説明

表面殺寄生生物処方物および処置方法

【課題】1回で容易に適用される表面処方物を用いて、動物における内寄生生物(例えば、肝臓吸虫類および線虫)の広い範囲の制御のために、大環状ラクトンと組み合わせたベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドを効率的に動物の血流に送達することが可能な表面処方物を提供すること。
【解決手段】水性ミセル状処方物であって、該処方物は、水不溶性ベンゾイミダゾール、サリチルアニリドおよびそれらの活性な誘導体または塩から選択される第1活性薬剤を、大環状ラクトンまたはそれらの活性な誘導体もしくは塩から選択される第2活性薬剤と組み合わせて含み、該処方物は、内部寄生生物の制御のための動物への表面適用用であり、そしてまた、処方物1リットルあたり、約100g〜約400gの獣医学的に受容可能な界面活性剤;約200g〜約750gの獣医学的に受容可能な水混和性溶媒;および約50g〜約350gの水を含む、処方物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内寄生生物体および/または外寄生生物体の防除用の、大環状ラクトンと一緒でのベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドの家畜への投与のための処方物、このような処方物を家畜に投与するための方法、ならびに家畜における疾患または寄生生物感染を制御および/または予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜における疾患または寄生生物体感染の処置および/または予防のための有効成分(例えば、治療物質、予防物質および/または生体活性物質)を含む多数の処方物が公知である。このような処方物としては、経口投与のための錠剤および溶液、注射可能溶液、処理された首輪および耳タグ、ならびに表面(topical)手段(注ぎ用(pour−on)処方物およびスポット用(spot−on)処方物が挙げられる)が挙げられる。
【0003】
初期のこのような処方物の多くは、外寄生生物体関連状態の表面処理/予防を意図しており、動物の皮膚および/または毛髪表面上に活性成分を広げるために設計されており、処置される動物の血流中に活性成分を投与することは設計されていなかった。より最近では、家庭用動物(例えば、ヒツジおよびウシ)の血流への特定の活性薬剤(大環状ラクトンが挙げられる)の送達のための殺内寄生生物体用の注ぎ用処方物が開発されており、そしてこれらは、比較的正確な量で動物に対して容易に適用されるという、他の投与形態(例えば、経口ドレンチ(drench)および注射)を超える利点を有する。
【0004】
殺内寄生生物体処置のための公知の注ぎ用処方物およびスポット用処方物は、一般に、有効成分を動物へと投与するために、非水性送達系を利用する。なぜなら、目的の活性成分(特に、大環状ラクトン、レバミゾール塩基、ベンゾイミダゾール)は、実質的に水不溶性であり、そしてこの殺寄生生物が全身吸収されるためには、この殺寄生生物剤の溶解が必要であると考えられたからである。
【0005】
市販の殺外寄生生物体製品は、溶媒ベースの処方物および水性ベースの処方物の両方として入手可能である。水不溶性活性剤は、水性懸濁注ぎ用処方物(例えば、ヒツジ上のシラミの処置のためのデルタメトリン(deltamethrin)(合成ピレスロイド)(Clout S(登録商標),Schering−Plough)およびウシ上のシラミの処置のためのデルタメトリン(Coopers(登録商標)Easy Dose,Schering−Plough)、ならびにヒツジ上のシラミ用のジフルベンズロン(diflubenzuron)(昆虫増殖調節剤、すなわちIGR)(Magnum IGR(登録商標),Schering−Plough))として処方されている。これらの処置は、皮膚層を通っての活性剤の低い浸透性を反映した、処置後の組織に見出される低レベルの活性剤によって特徴付けられる。ヒツジ上のシラミ制御のための、水不溶性IGRであるトリフルムロンを含む溶媒ベースの処方物(例えば、Zapp(登録商標)Bayer)もまた入手可能である。水性ベースの処方物に対して等価な投与割合では、これらの溶媒ベースの処方物は、処置直後に、より高度の組織残存物をもたらす。このことは、水不溶性活性剤が処方物中に溶解された場合に、この水不溶性活性剤がより容易に全身吸収されるという主張を支持する。
【0006】
「水不溶性」によって、有効量の殺内寄生生物剤が、商業的に実行可能な用量の水ベースの注ぎ用処方物中に溶解されるには水溶解性が不十分であることを意味する。実用的には、ある用量の注ぎ用処方物は、1.0mL/10kg体重(適用を容易にするため、および流出を予防するため)よりも多いべきではない。この割合では、500kgの動物は、50mLの用量を受け、それゆえ、2.0mL/10kg用量は実用的ではない。なぜなら、多くの動物は、500kgよりも重いからである。
【0007】
ベンゾイミダゾールおよび大環状ラクトンは、家畜の多数の重要な内寄生生物体(肝臓寄生生物体Fasciola hepaticaおよび線虫(例えば、Cooperia種、Ostertagia種およびTrichostrongylus種)によって引き起こされる、ヒツジおよびウシにおいて最もよく認識されている、急性または慢性の肝臓吸虫類疾患が挙げられる)の処置または予防のための重要なクラスの薬剤である。
【0008】
トリクラベンダゾール(triclabendazole)は、特に有効なベンゾイミダゾールであり、そして全ての段階のFasciola hepaticaに対して現在利用可能な、最も有効な薬物であり、肝臓を通って移動する早期の未成熟吸虫類および未成熟吸虫類、ならびに胆管中の生体吸虫類を破壊する。
【0009】
サリチルアニリド化合物は、内寄生生物(特に、Fasciola hepatica、および線虫(例えば、Haemonchus種))の制御のための、別の重要なクラスの薬剤を形成する。サリチルアニリドオキシクロザニド(オキシクロザニド)は、ウシの腸に移動している成体肝臓吸虫類(Fasciola hepatica)および未成熟Paramphistone、ならびに瘤胃および第二胃における若い吸虫類に対して有効である。オキシクロザニド(オキシクロザニド)は、水に非常に不溶性であり、そして動物に対して、経口投与によって、水性懸濁処方物中で投与される。
【0010】
アベルメクチン、イベルメクチン(ivermectin)を含む商業的殺内外寄生生物体(endectocide)注ぎ用製品(Paramax(登録商標),Schering−Plough,Ivomec(登録商標)Cattle Pour−On,Merial)、モキシデクチン(モキシデクチン)を含む商業的殺内外寄生生物体注ぎ用製品(Cydectin(登録商標),Fort Dodge)およびドラメクチン(ドラメクチン)を含む商業的殺内外寄生生物体注ぎ用製品(Dectomax(登録商標),Pfizer)は、多数の内寄生生物体および外寄生生物体(例えば、シラミ、ハエおよびダニ)制御または予防のためにウシの処置のために現在入手可能である。しかし、これらの処方物は動物において有効成分の有効血液濃度を達成するため、および同じ処置効力を達成するために、代表的には少なくとも2倍多い経口ドレンチ割合を必要とする。例えば、イベルメクチンのウシ用経口溶液(Ivomec(登録商標)Oral Solution for Cattle,Merial,New Zealandにおいて登録)は、200マイクログラムイベルメクチン/kg体重の用量割合を有し、一方、Ivomec(登録商標)Cattle Pour−Onは、500マイクログラムイベルメクチン/kg体重の用量割合を有する。
【0011】
駆虫薬(例えば、トリクラベンダゾール)を用いたウシにおける肝臓吸虫類の処置は、一般的に、商業的製品(例えば、Fasinex(登録商標)120(120g/L トリクラベンダゾール,Novartis)を用いて経口ドレンチによって、および注射(ウシ用Ivomec(登録商標)Plus Antiparasitic Injectionであり、成体肝臓吸虫類も制御するMerial)によって行われる。
【0012】
サリチルアニリド誘導体の注ぎ用処方物またはスポット用処方物は、現在利用可能ではなく、通常は経口ドレンチにより家畜へ投与される。
【0013】
内寄生生物および外寄生生物に対する広い範囲の防御を提供するために、経口投与ではなく、1回の便利な表面適用によって動物の血流に対して、大環状ラクトンと組み合わせた水不溶性化合物(例えば、ベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリド)の効率的な送達することが強く所望される。
【0014】
「効率的な送達」によって、その活性薬剤が、通常の経口投与割合の約2倍までの経口投与割合に近い割合において投与され、有効血液濃度および等価な効力を与えることを意味する。
【0015】
特許文献1(国際公開番号WO00/61068(PCT/NZ00/00053))は、必要に応じて大環状ラクトンと組み合わせたトリクラベンダゾールであって、少なくとも1つの溶媒中に溶解しており、好ましくは、肝臓吸虫類の制御のための注ぎ用処方物として投与される、トリクラベンダゾールを開示する。しかし、提供された効力データ(低い自然感染吸虫類チャレンジ平均20に基づく)は、その処方物が、等価な効力を与えるために、標準経口ドレンチの割合の2.5倍の用量において適用されたことを示す。記載された溶媒のうちの2つ(キシレンおよびトルエン)はまた、引火性が非常に高い。報告された処方物のトリクラベンダゾール含有量は、室温における345日の貯蔵の後に、最初のアッセイよりも7.5%低いが、一方、アバメクチン含有量における減少はない。イベルメクチンの溶媒ベースの処方物は、適当に安定化されない限り、素早く分解し得る。
【0016】
寄生生物の制御のための、サリチルアニリドクロサンテルと大環状ラクトンイベルメクチンとの溶媒ベースの表面投与処方物は、特許文献2(米国特許第6,340,672号)に記載されている。この文書の実施例において記載される活性薬剤の最大濃度は、イベルメクチンについて0.5%w/vであり、クロサンテルについて5%w/vである。これらの濃度において、(実用的な観点から)受容できない大きな体積の処方物は、これらの活性薬剤の有効血液濃度を達成するために、動物に注がれる必要がある。
【0017】
特許文献3(WO 00/74489(PCT/NZ00/00087))は、生物致死性組成物を開示し、それには、乳化剤を用いて安定化された油中水型(大豆)乳濁液である注ぎ用処方物を含む。その処方物は、水不溶性駆虫薬、レバミゾール(塩酸塩として)、および大環状ラクトン(アバメクチンまたはイベルメクチン)、必要に応じてベンゾイミダゾール(オクフェンダゾール(oxfendazole))との組み合わせを含む。この文書に開示される処方物において、ごく低いレベルのベンゾイミダゾール(経口ドレンチ処方物において5%w/vまでのオクフェンダゾール)が存在し、ベンゾイミダゾール(2.26%w/v オクフェンダゾール)および大環状ラクトン(0.1%w/v アバメクチン)を含有するただ1つの注ぎ用処方物が開示される。この注ぎ用処方物は、ウシの血流に経口ドレンチ投与と同様の効率でレバミゾールを送達するように記載される一方、大環状ラクトンおよびベンゾイミダゾールは、低い効率で送達され、商業的に非実用的な体積のこの処方物が、これらの活性剤の有効血液濃度を達成するために動物へ適用されることが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第00/61068号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,340,672号明細書
【特許文献3】国際公開第00/74489号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
(発明の目的)
1回で容易に適用される表面処方物を用いて、動物(例えば、ヒツジおよびウシ)における内寄生生物(例えば、肝臓吸虫類および線虫)の広い範囲の制御のために、大環状ラクトンと組み合わせたベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドを効率的に動物の血流に送達することが可能な表面処方物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要旨)
大環状ラクトンと組み合わせたベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドが、安定な水性ミセル状組成物中に処方され得、これは、動物に対して表面的に適用される場合、それは、所望される活性成分を動物の血流へ効率的に送達し、そして内寄生生物(例えば、肝臓吸虫類および線虫)によって外寄生に対する効果的な防御を提供することが、驚いたことに現在までに見出されている。
