説明

表面修飾した網状フィラメント構造体およびその組成物

本発明は、網状フィラメント糸または微孔質発泡体等の表面修飾構造体をフラッシュ紡糸することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
網状フィラメント糸または微孔質発泡体等の表面修飾した構造体のフラッシュ紡糸に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に記載される通り、用語「網状フィラメント糸」は、約4ミクロン未満の平均フィルム厚と25ミクロン未満のフィブリル幅の中央値とを有し、通常、同様の広がりを有して糸の縦軸と位置合わせをした任意の長さの、三次元一体網状の薄状、リボン様、フィルムフィブリルの素子からほぼなる形態を特徴とする糸またはストランドを意味する。網状フィラメント糸において、フィルムフィブリル素子は、三次元網状を形成する糸の、長さ、幅、厚さの至る様々な箇所において、断続的に結合し、不規則な間隔で分離する。
【0003】
網状フィラメント糸は、ポリエチレンまたは他のポリマーをフラッシュ紡糸して製造される。フラッシュ紡糸は、当技術分野において、網状フィラメント糸およびそれらによって形成される不織布や微孔質発泡体を調製する方法として、公知である。網状フィラメント糸か微孔質発泡体のどちらを獲得するかは、以下に記載の紡糸方法の詳細により決まる。フラッシュ紡糸において、ポリマー(通常、ポリエチレン)は、紡糸剤として公知である非溶剤中に分散する。上記のように生成される分散体は、その後、高温、高圧にさらされ、均質溶液を生成した後、該溶液は、低圧力でオリフィスに供給される。オリフィスにおいて、かなり加圧された溶媒相は、分離し、急速に気化し、網状フィラメント糸もしくは微孔質発泡体でありうる独自の三次元構造体を残す。
【0004】
網状フィラメント糸および微孔質発泡体の形態と、網状フィラメント糸および微孔質発泡体を調製するための手段は、特許文献1に記載され、それは本明細書の一部として、その完全な形で組み込まれている。不織布の形成における網状フィラメント糸の使用は、特許文献2および特許文献3に記載されている。網状フィラメント糸は、主に、フラッシュ紡糸した高密度ポリエチレン不織布、最も卓越したものとしてタイベック(Tyvek)(登録商標)不織布(デュポン・カンパニー(DuPont Company)により製造)の形態において、広範囲に及ぶ商業価値を発見している。
【0005】
他のポリマーを単独またはポリエチレンと組み合わせて使用することにより、フラッシュ紡糸ポリエチレンの特性のうち1つまたは別の改良を達成することを目指して尽力する報告が、当技術分野において、しばしばされている。例えば、特許文献4は、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンドのフラッシュ紡糸を開示する。別の例において、特許文献5は、部分的にフッ素化した共重合体(例、フッ化ポリビニリデンまたはエチレン/テトラフルオロエチレン)と12〜30重量%のポリエチレンのブレンドのフラッシュ紡糸を開示する。
【0006】
フラッシュ紡糸ポリエチレンにおける改良した特性を達成する別の試みにおいて、特許文献6は、網状フィラメント糸やそれらから形成される不織布の表面上にいわゆる有機改質剤のグラフトを誘発する放射線を開示する。適切な有機改質剤として、完全におよび部分的にフッ素化されたモノマーをはじめとするエチレン系不飽和モノマーが挙げられる。不飽和および飽和ポリマーも含まれる。特許文献7において、無水マレイン酸−ポリエチレングラフトが、エチレン/ビニルアルコール共重合体のための改質剤として用いられている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,081,519号明細書
【特許文献2】米国特許第3,169,899号明細書
【特許文献3】米国特許第3,442,740号明細書
【特許文献4】米国特許第6,004,672号明細書
【特許文献5】米国特許第6,136,911号明細書
【特許文献6】英国特許第891,944号明細書
【特許文献7】米国特許第6,096,421号明細書
【非特許文献1】カーク・オスマー工業化学百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第4版、17巻、353〜355頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面修飾した網状フィラメント構造体(例、網状フィラメント糸、微孔質発泡体または不織布等)、および上記構造体を調製する際に有益な組成物および方法を提供する。有益な組成物は、1〜25モル%のペンダント官能基を有するポリマーを含有する。
【0009】
本発明は、さらに、紡糸剤と、0〜95重量%の第一ポリマーと5〜100重量%の第二ポリマーを組み合わせたポリマー混合物とを含有する紡糸混合物を生成し、紡糸混合物をその自己圧力を超える圧力まで加圧して、紡糸混合物の自己圧力より低い圧力および、紡糸剤がその領域にさらされると気化する温度にある領域内に、開口部を通して、混合物を押出すための方法を提供する。第一ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステル、それらの混合物よりなる群から選択される。第二ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステル、それらの混合物よりなる群から選択される。第二ポリマーは、さらに、1〜25モル%のペンダント官能基を含有する。
【0010】
脂肪族炭化水素、フッ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびハイドロフルオロカーボンよりなる群から選択される紡糸剤と、0〜95重量%のポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートと5〜100重量%の機能性ポリマーを含有するポリマー混合物とを含んでなる混合物が、さらに、本発明により提供され、上記機能性ポリマーは、フッ化炭化水素基とオキシエチレン基よりなる群から選択される1〜25モル%のペンダント官能基を有するポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートである。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本発明は、フラッシュ紡糸構造体、最も具体的にはフラッシュ紡糸ポリエチレンに、安定した表面修飾を導入するための方法を提供する。本発明の特定の実施形態において製造されるフラッシュ紡糸網状フィラメント糸が、それらの容積濃度より約10倍高い表面修飾した種類の表面濃度を呈することは、特に驚くべきことである。本発明の方法は、フラッシュ紡糸網状フィラメント糸の表面を修飾して、表面に莫大な可能性のある機能性を提供するために、一般に適用することが可能である。
【0012】
一実施形態において、最小限に抑えられた表面張力が、表面に高濃度のフッ素が存在するフラッシュ紡糸構造体に、提供される。別の実施形態において、改良された粘着力が、表面上に高い酸素濃度を有するフラッシュ紡糸構造体に、提供される。多くの他の実施形態が、また想定される。これらには、生物学上的に活性な表面を有するフラッシュ紡糸構造体が含まれる。例えば、第二ポリマーは、ビタミン、医薬品または栄養素を含んでなるペンダント官能基を備えうる。さらなる実施形態において、第二ポリマーは、酸性染色性の染色部位を含んでなるペンダント官能基を備えうる。またさらなる実施形態において、第二ポリマーは、除草剤、殺菌・殺カビ剤、もしくは抗生物質含んでなるペンダント官能基を備えうる。さらに、さらなる実施形態において、第二ポリマーは、アミノ基と反応して、表面上のタンパク質を固定化しうるエポキシド機能性(functionality)または他の機能性を備えうる。全ての場合において、表面上に提供される機能性は、付加されたペンダント官能基により、ポリマー構造体自体に組み込まれ、安定である。
【0013】
