説明

表面無機化有機繊維

本発明は、ミリメートル範囲の長さを有する有機繊維を含む表面無機化有機繊維であって、その表面が、モノマーとして1つまたは複数のジカルボン酸と、ジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1つまたは複数のモノマーと、エピクロロヒドリンとを含むコポリマーに基づく結合剤により微細なアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子で少なくとも部分的にコーティングされている、表面無機化有機繊維;そのような表面無機化有機繊維の産生法;その水性スラリー;製紙における、紙、プラスチック、セメントおよび粘土表面の表面仕上げにおける、塗料およびワニスにおけるそれらの使用;ならびに、有機繊維をナノアルカリ土類炭酸塩でコーティングするための本発明の結合剤の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリメートル範囲の長さを有する有機繊維であって、それらの表面が結合剤によりナノメートル範囲の微細なアルカリ土類炭酸塩粒子で少なくとも部分的にコーティングされている有機繊維を含む、表面無機化有機繊維;そのような表面無機化有機繊維の産生法;その水性スラリー;製紙における、紙の表面仕上げにおける、プラスチック、セメントおよび粘土中および/またはその表面上での、塗料およびインクにおけるそれらの使用;ならびに有機繊維をアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子でコーティングするための本発明の結合剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノメートル範囲の炭酸カルシウム粒子(いわゆる「ナノ粒子」)に基づく色素および/または充填剤が公知で、紙、インクおよびプラスチック適用を含む多くの適用において用いられる。そのような微細な色素および充填剤は、分散剤の存在下で、湿式粉砕によって低コストで製造される。任意に、例えば、遠心分離による、1つまたは複数の分別段階も下流に連結される。分散剤および粉砕助剤には、例えば、強アニオン性ポリリン酸塩およびポリアクリル酸ナトリウムが含まれる。
【0003】
再生可能な原料の繊維、いわゆる「持続可能な(sustainable)」有機繊維、例えば、木部繊維、セルロース繊維、綿繊維も公知で、同じまたは類似の適用において用いられる。製紙におけるブレンドとしてのこれらの組み合わせも公知である。
【0004】
繊維との混合物中の、ナノアルカリ土類炭酸塩などのナノメートル範囲の非常に微細な色素または充填剤は、特に流れの影響下で、著しい凝離を起こすことも公知である。「凝離」なる用語は、特定の性質に従い成分の空間分布に対する傾向による、観察の分野における異なる成分の分離過程を意味する。例えば、繊維とナノアルカリ土類炭酸塩の混合物をふるいにかけると、繊維材料はナノアルカリ土類炭酸塩から分離する。ナノアルカリ土類炭酸塩またはその一部の画分が全体から「凝離」して、分離される。
【0005】
この凝離は、例えば、紙のZ軸、または多孔性表面のコーティングにおける充填剤の不均質な分布を引き起こし、これは紙を印刷する際に不利となる。得られる充填剤の含有量も、製紙における2つの成分の凝離によって大きく左右される。
【0006】
遊離のナノ粒子は繊維から凝離して洗浄され、それにより、その後の印刷操作において紙が特定の期間内に印刷インクから特定の量の液体を吸収すべき場合に特に重要である、紙の細孔を変えるため、色素および/または充填剤と繊維との混合物の凝離によって、紙における充填剤含有量が異なり、紙の細孔容積も異なることになる。
【0007】
複数のそのような混合物、それらの産生および製紙における使用が公知で、最先端技術において記載されている。主に凝集剤としてはたらくポリアクリルアミドなどのビニルポリマーに基づく保持剤を用いうることが公知である。ベントナイトまたはケイ酸塩などの膨潤性粘土無機質を、ポリアクリルアミドと組み合わせて用いる二重システムも公知である。
【0008】
国際公開公報第97/32934号(特許文献1)による白さを向上させる1つの方法は、色素粒子を、沈降炭酸カルシウムの微細な粒子などの他の色素粒子でコーティングする段階からなるが、前述の問題を引き起こしうる結合剤なしでこれを用いる。加えて、内部粒子は、炭酸カルシウムおよびカオリンをか焼することによって生成した長石の非常に特別な鉱物学的組成物からなる。
【0009】
EP 0 403 849 A2(特許文献2)は、伸長繊維および二酸化チタンまたは炭酸カルシウムなどの不透明化無機色素の導入による、高い不透明度および高い引張り強さの両方を有する紙構造を記載している。紙構造に伸長繊維を加えることで、紙の引張り強さに負の影響をおよぼすことなく、通常の無機色素の使用により紙の不透明度を高めることが可能になる。しかし、色素による繊維の表面無機化は、結合剤を用いるか、または用いないかにかかわらず、記載されていない。繊維および色素は製紙中に互いに独立にパルプに加えられ、したがって凝離効果を起こす。
【0010】
国際公開公報第97/01670 A1(特許文献3)は、製紙において用いられ、主に炭酸カルシウムからなる充填剤ならびにその産生に関する。充填剤は、繊維、例えば、セルロース繊維の表面上に沈澱する炭酸カルシウム粒子の多孔性凝集体からなる。ここで記載される充填剤は、炭酸カルシウムは非常に微細な繊維上に沈澱して、繊維に吸着しうるという事実に基づいている。特に、これは繊維が非常に微細であることによるもので、最大で400μmの長さを有する。ここでは、充填剤を繊維に結合するための結合剤については言及されていない。
【0011】
EP 0 930 345 A2(特許文献4)およびEP 0 935 020 A1(特許文献5)は、国際公開公報第97/01670 A1(特許文献3)に記載のものと類似の充填剤を記載しているが、ここでは炭酸カルシウムは繊維の表面に沈澱せず、代わりに繊維と混合され、ここであらかじめ沈澱した炭酸カルシウムを用いうるだけでなく、天然重質炭酸カルシウムを用いてもよい。繊維は前述のものと同様の細かさ、すなわち最大でもP50ふるいの画分、すなわち最大で約300μmの長さを有する。ここでも、表面無機化繊維を生成するために、結合剤は用いられていないか、または言及されていない。繊維および色素が互いに独立にパルプに加えられ、したがって成分はパルプ中で互いに大きく分離され、凝離に関連する欠点を有する。
【0012】
国際公開公報第2007/063182 A2号(特許文献6)は、製紙における異なる繊維画分の制御に関し、繊維原料からの紙の製造を記載しており、この原料は長繊維画分および短繊維画分に分別し、これらを添加物と混合し、再度合わせ、次いで製紙工程に供給する。添加物には、充填剤、アニオン性干渉物質を捕捉する物質、保持助剤などが含まれる。ここでは、微細繊維は充填剤と凝塊を形成するため、充填剤を微細繊維画分と混合し、デンプンなどの保持剤を加えることにより、充填剤の保持を高めうることが述べられている。繊維上の充填剤の均質な分布を可能にし、凝塊形成を防止する、結合剤の使用は言及されていない。
【0013】
国際公開公報第98/35095号(特許文献7)は、無機充填剤の水性スラリーを木部繊維の水性スラリーと混合すること、および凝集剤の添加を含む、製紙法を記載しており、ここで充填剤の本質的部分はセルロース繊維の内部にある。充填剤および凝集剤は互いに独立にパルプ繊維に添加される。充填剤は繊維内で凝集し、内部に維持される一方で、繊維の外側では充填剤は凝塊を形成する。繊維の表面上で充填剤の均質な分布を生じる結合剤の使用はここでも言及されていない。
【0014】
国際公開公報第96/32448号(特許文献8)は、微細および超微細なアニオン性に分散した炭酸カルシウム粒子をカチオン性凝集化物質を用いて選択的に凝集させることにより、紙をコーティングするために構築された炭酸カルシウム色素の産生法を記載している。ここで記載される凝集化物質には、特に、ポリDADMAC(ポリ塩化ジアリル-ジメチルアンモニウム)、二価および三価カチオンの塩またはポリアミンアミド-エピクロロヒドリンが含まれうる。1つの種のナノ粒子によるもう1つの種の化学的に異なる表面を有するミクロ粒子上の具体的コーティングは言及されていない。代わりにこの公報は、複数の異なる化学的助剤を用いて、同じ種の粒子がそれら自体で凝集体を形成し、得られる粒子のサイズが大きくなることを述べている。この文書において記載されるとおり、一次粒子のサイズの増大は次いで元の色素特性における望まれない変化を引き起こすこともある。
【0015】
非公開のドイツ特許出願DE 10 2006 026 965(特許文献9)およびDE 10 2007 004 124(特許文献10)は、表面が結合剤によりナノメートル範囲の微細な炭酸カルシウムおよび/またはドロマイト粒子で少なくとも部分的にコーティングされているミクロ粒子の形の、有機および/または無機色素および/または充填剤を含む複合物、そのような複合物の産生法、その水性スラリーと、製紙または塗料およびプラスチックの製造分野におけるそれらの使用、ならびにナノ炭酸カルシウムおよび/またはナノドロマイトでミクロ粒子をコーティングするための結合剤の使用を記載している。しかし、これらの複合物は、繊維とさらに複合物を形成せず、したがってろ過中に十分な程度に保持され得ないという欠点を有し、このことは、例えば、紙を印刷する際の前述の問題を引き起こす。
【0016】
ドイツ特許第10115570号(特許文献11)は、10から60重量%の色素含有量を有する装飾用の原紙を記載している。色素は特にケイ素およびアルミニウムで前処理された0.4から1.5μmの範囲の二酸化チタン、ならびに<2から3μmの範囲の平均粒径を有するタルクを含む。これら2つの型の色素、二酸化チタンおよびタルクは、アルカリ土類炭酸塩に関して完全に異なる表面特性を有する。さらに、装飾用原紙を続いてフェノール樹脂でプレスする場合、酸が分離し、したがって炭酸塩を部分的に分解するため、炭酸塩無機質をこの用途において用いることはできない。さらに、炭酸塩の屈折率は1.5〜1.7で、これは用いる樹脂と同じ範囲であり、したがって不透明度が不十分である。したがって、ナノアルカリ土類炭酸塩は言及されていない。加えて、セルロースのエピクロロヒドリンおよび3級アミンによる含浸が記載されているが、ナノアルカリ土類炭酸塩の存在下ではない。紙の湿潤強化のために、>1%のエピクロロヒドリンを用いるが、これもナノアルカリ土類炭酸塩の存在下ではない。複合物の形成は、可能性のある成分としての繊維および色素に関して一般に、または具体的に述べられていない。
【0017】
国際公開公報第99/14432号(特許文献12)は、アニオン性デンプン、カルボキシメチルセルロース、または他のポリマー結合剤をカチオン性無機またはポリマー凝固剤と共に混合して希薄なセルロースパルプ保存液を生成し、次いでこの懸濁液をアニオン性膨潤性粘土または他のアニオン性保持助剤によって凝集させることによる、製紙法を記載している。
【0018】
このように、最先端技術において複数の混合物および複合物が公知であり、これらは色素および/または充填剤の特定の性質を制御するために用いることができる。しかし、これらの文書はどれも、特に紙における高い充填剤含有量またはナノ色素および繊維の均質な表面コーティングを達成すべき場合に、序論で述べた色素-繊維混合物の凝離の欠点をどのように克服するかは論じていない。
