説明

表面検査装置

【課題】 半導体ウェーハ等の板状部材の外周エッジ部を適切に検査することを可能とした表面検査装置を提供する。
【解決手段】 半導体ウェーハ検査装置10は、半導体ウェーハ100の外周エッジ部分101に対向して配置される撮像レンズ22と、撮像レンズ22を介して半導体ウェーハ100の外周端面に対向して配置される撮像面24と、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101bの像を撮像レンズ22を介して撮像面24に結像させるミラー12と、半導体ウェーハ100の第2外周ベベル面101cの像を撮像レンズ22を介して撮像面24に結像させるミラー14と、半導体ウェーハ100の外周端面101aの像を撮像レンズ22の中央部を介して撮像面24に結像させる補正レンズ26と、外周端面101aより第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cの方が明るくなるように、これらを照明する照明ライトガイド灯光部18とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の板状部材の第1主面の外縁において傾斜した第1外周ベベル面、板状部材の第2主面の外縁において傾斜した第2外周ベベル面、及び、板状部材の外周端面を含む外周エッジ部を撮影して検査する表面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェーハの外周エッジ部分を撮影し、その画像に基づいて外周エッジ部分における傷や突起等の状態を検査する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された技術は、外周エッジ部分が、外周端面と、第1主面の外縁において傾斜した第1外周ベベル面と、第2主面の外縁において傾斜した第2外周ベベル面とにより構成されている半導体ウェーハの外周エッジ部分の状態を検査する装置である。この検査装置は、撮像レンズが半導体ウェーハの外周エッジ部分に対向して配置されて、当該撮像レンズを介して撮像面に、外周端面の像を結像させるとともに、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面の像を結像させることにより、外周端面、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面を一括して撮影することを可能とする。
【0003】
更に、特許文献1に記載された技術では、半導体ウェーハの外周端面から撮像面までの光路長と、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面のそれぞれから撮像面までの光路長とが異なって、外周端面の像と第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面のそれぞれの像とを単一の撮像面に結像させることが困難であることに鑑み、半導体ウェーハの外周端面と撮像レンズとの間に補正レンズを配置して各光路長を一致させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/059647号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、撮像レンズにおける中央部と周辺部との収差等によって、撮像面に結像される像は、撮像レンズの中央部を介して結像される像は明度が高く、撮像レンズの周辺部を介して結像される像は明度が低いという特性を有する。このような明度の差は、微細な輝度変動や色彩変動を検出する必要のある半導体ウェーハの外周エッジ部分の検査において、明度に関する検出条件を適切に設定することができないという問題がある。例えば、撮像レンズの中央部を介して結像される像に対応して明度に関する検出条件を定めた場合には、周辺部を介して結像される像の明度が不足し、一方、撮像レンズの周辺部を介して結像される像に対応して明度に関する検出条件を定めた場合には、中央部を介して結像される像の明度が過剰となって、検査者は外周エッジ部分における傷や突起等の状態が把握しにくくなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、半導体ウェーハ等の板状部材の外周エッジ部分を適切に検査することを可能とした表面検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表面検査装置は、
板状部材の第1主面の外縁において傾斜した第1外周ベベル面、前記板状部材の第2主面の外縁において傾斜した第2外周ベベル面、及び、前記板状部材の外周端面を含む外周エッジ部を撮影して検査する表面検査装置であって、