本発明の目的上、用語「官能基(functional group)」および「機能性(functionality)」等の関連する用語は、官能基が存在しない状態で(つまり官能基を全く備えないポリマーの主鎖によって、もしくは単に化学的に同様なペンダント官能基を有するポリマーの主鎖によって)提供されないいくつかの機能をフラッシュ紡糸構造体の表面に提供する化学基を意味する。ペンダント官能基に所望の機能性を有することが、フラッシュ紡糸構造体の表面上に、優れた加工性を提供し、所望の機能性をかなり集中して局在させることは、特に驚くべき本発明の態様である。用語「機能性ポリマー」は、本発明の第二ポリマー、つまり本発明に係るいくつかの特定な機能性を提供するペンダント官能基を備えるポリマーを意味する。
【0014】
本発明の方法に基づいて提供されるフラッシュ紡糸構造体は、網状フィラメント糸もしくは微孔質発泡体のどちらかでありうる。
【0015】
本発明において、混合物は、約0〜95%、好ましくは約70〜95%、最も好ましくは約75〜90重量%の第一ポリマーと、約5〜100%、好ましくは約5〜30%、最も好ましくは約10〜25重量%の第二ポリマーを組み合わせて生成される。ほとんどの状況下において、第二ポリマーは、第一ポリマーよりも高価であるので、所望の表面効果の達成と合致する最小量の第二ポリマーを使用することが望まれうる。本発明において、第二ポリマーが、約5〜30%、好ましくは約10〜25重量%の範囲で存在する場合、所望の効果が実現されることが多い。
【0016】
本発明の驚くべき利益のひとつは、第二ポリマーがポリマーの総重量の約5〜30%、好ましくは約10〜25重量%存在する場合、表面改質剤の容積濃度に対する表面比率が非常に高いことでわかるように、表面上に存在する驚くべき高濃度の表面改質剤である。第二ポリマーが、利用される紡糸組成物の全てもしくはほぼ全てに相当するならば、この非常に所望される結果は、達成されない。ゆえに、本発明は、100%もしくはほぼ100%の第二ポリマーで、実施可能であるが、本発明により提供される最大の利益は、上記の濃度の第二ポリマーでは実現されない。
【0017】
第一ポリマーは、付加ポリマーもしくは縮合ポリマーでありうる。付加ポリマーの中で、ポリ炭化水素、具体的に直鎖のポリエチレンおよびポリプロピレンが、好適である。低密度ポリエチレンや直鎖の低密度ポリエチレンをはじめとする他の型のポリエチレンも含まれる。使用されうる他の付加ポリマーとして、ポリメチルペンテン、エチレン系不飽和コモノマー(例、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルエチレンおよびポリアクリロニトリルをはじめとするアクリル酸エステルやアクリル酸等)との共重合体が挙げられる。本発明の実施に適切な縮合ポリマーとして、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリウレタン、およびポリカーボネートが挙げられる。適切なポリエステルとして、これに限定しないが、ポリエチレンテレフタラート(2GTポリエステル)、テレフタル酸ポリプロピレン(3GTポリエステル)、テレフタル酸ポリブチレン(4GTポリエステル)、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、および再循環した2GTおよび4GTポリエステルが挙げられる。好適なポリマーとして、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらの共重合体等)やポリエステルが挙げられる。本発明の第一ポリマーとしての使用に好適なのは、ポリエチレンであり、高密度ポリエチレンを有するポリエチレンテレフタラートが、最も好適である。
【0018】
特定の所望の特性に応じて、紡糸組成物中に、僅かな量の他のポリマー(例、これに限定しないが、分枝ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、塩化ポリビニル、または酢酸セルロース等)を組み込むことは、有利であると判明されうる。
【0019】
ASTM D−1238Eに従って、約0.3〜30g/10分のメルト・インデックス、好ましくは約0.5〜10のメルト・インデックスが、本発明において第一ポリマーとしての使用に適切なポリオレフィンの特徴となる。フェノールとテトラクロロエタンの1:1の混合物中において、20℃で0.5%の固溶体で測定された通り、約0.5〜2.5、好ましくは約1.0〜1.7の固有粘度が、本発明において第一ポリマーとしての使用に適切なポリエステルの特徴となる。
【0020】
第二ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステルのうちの1種またはそれ以上であってよく、約1〜25モル%、好ましくは約5〜15モル%のペンダント官能基を含有する。所望の官能基は、第二ポリマーの炭化水素の主鎖に付加する位置を提供するように、修飾されやすいのが望ましく、官能基が、フラッシュ紡糸実施中に、減炭反応、架橋、または他の望ましくない反応を受けるのは望ましくない。第二ポリマーに組み込まれることが可能なペンダント官能基の割合は、個々のペンダント官能基によって、かなり変わりうる。ゆえに、エチレン系不飽和フルオロオレフィンが、ポリエチレンポリマー上にグラフトされる場合(下に記載)、約25モル%ものメチレン基が、グラフト部位として働く。しかしながら、他の種(例、無水マレイン酸等)に関しては、より少ないメチレン基(例、約4モル%)が、グラフト部位として働きうる。
【0021】
好適なペンダント官能基は、フッ素化されたオレフィン基およびオキシエチレン三量体である。オキシエチレンが、粘着力の改善に関係し、一方、フッ素化されたオレフィン基が、低下した表面の湿潤性に関係することが認識されうる。さらに好適な実施形態において、官能基が懸垂する主鎖は、ポリエチレンである。
【0022】
好適な一実施形態において、本発明の紡糸混合物は、脂肪族炭化水素、フッ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびハイドロフルオロカーボンよりなる群から選択される紡糸剤と、約0〜95重量%のポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートと約5〜100重量%の機能性ポリマーとを含んでなるポリマー混合物との混合物であり、機能性ポリマーは、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートであり、フッ化炭化水素基およびオキシエチレン基よりなる群から選択される約1〜25モル%のペンダント官能基を含有する。
【0023】
本発明の実施に適切な機能性ポリマーを調製する一方法は、フリーラジカルグラフトによる。適切なグラフト共重合体は、主鎖に沿って引き抜き可能な水素を有するポリマー上でのフリーラジカル作用により、生成されうる。ポリマーの主鎖に少なくとも約50モル%のメチレン単位を有するポリマーが、特に適切である。オレフィン系ポリマーが、最も適切である。ポリエチレン、ポリプロピレン、およびそれらの共重合体、さらに、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよび酢酸ビニルとエチレンとの共重合体、およびそれらのターポリマーが、好適である。ポリエチレンが、最も好適である。
【0024】
フリーラジカルグラフト反応は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンまたはジメチルアセトアミド等の溶剤中で、ポリマーの溶解度と開始剤の分解温度に応じて、およそ室温(約25℃)〜250℃の温度範囲の温度で、都合よく起こる。最も好適な範囲は、約80℃〜130℃である。不活性雰囲気は、酸素とのフリーラジカル反応を回避するために必要である。窒素とアルゴンは、適切な大気である。フリーラジカルの源が、フリーラジカル開始剤であるのが好ましい。適切な例として、無機過酸化物や有機過酸化物、およびアゾ化合物が挙げられる。有機過酸化物が好適であり、t−ブチルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドが、最も好適である。使用される開始剤の量は、ポリマーの約1〜20重量%であり、約5〜10重量%であるのが好ましい。
【0025】