【0021】
従って、本発明は、ベンゾイミダゾール、サリチルアニリドおよびそれらの活性な誘導体または塩から選択される第1活性薬剤を、大環状ラクトンまたはそれらの活性な誘導体または塩から選択される第2活性薬剤と組み合わせて含む水性ミセル状処方物を提供し、この処方物は、内部寄生生物の制御のための動物への表面適用用であり、そしてまた、処方物1リットルあたり、以下:
約100g〜約400gの獣医学的に受容可能な界面活性剤;
約200g〜約750gの獣医学的に受容可能な水混和性溶媒;および
約50g〜約350gの水
を含む。
【0022】
驚いたことに、本発明の水性ミセル状処方物の安定性が、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))および/または緩衝剤(例えば、可溶性ホスフェートおよび/または二塩基性ホスフェート)から選択される安定剤を含むことにより改善され得ることもまた、見出されている。
【0023】
従って、本発明の好ましい局面において、水性ミセル状処方物は、アニオン性界面活性剤もしくは緩衝剤、またはそれらの混合物から選択される安定剤を含む。好ましくは、その安定剤は、直鎖状アルキルスルフェート(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)もしくは1以上のホスフェート/二塩基性ホスフェート、またはそれらの混合物である。
【0024】
好ましい実施形態において、大環状ラクトンと組み合わせたベンゾイミダゾールを含む水性ミセル状処方物が提供され、この処方物は内部寄生生物の制御のための動物への表面適用用であり、そしてまた、処方物1リットルあたり、以下:
約100g〜約300gのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;
約300g〜約650gの、アルキレングリコールモノアルキルエーテルもしくはジアルキレングリコールモノアルキルエーテルまたはそれらの組み合わせから選択されるアルキレングリコールエーテル;
約10g〜約100gのポリエチレングリコール;
約5g〜約50gの安定剤;および
約50g〜約350gの水
を含む。
【0025】
この実施形態の特定の好ましい局面において、その処方物は、処方物1リットルあたり、以下:
約180g〜約240gのベンゾイミダゾール;
約7.5g〜約20gの大環状ラクトンまたはその活性な誘導体もしくは塩;
約150g〜約250gのポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート;
約450g〜約550gのジエチレングリコールモノブチルエーテル;
約20g〜約50gのPEG 200;
約20gのドデシル硫酸ナトリウム;および
約100g〜約200gの水
を含む。
【0026】
本発明はまた、哺乳動物における罹病した状態または寄生生物体に外寄生された状態を処置または予防する方法であって、この方法は、この哺乳動物に、本発明に従ってミセル状処方物を表面投与する工程を包含する方法も、提供する。
【0027】
代表的には、罹病した状態または外寄生された状態は、肝臓吸虫類(例えば、Fasciola hepaticaによって引き起こされる)、および線虫(例えば、Cooperia、Ostertagia、TrichostrongylusおよびHaemonchus種)またはそれらの組み合わせに関する。
【0028】
さらにより代表的には、処置されるか、または予防される罹病した状態もしくは外寄生された状態は、ウシまたはヒツジ(より代表的には、ウシ)の疾患もしくは外寄生された状態である。
【0029】
驚いたことに、この処方物の表面投与の領域の位置および大きさが、皮膚を超えた血流への活性薬剤の浸透の効率のために重要であることが見出された。
【0030】
従って、処置の方法の好ましい局面において、その処方物は、前記哺乳動物の背中の下部分に沿ったバンド中で適用される。
【0031】
好ましくは、動物の血流への活性薬剤の送達の効率を最大にするために、その処方物は処方物の流出を回避しながらも、この動物に可能な限り小さな領域上に適用されて、その結果、動物表面1cmあたりの活性薬剤の濃度を最大にする。
【0032】
処置の方法の別の好ましい局面において、その処方物は、動物の背中に噴霧される。
【0033】
処置される動物がウシの場合、その処方物は、好ましくは背中の平らな部分に対して適用され、代表的には、動物の下の3分の1であり、そして最も代表的には、その動物の胸椎から始まって臀部に向かって進んで適用される。代表的には、約24mgのベンゾイミダゾール/サリチルアニリドおよび約1.5mgの大環状ラクトンが、動物1キログラムあたり適用される。代表的には、適用される処方物のバンドは、約5cm〜約15cmの幅であり、動物の大きさに依存して、約20cm〜約40cmの長さである。さらにより代表的には、その処方物は、動物の背中に噴霧され、動物の背中に対する噴霧の供給源の高さは、約5cm〜10cmに維持される。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1)
水性ミセル状処方物であって、該処方物は、水不溶性ベンゾイミダゾール、サリチルアニリドおよびそれらの活性な誘導体または塩から選択される第1活性薬剤を、大環状ラクトンまたはそれらの活性な誘導体もしくは塩から選択される第2活性薬剤と組み合わせて含み、該処方物は、内部寄生生物の制御のための動物への表面適用用であり、そしてまた、処方物1リットルあたり、以下:
約100g〜約400gの獣医学的に受容可能な界面活性剤;
約200g〜約750gの獣医学的に受容可能な水混和性溶媒;および
約50g〜約350gの水
を含む、処方物。
(項目2)
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはその組み合わせから選択される、項目1に記載の処方物。
(項目3)
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートである、項目2に記載の処方物。
(項目4)
前記水混和性溶媒が、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、グリコールエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、またはこれらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物から選択される、項目1のいずれかに記載の処方物。
(項目5)
前記グリコールエーテルのうちの1以上が、アルキレングリコールモノアルキルエーテルまたはジアルキレングリコールモノアルキルエーテルから選択される、項目4に記載の処方物。
(項目6)
前記グリコールエーテルのうちの1以上が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される、項目5に記載の処方物。
(項目7)
グリコールエーテルおよび液体ポリエチレングリコールを水混和性溶媒として含む、項目4に記載の処方物。
(項目8)
前記ポリエチレングリコールが、PEG200である、項目7に記載の処方物。
(項目9)
処方物1リットルあたり約5g〜約50gの安定剤をさらに含み、該安定剤が、直鎖状アニオン性界面活性剤、緩衝剤およびそれらの混合物から選択される、項目1に記載の処方物。
(項目10)
前記安定剤が、直鎖状アルキルスルフェート、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートおよびホスフェート、またはそれらの混合物から選択される、項目9に記載の処方物。
(項目11)
前記安定剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、項目10に記載の処方物。
(項目12)
処方物1リットルあたり約100g〜約300gの界面活性剤を含む、項目1に記載の処方物。
(項目13)
処方物1リットルあたり約300g〜約650gの水混和性溶媒を含む、項目1に記載の処方物。
(項目14)
前記処方物が、処方物1リットルあたり約10g〜約100gの液体ポリエチレングリコールを水混和性溶媒として含む、項目1に記載の処方物。
(項目15)
アルキレングリコールモノアルキルエーテルまたはジアルキレングリコールモノアルキルエーテルから選択される約450g〜約550gのグリコールエーテル、および処方物1リットルあたり1以上の水混和性溶媒として約20g〜約50gの液体ポリエチレングリコールを含む、項目13に記載の処方物。
(項目16)
処方物1リットルあたり約150gの水を含む、項目1に記載の処方物。
(項目17)
処方物1リットルあたり約120g〜約300gのベンゾイミダゾールまたはその誘導体を含む、項目1に記載の処方物。
(項目18)
前記第1活性薬剤が、トリクラベンダゾールである、項目16または項目17に記載の処方物。
(項目19)
処方物1リットルあたり約7.5g〜約20gの大環状ラクトンを含む、項目1に記載の処方物。
(項目20)
処方物1リットルあたり約15gの大環状ラクトンを含む、項目19に記載の処方物。
(項目21)
前記大環状ラクトンがイベルメクチンである、項目19または項目20に記載の処方物。
(項目22)
処方物1リットルあたり、以下:
約180g〜約240gのベンゾイミダゾール;
約7.5g〜約20gの大環状ラクトンまたはその活性な誘導体もしくは塩;
約150g〜約250gのポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート;
約450g〜約550gのジエチレングリコールモノブチルエーテル;
約20g〜約50gのPEG200;
約10g〜約30gのドデシル硫酸ナトリウム;および
約100g〜約200gの水
を含む、項目1に記載の処方物。
(項目23)
1リットルあたり約240gのトリクラベンダゾールおよび約15gのイベルメクチンを含む、項目22に記載の処方物。
(項目24)
哺乳動物における罹病した状態または寄生生物体に外寄生された状態を処置または予防する方法であって、該哺乳動物に、項目1または項目22に記載のミセル状処方物を表面投与する工程であって、ここで、該罹病した状態または寄生生物体に外寄生された状態は、哺乳動物における肝臓吸虫類の感染もしくは外寄生、線虫の感染もしくは外寄生、または肝臓吸虫類および線虫の両方の感染もしくは外寄生を含む、方法。
(項目25)
前記哺乳動物が、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタおよびウマから選択される、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記表面適用が、前記哺乳動物の背中の下部分に沿ったバンド中での前記処方物の適用を包含する、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記処方物が、該処方物の流出を回避して、動物表面1cmあたりの活性薬剤の濃度を最大にしながらも、前記哺乳動物に可能な限り小さな領域上に適用される、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記処方物のバンドが、前記動物の胸椎から始まって臀部に向かって進んで適用され、そして動物1キログラム当り約18mg〜約24mgのトリクラベンダゾールおよび約0.75mg〜約2mgのイベルメクチンが適用される、項目26に記載の方法。
(項目29)
動物1キログラムあたり約24mgのトリクラベンダゾールおよび約15mgのイベルメクチンが適用される、項目28に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書で用いられるとき、用語「処置(treating)または予防(preventing)」は、罹病した状態もしくは症状または外寄生された状態もしくは症状を治療するか、あるいはさもなければ、どんな方法であれ、疾患/外寄生または他の所望されない症状の進行を予防するか、妨げるか、遅らせるか、または無効にする任意の用途およびすべての用途をいう。「外寄生」および相当する派生語は、内寄生生物および/または外寄生生物による外寄生に関する。
【0035】
「有効量」は、本明細書で言われるとき、所望される効果を提供するために適切な非毒性の治療量の活性薬剤または予防量の活性薬剤を含む。「有効量」は、被験体毎に異なり、たくさんの因子(例えば、投与される特定の薬剤、処置される状態の型および/または重症度、処置される種、被験体の体重、年齢、および一般的状態、ならびに投与形態)のうちの1つ以上に依存する。任意のある場合について、適切な「有効量」は、当業者によって、慣習的な実験を用いるだけで決定され得る。多くの公知の活性薬剤について、広範な文献もまた、例えば、製造カタログ、インターネット、科学学術誌、および特許文献を通じて利用可能であり、それらは、標的動物に対する投与についての有効量を含む。