前記板状部材の前記外周エッジ部に対向して配置される撮像レンズと、
前記撮像レンズを挟んで前記板状部材の外周エッジ部と逆側に配置される撮像面と、
前記板状部材の前記第1外周ベベル面の像を前記撮像レンズの第1周辺部を介して前記撮像面に結像させる第1光学部材と、
前記板状部材の前記第2外周ベベル面の像を前記撮像レンズの第2周辺部を介して前記撮像面に結像させる第2光学部材と、
前記板状部材の前記外周端面の像を前記撮像レンズの中央部を介して前記撮像面に結像させる第3光学部材と、
前記外周端面より前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面のそれぞれの方が明るくなるように、前記外周端面、前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面を照明する照明ユニットを有し、
前記照明ユニットは、
光源と、
該光源からの光を導入し、光の照射面としての先端から前記板状部材の前記外周エッジ部に照射する複数の光ファイバとを有し、
前記外周端面より前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面のそれぞれの方が明るくなるように、前記光源からの光を導入する前記複数の光ファイバの先端が配列された表面検査装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板状部材の外周端面より第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面のそれぞれの方が明るくなるように、前記外周端面、前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面を照明することにより撮像面に結像される各像の明度をできるだけ均一にすることができるので、明度に関する検出条件を適切に設定することが可能となって、前記板状部材の外周エッジ部分を適切に検査することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の一形態に係る半導体ウェーハ検査装置の構成を示す図である。
【図2A】検査対象となる半導体ウェーハの外周エッジ部分の構造を示す部分側面図である。
【図2B】検査対象となる半導体ウェーハの第1主面(表面)を示す部分平面図である。
【図3】半導体ウェーハ検査装置における光学系の各部の配置を側方から見た図である。
【図4】半導体ウェーハ検査装置における光学系の各部の配置を上方から見た図である。
【図5】照明ライトガイド灯光部が一定の照度分布の光を照射した場合における、撮像面に結像される像の明度変化を示す図である。
【図6】照明ライトガイド灯光部によって照射される光の照度分布を示す図である。
【図7A】照明ライトガイド灯光部における複数の照射面の第1の配置例を示す図である。
【図7B】照明ライトガイド灯光部における複数の照射面の第2の配置例を示す図である。
【図8A】照明ライトガイド灯光部における複数の照射面の第3の配置例を示す図である。
【図8B】照明ライトガイド灯光部における複数の照射面の第4の配置例を示す図である。
【図9】光ファイバの引き回しの一例を示す図である。
【図10】シリンドリカル平凸レンズの製造工程を示す図である。
【図11A】ミラーの傾斜角度の調整機構の一例を示す側面図である。
【図11B】図11Aに示すミラーの傾斜角度の調整機構の正面図である。
【図12A】従来の半導体ウェーハ検査装置における外周端面、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面の像を示す図である。
【図12B】照明ライトガイド灯光部の照度特性を示す図である。
【図12C】撮像レンズを介して結像される像の明度特性を示す図である。
【図12D】画像の明度特性示す図である。
【図13A】本実施形態の半導体ウェーハ検査装置における外周端面、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面の像を示す図である。
【図13B】照明ライトガイド灯光部の照度特性を示す図である。
【図13C】撮像レンズを介して結像される像の明度特性を示す図である。
