説明

表面処理金属酸化物粒子の製造方法、該微粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材

【課題】マトリックス成分に高分散可能であり、得られる膜は強度が高く、スクラッチ強度、耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性、耐熱性、耐湿性等に優れた反射防止膜、ハードコート膜等に使用できる表面処理金属酸化物粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】金属酸化物粒子分散液に、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(A)と下記式(2)で表されるシランカップリング剤(B)とを、式(1)で表されるシランカップリング剤(A)のモル数(M1)と式(2)で表されるシランカップリング剤(B)のモル数(M2)とのモル比(M1)/(M2)が0.3〜9の範囲となるように混合し、加水分解触媒を添加して金属酸化物粒子をシランカップリング剤で表面処理することを特徴とする表面処理金属酸化物粒子の製造方法。RnSiX4-n ・・・・・・(1)RnSiX4-n ・・・・・・(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス成分に高分散可能であり、また得られる膜は強度が高く、さらに、スクラッチ強度、耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性、耐熱性、耐湿性等に優れた反射防止膜、ハードコート膜等の形成に好適に用いることが可能な表面処理金属酸化物粒子の製造方法、該微粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート膜を形成することが知られており、このようなハードコート膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに耐擦傷性を向上させることが行われている。
【0003】
また、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するため、その表面に反射防止膜を形成することが知られており、たとえば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウムのような低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成したり、シリカ微粒子等の低屈折率微粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止被膜を形成する方法が知られている(たとえば、特許文献1(特開平7-133105号公報)など参照)。このとき、反射防止性
能を高めるために反射防止被膜の下層に高屈折率の微粒子等を含む高屈折率膜を形成することも知られている。
【0004】
近年、このような透明被膜には、透明性、ヘーズ等の他、耐擦傷性、硬度、スクラッチ強度等に加えて、耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性、耐熱性、耐湿性等に同時に優れた透明被膜が求められている。
【0005】
本願出願人等は、低屈折率で強度、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性等に優れた透明被膜として含フッ素化合物からなるマトリックスと特定のシランカップリング剤(フルオロ基を含まない)で処理した中空シリカ微粒子を用いることを開示している。(特許文献2、特開2006−348267号公報)
また、本願出願人等は、酸やアルカリに等に対する耐薬品性に優れた透明被膜として、パーフルオロ基含有(メタ)アクリル酸エステル樹脂と特定のシランカップリング剤(フルオロ基を含む場合あり)で処理した中空シリカ系微粒子とを用いることを開示している。(特許文献3、特開2006−291077号公報)
【特許文献1】特開平7-133105号公報
【特許文献2】特開2006−348267号公報
【特許文献3】特開2006−291077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、撥水性、指紋不付着性が不充分であった。また、特許文献2では、耐薬品性、撥水性、指紋不付着性等に優れているものの、耐擦傷性、強度、スクラッチ強度等が必ずしも充分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、このような問題点に鑑み、さらに鋭意検討した結果、フルオロ基を含有するシランカップリング剤とフルオロ基を含有しないシランカップリング剤とで同時に表面処理した金属酸化物粒子はマトリックス成分への分散性がよく、得られる透明被膜は、耐擦傷性、硬度、スクラッチ強度等に加えて、耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性、耐熱性、耐湿性等に優れていることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の構成は以下の通りである。
[1]金属酸化物粒子分散液に、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(A)と下記式(2)で表されるシランカップリング剤(B)とを、式(1)で表されるシランカップリング剤(A)の
モル数(M1)と式(2)で表されるシランカップリング剤(B)のモル数(M2)とのモル比(M1)/(M2)が0.3〜9の範囲となるように混合し、加水分解触媒を添加して金属酸化物粒子をシランカップリング剤で表面処理する表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
nSiX4-n ・・・・・・(1)
(但し、R:フルオロ基含有炭化水素基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハ
ロゲンまたは水素、n:1〜3の整数)
nSiX4-n ・・・・・・(2)
(但し、R:炭素数1〜4のメタアクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エポキ
シ基(グリシド基)、ビニル基、ウレタン基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲンまたは水素、n:1〜3の整数)
[2]前記シランカップリング剤で表面処理した後、40〜100℃で熟成する[1]の表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
[3]得られる表面処理金属酸化物粒子中のシランカップリング剤の含有量((1)と(2)の合
計)が、RnSiO4-n/2に換算して、1〜50重量%の範囲にある[1]または[2]の表面処
理金属酸化物粒子の製造方法。
[4]平均粒子径が5〜300nmの範囲にある[1]〜[3]の表面処理金属酸化物粒子の製造
方法。
[5]マトリックス形成成分と前記[1]〜[4]の方法で得られた表面処理金属酸化物粒子と分
散媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
[6]前記マトリックス形成成分が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ビニル
基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基から選ばれる官能基を
有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂から選ばれる1種以上の有機樹脂である[5]
の透明被膜形成用塗布液。
[7]基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜がマトリックス成分と
前記[1]〜[4]の方法で得られた表面処理金属酸化物粒子とを含んでなることを特徴とする透明被膜付基材。
[8]前記マトリックス成分が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ビニル基、
ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基から選ばれる官能基を有す
る多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂から選ばれる1種以上の有機樹脂である[7]の透
明被膜付基材。
[9]前記透明被膜が最外層にあり、前記基材と該透明被膜との間に他の被膜が設けられて
いる[7]または[8]の透明被膜付基材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フルオロ基を含有するシランカップリング剤とフルオロ基を含有しないシランカップリング剤を所定比で混合したシランカップリング剤で表面処理しているのでマトリックス成分への分散性、結合性に優れた表面処理金属酸化物粒子の製造方法、該微粒子を含む安定性に優れた透明被膜形成用塗布液および耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性等に優れると共に強度、硬度および耐擦傷性に優れた透明被膜付基材を提供することができる。
