説明

表面検査装置及び表面検査方法

【課題】検出感度の校正を容易に行うことができる表面検査装置及びその校正方法を提供する。
【解決手段】ケース15内の検出ユニット14内に設けられたウエハチャック7に載置されたウエハ1を高速回転することにより検査する表面検査装置において、FFU3により検出ユニット14内のウエハ1周辺に清浄な空気を供給し、ウエハチャック7の下方に設けた排気口により検出ユニット14内の空気を排出することにより、ウエハチャック7の下方に設けられ回転機構4によって、ウエハチャック7及びウエハ1が高速回転する場合に、その周辺に生じる乱流を層流にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面検査装置及び表面検査方法に関し、例えば、半導体ウエハ、磁気ディスク、或いは液晶表示素子等の基板を検査対象として検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、基板(半導体ウエハ)上に異物が存在すると、配線の絶縁不良や短絡等の不良の原因となる。これらの異物は、搬送装置等の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスにより処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料の混入していたもの等種々の状態で混入される。磁気ディスクや液晶表示素子の製造工程においても同様であり、発生した異物の基板(磁気ディスク、又は液晶表示素子)への付着は不良の原因となる。
【0003】
そこで、製造工程においては表面検査装置を用いて基板表面の異物を検出し、管理することにより、各製造装置の発塵状況や各工程の清浄度などを監視・制御し、製品の品質低下や歩留り低下等の抑制を図っている。しかし、そのような表面検査装置においても、可動部等からの異物の発生は皆無ではなく、他の工程と同様に検査対象の基板(被検査基板)への異物の付着が懸念される。
【0004】
このような被検査基板への異物の付着を抑制する従来技術としては、特許文献1に記載のように、ケーシング内の支持基台上に配置されたXYステージ(ステージ)上に載置した被検査基板をレーザ顕微鏡で検査する装置において、ステージ上に載置された被検査基板の上方に通風口を設けるとともに、ファンが接続された2つの吸気口をステージの側方と支持基台の下方に配置することにより、被検査基板の上方から下方への空気の流れ(ダウンフロー)を発生させ、ステージの可動部から生じる異物の被検査基板への付着を抑制するものが知られている。
【0005】
また、特許文献2には、クリーンボックス内に配置されたXYステージ(ステージ)上に載置した被検査基板を光学ユニットで撮像して検査する装置において、クリーンボックスのステージの側方に位置する側面部に外部に通じる開口領域を設けるとともに、クリーンボックス内部のステージの下端部と略等しい高さ位置にステージ側に向かって張り出す張出部を設けることにより、クリーンボックス内に清浄な空気を供給するクリーンエアユニットからの空気をステージ方向に導いて被検査基板上を通過させ、クリーンボックス内に発生した異物の被検査基板への付着を抑制するものが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、ケース内に配置されたXYステージ(ステージ)上に載置した被検査物を照明装置と検出装置により検査する装置において、吸引装置によりケース内に供給された空気を、空気誘導パネルにより被検査物上を平行に誘導するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−230037号公報
【特許文献2】特開2001−118896号公報
【特許文献3】特開2005−140778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、被検査基板を高速回転させつつ直線駆動して、被検査基板の表面を螺旋状・同心円状に走査するような装置においては、高速回転する被検査基板の周辺にエクマン螺旋渦流やカルマン渦流などによる気流の乱れ(以下、乱流と称する)が生じ、この乱流によって、可動部等から生じた異物が被検査基板周辺に巻き上げられ、又は滞留し、その被検査基板に付着することが懸念される。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制することで被検査基板への異物の付着を抑制することができる表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、クリーンボックス内に設けられたステージに載置された被検査基板を検査する表面検査装置において、前記クリーンボックス内の前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給する空気供給手段と、前記被検査基板を回転駆動する回転駆動手段と、前記被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制する乱流抑制手段とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制することで被検査基板への異物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成の概略を示す透視側面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る表面検査装置の被検査基板載置部周辺を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成の概略を示す透視側面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成の概略を示す透視側面図である。