適切なポリマーは、約3,500〜1,000,000ダルトン、好ましくは約8,000〜250,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有し、適切な開始剤および1種またはそれ以上のグラフトモノマーと適切な溶剤中で混合される。好適なグラフトモノマーは、非単独重合性モノマーであり、つまり、低級のオリゴマー化が起こるかもしれないが、グラフトモノマーは、フリーラジカルの存在において、容易に重合されない。第二ポリマーは、約1〜25モル%、好ましくは約5〜15モル%、ペンダント官能基でグラフトされたグラフトポリマーであってよく、ペンダント官能基は、第二ポリマーの主鎖に鎖−グラフトされている。
【0026】
第二ポリマーを生成するグラフトのための適切なモノマーとして、フルオロオレフィン、オキシエチレン、二基置換エチレン(例、無水マレイン酸等)およびビニルシランが挙げられる。好適なモノマーとして、パーフルオロアルキルオレフィン(例、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、またはパーフルオロアルキルエチレン等)、パーフルオロビニルエーテル(例、パーフルオロメチル、エチル、またはプロピルビニルエーテル等)が挙げられる。以下の式を有するパーフルオロビニルエーテルが特に好適である。
CF=CF−O−[CFCF(R)O]- CFCF−Q
式中、Rは、Fまたは1〜6個の炭素を有するフルオロアルキル基であり、n=0〜2、Qは、−SOXまたは−Yであってよく、式中、Xは、Fまたは−Oを表し、式中、Mは、水素またはアルカリ金属であり、Yは、−CHOH、−CN、−CONH、またはCOOを表し、式中、Mは、水素またはアルカリ金属である。非イオンモノマーを最初にグラフトして、次に、イオン状態にグラフトした後に加水分解するのが、都合よいことが判明されている。
【0027】
二基置換エチレン(例、無水マレイン酸およびそのエステル等)、アルキル、アルコキシ、フェニル、ハロ(特に、クロロ)、および水素置換基、またはそれらのいずれかの組み合わせを含有するビニルシラン、およびグラフト反応を干渉しないいずれかの官能基(例、ハロゲン等)を有するオレフィン、エーテル、カルボン酸およびエステルをはじめとする、4個を超える炭素原子を有する末端オレフィンも適切である。
【0028】
本発明の実施に適切な機能性ポリマーを調製する別の方法は、アクリルポリマー、好ましくはアクリルまたはメタクリルエステルモノマーとエチレンとの共重合体、最も好ましくは約2〜30重量%のアクリルモノマーを含有する、エチレン−アクリル酸メチルおよびエチレン−メタクリル酸メチル共重合体のエステル交換反応を伴う。上記の方法において、ポリマーは、アルコールと反応して、以下の反応に従って、ポリマーに官能ペンダント官能基を導く。
【0029】
【化1】

【0030】
エステル交換反応は、溶剤(例、トリクロロベンゼン等)中で、約100〜250℃の温度範囲で、都合よく実施される。最も好適な範囲は、約180〜220℃である。不活性ガスの除去により、低沸点のアルコール副産物が都合よく除去できる。窒素およびアルゴンは、適切な不活性ガスである。典型的なエステル交換反応の触媒(例、ルイス酸等)は、反応に適切である。好適な触媒として、チタン(IV)n−ブトキシドが挙げられる。上記の転移に使用するアルコールは、ポリマーで所望される機能性に応じて異なる。例えば、極性基を有するアルコールは、親水性ポリマーを付与しうるが、フッ素化アルコールは、疎水性や疎油性を付与しうる。適切なアルコールとして、沸点が最も高いアルコールが挙げられる。好適なアルコールとして、2−パーフルオロアルキルエチルアルコール、1−パーフルオロアルキルメチルアルコール、2−エトキシエタノール、ジ(エチレングリコール)モノエチルおよびモノメチルエーテル、およびトリ(エチレングリコール)モノエチルおよびモノメチルエーテルが挙げられる。
【0031】
勿論、第二ポリマーは、適切に官能基化されたオレフィンモノマーと、オレフィン(例、エチレン、プロピレンおよび/または他のオレフィン等)との共重合により、簡単に合成できる。
【0032】
本発明は、フラッシュ紡糸した糸の表面の湿潤性および粘着性を変えるために、その表面修飾を第一に目的とするが、第二ポリマーのペンダント官能基に、多くの他の機能性を組み込むことが可能であり、それによりフラッシュ紡糸製品に他の新規な特性を付与する。上記には、酸性染料受容体部位;フラッシュ紡糸後、イオン交換もしくは超酸触媒部位を提供するために、当技術分野において公知の方法に基づいて容易に加水分解できる、フッ化フルオロスルホニル基の組み込み;殺生機能を提供するための第4級アンモニウム官能基の組み込み;および糸の表面にタンパク質を固定化するための、アミン、カルボン酸、エポキシまたはトシル官能基の組み込みが、含まれる。
【0033】
第二ポリマーは、第一ポリマー、フラッシュ紡糸ポリマーと適切な紡糸剤中で混合され、全紡糸組成物の約5〜30重量%、好ましくは約10〜25重量%の第二ポリマーの濃度を有する紡糸混合物を生成する。
【0034】
第一および第二ポリマーを、ブレンドを形成するために紡糸剤中に組み込む前に、溶融ブレンドや所謂ドライブレンドまたはタンブリングをはじめとする当技術分野において公知の手段によって、混合してもよい。しかしながら、第一および第二ポリマーを紡糸剤と混合して紡糸混合物を生成する工程で、第一および第二ポリマーを混ぜ合わせるのが、通常申し分のない方法である。典型的な実施形態において、紡糸混合物は、約5〜30%の固体を含有し、その正確な量は、ポリマーの分子量、紡糸剤の選択、特に紡糸条件を考慮して決定される。
【0035】
適切な紡糸剤として、芳香族炭化水素(例、ベンゼンやトルエン等)、脂肪族炭化水素(例、ブタン、ペンタン、オクタン、およびそれらの異性体や同族体等)、脂環式炭化水素(例、シクロヘキサン等)、不飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素(トリクロロフルオロメタン、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化エチル、塩化メチル等)、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、ニトリル、アミド、フッ化炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、不活性ガス(例、二酸化硫黄や二酸化炭素等)、二硫化炭素、ニトロメタン、水、および上記の液体の混合液が挙げられる。ポリオレフィンと共に用いるのに好適な紡糸剤は、脂肪族炭化水素およびフッ化炭化水素である。ポリエステルに好適な紡糸剤は、ハロゲン化炭化水素およびハイドロフルオロカーボンである。共紡糸剤は、上記の第一紡糸剤と共に用いて、静電的帯電を改善しおよび/または溶解力を最小に抑えることが可能である。
【0036】
他の適切な紡糸剤の例は、米国特許第3,081,519号明細書および同第3,227,784号明細書に記載され、以下の特徴を備える例が含まれる。(a)紡糸剤は、少なくとも25℃、好ましくは、使用するポリマーの融点よりも少なくとも60℃低い沸点を有するのが望ましい。(b)紡糸剤は、混合や押出中にポリマーとほとんど反応しないのが望ましい。(c)紡糸剤は、方法で用いる温度、濃度および圧力の条件下で、ポリマーに対して溶剤となるのが望ましい。(d)紡糸剤は、その沸点もしくはそれより低い温度で、高分子物質の1%未満溶解するのが望ましい。(e)紡糸剤は、押出の際に急速に気化する溶液を生成し、非ゲル状ポリマー相を形成するのが望ましい(つまり、ポリマー相は、不適切な残液を含有し、その構造体を可塑化する)。
【0037】
押出の前に、一般的な添加剤(例、酸化防止剤、UV安定剤、染料、顔料等)を紡糸組成物に添加することが可能である。
【0038】
