説明

表面実装可能な半導体ブリッジチップ

【課題】ボンドワイヤを用いずに、表面実装技術を利用して比較的容易にヘッダにはんだ付けすることができ、チップとヘッダの接続は、比較的高い信頼性を有し、ヘッダの寸法要件がある程度緩和され、更に、コストが比較的低くなるチップを得る。
【解決手段】半導体ブリッジチップ200は、「H型」または「台形」構造を有することができ、この構造において、中央ブリッジ区画204の両脇には、そのブリッジ区画の両側に配置される一つ以上の傾斜壁面216が存在する。各壁面は導電材料でメッキされて、チップの上面全体に連続した導電路を提供する。チップの底面は、エポキシ樹脂によって、各種の構造でヘッダの上面に接続することができる。メッキされた傾斜壁面により、ヘッダの上面の複数の各ピンのメッキされた上面への壁面のはんだ付け接続が容易になり、このはんだ付け接続により、ピンとチップの間の連続した電気接続を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2009年4月13日に出願された「Surface Mountable
Semiconductor Bridge Die(表面実装可能な半導体ブリッジチ
ップ)」という名称の米国仮出願第61/168,650号の利益を主張するものであり
、前記出願は、その開示内容全体を本明細書の一部として援用する。
【0002】
本発明は、概して、半導体ブリッジに関し、特に、ヘッダに対する半導体ブリッジチッ
プのはんだ付け可能な接続を容易にする、矩形のメッキ付き貫通「半穴」を有する表面実
装可能な半導体ブリッジチップに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ブリッジ(SCB)チップ素子は、通常、より細い導電性ブリッジ区画によって
互いに連結される1組の導電性ランドを含むように構成されている。ブリッジ区画は、ド
ープシリコンまたは非ドープシリコンから形成することができ、この区画は、単独で形成
されても、またはその上に配設されるタングステンやチタニウムなどの金属の上位層を備
えてもよい。ランドもシリコンを含むことができ、たとえば、アルミニウムの層で被覆さ
れることが多い。この分野において、チップの他の構成も存在する。導電性ランドは、通
例、電気エネルギ源(たとえば、活性電源や、キャパシタなどの電荷蓄積素子)に接続さ
れる。火薬の起爆装置または点火装置としての用途では、通常、ブリッジ区画が装薬(た
とえば、火工物質装薬)に物理的に密着して配置される。これらの素子の各種の実施形態
において、ブリッジに流れる電流は、電気的に活性化されたブリッジ材料からプラズマを
発生させ、続いて、このプラズマが装薬を起爆または点火する。装薬は、SCB素子によ
る装薬の起爆または点火時に爆発する雷管素子に、たとえば、衝撃波管によって接続する
ことができる。
【0004】
また、SCBチップは、通常、ヘッダ素子に接続される。ヘッダは、セラミックや、ガ
ラスや、金属や、他の適切な材料を含むことができる。SCBチップの底面は、たとえば
、はんだ付けされた接続部またはエポキシ樹脂によってヘッダの上面に接続することがで
きる。ヘッダへのSCBチップのこの物理接続に加え、導電性SCBチップからヘッダ上
のピン(通常は2つのピン)への電気接続も存在する。ヘッダピンは、更に、電力源に接
続される。
【0005】
従来のSCB素子は、通常、ボンドワイヤ(たとえば、直径5ミル)を利用して、チッ
プの上面から(すなわち、チップ上の金属化された導電性ランドから)ヘッダ上のピンま
たは他の適切な接点領域への電気接続を行う。ただし、ボンドワイヤの利用に関わる問題
として、ボンドワイヤの切断により、ワイヤ接続されるピンを取り巻くガラスシールにア
ルミニウムが塗りつけられること、比較的小さい形状の用途でボンドワイヤ構成が最適以
下になること、ボンドワイヤが出力カップに接触することを確実に回避するための火薬積
載量の下限要件、ワイヤボンディングに必要な固有の特性によりヘッダのコストが増える
こと、静電放電の問題、および大規模用途に関して、高速のワイヤボンディングに必要な
資本設備にコストがかかることが挙げられ得る。
【0006】
前述した理由および他の理由により、ボンドワイヤを排除して、SCBチップの底面と
ヘッダの上面の間にある種の導電性表面接続を利用することが知られている。このような
表面実装式SCBチップでは、出力カップに接触し得るボンドワイヤが存在しないことか
ら、より小さい直径でヘッダを作製でき、かつ、チップ上の最小の火薬層を削減できるた
め、装薬量が比較的少ない点火装置を容易に製造することができる。ただし、ボンドワイ
ヤを用いずに、ヘッダにSCBチップを接続する前述した手法および他の公知の手法(た
