説明

表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体

表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体と、それらから製造される製品と、それらの製造方法とを提供する。より詳細には、表面処理組成物を含む第1の領域と、ローション組成物を含む第2の領域と、を含むユーザー接触表面を具備する繊維性構造体を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体と、それらから製造される単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品と、それらの製造方法とに関する。より詳細には、本発明は、第1の領域と第2の領域とを含み、前記第1の領域は第1の組成物を含み、前記第2の領域は第1の組成物とは異なる第2の組成物を含む、繊維性構造体に関する。さらに詳細には、本発明は、表面処理組成物を含む第1の領域と、ローション組成物を含む第2の領域と、を含むユーザー接触表面を含む、繊維性構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟化組成物のような表面処理組成物とローション組成物とを含む、繊維性構造体が知られている。ただし、そのような従来の繊維性構造体は、ローション組成物の移行を最大限にするため、表面処理組成物及び/又はローション組成物による繊維性構造体表面の完全被覆を用いてきた。
【0003】
配合者らは、繊維が第四級アンモニウム化合物でコーティングされるように、第四級アンモニウム化合物などの抗移行物質を繊維完成紙料に添加してきた。繊維完成紙料によって形成された繊維性構造体は、後で適用されるローション組成物が繊維性構造体へと移行するのを抑制する傾向にある。第四級アンモニウム化合物の機能、及びそれが使用されるレベルは、繊維性構造体表面の柔軟化をもたらすものではない。
【0004】
又、当該技術分野では、繊維を剥離する(debonding)目的で、第四級アンモニウム化合物及び/若しくはシリコーン、並びに/又は他の種類の剤を繊維完成紙料に添加することも知られている。
【0005】
既知の繊維性構造体には、表面処理組成物を含む第1の領域とローション組成物を含む第2の領域とを含むユーザー接触表面が前記繊維性構造体の表面に作り出されるように、前記繊維性構造体の表面を表面処理組成物及びローション組成物で処理することを教示又は提案するものは存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、表面処理組成物を含む第1の領域とローション組成物を含む第2の領域とを含むユーザー接触表面が繊維性構造体の表面に作り出されるように、柔軟化組成物のような表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体と、それらから製造される単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品と、それらの製造方法とが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面処理組成物を含む第1の領域とローション組成物を含む第2の領域とを含むユーザー接触表面が繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面に作り出されるように、表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を提供することによって、前述の必要を満たす。
【0008】
本発明の一実施例では、表面処理組成物を含む第1の領域とローション組成物を含む第2の領域とを含むユーザー接触表面を具備する、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品が提供される。
【0009】
本発明の他の実施例では、表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品であって、 前記表面処理組成物は、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品内よりも高い重量レベルで繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面に存在し、前記ローション組成物は、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面よりも高い重量レベルで繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品内に存在する、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品が提供される。
【0010】
表面の表面処理組成物及び/又はローション組成物の相対濃度は、本明細書に記載の、表面の相対濃度の試験方法を使用して決定することができる。
【0011】
本発明のさらに他の実施例では、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品であって:
a.ポリマー、炭化水素、蝋、油、シリコーン、第四級アンモニウム化合物、フルオロカーボン、置換C10〜C22アルカン、置換C10〜C22アルケン、ポリオール、糖誘導体、及びこれらの混合物よりなる群から選択される表面処理剤を含む表面処理組成物と、
b.油、アルコールエトキシレート、脂肪酸エステル、炭化水素、及びこれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含むローション組成物と、
を含み、
前記表面処理組成物は、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面に存在し、前記ローション組成物は、表面処理組成物の表面全体より小さい面上に存在する、前記繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の実施例では、本発明による繊維性構造体を含む単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の実施例では、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面に結合した表面処理組成物にローション組成物を適用する工程を含む、繊維性構造体を処理する方法が提供される。
【0014】
本発明のさらに他の実施例では、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品を処理する方法であって:
a.繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面に表面処理組成物を適用する工程と、
b.表面処理組成物にローション組成物を適用する工程と、
を含む方法が提供される。
【0015】
本発明のさらに他の実施例では、繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品を処理する方法であって:
a.繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面に表面処理組成物を適用する工程と、
b.前記繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品の表面にローション組成物を適用する工程と、
を含む方法が提供される。
【0016】
それ故に、本発明は、表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体及び/又は単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品と、それらから製造される製品と、それらの製造方法とを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
定義
本明細書で使用するとき、「繊維」は、見掛けの長さがその見掛けの直径を大きく上回る、すなわち、長さと直径との比が少なくとも約10である、細長い微粒子を意味する。非円形断面を有する繊維が一般的であり、この場合、「直径」は、繊維の断面積に等しい断面積を有する円の直径と考えてよい。より具体的には、本明細書で使用するとき、「繊維」は、抄紙繊維を指す。本発明は、多様な抄紙繊維、例えば、天然繊維若しくは合成繊維、又はあらゆる他の好適な繊維、及びそれらのあらゆる組み合わせなどの使用が考えられる。
【0018】
本発明で有用な天然抄紙繊維としては、動物繊維、鉱物繊維、植物繊維、及びこれらの混合物が挙げられる。動物繊維は、例えば:羊毛、絹、及びこれらの混合物よりなる群から選択されてよい。植物繊維は、例えば:木、綿、綿リンター、亜麻、サイザル、アバカ、麻、ヘスペルアロエ、黄麻、竹、バガス、クズ、トウモロコシ、サトウモロコシ、ウリ、アガーベ、ヘチマ、及びこれらの混合物よりなる群から選択される植物由来であってよい。
【0019】
しばしば木材パルプと呼ばれる木部繊維としては、クラフト(サルフェート)及びサルファイトパルプのような化学パルプ、並びに、例えば、砕木、サーモメカニカルパルプ、ケミメカニカルパルプ(CMP:chemi-mechanical pulp)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:chemi-thermomechanical pulp)、中性セミケミカルサルファイトパルプ(NSCS:neutral semi-chemical sulfite pulp)を含めた機械パルプ及び半化学パルプが挙げられる。ただし、化学パルプから作製されるティッシュシートには触知できる優れた柔軟性が付与されることから、化学パルプが好ましいことがある。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ぶ)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ぶ)に由来するパルプを使用してもよい。広葉樹繊維及び針葉樹繊維をブレンドすることができ、或いは、成層化した及び/又は層状の繊維性構造体を提供するように層状に堆積させることもできる。広葉樹及び針葉樹繊維の層状化を開示する目的で、米国特許第4,300,981号及び同第3,994,771号を本明細書に参考として組み込む。又、上記部類のいずれか又はすべて、並びに元々の抄紙を容易にするために使用された充填剤及び接着剤などの他の非繊維性物質を含有し得るリサイクル紙から得られる繊維も、本発明に適用可能である。
【0020】
木材パルプ繊維は、短繊維(広葉樹繊維に特有)であっても、長繊維(針葉樹繊維に特有)であってもよい。短繊維の非限定例としては、アカシア、ユーカリ、カエデ、オーク、ヤマナラシ、カバノキ、ハコヤナギ、ハンノキ、トネリコ、サクラ、ニレ、ヒッコリー、ポプラ、ゴム、クルミ、ニセアカシア(Locust)、スズカケノキ、ブナノキ、キササゲ、サッサフラス、グメリナ(Gmelina)、ネムノキ、アントセファラス(Anthocephalus)、及びモクレンよりなる群から選択される繊維源由来の繊維が挙げられる。長繊維の非限定例としては、マツ、トウヒ、モミ、アメリカカラマツ、ツガ(Hemlock)、サイプレス、及びスギ(Cedar)由来の繊維が挙げられる。クラフト法によって得られる、より北方の気候に由来する針葉樹繊維が、好ましい可能性がある。これらは、しばしば、北方針葉樹クラフト(NSK:northern softwood kraft)パルプと呼ばれる。
