説明

表面処理方法

アクリレート又はポリウレタンバインダーを使用せずに、(a)少なくとも1種の疎水化剤、(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、(c)少なくとも1種の乳化剤で表面を処理する工程、及び次いで乾燥させる工程を含む表面処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリレート又はポリウレタンバインダーを使用せずに、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
で表面を処理する工程、
及び、次いで乾燥させる工程、
を含む表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
また、本発明は処理された表面に関する。更に、本発明は、好適な水性配合物、及び本発明の好適な水性配合物を製造する方法に関する。
【0003】
近年、防汚(soil-repellent)又は少なくとも汚れを付着しにくくする表面処理が非常に興味をもたれるようになってきている。様々な方法として、例えば、山の間隔が5〜200μmの範囲であり、山の高さが5〜100μmの範囲であるテクスチャリングを有する表面が提供されている。表面にはハス植物を模倣したテクスチャリングを備えられている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、このような方法は常に有利なものとはえいえず、テキスタイルの表面処理に不適な場合もある。
【0004】
特許文献3は、例えば、50〜80質量%のジャガイモデンプンや酸化物質(例えば、シリカゲル、石英粉又はカオリン)から選択される少なくとも1種の細かく分けられた物質(0.5〜100μm(細かく分けられた物質の80質量%)の粒径を有する)、20〜50質量のバインダー、フッ素化ポリマー及び適宜助剤を含むマトリックスでコーティングすることにより得られるコーティングを有するテキスタイルシート状構造物のコーティング法について開示している。
【0005】
特許文献4は、少なくとも1種の有機ポリマーと少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体を含む少なくとも1種の水性液で処理をすることにより、テキスタイル材料の仕上げをする方法であって、有機又は無機の固体は、少なくとも5.5g/lの割合で水性液に存在していることを特徴とする方法を開示している。シリカゲル、特にヒュームドシリカゲルが粒子状固体として好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO96/04123
【特許文献2】US3354022
【特許文献3】EP1283296
【特許文献4】WO04/74568
【特許文献5】EP1283296
【特許文献6】WO2007/031491
【特許文献7】US2592069
【特許文献8】US2732370
【特許文献9】US2642416
【特許文献10】US3239557
【特許文献11】US3462296
【特許文献12】DE199120810
【特許文献13】EP−A0486881
【特許文献14】EP−A1002001
【特許文献15】DE−A19954500
【特許文献16】DA−A10000656
【特許文献17】US2853473
【特許文献18】EP0486881
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M. Lewin et al., Chemical Processing of Fibers and Fabrics, Part B, volum2, Marcel Dekker, New York (1984)
【非特許文献2】H. Stache, Tensid-Taschenbuch, Carl-Hanser-Verlag, Munich, Vienna, 1981
【非特許文献3】McCutcheon's, Emulsifiers & Detergents, MC Publixhing Company, Glen Rock, 1989
【非特許文献4】Hans-Karl Rouette, "Handbuch der Textilveredlung", Deutscher Fachverlag 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献5において推奨されているジャガイモデンプンは、水性液に一定の溶解性(温度により変化する)を有する。そのため、コーティング作業中にジャガイモデンプンの粒径を最適にコントロールすることができない。特に、例えばシリカゲル等の無機固体の場合、凝集する傾向が認められ、これは塗付時に不利であり、テクスチャパラメータの制御がより困難となる。
【0009】
更に、上述の方法でコーティングしたテキスタイルは、時に洗浄性が不十分である場合が多いことが確認された。例えば、汗で濡れたテキスタイルを洗う場合、一回目の洗濯の後に防汚効果が低下し、数回洗濯を繰り返した後には実質的に防汚効果がなくなることが確認された。
【0010】
特許文献6は、少なくとも1種の疎水性化剤、少なくとも1種の架橋された粒子状有機共重合体、エポキシ基、NH−CH2OH基又はアセトアセチル基を有する少なくとも1種のフィルム状に形成された更なる共重合体、及び、適宜1種以上の乳化剤で表面を処理し、次いで乾燥させる工程を含む表面処理方法を開示している。
【0011】
本発明の目的は、特にテキスタイル表面の処理に関する上述した欠点を回避した表面処理方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、上述した欠点を回避し、良好な防汚性を示す処理された表面を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本目的は、冒頭で定義した方法により達成されることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の方法は表面を対象とする。本発明において表面は所望の物質からなってよく、所望の物に属するものでよい。例えば、紙、板、革、合成皮革、アルカンタラ等の繊維性物質からなる表面が好ましく、より好ましい表面はテキスタイルの表面である。
【0014】
本発明において、テキスタイルは、テキスタイル繊維、テキスタイル中間体及び最終生成物及びこれらから製造された完成品、またアパレル産業用のテキスタイルであり、更に、例えば、カーペット及び他の家用テキスタイル並びに工業目的用テキスタイル構造物である。これらには、例えば、ステープル等の無成形構造物、撚糸(twine)、フィラメント、紡績糸、鋼(line)、ストリング、レース、ブレード、コード(codage)等の線状構造物、及び、フェルト、織物(woven)、不織布及び詰め綿(wadding)等の三次元構造物が挙げられる。本発明において、テキスタイルは、自然物、例えば、綿、ウール若しくは亜麻、又は、合成物、例えば、ポリアミド、ポリエステル、変性ポリエステル、ポリエステル混合繊維、ポリアミド混合繊維、ポリアクリロニトリル、トリアセテート、アセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルマイクロファイバー及びガラス繊維織物でよい。綿からなるテキスタイルが特に好ましい。
【0015】
本発明において、テキスタイルシート状構造物は、一方の面を本発明の方法により処理し他方の面は処理していないものでもよく、両面を本発明の方法により処理したものでもよい。例えば、本発明の方法により外側面を処理することがふさわしく、内側面(体に接する面)はそうでない作業着等の衣服もあれば、その他方で、例えば、本発明の方法により両面(前後面)を処理することがふさわしいオーニング等の工業用テキスタイルもある。
【0016】
本発明による処理は、
アクリレート又はポリウレタンバインダーを使用せずに、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
を用いる。
【0017】
本発明の一実施態様では、疎水化剤は、
(a1)ハロゲン化有機(共)重合体、
(a2)パラフィン、
(a3)1分子当たり少なくとも1種のC10−C60−アルキル基を有する化合物、及び、
(a4)シリコーン、
から選択される。
【0018】
有用なハロゲン化(共)重合体(a1)として、例えば、1種以上のモノ−又はポリ−ハロゲン化、好ましくは塩素化、より好ましくはフッ素化(コ)モノマーのフリーラジカル(共)重合により好ましく製造することができる塩素化、特にフッ素化(共)重合体が挙げられる。
【0019】
極めて特に好ましいハロゲン化(コ)モノマーは、フルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、特許文献7及び8に記載されているフッ素化又は過フッ素化されたC3−C11−カルボン酸のビニルエステル、特許文献9〜11に記載されているフッ素化又は過フッ素化アルコール(例えば、フッ素化又は過フッ素化C3−C14アルキルアルコール)の(メタ)アクリルエステル、例えば、HO−CH2−CH2−CF3、HO−CH2−CH2−C25、HO−CH2−CH2−n−C37、HO−CH2−CH2−iso−C37、HO−CH2−CH2−n−C49、HO−CH2−CH2−n−C613、HO−CH2−CH2−n−C817、HO−CH2−CH2−O−n−C613、HO−CH2−CH2−O−n−C817、HO−CH2−CH2−n−C1021、HO−CH2−CH2−n−C1225の(メタ)アクリルエステルである。
【0020】
例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸のC1−C20アルキルエステル又はグリシジル(メタ)アクリレートと、式I
【0021】
【化1】

