してグラビア印刷される。2つの不透明化層のそれぞれは、乾燥重量ベースで1平方メートル当たり4グラムでコーティングされる。不透明化層は、アイオワ州デモイン(Des Moines)にある米国シーグワーク(Siegwerk)から入手される製品番号FSBH0U4DAを含む。本灰色コーティングは、シーグワーク(Siegwerk)FSBA9U0CW修飾F11NA白色及びFFLH1M46黒色ティントベースを含む。NAコーティングは、後続層のコーティング品質に影響を与える場合がある、より大きな粒子シリカつや消し剤又はポリエチレンワックスを含まないため、好ましい。コーティングは、ポリウレタン、TiO2、シリカ、色素、並びにブチルアセテート、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアセテート、及びn−プロピルアルコールを含む溶媒系を含む。不透明層の染色は、任意に調節されてもよい。カラーコート層は、不透明化層2の表面に連続して印刷される。2つのカラーコート層のそれぞれは、乾燥重量ベースで1平方メートル当たり2グラムでコーティングされる。カラーコート層は、製品番号FELB4A2LUであり、ポリウレタン、ニトロセルロース、シリカ、色素、並びにイソプロピルアルコール、n−プロピルアセテート、及びn−プロピルアルコールを含む溶媒系を含む、シーグワーク(Siegwerk)インク修飾シールテック(SEALTECH)R38(商標)クラシカル・ビスク(CLASSICAL BISQUE)(商標)コーティングを含む。
【0149】
グレインパターン層は、連続してカラーコート層2の表面上に印刷される。2つのグレインパターン層のそれぞれは、乾燥重量ベースで1平方メートル当たり1グラム未満のコート重量平均で印刷(不連続コーティング)される。グレインパターン層は、上述のシーグワーク(Siegwerk)インク修飾シールテック(SEALTECH)R38(商標)コーティングの変形、シーグワーク(Siegwerk)製品番号FELH3U8BY536グレー・グレイン(Gray Grain)1、及び製品番号FELQ3U9BYタン・ドット(Tan Dot)2を含むことができる。
【0150】
トップコート層は、グレインパターン層2の表面上に印刷される。トップコートは、その中に分散したシリカ粒子を有する熱可塑性アクリル樹脂の連続層を形成するために、乾燥重量ベースで1平方メートル当たり2グラムで印刷される。トップコート層は、エルバサイト(ELVACITE)(登録商標)2042(ルーサイト・インターナショナル(Lucite International)の製品、ポリ(エチルメタクリレート))、デグッサ(Degussa)TS−100シリカ、n−プロピルアセテート、及びエチルアセテートを含む、シーグワーク(Siegwerk)インク、製品番号FSBM0A0MTを含む。シリカは、所望のコーティング品質を達成するために、添加されてもよく、又は色及び不透明化層のいずれか若しくはすべてから除去されてもよい。
【0151】
次いで着色感圧性接着剤層は、1平方メートル当たりのコート重量が13〜20グラムで、ポリエステル支持材料に塗布される。PSAのドライフィルム厚さは、約0.45〜0.70ミル(11.4〜11.8μm)である。PSAは、転写積層によって前述の印刷された基材フィルムの第2の表面に塗布され、PSAの未処理ポリエステル基材への接着を向上するために、第2の表面のコロナ処理が用いられてもよい。PSAは、エイベリー・デニソン社(Avery Dennison Corporation)から製品番号S−3526で入手可能であり、PSAの製剤は、次のとおりである(100重量分の1の数値で)。
【0152】
【表4】

【0153】
PSA及び転写ライナーの前記印刷された基材フィルムの第2の表面への積層に続き、印刷された基材フィルムの第1の表面に高極性剥離剤コーティングが塗布される。剥離剤コーティングは、以下のコンポーネントからエタノール/水溶液中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートのコポリマーとして調製される。
【0154】
【表5】

【0155】
剥離コート材料は、反応槽で混合し、80℃の温度で加熱することによって重合される。オルギン(Holguin)の米国特許第6,653,427号の実施例26に記載されるものと同様のプロセスで高分子フィルムを調製するために、異なる時間間隔で脱イオン水及び過硫酸ナトリウムを含む少量の反応開始剤が該内容物に混合される。重合した後、pHを中性に調節する。ダイコーティング作業により、高極性コーティングがトップコート層に塗布され、続いて溶媒系を除去するために乾燥される。高極性剥離剤コーティングは、乾燥坪量で1平方メートル当たり3グラムで印刷された基材フィルムの第1の表面に塗布される。