とえば、サブマウントおよび回り込み金属化)は、たとえば、比較的精密に制御されたヘ
ッダ寸法を必要とする点で、その用途が比較的限定されている。また、これらの方法は、
比較的コストが高く、製造も容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
垂直穴が製造されているが、この穴の内部に金属を有するチップを作製することは困難
であることが判明している。求められているのは、テーパがつけられるか、または「傾斜
側面を有する」SCBチップ、およびこのようなチップを作製する方法であり、この方法
において、結果的に得られるチップは、ボンドワイヤを用いずに、表面実装技術を利用し
て比較的容易にヘッダにはんだ付けすることができ、チップとヘッダの接続は、比較的高
い信頼性を有し、ヘッダの寸法要件がある程度緩和され、更に、SCBチップおよびヘッ
ダの製造は、ヘッダへのチップのはんだ付けを含めてすべて、コストが比較的低くなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、半導体ブリッジチップは「H型」構造を有し、この構造に
おいて、中央ブリッジ区画の両脇には、そのブリッジ区画の両側それぞれに3つの傾斜ま
たは勾配の付いた壁面が配置される。各壁面は、導電材料でメッキされることによって、
チップの上面全体に連続した導電路を提供する。チップの底面は、エポキシ樹脂によって
、各種の構造でヘッダの上面に接続することができる。メッキされた傾斜壁面は、ヘッダ
の上面の複数のピンそれぞれのメッキされた上面に対する壁面のはんだ付け可能な接続を
容易にし、このはんだ付け可能な接続によって、ピンとチップの間の連続した電気接続部
を提供する。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、半導体ブリッジチップは「台形」型構造を有し、この
構造において、中央ブリッジ区画の両脇には、そのブリッジ区画の両側それぞれに単一の
傾斜または勾配の付いた壁面が配置される。各壁面は、導電材料でメッキされることによ
って、チップの上面全体に連続した導電路を提供する。チップの底面は、エポキシ樹脂に
よって、各種の構造でヘッダの上面に接続することができる。メッキされた傾斜壁面は、
ヘッダの上面の複数のピンそれぞれのメッキされた上面に対する壁面のはんだ付け可能な
接続を容易にし、このはんだ付け可能な接続により、ピンとチップの間の連続した電気接
続部を提供する。
【0010】
本発明の他の態様によれば、チップの各種実施形態に従って、半導体ブリッジチップを
作製する方法が提供される。たとえば、対応するチップの「H型」構造と「台形」型構造
の違いは、ダイシング工程に存在し、この工程において、「台形」チップは、「H型」チ
ップ構造の場合よりも多くダイシングによって除去される。
【0011】
本発明の各種の実施形態は、下記の図面を参照することで理解できる。構成要素は必ず
しも原寸通りではない。また、図面において、同様の参照番号は、複数の図における対応
部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る表面実装可能な半導体ブリッジ(SCB)チップの各種実施形態を接続できるヘッダの例示的実施形態の各種の図を示す、図1A〜1Dを含む図である。
【図2】図1のヘッダに搭載できる、本発明に係る表面実装可能な半導体チップの例示的実施形態の各種の図を示す、図2A〜2Cを含む図である。
【図3】図1のヘッダの上面に搭載された図2のH字形チップの底面の平面図および側面図をそれぞれ示す、図3Aおよび3Bを含む図である。
【図4】本発明に係る表面実装可能な半導体チップの代替実施形態の斜視図、および図1のヘッダの上面に搭載された図4Aのチップの上面図をそれぞれ示す、図4Aおよび4Bを含む図である。
【図5】図1のヘッダに図4の台形チップを取り付ける実施形態を表した各種の図を示す、図5A〜5Cを含む図である。
【図6】図1のヘッダに図4の台形チップを取り付ける代替実施形態を表した各種の図を示す、図6A〜6Cを含む図である。
【図7】図1のヘッダに図4の台形チップを取り付ける他の代替実施形態を示す図である。
【図8】図2の「H型」チップ200を作製する方法の実施形態における各種の工程を示す図である。
【図9】図2の「H型」チップ200を作製する方法の実施形態における各種の工程を示す図である。
【図10】図2の「H型」チップ200を作製する方法の実施形態における各種の工程を示す図である。
【図11】図2の「H型」チップ200を作製する方法の実施形態における各種の工程を示す図である。
