説明

袋体、内容物入り袋体及び内容物入り袋体の使用方法

【課題】内容物を隔離、保存する複数の小室を一度の作業で開封させ、内容物を同時に同じ場所に注出させることが可能な袋体の提供。
【解決手段】第1及び第2の平面部2a、2bと、袋内部方向へ折り込まれた一対の側面部とを有する袋体100であって、第2の平面部と2b一対の側面部は連続した一部材が折り曲げられて形成されており、第1の平面部2aは、第2の平面部2bと側面部より剛性が高く、袋体の内部は境界シール部7によって複数の小室1X、1Yに区画されており、境界シール部7によって囲まれた領域内に平面部2a、2bの片方又は両方を貫通する注出部8が設けられており、境界シール部7は少なくとも一部が小室1X、1Yの各々と注出部8とを連通可能とする剥離可能な弱シール部7aであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の小室を有する袋体、該袋体に内容物を収容した内容物入り袋体、及び該内容物入り袋体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め、異なる種類の内容物を1つの袋内で配合させておくと、経時的に内容物の状態に変化が生じてしまうような内容物については、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することが好ましく、このような内容物の充填に適する袋として、複数の小室を備えた袋体が提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、周囲が密封されるとともに、容器壁間を剥離不能に接続した区画部により複数の収容室が液密に区画された複室容器において、容器壁が可撓性を有する合成樹脂からなり、前記容器壁の外面同士を対向させて折り曲げ可能な折り曲げ部が、容器中間部分に前記区画部の少なくとも一部に沿う方向に設けられ、前記折り曲げ部で折り曲げた状態で前記複数の収容室の同じ端部側となる位置にそれぞれ排出孔が設けられたことを特徴とする可撓性複室容器が開示されている。
特許文献1の容器において、各収容室は、剥離不能な区画部により収容室間の液密状態が保持されていると共に、収容された収容物を排出するための排出孔がそれぞれ独立して設けられており、収容室の間に設けられた折り曲げ部で折り曲げた状態で容器壁を押圧することによって、各排出孔から各収容物をそれぞれ搾り出すことができる。
【0004】
また、特許文献2等には、一体成形により形成された容器体を有し、指でつまんで折り曲げ操作することにより内容物を注出できる分配容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−255250号公報
【特許文献2】特開2006−143322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の容器は、各排出孔がそれぞれ独立して設けられているため、各排出孔から排出された内容物がそれぞれ異なる位置に排出されてしまう可能性がある。
また、特許文献2に記載の容器において、容器体は厚みの薄い合成樹脂により形成されているが、一体成形品であるために柔軟性が低い。これに起因して、内容物を注出する際、特に容器体の屈曲している部分付近に内容物が残留するという問題がある。
【0007】
一方、複数の小室を備えた袋体の用途によっては、平袋では圧力がかかりにくく、内容物を注出しにくい場合がある。そこで圧力がかかりやすいように、袋体に高さ(厚み)を持たせることを目的として、単に袋体の側部にマチ部を有したサイドガセット袋型にしたとしても、袋体の高さと内容物の流動性により、内容物を注出させる際の内容物への押圧力が分散しやすくなるため、内容物を注出させにくい。
【0008】
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、複数の小室に使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することが可能な袋体であって、一度の作業で各小室を開封させると共に、各小室に収容された内容物を同時に同じ場所に注出させることが可能であり、且つ、内容物を容易に無駄なく注出することができる袋体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、製造が容易な袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の袋体は、
第1の平面部及び第2の平面部からなる一対の平面部と、折り線で袋内部方向へ折り込まれた一対の側面部とを有する袋体であって、
前記第1の平面部と前記一対の側面部とは、対向しあう側端縁部同士をシールしてなる側部シール部を有し、
前記第2の平面部と前記一対の側面部は、連続した一部材が折り曲げられて形成されており、
前記第1の平面部を構成する可撓性フィルムは、前記第2の平面部と前記一対の側面部を構成する第2の可撓性フィルムより剛性が高く、
前記側部シール部は、前記折り線から該側部シール部の側端縁までの幅を有し、
袋体の内部は、前記一対の平面部及び前記一対の側面部の対向しあう内面同士をシールしてなる境界シール部によって複数の小室に区画されており、
前記境界シール部によって囲まれた領域内に、前記平面部の片方又は両方を貫通する注出部が設けられており、