【図5】図4の表面検査装置における被検査基板載置部を抜き出して示す斜視図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成の概略を示す透視側面図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成の概略を示す透視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示す透視側面図である。
【0015】
図1において、本実施の形態の表面検査装置100は、表面検査装置100の内外を隔てるケース15と、そのケース15の内部に設けられ、被検査基板の表面検査を行う検出ユニット14とを備えている。
【0016】
ケース15は、その上部に設けられ、外部の空気をケース15の内部に供給するファン(図示せず)及びファンにより供給される空気を清浄するフィルタ(図示せず)を備えたファインフィルタユニット(FFU)9を備えている。また、検出ユニット14は、被検査基板(例えば、半導体ウエハ)1が配置され表面検査が施される試料室18の内部にケース15内の空気を供給するファン(図示せず)及びファンにより供給される空気を清浄するフィルタ(図示せず)を備えたファインフィルタユニット(FFU)3と、試料室18内の空気を吸引する開口部を設けた吸気口12と、吸気口12を介して試料室18内の空気を吸引しケース15の外部に排出する排気ファンユニット11とを備えている。FFU9により清浄されケース15内に供給された空気(清浄空気)は、ケース15内の各部を通過し、ケース15の下部に設けられた排気口(図示せず)から外部に排出される。また、FFU9からケース15内に供給された清浄空気の一部分は、検出ユニット14に設けられた吸気口12及び排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。このように、FFU3,9によって清浄な空気が供給されることにより、ケース15及び検出ユニット14内部は高い清浄度に保たれる。つまり、ケース15及び検出ユニット14は、その内部が高い清浄度に保たれたクリーンボックスとして機能する。
【0017】
ここで、ケース15に設けられたFFU9の空気供給量や、ケース15に設けられた排気口(図示せず)及び検出ユニット14に設けられた排気ファンユニット11の空気排出量は、外部から塵埃等の異物を含んだ空気がケース15の内部に侵入するのを抑制するために、ケース15内部の気圧が外部と比較して正圧(陽圧)に保たれるように調整されている。つまり、排気ファンユニット11を動作させ、FFU3により試料室18内に供給された清浄空気の一部分を吸気口12を介して強制的にケース15の外部に排出した場合においても、ケース15内部の気圧が外部と比較して正圧(陽圧)に保たれるように調整されている。また、排気ファンユニット11を動作させない場合においては、FFU3により試料室18内に供給された清浄空気の一部分は、ケース15外部との気圧差によって吸気口12及び排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。なお、FFU3により試料室18内に供給された清浄空気のうち、吸気口12及び排気ファンユニット11を介してケース15内に排出されない一部の清浄空気は、試料室18の有する隙間等からケース15内に再度導かれ、ケース15の下部に設けられた排出口(図示せず)からケース15の外部に排出される。
【0018】
検出ユニット14は、被検査基板の一例である半導体ウエハ(以下、単にウエハと記載する)1を載置するステージ部13と、ステージ部13を支持する支持部16と、ステージ部13に載置されたウエハ(被検査基板)1に照明光を照射する照明光学系2と、ウエハ1からの光(散乱光、回折光、反射光など)を検出する検出光学系8と、照明光学系2及び検出光学系8を支持する光学系支持部17とを備えている。また、検出ユニット14において、ウエハ1が配置され表面検査が施される空間である試料室18はカバー(図示せず)により囲まれており、そのカバーと、支持部16、及び、光学系支持部17により試料室18が画定されている。
【0019】
ステージ部13は、ウエハ1を吸着(例えば、真空吸着)し保持する円板状のウエハチャック7と、ウエハチャック7を周方向に回転駆動させる回転機構4と、回転機構4を鉛直方向に移動させる垂直方向移動機構6と、垂直方向移動機構6を水平方向に移動させる水平方向移動機構5とを備えている。表面検査では、照明光学系2からウエハ1の表面に照明光を照射した状態で、ウエハ1を吸着したウエハチャック7を回転機構4で周方向に高速で回転させつつ水平方向移動機構5で水平移動させることにより、ウエハ1の表面を照明光により走査する。
【0020】
FFU3は、試料室18の側面に清浄空気を供給する給気口をステージ部13の方向に向けて設けられており、その供給する清浄空気がウエハチャック7の上側(言い換えるとウエハチャック7に載置されたウエハ1の上側)とウエハチャック7の下側に跨って供給されるように配置されている。また、FFU3の供給口の幅方向(図1中紙面に垂直な方向)の大きさがウエハチャック7の直径よりも大きくなるよう設けられており、ウエハチャック7(或いは、ウエハ1)の全体に清浄空気が供給されるように配置されている。
【0021】
吸気口12は、試料室18内の空気を吸引するための複数の開口部を有しており、ウエハチャック7のFFU3に対して反対側の端部(外周部)の下方に、その開口部を上側に向けて配置されている。また、吸気口12は、その複数の開口部がウエハチャック7の外周部の内側の下部から外側の下部に亘って分布するよう配置されている。吸気口12により吸引された空気は、吸気口12内で1つの流れとなり、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0022】
