説明

表面改質粒子状銅塩による植物病原性微生物の防除方法

本発明は、保護しようとする作物、土壌または植物繁殖材料(plant reproductive material)を、水溶性ポリマーを含み、かつ1〜200nmの一次粒径を有する、銅塩粒子の有効量で処理することによる植物病原性菌類の処理方法に関する。さらに本発明は、上記の銅塩粒子の水性懸濁液、および植物を保護するための前記懸濁液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護しようとする作物、土壌または植物繁殖材料(plant reproduction material)を、水溶性ポリマーを含み、かつ1〜200nmの一次粒径を有する銅塩粒子の有効量で処理することによって植物病原性微生物を防除する方法に関する。本発明はまた、上記銅塩粒子の水性懸濁液、および作物保護における本懸濁液の使用に関する。好ましい特徴と別の好ましい特徴との組み合わせは本発明に包含される。
【背景技術】
【0002】
農業における菌類の防除において、古くから銅化合物系の作物保護剤が知られており、有用な手段でもあった。その最も古い一例は、ボルドー液、すなわち、水性硫酸銅溶液に溶解させた生石灰(CaO)の懸濁液である。これらの化学薬品は環境保護的な栽培であっても殺菌剤として承認され、認可されている。しかし、昔から問題となっているのは高施用量が要求されることであり(通常、1ヘクタール当たり500〜1500gの銅)、これが環境の汚染(例えば、土壌中の銅蓄積による)と保護すべき有用植物の汚染の主要因となり得る。
【0003】
US 2002/0112407には、水溶性櫛型ポリマーの存在下で水性溶媒中に溶解されているか、ナノ粒子状の形態で懸濁されている少なくとも1種の金属化合物の部分的または完全なアルカリ加水分解による、平均サイズが2〜500nm、好ましくは<100nm(動的光散乱(DLS)により測定した場合)である無機ナノ粒子状の粒子の製造が開示されている。また、このようにして得られた粒子を殺菌分散剤または殺生物分散剤で使用することも開示されている。この方法の欠点は、常に、少なくとも部分的に濃い色の金属酸化物、水酸化物または酸化物/水酸化物が生じてしまい、その結果、金属水酸化物/酸化物を含まない金属化合物を得ることができないということである。
【0004】
WO 2010/003870には、表面改質ナノ粒子銅化合物の製造方法が開示されている。この場合、銅イオンの水溶液と、銅と沈殿物を形成するアニオンの溶液とをポリマーの存在下で混合して、銅塩を沈殿させる。また、ナノ粒子および当該ナノ粒子を含む水分散液の抗菌剤活性物質としての使用も開示されている。
【0005】
WO 2005/110692には、木材防腐用の微粒子状銅化合物(例えば、水酸化銅、炭酸銅)を含む水性懸濁液が開示されている。平均粒径が約200nm〜約400nmの範囲のこれらの懸濁液は、分散剤の存在下で湿式粉砕により製造されている。
【0006】
WO 2006/042128に開示されている木材防腐剤は、特に、同様に粉砕で微粉形態とした難溶性銅化合物を含んでいる。
【0007】
US 2005/0256026には、銅塩、第四級アンモニウム塩および分散剤の水性スラリーが開示されている。
【0008】
粉砕方法の欠点は、平均粒径が<100nmの粒子は、多大な労力と、非常に大きなエネルギー投入によってしか、得ることができないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US 2002/0112407
【特許文献2】WO 2010/003870
【特許文献3】WO 2005/110692
【特許文献4】WO 2006/042128
【特許文献5】US 2005/0256026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、菌類による侵襲から保護すべき植物、土壌または種子を可能な限り低施用量の銅含有製剤で処理することができる、植物病原性微生物(特に菌類)の防除方法を提供することを目的とした。本方法で使用する銅含有製剤は、可能な限り簡易に低コストで調製することができるはずである。この方法では、保護すべき植物または種子は、できる限り少量の銅化合物と接触させられ、かつ/または損傷を受けることはほとんどないはずである。本方法および本製剤は、特に、ブドウ、果実および野菜の栽培での使用に好適である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、保護しようとする作物、土壌または植物繁殖材料を、水溶性ポリマーを含み、かつ1〜200nmの粒径を有する銅塩粒子の有効量で処理することによる植物病原性菌類の防除方法あって、前記銅塩が、ヒドロキシドではなく、銅と沈殿物を形成するアニオンを含む、前記方法によって達成された。好ましくは、保護しようとする作物または植物繁殖材料が処理され、特に、保護しようとする作物が処理される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
銅塩は、銅イオンと沈殿物を形成する(特に、20℃の水中、0.1mol/Lの銅塩濃度において、イオンを混合した後、1時間以内に形成する)ヒドロキシドではないアニオンを含む。好ましいアニオンはリン酸、炭酸、ホウ酸、亜硫酸のアニオンであるか、シュウ酸、安息香酸、マレイン酸などの有機酸のアニオン、およびポリホウ酸(例えば、B4O72-)のアニオンである。特に好ましいのは炭酸、リン酸、リン酸水素、シュウ酸、ホウ酸および四ホウ酸イオンのアニオンであり、特にシュウ酸および炭酸のアニオンである。
【0013】
銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではない前記アニオンの他に、銅塩は、さらなるアニオンを含んでいてもよい。好適なさらなるアニオンは、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではない上記記載のアニオンでもある。好ましいさらなるアニオンは、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、亜硫酸などの鉱酸のアニオンであるか、シュウ酸、安息香酸、マレイン酸などの有機酸のアニオン、およびポリホウ酸のアニオン、例えばB4O72-、またはヒドロキシド(OH-)である。さらなるアニオンは、好ましくはヒドロキシドアニオンである。
【0014】
さらなる好ましい実施形態では、さらなるアニオンは、ヒドロキシドアニオンまたは下記のポリカルボキシレート(好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはそれらの混合物をベースとしたポリカルボキシレート)である。ポリカルボキシレートの場合、カルボキシレート基の一部はアニオン形態でポリマー中に存在していてもよく、それ故、アニオンとして、塩を形成する。
【0015】
好ましくは、銅塩は、カーボネートアニオンおよびヒドロキシドアニオンを含む。
【0016】
銅イオンの他に、銅塩はまた、さらなる金属イオンを含んでいてもよく、例えば、アルカリ土類金属または遷移金属のイオンであり、好ましくはマグネシウム、カルシウム、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛または銀のイオン、特に好ましくは、亜鉛または銀のイオンである。これらのさらなる金属イオンは、銅イオンよりも少数で存在する。好ましくは、さらなる金属イオンは存在しない。
【0017】
銅塩はまた、結晶水を含んでいてもよい。
【0018】
一般に、粒子の場合、一次粒子と二次粒子の直径で区別される。(一次粒径を有する)より小さな複数の粒子は凝集して、(二次粒径を有する)より大きな粒子を形成し得る。したがって、二次粒子の直径は、多くの場合、凝集サイズまたは集塊サイズとして示すこともできる。二次粒径は、例えば、動的光散乱により測定することができるが、一次粒径は測定することはできない。粒子の精製中に、例えば、一次粒子が結合して次第に一次粒子がより大きな凝集体を形成する場合、二次粒径に変化が生じる可能性がある。
【0019】
銅塩粒子の一次粒径は、一般に0.1〜200nm、好ましくは1〜100nm、特に1〜50nmの範囲である。一次粒径は、好ましくは、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定する。
【0020】
二次粒径は、通常、粒径分布から体積分率に従って測定される平均粒径を表す。粒径分布は光散乱(例えば、Malvern Instruments製のZetasizer Nano S装置)によって測定することができる。銅塩粒子の二次粒径は、一般に0.1〜300nm、好ましくは1〜200nmの範囲である。
【0021】
銅塩粒子は、好ましくは非晶質である。非晶質とは、均質な固体の分子構成単位が結晶格子(crystal latices)で配列されていないことを意味する。銅塩粒子の非晶質形態とは、結晶性銅塩を実質的には含まないこと、好ましくは80〜100重量%、特に90〜100重量%の銅塩が非晶質形態で存在することを意味する。非晶質形態は、各種方法により、例えば、偏光での顕微鏡検査、示差走査熱量測定法、X線回折または溶解性比較により結晶形態を区別することができる。好ましいのはX線回折である。方法の選択は、例えば、粒子の細かさに依存する。
【0022】
水溶性ポリマーは、各種方法で銅塩粒子中に存在し得る。一実施形態では、粒子の表面をポリマーで改質させることができる。その場合、ポリマーは、粒子の表面上に少なくとも部分的に存在する。さらなる実施形態では、ポリマーは、銅塩粒子中の内部に部分的に存在する。詳しくは、アニオン性の水溶性ポリマー(例えば、ポリカルボキシレート(polycarboxalates))を使用し、それらのポリマーは銅イオンと部分的に塩を形成することができる。通常、水溶性ポリマーは、銅塩の周囲に化学的に架橋結合されたカプセルシェルを形成しない。
【0023】
水溶性ポリマーは、アニオン性、カチオン性、ノニオン性または両性イオン性のポリマーであってもよい。これらの分子量は、一般には、約800〜約500000g/molの範囲であり、好ましくは約1000〜約30000g/molの範囲である。さらなる実施形態では、分子量は5000〜約50000g/molの範囲、好ましくは10000〜40000g/molの範囲である。これらは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、またそれらの分子構造は直鎖状でも分岐状であってもよい。好ましくは、櫛形構造を有する水溶性ポリマーである。
【0024】
本発明で用いる水溶性ポリマーを得るための好適なモノマーとしては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸およびそのエステル、アミドおよびそれらのニトリル、N-ビニルカルボキサミド、アルキレンオキシド、不飽和スルホン酸およびホスホン酸およびアミノ酸が含まれる。
【0025】
本発明の一実施形態においては、ポリカルボキシレートが水溶性ポリマーとして用いられる。本発明においては、ポリカルボキシレートは、少なくとも一種のα,β−不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ジメタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、メサコン酸およびイタコン酸をベースとしたポリマーである。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはこれらの混合物をベースとしたポリカルボキシレートが用いられる。
【0026】
ポリカルボキシレート中の少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸の比率は、概して、20〜100モル%の範囲、好ましくは50〜100モル%の範囲、特に好ましくは75〜100モル%の範囲である。
【0027】
本発明で用いられるポリカルボキシレートは遊離酸の形態で使用してもよいし、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩の形態で部分的または完全に中和されていてもよい。しかし、これらはまた、それぞれのポリカルボン酸とトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ジエチレントリアミンまたはテトラエチレンペンタミンとの塩として使用することもできる。
【0028】
少なくとも1種のα,β−不飽和カルボン酸の他に、ポリカルボキシレートは、ポリマー鎖中に重合単位の形態で導入されるさらなるコモノマーを含んでいてもよく、その例としては、上記のカルボン酸のエステル、アミドおよびニトリル類、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソブチルアクリレート、ヒドロキシイソブチルメタクリレート、メチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および最後に述べた塩基性モノマーとカルボン酸または鉱酸との塩、および塩基性(メタ)アクリレートの四級誘導体があげられる。
【0029】
アリル酢酸、ビニル酢酸、アクリルアミドグリコール酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、3-スルホプロピルアクリレート、3-スルホプロピルメタクリレートまたはアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、またビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、アクリルアミドメチルプロパンホスホン酸などのホスホン酸基含有モノマーもまた、重合単位の形態で導入されるさらなるコモノマーとして好適である。酸基を含むモノマーは、遊離酸基の形態で、また塩基で部分的または完全に中和された形態で重合に使用することができる。
【0030】
さらなる好適な共重合可能な化合物としては、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-メチルイミダゾール、N-ビニル-4-メチルイミダゾール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソブテン、スチレン、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはエチレンイミン、および2個以上の重合性二重結合を有する化合物、例えば、ジアリルアンモニウムクロリド、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、ジビニリデン尿素、ペンタエリスリチルジアリルエーテル、ペンタエリスリチルトリアリルエーテルおよびペンタエリスリチルテトラアリルエーテル、N,N'-メチレンビスアクリルアミドまたはN,N'-メチレンビスメタクリルアミドがある。
【0031】
もちろん、前記コモノマーの混合物を用いることもできる。例えば、50〜100モル%のアクリル酸と0〜50モル%の1種または複数の前記コモノマーの混合物は、本発明によるポリカルボキシレートの製造に好適である。
【0032】
本発明で用いられる多数のポリカルボキシレートが、Sokalan(登録商標)(BASF SE製)という商品名で市販されている。
【0033】
本発明のさらなる実施形態においては、水溶性ポリマーは、ポリアスパラギン酸、ポリビニルピロリドンであるか、N-ビニルピロリドンなどのN-ビニルアミドと、少なくとも1種のさらなる重合性基含有モノマーとの、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などのモノエチレン系不飽和C3-C8-カルボン酸、モノエチレン系不飽和C3-C8-カルボン酸のC8-C30-アルキルエステル類、脂肪族C8-C30-カルボン酸のビニルエステルおよび/またはN-アルキル-もしくはN,N-ジアルキル-置換されたアクリル酸またはメタクリル酸のアミドでC8-C18-アルキル基を持つものとのコポリマーである。
【0034】
本発明による方法の好ましい実施形態においては、使用する水溶性ポリマーはポリアスパラギン酸である。本発明の内容において、ポリアスパラギン酸という用語は、ポリアスパラギン酸の遊離酸と、ポリアスパラギン酸の塩、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、亜鉛および鉄、またはこれらの混合物の塩の両方を含む。
【0035】
本発明のさらなる実施形態においては、ノニオン性の水溶性ポリマーが用いられる。本発明の内容において、ノニオン性水溶性ポリマーとは、2〜1000個の-CH2CH2O-基、好ましくは2〜200個の-CH2CH2O-基、特に好ましくは2〜80個の-CH2CH2O-基を含む化学構造をとる表面活性物質である。これらの基は、例えば、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含有する基質との対応する数のエチレンオキシド分子の付加反応により形成され、概して、化学構造が式-(CH2CH2O-)n-(式中、nは約2〜約80である)に対応する1本または複数の凝集性エチレングリコール鎖を形成する。
【0036】
本発明の好ましい実施形態においては、用いるノニオン性水溶性ポリマーは以下の群の一つから選択される少なくとも1種の物質である。
【0037】
2〜80molのエチレンオキシド(および場合により1〜15molのプロピレンオキシド)と、以下のものとの付加物:
・アルキル基中に1〜5個の炭素原子を有するアルキルフェノール、
・6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸のグリセロールモノ−およびジエステル、ソルビトールモノ−およびジエステル、ならびにソルビタンモノ−およびジエステル、