【0022】
(但し、
1は水素、CH3、C25であり、
2はCH3、C25であり、
xは4〜12、好ましくは6〜8の整数であり、
yは1〜11、好ましくは1〜6の整数である。)
で表されるエステルとの共重合体、あるいはグリシジル(メタ)アクリレートとフッ素化カルボン酸のビニルエステルとの共重合体もまたハロゲン化有機(共)重合体(a1)として有用である。
【0023】
有用なハロゲン化有機(共)重合体(a1)として、更に、フッ素化、特に過フッ素化C3−C12−アルキルアルコール(例えば、HO−CH2−CH2−CF3、HO−CH2−CH2−C25、HO−CH2−CH2−n−C37、HO−CH2−CH2−iso−C37、HO−CH2−CH2−n−C49、HO−CH2−CH2−n−C613、HO−CH2−CH2−n−C817、HO−CH2−CH2−O−n−C613、HO−CH2−CH2−O−n−C817、HO−CH2−CH2−n−C1021、HO−CH2−CH2−n−C1225)の(メタ)アクリル酸エステルと、非ハロゲン化C1−C20アルコールの(メタ)アクリル酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート)との共重合体が挙げられる。
【0024】
ハロゲン化有機(共)重合体(a1)として有用なフッ素化重合体及び共重合体の要約は、例えば、非特許文献1の172ページ以下178〜182ページに記載されている。
【0025】
ハロゲン化(共)重合体(a1)として有用な更なるフッ素化(共)重合体は特許文献12に記載されている。
【0026】
本発明の方法は、1種のハロゲン化(共)重合体(a1)又は複数の異なるハロゲン化(共)重合体(a1)を用いて行ってよい。
【0027】
ハロゲン化(共)重合体(a1)は、本発明の方法を行うために未架橋の状態で行うことが好ましいが、乾燥の間は架橋されていてもよい。
【0028】
ハロゲン化有機(共)重合体(a1)は、分散した状態が好ましく、数平均粒子径が50〜100nmであることがより好ましく、60〜70nmが更に好ましい。
【0029】
他の好適な疎水化剤(a)はパラフィン(a2)である。パラフィン(a2)は、例えば、室温で液体又は固体の自然物、又は好ましくは合成物であることが好ましい。好ましいパラフィン(a2)は、合成パラフィン、例えば、フィッシャートロプシュワックス、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒を用いて製造される高密度ポリエチレンワックス、また、パラフィンの酸価がDIN53402に従って測定して1〜150mgKOH/gの部分的に酸化された高密度ポリエチレンワックスであり、これは、エチレンの単独重合体ワックスだけでなく、ポリエチレンと、合計で最大20質量%のコモノマー(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン又は1−ドデセン)との共重合体を含む高密度ポリエチレンワックス、特に、所謂パラフィンワックス及びイソパラフィンワックス、例えば、粗パラフィン(粗パラフィンワックス)、スラックワックスラフィネート、脱油粗パラフィン(脱油粗パラフィンワックス)、半又は完全に精製したパラフィン(半又は完全に精製したパラフィンワックス)及び漂白パラフィン(漂白パラフィンワックス)を含む。ここで、パラフィンワックスとは、特に室温で固体であり、40〜80℃、特に50〜75℃で溶融するパラフィンをいう。すなわち、分枝又は非分枝の、環状又は好ましくは非環状の、単独飽和炭化水素又は複数の飽和炭化水素の混合物をいう。本発明においてパラフィンワックスは、18〜45個炭素原子を有する飽和炭化水素からなることが好ましい。本発明においてイソパラフィンは、一分子当たり20〜60個の炭素原子を有する飽和炭化水素からなることが好ましい。
【0030】
有用な疎水化剤(a)として、更に、1分子当たり少なくとも1種のC10−C60−アルキル基、好ましくはC12−C40−アルキル基を有する直鎖又は複素環、好ましくはヘテロ芳香族化合物(a3)(以後、化合物(a3)とも称する。)が挙げられる。C10−C60−アルキル基は異なっていてもよいが同一であることが好ましく、分枝していてもよいが分枝していないことが好ましい。このような化合物(a3)は、少なくとも1種の脂肪アミン又は少なくとも1種の脂肪アルコールを、120〜200℃の温度に加熱して分離することができることが好ましい。すなわち、C10−C60−アルキル基を有するアミン又はアルコールに分離することができることが好ましい。
【0031】
極めて特に好ましくは、一般式II
【0032】
【化2】

【0033】
(但し、
3は、分枝又は好ましくは非分枝のC10−C60−アルキル、例えば、n−C1021、n−C1225、n−C1429、n−C1633、n−C1837、n−C2041、n−C3061、n−C4081、n−C50101、n−C60121、及び
9−OCH2(但し、R9は、分枝又は好ましくは非分枝のC10−C60−アルキル、例えば、n−C1021、n−C1225、n−C1429、n−C1633、n−C1837、n−C2041、n−C3061、n−C4081、n−C50101、n−C60121から選択される。)から選択される。炭素数及び対応する水素数は、平均が考慮される。
【0034】
4〜R6は、異なるか、好ましくは同一であり、水素、R3、CH2−OH、CH2−O−C1−C10−アルキル、特に、CH2−OCH3、CH2−OC25、CH2−O−n−C49、CH2−OCH2CH2OH、CH2−OCH2CH2O−C1−C10−アルキル、特に、CH2−OCH2CH2OCH3、CH2−OCH2CH2OC25、CH2−OCH2CH2O−n−C49、CH2−(OCH2CH22O−H、CH2−(OCH2CH22O−C1−C10−アルキル、特に、CH2−(OCH2CH22OCH3、CH2−(OCH2CH22OC25、及びCH2−(OCH2CH22O−n−C49から選択される。)
で表される化合物である。
【0035】
化合物(a3)の更に特に好ましい例は、一般式III
【0036】
【化3】

【0037】
(但し、変数はそれぞれ上述した定義通りである。)
で表される化合物である。
【0038】
疎水化剤の更なる例は、シリコーン(a4)である。シリコーン(a4)の例は、一般式IVで表される化合物である。
【0039】
【化4】