前記境界シール部は、少なくとも一部が、前記小室の各々と前記注出部とを連通可能とする剥離可能な弱シール部であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の袋体は、前記境界シール部において折り曲げた状態、特に該袋体を折り曲げた際の折り線上に前記注出部が位置するように折り曲げた状態で、折り重ねられた複数の小室を外部から押圧することにより、まず、該弱シール部を剥離させ、各小室と前記注出部を連通させる導出路を形成することができる。その結果、該注出部は、各小室に収容された内容物を袋体の外部へ注出させる注出口として機能することになる。そして、上記折り重ねられた複数の小室の押圧により、各小室に収容された内容物を、注出部から押し出し、同時に注出することができる。
【0011】
本発明の袋体において、第1の平面部と側面部とは、その対向しあう側端縁部同士がシールされた側部シール部を有し、且つ、該側部シール部が側面部の折り線から側端縁までの幅を有している。これに対して、第2の平面部と側面部は、連続した一部材であり、その側端縁部同士がシールされていない。さらに、第1の平面部を構成する第1の可撓性フィルムは、第2の平面部と一対の側面部を構成する第2の可撓性フィルムと比較して高い剛性を有している。
以上のような構成を有する本発明の袋体は、開封時、第1の平面部が外側になるように、すなわち、第2の平面部同士が対向するように、袋体を折り曲げ、第1の平面部を押圧することによって、該押圧力を分散させずに、弱シール部の剥離及び内容物の注出に効率良く作用させることができる。
【0012】
また、本発明の袋体は、複数の小室を重ねて袋体を外側から押圧することによって、互いに独立した複数の小室を開封すると共に、各小室内にそれぞれ隔離した状態で収容されている内容物を、同時に且つ効率良く注出することができる。特に、本発明の袋体は、柔軟性を有するため、手指で扱き出すことで、内容物を無駄なく注出させ、内容物の残留量を減らすことができる。
また、本発明の袋体において、注出部は前記弱シール部の剥離により注出口として機能する。該注出部は、該弱シール部によって隔てられた複数の小室間で共通の注出口であるため、該注出部から複数の小室内に収容されている内容物が同時に同じ場所に排出される。従って、本発明の袋体では、各小室に収容された異なる種類の内容物が、注出部から同時に同じ場所に注出されるというメリットがある。
また、本発明の袋体は、各小室を区画している構造及び内容物の注出口となる注出部の構造が非常に単純であるため、製造が容易である。
【0013】
本発明の袋体の具体的な形態として、前記注出部が、前記境界シール部を境界として並設された複数の小室の並設方向に対して略垂直な直線状に設けられた切込みである形態が挙げられる。
【0014】
本発明の袋体の具体的な形態として、前記注出部が、前記袋体を前記境界シール部において折り曲げた際にできる折り線上に位置する形態が挙げられる。
【0015】
本発明の内容物入り袋体は、上記本発明の袋体の各小室に内容物が収容されたものである。
【0016】
本発明の内容物入り袋体は、前記第1の平面部が外側となるように且つ前記注出部が前記袋体を折り曲げてできる折り線上に位置するように折り曲げた状態で、折り重ねられた複数の小室を前記第1の平面部において押圧し、前記弱シール部を剥離させ、前記小室に収容された内容物を前記注出口から注出させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の小室に使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる袋体において、一度の作業で各小室を開封させると共に、各小室に収容された内容物を同時に同じ場所に排出させることが可能であり、且つ、内容物を容易に無駄なく注出することができる。また、本発明の袋体は、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の袋体の一形態例(袋体100)を示す斜視図である。
【図2】図1の袋体100のA−A断面図である。
【図3】図1の袋体100のB−B断面図である。
【図4】図1の袋体100の平面図である。
【図5】図1の袋体100を折り曲げた状態の斜視図である。
【図6】本発明における境界シール部と注出部の形態例を説明する図である。
【図7】本発明における境界シール部と注出部の他の形態例を説明する図である。
【図8】本発明の袋体の他の形態例(袋体101)を示す平面図である。
【図9】本発明の袋体の他の形態例(袋体102)を示す平面図である。
【図10】本発明の袋体の他の形態例(袋体103)を示す平面図である。
【図11】本発明の袋体の他の形態例(袋体104)を示す断面図である。
【図12】本発明の袋体の製造工程例を示す模式図である。
【図13】本発明の袋体の製造工程例を示す模式図である。
【図14】本発明の袋体の製造工程例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の袋体は、
第1の平面部及び第2の平面部からなる一対の平面部と、折り線で袋内部方向へ折り込まれた一対の側面部とを有する袋体であって、
前記第1の平面部と前記一対の側面部とは、対向しあう側端縁部同士をシールしてなる側部シール部を有し、
前記第2の平面部と前記一対の側面部は、連続した一部材が折り曲げられて形成されており、
前記第1の平面部を構成する可撓性フィルムは、前記第2の平面部と前記一対の側面部を構成する第2の可撓性フィルムより剛性が高く、
前記側部シール部は、前記折り線から該側部シール部の側端縁までの幅を有し、
袋体の内部は、前記一対の平面部及び前記一対の側面部の対向しあう内面同士をシールしてなる境界シール部によって複数の小室に区画されており、