以下、先ず、本発明に係る表面処理金属酸化物粒子の製造方法について具体的に説
明する。
【0010】
表面処理金属酸化物粒子の製造方法
本発明の製造方法は、金属酸化物粒子分散液に、特定の組合わせのシランカップリング剤を添加して表面処理する。
【0011】
金属酸化物粒子
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、従来、透明被膜に用いられる公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
【0012】
金属酸化物粒子は用途によって適宜選択して用いることができ、例えば、反射防止膜に用いる金属酸化物微粒子としては通常屈折率が1.45以下、好ましくは1.40以下の金属酸化物微粒子が用いられ、具体的にはSiO2、内部に空洞を有するSiO2、あるいはこれらに導電性を有する金属酸化物を被覆した微粒子等が挙げられる。内部に空洞を有するSiO2粒子としては本願出願人の出願による特開2001−233611号公報に開示した内部に空洞を有するシリカ系微粒子は好適に採用することができる。
【0013】
ハードコート膜に用いる金属酸化物微粒子としては、ZrO2、TiO2、Sb25、ZnO2、Al23、SnO2、あるいはこれら粒子が鎖状に連結した鎖状粒子、あるいは前記した屈折率が1.45以下のシリカ系微粒子等が挙げられる。
【0014】
高屈折率膜に用いる金属酸化物微粒子としては、通常屈折率が1.60以上、さらには1.80以上の微粒子が用いられ、具体的にはZrO2、TiO2、Sb25、ZnO2、Al23、SnO2、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、
酸化錫ドープリン(PTO)等が挙げられる。
【0015】
導電性膜に用いる金属酸化物微粒子としては、通常Sb25、SnO2、アンチモンドー
プ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、酸化錫ドープリン(PTO)、あるいはこれら導電性材料で表面を被覆したシリカ系微粒子あるいは内部に空洞を有するシリカ系微粒子等が挙げられる。
【0016】
金属酸化物粒子の平均粒子径は、特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜選択されるが、概ね5〜300nm、さらには7〜200nmの範囲にあることが望ましい。
金属酸化物粒子分散液の分散媒としては通常、水および/またはメタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール等のアルコール類が用いられる。金属酸化物粒子分散液の濃度は、固形分濃度として0.5〜40重量%、さらには1〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0017】
シランカップリング剤
本発明では、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(A)と下記式(2)で表されるシ
ランカップリング剤(B)とが使用される。
nSiX4-n ・・・・・・(1)
(但し、R:フルオロ基含有炭化水素基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハ
ロゲンまたは水素、n:1〜3の整数)
nSiX4-n ・・・・・・(2)
(但し、R:炭素数1〜4のメタアクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エポキ
シ基(グリシド基)、ビニル基、ウレタン基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲンまたは水素、n:1〜3の整数)
前記式(1)で表されるシランカップリング剤(A)として、具体的には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリフルオロプロピルジメトキシシラン、パーフルオロ
オクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリデカフロオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
【0018】
前記式(2)で表されるシランカップリング剤(B)として、具体的には、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシ
メチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロ
オキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン
、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロ
ピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0019】
式(1)で表されるシランカップリング剤(A)は、撥水性、指紋付着防止性、マジック拭き取りせい向上などの効果があり、式(2)で表されるシランカップリング剤(B)は、膜硬度、耐擦傷性などの向上効果があり、これらを組合わせることで、耐汚染性、耐擦傷性、耐薬品性などが向上するという作用効果が発現される。
【0020】
特に好ましいシランカップリング剤(A)と(B)との組合わせとしては、ヘプタデカフルオロトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン等と、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシランである。
【0021】
式(1)で表されるシランカップリング剤(A)のモル数(M1)と式(2)で表されるシランカップリング剤(B)のモル数(M2)とのモル比(M1)/(M2)は0.3〜9、さらには0.4〜4の範囲にあることが好ましい。
【0022】
モル比(M1)/(M2)が小さいと、シランカップリング剤(A)の量が少なすぎてしま
い、表面処理して得られた金属酸化物粒子を用いた透明被膜の耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性が不充分となる場合がある。
【0023】
モル比(M1)/(M2)が9を越えるとマトリックス成分との結合性が悪くなるためか、表面処理金属酸化物粒子を用いて得られる透明被膜の耐擦傷性、硬度、スクラッチ強度が不充分となる場合がある。
【0024】
なお、シランカップリング剤(A)として前記式(1)におけるn=1のシランカップリング剤を用いる場合は、シランカップリング剤(B)として前記式(2)におけるn=1のシランカップリング剤を用いることが望ましい。同様に前者がn=2である場合は、後者もn=2である場合が望ましい。さらに、前者がn=3である場合は後者もn=3のシランカップリング剤を用いることが望ましい。
【0025】
このようにnが同じのシランカップリング剤を用いると加水分解特性が近似しているため配合比に近い形で均一に結合したシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)を、表面に形成することができる。
【0026】
とりわけ、シランカップリング剤(A)として前記式(1)におけるn=1のシランカップリング剤とシランカップリング剤(B)として前記式(2)におけるn=1のシランカップリング剤との組み合わせて用いることが好ましい。この場合、nが2〜3のシランカップリング剤より加水分解し易く、かつ、金属酸化物粒子との結合性に優れているために本発明の金属酸化物粒子の表面処理効果が高く、すなわち、表面処理金属酸化物粒子を用いた透明被膜形成用塗布液は安定性に優れ、透明被膜は耐水性、撥水性、指紋不付着性、耐薬品性に優れるとともに、耐擦傷性、硬度、スクラッチ強度にも優れている。
【0027】
シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との混合アルコール溶液を調製し、前記金属酸化物粒子分散液に混合する。
シランカップリング剤の添加量((A)と(B)の合計)は得られる表面処理金属酸化物粒子中の含有量がRnSiO4-n/2で表して1〜50重量%、さらには2〜30重量%となる範
囲であることが好ましい。
【0028】
シランカップリング剤の添加量が少ない場合はマトリックス成分への分散性が悪くなるとともに、マトリックス成分との結合性も悪くなる。シランカップリング剤の添加量が多すぎると、金属酸化物粒子の割合が低く、所望の金属酸化物の特性、例えば、導電性、屈折率が損なわれることがある。
【0029】
なお、シランカップリング剤混合アルコール溶液中のシランカップリング剤濃度としては特に制限されるものではない、ハンドリングなどの点も鑑み、1〜50重量%の範囲にあることが望ましい。溶媒としては、前記したものが使用され、好ましくは金属酸化物粒子分散液を構成する溶媒と同じ物が望ましい。
【0030】