【0019】
さらに、個々の成分がそれら自体で、または複合物が相互に凝集体形成し、はるかに大きい粒子を形成するなどの、前述の複合物のいくつかで問題が起きる。
【0020】
一般に、微細な粒子も保持がより困難である。したがって、今日では好ましくは充填剤としてミクロ粒子を用いる。より微細な粒子が保持されるべき場合、多くの保持剤が必要であるが、これは繊維の凝集および粗悪な製紙にもつながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際公開公報第97/32934号
【特許文献2】EP 0 403 849 A2
【特許文献3】国際公開公報第97/01670 A1
【特許文献4】EP 0 930 345 A2
【特許文献5】EP 0 935 020 A1
【特許文献6】国際公開公報第2007/063182 A2号
【特許文献7】国際公開公報第98/35095号
【特許文献8】国際公開公報第96/32448号
【特許文献9】DE 10 2006 026 965
【特許文献10】DE 10 2007 004 124
【特許文献11】ドイツ特許第10115570号
【特許文献12】国際公開公報第99/14432号
【発明の概要】
【0022】
したがって、本発明の目的は、繊維-色素および/または充填剤複合物ならびにその水性スラリーを提供することであって、これらは、例えば、不透明度および白さに関する良好な光学的性質ならびに良好な印刷上の性質を有するだけでなく、またそれらが曝露される加工条件下で凝離傾向がほとんどまたはまったくないというだけでなく、微細であるがゆえに保持するのが難しいナノ粒子の充填剤含有量が高い、紙および/または厚紙の製造も可能にする。
【0023】
本発明のもう一つの目的は、そのような複合物を産生する方法を提供することである。
【0024】
本発明のもう一つの目的は、例えば、製紙における、ならびに異なるサイズの粒子を異なる量で吸収する傾向があり、これは次いで混合物の凝離を引き起こしうる、粘土、セメントまたは木材などの多孔性基質上で用いるための塗料およびスパックリング(spackling)化合物における、本発明の複合物の使用である。
【0025】
本発明のもう一つの局面は、生分解性を促進および支援するためのプラスチックにおける充填剤としての本発明の複合物の使用である。
【0026】
最後に、本発明のもう一つの目的は、アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子による繊維粒子のコーティングにおける、特に選択された結合剤の使用である。
【0027】
独立請求項において定義する特徴は、これらの目的を達成するために役立つ。
【0028】
本発明の有益な態様は、従属請求項および以下の説明に由来する。
【0029】
本発明の目的は、結合剤によりナノアルカリ土類炭酸塩粒子を含む組成物で少なくとも部分的にコーティングされている有機繊維を含む、表面無機化有機繊維によって達成される。
【0030】
結合剤は、モノマーとして1つまたは複数のジカルボン酸およびジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1つまたは複数のモノマーならびにエピクロロヒドリンを含むコポリマーからなる。
【0031】
本発明に従い、繊維の長さは主にミリメートル範囲であり、繊維の幅および厚さはマイクロメートル範囲である一方で、コーティングに用いるアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子の球相当径は主にナノメートル範囲である。
【0032】
ナノメートル範囲の粒子は、本発明に従い、200nm以下の球相当径を有する粒子と定義される。
【0033】
繊維は、本発明に従い、ミリメートル範囲の長さを有する粒子と定義される。本発明によるミリメートル範囲は0.1mmから9.9mmの範囲である。本発明の繊維の幅または厚さは10μmから約1000μm、特に約20μmから約500μmの範囲である。
【0034】
いわゆる球相当径は、不規則な形の粒子のサイズの尺度である。これは不規則な粒子の特性を規則正しい形の粒子の特性と比較することにより計算する。比較に用いる特性の選択に依存して、様々な相当径が区別される。本発明の場合、相当径は試験する粒子の沈降特性に関して考慮される。
【0035】
本発明の粒子の沈降としたがって相当径、ならびにそれらの分布を、沈降法、すなわち、米国Micromeritics社からのSedigraph 5100を用いての重量測定分野における沈降分析によってもとめる。当業者であれば、充填剤および色素の細かさの程度を調べるために世界中で用いられるこの方法および装置を知っている。測定は0.1重量%Na4P2O7の水溶液中で行う。試料を高速撹拌機および超音波を用いて分散させた。
【0036】
繊維の長さおよび幅は、SEMおよび光学顕微鏡でもとめることができる。
【0037】
本発明の結合剤は、繊維およびナノアルカリ土類炭酸塩組成物との組み合わせで特に良好な結合特性を有する。用いるナノアルカリ土類炭酸塩組成物のほとんどは、したがって、繊維の表面に永久的に結合し、これは表面無機化有機繊維を用いる場合の構造の改善につながり、したがってそれぞれの用途に対する細孔容積の最適化を可能にする。同様に、紙または厚紙の灰分をよりうまく調節することができる。灰分はここでは、550℃のか焼炉で一定重量に達するまで灰化した後の紙の残渣であると理解される。
【0038】
コーティングに用いるナノアルカリ土類炭酸塩は、好ましくは、天然重質炭酸カルシウム(GCC、重質炭酸カルシウム)、天然および/または合成の沈降炭酸カルシウム(PCC、沈降炭酸カルシウム)、ドロマイトなどの混合炭酸塩ならびにこれらの混合物を含む群より選択される。
【0039】
GCCはナノ粒子として用いるために特に好ましく、特に、好ましくは少なくとも95重量%、特に98重量%を越える炭酸カルシウムを含む、大理石、石灰石および/またはチョークからのものである。
【0040】
GCCおよび/またはPCCをナノ粒子として用いる場合、これは好ましくはバテライト、方解石またはアラレ石の結晶構造を有する。特に方解石構造が有利である。
【0041】
好ましい態様において、GCCおよび/またはPCCは、1グラムあたり1時間の崩壊率1から890、特に好ましくは天然GCCでは1グラムあたり1時間の崩壊率10から450、PCCでは1グラムあたり1時間の崩壊率250から890を有する、14C-同位体含有量を有しうる。そのような炭酸塩は、例えば、国際公開公報第2006/123235号に記載されている。
【0042】
本発明によるドロマイトは、白雲岩を意味すると理解される。白雲岩は、主にドロマイト鉱物、すなわち化学組成CaMg(CO3)2(「CaCO3・MgCO3」)を有する炭酸カルシウム-マグネシウム鉱物からなる特定の炭酸塩の岩である。ドロマイト鉱物は少なくとも30重量%のMgCO3、さらに良いのは35重量%よりも多く、40重量%よりも多く、理想的には45から46重量%のMgCO3を含む。
【0043】
主に炭酸カルシウムCaCO3からなる石灰石と比較して、白雲岩はより硬く、より脆性で、密度がより高い。ドロマイトは冷酸で処理した場合にほとんどいかなる反応も起こさないが、石灰石は発泡(CO2の生成)を伴って溶解することから、ドロマイトは特に石灰石から分化している。
【0044】
本発明によるコーティングのためのナノドロマイトに関して、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%よりも多い、より好ましくは90重量%よりも多い、特に好ましくは98重量%よりも多いドロマイト鉱物を含む粉砕天然白雲岩の使用が特に好ましい。
【0045】
本発明に従い、特に適当なドロマイトは、例えば、欧州、例えば、ノルウェー、または南アメリカに生じる。ノルウェー南西部のベルゲン周辺の地域から得られたドロマイトを、特に好ましく用いる。
【0046】
好ましい態様において、有機繊維は本質的に約0.1mmから約9.9mm、好ましくは約0.5mmから約7.5mm、特に約1mmから約5mm、例えば、3mmの長さを有する。特に好ましい形状はその混合物を含む。
【0047】
本発明の有機繊維の幅または厚さは、好ましくは、10μmから約1000μm、好ましくは約20μmから約750μm、特に約50μmから約200μmの範囲、例えば、100μmである。
【0048】
有機繊維の長さと幅、または長さと高さの比は、好ましくは1:1から100:1であり;セルロース繊維については好ましくは少なくとも25:1、より好ましくは少なくとも50:1、さらに良いのは少なくとも75:1、最も好ましくは少なくとも100:1であり、粉砕木材パルプについては好ましくは2:1から10:1である。
【0049】
特に好ましい態様において、いわゆる持続可能な有機繊維、すなわち再生可能な原料からの繊維、例えば、木部繊維、セルロース繊維、綿繊維またはこれらの混合物が、本発明における使用に特に適している。
【0050】
特に好ましい態様において、アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子の約90%から100%、好ましくは92%から99%、より好ましくは94%から98%、特に好ましくは96%から98%、例えば、97±0.5%が、アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子の数Nに基づき、200nm未満、好ましくは150nm未満、より好ましくは100nm未満の球相当径を有する。直径は好ましくは20nmから200nm、50nmから180nmまたは70nmから150nmの範囲である。
【0051】
粒子のサイズ分布は、前述のとおり、米国Micromeritics社からのSedigraph 5100装置を用いての沈降法により測定し、X-Yプロッターを用いてスループット-合計曲線(throughput-summation curve)として印刷し、ここでX軸は対応する球相当径としての粒径を示し、Y軸は対応する粒子含有量を重量パーセントで示す(例えば、P. Belger, Schweizerische Vereinigung der Lack-und Farbenchemiker, XVII FATIPEC Congress, Lugano, Sept. 23-28, 1984参照)。
【0052】
ナノ粒子の粒子含有量パーセンテージN%は、以下の方法を用いて、得られた測定結果から算出する。
【0053】
値をSedigraph曲線から取る。0および0.2μmの間の差が0.1μmの値(100nm)となり;0.2μmと0.4μmの間の差が0.3μmの値(300nm)となり、他も同様である。差の合計を100mgに標準化し、各範囲の量をそれから算出する。計算において、粒子は差の範囲の平均である直径dを有する球であると仮定する。粒子の体積Vをこれから計算し:
V=0.5236 d3
この値から粒子の重量G(比密度、例えば、CaCO3:2.7g/cm3により除する)を算出する:
G=V/2.7。
【0054】