【0036】
代表的には、「有効量」は、1以上の以下のものをもたらすために十分な活性薬剤の量を言及する:疾患/外寄生の程度における後転/減少;疾患/外寄生の増殖もしくは進行の阻害;疾患/外寄生の増殖もしくは進行の休止;疾患/外寄生の予防;疾患/外寄生が課す不快感の軽減;または疾患を有する動物の寿命の延長。
【0037】
本明細書で用いられるとき、用語「約」は、処方物の成分濃度の文脈において、代表的には、言及した値の+/−5%を意味し、より代表的には言及した値の+/−4%、より代表的には言及した値の+/−3%、より代表的には言及した値の+/−2%、さらにより代表的には言及した値の+/−1%、およびさらにより代表的には言及した値の+/−0.5%を意味する。
【0038】
本明細書で用いられるとき、用語「含む(comprising)」は、「主に含むが、必ずしも単独でない」ことを意味する。単語「含む(comprising)」の変形物(例えば、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)は、対応して類似の意味を有する。
【0039】
(発明の詳細な説明)
(水性ミセル状処方物)
本発明は、内寄生生物(例えば、肝臓吸虫類および線虫)の効果的な制御のために、ベンゾイミダゾール/サリチルアニリドおよび大環状ラクトンの両方を動物の血流へ効果的に送達するために、疎水性活性薬剤(例えば、ベンゾイミダゾールおよびサリチルアニリド)が、治療量の大環状ラクトンと一緒に表面投与用処方物中に提供され得るという知見に基づく。本研究によって、哺乳動物の血流への活性薬剤の送達の効率は、処方物の適用の表面位置により影響され、活性薬剤が適用される皮膚の領域および/または増大した濃度の活性薬剤を有する処方物の使用を最小にするということもまた見出されている。本発明の処方物は、驚くことに、1以上の大環状ラクトンと組み合わせた増大した濃度のベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドが、表面投与によって哺乳動物の血流へ活性薬剤を効率的に送達するために、単一組成物の中に提供されることを可能にする。
【0040】
この処方物は、水性ミセル状組成物であって、増大したレベルの活性薬剤を含み、この処方物1リットルあたり、以下:
約100g〜400gの獣医学的に受容可能な界面活性剤;
200g〜750gの獣医学的に受容可能な水混和性溶媒;および
約50g〜350gの水
を含む。
【0041】
有利に、この界面活性剤は、非イオン性であり、そして、ソルビタンエステル、ポリオキシアルキル化ソルビタンエステル、ポリオキシアルキル化アルキルエーテル、ポリオキシアルキル化脂肪アルコール、ポリオキシアルキル化脂肪酸、ポリアルキレングリコールエステル、ヒマシ油のポリオキシアルキル化誘導体、ポリグリセロールエステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー;アミンエトキシレート;アルキルフェノールエトキシレート;アルキル多糖類; またはその組み合わせから選択される一方、界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート;C12〜C16アルコールスルフェート;C12アルコキシポリエタンオキシスルフェート;アルキルホスフェートおよびホスホネートまたはそれらの組み合わせから選択されるアニオン性界面活性剤であり得るか、またはこれらを含み得る。
【0042】
好ましい界面活性剤は、ポリオキシアルキル化脂肪アルコールおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルもしくはポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルまたはそれらの組み合わせから選択され、そして特に好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタン一脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルである。
【0043】
一般に、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Ecoteric(登録商標)シリーズ(Huntsman)のもの)が好ましい。特に好ましいポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Ecoteric(登録商標)T 20)およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Ecoteric(登録商標)T 80)である。
【0044】
代表的には、ポリオキシ化脂肪アルコールは、天然アルコールまたは合成アルコールのポリアルキレンオキシド誘導体、および合成アルコールのポリアルキレンオキシド誘導体であり、例えば、Teric(登録商標)シリーズ(Huntsman)によって提供されるものが好ましい。特に好ましいのは、Tric(登録商標)BL8である。
【0045】
一般には、処方物において用いられる界面活性剤の量は、処方物の総量に基づいて、約100g/L〜約400g/L、代表的には約100g/L〜約300g/L、より代表的には約150g/L〜約300g/L、さらにより代表的には約150g/L〜約250g、およびさらにより代表的には約175g/L〜約225g/Lの界面活性剤の範囲であり、好ましくは約200g/Lである。
【0046】
その水混和性溶媒は、エタノール;イソプロパノール;ベンジルアルコール;グリコールエーテル;液体ポリオキシエチレングリコール;またはこれらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物から選択され得る。
【0047】
特に好ましい水混和性溶媒は、グリコールエーテルであり、特に液体ポリエチレングリコールと組み合わせたグリコールエーテルある。特に好ましいポリエチレングリコールは、PEG 200である。
【0048】
一般に、そのグリコールエーテルは、アルキレングリコールアルキルエーテルであり、これとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(Glysolv PM(登録商標)、Huntsman)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Ethyl di Glysolv(登録商標)、Huntsman)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Butyl di Glysolv(登録商標)またはButyl Digol(登録商標)、Huntsman)、およびジエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。特に好ましいグリコールエーテルは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Ethyl di Glysolv(登録商標))および/またはジエチレングリコールモノブチルエーテル(Butyl di Glysolv(登録商標)またはButyl Digol(登録商標))である。
【0049】
一般に、処方物において用いられる水混和性溶媒の量は、処方物の総量に基づいて、約200g/L〜約750g/L、代表的には約300g/L〜約650g/L、より代表的には約300g/L〜約550g/Lおよびさらにより代表的には約400g/L〜約550g/L、好ましくは約450g/L〜約550g/Lの範囲であるが、用いられる特定の溶媒およびミセル状処方物に含まれる活性薬剤の量に依存して異なる。
【0050】
本発明の好ましい局面に従って、その処方物がグリコールエーテルと液体ポリエチレングリコールとの両方を含む場合、処方物において用いられるグリコールエーテルの量は、処方物の総量に基づいて、代表的には約350g/L〜約650g/L、より代表的には約400g/L〜約600g/Lおよびさらにより代表的には約450g/L〜約550g/L、好ましくは約450g/L〜約500g/Lの範囲である。処方物において用いられる液体ポリエチレングリコールの量は、処方物の総量に基づいて、代表的には約10g/L〜約100g/L、より代表的には約20g/L〜約70g/L、さらにより代表的には約20g/L〜約50g/Lの範囲であり、好ましくは約30g/Lである。
【0051】
一般に、処方物において用いられる水の量は、処方物の総量に基づいて、約50g/L〜約350g/L、代表的には約100g/L〜約300g/L、より代表的には約100g/L〜約250g/L、およびさらにより代表的には約150g/L〜約200g/Lの範囲であり、好ましくは約150g/Lである。
【0052】
適切なベンゾイミダゾールの例としては、以下が挙げられる:2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール(チアベンダゾールとして公知);[5−(プロピルチオ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(アルベンダゾールとして公知);[5−(プロピルスルフィニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(アルベンダゾールスルホキシド(albendazole sulfoxide)またはアルベンダゾールオキシド(albendazole
oxide)として公知);[2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル]カルバミン酸1−メチルエチルエステル(カンベンダゾール(cambendazole)として公知);[5−(フェニルチオ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(フェンベンダゾールとして公知);(5−ベンゾイル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)カルバミン酸メチルエステル(メベンダゾールとして公知);[5−(フェニルスルフィニル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(オクフェンダゾールとして公知);(5−プロポキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)カルバミン酸メチルエステル(オキシベンダゾール(oxibendazole)として公知);[5−(N−ブチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(パーベンダゾールとして公知);メチル5−シクロプロピルカルボニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルカルバメート(シクロロベンダゾール(cyclobendazole)として公知);メチル5−(4−フルオロベンゾイル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルカルバメート(フルベンダゾールとして公知);5−クロロ−6−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−(メチルチオ)−ベンゾイミダゾール(トリクラベンダゾールとして公知);および[5−(4−フルオロ−フェニルスルホニルオキシ)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル(ルクサベンダゾール(luxabendazole)として公知)。
【0053】
ベンゾイミダゾール駆虫剤は、ヒツジにおけるHaemonchus、Ostertagia、Trichostrongylus、Nematodirus、Cooperia、Bunostomum、Strongyloides、Trichuris、Oesophagostomum、Chabertia、Dictyocaulus、MonieziaおよびFasciola、ならびにウシにおけるHaemonchus、Ostertagia、Trichostrongylus、Nematodirus、Cooperia、Bunostomum、Capillaria、Strongyloides、Trichuris、Oesophagostomum、Chabertia、Dictyocaulus、MonieziaおよびFasciolaの1以上に対して活性がある。
【0054】
ベンゾイミダゾールとして特に好ましいのは、トリクラベンダゾールである。
【0055】