・アルキル基中に1〜5個の炭素原子を有するアルキルモノ−および−オリゴグリコシド、
・酢酸、
・乳酸、
・グリセロール、
・ポリグリセロール、
・ペンタエリスリトール、
・ジペンタエリスリトール、
・ショ糖、
・糖アルコール(例えば、ソルビトール)、
・アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、
・ポリグルコシド(例えば、セルロース)。
【0038】
2〜80個のエチレングリコール単位を含む構造を持つポリアルキレングリコール。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態においては、使用するノニオン性水溶性ポリマーは、以下の群の1つから選択される少なくとも1種の物質である:
2〜80molのエチレンオキシドと次のものとの付加物:
・アルキル基中に1〜5個の炭素原子を有するアルキルフェノール、
・グリセロール、および、
・アルキルグルコシド。
【0040】
本発明で用いる多数のノニオン性水溶性ポリマーは、Cremophor(登録商標)(BASF SE製)という商品名で販売されている。
【0041】
工業用グレードのエチレンオキシド付加物は、少ない比率の例えば上記物質と、遊離のヒドロキシル基またはカルボキシル基をさらに含んでいる。概して、この比率は、ノニオン性水溶性ポリマーの総量に対して、20重量%未満、好ましくは5重量%未満である。
【0042】
本発明のさらなる実施形態においては、用いる水溶性ポリマーは、N-ビニルカルボキサミドのホモポリマーおよびコポリマーである。これらのポリマーは、例えば、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-アルキル−N-ビニルホルムアミドまたはN-アルキル−N-ビニルアセトアミドの単独重合または共重合で製造される。N-ビニルカルボキサミドのうち、N-ビニルホルムアミドの使用が好ましく、N-ビニルホルムアミドのホモポリマーが特に好ましい。
【0043】
本発明で用いる水溶性N-ビニルカルボキサミドポリマーは、100〜20重量%の前記N-ビニルカルボキサミドに加えて、必要に応じて、いずれの場合にもポリマーの全組成に対して0〜80重量%の、好ましくは5〜30重量%の重合単位の形で導入されるコモノマーをも含む。このコモノマーは、例えば、3〜8個の炭素原子を有するモノエチレン系不飽和カルボン酸であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ジメタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸およびイタコン酸である。この群のモノマー中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、またはこれらのカルボン酸の混合物を使用するのが好ましい。これらのモノエチレン系不飽和カルボン酸は、共重合の際に、遊離酸の形態で、あるいはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩の形態で使用される。しかし、これらはまた、それぞれの酸とトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ジエチレントリアミンまたはテトラエチレンペンタミンとの塩として使用することもできる。
【0044】
さらなる好適なコモノマーとしては、例えば、上記カルボン酸のエステル、アミドおよびニトリル類があり、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソブチルアクリレート、ヒドロキシイソブチルメタクリレート、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および最後に記述した塩基性モノマーのカルボン酸または鉱酸との塩、および塩基性(メタ)アクリレートの四級化生成物があげられる。好ましくは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドが用いられる。
【0045】
アクリルアミドグリコール酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、3-スルホプロピルアクリレート、3-スルホプロピルメタクリレートまたはアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、およびビニルホスホン酸、アリルホスホン酸またはアクリルアミドメタンプロパンホスホン酸などのホスホン酸基含有モノマーもまた、重合単位の形態で導入可能なさらなるコモノマーとして好適である。これらの酸基含有モノマーは、重合中に、遊離酸基の形態で、また塩基で部分的または完全に中和された形態で使用することができる。
【0046】
適切なさらなる共重合可能な化合物は、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-メチルイミダゾール、N-ビニル-4-メチルイミダゾール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソブテン、スチレン、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはエチレンイミン、および2個以上の重合性二重結合を有する化合物、例えば、ジアリルアンモニウムクロリド、エチレングリコールジメタクリエート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、ジビニリデン尿素、ペンタエリスリチルジアリルエーテル、ペンタエリスリチルトリアリルエーテルおよびペンタエリスリチルテトラアリルエーテル、N,N'-メチレンビスアクリルアミドまたはN,N'-メチレンビスメタクリルアミドである。
【0047】
もちろん、前記コモノマーの混合物を使用することもできる。例えば、50〜100重量%のN-ビニルホルムアミドと0〜50重量%の1種または複数の前記コモノマーの混合物は、本発明による水溶性ポリマーの製造に好適である。
【0048】
前記コモノマーが単独重合の際に水溶性ポリマーを生じない場合、N-ビニルカルボキサミド単位を含むポリマーは、コポリマーがそれでも水溶性となるような量だけ、重合単位の形態で導入されるこれらのコモノマーを含む。
【0049】
本発明の好ましい実施形態においては、例えば、マクロモノマーを含むモノマー混合物の共重合により得られる、櫛状の分子構造を有するノニオン性水溶性ポリマーが使用される。櫛状の分子構造を有するノニオン性水溶性ポリマーの構造は、例えば、アニオン性および/またはカチオン性基と親水性側鎖を有する錯体形成性ポリマー主鎖として、あるいは、錯体−形成アニオン性および/またはカチオン性基を有する中性の親水性ポリマー主鎖として説明することができる。
【0050】
本発明の内容において、マクロモノマーとは、好ましくは500000 D未満、特に300〜100000 Dの範囲、特に好ましくは500〜20000 Dの範囲、極めて好ましくは800〜15000 Dの範囲の分子量で、実質的に直鎖状の分子構造を有し、一端に重合性の末端基を持つ物質を意味するものと理解されたい。
【0051】
本発明の好ましい実施形態においては、ポリアルキレングリコール系であって、一端に重合性末端基を有するマクロモノマーが櫛状の分子構造を有する水溶性ポリマーの製造で用いられる。前記重合性末端基は、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル酸基または(メタ)アクリルアミド基であってもよく、その対応するマクロモノマーは次式で表される(式(VI)が好ましい):
CH2=CR2-P、(II)
CH2=CH-CH2-P、(III)
CH2=CH-CH2-NH-R3-P、(IV)
CH2=CH-CH2-CO-P、(V)
CH2=CR2-CO-P、(VI)
CH2=CR2-CO-NH-R3-P、(VII)
CH2=CR2-CO-O-R3-P、(VIII)
式中、
R2は、Hまたはメチルであり、
R3は、以下の定義の通りであり、
Pは、以下に示す一般式:
P = -{-O-(R3O)u-R4O)v-(R5O)w-[-A-(R6O)x-(R7O)y-(R8O)z-]s-R9}n
で表されるポリアルキレングリコール基であって、
式中、変数は、互いに独立して以下の意味を有する:
R9は、水素、NH2、C1-C8-アルキル、R10-C(=O)-、R10-NH-C(=O)-であり;
R3〜R8は、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2-CH3)-、-CH2-CHOR11-CH2-であり;
R10は、C1-C8-アルキルであり;
R11は、水素、C1-C8-アルキル、R10-C(=O)-であり;
Aは、-C(=O)-O-、-C(=O)-B-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-B-NH-C(=O)-O-であり;
Bは、-(CH2)-、アリーレンであり、場合により置換されていてもよく;
nは、1〜8であり;
sは、0〜500、好ましくは0〜20であり;
tは、1〜8であり;
uは、1〜5000、好ましくは1〜1000、特に好ましくは1〜100であり;
vは、0〜5000、好ましくは0〜1000であり;
wは、0〜5000、好ましくは0〜1000であり;
xは、1〜5000、好ましくは1〜1000であり;
yは、0〜5000、好ましくは0〜1000であり;
zは、0〜5000、好ましくは0〜1000である。
【0052】
好ましい化合物は、そのポリアルキレングリコール基Pが、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドを用いて製造されたポリアルキレングリコールから誘導されたもの、およびポリテトラヒドロフランである。ここで用いるモノマー成形ブロックの種類に応じて、ポリアルキレングリコール基Pは次の構造単位を有することとなる:-(CH2)2-O-、-(CH2)3-O-、-(CH2)4-O-、-CH2-CH(CH3)-O-、-CH2-CH(CH2-CH3)-O-、-CH2-CHOR11-CH2-O-。
【0053】
ポリアルキレングリコール基P(R9=H)の末端第一級ヒドロキシル基は、遊離の形態で存在していてもよいか、鎖長がC1-C8のアルコールまたは鎖長がC1-C8のカルボン酸で、それぞれエーテル化またはエステル化されていてもよい。しかし、これらはまた、加圧下で水素/アンモニア混合物による還元的アミノ化により第一級アミノ基に変換するか、アクリロニトリルによるシアノエチル化および水素化により末端アミノプロピル基に変換することもできる。
【0054】
分岐状または直鎖状のC1-C8-アルキル鎖、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-エチルヘキシルおよびn-オクチルを、アルキル基R9〜R11として言及することができる。
【0055】
分岐状または直鎖状のC1-C6-アルキル鎖、特に好ましくはC1-C4-アルキル鎖を、上述のアルキル基の好ましい例としてあげることができる。
【0056】
櫛状の分子構造を有するこれらの水溶性ポリマーはまた、概して、約90〜10重量%の上記マクロモノマーに加えて、約10〜90重量%、好ましくは25〜70重量%の重合単位の形態で導入され、脱プロトン化可能な基を持つコモノマーも含んでいる。コモノマーとしては、例えば、3〜8個の炭素原子を有するモノエチレン系不飽和カルボン酸があげられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、ジメタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸およびイタコン酸があげられる。この群のコモノマーの中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはこれらのカルボン酸の混合物の使用が好ましい。これらのモノエチレン系不飽和カルボン酸は、遊離酸の形態で、あるいはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム塩の形態で共重合に用いられる。しかし、これらはまた、それぞれの酸と、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ジエチレントリアミンまたはテトラエチレンペンタミンとの塩として使用することもできる。
【0057】
好適なさらなるコモノマーは、例えば、上記のカルボン酸のエステル、アミドおよびニトリル類であり、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソブチルアクリレート、ヒドロキシイソブチルメタクリレート、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、これらは、重合単位の形態で櫛状の分子構造を有する水溶性ポリマーに導入後、加水分解して対応する遊離カルボン酸を得ることができる。
【0058】
もちろん、前記コモノマーの混合物を使用することもできる。モノマーは、コポリマー中にランダムに分布していてもよいし、いわゆるブロックポリマーとして存在していてもよい。
【0059】
前記コモノマーが単独重合の際に水溶性ポリマーを生じない場合、マクロモノマーを含み櫛状の分子構造を有する水溶性ポリマーは、それらが依然として水溶性となるような量だけ、重合単位の形態で導入されるこれらのコモノマーを含む。
【0060】
銅塩粒子は、好ましくは入手可能であり、特に、次の工程を含む方法により得ることができる:
a) 銅イオンを含む水溶液(溶液1)を製造し、また、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではない少なくとも1種のアニオンを含む水溶液(溶液2)を製造する工程であって、2つの溶液1および溶液2の少なくとも1つが少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む、前記の製造工程と、
b) 0〜100℃の範囲の温度において工程a)で製造した溶液1および2を混合する工程であって、銅塩粒子が水分散液の形成とともに形成される、前記の混合工程と、
c) 場合により、形成された水分散液を濃縮し、かつ/または副産物を除去する工程。
【0061】
場合により、この製造方法には次の工程d)が含まれていてもよい:
d) 工程c)で得られた表面改質ナノ粒子銅化合物を乾燥させる工程。
【0062】
工程a)に記載した溶液1の製造は、例えば、水または水性溶媒混合物中に水溶銅塩を溶解させることにより行うことができる。水性溶媒混合物はまた、水の他に、例えば、水混和性アルコール、ケトンまたはエステル類、例としてはメタノール、エタノール、アセトンまたは酢酸エチルなどを含んでいてもよい。こうした溶媒混合物の水分含量は、通常、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%である。水溶性銅塩としては、例えば、銅(II)のハロゲン化物、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩があげられる。好ましい銅塩としては、塩化銅、酢酸銅、硫酸銅および硝酸銅がある。これらの塩は、水中に溶解すると、二価の正電荷を有する銅イオンを形成し、6個の水分子が結合される[Cu(H2O)62+]。溶液1中の銅イオンの濃度は、一般に、0.05〜2mol/Lの範囲であり、好ましくは0.1〜1mol/Lの範囲である。銅イオンに加えて、溶液1はまた、さらなる金属イオン(Mk+)を含んでいてもよく、それから、銅イオンと一緒に、場合により工程b)で銅塩粒子が形成される。これらは、アルカリ土類金属または遷移金属のイオン、好ましくはマグネシウム、カルシウム、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛または銀のイオン、特に好ましくは亜鉛または銀のイオンであってもよい。これらのさらなる金属イオンは、銅イオンよりも少数で存在している。
【0063】
溶液2は、銅イオンとともに沈殿を形成し、かつヒドロキシドイオンではない少なくとも1種のアニオンを含んでいる。前記アニオンは、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、亜硫酸などの鉱酸のアニオン、またはシュウ酸、安息香酸、マレイン酸などの有機酸のアニオン、およびB4O72-などのポリホウ酸アニオンであってよい。また溶液2は、もちろん、さらにヒドロキシドイオンを含んでいてもよい。
【0064】
本発明のさらなる実施形態においては、銅イオンと沈殿を形成するこのアニオンは、工程b)中で進行する反応途中においてのみ、前駆化合物から形成され得る。この場合、アニオンは前駆化合物中ではマスクされた形態で存在しており、溶液1と溶液2の混合時に、かつ/または温度の変化によりそこから遊離される。この前駆化合物は、溶液1中、または溶液2中のいずれかに存在してもよいし、両溶液中に存在していてもよい。アルカリ性媒体中で炭酸イオンが遊離される、ジメチルカーボネートをこのような前駆化合物としてあげることができる。アルカリ性媒体中でシュウ酸アニオンを遊離することが可能なシュウ酸は、こうした前駆化合物のさらなる例としてあげることができる。好ましくは、溶液1は前駆化合物を含み、溶液2は銅イオンと結合して沈澱を形成するアニオンを遊離する試薬(好ましくは、無機塩基、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物)を含む。溶液1が前駆化合物を含む場合、溶液2は、銅イオンと結合して沈殿物を形成するアニオンを含んでいなくてもよい。製造工程a)の好適な代替実施形態は、以下のとおりである:a) 銅イオンを含み、また、ヒドロキシドではなく、銅イオンと結合して沈殿物を形成するアニオンの前駆化合物を含む水溶液(溶液1)と、銅イオンと結合して沈殿物を形成するアニオンを遊離するための試薬を含む水溶液(溶液2)とを製造する工程であって、この場合、2つの溶液1および溶液2の少なくとも1つが少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む、前記の製造工程。