シランカップリング剤混合後の金属酸化物粒子分散液の濃度(シランカップリング剤の混合アルコール溶液を含む)は固形分濃度として5〜45重量%、さらには10〜40重量%の範囲にあることが好ましい。金属酸化物粒子分散液の濃度が小さいと、使用するシランカップリング剤の量も少なくなるので、所定量のシランカップリング剤で表面処理できない場合があり、45重量%を越えると、表面処理前の金属酸化物粒子が凝集傾向にあり、各粒子に均一に表面処理ができないためか、得られる表面処理金属酸化物粒子のマトリックス成分への分散性が不充分となることがあり、前記した本願発明の効果が充分得られないことがある。
【0031】
また、金属酸化物粒子分散液中には、シランカップリング剤の加水分解用の水が存在し、水のモル数(MH2O)とシランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)の合計のモル数(MSC)とのモル比(MH2O)/(MSC)が3〜30、さらには4〜20の範囲に
あることが好ましい。
【0032】
モル比(MH2O)/(MSC)が小さいと、シランカップリング剤が加水分解しにくいた
め充分な表面処理効果が得られない場合があり、モル比(MH2O)/(MSC)がおおきす
ぎると、シランカップリング剤の加水分解が早くなりすぎるため、表面に結合しない加水分解物がおおくなり、充分な表面処理効果が得られない場合がある。
【0033】
さらに、シランカップリング剤を混合した金属酸化物粒子分散液には、必要に応じてシランカップリング剤の加水分解用触媒を用いることができる。
加水分解用触媒としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドライト、テトラプロピルアンモニウムハイドライト、テトラブチルアンモニウムハイドライト、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、硝酸、塩酸、酢酸等が挙げられる。
【0034】
加水分解用触媒のモル数(MHC)とシランカップリング剤の合計のモル数(MSC)とのモル比(MHC)/(MSC)が0.01〜0.0001、さらには0.005〜0.0005の範囲にあることが好ましい。
【0035】
モル比(MHC)/(MSC)が小さい場合は、シランカップリング剤の種類によっては加水分解を促進することができないために充分な表面処理ができず、モル比(MHC)/(MSC)がおおきすぎると、金属酸化物粒子の表面に結合しない加水分解物が多くなり、充分な表面処理効果が得られない場合がある。
【0036】
シランカップリング剤を混合した金属酸化物粒子分散液は、撹拌しながらシランカップリング剤を加水分解させて金属酸化物の表面処理を行う。この時、40〜100℃の加温下で熟成することが好ましい。
【0037】
加水分解、熟成温度が低いと、フルオロ基含有炭化水素基を有するシランカップリング剤の加水分解が遅くなり、また、熟成温度が高すぎても加水分解が早くなりすぎて金属酸化物粒子の表面に結合しない加水分解物が多くなり、充分な表面処理効果が得られない場合がある。
【0038】
得られた、表面処理金属酸化物粒子分散液はそのまま透明被膜等にもちいることができるが、限外濾過膜法等で洗浄し、所望の有機溶媒に置換して用いることもできる。
有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロパノール、2-プロパ
ノール(IPA)イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が好ましい。
処理後の金属酸化物粒子の大きさは実質的変化しない。
【0039】
透明被膜形成用塗布液
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、前記表面処理金属酸化物粒子と分散媒とを含む。
【0040】
(i)表面処理金属酸化物微粒子
本発明の透明被膜形成用塗布液には前記製造方法で得られた表面処理金属酸化物微粒子が用いられる。
【0041】
(ii)マトリックス形成成分
マトリックス形成成分としては、有機樹脂系マトリックス形成成分、シリコーン系マトリックス形成成分等が用いられる。
【0042】
有機樹脂系マトリックス形成成分として、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂が挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールトリアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレートおよびこれらの混合物あるいはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
【0043】
また、有機樹脂系マトリックス形成成分として、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル
樹脂も挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n-ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、ウレタンアクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
具体的には、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等およびこれらの部分加水分解物、加水分解重縮合物が挙げられる。
【0045】
なかでも、本発明では前記した有機樹脂系マトリックス形成成分が表面処理金属酸化物粒子との親和性、分散性、表面処理金属酸化物粒子との結合性に優れているので好適に用いることができる。
【0046】
前記したように、表面処理金属酸化物粒子は特定のシランカップリング剤(A)と(B)とを組合わせているので、マトリックス形成成分は特定のシランカップリング剤(A)と(B)と親和性を有し、活、シランカップリング剤の有機基との結合が促進されることが望まれるため、有機樹脂系マトリックスにおいても、CF2基を有する有機樹脂と他の樹脂とを組合
わせて用いることが望ましい。
【0047】
本発明では、必要に応じて有機樹脂系マトリックス形成成分を重縮合するための触媒が含まれていても良い。また、シリコーン系マトリックス形成成分を使用する場合、加水分解、重縮合触媒が含まれていても良い。
【0048】
(iii)分散媒
本発明に用いる分散媒としては前記マトリックス形成成分、必要に応じて用いる重合開始剤を溶解あるいは分散できるとともに表面処理金属酸化物微粒子を均一に分散することができれば特に制限はなく、従来公知の溶媒を用いることができる。
【0049】
具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0050】
これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用することもできる。
透明被膜形成用塗布液の濃度は特に制限さるものでないが、表面処理金属酸化物微粒子とマトリックス形成成分の合計固形分濃度が0.5〜40重量%、さらには1〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0051】
該合計固形分濃度が小さいと、形成される透明被膜が薄くなり、得られる透明被膜の密着性、強度、耐擦傷性等が不充分となることがある。また、充分な反射防止性能等が得られないこともある。合計固形分濃度が高すぎても、塗料の粘度が高くなり、塗布液の安定性が低下したり、塗布性が低下し、得られる透明被膜の均一性、基材との密着性、強度等が不充分となることがある。
【0052】
透明被膜形成用塗布液中の表面処理金属酸化物微粒子濃度(固形分換算)は0.1〜36重量%、さらには0.2〜32重量%の範囲にあることが好ましい。
該表面処理金属酸化物微粒子濃度が低い場合は、得られる透明被膜中の粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、屈折率、導電性等)による耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合がある。該表面処理金属酸化物微粒子濃度が高すぎると、得られる透明被膜中の粒子の量が多すぎて基材との密着性、透明性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0053】
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分濃度は、固形分として0.4〜38重量%、さらには0.8〜35重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分濃度が低いと、透明被膜の膜厚が薄くなったり、基材との密着性、透明性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。マトリックス形成成分濃度が高すぎると、得られる透明被膜の耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合がある。
【0054】
上記した透明被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
【0055】
透明被膜付基材
本発明に係る透明被膜付基材は、基材上に透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、該透明被膜がマトリックス成分と前記製造方法で得られた表面処理金属酸化物粒子とを含んでなることを特徴としている。