当技術分野において教示される都合の良いいずれかの技術により、本発明に利用する紡糸混合物を生成し、フラッシュ紡糸してよい。一実施形態において、ポリマー混合物は、米国特許第5,192,468号明細書にさらに具体的に記載されている通り、少なくとも130℃の温度で、二酸化炭素と水の混合物中に機械的に分散しうる。別の一実施形態において、網状フィラメント材料は、圧力下で、溶解ゾーンに、分子量を構成するフィラメントの合成結晶性有機ポリマーと該ポリマーに不活性な溶剤とを、連続的に最初に供給することにより、生成され、ポリマーの濃度は、溶液の2〜20重量%である。ポリマーは、上記ゾーンで溶解し、少なくとも溶剤の臨界温度より45℃低い温度および溶液に対して2液相圧を超える圧力を有するポリマー溶液が生成した。従って、上記溶液は、溶解チャンバ内とほぼ同じレベルで熱平衡を維持する一方、移動ゾーンを通って転送される。2液相圧を超える一定の圧力が、制御手段により、移動ゾーン内で維持されるので、溶解ゾーンへのポリマーと溶剤の全供給量は、移動ゾーン内の圧力に逆相関して変わる。さらに具体的に、米国特許第3,227,794号明細書に記載されている。さらに別の一実施形態において、フラッシュ紡糸は、通常、バッフルの一箇所に向かう水平路内で流れるガス流中のウェブを引き込む方法により、達成されうる。バッフルは、前記ウェブと前記ガス流を、雰囲気ガス中に通過させ、前記一箇所から複数の下向き放射状方向へと、回収装置へほぼ垂直面に導き、振動させ、ウェブを静電気的に帯電させ、繊維状のシートとして前記ウェブを前記回収装置上に回収し、前記一箇所から前記回収装置までの距離の30〜60パーセントの距離に関して、前記放射状方向においてほぼ等しいフローインピーダンスを示すシールド内で、前記バッフルよりも下方の前記流を、前記下向き放射状方向に収束する。その結果、前記バッフルで形成される際に、実質的にウェブを引き込む流れを維持し、前記雰囲気ガスとの早期の混合を回避する。さらに具体的に、米国特許第3,851,023号明細書に記載されている。上記に記載する特許の各々は、本明細書の一部として組み込まれている。
【0039】
以下に考察するように、ブレンドしたポリマーのフラッシュ紡糸により獲得した繊維ストランドの形態は、ポリマーが混合される紡糸剤、紡糸溶液中のポリマー濃度、および紡糸条件(例、温度や圧力等)により、大きな影響を受ける。
【0040】
単一ポリマーのフラッシュ紡糸は、周囲圧力および周囲温度で非溶剤であるが、十分な熱と圧力の印加すると分散体が溶液を生成する、紡糸剤中のポリマー分散体を生成することにより、達成されうる。続いて、圧力は下がり、ポリマーリッチ相と溶剤リッチ相に分離が起こるにつれて、溶液は濁る。分離を生じる圧力は、「曇点圧力」と呼ばれる。曇点圧力は、ポリマーや溶剤の選択、総ポリマー濃度、温度に直接的に応じて異なり、溶剤の自己圧力(つまり、所与の温度での溶剤の蒸気圧)〜約50MPaのいずれかの圧力でありうる。単一ポリマー溶液の曇点は、視覚的に容易に確認でき、フラッシュ紡糸の最適条件を決定するための手近な目視基準である。
【0041】
本発明において、本明細書の第一ポリマーと第二ポリマーの両方とも、高温、高圧において、共通の溶剤に溶解することが望まれている。しかしながら、第一ポリマーと第二ポリマーは、かなりの濃度まで相溶性がないことがある。つまり、それらは不相溶であり、その結果、各ポリマーを共通の溶剤に別々に溶かした場合でさえも、相分離が生じる。従って、上記の組み合わせは、常に、一方のポリマー溶液の分散体として、もう一方の溶液中に存在する。いかなる結果としての溶液も、ほとんどの注目の処理条件下で、不透明になりうる。従って、共通の溶剤中のこれらのブレンドに関して、「真の」曇点圧力は存在しない。
【0042】
本発明において、各個々成分の曇点は、別々に測定される。ポリマーブレンドとして生成された紡糸組成物は、さらに高い個々の曇点圧力を有する成分の曇点圧力よりも高い圧力で、混合され、その結果、1相は第一ポリマーリッチ、もう1相は第二ポリマーリッチの2相混合物となる。即ち、紡糸混合物は、第一圧力において、2相となる。第一圧力よりも低いが、混合物の自己圧力よりもさらに高い第二圧力を紡糸混合物に印加して、第二圧力で、溶液相は、3相系、2種のポリマーリッチ相と溶剤リッチ相に分離する。紡糸混合物をフラッシュ紡糸ノズルに第一圧力の状態から直接導入することにより、網状フィラメント糸を紡糸することが可能である。しかしながら、新規の溶剤リッチ相が現れる周囲圧力をかなり超える第二中間圧力段階を導入し、紡糸混合物を第二中間圧力段階からフラッシュ紡糸ノズルに導入するのが、好ましい。
【0043】
本発明において、3種以上のポリマー混合物もフラッシュ紡糸しうる。しかしながら、上記の場合、紡糸混合物には、ポリマーが存在する多くのポリマーリッチ相が含まれうる。何相の不相溶相が処理可能であるか実質上の限界があり、また、何種のポリマーが共有溶剤中に溶解するか実質上の限界がありうる。しかし、本発明の方法に基づいて、混合されうるポリマー数の根本的な限界は存在しない。明確にするために、本明細書の説明は、2種からなる混合物に向けられるが、本明細書に記載する方法は、3種以上のポリマーの混合物にも同様に適用可能である。
【0044】
最適な紡糸圧力は、主に、選択される紡糸剤、ポリマーの濃度、温度、および具体的なプロセスパラメーターや装置配置により、決定されうる。本発明のポリマーブレンドに関する最適なフラッシュ紡糸圧力は、通常、ブレンド中に高濃度で存在する(以下、「主成分」と称す)ポリマーに関連する圧力に近似することが判明されている。圧力範囲は、紡糸混合物の自己圧力〜15MPaであるのが好ましい。かなりフィブリル化された網状フィラメントを生産する最も好適な紡糸圧力範囲は、主なポリマー成分の曇点圧力から主成分の曇点圧力より3MPa低い圧力まである。
【0045】
本発明において、フラッシュ紡糸に適切な温度範囲は、150〜300℃であり、さらに低い融点および/またはさらに可溶性のポリマーに対する最適な温度は、通常、さらに高い融点および/または非可溶性のポリマーの最適な温度よりも低い。かなりフィブリル化した網状フィラメントを製造するための最も好適な紡糸温度範囲は、紡糸剤の臨界温度から紡糸剤の臨界温度より40℃低い温度までである。臨界温度は、気体が圧力だけで液化することが不可能である温度よりも高い温度である。
【0046】
網状フィラメントを得るために、紡糸組成物中の総ポリマー濃度は、比較的低く(例、約35重量%未満、好ましくは約30重量%未満)保たれる。不連続繊維の形成を回避するために、上記濃度は、約5重量%超必要である。記載したように、紡糸温度および圧力は、通常、高く維持され、溶剤の急速な蒸発をもたらす。それに反して、マイクロセルラー発泡繊維は、比較的に高いポリマー濃度、約35〜70重量%で、通常調製される。さらに、網状フィラメントを得るのに使用される温度と比較して、低い紡糸温度および圧力が用いられる。
【0047】
本発明の方法のさらなる一実施形態において、本明細書の方法により製造される網状フィラメント糸が、高温にさらされる場合、以下に記載する詳細な実施形態でわかるように、本発明の表面富化効果(surface enrichment effect)は、さらに高められる。継続時間および温度は、含まれる具体的な組成物により変わる。実験室規模において、約100〜150℃の範囲の温度までの15秒〜1分間の加熱で、十分であると判明されている。
【0048】
本発明の有利な効果は、以下に記載される一連の実施例により、例証される。実施例に基づく本発明の実施形態は、例証であり、本発明の範囲を制限するものではない。実施例の意義は、本発明の上記の実施形態から得られる結果と、対照実験となるように企画された特定の配合物から得られる結果と比較することにより、より理解される。それらの対照は、本発明の顕著な特徴を保持しないからである。
【実施例】
【0049】
本明細書で用いるフラッシュ紡糸装置は、米国特許第5,147,586号明細書に詳細に記載されている。図1に示す装置は、2つの高圧シリンダーチャンバ(1)からなり、各々が、チャンバの中身に圧力を加えているピストン(2)を備える。シリンダーの内径は、1.0インチ(2.54cm)で、各々は、50立方センチメートルの内容積を有する。シリンダーは、直径3/32インチ(0.23cm)の通路(3)、およびスタティックミキサーの役目を果たす、目の細かい一連のスクリーンを含む混合チャンバ(4)を介して、一方の末端で互いに接続される。容器の内容物を、スタティックミキサーを介して2つのシリンダー間で前後させて、混合を遂行する。ピストンは、油圧装置(5)から供給される高圧水で動作する。オリフィスを開口するための直動型装置を有する紡糸口金アッセンブリ(6)が、T字管(7)を介して通路に取り付けられる。紡糸口金アッセンブリは、直径0.25インチ(0.63cm)、長さ約2.0インチ(5.08cm)のリード穴(8)、および長さと直径がそれぞれ30ミル(0.762mm)の紡糸口金オリフィス(9)からなる。