【0040】
(但し、
10はSi(CH33及び水素から選択され、
1はC1−C4アルキル、特にメチル、及び
水素、
エポキシ基、特に、
【0041】
【化5】

、NH2、アミノアルキレン、好ましくはω−アミノアルキレン、特に(CH2)w−NH2(但し、wは1〜20であり、好ましくは2〜10であり、1個以上の好ましくは非隣接のCH2基は、酸素又はNHで置き換わってよい。)である。Xの例は、CH2−NH2、CH2CH2−NH2、(CH23−NH2、(CH24−NH2、(CH26−NH2、(CH23−NH−(CH22−NH2、(CH22−NH−(CH23−NH2である。)
[Si(CH32−O]と[SiX(CH3)−O]単位は、例えば、ブロックやランダムに配列してよい。
【0042】
xとyはそれぞれ整数である。xとyの合計は30〜2000、好ましくは50〜1500であってよい。
【0043】
xはyより大きいことが好ましい。特にXがCH3でない場合、xは1〜10であることがより好ましく、mはこれに従い選択される。
【0044】
本発明の一実施の形態では、特に、XがCH3、R10がSi(CH33である場合、シリコーン(a4)の動粘度は、23℃で測定して100〜50000mPa・sである。
【0045】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のパラフィン(a2)と少なくとも1種の化合物(a3)の混合物を含む疎水化剤(a)を使用する。
【0046】
有用な架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和コモノマーと少なくとも1種のジエチレン性不飽和コモノマー(架橋剤)のフリーラジカル共重合により得られるハロゲン含有、好ましくはハロゲン非含有の粒子状共重合体である。
【0047】
架橋された粒子状の有機共重合体(b)の製造に有用なモノエチレン性不飽和コモノマーの例は、モノビニル芳香族化合物、例えば、α−メチルスチレン、特にスチレン、及び、エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸)のC1−C10アルキルエステル、より詳しくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートである。また、アクリルニトリルも使用してよい。
【0048】
有用な架橋剤として、例えば、ジ及びトリビニル芳香族化合物(例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びp−ジビニルベンゼン)、エチレン性不飽和アルコールでエステル化したエチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アリル(メタ)アクリレート)、及び、2又は3価アルコールの(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート)が挙げられる。
【0049】
架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、例えば20mol%以下、好ましくは1〜10mol%、より好ましくは少なくとも3mol%の架橋剤と、少なくとも80mol%、好ましくは少なくとも90mol%、より好ましくは97mol%以下の1種以上の上記モノエチレン性不飽和コモノマーを使用して製造してよい。
【0050】
架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、実際に合成した後に、粒子の形成に好適な方法、例えば粉砕によって、共重合体を粉末状とすることにより得られる。合成は、モノエチレン性不飽和コモノマー又はモノ不飽和コモノマーと架橋剤の共重合体を粒子状に形成することができるように行っても良い。これは、例えば、乳化重合あるいはミニエマルション重合又は懸濁重合による合成を行うことにより行う。
【0051】
本発明において粒子状とは、架橋された共重合体(b)が、水又は水性溶媒に溶解しない粒子として存在しているという意味として理解される。この粒子は不規則な形でもよいし、好ましくは規則的な形、例えば楕円又は球状の形でもよい。このことは、少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも90質量%の粒子が球状の形で存在しており、別の粒子が細粒状(granular form)の形で存在してよいという意味として理解される。
【0052】
本発明の一実施形態では、架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、凝集体(aggregates)としても集塊体(agglomerates)としても存在しない。
【0053】
本発明の一実施形態では、架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、重量平均径が10〜450nm、好ましくは20〜250nm、より好ましくは50〜100nmである。粒子径は、例えば高分解電子顕微鏡法等の一般的な方法を用いて測定してよい。
【0054】
本発明の一実施の形態では、架橋された粒子状の有機共重合体(b)は均一な粒度分布を有する。すなわち、少なくとも80質量%の粒子の径は±20%の平均径である。
【0055】
本発明の別の実施の形態では、架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、二峰性又は多峰性の粒径分布を有する。
【0056】
本発明の一実施の形態では、架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、30〜200℃、好ましくは120〜180℃、より好ましくは150〜170℃で保存される架橋された粒子状の有機共重合体(b)が、1秒〜30分の間、好ましくは3分以下の間、その寸法を測定可能な広がり(extent)に変化しない一定の熱的寸法安定性を有する。
【0057】
架橋された粒子状の有機共重合体(b)は、ユニタリー的に構成された粒子である。すなわち、表面における化学組成は、本質的にそれぞれの粒子の内部におけるものと全く同じである。従って、問題となる粒子はコアシェル粒子ではない。
【0058】
本処理は、更に少なくとも1種の乳化剤(c)を用いて行う。乳化剤(c)はアニオン性でも非イオン性でもよいが、カチオン性が好ましい。
【0059】
好適なアニオン性乳化剤(c)は、例えば、アルキルサルフェートのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩(アルキル基:C8〜C12)、エトキシル化アルカノールの硫酸モノエステルのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩(エトキシル化度:4〜30、アルキル基:C12〜C18)及びエトキシル化アルキルフェノールの硫酸モノエステルのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩(エトキシル化度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)、アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩(アルキル基:C12〜C18)及びアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩(アルキル基:C9〜C18)である。
【0060】
好適な非イオン性乳化剤(c)は、例えば、エトキシル化モノ、ジ及びトリアルキルフェノール(エトキシル化度:3〜50、アルキル基:C4〜C12)、更にエトキシル化脂肪アルコール(エトキシル化度3〜80、アルキル基C8〜C36)である。例えば、BASF AktiengesellschaftのLutensol(登録商標)である。
【0061】
有用なカチオン性乳化剤(c)として、カチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0062】
好適なカチオン性界面活性剤は、通常はC6−C18−アルキル、C6−C18アラルキル又は複素環を含有する第一級、第二級、第三級又は第四級アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、オキサゾリニウム塩、モルホリニウム塩、チアゾリニウム塩及びアミン酸化物の塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩である。列挙してよい例は、ドデシルアンモニウムアセテート又は対応する塩酸塩、様々な2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルパラフィン酸エステルの塩化物又は酢酸塩、N−塩化セチルピリジウム、N−ラウリルピリジニウム、N−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム臭化物、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウム臭化物、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩化物、及びジェミニ界面活性剤N,N−(ラウリルジメチル)エチレンジアミンジブロミドである。更なる多くの例は、非特許文献2及び3に記載されている。
【0063】
極めて特に好適なものは、一般式Vで表される化合物である。
【0064】
【化6】