【0021】
合成繊維は、湿式紡糸繊維、乾式紡糸繊維、溶融紡糸(メルトブロウンを含む)繊維、合成パルプ繊維、及びこれらの混合物よりなる群から選択されてよい。合成繊維は、例えば、セルロース(しばしば「レーヨン」と呼ばれる);エステル、エーテル、若しくは亜硝酸(nitrous)誘導体のようなセルロース誘導体;ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンを含む);ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを含む);ポリアミド(しばしば「ナイロン」と呼ばれる);アクリル;非セルロース系高分子炭水化物(デンプン、キチン、及びキトサンのようなキチン誘導体など);並びにこれらの混合物からを含んでよい。
【0022】
本明細書で使用するとき、「繊維性構造体」は、1つ以上の繊維を含む構造体を意味する。繊維性構造体の製造方法の非限定例としては、公知の湿式載置抄紙法(wet-laid papermaking processes)及びエアレイド抄紙法(air-laid papermaking processes)が挙げられる。かかる方法は、通常、湿式載置法ではしばしば繊維スラリーと呼ばれる、湿潤又は乾燥した繊維組成物を調製する工程と、次いで、初期(embryonic)繊維性構造体が形成されるように複数の繊維をフォーミングワイヤ若しくはベルト上に堆積させる工程と、繊維性構造体が形成されるように繊維を乾燥及び/若しくは1つに結合させる工程と、並びに/又は完成繊維性構造体が形成されるように繊維性構造体をさらに処理する工程とを含む。例えば、典型的な抄紙法では、完成繊維性構造体とは、抄紙の終わりにリール上に巻き付けられているが、衛生ティッシュ製品へと転換される前の、繊維性構造体である。
【0023】
「衛生ティッシュ製品」は、排尿後及び排便後の清浄化のための拭取用具(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科学的排泄物のための拭取用具(フェイシャルティッシュ及び/又は使い捨てハンカチ)、並びに多機能的な吸収及び清浄化用途のための拭取用具(吸収性タオル及び/又は拭き取り布)として有用な、転換された、又は転換されていない、1つ以上の繊維性構造体を含む。一実施例では、本発明による、ローション組成物を含有する厚さ約0.1mm〜約0.4mmの多プライ使い捨てハンカチが提供される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「プライ(単数又は複数)」は、任意で他のプライと実質的に連続的な隣接した向かい合わせの関係で配置されて、多プライの完成繊維性構造体製品及び/又は衛生ティッシュ製品を形成する、個々の完成繊維性構造体を意味する。又、単一の繊維性構造体が、例えばそれ自体が折り畳まれることによって、効果的に2枚の「プライ」又は多数の「プライ」を形成できることも企図される。
【0025】
本明細書で使用するとき、「繊維性構造体の表面」は、外部環境にさらされる繊維性構造体の部分を意味する。換言すれば、繊維性構造体の表面とは、繊維性構造体の他の部分によって完全には取り囲まれていない、前記繊維性構造体の部分である。
【0026】
本明細書で使用するとき、「ユーザー接触表面」は、外部環境にさらされる繊維性構造体の部分、並びに/又は前記繊維性構造体の表面に直接的及び/若しくは間接的に存在する表面処理組成物及び/若しくはローション組成物の部分を意味する。換言すれば、それは、ユーザーによって使用されるときに対向表面と接触する、繊維性構造体の表面に直接的及び/又は間接的に存在するあらゆる表面処理組成物及び/又はローション組成物を含めた、繊維性構造体によって形成される表面である。例えば、それは、ユーザーが自身の皮膚を本発明の繊維性構造体で拭き取るときに前記ユーザーの皮膚と接触する、繊維性構造体の表面に直接的及び/又は間接的に存在するあらゆる表面処理組成物及び/又はローション組成物を含めた、繊維性構造体によって形成される表面である。
【0027】
一実施例では、ユーザー接触表面は、特に、通気乾燥された(through-air-dried)繊維性構造体及び/又はエンボス加工された繊維性構造体などの織り目加工された及び/又は構造化された繊維性構造体の場合、前記繊維性構造体の隆起部と陥凹部とを含んでよい。通気乾燥された高密度模様付き(pattern densified)繊維性構造体の場合、隆起部は、ナックル(knuckles)であってよく、陥凹部は、ピロー(pillows)であってよく、逆も又同様である。したがって、ユーザーが自身の皮膚と繊維性構造体とを接触させるときにローション組成物及び表面処理組成物の両方が前記ユーザーの皮膚と接触するように、前記ナックルは、直接的及び/又は間接的にローション組成物を含んでよく、前記ピローは、表面処理組成物を含んでよく、逆も又同様である。エンボス加工された繊維性構造体の場合にも同様のことが当てはまり、エンボス部は、直接的及び/又は間接的にローション組成物を含んでよく、非エンボス部は、表面処理組成物を含んでよく、逆も又同様である。
【0028】
一実施例では、使用時に2つ以上の異なる領域(異なる組成物を含む)が対向表面にさらされるように、ユーザー接触表面は、十分な大きさの領域を含まなければならない。換言すれば、(微視的スケールでは)ローション組成物によってほぼ覆われているが、巨視的スケールではそのようなローション組成物によって完全に覆われ、結果としてユーザーの皮膚に前記ローション組成物しか接触しない繊維性構造体の表面は、そのユーザー接触表面に2つの異なる領域を含んではいない。一実施例では、ユーザー接触表面は、多層繊維性構造体の外層を含んでよく、前記外層が、表面処理組成物及び/又はローション組成物を含んでよい。
【0029】
ユーザー接触表面は、ユーザーによる使用の前に繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品上に存在してよく、並びに/又は、ユーザー接触表面は、ユーザーが自身の皮膚と繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品とを接触させるときに前記ユーザーが繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品に圧力をかけるときなど、ユーザーによる繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の使用前及び/若しくは使用中に作り出され/形成されてもよい。
【0030】
百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0031】
特に記載がない限り、構成成分又は組成物の濃度はすべて、前記構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0032】
繊維性構造体
図1は、本発明による繊維性構造体の略図である。図1に示したように、繊維性構造体10は、第1の領域14と第2の領域16とを含むユーザー接触表面12を備える。ユーザー接触表面12は、繊維性構造体18の表面に結合されている。図に示したように、繊維性構造体18の表面は、1つ以上の繊維20を含んでよい。
【0033】
前記第1の領域14及び/又は前記第2の領域16は、繊維性構造体18の表面に存在して(表面に結合されていて)よい。前記第1の領域14及び/又は前記第2の領域16が繊維性構造体18の表面に存在するときには、一方又は両方が、連続的な網状組織の形態で、及び/又は複数の別個の領域(「島」として知られることもある)で、前記繊維性構造体18の表面に存在してよい。
【0034】
繊維性構造体18の表面に存在するときには、前記第1の領域14及び/又は前記第2の領域16は、前記繊維性構造体18の表面の表面積全体と接触し、及び/又は全体若しくはほぼ全体を覆ってよい。一実施例では、第1の領域18は、繊維性構造体18の表面の表面積全体と接触し、及び/又は表面積全体を覆う。
【0035】
繊維性構造体18の表面に存在するときには、前記第1の領域14及び/又は前記第2の領域16は、前記繊維性構造体18の表面の表面積全体とは接触していなくてよく、及び/又は全体を覆わなくてよい。一実施例では、前記第2の領域16は、前記繊維性構造体18の表面の表面積全体と接触してはおらず、及び/又は全体より小さい面積を覆う。任意の領域が繊維性構造体18の表面のほぼ表面積全体より小さい面積を覆う場合、その領域は、複数の別個の領域の形態であってよい。
【0036】
図2に示したように、前記第1の領域14は、前記繊維性構造体18の表面のほぼ表面積全体と接触し、及び/又はほぼ表面積全体を覆い、前記第2の領域16は、前記繊維性構造体18の表面のほぼ表面積全体と接触してはおらず、及び/又はほぼ表面積全体より小さい面積を覆う。前記第1の領域14は、連続的な網状組織の形態であってよく、前記第2の領域16は、前記第1の領域14の連続的な網状組織全体にわたって分散した複数の別個の領域の形態であってよい。
【0037】
いずれの領域も、他の領域と接触していてよい。図3に示したように、前記第2の領域16は、前記14が前記第2の領域16と前記繊維性構造体18の表面との間に位置決めされるように、前記第1の領域14と接触している。前記第2の領域16は、前記第1の領域14の表面積全体より小さい表面積で存在してもよい。前記第2の領域16は、1つ以上の別個の領域の形態で前記第1の領域14上に存在してよい。図1、図4、及び図5に示したように、前記第2の領域16の一部分は、前記第2の領域16及び前記第1の領域14の両方が前記繊維性構造体18の表面と直接接触するように、前記第1の領域14と接触している。又図4及び図5に示したように、前記第2の領域16の一部分は、前記第1の領域14と接触していない。
【0038】
図4及び図5は、又、繊維性構造体18の表面のほぼ表面積全体より小さい表面積に第1の領域14及び第2の領域16が接触している、又はほぼ表面積全体より小さい表面積が第1の領域14及び第2の領域16によって覆われていることも示している。これらの実施例では、ユーザー接触表面12は、前記第1の領域14及び前記第2の領域16に加えて、第3の領域、すなわち、前記繊維性構造体18の表面を含む。
【0039】
図6は、本発明による繊維性構造体の他の実施例の略図である。繊維性構造体10は、第1の領域14と、第2の領域16と、第3の領域、この場合には1つ以上の繊維20を含む繊維性構造体18の表面とを含む、ユーザー接触表面12を備える。
【0040】
前記第1の領域14は、表面処理組成物を含む。
【0041】
前記第2の領域16は、ローション組成物を含む。
【0042】
一実施例では、表面処理組成物及び/又はローション組成物は、前記繊維性構造体18内よりも高い重量レベルで前記繊維性構造体の表面に存在してよい。
【0043】
他の実施例では、表面処理組成物及び/又はローション組成物は、前記繊維性構造体18の表面よりも高い重量レベルで前記繊維性構造体の内部に存在してよい。
【0044】
繊維性構造体の表面の表面処理組成物の表面積被覆率は、約10%よりも高く、及び/又は約30%よりも高く、及び/又は約50%よりも高く、約100%まで、及び/又は約90%まで、及び/又は約85%までであってよい。
【0045】
繊維性構造体の表面のローション組成物の表面積被覆率は、約1%よりも高く、及び/又は約5%よりも高く、及び/又は約10%よりも高く、及び/又は約20%よりも高く、約99%まで、及び/又は約90%まで、及び/又は約75%まで、及び/又は約50%までであってよい。