前記境界シール部によって囲まれた領域内に、前記平面部の片方又は両方を貫通する注出部が設けられており、
前記境界シール部は、少なくとも一部が、前記小室の各々と前記注出部とを連通可能とする剥離可能な弱シール部であることを特徴とするものである。
【0020】
以下、本発明の袋体について、図1〜図11を参照しながら説明する。
尚、平面図及び斜視図において、ハッチング箇所は、各構成部材のシール部を示している。
【0021】
図1は、本発明の袋体の一形態例を示すものであり、袋体100の斜視図である。図2は、袋体100のA−A断面図であり、図3は、袋体100のB−B断面図である。図4は、袋体100を第1の平面部2a側から見た平面図(4A)及び袋体100を第2の平面部2b側から見た平面図(4B)である。図5は、袋体100を境界シール部7で折り曲げ、小室1Xと小室1Yとを折り重ねた状態の斜視図である。
【0022】
図1、図2に示すように、袋体100は、第1の平面部2a及び第2の平面部2bからなる一対の平面部と、折り線3aで袋内部方向へ折り込まれた側面部3,3とを有する、ガセット型の袋体である。
【0023】
袋体100は、第1の平面部2aを構成する第1の可撓性フィルムと、第2の平面部2b及び2つの側面部3,3を構成する第2の可撓性フィルムとの2枚の可撓性フィルムから形成されている。これら2枚の可撓性フィルムは、側部シール部4a,4a、上端シール部5及び下端シール部6によりシールされ、袋体100の内部が密封される。
具体的には、側部シール部4a,4aは、一対の側面部3,3の側端縁部と第1の平面部2aの側端縁部とを重ね合わせ、側面部3,3の袋内部方向へ折り込まれた折り線3a,3aから該側端縁までの幅において、対向する内面同士がシールされたものである。
また、上端シール部5及び下端シール部6によって、袋体100の上端部と下端部が封止される。より具体的には、上端シール部5、下端シール部6は、第1の平面部2a及び第2の平面部2bの上端部及び下端部、並びに、これら平面部2a及び平面部2bの間に折り線3aで折り込まれた、一対の側面部3,3の上端部及び下端部の対向する内面同士がシールされたものである。
【0024】
また、第1の平面部2aを構成する第1の可撓性フィルムは、第2の平面部2bと一対の側面部3,3を構成する第2の可撓性フィルムより高い剛性を有している。
【0025】
上記のように、袋体100において、図1、図4(4A)等に示すように、一対の平面部のうち、第1の平面部2aは、側面部3,3との接合部である側部シール部4a,4aを有する。一方、図1、図4(4B)等に示すように、第2の平面部2bは、側面部3,3と連続する一部材であり、側部シール部を有していない。
このように一対の平面部2a,2b間で側部シール部の有無に差があること、さらに、第1の平面部2aを構成する第1の可撓性フィルムが、第2の平面部2bと一対の側面部3,3を構成する第2の可撓性フィルムより高い剛性を有していること、によって、袋体100を構成する一対の平面部2a,2b間に剛性の差が生じる。
【0026】
図1及び図3に示すように、袋体100の内部は、袋体100の一方の側端から他方の側端にわたって、一対の平面部2a,2b及びその間に折り込まれた一対の側面部3,3の対向しあう内面同士がシールされた境界シール部7によって、複数の小室1X,1Yに区画されている。各小室1X,1Yは、互いに独立した空間であり、それぞれが内容物を密封することができる。
【0027】
図1、図3及び図4に示すように、小室1Xと1Yとを隔てる境界シール部7は、その一部が、一対の平面部2a,2b及び一対の側面部3,3の内面同士を剥離可能にシールした弱シール部7aである。また、弱シール部7aには、一対の平面部2a,2bの両方を貫通する切込みからなる注出部8が設けられている。
弱シール部7aは、袋体100を手指等により外側から押圧することによって各小室1X,1Yの内圧を上昇させた際に、シールされた対向する平面部2a,2b間に剥離が生じるようなシール強度を有している。弱シール部7aの剥離により注出部8と各小室1X,1Yとがそれぞれ連通される。
【0028】
上記構造を有する袋体100の各小室1X,1Yに内容物が収容された内容物入り袋体は、次のようにして開封し、内容物を注出することができる。
まず、図5に示すように、小室1X及び小室1Yの第2の平面部2b,2b同士が対向するように、つまり、小室1X及び小室1Yの第1の平面部2a,2aが外側を向くように、袋体100を境界シール部7で折り曲げ、小室1Xと小室1Yとを折り重ねる。次に、折り重ねた小室1X及び小室1Yを手指等により外側から押圧し、弱シール部7aを剥離させる。袋体の押圧は、典型的には、境界シール部7において折り曲げ、小室1Xと小室1Yとを折り重ねた状態の袋体100を、掌で握り持つことで行うことができる。
弱シール部7aが剥離することによって、各小室1X,1Yと、弱シール部7aに設けられた注出部8とが、それぞれ連通する。その結果、注出部8が、各小室1X,1Yの内部と袋体100の外部とを連通する、小室1X及び小室1Yの共通の注出口として機能するようになる。つまり、各小室が同時に開封される。
上記のようにして弱シール部7aを剥離させた後、折り重ねた小室1Xと小室1Yとをそのまま外側から押圧すれば、各小室1X,1Yに充填された各内容物を、注出部8から同時に押し出し、同じ場所に注出させることができる。
【0029】
弱シール部7aを剥離させて内容物を押し出す際、各小室の柔軟性のある第2の平面部2b,2b同士を対向させた状態で、袋体100を外側から押圧することによって、押圧によってかかった力は、弱シール部7aを剥離させて内容物を注出させる方向に効果的に作用し、弱シール部の剥離及び内容物の注出を効率良く行うことができる。