【0065】
(但し、
11は、C6−C40−アルキル、例えば、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、n−ヘプチル、iso−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチル、n−ノニル、n−デシル、iso−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、iso−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、iso−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、n−C3061、n−C4081
1〜5個のC−C二重結合を有し、そのC−C二重結合が例えば離れているか共役しているC3−C40−アルケニルから選択される。具体例は、アリル−(CH22−CH=CH2、all−cis−(CH28−(CH=CH−CH23CH3,all−cis−(CH28−(CH=CH−CH22(CH24CH3、cis−(CH28−CH=CH−(CH27CH3である。
12は、水素及びメチルから選択され、同一でも異なっていてもよい。水素が好ましい。
m及びnは、0〜20、好ましくは2〜12の整数から選択され、同一でも異なっていてもよい。)
【0066】
本発明の方法は、アクリレート又はポリウレタンバインダーを使用せずに行う。即ち、本発明の方法を行うためにアクリレートバインダーもポリウレンタンバインダーも使用しない。
【0067】
ここでいうアクリレートバインダーは、(メタ)アクリル酸と、α−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及びスチレン等のモノビニル芳香族化合物、モノエチレン性不飽和カルボン酸、モノエチレン性不飽和カルボキサミドのハロゲン非含有C1−C10アルキルエステル、及び、エポキシ基、NH−CH2OH基又はアセトアセチル基を有するコモノマー、更に一般式VIで表される化合物から選択される1種以上のコノモマーとのアクリル酸共重合体である。
【0068】
【化7】

【0069】
(但し、
2及びX3は、酸素、NH及びN−R15から選択され、同一でも異なっていてもよく、
Aは、スペーサー、例えば、分枝又は非分枝のC2−C20−アルキレン又はフェニレンである。C2−C20−アルキレンの例は、−(CH22−、−CH2−CH(CH3)−、−(CH23−、−CH2−CH(C25)−、−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−、−(CH27−、−(CH28−、−(CH29−、−(CH210−;好ましくはC2−C4−アルキレン;特に−(CH22−、−CH2−CH(CH3)−、−(CH23−、−(CH24−及び−CH2−CH(C25)−である。
【0070】
13、R14及びR15は、同一でも異なっていてもよく、C1−C10−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、iso−アミル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシルから選択される。より好ましくは非分枝のC1−C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチルである。)
NH−CH2OH基を有するコモノマーの例は、N−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミドである。
【0071】
ポリウレタンバインダーは、フィルム状ポリウレタン、好ましくはアニオン性フィルム状ポリウレタン、例えば、少なくとも1個のスルホン酸又は少なくとも1個のカルボン酸を有する少なくとも1種の化合物、例えばジメチロールプロピオン酸が組み込まれたアニオン性フィルム状ポリウレタンである。
【0072】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1種の架橋剤(d)(硬化剤(d)とも称する)で追加的に処理をする。
【0073】
架橋剤(d)の例は、
(d1)尿素、アルデヒド(例えば、特にホルムアルデヒド)、適宜1種以上のジアルデヒド(例えば、グリオキサール)、適宜1種以上のアルコールの縮合物、
(d2)イソシアヌレート(親水化状態でもよい)
である。
【0074】
例えば、式VIで表される化合物、及び、直鎖C1−C4アルカノールでエーテル化されたVII、特に、二重に、三重に又は四重にメタノール又はエタノールでエーテル化された式VIIで表される化合物が好ましい。
【0075】
【化8】

【0076】
イソシアヌレート(d2)の例は、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート、特に親水化したイソシアヌレート、更に親水化したジイソシヌレート/イソシアヌレート混合物、例えば、C1−C4−アルキルポリエチレングリコールとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートとの反応物である。この種の架橋剤の好適な例は、例えば特許文献13により知られている。
【0077】
架橋剤(d)として有用な化合物の更なる種類は:
(d3)適宜、アルコキシル化、アルコキシアルキル化又はヘミアミナール化された状態であってよいメラミン誘導体
(d4)1分子当たり2〜5個のグリシジル基を有するポリグリシジルエーテル
(d5)カルボジイミド
(d6)適宜、アミナール又はヘミアミナールに変換してよい尿素又は尿素誘導体
である。
【0078】
メラミン誘導体(d3)の例は、任意にアルコキシル化又はアルコキシアルキル化した化合物又はヘミアミナール化メラミンである。
【0079】
1分子当たり2〜5個のグリシジル基、好ましくは1分子当たり2〜4個のグリシジル基を有するポリグリシジルエーテル(d4)の例は、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル及びグリセロール1,3−ジグリシジルエーテル及びこれらの混合物である。
【0080】
カルボジイミド(d5)の例は、ジシクロヘキシルカルボジイミド及び特許文献14〜16に記載の組成物である。
【0081】
カルボジイミド(d5)は高分子カルボジイミドであることが好ましい。本発明において高分子カルボジイミドは、1分子当たり2〜50個、好ましくは20個以下の−N=C=N−基から生成される化合物である。
【0082】
高分子カルボジイミドは公知であり、公知の方法、例えば、触媒の存在下にジイソシアネートの縮合又は重縮合により得られる。触媒の例は、トリアルキルホスフィンオキシド、非環状又は環状のホスホレンオキシド、トリアリールホスフィンオキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩又はトリエチルアミン等の第三級アミンである。特に好適な触媒は、ホスホランオキシド及びホスホレンオキシド、例えば、1−フェニル−2−メチル2−ホスホレンオキシド、1−フェニル−2−メチル3−ホスホレンオキシド、1−メチル2−ホスホレンオキシド及び1−メチル3−ホスホレンオキシドである(特許文献17参照)。縮合又は重縮合の過程において二酸化炭素が脱離して高分子カルボジイミドを生成する。
【0083】
好ましい高分子カルボジイミドの例は、少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート若しくは1,7−ナフチレンジイソシアネート、又は少なくとも1種の脂肪族又は脂環式カルボジイミド、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソアネート及び4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを縮合又は重縮合することにより得られる。
【0084】
好ましい高分子カルボジイミドは、少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート又は1,7−ナフチレンジイソシアネートと、少なくとも1種の脂肪族又は脂環式カルボジイミド、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、2,4−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソアネート及び4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとの縮合又は重縮合により得られる共重合カルボジイミドである。
【0085】
カルボジイミド(d5)として極めて特に好ましいのは、m−TMXDI若しくはp−TMXDI
【0086】
【化9】