【図13D】画像の明度特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る表面検査装置としての半導体ウェーハ検査装置の構成を示す図である。図1に示す半導体ウェーハ検査装置10は、板状部材としての半導体ウェーハ100の外周エッジ部分を撮影して、当該外周エッジ部分の傷や突起等の状態を検査するものである。そして、この半導体ウェーハ検査装置10において、半導体ウェーハ100は、ガイドレール30上に設置された回転機構(図示略)にて回転自在に支持されており、カメラ21は、半導体ウェーハ100の外周エッジ部分に対向するようにガイドレール30上に移動可能に設けられている。ライトソース16(例えば、メタルハライド光源)と照明ライトガイド灯光部18とが複数の光ファイバ17にて接続されており(照明ユニットの構成)、ライトソース16から出射された光が複数の光ファイバ17を通って照明ライトガイド灯光部18に達するようになっている。照明ライトガイド灯光部18は、複数の光ファイバ17を伝わってくる光によって半導体ウェーハ100の外周エッジ部分を照明するように設置されている。後述するように、半導体ウェーハ100の外周エッジ部分のそれぞれ異なる方向を向いた複数の面を1つのカメラ21にて撮影するために、ミラー12(第1光学部材)、ミラー14(第2光学部材)が半導体ウェーハ100の外周エッジ部分の近傍に設けられるとともに、半導体ウェーハ100とカメラ21との間に補正レンズ26(第3光学部材)が設けられている。カメラ21は、撮像レンズ22及び撮像面24を有している。なお、この半導体ウェーハ検査装置10は、カメラ21にて撮影して得られる画像を表示するためのモニタ28を有している。
【0012】
図2Aは、検査対象となる半導体ウェーハ100の外周エッジ部分の構造を示す側面図であり、図2Bは、半導体ウェーハ100の第1主面(表面)を示す部分平面図である。図2A及び図2Bに示す半導体ウェーハ100は、外周エッジ部分101が、損傷防止のために面取り加工されている。具体的には、外周エッジ部分101は、第1主面102a及び第2主面102bに対して垂直をなす外周端面101aと、第1主面102aの外縁において傾斜した第1外周ベベル面101bと、第2主面102bの外縁において傾斜した第2外周ベベル面101cとからなる。
【0013】
図3及び図4は、半導体ウェーハ検査装置10における光学系の各部の配置を示し、図3はその配置を側方から見た図であり、図4はその配置を上方から見た図である。図3及び図4に示すように、カメラ21の撮像レンズ22は、半導体ウェーハ100の外周エッジ部分101の外周端面101aに対向して配置される。カメラ21の撮像面24は、撮像レンズ22を挟んで、半導体ウェーハ100の外周エッジ部分101の外周端面101aと逆側に配置される。
【0014】
ミラー12は、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101bの上方に、反射面12aを撮像レンズ22の側に向けて傾斜して配置されている。一方、ミラー14は、半導体ウェーハ100の第2外周ベベル面101cの下方に、反射面14aを撮像レンズ22の側に向けて傾斜して配置されている。これらミラー12及び14の傾斜角度は、後述する調整機構によって調整可能となっている。
【0015】
照明ライトガイド灯光部18は、ライトソース16から複数の光ファイバ17を介して入射される光を、当該複数の光ファイバ17のそれぞれの先端を照射面として照射するものである。この照射される光は、撮像レンズ22と半導体ウェーハ100の外周端面101aとを結ぶ直線(撮像レンズ22の光軸)に対して平行に、いわゆる同軸落射にて半導体ウェーハ100の外周エッジ部分101に達するようになっている。具体的には、ハーフミラー19が撮像レンズ22の光軸に対して45度の傾斜角度をもって配置され、複数の光ファイバ17のそれぞれの先端である照射面がハーフミラー19に対向し、その光の照射方向が撮像レンズ22の光軸に直交する方向となるように照明ライトガイド灯光部18が配置される(図4参照)。照明ライトガイド灯光部18の照射面の前方に、当該照射面側が平面となるようにシリンドリカル平凸レンズ20が配置される。複数の光ファイバ17のそれぞれの先端である各照射面から照射された光は、シリンドリカル平凸レンズ20を介してハーフミラー19へ照射される。この際、光はシリンドリカル平凸レンズ20によってハーフミラー19の反射面に集光される。そして、ハーフミラー19で反射した光が、半導体ウェーハ100の外周端面101aに照射されるとともに、ミラー12の反射面12a及びミラー14の反射面14bを介して、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cに照射される。なお、ライトソース16とカメラ21との位置関係は、光ファイバ17の照射面からの光が撮像レンズ22の光軸に対して角度をもって半導体ウェーハ100の外周端面101aに入射するように設定することもできる。この場合、ライトソース16(光ファイバ17の照射面17a)とカメラ21(レンズ22)との配置関係は、前記照射面からの光が半導体ウェーハ100の外周端面101aにて正反射して進む方向にカメラ21(レンズ22)が配置されるもの(明視野での配置関係)であっても、また、ある範囲内であれば前記光が正反射して進む方向からずれた方向に配置されるもの(暗視野での配置関係)であってもよい。