上記したように、第2の平面部2b,2bは側部シール部がなく、可撓性フィルムの柔軟性を保持する一方、第1の平面部2a,2aは、側部シール部4a,4aと第1の可撓性フィルムにより剛性が付与されている。柔軟性の高い第2の平面部2b,2bを内側にした状態で押圧することによって、剛性の高い第1の平面部2a,2aを内側にした状態で押圧する場合と比較して、押圧力の分散が抑制され、弱シール部7aを容易に剥離し、内容物を効率良く押し出すことができる。
尚、各小室の第1の平面部2a,2aが内側になるように袋体を折り曲げた状態で押圧する場合でも、弱シール部7aを剥離させ、内容物を注出させることは充分に可能である。
【0030】
内容物を排出する際は、注出部8が、境界シール部7において袋体100を折り曲げた際にできる折り線上に位置するように、すなわち、該折り線の位置と注出部の位置が一致するように、袋体100を折り曲げることが好ましい。このように折り曲げることによって、袋体を折り曲げた折り線の位置から内容物が押し出されることになり、円滑に内容物を注出させることができるからである。また、注出部より注出される複数の内容物が、該注出部から同じ場所にさらに注出されやすくなるというメリットもある。
【0031】
以上のように、本発明の袋体は、複数の小室を折り重ねた状態で外側から押圧することにより、各小室の内部と袋体の外部とを連通する注出口を形成して各小室を開封すると共に、各小室内にそれぞれ隔離した状態で収容されている内容物を同時に押し出し、注出することができる。典型的には、使用者は、片手で、袋体の開封作業及び内容物の注出作業を行うことができる。
また、弱シール部の剥離により注出口として機能するようになる注出部は、該弱シール部によって隔てられた複数の小室間に共通の注出口であり、複数の小室内に収容されている内容物が1つの注出部から注出される。従って、本発明の袋体は、収容された異なる種類の内容物を、注出部から同時に同じ場所に注出できるというメリットがある。
しかも、本発明の袋体は、ガセット構造を有しているにもかかわらず、外側からの押圧力の分散を抑制し、弱シール部を剥離させるために効果的に作用させることができる。従って、本発明の袋体は、各小室の開封性及び内容物の注出性を有するものである。
さらに、本発明の袋体は、内容物の注出口の構造が非常に単純であるため、製造が容易であり、且つ、内容物を無駄なく注出させることが容易である。
その上、本発明の袋体は、柔軟性を有するため、たとえ粘性の高い内容物であっても、手指で扱き出すことで、無駄なく注出させることが可能であり、内容物の残留を低減させることができる。
【0032】
以下、本発明の袋体の構造についてさらに詳しく説明していく。
本発明の袋体は、一対の平面部と折り線で袋内部方向へ折り込まれた一対の側面部とを有するいわゆるガセット型であり、具体的な形状は、図1〜図5に示す袋体100に限定されない。
例えば、袋体を構成する可撓性フィルムの枚数は特に限定されない。図1〜図5に示す袋体100は、第2の平面部2b及び一対の側面部3,3を構成する第2の可撓性フィルムと、第1の平面部2aを構成する第1の可撓性フィルムと、の合計2枚の可撓性フィルムが接合されて筒状にされているが、3枚以上の可撓性フィルムを接合し、筒状にしてもよい。この場合、3枚以上の可撓性フィルムを接合したシール部は、側部シール部としてもよいし、注出部が設けられる位置を避けて平面部や側面部に配置させてもよい。
【0033】
本発明の袋体は、可撓性フィルムから形成することができる。可撓性フィルムから形成することで、境界シール部において折り曲げること、並びに、袋体の外側からの押圧により弱シール部を剥離させて袋体を開封すること及び内容物を押し出すことが可能である。
袋体を形成する第1及び第2の可撓性フィルムは、一般に袋体に用いられる可撓性フィルムであって、第1の可撓性フィルムの剛性が第2の可撓性フィルムの剛性と比較して大きければ、どちらの可撓性フィルムも特に限定されない。例えば、単層フィルムであってもよく、最外層としての基材層、中間層、及び最内層としての内面層など、複数の層からなる積層フィルムであってもよい。
【0034】
基材層は、袋体の最外層を形成し、印刷適性、耐ピンホール性、及び耐衝撃性等の機能を有する層であることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、及びエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸又は二軸延伸フィルム、並びに、これらの延伸フィルムを積層したもの等が挙げられる。
【0035】
袋の用途として酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合、基材層の材質としては、例えば、アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させた蒸着フィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたコートフィルム;等を用いることもできる。また、紙やセロファン等も用いることができる。
【0036】
中間層は、酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたフィルム;等が挙げられる。
【0037】