以上のように構成した表面検査装置において、FFU3のウエハチャック7よりも上方から試料室18内部に供給された清浄空気は、ウエハ1の上側をFFU3側(図1中左側)から吸気口12側(図1中右側)に通過し、ウエハチャック7の右側の端部付近から吸気口12が配置された下方へ流れ、吸気口12に吸引され、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。また、FFU3のウエハチャック7よりも下方から試料室18内部に供給された清浄空気は、ウエハ1が載置されたウエハチャック7の下側をFFU3側(図1中左側)から吸気口12側(図1中右側)側に通過し、ウエハチャック7の右側の端部付近から吸気口12が配置された下方へ流れ、吸気口12に吸引され、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0023】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0024】
従来技術の表面検査装置においては、表面検査を行う場合などにウエハ(被検査基板)1を周方向に高速回転させる(つまり、ウエハチャック7を周方向に高速回転させる)と、ウエハ1の周辺にエクマン螺旋渦流やカルマン渦流などによる気流の乱れ(乱流)が生じ、この乱流によって可動部等から生じた異物がウエハ1の周辺に滞留し、付着することが懸念された。
【0025】
これに対し、本実施の形態においては、ウエハチャック7のFFU3に対して反対側の端部(外周部)の下方に、その開口部を上側に向けて吸気口12を配置し、試料室18の側面に設けられたFFU3から供給され、ウエハチャック7の上側及び下側を通過した清浄空気を吸気口12により吸引するよう構成したので、ウエハチャック7周辺の清浄空気の流れの乱れを抑制して層流に近づけることができる。すなわち、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することにより、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0026】
また、FFU3から供給され、ウエハチャック7の下側を通過した清浄空気をウエハチャック7の下方に設けた吸気口12により吸引するように構成したので、ステージ部13の下方に配置された可動部から生じる塵埃がウエハ1の方向へ流れるのを抑制することができ、ウエハ1への異物の付着を抑制することができる。
【0027】
さらに、吸気口12の複数の開口部をウエハチャック7の外周部の内側の下部から外側の下部に亘って分布するよう配置したので、ウエハチャック7の上側を通過した清浄空気と下側を通過した清浄空気の流れが互いに干渉しにくく、FFU3から供給された清浄空気のウエハチャック7の周辺における流れの乱れをより効率良く抑制して層流に近づけることができる。つまり、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流をより効率良く抑制することができ、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、吸気口12が複数の開口部を有する場合を例に説明したが、これに限られず、例えば、吸気口12が1つの開口部を有し、その開口部がウエハチャック7の外周部の内側の下部から外側の下部に亘って分布する構成としても良い。
【0029】
<変形例>
第1の実施の形態の変形例を図2を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。この変形例の実施の形態は、吸気口112を、その複数の開口部がウエハチャック7の外周部の下方に位置するよう配置し、ウエハチャック7の外周部の空気を吸気口112により吸引することによって、乱流を抑制した場合のものである。
【0030】
図2は、本変形例における、吸気口112とウエハチャック7の位置関係を示す図である。
【0031】
図2において、吸気口112は、試料室18内の空気を吸引するための複数の開口部を有しており、ウエハチャック7の外周部の下方に、その開口部を上側に向けて配置されている。吸気口112により吸引された空気は、吸気口112内で1つの流れとなり、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0032】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0033】
以上のように構成した本変形例においては、ウエハチャック7の外周部の清浄空気を吸気口112によって吸引することにより、高速回転するウエハチャック7の外周部の空気の流れの乱れ(乱流)を抑制して層流に近づけ、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0034】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図3を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、第1の実施の形態における吸気口12に換えて、ウエハチャック7の外周部を囲む位置に、その外周と対向するように設けられた開口部を有する気流ガイド212を備え、ウエハチャック7の外周部の空気を吸気口112により吸引することによって、乱流を抑制した場合のものである。
【0035】
図3は、本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示す透視側面図である。
【0036】
図3において、本実施の形態の表面検査装置は、ウエハチャック7の外周を囲むように設けられた気流ガイド212を備えている。気流ガイド212は中空の部材であり、ウエハチャック7の外周に対向する位置にウエハチャック7を囲むように開口部を有している。また、気流ガイド212の下端部は、垂直方向移動機構6に固定されており、ウエハチャック7との上下方向の相対位置が不変となるように配置されている。
【0037】
気流ガイド212と排気ファンユニット11は、排気管212aにより接続されており、排気ファンユニット11は、気流ガイド212及び排気管212aを介して、試料室18内部の清浄空気をケース15の外部に排出する。