又は1分子あたり2〜20個、好ましくは15個以下、より好ましくは10個以下の−N=C=N−基を有するm−TMXDIとp−TMXDIの混合物の重縮合により得られる高分子カルボジイミドである。
【0087】
適宜、アミナール又はヘミアミナールに変換してよい尿素又は尿素誘導体の例は、
未変性の又は多重に、特に、一重に、二重に、三重に又は四重にアルキロール化、特にメチロール化された、及び、アルコキシアルキロール化、特にメトキシメチロール化された尿素化合物及びこの化合物の二、三又は四量体又はオリゴマーの又はポリマーの、直鎖の、分枝の又は環状の予備縮合体である。更に、アルコキシル化された尿素は、二、三、四量体又はオリゴマーの又はポリマーの、直鎖の又は分枝の又は環状の付加/縮合生成物及び多数の官能性アルキルアルデヒド、特にグリオキサール及びそのアルコキシ化、特にメトキシ化した化合物である。
【0088】
本発明の方法は、処理すべき表面を、
アクリレート又はポリウレンタンバインダーを使用せずに、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、及び
(d)適宜、少なくとも1種の架橋剤、
を用いて1以上の工程で処理をすることにより行ってよい。
【0089】
本発明の方法は、例えば、処理すべき表面を、
アクリレートバインダーもポリウレタンバインダーも使用せずに、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、及び
(d)適宜、少なくとも1種の架橋剤、
を含む少なくとも1種の好ましい水性配合物で処理をすることにより行ってよい。
【0090】
同一の又は異なる好ましい水性配合物を使用して複数の処理工程を行うことも可能である。
【0091】
水性配合物は、所望の水性懸濁液、好ましくは水性液(liquor)でよい。
【0092】
水性配合物、特に水性液(liquor)は、10〜70質量%、好ましくは30〜50質量%の固体含有量を有してよい。
【0093】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1種の疎水化剤(a)及び少なくとも1種の乳化剤(c)、更に1種の粒子状の有機共重合体(b)を含む好ましい水性配合物で処理すべき表面に初めに処理し、次いで少なくとも1種の架橋剤(d)を含み、架橋された粒子状の有機共重合体(b)を含まない新しい液(liquor)で処理することにより、処理すべき表面を処理することにより、本発明の方法を行う。
【0094】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1種の疎水剤(a)と少なくとも1種の乳化剤(c)、更に少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体(b)を含む好ましい水性配合物で初めに処理し、次いで別の疎水化剤(a)と適宜少なくとも1種の架橋剤(d)を含み、架橋された粒子状の有機共重合体(b)を含まない新しい好ましい水性配合物で処理することにより、処理すべき表面を処理することにより、本発明の方法を行う。
【0095】
本発明の別の実施の形態では、少なくとも1種の架橋された粒子状共重合体(b)を含む好ましい水性配合物で初めに処理し、次いで疎水化剤(a)、少なくとも1種の乳化剤(c)及び適宜少なくとも1種の架橋剤(d)を含む新しい好ましい水性配合物を処理することにより、処理すべき表面を処理することにより、本発明の方法を行う。
【0096】
本発明の別の実施の形態では、少なくとも1種の疎水化剤(a)、少なくとも1種の架橋された粒子状有機共重合体(b)及び1種の乳化剤(c)を含む好ましい水性液(liquor)で処理をし、次いで疎水化剤(a)も乳化剤(c)も含まず、架橋された粒子状の有機共重合体(b)を含む新しい液(liquor)で処理することにより、処理すべき表面を処理することにより、本発明の方法を行う。
【0097】
本発明の処理を行う温度は重要ではない。温度は10〜60℃、好ましくは15〜30℃でよい。
【0098】
好ましい水性配合物と特に好ましい水性液(liquor)のpHは2〜9、好ましくは4以下でよい。
【0099】
水性液(liquor)で処理すべき表面を処理することにより本発明の方法を行うために、本発明の方法により、ウェットピックアップが25〜95質量%、好ましくは60〜90質量%となるように、ウェットピックアップを選択してよい。
【0100】
本発明の一実施の形態において、本発明の方法は、テキスタイルの仕上げに使用される慣用の機械、例えば、パッドマングル内で行う。好ましくは垂直テキスタイル供給パッドマングルであり、この本質的な要素は、互いに接触して押圧する2つのローラーであり、このローラーの間にテキスタイルが通過する。好ましい水性配合物をローラーの上まで満たし、テキスタイルを湿らす。押圧により、テキスタイルから水分が絞り出され、一定の付加物(add-on)が確保される。他の好ましいパッドマングルにおいて、テキスタイルを浸漬浴(dip bath)に通過させ、次いで上方の互いに接触して押圧する2つのローラーを通過させる。後者の場合、バッドマングルは、上方垂直テキスタイル供給とも言われる。更に好ましくは、テキスタイルが水性液で浸され、水平な一対のローラーが取り付けられ、テキスタイルがその間を通過するパッドマングルである。押圧によりテキスタイルから水分が絞り出され、一定の付加物(add-on)が確保される。パッドマングルは、例えば、非特許文献4の618〜620ページに記載されている。
【0101】
本発明における接触は、例えば、シングル又はマルチスプレー法、ドリズリング法、オーバーポアリング法又はプリンティング法により達成される。
【0102】
本発明において、水性配合物は、1種以上の有機溶剤、例えばアルコール類であり、この例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、酢酸、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール及び異性体、n−オクタノール及び異性体、n−ドデカノール及び異性体である。有機溶剤は、1〜40質量%、好ましくは2〜25質量%の本発明に使用する水性配合物の連続相を含んでよい。水性配合物とは、連続相が主に又は、極端には水のみからなるものを言うものとして理解される。
【0103】
本発明の処理の後、処理した表面を乾燥する。乾燥は、例えば20〜120℃の温度で行ってよい。
【0104】
乾燥は、例えば大気圧下で行ってよい。また、減圧下、例えば1〜850ミリバールの圧力で行ってもよい。
【0105】
乾燥は、加熱した又は加熱してないガス流、特に加熱した又は加熱していない不活性ガス流、例えば窒素流を利用してよい。加熱したガス流を利用するために、好適な温度は、例えば、30〜200℃、好ましくは120〜180℃、より好ましくは150〜170℃である。
【0106】
本発明の処理及び乾燥処理の次に、熱処理(本発明において焼戻し(tempering)とも称する。)を連続処理又はバッチ処理で行ってよい。焼戻し処理の時間は広い範囲から選択することができる。焼戻し処理は通常、約1秒〜30分、特に最大で3分間行うことができる。焼戻し処理は、最高で180℃まで、好ましくは150〜170℃に加熱することにより行う。当然ながら、焼戻し処理の温度を、本発明により処理される表面の物質の感度に合わせることも必要である。
【0107】
熱風乾燥(hot air drying)が、焼戻しの特に好適な方法の例である。
【0108】
本発明の特別な実施の形態では、
(a)0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の疎水化剤、
(b)1〜25質量%、好ましくは5〜15質量%の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)0.01〜10質量%、好ましくは0.25〜5質量%の乳化剤、
(d)0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の架橋剤、
(e)合計で0〜50質量%、好ましくは1〜25質量%の助剤、
(全ての%は好ましい水性配合物全量に対するものである。)
を含む好ましい水性配合物で表面を処理する。
【0109】
本発明の一実施の形態では、更に1種以上の助剤(e)を、好ましい水性配合物の全量に対して最大で50質量%含む水性処方物を用いることにより本発明の方法を行う。特に、1種以上のテキスタイル表面を処理すべき場合、1種以上の助剤(e)を、本発明において用いる好ましい水性配合物に配合することが有利である。この場合、助剤(e)は、殺生物剤、増粘剤、発泡防止剤、湿潤剤、可塑剤、手触り改良剤(hand-modifying agents)、フィラー、及びフィルム形成助剤である。
【0110】
助剤(e)として有用な殺生物剤の例は、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)(Avecia Lim社よりProxel(登録商標)ブランドとして市販されている)及びそのアルカリ金属塩;他の好適な殺生物剤は、2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン(MIT)及び5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾール−3−オン(CIT)である。通常、好ましい水性配合物に対して殺生物剤が10〜150ppmであれば十分である。
【0111】
有用な助剤(e)は更に、1種以上の増粘剤を含む。この増粘剤は自然物でも合成物でもよい。好適な合成増粘剤は、ポリ(メタ)アクリル化合物、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミド及びポリウレタン、特に85〜95質量%のアクリル酸、4〜15質量%のアクリルアミド及び約0.01〜1質量%の式VIII
【0112】
【化10】