家畜におけるFasciola種およびHaemonchus種の制御用に用いる、適切なサリチルアニリド化合物の例としては、オキシクロザニド(3,3’,5,5’,6−ペンタクロロ−2’−ヒドロキシサリチルアニリド)、クロサンテル(5’−クロロ−4’−(4−クロロ−α−シアノベンジル)−3,5−ジヨードサリチル−o−トルイジド)、ラフォクサニド(rafoxanide)(3’−クロロ−4’−(4−クロロフェノキシ)−3,5−ジヨードサリチルアニリド)、およびニクロサミド(niclosamide)(2’,5−ジクロロ−4’−ニトロサリチルアニリド)、ならびにクリオキサニド、ブロチアニドおよびブロモキサニドが挙げられる。
【0056】
サリチルアニリド誘導体、および家畜における内寄生生物の制御のためのそれらの使用は、例えば、米国特許第3,914,418号;同第3,927,071号;同第3,989,826号;同第4,005,218号;および同第4,025,647号、J.H.Arundel、University of Sydneyによる「Veterinary Anthelmintics」、Post Graduate Foundation in Veterinary Science、ならびにMerck Veterinary Manual(http://www.merckvetmanual.com/mvm/index.jsp?cfile=htm/bc/191415.htm)において記載されている。
【0057】
オキシクロザニドは、本発明に従う処方物で用いるために特に好ましいサリチルアニリドである。
【0058】
代表的には、その大環状ラクトンは、イベルメクチン(EP 295117において記載された、22,23−ジヒドロアベルメクチンB)、アバメクチン、アベルメクチンA1a、アベルメクチンA1b、アベルメクチンA2a、アベルメクチンA2b、アベルメクチンB1a、アベルメクチンB1b、アベルメクチンB2a、およびアベルメクチンB2bからなる群より選択される。代表的には、大環状ラクトンはまた、天然に存在するアベルメクチンの活性誘導体(例えば、25−置換基において、イソプロピル基または(S)−sec−ブチル基以外の基を有する誘導体)から選択され得、例えば、欧州特許出願0214731、0284176、0308145、0317148、0335541および0340832において記載される。代表的には、本発明の第1の局面の大環状ラクトンとしてはまた、モキシデクチン(および欧州特許公開番号259779Aに開示される誘導体)、ドラメクチンおよびそのアナログ(欧州特許公開番号0214731Bに記載)、セラメクチン(selamectin)、エプリノメクチン、ミルベマイシン(ミルベマイシンオキシム、ミルベマイシン D(抗生物質B41D)およびそのアナログ(米国特許第3,950,360号に記載)を含む)ならびにネマデクチン(欧州特許公開番号170006Aに記載)が挙げられ得る。
【0059】
大環状ラクトンの駆虫剤は、ヒツジにおけるHaemonchus、Ostertagia、Trichostrongylus、Nematodirus、Cooperia、Strongyloides、Trichuris、Oesophagostomum、ChabertiaおよびDictyocaulus、ならびにウシにおけるHaemonchus、Ostertagia、Trichostrongylus、Nematodirus、Cooperia、OesophagostomumおよびDictyocaulusの1以上に対して活性である。
【0060】
大環状ラクトンとして特に好ましいのは、イベルメクチンである。
【0061】
一般に、存在する場合、この処方物において用いられるベンゾイミダゾールの量は、処方物の総量に基づいて、約90g/L〜約360g/L、代表的には約90g/L〜約300g/L、より代表的には約150g/L〜約300g/L、さらにより代表的には約180g/L〜約270g/L、およびさらにより代表的には約180g/L〜約240g/Lの範囲であり、好ましくは約240g/Lである。一般に、体重1kgあたり、約9mg〜約36mg、代表的には約9mg〜約30mg、より代表的には約15mg〜約30mg、さらにより代表的には約18mg〜約27mg、およびさらにより代表的には18mg〜約24mg、好ましくは約24mgのベンゾイミダゾールが、一回の投与において哺乳動物に表面的に適用される。
【0062】
一般に、存在する場合、処方物において用いられるサリチルアニリドの量は、処方物の総量に基づいて、約125g/L〜約500g/L、代表的には約160g/L〜約375g/L、より代表的には約200g/L〜約350g/L、さらにより代表的には約250g/L〜約350g/L、およびさらにより代表的には約300g/L〜約330g/Lの範囲であり、好ましくは約330g/Lである。一般に、体重1kgあたり、約12.5mg〜約50mgのオキシクロザニド、代表的には約16mg〜約37.5mg、より代表的には約20mg〜約35mg、さらにより代表的には約25mg〜約35mg、およびさらに代表的には約30mg〜約35mg、好ましくは約33mgのサリチルアニリドが、一回の投与において哺乳動物に表面的に適用される。
【0063】
一般に、処方物において用いられる大環状ラクトンの量は、処方物の総量に基づいて、約2.5g/L〜約25g/L、代表的には約4g/L〜約20g/L、より代表的には約7.5g/L〜約20g/Lおよびさらにより代表的には約7.5g/L〜約15g/Lの範囲であり、好ましくは約15g/Lである。一般に、体重1kgあたり、約0.25mg〜約2.5mg、代表的には約0.4〜約2.0mg、より代表的には約0.75mg〜約2.0mg、さらにより代表的には約0.75mg〜約1.5mg、好ましくは約1.5mgの大環状ラクトンが、一回の投与において哺乳動物に表面的に適用される。
【0064】
有利に、本発明に従う水性ミセル状処方物はまた、安定剤を含む。好ましくは、その安定剤は、アニオン性界面活性剤(例えば、直鎖状アルキルスルフェート(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(例えば、カルシウムドデシルベンゼンスルホネート))および緩衝剤から選択され、代表的には、可溶性一塩基ホスフェートおよび/または二塩基性ホスフェートから選択される。
【0065】
ドデシル硫酸ナトリウムは、代表的には、処方物中で安定剤として用いられ、処方物の総量に基づいて、約10g/L〜約30g/L、より代表的には約10g/L〜約20g/Lの範囲で安定剤として用いられる;ホスフェートは、処方物の総量に基づいて、代表的には約1g/L〜約10g/L、より代表的には約1g/L〜約5g/L、およびより代表的には約1g/L〜2g/Lの範囲で処方物中に用いられる。
【0066】
その水性ミセル状処方物はまた、そのミセル状処方物を不安定化しないという条件で、1以上のさらなる獣医学的賦形剤を含み得る。
【0067】
処方物の調製に使用するための獣医学的に受容可能な賦形剤は、例えば、以下を含み得る:さらなる溶媒(例えば、グリコールエーテルエステルを含む水不混和性溶媒);粘度調整剤/懸濁剤(例えば、ゼラチン)、植物性ゴム(例えば、キサンタンガム)、セルロース誘導体(例えば、微結晶性セルロース、アニオン性もしくは非イオン性のセルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース))、ヒュームドシリカ(fumed silica)(コロイド状二酸化ケイ素)、またはポリビニルピロリドンポリマー、およびケイ酸アルミニウムマグネシウム(例えば、VEEGUM(登録商標)(R.T.Vanderbilt))、ならびにこれらの混合物。
【0068】
獣医学的に受容可能な適切なアジュバントの例としては、色素が挙げられる。
【0069】
色素は、処置された哺乳動物が、処置されていないものから区別されるのを可能にする。染料は、キャリアの中に溶解され得るか、懸濁され得るか、または分散され得る。着色剤の性質は重要ではなく、広い範囲の適切な色素および染料が当業者に公知である。その着色剤は、水に可溶であり得るか、また不溶であり得る。しかし、一般に、その染料は、生分解性であり、それゆえ、色あせて、皮膚または羊毛を永続的に標識することがない。適切な色素剤のいくつかの例としては、以下が挙げられる:FD&C Brilliant Blue No.1(Brilliant Blue FCF,Hexacol Brilliant Blue)、およびFast Scarlet Pigment 3610。
【0070】
(本発明のミセル状処方物の調製のためのプロセス)
本発明に従うミセル状処方物は、当業者に公知の方法および技術によって調製され得る。
【0071】
代表的には、その処方物は、単純なプロセスを用いて作製され得る。
【0072】
(工程1)
総体積の80%の水混和性(不燃性)溶媒および界面活性剤を製造容器に入れる。40℃〜75℃に加熱する(可燃性溶媒(例えば、エタノールおよびイソプロパノール)は、主要な水混和性溶媒として加えられようと、または微量成分として加えられようと、室温において用いられるべきである)。
【0073】
(工程2)
ベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドを、溶解するまで持続的に攪拌および加熱しながら、増やしながら加える。
【0074】
(工程3)
溶解するまで攪拌しながら、連続的に水を加え、必要に応じて安定剤または色素を加える。
【0075】
(工程4)
持続的に攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0076】
(工程5)
溶解するまで攪拌しながら、増やしながら大環状ラクトンを加える(可燃性溶媒(例えば、エタノールまたはイソプロパノール)が共溶媒として加えられる場合もまた、ここで加えられるべきである)。
【0077】
(工程6)
残った溶媒を、体積まで加える。
【0078】
(疾患または外寄生の処置および/または予防の方法)
本発明に従う処方物は、哺乳動物(代表的には、家畜(例えば、ヒツジもしくはウシ))における内寄生生物による疾患もしくは外寄生の処置および/または予防のために、その処方物を哺乳動物の背中に適用することよって用いられ得る。制御され得る重要な疾患/外寄生としては、ヒツジおよびウシにおける肝臓吸虫類、線虫およびシラミ、ならびにウシにおける水牛ハエ(buffalo fly)およびダニが挙げられる。
【0079】
処置された哺乳動物の血流への活性薬剤の最適な取り込みは、この処方物が動物の背中の平らな部分(その領域は、およそ動物の胸椎の位置)から始まり、動物の臀部に向かって進む領域に適用された場合に生じ、および効果的に、結果として哺乳動物の背中の下の3分の1への処方物の適用になったことが見出された。この適用の方法は、頸部から始まる適用よりも、顕著により効果的であることが見出された。
【0080】
哺乳動物の血流へ活性薬剤を送達する効率は、処方物が適用される表面積が最小の場合に最も高く、処方物の流出を回避して、動物表面1cmあたりの活性薬剤の濃度を最大にすることもまた見出され、代表的には、ウシについて約100cm〜約400cm、およびヒツジについて約100cmの領域をカバーする。
【0081】
代表的には、その処方物は、哺乳動物の背中に噴霧により適用され、好ましくは、その哺乳動物の背中に対して一定の高さから噴霧される。
【0082】
ウシについて、処方物のバンドは、代表的には動物の胸椎から始まって臀部に向かって進んで適用される。代表的には、動物の1キログラムあたり約18mg〜約24mgのベンゾイミダゾールおよび約0.75mg〜約2.0mgの大環状ラクトンが適用される。より代表的には、トリクラベンダゾールおよびイベルメクチンが、処方物中に含まれる活性薬剤の場合、動物1キログラムあたり約18mg〜約24mg(好ましくは約24mg)のトリクラベンダゾールおよび約0.75mg〜約2.0mg(好ましくは約1.5mg)のイベルメクチンが適用される。好ましくは、この量の活性薬剤は、動物1キログラムあたり約0.05mL〜約0.1mL、および約5cm〜約15cmの幅のバンドで哺乳動物に適用される。代表的には1頭あたり約100cm〜約180kgの体重の離乳した子ウシにおいては、約10mL〜約18mLの処方物を動物の背中に、胸椎から始まって動物の臀部に向かって進んで噴霧することによって、良い結果が得られた。その噴霧は動物の背中に対して約15cmの一定の高さから行われ、適用された処方物のバンドは、約10cm〜約15cmの幅かつ約20cmの長さという結果になった。
【0083】
本発明の好ましい形態は、現在、実施例のみによって、比較のデータを含む続く実施例を参照して説明され、それらは決して、本発明の範囲または精神を制限すると受け取られない。
【実施例】
【0084】
(実施例1 水性ミセル状処方物、およびそれらの調製のためのプロセス)
【0085】
【化1】