【0050】
本実施例において、ポリマーを1つのシリンダーに装填した。ブレンドの場合において、錠剤か粉末剤のどちらかとして両ポリマーを同時に加え、「ゴマ塩」タイプのブレンドを作製した。全ての場合において、0.1重量%(溶剤を基準として)のウェストン(Weston)(登録商標)W619F酸化防止剤(ジェネラル・エレクトリック・スペシャルティ・ケミカルズ(General Electric Specialty Chemicals))も加えた。高圧スクリュータイプの発生器(ハイ・プレッシャー・エクィップメント社(High Pressure Equipment Co.))により、紡糸剤を加え、0.7cc/回転を得るまで較正した。高圧水を用いて、2000〜4000psig(13.8〜27.6MPa)の混合圧力が生じるようにピストンを動かした。
【0051】
その後、J型の熱電対(10、ニュージャージー州チェリーヒル(Cherry Hill,NJ)のテクニカル・インダストリアル・プロダクト社(Technical Industrial Products Inc.))により測定しながら、ポリマーと紡糸剤を混合温度まで加熱した。ピストンを用いて、約1500psi(10.3MPa)もしくはそれ以上の圧力差を2つのシリンダー間に交替に確立する規定時間中、上記の温度を維持した。この作用は、混合通路を介してポリマーと紡糸剤を1つのシリンダーから他のシリンダーに繰り返し送って、混合を実現し、紡糸混合物の生成をもたらした。その後、紡糸混合物の温度を最終紡糸温度まで上昇させ、温度が平衡状態になるのに十分な時間、通常5分間、その期間混合を続けながら、その状態を保った。ポリマーまたは紡糸剤の加熱劣化を最小限に抑えるのに可能な限り短い時間、温度を保った。
【0052】
紡糸の間際に、所望の紡糸圧力まで、紡糸混合物の圧力を低下させた。紡糸槽(spin cell)とかなり大きなタンクの高圧水(「アキュームレータ」)間の所望の紡糸圧力に保持されたバルブを開けることにより、上記を達成した。紡糸槽とアキュームレータ間のバルブを開けた後、出来るだけすばやく(実施例6で、オリフィスを開ける前に、1分間保ったことを除いて、通常、約1〜2秒、)紡糸口金オリフィスを開けた。不燃性の紡糸剤を用いた場合、フラッシュ紡糸製品をステンレス鋼製の開口メッシュスクリーンバスケット内に回収した。可燃性の紡糸剤を用いた場合、フラッシュ紡糸製品を窒素パージしたステンレス鋼製の閉鎖容器に回収した。紡糸口金の直前の圧力を圧力変換器(11、マサチューセッツ州ノーウッド(Norwood,MA)のダイニスコ社(Dynisco Inc.)で測定し、紡糸中に記録した。その圧力を「紡糸圧力」と呼ぶ。コンピューターを用いて、紡糸圧力を記録し、通常、アキュームレータの設定値よりも約150psi(1MPa)低かった。紡糸口金(10)直前で測定した温度も紡糸中に記録し、「紡糸温度」と呼んだ。
【0053】
結果として生じるフラッシュ紡糸した糸を、2つの技法を用いて、フッ素に関して分析した。フィジカル・エレクトリック社(Physical Electronics Inc.)のモデル5600LSを用いて、ESCAにより45°の出口角で、5〜10ナノメートルの深さまで、表面分析を行った。検出限度は、約0.5〜1原子パーセントであった。ダイオネクス(DIONEX)500シリーズユニットを採用したイオンクロマトグラフィーを用いて、糸中の総フッ素含有量の定量測定をした。
【0054】
以下の実施例において、機能性ポリマーを、アラトン(Alathon)(登録商標)7026T高密度ポリエチレン(ライオンデル社(Lyondell Inc)から入手)、アイソタクチックポリプロピレン(モンテル社(Montell Inc)から入手)、またはクリスター(Crystar)(登録商標)5067ポリエチレンテレフタラート(デュポン(DuPont)より入手)のいずれかとブレンドした。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、生成したポリマーの分子量分布を測定した。示差走査熱量測定(DSC)を実施して、ASTM D−3417−83に基づいて、融点を測定した。
【0055】
実施例1
50グラムの低密度ポリエチレン(LDPE)(アドリッチ(Aldrich)cat#42,779−9)と500mLのクロロベンゼン(アドリッチ(Aldrich))を、窒素下で、冷却器、追加の漏斗、電磁攪拌機、および熱電対を備える1.0 リットルの3口丸底フラスコに入れた。混合液を125℃まで加熱し、ポリエチレンが溶解した後に、式HC=CH−(CFF[式中、nは、主に6、8、10、および12である]を有する、10グラムの(パーフルオロアルキル)エチレン(ゾニール(Zonyl)(登録商標)BN(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. DuPont de Nemours and Co.(Wilmington,DE))から)を加えた。その後、20mLのクロロベンゼン中に溶かした2グラムの過酸化t−ブチル(アドリッチ(Aldrich))を含有する溶液を1滴ずつ60分間にわたって滴下した。反応混合液を125℃で、計8時間攪拌した。混合液を約60℃まで冷却した後、過剰のメタノール中に注いだ。沈殿したポリマーを濾別し、メタノール洗浄した後、75℃で、一晩中真空下で乾燥した。58.8グラムの白色ポリマーを得た。
【0056】
試料の元素分析から、物質は、11.2重量%のフッ素を含有することがわかった。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=6600、Mw=34100を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、95℃で融解転移を示した。
【0057】
実施例2
50グラムのゾニール(Zonyl)(登録商標)BNを用いたことを除いて、実施例1に記載したのと同じ手順を用いた。単離して、真空下で乾燥した後、97グラムのポリマーを得た。試料の元素分析から、物質は、34.3重量%のフッ素を含有することがわかった。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=2800、Mw=44200を有する2峰のMW分布を示した。20℃/分でのポリマーのDSCは、94℃で融解転移を示した。
【0058】
実施例3〜9および比較例1および2
網状フィラメント糸の調製
実施例1および2のポリマーを、フレオン(Freon)−11(F−11)中に溶かしたアラソン(Alathon)(登録商標)7026と各々ブレンドし、上記に記載した手順に従ってフラッシュ紡糸し、網状フィラメント糸を形成した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例10〜13および比較例3
網状フィラメント糸の調製
実施例1および2のポリマーを、アラソン(Alathon)(登録商標)7026Tとブレンドしたが、紡糸剤をペンタン/シクロペンタン(60/40wt./wt.)に変更した。その後、上記に記載した手順に従って、網状フィラメント糸を紡糸した。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例14
20グラムのアラソン(Alathon)(登録商標)7026Tと200mLのクロロベンゼン(アドリッチ(Aldrich))を窒素下で、冷却器、追加の漏斗、電磁攪拌機、および熱電対を備える500mLの3口丸底フラスコに入れた。混合液を125℃まで過熱し、ポリエチレンが溶解した後に、5グラムのゾニール(Zonyl)(登録商標)BMを加えた。その後、20mLのクロロベンゼン中に溶かした1グラムの過酸化t−ブチル(アドリッチ(Aldrich))を含有する溶液を、1滴ずつ60分間にわたって滴下した。反応混合液を125℃で、計4時間攪拌した。混合液を約60℃まで冷却した後、過剰のメタノール中に注いだ。沈殿したポリマーを濾別し、メタノール洗浄した後、60℃で、一晩中真空下で乾燥した。ポリマーを熱トルエン中に溶かして、メタノール中に再沈殿させて、さらにポリマーを精製した。濾過して乾燥した後、22.6グラムのポリマーを得た。
【0063】