【0046】
一実施例では、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面積は、約10%よりも多く、及び/又は約20%よりも多く、及び/又は約50%よりも多く、及び/又は約70%よりも多く、及び/又は約80%よりも多く、及び/又は約90%よりも多くの表面処理組成物と、0〜約90%、及び/又は0〜約80%、及び/又は0〜約50%、及び/又は0〜約30%、及び/又は0〜約20%、及び/又は0〜約10%のローション組成物とを含む。繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面の表面積が0%のローション組成物を含むときには、ローションは、衛生ティッシュ製品の2枚のプライ間など、繊維性構造体の内部及び/又は衛生ティッシュ製品内にあってよい。
【0047】
他の実施例では、ユーザー接触表面の表面積は、約20%〜約97%、及び/又は約50%〜約97%、及び/又は約80%〜約97%の表面処理組成物と、約3%〜約80%、及び/又は約3%〜約50%、及び/又は約3%〜約20%、及び/又は約3%〜約15%のローション組成物とを含む。
【0048】
繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面積被覆率は、本明細書に記載の表面積被覆率の試験方法によって決定されてよい。
【0049】
各領域は、それ自体の中で、それぞれの組成物の濃度差及び/又はそれぞれの組成物の高度差(繊維性構造体の表面からの突出)を示してよい。
【0050】
ユーザー接触表面積は、約10%よりも多く、及び/又は約30%よりも多く、及び/又は約50%よりも多く、約100%まで、及び/又は約90%まで、及び/又は約85%までの表面処理組成物と、約1%よりも多く、及び/又は約5%よりも多く、及び/又は約10%よりも多く、及び/又は約20%よりも多く、約99%まで、及び/又は約90%まで、及び/又は約75%まで、及び/又は約50%までのローション組成物とを含んでよい。
【0051】
ユーザー接触表面における表面処理組成物とローション組成物との組み合わせは、表面処理組成物又はローション組成物のいずれかを単独で含むユーザー接触表面よりも高い柔軟性を示す。
【0052】
ユーザー接触表面は、平面的であってもよく、或いは、前記ユーザー接触表面が高度差を示すように表面処理組成物及び/又はローション組成物の任意の突出部を有してもよい。
【0053】
他の実施例では、ユーザー接触表面は、ローション組成物がより高濃度及び/又はより高い高度である領域、ローション組成物がより低濃度及び/又はより低い高度である領域、並びに表面処理組成物の領域を含んでよい。
【0054】
ユーザー接触表面が第2の領域に存在する組成物とは異なる組成物(組成物中の少なくとも1つの成分が異なる)を含む第1の領域を含む限り、表面処理組成物及びローション組成物は、1つ以上の類似及び/又は同一成分を含んでよい。
【0055】
本発明による繊維性構造体の非限定的な種類としては、従来式にフェルトプレスされた繊維性構造体;高密度模様付き繊維性構造体;及び嵩高の非圧縮繊維性構造体が挙げられる。繊維性構造体は、均質又は多層(2枚若しくは3枚以上の層)構造であってよく;それらから製造される衛生ティッシュ製品は、単プライ又は多プライの構造であってよい。
【0056】
繊維性構造体は、エンボス加工、及び/又はカレンダー加工、及び/又は折り畳み、及び/又はその上への画像の印刷など、後処理されてよい。
【0057】
繊維性構造体は、通気乾燥された繊維性構造体、又は従来式に乾燥された繊維性構造体であってよい。
【0058】
繊維性構造体は、クレープ加工されてもよく、又はクレープ加工されなくてもよい。
【0059】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約10g/m2〜約120g/m2、及び/又は約12g/m2〜約80g/m2、及び/又は約14g/m2〜約65g/m2の坪量を示してよい。
【0060】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約59g/cm(150g/in)よりも大きく、及び/又は約78g/cm(200g/in)から、及び/又は約98g/cm(250g/in)から、約1182g/cm(3000g/in)まで、及び/又は約984g/cm(2500g/in)まで、及び/又は約787g/cm(2000g/in)まで、及び/又は約394g/cm(1000g/in)まで、及び/又は約335g/cm(850g/in)までの総乾燥引張り強度を示してよい。
【0061】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約0.60g/cm3未満、及び/又は約0.30g/cm3未満、及び/又は約0.20g/cm3未満、及び/又は約0.10g/cm3未満、及び/又は約0.07g/cm3未満、及び/又は約0.05g/cm3未満、及び/又は約0.01g/cm3〜約0.20g/cm3、及び/又は約0.02g/cm3〜約0.10g/cm3の密度を示してよい。
【0062】
本発明の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、約0.1よりも大きく、及び/又は約0.5よりも大きく、及び/又は約1.0よりも大きく、及び/又は約1.5よりも大きく、及び/又は約2.0よりも大きく、及び/又は約3.0よりも大きく、約20まで、及び/又は約15まで、及び/又は約13まで、及び/又は約10まで、及び/又は約8までの平均リント値(lint value)を示してよい。
【0063】
表面処理組成物
表面処理組成物は、本発明の目的では、繊維性構造体及び/又は繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品を保持し、前記構造体及び/又は前記製品で自身の皮膚を擦るユーザーによって感知される、繊維性構造体の表面の触感を改善する組成物である。そのような触知可能な柔軟性は、摩擦、可撓性、及び平滑度、並びに、主観的な記述、例えば、滑らかな、ベルベット、シルク、又はフランネルのような感覚などを特徴とすることができるが、これらに限定されない。
【0064】
表面処理組成物は、移行可能であっても、又は移行可能でなくてもよい。通常、それは、実質的に移行不可能である。
【0065】
表面処理組成物は、繊維性構造体の表面、特に繊維性構造体のユーザー接触表面の表面摩擦を増減することができる。通常、表面処理組成物は、そのような表面処理組成物を含まない繊維性構造体の表面に比べ、繊維性構造体の表面の表面摩擦を低減する。
【0066】
表面処理組成物は、前記表面処理組成物と接触するローション組成物の広がりを最小限に抑えるように、ローション組成物の表面張力以下の湿潤性張力(wettability tension)を有することができる。
【0067】
表面処理組成物は、表面処理剤を含む。繊維性構造体に適用されるときの表面処理組成物は、少なくとも約0.1重量%、及び/又は少なくとも0.5重量%、及び/又は少なくとも約1重量%、及び/又は少なくとも約3重量%、及び/又は少なくとも約5重量%で、約90重量%まで、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約70重量%まで、及び/又は約50重量%まで、及び/又は約40重量%までの表面処理剤を含んでよい。一実施例では、表面処理組成物は、約5重量%〜約40重量%の表面処理剤を含む。
【0068】
本発明の繊維性構造体及び/又は前記繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品上に存在する表面処理組成物は、総坪量の少なくとも約0.01%、及び/又は少なくとも約0.05%、及び/又は少なくとも約0.1%の表面処理剤を含んでよい。一実施例では、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、総坪量の約0.01%〜約20%、及び/又は約0.05%〜約15%、及び/又は約0.1%〜約10%、及び/又は約0.01%〜約5%、及び/又は約0.1%〜約2%の表面処理組成物を含んでよい。
【0069】
一実施例では、本発明の表面処理組成物は、表面処理剤(例えば、アミノ官能性ポリジメチルシロキサン)の水中マイクロエマルションである。そのような一実施例では、表面処理組成物中の表面処理剤の濃度は、約3%〜約60%、及び/又は約4%〜約50%、及び/又は約5%〜約40%であってよい。そのようなマイクロエマルションの非限定例は、ワッカー・ケミー(Wacker Chemie)、ダウ・コーニング(Dow Corning)、及び/又はゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)から市販されている。
【0070】
好適な表面処理剤の非限定例は、ポリエチレンのようなポリマー及びそれらの誘導体、炭化水素、蝋、油、シリコーン(ポリシロキサン類)、第四級アンモニウム化合物、フルオロカーボン、置換C10〜C22アルカン、置換C10〜C22アルケン、特に脂肪族アルコール及び脂肪酸の誘導体(脂肪酸アミド、脂肪酸縮合体、及び脂肪族アルコール縮合体など)、ポリオール、ポリオールの誘導体(エステル及びエーテルなど)、糖誘導体(エーテル及びエステルなど)、ポリグリコール(ポリエチレングリコールなど)、並びにこれらの混合物よりなる群から選択することができる。
【0071】
好適な蝋の非限定例は、パラフィン、ポリエチレン蝋、蜜蝋、及びこれらの混合物よりなる群から選択されてよい。
【0072】
好適な油の非限定例は、鉱油、シリコーンオイル、シリコーンゲル、ワセリン、及びこれらの混合物よりなる群から選択されてよい。
【0073】
好適なシリコーン(ポリシロキサン)の非限定例は、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーン、カチオン性シリコーン、第四級シリコーン、シリコーンベタイン、及びこれらの混合物よりなる群から選択されてよい。
【0074】
好適なポリシロキサン及び/又はモノマー/オリゴマー単位の非限定例は、次の構造式のモノマーシロキサン単位を有する化合物から選択されてよく:
【0075】
【化1】

(式中、R1及びR2は、独立した各シロキサンモノマー単位について、それぞれ独立して、水素、若しくは任意のアルキル、アリール、アルケニル、アルカリール、アラキル、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、又は他のラジカルであることができる。)そのようなラジカルは、いずれも置換又は非置換であることができる。いずれか特定のモノマー単位のR1及びR2ラジカルは、次に結合するモノマー単位の対応する官能基とは異なるものであってよい。さらに、ポリシロキサンは、直鎖、分枝鎖、又は環状構造のいずれかであることができる。ラジカルR1及びR2はさらに、独立して、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、及びポリシランのような他のシラン官能基であることができるが、これらに限定されない。ラジカルR1及びR2は、例えば、アルコール、カルボン酸、フェニル、及びアミン官能基を含め、種々の有機官能基のいずれかを含有してよい。末端基は、反応性(アルコキシ若しくはヒドロキシル)又は非反応性(トリメチルシロキシ)であることができる。ポリマーは、分枝状又は非分枝状であることができる。