【0086】
【化2】

【0087】
【化3】

本発明に従う他の安定な水性ミセル状処方物は、実施例2および実施例3において記載される。
【0088】
この処方物は、以下の手順によって調製された:
(工程1)
総体積の80%の水混和性溶媒および界面活性剤を製造容器に入れる。攪拌しながら40℃〜75℃に加熱する。
【0089】
(工程2)
ベンゾイミダゾールまたはサリチルアニリドを、溶解するまで持続的に攪拌および加熱しながら、増やしながら加える。
【0090】
(工程3)
溶解するまで攪拌しながら、連続的に水を加え、必要に応じて安定剤または色素を加える。
【0091】
(工程4)
持続的に攪拌しながら、室温まで冷却する。
【0092】
(工程5)
溶解するまで攪拌しながら、増やしながら大環状ラクトンを加える。
【0093】
(工程6)
残った溶媒を、体積まで加える。
【0094】
(実施例2 薬物動態学研究)
(材料および方法)
本発明に従った処方物を、ベンゾイミダゾールおよび大環状ラクトンを哺乳動物(ウシ)の血流に送達するそれらの効力について試験した。そして、それらの薬剤を動物の血流に送達する効力を、標準的な市販のドレンチ(Fasinex 120(登録商標))と実験の溶媒ベースのトリクラベンダゾール/イベルメクチン注ぎ用処方物とによって比較した。
【0095】
ウシ(代表的には、ヘレフォードまたはヘレフォード交配種)を、自然的にか、または人工的のどちらかで吸虫類および線虫の負荷に感染させ、囲いの中かつ野外実験において用いた。所定の試験動物の中で、各々類似の平均体重ならびに吸虫類および線虫の負荷を有する処置群に割り当てた。実験の処置は、バックライン(backline)に沿って、プラスチックの覆いを取り付けた市販のバックライナーガン(backliner gun)を用いて適用し、このプロトコルに従った処方物の正確な送達を確実にした。
【0096】
血液サンプル(血漿)を、設定された時間間隔において、頚静脈の静脈穿刺により採取した。血漿におけるトリクラベンダゾールおよびイベルメクチンの残りについての分析を行い、商業的契約研究所により報告した。
【0097】
イベルメクチンをアセトニトリルを用いて血漿から抽出し、蒸発によって濃縮した。そのサンプルを、固相抽出(SPE)クロマトグラフィーによって洗浄し、蛍光検出と一緒に逆相HPLCを用いて、イベルメクチンをN−メチルイミダゾール誘導体として決定した。
【0098】
トリクラベンダゾールを、酢酸エチルを用いて血漿から抽出した。濃縮およびSPE洗浄後、トリクラベンダゾールならびにそのスルホン代謝産物およびスルホキシド代謝産物を、UV検出を用いた逆相HPLCによって分析した。
【0099】
(結果)
効率的な殺吸虫剤製品の開発のための最初の実行可能性研究は、トリクラベンダゾールのみの薬物動態学的プロフィールに基づいた。ここで留意すべきは、活性薬剤の生物学的利用能は、ドレンチ処置と比較して注ぎ用処方物としての適用の後に常に遅れるけれども、実験処方物についての血液血漿レベルは、現在利用可能な殺吸虫剤(Fasinex(登録商標)120(2日後、トリクラベンダゾール Cmax 16.5μg/mL))を12mg/kg体重の割合で適用したときに生成される最大トリクラベンダゾール血漿レベル(Cmax)を標的としたということであった。
【0100】
表1を参照して、以下の結果を得た。
【0101】
第一の実行可能性試験(ヘレフォードの離乳した雄ウシ、平均体重およそ200kg、1群あたり2頭の動物)において、溶媒ベースの処方物(N−メチルピロリドン/Butyl diGlysolv(登録商標)、処方物1)、トリクラベンダゾールを50mg/kgにおいて適用し、現在利用可能な殺吸虫剤(Fasinex(登録商標)120(7日後、15.7μg/mL))によってのレベルと類似した血漿レベルを達成した。このような投与割合は、商業的に実行可能ではない。
【0102】
第二の実行可能性試験(ヘレフォードの離乳した雄ウシおよび雌ウシ、平均体重およそ160kg、1群あたり3頭の動物)において、トリクラベンダゾールの投与割合を、より商業的に受容可能なレベル(12mg/kg)に減少させた。界面活性剤(Teric(登録商標)BL8)を処方物1に加え、処方物2(非水性ミセル)を生成するための、処方物の隠れた湿潤性を改善した。そして、N−メチルピロリジン溶媒を除去した。達成されたトリクラベンダゾールCmax(全代謝産物)血漿レベルは、低かった(2.0μg/mL)。
【0103】
処方物1への15%の水の添加は、処方物3を生成し(上の実施例1.3において記載された処方物C、水性ミセル)、これはに達成されたトリクラベンダゾールCmaxを4.8μg/mLまで増大させた。
【0104】
【表1−1】

【0105】
【表1−2】

さらなる実行可能性試験(ヘレフォードの雌ウシ、平均体重およそ235kg、1群あたり3匹の動物)において、処方物中の水の含有量を、25%まで増加させた。そして、Butyl di Glysolv(登録商標)を、Glysolv PM(登録商標)で置き換えた。この結果生じた処方物4は、増大したトリクラベンダゾールCmax8.7μg/mL(処方物3で達成されたもののほぼ2倍)を提供した。達成されたイベルメクチン Cmaxは、5日において1.3ng/mLであった。
【0106】
類似の処方物である処方物5は、15%の水含有量を有した。トリクラベンダゾールについてのCmaxは、ほとんど同じ8.6μg/mLであり、イベルメクチンについてのCmaxは、2日において2.6ng/mLであった。
【0107】
処方物4においてTeric(登録商標)BL8をEcoteric(登録商標)T20で置き換えることは、処方物6(25%の水含有量を有する)を生じた。この処方物は、12mg/kgの等価な投与割合において適用されたFasinex(登録商標)120ドレンチ(15.9μg/mLのトリクラベンダゾールCmax(16.5μg/mLに対して))と、実質的に同じ血漿レベルを達成した。イベルメクチンについて達成されたCmaxは、5日において2.8ng/mLであった。
【0108】
処方物7は、Teric(登録商標)BL8が、Ecoteric(登録商標)T80で置き換えられた場合の、トリクラベンダゾールの増大した生物学的利用能を、再び示した。トリクラベンダゾールについての達成されたCmaxは、12.9μg/mLであり、イベルメクチンについて達成されたCmaxは、2日において3.0ng/mLであった。
【0109】
表2を参照すると、さらなる実行可能性試験 (ヘレフォードの離乳した雌ウシ、平均体重およそ200kg、1群あたり3頭の動物)において、処方物の水含有量の150g/Lへの減少、およびEcoteric(登録商標)T80の代わりにEcoteric(登録商標)T20へ戻すことは、イベルメクチンの送達の効率を増大させ、処方物についてのイベルメクチン血漿Cmax値は、8ng/mL〜13ng/mLの範囲であった。
【0110】
【表2】