イオンクロマトグラフィーにより、この試料のフッ素含有量は、11%であると測定された。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=33,000、Mw=248,000を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、131℃で融解転移を示した。
【0064】
実施例15
20グラムのゾニール(Zonyl)(登録商標)BNを用いたことを除いて、実施例14に記載したのと同じ手順を用いた。単離して真空下で乾燥した後、29.3グラムのポリマーを得た。イオンクロマトグラフィーにより、この試料のフッ素含有量は、21%であると測定された。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、2峰のMW分布Mn=17,800とMw=112,000を示した。20℃/分でのポリマーのDSCは、131℃で融解転移を示した。
【0065】
実施例16〜21
網状フィラメント糸の調製
実施例14および15のポリマーを、F−11中に溶かしたアラソン(Alathon)(登録商標)7026Tとブレンドした。上記に記載した手順に従って、ブレンドをフラッシュ紡糸した。結果を表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
実施例22
10ガロンのステンレス鋼製の反応装置を、9Lのクロロベンゼン、1Kgのポリエチレン(アドリッチ(Aldrich)cat#42,779−9)、および300gのゾニール(Zonyl)(登録商標)BNで満たした。反応装置を窒素パージした後、攪拌して、125℃まで過熱した。この温度で1時間後、クロロベンゼンに溶かした500mLの過酸化物の溶液(0.1gの過酸化t−ブチル/mL)を10mL/分の速さで反応装置にポンプで送り込んだ。過酸化物の添加が終了したら、反応装置の中身を同じ温度で、さらに4時間、攪拌した。反応物を室温まで冷却し、排出した。反応混合液を60℃まで暖め、12ガロンのメタノールにゆっくり注ぎ、ポリマーを沈殿させた。得た白色ポリマーを濾別し、4Lの新規のメタノールで3回洗浄し、60℃で、真空乾燥した。1.2Kgのポリマーを得た。
【0068】
試料の元素分析は、物質は、15.0重量%のフッ素を含有することを示した。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=4,700とMw=30,200を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、95℃で融解転移を示した。
【0069】
2番目の回分を上記に記載したのと同じ手順に従って、調製した。この2番目の回分の元素分析は、16.7重量%のフッ素を含有することを示した。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=5,400とMw=36,200を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、95℃で融解転移を示した。
【0070】
実施例23〜24
網状フィラメント糸の調製
実施例22のポリマーを、F−11中に溶かしたアラソン(Alathon)(登録商標)7026Tと20重量%の濃度でブレンドした。上記に記載した手順に従って、ブレンドをフラッシュ紡糸した。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
実施例25
20重量%のメチルアクリラート(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. DuPont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)からのE/20MA)、10グラムの2−パーフルオロオクチルエタノール(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. DuPont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)により製造されたゾニール(Zonyl)(登録商標)BAからの蒸留留分)、および50mLの1,2,4−トリクロロベンゼン(アドリッチ(Aldrich))を含有する10グラムのエチレン/アクリル酸メチル共重合体を、冷却器、追加の漏斗、電磁攪拌機、熱電対を備える250mLの3口丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気に置いた。混合液を80℃まで加熱し、ポリマーが溶解し始めた時に、25.0μLのチタン(IV)ブトキシド(アドリッチ(Aldrich))を加えた。混合液を190℃まで加熱し、この温度で、6時間、ゆっくり進む窒素流下で攪拌した。混合液を約70℃まで冷却した後、過剰のメタノール中に注いだ。沈殿したポリマーを濾別し、メタノール洗浄した後、60℃で、一晩中真空下で乾燥した。ポリマーを熱トルエン中に溶かして、ガラス漏斗で溶液を濾過し、メタノール中に再沈殿させて、さらにポリマーを精製した。濾過し、真空下で乾燥した後、14.5グラムのポリマーを得た。NMRによる分析を示す。
【0073】
H NMR(120℃でテトラクロロエタン中、ppmで□):4.33(t,−CHO−)、3.62と3.60(s,CHO−)、2.44(tのt,−CH−CF−)、2.31(m,−CH−)、1.65〜1.05(主鎖−CH−)。
【0074】
19F NMR(120℃でテトラクロロエタン中、ppmで□):−80.76(CF−)、−112.34(−CF−)、−121.00(3つの−CF−)、−121.98(−CF−)、−122.90(−CF−)、−125.33(−CF−)。
【0075】
NMRは、約92.5%のエチレン、4.8%の2−パーフルオロオクチルエチルアクリラート、および2.7%のアクリル酸メチルの繰り返し単位を含有する共重合体を得る2−パーフルオロオクチルエチルアクリラートへの、アクリル酸メチル基の64.3%転化を示す。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=19,500とMw=91,700を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、85℃で融解転移を示した。
【0076】
実施例26〜28
網状フィラメント糸の調製
実施例25に記載したポリマーを、F−11中に溶かしたアラソン(Alathon)(登録商標)7026Tとブレンドした。上記に記載した手順に従って、ブレンドをフラッシュ紡糸した。結果を表5に示す。
【0077】
【表5】

【0078】
実施例29
16グラムの2−パーフルオロオクチルエタノールと50.0μLのチタン(IV)ブトキシドを使用したことを除いて、上記の実施例25に記載したのと同じ手順に従った。単離して、真空下で乾燥した後、17.5グラムのポリマーを得た。
【0079】
本試料のNMRスペクトルは、シグナルが比較的強い点を除いて、実施例25のNMRスペクトルと同一であった。Hスペクトルによると、共重合体は、約93.0%のエチレン、5.8%の2−パーフルオロオクチルエチルアクリラート、および1.2%のアクリル酸メチルの繰り返し単位を含有した。本試料の元素分析から、NMRの結果と一致する、56.05%のC、7.81%のH、および30.72%のFを得た。135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=19,600とMw=82,500を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、85℃で融解転移を示した。
【0080】
実施例30〜32および比較例4
網状フィラメント糸の調製
実施例29のポリマーを、F−11中に溶かしたアラソン(Alathon)(登録商標)7026Tとブレンドした。上記に記載した手順に従って、ブレンドをフラッシュ紡糸した。結果を表6に示す。
【0081】
【表6】

【0082】
実施例33〜36および比較例5
表面フッ素の熱処理効果