内面層は、袋の最内層を形成し、ヒートシールが可能な層であることが好ましい。内面層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及びアイオノマー樹脂等からなる未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0038】
これらの層を積層して積層フィルムを形成する方法は、一般に積層フィルムの形成に用いられる積層方法であれば、特に限定されない。例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。また、その他のラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。
【0039】
上記したように、袋体を構成する第1及び第2の可撓性フィルムは、剛性(柔軟性)が異なる。
可撓性フィルムの剛性(硬さ)の大小は、例えば、JIS K 7161「プラスチック−引張り特性の試験方法−第1部:通則」に記載の引張り弾性率の値で比較することができる。具体的には、引張り弾性率の値が高いほど剛性が高く、柔軟性が低い。また、引張り弾性率の値が小さいほど剛性が低く、柔軟性が高い。
引張り弾性率の測定方法は、JIS K 7127「プラスチック−引張り特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に記載の試験方法に準拠することができる。また、ハンドル−O−メーターを使用して測定することもできる。
【0040】
第1の可撓性フィルムとしては、例えば、上記したような基材層又は中間層にアルミニウム箔等の金属箔を有する積層体が挙げられる。また、ポリエチレン発泡フィルムやポリプロピレン発泡フィルム等の発泡フィルムを有する積層体が挙げられる。また、第1の可撓性フィルムとして、第2の可撓性フィルムと比較して厚さの厚い可撓性フィルムを用いることで、第1の可撓性フィルムの剛性を第2の可撓性フィルムの剛性に対して高くすることもできる。
【0041】
袋体の内部の密封性を確保するためのシール部(以下、密封シール部ということがある)をシールする方法は特に限定されないが、例えば、袋体を構成する可撓性フィルムの相対する面同士を接着材によりシールする方法や、袋体を構成する可撓性フィルムの相対する面同士をヒートシールにより接合可能な材料とし、ヒートシールによりシールする方法等が挙げられる。
尚、袋体100において、具体的な密封シール部は、側部シール部、上端シール部及び下端シール部である。
密封シール部のシール強度は、袋体の内部の密封性を確保することができ、且つ、弱シール部のシール強度よりも強く袋体の開封時及び内容物注出時に付加される押圧によって剥離しない強度であることが要求される。具体的なシール強度は特に限定されないが、通常、5.0N/15mm以上であることが好ましく、10N/15mm以上であることがより好ましい。
【0042】
ここで、「N/15mm」とは、15mm幅のシール部を常温でT形剥離させるのに必要な強度を意味する。シール強度は、JIS Z 0238:1998に準じて測定することができる。
【0043】
袋体において、密封シール部によって形成された袋体の内部は、境界シール部によって複数の小室に区画される。境界シール部は、一対の平面部及び一対の側面部の対向しあう内面同士をシールしてなるものである。具体的には、境界シール部は、第1の平面部と第2の平面部が対向しあう内面同士、及び、第1及び第2の平面部と一対の側面部とが対向しあう内面同士、をシールしてなるものである。
本発明の袋体において、小室の大きさ、配置形態等も特に限定されない。例えば、図1においては、袋体100に形成された2つの小室1X,1Yは、袋体の長手方向中央部に設けられた境界シール部7により区切られており、ほぼ同じ容量を有しているが、境界シール部の設置位置等の調節により、容量の異なる小室を形成してもよい。また、境界シール部は、図1のように、袋体の長手方向と略垂直に設けられていなくてもよい。
【0044】
境界シール部によって囲まれた領域内には、平面部の片方又は両方を貫通する注出部が設けられている。ここで「境界シール部によって囲まれた領域」とは、「境界シール部に囲まれていることよって各小室と隔てられた領域であって、境界シール部の弱シール部の剥離によって初めて各小室と注出部とが連通可能になる領域」である。
具体的には、図4に示すように、1つの境界シール部7の領域内、より具体的には後述する弱シール部7(a)の領域内の他、図6、図7に示すように、複数の境界シール部7に囲まれた領域内、すなわち、複数の境界シール部の間の未シール部内も含まれる。尚、図6及び図7は、境界シール部と注出部の形態例を示す図である。
袋体開封前における注出部内部への異物の付着防止等の観点から、注出部は、1つの境界シール部の領域内に設けられることが好ましい。
【0045】
注出部は、袋体の内部の密封性を確保できる範囲内で、境界シール部によって囲まれた領域において、片方又は両方の平面部を貫通していれば、弱シール部の剥離により、各小室内に収容された内容物の注出口として機能するようになる。
【0046】
注出部は、図1に示す袋体100のように、弱シール部を構成する両方の平面部を貫通しなくても、少なくとも片方の平面部を貫通していれば、弱シール部が剥離することにより該注出部を介して各小室と袋体の外部とが連通する。すなわち、該注出部が注出口として機能するようになる。注出部が片方の平面部のみを貫通している場合、袋体を境界シール部で折り曲げる際に、注出部の設けられた平面部が外側になるように、袋体を境界シール部で折り曲げることで、内容物の注出性を確保することができる。
【0047】