【0156】
PET支持材料シートは、シリコーン剥離剤コーティングを有する第1の側面の上にコーティングされる。これは、上述の接着剤剥離コート層に対応する。シリコーンコーティングされたライナーの厚さは、0.92ミル(23.4μm)であり、三菱(Mitsubishi)92ゲージ2SLKを含む。
【0157】
感圧性接着剤は、ダイコーティングにより1平方メートル当たり5グラムのコート重量で、PET支持材料シートの第2の側面の上にコーティングされる。次いでPSAコーティングされた支持材料シートは、印刷された基材フィルムの第1の表面上にすでに塗布された高極性剥離剤コーティングの上に積層される。PSAは、エイベリー・デニソン社(Avery Dennison Corporation)から製品番号S−8860で入手可能であり、溶媒系接着剤である。
【0158】
(実施例2)
実施例2では、追加の不透明化層が含まれ、感圧性接着剤の2つの着色層が使用される。実施例2では、以下を除き、実施例1に記載されるプロセスに従う。SKC SP−91 9μmクリアPETを含む基材フィルムは、上述、8つの別個の印刷ステーションを利用してグラビアプロセスによってコーティングされる。コーティングは、以下の順序、不透明化層1、不透明化層2、不透明化層3、カラー層1、カラー層2、グレインパターン層1、グレインパターン層2、及びトップコート層1で第1の基材フィルムの第1の表面に塗布される。8つのコーティングが塗布された基材フィルムは、印刷された基材を含む。カラーコート層は、不透明化層3の表面に連続して印刷される。
【0159】
本実施形態において、2つの着色感圧性接着剤層は、次いで支持材料への二重ダイコーティングプロセスによって1平方メートル当たり30グラムの総コート重量でポリエステル支持材料に塗布される。2つの層は、実施例1に記載される高度着色白色PSA製剤及び灰色着色S−3526PSAからなる。二重層PSAコーティングは、コート重量ベースでの白色PSA対灰色PSAが1.5:1の比率を有する。二重層PSAのドライフィルム厚さは、約0.6〜0.76ミル(15.2〜19.3μm)である。二重層PSAの白色PSA側は、転写積層によって印刷された基材フィルムの第2の表面に塗布される。白色PSAのための製剤は、次のとおりである(100乾燥重量分の1の数値で)。
【0160】
【表6】

【0161】
高極性剥離コート系及びPET支持材料シートは、実施例1のように印刷された基材に塗布される。
【0162】
実施例1及び2における積層体のコンポーネントのドライフィルム厚さは、次のとおりである。
【0163】
【表7】

【0164】
(実施例3〜12)
実施例3〜12は、実施例1又は2のいずれかと同様の方法で用意され、以下の表に示される値のドライフィルム厚さ及び硬さであるコンポーネントを有する。
【0165】
【表8】

1白色接着剤層
2灰色接着剤層
【0166】
(実施例13〜15)
ドライカラーコンポーネントは、実施例1と同一の方法で用意される。本実施例において、剥離剤コーティングは、熱活性ポリマーブレンドを含む。
【0167】
ドライカラーコンポーネントの形成から分離し、PET支持材料シートは、シリコーン剥離剤コーティングを有する第1の側面の上にコーティングされる。これは、上述の接着剤剥離コート層に対応する。シリコーンコーティングされたライナーの厚さは、0.75ミル(19.0μm)であり、三菱(Mitsubishi)75ゲージ2SLKフィルムを含む。
【0168】
実施例13では、接着を改善するために、修飾ポリエチレンイミン分散(米国コネチカット州シェルトン(Shelton)にあるマイカ社(Mica Corporation)のMica A−131−X)が1平方メートル当たり0.02〜0.06グラムで、PETの非シリコーン側にプライマーとしてグラビアコーティングされる。PETの非シリコーン側は、プライマーを塗布する前に、コロナ処理されてもよい。典型的な処理は、コーティング速度400〜600fpm(2.03〜3.05m/s)及びフィルム幅が34”〜66”(86.4〜167.6cm)で、3〜4kWである。あるいは、ビニルアセテート含有量が28%のエルヴァックス(Elvax)260を含むEVA結合層が、上記のプライマーの代わりに使用されてもよい。次いで熱活性ポリマーは、プライマー又は結合層の上に共押出コーティングされる。プラストマーの押出溶解温度は、550°F〜650°F(288〜343℃)であり、好ましい温度は、およそ600°F〜615°F(316〜324℃)である。