【0065】
本方法の工程a)で製造された溶液1および/または溶液2中の水溶性ポリマーの濃度は、通常、0.1〜30g/L、好ましくは1〜25g/L、特に好ましくは5〜20g/Lの範囲である。
【0066】
さらなる好ましい形態では、一般に、銅イオン1モル当たり少なくとも10g、好ましくは少なくとも50g/mol、特に少なくとも80g/molの水溶性ポリマーが本方法の工程a)で用いられる。一般的に、銅イオン1mol当たり5000g以下、好ましくは1000g/mol以下、特に少なくとも700g/molの水溶性ポリマーが用いられる。
【0067】
本方法の工程b)の2つの溶液1および溶液2の混合は、0℃〜100℃の範囲の温度で、好ましくは10℃〜95℃の範囲、特に好ましくは15℃〜80℃の範囲で行われる。本方法の工程b)における2つの溶液の混合時間は、例えば、1秒〜6時間であり、好ましくは1分〜2時間の範囲である。一般に、バッチ式の方法で行う混合時間は、連続法に比べて長くなる。本方法の工程b)における混合は、例えば、銅塩(例えば、酢酸銅または硝酸銅)の水溶液を、ポリアクリレートとシュウ酸の混合物の水溶液と混合して行うことができる。あるいは、ポリアクリレートと銅塩(例えば、酢酸銅または硝酸銅)との混合物の水溶液を、シュウ酸水溶液と混合することもできる。さらに、ポリアクリレートと銅塩(例えば、酢酸銅または硝酸銅)の混合物の水溶液を、ポリアクリレートとシュウ酸の混合物の水溶液と混合することもできる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態においては、本方法の工程b)における混合は、ポリアクリレートとシュウ酸の混合物の水溶液をポリアクリレートと銅塩(例えば、酢酸銅または硝酸銅)の混合物の水溶液に投入することにより、あるいはシュウ酸水溶液をポリアクリレートと銅塩(例えば、酢酸銅または硝酸銅)の混合物の水溶液に投入することにより行われる。
【0069】
混合中または混合後に、水性懸濁液を形成する表面改質ナノ粒子状銅化合物が生じる。好ましくは、この混合を混合物の同時攪拌で行う。溶液1と溶液2とを完全に混合した後、攪拌を30分〜5時間の範囲の時間、0℃〜100℃の範囲の温度で継続することが好ましい。
【0070】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態においては、本方法の工程a)〜d)の少なくとも一工程が連続的に実施される。この連続操作方法では、本方法の工程b)を円管状反応器中で実施するのが好ましい。
【0071】
所望により、例えば、より高い固体含量を希望するならば、本方法の工程b)で形成される水分散液を、本方法の工程c)で濃縮することができる。この濃縮は、それ自体は既知の方法で、例えば、水の蒸発留去(大気圧下または減圧下)、濾過または遠心分離により行うことができる。さらに、本方法の工程c)で生じる副生成物を、工程b)で形成される水分散液から分離する必要があり得る。すなわち、副生成物が、この分散液のさらなる使用の障害となる場合である。適切な副生成物は、溶液1と溶液2との間の本発明による反応中に、水に溶解され、所望の表面改質ナノ粒子状銅化合物に加えて形成する、主として塩類、例えば、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムまたは塩化アンモニウムなどである。このような副生成物は、例えば、ナノ濾過、限外濾過、精密濾過またはクロスフロー濾過などの膜方法により、水分散液から実質的に除去される。
【0072】
本方法の工程d)においては、得られる濾過ケーキを、それ自体は公知の方法で、例えば、噴霧乾燥により、あるいは40〜100℃の温度で、乾燥オーブン中で乾燥されることができる(好ましくは、大気圧下の50〜80℃の温度で、一定重量まで)。
【0073】
本発明による方法においては、銅塩粒子は有効量で用いられる。「有効量」という表現は、保護しようとする作物または種子につく植物病原性微生物、特に真菌類および細菌類(とりわけ真菌類)を防除するのに十分であって、かつ、処理した作物または種子に対して著しい障害をもたらさない銅粒子の量を意味する。そのような量は、多くの要因、例えば、防除しようとす病原菌、それぞれのケースで処理する植物、気候条件などにより影響を受けるので、広範囲で変動する可能性がある。銅塩粒子の有効量は、通常、Cu2+イオンの量に基づく。好ましくは、有効量は、1〜1000g/ha、特に好ましくは10〜500g/ha、特に20〜300g/ha、とりわけ50〜200g/haの範囲である。植物繁殖材料(例えば種子)の処理においては、一般に、繁殖材料または種子100kg当たり0.1〜1000g、好ましくは1〜1000g/100kg、特に好ましくは1〜100g/100kg、特に5〜100g/100kgの量が用いられる。
【0074】
植物病原性微生物を防除するための本発明による方法は、好ましくは、病原菌から保護しようとする作物、植物繁殖材料、および/または、保護しようとする作物もしくは植物繁殖材料につく病原菌を、銅塩粒子の有効量で処理することにより行われる。特に好ましくは、病原菌の加害から保護しようとする作物および/または保護しようとする作物につく病原菌を銅塩粒子の有効量で処理する。その処理は、好ましくは、噴霧施用により行われる。
【0075】
本発明による方法、および本発明による銅塩粒子は、特に、有害菌類を防除するための殺菌剤として好適である。これらは、特に、ネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、卵菌綱(Peronosporomycetes)(異名:卵菌類(oomycetes))、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全菌類(Deuteromycetes)(異名:不全菌類(Fungi imperfecti))の分類に属する土壌伝染性菌類をはじめとする、広範囲の植物病原性菌類に対する顕著な効果により区別される。一部のものは浸透的に作用し、これらは、作物保護において、葉面殺菌剤、種子粉衣用殺菌剤および土壌殺菌剤として使用することができる。さらに、これらは、特に樹木または植物の根を侵襲する有害菌類の防除に好適である。これらは、菌類による、植物、植物繁殖材料(例えば種子)の感染前および感染後に施用することができる。好ましくは、これらは植物が感染する前に施用される(すなわち保護的)。植物繁殖材料は、播種と一緒に、または播種前に、あるいは、移植と一緒に、または移植前に予防的に処理することができる。
【0076】
本発明による方法、および本発明による銅塩粒子は、非常に広範囲の作物における細菌(例えば、プソイドモナ(Pseudomona)属の種、エルウィニア属の種、キサントモナス属の種、リゾビウム属の種、アグロバクテリウム属の種、リゾモナス(Rhizomonas)属の種、クラビバクター(Clavibacter)属の種、ストレプトマイセス属の種)を防除するのに適している。この細菌の防除は、好ましくは、果実および野菜の栽培で行われる。例としては、タバコ、ジャガイモ、トマトおよびマメ科植物につくプソイドモナ属の種、ならびに果実、野菜およびジャガイモにつくエルウィニア(Erwinia)属の種がある。
【0077】
作物または禾穀類の例、例えば、コムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギまたはイネ;ビート類、例えば、サトウダイコンまたは飼料ビート;梨状果、核果およびソフトフルーツ、例えば、リンゴ、西洋ナシ、プラム、モモ、アーモンド、チェリー、イチゴ、ラズベリー、スグリまたはグースベリー;マメ科植物、例えば、インゲンマメ、ヒラマメ、エンドウ、アルファルファまたはダイズ;油脂植物、例えば、アブラナ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオ豆、トウゴマ、油ヤシ、ピーナッツまたはダイズ;ウリ科の植物、例えば、カボチャ、キュウリまたはメロン;繊維植物、例えば、ワタ、アマ、麻またはジュート;柑橘果実、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツまたはマンダリン;野菜、例えば、ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、カボチャまたはピーマン;クスノキ科の植物、例えば、アボカド、ニッケイまたはショウノウ;エネルギーおよび原料植物、例えば、トウモロコシ、ダイズ、アブラナ、サトウキビまたは油ヤシ;トウモロコシ;タバコ;ナッツ;コーヒーの木;チャの木;バナナ;ブドウの木(生食用ブドウおよびワイン醸造用ブドウ);ホップ;草本、例えば芝生;天然ゴム植物;観賞用植物および山林植物、例えば、花、低木、落葉樹および針葉樹;ならびに植物繁殖材料、例えば種子につくもの、およびこれらの植物の作物につくもの。さらなる作物は農作物、例えば、ジャガイモ、サトウダイコン、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、アブラナ、マメ科植物、ヒマワリ、コーヒーの木またはサトウキビ;果実類、ブドウの木および観賞用植物、ならびに野菜、例えば、キュウリ、トマト、マメおよびカボチャ、さらに植物繁殖材料、例えば種子、およびこれらの植物の作物である。
【0078】
「植物繁殖材料(plant reproduction material)」という用語は、植物の繁殖力のあるすべての部分、例えば、種子や成長力のある植物部分(幼苗および塊茎(ジャガイモなど))であって、植物の繁殖に使用することができるものを意味するものと理解されたい。これらには、種子、根、果実、塊茎、球根、根茎、挿し芽、苗および植物の他の部分が含まれ、またこれには、発芽後あるいは出芽後に移植される幼苗および若木も含まれる。これらの若木は、液浸または散水を行う部分または全体処理によって、有害菌類から保護することができる。植物繁殖材料の処理は、禾穀類(例えば、コムギ、ライムギ、オオムギおよびオートムギ);イネ、トウモロコシ、ワタおよびダイズにおける数多くの病原菌類を防除するために用いられる。
【0079】
「栽培植物(作物)」という用語は、市場に出ている農作物または開発中の農作物を含む、育種、突然変異体誘発または遺伝子操作によって改変されている植物を包含する。遺伝子組換え植物は、自然環境下での交雑育種、突然変異体誘発または自然的組換えによって取得することが出来ない、遺伝物質を組換えDNA技術の使用により改変した植物である(すなわち、遺伝子情報の再構築)。一般には、植物の特定の特性を改善するため、1種または複数の遺伝子が植物の遺伝物質へ組み込まれる。こうした遺伝子改変には、タンパク質、オリゴペプチドまたはポリペプチドの標的化した翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、あるいは、具体的には、プレニル化、アセチル化もしくはファルネシル化成分またはPEG成分などのポリマー付加による修飾も含まれる。
【0080】
本発明による方法および本発明による銅塩粒子は、特に、以下の植物病害を防除するのに適している:観賞用植物、野菜(例えば、アルブゴ・カンジダ(A. candida))およびヒマワリ(例えば、アルブゴ・トラゴポゴニス(A. tragopogonis))につくアルブゴ属の種(Albugo spp.)(白さび病);野菜、アブラナ(アルテルナリア・ブラシコラ(A. brassicola)もしくはブラシカ(A. brassicae))、サトウダイコン(アルテルナリア・テヌイス(A. tenuis))、果実類、イネ、ダイズおよびジャガイモ(例えば、アルテルナリア・ソラニ(A. solani)もしくはアルテルナリア・アルテルナタ(A. alternata))、およびトマト(例えば、アルテルナリア・ソラニ(A. solani)もしくはアルテルナリア・アルテルナタ(A. alternata))につくアルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(斑点病)、およびコムギにつくアルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(斑点病);サトウダイコンおよび野菜につくアファノミセス属の種(Aphanomyces spp.);禾穀類および野菜につくアスコシタ属の種(Ascochyta spp.)、例えば、コムギにつくアスコシタ・トリチシ(A. tritici)(炭疽病)およびオオムギにつくアスコシタ・ホルデイ(A. hordei);ビポラリス(Bipolaris)およびドレクスレラ属の種(Drechslera spp.)(テレオモルフ:コクリオボルス属の種(Cochliobolus spp.))、例えば、トウモロコシにつく斑点病(ドレクスレラ・マイジス(D. maydis))および(ビポラリス・ゼイコーラ(B. zeicola)、例えば、禾穀類につくビポラリス・ソロキニアナ(B. sorokiniana)の斑点病、例えば、イネおよび芝生につくビポラリス・オリザエ(B. oryzae);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)につくブルメリア(Blumeria)(以前はエリシフェ(Erysiphe))・グラミニス(graminis)(ウドンコ病);ブドウの木につくボトリオスファエリア属の種(Botryosphaeria spp.)(ブドウ蔓割病(black dead arm disease))(例えば、B. obtusa);ソフトフルーツおよびナシ科フルーツ(例えば、イチゴ)、野菜(例えば、レタス、ニンジン、セロリおよびキャベツ)、アブラナ、花、ブドウの木、森林植物およびコムギにつくボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ:ボトリオティニア・フケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色カビ病);レタスにつくブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)(べと病);広葉樹および常緑樹につくセラトシスティス(Ceratocystis)(オフィオストマ(Ophiostoma))と同義)属の種(腐敗病もしくは立ち枯れ病)、例えば、ニレにつくセラトシスティス・ウルミ(C. ulmi)(オランダニレ病);トウモロコシ(例えば、セルコスポラ・ゼアエマイジス(C. zeaemaydis))、イネ、サトウダイコン(例えば、セルコスポラ・ベチコラ(C. beticola))、サトウキビ、野菜、コーヒーの木、ダイズ(例えば、セルコスポラ・ソジナ(C. sojina)もしくはセルコスポラ・キクチ(C. kikuchii))ならびにイネにつくセルコスポラ属の種(Cercospora spp.)(セルコスポラ斑点病);トマト(例えば、クラドスポリウム・フルバム(C. fulvum):トマト葉かび病、ビロード斑点病)につくクラドスポリウム属の種(Cladosporium spp)、および禾穀類、例えば、コムギにつくクラドスポリウム・ヘルバルム(C. herbarum)(黒カビ病(black head mold)、スス病);禾穀類につくクラビセプス・パープレア(Claviceps purpurea)(麦角病);トウモロコシ(コクリオボラス・カルボナム(C. carbonum))、禾穀類(例えば、コクリオボラス・サチブス(C. sativus)、アナモルフ:B. sorokiniana:葉枯病、斑点病)およびイネ(例えば、コクリオボラス・ミヤベアヌス(C. miyabeanus)、アナモルフ:H. oryzae)につくコクリオボラス(Cochliobolus)(アナモルフ:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)もしくはビポラリス(Bipolaris)の)属の種(葉枯病、斑点病);ワタ(例えば、コレトトリカム・ゴシピ(C. gossypii))、トウモロコシ(例えば、コレトトリカム・グラミニコラ(C. graminicola):炭素病倒伏(stalk rot)およびいもち病)、ソフトフルーツ、ジャガイモ(例えば、コレトトリカム・ココデス(C. coccodes):黒点病)、マメ(例えば、コレトトリカム・リンデムチアヌム(C. lindemuthianum))およびダイズ(例えば、コレトトリカム・トルンカツム(C. truncatum))につくコレトトリカム(Colletotrichum)(テレオモルフ:グロメレラ(Glomerella))属の種(炭疽病、葉腐病);イネにつくコルチシウム属の種(Corticium spp.)、例えば、コルチシウム・ササキ(C. sasakii)(紋枯病);ダイズおよび観賞用植物につくコリネスポラ・カシイコラ(Corynespora cassiicola)(斑点病);オリーブの木につくシクロコニウム属の種(Cycloconium spp.)、例えば、シクロコニウム・オレアギナム(C. oleaginum);果樹、ブドウの木(例えば、シリンドロカルポン・リリオデンドリ(C. liriodendri)、テレオモルフ:ネオネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri):黒足病)および観賞用植物につくシリンドロカルポン属の種(Cylindrocarpon spp.)