注出部の具体的な構造は特に限定されず、例えば、図1の袋体100のような切込み8の他、種々の形状を有する孔でもよい。
切込みとしては、図1の袋体100のように、境界シール部7を境界として並設された複数の小室の並設方向に対して略垂直な直線状の切込みの他、図8の袋体101のように、境界シール部7を境界として並設された複数の小室の並設方向に対して略平行な直線状の切込みであってもよい。
【0048】
内容物が注出し易いことから、注出部は、袋体100のように、境界シール部7を境界として並設された複数の小室の並設方向に対して略垂直な直線状の切込みが好ましい。このような切込みは、袋体の境界シール部における折り曲げ方向と略平行に延びているため、袋体100を境界シール部7において折り曲げる際に、折り曲げてできる折り線上に注出部8が位置するように、袋体100の折り曲げを誘導することができるからである。
同様の観点から、注出部として孔を設ける場合には、短径と長径を有する孔を、長径が境界シール部を境界として並設された複数の小室の並設方向に対して略垂直となるように、すなわち、袋体の境界シール部における折り曲げ方向と略平行になるように設けることが好ましい。
尚、本発明において、略平行とは、完全に平行な状態の他、±10度程度の角度範囲で平行からずれている状態も含む。また、略垂直とは、完全に垂直な状態の他、±10度程度の角度範囲で垂直からずれている状態も含む。
【0049】
境界シール部は、少なくとも一部が該小室と該注出部とを連通可能とする弱シール部である。弱シール部は、該境界シール部によって囲まれた少なくとも2つの小室と注出部との間に配置され、一対の平面部の内面同士を剥離可能にシールしてなる。すなわち、弱シール部の平面部の内面が剥離した際に、それぞれの小室と注出部とが初めて連通する。
境界シール部である弱シール部の位置は、弱シールされた平面部の内面同士の剥離によって注出部と各小室とが連通可能となる位置、すなわち、注出部と各小室の間であれば特に限定されない。上述したように、注出部は1つの境界シール部の領域内、具体的には、弱シール部の領域内に設けられていることが好ましい。
【0050】
弱シール部は、該弱シール部の剥離によって注出部と少なくとも2つの小室とが連通すれば、その形状に限定はない。例えば、図1〜図5の袋体100のように、境界シール部7の一部のみを弱シール部7aとしてもよいし、境界シール部7の全領域を弱シール部7aとしてもよい(図8参照)。
また、弱シール部の位置は、側面部と平面部の内面同士が対向している位置ではなく、平面部の内面同士が対向している位置であることが好ましい。また、境界シール部がシールされる際に、側面部の折り線を挟んでシールされる領域近傍は、シール強度が弱くなるため、その部分を弱シール部として利用してもよい。
【0051】
弱シール部には、内容物が収容された内容物入り袋体を外側から手指等で押圧した時は平面部の内面同士が容易に剥離し、且つ、内容物保存時は各小室間の密封性を確保できるシール強度が要求される。弱シール部の具体的なシール強度は特に限定されないが、1.0〜10N/15mm程度であることが好ましく、1.0〜5.0N/15mm程度であることがより好ましい。
尚、袋体100のように、境界シール部7の一部のみを弱シール部7aとする場合、弱シール部以外の境界シール部7bのシール強度は、内容物が収容された内容物入り袋体を外側から手指等で押圧した時に平面部の内面同士が剥離しないシール強度が要求される。例えば、上記密封シール部と同様のシール強度であってもよく、この場合、上記密封シール部と同様の方法で該弱シール部以外の境界シール部7bをシールすることができる。
【0052】
弱シール部の形成方法は、特に限定されない。例えば、イージーピールテープを介して、平面部を構成する可撓性フィルムの対向する内面同士をシールする方法;対向し合う平面部を構成する可撓性フィルムの最表面層、すなわち内面層の材質を、ヒートシールにより接合可能な材料とし、ヒートシールの温度、圧力、及び時間を適宜調節して、ヒートシールにより該可撓性フィルムの対向する内面同士をシールする方法;等が代表的な方法として挙げられる。
【0053】
弱シール部が剥離した部分は内容物の流通路となる。そのため、小室に収容される内容物の流動性によって弱シール部の幅や長さを適宜変更することができる。具体的には弱シール部の幅は、袋体のサイズや、収容する内容物の量及び種類に応じて任意に選択することができるが、3.0〜30mm程度であることが好ましく、5.0〜20mm程度であることがより好ましい。ここで弱シール部の幅とは、注出部と小室との間における弱シール部の長さを指す。例えば、図4における弱シール部7aの幅はHである。
【0054】
境界シール部や弱シール部の形状は、小室内部からの圧力が該弱シール部に集中し、弱シール部の剥離を促進するような応力集中部を有する形状であってもよい。
弱シール部の剥離の促進、さらに、内容物の注出性の観点から、境界シール部の形状を図9のようにすることもできる。図9に示す袋体102は、境界シール部7の形状以外は、図1に示す袋体100と同様である。袋体102において、境界シール部7は、小室1X,1Yが弱シール部7a内の注出部8に向かってテーパー形状を有するように設けられている。このように小室1X,1Yが注出部8に向かってテーパー形状を有することによって、弱シール部7aへの圧力負荷や弱シール部7aへの内容物の移動が効率的に誘導される。その結果、弱シール部7aの剥離が促進されたり、内容物の注出がスムーズに行われるといったメリットがある。すなわち、境界シール部の形状によって、袋体の開封性を向上させたり、小室内に残存する内容物を低減することが可能である。