【図12】図2の「H型」チップ200を作製する方法の実施形態における各種の工程を示す図である。
【図13】図2の「H型」チップ200を作製する方法の実施形態における各種の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明について、下記の説明および例においてより具体的に説明する。これらの説明お
よび例は、各種の修正および変更を行えることが当業者には明らかであるため、例示する
ことのみを意図したものである。本明細書および請求項において、単数形式の「一つ」お
よび「この」という用語は、文脈に特に明示的な指定がない限り、複数の参照指示も含む
ものである。また、本明細書および請求項において、「含む」という用語は、「構成する
」および「基本的に構成する」実施形態を含むことができる。更に、本明細書に開示した
すべての範囲は、その端点を含み、独立して組み合わせることができる。
【0014】
本明細書において、近似的な表現は、その数値が関連する基本的な機能を変化させるこ
となく変動できる数値表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」および「
実質的に」などの一つ以上の表現によって修飾される値は、場合によっては、指定された
正確な値に限定されなくてもよい。少なくとも一部の例において、近似的な表現は、値を
測定する器具の精度に対応するものである。
【0015】
本発明の実施形態において、半導体ブリッジチップは、「H型」構造を有し、この構造
において、中央ブリッジ区画の両脇には、そのブリッジ区画の両側にそれぞれ3つずつ配
置される傾斜または勾配の付いた壁面が存在する。各壁面は、導電材料を用いてメッキさ
れて、チップの上面全体に連続した導電路を提供する。チップの底面は、エポキシ樹脂に
よって、各種の構造でヘッダの上面に接続することができる。メッキされた傾斜壁面は、
ヘッダの上面の複数のピンそれぞれのメッキされた上面への、前記壁面のはんだ付け可能
な接続を容易にして、ピンとチップの間の連続した電気接続を提供する。
【0016】
本発明の他の実施形態において、半導体ブリッジチップは、「台形」型構造を有し、こ
の構造において、中央ブリッジ区画の両脇には、そのブリッジ区画の両側面それぞれに一
つずつ配置される傾斜または勾配の付いた壁面が存在する。各壁面は、導電材料を用いて
メッキされて、チップの上面全体に連続した導電路を提供する。チップの底面は、エポキ
シ樹脂によって、各種の構造でヘッダの上面に接続することができる。メッキされた傾斜
壁面は、ヘッダの上面の複数のピンそれぞれのメッキされた上面への、壁面のはんだ付け
可能な接続を容易にして、ピンとチップの間の連続した電気接続を提供する。
【0017】
本発明の他の態様によれば、チップの各種実施形態に従って半導体ブリッジチップを製
造する方法が提供される。たとえば、対応するチップの「H型」構造と「台形」型構造の
違いは、ダイシング工程に存在し、この工程において、「台形」チップは、「H型」チッ
プ構造の場合よりも多くダイシングによって除去される。
【0018】
本発明について開示する各種実施形態の前述の特徴および他の特徴は、本発明の例示的
実施形態の下記の詳細な説明および図面から容易に明らかになるであろう。図面において
、同様の参照番号は同様の要素を表す。
【0019】
図1A〜1Dを含む図1を参照すると、下記で詳細に説明する、本発明に係る各種実施
形態の表面実装可能な半導体ブリッジ(SCB)チップを連結できるヘッダ100の例示
的実施形態の各種の図が示されている。ヘッダ100は、金属、ガラス、セラミック、ま
たは他の適切な材料を含むことができる。ヘッダ100は、外側カップ104および1組
の導電ピン108を含む。各ピン108の一方の端部は、ヘッダ100の上面112と面
一に図示されているが、ピン108は、必要に応じて、ヘッダ100の上面112より上
に適切な分量で突出してもよい。各ピン108は、市販されているニッケル、コバルト、
鉄のコバール(Kovar(登録商標))合金などの合金金属を含むことができる。各ピ
ン108の上面には、金メッキを施すことができるが、メッキに他の金属を用いることも
できる。各ピン108の上面の金メッキは、約50マイクロインチの厚さであってよく、
この厚さは、ピンへのはんだ付け用途のほとんどに対応する十分なメッキを含む。ただし
、錫/鉛はんだ、または錫/金はんだを用いてピンへの接続を行う場合(ピン108への
図2のチップのはんだ付けに関して後で詳細に説明する)、ピンのメッキを含む金の脆化
を防ぐために、金メッキは、40マイクロインチ未満の厚さであってもよい。ピン108
は、カップ104内に配置された適切な絶縁材料116によって、互いに対して、および