粒子重量を除することにより、粒子数をそれぞれの画分の重量から算出し、次いで分布パーセンテージN%をもとめることができる。
【0055】
コーティングに用いるナノアルカリ土類炭酸塩が所望の、または必要な細かさ、すなわち粒子サイズを有していない場合、1つまたは複数の乾式または湿式粉砕段階、好ましくは複数の、例えば、1つまたは2つの乾式および/または湿式、好ましくは水性粉砕段階で粉砕して、対応する粒径を得ることができる。
【0056】
粉砕は、アルカリ土類炭酸塩を粉砕するために当業者に公知のすべての粉砕器具で実施してもよい。通常のボールミル、ジェットプレートミルが乾式粉砕のために特に適しており;そのようなミルの組み合わせ、または1つもしくは複数のそのようなミルとサイクロンおよび分級機との組み合わせも適当である。例えば、Dynomill社によって供給されるものなどの、通常のアトライターミルが、湿式粉砕には適している。
【0057】
乾式粉砕の場合、ボールミルが好ましく、直径0.5〜10cmの鉄製および/または磁器製のボール、特に好ましくは直径2.5cmの鉄製シルペッブが粉砕体として用いるために特に好ましい。湿式粉砕において、直径0.2〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、同様に0.5〜5mm、例えば、0.5〜2mmのサイズを有する、ケイ酸ジルコニウム、二酸化ジルコニウムおよび/またはバデレアイト製の粉砕ボールが好ましい。しかし、直径0.1〜2mmのケイ砂を用いてもよい。
【0058】
しかし、ナノメートル範囲のアルカリ土類炭酸塩粒子は、好ましくは、湿式粉砕により生成し、かつ/または、特に天然アルカリ土類炭酸塩である場合には、所望の相当径にする。
【0059】
同様に、乾式および湿式両方の粉砕段階を連続して行ってもよいが、最後の粉砕段階は好ましくは湿式粉砕である。
【0060】
アルカリ土類炭酸塩は、1つまたは複数の粉砕助剤および/または分散剤の存在下で、例えば、好ましくは10重量%よりも多い、20重量%よりも多い、例えば、15から30重量%、好ましくは30重量%よりも多い、より好ましくは50重量%よりも多い、さらに良いのは60重量%よりも多いアルカリ土類炭酸塩の固体含有量を有する、例えば、65から68重量%、特に好ましくは70重量%よりも多い固体含有量を有する、例えば、72〜80重量%の固体含有量を有する、水性スラリーの形態で分散および/または粉砕してもよい。
【0061】
粉砕助剤および/または分散剤なしで、アルカリ土類炭酸塩を好ましくは30重量%まで、例えば、15〜30重量%の固体含有量で分散および/または粉砕してもよい。30重量%よりも多い固体含有量では、材料を粉砕助剤および/または分散剤の存在下で分散させかつ/または粉砕する方がよいと考えられる。
【0062】
30重量%以下の濃度、湿式粉砕を化学助剤なしで行ってもよい。そのような生成物、しかし、例えば、60重量%以下の低い固体含有量を有するアルカリ土類炭酸塩スラリーも、好ましくは物理的に、例えば、フィルタープレスおよび/もしくは遠心分離ならびに/または熱により、1つまたは複数の分散剤を用いて濃縮してもよい。機械的および熱的濃縮段階の組み合わせが特に好ましい。濃縮後の最終濃度は、好ましくは、60重量%よりも多い固体含有量、特に好ましくは65重量%から78重量%の間、例えば、72±2重量%である。
【0063】
好ましくは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸およびアクリルアミドまたはこれらの混合物に基づくポリカルボン酸塩のホモポリマーまたはコポリマーを含む群より選択される、アニオン性粉砕助剤および/または分散剤を、粉砕助剤および/または分散剤として用いてもよい。アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、例えば、LudwigshafenのBASF社からのPolysalt Sが特に好ましい。そのような生成物の分子量Mwは、好ましくは2000から15000g/molの範囲であり;3000〜7000g/molのMwが特に好ましい。しかし、そのような生成物の分子量Mwは、好ましくは2000から150000g/molの範囲であり;15000g/molから50000g/mol、例えば、35000g/molから45000g/molのMwが特に好ましい。粉砕助剤および/または分散剤の分子量は、それらが結合剤として作用せず、代わりに離型剤として作用するように選択する。ポリマーおよび/またはコポリマーは、一価および/もしくは多価カチオンで中和してもよく、または遊離酸基を有していてもよい。適当な一価カチオンには、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウムまたはアンモニウムが含まれる。適当な多価カチオンには、例えば、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムまたはアルミニウムが含まれる。ナトリウムおよびマグネシウムの組み合わせが特に好ましい。ポリリン酸ナトリウムおよび/またはポリアスパラギン酸ならびにそれらのアルカリおよび/またはアルカリ土類塩、クエン酸ナトリウムおよびアミンならびに/またはトリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンなどの粉砕助剤および/または分散剤は、単独または他のものとの組み合わせで有利に用いうる。
【0064】
特に乾式粉砕において、粉砕助剤および/または分散剤はグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドブロックコポリマーもしくはトリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンまたはこれらの組み合わせを含む群より選択してもよい。エチレン-アクリル酸コポリマーなどの他のモノマーまたはポリマー添加物を単独または組み合わせで用いることも可能である。コポリマー中のアクリル酸モノマーのエチレンモノマーとの比は、好ましくは、1:4から1:50であり;1:4から1:10が特に好ましく、1:5がすぐれている。
【0065】
分散剤および/または粉砕助剤は、表面無機化有機繊維の総乾燥重量に基づき約0.01重量%から5重量%、例えば、乾式粉砕において、0.01〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の量で用いてもよい。
【0066】
これらはナノ粒子の表面積1m2あたり0.2から1mgの量、例えば、ナノ粒子の表面積1m2あたり0.3から0.7mgの量で特に好ましく用いられる。
【0067】
湿式粉砕において、分散剤および/または粉砕助剤は、約0.05〜2.0重量%の量、好ましくは0.3から1.5重量%、例えば、1重量%の量であるが、約0.4から約0.95重量%の量でも有利に存在する。
【0068】
粉砕助剤および/または分散剤は、スラリーの粘性を下げ、したがって粉砕する粒子および粉砕ビーズの移動度および自由行程長を上げることにより、ナノ範囲のアルカリ土類炭酸塩粒子の粉砕を支援する。これは、後の表面無機化有機繊維の生成において有利である。
【0069】
湿式粉砕におけるスラリーの粘性は、例えば、ディスクスピンドル3および100rpmのEV-2+型の通常のBrookfield粘度計で測定して、好ましくは2500mPa・s未満、より好ましくは1500mPa・s未満、特に1000mPa・s未満、より好ましくは500mPa・s未満および特に好ましくは50〜250mPa・sの範囲である。
【0070】
粉砕助剤および/または分散剤の使用に加えて、粉砕および/または分散中に、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)または塩などのさらなるモノマーまたはポリマー添加物を、単独または組み合わせで用いることも可能である。コポリマー中のアクリル酸モノマーのエチレンモノマーとの比は、好ましくは、1:4から1:50、特に好ましくは1:4から1:10、特に1:5である。非中和型で、200℃、170℃および/または140℃で3000mPa・sから25000mPa・s、15000mPa・sから100000mPa・sおよび50000mPa・sから400000mPa・sの溶融粘度、好ましくは200℃、170℃および/または140℃で3000mPa・sから7000mPa・s、15000mPa・sから20000mPa・sおよび50000mPa・sから100000mPa・s、特に200℃、170℃および/または140℃で15000mPa・sから25000mPa・s、50000mPa・sから100000mPa・sおよび300000mPa・sから400000mPa・sの溶融粘度を有する、EAAおよび/またはその塩が好ましい。
【0071】
200℃で24300mPa・s、170℃で88300mPa・sおよび140℃で367000mPa・sの溶融粘度を有するEAAコポリマーが特に好ましい。
【0072】
好ましくは20mol%のアクリル酸含有量を有する、市販の非常に適当なEAAが、例えば、ドイツのBASFまたは米国のDowから供給されている。
【0073】
EAAコポリマーまたはそれらの塩の使用は、数ある効果の中でも、例えば、コート紙の基質の細孔および/または表面無機化有機繊維自体の細孔の部分的または完全な疎水化を生じ、従って、紙および/またはコーティングおよび/または表面無機化有機繊維の通気孔の水による湿潤が低減、制御および/または防止される。
【0074】
EAA塩を用いる場合、これらを、例えば、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノールを含む群より選択されるアミンならびに/またはカリウム、リチウムおよび/もしくはナトリウムなどのアルカリ金属イオンあるいはこれらの混合物、好ましくはナトリウムで部分的または完全に中和する。例えば、カルボン酸基の少なくとも70mol%または少なくとも95mol%を中和する。
【0075】
EAAおよびそれらの塩を、表面無機化有機繊維の総乾燥重量に基づき0.01重量%から10重量%、好ましくは0.01重量%から5重量%、より好ましくは0.05から5重量%、0.1重量%から2重量%の量、例えば、1.0重量%の量で用いてもよい。
【0076】
本発明の表面無機化繊維は、好ましくは繊維およびナノ粒子の総乾燥重量に基づき5から50重量%、より好ましくは10から30重量%、さらにより好ましくは17から27重量%、例えば、25重量%の繊維を含む。本発明の表面無機化繊維は、好ましくは繊維およびナノ粒子の総乾燥重量に基づき95から50重量%、好ましくは90から70重量%、より好ましくは87から73重量%、例えば、75重量%のアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子を含む。
【0077】
繊維およびナノアルカリ土類炭酸塩は、乾燥重量に基づき、好ましくは1:20の比で、特に1:4の比で、より好ましくは1:3または1:2の比で、しかし1:1の比でも存在する。特に最も好ましくは、繊維のアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子に対する重量比は1:1または1:10である。