【0016】
照明ライトガイド灯光部18により光が照射された状態において、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101bの像は、図3及び図4の一点鎖線に示すように、ミラー12の反射面12aで反射し、撮像レンズ22の第1周辺部としての上部へ導かれる。同様に、半導体ウェーハ100の第2外周ベベル面101cの像は、図3及び図4の一点鎖線に示すように、ミラー14の反射面14aで反射し、撮像レンズ22の第2周辺部としての下部へ導かれる。
【0017】
また、照明ライトガイド灯光部18により光が照射された状態において、半導体ウェーハ100の外周端面101aの像は、図3及び図4の一点鎖線に示すように、補正レンズ26へ導かれる。補正レンズ26は、撮像レンズ22と半導体ウェーハ100の外周端面101aとの間に配置されている。補正レンズ26に導かれた半導体ウェーハ100の外周端面101aの像は、撮像レンズ22の中央部へ導かれる。補正レンズ26によって、半導体ウェーハ100の外周端面101aから撮像レンズ22までの光路長と、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101bからミラー12の反射面12aを介した撮像レンズ22までの光路長、及び、半導体ウェーハ100の第2外周ベベル面101cからミラー14の反射面14aを介した撮像レンズ22までの光路長とを一致させることができる。
【0018】
撮影レンズ22に導かれた、半導体ウェーハ100の外周端面101aの像、第1外周ベベル面101bの像、及び、第2外周ベベル面101cの像は、更に、撮像面24に導かれる。撮像面24が焦点位置に配置されることにより、当該撮像面24において、半導体ウェーハ100の外周端面101aの像、第1外周ベベル面101bの像、及び、第2外周ベベル面101cの像が結像される。カメラ21は、撮像面24に結像された像に対応する画像情報をモニタ28へ出力し、当該モニタ28は、入力した画像情報に対応する画像を表示する。
【0019】
次に、照明ライトガイド灯光部18の詳細を説明する。図5は、照明ライトガイド灯光部18が一定の照度分布の光を照射した場合における、撮像面24に結像される像の明度変化を示す図である。図5に示すように、撮像面24に結像される像は、撮像レンズ22における中央部と周辺部との収差等によって、撮像レンズ22の中央部を介して結像される像は明度が高く、撮像レンズ22の周辺部(上部及び下部)を介して結像される像は明度が低いという特性を有する。
【0020】
照明ライトガイド灯光部18は、このような撮像レンズ22の特性に鑑み、照明ライトガイド灯光部18が一定の照度分布の光を照射した場合における、撮像面24に結像される像の明度の関係と逆の関係を有する照度分布の光を照射する。図6は、照明ライトガイド灯光部18によって照射される光の照度分布を示す図である。図6に示すように、照明ライトガイド灯光部18は、配置された複数の光ファイバ17の先端である複数の照射面のうち、中央部に配置される照射面が照射する光、換言すれば、半導体ウェーハ100の外周端面101aに照射される光の照度が、端部に配置される照射面が照射する光、換言すれば、ミラー12の反射面12a及びミラー14の反射面14bを介して半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cに照射される光の照度よりも小さくなるように光を照射する。
【0021】
図7Aは、照明ライトガイド灯光部18における複数の光ファイバ17の先端である複数の照射面の第1の配置例を示す図であり、図7Bは、照明ライトガイド灯光部18における複数の光ファイバ17の先端である複数の照射面の第2の配置例を示す図である。図7A及び図7Bにおいて、範囲A内の照射面17aは半導体ウェーハ100の外周端面101aに光を照射するものであり、範囲B内の照射面17aはミラー12の反射面12a及びミラー14の反射面14bを介して半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cに光を照射するものである。
【0022】