【0038】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0039】
以上のように構成した本実施の形態においては、ウエハチャック7の外周部に対向する位置に開口部を有する気流ガイド212を配置し、ウエハチャック7の外周部の清浄空気を気流ガイド212により吸引するよう構成したので、ウエハ1及びウエハチャック7を高速回転させることにより、そのウエハチャック7周辺に生じる空気の乱流を抑制して層流に近づけることができる。すなわち、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することにより、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0040】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図4及び図5を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、第1の実施の形態における吸気口12及び排気ファンユニット11に換えて、ウエハチャック7の外周部に複数のフィン312を配置し、フィン312によってウエハチャック7の外周部付近の気流を下方に導く構成とし、乱流を抑制した場合のものである。
【0041】
図4は本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示す透視側面図であり、図5は本実施の形体に係るウエハチャック7を抜き出して示す斜視図である。
【0042】
図4及び図5において、本実施の形態の表面検査装置は、ウエハチャック7の外周部の半径方向外側に等間隔に設けられた複数のフィン312を備えている。
【0043】
フィン312は板状の部材であり、ウエハチャック7を周方向に回転させた場合にフィン312の通過する空間の空気を下方に押しのけるように、ウエハチャック7の平面(ウエハ1を載置する面)に対して傾けて取り付けられている。つまり、フィン312は、その平面がウエハチャック7の回転方向に向かって斜め下方向を向くように傾けて設けられている。
【0044】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0045】
以上のように構成した本実施の形態においては、ウエハチャック7の外周部にフィン312を設け、ウエハチャック7の周方向への回転によって、そのウエハチャック7の外周部の空気を積極的に下方に導くように構成したので、ウエハチャック7周辺の清浄空気の流れの乱れを抑制して下方(又は、斜め下方向)に流れる層流に近づけることができる。すなわち、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することにより、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、ウエハチャック7の外周部に複数のフィン312を設ける構成としたが、これに限られず、例えば、ウエハチャック7の外周部に、ウエハチャック7の回転方向に対して斜めに設けた複数の切り欠きを設けた構成とし、ウエハチャック7の回転時に切り欠きを通して空気が下方に導かれる構成としても良い。また、ウエハチャック7の外周部を周方向に1週以上にわたって斜めに設けられた1つの切り欠き、又は、1つのフィンを設けた構成としても良い。
【0047】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図6を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、第1の実施の形態における吸気口12及び排気ファンユニット11に換えて、FFU3の給気口とウエハチャック7の間の空間に1つ以上のルーバ412を設け、ルーバ412によってFFU3から供給される清浄空気をウエハチャック7の上方に導く構成とし、その清浄空気のウエハチャック7の上方から下方への流れによって乱流を抑制した場合のものである。
【0048】
図6は、本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示す透視側面図である。
【0049】
図6において、本実施の形態の表面検査装置は、FFU3とウエハチャック7の間の空間に設けられ、FFU3からウエハチャック7に向かって上方に傾けて設けられた1つ以上(例えば2つ)のルーバ412を備えている。ルーバ412の幅方向(図6中紙面に垂直な方向)の大きさがウエハチャック7の直径よりも大きくなるよう設けられており、ウエハチャック7(或いは、ウエハ1)の上方全体に清浄空気が供給されるように配置されている。
【0050】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
以上のように構成した本実施の形態においては、FFU3とウエハチャック7の間の空間にルーバ412を設け、FFU3から供給される清浄空気をウエハチャック7の上方に導く構成としたので、ウエハチャック7の上方から下方への空気の流れによってウエハチャック7周辺の空気の乱流を抑制して層流に近づけることができる。すなわち、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することにより、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0052】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を図7を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、第1の実施の形態における吸気口12に換えて、ウエハチャック7の下方に気流吸収減衰板512を設け、ウエハチャック7の回転によって生じる乱流を吸収することにより抑制した場合のものである。