【0076】
代表的なアルキルラジカルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシル等である。代表的なアルケニルラジカルは、ビニル、アリール等である。代表的なアリールラジカルは、フェニル、ジフェニル、ナフチル等である。代表的なアルカリールラジカルは、トイル、キシリル、エチルフェニル等である。代表的なアラルキルラジカルは、ベンジル、α−フェニルエチル、β−フェニルエチル、α−フェニルブチル等である。代表的なシクロアルキルラジカルは、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル等である。代表的なハロゲン化炭化水素ラジカルは、クロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロトロイル、ヘキサフルオロキシリル等である。
【0077】
本発明に有用なポリシロキサンの粘度は、前記ポリシロキサンを本明細書の繊維性構造体に適用可能な形態にすることができるのであれば、一般的なポリシロキサンの粘度と同じく幅広いものであってよい。これには、約2.5×10-52/s(約25センチストークス)程度の低い粘度から、約20m2/s(約20,000,000センチストークス)以上までもの粘度が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
好適な第四級アンモニウム化合物の非限定例は、次式を有する化合物から選択されてよい:
【0079】
【化2】

(式中、mは、1〜3であり;各R1は、独立して、C1〜C6アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、又はこれらの混合物であり;各R2は、独立して、C14〜C22アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、又はこれらの混合物であり;X-は、第四級アンモニウムと相溶性のある任意のアニオンである)。
【0080】
一実施例では、各R1は、メチルであり、X-は、クロライド又は硫酸メチルであり、各R2は、独立して、C16〜C18アルキル又はアルケニルである。各R2は、独立して、直鎖C18アルキル又はアルケニルであってよい。
【0081】
他の実施例では、第四級アンモニウム化合物は、次式を有するモノ又はジエステル異体であってよい:
(R14-m−N+−[(CH2n−Y−R3m-
(式中:
Yは、−O−(O)C−若しくは−C(O)−O−、又は−NH−C(O)−若しくは−C(O)−NH−であり;mは、1〜3であり;nは、0〜4であり;各R1は、独立して、C1〜C6アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、又はこれらの混合物であり;各R3は、独立して、C13〜C21アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、又はこれらの混合物であり、X-は、第四級アンモニウムと相溶性のある任意のアニオンである)。
【0082】
一実施例では、Yは、−O−(O)C−又は−C(O)−O−であり;m=2;n=2であり、各R1は、独立して、C1〜C3アルキル基であり、各R3は、独立して、C13〜C17アルキル及び/又はアルケニルである。他の実施例では、各R1は、メチルであり、各R3は、独立して、直鎖C15〜C17アルキル及び/又はアルケニルである。
【0083】
他の実施例では、第四級アンモニウム化合物は、イミダゾリニウム塩などのイミダゾリニウム化合物であってよい。
【0084】
前述のように、X-は、第四級アンモニウムと相溶性のある任意のアニオンであることができ、例えば、アセテート、クロライド、ブロミド、硫酸メチル、ホルメート、サルフェート、ニトレートなども、本発明で使用することができる。一実施例では、X-は、クロライド又は硫酸メチルである。
【0085】
表面処理組成物は、繊維性構造体及び/又はこのような繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品上に存在しないことのある、本明細書で後述するようなビヒクルなどの追加成分を含んでよい。一実施例では、表面処理組成物は、表面処理剤と、繊維性構造体の表面への前記表面処理剤の適用を容易にするための水などのビヒクルとを含んでよい。
【0086】
ローション組成物
ローション組成物は、油及び/又は皮膚軟化剤及び/又は蝋及び/又は固定化剤を含んでよい。一実施例では、ローション組成物は、約10%〜約90%の油及び/又は液状皮膚軟化剤、並びに約10%〜約50%の固定化剤及び/又は約0%〜約60%のワセリン、並びに任意で残部にビヒクルを含む。
【0087】
ローション組成物は、不均質であってよい。それらは、固体、ゲル構造体、高分子物質、多数の相(油相及び水相など)、及び/又は乳化された構成成分を含有してよい。ローション組成物の融解温度を精密に決定すること、すなわち、液体形態、準液体形態、準固体形態、及び固体形態間の転移温度を決定することは、困難な場合がある。融解温度、融点、転移点、及び転移温度という用語は、本文献では交換可能に使用され、同一の意味を有する。
【0088】
ローション組成物は、製品又はゲル構造体の耐用期間中、活性化しなければ実質的には流動しないように、高粘度の半固体であってよい。
【0089】
移行及びユーザーの皮膚上での容易な広がりを可能にするために、ローション組成物は、ずり減粘であってよく、及び/又は皮膚の温度付近でそれらの粘度を大きく変化させてよい。
【0090】
ローション組成物は、エマルション及び/又は分散体の形態であってよい。
【0091】
ローション組成物の一実施例では、前記ローション組成物は、水分含有量が約20%未満、及び/又は10%未満、及び/又は約5%未満、又は約0.5%未満である。
【0092】
他の実施例では、ローション組成物は、固体含有量が少なくとも約15%、及び/又は少なくとも約25%、及び/又は少なくとも約30%、及び/又は少なくとも約40%で、約100%まで、及び/又は約95%まで、及び/又は約90%まで、及び/又は約80%までであってよい。
【0093】
好適な油及び/又は皮膚軟化剤の非限定例としては、グリコール(プロピレングリコール及び/又はグリセリンなど)、ポリグリコール(トリエチレングリコールなど)、ワセリン、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールエトキシレート、脂肪族アルコールエステル及び脂肪族アルコールエーテル、脂肪酸エトキシレート、脂肪酸アミド及び脂肪酸エステル、炭化水素油(鉱油など)、スクアラン、フッ素化皮膚軟化剤、シリコーン油(ジメチコンなど)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0094】
好適な脂肪酸エステル型の皮膚軟化剤としては、C16〜C22飽和脂肪酸のようなC12〜C28脂肪酸と、短鎖(C1〜C8及び/又はC1〜C3)一価アルコールとから誘導されるものが挙げられる。こうしたエステルの代表例としては、メチルパルミテート、メチルステアレート、イソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、及びエチルへキシルパルミテートが挙げられる。好適な脂肪酸エステル皮膚軟化剤は、又、乳酸ラウリル及び乳酸セチルなど、より長鎖の脂肪族アルコール(C12〜C28及び/又はC12〜C16)と、より短鎖の脂肪酸、例えば乳酸とのエステルから誘導することもできる。好適なアルキルエトキシレート型の皮膚軟化剤としては、平均約3〜約30個、及び/又は約4〜約23個のオキシエチレン単位を有する、C12〜C18脂肪族アルコールエトキシレートが挙げられる。このようなアルキルエトキシレートの非限定例としては、ラウレス−3(平均3個のオキシエチレン単位を有するラウリルエトキシレート)、ラウレス−23(平均23個のオキシエチレン単位を有するラウリルエトキシレート)、セテス−10(平均10個のオキシエチレン単位を有するアセチルエトキシレート)、及びステアレス−10(平均10個のオキシエチレン単位を有するステアリルエトキシレート)が挙げられる。これらのアルキルエトキシレート皮膚軟化剤は、ワセリンのような石油系皮膚軟化剤など、他の皮膚軟化剤と組み合わせて、アルキルエトキシレート皮膚軟化剤と石油系皮膚軟化剤との重量比約1:1〜約1:3及び/又は約1:1.5〜約1:2.5で使用することができる。
【0095】
固定化剤としては、皮膚軟化剤が主に繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面、並びに/又は繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面の表面処理組成物上にとどまり、またユーザーの皮膚へのローション組成物の移行を促進するように、繊維性構造体への皮膚軟化剤の移行を阻止できる剤が挙げられる。固定化剤は、粘度増加剤及び/又はゲル化剤としての機能を果たすことができる。
【0096】
好適な固定化剤の非限定例としては、蝋(セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、石油蝋、フィッシャートロプシュワックス、シリコーンワックス、パラフィンワックスなど)、脂肪族アルコール(セチル及び/又はステアリルアルコールなど)、脂肪酸及びそれらの塩(ステアリン酸の金属塩など)、モノ及びポリヒドロキシ脂肪酸エステル、モノ及びポリヒドロキシ脂肪酸アミド、シリカ及びシリカ誘導体、ゲル化剤、増粘剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
一実施例では、ローション組成物は、少なくとも1つの固定化剤と、少なくとも1つの皮膚軟化剤とを含む。
【0098】
一実施例では、ローション組成物は、脂肪酸のスクロースエステルを含む。
【0099】
ローション組成物は、抄紙及び/又は転換プロセス中のいずれの時点でも繊維性構造体に添加されてもよい。一実施例では、ローション組成物は、転換プロセス中に繊維性構造体に添加される。
【0100】
ローション組成物は、移行可能なローション組成物であってよい。移行可能なローション組成物は、使用時にユーザーの皮膚などの対向表面に移行できる少なくとも1つの構成成分を含む。一実施例では、ユーザー接触表面に存在する移行可能なローションの少なくとも0.1%が、使用中にユーザーの皮膚に移行する。使用中にユーザーの皮膚に移行する移行可能な組成物の量は、既知の方法、例えばユーザーによる繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の使用後に3Mから入手可能なテガダーム・テープ(Tegaderm Tapes)で皮膚を3回テープストリップし、移行可能な組成物の構成成分すべてが一様に移行すると仮定して前記テープを移行可能な組成物又は前記移行可能な組成物中の構成成分について分析する方法などによって決定することができる。
【0101】
ローション組成物に含めてよい他の任意成分としては、ビヒクル、香料、特に長時間効果のある及び/又は持続性の香料、抗菌活性物質、抗ウイルス活性物質、消毒剤、医薬品活性物質、皮膜形成剤、脱臭剤、不透明化剤、収れん剤、溶媒、清涼剤などが挙げられる。ローション組成物構成成分の具体例としては、カンファー、チモール、メントール、カモミール抽出物、アロエベラ、キンセンカ、アルファビサルボロール(alpha bisalbolol)、ビタミンE、ビタミンEアセテートが挙げられる。