(例えば、果樹の枯れ病もしくは若いブドウの木の植物病害、テレオモルフ:ネクトリア(Nectria)もしくはネオネクトリア属の種(Neonectria spp.));ダイズにつくるデマトフォラ(Dematophora)(テレオモルフ:ロセリニア(Rosellinia))・ネカトリックス(necatrix)(根および軸枯れ病);ダイズにつくディアポルテ属の種(Diaporthe spp.)、例えば、ディアポルテ・ファセオロラム(D. phaseolorum)(立ち枯れ病);トウモロコシ、オオムギ(例えば、ドレクスレラ・テレス(D. teres)、網斑病)およびコムギ(例えば、ドレクスレラ・トリチシレペンチス(D. triticirepentis):黄褐色斑)などの禾穀類、イネならびに芝につくドレクスレラ属の種(Drechslera (Helminthosporiumと同義、テレオモルフ:Pyrenophora) spp.);フォルミチポリア(Formitiporia)(フェリヌス(Phellinus)と同義)・プンクタタ(punctata)、フォルミチポリア・メジテラネア(F. mediterranea)、ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)(以前はファエオアクレモニウム・クラミドスポラム(Phaeoacremonium chlamydosporum)、ファエオアクレモニウム・アレフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)および/またはボトリオスフェリア・オブツサ(Botryosphaeria obtusa)により発病する、ブドウの木につくエスカ(Esca)病(ブドウ枝枯れ病、胴枯れ病(apoplexy));ナシ果実(エルシノエ・ピリ(E. pyri))およびソフトフルーツ(エルシノエ・ベネタ(E. veneta):炭疽病、茎斑点病)およびブドウの木(エルシノエ・アンペリナ(E. ampelina):炭疽病、ブドウ黒豆病)につくエルシノエ属の種(Elsinoe spp.);イネにつくエンチロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)(黒穂病);コムギにつくエピコッカム属の種(Epicoccum spp.)(黒カビ病、スス病);サトウダイコン(エリシフェ・ベタエ(E. betae))、ウリ(例えば、エリシフェ・シクロラセアラム(E. cichoracearum))、キャベツ、例えばアブラナ(例えば、エリシフェ・クルシフェラルム(E. cruciferarum)などの野菜(例えば、エリシフェ・ピシ(E. pisi))につくエリシフェ属の種(Erysiphe spp.)(ウドンコ病);果樹、ブドウの木および観賞用植物につくエウチパ・ラタ(Eutypa lata)(ユータイパ病(eutypa canker)またはダイバック病、アナモルフ:シトスポリナ・ラタ(Cytosporina lata)、リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis)と同義);トウモロコシ(例えば、エクセロヒルム・ツルシカム(E. turcicum))につくエクセロヒルム属の種(Exserohilum spp.)(ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)と同義);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)につくフサリウム・グラミネアルム(F. graminearum)もしくはフサリウム・カルモラム(F. culmorum)(根腐れ病、黒星病もしくは赤カビ病)、トマトにつくフサリウム・オキシスポラム(F. oxysporum)、ダイズにつくフサリウム・ソラニ(F. solani)およびトウモロコシにつくフサリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides)などの様々な植物につくフサリウム属の種(Fusarium spp.)(テレオモルフ:ギベレラ(Gibberella))(立ち枯れ病、根腐れ病もしくは軸腐れ病);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)およびトウモロコシにつくガエマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)(立ち枯れ病);禾穀類(例えば、ギベレラ・ゼアエ(G. zeae))およびイネ(例えば、ギベレラ・フジクロイ(G. fujikuroi:ばか苗病)につくギベレラ属の種(Gibberella spp.);ブドウの木、ナシ果実および他の植物につくグロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)、ならびにワタにつくグロメレラ・ゴシピ(G. gossypii);イネにつく穀物汚染複合体(grain staining complex);ブドウの木につくグイグナルディア・ビドウェリ(Guignardia bidwellii)(黒斑病);バラ科植物およびネズ(juniper)につくギムノスポランギウム属の種(Gymnosporangium spp.)、例えば、ナシにつくギムノスポランギウム・サビナエ(G. sabinae)(さび病);トウモロコシ、禾穀類およびイネにつくヘルミントスポリウム属の種(Helminthosporium spp.)(ドレクスレラ(Drechslera)と同義、テレオモルフ:コクリオボラス(Cochliobolus));ヘミレイア属の種(Hemileia spp.)、例えば、コーヒーにつくヘミレイア・バスタトリックス(H. vastatrix)(コーヒー葉さび病);ブドウの木につくイサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora)(クラドスポリウム・ビチス(Cladosporium vitis)と同義);ダイズおよびワタにつくマクロフォミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)(ファセオリ(phaseoli)と同義)(根腐れ病および軸腐れ病);禾穀類(例えば、コムギもしくはオオムギ)につくミクロドチウム(Microdochium)(フサリウム(Fusarium)と同義)・ニバレ(nivale)(紅色雪腐病);ダイズにつくミクロスフェラ・ジフサ(Microsphaera diffusa)(ウドンコ病);核果類および他のバラ科植物につくモニリニア属の種(Monilinia spp.)、例えば、モニリニア・ラクサ(M. laxa)、モニリニア・フルチコラ(M. fructicola)およびモニリニア・フルクチゲナ(M. fructigena)(花枯れ病);禾穀類、バナナ、ソフトフルーツおよびピーナツにつくミコスフェレラ属の種(Mycosphaerella spp.)、例えば、コムギにつくミコスフェレラ・グラミニコラ(M. graminicola)(アナモルフ:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici、セプトリアいもち病)、もしくはバナナにつくミコスフェレラ・フジエンシス(M. fijiensis)(ブラックシガトカ病、黒色斑点病);キャベツ(例えば、ペロノスポラ・ブラシカ(P. brassicae))、アブラナ(例えば、ペロノスポラ・パラシチカ(P. parasitica))、タマネギ(例えば、ペロノスポラ・デストルクトル(P. destructor))、タバコ(ペロノスポラ・タバシナ(P. tabacina))およびダイズ(例えば、ペロノスポラ・マンシュリカ(P. manshurica))につくペロノスポラ属の種(Peronospora spp.)(べと病);ダイズにつくファコスポラ・パクリジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコスポラ・メイボミアエ(P. meibomiae)(ダイズさび病);ブドウの木(例えば、フィアロフォラ・トラケイフィラ(P. tracheiphila)およびフィアロフォラ・テトラスポラ(P. tetraspora))、ならびにダイズ(例えば、フィアロフォラ・グレガタ(P. gregata):軸腐れ病)につくフィアロフォラ属の種(Phialophora spp.);アブラナおよびキャベツにつくフォマ・リンガム(Phoma lingam)(根腐れ病および軸腐れ病)、ならびにサトウダイコンにつくフォマ・ベタエ(P. betae)(斑点病);ヒマワリ、ブドウの木(例えば、フォモプシス・ビチコラ(P. viticola):蔓割病(can and leaf spot))およびダイズ(例えば、軸腐れ病ならびに鞘および茎の胴枯れ病:フォモプシス・ファセオリ(P. phaseoli)、テレオモルフ:ディアスポルテ・ファセオロラム(Diaporthe phaseolorum))につくフォモプシス属の種(Phomopsis spp.);トウモロコシにつくフィソデルマ・マイディス(Physoderma maydis)(褐斑病);ピーマンおよびウリ科植物(例えば、フィトフトラ・カプシチ(P. capsici))、ダイズ(例えば、フィトフトラ・メガスペルマ(P. megasperma)、フィトフトラ・ソジャエ(P. sojae)と同義)、ジャガイモおよびトマト(例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(P. infestans):葉枯れ病)、ならびに広葉樹木(例えば、フィトフトラ・ラモラム(P. ramorum):
オーク突然死病)などの様々な植物につくフィトフトラ属の種(Phytophthora spp.)(立ち枯れ病、根腐れ病、葉枯れ病、軸腐れ病および果実腐敗病);キャベツ、アブラナ、ダイコンおよび他の植物につくプラスモジオフォラ・ブラシカ(Plasmodiophora brassicae)(根こぶ病);プラスモパラ属の種(Plasmopara spp.)、例えば、ブドウの木につくプラスモパラ・ビチコラ(P. viticola)(ブドウの木のべと病、ベト病)およびヒマワリにつくプラスモパラ・ハルステジ(P. halstedii);バラ科植物、ホップ、仁果類およびソフトフルーツにつくポドスフェラ属の種(Podosphaera spp.)(ウドンコ病)、例えば、リンゴにつくポドスフェラ・ロイコトリカ(P. leucotricha);例えば、オオムギおよびコムギなどの禾穀類(ポリミキサ・グラミニス(P. graminis))ならびにサトウダイコン(ポリミキサ・ベタエ(P. betae))につくポリミキサ属の種(Polymyxa spp.)、ならびにそれによって伝播されるウイルス病;禾穀類、例えば、コムギおよびオオムギにつくシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)(眼紋病、茎枯病、テレオモルフ:タペシア・ヤルンダエ(Tapesia yallundae));例えば、ウリ科植物につくシュードペロノスポラ・クベンシス(P. cubensis)もしくはホップにつくシュードペロノスポラ・フミリ(P. humili)などの様々な植物につくシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)(べと病);ブドウの木につくシュードペジクラ・トラケイフィラ(Pseudopezicula tracheiphila)(レッドファイア病、アナモルフ: フィアロフォラ(Phialophora));例えば、コムギ、オオムギもしくはライムギなどの禾穀類、ならびにアスパラガス(例えば、プッキニア・アスパラギ(P. asparagi))につくプッキニア・トリチシナ(P. triticina)(茶さび病)、プッキニア・ストリフォルミス(P. striiformis)(縞さび病)、プッキニア・ホルデイ(P. hordei)(ドワーフさび病)、プッキニア・グラミニス(P. graminis) (軸さび病、黒さび病)、またはプッキニア・レコンジタ(P. recondita)(茶さび病)などの、様々な植物につくプッキニア属の種(Puccinia spp.)(さび病);コムギにつくピレノフォラ(Pyrenophora)(アナモルフ:ドレクスレラ(Drechslera))・トリチシレペンチス(triticirepentis)(褐斑病)、もしくはオオムギにつくピレノフォラ・テレス(P. teres)(網斑病);ピリクラリア属の種(Pyricularia spp.)、例えば、イネにつくピリクラリア・オリザエ(P. oryzae)(テレオモルフ:マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、イモチ病)、ならびに芝および禾穀類につくピリクラリア・グリセア(P. grisea);芝、イネ、トウモロコシ、コムギ、ワタ、アブラナ、ヒマワリ、ダイズ、サトウダイコン、野菜および他の様々な植物につくピチウム属の種(Pythium spp.)(立ち枯れ病)(例えば、ピチウム・ウルチマム(P. ultimum)もしくはピチウム・アファニデルマタム(P. aphanidermatum));ラムラリア属の種(Ramularia spp.)、例えば、オオムギにつくラムラリア・コロシグニ(R. collocygni)(ラムラリア斑点病/生理的斑点病)、およびサトウダイコンにつくラムラリア・ベチコラ(R. beticola);ワタ、イネ、ジャガイモ、芝、トウモロコシ、アブラナ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜および他の様々な植物につくリゾクトニア属の種(Rhizoctonia spp.)、例えば、ダイズにつくリゾクトニア・ソラニ(R. solani)(根腐れ病/軸腐れ病)、イネにつくリゾクトニア・ソラニ(R. solani)(紋枯病)、またはコムギもしくはオオムギにつくリゾクトニア・セレアリス(R. cerealis)(眼紋病);イチゴ、ニンジン、キャベツ、ブドウの木およびトマトにつくリゾプス・ストロニフェル(Rhizopus stolonifer)(軟腐病);オオムギ、ライムギおよびライコムギにつくリンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis) (雲形病);イネにつくサロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)およびサロクラジウム・アッテヌアタム(S. attenuatum)(鞘腐れ病);野菜および畑作物、例えば、アブラナ、ヒマワリ(例えば、スクレロチニア・スクレロチオラム(S. sclerotiorum))およびダイズ(例えば、スクレロチニア・ロルフシ(S. rolfsii))につくスクレロチニア属の種(Sclerotinia spp.)(軸腐れ病もしくは白かび病);様々な植物につくセプトリア属の種(Septoria spp.)、例えば、ダイズにつくセプトリア・グリシネス(S. glycines)(褐斑病)、コムギにつくセプトリア・トリチシ(S. tritici)(セプトリア斑点病)および禾穀類につくセプトリア(S. (スタゴノスポラ(Stagonospora)と同義)・ノドラム(nodorum)(スタゴノスポラ斑点病);ブドウの木につくウンシヌラ(Uncinula)(エリシフェ(Erysiphe)と同義)・ネカトル(necator)(ウドンコ病、アナモルフ:オイジウム・ツケリ(Oidium tuckeri));トウモロコシ(例えば、セトスパリア・ツルシカム(S. turcicum)、ヘルミントスポリウム・ツルシカム(Helminthosporium turcicum)と同義)および芝につくセトスパリア属の種(Setospaeria spp.)(黒葉枯れ病);トウモロコシ(例えば、スファセロテカ・レイリアナ(S. reiliana):黒穂病)、モロコシおよびサトウキビにつくスファセロテカ属の種(Sphacelotheca spp.)(黒穂病);ウリ科植物につくスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(ウドンコ病);ジャガイモにつくスポンゴスポラ・スブテラネア(Spongospora subterranea)(ウドンコ病)、およびそれにより伝播されるウイルス病;禾穀類につくスタゴノスポラ属の種(Stagonospora spp.)、例えば、コムギにつくスタゴノスポラ・ノドラム(S. nodorum)(斑点病、テレオモルフ: レプトスフェリア(Leptosphaeria) [フェオスフェリア(Phaeosphaeria)と同義]・ノドラム(nodorum));ジャガイモにつくシンチトリウム・エンドビオチカム(Synchytrium endobioticum)(ジャガイモ瘤病);タフリナ属の種(Taphrina spp.)、例えば、モモにつくタフリナ・デフォルマンス(T. deformans)(縮葉病)およびプラムにつくタフリナ・プルニ(T. pruni)(プラムふくらみ病);タバコ、仁果類、野菜、ダイズおよびワタにつくチエラビオプシス属の種(Thielaviopsis spp.)(黒根腐れ病)、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(T. basicola)(チャララ・エレガンス(Chalara elegans)と同義);禾穀類につくチレチア属の種(Tilletia spp.)(なまぐさ黒穂病もしくは黒穂病)、例えば、コムギにつくチレチア・トリチシ(T. tritici)(チレチア・カリエス(T. caries)と同義、コムギ黒穂病)およびチレチア・コントロベルサ(T. controversa)(萎縮黒穂病);オオムギもしくはコムギにつくチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)(灰雪かび病);ウロシスチス属の種(Urocystis spp.)、例えば、ライムギにつくウロシスチス・オクルタ(U. occulta)(軸黒穂病);マメ(例えば、ウロミセス・アペンジクラタス(U. appendiculatus)、ウロミセス・ファセオリ(U. phaseoli)と同義)およびサトウダイコン(例えば、ウロミセス・ベタエ(U. betae))などの野菜につくウロミセス属の種(Uromyces spp.)(さび病);禾穀類(例えば、ウスチラゴ・ヌダ(U. nuda)およびウスチラゴ・アベナエ(U. avaenae))、トウモロコシ(例えば、ウスチラゴ・マイジス(U. maydis):トウモロコシ黒穂病)およびサトウキビにつくウスチラゴ属の種(Ustilago spp.)(裸黒穂病);リンゴ(例えば、ベンツリア・イネクアリス(V. inaequalis))およびナシにつくベンツリア属の種(Venturia spp.)(黒星病);ならびに、果実および観賞用植物、ブドウの木、ソフトフルーツ、野菜および畑作物などの様々な植物につくベルチシリウム属の種(Verticillium spp.)(立ち枯れ病)、例えば、イチゴ、アブラナ、ジャガイモおよびトマトにつくベルチシリウム・ダリアエ(V. dahliae)。本発明による方法および本発明による銅塩粒子は、特に、植物病害、例えば、ツユカビ科(Peronosporaceae)、特に卵菌綱(Oomycentes)(べと病、例えば、プラスモパラ・ビチコーラ(Plasmopara viticola)、シュードペロノスポラ・キュベンシス (Pseudoperonospora cubensis))およびフィトフトラ(Phytophthora)の防除に好適である。