外側カップ104から電気的に絶縁することができる。
【0020】
図2A〜2Cを含む図2を参照すると、図1のヘッダ100に取り付けることができる
、本発明に係る表面実装可能な半導体チップ200の例示的実施形態の各種の図が示され
ている。本実施形態において、チップ200は、シリコン基板を含むことができ、図2A
の斜視図および図2Cの上面図に最もよく表されるように、概略形状において「H」字形
であってよい。図2Bは、チップ200の製造におけるダイシング工程より前のチップ2
00を示している。チップ200を製造する方法の実施形態については、後で詳細に説明
および例示する。方法の実施形態の説明には、チップ200を含むシリコン基板に加え、
各種他の材料が記載されている。
【0021】
図2の実施形態において、チップ200は、中央に位置するブリッジ区画204を含み
、このブリッジ区画204の両側それぞれに、ピラミッド状の「半穴」208が配置され
ている。各半穴208は、長方形または正方形の形状である底部開口部212を有し、こ
の底部開口部212の3つの辺に、テーパまたは勾配の付いた壁面216が配置されてい
る。一実施形態において、勾配の付いた各壁面216の角度は、約55度で、チップ20
0の上面に対する<100>平面からの異方性カリウム水酸化物(「KOH」)エッチン
グ処理によって形成することができる。これについては、チップ200を製造する例示的
方法に基づいて下記で詳細に説明する。
【0022】
傾斜または勾配の付いた各壁面216の表面は、後で詳細に説明するように、ヘッダ1
00へのチップ200のはんだ付け接合を容易にするために、導電材料、たとえば、金で
メッキすることができる。金メッキの下に、ニッケルの比較的薄い層(たとえば、2.5
4μm〜5.08μm)を付着させてもよい。実施形態において、はんだ付け可能なメッ
キは、半穴208の壁面216に存在し、前記メッキは、たとえば、ブリッジ区画204
が配置されるチップ200の上面部分には存在しない。また、このメッキには、共晶もし
くは非共晶の錫/鉛はんだを用いて、または錫/金はんだを用いてはんだ付けを行うこと
ができる。また、チップ200のブリッジ204も、メッキされた半穴の各壁面216に
電気的に接続されている。したがって、連続した電気接続部は、一方の側から反対側まで
チップ200を横断して(すなわち2つの半穴208の間に)存在する。また、一実施形
態において、各半穴208の開口部212の幅は、図3に詳しく示されるように、ヘッダ
の上面112のピン108の直径にほぼ等しい。開口部212の幅は、対応するピン10
8の直径より小さくても、または大きくてもよいことに留意されたい。
【0023】
図3Aおよび3Bを含む図3を参照すると、図1のヘッダ100の上面112に取り付
けられた図2のH字形チップ200の底面の平面図および側面図がそれぞれ示されている
。下記で詳細に説明するように、チップ200の底面は、ヘッダ100の上面112に取
り付けることができ、この取り付けは、たとえば、非導電性のエポキシ樹脂を用いて行う
ことが好ましいが、導電性のエポキシ樹脂が用いられてもよい。図3Aに最も明瞭に示さ
れるように、チップ200は、ヘッダ100の上面112に存在する各ピン108の上面
が、対応する半穴208の中に位置するように、ヘッダ100の上面112上に配置され
る。すなわち、ピン108に対する半穴208の配置公差の幅を許容する、ピン108に
対する半穴208の配置の「部分的内側ピッチ」(たとえば、ピン108の中心から5ミ
ル)が存在する。一実施形態において、はんだを利用して、各半穴208のメッキされた
壁面216を、対応するヘッダの各ピン108のメッキされた上面に接続することができ
る。図3Bに、このようなはんだ隅肉接合部300の一つを示す。これにより、2つのピ
ン108の間に、連続した電気接続が存在する。各種のはんだ付け方法を利用して、チッ
プ200とヘッダ100の間に、信頼できるはんだ接続を実現することができる。これら
の方法は、たとえば、熱風リフロー、赤外線リフロー、ガス生成のリフロー、およびはん
だごてを用いる手はんだ付け方法を含む。赤外線リフロー法は、表面実装エポキシ樹脂を
、はんだペーストと同一の工程で硬化させることが可能であるなどの利点を提供する。ま
た、この方法は、はんだごての手はんだ付け方法における熱風リフロー方法よりも労力が
少ない。
【0024】
上記で説明したように、チップ200およびヘッダ100の素子の組み合わせは、ブリ
ッジ点火素子として利用することができ、この場合、チップ200のブリッジ204は、
火工装薬などの反応性または爆発性材料と接触している。ヘッダのピン108は、電源を
有することができ、この電源は、ブリッジ204に電流が流れたときに、反応性または爆