【0102】
本発明のローション組成物の一実施例では、前記ローション組成物は、約35℃よりも高い融点を有する。例えば、ローション組成物は、かなりの量(例えば、30%よりも多く、及び/又は40%よりも多く、及び/又は50%よりも多く、及び/又は60%よりも多く)のローション組成物が融解するまでに、約35℃よりも高い温度にさらされなければならない。これは、次のように表現することができる:
(1)ΔH2/ΔH1は、約1以上、及び/若しくは約4以上、及び/若しくは約9以上;並びに/又は
(2)ΔH2は、約30J/g以上、40J/g以上、及び/若しくは
約60J/g以上(特にΔH1が0の場合)
ここで:ΔH1は、ローション組成物の温度を15℃から35℃まで上昇させるのに必要なエネルギーであり;ΔH2は、ローション組成物の温度を、35℃から、前記ローション組成物が完全に液体になる温度まで、又は、前記ローション組成物が100℃よりも高い温度でしか融解しない構成成分を含有する場合、100℃未満でそれ以上の融解が起こらない温度まで上昇させるのに必要なエネルギーである。
【0103】
ΔHは、当業者に既知の標準パラメータを使用してDSC法によって測定される。DSCデータは、文献で報告されているように、融解開始温度が156.6℃、融解熱が1グラム当たり6.80カロリーであるインジウム金属標準で較正された、トゥイング・アルバートDSC2920機器(Thwing Albert DSC 2920 Instrument)を使用して得られる。試料を、初めに10℃/分の速度で100℃に加熱し、100℃で5分間平衡させ、−2.5℃/分の速度で−30℃に冷却し、−30℃で5分間平衡させ、次いで最後に2.5℃/分の速度で−30℃から+100℃に加熱して、融解挙動を評価する。ΔH1及びΔH2の決定には、最終加熱勾配が使用される。ΔH1は、15℃〜35℃の間のDSC曲線と基線との間の面積であり、ΔH2は、35℃と、前記ローション組成物が完全に液体になる温度、又は、前記ローション組成物が100℃よりも高い温度でしか融解しない構成成分を含有する場合、100℃未満でそれ以上の融解が起こらない温度との間の、DSC曲線と基線との間の面積である。一例として、約40%のステアリルアルコール、約30%の鉱油、及び約30%のワセリンを含む本発明のローション組成物は、ΔH2/ΔH1の値>9であり、ΔH2の値>60J/gである。
【0104】
一実施例では、ローション組成物は、繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面、並びに/又は繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面に存在する表面処理組成物上に、ユーザー接触表面の単位面積当たり少なくとも約0.5g/m2、及び/又は少なくとも約1.0g/m2、及び/又は少なくとも約1.5g/m2のレベルで存在する。他の実施例では、ローション組成物は、繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面、並びに/又は繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面に存在する表面処理組成物の表面に、ユーザー接触表面の単位面積当たり約0.5g/m2から、及び/又は約1.0g/m2から、及び/又は約1.5g/m2から、約10g/m2まで、及び/又は約8g/m2まで、及び/又は約6g/m2までのレベルで存在する。
【0105】
ビヒクル
本明細書で使用するとき、「ビヒクル」は、表面処理組成物及び/又はローション組成物を形成する剤を希釈及び/又は乳化して分散体/エマルションを形成するために使用できる物質である。ビヒクルは、特に表面処理組成物及び/又は繊維性構造体に適用する間に、表面処理組成物及び/又はローション組成物中に存在してよい。ビヒクルが構成成分を溶解させてもよく(真溶液若しくはミセル溶液)、又は構成成分がビヒクル全体にわたって分散してもよい(分散体若しくはエマルション)。懸濁液又はエマルションのビヒクルは、通常、それらの連続相である。すなわち、分散体又はエマルションの他の構成成分は、ビヒクル全体にわたって、分子レベルで、又は離散粒子として分散している。
【0106】
本発明のビヒクルとして使用するのに適した物質としては、水を含むが、これに限定されないヒドロキシル官能性液体が挙げられる。一実施例では、ローション組成物は、水などのビヒクルを約20%w/w未満、及び/又は約10%w/w未満、及び/又は約5%w/w未満、及び/又は約0.5%w/w未満含む。一実施例では、表面処理組成物は、水などのビヒクルを約50%w/wよりも多く、及び/又は約70%w/wよりも多く、及び/又は約85%w/wよりも多く、及び/又は約95%w/wよりも多く、及び/又は約98%w/wよりも多く含む。
【0107】
加工助剤
加工助剤も、又、本発明のローション組成物で使用してよい。好適な加工助剤の非限定例としては、ノースカロライナ州グリーンズボロ(Greensboro, N.C)のチバ・ガイギー(CIBA-GEIGY)から入手可能なTINOPAL CBS−X(登録商標)などの光沢剤が挙げられる。
【0108】
ローション組成物の非限定例
【0109】
【表1】

*米国シンシナティ(Cincinnati, USA)、プロクター&ギャンブル・ケミカルズ(Procter & Gamble Chemicals)から入手可能
**クロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)から入手可能
ローション組成物は、融点が約51℃であり、0.1 1/sの剪断速度で測定される56℃での融解粘度が約17m・Pasである。この処方で使用される鉱油は、20℃で約21mPa・sの粘度を有する。ローション組成物は、繊維性構造体の片面又は両面に、3.6g/m2、4.2g/m2、6g/m2、7.2g/m2、8.4g/m2、及び11.4g/m2の総追加レベルで適用することができる。
【0110】
繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を処理するプロセス
a.表面処理組成物:
表面処理組成物を、繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品、並びに/又は繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面に存在するローション組成物に適用するには、スプレー、ディッピング、パディング、印刷、スロット押出し、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、マスク又はステンシル適用法、及びこれらの混合など、前記表面処理組成物を適用するのに適したいずれの接触又は非接触適用を使用することもできる。表面処理組成物は、ローション組成物を繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品に適用する前に、適用するのと同時に、又は適用した後で、前記繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に適用することができる。表面処理組成物は、特に、層状の繊維性構造体及び/又はそのような層状の繊維性構造体を含む衛生ティッシュ製品の外側の層に適用される場合、抄紙及び/又は転換中に適用することができる。
【0111】
一実施例では、表面処理組成物は、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面に、比較的高い表面積被覆率をもたらす適用法によって適用される。そのような好適な適用法の例としては、印刷、スロット押出し、及び/又は微細粒子のスプレー(ただし、スプレーには、高い面積被覆率を達成すべき場合にエアゾールを生成するという欠点がある)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
b.ローション組成物:
ローション組成物を、繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品、並びに/又は繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面に存在する表面処理組成物に適用するには、スプレー、ディッピング、パディング、印刷、スロット押出し、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、マスク又はステンシル適用法、及びこれらの混合など、前記ローション組成物を適用するのに適したいずれの接触又は非接触適用を使用することもできる。ローション組成物は、表面処理組成物を繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品に適用する前に、適用するのと同時に、及び/又は適用した後で、前記繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に適用することができる。一実施例では、ローション組成物は、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面に存在する表面処理組成物に適用される。
【0113】
一実施例では、ローション組成物は、表面処理組成物の領域とローション組成物の領域とがユーザー接触表面を作り出すように、繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面、並びに/又は繊維性構造体及び/若しくは衛生ティッシュ製品の表面に存在する表面処理組成物上に、比較的低い表面積被覆率をもたらす適用法によって適用される。そのような好適な適用法の例としては、スプレー、特に回転ディスクによるスプレー、印刷、縞及び/又は他の模様でのスロット押出しが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
一実施例では、表面処理組成物は、多層繊維性構造体の外層を形成することになる繊維完成紙料に添加されてよい。ローション組成物は、多層繊維性構造体の外層によって形成される表面に適用されてよい。
【0115】
一実施例では、表面処理組成物は、繊維性構造体を乾燥する前及び/又は乾燥した後など、繊維性構造体製造プロセス中に前記繊維性構造体の表面に適用される。次いで、転換プロセス中に、ローション組成物が繊維性構造体の表面の表面処理組成物に適用されてよい。
【0116】
一実施例では、表面処理組成物は、ローション組成物が前記表面処理組成物に適用される時点で、約5%未満、及び/又は約3%未満、及び/又は約1%未満、及び/又は約0.5%未満の水分を含有する。
【実施例】
【0117】
処理済みの繊維性構造体の実施例
繊維性構造体−実施例1:
第1の繊維性構造体は、坪量約15.4g/m2の、従来の湿式加圧された均質な乾式クレープ加工繊維性構造体である。前記繊維性構造体は、約40%の北方針葉樹クラフトと60%のユーカリとの組成を有する。衛生ティッシュ製品を作り出すために、4枚プライの繊維性構造体がオフライン結合操作で1つに結合される。4枚プライ衛生ティッシュ製品は、坪量約60g/m2、厚さ約0.3mm、機械方向強度約504g/cm(1280g/in)、横断方向強度約240g/cm(610g/in)、湿潤破裂(wet burst)約200gである。それは、湿潤増強剤及び乾燥増強剤を含有する。
【0118】
繊維性構造体−実施例2:
第2の繊維性構造体は、坪量約14.6g/m2の、従来の湿式加圧された層状の乾式クレープ加工繊維性構造体である。外側の層は、約100%のユーカリ繊維を含有し、内側の層は、約85%の北方針葉樹クラフトと、10%のCTMPと、約5%のユーカリ繊維との完成紙料混合物から構成される。両方の層は、ほぼ同等の坪量(対称的な層分割)である。衛生ティッシュ製品を形成するために、結合された4枚プライ衛生ティッシュ製品の2つの外側表面にユーカリ層が存在するように、4枚プライの繊維性構造体がオフライン結合操作で1つに結合される。4枚プライ衛生ティッシュ製品は、坪量約60g/m2、厚さ約0.3mm、機械方向強度約465g/cm(1180g/in)、横断方向強度約220.5g/cm(560g/in)、湿潤破裂(wet burst)約200gである。それは、湿潤増強剤及び乾燥増強剤を含有する。
【0119】
繊維性構造体−実施例3:
従来のパルパーを使用して調製され、ストックパイプを通って長網抄紙機のヘッドボックスに向かう、稠度約3%の北方針葉樹クラフト(NSK:Northern Softwood Kraft)の水性スラリーから、第3の繊維性構造体を形成する。ハーキュレスのカイメン557LX(Hercules' Kymene 557 LX)の1%分散体を調製し、最終的に得られる衛生ティッシュ製品の乾燥重量に基づいて約0.8%のカイメン557LX(Kymene 557 LX)をもたらすのに十分な割合で、NSKストックパイプに加える。永続性湿潤強度向上樹脂の吸収は、処理されたスラリーをインラインミキサーに通すことによって向上される。水に溶解されて溶液強度1%に希釈されたカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を、次に、最終的に得られる衛生ティッシュ製品の乾燥重量に基づいて約0.1重量%CMCの割合で、インラインミキサー後にNSKストックパイプに加える。NSK繊維の水性スラリーを、CMCの分配を助けるために遠心ストックポンプに通過させる。1重量%の濃度でジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート(DTDMAMS)水性分散体(76℃(170°F)を、最終的に得られる衛生ティッシュ製品の乾燥重量に基づいて約0.1重量%のDTDMAMSの割合で、NSKストックパイプに加える。約1.5重量%のユーカリ由来さらしクラフト繊維性パルプ繊維(ブラジル、アラクルス(Aracruz − Brazil)から入手)の水性スラリーを、従来のリパルパーを使用して調製し、ストックパイプに通過させて長網抄紙機のヘッドボックスに向かわせる。このユーカリ由来完成紙料を、ファンポンプのところでNSKスラリーと合流させ、そこで両方を白水(white water)で稠度約0.2%に希釈する。約3重量%のユーカリ由来さらしクラフト繊維性パルプ繊維(ブラジル、アラクルス(Aracruz − Brazil)から入手)の水性スラリーを、従来のリパルパーを使用して調製する。ユーカリスラリーを第2のファンポンプに通し、そこで、白水(white water)で稠度約0.2%に希釈する。NSK/ユーカリ及びユーカリのスラリーを、動作している長網抄紙機ワイヤ上に排出されるまで流れを別個の層として維持するために層化リーフ(layering leaves)が適切に装備された多チャネルヘッドボックスへと導く。3つの室からなるヘッドボックスが使用される。最終的な衛生繊維性構造体の乾燥重量の48%を含有するユーカリスラリーを、ワイヤに接触している層に通じる室へと導き、最終的な紙の乾燥重量の52%を含むNSK/ユーカリスラリー(27〜35%NSK及び17〜25%ユーカリ)を、中心及び内側の層に通じる室へと導く。NSK/ユーカリ及びユーカリスラリーを、ヘッドボックスの排出のところで組み合わせて、複合スラリーとする。複合スラリーを、動作している長網抄紙機ワイヤ上に排出し、そらせ板(deflector)及び真空ボックスの補助下で脱水する。初期(embryonic)湿潤繊維性構造体を、長網抄紙機ワイヤから、移行時点では約17重量%の繊維稠度で、模様付き乾燥布地に移動させる。乾燥布地は、高密度(ナックル)領域の連続網状組織内に不連続な低密度偏向領域が配置された高密度模様付きティッシュが得られるように設計される。この乾燥布地は、不透過性樹脂表面を繊維メッシュ支持布地上に成型することによって形成される。支持布地は、48×52フィラメントの二重層メッシュである。樹脂キャストの厚さは、支持ファブリックを約203μm(8mil)上回る。ナックル領域は、約35〜50%であり、連続気泡は、約438〜3625cm2(1平方インチ当たり68〜562)の頻度で残っている。繊維性構造体が約23〜27%の繊維稠度になるまで、真空補助下の排水によってさらなる脱水が達成される。模様付き形成布地と接触した状態のまま、通気することによって、模様付き繊維性構造体を約60重量%の繊維稠度に予備乾燥する。次いで、半乾燥繊維性構造体を、0.250%ポリビニルアルコール水溶液を含むスプレーされたクレーピング接着剤で、ヤンキードライヤーの表面に接着させる。クレーピング接着剤は、繊維性構造体の乾燥重量に基づいて0.1%接着剤固体の割合でヤンキー表面に与えられる。繊維稠度を約98%に増大させてから、繊維性構造体をドクターブレードによってヤンキーから乾式クレープ加工する。ドクターブレード後、2〜3MPa(300〜500psi)の負荷で動作するスチールからゴム製のカレンダーロールによって、繊維性構造体をその全幅にわたってカレンダー加工する。得られるティッシュは、坪量が約20〜25g/m2;1プライ総乾燥引張りが98〜146g/cm(250〜370g/in)、1枚プライ湿潤破裂が14〜25g/cm(35〜65g/in)、2枚プライ厚(caliper)が約0.04〜0.05cm(0.015〜0.020インチ)である。次いで、得られるティッシュを、ユーカリ繊維が外側に面するように同様のシートと組み合わせて、2枚プライクレープ加工高密度模様付きティッシュを形成し、それを2つの滑らかなスチールカレンダーロール間でカレンダー加工にさらす。次いで、前記製品を、両方のプライが確実に一緒に保持されるように機械的プライ結合ホイールを使用してプライ結合させる。得られる2枚プライティッシュは、a)総坪量が約39〜50g/m2;b)2枚プライ総乾燥引張りが177〜275g/cm(450〜700g/in);c)2枚プライ湿潤破裂が39〜51g/cm(100〜130g/in);d)4プライ厚(caliper)が約0.51〜0.89mmである。
【0120】
前述の繊維性構造体は、後述する処理方法及びローション組成物のいずれと組み合わせて使用することもできる。
【0121】
実施例1〜3の繊維性構造体の転換:
組み合わされた親ロールを、続いて、衛生ティッシュ製品に転換する。多プライの親ロールを巻き戻し、2つの滑らかなスチールカレンダーロール間でカレンダー加工にさらした後、高圧エンボス加工してプライ結合を達成する。繊維性構造体の大部分は、まだ高圧エンボス加工の影響を受けていない。次いで、表面処理組成物及びローション組成物を、以下で詳述するように繊維性構造体に適用する。最後に、ティッシュを機械方向で切断した後、横断方向で切断して約21cm×21cmのシートにし、折り畳み、積み重ねて9シートの積み重ね体にし、個々のポケットパックに詰める。
【0122】
実施例1〜3の繊維性構造体への表面処理組成物の適用:
プライ結合操作の直後に、輪転グラビア印刷法を使用して、表面処理組成物を4枚プライ繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面に印刷する。約1.5g/m2の表面処理組成物を、4枚プライ製品の両側に移行させる。
【0123】
印刷ステーションは、水平配置で互いに対向し、またそれらの間に繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品が通過するギャップを形成する、2つの彫刻アニロックスロールからなる。ロールが繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に触れ、並びにローション組成物を4枚プライ繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の両方の表面に巨視的には一様に移行させるが、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品が2つのアニロックスロールのいずれも包まないような形で、幾何学的配置が配列される。アニロックスロールは、1平方メートル当たり約3mLのセル容積及び1平方センチメートル当たり約100個のセルになるように彫刻され、彫刻された容積をローション組成物で満たすように設計された密閉供給チャンバからローション組成物を供給される。2つのロール間のギャップは、目標追加レベルが達成されるように調節される。表面処理組成物の表面被覆率は、ほぼ100%で一様であった。表面被覆率は、例えば、スイス、バーゼル(Basel, Switzerland)のチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Speciality Chemicals)から入手可能な蛍光染料である0.01%チノパールCBS−X(Tinopal CBS-X)が添加された表面処理組成物を使用して試験することができる。
【0124】
以下でローション組成物の適用について説明するのと同一の適用システムを使用して試料も作製された。機器は、ディスク速度約419rad/s(4000rpm)において周囲温度で動作させた。この適用の表面被覆率は、前述の印刷法を使用するよりも低い。したがって、本発明の範囲内にはあるものの、この方法は、あまり好ましくない。
【0125】
実施例1〜3の繊維性構造体へのローション組成物の適用:
表面処理組成物の直後に、ローション組成物を繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に適用する。2つの操作間の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品スパンは、約5メートルであった。ティッシュ及び繊維産業用のアプリケータヘッドを備えた市販の回転スプレー適用システムRFT−コンパクト−III(RFT-Compact-III)(ドイツ、ラインフェルデン・エヒテルディンゲン(Leinfelden Echterdingen, Germany)、ヴァイトマン&コンラート社(Weitmann&Konrad GmbH & Co KG)から入手可能)を、本発明の実施に使用するために改変した。適用ヘッドは、5セットの回転ディスク(1/1型)を備え、448mmの有効適用幅を有する。適用ヘッドのハウジングを、前記適用ヘッドの上部、底部、及び後側で、水加熱型壁(water heated walls)に取り替えた。次いで、全ユニットを外側に向かって絶縁した。これら改変した適用ヘッド2つを使用し、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の両側を同時に処理できるように、互いに対向させて設置した。一体型ポンプを備えた加熱ユニット(ドイツ、ケルヒプラスト社(Kelviplast GmbH, Germany)から入手可能なW60/10−12/40型)を使用して、適用ユニットに所望の温度の水を供給する。具体的には、適用ヘッド内側の温度が目標温度から±2℃以内になるように、加熱要素の設計を選択した。適用ヘッドのローション組成物インフィードは、熱トレース型配管系を通じて加熱されたポンプに連結され、前記ポンプが、熱トレース型配管を通じて、融解したローション組成物を保持する加熱された100リットルタンクに連結される。アプリケータの戻りラインは、加熱されたタンクへと送り戻される。加熱された流量計を、ポンプと適用ヘッドとの間でローション組成物供給ラインに設置した。流量計(スイス、エンドレス&ハウザー(Endress & Hauser, Switzerland)から入手可能なプロマス63M(Promass 63M))をRFT−コンパクト−III(RFT-Compact-III)システムの制御ユニットに接続し、次いで前記制御ユニットを使用して、適用ヘッドに所望のローション組成物流量を供給するようにローション組成物ポンプ(ラブ・ブロクス(Labu Brox)型のギアポンプ)を制御した。