実施例30からの網状フィラメント糸を2つのガラススライドの間に置いた。続いて、この組み合わせ(assemblage)を加熱した「ホットプレート」と密接に接触した5mm厚のステンレス鋼製プレートに置いた。ステンレス鋼製プレート内に配置された熱電対により、ホットプレートの温度を制御した。試料を変形させないように、この組み合わせを軽く30秒間押した。熱処理した試験品の表面のフッ素パーセンテージは、ESCAにより測定した。単一の、熱処理していない対照試験品をESCAにより2回測定し、測定誤差を定めた。結果を表7に示す。
【0083】
【表7】

【0084】
実施例37〜41および比較例6
接触角測定に関する表面フッ素効果
実施例3、4、5、8、および9からの網状フィラメント糸を別々に両面テープでガラススライドに接着した。これらのスライドをゴニオメーターのステージに順番に置いた。僅か数滴の30/70(vol/vol)の水/エタノール溶液を糸上に置いた。これらの滴の前進接触角を糸上の3箇所で測定し、結果を平均した。結果を表8に示す。
【0085】
【表8】

【0086】
実施例42
紡糸剤としてF−11を使用した実施例15のポリマーを、上記に記載した手順に従うが、それを別のフラッシュ紡糸性ポリマーと組み合わせないで、フラッシュ紡糸した。つまり、それは、フラッシュ紡糸ニート(spun neat)であった。結果を表9に示す。
【0087】
【表9】

【0088】
実施例43〜44
実施例29のポリマーを、20重量%の濃度で、1.43の溶融流量、Mn=93,000、Mw=447,000、および4.77の分子量分布を有するアイソタクチックポリプロピレン(モンテル社(Montell Inc.)から)とブレンドし(実施例43)、およびクリスター(Crystar)(登録商標)5067ポリエチレンテレフタラート(デュポン(DuPont))とブレンド(実施例44)した。結果を表10に示す。表面フッ素の測定を繰り返し、測定誤差を得た。
【0089】
【表10】

【0090】
実施例45
27重量%のメチルアクリラートと、10グラムのジエチレングリコールメチルエーテル(アドリッチ(Aldrich))と、50mLの1,2,4−トリクロロベンゼン(アドリッチ(Aldrich))とを含有する10グラムのエチレン/アクリル酸メチル共重合体を、冷却器、電磁攪拌機、熱電対を備える250mLの3口丸底フラスコに入れ、窒素雰囲気下に置いた。混合液を80℃まで加熱し、ポリマーが溶解し始めた時に、50.0μLのチタン(IV)ブトキシド(アドリッチ(Aldrich))を加えた。混合液を190℃まで加熱し、この温度で、6時間、ゆっくり進む窒素流下で攪拌した。混合液を約90℃まで冷却した後、70mLのトルエンで希釈し、過剰のメタノール中に注いだ。沈殿したポリマーを濾別した後にメタノール洗浄し、その後、60℃で、一晩中真空下で乾燥した。ポリマーを熱トルエン中に溶かして、ガラス漏斗で溶液を濾過し、メタノール中に再沈殿させて、さらにポリマーを精製した。濾過し、真空下で乾燥した後、12.2グラムのポリマーを得た。NMRによる分析を示す。
【0091】
H NMR(120℃でテトラクロロエタン中、ppmで□):4.18(t,−CHOOC−)、3.64、3.59および3.49(t,−CHO−)、3.32(s,CHO−)、2.31(m,−CH−)、1.0〜1.7(主鎖−CH−)。
【0092】
NMRは、アクリル酸メチル基の94%の転化を示す。
【0093】
135℃でトリクロロベンゼン中のGPCは、Mn=26,300とMw=94,700を得た。20℃/分でのポリマーのDSCは、69℃で融解転移を示した。
【0094】
実施例46〜47および比較例7
実施例45のポリマーを、F−11中に溶かした高濃度のアラソン(Alathon)(登録商標)7026Tとブレンドし、上記に記載した手順に従って、結果として生じる紡糸混合物をフラッシュ紡糸した。結果を表11に示す。
【0095】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】フラッシュ紡糸装置の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)紡糸剤とポリマー混合物とを含んでなる紡糸混合物を形成し、
(b)その自己圧力よりも大きい第一圧力まで紡糸混合物を加圧し、
(c)前記紡糸混合物の自己圧力よりも低い圧力および前記紡糸剤が領域にさらされると気化する温度にある前記領域内に、開口部を通して前記紡糸混合物を押出して、フラッシュ紡糸構造体を形成することを含んでなり、
前記ポリマー混合物は、0〜95重量の第一ポリマーと、5〜100重量の第二ポリマーとを含んでなり、
前記第一ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステル、およびそれらの混合物よりなる群から選択され、そして
前記第二ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステル、およびそれらの混合物よりなる群から選択され、かつ前記第二ポリマーは、1〜25モル%のペンダント官能基を含んでなるフラッシュ紡糸のための方法。
【請求項2】
前記混合物を前記領域に押出す前に、前記第一圧力よりも低いが前記紡糸混合物の前記自己圧力よりも大きい第二圧力に、前記加圧紡糸混合物をさらすことをさらに含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フラッシュ紡糸構造体の形成が、網状フィラメント糸の形成を含んでなる請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記フラッシュ紡糸構造体の形成が、微孔質発泡体の形成を含んでなる請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー混合物が、70〜95重量%の前記第一ポリマーと30〜5重量%の前記第二ポリマーを含んでなる請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記第一ポリマーが、ポリエチレンテレフタラートである請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記第一ポリマーが、ポリエチレンである請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記第二ポリマーが、ポリエチレンテレフタラートである請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記第二ポリマーが、ポリエチレンである請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記ペンダント官能基が、フルオロ-オレフィン基である請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記第二ポリマーが、フルオロ−オレフィン基でグラフトしたポリエチレンテレフタラートである請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第二ポリマーが、フルオロ−オレフィン基でグラフトしたポリエチレンである請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ペンダント官能基が、オキシエチレン三量体である請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記第二ポリマーが、オキシエチレン三量体でグラフトしたポリエチレンテレフタラートである請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第二ポリマーが、オキシエチレン三量体でグラフトしたポリエチレンである請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記ペンダント官能基が、パーフルオロビニルエーテルである請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
前記第二ポリマーが、パーフルオロビニルエーテルでグラフトしたポリエチレンテレフタラートである請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記第二ポリマーが、パーフルオロビニルエーテルでグラフトしたポリエチレンである請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記ペンダント官能基が、ビニルシランである請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