【0078】
本発明の表面無機化有機繊維において用いる結合剤は、モノマーとして1つまたは複数のジカルボン酸およびジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1つまたは複数のモノマーならびにエピクロロヒドリンを含むコポリマーからなる。
【0079】
好ましくは、飽和または不飽和でありかつ分枝または非分枝であるC2〜C10ジカルボン酸、好ましくはC3〜C9ジカルボン酸、C4〜C8ジカルボン酸、C5〜C7ジカルボン酸、特にアジピン酸をジカルボン酸モノマーとして用いる。
【0080】
結合剤ポリマーの第二のモノマーとして特に適しているのは、直鎖および分枝鎖でありかつ置換および無置換であるジアミンおよびトリアミン、特にN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンである。好ましく用いられるジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンには、例えば、ジエタノールアミンや、N-メチルジエタノールアミンおよびN-エチルジエタノールアミンなどのN-アルキル-ジアルカノールアミンならびにトリエタノールアミンが含まれる。
【0081】
分子量および/または鎖長のモニタリングおよび制御のために、1つまたは複数のモノアルカノールアミンなどの一価アミンを多縮合中に用いてもよい。好ましくはモノエタノールを用いる。
【0082】
得られる中間体生成物を、エピクロロヒドリンとさらに反応させる。
【0083】
本発明の特に好ましい態様において、アジピン酸とN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンおよびエピクロロヒドリンとのコポリマーを結合剤として用いる。
【0084】
本発明の結合剤は、中性またはカチオン性電荷を有していてもよい。好ましくはカチオン性電荷を有する。
【0085】
電荷を制御するために、ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリビニル硫酸ナトリウムなどのアニオン性ポリマーを用いてもよい。
【0086】
100gの結合剤の電荷に基づく中和のために、例えば、25000から28000g/molのMwを有するポリアクリル酸ナトリウムの乾燥固体に基づき、10〜50g、特に好ましくは20〜40g、理想的には25〜30gが必要である。
【0087】
結合剤は、ナノ粒子の繊維の表面への付着を向上させるようはたらき、本質的にナノ粒子だけが繊維に結合するが、ナノ粒子および/または繊維はそれら自体に結合してより大きい不要な凝集体を生成しない程度に選択的である。
【0088】
表面無機化有機繊維の総乾燥重量に基づき、結合剤は約0.3から約10重量%、好ましくは約0.5から約5重量%、特に好ましくは約1から約3重量%の量で有利に存在する。
【0089】
表面無機化有機繊維は、特に好ましくは、有機繊維の約3から約15重量%、例えば、9重量%の結合剤を含む。
【0090】
本発明のもう一つの局面は、有機繊維、ナノアルカリ土類炭酸塩組成物および結合剤が供給され、混合される、本発明の表面無機化有機繊維の産生法である。
【0091】
結合剤を、繊維またはナノアルカリ土類炭酸塩組成物のいずれかに添加し、次いでこれらをよく混合する。繊維またはナノアルカリ土類炭酸塩組成物をまず混合し、次いで得られる混合物に結合剤を加えることも可能である。
【0092】
しかし、結合剤は水性型、例えば、水溶液またはスラリーで存在してもよく、これにまず繊維を加え、次いでナノアルカリ土類炭酸塩組成物を加えるか、またはまずナノアルカリ土類炭酸塩組成物を加え、次いで繊維を加えて、混合物をホモジナイズする。
【0093】
原理的には、繊維ならびにナノアルカリ土類炭酸塩組成物は、乾燥または水性スラリーのいずれで用いてもよい。しかし、繊維およびナノアルカリ土類炭酸塩組成物を乾燥型で用いる場合、十分な水をまず加えて、水性スラリーを生成しなければならない。
【0094】
ナノアルカリ土類炭酸塩組成物は通常は水性スラリーの形態で供給されるが、繊維は固体の形または水性スラリーの形態で用いうる。
【0095】
「固体」なる用語は、必ずしも「乾燥」していると理解されるわけではない。「固体」なる用語は、用いる物質の硬さのみを表すべきで、物質は明確にかなりの水分含有量を有していてもよい。例えば、50重量%の繊維および50重量%の水の混合物はそれでも固体の硬さを有しうる。
【0096】
結合剤は、好ましくは、水性型、例えば、溶液、乳濁液またはスラリーの形態で、特に好ましくは溶液として供給される。
【0097】
より優れた分散を確実にするために、例えば、ポリアクリル酸のナトリウム塩などの塩、ポリリン酸ナトリウムまたはポリマレイン酸/アクリル酸コポリマーを含む群より選択される分散剤の水溶液および/または粉末の形態で、分散剤を混合物の成分それぞれに加えてもよい。
【0098】
結合剤を得られる反応混合物と合わせた後、または結合剤を繊維もしくはアルカリ土類炭酸塩組成物と合わせる前に、結合剤を後で加える成分または結合剤と混合されている成分に分散剤を加えてもよい。
【0099】
特定の態様において、繊維および/またはナノアルカリ土類炭酸塩組成物の2つのスラリーをまず混合する。次いで、結合剤をこの混合物に加え、得られるスラリーをホモジナイズする。ホモジナイゼーションにおいて、分散剤を結合剤の前、同時、または後に加えてもよく;好ましくは結合剤の前に加える。
【0100】
もう一つの態様において、結合剤を繊維のスラリーに加え、得られる混合物をホモジナイズする。ホモジナイズした混合物を次にナノアルカリ土類炭酸塩組成物のスラリーと、任意に分散剤を加えて混合する。
【0101】
これらの分散剤は、表面無機化有機繊維の総乾燥重量に基づき0.01重量%から2重量%の量で、好ましくは0.1重量%から1重量%、例えば、0.5重量%の量で用いうる。これらは結合剤の吸着を支援する。特に好ましくは、0.2から1mg/m2、例えば、ナノ炭酸塩表面1m2あたり0.5mgの分散剤を用いる。
【0102】
表面無機化有機繊維中の分散剤の量と結合剤の量の比が、それぞれ固体含有量に基づき、1:5から1:20、例えば、1:10の場合に、特に有利である。
【0103】
結合剤の混合および撹拌を含む、繊維および/またはナノアルカリ土類炭酸塩組成物のスラリーの混合およびホモジナイゼーションは、例えば、撹拌機として直径3.5cmの歯付きディスクを有するPendraulic型の撹拌機を用い、好ましくは5〜90℃、特に好ましくは室温、約20〜25℃で実施してもよい。
【0104】
同様に、特に乾燥炭酸塩ナノ粒子をまず結合剤と混合する場合には、プローシェアミキサーによるスラリーの混合およびホモジナイゼーションも可能である。プローシェアミキサーは機械的に誘導された流動床の原理に従って機能する。プローシェアの刃は水平の円筒ドラムの内壁近くを回転し、混合物の成分を生成物床から開放混合スペースへと運ぶ。機械的に誘導された流動床は、大量の場合でも、非常に短い期間での強力な混合を確実にする。乾式操作において塊を分散するために、チョッパーおよび/または分散器を用いる。ここで用いる器具は、Gebrueder Loedige Maschinenbau GmbH [Loedige Brothers Mechanical Engineering, Inc.], Paderborn, Germanyから市販されている。
【0105】
乾燥ナノアルカリ土類炭酸塩組成物を、繊維を結合剤ですでに前もって処理している時にのみ加える場合、これは管状混合器具を用いて、例えば、スラリーを遠心ポンプで管状混合器具に注入し、前もって処理した繊維のスラリーを取り込みチューブから管状混合器具内に連続的に導入することによって達成してもよい。そのような管状混合器具は、例えば、Ystral GmbH, Ballrechten-Dottingen, Germanyから市販されている。
【0106】
混合は約20〜25℃の室温で行ってもよい。製造工程中の、例えば、分散操作中の摩擦による加熱は、必ずしも相殺しなくてもよい。工程中の温度は通常は20〜90℃、好ましくは20℃から70℃の間でありうる。
【0107】
様々な混合系の組み合わせを用いてもよい。
【0108】
本発明の製造法に従って得た表面無機化有機繊維の水分含有量を下げてもよい。表面無機化有機繊維が固体として得られるように、これらを乾燥してもよいが、スラリーとして、または乾燥した表面無機化有機繊維の再生水性スラリーとしてさらに加工してもよく、したがって、本発明の表面無機化有機繊維それ自体だけでなく、その水性スラリーも、本発明の溶液を構成しうる。
【0109】
表面無機化有機繊維スラリーの固体含有量を、熱的に、例えば、マイクロ波もしくはオーブン中で、または機械的に、例えば、ろ過、水分含有量の低減により高めてもよく、あるいは水を加えることにより下げてもよい。
【0110】
本発明のさらなる局面は、固体、湿潤もしくは乾燥状態または水性スラリーのいずれかにかかわらず、表面無機化有機繊維の可能性のある使用を含む。
【0111】
したがって、表面無機化有機繊維またはそのスラリーの主な使用の1つは、製紙における使用である。これらは、例えば、充填剤または色素として用いてもよい。製紙における本発明の表面無機化有機繊維の使用の利点は、ナノアルカリ土類炭酸塩の特に高い充填剤含有量を達成しうることである。これらのナノ充填剤の保持は、表面無機化有機繊維におけるそれらの存在によって特に促進される。
【0112】
製紙において、表面無機化有機繊維は好ましくは紙の総重量に基づき5から70重量%、好ましくは10から50重量%の量で用いる。紙1m2あたりの本発明の表面無機化有機繊維の好ましい量は、例えば、0.5から500g/m2、より好ましくは2から100g/m2、特に好ましくは5から50g/m2である。
【0113】
表面無機化有機繊維は、多層系、例えば、厚紙においても用いうる。
【0114】
異なるサイズの粒子を異なって吸収する傾向があり、これは次いで混合物の凝離を引き起こしうる、粘土、セメントまたは木材などの多孔性基質に塗布するための塗料およびスパックリング化合物における、それらの使用が特に有利である。
【0115】
本発明の表面無機化有機繊維は、他の通常の色素および/または充填剤、例えば、タルク、カオリンならびに木部繊維、セルロース繊維および綿繊維などの通常の繊維材料と共に用いてもよい。
【0116】
本発明は、したがって、本発明の表面無機化有機繊維またはそのスラリーを含む、充填剤または色素および繊維も含む。
【0117】
本発明の表面無機化有機繊維は、紙の表面仕上げにおける、例えば、プラスチック、セメントおよび粘土中および/またはその表面上での、塗料およびワニスにおける使用にも非常に適している。
【0118】
加えて、本発明の表面無機化有機繊維は、生分解性、例えば、使用後のポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンの包装フィルムの分解を支援または促進するための、プラスチックにおける充填剤として乾燥型で有利に用いられる。
【0119】