で表される(メタ)アクリルアミド誘導体(但し、R16はメチル又は好ましくは水素である。)を含む共重合体(分子量Mw100000〜200000)である。
【0113】
含まれる増粘剤の量は、例えば、本発明の方法に使用する水性配合物に対して、0〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%でよい。
【0114】
助剤(e)として有用な発泡防止剤の例は、室温で液体あり、非エトキシ化又は単一に又は複数エトキシ化されたシリコーンである。
【0115】
助剤(e)として有用な湿潤剤の例は、アルキルポリグリコシド、アルキルホスホネート、アルキルフェニルホスホネート、アルキルホスフェート及びアルキルフェニルホスフェートである。
【0116】
助剤(e)として有用な可塑剤の例は、アルカノールで完全にエステル化された脂肪族又は芳香族ジ若しくはポリカルボン酸の群と少なくとも単一にアルカノールでエステル化されたリン酸の群から選択されるエステル化合物である。
【0117】
本発明の一実施の形態では、アルカノールはC1−C10アルカノールである。
【0118】
アルカノールで完全にエステル化した脂肪族ジ又はポリカルボン酸の好ましい例は、アルカノールで完全にエステル化したフタル酸、イソフタル酸及びメリト酸であり;具体的な例は、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−n−ノニルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジ−n−オクチルイソフタレート、ジ−n−ノニルイソフタレート、ジ−n−デシルイソフタレートである。
【0119】
アルカノールで少なくともモノエステル化されたリン酸の好ましい例は、イソデシルジフェニルホスフェート等のC1−C10−アルキルジC6−C10−アリールホスフェートである。
【0120】
可塑剤の更に好適な例は、C1−C10−アルキルカルボン酸で少なくともモノエステル化された脂肪族又は芳香族ジ又はポリオールである。
【0121】
1−C10−アルキルカルボン酸で少なくともモノエステル化された脂肪族又は芳香族ジ又はポリオールの例は、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレートである。
【0122】
更に好適な可塑剤は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの重縮合により得られるポリエステルであり、例えば、アジピン酸又はコハク酸と1,2−プロパンジオールから得られるポリエステル(Mwが好ましくは200である。)、及び、ポリプロピレングリコールアルキルフェニルエーテル(Mwが好ましくは450である。)である。
【0123】
更に好適な可塑剤は、2つの異なるアルコールでエーテル化され、分子量Mwが400〜800であるポリプロピレングリコールである。このアルコールのうち1つは、好ましくはアルカノール、特にC1−C10−アルカノールであってよく、もう1つのアルコールは、芳香族アルコール、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、特にフェノールであってよい。
【0124】
助剤(e)として有用なフィラーの例は、粒子状のメラミン及び顔料である。
【0125】
助剤(e)として有用な手触り改良剤の例は、シリコーン乳化剤、即ち、OH基又はアルコキシル基等の親水基を好ましくは有するシリコーンの水性乳化剤である。
【0126】
ジエチレングリコールは、助剤(e)として有用なフィルム形成剤(フィルム形成助剤)の例である。
【0127】
本発明の更なる実施の形態では、コーティングすべき表面は、(a)〜(c)、適宜架橋剤(d)及び適宜助剤(e)で処理する前に少なくとも1種のプライマー(f)を備える。プライマー(f)により、本発明により処理すべき表面に、架橋された粒子状の有一共重合体(b)の電荷とは反対の電荷が与えられる。例えば、カチオン性の架橋された粒子状の有機共重合体(b)を使用する場合、アニオン性プライマー(f)を使用することが有利である。一方0、アニオン性の架橋された粒子状の有機共重合体(b)を使用する場合はカチオン性プライマー(f)を使用することが有利である。
【0128】
好適なプライマー(f)は、実際には高分子でも非高分子でもよい。好適な高分子プライマーは、例えば数平均分子量が5000〜500000であってよい。
【0129】
有用なカチオン性プライマー(f)として、例えばポリエチレンイミン、特に、アミノシロキサン、例えば少なくとも1個の(CH2)wNH−R17基(但し、wは1〜10、特に2〜7の整数であり、R17は、水素、好ましくは直鎖C1−C4−アルキル及び(CH2wNH−R17から選択される(但し、R17は水素、好ましくは直鎖C1−C4−アルキル))を有するアミノシロキサン、更にポリビニルイミダゾールが挙げられる。更に好適なカチオン性プライマー(f)は、ジアリルジ−C1−C4−アルキルアンモニウムハロゲン化物(但し、C1−C4−アルキルは直鎖であることが好ましい。)である。
【0130】
更に好適なカチオン性プライマー(f)は、好ましくは環状ジアミンと、エピクロロヒドリン及びアルキル化剤(例えばジメチルスルフェート、ハロゲン化C1−C10アルキル、特にヨウ化メチル等)又はハロゲン化ベンジル、特に塩化ベンジルとの等モル量の反応生成物である。このような反応生成物は、分子量Mwが1000〜1000000であってよく、ピペラジンとエピクロロヒドリン及び塩化ベンジルの等モル量の反応混合物を例として以下の図のように構成される。
【0131】
【化11】