【0081】
さらなる好ましい実施形態では、本発明による方法および本発明による銅塩粒子は、特に野菜、果実(特に果樹)、タバコ、およびこれらの植物の種子につく細菌の病気を防除するのに好適である。これらは、特に、以下の植物病害を防除するのに好適である:タバコ、ジャガイモ、トマトおよびマメ科植物につくプソイドモナ属の種(Pseudomona)、特に、果実、野菜およびジャガイモにつくエルウィニア属の種(Erwinia)。
【0082】
本銅塩粒子は、慣用の農業化学(agrochemical)組成物のタイプ、例えば、液剤、エマルション剤、懸濁剤、散剤、粉剤、ペースト剤および粒剤で使用することができる。好ましくは、銅塩粒子は、本方法において懸濁液の形態で用いられる。さらなる好ましい実施形態では、銅塩粒子は、本方法において粒剤の形態で用いられる。特に好ましくは、これらは、本発明による懸濁液の形態で用いられる。
【0083】
組成物の種類はその特定の目的によって決まるが、いずれの場合も、本発明による化合物の細かく均一な分散が確実になされなければならない。組成物のタイプの例には、懸濁液(SC、OD、FS)、乳化性濃縮物(EC)、エマルション(EW、EO、ES)、ペースト剤、錠剤、水和剤もしくは散粉(WP、SP、SS、WS、DP、DS)または粒剤(GR、FG、GG、MG)(これらは水溶性または湿潤性のものが可能である)、ならびに、植物繁殖材料(例えば種子)処理用のゲル剤(GF)がある。通常、組成物のタイプ(例えば、EC、SC、OD、FS、WG、SG、WP、SP、SS、WS、GF)は、希釈して使用する。DP、DS、GR、FG、GGおよびMGなどの組成物タイプは、通常、希釈せずに使用する。
【0084】
農業化学組成物は、作物保護剤において通常用いられている補助剤を含んでいてもよい。補助剤の選択は、特定の用途形態および活性物質によって決まる。適切な補助剤の例は、溶媒、固体担体、界面活性剤(例えば、さらには可溶化剤、保護コロイド剤、湿潤剤および付着剤)、有機増粘剤および無機増粘剤、殺細菌剤、不凍剤、消泡剤であり、適切な場合には、着色剤および結合剤(例えば、種子処理剤の場合)である。
【0085】
好適な溶媒は、水、有機溶媒、例えば、中〜高沸点を有する鉱油留分(例えば、ケロセンまたはディーゼル油)、さらにはコールタール油、および植物または動物起源の油、脂肪族、環式および芳香族炭化水素(例えば、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンおよびその誘導体、アルキル化ベンゼンおよびその誘導体)、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびシクロヘキサノール、グリコール類、ケトン類、例えば、シクロヘキサノンおよびγ-ブチロラクトン、脂肪酸ジメチルアミド類、脂肪酸類および脂肪酸エステル類、ならびに強極性溶媒、例えばアミン類(N-メチルピロリドンなど)である。基本的に、溶媒混合物、ならびに上記の溶媒および水の混合物も使用することができる。
【0086】
固体担体は、鉱物質土類(mineral earths)、例えば、シリカ、シルカゲル、シリケート、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、クレイ、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕プラスチック、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素など、植物起源の製品、例えば、穀粉、樹皮粉、木粉および堅果殻粉など、セルロース粉末、ならびに他の固体担体である。
【0087】
好適な界面活性剤(アジュバント、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤または乳化剤)は、芳香族スルホン酸、例えば、リグノスルホン酸(Borresperse(登録商標)タイプ、Borregard, Norway)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)タイプ、Akzo Nobel, U.S.A.)、ジブチルナフタレンスルホン酸(Nekal(登録商標)タイプ、BASF, Germany)、および脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびアンモニウム塩、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェート、脂肪アルコールスルフェート、および硫酸化ヘキサ-、ヘプタ-およびオクタデカノレートの塩、脂肪アルコールグリコールの塩、硫酸化ナフタレンもしくはその誘導体およびホルムアルデヒドとの縮合物、ナフタレンもしくはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチル、オクチルフェノールもしくはノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテルおよびトリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール−エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液、およびタンパク質、変性タンパク質、多糖類(例えばメチルセルロース)、疎水化加工デンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)タイプ、Clariant, Switzerland)、ポリカルボキシレート(Sokalan(登録商標)タイプ、BASF, Germany)、ポリアルコキシレート、ポリビニルアミン(Lupamin(登録商標)タイプ、BASF, Germany)、ポリビニルピロリドン、ならびにこれらのコポリマーである。
【0088】
増粘剤(すなわち、組成物の流動性を改良する化合物、すなわち、静止状態では高粘度で、使用状態では低粘度を付与する化合物)の例は、多糖類、ならびに有機および無機層状鉱物で、例えば、キサンタンガム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco, U.S.A.)、Rhodopol(登録商標)23 (Rhodia, France)、Veegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt, U.S.A.)、またはAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp., NJ, USA)である。殺細菌剤は、組成物の安定化のために加えることができる。好適な殺細菌剤の例は、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマール系の殺細菌剤(ICI社製のProxel(登録商標)またはThor Chemie社製のActicide(登録商標)およびRohm & Haas社製のKathon(登録商標) MK)、さらにイソチアゾリノン誘導体、例えばアルキルイソチアゾリノンおよびベンゾイソチアゾリノン(Thor Chemie社製のActicide(登録商標) MBS)である。好適な不凍剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素およびグリセリンである。消泡剤の例は、シリコーン乳剤(例えば、Silikon(登録商標) SRE、Wacker, Germany、またはRhodorsil(登録商標)、Rhodia, France)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物、およびこれらの混合物である。粘着付与剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコールおよびセルロースエーテル(Tylose(登録商標)、Shin-Etsu, Japan)である。
【0089】
一般に、農業化学組成物は、0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%の銅塩粒子を含む。本組成物は、好ましくは、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度のものを使用する。
【0090】
通常、植物繁殖材料(特に種子)を処理する目的では、液剤(LS)、懸濁剤(フロアブル剤)(FS)、散粉剤(DS)、粉末水和剤および粉末水溶剤(WS、SS)、エマルション剤(ES)、乳剤(EC)およびゲル剤(GF)が用いられる。これらの組成物は、繁殖材料(特に種子)に希釈しないで施用することができるか、好ましくは、希釈形態で施用する。その場合、当該組成物は、2〜10倍に希釈し、それによって、粉衣用で使用する組成物中の活性物質濃度を0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%とする。施用は播種前または播種中に行なうことができる。植物繁殖材料(特に種子)の処理方法は当技術分野で公知であり、植物繁殖材料の粉衣法(dressing method)、コーティング法(coating method)、ペレッティング法(pelleting method)、浸水法(immersion method)および含浸法(impregnation method)などが挙げられる。好ましい処理は、例えば、種子の未熟発芽が誘発されないような方法で、ペレッティング法、コーティング法および散粉法により施用するか、畝処理により施用する。
【0091】
直ぐに使用可能な調製品中の銅塩粒子の濃度は、比較的広い範囲で変動し得る。一般に、この濃度は、0.0001〜10%、好ましくは0.01〜1%である。本活性物質はまた、超微量散布法(ULV (ultra-low volume process))においても良好に使用することができ、95重量%超の活性物質を含む組成物を、あるいは添加剤を含まない活性物質そのものを施用することができる。
【0092】
本活性物質またはそれを含む組成物には、適切な場合には使用の直前に、各種の油、湿潤剤、アジュバント、除草剤、殺細菌剤、他の殺菌剤および/または農薬などを添加することもできる(タンク混合)。これらの薬剤は、本発明による組成物に、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。本発明において特に適切なアジュバントは、有機修飾ポリシロキサン類、例えばBreak Thru S 240(登録商標);アルコールアルコキシレート類、例えばAtplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標)およびLutensol ON 30(登録商標);EO-POブロックポリマー類、例えばPluronic(登録商標) RPE 2035(登録商標)およびGenapol(登録商標) B;アルコールエトキシレート類、例えばLutensol(登録商標) XP 80;ならびにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、例えばLeophen(登録商標) RAである。
【0093】
本発明による方法および本発明による懸濁液では、銅塩粒子の他に、さらなる農業化学活性物質を使用することができる。活性物質に関する下記リストは、可能性のある組み合わせを例示することを目的としたものであって、これらに限定されるものではない:
A) ストロビルリン系
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピリベンカルブ、トリフロキシストロビン、メチル2-(オルト-((2,5-ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)-3-メトキシアクリレート、2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチルアセトアミド;
B) カルボキサミド系
・ カルボキサニリド類:ベナラキシル、ベナラキシル-M、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、イソピラザム、イソチアニル、キララキシル、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル-M(メフェノキサム)、オフラース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン (N-(2-(1,3-ジメチルブチル)フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド)、ペンチオピラド、セダキサン、テクロフタラム、チフルザミド、チアジニル、2-アミノ-4-メチル-チアゾール-5-カルボキサニリド、N-(3',4',5'-トリフルオロビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3,3-トリメチルブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
・ カルボン酸モルホリド類:ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ;
・ 安息香酸アミド類:フルメトバール、フルオピコリド、フルオピラム、ゾキサミド;
・ 他のカルボキサミド類:カルプロパミド、ジシクロメット、マンジプロパミド、オキシテトラサイクリン、シルチオファルム、N-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボキサミド;
C) アゾール系
・ トリアゾール類:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール;
・ イミダゾール類:シアゾファミド、イマザリル、イマザイルサルフェート、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
・ ベンゾイミダゾール類:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;
・ その他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール、2-(4-クロロフェニル)-N-[4-(3,4-ジメトキシ-フェニル)イソオキサゾール-5-イル]-2-プロパ-2-イニルオキシアセトアミド;
D) 窒素含有ヘテロシクリル化合物
・ ピリジン類:フルアジナム、ピリフェノックス、3-[5-(4-クロロ-フェニル)-2,3-ジメチルイソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、3-[5-(4-メチルフェニル)-2,3-ジメチルイソオキサゾリジン-3-イル]ピリジン;
・ ピリミジン類:ブピリメート、シプロジニル、ジフルメトリム、フェナリモール、フェリムゾン、メパニピリム、ニトラピリン、ヌアリモル、ピリメタニル;
・ ピペラジン類:トリフォリン;
・ ピロール類:フルジオキソニル、フェンピクロニル;
・ モルホリン類:アルジモルフ、ドデモルフ、ドデモルフアセテート、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
・ ピペリジン類:フェンプロピジン;
・ ジカルボキシミド類:フルオロイミド、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
・ 非芳香族5員複素環:ファモキサドン、フェンアミドン、フルチアニル、オクチリノン、プロベナゾール、アリル5-アミノ-2-イソプロピル-3-オキソ-4-オルト-トリル-2,3-ジヒドロピラゾール-1-チオカルボキシレート;