【0126】
市販の適用ヘッドにおける回転表面の構成、形状、及び寸法には変更を加えない。回転表面の各セットは、上に積み重ねられた2枚の回転ディスクからなるものであった。各積み重ね体の2つの回転表面へのローション組成物の供給は、均等に分割される。ディスクは、直径約98mmである。回転表面の個々の5つの積み重ね体を、約112mm離隔させる。水平方向に重なり合う液滴流れ間の干渉を避けるために、回転表面の第1、第3、及び第5のセットを、回転表面の第2及び第4の積み重ね体に対して垂直に移動させて設置する。回転表面のセットは、ドイツ、ヴァイトマン&コンラート社(Weitmann & Konrad GmbH & Co)から市販されている(1/1型、商品コード618996[上側のセット]及び618997[下側のセット])。アプリケータを、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品とディスク中心との間の距離約154mmで、水平方向に操作する。繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を、2つの適用ヘッド間を最上部から底部へと垂直に進ませる。回転表面と繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品との間でハウジング内の窓によって制御されるので、それぞれ112mmしか覆わないアプリケータの回転表面の外側の2つの積み重ね体を例外として、回転表面の各積み重ね体は、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品上の約224mmの横断方向幅を覆う。各位置で、回転表面の2つの積み重ね体の流れが重なり合う。ディスクの個々の積み重ね体への均等な分配を、回転ディスクへのインフィードとアプリケータの中央供給パイプとの間に設置された直径1mmのスロットルによって達成した。ローション組成物の温度は、タンク、配管、及び適用ヘッド内温度を所望の値に加熱することによって、所定の値に制御される。流量は、繊維性構造体の所望の追加レベルを達成するように調節される。適用の間、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品は、通常、室温に保たれる。ローション組成物の適用前に繊維性構造体が冷却又は加熱される、いくつかの試料を作製した。ローション組成物は、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品に衝突した後、ほぼ瞬間的に固まる。追加レベルが繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品側部の単位面積当たり1.5g/m2、2.3g/m2、3g/m2、及び4.5g/m2である試料を作製する。
【0127】
繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品側部の単位面積当たりのローション適用が3g/m2、ディスク速度が約262rad/s(2500rpm)、アプリケータ内のローション組成物温度が約56℃で作製された試料では、ローション組成物の表面積被覆率は、約15%である。
【0128】
実施例1〜3の繊維性構造体を処理するプロセス条件:
後述する試料では回転表面を262rad/s(2500rpm)で操作するが、さらなる試料は21rad/s(200rpm)〜524rad/s(5000rpm)の速度で作製される。
【0129】
ローション組成物は、通常、融点よりも約5〜10℃高い温度に維持されるが、後述するローション組成物では、温度設定は、すべて56℃に保たれる。融点よりも2℃未満低い温度、及び融点よりも10℃超過高い温度で、製品を作製する。以下の実施例では繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品速度は、200m/分であるが、10m/分〜400m/分の繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ速度で試料を作製することができる。
【0130】
試験方法
A.表面積被覆率の試験方法
繊維性構造体の表面の局所的な表面処理組成物及び/又はローション組成物の坪量は、パーキン・エルマー・スペクトラム・スポットライト300(Perkin Elmer Spectrum Spotlight 300)機器を、スポットライト(Spotlight)ソフトウェアバージョン1.1.0B38と併せて使用して、走査型IR/NIR(赤外線又は近赤外線)分光法によって透過モード(吸光光度法)で決定することができる。
【0131】
以下の手順は、繰り返し−(CH2)−単位の直鎖炭化水素成分を含む表面処理組成物及び/又はローション組成物に適用可能である。組成物がほとんど又は完全に他の物質から構成される場合、手順の適合が必要になることがある。そのような適合は、組成物によって異なり、通常、当業者には明らかである。
【0132】
ティッシュを代表する試料を用いて測定を実施する。5×5mm(又はそれ以上の)試料を、XYテーブル上に据え付けられたサンプルホルダー上に置き、分析に使用されるスペクトル領域をx次元とy次元の両方を空間分解能25μmでスキャンする。−CH2−基の直鎖を含有する物質の分析では、4000cm−1〜4500cm−1の領域をスキャンし、4296cm−1(W1)〜4368cm−1(W2)の範囲を分析に使用する。分解能1cm−1で少なくとも16スキャンを取得する。16スキャンよりも多くが使用される場合、試料が温度上昇の結果として構造が変化しないように注意する必要がある。
【0133】
次に、試料の局所的坪量のマップを作成する。ソフトウェアのケミマップ(ChemiMap)メニューを使用して、25μm×25μmの各ピクセルについて、傾斜した線形基線よりも上方のW2とW1との間の積分吸収を決定する。基線は、W1及びW2における吸収力によって定義される。2つの基点オプションを、ソフトウェアのケミマップ(ChemiMap)メニューで選択し、W1及びW2で設定する。積分の始点及び終点も、やはりW1及びW2で設定する。スケール因子(scaling factor)は、式:V1=F*DWとして定義される値V1に設定される(式中、Fは後述する因子であり、DW=W2−W1は、上側の波数(W2)と下側の波数(W1)との間の波数の差分(delta)(cm-1)である)。
【0134】
因子DWによるスケーリングは、波数範囲W1〜W2内の基線よりも上方の平均吸光度を、基線よりも上方の積分吸収へと変形する。因子Fは、積分吸収を局所的な坪量(g/m2)に変換する。
【0135】
ケミマップ(ChemiMap)コマンドによって作成されるファイルは、面積25μm×25μmの各ピクセルについての局所的な坪量を含む。ファイルをテキストファイル(.txtフォーマット)として保存し、又8ビットグレースケールフォーマットでビットマップ(.bmpフォーマット)としても保存する。テキストファイルをEXCELにインポートし、第1の横列及び第1の縦列を除去する(これらは画像データを含まず、位置データを含む)。得られるデータは、局所的な坪量(g/m2)のピクセルのアレイを表す。全データセットの最大値(MaxLBW)及び最小値(MinLBW)並びに平均値(AvgLBW)をEXCELで計算する。
【0136】
ビットマップファイル(.bmpファイル)を、さらなる処理のためにAnalySIS画像解析ソフトウェア(アナリシス・プロ(Analysis Pro)バージョン3.1(ビルド508)、ドイツ、ソフト・イメージング社(Soft Imaging GmbH, Germany)から入手可能)にインポートする。インポートされたグレースケールファイルは、まだ、3つの色チャネルすべてが等しく設定されたRGBフォーマットである(8ビット分解能)。AnalySISでは、3つの同一の色チャネルのうちの1つ(赤)を抽出するために、ファイルを色分解する。得られるファイルは、この時点でG=0〜G=255にスケーリングされ、G=0は、元のスポットライトデータの最小値(MinLBW)を表し、255は、元のスポットライトデータの最大値(MaxLBW)を表す。元の試料に合致するようにピクセルサイズをx次元及びy次元で設定することによって、画像をx−yで較正する。画像は、局所的な坪量値をg/m2で表示するようにz方向で再スケーリングされるが、AnalySIS内のすべての計算は、G=0〜G=255スケールで実施されなければならない。G値は、次の関係によって局所的な坪量数へと容易に変形することができる:
LLBW=A*(G+OFFSET)(式中、A=(MaxLBW−MinLBW)/255、及び、OFFSET=(255*MinLBW)/(MaxLBW−MinLBW))
G値は、次の関係によって局所的なローションの坪量数(LLBW)へと容易に変形することができる:G=(LLBW/A)−OFFSET
LLBWは、測定されるものに応じて、局所的なローション組成物の坪量、又は局所的な表面処理組成物の坪量であることができる。
【0137】
10g/m2を上回る局所的な坪量データポイントのすべての平均値は、EXCELデータファイルから計算することができる。
【0138】
組成物の影響を受ける繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の面積は、3g/m2と等価のG値のところで下側閾値を設定し、その閾値を上回る面積を計算することによって、Analysisで計算される。設定「埋まっていない穴(holes not filled)」が使用される。組成物の面積は、同様に、10g/m2と等価のG値のところで閾値を設定することによって決定される(10g/m2は、G=10/A−OFFSETに等しい)。
【0139】
組成物の面積が特定の最小値及び/又は最大値をもつと定義される場合、面積は、フィルタとして設定される。特定の面積よりも大きい組成物の面積パーセンテージは、面積フィルタなしで計算された組成物の面積を、面積フィルタを用いて計算された組成物の面積で除すことによって計算される。
【0140】
積分吸収値を局所的なローション坪量値に変換するための因子Fは、次の手順によって決定される:組成物の平均坪量が既知である較正試料の代表的なセットを、前述の分析に使用されるスペクトル範囲でスキャンし、W1とW2との間の積分ピーク面積について分析する(ほぼ炭化水素状の物質では4296cm−1と4368cm−1)。因子Fが1に等しく設定される場合、積分ピーク面積は、上記手順から得られる。次いで、データセットをEXCELにインポートし、このデータセットの平均ピクセル値を計算する。因子Fが1に等しく設定されたので、この値は、波数範囲W1〜W2での試料の平均積分ピーク面積(AIPA)に等しい。次いで、F=1/(試料のAIPA対平均組成物坪量のプロットの原点を通った線形最小2乗の傾き)として、因子Fを計算する。因子Fを決定するための較正試料を調製することができ、又は既存の組成物含有試料を使用することができる。既存の試料が使用される場合、組成物坪量を抽出によって決定することができる。そのような手順についての一例を以下に示す。又、既存の試料(市場製品)の分析によって、又較正試料の調製によって、因子Fがどのように決定されるかについての例も以下に示す。赤外線信号と局所的な組成物坪量との間の線形の相関を保証するために、分析に使用される波長範囲における吸収力が決して約1を超えないことが重要である。