【0132】
好適なアニオン性プライマー(f)は、例えば、アニオン性モノマーの単独又は共重合体、特にエチレン性不飽和スルホン酸、エチレン性不飽和アミンオキシド又は(メタ)アクリル酸と、適宜、1種以上の(メタ)アクリル酸のC1−C10アルキルエステルとの単独又共重合体である。更に好適なアニオン性プライマーは、例えば、アニオン性ポリウレタン、即ち、1分子当たり少なくとも1個のスルホン酸基又はカルボン酸基を含むポリウレタン、例えば1,1−ジメチロールプロピオン酸を用いて製造されるポリウレタンである。
【0133】
1種以上のプライマー(f)を使用するために、架橋された粒子状の有機共重合体(b)で処理する前に、水性配合物内でプライマーを使用して塗付することが好ましい。好適な処理技術として、例えばスプレー、ドリズリング(drizzling)、特にパディングが挙げられる。
【0134】
プライマー(f)の塗付及び架橋された粒子状の有機共重合体(b)での処理の前及び後に、上述した条件に一致する熱処理の条件で熱処理を行う。
【0135】
本発明の一実施の形態では、カチオン性プライマー(f)を綿の表面に塗布し、適宜熱処理をし、次いで架橋された粒子状の有機共重合体(b)、乳化剤(c)及び疎水化剤(a)で処理をする。これに続いて熱処理を行う。
【0136】
本発明の別の実施の形態では、アニオン性プライマー(f)を、ポリエステル表面に塗布し、適宜熱処理をし、次いで架橋された粒子状の有機共重合体(b)、乳化剤(c)及び疎水化剤(a)で処理をする。これに続いて熱処理を行う。
【0137】
本発明は更に、
(f)適宜少なくとも1種のプライマー、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
でコーティングした表面であって、アクリレートバインダー及びポリウレタンバインダー、特にフィルム状のアクリレートバインダー及びポリウレタンバインダーを含まない表面を提供する。
【0138】
本発明の表面は、上述した本発明の方法により有利に製造することができる。本発明の表面は、きめがあり、撥水性があり、汚れにくい。
【0139】
本発明の一実施の形態では、使用する任意の乳化剤(c)を、仮に含むとしてもわずかな量のみを本発明の表面に塗布する。このため、乳化剤(c)は本発明の被覆された表面に実質的に含まない。
【0140】
本発明の一実施の形態では、使用する任意の助剤(e)を、仮に含むとしてもわずかな量のみを本発明の表面に塗布する。このため、助剤(e)は本発明の被覆された表面に実質的に含まない。
【0141】
本発明の一実施の形態では、本発明の表面は、処理により、不均一又は好ましくは均一であってよいコーティングとなることが特徴である。均一とは、テクスチャリングが規則的であることを意味するものとして理解される。一方、不均一とは、テクスチャリングが不規則的、すなわち、表面にテクスチャした領域とテクスチャしていない領域があることを意味する。
【0142】
本発明の一実施の形態では、本発明の表面は、1〜10g/m2、好ましくは1.5〜5g/m2の平均付加物(add-on)を有するコーティングを有する。
【0143】
本発明の一実施の形態では、本発明の表面はテキスタイルの表面である。
【0144】
本発明は更に、
(a)少なくとも1種の疎水化剤
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
(d)適宜、少なくとも1種の架橋剤、
(e)適宜、少なくとも1種の助剤、
を含む水性配合物であって、アクリレートバインダー及びポリウレタンバインダーを含まない水性配合物を提供する。
【0145】
本発明の一実施の形態では、本発明の好ましい水性配合物は、
(a)0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の疎水性化剤、
(b)1〜25質量%、好ましくは5〜15質量%の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)0.1〜10質量%、好ましくは0.25〜5質量%の乳化剤、
(d)0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の架橋剤、
(e)合計で0〜50質量%、好ましくは1〜25質量%の助剤、
を含む。なお、全ての百分率(%)は本発明の好ましい水性処方物全質量に対するものである。
【0146】
本発明の一実施の形態では、本発明の好ましい水性配合物は、pHが2〜9、好ましくは3.5〜7.5である。
【0147】
本発明の一実施の形態では、本発明の好ましい水性配合物は、10〜70質量%、好ましくは30〜50質量%の固体含有量を有する。
【0148】
本発明の一実施の形態では、本発明の好ましい水性配合物は、動粘度が50〜5000mPa・s、好ましくは100〜4000mPa・s、より好ましくは200〜2000mPa・sである。これは、例えば、Brookfield粘度計を用いてDIN51562−1〜4に従って測定した。
【0149】
本発明の一実施の形態では、本発明の好ましい水性配合物は、10〜450nmの重量平均径を有する架橋された有機(共)重合体(b)を含む。
【0150】
本発明の水性配合物により、上述した本発明の方法が特に効果的となり、また、例えば水で希釈することにより、同様に本発明の方法を効果的にする液(liquor)に容易に処理を行うことができる。
【0151】
本発明は更に、本発明の水性配合物を製造する方法(以下、本発明の製造方法と称する。)を提供する。本発明の製造方法は、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
(d)適宜、架橋剤、
(e)適宜、1種以上の助剤、
を水と、例えば攪拌して、混合することにより行うことが好ましい。
【0152】
本発明の製造方法は、任意の容器、好ましくは撹拌容器を用いて行うことができる。
成分、水及び
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
(d)適宜、架橋剤、及び
(e)適宜、1種以上の助剤、
を添加する順番は、本発明の方法を行う場合においては通常は重要なものではない。最初の導入としてまず水を導入する場合には、その次に成分(a)〜(c)、適宜(d)及び(e)を混入することが好ましい。
【0153】
本発明を実施例により説明する。
【実施例】
【0154】
分散又は乳化した添加共重合体の粒度分布を、ISO13321に従って、マルバーン社製Coulter Counterを用いて測定した。
【0155】
動粘度は常にDIN51562−1〜4に従って、Brookfield粘度計を用いて測定した。
【0156】
I.本発明の配合物用の成分の製造
I.1 架橋された粒子状の有機共重合体(b)の製造
I.1.1 架橋された粒子状の有機共重合体(b.1)の製造

以下の混合物を製造した:

混合物I.1.1.1:
209gのイオン非含有水
344.8gのスチレン、3.2gのアクリル酸、
40gのアリルメタクリレート(下記参照)
水12ml中8gの化合物V.1(但し、R11.1は、シス−(CH28−CH=CH−(CH27CH3)(下記参照)
12gのN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
【0157】
【化12】