・ その他:アシベンゾラル-S-メチル、アミスルブロム、アニラジン、ブラストサイジン-S、カプタホール、カプタン、キノメチオナート、ダゾメット、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコート-硫酸メチル、フェノキサニル、フォルペット、オキソリン酸、ピペラリン、プロキナジド、ピロキロン、キノキシフェン、トリアゾキシド、トリシクラゾール、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、5-クロロ-1-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)-2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール、5-クロロ-7-(4-メチル-ピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン、5-エチル-6-オクチル-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミン;
E) カーバメートおよびジチオカーバメート系
・ チオカーバメート類およびジチオカーバメート類:ファーバム、マンコゼブ、マネブ、メタム、メタスルホカルブ、メチラム、プロピネブ、チラム、ジネブ、ジラム;
・ カーバメート類:ジエトフェンカルブ、ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、バリフェナール、4-フルオロフェニルN-(1-(1-(4-シアノ-フェニル)エタンスルホニル)-ブタ-2-イル)-カーバメート;
F) 他の殺菌剤
・ グアニジン類:ドジン、ドジン遊離塩基、グアザチン、グアザチンアセテート、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、イミノクタジン-トリス(アルベシレート);
・ 抗生物質:カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩一水和物、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンA;
・ ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジクロラン、ジノブトン、ジノカップ、ニトロタール-イソプロピル、テクナゼン;
・ 有機金属化合物:フェンチン塩、例えば、フェンチンアセテート、フェンチンクロリドまたはフェンチンヒドロキシド;
・ 硫黄含有ヘテロシクリル化合物:ジチアノン、イソプロチオラン;
・ 有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロベンホス、亜リン酸およびその塩、ピラゾホス、トルクロホス-メチル;
・ 有機塩素化合物:クロロタロニル、ジクロフルアニド、ジクロロフェン、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、ペンタクロロフェノールおよびその塩、フタリド、キントゼン、チオファナート-メチル、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)-N-エチル-4-メチルベンゼンスルホンアミド;
・ 無機活性物質:リン酸およびその塩、ボルドー液、銅塩、例えば、酢酸銅、水酸化銅、オキシ塩化銅、塩基性硫酸銅、硫黄;
・ その他:ビフェニル、ブロノポール、シフルフェナミド、シモキサニル、ジフェニルアミン、メトラフェノン、ミルジオマイシン、オキシン銅、プロヘキサジオン-カルシウム、スピロキサミン、トリルフルアニド、N-(シクロプロピルメトキシイミノ(6-ジフルオロ-メトキシ-2,3-ジフルオロフェニル)メチル)-2-フェニル-アセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチルフェノキシ)-2,5-ジメチルフェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニルプロポキシ)フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-1-イル)-アセチル]ピペリジン-4-イル}チアゾール-4-カルボン酸 メチル-(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチルピラゾール-1-イル)アセチル]ピペリジン-4-イル}チアゾール-4-カルボン酸 メチル-(R)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル-アミド、6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルアセテート、6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルメトキシアセテート、N-メチル-2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-1-イル)アセチル]ピペリジン-4-イル}-N-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル]-4-チアゾールカルボキサミド;
G) 成長調節剤
アブシジン酸、アミドクロル、アンシミドール、6-ベンジルアミノプリン、ブラシノリド、ブトラリン、クロルメコート(クロルメコートクロリド)、塩化コリン、シクラニリド、ダミノジド、ジケグラク、ジメチピン、2,6-ジメチルプリジン、エテホン、フルメトラリン、フルルプリミドール、フルチアセト、フォルクロルフェヌロン、ジベレリン酸、イナベンフィド、インドール-3-酢酸、マレインヒドラジド、メフルイジド、メピコート(メピコートクロリド)、メトコナゾール、ナフタレン酢酸、N-6-ベンジルアデニン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン(プロヘキサジオン-カルシウム)、プロヒドロジャスモン、チジアズロン、トリアペンテノール、トリブチルホスホロチオエート、2,3,5-トリヨード安息香酸、トリネキサパック-エチル、およびウニコナゾール;
H) 除草剤
・ アセトアミド類:アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、フルフェナセト、メフェナセット、メトラクロール、メタザクロール、ナプロパミド、ナプロアニリド、ペトキサミド、プレチラクロール、プロパクロール、テニルクロール;
・ アミノ酸類似体:ビラナホス、グリホサート、グルホシネート、スルホサート;
・ アリールオキシフェノキシプロピオネート類:クロジナホップ、シハロホップ-ブチル、フェノキサプロップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ-P-テフリル;
・ ビピリジル類:ジコート、パラコート;
・ カーバメートおよびチオカーバメート類:アシュラム、ブチレート、カルベタミド、デスメジファム、ジメピペレート、エプタム(EPTC)、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカルブ、フェンメディファム、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、チオベンカルブ、トリアラート;
・ シクロヘキサンジオン類:ブトロキシジム、クレトジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム;
・ ジニトロアニリン類:ベンフルラリン、エタルフルラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、トリフルラリン;
・ ジフェニルエーテル類:アシフルオルフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、ジクロホップ、エトキシフェン、ホメサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン;
・ ヒドロキシベンゾニトリル類:ボモキシニル、ジクロベニル、イオキシニル;
・ イミダゾリノン類:イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル;
・ フェノキシ酢酸類:クロメプロップ、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4-DB、ジクロルプロップ、MCPA、MCPA-チオエチル、MCPB、メコプロップ;
・ ピラジン類:クロリダゾン、フルフェンピル-エチル、フルチアセト、ノルフルラゾン、ピリデート;
・ ピリジン類:アミノピラリド、クロピラリド、ジフルフェニカン、ジチオピル、フルリドン、フルロキシピル、ピクロラム、ピコリナフェン、チアゾピル;
・ スルホニル尿素類:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、1-((2-クロロ-6-プロピル-イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)スルホニル)-3-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)尿素;
・ トリアジン類:アメトリン、アトラジン、シアナジン、ジメタメトリン、エチオジン、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、プロメトリン、シマジン、テルブチルアジン、テルブトリン、トリアジフラム;
・ 尿素類:クロロトルロン、ダイムロン、ジウロン、フルオメツロン、イソプロツロン、リニュロン、メタベンズチアズロン、テブチウロン;
・ 他のアセト乳酸合成酵素阻害剤:ビスピリバック-ナトリウム、クロランスラム-メチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルカルバゾン、フルメツラム、メトスラム、オルトスルファムロン、ペノキスラム、プロポキシカルバゾン、ピリバムベンゾ-プロピル、ピリベンゾオキシム、ピリフタリド、ピリミノバック-メチル、ピリミスルファン、ピリチオバック、ピロキサスルホン、ピロキシスラム;
・ その他:アミカルバゾン、アミノトリアゾール、アニロホス、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンカルバゾン、ベンフルレセート(benfluresate)、ベンゾフェナップ、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ブロマシル、ブロモブチド、ブタフェナシル、ブタミホス、カフェンストロール、カルフェントラゾン、シニドン-エチル、クロルタール、シンメチリン、クロマゾン、クミルロン、シプロスルファミド、ジカンバ、ジフェンゾコート、ジフルフェンゾピル、ドレクスレラ・モノセラス、エンドタール、エトフメセート、エトベンザニド、フェントラザミド、フルミクロラック-ペンチル、フルミオキサジン、フルポキサム、フルロクロリドン、フルルタモン、インダノファン、イソキサベン、イソキサフルトール、レナシル、プロパニル、プロピズアミド、キンクロラック、キンメラック、メソトリオン、メチルアルソン酸、ナプタラム、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、ペントキサゾン、ピノキサデン、ピラクロニル、ピラフルフェン-エチル、ピラスルホトール、ピラゾキシフェン、ピラゾリネート、キノクラミン、サフルフェナシル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、ターバシル、テフリルトリオン、テンボトリオン、チエンカルバゾン、トプラメゾン、4-ヒドロキシ-3-[2-(2-メトキシエトキシメチル)-6-トリフルオロメチルピリジン-3-カルボニル]ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-エン-2-オン、エチル(3-[2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル)フェノキシ]ピリジン-2-イルオキシ)アセテート、メチル6-アミノ-5-クロロ-2-シクロプロピルピリミジン-4-カルボキシレート、6-クロロ-3-(2-シクロプロピル-6-メチルフェノキシ)ピリダジン-4-オール、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロフェニル)-5-フルオロ-ピリジン-2-カルボン酸、メチル4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシフェニル)ピリジン-2-カルボキシレート、およびメチル4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-3-ジメチルアミノ-2-フルオロフェニル)ピリジン-2-カルボキシレート;
I) 殺虫剤
・ 有機(チオ)ホスフェート類:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオクソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルフォン;
・ カーバメート類:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、トリアザメート;
・ ピレスロイド類:アレスリン、ビフェントリン、シフルスリン、シハロスリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロスリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンIおよびII、レスメトリン、シラフルオフェン、タウフルバリナート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン;
・ 昆虫成長調節剤:a) キチン合成阻害剤:ベンゾイル尿素:クロルフルアズロン、シラマジン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾックス、エトキサゾール、クロフェンタジン;b) エクジソンアンタゴニスト:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;c) ジュベノイド:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ; d) 脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
・ ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト:クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、1-(2-クロロチアゾール-5-イルメチル)-2-ニトロイミノ-3,5-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン;
・ GABAアンタゴニスト:エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェニル)-4-スルフィナモイル-1H-ピラゾール-3-チオカルボキサミド;
・ 大環状ラクトン:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド、スピネトラム;
・ ミトコンドリア電子伝達系阻害剤(METI)Iダニ駆除剤:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム;
・ METI IIおよびIII物質:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン;
・ 脱共役剤:クロルフェナピル;
・ 酸化的リン酸化阻害剤:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
・ 昆虫脱皮阻害剤:シロマジン;
・ 混合機能オキシダーゼ阻害剤:ピペロニルブトキシド;
・ ナトリウムチャンネル遮断薬:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
・ その他:ベンクロチアズ、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアザピル(HGW86);シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、イミシアホス、ビストリフルロン、およびピリフルキナゾン。
【0094】