本発明のもう一つの局面は、本発明の表面無機化有機繊維またはそのスラリーの、ろ過層として単独で、または綿、セルロースおよびポリアミド繊維などの天然および/もしくは合成担体材料中もしくは担体材料上のいずれかでの、ろ過助剤としての使用を含む。表面無機化有機繊維の多孔性構造および低い凝離ゆえに、同時に粒状物質のための良好な保持力を有する最適な液体移動ができる。
【0120】
したがって、本発明の表面無機化有機繊維またはそのスラリーを含むろ過助剤も、本発明の一局面である。
【0121】
最後に、本発明の表面無機化有機繊維における結合剤のすぐれた結合特性を考慮して、本発明のもう一つの局面は、前述のものなどのアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子を含む組成物による繊維の少なくとも部分的コーティングのための、モノマーとして1つまたは複数のジカルボン酸、ならびにジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1つまたは複数のモノマーおよびエピクロロヒドリンを含むポリマーの使用を含む。アジピン酸とN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンおよびエピクロロヒドリンとのポリマーの結合剤としての使用が特に好ましい。
【0122】
添付の図面、以下に記載する実施例および実験は、本発明を例示するために提供するものであって、いかなる様式でも本発明を限定すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0123】
以下に記載する図面のいくつかは、様々な最先端の混合物および本発明の表面無機化有機繊維の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。混合物および本発明の表面無機化有機繊維を水中10重量%の濃度に調節した。それぞれ数滴(約100mg)を250mLの蒸留水で希釈し、0.2μmの細孔のメンブランフィルターを通してろ過した。メンブランフィルター上に得られた調製物を金でスパッタリングし、SEMで評価した。
【図1】図1は、本発明の表面無機化有機繊維に適した繊維混合物を示す。
【図2】図2は、本発明の表面無機化有機繊維に適した繊維混合物を示す。
【図3】図3は、1つの倍率での、最先端の混合物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、図3と異なる倍率での、最先端の混合物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図5】図5は、1つの倍率での、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図6】図6は、図5と異なる倍率での、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図7】図7は、1つの倍率での、原粘土プレート上の塗料としての、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物の光学顕微鏡写真を示す。
【図8】図8は、図7と異なる倍率での、原粘土プレート上の塗料としての、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物の光学顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、1つの倍率での、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、図9と異なる倍率での、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図11】図11は、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図12】図12は、1つの倍率での、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【図13】図13は、図12と異なる倍率での、繊維、ナノ炭酸カルシウム組成物および結合剤からなる本発明の表面無機化有機繊維の調製物のSEM顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0124】
本発明に従って使用可能なナノ粒子の調製および説明
本発明の表面無機化有機繊維に適したナノアルカリ土類炭酸塩組成物の調製を以下に記載する:
【0125】
ナノアルカリ土類炭酸塩組成物1を、直径2.5cmの鉄製シルペッブによる通常のボールミルで平均球体粒径45μmにあらかじめ乾式粉砕したフランス南部産の石灰石を用い、固体含有量72重量%で、ナノアルカリ土類炭酸塩の総乾燥重量に対し合計0.4重量%のMw=4000〜8000g/molを有するポリアクリル酸ナトリウム/マグネシウムを分散剤/粉砕助剤として用いて、垂直の160リットルのアトライターボールミル中で2回、湿式粉砕により連続的に粉砕し、下記のサイズ分布を得た。

【0126】
湿式粉砕後に得たスラリーのBrookfield粘度は285mPa・sであった。BETによって測定した比表面積は11.2m2/g(ISO 9277)であった。用いた粉砕ビーズはケイ酸ジルコニウムおよびバデレアイト製で、0.5〜2mmのサイズを有していた。次に、スラリーを噴霧乾燥した(Mobile NIRO型の噴霧乾燥器、2005年モデル、GEA Niro A/S)。乾燥後の水分含有量は0.13重量%であった。
【0127】
ナノアルカリ土類炭酸塩組成物2を、通常のボールミルで平均球体粒径45μmにあらかじめ乾式粉砕したノルウェー産の大理石を用い、固体含有量72重量%で、ナノアルカリ土類炭酸塩の総乾燥重量に対し合計0.55重量%のMw=4000〜8000g/molを有するポリアクリル酸ナトリウム/マグネシウムを分散剤/粉砕助剤として用いて、垂直の160リットルのアトライターボールミル中で2回、湿式粉砕により連続的に粉砕し、下記のサイズ分布を得た。

【0128】
湿式粉砕後に得たスラリーのBrookfield粘度は128mPa・sであった。BETによって測定した比表面積は12.6m2/g(ISO 9277)であった。用いた粉砕ビーズはケイ酸ジルコニウムおよびバデレアイト製で、0.5〜2mmのサイズを有していた。
【0129】
ナノアルカリ土類炭酸塩組成物3を、45kgのナノアルカリ土類炭酸塩組成物2を用い、遠心分離により分別した。スラリーを遠心機(モデルKVT LAB-CUT LC 1000分級遠心機、Krettek Verfahrenstechnik GmbH [Process Engineering, Inc.]、D-41749 Viersen、Germany)にIsmatecモデルGV-BES管状スクイズポンプを用いて添加した。添加速度は1時間あたり15〜25リットルであった。遠心機が遠心ケークで約60%充填された時点で、サイクルを停止し、粗い画分を高圧クリーナーにより機械的に除去した。超微細画分をさらに用いた。粗い材料の繰り返し分離により、所望の粒子画分を生成した、すなわち、最初は低い回転速度で遠心分離し、得られた細粒を次いでより高い回転速度で遠心分離するなどを、所望の細かさが得られるまで行った。十分な材料を得るために、数バッチを生成した。
【0130】
遠心分離を3500rpmで操作して9回行った。粗い画分を廃棄した。微細画分を用い、5000rpmでさらに8回行った。最後に、さらに4バッチを6000rpmで処理した。50重量%の固体を有するナノアルカリ土類炭酸塩3を1kgおよび下記のサイズ分布を得た。

【0131】
この調製後に得たスラリーのBrookfield粘度は150mPa・sであった。BETによって測定した比表面積は27.5m2/g(ISO 9277)であった。
【0132】
本発明に従って使用可能な繊維の説明
以下の繊維を以下の実験のために用いた。
【0133】
繊維混合物1
Papierfabrik Biberist, Switzerlandからの、20重量%のマツセルロース(長繊維)と80重量%ブナセルロース(短繊維)の混合物、混合物の叩解度23°SR。
水分85重量%。
繊維の長さ約0.5〜3mm
繊維の幅約0.02〜1mm
繊維混合物1を図1に示す。
【0134】
繊維混合物2
Papierfabrik Albbruck, Germanyからの、10重量%のマツセルロース(長繊維)、27°SRと90重量%木材パルプ、79°SRの混合物。
水分85重量%。
繊維の長さ約0.5〜3mm
繊維の幅約0.1〜0.5mm
繊維混合物2を図2に示す。
【0135】
本発明に従って使用可能な結合剤の調製および説明
結合剤1
以下の特徴を有する、アジピン酸とN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンおよびエピクロロヒドリンとのコポリマーの15±0.5重量%水溶液:
-総塩素含有量:約1.5%
-有機塩素含有量:<0.5%
-Mw>1000g/mol
-水溶液のBrookfield粘度:80±30mPa・s(Brookfield EV-2+型、ディスクスピンドル3、100rpm;250mL浅型ガラスビーカー)
-pH3.0
【0136】
そのような生成物は、有機合成の当業者であれば熟知している方法により、二段階合成工程で生成することができる。生成は、例えば、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミンおよびアジピン酸の反応生成物からなる中間体生成物を生成することにより行う。次いで、第二の反応において、この中間体生成物をエピクロロヒドリンと、触媒として硫酸およびソルビン酸ナトリウムを用いて反応させ、最終生成物を生じる;固体含有量を水で12〜20重量%に希釈し、pHをさらなる硫酸でpH3に調節する。そのようなポリマーは、例えば、ドイツのLanxess社から、Nadavinの商品名、例えば、Nadavin DHN (15%)で、またはイタリアのMare社から、Maresin PD 125 (12.5%)の商品名で市販されている。
【0137】
最先端の混合物の調製および説明
比較実験1:25重量%の繊維混合物1および75重量%のナノアルカリ土類炭酸塩組成物2の混合物
繊維混合物1を水で固体含有量5重量%に希釈した。ナノアルカリ土類炭酸塩組成物2を水で固体含有量30重量%に希釈した。次いで、300gの希釈した繊維混合物1を150gの希釈したアルカリ土類炭酸塩組成物2と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機、直径30mm)しながら混合した。得られた混合物は約12.6重量%の固体含有量を有していた。
【0138】
結果
a) メンブランフィルターによる凝離についての試験
混合物の凝離傾向を示し、ろ過速度をもとめるために、フィルター試験を行った。
【0139】
得られた混合物8gを水200mLで希釈し、このスラリーを0.2μmの孔径を有するメンブランフィルターを用いてろ過した(圧力約25mbar、水ジェットポンプ、室温)。200mLをろ過するのに要した時間を測定した。凝離が起きれば、ナノアルカリ土類炭酸塩はまず細孔を通過し、浸透する(混濁ろ液)。時間と共に、二次的フィルターケークがメンブランフィルター上に生成し、細孔を遮断する。