発性材料の起爆または点火が生じるように、前記ピン108の両端に接続される。次に、
この起爆または点火の作用を利用して、たとえば、衝撃波管によって反応性または爆発性
材料の更に下流に接続される雷管素子を作動することができる。
【0025】
図4Aおよび4Bを含む図4を参照すると、本発明に係る表面実装可能な半導体チップ
400の代替実施形態の斜視図、および図1のヘッダ100の上面に取り付けられた図4
Aのチップ400の上面図がそれぞれ示されている。図4Aのチップ400の実施形態は
、図2のチップ200のうちのH型の「足」を構成する部分が、その製造中に、たとえば
ダイシングによって除去されることを除き、図2のチップ200とある程度類似している
。したがって、チップ400の両側面にそれぞれ一つずつ角度または勾配の付いた壁面2
16が存在し、その間でブリッジ区画204が中央に配置される「台形」型が得られる。
図2のチップ200と同様に、図4Aのチップ400は、ブリッジ区画204が、勾配の
付いた壁面216と連続して電気的に接触するように、導電材料でメッキすることができ
る。
【0026】
図4Bには、図1のヘッダ100に連結された図4Aのチップ400が示されている。
図2のチップ200と同様に、図4のチップ400の底面は、エポキシ樹脂によって、ヘ
ッダ100の上面112に連結されてよい。このチップは、各壁面216の外側端部が、
対応するピン108の一部と僅かに重なるように配置される。また、図4Bに示すように
、各壁面216の幅は、対応するピン108の直径と実質的に等しい。ただし、壁面21
6の幅は、対応するピン108の直径よりも小さくても、または大きくてもよい。図4B
には示していないが、各ピン108のメッキされた上面は、はんだ付けによって、チップ
400の対応するメッキ付き導電性壁面216に連結することができる。すなわち、図4
Bには示していないが、図3Bのはんだ隅肉300を利用することができる。図4におけ
るチップ400の「台形」の実施形態は、図2のチップ200の「H型」の実施形態より
も有利であるが、これは、図2の「H型」のチップ200の「足」の位置で、チップ20
0の底面にエポキシ樹脂を十分に配置して、その位置にチップ200の底面とヘッダ10
0の上面112の間の適切な接触を実現することは、実際にはやや困難であることが判明
しているためである。この配置では、火薬加工ステップでチップ200が破損する可能性
がある。
【0027】
このように、図2〜4から判るように、チップ200,400の2つの異なる構造(す
なわち、「H型」、「台形」)は、ダイシングの方式にもよるが、単一のウエハから得る
ことができる。
【0028】
図5A〜5Cを含む図5を参照すると、図1のヘッダ100に図4の台形チップ400
を取り付ける実施形態を表した複数の図が示されている。この取り付けは、チップ400
の底面およびヘッダ100の上面112の両方にエポキシ樹脂500を使用して行われ、
エポキシ樹脂500は、チップ400の底面をほぼ埋めるように塗布される。本実施形態
では、通常、エポキシ樹脂500の周辺隅肉が現れる。したがって、はんだ隅肉300は
、図5Cに示すように、エポキシ樹脂の隅肉を跨いで存在する必要がある。好ましくは、
エポキシ樹脂500は、エポキシ樹脂隅肉のサイズと、エポキシ樹脂500の塗布量を制
限するために、型押しすることができる。未硬化の状態でエポキシ樹脂500を使用する
ときには、チップ200,400とヘッダ100とを互いに接着する前に、適切な成形型
を利用して、比較的均一な膜状にエポキシ樹脂500を広げることができる。
【0029】
図6A〜6Cを含む図6を参照すると、図1のヘッダ100に図4の台形チップ400
を取り付ける代替実施形態を表した複数の図が示されている。この実施形態では、チップ
400の傾斜壁面216のみがメッキされるのではなく、メッキは、チップ400の底面
に回り込んで包むように延長され、その一部に沿って、たとえば、図6Cでは、ピン10
8の左側端部のところまで延びる。したがって、はんだ隅肉300も、チップ400の底
面の下に位置するように延長されて、図6Cのピン108の左側端部にほぼ等しくなるよ
うに構成される。このように、本実施形態では、エポキシ樹脂500は、ピン108の間
にのみ比較的小さい「点」状に配置され、たとえば、成形型によって広げられた後、エポ
キシ樹脂500は、図6Aおよび6Bに示すとおり、チップ400の底面の下全体には充
填されない。したがって、チップ400の底面上で、エポキシ樹脂500が終了してピン
108が始まるまでの間に、2つの小さい間隙600が生じる。この間隙600により、
装薬力でチップ400が破損し得る。