熱活性ポリマーは、低密度ポリエチレンである50%のシェブロン・フィリップス(Chevron Philips)マーフレックス(MARFLEX)(商標)1017とエチレン・ヘキセンコポリマーである50%のエクソンモービル(ExxonMobil)エクザクト(EXACT)(商標)プラストマー3139のブレンドである。押出被覆空隙は、熱酸化の量によって最終的な支持材料の剥離力に影響を与えることができる。ダイのへりと、押出被覆プロセスのゴムロールと冷却ロールとの間のニップとの間を測定した空隙を5インチ(13cm)に設定することによって、0.12N/cm〜0.14N/cm(60〜70g/2インチ(5cm))の最適な剥離力が得られた。空隙量及び酸化量を適切に調節することによって、これと同一範囲の剥離力を得るために、マーフレックス(MARFLEX)(商標)1017の純ブレンドを使用することができる。
【0169】
実施例14では、50〜96%のダウレックス(Dowlex)2045LLDPEを有する、わずかに極性の熱活性ポリマー及びデュポン(DuPont)エルバロイ(ELVALOY)(商標)1820C(20%のメチルアクリレートを有するエチレン・メチルアクリレート)の残部を熱活性ポリマーとして使用した。熱活性層の総コーティング厚さは、約0.5ミル(12.7μm)である。
【0170】
実施例15では、ビニルアセテートの含有量が26%のEVAの結合層が、ビニルアセテートを2%〜5%有する95〜98%のLDPE又はLLDPEを含むEVAコポリマーとともに、PET支持材料シートの第2の側面の上に共押出される。適した材料には、米国テキサス州ウッドランド(Woodland)にあるシェブロン・フィリップス(Chevron Phillips)のマーフレックス(MARFLEX)(商標)1017LDPE、米国ミシガン州ミッドランド(Midland)にあるダウ・ケミカル(Dow Chemical)のダウレックス(Dowlex)2045若しくは2035LLDPE、又は米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)にあるデュポン(DuPont)のエルヴァックス(Elvax)750(ビニルアセテート9重量%)若しくはエルヴァックス(Elvax)550(ビニルアセテート15重量%)が挙げられる。好ましいやり方は、83.3%のダウレックス(Dowlex)2035と16.7%のエルヴァックス(Elvax)550をブレンドし、VA含有量が2.5%のブレンドを作製することである。
【0171】
上記で作製された支持材料シートは、次いで約275°F〜325°F(135℃〜163℃)の温度でドライカラーコンポーネントに加熱積層される。1つのコンポーネントがもう一方のコンポーネントに加熱積層される場合、固着は、少なくともコンポーネントの1つが別のコンポーネントの表面上に少なくとも部分的に融解(又は溶解)する場所に形成される。積層中、ニップは正停止で設定される。使用される圧力は、ロールがこの固定されたニップ点から分離するのを防ぐのに十分である。正ニップの使用は、圧力が組成物及び加熱されたスチールロールによるゴムロールの湾曲に基づくことを意味する。代表的な加工条件は、1000分の10〜1000分の20インチ(254μm〜508μm)の湾曲及び65又は85ジュロ硬度のゴムロールを使用する。圧力は、およそ172〜620kPa(25〜90psi)であるが、剥離力及び接着を制御するために、必要に応じて調節されてもよい。更に、当業者は、支持フィルムのコーティング組成物、積層ドラム温度、ニップ前に加熱されたドラムに巻き付く量、ニップ後に加熱されたドラムに巻き付く量、又は加熱されたドラムのゴムロールへの湾曲量を調節することによって支持材料シートの固着品質を制御する能力を理解するであろう。
【0172】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0173】
本明細書を通じて、所与のあらゆる最大数値限定は、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように、より小さい全ての数値限定を含むと理解されるべきである。本明細書全体を通じて、所与のあらゆる最小数値限定は、そのようなより大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように、より大きい全ての数値限定を含む。本明細書全体を通じて、所与のあらゆる数値範囲は、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように、そのようなより広い数値範囲内に入る、より狭い全ての数値範囲を含む。