【0140】
ろ過時間:>4時間
【0141】
2時間後、ろ液は130mLしか得られなかった。ろ過は4時間30分後に完了した。
【0142】
ろ過時間は明らかに、ナノ粒子および繊維の凝離によるフィイルター孔の閉塞を示している。
【0143】
図3および4も、繊維からのナノ粒子の凝離を明らかに示している。
【0144】
b) ふるい上での凝離についての試験
もう一つの凝離試験において、前述の混合物の試料72gを撹拌しながら水で10リットルに希釈し、150μmの対角メッシュを有するふるいを通してろ過した。得られた残渣を、同じシート形成機の減圧乾燥器内で、110℃および約100mbarで5分間乾燥し、次いで灰分を試験した。この実験のために、Gerd Schenkel社(旧Ernst Haage)、D-45478 Muehlheim、Germanyからの実験用シート形成機を用いた。
【0145】
試験を2回行って、以下の結果を得た。

【0146】
本発明の表面無機化有機繊維の生成および説明
実験2:22重量%の繊維混合物1および75重量%のナノアルカリ土類炭酸塩組成物2ならびに3重量%の結合剤1の混合物
繊維混合物1を水で固体含有量5重量%に希釈した。600gの希釈した繊維混合物を24gの結合剤1と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら混合した。次いで、300gの得られた混合物を54gのナノアルカリ土類炭酸塩組成物2と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm)しながら混合した。得られた表面無機化有機繊維スラリーは約12.4重量%の固体含有量を有していた。
【0147】
結果
a) メンブランフィルターによる凝離についての試験
表面無機化有機繊維の凝離傾向低下を示し、ろ過速度をもとめるために、フィルター試験を行った。
【0148】
表面無機化有機繊維スラリー8gを水200mLで希釈し、このスラリーを0.2μmの孔径を有するメンブランフィルターを用いてろ過した(圧力約25mbar、水ジェットポンプ、室温)。200mLをろ過するのに要した時間を測定した。凝離が起きれば、ナノアルカリ土類炭酸塩はまず細孔を通過し、浸透する(混濁ろ液)。時間と共に、二次的フィルターケークがメンブランフィルター上に生成し、細孔を遮断する。
【0149】
ろ過時間:4分間
【0150】
ろ過時間は明らかに、ナノ粒子および繊維の凝離が防止されたことを示している。
【0151】
b) ふるい上での凝離についての試験
もう一つの凝離試験において、前述のスラリーの試料72gを撹拌しながら水で10リットルに希釈し、150μmの対角メッシュを有するふるいを通してろ過した。このように生成した残渣を、同じシート形成機の減圧乾燥器内で、110℃および約100mbarで5分間乾燥し、次いで灰分を試験した。この実験のために、Gerd Schenkel社(旧Ernst Haage)、D-45478 Muehlheim、Germanyからの実験用シート形成機を用いた。
【0152】
試験を2回行って、以下の結果を得た。

【0153】
比較実験1の最先端の混合物と比較して、この結果は明らかに、ナノアルカリ土類炭酸塩がシートの総重量に基づき2.75倍よく保持されたこと、および1平方メートル当たり約3.5倍多いナノアルカリ土類炭酸塩が保持されたことを示している。凝離は比較実験1と比べて激しく低減した。
【0154】
これは図5および6によっても確認され、これらは明らかに、繊維のナノ炭酸カルシウムによる良好な被覆を示している。
【0155】
図7および8は、表面無機化有機繊維は、原粘土プレートへの塗料として塗布した場合でも、いかなる有意な凝離も示さないことを示している。
【0156】
実験3:22重量%の繊維混合物1および75重量%のナノアルカリ土類炭酸塩組成物2ならびに3重量%の結合剤1の混合物
繊維混合物1を水で固体含有量5重量%に希釈した。300gの希釈した繊維混合物を54gのナノアルカリ土類炭酸塩組成物2と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら混合した。次いで、得られた混合物を24gの結合剤1と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm)しながら混合した。得られた表面無機化有機繊維スラリーは約12.2重量%の固体含有量を有していた。
【0157】
結果
a) メンブランフィルターによる凝離についての試験
表面無機化有機繊維の凝離傾向低下を示し、ろ過速度をもとめるために、フィルター試験を行った。
【0158】
表面無機化有機繊維スラリー8gを水200mLで希釈し、このスラリーを0.2μmの孔径を有するメンブランフィルターを用いてろ過した(圧力約25mbar、水ジェットポンプ、室温)。200mLをろ過するのに要した時間を測定した。凝離が起きれば、ナノアルカリ土類炭酸塩はまず細孔を通過し、浸透する(混濁ろ液)。時間と共に、二次的フィルターケークがメンブランフィルター上に生成し、細孔を遮断する。
【0159】
ろ過時間:9分間
【0160】
ろ過時間は明らかに、ナノ粒子および繊維の凝離が防止されたことを示している。
【0161】
b) ふるい上での凝離についての試験
もう一つの凝離試験において、前述のスラリーの試料72gを撹拌しながら水で10リットルに希釈し、150μmの対角メッシュを有するふるいを通してろ過した。このように生成した残渣を、同じシート形成機の減圧乾燥器内で、110℃および約100mbarで5分間乾燥し、次いで灰分を試験した。この実験のために、Gerd Schenkel社(旧Ernst Haage)、D-45478 Muehlheim、Germanyからの実験用シート形成機を用いた。
【0162】
試験を2回行って、以下の結果を得た。

【0163】
比較実験1の最先端の混合物と比較して、この結果は明らかに、ナノアルカリ土類炭酸塩が残渣の総重量に基づき2.6倍よく保持されたこと、および1平方メートル当たり約3.6倍多いナノアルカリ土類炭酸塩が保持されたことを示している。凝離は比較実験1と比べて激しく低減した。
【0164】
これは図9および10によっても確認され、これらは明らかに、繊維のナノ炭酸カルシウムによる良好な被覆を示している。
【0165】
実験4:22重量%の繊維混合物1および75重量%のナノアルカリ土類炭酸塩組成物1ならびに3重量%の結合剤1の混合物
500gのナノアルカリ土類炭酸塩組成物1を100gの結合剤1で、プローシェアミキサー中、15分以内でコーティングした。繊維混合物1を水で固体含有量5重量%に希釈し、300gの希釈した繊維混合物および45gの水を39gのあらかじめ処理したナノアルカリ土類炭酸塩組成物1と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら混合した。得られた表面無機化有機繊維スラリーは約12.1重量%の固体含有量を有していた。
【0166】
結果
a) メンブランフィルターによる凝離についての試験
表面無機化有機繊維の凝離傾向低下を示し、ろ過速度をもとめるために、フィルター試験を行った。
【0167】
表面無機化有機繊維スラリー8gを水200mLで希釈し、このスラリーを0.2μmの孔径を有するメンブランフィルターを用いてろ過した(圧力約25mbar、水ジェットポンプ、室温)。200mLをろ過するのに要した時間を測定した。凝離が起きれば、ナノアルカリ土類炭酸塩はまず細孔を通過し、浸透する(混濁ろ液)。時間と共に、二次的フィルターケークがメンブランフィルター上に生成し、細孔を遮断する。
【0168】
ろ過時間:4分間
【0169】
ろ過時間は明らかに、ナノ粒子および繊維の凝離が防止されたことを示している。
【0170】
b) ふるい上での凝離についての試験
もう一つの凝離試験において、前述のスラリーの試料72gを撹拌しながら水で10リットルに希釈し、150μmの対角メッシュを有するふるいを通してろ過した。このように生成した残渣を、同じシート形成機の減圧乾燥器内で、110℃および約100mbarで5分間乾燥し、次いで灰分を試験した。この実験のために、Gerd Schenkel社(旧Ernst Haage)、D-45478 Muehlheim、Germanyからの実験用シート形成機を用いた。
【0171】
試験を2回行って、以下の結果を得た。

【0172】
比較実験1の最先端の混合物と比較して、この結果は明らかに、ナノアルカリ土類炭酸塩が残渣の総重量に基づき2倍よく保持されたこと、および1平方メートル当たり約2.4倍多いナノアルカリ土類炭酸塩が保持されたことを示している。凝離は比較実験1と比べて激しく低減した。
【0173】
これは図11によっても確認され、これは明らかに、繊維のナノ炭酸カルシウムによる良好な被覆を示している。
【0174】
実験5:22重量%の繊維混合物2および75重量%のナノアルカリ土類炭酸塩組成物3ならびに3重量%の結合剤1の混合物
繊維混合物2を水で固体含有量5重量%に希釈した。300gの希釈した繊維混合物を90gのナノアルカリ土類炭酸塩組成物3および700gの水と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら混合した。次いで、24gの結合剤1を100mLの水で撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら希釈し、混合物と同様に撹拌しながら混合した。得られた表面無機化有機繊維スラリーは約5.5重量%の固体含有量を有していた。
【0175】
結果
a) メンブランフィルターによる凝離についての試験
表面無機化有機繊維の凝離傾向低下を示し、ろ過速度をもとめるために、フィルター試験を行った。
【0176】
表面無機化有機繊維スラリー8gを水200mLで希釈し、このスラリーを0.2μmの孔径を有するメンブランフィルターを用いてろ過した(圧力約25mbar、水ジェットポンプ、室温)。200mLをろ過するのに要した時間を測定した。凝離が起きれば、ナノアルカリ土類炭酸塩はまず細孔を通過し、浸透する(混濁ろ液)。時間と共に、二次的フィルターケークがメンブランフィルター上に生成し、細孔を遮断する。
【0177】
ろ過時間:4分間
【0178】
ろ過時間は明らかに、ナノ粒子および繊維の凝離が防止されたことを示している。
【0179】
これは図12および13によっても確認され、これらは明らかに、繊維のナノ炭酸カルシウムによる良好な被覆を示している。
【0180】
実験6:24重量%の繊維混合物1および75重量%のナノアルカリ土類炭酸塩組成物2ならびに1重量%の結合剤1の混合物
繊維混合物1を水で固体含有量5重量%に希釈した。300gの希釈した繊維混合物を54gのナノアルカリ土類炭酸塩組成物2と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら混合した。次いで、72gの得られた混合物を水で10リットルにさらに希釈し、0.66gの結合剤1と撹拌(500rpm;インペラー撹拌機;直径30mm;5分間)しながら混合した。得られた表面無機化有機繊維スラリーは約0.1重量%の固体含有量を有していた。
【0181】
b) ふるい上での凝離についての試験