【0055】
以上、小室を2つ有する袋体について説明してきたが、上記したように本発明の袋体において小室は3つ以上設けられていてもよい。ここで、3つの小室1X,1Y,1Zを有する袋体103について、図10を参照しながら説明する。図10は、袋体103を第1の平面部2a側から見た平面部(10A)及び第2の平面部2bから見た平面部(10B)である。
袋体103において、小室1X、小室1Y及び小室1Zは、それぞれ弱シール部7aを含む境界シール部7a,7bにより区切られている。これら境界シール部7a,7bのうち、弱シール部7aには、注出部8が設けられている。注出部8は、弱シール部7aにおいて、小室1Xと小室1Yが対向する領域から、小室1Xと小室1Zが対向する領域にわたって、設けられている。
従って、袋体103を、図5のように、境界シール部である弱シール部7aにおいて折り曲げた状態で、外側から押圧し弱シール部7aを剥離させることによって、注出部8を経て、各小室1X,1Y,1Zの内部と袋体の外部とを連通させることができる。すなわち、3つの小室1X〜1Zを同時に開封し、各小室に収容された内容物を注出部5から同時に押し出すことができる。袋体103の折り曲げは、袋体100と同様、剛性の高い第1の平面部2aが外側となるようにすることが好ましい。
尚、袋体103において、例えば、小室1Yと小室1Zに収容された内容物が注出前に混合されてもよいものであれば、小室1Yと小室1Zの境界である境界シール部7bを弱シール部としてもよい。
【0056】
本発明の袋体は、側面部は、折り線によって袋内部方向へ折り込むことが可能である。側面部において、折り線の位置は特に限定されず、側面部の幅方向の中央部でもよいし、該中央部から第1の平面部側又は第2の平面部側にずれた位置でもよい。側面部の折り線の位置を変更することによって、収容される内容物の量を変更することもできる。
折り線の位置が上記中央部からずれた形態例として、例えば、図11に示す袋体104の形態が挙げられる。
図11は、袋体104の断面図であり、袋体100の図2に相当する。袋体104では、側面部3,3を袋内部方向へ折り込んだ際の折り線3a,3aから第1の平面部2aと側面部3,3との境界端縁までの長さG1が、該折り線3a,3aから第2の平面部2bと側面部3,3との境界端縁までの長さG2よりも短い。
ここで、平面部と側面部との境界端縁とは、該平面部と該側面部とが連続する可撓性フィルムを折り曲げて形成されている場合、通常、該可撓性フィルムの平面部と側面部との境界の折り曲げ線を指し、該平面部と該側面部とが別体の可撓性フィルムから形成されており、その側端縁部同士がシールされている場合、該側面部を構成する可撓性フィルムの該側端縁を指す。図11に示す袋体104では、第1の平面部2aと側面部3との境界端縁は上記側端縁であり、第2の平面部2bと側面部3との境界端縁は上記折り曲げ線である。
【0057】
尚、本発明の袋体は上記にて説明した形態に限定されない。
例えば、各小室に収容されている内容物を個々に注出するための開封口が別途設けられてもよい。開封口の形態としては、例えば、各小室を密封しているシール部に設けられた切込みや粗面部、又は、小室の内容物収容部分の可撓性フィルムに設けられたハーフカットの切れ線やミシン目が挙げられる。
また、図1〜5に示す袋体100においては、掌で握り持つことにより袋体を押圧し、内容物を押し出すことが可能な旨を説明したが、本発明の袋体の大きさは特に限定されない。ただし、本発明の袋体は、典型的には、手指による押圧により上記のような内容物の注出が可能な袋体であることが好ましい。
【0058】
本発明の袋体は、同時に使用することが多いが、予め、1つの袋内で配合させておくと、経時的にその状態に変化が生じてしまうような異なる種類の内容物、或いは、品質の低下が生じてしまうような異なる種類の内容物の包装に適している。
【0059】
本発明の袋体の各小室に収容する内容物の組み合わせとしては、例えば、医療用薬液とその溶解液、ケチャップとマスタード、ガムシロップとミルク、はちみつとマーガリン等の流動性物質同士の組み合わせ等が代表的に挙げられる。また、乳幼児用の離乳食や高齢者用の介護食なども挙げられる。
【0060】
本発明の袋体に内容物を収容した内容物入り袋体は、異なる種類の内容物を各小室にそれぞれ収容することによって、各内容物を混合させることなく、互いに隔離した状態で袋体に封入させることができる。従って、本発明の内容物入り袋体は、上記にて例示したような、予め1つの袋内で配合させておくと、経時的にその状態に変化が生じてしまうような異なる種類の内容物、或いは、品質の低下が生じてしまうような異なる種類の内容物であっても、状態の変化や品質低下を生じさせることなく、1つの袋体で保存することができる。
尚、本発明の袋体に収容する内容物は、それぞれの小室で同種のものであってもよい。さらに、本発明の袋体に収容する内容物は、直接口に入れる、流動性のある食品や薬品等でもよい。袋体を折り、手指で握って圧力をかけることで、片手で容易に食品や薬品を経口摂取することができる。このような内容物の例として、食品としてはゼリーやヨーグルト等が挙げられる。
【0061】
本発明の袋体の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適宜採用して製造することができる。
例えば、袋体(袋体100)の製造方法として、以下の方法を例示することができる。
【0062】