【0174】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0175】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0176】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるかようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築表面に色の層を塗布するための多層ミクロ整合積層体であって、
前記積層体は、
外側表面を有するドライカラーコンポーネントであって、
室温で実質的に非エラストマーである予め形成された軸配向半結晶性高分子フィルムを含む可撓性構造層であって、第1の表面及び第2の表面を有する可撓性構造層と、
該構造層の該第1の表面上に位置する1つ以上のカラー層及び/又は印刷コート層を含む可撓性ドライカラー要素であって、該1つ以上のカラー層は、樹脂結合剤及び色素を含む可撓性ドライカラー要素と、
を含むドライカラーコンポーネントと、
前記構造層の該第2の表面上に位置する、該積層体を建築表面に接着するための感圧性接着剤層と、
該ドライカラーコンポーネントの該外側表面上に位置する可撓性一時的支持構造体であって、前記支持構造体は、該ドライカラーコンポーネントの該外側表面と接触している剥離層を含み、該支持構造体は、該支持材料が該ドライカラーコンポーネントから剥がされる際、該ドライカラーコンポーネントの外側表面を暴露するために、室温で該ドライカラーコンポーネントから剥離できる可撓性一時的支持構造体と、
を含み、
該ドライカラーコンポーネント及び該接着剤層は、3ミル未満の一体厚さを有し、該ドライカラーコンポーネント及び該接着剤層は、合わせて0.95以上の不透明性指数を有し、該構造層は、0.60ミル未満の厚さを有し、該積層体は、10ミリニュートン(mN)以上かつ20mN以下の曲げ剛性を有する、
ことを特徴とする多層ミクロ整合積層体。
【請求項2】
前記可撓性構造層は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアミドからなる群から選択される高分子フィルムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ドライカラーコンポーネントは、前記構造層とカラー層及び/又は印刷コート層の1つ以上との間に有色素不透明化層を含み、前記積層体は、側端部を有し、該不透明化層の色相及び色値は、該積層体の該端部の視覚認知を低減するために該不透明化層と前記1つ以上のカラー層及び/又は印刷コート層との間の色差を最小化するように調節されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記剥離層は、前記暴露された外側表面の光学面特性に実質的に影響を与えることなく前記ドライカラーコンポーネントの該外側表面から分離することができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記剥離層は、前記支持材料に固着され、前記ドライカラーコンポーネントの前記外側表面上で少なくとも部分的に溶解した熱活性剥離コートを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記剥離層は、前記ドライカラーコンポーネントの前記外側表面上にコーティングされていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記剥離コートは、前記ドライカラーコンポーネントの前記外側表面に対して本質的に不粘着の接着をもたらすポリマーブレンドを含むことを特徴とする、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記剥離層は結合層を更に含み、該結合層は、次の方法、すなわち(a)前記剥離コート及び該結合層が共押出される、(b)該剥離コートが押出される、及び(c)該剥離コートが該結合層上に押出される、のうちの1つの様式で、該剥離コートを前記支持材料に固着していることを特徴とする、請求項6又は7に記載の積層体。
【請求項9】
前記剥離層は、次の、ポリエチレン、ビニルアセテート、エチレン・ビニルアセテート、エチレン・ヘキセン、エチレン・オクタン、エチレン・メチルアクリレート、ポリオレフィン、又はこれらの混合物のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項10】
前記剥離層の引き剥がしを開始するための開始力と、該剥離層の該引き剥がしを完了するための後続剥離力とが存在し、該剥離層を引き剥がすための該開始剥離力は、該剥離層を引き剥がすために必要な該後続剥離力より大きく、該剥離層は、前記上に位置する支持材料シートに十分に接着され、該剥離層の該支持材料シートからの層間剥離に耐えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