もう一つの凝離試験において、前述のスラリーの試料72gを撹拌しながら水で10リットルに希釈し、150μmの対角メッシュを有するふるいを通してろ過した。このように生成した残渣を、同じシート形成機の減圧乾燥器内で、110℃および約100mbarで5分間乾燥し、次いで灰分を試験した。この実験のために、Gerd Schenkel社(旧Ernst Haage)、D-45478 Muehlheim、Germanyからの実験用シート形成機を用いた。
【0182】
試験を2回行って、以下の結果を得た。

【0183】
比較実験1の最先端の混合物と比較して、この結果は明らかに、ナノアルカリ土類炭酸塩が残渣の総重量に基づき2.5倍よく保持されたこと、および1平方メートル当たり約3.6倍多いナノアルカリ土類炭酸塩が保持されたことを示している。凝離は比較実験1と比べて激しく低減した。
【0184】
実験7:結合剤1の電荷中和
結合剤1の固体固体含有量をもとめるために、約0.8〜1gを1mgまで正確に秤量し、150℃の循環空気乾燥器で1時間乾燥した。
【0185】
次いで、ナノアルカリ土類炭酸塩組成物3を生成するためにも用いたものなどの、Mw=25000〜28000g/molを有するポリアクリル酸ナトリウムの固体含有量を同じ様式でもとめ、次に1重量%の水性測定溶液を調製した。
【0186】
結合剤1の固体含有量に基づき、1gを水で1重量%に希釈し、Muetek PCD 02粒子電荷検出器(BTG Instruments GmbH, 82211 Herrsching)を用いて、1重量%ポリアクリル酸ナトリウム測定溶液で電荷中和まで滴定した。
【0187】
結果
100gの結合剤1の電荷に基づく中和を達成するために、42.8重量%のMw=25000〜28000を有するポリアクリル酸ナトリウム10.36gが必要である。固体含有量に基づき、100重量%の結合剤1 100gの電荷中和のために100重量%のMw=25000〜28000g/molを有するポリアクリル酸ナトリウム29.2gが必要であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤を用いてアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子を含む組成物で少なくとも部分的にコーティングされている有機繊維を含む、表面無機化有機繊維であって、
-持続可能な(sustainable)有機繊維の長さがミリメートル範囲であり、アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子の球相当径がナノメートル範囲であること;ならびに
-結合剤が、モノマーとして1つまたは複数のジカルボン酸;ジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1つまたは複数のモノマー;およびエピクロロヒドリンを含むコポリマーであること
を特徴とする、表面無機化有機繊維。
【請求項2】
有機繊維が持続可能な材料からなることを特徴とする、請求項1記載の表面無機化有機繊維。
【請求項3】
有機繊維が木部繊維、セルロース繊維および綿繊維を含む群より選択されることを特徴とする、請求項2記載の表面無機化有機繊維。
【請求項4】
有機繊維が約0.1mmから約9.9mm、好ましくは約0.5mmから約7.5mm、特に約1mmから約5mm、例えば、3mmの長さまたはこれらの混合物を本質的に有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項5】
有機繊維の幅または厚さが10μmから約1000μm、好ましくは約20μmから約750μm、特に約50μmから約200μmの範囲、例えば、100μmであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項6】
有機繊維の長さ/幅の比または長さ/高さの比が1:1から100:1であり;セルロースについては好ましくは少なくとも25:1、より好ましくは少なくとも50:1、さらに望ましくは少なくとも75:1、最も好ましくは少なくとも100:1であり、かつ木材パルプについては好ましくは2:1から10:1であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項7】
アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子が、天然重質炭酸カルシウム、天然および/または合成の沈降炭酸カルシウム、ドロマイトなどの混合炭酸塩、ならびにこれらの混合物を含む群より選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項8】
天然重質炭酸カルシウムが大理石、石灰石、チョークおよびこれらの混合物からなる群より好ましくは選択されることを特徴とする、請求項7記載の表面無機化有機繊維。
【請求項9】
天然および/または合成の沈降炭酸カルシウムがバテライト、方解石またはアラレ石の結晶構造を有することを特徴とする、請求項7または8記載の表面無機化有機繊維。
【請求項10】
好ましくは1グラムにつき1時間あたりの崩壊率1から890を有する、特に好ましくは天然GCCでは1グラムにつき1時間あたりの崩壊率10から450を有しかつPCCでは1グラムにつき1時間あたりの崩壊率250から890を有する14C同位体画分を、炭酸カルシウムが含むことを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項11】
ドロマイトが好ましくは、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%よりも多い、より好ましくは90重量%よりも多い、特に好ましくは98重量%よりも多いドロマイト鉱物を含む粉砕天然白雲岩であることを特徴とする、請求項7記載の表面無機化有機繊維。
【請求項12】
アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子の90%から100%、好ましくは92%から99%、より好ましくは94%から98%、特に好ましくは96%から98%、例えば97±0.5%が、アルカリ土類炭酸塩ナノ粒子の数Nに基づき、200nm未満、例えば20nmから200nmまたは50nmから180nmの範囲、好ましくは150nm未満、例えば、70nmから150nmの範囲、さらにより好ましくは100nm未満の球相当径を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項13】
1つまたは複数の乾式または湿式の粉砕段階、好ましくは複数の、例えば、1つまたは2つの乾式および/または湿式の、好ましくは水性の粉砕段階で、好ましくはアルカリ土類炭酸塩粒子が球相当径に粉砕されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項14】
粉砕のためにボールミル、ジェットプレートミル、アトライターミル、もしくはそのようなミルの組み合わせ、または、1つもしくは複数のそのようなミルとサイクロンおよび分級機との組み合わせを用いることを特徴とする、請求項13記載の表面無機化有機繊維。
【請求項15】
乾式粉砕がボールミルで行われ、好ましくは直径0.5〜10cmの鉄製および/または磁器製のビーズ、特に好ましくは直径2.5cmの鉄製シルペッブが用いられることを特徴とする、請求項13または14記載の表面無機化有機繊維。
【請求項16】
湿式粉砕が、直径0.2〜5mm、好ましくは0.2〜2mm、同様に0.5〜5mm、例えば、0.5〜2mmの直径を有する、ケイ酸ジルコニウム、二酸化ジルコニウムおよび/またはバデレアイトからなる粉砕ビーズを好ましくは用いて、アトライターミルで行われることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項17】
アルカリ土類炭酸塩の固体含有量が10重量%よりも多い、20重量%よりも多い、例えば、15〜30重量%、好ましくは30重量%よりも多い、より好ましくは50重量%よりも多い、例えば、65〜68重量%、特に好ましくは70重量%よりも多い固体含有量の、例えば、72〜80重量%の固体含有量の水性スラリーの形態で、アルカリ土類炭酸塩粒子を分散させかつ/または粉砕することを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項18】
≦60重量%、例えば、≦30重量%の固体含有量を有するアルカリ土類炭酸塩スラリーを、例えばフィルタープレスおよび/もしくは遠心分離によって、物理的に濃縮し、かつ/または、特に機械的および熱的濃縮段階の組み合わせによって、熱的に濃縮して、好ましくは1つまたは複数の分散剤の存在下で分散させ、好ましくは60重量%よりも多い固体含有量、特に好ましくは65重量%から78重量%の間、例えば、72±2重量%の最終濃度とすることを特徴とする、請求項13から17のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項19】
1つまたは複数の粉砕助剤および/または分散剤の存在下で、アルカリ土類炭酸塩粒子を、特にそれらが10重量%よりも多い、さらに望ましくは30重量%よりも多い、より好ましくは60重量%よりも多い固体含有量を有する水性スラリー中に存在する場合に、分散させかつ/または粉砕することを特徴とする、請求項13から18のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項20】
粉砕助剤および/または分散剤が、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリルアミドもしくはこれらの混合物に基づくポリカルボン酸塩のホモポリマーもしくはコポリマー;ポリリン酸ナトリウムおよび/もしくはポリアスパラギン酸ならびにこれらのアルカリ塩および/もしくはアルカリ土類塩、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンまたはこれらの混合物を含む群より好ましくは選択される、アニオン性粉砕助剤および/または分散剤であることを特徴とする、請求項18または19記載の表面無機化有機繊維。
【請求項21】
ポリカルボン酸のホモポリマーもしくはコポリマーが遊離酸として存在するか、あるいはナトリウム、リチウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムおよび/もしくはアルミニウムまたはこれらの混合物で、好ましくはナトリウムおよびマグネシウムで部分的または完全に中和されていることを特徴とする、請求項20記載の表面無機化有機繊維。
【請求項22】
湿式粉砕において、分散剤および/または粉砕助剤が、約0.05から約2重量%の量で、好ましくは0.3から1.5重量%、例えば、1重量%の量で、特に約0.4から約0.95重量%の量で用いられることを特徴とする、請求項18から21のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項23】