さらなる農業化学活性物質としては、生物農薬が好ましい。一般に、生物農薬は、例えば、「The Manual of Biocontrol Agents」(以前は、「The Biopesticide Manual」), 4th edition 2009, Ed. Leonard Copping, British Crop Protection Councilから公知である。 好適な生物農薬は天然物質(例えば、微生物、藻類、高等植物、海生甲殼動物由来の物質/抽出物、またはミネラル)であって、植物病害および害虫を防除することができるもの(いわゆる生物化学的農薬)、および微生物(例えば、細菌、菌類、原虫類、ウイルス、バクテリオファージ、酵母など)であって、植物病害および害虫を防除することができるもの(いわゆる微生物農薬)である。好適な微生物は、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・チュリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、シュードモナス属の種(Pseudomonas spp.)、およびストレプトマイセス属の種(Streptomyces spp.)などの細菌である。こうした微生物は市販されており、例えば、Agraquest製のBraritone(登録商標)(B. thuringiensis subspecies kurstaki BMP 123)、Serenade(登録商標)(B. subtilis QST 713)、Ballad(登録商標)plus (B. pumilus QST 2808)である。さらに、真菌類、例えば、トリコデルマ属の種(Trichoderma spp.)、ブウベリア・バッシアナ(Beauveria bassiana)、コニオチリウム・ミニタンス(Coniothyrium minitans)(Contans(登録商標)として市販されているもの、Neudorff GmbH製)、ウロクラジウム・オウデマンシイ(Ulocladium oudemansii)(例えば、BOTRY-ZEN(登録商標)、BotriZen Ltd., New Zealand製)、またはミクロスファエロプシス・オクラセア(Microsphaeropsis ochracea)が好適である。適切な原生動物は、例えばノセマ・ロクスタエ(Nosema locustae)である。好適なウイルスは、例えばシジア・ポモネラ(Cydia pomonella)のバキュロウィルスまたは顆粒病ウイルス(granuloviruses)である。好適な酵母は、例えばクリプトコックス属(Cryptococcus)およびカンジダ属(Candida)の種である。使用可能なミネラルは、例えばカオリン、ケイ酸ナトリウムまたは珪藻土である。好適な生物化学的農薬は、例えば、ケノポジウム・アンブロシオイド(Chenopodium ambrosioide)の抽出物(Requiem(登録商標)、Agraquest製)、インドセンダン植物の抽出物、またはキトサンの抽出物(例えばARMOUR-ZEN(登録商標)、BotriZen Ltd., New Zealand製)である。好ましい生物農薬は微生物であり、特に細菌、とりわけバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)およびバチルス・チュリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)である。
【0095】
さらに本発明は、1〜200nmの粒径を有し、水溶性ポリマーを含む、銅塩粒子の水性懸濁液であって、銅塩が、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではないアニオンを含み、懸濁液が1.0重量%以下の溶解無機塩類を含む、前記懸濁液に関する。好ましいアニオンおよび水溶性ポリマーは、上記に記載している。
【0096】
銅塩粒子は、好ましくは、非晶質である。
【0097】
本発明による懸濁液は、懸濁液1kg当たり少なくとも0.1gの銅イオンを含む。好ましくは、少なくとも0.5g/kg、特に好ましくは2.5g/kg、特に少なくとも3.5g/kgである。銅イオンの含有量は炎光・原子吸光分析によって測定することができる。銅イオンは、好ましくは銅(II)イオンである。
【0098】
本発明による懸濁液は、有利には、特に低含有量の溶解無機塩類を有する。一般的に、1当量の銅塩当たり約1当量の可溶性無機塩類がこの合成で形成される。1当量は一電荷当たりのモルとして定義される。極めて低濃度の溶解無機塩類は、銅塩粒子の製造に関する上記方法によって、特に、本方法の工程e)を用いて懸濁液中に達成することができる。本発明による懸濁液は、好ましくは、銅1当量当たり溶解無機塩類を0.5当量以下、好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.1以下、特に0.05以下で含む。溶解無機塩類は、特に、塩化物、硝酸イオンまたは酢酸イオンの塩である。
【0099】
本発明による懸濁液は、少なくとも1種のさらなる農業化学活性物質を含んでいてもよい。好適なさらなる農業化学活性物質は上記に記載している。
【0100】
本発明による懸濁液は取得可能であり、特に、次の工程を含む方法により得ることができる:
a) 銅イオンを含む水溶液(溶液1)を製造し、また、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではない少なくとも1種のアニオンを含む水溶液(溶液2)を製造する工程であって、2つの溶液1および溶液2の少なくとも1つが少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む、前記の製造工程と、
b) 0〜100℃の範囲の温度において工程a)で製造した溶液1および2を混合する工程であって、銅塩粒子が水分散液の形成とともに形成される、前記の混合工程と、
e) 溶解無機塩類を除去する工程。
【0101】
工程a)およびb)は、銅塩粒子の製造に関する本方法の上記工程a)およびb)に該当する。
【0102】
工程e)では、溶解された無機塩類は、好ましくは濾過によって、特に膜方法を利用する濾過によって分離される。好適な溶解無機塩類は、水に溶解され、溶液1と溶液2との間の反応中に、所望の表面改質ナノ粒子状銅化合物に加えて形成される、主として塩類、例えば溶解無機塩類(例えば、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムまたは塩化アンモニウム)などである。こうした副産物は、実質的には、例えば膜方法(例えば、ナノ濾過、限外濾過、精密濾過法またはクロスフロー濾過)によって、水分散液から除去することができる。好ましい実施形態では、工程e)では、副産物は限外濾過(UF)によって分離する。
【0103】
好ましくは、塩の濃縮および除去は、濃縮モードの限外濾過、場合によっては、濃縮モードと透析濾過モードの限外濾過、具体的には、好ましくは最初に濃縮モード、次に透析濾過モードの限外濾過によって達成される。
【0104】
限外濾過では、膜により、不溶性の銅塩粒子は実質的には完全に保持され、過剰の水溶性ポリマーは、部分的にまたは実質的には完全に保持される。溶解無機塩類、溶媒および他の低級分子量化合物は、膜を通過して透過物に至る。膜を通過可能な溶解成分の除去は、濃縮係数のMK = m供給物(feed)/mretentate(保持物)、すなわちm°供給物/m°保持物に依存し、また成分の保持 R = 1-[c透過物(permeate)/c保持物(retentate)] (m=質量、m°=質量/時間、c=濃度)に依存する。しかし、通常、濃度は限定されるので、一般には、透過性成分を保持物から完全に分離することは不可能である。0の保持(透過制約なし)で、例えば90または95%の除去が、例えば、それぞれ10または20の濃縮係数で達成される。
【0105】
このため、純度が不十分な場合、さらなる溶解無機塩類とさらなる低分子量化合物は、以下の透析濾過工程(すなわち、透析濾過モード)で分離することができる。透過物が分離され、同量の透析濾過媒体(水)が保持物に入り込む。すなわち、保持物の量が一定に保たれる。透析濾過の除去は、透析濾過の係数 MA = m供給物(feed)/mretentate(保持物)、すなわち= m°供給物/m°保持物に依存し、また成分の保持に依存する。0の保持(透過制約なし)で、例えば、63、87または95%の除去が、それぞれ、1、2または3の透析濾過係数で達成される。
【0106】
2〜500kDのカットオフまたは3〜200nmの細孔直径を有する異なる膜(膜材料、カットオフおよび幾何学的形状に関して)を使用することができる。上限は、分子量、水溶性ポリマーのサイズまたは銅塩粒子のサイズによって決定される。ポリマーは少なくとも部分的に保持されなければならず、銅塩粒子は膜により実質的には完全に保持されなければならない。反応で形成される塩と、ポリマーの保護コロイド中に存在する任意の低分子量の第2の化合物は、いずれも、実質的には、膜により全く保持されない。膜の分離層は、有機ポリマー、セラミック、金属、炭素またはそれらの組み合わせからなっていてもよく、また、濾過温度において供給媒体中で安定していなければならない。力学的理由から、分離層は、通常、分離層と同一の材料または複数の異なる材料を含む、単層または多層の多孔性基礎構造に適用される。可能性のある材料の組み合わせの例は、下記の表に記載している。使用されるセラミックは、例えば、α-Al2O3、ZrO2、TiO2、SiCまたは混合セラミック材料であってもよい。好適なポリマーは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、PTFE、PVDF、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリアクリロニトリルまたはポリエステルである。
【表1】

【0107】
これらの膜は、平面、管状、多チャンネルエレメント、中空繊維、キャピラリーまたは螺旋形幾何学的形状で使用することができ、これに対し、保持物(Cu含有)と透過物(Cu非含有の濾液)の間で分離可能な対応する圧力ケース(pressure housing)が利用可能である。好ましくは、ポリマーの膜は螺旋形、管状、中空繊維幾何学的形状で用いる。例えば、以下の膜を使用することができる。
【表2】

【0108】
膜細孔の直径、流体力学の条件(これは保持物側の膜表面上の上部層形成に影響を及ぼす)、および濾過温度における膜の機械的安定度に実質的に応じて、保持物と透過物との間の最適の膜透過圧は、膜のタイプに依存しつつ、0.2〜10bar、好ましくは0.5〜5barである。膜透過圧が高くなると、通常、透過流量が高くなる。複数のモジュールが直列で接続されている場合、各モジュールの膜透過圧は、透過圧を高めることにより下げることが可能であり、それにより適合させることができる。透過流量の実質的な低下をもたらす、膜表面上の非透過性画分からの有意な上部層形成を回避するため、一般に、膜と懸濁液の間の相対速度が0.5〜25m/sとなるようにポンピングによる循環、膜または膜間の撹拌ユニットの機械的動作により行う。操作温度は、膜安定性および合成懸濁液の熱安定性に依存する。通常、温度が高くなると透過流量が高くなる。達成可能な透過流量は、使用する膜のタイプおよび膜の幾何学的形状、工程条件、供給物の組成(実質的には、銅塩粒子の濃度および水溶性ポリマーの濃度)に大きく依存する。流量は、典型的には、2〜200kg/m2/hである。この工程は、バッチ式で膜モジュールを通過する懸濁液の繰り返し通過により行うか、連続式で、連続して接続されている1つまたは複数の供給ステージおよび排出ステージを通過する単一の通過により行うことができる。
【0109】
さらに本発明は、植物病原性微生物および/または好ましくない植物成長および/または好ましくない昆虫もしくはダニの感染を防除するため、ならびに/あるいは、植物の成長を調節するための、それぞれの害虫、それらの生息地および/またはそれぞれの害虫から保護すべき植物、土壌および/または好ましくない植物および/または有用植物および/またはそれらの生育地に本懸濁液を作用させることによる本発明の懸濁液の使用に関する。植物病原性真菌類および/または細菌類(特に真菌類)を防除するための使用が好ましい。
【0110】
さらに本発明は、有用植物の種子を懸濁液で処理することによる、植物につく好ましくない昆虫もしくはダニの感染を防除するため、および/または植物病原性微生物を防除するため、および/または好ましくない植物成長を調節するための本発明による懸濁液の使用に関する。植物病原性真菌類および/または細菌類(特に真菌類)を防除するための使用が好ましい。
【0111】
本発明の利点は、植物病原性真菌類に関し、本方法および本懸濁液の殺菌剤効果が高いということである。効果が高いことから、環境における銅塩の施用をさらに低減することができる。溶解無機塩類の含有量が低いことで、懸濁液に極めて良好な植物耐性が得られる。さらに、好ましくない、あるいは環境上有害な無機塩類は、作物上に、または土壌中にわずかにしか残らない。本銅塩粒子の農業化学製剤は非常に安定性があり、かつ使用し易い。また本方法および懸濁液は、雨に対する銅塩粒子の耐性が高い。本懸濁液の製造においては、当該方法は廃水中の銅含量が極めて低くなる。
【0112】
以下の実施例で本発明を説明すが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0113】
Cuprozin(登録商標):460.6g/Lの水酸化銅を含むフロアブル剤 SC(300g/Lの活性物質に相当)、Spiess-Urania Chemicals GmbH製のCuprozin(登録商標)として市販されている。
【0114】
Cuprosan(登録商標):オキシ塩化銅87.7重量%を含む水和剤 WP(50%の活性物質に相当)、Bayer Cropscience製のCuprosan 500として市販されている。
【0115】
ポリカルボキシレートA:ポリ(ナトリウムアクリレート-コ-ポリエチレングリコールメタクリレート)の水溶液、固形含量を40重量%に調節、K値30(水中1%)、pH 7(水中10%濃度溶液)。
【0116】
ポリカルボキシレートB:アクリル酸-メチルポリグリコールメタクリレートコポリマーの水溶液、pH約7.0、動粘度 約100mPas(23℃、DIN/EN/ISO 3219)、BASF SE製のSokalan(登録商標) HP 80として市販されている。
【0117】
ポリカルボキシレートC:ポリアクリル酸ナトリウム塩の水溶液(35重量%)、pH約7.0(原液)、モル質量 約15000g/mol(GPC、ポリスチレンスルホネートで較正)、粘性 約250 mPas (Brookfield、23℃、原液)、BASF SE製のSokalan(登録商標) PA 40として市販されている。
【0118】
ポリカルボキシレートD:変性ポリカルボキシレートエーテルナトリウム塩の水溶液、固形含量を40重量%に調節、K値30(水中1%乾燥物質、pH7)、pH6(水中10%濃度の溶液)、粘性 約200mPas (Brookfield、23℃、原液)、BASF SE製のSokalan(登録商標) CP 42として市販されている。
【0119】
ポリカルボキシレートE:ポリアクリル酸ナトリウム塩の水溶液(45重量%)、pH約8〜9(20%水溶液、DIN 53785)、動粘度 300〜700mPas (23℃、100 s-1, DIN EN ISO 3219)、BASF SE製のPigmentverteiler Sとして市販されている。
【0120】
粒径分布は、Zetasizer Nano S装置(Malvern Instruments製)で光散乱により測定した。平均粒径は体積分率により測定する。銅含有量は炎光・原子吸光分析により測定した。
【0121】
実施例1−合成
溶液1は、0.4mol/Lの酢酸銅一水和物(79.8g/L)と20g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。溶液2は、0.4mol/Lのシュウ酸(36g/L)と20g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。
【0122】
2リットルの溶液1を60℃に加熱し、2Lの溶液2を30分間で撹拌しながら定量供給し、次いで、60℃で15分間さらに撹拌した。得られた青い懸濁液を最初に襞付濾紙(細孔径10〜15μm)上で濾過し、次いでフィルターカプセル(細孔径0.45μm)上で濾過した。こうして濾過した懸濁液は、銅含有量が2.9g/kgで平均粒径が11nmであった。
【0123】
実施例2−合成
0.7mol/Lの酢酸銅一水和物(139.65g/L)、0.35mol/Lの炭酸ジメチル(31.85g/L)および35g/LのポリカルボキシレートAを含んだ溶液1を75℃で調製した。溶液2は、0.7mol/Lの水酸化ナトリウム(28g/L)と35g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。
【0124】
2Lの溶液2を30分かけて撹拌しながら2Lの溶液1へ定量供給し、それを75℃に維持した。次いで15分間75℃でさらに撹拌を行った。得られた懸濁液を最初に襞付濾紙(細孔径10〜15μm)で濾過し、次いでフィルターカプセル(細孔径0.45μm)で濾過した。濾過された懸濁液は、銅含有量が6.5g/kgで平均粒径が24nmであった。
【0125】
実施例3−合成
0.7mol/Lの酢酸銅一水和物(139.65g/L)、0.35mol/Lの炭酸ジメチル(31.85g/L)および35g/LのポリカルボキシレートAを含んだ溶液1を75℃で調製した。溶液2は、0.7mol/Lの水酸化ナトリウム(28g/L)および35g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。
【0126】
2Lの溶液2を30分かけて撹拌しながら2Lの溶液1へ定量供給し、それを75℃に維持した。次いで15分間75℃でさらに撹拌を行った。得られた懸濁液は、最初にガラスフリット(細孔径3)で濾過し、次いでフィルターカプセル(細孔径0.45μm)で濾過した。濾過された懸濁液は、銅含有量が7.2g/kgで平均粒径が10nmであった。
【0127】
実施例4−合成
溶液1を室温で調製した。前記溶液は、0.2mol/Lの酢酸銅一水和物(39.93g/L)および50g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。また、溶液2は、0.2mol/Lの水酸化ナトリウム(8g/L)、0.1mol/LのNa2CO3(10.6g/L)および50g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。
【0128】
2Lの溶液2を30分かけて室温で撹拌しながら2Lの溶液1へ定量供給し、次いで、撹拌を室温でさらに15分間継続した。得られた懸濁液を最初に襞付濾紙(細孔径10〜15μm)で濾過し、次いでフィルターカプセル(細孔径0.45μm)で濾過した。濾過された懸濁液は、銅含有量が3.9g/kgで平均粒径が24nmであった。
【0129】
実施例5−合成
溶液1を室温で調製した。前記溶液は、0.2mol/Lの酢酸銅一水和物(39.8g/L)および50g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。また、溶液2は、0.2mol/Lの水酸化ナトリウム(8g/L)、0.1mol/Lの炭酸ナトリウム(10.6g/L)および50g/LのポリカルボキシレートAを含んだ。