【0158】
【化13】

をギ酸でpH4.0に調整した。
【0159】
混合物I.1.1.2:完全にイオンを含まない水80ml中2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)4g
アンカー攪拌器、窒素接続管及び3つの計量装置を備える5lのタンクに、250mlの完全にイオンを含まない水、40gの化合物V.1(60mlの水に溶けている)、62.9gの混合物I.1.1.1及び8.2gの混合物I.1.1.2を含む乳化剤を入れた。ギ酸でpHを4.0に調整した。次いで生成した乳化剤に15分間窒素を通した。次いで、乳化剤を75℃に加熱した。
【0160】
混合物I.1.1.1と混合物I.1.1.2の残りの同時添加を開始した。混合物I.1.1.1の残りを3時間以内に添加した。混合物I.1.1.2の残りを3時間15分以内に添加した。添加の間、撹拌を75℃で行った。
【0161】
添加を終えた後、75℃において30分間の攪拌を行った。次いで、脱臭のために、30mlの希釈水で希釈した2.9gのtert−ブチルヒドロパーオキシド(水中において70質量%)の溶液と、30mlの希釈水で希釈した15.4gのアセトン次亜硫酸(水中において13質量%)の溶液の同時計量添加を60分かけて行った。添加を終えた後、30分間75℃で攪拌した。
【0162】
この次に室温に冷却した。次に、このように得た分散液を125μmのネットで濾過した。濾過には4分費やした。約1gの凝塊を除去した。
【0163】
これにより、pHが4.1であり、架橋された粒子状の有機共重合体(b.1)を含む分散液WD.1を得た。固体含有量は36.8質量%であり、動粘度は35mPa・sであった。粒度分布は最大で52nmであった。
【0164】
I.2 水性液(aqueous liquor)の製造
次の成分を使用した:
水性懸濁液中の10質量%のメタクリル酸と90質量%のCH2=CHCOO−CH2−CH2−O−n−C613とのランダム共重合体(Mn30000(GPC))(28質量%の固体含有量)(a1.1)、
パラフィンワックス(非分枝、融点範囲65〜70℃、一分子当たりの炭素原子の平均数:40)(a2.1)
【0165】
【化14】

【0166】
(c.1):(b.1)又はWD.1の製造からの、オレイルアミンと6当量のエチレンオキシドとの反応混合物
(d2.1):特許文献18の実施例4の化合物
表1の成分を、撹拌容器内で混合し、適宜水で1リットルとし、水性液F.1〜F.3を得た。
【0167】
本発明の水性液F.3中の(b)の粒子は、凝集する傾向になかった。
【0168】
WD.1における(b.1) 固体のそれぞれの量を表に示す。
【0169】
【表1】

【0170】
II.本発明のテキスタイル表面の処理
以下のテキスタイルを使用した:
綿:1m・30cm、100%の綿織物、漂白済、非シルケット系(nonmercerized)、あや織り構造、基本重量196g/m2(Co)。
【0171】
以下の装置を使用した:
パッドマングル:Mathis社製、HVF12085型、接触圧:1〜3バール、
特に明記しない限り、ウェットピックアップ(物(goods)の質量に対する)が、ポリエステルの場合は60%、綿の場合は90%となるように接触圧を設定した。特に明記しない限り、液(liquor)を室温であった。
乾燥器:Manthis社製THN12589の連続式乾燥器、
試験方法:
スプレー試験:AATCC22−2001、撥油等級:AATCC118−2002、
疎水性:AATCC193−2004、
洗濯条件:30℃において弱水流回転(delicates cycle)、15g/lのマイルド洗濯洗剤
洗濯機:Miele Novotronic T440C、設定:回転式乾燥、ハンドアイロンモイスト
【0172】
II.1 テキスタイル表面の処理−V−Co.1の製造(比較例)
テキスタイル(Co)を水性液F.1でパッドした。この次に、2分間、テンター上で110℃にて乾燥させて、残りの水分の含量を7%とした。次に、このように処理をしたテキスタイルを160℃にて2分間、乾燥器内で処理をした。これにより、表2の比較テキスタイルV−Co.1を得た。
【0173】
II.2 本発明のテキスタイル表面処理−Co.2の製造
テキスタイル(Co)を水性液F.2でパッドした。この次に、2分間、テンター上で110℃にて乾燥させて、残りの水分の含量を6%とした。次に、このように処理をしたテキスタイルを160℃にて2分間、乾燥器内で処理をした。これにより、表2の本発明のテキスタイルV−Co.2を得た。
【0174】
II.3 2以上の工程における本発明のテキスタイル表面の処理−Co.3の製造
テキスタイル(Co)を水性液F.3でパッドした(工程1)。この次に、2分間110℃にてテンター上で乾燥させ、次に水性液F.1でパッドした。次に、このように処理をしたテキスタイルを160℃にて2分間、乾燥器内で処理をした。これにより、表2の本発明のテキスタイルCo.3を得た。
【0175】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリレート又はポリウレタンバインダーを使用せずに、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
で表面を処理する工程、及び、
次いで乾燥させる工程を含む表面処理方法。
【請求項2】
前記表面がテキスタイル表面である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋された有機共重合体(b)の重量平均粒子径が10〜450nmである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種の乳化剤(c)が、カチオン性乳化剤を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記処理を、更に少なくとも1種の架橋剤(d)を用いて行う請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の疎水化剤(a)は、
(a1)ハロゲン化有機(共)重合体、
(a2)パラフィン、
(a3)1分子当たり少なくとも1個のC10−C60−アルキル基を有する化合物、及び
(a4)シリコーン、
から選択される請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面を、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤
を含み、アクリレートバインダーもポリウレタンバインダーも含まない水性配合物で処理したことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記処理を、1種以上の助剤(e)の存在下に行う請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
(d)適宜、架橋剤、
での前記処理に先行してプレイマー(f)を施す請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
アクリレートバインダーとポリウレタンバインダーを含まない
(f)適宜、プライマー、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
でコーティングした表面。
【請求項11】
前記コーティングは、0.2〜10g/m2の平均付加物(add-on)を有する請求項10に記載の表面。
【請求項12】
テキスタイル表面を含む請求項10又は11に記載の表面。
【請求項13】
前記架橋された有機(共)重合体(b)の重量平均粒子径が10〜450nmである請求項10〜12の何れか1項に記載の表面。
【請求項14】
前記疎水化剤(a)が、
(a1)ハロゲン化有機(共)重合体、
(a2)パラフィン、
(a3)1分子当たり少なくとも1個のC10−C60−アルキル基を有する化合物、及び
(a4)シリコーン、
から選択される請求項10〜13の何れか1項に記載の表面。
【請求項15】
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、
(d)適宜、少なくとも1種の架橋剤、
を含み、アクリレート及びポリウレタンバインダーを含まない水性配合物。
【請求項16】
前記架橋された有機(共)重合体(b)は、10〜450nmの重量平均粒子径を有する請求項15に記載の水性配合物。
【請求項17】
前記疎水化剤(a)が、
(a1)ハロゲン化有機(共)重合体、
(a2)パラフィン、
(a3)1分子当たり少なくとも1種のC10−C60アルキル基を有する化合物、
(a4)シリコーン、
から選択される請求項15又は16に記載の水性配合物。
【請求項18】
少なくとも1種の乳化剤(c)がカチオン性乳化剤を含む請求項15〜17の何れか1項に記載の水性配合物。
【請求項19】
請求項15〜18の何れか1項に記載の水性配合物を製造する方法であって、
(a)少なくとも1種の疎水化剤、
(b)少なくとも1種の架橋された粒子状の有機共重合体、
(c)少なくとも1種の乳化剤、及び
(d)適宜、架橋剤、
と水を混合する工程を含むことを特徴とする製造方法。

【公表番号】特表2010−528193(P2010−528193A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508827(P2010−508827)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056197
【国際公開番号】WO2008/142080
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】