【0030】
エポキシ樹脂の小さい「点」を利用する代わりに、型押しエポキシ樹脂チップまたはエ
ポキシ樹脂プレフォームを利用してもよい。本実施形態において、チップ400は、図7
に示すように、エポキシ樹脂500の帯700に型押しされる。本実施形態は、図4の台
形チップ400に利用することができ、エポキシ樹脂500がピン108の間に配置され
、かつ、メッキがチップ400の底面の一部に延長されてもよい点において、図6の実施
形態と同様である。更に他の実施形態において、ピン108の頭部のメッキ上に、導電性
エポキシ樹脂を単独で利用して、チップ200,400の底面に付着させてもよい。
【0031】
エポキシ樹脂500の実施形態のいずれかにおいて、はんだ付け工程に適合する比較的
高温のエポキシ樹脂を利用することができる。すなわち、エポキシ樹脂500は、はんだ
接合を阻害することを好ましく回避することに加え、エポキシ樹脂は、はんだペーストの
リフローに先立つリフロー工程において硬化する。
【0032】
図8〜13を参照すると、図2の「H型」チップ200を製造する方法の実施形態にお
ける各種の工程が示されている。図8を参照しながら説明すると、シリコンウエハ基板を
用いてチップ200の「基線層積層」が開始し、前記シリコウエハ基板は、最上部に配置
された二酸化シリコンの比較的薄い層(たとえば、0.6〜0.8μm)と、二酸化シリ
コン層の上に付着された多結晶シリコンの比較的薄い層(たとえば、1.8μm〜2.2
μm)とを有する。結果的に得られる基板800は、図8の上側の図に示されている。次
に、多結晶シリコンマスクを用いて、多結晶シリコンをエッチ除去することで、図8の下
側の図の基板804が得られる。図9において、上の図は基板804であるが、下の図は
、エッチング工程を利用して傾斜壁面216が形成された後の基板900である。エッチ
ング工程では、窒化物マスクを利用して、多結晶シリコンを保護する。図10において、
上の図は基板900であるが、下の図は、アルミニウムのランドが追加された後の基板1
000を示している。これは、ウエハ全体にアルミニウムを塗布することによって実行で
き、アーランド(alands)マスクを用いて、アルミニウムをエッチングしてランドを形成
する。アルミニウムは、10,000〜15,000オングストロームの厚さであってよ
い。図11において、上の図は基板1000であり、下の図は、Gパッド(gpad)マスク
を用いて、壁面216を金メッキした後の基板1100を示している。図12において、
上の図は基板1100であるが、下の図には、パシベーションマスクを用いて、保護層が
追加された基板1200を示した。図13において、上の図に、裏面金属化(Au/Ni
/Tn)が施された基板1300の前面を示し、下の図に、基板1300の背面を示した

【0033】
本発明の実施形態は、ヘッダにSCBチップを電気的に接続するためのボンドワイヤま
たはエポキシ樹脂を排除することを提供する。また、本発明の実施形態は、ヘッダへのS
CBチップの接続について、比較的信頼性が高く容易なはんだ付け接続も提供する。また
、SCBチップの設計により、その寸法要件が緩和され、その結果、ヘッダのコストが低
下する。
【0034】
ここに記載した説明は、最良の形態を含む例を用いて本明細書を開示すると共に、当業
者が本発明を作製および利用できるようにするものである。本発明の特許可能な範囲は、
請求項によって定義され、当業者が想到する他の例も含み得る。このような他の例は、請
求項の文字通りの意味から逸脱しない構造要素を有する場合、または、本請求項の文言通
りの意味とほとんど違いの無い等価の構造要素を含む場合、本請求項の範囲内に入ること
が意図される。本明細書で言及した全ての引用文献は、明示的に、本明細書の一部として
援用される。
【符号の説明】
【0035】
100 ヘッダ、104 外側カップ、108 導電ピン、112 上面、116 絶
縁材料 200,400 半導体チップ、204 ブリッジ区画、208 半穴、212
底部開口部、216 壁面、300 はんだ隅肉接合部、500 エポキシ樹脂、60
0 間隙、700 帯、800,804,900,1000,1100,1200,13
00 基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジ区画、第1傾斜壁面、および第2傾斜壁面を有する基板を含み、
前記ブリッジ区画は、前記第1傾斜壁面および前記第2傾斜壁面に電気的に接続される
半導体ブリッジチップ。
【請求項2】
前記第1傾斜壁面および前記第2傾斜壁面は、いずれも前記基板の最上部から前記基板
の底部に向かって下方に傾斜している、請求項1に記載の半導体ブリッジチップ。