【0130】
3Lの溶液2を1.5時間かけて室温で撹拌しながら3Lの溶液1へ定量供給し、次いで撹拌をさらに15分間継続した。得られた緑の懸濁液は、0.45μmのフィルターで濾過した。濾過された懸濁液は、4.4g Cu/kgの銅含有量で、平均粒径は52nmであった。
【0131】
実施例6:銅含有懸濁液の濾過
図1に概略的に示した限外濾過(UF)ラボラトリーユニットを濾過に使用した。UFユニットは、実質的には、循環容器B1を含むポンプ循環、ポンプP1、熱交換器W1、統合膜M1を備えた膜モジュールおよび圧力調整バルブV2からなる。温度計T1、流量計F1および圧力測定器P1は、膜モジュールの前に組み入れる。濾過膜後の保持物の圧力は圧力測定器P2によって測定され、圧力調整バルブV2により調節される。濾過膜M1後の透過物の圧力は圧力測定器P3によって測定され、圧力調整バルブV3により調節される。濾過膜M1後の透過物流量は流速測定器F3によって測定される。得られた透過物は、場合により、循環容器B1に再循環されるか、透過物容器B3中に回収され、秤量器により秤量することができる。ポンプ循環の他に、UFユニットは供給容器B2を含んでおり、そこから、出発媒体または透析濾過媒体をポンプP2により循環容器B1中へ定量供給することができる。
【0132】
異なる膜を限外濾過により後工程で使用した。したがって、操作パラメーター(例えば温度)、膜透過流量、保持物側の圧力損失および膜透過圧を適合させた。一般的に、合成からの排出は循環B1へ導入され、限外濾過ユニットは、循環容器B1中に再循環する透過物へ組み入れられる。合成からの排出物の濃縮中に、透過物は除去され、合成からの排出物は供給容器から循環中へ定量供給され、それにより循環容器中のレベルが一定に維持される。任意の後続の透析濾過において、同様に透過物が除去され、濃度に基づいた制御を行って、透析濾過媒体(水)が除去される量に従い供給される。
【0133】
実施例5から得た試料を以下のパラメーターを使用して濃縮した:使用した膜は、カットオフが30kDの平面ポリエーテルスルホン膜(膜面積が0.1m2である、Sartorius、Sartocon Slice Cassette製のもの)であり、限外濾過は、温度25℃および膜透過圧1バールで行った。第1の工程では、合成からの排出物は係数6.8まで濃縮され、次いで、透析濾過は透析濾過係数4で行われた。
【0134】
溶解無機塩類(この場合、酢酸塩)の含有量は、供給原料中、銅1当量当たりの酢酸塩1.3当量から、透析濾過の保持物中、0.0018まで減少した。
【表3】

【0135】
実施例7
実施例5から得た試料は、実施例6で記載したように第1の工程で濃縮し(濃縮係数9.9)、次に、透析濾過に供した(透析濾過係数3.0)。さらに、さらなる濃縮は第3の工程で行った(濃縮係数1.33)。
【表4】

【0136】
溶解無機塩類の含有量(この場合酢酸塩)は、供給物中の銅(MW 63.4g/mol)1当量当たり酢酸塩(MW 59g/mol)0.98当量から、濃縮の保持物中0.087まで、または透析濾過の保持物中0.0019まで、または第2回濃縮の保持物中0.0009まで減少した。
【0137】
実施例8−生物学的作用
菌類プラスモパラ・ビチコーラ(Plasmopara viticola)に対する異なる銅含有製剤の生物学的作用を以下のように温室にてブドウの木で試験した。いずれの場合にも、3株の植物を使用し、いずれの場合にも、表3〜5で記載した銅含有製剤50mlを、噴霧により植物に前記投与率(噴霧液中のCu2+濃度)で施用した。7日後に、植物にプラスモパラ・ビチコーラを接種した。インキュベーション中、植物は、まず、100%の大気湿度で暗所にて12〜24h維持し、次いで、乾燥条件下で1日に12hの光照射し20〜22℃で4日間維持し、その後、再び、100%の大気湿度で暗所で12〜24h維持した。接種の6日後、植物の最も古い3〜4枚の葉を評価した(病気の葉面積パーセント、「% PLASVI」)。
【表5】

【表6】

【表7】

【0138】
この実験では、本発明による表面改質銅塩粒子のCu2+イオンの同一用量では、プラスモパラ・ビチコーラによる損傷の葉面積パーセントはより小さかった。すなわち、これらにより強い殺菌作用があることがわかった。
【0139】
実施例9−生物学的作用
第2の一連の試験では、異なる銅含有製剤の生物学的作用を、温室で実施例8に記載のようにブドウの木につく菌類プラスモパラ・ビチコーラに対して試験した。葉は7日後に評価した(表6および7)。
【表8】

【表9】

【0140】
この実験では、本発明による表面改質銅塩粒子のCu2+イオンの同一用量では、プラスモパラ・ビチコーラによる損傷の葉面積パーセントはより小さかった。すなわち、これらにより強い殺菌作用があることがわかった。
【0141】
実施例10〜18
これらの合成はそれぞれ室温で行った。溶液1および溶液2の混合時に形成された反応混合物は、いずれの場合にも、続いてさらに15分間撹拌を行った。その時点で、得られた青い懸濁液を濾過し(細孔径10〜16μm)、約0.6重量%の銅含有量を得た。平均粒径は、記載した合成の最後に測定した。試料は、続いて、圧力セル中で限外濾過により係数5まで濃縮し、次いで、水による透析濾過を行い(溶媒交換係数2)、透析濾過保持物中の銅の最終濃度を30g/Lとした(実施例6と同じ膜)。
【0142】
実施例10−合成
溶液1は、0.19mol/Lの酢酸銅一水和物および100g/LのポリカルボキシレートBを含んだ。溶液2は、0.27mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.13mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。最初に、750mlの溶液1を25℃の温度で充填した。750mlの溶液2を撹拌しながら10〜25分の間に溶液1へ定量供給した。濾過された懸濁液の平均粒径は26nmであった。
【0143】
実施例11−合成
溶液1は、0.265mol/Lの酢酸銅一水和物および99.7g/LのポリカルボキシレートDを含んだ。溶液2は、0.27mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.13mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。最初に、750mlの溶液1を25℃の温度で充填した。750mlの溶液2を撹拌しながら10〜25分の間に溶液1へ定量供給した。濾過された懸濁液の平均粒径は20nmであった。
【0144】
実施例12−合成
溶液1は、0.19mol/Lの酢酸銅一水和物、100g/LのポリカルボキシレートBおよび0.487mol/Lの酢酸ナトリウムを含んだ。溶液2は、0.27mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.13mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。最初に、750mlの溶液1を25℃の温度で充填した。750mlの溶液2を撹拌しながら10〜25分の間に溶液1へ定量供給した。濾過された懸濁液の平均粒径は25nmであった。
【0145】
実施例13−合成
溶液1の酢酸ナトリウムが0.666mol/Lの酢酸と置き換わる点を除いて、実施例12を繰り返した。13nmの平均粒径が得られた。
【0146】
実施例14−合成
溶液1は、0.346mol/Lの酢酸銅一水和物および100g/LのポリカルボキシレートBを含んだ。溶液2は、0.348mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.174mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。最初に、750mlの溶液1を25℃の温度で充填した。750mlの溶液2を撹拌しながら10〜25分の間に溶液1へ定量供給した。濾過された懸濁液の平均粒径は40nmであった。
【0147】
実施例15−合成
溶液1は、0.265mol/Lの酢酸銅一水和物および100g/Lのポリカルボキシレート(polycarboxalate)Aを含んだ。溶液2は、0.348mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.174mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。溶液3は、0.348mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.174mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。
【0148】
最初に、750mlの溶液1を25℃の温度で充填した。750mlの溶液2を撹拌しながら10〜25分の間に溶液1へ定量供給した。続いて、形成された反応混合物をさらに15分間撹拌した。その後、39.7gの酢酸銅一水和物を加え、5分間撹拌した。その後、溶液3を25分の間に定量供給添加により加えた。濾過された懸濁液の平均粒径は65nmであった。
【0149】
実施例16−合成
溶液1は、0.265mol/Lの酢酸銅一水和物および100g/Lのポリカルボキシレート(polycarboxalate)Aを含んだ。溶液2は、0.348mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.174mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。溶液3は、0.348mol/Lの水酸化ナトリウムを含んだ。溶液4は、0.348mol/Lの水酸化ナトリウムおよび0.174mol/Lの炭酸ナトリウムを含んだ。
【0150】
最初に、750mlの溶液1を25℃の温度で充填した。750mlの溶液2を撹拌しながら10〜25分の間に溶液1へ定量供給した。続いて、形成された反応混合物をさらに15分間撹拌した。その後、39.7gの酢酸銅一水和物を加え、5分間撹拌した。その後、溶液3を25分の間に定量供給添加により加えた。続いて、形成された反応混合物をさらに15分間撹拌した。得られた青い懸濁液を濾過した(孔径10〜16μm)。続いて、その懸濁液を25℃の温度でまず再充填した。その後、39.7gの酢酸銅一水和物を加え、5分間撹拌した。次に、溶液4を25分の間に定量供給添加により加え、さらに15分間撹拌した。得られた青い懸濁液を濾過し(孔径10〜16μm)、濾過された懸濁液の平均粒径は62nmであった。
【0151】
実施例17−合成
溶液1のポリカルボキシレートBをポリカルボキシレートCと置き換えるという点を除いて、実施例10を繰り返した。27.5nmの平均粒径が得られた。
【0152】
実施例18−合成
溶液1のポリカルボキシレートBをポリカルボキシレートEと置き換えるという点を除いて、実施例10を繰り返した。23.5nmの平均粒径が得られた。
【0153】
実施例19−生物学的作用
フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)が原因のトマトの葉枯病に対する活性、予防的処理(Phytin P1)
鉢植えのトマト植物の葉に、以下に報告した銅の活性濃度で水性懸濁液を滴り落ちるまで噴霧した(1000L/ha、すなわち、75ppmの活性濃度は75g/haに相当)。翌日、葉にフィトフトラ・インフェスタンスの水性胞子懸濁液を接種した。次いで、植物群を温度が18〜20℃の水蒸気飽和チャンバーに置いた。4〜6日後、未処理で感染させた対照植物においては、感染が目視により%で測定可能であるような程度にまで葉枯病が発病した。効果はアボット(Abbott)により算出した(効果(%) = (X-Y)/X*100、式中、Xは、V0対照の場合における発病した葉の面積であり、Yは特定処理の発病の葉面積である)。
【表10】

【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護しようとする作物、土壌または植物繁殖材料を、水溶性ポリマーを含み、かつ1〜200nmの一次粒径を有する銅塩粒子の有効量で処理することによる植物病原性微生物の防除方法であって、前記銅塩が、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではないアニオンを含む、前記方法。
【請求項2】
銅塩粒子が非晶質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有効量が1ヘクタール当たり10〜500gの銅イオンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水溶性ポリマーがポリカルボキシレートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
水溶性ポリマーが、90〜10重量%のマクロモノマーと脱プロトン化可能な基を持つ10〜90重量%のコモノマーを含む櫛状の分子構造を有するポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アニオンが炭酸、リン酸、リン酸水素、シュウ酸、ホウ酸または四ホウ酸のイオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
銅塩粒子が請求項9〜16のいずれか1項に記載の水性懸濁液の形態で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
銅塩粒子が、次の工程:
a) 銅イオンを含む水溶液(溶液1)を製造し、また、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではない少なくとも1種のアニオンを含む水溶液(溶液2)を製造する工程であって、2つの溶液1および溶液2の少なくとも1つが少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む、前記の製造工程と、
b) 0〜100℃の範囲の温度において工程a)で製造した溶液1および2を混合する工程であって、銅塩粒子が水分散液の形成とともに形成される、前記の混合工程と、
c) 場合により、形成された水分散液を濃縮し、かつ/または副産物を除去する工程、
を含む方法により得ることができる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
1〜200nmの一次粒径を有し、かつ水溶性ポリマーを含む、銅塩粒子水性懸濁液であって、銅塩が、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではないアニオンを含み、懸濁液が銅一当量当たり0.5当量(mol/電荷)以下の溶解無機塩類を含む、前記懸濁液。
【請求項10】
懸濁液が、懸濁液1kg当たり少なくとも0.1gの銅イオンを含む、請求項9に記載の懸濁液。
【請求項11】
銅塩粒子が非晶質である、請求項9または10に記載の懸濁液。
【請求項12】
懸濁液がさらなる農業化学活性物質を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項13】
水溶性ポリマーがポリカルボキシレートである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項14】
アニオンが炭酸、リン酸、リン酸水素、シュウ酸、ホウ酸または四ホウ酸塩のイオンである、請求項9〜13のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項15】
次の工程:
a) 銅イオンを含む水溶液(溶液1)を製造し、また、銅イオンと沈殿物を形成し、かつヒドロキシドではない少なくとも1種のアニオンを含む水溶液(溶液2)を製造する工程であって、2つの溶液1および溶液2の少なくとも1つが水溶性ポリマーを含む、前記の製造工程と、
b) 0〜100℃の範囲の温度において工程a)で製造した溶液1および2を混合する工程であって、銅塩粒子が水分散液の形成とともに形成される、前記の混合工程と、
e) 溶解無機塩類を除去する工程、
を含む方法によって得ることができる、請求項9〜14のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項16】
無機塩類が塩化物、硝酸塩または酢酸塩である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項17】
植物病原性微生物および/または好ましくない植物成長および/または好ましくない昆虫もしくはダニの感染を防除するため、ならびに/あるいは、植物の成長を調節するための、それぞれの害虫、それらの生息地および/またはそれぞれの害虫から保護すべき植物、土壌および/または好ましくない植物および/または有用植物および/またはそれらの生育地に懸濁液を作用させることによる、請求項9〜15のいずれか1項に記載の懸濁液の使用。
【請求項18】
有用植物の種子を懸濁液で処理することによる、植物につく好ましくない昆虫もしくはダニの感染を防除するため、および/または植物病原性微生物を防除するため、および/または好ましくない植物成長を調節するための、請求項9〜15のいずれか1項に記載の懸濁液の使用。

【公表番号】特表2013−512870(P2013−512870A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541425(P2012−541425)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068354
【国際公開番号】WO2011/067186
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】