【0056】
(i)基材
本発明に用いる基材としては、従来公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン、ノルボルネン等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。中でも樹脂系基材を好適に用いることができる。また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。他の被膜としては従来公知のプライマー膜、ハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜等が挙げられる。
【0057】
(ii)表面処理金属酸化物微粒子
表面処理された金属酸化物微粒子としては前記製造方法で得られた表面処理金属酸化物微粒子が用いられる。
【0058】
透明被膜中の表面処理金属酸化物微粒子の含有量は固形分として0.2〜90重量%、さらには0.5〜80重量%の範囲にあることが好ましい。表面処理金属酸化物微粒子の含有量が少ないと、透明被膜中の粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、屈折率、導電性等)による耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合がある。表面処理金属酸化物微粒子の含有量が多いと、透明被膜中の粒子の量が多すぎて基材との密着性、透明性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0059】
(iii)マトリックス成分
マトリックス成分としては、前記した有機樹脂系マトリックス成分または前記したシリコーン系マトリックス形成成分の加水分解重縮合物が用いられる。本発明では前記した有機樹脂系マトリックス成分は前記した表面処理金属酸化物粒子の分散性、表面処理金属酸化物粒子との結合性に優れているので好適に用いることができる。
【0060】
透明被膜中のマトリックス成分の含有量は固形分として10〜99.8重量%、さらには20〜99.5重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス成分の含有量が少ないと、膜中の粒子の割合が多くなり、基材との密着性、透明性、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。マトリックス成分の含有量が多いと、透明被膜中の粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、屈折率、導電性等)による耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止
性能等が不充分となる場合がある。
【0061】
透明被膜の膜厚は、用途によっても異なるが概ね30nm〜12μm、さらには、70nm〜10μmの範囲にあることが好ましい。透明被膜が薄いと、得られる透明被膜の密着性、強度等が不充分となったり、粒子の特性(屈折率、導電性等)による反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合がある。また、透明被膜が膜厚すぎても、透明被膜にクラックを生じたり、プラスチック等の基材ではカーリング(湾曲あるいは反り)を生じる場合がある。
【0062】
本発明に係る透明被膜付基材は、前記した透明被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥し、硬化させることによって製造することができる。
具体的には、前記した透明被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材上(他の被膜が形成されているのであればその被膜上)に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
【0063】
防弦性を有する透明被膜付基材を製造する場合はロールコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法が推奨される。
本発明の透明被膜付基材には、基材と前記透明被膜との間に前記透明被膜と異なる他の被膜を設けることができる。他の被膜としては、従来公知のプライマー膜、ハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜、低屈折率膜、アンチグレア膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜等が挙げられる。
【0064】
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
透明被膜形成用塗布液(A-1H)の調製
導電成分として、五酸化アンチモン微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:ELCOM V-4560、平均粒子径20nm、濃度30.5重量%、分散媒:エタノール/メタノール/イソプロパノール=85.5/13.4/1.1、粒子屈折率1.64)44.26gとジヘキサエリ
スリトールトリアセテート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)14.8
5g、と1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)1.65gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、
IPAで溶解、固形分濃度10%)8.25gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒30.99gとを充分に混合してハードコートおよび帯電防止用の透明被膜形成用塗布液(A-1H)を調製した。
【0065】
表面処理金属酸化物粒子(A-1)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン0.82g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)(旧社名:GE東芝シリコーン)製:XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン(信越化学(株):KBM-503)0.82gを混合し超純水を2.38g、29%アンモニ
ア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-1)分散ゾルを得た。
【0066】
透明被膜形成用塗布液(A-1R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(1)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサンジオールジア
クリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12gとパーフロロ
オクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止用の透明被膜形成用塗布液(A-1R)を調製した。
【0067】
透明被膜付基材(A-1)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-1H)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材透過率88.0%、Haze1.0%、反射率5.1%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止用の透明被膜形成用塗布液(A-1R)をバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2
外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-1)を調製した。このときの反射防止膜の膜
厚は100nmであった。
【0068】
得られた透明被膜付基材(A-1)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0069】
表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し、全光線透過率およびヘーズはヘーズメーター(日本電色(株)製:NDH2000)により、反射率は分光光度計(日本分光社製:Ubest−55)により夫々測定した。
また、防眩性、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示した。
【0070】
密着性
ハードコート機能付き反射防止膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で1
1本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテ−プを接着し、ついで、セロハンテ−プを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することにより密着性を評価した。結果を表1に示す。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90〜99個 :○