特に乾式粉砕において、粉砕助剤および/または分散剤が、グリコール、ポリグリコール、例えばポリエチレングリコール、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドブロックコポリマーもしくはトリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、またはこれらの組み合わせを含む群より選択されることを特徴とする、請求項18から22のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項24】
乾式粉砕において、分散剤および/または粉砕助剤が、表面無機化有機繊維の総乾燥重量に基づき、約0.01重量%から約5重量%の量で、好ましくは約0.01から約0.5重量%、特に0.1から0.3重量%の量で用いられることを特徴とする、請求項18から23のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項25】
分散剤および/または粉砕助剤が、ナノ粒子の表面積1m2あたり0.2から1mgの量で、好ましくはナノ粒子の表面積1m2あたり0.3から0.7mgの量で存在することを特徴とする、請求項18から24のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項26】
表面無機化有機繊維中の分散剤の量と結合剤の量の比が、それぞれ固体含有量に基づき、1:5から1:20、例えば、1:10であることを特徴とする、請求項18から25のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項27】
繊維およびナノ粒子の総乾燥重量に基づき、5から50重量%、好ましくは10から30重量%、より好ましくは17から27重量%、例えば25重量%の繊維を含むことを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項28】
繊維およびナノ粒子の総乾燥重量に基づき、95重量%から50重量%、好ましくは90重量%から70重量%、より好ましくは87重量%から73重量%、例えば75重量%のアルカリ土類炭酸塩ナノ粒子を含むことを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項29】
繊維およびナノアルカリ土類炭酸塩が、乾燥重量に基づき、好ましくは1:20の比で、特に1:4の比で、より好ましくは1:3または1:2の比で、特に1:1または1:10の比で存在することを特徴とする、請求項1から28のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項30】
飽和または不飽和でありかつ分枝鎖または非分枝鎖であるC2〜C10ジカルボン酸、好ましくはC3〜C9ジカルボン酸、C4〜C8ジカルボン酸、C5〜C7ジカルボン酸、特にアジピン酸を結合剤のジカルボン酸モノマーとして用いることを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項31】
直鎖および分枝鎖でありかつ置換および無置換であるジアミンおよびトリアミンおよびジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミン、特にN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンおよびN-エチルジエタノールアミンなどのN-アルキル-ジアルカノールアミン、ならびにトリエタノールアミンを結合剤のジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンモノマーとして用いることを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項32】
結合剤がアジピン酸とN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンおよびエピクロロヒドリンとのコポリマーであることを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項33】
結合剤がカチオン性に荷電していることを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項34】
結合剤が、アニオン性ポリマー、例えば分子量25000g/molから28000g/molのポリアクリル酸ナトリウムまたはポリビニル硫酸ナトリウムによって部分的または完全に中和されることを特徴とする、請求項1から33のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項35】
表面無機化有機繊維の総乾燥重量に基づき、約0.3重量%から約10重量%、好ましくは約0.5重量%から約5重量%、特に好ましくは約1重量%から約3重量%の結合剤を含むことを特徴とする、請求項1から34のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項36】
有機繊維含有量に基づき約3重量%から約15重量%、例えば9重量%の結合剤を含むことを特徴とする、請求項1から35のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維。
【請求項37】
(a)有機繊維を供給する段階;
(b)ナノアルカリ土類炭酸塩組成物を供給する段階;
(c)水性型の結合剤を供給する段階;
(d)(a)および(b)からの有機繊維とナノアルカリ土類炭酸塩組成物を混合する段階
を含む、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維の産生法であって、段階(d)の前に、(a)からの有機繊維または(b)からのナノアルカリ土類炭酸塩組成物に結合剤を加え、得られた反応混合物をホモジナイズする、方法。
【請求項38】
(a)有機繊維を供給する段階;
(b)ナノアルカリ土類炭酸塩組成物を供給する段階;
(c)水性型の結合剤を供給する段階;
(d)(a)および(b)の有機繊維とナノアルカリ土類炭酸塩組成物を混合する段階
を含む、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維の産生法であって、段階(d)の後に、(a)からの有機繊維と(b)からのナノアルカリ土類炭酸塩組成物の混合物に結合剤を加え、得られた反応混合物をホモジナイズする、方法。
【請求項39】
(a)有機繊維を供給する段階;
(b)ナノアルカリ土類炭酸塩組成物を供給する段階;
(c)水性型の結合剤を供給する段階
を含む、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維の産生法であって、結合剤をまず加え、次いでこれを(a)からの有機繊維および(b)からのナノアルカリ土類炭酸塩組成物と混合し、得られた反応混合物をホモジナイズする、方法。
【請求項40】
結合剤を水性スラリー、乳濁液または溶液の形態で供給することを特徴とする、請求項37から39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
結合剤を(a)からの有機繊維もしくは(b)からのアルカリ土類炭酸塩組成物または任意に(d)からの混合物と合わせた後に、1つまたは複数の分散剤を加えることを特徴とする、請求項37から40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
結合剤を(a)からの有機繊維もしくは(b)からのアルカリ土類炭酸塩組成物または任意に(d)からの混合物と合わせる前に、1つまたは複数の分散剤を加えることを特徴とする、請求項37から40のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
得られる表面無機化有機繊維スラリーの水分含有量が低減することを特徴とする、請求項37から42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維を含むことを特徴とする、水性スラリー。
【請求項45】
請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーの使用であって、表面無機化有機繊維を充填剤または色素として用いることを特徴とする、使用。
【請求項46】
製紙における、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーの使用。
【請求項47】
表面無機化有機繊維を、紙の総重量に基づき5から70重量%、好ましくは10から50重量%の量で用いることを特徴とする、請求項46記載の使用。
【請求項48】
表面無機化有機繊維を、紙1m2あたり0.5から500g/m2、より好ましくは2から100g/m2、特に好ましくは5から50g/m2の量で用いることを特徴とする、請求項46記載の使用。
【請求項49】
粘土、セメントまたは木材などの多孔性基質に塗布するための塗料およびスパックリング(spackling)化合物における、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーの使用。
【請求項50】
プラスチックにおける、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーの使用。
【請求項51】
ろ過助剤としての、請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーの使用。
【請求項52】
請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーを含む、充填剤。
【請求項53】
請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーを含む、色素。
【請求項54】
請求項1から36のいずれか一項記載の表面無機化有機繊維または請求項44記載のスラリーを含む、ろ過助剤。
【請求項55】
ナノメートル範囲の球相当径を有するアルカリ土類炭酸塩粒子を含む組成物により、ミリメートル範囲の長さを有する有機繊維を少なくとも部分的コーティングするための、モノマーとして1つまたは複数のジカルボン酸およびジアミン、トリアミン、ジアルカノールアミンまたはトリアルカノールアミンの群からの1つまたは複数のモノマーを含む、コポリマーの使用。
【請求項56】
コポリマーがモノマーとしてアジピン酸、N-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミンおよびエピクロロヒドリンを含むことを特徴とする、請求項55記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−506789(P2011−506789A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537382(P2010−537382)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066627
【国際公開番号】WO2009/074491
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510121411)オムヤ ディベロプメント アーゲー (4)
【Fターム(参考)】