表1および表2において提供される結果から、活性薬剤の薬物動態は、所望により変更され得、その変更は、水含有量、および本発明に従うミセル状処方物において用いられる界面活性剤および/または共溶媒の型および含有量を操作することによって行われることは明らかである。
【0111】
溶媒型および共溶媒型の操作は、これらの実験の過程の間、ミセル状処方物の物理的安定性に影響することが見出されている。Butyl diGlysolv(登録商標)とPEG 200との組み合わせの使用は、試験された処方物のトリクラベンダゾールについて最高の冷蔵安定性および最も高い最大濃度を提供し、それによって、晩秋または早春という、より涼しい時期に動物に適用するために適切な、より厳しい製品を提供した。公表されたデータはないが、必要とされる効力を得るためにより寒い時期では、より多くの量の活性成分が動物に適用される必要があり、これらの時期は代表的には、肝臓吸虫類の制御において最も重要であることが報告されている。
【0112】
(実施例3 投与研究)
(実施例3.1 濃度効果(一定体積))
表2を参照して、本発明の水性ミセル状処方物においてトリクラベンダゾールおよび/またはイベルメクチンの濃度を変更することは、同じ体積(1mL適用/10kg動物)の処方物中で動物に適用される場合、AUCにおける対応した変化を提供することが示され得る。
【0113】
(実施例3.2 濃度効果(一定投与))
表3を参照して、本発明に従う処方物の臨界屠殺効力試験(実施例2による方法;雄雌混合のヘレフォードの離乳したウシ、平均体重およそ200kg、1群につき5頭の動物)において、240g/Lのトリクラベンダゾールを含むが、イベルメクチン濃度が異なる本発明に従う水性ミセル状処方物を、一定のイベルメクチン投与割合(0.5mg/kg)であるが、異なったトリクラベンダゾール投与割合(12〜36mg/kg)において適用した。
【0114】
この結果は、より小さい体積中でのより濃縮されたイベルメクチン投与(同じ最終イベルメクチン投与割合)の適用は、改善された薬物動態の結果を生じ、イベルメクチンのより大きなCmaxおよび/またはより大きな生物学的利用能(AUC)を含むことを示す。
【0115】
【表3】

別の試験(これもまた、実施例2において記載されたように実行された)において、本発明に従う処方物であって、180g/Lのトリクラベンダゾールおよび7.5g/Lのイベルメクチンを有する処方物、ならびに240g/Lのトリクラベンダゾールおよび10g/Lのイベルメクチンを有する処方物を、活性成分について同じ投与割合を維持しながら、動物の背中の異なった領域の大きさ(背中の中央から臀部に向かう)に適用した。この結果は、表4において示され、より小さな領域に適用されたより高い濃度の処方物におけるイベルメクチンおよびトリクラベンダゾールの適用が、その活性薬剤をより生物学的に利用可能なものにすることを示す。
【0116】
【表4】

(実施例4 安定性研究)
処方物Aのサンプル(組成および調製は、実施例1に記載)は、ドデシル硫酸ナトリウムを含み、これを、ねじ蓋で密封された250mLの高密度ポリエチレンボトル中に、4℃、30℃および40℃において貯蔵した。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月および12ヶ月においてサンプリングし、イベルメクチン含有量およびトリクラベンダゾール含有量について試験した。処方物のトリクラベンダゾール含有量およびイベルメクチン含有量を、UV検出を用いる逆相HPLCに基づく有効な安定性を示す方法を用いて決定した。この結果は、表5において提供され、加速貯蔵条件における処方物の化学的安定性を実証する。事実上、活性成分の分解は、40℃において6ヶ月貯蔵した後でさえも起こらなかった。30℃において12ヶ月貯蔵した後にもなお、測定されるトリクラベンダゾール成分およびイベルメクチン成分の分解はなかった。40℃において12ヶ月貯蔵した後に、イベルメクチン成分の5%未満の分解が起こった。
【0117】
【表5】

処方物Gのサンプル(組成および調製は、実施例1に記載)は、ドデシル硫酸ナトリウムを含み、これを、ねじ蓋で密封された250mLの高密度ポリエチレンボトル中に、4℃、30℃および40℃において貯蔵した。1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月においてサンプリングし、イベルメクチン含有量およびトリクラベンダゾール含有量について試験した。処方物のトリクラベンダゾール含有量およびイベルメクチン含有量を、UV検出を用いる逆相HPLCに基づく有効な安定性を示す方法用いて決定した。この結果は、表6において提供され、加速貯蔵条件における処方物の化学的安定性を実証する。事実上、活性成分の分解は、30℃または40℃において2ヶ月貯蔵した後でさえも起こらなかった。
【0118】
【表6】

別の安定性試験において、多くの物質を、処方物のための安定剤としてのそれらの可能性について試験した。イベルメクチンは、不十分に安定化された処方物中で不安定である。リン酸緩衝剤以外は、これらの物質を、その他の点では、処方物中1リットルあたり以下の組成を有する処方物の中で、10.0g/Lの濃度において各々試験した:
トリクラベンダゾール 120g
イベルメクチン 5.0g
Teric BL8(登録商標)200g
ベンジルアルコール 30g
水 150g
Brilliant Blue FCF 0.16g
Butyl Di Glysolv(登録商標) およそ485mL(体積まで)
これらのサンプルを、ねじ蓋で密封された250mLの高密度ポリエチレンボトル中に、50℃において貯蔵した。3ヶ月においてサンプリングし、イベルメクチン含有量およびトリクラベンダゾール含有量について試験した。処方物のトリクラベンダゾール含有量およびイベルメクチン含有量を、UV検出を用いる逆相HPLCに基づく有効な安定性を示す方法を用いて決定した。このデータは、表7において提供され、処方物のイベルメクチン成分の安定化が困難なことを説明する。
【0119】
この安定性のデータから、本発明の処方物中にアニオン性界面活性剤(例えば、直鎖状アルキルスルフェートドデシル硫酸ナトリウム)、または緩衝剤(例えば、1以上の一塩基性ホスフェート/二塩基性ホスフェート)、ならびにそれらの混合物を含むことにより、イベルメクチン成分の安定性が顕著に改善されることが結論された。
【0120】
【表7】

(実施例5 効力研究)
(材料および方法)
ウシ(代表的には、ヘレフォードまたはヘレフォード交配種)を、自然的にか、または人工的のどちらかで吸虫類および線虫の負荷に感染させ、囲いの中かつ野外実験において用いた。それらを、各々類似の平均体重ならびに吸虫類および線虫の負荷を有する処置群に割り当てた。実験の処置を、バックラインに沿って、背中の中央から臀部に向かって、プラスチックの覆いを取り付けた市販のバックライナーガンを用いて適用し、このプロトコルに従った処方物の正確な送達を確実にした。
【0121】
経時的な糞便中の卵の数または屠殺の後に回収した胃腸管および肝臓からの総寄生生物体数のどちらかの減少によって、効力を測定した。報告されるデータは、群の相加平均および/または相乗平均に基づく。
【0122】
糞便中の寄生虫の卵の数に基づく効力を、以下のように計算した:
効力%=100[1−(T/T)]
ここで、T、C、1および2は、それぞれ、処置された平均寄生虫の卵の数、コントロールの平均寄生虫の卵の数、処置前の平均寄生虫の卵の数および処置後の平均寄生虫の卵の数を言う。
【0123】
すべての他の効力データは、以下の式を用いて計算した:
効力%=100(C−T/C)
ここで、TおよびCは、それぞれ処置された平均総寄生虫数、およびコントロールの平均総寄生虫数を言う。
【0124】
臨界屠殺線虫効力研究のために、その動物を処置後14日または21日において屠殺した。
【0125】
すべての段階の(人工的に外寄生された)肝臓吸虫類の臨界屠殺効力研究のために、その動物を処置後100日において屠殺した。
【0126】
(結果)
(実施例5.1)
臨界屠殺ペン(pen)効力試験(自然獲得の吸虫類および線虫)は、2つの大きな商業的な群れから選択された雄雌混合のヘレフォードおよびヘレフォード/アンガス交配種の離乳した子ウシを含んだ。、各々の群が、類似した平均および範囲のFasciola hepatica卵数および体重を有するように、これらの動物をランダムに5匹の動物の群に割り当てた。処置の前に、動物を研究畜舎に移動させ、さらなる感染を防いだ。処置において、その動物の体重を測定し、トリクラベンダゾール+イベルメクチンの処方物で処置した。その処置は、異なった投与の体積および活性濃度において注ぎ用で投与した。1つの群の5頭の動物は、未処置のネガティブコントロールとして残した。
【0127】
すべての動物を、処置後19日〜21日において屠殺し、胃腸管および肝臓を回収して、総寄生虫数および総吸虫類数を決定した。
【0128】
異なった濃度の活性成分および/または異なった賦形剤を含む処置処方物を、試験した。これらの処方物は以下のとおりである:
【0129】
【化4】

【0130】
【化5】

この結果は、表8において提供され、吸虫類および線虫の効果的な制御が、実用的な体積の本発明の水性ミセル状の注ぎ用処方物を用いて達成できることを示す。
【0131】
この製品は、成体Fasciola hepaticaに対して12mg/kg、24mg/kgおよび36mg/kgのトリクラベンダゾールの投与割合において100%効果的であり、線虫に対して0.5mg/kgのイベルメクチンの投与割合において効果的であった。この試験において、内寄生生物のための動物の効果的な処置を、240g/Lのトリクラベンダゾールと10.0g/Lのイベルメクチン(12mg/kgのトリクラベンダゾールおよび0.5mg/kgのイベルメクチン)とを含む、1mL/20kgの処方物を用いて達成された。
【0132】
【表8】