前記支持材料は、4℃〜40℃未満の温度で50%未満伸張することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項12】
前記ドライカラーコンポーネント及び前記感圧性接着剤層を組み合わせた前記構造層は、(a)少なくとも300MPaの引っ張り係数、(b)0.1%〜5%未満の伸張性、及び/又は(c)前記支持材料がない状態で1gm/cm以下の硬さを有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項13】
前記支持構造体がある状態で4gm/cmを超える硬さを有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項14】
少なくとも6のミクロ整合性スコアを有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
「塗料様感触」基準において3以上を達成することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項16】
建築表面に色の層を塗布するための多層ミクロ整合積層体であって、該積層体は、
(a)3.3ミル未満の厚さを有する可撓性表面被覆コンポーネントであって、
(1)4.5〜12ミクロンの厚さを有する予め形成された独立型軸配向高分子フィルムを含む構造層であって、該フィルムは、変色の原因となる色素又は染料が塗装建築表面から該構造層を通って移染することを防ぎ、前記構造層は、室温で実質的に非エラストマーである、構造層と、
(2)該構造層の前記第1の表面上に位置する1つ以上のカラー層と、該1つ以上のカラー層上に位置する実質的に透明なトップコート層とを含む、可撓性ドライカラー要素であって、該1つ以上のカラー層は、樹脂結合剤及び色素を含む、可撓性ドライカラー要素と、
(3)該ドライカラー要素とは該構造層の反対側にあり、該表面被覆コンポーネントを建築表面に接着するための感圧性接着剤層と、
を含む表面被覆コンポーネントと、
(b)該ドライカラー要素の該トップコート表面上に位置する可撓性一時的支持フィルムであって、0.5〜2ミルの厚さを有し、支持材料と、該支持体材料に固着される実質的に不粘着性の乾式剥離層とを含み、該支持材料が該表面被覆コンポーネントを担持するために十分な程度の接着を有する接触面に沿って該トップコート層と接触し、かつ該剥離層と該トップコートとの間に相互作用がない接触により、該接触面に沿った該トップコートの外側の光学面特性は、該一時的支持フィルムが該表面被覆コンポーネントから剥がされて、次に該感圧性接着剤層によって建築表面に接着された際の、該剥離コートとの先の接触によって実質的に影響を受けないようにしている、可撓性一時的支持フィルムと、
を含むことを特徴とし、
該積層体は、10ミリニュートン(mN)以上かつ20mN以下の曲げ剛性を有することを特徴とする、多層ミクロ整合積層体。
【請求項17】
前記剥離層は、次の、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、並びにポリビニルアセテートのポリマー類及びコポリマー類のうちの1つ以上、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項16に記載の積層体。
【請求項18】
前記剥離層の材料は、次の、
(a)前記トップコート材料の極性を上回る極性を有する親水性材料、
(b)溶媒中に分散し、該溶媒が該トップコート層を溶解することなく、該トップコート層と接触する、乾燥した高分子材料、
(c)該剥離層と前記一時的支持材料との接着より低い接着強度で該トップコートに接着される、実質的に無溶媒の高分子材料、又は
(d)該トップコート材料の極性より低い極性を有する材料、のうちの1つであることを特徴とする、請求項16に記載の積層体。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−505659(P2010−505659A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531428(P2009−531428)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/021200
【国際公開番号】WO2008/042397
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【出願人】(505307507)エイブリー デニソン コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】