【0053】
図7は、本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示す透視側面図である。
【0054】
図7において、本実施の形態の表面検査装置は、ウエハチャック7の下方に設けられた気流吸収減衰板512を備えている。
【0055】
気流吸収減衰板512は、表面に複数の孔を設けた板状の部材を複数、層状に重ねて構成したものであり、層状に構成した各部材は、その気流吸収減衰板512に向かう空気の流れを吸収および減衰するように相互にラビリンス構造を有している。気流吸収減衰板512により吸引された空気は、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0056】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0057】
以上のように構成した本実施の形態においては、ウエハチャック7の下方に気流吸収減衰板512を備え、気流吸収減衰板512により吸引された空気を排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出するよう構成したので、ウエハ1及びウエハチャック7を高速回転させることにより、そのウエハチャック7周辺に生じる空気の乱流を吸収することにより抑制して層流に近づけることができる。すなわち、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することにより、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0058】
また、従来技術においては、ウエハチャック7が垂直方向移動機構6により垂直移動される場合に、そのウエハチャック7の動きによりピストン作用が起こり、ウエハチャック7のその下方の部材(例えば、支持部16など)の間の空気が跳ね返り現象を起こし、微小な異物を巻き上げる問題があった。これに対し、本実施の形態においては、ウエハチャック7の垂直移動により生じる気流を気流吸収減衰板512により吸収するよう構成したので、空気の巻き上げによってウエハチャック7の下方からの異物の巻上げ現象を抑制することができる。
【0059】
<その他の実施の形態>
以上に本発明の幾つかの実施の形態を説明したが、これら実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変形・組み合わせが可能である。例えば、図6に示した第1の実施の形態(又は変形例)は、ウエハチャック7の下方に吸気口12を配置し、吸気口12によって空気を吸引することによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制したものであるが、図4に示した第3実施の形態及び図6に示した第3の実施の形態及び第4の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ウエハチャック7の下方に吸気口12を配置し、吸気口12によって空気を吸引することによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することができる。また、図7に示した第5の実施の形態は、ウエハチャック7の下方に気流吸収減衰板512を配置し、気流吸収減衰板512によってウエハチャック7の周辺に生じる乱流を吸収することにより抑制したものであるが、図4に示した第3実施の形態及び図6に示した第3の実施の形態及び第4の実施の形態においても、ウエハチャック7の下方に気流吸収減衰板512を配置し、気流吸収減衰板512によってウエハチャック7の周辺に生じる乱流を吸収することにより抑制することができる。また、図4に示した第4の実施の形態は、ウエハチャック7の外周部にフィン312を配置し、フィン312によってウエハチャック7の外周部の空気を下方に導くことによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制したものであるが、図6図6に示した第3の実施の形態においても、ウエハチャック7の外周部にフィン312を配置し、フィン312によってウエハチャック7の外周部の空気を下方に導くことによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することができる。また、上述した本発明の実施の形態においては、ウエハチャック7の側方からFFU3によって清浄空気を供給するよう構成したがこれに限られず、ウエハチャック7の上方から清浄空気を供給するよう構成しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 ウエハ
2 検査光学系
3 FFU
4 回転機構
5 水平方向移動機構
6 垂直方向移動機構
7 ウエハチャック
8 照明光学系
9 FFU
11 排気ファンユニット
12 吸気口
13 ステージ部
14 検出ユニット
15 ケース
16 支持部
17 光学系支持部
18 試料室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンボックス内に設けられたステージに載置された被検査基板を検査する表面検査装置において、
前記クリーンボックス内の前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給する空気供給手段と、
前記ステージの下方に設けられ前記被検査基板を回転駆動する回転駆動手段と、
前記被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制する乱流抑制手段と