(実施例5.2)
2つの臨界屠殺研究を設計し、ウシにおける肝臓吸虫類Fasciola hepaticaの未成熟段階および成体段階、ならびに自然獲得の回虫感染に対する本発明に従う処方物の効力(下を参照のこと)を比較した。Fasciola hepaticaの未成熟段階および成体段階に対する、相加平均に基づいたトリクラベンダゾール+イベルメクチンの注ぎの効力は、それぞれ、70.5%および99.2%であった。試験処方物(群5、実施例5.1、表8)による胃腸の円虫の制御は、屠殺時の総寄生虫数を用いて評価したところ、第四胃、小腸および大腸において見出された線虫について86%〜99.9%(相加平均)であった。
【0133】
試験処方物−実施例1.1、処方物Aにおいて記載
【0134】
【化6】

(実施例5.3)
3種の野外実験(糞便中の卵数減少試験)を計画し、実施例5.2において記載の処方物の効力を野外条件下で決定した。60頭のウシを、15の群に分け、1つの群を未処置のコントロールとして残した。Fasciola hepaticaに対する処方物のよい効力は、未処置のコントロールの>90%(AM)と比較した、糞便中の卵数における減少によって評価したところ、処置後14日のすべての試験において報告された。
【0135】
(実施例5.4)
野外実験を計画し、成体肝臓吸虫類と未成熟肝臓吸虫類との混合自然感染および成体線虫種と未成熟線虫種との混合自然感染に対する以下の処方物の効力を決定した。
【0136】
【化7】

30頭のアンガス交配種およびリムザン交配種の離乳したウシ(5〜6ヶ月齢、体重112〜242kg)を、アーミデイル、ニューサウスウェールズ、オーストラリアにおいて広がっているより大きな商業的な群れから、試験前の個々の円虫の卵数に基づいて選択した。そのウシを、囲いのない小牧地において、天然の牧草と日常的に提供される補給飼料(ソバ)を含む改良された牧草との混合物で放牧した。処置の期間にわたって、Armidale Saleyardsにおいて、ウシは自由にLucerne干し草を入手可能であった。このウシは、試験が始まる日の前の3ヶ月間、いずれの駆虫薬処置にも曝されていなかった。
【0137】
処置の前に、ウシを個々の試験前の肝臓円虫の糞便中の卵数(3日目)で最も高いものから低いものに分類し、雌と去勢した雄とに分けた。そして、遮断し、群の中で円虫の糞便中の卵数の類似した平均値および範囲を有するように、2つの処置群にランダムに割り当てた。0日において、すべての試験ウシを体重測定し、1 Vaccine(CSL Limited)におけるUltraVac 7を用いてワクチン接種した。群1の動物を、未処置のままにし、ネガティブコントロールとした。群2を、トリクラベンダゾール(240g/L)+イベルメクチン(7.5g/L)の注ぎ用処方物を用い、背中の中央から尻尾の付け根まで、1mL/10kgの投与体積で表面的に適用して処置した。処方物を広いバンドとして適用することを確実にする基本形の塗布器を、処置のために用いた。
【0138】
糞便中のサンプルを、すべての試験ウシから、試験の0日目、ならびに7日目、14日目、21日目および28日目に収集した。円虫および肝臓吸虫類の糞便中の卵計数ならびに幼虫の分化のための群バルクの糞便培養(coproculture)を、収集したサンプルについて実行した。円虫および吸虫類の糞便中の生での卵数を、処置群によって並べ替え、相加平均を計算した。相乗平均をまた、変換した個々の卵数を用いて計算した。処置効力は、群の相加平均と群の相乗平均との両方に基づいており、以下のように計算した:
効力%=(コントロール群平均−処置群平均)/コントロール群平均×100
処置前のFasciolaおよび円虫の糞便中の卵数は高く、試験の前の平均の円虫の糞便中の卵数は802.7e.p.g.(値域160−6120)であり、平均のFasciolaの糞便中の卵数は46e.p.g.(値域0−1525)であった。蠕虫の5つの属を、群バルクの糞便培養から同定し、それらは、以下を含んだ:Haemonchus spp.、Trichostrongylus spp.、Ostertagia spp.、Cooperia sppおよびOesophagostomum spp.。 Cooperia sppは、0日目〜28日目の未処置のコントロールについて、バルクの糞便培養物の平均70%を構成した。試験の期間にわたる群の相加平均および相乗平均のFasciolaの糞便中の卵数は、表9において提示される。Fasciola hepaticaの良い制御(>90%の効力の相加平均、>97%の効力の相乗平均)を、処置後の7日目、14日目、21日目および28日目においてトリクラベンダゾール+イベルメクチンの注ぎで達成した。相加平均および相乗平均の吸虫類の糞便中の卵数に基づいた処置効力は、表10において提示される。
【0139】
【表9】

【0140】
【表10】

試験の継続期間にわたる群の相加平均および相乗平均の円虫の糞便中の卵数は、表11において提示される。円虫に対するトリクラベンダゾール+イベルメクチンの注ぎの効力は、処置後7日目および28日目で93%(相乗平均)を超え、処置後14日目および21日目で89.8%および83.5%であった。相加的および相乗的な糞便中の卵数に基づいた効力は、表12において提示される。
【0141】
【表11】

【0142】
【表12】

(実施例5.5)
さらなる野外実験を設計し、成体肝臓吸虫類と未成熟肝臓吸虫類との混合自然感染および成体線虫種と未成熟線虫種との混合自然感染に対する、実施例5.4に記載された処方物の効力を決定した。
【0143】
30頭のアンガスおよびアンガス交配種の若い牝ウシ(12〜14ヶ月齢、体重126〜284kg)を、ウォルカ、ニューサウスウェールズ、オーストラリアにおいて広がっているより大きな商業的な群れから、試験前の個々の円虫の卵数に基づいて選択した。そのウシを、囲いのない小牧地において、天然の牧草と改良された牧草との混合物で、自由に水を入手可能にして放牧した。このウシは、試験が始まる日の前の3ヶ月間、いずれの駆虫薬の処置にも曝されていなかった。
【0144】
処置の前に、ウシを、個々の試験前の肝臓円虫の糞便中の卵数(1日目)で最も高いものから最も低いものに分類し、遮断し、そして、群の中で円虫の糞便中の卵数の類似した平均値および範囲を有するように、2つの処置群にランダムに割り当てた。0日において、すべての試験ウシを体重測定した。群1の動物を、未処置のままにし、ネガティブコントロールとした。群2を、トリクラベンダゾール(240g/L)+イベルメクチン(7.5g/L)の注ぎ用処方物を用い、背中の中央から尻尾の付け根まで、1mL/10kgの投与体積で表面的に適用して処置した。処方物を広いバンドとして適用することを確実にする基本形の塗布器を、処置のために用いた。
【0145】
糞便中のサンプルを、すべての試験ウシから、試験の0日目、ならびに7日目、14日目、21日目および29日目に収集した。円虫の糞便中の卵数ならびに幼虫の分化のための群バルクの糞便培養を、収集したサンプルについて実行した。円虫の生の卵数を、処置群によって並べ替え、相加平均を計算した。相乗平均をまた、変換した個々の卵数を用いて計算した。処置効力は、群の相加平均と群の相乗平均との両方に基いており、以下のように計算した:
効率%=(コントロール群平均−処置群平均)/コントロール群平均×100
処置前の円虫の糞便中の卵数は高く、平均の円虫の糞便中の卵数は288e.p.g.(値域40−1320)であった。蠕虫の4つの属を、0日目における群バルクの糞便培養から同定し、それらは、以下を含んだ:Haemonchus spp.、Ostertagia spp.、Cooperia sppおよびOesophagostomum spp.。Cooperia sppは、0日目〜29日目の未処置のコントロールについて、バルクの糞便培養物の平均70%〜80%を構成した。試験の継続期間にわたる群の相加平均および相乗平均の円虫の糞便中の卵数は、表13において提示される。回虫に対するトリクラベンダゾール+イベルメクチンの注ぎの効力は、処置7日目の卵数(相加平均)における最大84%の減少に達した。処置後14日目、21日目および29日目においては78%、59%および63%の減少であった。相加平均および相乗平均の円虫の糞便中の卵数に基づいた処置効力は、表14において提示される。
【0146】
【表13】