残存升目の数85〜89個 :△
残存升目の数84個以下 :×
【0071】
鉛筆硬度
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
【0072】
耐擦傷性
透明被膜付基材(1)に100g/cm2の荷重をかけた規格#0000のスチールウールで10往復擦り、膜表面の傷発生の程度を目視により観察した。
傷発生の程度が全くないものを◎、10本未満のものを○、10〜20本のものを△、傷無数のものを×とした。
【0073】
マジック拭取り性
透明被膜付基材(1)に三菱鉛筆(株)製三菱油性マーカー赤細字で膜表面を2cm直線状
に書き、日本製紙クレシア(株)製キムワイプで拭取ったときの拭取り性を目視により観察した。
1回で拭取れたものを◎、2〜3回で拭取れたものを○、4〜10回で拭取れたものを
△、拭取れなかったものを×とした。
【0074】
耐薬品性
透明被膜付基材(1)に濃度3重量%の水酸化ナトリウム水溶液を1滴滴下し、室温で3
0分間静置後、透明被膜の外観変化を目視により観察した。全く外観変化のないものを◎、殆ど外観変化のないものを○、一部白化あるいは一部浸食されているものを△、白化あるいは完全浸食されているものを×とした。
【0075】
[実施例2]
表面処理金属酸化物粒子(A-2)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン0.49g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製 XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM-503)1.15gを混合し超純水を2.38g、29%アンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-2)分散ゾルを得た。
【0076】
透明被膜形成用塗布液(A-2R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-2)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサンジオールジ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12gとパーフロ
ロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止用の透明被膜形成用塗布液(A-2R)を調製した。
【0077】
透明被膜付基材(A-2)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。
【0078】
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止用の透明被膜形成用塗布液(2R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2
外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-2)を調製した。このときの反射防止膜の膜
厚は100nmであった。
【0079】
得られた透明被膜付基材(A-2)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0080】
[実施例3]
表面処理金属酸化物粒子(A-3)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリ
ア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル、粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン1.31g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製 XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM-503)0.33gを混合し超純水を2.38g、29%アンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-3)分散ゾルを得た。
【0081】
透明被膜形成用塗布液(A-3R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-3)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサンジオールジ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12gとパーフロ
ロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止用の透明被膜形成用塗布液(A-3R)を調製した。
【0082】
透明被膜付基材(A-3)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-3R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-3)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0083】
得られた透明被膜付基材(A-3)の表面抵抗値、全光線透過率、へーズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0084】
[実施例4]
表面処理金属酸化物粒子(A-4)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノール、粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン0.41g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製 XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM-503)0.41gを混合し超純水を2.38g、29%アンモニア水0.03gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度20.5重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-4)分散ゾルを得た。
【0085】
透明被膜形成用塗布液(A-4R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-4)分散ゾル6.10gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサンジオールジ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12gとパーフロ
ロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.7gとを充分に混合して反射防止
用の透明被膜形成用塗布液(A-4R)を調製した。
【0086】
透明被膜付基材(A-4)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(4R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-4)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0087】
得られた透明被膜付基材(A-4)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0088】
[実施例5]
表面処理金属酸化物粒子(A-5)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン2.46g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製 XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製KBM-503)2.46gを混合し超純水を2.38g、29%アンモニア水0.18gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度23.5重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-5)分散ゾルを得た。
【0089】
透明被膜形成用塗布液(A-5R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(4)分散ゾル5.32gとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサンジオールジア
クリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12gとパーフロロ
オクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒92.48gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-5R)を調製した。
【0090】
透明被膜付基材(5)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(5R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-5)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0091】
得られた透明被膜付基材(A-5)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0092】
[実施例6]
表面処理金属酸化物粒子(A-6)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒
子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにトリフルオロプロピルトリメトキシシラン0.82g(信越化学(株)製:KBM-7103)とγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン(信越化学(株):KBM-403)0.82gを混合し超純水を2.38g、29%アンモ
ニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-6)分散ゾルを得た。
【0093】
透明被膜形成用塗布液(A-6R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-6)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサンジオールジ
アクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12gとパーフロ
ロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-6R)を調製した。
【0094】
透明被膜付基材(A-6)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-1H)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材透過率88.0%、Haze1.0%、反射率5.1%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて透明被膜付基材(1-1)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
【0095】
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(6R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-6)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0096】
得られた透明被膜付基材(A-6)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0097】
[実施例7]
表面処理金属酸化物粒子(A-7)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン0.82g(信越化学(株)製:KBM-7803)とγ-グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(信越化学(株):KBM-403)0.82gを混合し超純水を2.38g、29
%アンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-7)分散ゾルを得た。
【0098】
透明被膜形成用塗布液(A-7R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-7)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)1.08gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.
12gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分
に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-7R)を調製した。
【0099】
透明被膜付基材(A-7)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-1H)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材透過率88.0%、Haze1.0%、反射率5.1%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
【0100】
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(7R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-7)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0101】
得られた透明被膜付基材(A-7)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0102】
[実施例8]
表面処理金属酸化物粒子(A-8)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径40nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノール、粒子屈折率1.35)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン0.82g(信越化学(株)製:KBM-7803)とγ-グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(信越化学(株):KBM-403)0.82gを混合し超純水を2.38g、29
%アンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-8)分散ゾルを得た。
【0103】
透明被膜形成用塗布液(A-8R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-8)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)1.08gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.
12gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-8R)を調製した。
【0104】
透明被膜付基材(A-8)の調製
透明被膜形成用塗布液(1H)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材透過率88.0%、Haze1.0%、反射率5.1%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(8R)をバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2
外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-8)を調製した。このときの反射防止膜の膜
厚は100nmであった。
【0105】
得られた透明被膜付基材(A-8)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0106】
[実施例9]
表面処理金属酸化物粒子(A-9)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径80nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノール、粒子屈折率1.25)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン0.82g(信越化学(株)製:KBM-7803)とγ-グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(信越化学(株):KBM-403)0.82gを混合し超純水を2.38g、29
%アンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-9)分散ゾルを得た。
【0107】
透明被膜形成用塗布液(A-9R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-9)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)1.08gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.
12gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-9R)を調製した。
【0108】
透明被膜付基材(A-9)の調製
透明被膜形成用塗布液(1H)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材透過率88.0%、Haze1.0%、反射率5.1%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
【0109】
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(8R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて透明被膜付基材(A-9)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0110】
得られた透明被膜付基材(A-9)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0111】
[実施例10]
透明被膜形成用塗布液(A-10R)の調製
実施例1で調製した表面処理金属酸化物粒子(A-1)分散ゾル7.14gとジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.45gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.45gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.10gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.40gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.40gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.06gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-10R)を調製した。
【0112】
透明被膜付基材(A-10)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。
【0113】
ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-10R)をバ
ーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(10)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は100nmであった。
【0114】
得られた透明被膜付基材(A-10)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nmの光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0115】
[実施例11]
透明被膜形成用塗布液(A-11R)の調製
実施例1で調製した表面処理金属酸化物粒子(A-1)分散ゾル4.76gとジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.68gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.68gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.14gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.60gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.60gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒92.54gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(A-11R)を調製した。
【0116】
透明被膜付基材(A-11)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(11R)を
バーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線を照射して硬化させて透明被膜付基材(A-11)を調製した。このときの反射防
止膜の膜厚は100nmであった。
【0117】
得られた透明被膜付基材(A-11)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nmの光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0118】
[実施例12]
表面処理金属酸化物粒子(A-12)の調製
シリカ系微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:OSCAL1132、平均粒子径12nm、濃度30重量%、分散媒:メタノール 粒子屈折率1.46)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン1.2g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製:XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株):KBM-503)1.2gを混合し超純水を3.5g、29%アンモニア水0.09gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度30.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-12)分散ゾルを得た。
【0119】
透明被膜形成用塗布液(A-12)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-12)分散ゾル20gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)10.5gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)10.5gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)2.4gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)6gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)9.6gおよびイソプロパノールとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒43.4gとを充分に混合してハードコート膜用の透明被膜形成用塗布液(A-12)を調製した。
【0120】
透明被膜付基材(A-12)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-12)をTACフィルム(厚さ80μm、屈折率1.49、基材透
過率88.0%、Haze0.2%、反射率4.8%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて
透明被膜付基材(12)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
【0121】
得られた透明被膜付基材(A-12)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nmの光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0122】
[実施例13]
表面処理金属酸化物粒子(A-13)の調製
帯電防止高屈折率成分としてATO微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:ELCOM V-3501、平均粒子径8nm、濃度20.5重量%、分散媒:エタノール 粒子屈折率1.75)を用いた。このゾル100gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン1.02g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製:XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株):KBM-503)1.02gを混合し超純水を2.05gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.4重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-13)分散ゾルを得た。
【0123】
透明被膜形成用塗布液(A-13)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-13)分散ゾル56.1gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)3.5gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)3.5gと1.6-ヘキサンジオールジアク
リレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.8gとパーフロロオク
チルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)2.0gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)3.2gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒6.6gとを充分に混合してハードコート膜用の透明被膜形成用塗布液(A-13)を調製した。
【0124】
透明被膜付基材(A-13)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-13)をTACフィルム(厚さ80μm、屈折率1.49、基材透
過率88.0% Haze0.2% 反射率4.8%)にバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて
透明被膜付基材(A-13)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
【0125】
得られた透明被膜付基材(A-13)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nmの光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0126】
[実施例14]
表面処理金属酸化物粒子(A-14)の調製
導電成分として、五酸化アンチモン微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:ELCOM V-4560、平均粒子径20nm、濃度30.5重量%、分散媒:エタノール/メタノール/イソプロパノール=85.5/13.4/1.1 粒子屈折率1.64)を用いた。このゾル100g
にヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン1.52g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製:XC95-A9715)とγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株):KBM-503)1.52gを混合し超純水を3.05gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度31.2重量%の表面処理金属酸化物粒子(A-14)分散ゾルを得た。
【0127】
透明被膜形成用塗布液(A-14)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(A-14)分散ゾル28.85gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)9.18gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)9.18gと1.6-ヘキサンジオール
ジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)2.1gとパーフロ
ロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)5.3gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)8.4gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒37.0gとを充分に混合してハードコート膜用の透明被膜形成用塗布液(A-14)を調製した。
【0128】
透明被膜付基材(A-14)の調製
透明被膜形成用塗布液(A-14)をTACフィルム(厚さ80μm、屈折率1.49、基材透
過率88.0% Haze0.2% 反射率4.8%)にバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)でUVを400mJ/cm2照射して硬化させて
透明被膜付基材(A-14)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。
【0129】
得られた透明被膜付基材(A-14)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nmの光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0130】
[比較例1]
表面処理金属酸化物粒子(R-1)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにヘプタデカトリフルオロデシルトリプロポキシシラン1.64g(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製:XC95-A9715)を混合し超純水を2.38g、29%アンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(R-1)分散ゾルを得た。
【0131】
透明被膜形成用塗布液(R-1R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(R-1)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)1.08gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.
12gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノールとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(R-1R)を調製した。
【0132】
透明被膜付基材(R-1)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜形成用塗布液(R-1R)をバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線
を照射して硬化させて透明被膜付基材(R-1)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は
100nmであった。
【0133】
得られた透明被膜付基材(1)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nmの
光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0134】
[比較例2]
透明被膜形成用塗布液(R-2R)の調製
比較例1で調製した表面処理金属酸化物粒子(R-1)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサ
ンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12
gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(R-2R)を調製した。
【0135】
透明被膜付基材(R-2)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜形成用塗布液(R-2R)をバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線
を照射して硬化させて透明被膜付基材(R-2)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は
100nmであった。
【0136】
得られた透明被膜付基材(R-2)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0137】
[比較例3]
表面処理金属酸化物粒子(R-3)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル80gにγ-メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン(信越化学(株):KBM-503)1.64gを混合し超純水を2.38g、29%ア
ンモニア水0.06gを添加し50℃で20時間攪拌し、固形分濃度21.0重量%の表面処理金属酸化物粒子(R-3)分散ゾルを得た。
【0138】
透明被膜形成用塗布液(R-3R)の調製
この表面処理金属酸化物粒子(R-3)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)1.08gと1.6-ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.
12gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノールとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(R-3R)を調製した。
【0139】
透明被膜付基材(R-3)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜形成用塗布液(R-3R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線
を照射して硬化させて透明被膜付基材(R-3)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は
100nmであった。
【0140】
得られた透明被膜付基材(R-3)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0141】
[比較例4]
透明被膜形成用塗布液(R-4R)の調製
比較例1で調製した表面処理金属酸化物粒子(R-3)分散ゾル5.95gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)0.54gとフッ素樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトLINC-3A)0.54gと1.6-ヘキサ
ンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレート1.6HX-A)0.12
gとパーフロロオクチルエチルアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートFA-108、MIBKで希釈、固形分濃度10%)0.50gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製:イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.50gおよびイソプロパノ−ルとブチルセロソルブの1/1(重量比)混合溶媒91.85gとを充分に混合して反射防止膜用の透明被膜形成用塗布液(R-4R)を調製した。
【0142】
透明被膜付基材(R-4)の調製
実施例1と同様にして透明被膜付基材(A-1H)を調製した。このときの膜厚は5μmであ
った。ついで、透明被膜付基材(A-1H)上に反射防止膜形成用塗布液(R-4R)をバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)で400mJ/cm2紫外線
を照射して硬化させて透明被膜付基材(R-4)を調製した。このときの反射防止膜の膜厚は
100nmであった。
【0143】
得られた透明被膜付基材(R-4)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性、マジック拭取り性、耐アルカリ性を測定し結果を表1に示した。
【0144】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粒子分散液に、下記式(1)で表されるシランカップリング剤(A)と下記式(2)
で表されるシランカップリング剤(B)とを、式(1)で表されるシランカップリング剤(A)の
モル数(M1)と式(2)で表されるシランカップリング剤(B)のモル数(M2)とのモル比(M1)/(M2)が0.3〜9の範囲となるように混合し、加水分解触媒を添加して金属酸化物粒子をシランカップリング剤で表面処理することを特徴とする表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
nSiX4-n ・・・・・・(1)
(但し、R:フルオロ基含有炭化水素基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハ
ロゲンまたは水素、n:1〜3の整数)
nSiX4-n ・・・・・・(2)
(但し、R:炭素数1〜4のメタアクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エポキ
シ基(グリシド基)、ビニル基、ウレタン基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲンまたは水素、n:1〜3の整数)
【請求項2】
前記シランカップリング剤で表面処理した後、40〜100℃で熟成することを特徴とする請求項1に記載の表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項3】
得られる表面処理金属酸化物粒子中のシランカップリング剤の含有量((1)と(2)の合計)が、RnSiO4-n/2に換算して、1〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項
1または2に記載の表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項4】
平均粒子径が5〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法で得られた表面処理金属酸化物粒子と、マトリックス形成成分と、分散媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
【請求項6】
前記マトリックス形成成分が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基から選ばれる官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂から選ばれる1種以上の有機樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の透明被膜形成用塗布液。
【請求項7】
基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が、前記請求項1〜4のいずれかに記載の方法で得られた表面処理金属酸化物粒子とマトリックス成分とを含んでなることを特徴とする透明被膜付基材。
【請求項8】
前記マトリックス成分が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基から選ばれる官能基を有する
多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂から選ばれる1種または2種以上の有機樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の透明被膜付基材。
【請求項9】
前記透明被膜が最外層にあり、前記基材と該透明被膜との間に他の被膜が設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の透明被膜付基材。

【公開番号】特開2009−108123(P2009−108123A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278879(P2007−278879)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】