図7Aに示す例では、範囲A及び範囲B双方の照射面17aは等間隔で配置されている。この場合には、中央部に配置された照射面17aによって照射される光の照度を最小とし、端部に向かうにしたがって照射面17aによって照射される光の照度を徐々に大きくし、端部に配置された照射面17aによって照射される光の照度を最大とすることにより、図6に示す照度分布を実現することができる。一方、図7Bに示す例では、照射面17aは、中央部での配置間隔が広く、その配置密度が小さくなっており、端部に向かうにしたがってその配置間隔が狭くその配置密度が高くなっている。この場合には、全ての照射面17aによって照射される光の照度を同一として、図6に示す照度分布を実現することができる。
【0023】
なお、照明ライトガイド灯光部18によって照射される光の照度分布は、必ずしも図6に示すように、撮像面24に結像される像の明度に対して逆の関係である必要はなく、逆の関係に近似するものでもよい。
【0024】
図8Aは、照明ライトガイド灯光部18における複数の光ファイバ17の先端である複数の照射面の第3の配置例を示す図であり、図8Bは、照明ライトガイド灯光部18における複数の光ファイバ17の先端である複数の照射面の第4の配置例を示す図である。図7A及び図7Bに示す場合と同様、図8A及び図8Bにおいて、範囲A内の照射面17aは半導体ウェーハ100の外周端面101aに光を照射するものであり、範囲B内の照射面17aはミラー12の反射面12a及びミラー14の反射面14bを介して半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cに光を照射するものである。
【0025】
図8Aに示す例では、照射面17aの配置間隔は2段階になっており、範囲Aでの配置間隔が広くその配置密度が小さく、範囲Bでの配置間隔が狭くその密度が大きい。この場合には、全ての照射面17aによって照射される光の照度を同一として、図6に近似する照度変化を実現することができる。一方、図8Bに示す例では、範囲A及び範囲B双方の照射面17aは等間隔で配置されている。この場合には、範囲Aの照射面17aによって照射される光の照度を、範囲Bの照射面17aによって照射される光の照度よりも小さくすることにより、図6に近似する照度変化を実現することができる。
【0026】
図7Aに示すように、複数の照射面17aを等間隔で配置して、その中央部に配置された照射面17aによって照射される光の照度を最小とし、端部に向かうにしたがって照射面17aによって照射される光の照度を徐々に大きくし、端部に配置された照射面17aによって照射される光の照度を最大とすること、あるいは、図8Bに示すように、複数の照射面17aを等間隔で配置して、範囲Aの照射面17aによって照射される光の照度を、範囲Bの照射面17aによって照射される光の照度よりも小さくすることは、例えば、以下のように光ファイバ17を引き回すことによって実現される。
【0027】
図9は、光ファイバ17の引き回しの一例を示す図である。図9では、複数の光ファイバ17は、ライトソース16の中央部に接続されるものほど、照明ライトガイド灯光部18における当該光ファイバ17の照射面17aの配置位置が端部になるように引き回されている。このような引き回しとすることで、ライトソース16が、中央部から照射される光の照度が大きく、端部から照射される光の照度が小さいという特性を有する場合に、照明ライトガイド灯光部18において、中央部に配置された照射面17aから照度の小さな光が照射され、端部に配置された照射面17aから照度の大きな光が照射されることになる。
【0028】
また、照明ライトガイド灯光部18における照射面17aの前方には、シリンドリカル平凸レンズ20が配置される(図4参照)。図10は、シリンドリカル平凸レンズの製造工程を示す図である。図10に示すように、シリンドリカル平凸レンズ20は、ガラスやプラスチック等の透明部材の円柱60を、延在方向(円形の第1主面及び第2主面に対して直交する方向)に沿って直線状に切断することにより形成される。
【0029】
図11Aは、ミラー12及び14の傾斜角度の調整機構の一例を示す側面図であり、図11Bは、ミラー12及び14の傾斜角度の調整機構の一例を示す正面図である。図11A及び図11Bに示すように、この調整機構は、支持部32及び34、軸36、37、脚部40、41、42及び43により構成される。
【0030】
支持部32は、ミラー12が取り付けられており、当該ミラー12を支持する。また、支持部32の下部の一端には脚部40が設けられ、他端には脚部41が設けられている。脚部40は軸36に回転自在に取り付けられ、脚部41は軸37に回転自在に取り付けられている。一方、支持部34は、ミラー14が取り付けられており、当該ミラー14を支持する。また、支持部34の上部の一端には脚部42が設けられ、他端には脚部43が設けられている。脚部42は軸36に回転自在に取り付けられ、脚部43は軸37に回転自在に取り付けられている。