【請求項3】
前記ブリッジ区画は、前記第1傾斜壁面と前記第2傾斜壁面の間に配置され、前記半導
体ブリッジチップは、台形の形状を有する、請求項1に記載の半導体ブリッジチップ。
【請求項4】
前記第1傾斜壁面および前記第2傾斜壁面は、その表面に形成された導電性メッキをそ
れぞれ有する、請求項1に記載の半導体ブリッジチップ。
【請求項5】
前記第1傾斜壁面は、当該第1傾斜壁面に隣接して配設される1組の対向する傾斜壁面
を有し、前記第2傾斜壁面は、当該第2傾斜壁面に隣接して配設される1組の対向する傾
斜壁面を有する、請求項1に記載の半導体ブリッジチップ。
【請求項6】
前記第1傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する傾斜壁面は、前記基板の最
上部から前記基板の底部に向かって下方に傾斜し、前記第2傾斜壁面に隣接して配設され
る前記1組の対向する傾斜壁面は、前記基板の最上部から前記基板の底部に向かって下方
に傾斜し、前記半導体ブリッジチップはH字形である、請求項5に記載の半導体ブリッジ
チップ。
【請求項7】
前記半導体ブリッジチップ内に、前記第1傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対
向する各壁面の底部と、前記第1傾斜壁面の底部とが配置される第1開口部が形成され、
前記半導体ブリッジチップ内に、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向
する各壁面の底部と、前記第2傾斜壁面の底部とが配置される第2開口部が形成される、
請求項6に記載の半導体ブリッジチップ。
【請求項8】
前記第1傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する各壁面は、その表面に導電
性メッキを有し、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する各壁面は、
その表面に導電性メッキを有し、前記ブリッジ区画は、前記第1傾斜壁面に隣接して配設
される前記1組の対向する壁面と、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対
向する壁面とも電気的に接続されている、請求項6に記載の半導体ブリッジチップ。
【請求項9】
ブリッジ区画、第1傾斜壁面、および第2傾斜壁面を有する基板を備え、前記ブリッジ
区画は、前記第1傾斜壁面および前記第2傾斜壁面に電気的に接続されている半導体ブリ
ッジチップと、
前記半導体ブリッジチップに物理的に接合されるヘッダであって、前記半導体ブリッジ
チップの前記第1傾斜壁面に電気的に接続される第1導電ピンを有し、かつ、前記半導体
ブリッジチップの前記第2傾斜壁面に電気的に接続される第2導電ピンを有するヘッダと
、を含む火薬起爆素子。
【請求項10】
前記ヘッダの前記第1導電ピンと前記半導体ブリッジチップの前記第1傾斜壁面の間の
電気的接続は、前記ヘッダの前記第1導電ピンの表面と前記半導体ブリッジチップの前記
第1傾斜壁面の表面との間のはんだ付け接続を含み、前記ヘッダの前記第2導電ピンと前
記半導体ブリッジチップの前記第2傾斜壁面との間の電気接続は、前記ヘッダの前記第2
導電ピンの表面と前記半導体ブリッジチップの前記第2傾斜壁面の表面との間のはんだ付
け接続を含む、請求項9に記載の火薬起爆素子。
【請求項11】
前記ヘッダと前記半導体ブリッジチップとの間の前記物理的接合は、前記ヘッダの表面
と前記半導体ブリッジチップの表面との間のエポキシ樹脂接合を含む、請求項9に記載の
火薬起爆素子。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂接合は、前記半導体ブリッジチップの底面の少なくとも一部と前記ヘ
ッダの上面の一部との間のエポキシ樹脂接合を含む、請求項11に記載の火薬起爆素子。
【請求項13】
前記エポキシ樹脂接合は、前記半導体ブリッジチップの底面全体と前記ヘッダの上面の
一部との間のエポキシ樹脂接合を含む、請求項11に記載の火薬起爆素子。
【請求項14】
前記第1傾斜壁面および前記第2傾斜壁面は、いずれも前記基板の上部から前記基板の
底部に向かって下方に傾斜し、前記ブリッジ区画は、前記第1傾斜壁面と前記第2傾斜壁
面の間に配置され、前記半導体ブリッジチップは、台形の形状を有し、前記第1傾斜壁面
および前記第2傾斜壁面は、その表面に形成される導電性メッキをそれぞれ有する、請求
項9に記載の火薬起爆素子。
【請求項15】
前記第1傾斜壁面は、当該第1傾斜壁面に隣接して配設される1組の対向する傾斜壁面
を有し、前記第2傾斜壁面は、当該第2傾斜壁面に隣接して配設される1組の対向する傾