【0141】
i.較正試料を調製することによる因子Fの決定
較正試料の調製:面積、重量、及び坪量が既知の好適な基材片を、組成物で均一に処理する。好適な種類の機器は、ドイツ、アイヒャッハ(Aichach, Germany)、MKハイスヴァクステヒニーク社(MK Heiswachstechnik GmbH)から入手可能な、高温蝋カートリッジスプレーガン型のMK−DUOライン(MK-DUO Line)Art.No.140101である。適用後、mpを約10℃上回る温度(又はシート内/シート上で組成物の十分な平衡を可能にするのに適した温度)のオーブン内に試料を置くことによって、組成物をシート内で平衡させる。比較的低粘度の試料の場合、約1時間にわたる平衡で十分である。次いで、試料を室温に冷却し、23℃(±1℃)及び相対湿度50%(±2%)で湿分含量について平衡させ、再び計量する。次いで、(組成物処理後の試料重量[グラム]−組成物処理前の試料重量[グラム])を試料の面積[m2]で除したものとして、その試料の組成物坪量[g/m2]を計算する。次いで、前述の手順によって試料を分析して、因子Fを決定する。好ましくは、較正試料は、測定されるべき範囲を包含する組成物坪量の範囲内で調製される。
【0142】
市場製品についての因子Fの決定:試料の坪量を標準的な手順によって決定する。次いで、4296cm−1〜4368cm−1の間の平均積分ピーク面積について、前述の手順によって試料を分析する。次いで、後述する手順によって試料を抽出して、組成物の追加(add-on)を決定する。次いで、因子Fを次のように計算する
因子F=組成物坪量[g/m2]/平均積分ピーク面積
組成物が十分な量の直鎖炭化水素状物質を含有しない場合、又は基材が4296cm−1〜4368cm−1の間での組成物の定量化を可能にしない物質を含有する場合、赤外又は近赤外範囲内で、IR分光法によって組成物を定量化するのに適した異なる波数範囲を識別しなければならない。基線より上方の積分吸収係数と組成物坪量との間に線形の相関をもつ、いずれの波数範囲も使用することができる。1を超える可能な波数範囲を識別できる場合、最高の信号と雑音との比をもつ範囲を使用する。組成物がCH2基をもつ直鎖炭化水素状物質ベースであるときには常に、4296cm−1〜4368cm−1の間の吸収帯を使用すべきである。
【0143】
B.表面の組成物の相対濃度の試験方法
繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面の組成物の相対濃度は、特に試料が炭化水素含有組成物を含有する場合、近IR分光法を用いて決定されてよい。近IR分光方法は、フィルタ光度計又は他の近IR機器を使用してよいが、後方散乱検出用に構成されなければならない。適切な波長を使用する。
【0144】
繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品を近IR機器の下方に置き、読み値を得る。次いで、試料をひっくり返して、試料の他の側部から読み値を得る。
【0145】
近IRに加えて、好適な機器及び波長を用いた中IR分光法も、又、繊維性構造体及び/又は衛生ティッシュ製品の表面の組成物の相対濃度を決定するために使用されてよい。
【0146】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、どの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0147】
本発明の特定の実施形態について説明し、記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明による繊維性構造体の略図。
【図2】図1の線2−2に沿った断面図。
【図3】本発明による繊維性構造体の他の実施例の断面図。
【図4】本発明による繊維性構造体の他の実施例の断面図。
【図5】本発明による繊維性構造体の他の実施例の断面図。
【図6】本発明による繊維性構造体の他の実施例の略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理組成物を含む第1の領域とローション組成物を含む第2の領域とを含むユーザー接触表面を具備する、繊維性構造体。
【請求項2】
前記第1の領域が、連続的な網状組織を含み、前記第2の領域が、連続的な前記網状組織全体にわたって分散した複数の離散領域を含む、請求項1に記載の繊維性構造体。
【請求項3】
前記第1の領域が、複数の離散領域を含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項4】
前記第2の領域が、複数の離散領域を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項5】
前記第1の領域と前記第2の領域とが、互いに接触している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項6】
前記第1の領域と前記第2の領域とが、互いに分離且つ離散している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項7】
前記ユーザー接触表面が、前記第1の領域が前記第2の領域と接触している部分と、前記第1の領域が前記第2の領域から分離且つ離散している別の部分とを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項8】
少なくとも前記第1の領域が、前記繊維性構造体の表面に結合されており、好ましくは前記第1の領域が、前記繊維性構造体の表面の表面積全体に結合されており、好ましくは前記第1の領域の前記表面処理組成物が、前記繊維性構造体の内部よりも高い重量レベルで前記繊維性構造体の表面に存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項9】
前記第2の領域が、前記繊維性構造体の表面に結合されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項10】
前記第2の領域が、前記第1の領域が前記第2の領域と前記繊維性構造体の表面との間に位置決めされるように、前記第1の領域の表面上に存在し、好ましくは前記第2の領域が、前記第1の領域の表面の全表面積より小さい表面上に存在し、好ましくは前記第2の領域が、分離且つ離散した島の形態で前記第1の領域上に存在する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項11】
前記表面処理組成物が、表面処理剤を含み、好ましくは前記表面処理剤が、ポリマー、炭化水素、蝋、油、シリコーン、第四級アンモニウム化合物、フルオロカーボン、置換C10〜C22アルカン、置換C10〜C22アルケン、ポリオール、糖誘導体、及びこれらの混合物よりなる群から選択され、好ましくは前記シリコーンが、ポリシロキサン、アミノシリコーン、カチオン性シリコーン、第四級シリコーン、シリコーンベタイン、及びこれらの混合物よりなる群から選択され、好ましくは前記ポリシロキサンが、次の構造式のモノマーシロキサン単位を有する化合物:
【化1】

(式中、独立した各シロキサンモノマー単位について、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、若しくは任意のアルキル、アリール、アルケニル、アルカリール、アラキル、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、又は他のラジカルであることができる)より選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項12】
前記第四級アンモニウム化合物が、次式:
【化2】

(式中、mは、1〜3であり;各R1は、独立して、C1〜C6アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、又はこれらの混合であり;各R2は、独立して、C14〜C22アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、又はこれらの混合物であり;X-は、柔軟化剤と相溶性のある任意のアニオンである)を有する化合物より選択される、請求項11に記載の繊維性構造体。
【請求項13】
前記ローション組成物が、炭化水素、脂肪酸エステル、アルコールエトキシレート、及びこれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項14】
前記ローション組成物が、対向表面に移行できる、移行可能なローション組成物である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の繊維性構造体。
【請求項15】
単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の繊維性構造体の使用。
【請求項16】
表面処理組成物が、前記繊維性構造体の内部よりも高い重量レベルで前記繊維性構造体の表面に存在すると共に、前記ローション組成物が、前記繊維性構造体の前記表面よりも高い重量レベルで前記繊維性構造体の内部に存在する、表面処理組成物とローション組成物とを含む繊維性構造体。
【請求項17】
前記ローション組成物が、対向表面に移行できる、移行可能なローション組成物である、請求項16に記載の繊維性構造体。
【請求項18】
前記ローション組成物が、前記繊維性構造体の前記表面の表面積全体より小さい表面に存在する、請求項16に記載の繊維性構造体。
【請求項19】
前記表面処理組成物が、前記繊維性構造体の前記表面の表面積全体より小さい表面に存在する、請求項16に記載の繊維性構造体。
【請求項20】
前記繊維性構造体の前記表面が、前記ローション組成物の分離且つ離散した島を含む、請求項16に記載の繊維性構造体。
【請求項21】
前記ローション組成物が、前記表面処理組成物の表面に存在する、請求項16に記載の繊維性構造体。
【請求項22】
衛生ティッシュ製品が、多プライの衛生ティッシュ製品であり、前記ローション組成物が、前記多プライの衛生ティッシュ製品の2つ以上のプライ間に存在する、単プライ若しくは多プライの衛生ティッシュ製品における請求項16〜21のいずれか1項に記載の繊維性構造体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−534853(P2007−534853A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509646(P2007−509646)
【出願日】平成17年4月9日(2005.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/013684
【国際公開番号】WO2005/106119
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】