【0031】
このような構造によって、ミラー12及び14は、軸36及び37を中心として傾斜角度を自在に調整可能である。ミラー12及び14の傾斜角度の調整によって、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cの像を撮像レンズ22へ導かせることが可能となる。また、支持部32の下部と支持部34の上部との間には隙間44が生じ、当該隙間44に半導体ウェーハ100の端部を配置することによって、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101bの像を確実にミラー12へ導かせることができるとともに、第2外周ベベル面101cの像を確実にミラー14へ導かせることが可能となる。
【0032】
このように、本実施形態の半導体ウェーハ検査装置10は、照明ライトガイド灯光部18が一定の照度分布の光を照射した場合に、撮像レンズ22の中央部を介して撮像面24に結像される半導体ウェーハ100の外周端面101aの像は明度が高く、周辺部を介して撮像面24に結像される半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cの像は明度が低いという特性を有することに鑑み、照明ライトガイド灯光部18が、半導体ウェーハ100の外周端面101aより第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cの方が明るくなるように、外周端面101a、第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cを照明する。
【0033】
図12Aは、従来の半導体ウェーハ検査装置における外周端面、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面の像を示す図、図12Bは、照明ユニットの照度特性を示す図、図12Cは、撮像レンズを介して結像される像の明度特性を示す図、及び図12Dは、画像の明度特性を示す図である。従来は、図12Bに示すように、照明ユニットの照度は中央部が高く、端部に向かうにしたがって低くなるとともに、図12Cに示すように、撮像レンズの中央部を介する像の明度が高く、周辺部に向かうにしたがってその部分を介する像の明度が低くなる。このような照明ユニットの照度特性と撮像レンズを介して結像される像の明度特性とが重畳されることによって、図12Aに示すように、半導体ウェーハ100の外周端面101aの像51は明度が高く、半導体ウェーハ100の第1外周ベベル面101bの像52及び第2外周ベベル面101cの像53は明度が低くなり、これに伴って、図12Dに示すように画像の明度も中央部が高く、端部に向かうにしたがって低くなる。
【0034】
一方、図13Aは、本実施形態の半導体ウェーハ検査装置10における外周端面101a、第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cの像を示す図、図13Bは、照明ライトガイド灯光部18の照度特性を示す図、図13Cは、撮像レンズ22を介して結像される像の明度特性を示す図、及び図13Dは、画像の明度特性を示す図である。従来と同様、図13Cに示すように、撮像レンズ22の中央部を介する像の明度が高く、周辺部に向かうにしたがってその部分を介する像の明度が低くなる。しかし、本実施形態の半導体ウェーハ検査装置10では、図13Bに示すように、照明ユニット16の照度特性が、撮像レンズ22を介して結像される像の明度特性を打ち消すように設定されるため、図13Aに示すように、半導体ウェーハ100の外周端面101aの像51の明度と、第1外周ベベル面101bの像52及び第2外周ベベル面101cの像53は明度とをできるだけ均一にする、換言すれば、所定範囲内とすることができ、これに伴って、図13Dに示すように画像の全体の明度も所定範囲内とすることができる。