斜壁面を有し、前記第1傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する壁面は、前記
基板の上部から前記基板の底部に向かって下方に傾斜し、前記第2傾斜壁面に隣接して配
設される前記1組の対向する壁面は、前記基板の上部から前記基板の底部に向かって下方
に傾斜し、前記半導体ブリッジチップはH字形である、請求項9に記載の火薬起爆素子。
【請求項16】
前記第1傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する各壁面は、その表面に導電
性メッキを有し、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する各壁面は、
その表面に導電性メッキを有し、前記ブリッジ区画も、前記第1傾斜壁面に隣接して配設
される前記1組の対向する壁面と、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対
向する壁面とに電気的に接続されている、請求項15に記載の火薬起爆素子。
【請求項17】
前記ヘッダは、前記半導体ブリッジチップの第1傾斜壁面の導電性メッキと、前記第1
傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対向する各壁面の導電性メッキとにはんだ付け
されて電気的に接続される第1導電ピンを有し、前記ヘッダは、前記半導体ブリッジチッ
プの第2傾斜壁面の導電性メッキと、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の
対向する各壁面の導電性メッキとにはんだ付けされて電気的に接続される第2導電ピンを
有する、請求項16に記載の火薬起爆素子。
【請求項18】
前記半導体ブリッジチップ内に、前記第1傾斜壁面に隣接して配設される前記1組の対
向する各壁面の底部と、前記第1傾斜壁面の底部とが配置される第1開口部が形成され、
前記ヘッダは、前記第1開口部内に配置される第1導電ピンを有し、前記第1導電ピンは
、前記半導体ブリッジチップの第1傾斜壁面の導電性メッキと、前記第1傾斜壁面に隣接
して配設される前記1組の対向する各壁面の導電性メッキとにはんだ付けされて電気的に
接続され、前記半導体ブリッジチップ内に、前記第2傾斜壁面に隣接して配設される前記
1組の対向する各壁面の底部と、前記第2傾斜壁面の底部とが配置される第2開口部が形
成され、前記ヘッダは、前記第2開口部内に配置される第2導電ピンを有し、前記第2導
電ピンは、前記半導体ブリッジチップの第2傾斜壁面の導電性メッキと、前記第2傾斜壁
面に隣接して配設される前記1組の対向する各壁面の導電性メッキとにはんだ付けされて
電気的に接続される、請求項17に記載の火薬起爆素子。
【請求項19】
基板を設けるステップと、
前記基板をエッチングして、前記基板の上面にブリッジ区画を形成するステップと、
前記基板をエッチングして、前記ブリッジ区画の第1の側面に、第1傾斜壁面と、前記
第1傾斜壁面に隣接する1組の対向する壁面とを形成すると共に、前記ブリッジ区画の第
2の側面に、第2傾斜壁面と、前記第2傾斜壁面に隣接する1組の対向する壁面とを形成
するステップと、
前記基板をダイシングして、前記第1傾斜壁面および前記第1傾斜壁面に隣接する前記
1組の対向する壁面の底部に第1開口部を形成すると共に、前記第2傾斜壁面および前記
第2傾斜壁面に隣接する前記1組の対向する壁面の底部に第2開口部を形成するステップ
と、
前記基板の上面に導電材料を塗布するステップと、
前記第1傾斜壁面と、前記第1傾斜壁面に隣接する前記1組の対向する壁面とに、導電
材料でメッキを施すステップと、
前記第2傾斜壁面と、前記第2傾斜壁面に隣接する前記1組の対向する壁面とに、導電
材料でメッキを施すステップと、を含む半導体ブリッジチップを作製する方法。
【請求項20】
前記基板をダイシングして、前記第1傾斜壁面に隣接する前記1組の対向する壁面を除
去すると共に、前記第2傾斜壁面に隣接する前記1組の対向する壁面を除去するステップ
を更に含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−251758(P2010−251758A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−92023(P2010−92023)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(502241903)エンサイン−ビツクフオード・エアロスペース・アンド・デフエンス・カンパニー (5)
【Fターム(参考)】