まず、第1の平面部を形成する第1の可撓性フィルム、並びに、第2の平面部及び一対の側面部を形成する第2の可撓性フィルムを準備する。第1の可撓性フィルムは、第2の可撓性フィルムよりも剛性の高いものである。
次に、図12に示すように、第2の可撓性フィルム10を、第2の平面部と一対の平面部との境界端縁、及び、一対の側面部の折り線を形成するように、4か所で折り曲げる。
【0063】
続いて、折り曲げた第2の可撓性フィルム10の端縁部の内面と、第1の可撓性フィルム9の端縁部の内面とが対向するように、これら2枚の可撓性フィルムを重ね合わせる。具体的には、図12、図13に示すように、第2の可撓性フィルム10において一対の側面部の側端縁部となる端縁部(以下、左右端縁部ということがある)10Aの内面と、第1の可撓性フィルム9において第1の平面部の側端縁部となる端縁部9A(以下、左右端縁部ということがある)の内面とが対向するように、且つ、第1及び第2の可撓性フィルム9,10において、袋体の上端及び下端となる端縁部(以下、上下端縁部ということがある)9B,10Bの内面がそれぞれ対向するように、重ね合わせる。
【0064】
次に、図14に示すように、重ね合わせた第1及び第2の可撓性フィルム9,10の左右端縁部の内面同士9A,10Aを、第2の可撓性フィルム10の側面部の折り線から左右端縁までの幅においてシールし、筒状部材11を形成する。
【0065】
得られた筒状部材11の一方の側端から他方の側端にわたって、一対の平面部を形成する可撓性フィルムと一対の側面部を形成する可撓性フィルムの対向しあう内面同士をシールし、境界シール部を形成することによって、筒状部材の内部を複数の小室となる空間に区切る(図示せず)。上述したように、境界シール部の一部が、該境界シール部で区切られた空間に内容物を収容した袋体を外側から押圧した際に剥離可能な弱シール部となるように、シール強度を調整する。
【0066】
次に、筒状部材11を形成する可撓性フィルム9,10の上下端縁部9B,10Bの内面同士をシールすることで、複数の小室を有する多室袋体が得られる(図示せず)。上下端縁部の内面同士をシールする前に、上記のようにして得られた、上端及び下端が開放した状態の筒状部材の各空間内に、任意の内容物を収容し、その後、可撓性フィルムの上下端縁部の内面同士をシールすることで、各小室に内容物が収容された内容物入り袋体を得ることができる。袋体は、一袋ずつ作製してもよく、可撓性フィルムの帯状フィルムを用いて連続して作製してもよい。
尚、本発明の袋体及び内容物入り袋体の製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1X…小室
1Y…小室
1Z…小室
2a…第1の平面部
2b…第2の平面部
3…側面部
3a…折り線
4a…側部シール部
5…上端シール部
6…下端シール部
7…境界シール部
7a…弱シール部
7b…弱シール部以外の境界シール部
8…注出部
9…第1の可撓性フィルム
9A…左右端縁部
9B…上下端縁部
10…第2の可撓性フィルム
10A…左右端縁部
10B…上下端縁部
11…筒状部材
100…袋体
101…袋体
102…袋体
103…袋体
104…袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面部及び第2の平面部からなる一対の平面部と、折り線で袋内部方向へ折り込まれた一対の側面部とを有する袋体であって、
前記第1の平面部と前記一対の側面部とは、対向しあう側端縁部同士をシールしてなる側部シール部を有し、
前記第2の平面部と前記一対の側面部は、連続した一部材が折り曲げられて形成されており、
前記第1の平面部を構成する可撓性フィルムは、前記第2の平面部と前記一対の側面部を構成する第2の可撓性フィルムより剛性が高く、
前記側部シール部は、前記折り線から該側部シール部の側端縁までの幅を有し、
袋体の内部は、前記一対の平面部及び前記一対の側面部の対向しあう内面同士をシールしてなる境界シール部によって複数の小室に区画されており、
前記境界シール部によって囲まれた領域内に、前記平面部の片方又は両方を貫通する注出部が設けられており、
前記境界シール部は、少なくとも一部が、前記小室の各々と前記注出部とを連通可能とする剥離可能な弱シール部であることを特徴とする袋体。
【請求項2】
前記注出部は、前記境界シール部を境界として並設された複数の小室の並設方向に対して略垂直な直線状に設けられた切込みである、請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
前記注出部は、前記袋体を前記境界シール部において折り曲げた際にできる折り線上に位置する、請求項1又は2に記載の袋体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の袋体の各小室に内容物が収容された内容物入り袋体。
【請求項5】
請求項4に記載の内容物入り袋体を、前記第1の平面部が外側となるように且つ前記注出部が前記袋体を折り曲げた際にできる折り線上に位置するように折り曲げた状態で、折り重ねられた複数の小室を前記第1の平面部において押圧し、前記弱シール部を剥離させ、前記小室に収容された内容物を前記注出口から注出させる、内容物入り袋体の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−251719(P2011−251719A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125654(P2010−125654)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】