従って、明度に関する検出条件を単一なものとしても、像51乃至53に明度の過不足が生じることがなく、これら像51乃至53に基づいて、半導体ウェーハ100の外周エッジ部101の状態を適切に検査することが可能となる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、半導体ウェーハ100の外周エッジ部101の状態を検査する場合について説明したが、半導体ウェーハ100と同様に、外周端面、第1外周ベベル面及び第2外周ベベル面からなる外周エッジ部を有する他の板状部材の当該外周エッジ部を検査する場合にも、同様に本発明を適用することができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、照明ライトガイド灯光部18は、一定の照度分布の光を照射した場合に撮像面24に結像される像の明度の関係に対して逆の関係を有する照度分布の光を照射したり、外周端面101aへ照射される光の照度を、第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cへ照射される光の照度より小さくしたが、撮像面24に結像される外周端面101a、第1外周ベベル面101b及び第2外周ベベル面101cの像の明度が所定範囲であれば、照明ライトガイド灯光部18の照度分布は、これらの照度分布に限られることはない。
【0037】
また、上述した実施形態では、半導体ウェーハ検査装置10は、補正レンズ26を有し、照明ライトガイド灯光部18は、シリンドリカル平凸レンズ20を有しているが、これら補正レンズ26及びシリンドリカル平凸レンズ20の一方又は双方を有しない構成であってもよい。また、上述した実施形態では、ライトソース16からの光を、光ファイバ17を介して当該光ファイバ17の先端である照射面17aから照射させたが、これらライトソース16及び光ファイバ17に代えて、照射面の位置に複数の発光ダイオードを配置して、これら発光ダイオードの光を照射させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る表面検査装置は、板状部材の外周エッジ部を適切に検査することを可能であり、表面検査装置として有用である。
【符号の説明】
【0039】
10 半導体ウェーハ検査装置
12、14 ミラー
12a、14a 反射面
16 ライトソース
17 光ファイバ
17a 照射面
18 照明ライトガイド灯光部
19 ハーフミラー
20 シリンドリカル平凸レンズ
21 カメラ
22 撮像レンズ
24 撮像面
26 補正レンズ
28 モニタ
30 ガイドレール
32、34 支持部
36、37 軸
40、41、42、43 脚部
100 半導体ウェーハ
101 外周エッジ部分
101a 外周端面
101b 第1外周ベベル面
101c 第2外周ベベル面
102a 第1主面
102b 第2主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材の第1主面の外縁において傾斜した第1外周ベベル面、前記板状部材の第2主面の外縁において傾斜した第2外周ベベル面、及び、前記板状部材の外周端面を含む外周エッジ部を撮影して検査する表面検査装置であって、
前記板状部材の前記外周エッジ部に対向して配置される撮像レンズと、
前記撮像レンズを挟んで前記板状部材の外周エッジ部と逆側に配置される撮像面と、
前記板状部材の前記第1外周ベベル面の像を前記撮像レンズの第1周辺部を介して前記撮像面に結像させる第1光学部材と、
前記板状部材の前記第2外周ベベル面の像を前記撮像レンズの第2周辺部を介して前記撮像面に結像させる第2光学部材と、
前記板状部材の前記外周端面の像を前記撮像レンズの中央部を介して前記撮像面に結像させる第3光学部材と、
前記外周端面より前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面のそれぞれの方が明るくなるように、前記外周端面、前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面を照明する照明ユニットを有し、
前記照明ユニットは、
光源と、
該光源からの光を導入し、光の照射面としての先端から前記板状部材の前記外周エッジ部に照射する複数の光ファイバとを有し、
前記外周端面より前記第1外周ベベル面及び前記第2外周ベベル面のそれぞれの方が明るくなるように、前記光源からの光を導入する前記複数の光ファイバの先端が配列された表面検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−33068(P2013−33068A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251312(P2012−251312)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2009−512994(P2009−512994)の分割
【原出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】