を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記空気供給手段は、前記ステージの側方から前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給する手段であって、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板に対して前記空気供給手段と反対側の下方に配置され、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引する上方に向けた開口部を有する排気口を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記空気供給手段は、前記ステージの側方から前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給する手段であって、
前記乱流抑制手段は、前記空気供給手段から前記クリーンボックスの内部に供給された清浄な空気を前記被検査基板の周辺を通過し、下方に流れるように、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引する位置に配置した開口部を有する排気口を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項4】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板の外周の下方に等間隔に設けられ、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引する上方に向けた開口部を有する複数の排気口を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項5】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板の外周部を囲むように配置され、前記被検査基板の外周に対向するように前記クリーンボックスの内部の空気を吸引する開口部を有する排気口を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項6】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板の下方に設けられ、前記被検査基板からの空気の流れを吸収する気流吸収構造を有する排気口を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項7】
請求項2〜6の何れか1項に記載の表面検査装置において、
前記排気口を介して前記クリーンボックスの内部の空気を吸引し、クリーンボックスの外部に排出する排気手段を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項8】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板が載置される前記ステージの外周部に設けられ、前記ステージの回転時に前記被検査基板の外周部の空気を前記ステージの下方に導く手段を備えたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項9】
クリーンボックス内に設けられたステージに載置された被検査基板を検査する表面検査方法において、
前記クリーンボックス内の前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給し、前記ステージの下方に設けられた回転駆動手段により前記被検査基板を回転駆動し、前記被検査基板の周辺に生じる乱流を乱流抑制手段により抑制することを特徴とする表面検査方法。
【請求項10】
請求項9記載の表面検査方法において、
前記ステージの側方から前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給し、前記被検査基板に対して前記空気供給手段と反対側の下方に、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引する開口部を上方に向けて配置された排気口によって、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引することを特徴とする表面検査方法。
【請求項11】
請求項9記載の表面検査方法において、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板の外周の下方に等間隔に設けられ、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引する上方に向けた開口部を有する複数の排気口を備えたことを特徴とする表面検査方法。
【請求項12】
請求項9記載の表面検査方法において、
前記被検査基板の外周部を囲むように配置され、前記被検査基板の外周に対向するように開口部を有する排気口により、前記クリーンボックスの内部の空気を吸引することを特徴とする表面検査方法。
【請求項13】
請求項9記載の表面検査方法において、
前記被検査基板の下方に設けられ、前記被検査基板からの空気の流れを吸収する気流吸収構造を有する排気口を備えたことを特徴とする表面検査方法。
【請求項14】
請求項10〜13の何れか1項に記載の表面検査方法において、
前記排気口を介して前記クリーンボックスの内部の空気を吸引し、クリーンボックスの外部に排出する排気手段を備えたことを特徴とする表面検査方法。
【請求項15】
請求項9記載の表面検査方法において、
前記乱流抑制手段は、前記被検査基板が載置される前記ステージの外周部に設けられ、前記ステージの回転時に前記被検査基板の外周部の空気を前記ステージの下方に導く手段を備えたことを特徴とする表面検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−236948(P2010−236948A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83491(P2009−83491)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】