前記第二ポリマーが、ビニルシランでグラフトしたポリエチレンテレフタラートである請求項8に記載の方法。
【請求項21】
前記第二ポリマーが、ビニルシランでグラフトしたポリエチレンである請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記紡糸混合物中の個々のポリマーのいずれの曇点圧力よりも大きい値まで、前記第一圧力を調整することをさらに含んでなる請求項1または2に記載の方法。
【請求項23】
これにより形成された前記フラッシュ紡糸構造体を少なくとも100℃の温度まで加熱することをさらに含んでなる請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
これにより形成された前記網状フィラメント糸を少なくとも100℃の温度まで加熱することをさらに含んでなる請求項3に記載の方法。
【請求項25】
(a)脂肪族炭化水素、フッ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびハイドロフルオロカーボンよりなる群から選択される紡糸剤と、ポリマー混合物とを含んでなる紡糸混合物を形成し、
(b)それらの自己圧力より大きい第一圧力まで、前記紡糸混合物を加圧し、
(c)前記第一圧力より低いが前記紡糸混合物の前記自己圧力より大きい第二圧力に、前記加圧紡糸混合物をさらし、そして
(d)前記紡糸混合物の前記自己圧力より低い第三圧力で、前記紡糸剤が領域にさらされると気化する温度で、前記領域内の開口部を通して、前記紡糸混合物を押出し、フラッシュ紡糸構造体を形成することを含んでなり、
前記ポリマー混合物は、70〜95重量の第一ポリマーと、5〜30重量の第二ポリマーとを含んでなり、
前記第一ポリマーは、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートであり、そして
前記第二ポリマーは、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートであり、かつ前記第二ポリマーは、5〜15モル%の、ペンダント官能基であるフッ化炭化水素基またはオキシエチレン基を含んでなるフラッシュ紡糸のための方法。
【請求項26】
前記第二ポリマーが、5〜15モル%のフッ化炭化水素基でグラフトされる請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第二ポリマーが、5〜15モル%のオキシエチレン基でグラフトされる請求項25に記載の方法。
【請求項28】
これにより形成された前記フラッシュ紡糸構造体を少なくとも100℃の温度まで加熱することをさらに含んでなる請求項25に記載の方法。
【請求項29】
紡糸剤と、0〜95重量%のポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートおよび5〜100重量%の機能性ポリマーを含んでなるポリマー混合物とを含んでなる紡糸混合物であって、前記機能性ポリマーは、フッ化炭化水素基とオキシエチレン基よりなる群から選択される1〜25モル%のペンダント官能基を有するポリエチレンまたはポリエチレンテレフタラートである紡糸混合物。
【請求項30】
前記ポリマー混合物は、0〜95重量%の第一ポリマーと5〜100重量%の第二ポリマーを含んでなり、
前記第一ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステル、およびそれらの混合物よりなる群から選択され、そして
前記第二ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン系不飽和モノマーとのそれらの共重合体、ポリエステル、およびそれらの混合物よりなる群から選択され、かつ前記第二ポリマーは、1〜25モル%のペンダント官能基を含んでなる紡糸剤とポリマー混合物とを含んでなる紡糸混合物。
【請求項31】
前記紡糸剤が、脂肪族炭化水素、フッ化炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびハイドロフルオロカーボンよりなる群から選択される請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項32】
前記ポリマー混合物が、70〜95重量%の前記第一ポリマーと30〜5重量%の前記第二ポリマーを含んでなる請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項33】
前記第一ポリマーが、ポリエチレンテレフタラートである請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項34】
前記第一ポリマーが、ポリエチレンである請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項35】
前記第二ポリマーが、ポリエチレンテレフタラートである請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項36】
前記第二ポリマーが、ポリエチレンである請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項37】
前記ペンダント官能基が、フルオロ-オレフィン基である請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項38】
前記第二ポリマーが、フルオロ-オレフィン基でグラフトされる請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項39】
前記ペンダント官能基が、オキシエチレン三量体である請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項40】
前記第二ポリマーが、オキシエチレン三量体でグラフトされる請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項41】
前記ペンダント官能基が、パーフルオロビニルエーテルである請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項42】
前記第二ポリマーが、パーフルオロビニルエーテルでグラフトされる請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項43】
前記ペンダント官能基が、ビニルシランである請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項44】
前記第二ポリマーが、ビニルシランでグラフトされる請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項45】
前記第二ポリマーが、5〜15モル%のペンダント官能基を含んでなる請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項46】
網状フィラメント糸として形成される請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項47】
微孔質発泡体として形成される請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項48】
不織布として形成される請求項30に記載の紡糸混合物。
【請求項49】
不織布として形成される請求項46に記載の網状フィラメント糸。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2006−500482(P2006−500482A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540203(P2004−540203)
【出願日】平成15年9月24日(2003.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/030027
【国際公開番号】WO2004/029340
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】