【0147】
【表14】

(実施例5.6)
投与評価の臨界屠殺研究を計画し、実施例5.4に記載の開発中の表面トリクラベンダゾール+イベルメクチン処方物(240g/Lのトリクラベンダゾールおよび7.5g/Lのイベルメクチン)、ならびに実施例1.6に記載の処方F(開発中の表面のトリクラベンダゾール+イベルメクチン処方物)(240g/Lのトリクラベンダゾールおよび10g/Lのイベルメクチンおよび実施例1.7において記載の処方G(開発中の表面のトリクラベンダゾール+イベルメクチン処方物)(240g/Lのトリクラベンダゾールおよび15g/Lのイベルメクチン)の薬物動態および効力を比較した。これらはそれぞれ、胃腸の円虫の混合自然感染に対するものであり、それによりCooperia sppならびに他の線虫の効果的な制御のための処方物中のイベルメクチンの最適濃度を決定する。
【0148】
50頭のヘレフォードおよびアンガス交配種の去勢ウシ(処置において、5ヶ月〜6ヶ月齢、体重102〜164kg)を、試験前の個々の円虫の糞便中の卵数に基づいて、オーストラリア、NSW州のノースコーストのCasinoにおけるより大きな群れから選択した。そのウシを、処置の20日前に「カービー」(オーストラリア、NSW州アーミデイル)に移動させ、天然の牧草と改善された牧草との混合物で、囲いのない小牧地で放牧した。試験ウシには、Armidale Saleyardsにおいて飼育された間(0日目〜2日目)、Lucerneの干し草を餌に与えた。このウシは、試験が始まる日の前の3ヶ月間、トリクラベンダゾールまたはイベルメクチンのいずれにも曝されておらず、大環状ラクトンに対する胃腸の円虫による公知の耐性を有していなかった。
【0149】
処置の5日前に、個々の糞便中の卵数およびバルクの糞便培養のために、糞便中のサンプルを各動物から収集した。三重の血液サンプルを、トリクラベンダゾールおよびイベルメクチンの血漿分析のために収集した。処置の1日前に、25頭の試験ウシを、Armidale Saleyardsに再び配置し、個々の卵数(5日目)に従って最も高いものから最も低いものに分類し、続いて遮断し、各群が円虫の糞便中の卵数の類似した平均値および範囲を有するように、5頭の動物の5つの群にランダムに割り当てた。群1の動物を、未処置のままにし、ネガティブコントロールとした。群2を、240g/Lのトリクラベンダゾール+7.5g/Lのイベルメクチンの注ぎ用処方物を用いて処置した。群3を、240g/Lのトリクラベンダゾール+10.0g/Lのイベルメクチンの注ぎ用処方物を用いて処置した。群4を、240g/Lのトリクラベンダゾール+15.0g/Lのイベルメクチンの注ぎ用処方物を用いて処置した。背中の中央から尻尾の付け根まで1mL/10kgの投与体積(投与ブレーク(break)表に従う)で、すべての処方物を表面的に適用した。処方物を広いバンドとして適用することを確実にする基本形の塗布器を、処置のために用いた。処置の2日後、すべてのウシを、残りの処置のためにArmidale Saleyardからカービー畜舎に再び移した。
【0150】
糞便中のサンプルを、すべての群の個々の動物から、個々の糞便中の卵数ならびに処理前および処理後の糞便培養のために処置の5日前に、次いで、9日後に収集した。すべての試験ウシを、処置後の13日目、14日目、および15日目において屠殺した。糞便中のサンプル、第四胃、小腸および大腸を、糞便中の卵数、群の糞便培養および総寄生虫数(成体および未成熟)のために各動物から収集した。処置効力を、屠殺および器官の回収後の線虫種および円虫の糞便中の卵数による群の相加平均および相乗平均の総寄生虫数の比較(実施例5.4および実施例5.5において記載)によって評価した。
【0151】
処置前の卵数は、一般に高く、糞便中の1グラムあたりの卵数(e.p.g)が480〜1480の範囲であった。
【0152】
処置後の13〜15日目において、動物は注ぎ用処方物で処置され、卵数において、未処置のコントロールと比較して、それぞれ73%(240g/Lのトリクラベンダゾール+7.5g/Lのイベルメクチン)〜98%(240g/Lのトリクラベンダゾール+15.0g/Lのイベルメクチン)(相加平均)の間ならびに、94%および>99%(相乗平均)の間の減少を生じた(表15)。
【0153】
【表15】

剖検において、7つの属の蠕虫を、コントロールのウシの胃腸管から回収した。これらのおよそ80%は、Cooperia sppの成体、未成熟およびL4段階からなっていた。同定された他の胃腸の線虫としては、Trichuris spp、Nematodirus spp、Oesophagosomum spp、Trichostrongylus spp、Haemonchus sppおよびOstertagia sppが挙げられ、これらは、総数のおよそ5%以下を構成した。
【0154】
総寄生虫数のデータは、小腸の寄生虫(Cooperia spp.および成体Nematodirus spp.)は、処置を受けて取り除くことが最も困難な種であることを示した。効力は、処方物中のイベルメクチンの濃度を増大することで増加した。
【0155】
成体段階および未成熟段階の小腸の線虫(Trichostrongylus spp,Cooperia spp)に対する、240g/Lのトリクラベンダゾール+15.0g/Lのイベルメクチン処方物の効力は、成体Nematodirus[49.1%(相加平均)および93%(相乗平均)]を除いて、90%を超え(相加平均および相乗平均)、そして99%を超えた(相乗平均)。
【0156】
95%を超える(相乗および相加)効力が、成体段階および未成熟段階の第四胃の線虫(Haemonchus spp、Ostertagia ostertagia、Trichostrongylus axei)ならびに大腸の線虫(Oesphagostomum spp、Trichuris spp)に対して達成された。
【0157】
95%を超える(相加平均および相乗平均)効力は、240g/Lのトリクラベンダゾール+7.5g/Lのイベルメクチンおよび240g/Lのトリクラベンダゾール+10g/Lのイベルメクチン処方物によって、第四胃の線虫に対して達成された(240g/Lのトリクラベンダゾール+10g/Lのイベルメクチン処方物で処置されたウシにおける第四段階のOstertagia幼虫を除く)。小腸の線虫に対する効力は、増大する濃度のイベルメクチンを用いて、57.7%から99.9%を超えるまで増大した。
【0158】
【表16】

三重の血液サンプルをまた、トリクラベンダゾールおよびイベルメクチンの分析のために群2、群3、群4および群5の動物から、処置の5日前、次いで処置後1日目、3日目、5日目および7日目に収集した。血漿イベルメクチンCmaxおよびAUC値は、処方物中の濃度に比例して増加した(表17)。
【0159】
【表17】

(まとめ)
所定の投与体積(体重10kgあたり1mL)について、処方物中のイベルメクチンの濃度を増大することは、血漿濃度および効力を増大した。240g/Lのトリクラベンダゾール+15.0g/Lのイベルメクチンの線虫への効力は、特に、制御が困難な小腸の寄生虫(Cooperia sppおよびNematodirus spp)に対して7.5g/Lおよび10.0g/Lのイベルメクチンを含む対応する処方物よりも高く、そしてより一貫性があった。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明の処方物は、内寄生生物(例えば、肝臓吸虫類および線虫)ならびに外寄生生物によって引き起こされる疾患ならびに/もしくは内寄生生物(例えば、肝臓吸虫類および線虫)ならびに外寄生生物の外寄生を処置、制御または予防するために、容易に用いられ得る。特に、ヒツジもしくはウシ(特に、ウシ)における肝臓吸虫類外寄生および線虫外寄生を処置、制御および/または予防するために用いられ得る。
【0161】
本発明の特定の実施形態が、説明の目的のために本明細書中に記載されているが、種々の改変は、続く特許請求の範囲において定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、なされ得ることが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ミセル状処方物であって、該処方物は、サリチルアニリドまたはその塩から選択される第1活性薬剤を、大環状ラクトンまたはその塩から選択される第2活性薬剤と組み合わせて含み、該処方物は、内部寄生生物の制御のための動物への表面適用用であり、そしてまた、処方物1リットルあたり、以下:
100g〜400gの獣医学的に受容可能な界面活性剤;
200g〜750gの獣医学的に受容可能な水混和性溶媒;および
50g〜350gの水
を含み、
該界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはその組み合わせから選択される、処方物。
【請求項2】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートである、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記水混和性溶媒が、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、グリコールエーテル、液体ポリオキシエチレングリコール、またはこれらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物から選択される、請求項1のいずれかに記載の処方物。
【請求項4】
前記グリコールエーテルのうちの1以上が、アルキレングリコールモノアルキルエーテルまたはジアルキレングリコールモノアルキルエーテルから選択される、請求項3に記載の処方物。
【請求項5】
前記グリコールエーテルのうちの1以上が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される、請求項4に記載の処方物。
【請求項6】
グリコールエーテルおよび液体ポリエチレングリコールを水混和性溶媒として含む、請求項3に記載の処方物。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールが、PEG200である、請求項6に記載の処方物。
【請求項8】
処方物1リットルあたり5g〜50gの安定剤をさらに含み、該安定剤が、直鎖状アニオン性界面活性剤、緩衝剤およびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記安定剤が、直鎖状アルキルスルフェート、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートおよびホスフェート、またはそれらの混合物から選択される、請求項8に記載の処方物。
【請求項10】
前記安定剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、請求項9に記載の処方物。
【請求項11】
前記処方物が、処方物1リットルあたり10g〜100gの液体ポリエチレングリコールを水混和性溶媒として含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルまたはジアルキレングリコールモノアルキルエーテルから選択される450g〜550gのグリコールエーテル、および処方物1リットルあたり1以上の水混和性溶媒として20g〜50gの液体ポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
処方物1リットルあたり150gの水を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項14】
処方物1リットルあたり7.5g〜20gの大環状ラクトンを含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項15】
前記サリチルアニリドが、オキシクロザニド、クロサンテル、ラフォクサニドおよびニクロサミドから選択される、請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
前記サリチルアニリドがオキシクロザニドである、請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
前記大環状ラクトンがイベルメクチン、アバメクチン、モキシデクチン、ドラメクチン、セラメクチン、エプリノメクチン、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、ミルベマイシン Dおよびネマデクチンから選択される、請求項1に記載の処方物。
【請求項18】
前記大環状ラクトンがイベルメクチンである、請求項17に記載の処方物。
【請求項19】
哺乳動物における罹病した状態または寄生生物体に外寄生された状態を処置または予防する方法であって、該哺乳動物に、請求項1に記載のミセル状処方物を表面投与する工程であって、ここで、該罹病した状態または寄生生物体に外寄生された状態は、哺乳動物における肝臓吸虫類の感染もしくは外寄生、線虫の感染もしくは外寄生、または肝臓吸虫類および線虫の両方の感染もしくは外寄生を含む、方法。
【請求項20】
前記哺乳動物が、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタおよびウマから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記表面適用が、前記哺乳動物の背中の下部分に沿ったバンド中での前記処方物の適用を包含する、請求項19に記載の方法。

【公開番号】特開2011−105765(P2011−105765A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39036(P2011−39036)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【分割の表示】特願2006−286991(P2006−286991)の分割
【原出願日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【出願人】(503442097)シェーリング−プラウ・リミテッド (47)
【住所又は居所原語表記】Weystrasse20,Lucerne6,CH−6000,Switzerland
【Fターム(参考)】